JP2005529328A - 競合的結合1hnmr実験を用いたリガンドの同定方法 - Google Patents

競合的結合1hnmr実験を用いたリガンドの同定方法 Download PDF

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Abstract

標的分子へのリガンドの同定方法であって、標的分子と相互作用する標準化合物を提供する工程;標的分子の存在下に標準化合物の1DH核磁気共鳴スペクトルを収集する工程;複数のテストサンプルであって、各々少なくとも1つのテスト化合物を含むテストサンプルを供給する工程;各テストサンプルおよび標的分子の存在下に標準化合物の1DH核磁気共鳴スペクトルを収集する工程;標的分子の存在下における標準化合物のスペクトルと、各テストサンプルおよび標的分子の存在下における標準化合物のスペクトルとを比較し、標準化合物の共鳴の1つまたはそれ以上における変化を決定する工程;および標的分子と相互作用する少なくとも1つのテスト化合物を同定する工程であって、テスト化合物が標準化合物を置換する工程を含む方法。

Description

この発明は、2002年6月5日に出願された米国仮出願番号第60/386,897号、2002年6月17日出願の米国仮出願番号第60/389,252号、2002年7月26日出願の米国仮出願番号第60/398,875号、および2003年3月14日出願の米国仮出願番号第60/454,765号の利益を主張する。これらの特許のすべては、その全体を参照して本明細書に組み込まれる。
(発明の背景)
現在市場に出ている多くの薬品は、ハイスループットスクリーニング(HTS)から同定されたリードから開発された。HTSにおいて用いられた治療上関係のある標的は、多くの場合、異なる方法で発現されうるクローン遺伝子から産生された組み換えタンパク質である。大きい化合物コレクションは一般的に、阻害剤を同定するためにこれらのタンパク質に対してスクリーニングされる。
過去十年間、異なるプロジェクトへのコンビナトリアルケミストリーの体系的適用の結果として、工業所有権を有する化合物コレクションの大きさが指数関数的に増加した。今日、コンビナトリアルケミストリーは、大きい化合物ライブラリーを発生させ、これは、従来の医薬品化学および天然源から入手しうる他の化合物ライブラリーを補足する。ロボット工学および自動化の開発および適用が、多数の化合物を短期間にテストすることを実現可能にした。いくつかの新しい検出系が、潜在的リード(lead)分子の同定のために用いられている。
最近、核磁気共鳴(NMR)が、製薬上関係のある標的と相互作用する小分子の検出のための強力な方法として出現した。NMRは感度の高い技術ではないが、他の検出系の場合に見られるアーチファクトの影響をあまり受けないという利点を有する。極低温NMRプローブ技術における最近の開発は、スクリーニングに必要な時間またはタンパク質の量を減少させた。
NMR方法は、同位体標識タンパク質に対して、大きい化合物コレクションをスクリーニングするために用いられている。標的タンパク質の15N−HHSQCスペクトルにおけるクロスピークの化学シフト変化が、化合物混合物の存在下で観察される。ついでこの混合物のデコンボリューションの結果として、タンパク質と相互作用する分子の同定へとつながる(すなわち、化学シフト変化の原因である化合物)。タンパク質の三次元構造が既知であり、かつタンパク質バックボーン共鳴の配列特異的NMR帰属が得られた時、この方法は、リガンド結合部位およびリガンド結合の態様の重要な構造情報を与える。
NMRスクリーニングのもう1つの実施方法は、リガンド共鳴の検出に基づく。いくつかのNMRパラメーターが、文献においてリガンド同定のためのツールとして提案されている。これらの方法によって、スクリーニングされた混合物の迅速なデコンボリューションが可能になり、これらの方法は、中〜低親和性リガンドの同定に特に適している。
しかしながらこれらの技術には、いくつかの欠点がある。第一に、結合部位に関する構造情報が直接的に入手できない。第二に、受容体へ共有結合的と結合する高親和性リガンドおよび分子は、これらの実験において一般的に用いられるタンパク質を上回るテスト化合物が大過剰のために検出を免れる。すなわち、オン−速度(on−rate)が遅いタンパク質または化合物へより堅固に相互作用する化合物は、タンパク質中のこれら化合物の滞留時間が、NMR実験に用いられる混合時間のウインドー(例えば1〜2秒)よりも長いので、検出されないことになる。第三に、潜在的リガンドである溶解度の低い化合物は検出が難しいが、それは、この方法がリガンド信号の観察を必要とするためである。
したがって必要とされるものは、典型的なリガンド観察されたスクリーニング実験に伴う欠点を有することなく、標的分子、例えばタンパク質へのリガンドを検出するために用いることができる追加のNMR方法である。
(発明の要約)
本発明は、合理的な薬品設計に関する。具体的には本発明は、標的分子(例えば典型的にはタンパク質)と相互作用する化合物についてのスクリーニングの核磁気共鳴(NMR)方法を提供する。この方法は、結合相互作用を検出するためのHNMR競合結合実験の使用を包含する。
競合結合実験は、競合分子の存在下における標準化合物の置換を包含する。好ましくはこの標準化合物は、マイクロモル範囲内の結合親和性により標的分子に結合する。好ましくはこのテスト化合物は、1マイクロモルよりも強い結合親和性(例えばナノモル範囲内)で標的分子と相互作用する。ただし、1マイクロモルよりも弱い(すなわち1マイクロモルよりも大きい)結合親和性により結合する化合物も、本発明の方法を用いて評価することができる。
競合結合実験を包含する本方法は、典型的なリガンド観察されたスクリーニング実験に伴う欠点を伴わずに、適切に組み立てられた競合結合実験に基づいた、効率的でハイスループットスクリーニング(HTS)を実施するために用いることができる。さらには、これらの方法は、一点測定を用いて同定されたリガンドのKの評価を与える。この方法を用いて、例えばタンパク質もしくはDNAおよびRNA断片に対して短期間で数千の化合物をスクリーニングすることが可能である。
本発明は同様に、化学混合物(すなわち2つまたはそれ以上のテスト化合物の混合物)、例えば植物および菌類抽出物の迅速なスクリーニングに有用な用途を見出すことができるであろう。迅速なスクリーニング技術は一般的に、複数のテストサンプルの供給を包含し、各テストサンプルは、2つまたはそれ以上のテスト化合物の混合物を含んでいる。
本発明の方法は、少なくとも次の工程を用いた、標的分子へのリガンドの同定を包含する。すなわち、標的分子と相互作用する標準化合物を供給する工程;標的分子の存在下に標準化合物の1DH核磁気共鳴スペクトルを収集する工程;少なくとも1つのテスト化合物を含むテストサンプル(好ましくは複数のテストサンプル)を供給する工程;各テストサンプルおよび標的分子の存在下に標準化合物の1DH核磁気共鳴スペクトルを収集する工程;標的分子の存在下における標準化合物のスペクトルと、各テストサンプルおよび標的分子の存在下における標準化合物のスペクトルとを比較し、標準化合物共鳴の1つまたはそれ以上における変化を決定する工程;および標的分子と相互作用する少なくとも1つのテスト化合物を同定する工程であって、テスト化合物が標準化合物を置換する工程である。
好ましくは本発明の方法は、標的分子の不存在下に潜在的標準化合物のWaterLOGSY核磁気共鳴スペクトルを収集する工程;標的分子の存在下に潜在的標準化合物のWaterLOGSY核磁気共鳴スペクトルを収集する工程;およびこの潜在的標準化合物が標的分子と相互作用するかどうかを確認するために、WaterLOGSYスペクトルを比較する工程を含む、標準化合物同定の工程を含む。
本発明の方法のあるいくつかの実施形態の場合、1DH核磁気共鳴スペクトルの収集は、1DH選択的または多選択的スペクトルの収集を含んでいる。
本発明の方法のあるいくつかの実施形態の場合、1DH核磁気共鳴スペクトルの収集は、選択的T加重全相関分光法(TOCSY)スペクトル、多選択的T加重TOCSYスペクトル、選択的T加重相関分光法(COSY)スペクトル、または多選択的T加重COSYスペクトルの収集を含んでいる。本明細書において、COSY実験は、実施例セクションにおいて実証されているように、逆位相(anti−phase)または同相(in−phase)のCOSY実験を包含しうる。
本発明の方法のあるいくつかの実施形態の場合、標準化合物は、非相互作用化合物と組み合わせて供給される。これらの方法の場合、標的分子の存在下における標準化合物の1DH核磁気共鳴スペクトルの収集は、標的分子の存在下における標準化合物および非相互作用化合物のスペクトルの収集を包含し;各テストサンプルおよび標的分子の存在下における標準化合物の1DH核磁気共鳴スペクトルの収集は、各テストサンプルおよび標的分子の存在下における標準化合物および非相互作用化合物のスペクトルの収集を包含する。
(発明の詳細な説明)
本発明は、HNMR競合結合実験の使用に関する。競合結合実験は、競合分子の存在下における標準化合物の置換を包含する。好ましくはこの標準化合物は、マイクロモル範囲内の結合親和性により、標的分子に結合する。好ましくはこのテスト化合物は、1マイクロモルよりも強い(すなわち1マイクロモル未満)(例えばナノモル範囲内の)結合親和性により標的分子に結合する。ただし、1マイクロモルよりも弱い(すなわち1マイクロモルよりも大きい)結合親和性により結合する化合物もまた、本発明の方法を用いて評価することができる。
この方法は、標的分子に対して比較的強いバインダーであるリガンドを同定するのに特に有用であるが、これは、広い範囲の結合親和性のリガンドを同定するために用いることができる。これらの比較的強いバインダーは一般的に、約1マイクロモル未満、好ましくは約500nM未満、より好ましくは約100nM未満の解離結合定数Kを有するものとして規定される。
本発明は、次の通常用いられる工程を有する標的分子と相互作用するリガンドを同定するための多様な方法を提供する。すなわち、標的分子と相互作用する標準化合物を供給する工程;標的分子の存在下に標準化合物の1DH核磁気共鳴スペクトルを収集する工程;テストサンプル(好ましくは複数のテストサンプル)であって、各々少なくとも1つのテスト化合物を含むテストサンプルを供給する工程;各テストサンプルおよび標的分子の存在下に標準化合物の1DH核磁気共鳴スペクトルを収集する工程;標的分子の存在下における標準化合物のスペクトルと、各テストサンプルおよび標的分子の存在下における標準化合物のスペクトルとを比較し、標準化合物の共鳴の1つまたはそれ以上の場合における変化を決定する工程;および標的分子と相互作用する少なくとも1つのテスト化合物を同定する工程であって、テスト化合物が標準化合物を置換する(一般的に、テスト化合物が標準化合物のものと少なくとも同程度に堅固な結合親和性を有するので、このことが結果として生じる)工程である。
一般的には、標準化合物共鳴の1つまたはそれ以上における変化は、少なくとも1つの標準共鳴における信号強度の増加を包含する。好ましくは標準化合物共鳴の1つまたはそれ以上における変化は、少なくとも1つの標準共鳴の鮮鋭化(sharpening)を包含する。
本明細書に記載されている方法のいずれかに対する最適な実験条件は、実施例セクションに記載されているように決定することができる。具体的にはこれは一般的に、比較工程における使用のための標的分子の存在下における標準化合物の1DH核磁気共鳴スペクトルの収集に先立って実施される次の工程を包含する。すなわち、標的分子の異なる濃度、または標準化合物の異なる濃度での標的分子の存在下における標準化合物の1DH核磁気共鳴スペクトルの収集工程である。収集されたこの情報は、実施例セクションに記載されているような標的分子と相互作用する少なくとも1つのテスト化合物を同定するのに最適な実験条件を決定するために用いられる。
各テストサンプルおよび標的分子の存在下に標準化合物の1DHNMRスペクトルを収集する時に、非常に多様なパルスシーケンスを用いることができる。スペクトルの効果的な比較のためには、同じ実験条件を有することが望ましい。しかしながら標的化合物および標準分子濃度は、滴定実験でのグラフがスクリーニング前に発生しているかぎり、様々に変えることができる。一般に、温度および緩衝液条件は同じであるが、その理由は、これらの実験条件の変化が、標準化合物の結合定数に影響を与えることがあるためである。
2つまたはそれ以上のテスト化合物の混合物について上に記載されている一般化方法において、少なくとも1つのテスト化合物の同定は好ましくは、各テスト化合物および標的分子の存在下における標準化合物個別の1DH核磁気共鳴スペクトルの記録を包含しうる。この後に、標的分子の存在下における標準化合物のスペクトルと、各テスト化合物および標的分子の存在下における標準化合物のスペクトルとを比較し、選択された標準化合物共鳴における変化を決定する。これらの実験のパルスシーケンスは一般に同じである。このような実験は一般的に、当業者によってデコンボリューション実験と呼ばれる。
テスト化合物および/または標準化合物の解離定数(すなわち結合親和性)は、所望であればNMR技術を用いて決定することができる。ただし、他の公知の技術も同様に用いることができる(例えば等温滴定熱量測定法)。好ましくは、標準化合物結合親和性は、等温滴定熱量測定法または蛍光分光法を用いて評価される。これらについての具体的詳細は当業者には公知であり、実施例のセクションに記載されている。
例えば1つのNMRベースの方法において、一般化された方法における上記工程に加えて、標準化合物の異なる濃度での標的分子の存在下における標準化合物の1DH核磁気共鳴スペクトルを収集することができる。その他では、またはこれに加えて、標的分子の異なる濃度での標的分子の存在下における標準化合物の1DH核磁気共鳴スペクトルを収集することができる。この情報は、これらの実施例に記載されているようなテスト化合物の解離定数を決定するために用いることができる。
本発明のこれらの方法のあるいくつかの実施形態の場合、1DH核磁気共鳴スペクトルの収集は、1DH選択的または多選択的スペクトルの収集を包含する。「選択的」とは、1つの共鳴(または周波数)のみについて言い、「多選択的」とは、1つ以上の共鳴(または周波数)について言う。選択的および多選択的縦緩和実験についてのパルスシーケンスの例は、実施例セクションに示されている。
多選択的実験において、2つの化合物が用いられる。すなわち、該受容体に結合しない対照分子、および受容体への弱〜中程度の結合親和性により相互作用する化合物である。後者は、標準または「スパイ」分子と呼ばれる。最も単純な事例では、スペクトルオーバーラップの可能性がない孤立したスペクトル領域に、一重項共鳴を有する対照分子およびスパイ分子が選択される。HSAの特殊な事例では、多くの薬品が、2つの主要結合部位の1つに結合する。すなわちサドロー(Sudlow)部位I(サブドメインIIAに位置する)およびサドロー部位II(サブドメインIIIAに位置する)である。サドロー部位Iは、集中電荷(centralized charge)を有する嵩ばったヘテロ環アニオンを収容している。例えばビリルビン、ワルファリン、および環状エイコサノイドである。サドロー部位IIは、疎水性芳香族部分、例えばジアゼパム、イブプロフェン、およびL−トリプトファン中に存在するものに結合する(T.Peters,Jr.「アルブミン生化学、遺伝学、および医薬用途についてのすべて(All about Albumin Biochemistry,Genetics,and Medical Applications)」,Academic Press,San Diego,U.S.A.、109〜114ページ(1996))。最近、組み換えHSAに結合したワルファリンのX線構造が、高解像度で解明された。ワルファリン(I)は、水性緩衝液中へのその優れた溶解性のために、およびこれがメチル基を含んでいるので、サドロー部位Iにおける結合を観察するのに良好なスパイ分子である。メチル基NMR共鳴は、2.21ppmにおける鮮鋭な一重項信号である。同様に、5−CHD、L Trp(2)が対照分子として選択されたが、その理由は、これもまた2.43ppmで鮮鋭な一重項共鳴を生じるメチル基を含んでいるためである。以前のITCおよびWaterLOGSY実験は、数百μMの濃度まで、このTrp誘導体はHSAと相互作用しないことを明らかに実証している。メチル基を含んでいる分子の選択によって、メチル基信号の高い強度による測定時間の減少が可能になる。さらにはこれによって、標準分子および対照分子の濃度を低下させ、凝集から生じる問題および非特異的結合を避けることができる。
本発明の方法のあるいくつかの実施形態の場合、1DH核磁気共鳴スペクトルの収集は、選択的T加重TOCSYスペクトル、多選択的T加重TOCSYスペクトル、選択的T加重COSYスペクトル、または多選択的T加重COSYスペクトルの収集を包含する。
これらの実験において、標準分子の多重項共鳴は選択的に励起され、その磁化は、他の共鳴へのスカラカップリングを介して伝達され、その場合、これはついでアクイジション時間の間に検出される。
オーバーラップの問題は、標準分子および対照分子が、上記基準にしたがって選択される時でさえ直面する場合がある。これは、複合化学混合物がスクリーニングされる時、および/または緩衝液または洗浄液から生じる大きいNMR信号が存在する時に発生しうる。この問題を回避するのに便利な方法は、それら多重共鳴のNMRスペクトル中の存在に応じた分子を選択することである。これらのスペクトルは、少なくとも1つの二重項共鳴を含むべきであるか、または最良な場合には、改良された感度を得るために弱くスカラカップリングされた2つのスピン系を含むべきである。観察された共鳴が、スクリーニングされた混合物の他の信号とオーバーラップする場合、スカラカップリングメカニズムを通じてこれを別の共鳴に中継することによって、その緩和特性を引き出すことも今や可能である。3つの中継プロセスは、COSYまたはTOCSYのいずれかのコヒーレント磁化移動(transfer)を用いて達成することができる。
本発明のいずれか1つの方法の精度を増すために、様々な技術を用いることができる。一般的には内部対照を用いることができる。これは、非相互作用化合物または電気的に発生したERETIC信号であってもよい。
非相互作用分子の使用に代わるものは、ERETIC方法の使用である(S.Akokaら、Anal.Chem.、71、2554−2557(1999);およびV.Silvestreら、S.Anal.Chem.、73、1862−1868(2001))。この技術は、規定された周波数、線幅、および振幅の信号の電気的発生に依存する。擬似FIDが、サンプルに由来するFIDを用いて得られる。この人工的信号の振幅は、タンパク質の不存在下に記録される標準化合物の信号の強度と匹敵するように調節される。ついでこの振幅値は、滴定およびNMR−スクリーニング実験のために用いられ、実際の信号と人工的信号との強度比が測定される。ERETIC信号の付加は、信号を標準化するための偽信号の付加と同様である。
本発明の方法のあるいくつかの実施形態の場合、標準化合物は、規定された線幅、振幅、および周波数を有するERETIC信号と組み合わせて供給される。これらの方法の場合、標的分子の存在下における標準化合物の1DH核磁気共鳴スペクトルの収集は、標的分子の存在下における、ERETIC信号を有する標準化合物のスペクトルの収集を包含し、テストサンプルおよび標的分子の存在下における標準化合物の1DH核磁気共鳴スペクトルの収集は、テストサンプルおよび標的分子の存在下における、ERETIC信号を有する標準化合物のスペクトルの収集を包含する。
本発明の方法のあるいくつかの実施形態の場合、標準化合物は、非相互作用化合物と組合わせて供給される。これらの方法の場合、標的分子の存在下における標準化合物の1DH核磁気共鳴スペクトルの収集は、標的分子の存在下における標準化合物および非相互作用化合物のスペクトルの収集を包含し、テストサンプルおよび標的分子の存在下における標準化合物の1DH核磁気共鳴スペクトルの収集は、テストサンプルおよび標的分子の存在下における標準化合物および非相互作用化合物のスペクトルの収集を包含する。このような非相互作用化合物は、これらが、評価された濃度において標的分子に結合しないという点で対照として作用する。
本発明の競合結合実験と組み合わせて、標準化合物を同定するためにWaterLOGSY方法、ならびに他の方法、例えば当業者には公知の分光アッセイまたは生化学アッセイを用いることができる。好ましくは、標準化合物は、次の工程によって同定することができる。それらは、標的分子の不存在下における潜在的標準化合物のWaterLOGSY核磁気共鳴スペクトルの収集工程;標的分子の存在下における潜在的標準化合物のWaterLOGSY核磁気共鳴スペクトルの収集工程;およびWaterLOGSYスペクトルを比較して、潜在的標準化合物が標的分子と相互作用するかどうかを同定する工程である。
WaterLOGSY方法(同様に勾配分光法Yを介して観察されたWaterリガンドとも呼ばれる)は、バルク水のプロトンから、標的分子(例えばタンパク質)と相互作用する化合物のプロトンへの磁化の移動に基づいている。WaterLOGSY技術を用いて、結合化合物は、これらの水−リガンド核オーバーハウザー効果(NOE)の反対の記号によって非バインダーから識別される。WaterLOGSY方法は、国際公報番号第WO01/23330号(2001年4月5日公開)、C.Dalvitら、J.Biomol.NMR,18、65−68(2000)、2002年6月5日に出願された本出願人の代表的併願の米国特許出願番号第60/386,896号(本特許事務所の整理番号第01168.PRO1号)に、より詳細に記載されている。
本発明の方法に用いることができる標的分子は、多様な分子、特に高分子、例えばポリペプチド(好ましくはタンパク質)、ポリヌクレオチド、有機ポリマーなどを包含する。
本明細書において用いられている「ポリヌクレオチド」は、あらゆる長さのヌクレオチドのポリマー形態、リボヌクレオチドまたはデオキシヌクレオチドのいずれかのことを言い、二本鎖および一本鎖のDNAおよびRNAの両方を包含する。ポリヌクレオチドは、コーディング領域および非コーティング領域の両方を含んでいてもよく、天然源(例えば微生物)から直接得ることができ、または組み換え、酵素、または化学技術を用いて調製することができる。ポリヌクレオチドは、トポロジーが線状または円形であってもよい。ポリヌクレオチドは例えば、ベクターの一部分、例えば発現またはクローニングベクター、または断片であってもよい。
本明細書において用いられている「ポリペプチド」とは、アミノ酸のポリマーのことを言い、アミノ酸のポリマーの特別な長さのことを言うのではない。したがって例えば、ペプチド、オリゴペプチド、タンパク質、および酵素という用語は、ポリペプチドの定義の中に含まれる。この用語はまた、ポリペプチドの発現後修飾、例えばグリコシル化、アセチル化、ホスホリル化なども包含する。
標準化合物は、十分に低い結合親和性により選択された標的分子と相互作用する化合物であり、したがってこれは、標的分子の存在下に記録されたWaterLOGSYにおける観察されやすいプラス強度信号を生じる。好ましくは弱い相互作用を行う標準化合物が用いられる。比較的弱い相互作用の標準化合物は一般的に、マイクロモル範囲内の解離結合定数Kを有する化合物として規定される。
標準化合物は好ましくは、特に、WaterLOGSYが標準化合物を同定するために用いられる時にメチル基を含んでいてもよく、その理由は、メチル基が一般的に、強いWaterLOGSY信号を呈するためである。このようなメチル基は、あまり水和されていないことが多く、その結果、遊離リガンドに対してより小さいWaterLOGSYを生じる。
標準化合物は好ましくは、本明細書に記載されている方法の場合、一重項NMR信号を示し、TOCSYおよびCOSY実験を包含する方法以外では、オーバーラップ信号の発生を減少させる。後者の実験の場合、上記のように、多重項NMR信号を生じる標準化合物が必要とされる。
評価することができるテスト化合物は、潜在的に標的に対して非常に多様な結合親和性を有する非常に多様な化合物のいずれであってもよい。有意には本発明の方法は、比較的強いバインダーである化合物を検出する能力を有する。これらの比較的強いバインダーは一般的には、約1マイクロモル未満の解離結合定数Kを有するものとして規定される。本発明の方法を用いてスクリーニングすることができる化合物には、例えば植物抽出物、菌類抽出物、他の天然産物、および小さい有機分子のライブラリーが含まれる。
本発明は、広い範囲の溶解性を有する化合物のライブラリーからリガンドをスクリーニングすることができる(これらの方法は、非常に低い溶解性を有する化合物に対して特に修正可能である)。有意かつ有利な点としては、あるいくつかの実施形態の場合、本発明は好ましくは、標的(すなわち標的分子)の比較的低い濃度、およびリガンド対標的の高い比における結合アッセイの実施を包含する。したがって本発明の好ましい実施形態によって、わずかしか溶解性がない化合物の検出が可能になる。一般的にはこれらのわずかに溶解性のある化合物は、わずか約10μMのみの水中溶解性を有する化合物である。
好ましくは各サンプル中の各テスト化合物の濃度は、わずか約100μMにすぎない。ただし所望であればより高い濃度を用いることができる。しかしながら本発明の方法の有意な点は、非常に低いリガンド濃度(例えばわずか約10μM)を用いることができるということである。より好ましくは、標的分子の濃度は約100nM〜約10μMである。
用いられるテスト化合物対標的化合物の正確な濃度および比は、標的分子のサイズ、利用可能な標的分子の量、所望の結合親和性検出限度、およびデータ収集の所望の速度に応じて変えることができる。
テスト混合物に用いられる溶媒は、標的を劣化(例えば変性)させないかぎり、多様なもののいずれであってもよい。一般的には水およびDMSOが用いられる。溶媒信号を抑制するために、適切なパルスシーケンスを有するプロトン化された溶媒を用いることができる。このような抑制シーケンスは、当業者には公知である。
所望であれば、当業者に公知のごとく、あるいくつかの利点から、他の成分(例えば緩衝液)がテスト混合物に添加されてもよい。
本発明はまた、化学混合物(すなわち2種またはそれ以上のテスト化合物の混合物)の迅速なスクリーニングに対して有用な用途を見出すことができるであろう。迅速なスクリーニング技術は一般的には、複数のテストサンプルの供給を必要とする。各テストサンプルは、2つまたはそれ以上のテスト化合物の混合物を含み、ひとたびリガンド(好ましくは高い親和性のリガンド)が同定され、確認されたら、その構造は、活性または親和性についてアッセイされることになる類似構造を有する利用可能な化合物を同定するため、または活性または親和性についてアッセイされることになる構造的に関連した化合物の合成を方向付けるために用いられる。ついでこれらの化合物は、在庫品から入手されるか、または合成される。最も多くの場合、これらはついで酵素アッセイを用いて活性についてアッセイされる。分子標的が酵素でない場合、または利用可能な酵素アッセイを有していない場合、これらの化合物は、上記のものと類似のNMR技術を用いて、または他の物理的方法、例えば等温変性熱量測定法により親和性についてアッセイすることができる。約1.0×10−6Mまたはそれ以上の分子標的への親和性を有する、この工程で同定された化合物は一般的に、リード化学鋳型と考えられる。
cryoprobe技術はさらに、このスクリーニングプロセスの処理能力を強化することができるであろう。この場合、制限的な要因は、サンプルを変え、サンプル温度を平衡させ、サンプルのシム調整に必要とされる時間であろう。
いくつかの例では、リガンド結合はさらに、より複雑なNMR実験、または他の物理的方法、例えば熱量測定法またはX線結晶法を用いて調べられる。
(実施例)
この発明の目的および利点は、次の実施例によってさらに例証されるが、それらの実施例に挙げられた特定の材料およびこれらの量、ならびに他の条件および詳細は、この発明を極端に制限するものと解釈されるべきではない。
(実施例I)
実験プロトコル
脂肪酸を含まないヒト血清アルブミン(A−3782)をシグマ(Sigma)から購入し、それ以上の精製を行わずに使用した。セリン/トレオニンp21−活性化キナーゼのキナーゼドメインMW〜34000を、E.Coli中GST融合タンパク質として発現させ、GSTタグの除去後に均質に至るまで精製した。スクロース(S7903)およびL−Trp(T0254)をシグマから購入し、5−CH−D,L−Trp(69560)を、フルカ(Fluka)から購入した。ジアゼパムをイタリアのカルロエルバ(CarloErba,Italy)から購入した。
NMRサンプルは、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)pH7.4中のものであった。DOを、ロック信号(lock signal)のための溶液(8%最終濃度)に添加した。小さい分子を、重水素化DMSO中濃縮保存溶液中で調製し、253Kで保存した。
NMR測定.すべてのスペクトルを、293Kにおいて、5mm三重共鳴逆プローブ(inverse probe)を備えたバリアン・イノーバ(Varian Inova)600MHzNMR分光計およびサンプル・マネジメント・システム(SMS)オートサンプラーを用いて記録した。すべての実験におけるwater suppressionは、excitation sculptingシーケンスを用いて達成された(T.−L.Hwangら、J.Magn.Reson.A、112、275−279(1995))。2つの水選択的180°正方形パルスおよびこの図式の4つのPFGは、それぞれ持続時間が2.6および1msであった。勾配回復時間は0.25ミリ秒(ms)であった。データは、7407Hzの掃引幅、0.82秒(s)のアクイジション時間、および2.82秒の緩和遅延で収集された。R1,S実験の場合、緩和遅延は、磁化の完全緩和を達成するために、5.82〜10.82秒であった。共鳴選択的反転は、24ms持続時間180°ガウスパルスで達成された。
ITC実験.熱量測定は、VP−ITC滴定熱量測定計(マイクロカル(MicroCal))を用いて実施された。希釈熱は、ブランク滴定において、特定の実験で用いられる緩衝液中にタンパク質を注入して測定され、結合熱から引いた。熱力学的パラメーターは、オリジン(Origin)ソフトウエア・パッケージ(米国マイクロカル)に含まれている所定の作業を用いて、非線形最小2乗方法によって決定された。
結果および考察
第一工程は、標的に対して中〜低親和性を有する標準化合物を同定することである。これを実施するために、非常に溶解性の高いよく特徴付けられた数百の分子を含んでいる小さいライブラリーを、WaterLOGSY方法を用いてスクリーニングする(C.Dalvitら、J.Biomol.NMR、18、65−68(2000);およびC.Dalvitら、J.Biomol.NMR、21、349−359(2000))。同定されたバインダーはその後、これらの結合定数を決定するために、等温滴定熱量測定法(ITC)実験を用いて調べる。これら化合物のうちの1つを、その結合定数に基づいて、その後の競合結合実験のための標準化合物として選択する。ついでNMRベースのHTSを、横緩和または縦緩和実験のいずれかを用いて実施することができる。
横緩和
図1は、セリン/トレオニンp21−活性化キナーゼの不存在下および存在下における、選択された化合物の拡張スペクトル領域を示している。WaterLOGSYで同定された分子は、ITC測定から計算された場合、7.1μMのKを有する(図2参照)。タンパク質の存在下におけるリガンドの共鳴について観察された横緩和速度定数(R2,obs=FWHHπ)は、次の等式によって与えられる(L.Y.Lianら、「高分子のNMR(NMR of Macromolecules)」(G.C.K.Roberts,Ed.)Oxford University Press,pp.153−182(1993):
Figure 2005529328

(式中、[EL]は、結合リガンドの濃度であり、[LTOT]は、総リガンド濃度であり、R2,boundおよびR2,freeは、それぞれ結合および遊離状態におけるリガンドについての横緩和速度定数であり、δboundおよびδfreeは、それぞれ結合および遊離状態におけるリガンドの共鳴についての化学シフトであり、1/Kは、タンパク質に結合したリガンドの滞留時間である。リガンド共鳴の広域化に及ぶ増加が、タンパク質の存在下におけるリガンドのスペクトル中に観察される(図1a参照)。タンパク質の不存在下におけるリガンドのスペクトル中の最も鮮鋭な共鳴を表わし、7.13ppmにおける共鳴(図1b)は、タンパク質の存在下における有意な広域化を示す(図1a)。広範囲な拡大は、等式(1)の第三項の寄与の結果により生じる。この化合物は、キナーゼのATP結合ポケットにおいて結合する。この錯体のX線構造は、このリガンドプロトンのフェニルアラニンとの緊密な近接性を明らかにしている。したがって化学シフト差δfree−δboundは、このプロトン共鳴の場合大きいと予想される。交換項は、その他の共鳴のR2,obsに対して有意に寄与していない。
次の工程は、異なるリガンド濃度および固定タンパク質濃度、または異なるタンパク質濃度および固定リガンド濃度におけるNMRスペクトルの収集である。標準化合物が高濃度で可溶性でない時、およびこの分子が高濃度で部分的に集団化(populated)を開始する第二低親和性結合部位を有する時、後者が好ましい。図3は、総リガンド濃度および比[EL/LTOT]の関数としてのリガンドのスペクトルを示している。この比は、ITCに由来するリガンドK、およびこの等式にしたがって実験に用いられている総タンパク質[ETOT]および総リガンド[LTOT]濃度を知ることによって計算することができる(L.Y.Lianら、「高分子のNMR」(G.C.K.Roberts,Ed.)Oxford University Press,pp.153−182(1993);およびA.Fersht、「酵素構造およびメカニズム(Enzyme Structure and Mechanism)」、W.H.Freeman and Company,New York,ページ98−120(1985)):
Figure 2005529328

低い[EL]/[LTOT]において、NMRスペクトルは、タンパク質の不存在下におけるリガンドのスペクトルに近づいてゆく。7.13ppmにおける共鳴の測定された線幅、または図4に示されているようにより精密な測定である、7.13ppmにおける共鳴を別のリガンド共鳴によって割った信号強度比が、[EL]/[LTOT]の関数としてプロットされている。ついで同定されたNMRヒット(NMR hit)の解離結合定数の近似値を引き出すために、フィッティング関数(fitting function)が用いられる。
標準分子と競合する分子の化学混合物中での存在の結果として、[EL]の減少を生じるであろう。このことは図5から理解することができる。これは、7つの化合物の化学混合物の存在下における標準分子のNMRスペクトル示している。7.13ppmにおける共鳴の有意な鮮鋭化は、この混合物中の高親和性リガンドの存在を明らかにする。標準化合物の存在下に実施されたデコンボリューションは、図5に示されているように、高親和性リガンドの同定を可能にする。標準分子濃度を5倍超えているにもかかわらず、NMR−同定された高親和性分子は、受容体からの標準分子のほぼ完全な置換を引起こす。したがって高親和性リガンドについて解離結合定数のおよその評価を得るためであって、単に下限を得るためでなく、NMRヒットのさらに一層低い濃度を用いてさえ、追加の実験を記録する必要がある。これら2つの標準分子共鳴の信号強度比、またはこれらのスペクトルから測定された7.13ppmにおける共鳴の線幅は、図4の適合する関数から値[EL]/[LTOT]を計算するための入力値として用いられる。NMRスクリーニング競合結合実験に用いられた[LTOT]を知ることによって、競合分子の存在下における標準化合物についての[EL]を計算することができる。[LTOT]、[EL]、および[ETOT]が既知のものであれば、次の等式にしたがって標準化合物の見掛けの解離結合定数K appを決定することができる:
Figure 2005529328

単純競合的メカニズムの概算において、K appはついで、次の等式にしたがってNMR−同定リガンドの結合定数Kを引き出すために用いられる:
Figure 2005529328

(式中、[I]は、競合分子の濃度である)。表1は、nM〜μMの範囲の結合定数を有する2つの異なる化合物についてこの方法を用いて得られたKを示している。
Figure 2005529328

NMR−由来結合定数とITC−測定結合定数との間の良好な定性的一致は、非常に有望である。NMR−由来値は、一点測定から得られることを指摘すべきであろう。ここで提案されている方法の利点は、[I]の濃度の決定を可能にするという点である。このような課題は、正確な濃度が知られている標準分子の共鳴の積分と、競合分子の共鳴の積分とを単に比較することによって達成される。これは、結合定数として有意な値を得るために重要である。分子の低い溶解性または低い純度のいずれかによる、競合分子の有効濃度の誤差は、結果として結合定数の決定における大きい誤差を生じるであろう。
ここに記載されている例は、幸運な事例を表わしうるが、その理由は、600MHzにおける1つのリガンド共鳴が、いわゆる中間交換領域(intermediate exchange regime)にあるためである。より強い磁場における作業は有利でありうるが、その理由は、等式(1)の第三項(term)がより大きくなり、したがって多くの潜在的標準分子が、中間交換領域において少なくとも1つの共鳴を示しうるためである。しかしながら交換項が線幅に有意に寄与しない時でさえ、同様な競合結合実験を行うことが可能である。この場合、標準化合物のR2,obsは、異なる[LTOT]または[ETOT]で、カー・パーセル・メイボム・ギル(Carr Purcell Meibom Gill)(CPMG)パルスシーケンス(S.Meibomら、Rev.Sci.Instrum、29、688(1958))を用いて測定される。測定されたR値、または一方がRフィルターを用いずに記録された実験、および他方が長いCPMGを用いて記録された実験の2つの実験における共鳴の信号強度比が、ついで図4のグラフと同様な方法で[EL]/[LTOT]に対してプロットされる。Rの減少の程度または競合分子の存在下における標準化合物についての信号強度比の変化によって、阻害剤の結合係数のおよその値を引き出すことができる。ここに記載されているこの方法は、リガンドの結合状態および遊離状態についてのRの差が大きい場合、SLAPSTIC実験(W.Jahnkeら、J.Am.Chem.Soc.123、3149(2001))において非常に感度が高いものであるべきである。競合結合実験とともに用いることができる他の方法は、単一または多選択的R実験(90°−τ−G−180°sel−G−τ−water suppression)および1D選択的TOCSYである。Gは、同じ強度の勾配であり、180°selは、標準化合物共鳴の化学シフトにおいて適用された単一または多選択的反転パルスである。一般的には2つのスペクトルが記録される。すなわち、1つがτ=0を有するもの、もう1つが長いτ期間を有するものである。これら2つのスペクトルから引き出された信号の強度比は、滴定測定のため、および上記のようなスクリーニングプロセスのために用いられる。この研究に用いられた系の場合、単一スピン−エコー期間、および7.13および6.65ppmにおける2つの共鳴の二重選択的反転での選択的R実験を記録することで十分であった。激しいオーバーラップの場合、1D選択的TOCSYも用いることができる。しかしながら、標準化合物がスカラカップリングされたスピン系を含んでいる場合のみ、これは適用可能である。選択的励起は、選択的R実験に用いられている場合と同じ図式を用いて達成される。2つの実験は、固定スピン−ロック期間を用いて、上記のように記録される。
同様な方法であるが、選択的Rを用いる方法が、次の実施例において示される。
縦緩和
高分子と弱い相互作用を行う分子の観察された縦緩和率R1,obsは、次の等式によって与えられる(G.Valensinら、J.Magn.Reson.46、23−29(1982)):
Figure 2005529328

(式中、R1,boundおよびR1,freeは、それぞれ結合状態および遊離状態におけるリガンドについての縦緩和速度定数である)。
非選択的Rは、τへの直接依存(すなわち回転相関時間(tumbling correlation time))を欠いており、したがって結合事象の観察には適していない。選択的R(R1,s)は、高分子と相互作用する小さい分子の同定に必要な直接的τ依存性を含んでいる(G.Valensinら、「薬品研究におけるNMR分光法(NMR Spectroscopy in Drug Research)」、J.W.Jaroszewski、K.Schaumburg、H.Kofod、Eds.p.409、Munksgaard、Copenhagen(1988);E.Gaggelliら、Magn.Reson.Chem.30、461(1992);C.Rossiら、Chem.Phys.Lett.264、205−209(1997);C.Rossiら、Chem.Phys.Lett.、310、495−500(1999);C.Rossiら、Magn.Reson.Chem.39、457−462(2001);およびG.Vegliaら、J.Magn.Reson.、130、281−286(1998))。
1,s実験は、リガンドの1つの共鳴の選択的反転を必要とする。この技術は、既知のリガンドの結合を特徴付けるために用いられてきた。これらの実験は、化学的に多様な化合物の大きいライブラリーに対して選択性を達成するという問題のために、NMRスクリーニングに用いられてこなかったが、これらは競合結合実験を用いたHTSNMRスクリーニングの実施に特に適している。これらの実験において、標準分子の同じ共鳴を常に選択的に反転させるだけで十分である。標準分子がタンパク質に比べて過剰であり、この分子が弱〜中程度の親和性のリガンドであるという事実によって、リガンド共鳴の観察された化学シフトは、遊離リガンドの化学シフトに対応する。これによって、選択的反転に対して同じ励起周波数を用いて、自動モードにおける実験を得ることができる。実験での最大限の感度のために、選択的に反転されることになる共鳴は、遊離および結合状態におけるR1,sの最大の差を示すリガンド共鳴から選択されるべきである。可能な場合には、より大きい強度、およびオーバーラップ問題の減少を得るために、一重項が好ましい。オーバーラップの存在下でさえ、RおよびR1,s実験の両方において、リガンドを検出することが可能である。これらの特別な事例では、標準化合物の不存在下における混合物についても同じ実験を記録する必要がある。標準化合物の存在下および不存在下におけるスペクトルを差し引くことによって、リガンドの存在または不存在を確認することができる。
滴定実験は、タンパク質濃度を固定したまま、標準化合物濃度を変えることによって、またはリガンド濃度を固定したまま、タンパク質濃度を変えることによって実施される。
この実施例に用いられる系は、ヒト血清アルブミン(HSA)であり、標準化合物はトリプトファン(Trp)である。内生Trpおよび他のTrp誘導体は、HSAのサドロー部位II上に結合する(T.Peters,Jr.「アルブミン生化学、遺伝学、および医薬用途についてのすべて」、Academic Press,San Diego,U.S.A.ページ109−111(1996))。治療薬、例えばナプロキセン、ジアゼパム、およびイブプロフェンも、サドロー部位II上のHSAに結合する(T.Peters,Jr.「アルブミン生化学、遺伝学、および医薬用途についてのすべて」、Academic Press,San Diego,U.S.A.ページ113−114(1996);およびU.Kragh−Hansen,Biochem.J.、273、641−644(1991))。
HSAの不存在下および存在下におけるTrpのC2−H共鳴についてのR1,s測定が、図6に示されている。タンパク質の存在下に、R1,sは大きくなる。
[EL]/[LTOT]の関数としてプロットすることができる観察可能な実験は、(i)単一τ値(選択的180°パルスと検出が難しい90°パルスとの間の時間)を用いて記録されたR1,s実験における反転共鳴と非反転共鳴との強度比、または(ii)図7に示されているような2つの異なるτ値を用いて記録された2つのR1,s実験における反転共鳴の強度比である。より良好な感度を得るために、磁化は、第一τ値の場合にマイナスで、第二τ値の場合にプラスでなければならない。さらにはこれらのτ値は、最大の強度差が図6のスペクトル(a)と(b)との間で観察される時間領域において選択されるべきである。この時間領域は、図8に示されている単純なシミュレーションから導き出すことができる。R1,sフィルター実験として規定される(i)および(ii)の利点は、R1,s値を測定する必要がないので、迅速なデータ収集が可能なことである。
図7は、固定100μM濃度および10〜0μMの異なるHSA濃度において、トリプトファンを用いて実施された滴定実験を示している。これらの図表は、τ=0.48および1.91秒(図7の上のトレース)で記録された2つの実験におけるC2−H共鳴の信号強度比、および結合リガンドのフラクションの関数として、τ=1.91秒(図7の下のトレース)で記録された実験における反転C2−H共鳴と非反転C4−H共鳴との信号強度比について記載している。
多くの実験点を得ることによってR1,s率を測定することも可能であろう(G.Valensinら、J.Magn.Reson.、46、23−29(1982);およびC.Rossiら、Chem.Phys.Lett.264、205−209(1997))。しかしながらこれらの測定は、かなり長くかかるため、迅速なスクリーニング方法としては適切でない。オーバーラップの場合、スパイ分子の多重項共鳴を選択的に反転させ、ついでR1,sフィルターに選択的TOCSY工程を追加することで十分である。この工程は、遅延τ後に多重項共鳴の選択的励起を用いて実施され、ついで非選択的または二重選択的(B.Boulatら、J.Am.Chem.Soc.,114、5412−5414(1992))等核ハートマン−ハーン移動(Hartmann−Hahn transfer)が行われる。
スクリーニングは、上記のような単一τ値または2つのτ値で記録されたR1,sフィルター実験を用いて実施される。最大限の感度を得るために、この遅延は、図8に示されているように、最大強度差が観察される1つまたは複数のτ値に対応すべきである。迅速な目視検査を行うために、ゼロ点(すなわち1−2exp(−τR1,s)=0)に対応するτ値も、図9に示されているように選択することができる。競合分子の化学混合物中の存在は結果として、残留マイナス信号を有するR1,sフィルタースペクトルを生じるであろう(図9b)(すなわち、標準化合物のR1,sは、タンパク質からの標準化合物の一部置換のために、より小さい)。
標準分子の存在下に同じR1,sフィルター実験を用いて実施された混合物のデコンボリューションは、ジアゼパムをTrpと競合する分子として同定した(図9d)。
標準スペクトルのみを含んでいるスペクトルからこの混合物のR1,sスペクトルを差し引くことによって、スクリーニングされた混合物のNMRスペクトルの複雑さを減少させることができる。その結果生じたスペクトル(図示されていない)は、この混合物を含む分子の信号、およびTrpのC2−H共鳴についてのマイナス信号のみを含んでいる。標準化合物のその他の信号およびタンパク質の信号は存在しない。この方法は、上記の横緩和実験においても適用することができる。
図7のグラフを用いて、および横緩和実験について記載された同じ手順にしたがって、表2に報告されている競合分子の結合定数を評価することができる。
Figure 2005529328

ジアゼパムについてのNMRに由来する結合定数は、文献(U.Kragh−Hansen、Biochem、J.、273、641−644(1991))において報告されている平衡透析によって測定された値と、大きさが非常に似ているが、幾分さらに大きい。この小さな差はおそらく、Trpについての低親和性第二結合部位の存在によるものと考えることができる。20℃の場合のこの部位への親和性は、NMRによって以前に測定されたように数百μM程度のものである。インドール−3−酢酸についても同様な発見事項が観察された(データは示されていない)。このような問題があるにもかかわらず、NMRスクリーニング実験から迅速に導き出されるこれらの値は、薬品発見の初期段階における目的の大部分に役立つ。
結合定数を正確に測定するためにより適した他の技術も、その場合、NMR−同定リガンドの結合動力学を詳細に特徴付けるために用いることができる。R1,s競合結合実験の欠点は、同じタンパク質結合部位についての標準分子と競合する分子しか検出できない点である。これに対して、Rおよび競合WaterLOGSY実験も、異なる部位において結合する弱〜中程度の親和性のリガンドの検出を可能にする。このことは、混合物を含んでいる化合物の濃度が標準分子の濃度に匹敵しうる場合のみ、明らかに有効である。
この技術はまた、リード分子をHSAへのこれらの親和性について迅速にランク付けするためにも用いることができる。マトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)の阻害剤を同定することを目的とする製薬プロジェクトにおいて、規定された化学種の1つのリード分子の血漿中の存在が、結果としてHSAからの内生トリプトファンの置換を生じたことがNMRによって発見された。これは、この化学種の化合物がHSAのサドロー部位II上で結合している強力な証拠である。これらの発見によって刺激され、トリプトファンをスパイ分子として用いる選択的縦(R1,s)競合結合実験が実施された。これらの実験はまた、HSA上の2つの異なる部位に結合する2つの標準化合物の使用とともに実施することもできるであろうことを指摘すべきであろう。この場合、多選択的R1,s競合結合実験を記録することで十分であろう。
HSAについてのR1,sフィルター競合結合実験のために選択された実験条件は、図7の図表上の右の最後から2番目の点に対応していた。すなわち、それぞれ100μMおよび8μMのTrpおよびHSAについての濃度である。図10(b、c)は、同じ化学種の2つの異なる分子に対して実施された2つのR1,sフィルター競合結合実験を示している。Trpのみについて記録された同じスペクトルが、図10aに示されている。これら2つの分子は、MMP受容体に対して同様な阻害可能性を有し、両方がリード分子である。これらのスペクトルから、これら2つの分子が、HSA上のサドロー部位IIへの実質的に異なる親和性を有することは明らかである。このことは、HSAから置換されたTrpの量の相違から推論される。τ=0.96sにおいて、C2−H信号は、Trp単独についてゼロ点にあり、化合物Cの存在下ではわずかにマイナスを示し、化合物Dの存在下では強いマイナスを示す。Tの延長は、図7の図表によれば、HSAに結合したTrpのフラクションの減少を反映している。競合分子の存在下における結合Trpのフラクションを導き出すために、図7の図表が用いられる。[LTOT]、[EL]、および[ETOT]が既知の場合、上記等式(3)にしたがって、Trpの見掛けの解離結合定数K appを決定することができる。
単純な競合的メカニズムの概算において、ついでKが、上記等式(4)にしたがってNMR同定リガンドの結合定数Kを引き出すために用いられる。
一般的には結合定数は、競合分子について2つの異なる濃度で測定された。単純な競合メカニズムにおいて、2つの異なる濃度で測定されたKは、同じであろう。
図11は、MMPプロジェクトの7つのリード分子について、τ=0.96秒で記録されたR1,sフィルター実験を示している。化合物は、これらの結合親和性にしたがってランク付けされる。左側の第一実験は、Trp単独での対照実験に対応する。これらの分子の濃度がすべての実験において同じである時、C2−H Trpのマイナス信号の絶対強度は、HSAについての競合分子の親和性と正比例する。HSAについての最も強力なリガンドは、図面の最も右側にある。この方法を用いて導き出された結合定数、およびそれぞれ0.7mMおよび100μMの血漿中のHSAおよび化合物濃度の仮定における、HSAに結合したリガンドのパーセンテージが報告されている。
最近、HSA/リガンド複合体に関する結合データおよび構造情報を得るためのNMR法が示された(H.Maoら、J.Am.Chem.Soc.、43、10429−10435(2001))。この技術では、同位体標識HSA−IIIドメインを利用し、二次元15N/H HSQCスペクトルを用いてこれらの結合事象を検出する。結合定数は、リガンド濃度の関数としてのタンパク質バックボーンアミド信号の化学シフト変化を観察することによって測定される。両方の方法は、結合定数について信頼性の高い値を提供する。この方法は、同位体標識HSAを必要とせず、少量のHSAを必要とするだけであり、これは全長タンパク質に適用される。
(実施例II)
実験プロトコル
脂肪酸を含まないヒト血清アルブミン(A−3782)を、シグマから購入し、それ以上の精製を行わずに使用した。NMRサンプルは、5μM EDTAの存在下、リン酸緩衝生理食塩水(PBS、コード:P−3813、シグマのロット番号100K8211)pH7.4中のものであった。DOを、ロック信号のための溶液(8%最終濃度)に添加した。小さい分子を、重水素化DMSOまたは水中の濃縮保存溶液中で調製し、253Kで保存した。
NMR.すべてのNMRスペクトルを、300Kにおいて、3チャネル逆プローブを備えたブルカー・アヴァンス(Bruker Avance)600MHzNMR分光計を用いて記録した。すべての実験におけるwater suppressionは、excitation sculptingシーケンスを用いて達成した(T.−L.Hwangら、J.Magn.Reson.A、112、275−279(1995))。2つの水選択的180°スクエアパルス(square pulse)およびこのwater suppression図式の4つのパルス場勾配の持続時間は、それぞれ2.7と1msであった。勾配回復時間は200μsの長さであった。多選択的実験が、持続時間25msのガウス180°シフト層パルス(SLP)(J.Boydら、J.Magn.Reson.、85、406(1989);およびS.L.Patt,J.Magn.Reson.、96、94(1992))を用いて実施された。データは、11.97ppmの掃引幅および0.84秒のアクイジション時間で収集された。
蛍光.アルブミン親和性は、以前に記載されている方法を用いて決定された(D.E.Eppsら、Anal.Biochem.227、342−350(1995))。蛍光測定値は、励起ビームに対して垂直に配置された補助光電子倍増管を用いて、ジャスコ(Jasco)J−715分光偏光計上で得られた。励起波長は310nm(5nmバンド幅)であり、385nmカットオフフィルターが用いられた。NMR実験に用いられた場合と同じ脂肪酸を含まないHSA源を用いて、親和性測定が行われた。検体およびHSA溶液は、5μMEDTAの存在下、リン酸緩衝生理食塩水(PBS、コード:P−3813、シグマからのロット100K8211)pH7.4中で調製された。緩衝液は、使用前に0.2μmフィルターを通して濾過された。アルブミン親和性は、経路長1.0cmの石英キュベット中に検体3.0μM溶液2.0mLをアリコートし、この溶液をHSA(250μMの保存(stock)濃度)で滴定することによって決定した。蛍光の変化は、各々の注入、および次の等式にしたがって適合させた結果の結合等温線とともに記録した:
Figure 2005529328

(式中、Fは測定された蛍光であり、αおよびβは比例定数であり、Wは当初リガンド濃度であり、Bはアルブミン濃度であり、Kは平衡解離定数である)。データは、Origin7.0ソフトウエア(マサチューセッツ州ノーサンプトンのオリジンラブ社(OriginLab Co.,Northampton,MA))において入手しうる非線形最小2乗方法を用いて適合させた。すべてのパラメーターは、適合手順の間変動することが可能となった。ただし検体の濃度は、3.0μMに保持された。滴定は反復され、報告された親和性は、これら2つの滴定の平均である。
ITC.マイクロカル(マサチューセッツ州ノーサンプトン)からのオメガ(OMEGA)滴定マイクロ熱量測定計を用いて、等温滴定熱量測定実験が実施された。この滴定マイクロ熱量測定計は、サンプルと、断熱閉鎖容器中に保持された標準セルとから構成されていた。標準セルは、PBSで満たされた。PBS+5μM EDTA中のHSAの30μM溶液を、1.37mLサンプルセル中に入れた。同じ緩衝液中0.7mMでの検体を、250μLシリンジ中に保持した。コンピュータ制御のステッピングモーターにより、37℃に保持されたサンプルセル中へ検体の30注入(各々6μL)が行われた。シリンジ攪拌率は、400rpmであった。各注入で吸着または放出された熱は、マイクロカルナノボルトプリアンプに連結された熱電素子によって測定された。結合相互作用についての滴定等温線は、各注入についての示差熱流量(differential heat flow)で成立していた。PBS中へ検体の注入によって得られた希釈熱は無視しうるものであった。結合等温線は、この器具に付属している反復非線形最小2乗アルゴリズムを用いて、単一結合部位モデルに適合させた(B.Lounら、Anal.Chem.66、3814−3822(1994))。
結果および考察
対照およびスパイ分子の選定
2つの分子が、多選択的実験において検出される。該受容体に結合しない対照分子、および受容体に対して弱〜中程度の結合親和性により相互作用する化合物である(B.J.Stockmanら、Progr.Nucl.Magn.Res.Spec.41、187−231(2002);A.H.Siriwardenaら、Angew.Chem.Int.Ed.、41、3454−3457(2002);およびC.Dalvitら、Comb.Chem.HTS、5、605−611(2002))。後者は、標準または「スパイ」分子と呼ばれる。この最も単純な事例では、スペクトルオーバーラップの可能性がない隔離されたスペクトル領域に一重項共鳴を有する対照およびスパイ分子が選択される。
HSAの特定の事例では、多くの薬品が、次の2つの主要結合部位の1つに結合する。すなわちサドロー部位I(サブドメインIIAに位置する)およびサドロー部位II(サブドメインIIIAに位置する)である(T.Peters,Jr.「アルブミン生化学、遺伝学、および医薬用途についてのすべて」,Academic Press,San Diego,U.S.A.(1996))。サドロー部位Iは、集中電荷を有する嵩ばったヘテロ環アニオンを収容している。例えばビリルビン、ワルファリン、および環状エイコサノイドである。サドロー部位IIは、疎水性芳香族部分、例えばジアゼパム、イブプロフェン、およびL−トリプトファン中に存在するものに結合する。最近、組み換えHSAに結合したワルファリンのX線構造が、高解像度で解明された(I.Petitpasら、J.Biol.Chem.276、22804−22809(2001))。この研究において、ワルファリン(I)は、水性緩衝液中へのその優れた溶解性を有し、メチル基を含んでいることから、サドロー部位Iにおける結合を観察するためのスパイ分子として選択された。メチル基NMR共鳴は、2.21ppmにおける鮮鋭な一重項信号である。同様に、5−CHD、L Trp(2)が、対照分子として選択されたが、その理由もまた2.43ppmで鮮鋭な一重項共鳴を生じるメチル基を含んでいるためである。以前のITCおよびWaterLOGSY実験では、このTrp誘導体は、HSAとは数百μMの濃度まで相互作用を呈しないことを明らかに実証した(C.Dalvitら、J.Med.Chem.45、2610−2614(2002))。メチル基を含んでいる分子の選択によって、メチル基信号の高い強度による測定時間の減少を可能にする。さらにはこれによって、標準分子および対照分子の濃度を低下させることができ、このようにして凝集から生じる問題および非特異的結合を避けることができる。
多選択的NMR実験
対照分子およびスパイ分子を選択した後、多選択的HNMRスペクトルが、タンパク質濃度の関数として実施される(C.Dalvitら、J.Am.Chem.Soc.,124、7702−7709(2002);C.Dalvitら、Comb.Chem.HTS、5、645−650(2002);および上記実施例(I))。この滴定は、その後のNMRベースのスクリーニング実験およびNMRヒットの結合定数を導き出すために最適な条件を特定するために必要となる。図12は、二重選択的Rフィルター実験で得られた滴定実験を示している。このスペクトルは、これら2つの分子のメチル共鳴の同時選択的反転および0.4秒のフィルター遅延を用いて記録された。これら2つの分子の濃度は同じ(25μM)であるが、ワルファリンの信号は、タンパク質の不存在下に記録されたスペクトルにおいてさらにマイナスであるように思われる(図12左)。このことは、Trp誘導体メチル基(0.77s−1)と比較してワルファリンメチル基(0.50s−1)のより長い選択的Rによって引起こされる。緩和におけるこの差は、これら2つの分子のメチル基の近くにおける異なるプロトン密度によって容易に説明することができる。図12に示されているように、5−CHTrp信号は、タンパク質に結合しないためで、タンパク質濃度の関数となる強度を変化させることがなく、そのためこれは内部標準を表わす。これに対して信号の弱化は、タンパク質濃度の増加とともにワルファリン共鳴について観察される。
この方法における次の工程は、スパイ分子の結合定数の測定を必要とする(C.Dalvitら、J.Am.Chem.Soc.,124、7702−7709(2002);C.Dalvitら、Comb.Chem.HTS、5、645−650(2002);および上記実施例(I))。これはITCまたは蛍光分光法を用いて実施される。ワルファリンは、非極性環境において数倍強化される極性溶媒中に固有蛍光を有する。このような環境変化は、ワルファリンが、アルブミンの比較的疎水性のポケットに結合する時に発生する。図13は、ナトリウムワルファリンおよびその類似体4−ヒドロキシ−3−[1−(p−ヨードフェニル)−3−オキソブチル]クマリン(4)のHSA滴定について得られた結合等温線、ついで蛍光の変化を示している。当初、検体がアルブミンと結合する時、蛍光の大きな増加を示した。この上昇は、結合部位が飽和するにつれて次第に水平状態に達した。このデータは、実験点と実線によって表わされる理論的適合との間の良好な一致によって証明されているように、材料および方法のセクションに記載されている結合等式によく適合した。これらの滴定が反復され、平均平衡結合定数は、ナトリウムワルファリンの場合6.1±0.3μM、化合物(4)の場合3.3±0.3μMであると決定された。
結合ワルファリンのフラクションの関数としてのRフィルター実験における2つの分子メチル共鳴のNMR信号強度比のプロットが、ついで図14(a)に示されているように構成される。結合ワルファリンのフラクションは、既に説明されているような蛍光測定から得られたK値から計算される(C.Dalvitら、J.Am.Chem.Soc.,124、7702−7709(2002);C.Dalvitら、Comb.Chem.HTS、5、645−650(2002);および上記実施例(I))。図14(b)は、256msの全期間(64msの4サイクル)で記録されたスピン−エコーフィルター実験において測定された同じ信号強度比を図解している。これら2つのグラフは、結合リガンドのフラクションの関数として同じ単調な傾向を示している。しかしながら、より高いタンパク質濃度(2.5μM)で記録された実験において差が見られる。このことは、高いタンパク質濃度ではスピン−エコー実験におけるワルファリン共鳴信号が、漸近線0値に近づくという事実から生じる。
ついでスクリーニングは、図14のプロットにしたがって最適実験条件を選択することによって実施される。このことは、図15のスペクトルに示されている。ここでは、スピン−エコーおよび二重選択的Rフィルター実験における2つの共鳴が、HSA上の同じ結合部位についてワルファリンと競合する化合物の化学混合物中の存在について観察される。トルブタミド(3)、すなわちHSAに結合することが知られている分子(K.J.Fehskeら、Mol.Pharmacology、21、387−393(1982))は、図15(中央)に示されているように、ワルファリンを一部置換する。既に記載されている場合と同じ手順にしたがい、図14のグラフを用いて、競合分子の結合定数を決定することができる。リガンドは多くの場合、異なる結合定数を有するHSA上の多重結合部位を示すことを指摘すべきであろう。すなわち一般的には高い結合親和性のもの、および低い結合親和性のものである。したがってNMR由来結合定数は、近似値を示すであろう。この不確実性にもかかわらず、この方法は、HSA上の特異的部位に対するこれらの結合親和性について、規定された化学種の化合物をランク付けするための迅速かつ信頼しうるツールを提供する。この方法を用いて測定された2つの分子(3)および(4)についてのKは、ITCまたは蛍光測定から得られた対応値とともに表3に報告されている。トルブタミド(3)は、アルブミンに結合するにつれて増加する固有蛍光を示したが、結合等温線は、添加されたHSAより10倍過剰な小さい程度の曲率のみを示した。したがって結合定数決定における誤差は大きかった。ついで等温滴定熱量測定が、HSAに対するトルブタミドの結合親和性を決定するために用いられ、その結果として26±13μMのKを生じた。Rフィルターおよびスピン−エコー競合実験から導き出されたK値は、非常に類似している。さらには、一点NMR由来K値と、完全滴定ITCおよび蛍光測定から得られたK値との間に良好な一致が見られる。この一致は、アロステリック効果があるという条件で、純粋競合結合メカニズムについてのみ明確に得ることが可能である。
Figure 2005529328

多選択的一次元COSYおよびTOCSY実験
オーバーラップの問題には、標準および対照分子が上記基準にしたがって選択される時でさえ直面する可能性がある。これは、複合化学混合物がスクリーニングされる時、および/または緩衝液または洗浄液から生じる大きいNMR信号が存在する時に発生しうる。この問題を回避するのに都合のよい方法は、多重項共鳴のこれらNMRスペクトル中の存在による分子の選択である。このスペクトルは、少なくとも1つの二重項共鳴、または最良の場合、改良された感度を得るために弱くスカラカップリングされた2つのスピン系を含むべきである。観察された共鳴が、スクリーニングされた混合物の他の信号と重なり合う場合、スカラカップリングメカニズムを通じてこれを別の共鳴に中継することによって、その緩和特性を引き出すことも今や可能である(B.Boulatら、J.Am.Chem.Soc.、114、5412−5414(1992))。中継プロセスは、COSYまたはTOCSYのいずれかのコヒーレント磁化移動を用いて達成することができる。この研究に用いられた1D多選択的COSYおよび再結像COSY実験が、図16に記載されている。すべてのリガンドベースの競合結合スクリーニング方法を用いた場合のように、スクリーニングされることになる実際の化合物の共鳴は評価されない。その代わり、両方のパルスシーケンスにおけるτ期間は、受容体についてのその既知の結合定数に基づくスパイ分子の共鳴のために最適化される。(3)(標準分子)のC3,5−H共鳴(7.35ppm)は、HSAの存在下に有意な広域化を受けるため、その強度は、競合結合実験において観察される。残念ながら信号は、図17(下の図)の例に見られるように有意なオーバーラップが存在する場合、化学シフトのところで共鳴する。したがってその強度は、正確に測定することができない。選択的COSYの使用によって、7.69ppmでスカラカップリングされたC2,6−H共鳴を介して間接的にその強度を観察することができる(図17(上の図))。
この方法を用いて実施されたリガンドベースの競合結合NMRスクリーニングが、図18に示されている。5−CHTrpのメチル基共鳴およびトルブタミドのC3,5−H共鳴はいずれも、3つの異なる型のID多選択的実験において同時に励起される。対照分子の場合、一重項信号が励起されたが、その理由は、これが他の信号と重なり合わないためである。この対照分子共鳴の場合、オーバーラップの問題に直面する場合、C6−HまたはC7−H二重項共鳴のいずれかを選択的に励起することがまさに都合がよいであろう。トルブタミドについてのCOSY信号は、HSAの存在下、および競合分子の不存在下、スペクトルにおいて弱い(図18(左上の図))。これは、その逆位相磁化の急速緩和の結果として生じる。さらには、多重項の逆位相の出現の結果として、プラスおよびマイナス信号のいくつかの取り消しを生じる。これらの効果のすべては、図18に示されているように、タンパク質の存在下および不存在下(それぞれ左および右)に記録されたスペクトル中のスパイ分子の信号について観察された差に寄与する。この観察された差は、用いられた短い方のスピン−ロッキング期間によって、および同相磁化の遅い方の緩和によって、TOCSYスペクトル(図18の下の図)においてより小さくなる。対照分子の信号は、これらの実験全体において一定のままであり、これは内部マーカーとして用いられる。スクリーニングプロセスに先立って、滴定1D多選択的COSYまたは再結像COSYまたはTOCSY実験は、タンパク質濃度の関数として記録される。対照分子および標準分子のCOSYまたはTOCSY信号強度比は、上記と同様な方法で、結合リガンドのフラクションの関数としてプロットされる。混合物中の(4)の存在の結果、図18(中央)に示されているように、トルブタミドの有意な置換を生じる。これらのスペクトルは、図18(右)に示されているように、タンパク質の不存在下でのトルブタミドのスペクトルに類似している。広範囲な置換は、表3に報告されている2つの分子についてのNMR由来結合定数と一致している。
スパイ分子の2つの二重信号と正確に同じ周波数において相互スカラカップリング共鳴を有する分子の存在は、これらの測定を妨げるであろうが、発生はまれであろう。
結論
適切に設計された競合結合実験を用いて、高〜中程度の親和性を有するリガンドの検出のためにNMRでのHTSを実施することが可能なことが証明された。この方法の最初の工程は一般的に、中〜低親和性リガンドの同定、およびITC測定でのその結合定数の決定を包含する。横断またはR1,s実験は、異なる[LTOT]または[ETOT]において記録され、異なる実験観察可能事項は、[EL]/[LTOT]の関数としてプロットされる。これらのグラフは、NMR実験の適切な設定を設計するため、および検出されたリガンドの結合定数についてのおよその値を引き出すために用いられる。この方法を用いて、タンパク質またはDNAおよびRNA断片に対して、数千の化合物を迅速にスクリーニングすることが可能である。この方法はまた、植物および菌類抽出物のスクリーニングにも拡大適用することができる。
これらの実験のもう1つの有用な用途は、HSA結合親和性についての化合物の種類をスクリーニングすることにある。所望の受容体に対して良好な活性を保持するが、HSA結合が減少した化合物は、この技術を用いて迅速に同定することができる。この情報は、薬品開発において非常に貴重である。
競合結合実験と組み合わせた一次元多選択的H実験の使用によって、タンパク質、DNA、またはRNA断片に対する大きい化学混合物の迅速なスクリーニングが可能になる。この方法は、複合化学混合物のスクリーニングの場合に直面する深刻なプロトンスペクトルオーバーラップに伴う問題の大半を克服する。2つの分子、標準化合物、および対照分子の使用によって、多選択的H COSYまたはTOCSY実験において記録された2つの信号を単に観察することによって、スクリーニングを実施することができる。最後に、これら2つの共鳴の相対強度を正確に測定することによって、NMR−ヒットの結合定数の決定が可能になる。単純な競合メカニズムプロセスの場合、NMR由来結合定数は、他の技術に由来する値と優れた一致を示す。
本明細書に挙げられた特許、特許文献、および公報の完全な開示は、各々が個別に組み込まれているかのように、その全体が参照して組み込まれる。この発明への様々な修正および変更は、この発明の範囲および精神から逸脱することなく、当業者には明らかになるであろう。この発明は、本明細書で以下に示されている例証的実施形態および実施例によって極端に制限されるものではない。このような実施例および実施形態は、例としてのみ示され、本発明の範囲は、本明細書に示されている特許請求の範囲によってのみ制限されるものとする。
キナーゼ(PBS中2μM)の存在下(a)および不存在下に(b)おける、40μMの化合物Aについて記録された1DHスペクトルの拡張領域。データには、フーリエ変換に先立って、コサインウィンドウ関数が掛けられた。矢印は、タンパク質の存在下に有意な広域化を受けている共鳴を示している。 キナーゼへの化合物Aの結合に対するITC結合実験。上のパネル:緩衝液(A)中、ならびに同じ緩衝液(B)中に溶解された8μMの化合物A中へのタンパク質100μMの滴定の間に測定された注入熱効果(injection heat effect)。この実験では、50mMトリス/Cl pH7.0、100mM NaCl、1mM DTTが、緩衝液として用いられた。下のパネル:上のパネルに示されている生データトレースに由来する、統合され規格化された結合熱。化合物Aに対して測定された結合エンタルピーは、塗りつぶされた正方形として示されている。対応するフィット関数(fitted function)は、点線として示されている。ブランク滴定から決定された希釈熱効果は、塗りつぶされていない円として示されている。結合熱力学は、次のとおりである。すなわち、K=1.4±0.4 10−1、ΔHobs=−3.3±0.8Kcal/mol、TΔS=3.6Kcal/mol、N=0.8±0.2である。 キナーゼ(PBS中1.5μM)の存在下に、異なる化合物A濃度において記録された1DHスペクトルの拡張領域。このスペクトルは、128走査および2.82秒反復時間で得られた。リガンド濃度は、40μM(a)、80μM(b)、および140μM(c)であった。 比[EL]/[LTOT]の関数としての化合物Aの2つのリガンド共鳴I7.13/I6.65(a)およびI7.13/I7.53(b)の信号強度比のプロット。7.13ppmにおける共鳴は、タンパク質の存在下における有意な交換の広域化を受ける一重項(1プロトン)であり、7.53ppmにおける共鳴は三重項(2プロトン)であり、6.65における共鳴は、小さいJを有する二重項(1プロトン)である。比[EL]/[LTOT]は、化合物Aの場合、7.1μMのITC誘導Kを用いて計算された。左側にある第一点は、タンパク質の不存在下における値に対応する。タンパク質キナーゼの濃度は、PBS中の1.5μMであった。これらの曲線は、実験点の最良適合を表わす。 キナーゼ(PBS中2μM)の存在下に50μM化合物Aを用いて実施されたNMRスクリーニングおよびデコンボルーション。分子SPECS AB−323/25048456(SPECSによって供給されているもの(オランダ ライスワイク))エチル2−キノキサリンカルボキシレート、メチルイソキノリン−3−カルボキシレート、7−フェニル−4−プテリジノール、2−アミノ−6−メチルキナゾリン−4−オール、5−メチルベンズイミダゾール、および化合物Bを含んでいる20μMの7つの化合物混合物の不存在下(a)および存在下に(b)記録された1Dスペクトル、(c)化合物Bを含まない化学混合物の存在下に記録されたスペクトル、(d)化合物Bのみの存在下に記録されたスペクトルの拡張領域。これらのスペクトルは、128走査および2.82秒反復時間で得られた。矢印は、タンパク質の存在下に有意な広域化を受けている共鳴を示している。 HSA(PBS中8μM)の不存在下(a)および存在下における(b)Trp(100μM)のC2−H共鳴の選択的反転で得られたτの関数としての選択的Rスペクトル。C2−H共鳴を含んでいるスペクトル領域のみが表示されている。これらのスペクトルは、8走査(a)および32走査(b)で得られた。反復遅延は、10.82秒(a)および8.82秒(b)であった。16(a)および12(b)τ値の配列が、0.005秒(左)から出発し、0.475秒の増分で用いられた。(a)の場合、最初の12τ値のみが(b)との直接比較のために表示されている。タンパク質の不存在下におけるTrpについての小さいR1.sのために、(a)において、より長い反復時間およびより大きい配列が必要であった。 (上の図)比[EL]/[LTOT]の関数としてτ=0.48秒およびτ=1.91秒で記録された2つのR1,sフィルター実験における反転TrpC2−H共鳴の信号強度比のプロット。磁化は、第一τ値の場合マイナスであり、第二τ値の場合プラスである。(下の図)比[EL]/[LTOT]の関数としてτ=1.91秒で記録されたR1.sフィルター実験(C2−H共鳴の反転)における、TrpC2−HおよびC4−H共鳴についての信号強度比のプロット。L−Trp濃度は、100μMにおいて一定に保持され、タンパク質(HSA)濃度は、0μM〜10μMで様々に変えられた。比[EL]/[LTOT]は、20℃で測定されたTrpについての平衡透析由来K値23μMを用いて計算された(U.Kragh−Hansen、Biochem,J.、273、641−644(1991))。左側の最初の点は、タンパク質の不存在下における値に対応する。これらの曲線は、実験点の最良適合を表わす。 1.s実験におけるτ期間の関数としての信号強度I(τ)のプロット。シミュレーションでは、0.4s−1および1s−1のRでの減衰が用いられた。これら2つの減衰間の信号強度差は、破線で示されている。これら2つの長方形は、R1.sフィルター実験のために選択することができる時間領域に対応する。 タンパク質HSA(PBS中8μM)の存在下における100μMTrpについての1DR1.sフィルター実験で実施されたNMR走査およびデコンボルーション。スクロース、D−5−CHTrp、L−5−CHTrp、およびジアゼパムを含んでいる30μMの4つの化合物混合物の不存在下(a)および存在下において(b)記録された選択的反転TrpC2−H共鳴、(c)ジアゼパムを含まない化学混合物の存在下に記録されたスペクトル、(d)ジアゼパムのみの存在下に記録されたスペクトル、(e)HSAおよびこの混合物の不存在下に記録されたスペクトルのみを含んでいる拡張領域。これらのスペクトルは、128走査および5.82秒反復時間で得られた。τ値は0.955秒であり、これは(a)におけるスペクトルについてのゼロ点に密接に対応している。非常に弱いプラス信号のみが(a)および(b)において観察される。 τ=0.96秒(左)およびτ=1.91秒(右)で得られた2つのR1.5フィルター実験(TrpC2−H選択的反転)で記録されたスペクトルの拡張領域。TrpおよびHSA濃度は、それぞれ100μMおよび8μMであった。(a)Trpのみについてのスペクトル、(b)30μMの化合物Cの存在下におけるTrpについてのスペクトル、(c)30μMの化合物Dの存在下におけるTrpについてのスペクトル。全部で48走査が、反復時間8.8秒で記録された。τ値0.96秒は、スペクトル(a)左におけるゼロ点に密接に対応している。アスタリスクは、TrpC2−H共鳴を示している。 TrpC2−H共鳴の選択的反転およびτ=0.96秒で記録されたR1.5フィルタースペクトルにおけるTrpC2−H共鳴の信号強度。TrpおよびHSA濃度は、それぞれ100μMおよび8μMであった。TrpC2−H共鳴を含んでいるスペクトル領域のみが表示されている。これらのスペクトルは、48走査および8.8秒の反復時間で得られた。左側のスペクトル(アスタリスクで示されている)は、競合分子を伴わないTrpについての対照実験である。他の7つのスペクトルは、各リード分子30μMの存在下に記録された。これらのスペクトルは、競合分子の結合親和性にしたがって配列されている。結合定数は、図10の図を用い、実施例セクションに記載されている場合と同じ手順にしたがって導き出された。各スペクトルにおいて関連する数字は、分析された分子を特定している。 HSA濃度の関数として記録された二重選択的Rフィルター実験。5−CHTrp(2.43ppm)およびワルファリン(2.21ppm)のメチル基共鳴は、25ms長さ180°ガウスSLPで選択的に反転された。全部で64の走査が、それぞれ6.83および0.4秒の反復時間およびフィルター遅延で記録された。これら2つの分子の濃度は、25μMで一定に保持され、一方、HSAの濃度は、左から右へ、それぞれ0、0.5、1.0、1.5、および2.5μMであった。水平な破線は、Trp誘導信号についての信号強度変化の欠如を示している。 23℃においてPBS中HSAでの、3.0μMのワルファリンナトリウム(左パネル)および4−ヒドロキシ−3−[1−(p−ヨードフェニル)−3−オキソブチル]クマリン(4)(右パネル)の滴定。データ点は、HSAの濃度に対する化合物の相対蛍光値である。実線は、記載されているような非線形最小2乗法を用いた実験データへの理論的適合を表わしている。 (上の図)結合ワルファリンのフラクションの関数として図13の2つの選択的に反転された共鳴の信号強度比のプロット([EL]/[LTOT])。(下の図)結合ワルファリンのフラクションの関数としての256ms(4×64ms)の総遅延で記録された、スピン−エコー実験から引き出された同じ2つの共鳴の信号強度比のプロット。これら2つの分子の濃度は、25マイクロモル(μM)で一定に保持され、一方、HSAの濃度は、0〜2.5μMで様々に変えられた。左側の最初の点は、タンパク質の不存在下の値に対応する。比[EL]/[LTOT]は、蛍光由来K値6.1μMを用いて計算された。ワルファリンのラセミ形態がこれらの研究において用いられたが、その理由は、文献で報告されているように、SおよびR形態についてのKが非常に類似しているためである(T.Wisemanら、Anal.Biochem.、179、131−137(1989))。これらの曲線は、実験点の最良適合を表わす。 HSAに対して25μMの(1)および(2)で実施された、Hリガンドベースの競合結合NMRスクリーニング。(上の図)フィルター遅延0.4秒で記録された二重選択的R−フィルター実験。(1)および(2)のメチル基共鳴は、25ミリ秒(ms)長さの180°ガウスSLPで選択的に反転された。全部で64の走査が、6.83秒(s)の反復遅延で記録された。(下の図)256ms(4×64ms)の遅延で記録されたスピン−エコー実験。全部で128の走査が、3.83秒の反復遅延で記録された。これらのスペクトルは、1.5μMHSAの存在下、および150μMトルブタミドの不存在下(左)および存在下に(中央)得られた。HSAおよびトルブタミドの不存在下の対応スペクトルが右側に示されている。これら2つの共鳴の信号強度比は、左から右に、上の図で(1.94、1.09、0.71)であり、下の図で(3.13、1.56、0.86)である。真中のスペクトルの2.38ppmにおける信号は、(3)の芳香族メチル基信号に由来する。 多選択的COSYおよび再結像COSY実験についてのパルスシーケンス。180°ガウスSLPは、同じ強度および記号の2つの勾配間に配置されている。多選択的パルスの長さは一般的には、持続時間が25〜50msの範囲内にある。τ値は、スパイ分子の異なる結合定数に対して適切に調節することができる。弱い親和性の標準分子は、長いτ期間を必要とする。この選択的励起図式に代わるものは、excitation sculptingシーケンスである(K.Stottら、J.Am.Chem.Soc.、117、4199(1995))。幅の狭い棒および幅の広い棒は、それぞれ90°および180°パルスを表わす。遅延ΔおよびΔ’は、カップリング定数およびスピントポロジーにしたがって最大のCOSY移動のために最適化される。nは奇数であり、一般的には1に設定される。しかしながら2つのスピン系の場合、標準分子が非常に弱い親和性により受容体へ結合する場合、これは、より大きい値に設定されてもよい。二重スピン−エコー図式を用いてwater suppressionが達成される。 一次元多選択的COSYでのHリガンドベースの競合結合NMRスクリーニング。タンパク質濃度は2μMであり、標準分子(3)および対照分子(2)の濃度は、それぞれ50μMおよび25μMであった。これらのスペクトルは、50μMの競合分子(4)の存在下に記録された。COSYスペクトル(上の図)は、トルブタミドのC3,5−H共鳴(矢印によって示されている)、およびTrp誘導体のメチル基共鳴の二重選択的励起を有する図16のパルスシーケンスを用いて得られた。全部で256の走査が、2.83秒の反復時間で記録された。二重選択的パルスは、持続時間が25msの180°ガウスSLPであった。遅延Δは、持続時間が30ms(8.3Hzのスカラカップリングに最適な値)であり、nは1であった。(下の図)128の走査および3.83秒の反復時間で記録された標準スペクトル。トルブタミドのC3,5−H共鳴は、(4)のいくつかの信号と部分的に重なり合う。 一次元多選択的COSY(a)、再結像COSY(b)、およびTOCSY(c)実験でのHリガンドベースの競合結合NMRスクリーニング。標準分子(トルブタミド)および対照分子(5−CHTrp)の濃度は、それぞれ50μMおよび25μMであった。COSYおよび再結像COSYスペクトルは、トルブタミドのC3,5−H共鳴、およびTrp誘導体のメチル基共鳴の二重選択的励起を有する図16のパルスシーケンスを用いて記録された。全部で256の走査が、2.83秒の反復時間、および1に設定されたnで記録された。二重選択的パルスは、持続時間が25msの180°ガウスSLPであった。遅延Δは、30ms(a)、および15ms(b)であり、Δ’は30ms(b)であった。TOCSY実験の場合、同じ多選択的励起図式が用いられた。等核ハートマン−ハーン(Hartmann−Hahn)工程が、持続時間35msのWALTZ−16図式(A.J.Shakaら、J.Magn.Reson.、52、335(1983))を用いて実施された。拡張領域は、トルブタミドのC3,5−H共鳴およびTrp誘導体のメチル基の信号を含んでいる。これらのスペクトルは、2μMのHSAの存在下、および50μMの競合分子(4)を含んでいる混合物の不存在下(左)および存在下に(中央)記録された。タンパク質および競合分子の両方の不存在下における対応スペクトルが右側にある。対照分子の信号は、タンパク質との相互作用の欠如のために強度が変化しない。これら2つの共鳴の強度比は、左から右に、上の図で9.6、2.8、2.3であり、真中の図で、9.8、3.5、2.9であり、下の図で5.6、2.6、2.1である。 化合物1〜4の構造。

Claims (24)

  1. 標的分子へのリガンドの同定方法であって、
    標的分子と相互作用する標準化合物を供給する工程;
    標的分子の存在下に標準化合物の1DH核磁気共鳴スペクトルを収集する工程;
    少なくとも1つのテスト化合物を含んでいるテストサンプルを供給する工程;
    各テストサンプルおよび標的分子の存在下に標準化合物の1DH核磁気共鳴スペクトルを収集する工程;
    標的分子の存在下における標準化合物のスペクトルと、各テストサンプルおよび標的分子の存在下における標準化合物のスペクトルとを比較し、標準化合物共鳴の1つまたはそれ以上における変化を決定する工程;および
    標的分子と相互作用する少なくとも1つのテスト化合物を同定する工程であって、テスト化合物が標準化合物を置換する工程
    を含む方法。
  2. テスト化合物が、標準化合物のものと少なくとも同程度に堅固な結合親和性を有する、請求項1に記載の方法。
  3. 標準化合物共鳴の1つまたはそれ以上における変化が、少なくとも1つの標準共鳴における信号強度の増加を含む、請求項1に記載の方法。
  4. 少なくとも1つのテスト化合物の同定が、各テスト化合物および標的分子の存在下における標準化合物個別の1DH核磁気共鳴スペクトルを記録することを含む、請求項1に記載の方法。
  5. さらに、
    標準化合物の異なる濃度において、標的分子の存在下における標準化合物の1DH核磁気共鳴スペクトルを収集する工程;および
    テスト化合物の解離定数を決定する工程
    を含む、請求項1に記載の方法。
  6. さらに、標的分子の異なる濃度において、標的分子の存在下における標準化合物の1DH核磁気共鳴スペクトルを収集する工程;および
    テスト化合物の解離定数を決定する工程
    を含む、請求項1に記載の方法。
  7. 比較工程における使用のための標的分子の存在下における標準化合物の1DH核磁気共鳴スペクトルの収集に先立って、
    標的分子の異なる濃度または標準化合物の異なる濃度において、標的分子の存在下における標準化合物の1DH核磁気共鳴スペクトルを収集する工程;および
    標的分子と相互作用する少なくとも1つのテスト化合物を同定するための最適な実験条件を決定する工程
    を含む、請求項1に記載の方法。
  8. 標的分子が高分子である、請求項1に記載の方法。
  9. 高分子がポリペプチドまたはポリヌクレオチドである、請求項8に記載の方法。
  10. 高分子がタンパク質である、請求項8に記載の方法。
  11. テスト化合物が、わずか約10マイクロモルにすぎない水中溶解性を有する、請求項1に記載の方法。
  12. 標準化合物が、マイクロモル範囲内の結合親和性により標的分子に結合する、請求項1に記載の方法。
  13. 標準化合物の結合親和性が、等温滴定熱量測定法または蛍光分光法によって決定される、請求項12に記載の方法。
  14. テスト化合物が、1マイクロモルよりも強い結合親和性により標的分子に結合する、請求項1に記載の方法。
  15. さらに、
    標的分子の不存在下に潜在的標準化合物のWaterLOGSY核磁気共鳴スペクトルを収集する工程;
    標的分子の存在下に潜在的標準化合物のWaterLOGSY核磁気共鳴スペクトルを収集する工程;および
    この潜在的標準化合物が標的分子と相互作用するかどうかを確認するために、WaterLOGSYスペクトルを比較する工程
    を含む、標準化合物の同定工程も含む、請求項1に記載の方法。
  16. テストサンプルが、2つまたはそれ以上のテスト化合物の混合物を含んでいる、請求項1に記載の方法。
  17. さらに、
    テスト化合物および標的分子の存在下に標準化合物の1DH核磁気共鳴スペクトルを収集する工程;および
    標的分子の存在下における標準化合物のスペクトルと、テスト化合物および標的分子の存在下における標準化合物のスペクトルとを比較し、選択された標準化合物共鳴における変化を決定する工程
    も含む、請求項16に記載の方法。
  18. テスト化合物が、標準化合物のものよりも堅固な結合親和性を有する、請求項1に記載の方法。
  19. 1DH核磁気共鳴スペクトルの収集が、1DH選択的または多選択的T加重スペクトルの収集を含む、請求項1に記載の方法。
  20. 1DH核磁気共鳴スペクトルの収集が、1DH核磁気共鳴選択的または多選択的縦緩和スペクトルの収集を含む、請求項1に記載の方法。
  21. 1DH核磁気共鳴スペクトルの収集が、選択的T加重TOCSYスペクトルもしくは多選択的T加重TOCSYスペクトル、選択的T加重COSYスペクトルもしくは多選択的T加重COSYスペクトルの収集を含む、請求項1に記載の方法。
  22. 標準化合物の供給が、標準化合物および非相互作用化合物の供給を含み;
    標的分子の存在下における標準化合物の1DH核磁気共鳴スペクトルの収集が、標的分子の存在下における標準化合物および非相互作用化合物のスペクトルの収集を含み;かつ
    テストサンプルおよび標的分子の存在下における標準化合物の1DH核磁気共鳴スペクトルの収集が、テストサンプルおよび標的分子の存在下における標準化合物および非相互作用化合物のスペクトルの収集を含む、
    請求項1に記載の方法。
  23. 標準化合物の供給が、標準化合物、および規定された線幅、振幅、および周波数のERETIC信号の供給を含み;
    標的分子の存在下における標準化合物の1DH核磁気共鳴スペクトルの収集が、標的分子の存在下におけるERETIC信号を有する標準化合物のスペクトルの収集を含み;かつ
    テストサンプルおよび標的分子の存在下における標準化合物の1DH核磁気共鳴スペクトルの収集が、テストサンプルおよび標的分子の存在下におけるERETIC信号を有する標準化合物のスペクトルの収集を含む、
    請求項1に記載の方法。
  24. テストサンプルの供給が複数のテストサンプルの供給を含み、各テストサンプルが、少なくとも1つのテスト化合物を含む、請求項1に記載の方法。
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