JP2005528912A - 幹細胞におけるスプライセオソーム介在rnaトランススプライシング - Google Patents

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Abstract

本発明は、幹細胞における標的スプライセオソーム介在トランススプライシングによって新規な核酸分子を作製するための方法および組成物を提供する。本発明の組成物は、プレトランススプライシング分子(PTM)を発現するように遺伝子操作された幹細胞を含み、このPTMは標的前駆体メッセンジャーRNA分子(標的プレmRNA)と相互作用して、新規なキメラRNA分子(キメラRNA)の形成をもたらすトランススプライシング反応を媒介するようにデザインされる。特に、本発明の幹細胞は、幹細胞が分化するとき該細胞内で発現された特異的な標的プレmRNAと相互作用して、遺伝的障害の原因である遺伝子欠損の修正をもたらすPTMを発現するように遺伝子操作される。本発明の方法は、対象のPTMをコードすることができる核酸分子を幹細胞内に導入し、続いてPTMで改変された幹細胞を宿主に移植することを包含する。幹細胞が分化するとき標的プレmRNAが発現され、それによりトランススプライシング反応用の基質が提供される。本発明は、嚢胞性繊維症膜貫通調節タンパク質(CFTR)のプレmRNAと相互作用することができるPTMをコードする核酸分子を、初代ヒト表面気道前駆細胞内に成功裏に導入して発現させたことに基づいている。本発明の方法および組成物は、いくつか名を挙げると、嚢胞性繊維症、血友病、鎌状赤血球貧血、テイ-サックス病、サラセミア、多発性嚢胞腎、筋ジストロフィーなど、様々な障害と関連した遺伝子欠損を修正するために使用することができる。

Description

1. 緒論
本発明は、幹細胞における標的スプライセオソーム介在トランススプライシングによって新規な核酸分子を作製するための方法および組成物を提供する。本発明の組成物は、プレトランススプライシング分子(PTM)を発現するように遺伝子操作された幹細胞を含み、このPTMは標的前駆体メッセンジャーRNA分子(標的プレmRNA)と相互作用して、新規なキメラRNA分子(キメラRNA)の形成をもたらすトランススプライシング反応を媒介するようにデザインされる。特に、本発明の幹細胞は、幹細胞が分化するとき該細胞内で発現される特異的な標的プレmRNAと相互作用して、遺伝的障害の原因となる遺伝子欠損の修正をもたらすPTMを発現するように遺伝子操作される。本発明の方法は、対象のPTMをコードすることができる核酸分子を幹細胞内に導入し、続いてPTMで改変された幹細胞を宿主に移植することを包含する。幹細胞が分化するとき標的プレmRNAが発現され、それによりトランススプライシング反応用の基質が提供される。本発明は、嚢胞性繊維症膜貫通調節タンパク質(CFTR)のプレmRNAと相互作用することができるPTMをコードする核酸分子を、初代ヒト表面気道前駆細胞内に成功裏に導入して発現させたことに基づいている。本発明の方法および組成物は、いくつか名を挙げると、嚢胞性繊維症、血友病、鎌状赤血球貧血、テイ-サックス病、サラセミア、多発性嚢胞腎、筋ジストロフィーなど、様々な障害と関連した遺伝子欠損を修正するために使用することができる。
2. 発明の背景
ヒトゲノムの塩基配列解析をはじめとする最近の分子生物学の進歩は、疾患の遺伝的基礎に関する価値ある情報を提供してきた。遺伝子治療は、遺伝的障害が核酸分子のレベルで修正しうるという前提に基づくものである。遺伝子治療を用いることに伴う努力目標には、安全、特異的、かつ効率的な方法で遺伝物質を患者の適切な細胞に送達するための有効なアプローチの開発が含まれる。
最近まで、特定の標的遺伝子を改変するための標的トランススプライシングの実用上の適用例は、第I群リボザイムに基づく機構に限られていた。テトラヒメナ(Tetrahymena)第I群リボザイムを用いた標的トランススプライシングは、大腸菌(E. coli)(Sullenger B.A.およびCech. T.R., 1994, Nature 341: 619-622)、マウス繊維芽細胞(Jones, J.T.ら, 1996, Nature Medicine 2:643-648)、ヒト繊維芽細胞(Phylacton, L.A.ら, Nature Genetics 18:378-381)およびヒト赤血球前駆体(Lapら, 1998, Science 280: 1593-1596)で実証されている。改変型第I群リボザイムによって起こる標的RNAトランススプライシングのいくつかの用途が検討されてきたが、天然の哺乳類スプライシング機構、すなわちスプライセオソームによって媒介される標的トランススプライシングは、比較的有望なアプローチであると考えられる。
スプライセオソーム介在トランススプライシングは、細胞のスプライシング機構を利用して、突然変異型エキソンを置換することによってRNAレベルで遺伝子欠損を修復するものである。こうした技法の使用はそれらの使用に関係したいくつかの利点を有する。例えば、修復産物は常に内因的制御下にあり、標的プレmRNAを内因的に発現している細胞において修正が起こるだけである。さらに、遺伝の様式に関係なく遺伝病を修正することができる。また、トランススプライシングを使用すると、発現ベクター中の修正用インサートのサイズを小さくすることができる。
米国特許第6,083,702号、第6,013,487号、および第6,280,978号には、標的前駆体mRNAに接触させて新規なキメラRNAを作製することによりトランススプライシング反応を媒介するためのPTMの使用が記載されている。本発明は、幹細胞における特定の欠損遺伝子を修正するようにデザインされた特異的PTM分子を使用するための方法および組成物を提供する。本発明の特異的PTMを用いて、様々な遺伝的障害を治療することができる。トランススプライシング反応は標的プレmRNAを発現する分化幹細胞においてのみ起こるので、本発明は幹細胞での有害遺伝子の発現と関連した諸問題を回避しうる。
3. 発明の概要
本発明は、スプライセオソーム介在標的トランススプライシングにより幹細胞において新規な核酸分子を発現させるための組成物および方法に関する。特に、本発明の組成物は、特定の標的プレmRNA分子(以後「標的プレmRNA」という)と相互作用しかつ新規なキメラRNA分子(以後「キメラRNA」という)の形成をもたらすスプライセオソームトランススプライシング反応を媒介するようにデザインされた、プレトランススプライシング分子(以後「PTM」という)を発現するように遺伝子操作された幹細胞を含む。本発明は、初代ヒト表面気道前駆細胞における嚢胞性繊維症膜貫通調節タンパク質(CFTR)の標的プレmRNAの、成功を収めた標的トランススプライシングに基づいている。
本発明の組成物は、特定の標的プレmRNA分子と相互作用しかつ新規なキメラRNA分子の形成をもたらすスプライセオソームトランススプライシング反応を媒介するようにデザインされたPTMを発現するように遺伝子操作された幹細胞または前駆細胞を含む。このようなPTMは特定の標的プレmRNAの遺伝子欠損を修正するようにデザインされる。トランススプライシング反応は標的プレmRNAを発現する分化幹細胞においてのみ起こるので、本発明は幹細胞での有害遺伝子の発現と関連した諸問題を回避しながら遺伝子治療を行うための方法を提供する。PTMの一般的なデザイン、構築および遺伝子操作、ならびに細胞内でトランススプライシング反応を成功裏に媒介するPTMの能力の証明は、米国特許第6,083,702号、第6,013,487号、および第6,280,978号、ならびに米国特許出願第09/756,095号、第09/756,096号、第09/756,097号、および第09/941,492号に詳しく記載されており、それらの開示内容全体を参照により本明細書中に組み入れるものとする。
本発明の方法は、幹細胞または前駆細胞と、特定の標的プレmRNAと相互作用するようにデザインされたPTMをコードしうる核酸分子とを、PTMの一部が標的プレmRNAにスプライシングされて新規なキメラRNA(特定の遺伝子欠損の修正をもたらす)を形成するような条件下で接触させることを含む。PTMをコードする核酸分子をin vivoまたはex vivoで標的幹細胞に導入した後、その核酸分子を発現させてトランススプライシング反応を媒介しうるPTMを生成することができる。ex vivoで遺伝子操作する場合には、その後で幹細胞を被験者宿主に移植する。本発明のPTMは、トランススプライシング反応から生じた新規なキメラRNAが細胞内で欠陥のあるまたは不活性なタンパク質を補足するタンパク質をコードするように遺伝子操作される。あるいはまた、本発明のPTMは、トランススプライシング反応から生じた新規なキメラRNAが遺伝子発現を画像化するのに有用なタンパク質をコードするように遺伝子操作される。本発明の方法および組成物は、様々な遺伝的障害、例えばいくつか名を挙げると、嚢胞性繊維症、血友病、鎌状赤血球貧血、テイ-サックス病、サラセミア、多発性嚢胞腎、筋ジストロフィーなどを治療するための遺伝子修復において使用することができる。
4. 図面の簡単な説明
図1.異なるトランススプライシング反応の模式図。(a)標的5’スプライス部位とPTMの3’スプライス部位との間のトランススプライシング反応、(b)標的3’スプライス部位とPTMの5’スプライス部位との間のトランススプライシング反応、および(c)PTMが3’スプライス部位と5’スプライス部位の両方を保持する二重トランススプライシング反応による内部エキソンの置換。BD、結合ドメイン;BP、分岐点配列;PPT、ポリピリミジン管;ss、スプライス部位。
図2.PTM24を用いたゲノムΔF508 CFTRのトランススプライシング媒介mRNA修復のモデル。
図3A.PTM24構築物の模式図。
図3B.PTM15およびPTM24のトランススプライシングドメインの完全な配列。
図4.気道幹細胞におけるCFTR幹細胞再構成を評価するために使用したプロトコルの模式図。最初に、初代気道上皮細胞に、LacZまたはCFTRのいずれかを発現するレトロウイルスを形質導入する。トランスジーン発現の評価はサザンブロットまたはX-gal染色により行う(通常10〜20%)。次に、初代細胞をヒト気管支異種移植片に播種し、5〜6週間再構成させる。その後、異種移植片気道上皮をCFTRまたはLacZトランスジーン発現について評価する。
図5.in situハイブリダイゼーションによるトランスジーン発現解析。LacZまたはCFTRを発現するレトロウイルスを感染させた異種移植片からのトランスジーン発現を直接比較するために、両ベクタートランスジーンの3’非翻訳領域に相補的なRNAプローブを用いたin situ発現アッセイを開発した。このプローブは「ユニバーサルプローブ」と称され、その位置をパネルCに示す。このプローブの感度を試験するため、RV.CBLacZ再構成異種移植片からの連続切片を用いて、in situハイブリダイゼーション(A)またはX-gal組織化学的染色(B)によりトランスジーンの発現を検出した。結果はクローン位置および感度の完全な一致を実証しており、このことは、このような検出スキームがCFTRとLacZの遺伝子発現を比較するのに使用しうることを示している。パネルDおよびEでは、RV.CBCFTR(D)またはRV.CBLacZ(E)レトロウイルスで再構成した異種移植片を切片化し、アンチセンスユニバーサルプローブによりプロービングしてトランスジーン発現を検出した。示されるように、RV.CBCFTRと比べて、RV.CBLacZを感染させた異種移植片の表面気道上皮により多くのクローンが存在する。白色の点がmRNA標的の発現を示していた。これらの結果の定量を図7に示す。
図6.少ない非繊毛クローンにおけるCFTRトランスジーン発現。全長CFTR cDNAを発現するレトロウイルスベクターRV.CBCFTRからのCFTRの発現量が低いにもかかわらず、CFTRトランスジーン由来のmRNAとCFTRタンパク質の双方の発現が少ない非繊毛細胞クローンにおいて検出された。(A)レトロウイルス由来のCFTRトランスジーンの3’非翻訳領域に対するアンチセンスユニバーサルプローブを用いたin situハイブリダイゼーション。パネルAでは、CFTR mRNAを発現する1つのクローンを四角で囲ってある。(B)パネル(A)に示したものからの連続切片をCFTRタンパク質について染色した。連続in situ染色とCFTRタンパク質染色の両方を示す(Bの上と下のパネル)。Bの真ん中のパネルは、下のパネルと同じ視野のNomarski光学顕微鏡写真である。CFTR発現の領域は未分化の非繊毛細胞に制限される。このことは、気道幹細胞におけるCFTRの異所性非制御発現が細胞の増殖・分化能に影響を及ぼすことを示しており、また、高レベルのCFTR発現が気道前駆細胞に有毒でありうることを示唆している。
図7.通常のレトロウイルスベクターを用いた異種移植片の表面気道上皮(BAE)細胞におけるLacZおよびCFTR発現。データは、in vitro感染後の初代気道上皮におけるトランスジーン発現、およびin vivoでの異種移植片における気道上皮の再構成後の持続的発現のレベルを表す。
図8.CFTRのPTM送達をアッセイするためにデザインされたレトロウイルスベクター。3つのレトロウイルスベクターについて、異種移植片再構成により気道幹細胞でのトランスジーン発現を再構築する能力を比較した。(A) RV.CBCFTRは、CMV/β-アクチンプロモーターにより駆動される全長CFTR cDNAをコードする。(B) RV.CFTR-PTM24は、CMV/β-アクチンプロモーターにより駆動されるエキソン10〜24をコードするCFTRの部分cDNAの上流のPTM-24トランススプライシングドメインをコードする。(C) RV.CBLacZは、CMV/β-アクチンプロモーターにより駆動される全長LacZ cDNAをコードし、対照ベクターとして使用される。
図9.CFTRのPTM介在送達は異種移植片における気道上皮の再構成および分化を改善する。初代ヒト気管支気道上皮細胞に3つの異なるレトロウイルスベクター(RV.CBLacZ、RV.CBCFTR、RV.CFTRPTM-24)をin vitroで感染させたが、各ベクターは同じ転写エレメント(CMVエンハンサー/β-アクチンプロモーター)を有していた。(A)組み込まれたプロウイルスゲノムのレベルを、CMVエンハンサーに特異的なプライマーを用いてTaq-Man PCRにより定量した。これらの初代培養物では、ほぼ等しいレベルの形質導入が認められた。次に、感染3日後、初代気道上皮細胞(2×106個の細胞)を裸のラット気管に播種し、無胸腺ヌードマウスに皮下移植した。6週間の再構成後には、通常、十分に分化した気道上皮が異種移植片ラット気管に確立される。その後、DNAの生成およびウイルスゲノムのTaq-Man PCR定量(パネルB)またはX-galによるβ-ガラクトシダーゼの組織化学的染色(パネルC〜E)のために異種移植片を回収した。Taq-Man PCRの結果から、RV.CFTRPTM-24を感染させた異種移植片からの上皮DNA内のウイルスゲノムは、RV.CBCFTRと比較して、より高い安定性を示すことが実証された。RV.CBLacZを感染させた異種移植片と比べると、RV.CFTRPTM-24ウイルスゲノムの存在量になおもわずかな低下が見られたが、このことは、PTMベクターからの残りの翻訳が幹細胞再構成を阻害しうるCFTRタンパク質の部分を産生することを示唆している。再構成された異種移植片の上皮を評価したとき、RV.CFTRPTM-24感染異種移植片(パネルD)とRV.CBCFTR感染異種移植片(パネルE)との間には分化に関して格段の差異が認められた。幹細胞増殖の指標となる再構成上皮(括弧で示す)の高さは、RV.CFTRPTM-24感染異種移植片と比較して、RV.CBCFTRにおいて著しく減少していた。さらに、繊毛細胞(繊毛のある先端表面を矢印で示す)はRV.CFTRPTM-24感染異種移植片に豊富に存在したが、RV.CBCFTR感染異種移植片には全く存在しなかった。繊毛細胞の存在量はRV.CBLacZ(対照ベクター)感染異種移植片上皮とRV.CFTRPTM-24感染異種移植片上
皮とで類似していたが、上皮の高さはRV.CFTRPTM-24感染異種移植片においてわずかに低かった。このことは、PTM-24構築物からの毒性が低いものの存在することを裏付けている。
5. 発明の詳細な説明
本発明は、プレトランススプライシング分子(PTM)をコードしうる核酸分子を含む遺伝子操作された幹細胞を含んでなる組成物、ならびに遺伝子欠損を修正するようにデザインされた新規核酸分子を生成するための前記細胞の使用に関する。幹細胞内で発現されるPTMは、(i)幹細胞内で発現された特定の標的プレmRNAと特異的に結合するようにデザインされた1以上の標的結合ドメイン、および(ii)分岐点と3’スプライス受容部位を含む3’スプライス領域および/または5’スプライス供与部位を含んでなる。3’スプライス領域はピリミジン管をさらに含んでいてもよい。加えて、本発明のPTMは、翻訳可能なタンパク質産物をコードするもののような任意のヌクレオチド配列、およびRNAスプライス部位を標的結合ドメインから分離する1以上のスペーサー領域を含むように操作することもできる。
本発明の方法は、PTMをコードしうる核酸分子を、該核酸分子が転写されてPTMを発現する条件下で、幹細胞に導入することを包含する。本発明の方法はさらに、このように遺伝子操作された幹細胞を、遺伝子欠損の修正のために被験者宿主に移植することを含んでなる。
本発明は、細胞に対して有毒であるヒト気道幹細胞におけるCFTRの過剰発現とは対照的に、CFTR修正PTMの発現が細胞毒性とは関連していないという発見に基づいている。したがって、本発明は、成熟期タンパク質の発現が幹細胞の成熟および増殖に有害でありうる場合に、その幹細胞における遺伝子欠損を修正するための、トランススプライシングに基づいた方法を提供する。
5.1. プレトランススプライシング分子の構造
本発明は、標的トランススプライシングにより新規なキメラ核酸分子を生成するのに用いる組成物を提供する。本発明のPTMは、(i)分化する幹細胞内で発現された特定の標的プレmRNAにPTMの結合をターゲッティングする1以上の標的結合ドメイン、および(ii)分岐点と3’スプライス受容部位を含む3’スプライス領域および/または5’スプライス供与部位を含んでなる。3’スプライス領域はピリミジン管をさらに含んでいてもよい。本発明のPTMはまた、(a)RNAスプライス部位を標的結合ドメインから分離する1以上のスペーサー領域、(b)ミニイントロン配列、(c)ISAR(イントロンスプライシングアクチベーターおよびリプレッサー)コンセンサス結合部位、および/または(d)リボザイム配列を含むことができる。
さらに、本発明のPTMは、特定の遺伝子欠損を修正するように、または新しい細胞機能を追加するようにデザインされた特定のエキソン配列を含む。用いるエキソン配列は修正しようとする遺伝子欠損により決まるだろう。本発明の特定の実施形態においては、嚢胞性繊維症膜貫通調節タンパク質の標的プレmRNAを修正するようにデザインされたエキソン配列、例えば、図3に示したPTM24の構造に含まれるエキソン配列が使用される。
本発明のPTMはまた、様々な障害、例えばいくつか名を挙げると、嚢胞性繊維症、血友病、鎌状赤血球貧血、テイ-サックス病、サラセミア、多発性嚢胞腎、筋ジストロフィーなどと関連した遺伝子欠損を修正するために用いられる特定のエキソン配列を含んでいてもよい。
欠陥のあるまたは不活性なタンパク質を補足する新規なキメラRNAの作成に使用するために、種々の異なるPTM分子を合成することができる。このようなPTMの一般的なデザイン、構築および遺伝子操作、ならびに細胞内でトランススプライシング反応を成功裏に媒介するPTMの能力の証明は、米国特許第6,083,702号、第6,013,487号、および第6,280,978号、ならびに米国特許出願第09/756,095号、第09/756,096号、第09/756,097号、および第09/941,492号に詳しく記載されており、それらの開示内容全体を参照により本明細書中に組み入れるものとする。
PTMの標的結合ドメインはPTMに結合親和性を賦与する。本明細書中で用いる標的結合ドメインとは、結合の特異性を与え、かつ核のスプライセオソームプロセッシング機構がPTMの一部を特定の標的プレmRNAの一部へとトランススプライシングすることができるようにPTMに空間的に近接して特定の標的プレmRNAをつなぎ止める分子(すなわち、ヌクレオチド、タンパク質、化学的化合物など)として定義される。PTMの標的結合ドメインは、所定のプレmRNAの標的領域に対し相補的で、アンチセンス方向にある複数の結合ドメインを含んでいてもよい。これらの標的結合ドメインは数千個までのヌクレオチドを含みうる。本発明の好ましい実施形態では、これらの結合ドメインは少なくとも10〜30個、最大数百個またはそれ以上のヌクレオチドを含みうる。PTMの特異性は標的結合ドメインの長さを増加させることによって著しく高めることができる。例えば、標的結合ドメインは数百個またはそれより多いヌクレオチドを含んでもよい。さらに、標的結合ドメインは「直鎖状」であってもよいが、このRNAは、複合体を安定化させて、それによりスプライシング効率を高めうる二次構造を形成するように折りたたまれていてもよいことが理解される。第2の標的結合領域は該分子の3’末端に位置してもよく、本発明のPTMに組み込むことができる。絶対的な相補性が好ましいが、必ずしも必要ではない。本明細書中で言及するRNAの一部に「相補的な」配列とは、標的プレRNAとハイブリダイズして安定な二重らせんを形成しうるのに十分な相補性を有する配列を意味する。ハイブリダイズする能力は相補性の程度と核酸の長さの両方に依存すると考えられる(例えば、Sambrookら, 1989, Molecular Cloning, A Laboratory Manual, 第2版, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New York参照)。一般にハイブリダイズする核酸が長いほど、それはRNAとの塩基ミスマッチをより多く含んでいてもよく、なおも安定した二重らせんを形成する。当業者ならば、標準的な方法を用いてハイブリダイズした複合体の安定性を調べることにより、二重らせんのミスマッチの許容度または長さを確かめることができる。
また、結合はその他の機構、例えば三重らせんの形成、アプタマー(aptamer)相互作用、抗体相互作用、またはタンパク質/核酸相互作用、例えばPTMが特定のRNA結合タンパク質(すなわち、特定の標的プレmRNAと結合したタンパク質)を認識するように操作されているものなど、によって達成することもできる。あるいは、本発明のPTMは、例えばRNA分子内のヌクレオチド間の分子内塩基対合によって生じるヘアピン構造などの二次構造を認識するようにデザインしてもよい。
本発明の特定の実施形態においては、標的結合ドメインは、トランススプライシングのためにターゲッティングされる特定の標的プレmRNAの領域に近接している配列に対し相補的で、アンチセンス方向にある。
また、PTM分子は分岐点配列と3' スプライス受容AG部位を含む3’スプライス領域および/または5’スプライス供与部位を含む。3’スプライス領域はピリミジン管をさらに含んでいてもよい。RNAスプライシングに用いる5’スプライス供与部位および3’スプライス領域のコンセンサス配列は当技術分野で周知のものである(Mooreら, 1993, The RNA World, Cold Spring Harbor Laboratory Press, p. 303-358参照)。さらにまた、本発明を実施する際に、5’供与スプライス部位および3’スプライス領域として機能する能力を維持する、改変されたコンセンサス配列を用いてもよい。簡単に説明すると、5’スプライス部位のコンセンサス配列はAG/GURAGU(ここで、A=アデノシン、U=ウラシル、G=グアニン、C=シトシン、R=プリン、/=スプライス部位)である。3’スプライス部位は3つの異なる配列エレメント、すなわち、分岐点または分岐部位、ポリピリミジン管および3’コンセンサス配列(YAG)からなる。哺乳類の分岐点コンセンサス配列はYNYURAC(Y=ピリミジン;N=任意のヌクレオチド)である。下線を引いたAは分岐形成部位である。ポリピリミジン管は、分岐点とスプライス部位アクセプターとの間に位置し、様々な分岐点利用および3’スプライス部位認識に重要なものである。近年、ジヌクレオチドAUで始まり、ジヌクレオチドACで終わるプレメッセンジャーRNAイントロンが確認され、U12イントロンと呼ばれている。U12イントロン配列と同様に、スプライス受容/供与配列として機能する配列はどれも本発明のPTMを作製するのに使用することができる。
また、標的結合ドメインからRNAスプライス部位を分離するスペーサー領域もPTMに含めることができる。このスペーサー領域は、非スプライスPTMの翻訳を遮断する停止コドン、および/または標的プレmRNAへのトランススプライシングを促進する配列などの特徴を含むようにデザインしうる。
本発明の好ましい実施形態では、非特異的トランススプライシングを妨げるために、スペーサー、結合ドメイン、またはPTMの他のいずれかの部位に「セーフティー」を組み込む。これは、比較的弱い相補性によってPTMの3’および/または5’スプライス部位のエレメントをカバーして非特異的トランススプライシングを妨げるPTMの領域である。このPTMは、PTMの結合/ターゲッティング部分のハイブリダイゼーションの際に3'および/または5'スプライス部位がカバーされず、完全活性型となるようにデザインされる。
「セーフティー」は、PTM分岐点、ピリミジン管、3’スプライス部位および/または5’スプライス部位(スプライシングエレメント)の片側または両側に弱く結合する1以上のシス配列の相補的ストレッチからなる(または、第2の個別の核酸鎖でありうる)か、あるいは、スプライシングエレメントそれ自体の一部と結合しうる。この「セーフティー」結合はスプライシングエレメントが活性となるのを妨げる(すなわち、U2 snRNPまたはその他のスプライシング因子がPTMスプライス部位認識エレメントと結合するのを妨げる)。この「セーフティー」の結合は、PTMの標的結合領域が標的プレmRNAに結合することにより破壊され、したがって露出し、PTMスプライシングエレメントを活性化する(標的プレmRNAへのトランススプライシングにそれらを利用可能にする)。
本発明のPTMは、単一の特定エキソン配列、複数の特定エキソン配列、あるいはまた、特定エキソン配列の完全なセットを含むように操作することができる。PTMに用いる特定配列の数および本性は、修正しようとする標的突然変異、およびトランススプライシング反応のタイプ、すなわち、生じる5’エキソン置換、3’エキソン置換、または内部エキソン置換により決まる(図1参照)。さらに、PTMのサイズを限定するために、この分子は特定遺伝子の非必須領域の欠失を含んでいてもよい。
本発明はさらに、PTMのコード領域がミニイントロンを含むように操作されているPTM分子を提供する。PTMのコード配列へのミニイントロンの挿入は、エキソンの境界を明確にしかつPTM供与部位の認識を高めるようにデザインされる。PTMのコード領域に挿入されるミニイントロン配列としては、小さい天然のイントロン、または、5’コンセンサス供与部位および3’コンセンサス配列(分岐点、3’スプライス部位、ある場合にはぴりみじん管を含む)を含む合成ミニイントロンなどのイントロン配列がある。
ミニイントロン配列は約60〜100ヌクレオチドの長さであることが好ましいが、より長いミニイントロン配列も使用しうる。本発明の好ましい実施形態では、ミニイントロンは内在性イントロンの5’および3’末端を含む。本発明の好ましい実施形態では、5’イントロン断片が約20ヌクレオチドの長さで、3’末端が約40ヌクレオチドの長さである。
本発明の特定の実施形態においては、以下の配列を含む528ヌクレオチドのイントロンが利用される。イントロン構築物の配列は次のとおりである:
5’断片配列:
Gtagttcttttgttcttcactattaagaacttaatttggtgtccatgtctctttttttttctagtttgtagtgctggaaggtatttttggagaaattcttacatgagcattaggagaatgtatgggtgtagtgtcttgtataatagaaattgttccactgataatttactctagttttttatttcctcatattattttcagtggctttttcttccacatctttatattttgcaccacattcaacactgtagcggccgc;
3’断片配列:
Ccaactatctgaatcatgtgccccttctctgtgaacctctatcataatacttgtcacactgtattgtaattgtctcttttactttcccttgtatcttttgtgcatagcagagtacctgaaacaggaagtattttaaatattttgaatcaaatgagttaatagaatctttacaaataagaatatacacttctgcttaggatgataattggaggcaagtgaatcctgagcgtgatttgataatgacctaataatgatgggttttatttccag。
本発明の別の特定の実施形態では、コンセンサスISAR配列が本発明のPTMに含められる(Jonesら, NAR 29:3557-3565)。タンパク質は、ウリジンに富む領域(U1 SnRNPによる5’スプライス部位認識に必要とされる)を含むISARスプライシングアクチベーターおよびリプレッサーコンセンサス配列と結合する。18ヌクレオチドのISARコンセンサス配列は次の配列:GGGCUGAUUUUUCCAUGUを含む。本発明のPTMに挿入される場合、ISARコンセンサス配列はイントロン配列の5’供与部位に近接してPTMの構造に挿入される。本発明のある実施形態では、ISAR配列が5’供与部位から100ヌクレオチド以内に挿入される。本発明の好ましい実施形態では、ISAR配列が5’供与部位から50ヌクレオチド以内に挿入される。本発明のより好ましい実施形態では、ISAR配列が5’供与部位から20ヌクレオチド以内に挿入される。
本発明の組成物はさらに、シス作用性リボザイム配列を含むように操作されたPTMを含む。このような配列を含めることは、トランススプライシングの不在下でのPTM翻訳を少なくするようにデザインされる。PTMに挿入しうるリボザイム配列には、シス作用性(自己開裂性)RNAスプライシング反応を媒介することができる配列が含まれる。かかるリボザイムとして、限定するものではないが、ハンマーヘッド、ヘアピン、およびデルタ型肝炎ウイルスリボザイムが挙げられる(Chowら. 1994, J Biol Chem 269:25856-64参照)。
本発明のある実施形態においては、スプライシングエンハンサー、例えばエキソンスプライシングエンハンサーと呼ばれる配列をPTMの構造に含めることができる。トランス作用性スプライシング因子、すなわち、セリン/アルギニンに富む(SR)タンパク質は、そのようなエキソンスプライシングエンハンサーと相互作用してスプライシングを媒介することが示されている(Tackeら, 1999, Curr. Opin. Cell Biol. 11:358-362; Tianら, 2001, J. Biological Chemistry 276:33833-33839; Fu, 1995, RNA 1:663-680参照)。核局在化シグナルをPTM分子に含めてもよい(DingwellおよびLaskey, 1986, Ann .Rev. Cell Biol. 2:367-390; DingwellおよびLaskey, 1991, Trends in Biochem. Sci. 16:478-481)。そのような核局在化シグナルを用いて、トランススプライシングが起こる核への合成PTMの輸送を促進することができる。
PTM分子には、翻訳可能なタンパク質をコードするヌクレオチド配列の後または前のいずれかに、さらなる特徴を付加することができ、そのような特徴として、例えばスプライシングを高めるためのポリアデニル化シグナルもしくは5’スプライス配列、追加の結合領域、「セーフティー」自己相補性領域、追加のスプライス部位、または分子の安定性を調節して分解を防ぐための保護基がある。
また、キメラなトランススプライス産物を生成するために二重トランススプライシング反応を必要とするPTMを作製することも可能である。こうしたPTMは特定の遺伝子修復のために利用される内部エキソンを置換するのに使用される。2つのトランススプライシング反応を促進するようにデザインされたPTMは上記のように作製されるが、それらは5’供与部位と3’スプライス受容部位の両方を含む。さらに、これらのPTMは2以上の結合ドメインおよびスプライサー領域を含んでいてもよい。スプライサー領域は複数の結合ドメインとスプライス部位の間、あるいは複数の結合ドメイン間に配置することができる。
5.2. トランススプライシング分子の合成
PTMをコードする核酸分子を作製する場合、該核酸分子の発現ベクターへのクローニングには当技術分野で公知のクローニング技術を用いることができる。使用できる当技術分野で一般に知られている組換えDNA技術の方法は、Ausubelら(編), 1993, Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, NY;およびKriegler, 1990, Gene Transfer and Expression, A Laboratory Manual, Stockton Press, NYに記載されている。
目的のPTMをコードするDNAは、DNAの大規模複製を提供し、かつPTMの転写を指令する必須エレメントも含む様々な宿主ベクター系に組換え的に操作することができる。標的幹細胞をトランスフェクトすることを目的にこのような構築物を用いると、内因的に発現した特定の標的プレmRNAと相補的塩基対を形成し、それにより複合化した核酸分子間のトランススプライシング反応を促進するのに十分な量のPTMの転写が起こる。例えば、ベクターをin vivoで導入すると、ベクターが細胞により取り込まれて、PTM分子の転写を指令するようになる。このようなベクターは、転写されて目的のRNA(すなわちPTM)を産生するかぎり、エピソームとして維持されても染色体に組み込まれてもよい。このようなベクターは当技術分野で標準的な組換えDNA技術によって構築することができる。
目的のPTMをコードするベクターは、プラスミド、ウイルス、または哺乳類細胞で複製および発現させるのに用いる当技術分野で公知のその他のものであってよい。かかるベクターには真核生物発現ベクターが含まれ、例えば限定するものではないが、レトロウイルス、アデノウイルスまたはアデノ随伴ウイルスのクラスから誘導されるベクターなどのウイルス発現ベクターがある。PTMをコードする配列の発現は、哺乳類、好ましくはヒトの細胞で機能させるために当技術分野で公知のいずれかのプロモーター/エンハンサー配列によって調節することができる。このようなプロモーター/エンハンサーは誘導性のものであっても構成的なものであってもよい。かかるプロモーターとしては、限定するものではないが、SV40初期プロモーター領域(Benoist, C.およびChambon, P. 1981, Nature 290:304-310)、ラウス肉腫ウイルスの3’長い末端反復配列に含まれるプロモーター(Yamamotoら, 1980, Cell 22: 787-797)、ヘルペスチミジンキナーゼプロモーター(Wagnerら, 1981, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 78:1441-1445)、メタロチオネイン遺伝子の調節配列(Brinsterら, 1982, Nature 296:39-42)、CMVウイルスプロモーター、ヒトβ-絨毛膜ゴナドトロピン-6プロモーター(Hollenbergら, 1994, Mol. Cell. Endocrinology 106:111-119)などが挙げられる。本発明の好ましい実施形態では、プロモーター/エンハンサー配列を用いて、幹細胞が分化すると予想される細胞型(すなわち、肺組織、血液細胞など)でのPTMの発現を促進することができる。
5.3. トランススプライシング分子の使用および投与
本発明の組成物および方法は特定の遺伝子欠損を修正するために使用することができる。具体的には、二重トランススプライシング反応、3’エキソン置換および/または5’エキソン置換を含めた標的トランススプライシングを用いることにより、トランケートされているかまたは突然変異型表現型をもたらす点突然変異を含んでいる特定の転写産物を修復または修正することが可能である。本発明のPTMは、標的転写産物を特定の突然変異の上流もしくは下流で、または未熟3’停止コドンの上流で切断し、突然変異を含む転写産物の部分を機能性配列で置換するトランススプライシングによりその突然変異型転写産物を修正するようにデザインされる。
特に、本発明はPTMを発現することができる核酸分子の標的幹細胞への導入に関する。分化の際に、幹細胞は標的プレmRNAの発現を開始し、それによりPTM介在トランススプライシング反応のための基質をもたらす。本明細書中で用いる「幹細胞」という語は、複製して異なる細胞系統に分化する能力を保持している全能性または多能性の前駆細胞をさす。このような細胞として、限定するものではないがいくつか名を挙げると、ES細胞、造血幹細胞、ヒト羊膜上皮細胞、間葉幹細胞、肝臓の卵細胞などがある。被験者由来の幹細胞の集団を富化させるための方法は当業者に公知である。そのような方法には、限定するものではないが、幹細胞の表面マーカーを認識する抗体を使用することに基づく方法が含まれる。
幹細胞は種々の異なるドナー源から採取することができる。好ましい実施形態においては、遺伝子操作した幹細胞を受け取ることになっている被験者から自己由来の幹細胞を取得する。このアプローチは、外来組織の免疫拒絶反応および/または移植片対宿主反応が避けられるので、特に有利である。本発明のさらに別の好ましい実施形態では、レシピエントと遺伝的に近縁で、幹細胞の表面上に同一の移植抗原を有するドナーから同種異系の幹細胞を取得してもよい。あるいはまた、近縁のドナーがいない場合は、抗原的に一致した(米国登録簿より確認)ドナー由来の幹細胞を使用することができる。
幹細胞は当技術分野で公知の標準方法によりドナーから採取することができる。例えば、骨髄の幹細胞は、中空の針を骨髄空間に差し込んで、ある量の骨髄細胞を吸引して抜き取ることによりドナーから分離することができる。これとは別に、末梢の幹細胞は、例えば標準的な瀉血またはアフェレーシス法によって、ドナーから得ることができる。本発明のさらに別の実施形態では、前駆体幹細胞を含むことが知られている組織サンプルから幹細胞を誘導してもよい。これは当業者に公知の方法を用いて簡単に達成することができる。例えば、組織を機械的に解離させ、かつ/または近隣細胞間の結合を弱めて個々の細胞の組織懸濁液を分散させることができる消化酵素および/またはキレート化剤で処理する。酵素による解離は、組織を細かく砕き、砕いた組織を多くの消化酵素のいずれかで処理することにより行うことができる。そのような酵素として、限定するものではないが、トリプシン、キモトリプシン、コラゲナーゼ、エラスターゼおよび/またはヒアルロニダーゼが挙げられる。組織解離法の総説は、例えば、Freshney, Culture of Animal Cells, A Manual of Basic Technique, 第2版, A.R. Liss, Inc., New York, 1987, Ch.9, pp.107-126に掲載される。
幹細胞集団は、免疫-磁性ビーズ精製、アフィニティークロマトグラフィー、および蛍光活性化セルソーティングのような精製技術と組み合わせて、幹細胞表面抗原を発現する細胞を選択することにより富化することができる。スクリーニングされる幹細胞の発現した表面抗原は、利用しようとする幹細胞のタイプにより変化するだろう。このような細胞表面抗原は当技術分野で公知である。
種々の送達系が知られており、PTMをコードする核酸分子を幹細胞へ導入するのに用いることができる。かかる送達系として、例えば、リポソームへの封入、マイクロパーティクル、マイクロカプセル、組成物を発現しうる組換え細胞、受容体介在エンドサイトーシス(例えば、WuおよびWu, 1987, J. Biol. Chem. 262:4429-4432参照)、レトロウイルス、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、またはその他のベクターの一部としての核酸の構築、DNA注入、エレクトロポレーション、リン酸カルシウム介在トランスフェクションなどがある。
これらの組成物および方法は、欠損または突然変異した特定の遺伝子産物の発現が正常な表現型をもたらす遺伝性の遺伝子障害を有する個体の細胞に、機能的生物活性分子をコードする配列を提供するために使用することができる。
好ましい実施形態では、PTM機能を促進するために、遺伝子送達および宿主幹細胞または前駆細胞での発現という方法により、PTMをコードする配列を含む核酸を投与する。本発明のこの実施形態では、該核酸がPTM産生を促進することにより作用を媒介する。当技術分野で利用できる宿主細胞への遺伝子送達の方法はいずれも本発明に従って使用することができる。遺伝子送達法の一般的な総説としては、Strauss, M.およびBarranger, J.A., 1997, Concepts in Gene Therapy, Walter de Gruyter & Co.による, Berlin; Goldspielら, 1993, Clinical Pharmacy 12:488-505; WuおよびWu, 1991, Biotherapy 3:87-95; Tolstoshev, 1993, Ann. Rev. Pharmacol. Toxicol. 33:573-596; Mulligan, 1993, Science 260:926-932;ならびにMorganおよびAnderson, 1993, Ann. Rev. Biochem. 62:191-217; 1993, TIBTECH 11(5):155-215を参照されたい。かかる方法の例を以下に記載する。
特定の実施形態では、PTMを含むウイルスベクターを使用することができる。例えば、ウイルスゲノムのパッケージングおよび宿主細胞DNAへの組み込みに必要でないレトロウイルス配列を欠失させるように改変されたレトロウイルスベクターを用いることができる(Millerら, 1993, Meth. Enzymol. 217:581-599参照)。あるいは、アデノウイルスまたはアデノ随伴ウイルスベクターを細胞または組織への遺伝子送達に使用することができる(アデノウイルスに基づいた遺伝子送達の総説としては、KozarskyおよびWilson, 1993, Current Opinion in Genetics and Development 3:499-503を参照されたい)。
本発明の好ましい実施形態においては、アデノ随伴ウイルスベクターを用いて、PTMをコードしうる核酸分子を送達することができる。このベクターは、所望の発現レベルに応じて、好適なプロモーターおよび/またはエンハンサーエレメントをベクターに挿入しうるようにデザインされる。
本発明の特定の実施形態では、幹細胞への遺伝子送達は、PTMをコードしうる核酸分子を、エレクトロポレーション、リポフェクション、リン酸カルシウム介在トランスフェクション、またはウイルス感染のような方法により、組織培養中の幹細胞または前駆細胞に導入することを含む。通常、導入方法には細胞への選択マーカーの導入が含まれる。その後、細胞を選択条件下に置いて、導入遺伝子を取り込みかつそれを発現している細胞を単離する。得られた組換え幹細胞は当技術分野で公知の各種方法により宿主に送達することができる。好ましい実施形態において、遺伝子送達に用いる細胞は宿主由来の細胞である。
本発明の特定の実施形態では、遺伝子欠損を有する被験者から幹細胞を得て、その特定の遺伝子欠損を修正するようにデザインされたPTMをコードしうる核酸分子で幹細胞をトランスフェクトする。あるいは、PTMをコードするように操作された組換えウイルスを幹細胞に感染させてもよい。さらに、当業者には公知の慣用方法を用いて、核酸分子のゲノムへの組込み、それによる目的PTMを発現する安定した幹細胞培養物の取得について細胞を選択する。次いで、かかる細胞を被験者に移植して、修正されたタンパク質の供給源を得る。
さらに、移植に先立って移植細胞の支持体を提供する天然または合成マトリックスに幹細胞をin vitroで結合させることができる。本発明を実施する際に使用しうるマトリックスのタイプは事実上無限である。マトリックスは、レシピエント宿主に投与したとき有害反応またはアレルギー反応を生じない形態のものであるという点で、生体適合性と一般に関連した特徴をすべて備えている。所望の組織の増殖および再生を刺激しうる増殖因子をマトリックス内に組み込むこともできる。かかるマトリックスは天然または合成のいずれの材料からも作ることができ、長期間にわたる増殖因子の持続的放出を可能にするようにデザインすることが可能である。こうして、適切なマトリックスは増殖因子を提供すると同時に、移植された細胞を分化・増殖させて新しい組織を形成するためのin situ足場としても作用すると思われる。好ましい実施形態では、体内で再吸収され得る生分解性マトリックスが最も有用であると考えられる。
本発明はまた、有効量のPTMを発現する幹細胞および製薬上許容される担体を含んでなる医薬組成物も提供する。特定の実施形態において、「製薬上許容される」とは、連邦政府または州政府の規制機関によって認可されているか、または米国薬局方もしくはその他動物用、さらに特定するとヒト用として一般に認められた薬局方に挙げられていることを意味する。「担体」とは、それとともに治療薬を投与する希釈剤、アジュバント、賦形剤またはビヒクルをさす。好適な医薬品用担体の例は、E.W. Martinによる"Remington's Pharmaceutical Sciences"に記載されている。
特定の実施形態では、医薬組成物は、例えば、内在性タンパク質が欠失している、遺伝的に欠陥がある、生物学的に不活性もしくは活性が不十分である、または発現が十分でない宿主において、その内在性タンパク質もしくは機能の不在またはレベルの低下(正常または望ましいものに比べて)を伴う疾患または障害に投与される。かかる遺伝的障害としては、限定するものではないが、嚢胞性繊維症、血友病、鎌状赤血球貧血、テイ-サックス病、サラセミア、多発性嚢胞腎、筋ジストロフィーが挙げられる。PTM介在トランススプライシング反応から生じるキメラmRNAによってコードされた特定のタンパク質の活性は、例えば宿主組織サンプル(例えば、生検組織から)を採取し、in vitroでmRNAまたはタンパク質レベル、発現したキメラmRNAの構造および/または活性に関してアッセイすることで、容易に検出することができる。そのために、当技術分野で標準的な多くの方法を利用することができ、限定するものではないが、キメラmRNAによりコードされたタンパク質を検出および/または可視化するためのイムノアッセイ(例えば、ウェスタンブロット、免疫沈降とその後のドデシル硫酸ナトリウム-ポリアクリルアミドゲル電気泳動、免疫組織化学など)、および/またはキメラmRNAの存在を検出および/または可視化することによるキメラmRNA発現の形成を検出するためのハイブリダイゼーションアッセイ(例えば、ノーザンアッセイ、ドットブロット、in situハイブリダイゼーションおよび逆転写PCRなど)が含まれる。
特定の実施形態では、本発明の医薬組成物は治療が必要な部位に局所的に投与することが望ましい。これは、例えば、術後の外傷用包帯と組み合わせた局所適用、注射、またはインプラント(多孔質、非多孔質、またはゼラチン素材のものであり、シアラスティック(sialastic)メンブランのような膜またはファイバーが含まれる)によって達成することができる。その他の制御放出薬物送達系、例えばナノ粒子、制御放出ポリマー、ヒドロゲルなどのマトリックスもある。
遺伝的に改変された幹細胞は、宿主において所望の効果をもたらすのに有効な量で投与する。幹細胞の有効用量は、生物学的半減期、バイオアベイラビリティーおよび毒性などのパラメーターに着目する当業者に周知の手法によって決定することができる。本発明の組成物の有効量は、治療する遺伝的障害のタイプおよび重症度によって異なり、標準的な臨床技法によって決定することができる。かかる技法にはタンパク質発現のレベルを決定するための組織サンプルの分析が含まれる。さらにまた、最適用量範囲を確定する助けとして、in vitroアッセイを用いてもよい。
本発明はまた、本発明の医薬組成物の1種以上の成分を充填させた1以上の容器を含んでなる医薬パックまたはキットも提供し、このような容器には医薬品または生物学的製品の製造、使用または販売を規制する政府機関によって規定された形態の通知書が付随していてもよく、この通知書はヒトに投与するための製造、使用または販売の政府機関による認可を反映している。
6. 実施例:幹細胞における全長CFTRの発現
図2は、気道幹細胞でのCFTR幹細胞再構成を評価するために使用した全体的なプロトコルを表している。LacZまたはCFTRを発現するレトロウイルスを初代気道上皮細胞に形質導入した。トランスジーン発現はサザンブロット分析またはX-gal染色(一般には、10〜20%の細胞が染色される)により評価した。次に、初代細胞をヒト気管支異種移植片に播種して5〜6週間培養して再構成させた。その後、異種移植片気道上皮をCFTRまたはLacZトランスジーン発現について評価した。
LacZまたはCFTRを発現するレトロウイルスを感染させた異種移植片からのトランスジーン発現を直接比較するために、両ベクターのトランスジーンの3’非翻訳領域に相補的なRNAプローブを用いるin situ発現アッセイを開発した。このプローブは「ユニバーサルプローブ」と呼ばれ、図5Cにその位置を示してある。このプローブの感度を試験するため、RV.CBLacZ再構成異種移植片からの連続切片を用いて、in situハイブリダイゼーション(図5A)またはX-gal組織化学的染色(図5B)によりトランスジーンの発現を検出した。結果はクローン位置および感度の完全な一致を示し、このことは、このアプローチがCFTRとLacZの遺伝子発現を比較するのに問題なく使用しうることを示している。図5Dおよび5Eでは、RV.CBCFTR(D)またはRV.CBLacZ(E)レトロウイルスで再構成した異種移植片を切片化し、アンチセンスユニバーサルプローブによりプロービングしてトランスジーン発現を検出した。示されるように、RV.CBCFTRと比べて、RV.CBLacZを感染させた異種移植片の表面気道上皮により多くのクローンが存在する。白色の点がmRNA標的の発現を示していた。これらの結果の定量化を図7に示す。
従来のレトロウイルスベクターを用いた異種移植片のSAE細胞におけるLacZおよびCFTR発現の要約を図7に示す。この図は、in vitro感染後の初代気道上皮におけるトランスジーン発現と、異種移植片での気道上皮の再構成後に持続した発現のレベルを表している。感染に用いた2つのベクターはRV.CBCFTRとRV.CBLacZであった。初代上皮細胞および再構成された異種移植片のX-gal染色を用いて、異種移植片における播種前の発現レベルおよび異種移植片の再構成後のクローン増殖のレベルを測定した。さらに、in situハイブリダイゼーションを用いて、CFTR感染異種移植片との比較により、RV.CBLacZ感染異種移植片における発現も評価した。これに対して、RV.CBCFTRベクターによる初代気道上皮細胞の感染レベルを測定するためにはサザンブロット分析を使用し、また、異種移植片の再構成後のこのベクターからの発現を評価するためにin situハイブリダイゼーションを使用した。
発現レベルの要約を表の下に示す。結果は、LacZと比べて、異種移植片の全長CFTR再構成のレベルが顕著に低いことを実証している。比較によるクローン増殖の評価は、LacZと比べて、CFTRの幹細胞再構成の場合には100倍を超える選択的不利益を被ることを示唆している。
全長CFTR cDNAを発現するレトロウイルスベクター(RV.CBCFTR)からのCFTRの発現量は低いにもかかわらず、CFTRトランスジーン由来のmRNAとCFTRタンパク質の双方の発現が少ない非繊毛細胞クローンにおいて検出された。図6は、レトロウイルスにより導入されたCFTRトランスジーンの3’非翻訳領域に対するアンチセンスユニバーサルプローブを用いたin situハイブリダイゼーションを示す。図6Aでは、CFTR mRNAを発現する1つのクローンを四角で囲ってある。連続的なin situ染色とCFTRタンパク質染色の両方を図6B(上と下のパネル)に示す。6Bの真ん中のパネルは、下のパネルと同じ視野のNomarski光学顕微鏡写真である。これは、CFTRを発現する細胞が未分化の非繊毛表現型を有することを実証し、高レベルのCFTR発現が幹細胞とその分化能にとって有害でありうることを示唆している。それゆえに、気道幹細胞におけるCFTRの過剰発現は有毒であると考えられる。
CFTR PTMの送達を試験するためのレトロウイルスベクターを開発した。異種移植片再構成により気道幹細胞におけるトランスジーン発現を再構成する能力について3つのレトロウイルスベクターを比較した。図8Aは、CMV/β-アクチンプロモーターにより駆動される全長CFTR cDNAをコードするRV.CBCFTRを示す。RV.CFTR-PTM24は、CMV/β-アクチンプロモーターにより駆動されるエキソン10〜24をコードするCFTRの部分cDNAの上流のトランススプライシングドメインPTM-24(図8Bに示す)をコードする。図8Cに示すRV.CBLacZは、CMV/β-アクチンプロモーターにより駆動される全長LacZ cDNAをコードし、対照ベクターとして使用する。
図9に示すように、CFTRのPTM介在送達は異種移植片における気道上皮の再構成および分化を改善する。初代ヒト気管支気道上皮細胞に3つの異なるレトロウイルスベクター(RV.CBLacZ、RV.CBCFTR、RV.CFTRPTM-24)をin vitroで感染させたが、各ベクターは同じ転写エレメント(CMVエンハンサー/β-アクチンプロモーター)を有していた。図9Aは、CMVエンハンサーに特異的なプライマーを用いてTaq-Man PCRにより定量化した、組み込まれたプロウイルスゲノムのレベルを示す。これらの初代細胞では、ほぼ等しいレベルの形質導入が認められる。次に、感染3日後、初代気道上皮細胞(2×106個の細胞)を裸のラット気管に播種し、無胸腺ヌードマウスに皮下移植した。6週間の再構成後には、通常、十分に分化した気道上皮が異種移植片ラット気管に確立される。その後、DNAの生成およびウイルスゲノムのTaq-Man PCR定量化(図9B)またはX-galによるβ-ガラクトシダーゼの組織化学的染色(図9C〜E)のために異種移植片を回収した。Taq-Man PCRの結果から、RV.CFTRPTM-24を感染させた異種移植片からの上皮DNA内のウイルスゲノムは、RV.CBCFTRと比較して、より高い安定性を示すことが実証された。RV.CBLacZを感染させた異種移植片と比べると、RV.CFTRPTM-24ウイルスゲノムの存在量になおもわずかな低下が見られたが、このことは、PTMベクターからの残りの翻訳が幹細胞再構成を阻害しうるCFTRタンパク質の部分を産生することを示唆している。再構成された異種移植片の上皮を評価したとき、RV.CFTRPTM-24感染異種移植片(図9D)とRV.CBCFTR感染異種移植片(図9E)との間には分化に関して格段の差異が認められた。幹細胞増殖の指標となる再構成上皮(括弧で示す)の高さは、RV.CFTRPTM-24感染異種移植片と比較して、RV.CBCFTRにおいて著しく減少していた。さらに、繊毛細胞(繊毛のある先端表面を矢印で示す)はRV.CFTRPTM-24感染異種移植片に豊富に存在したが、RV.CBCFTR感染異種移植片には全く存在しなかった。繊毛細胞の存在量はRV.CBLacZ(対照ベクター)感染異種移植片上皮とRV.CFTRPTM-24感染
異種移植片上皮とで類似していたが、上皮の高さはRV.CFTRPTM-24感染異種移植片においてわずかに低かった。このことは、PTM-24構築物からの毒性が低いものの存在することを裏付けている。これらの知見は、RV.CFTRPTM-24感染をRV.CBLacZ感染と比較したときのベクターゲノムのわずかな安定性の低下を実証するTaq-Man PCRのデータと一致している。これらのデータは、CFTRのSMART送達が気道幹細胞での高レベルの異所性CFTR発現に伴って生じる毒性を軽減しうることを示している。この毒性は気道幹細胞の分化・増殖能の低下と関連しているようである。
7. 実施例:F508 CFTR突然変異のトランススプライシング介在修復
ΔF508/ΔF508肺幹細胞におけるトランススプライシングによるCFTRの条件修復および発現。CF患者由来の初代ヒト表面気道上皮(SAE)細胞にCFTR修正用PTMまたはLacZのいずれかをコードするレトロウイルスを形質導入する。形質導入した細胞は、in vivo気道再構成異種移植片モデルにおいてそれらの増殖能および生存能を試験する。各送達遺伝子(CFTR-PTMまたはLacZ)についての形質導入初代細胞の割合を、再構成された異種移植片気管支上皮に存在するトランスジーン陽性クローンの数と比較する。lacZまたはCFTRを形質導入した初代細胞による成体ヒト気管支異種移植片の再構成に続いて、移植の5週間後に、(i)CFTR塩素イオンチャンネル活性、(ii)組織化学的染色を用いたLacZトランスジーン発現、(iii)免疫組織化学を用いたCFTRトランスジーン発現、および(iv) in situハイブリダイゼーションを用いたトランスジーン由来LacZおよびPTM CFTR mRNA、について異種移植片を評価する。
実施例6に示すように、気道幹細胞における異所性CFTR発現は、異種移植片気道上皮でのトランスジーンの再構成および持続に選択的な不利益を与える。PTM介在遺伝子修復に伴う一つの利点は、分化する幹細胞が突然変異CFTRを天然で発現し始めるまで正常なCFTRの発現が抑制され、したがって、この選択的不利益が、修正された幹細胞では排除されることである。トランススプライシングは、CF患者の幹細胞を標的とするようにデザインされた遺伝子治療においてこの潜在的に重大な欠点の解決法を提供し、また、他の遺伝子疾患の幹細胞治療において有害な遺伝子発現を防止するのに適用することができる。
確定されたΔF508遺伝子型を有するCF初代気道細胞に濃縮レトロウイルスストックを感染させる。用いるレトロウイルスストックの典型的な力価は1×108cfu/mlである。この力価で試験したLacZレトロウイルスストックは、培養下の初代細胞を100%形質導入することができ、LacZを用いて測定された異種移植片のほぼ完全な再構成をもたらす。VSV-G擬態(pseudotyped)レトロウイルスベクターを作製するための手順を以下に記載する。
2つのレトロウイルスベクターを用いて、初代ヒト気道幹細胞にCF-PTMおよびLacZトランスジーンをin vitroで導入する。これらのベクターはそれぞれがCMVエンハンサー、β-アクチンプロモーター、およびSV40ポリA配列を含有する。すべての組換えレトロウイルスプロデューサー細胞株を、lacZ移動(mobilization)アッセイに基づいてヘルパーウイルスの存在について試験する。初代細胞に2mg/mlのポリブレンの存在下でレトロウイルスプロデューサー上清を感染させる。これらの細胞を用いて、以下に記載するように裸のラット気管を再構成する。
気管支異種移植片の形質導入および再構成のためのレトロウイルスベクターを図8に示す。示されるように、各ベクターは同じ調節エレメントを保有する。3’-LTR内の欠失は組込み後にプロモーターとしてのLTRを不活性化する。この構築物のデザインは記載するようにCF-PTMのクローニングに用いられる。
ベクターの生産には、多重クローニング部位を含むように改変されたpBabePuroEBV系レトロウイルスシャトルプラスミドを使用する。このプラスミドはin vivo複製用のEBV複製起点、選択用のピューロマイシン耐性遺伝子、ウイルスLTRから離れたトランスジーン発現用の改変クローニング部位を含む。CF-PTM 5、15、および16をそれぞれこのウイルスにクローニングして試験する。最適化されたCF-PTMを試験してもよい。
レトロウイルスベクターを生産するために両栄養性および環境栄養性細胞株である、それぞれPhoenixTM-Aまたは-Eを使用した。これらは高力価のレトロウイルス生産を与える第二世代の293系BOSCおよびBING細胞株である。用いることのできる細胞株には、例えばGP2-293 (Clontech:Palo Alto, CA)が含まれる。簡単に説明すると、対象の構築物を含むプラスミドDNAで細胞をトランスフェクトする。293細胞のトランスフェクションにはBES緩衝食塩水を使用するが、この場合には70〜80%のトランスフェクション効率が得られる。細胞がコンフルエンスに達した後で上清を回収する。NIH3T3細胞またはHeLa細胞への感染後トランスジーンについて上清を試験する。3サイクルのピューロマイシン選択(トランスフェクションの48〜72時間後に添加する)を行った後でプロデューサー株を増殖させる。選択した細胞は、個々の力価が極端に低くないかぎり、サブクローニングを行わない。こうした方法は105〜106cfu/mlの作業(working)力価をもたらす。細胞株TA7もレトロウイルス生産に利用可能である。この細胞株を用いると、平均して108cfu/mlのレトロウイルス力価が得られる。必要に応じて、複数のプレートから集めた上清を濃縮する。
より高力価の調製物の場合は、濾過および遠心分離によりレトロウイルス含有培地を細胞破片から分離して澄明化し、ペレットは0.5mlのHank's平衡塩溶液に再懸濁する。力価測定はNIH3T3細胞で行う。使用時には、適切な細胞株(両栄養性、VSV-GについてはNIH3T3細胞;異種栄養性についてはHeLa細胞など)でサンプルの力価を再度測定する。精製する場合は、濃縮したレトロウイルス懸濁液を25〜40%不連続ショ糖勾配にかける。勾配はSW-41ローターで40,000rpm、4℃にて1.5時間遠心する。2層のショ糖の界面からウイルスを集め、バッファーをFiltron 100K濃縮器を用いた透析濾過により乳糖保存バッファーに交換し、力価を測定して-80℃で保存する。この濃縮方法は濃縮に用いたウイルス上清の量に応じてウイルス力価を三桁分(107〜109cfu/ml)高めることができる。
初期レトロウイルスはCFTR標的化PTM 15およびPTM 24(図3B)を送達するように構築する。初代CF気道上皮細胞に濃縮レトロウイルスストックを感染させ、裸のラット気管異種移植片に播種する。上皮形質導入は組み込まれたウイルストランスジーンについてのサザンブロット分析を用いて感染後の初代細胞において評価する。初代細胞を異種移植片に播種した5週間後に、cAMPアゴニストに応答するCFTR誘導塩素イオン透過性の変化についての、経上皮電位差(PD)を用いた機能的測定を、以下に記載するように行う。cAMPにより誘導される経上皮PDの変化を、CF-PTMおよびLacZ形質導入異種移植片の間で比較する。
ヒト気管支異種移植片は、レトロウイルスにより形質導入された、肺移植組織由来の初代表面気道上皮(surface airway epithelial: SAE)細胞から作製する。ヒト気管支SAE細胞は、MEM中で0.1%のプロテアーゼ-14により36時間処理し、続いてかき混ぜることにより回収する。次に、細胞を10% FCS/MEMで2回洗浄し、ホルモン規定F12 7x培地にプレートする。精製したSAE細胞の集団に両栄養性プロデューサー上清を3日連続して2時間レトロウイルス感染させる。トリプシン-EDTAで処理して細胞を回収し、ドナーFisherラット気管(凍結融解を3回行い、MEM中ですすぐことによって生存能のある上皮をすべて取り去って裸にする)に1×106個の細胞密度で播種する。裸のラット気管に播種するためにヒト表面気管支上皮細胞集団を用いることを報じた以前の報告は、移植後早くも4週間ほどで十分に分化した上皮を形成することによるこのモデルの有用性を実証しており、このモデルは電気生理学ならびに細胞特異的マーカーであるサイトケラチン-14、サイトケラチン-18、およびCFTRの発現に関して天然のヒト気管支と機能的に同等である。
初代細胞にLacZおよびCF-PTMレトロウイルスベクターを感染させた後、形質導入SAE細胞の割合をサザンブロット分析により組み込まれたウイルスゲノムについて評価する。さらに、CFTRおよびLacZトランスジーンを発現する細胞の割合を、β-ガラクトシダーゼについては組織化学的染色により、CFTR発現については免疫蛍光により評価する。こうしたアッセイのプロトコルは以前に記載されたとおりである。気管支異種移植片の初代SAE細胞による再構成の後、異種移植片組織を移植後5週で回収して、LacZおよびCFTRトランスジーンの両方の発現を以下の方法で調べる:CFTRおよびLacZの3’-非翻訳領域内のプローブを用いたmRNAについてのin situハイブリダイゼーション、X-galを用いたLacZについての組織化学的染色、およびCFTRタンパク質のC末端を検出するα-1468抗体を用いたCFTRについての免疫蛍光。
移植後5週でのcAMP誘導塩素イオン透過性の修正のレベルを評価するためには、経上皮電位差(PD)を使用する。経上皮PDの測定は、以前に記載されたとおりに、以下の順序のバッファーの連続灌流を用いて行う:(i) 10 mM Hepes pH 7.4、145 mM NaCl、5 mM KCl、1.2 mM MgSO4、1.2 mM グルコン酸Ca、2.4 mM K2HPO4、0.4 mM KH2PO4を含有するHepesリン酸緩衝リンゲル液(HPBR)、(ii) 100 mm アミロライドを補充したHPBR、(iii) 10 mM Hepes pH 7.4、145 mM グルコン酸Na、5 mM グルコン酸K、1.2 mM MgSO4、1.2 mM グルコン酸Ca、2.4 mM K2HPO4、0.4 mM KH2PO4、100 mM アミロライドを含有するHPBR(塩素イオン不含有)、(iv) 100 mM アミロライド、200 mM 8-cpt-cAMP、10 mM ホルスコリンを補充したHPBR(塩素イオン不含有)、(v) 100 mM アミロライド、200 mM 8-cpt-cAMP、10 mM ホルスコリン、100 mM UTPを補充したHPBR(塩素イオン不含有)、ならびに(vi) HPBR。これらの条件を使用して化学的駆動力を生じさせることにより、cAMPおよびUTPアゴニスト刺激後に塩素イオン透過性の変化を評価することができる。上皮の完全性を確かめるためには、Ca+活性化塩素イオンチャンネルを通るUTP刺激塩素イオン分泌の測定を使用する。5秒ごとにコンピュータ支援データリンクによりミリボルトで記録する。
cAMP刺激後の経上皮PDの変化はCFTR修正の程度に比例し、一方UTPにより誘導される経上皮PDの変化はCa+活性化塩素イオンチャンネルを通る塩素イオン分泌を示す(SAEの電気的完全性の対照として使用する)。
機能研究の完了後、異種移植片気道をアッセイして、PTM mRNAの発現を、in situハイブリダイゼーションでPTMに特異的なプローブまたはトランススプライシングされたCFTR転写産物の3’UTR内の配列に対するユニバーサルプローブを用いて確認する。気道細胞の先端表面におけるCFTRの局在は、CFTRタンパク質またはPTM送達配列に組み込まれたタグのいずれかを検出する抗体を用いる免疫蛍光顕微鏡検査により調べる。これは幹細胞再構成の直接評価を可能にし、全長CFTR cDNAレトロウイルスベクターの場合に見出されたものと比較される。また、mRNAおよびタンパク質修復についてRT-PCRおよびウェスタンブロット分析で組織を評価することもできる。
内在性CFTR mRNAを修正するためのPTM系ベクターを用いたトランススプライシングの成功は、cAMPアゴニストに応答した塩素イオン透過性の機能的変化をもたらすはずである。アデノウイルス相補性の場合の観察に基づいて、トランススプライシングの効率が100%であるならば、レトロウイルス系PTMによる異種移植片の10%ほどの低い形質導入でも十分な機能修正を可能にするだろう。効率を高めるために、適切なエキソン配列でのトランススプライシングにより修復しうる、異なるCFTRイントロン部位を標的とする複数のPTM構築物を気道細胞に形質導入してもよい。あるいはまた、異なるプロモーターのもとで2以上のCF修復PTMをコードする多機能性レトロウイルスベクターを作製することも可能である。
本発明は、本明細書に記載の特定の実施形態に範囲を限定されるものではない。実際、当業者には上記の説明および添付の図面から、本明細書に記載されているものの他にも本発明の様々な改変が明らかになろう。このような改変も添付の特許請求の範囲内に入るものとする。本明細書には種々の参照文献が引用されているが、それらの開示の全体が参照により本明細書に組み入れられるものとする。
異なるトランススプライシング反応の模式図を示す。 PTM24を用いたゲノムΔF508 CFTRのトランススプライシング媒介mRNA修復のモデルを示す。 PTM24構築物の模式図を示す。 PTM15およびPTM24のトランススプライシングドメインの完全な配列を示す。 気道幹細胞におけるCFTR幹細胞再構成を評価するために使用したプロトコルの模式図を示す。 in situハイブリダイゼーションによるトランスジーン発現の解析を示す。 少ない非繊毛クローンにおけるCFTRトランスジーンの発現を示す。 通常のレトロウイルスベクターを用いた異種移植片の表面気道上皮(BAE)細胞におけるLacZおよびCFTR発現を示す。 CFTRのPTM送達をアッセイするためにデザインされたレトロウイルスベクターを示す。 CFTRのPTM介在送達による、異種移植片における気道上皮の再構成および分化の改善を示す。

Claims (40)

  1. 核酸分子を含んでなる幹細胞であって、該核酸分子が、
    a) 幹細胞または分化する幹細胞内で発現されたプレmRNAに該核酸分子の結合をターゲットする1以上の標的結合ドメイン;
    b) 分岐点および3’スプライス受容部位を含む3’スプライス領域;
    c) 3’スプライス領域を標的結合ドメインから分離するスペーサー領域;および
    d) 標的プレmRNAにトランススプライシングされるヌクレオチド配列;
    を含んでなり、該核酸分子は幹細胞または分化する幹細胞内の核スプライシング成分により認識されるものである、上記幹細胞。
  2. 核酸分子を含んでなる幹細胞であって、該核酸分子が、
    a) 幹細胞または分化する幹細胞内で発現されたプレmRNAに該核酸分子の結合をターゲットする1以上の標的結合ドメイン;
    b) 3’スプライス受容部位;
    c) 3’スプライス領域を標的結合ドメインから分離するスペーサー領域;および
    d) 標的プレmRNAにトランススプライシングされるヌクレオチド配列;
    を含んでなり、該核酸分子は幹細胞または分化する幹細胞内の核スプライシング成分により認識されるものである、上記幹細胞。
  3. 核酸分子を含んでなる幹細胞であって、該核酸分子が、
    a) 幹細胞または分化する幹細胞内で発現されたプレmRNAに該核酸分子の結合をターゲットする1以上の標的結合ドメイン;
    b) 5’スプライス部位;
    c) 5’スプライス部位を標的結合ドメインから分離するスペーサー領域;および
    d) 標的プレmRNAにトランススプライシングされるヌクレオチド配列;
    を含んでなり、該核酸分子は幹細胞または分化する幹細胞内の核スプライシング成分により認識されるものである、上記幹細胞。
  4. 前記核酸分子が5’供与部位をさらに含んでなる、請求項1または2に記載の幹細胞。
  5. 3’スプライス領域がピリミジン管をさらに含んでなる、請求項1または2に記載の幹細胞。
  6. 前記核酸分子が5’スプライス部位の一方または両方の側に結合する1以上の相補配列を含むセーフティー配列をさらに含んでなる、請求項1、2または3に記載の幹細胞。
  7. 前記核酸分子が3’スプライス領域の1以上の側に結合する1以上の相補配列を含むセーフティーヌクレオチド配列をさらに含んでなる、請求項1、2または3に記載の幹細胞。
  8. 前記核酸分子の標的プレmRNAへの結合が相補性、三重らせん形成またはタンパク質-核酸相互作用により媒介される、請求項1または2に記載の幹細胞。
  9. 標的プレmRNAへの前記ヌクレオチド配列のトランススプライシングが遺伝子欠損の修正をもたらす、請求項1または2に記載の幹細胞。
  10. 核酸分子を発現する組換えベクターを含む幹細胞であって、該核酸分子が、
    a) 幹細胞または分化する幹細胞内で発現されたプレmRNAに該核酸分子の結合をターゲットする1以上の標的結合ドメイン;
    b) 分岐点および3’スプライス受容部位を含む3’スプライス領域;
    c) 3’スプライス領域を標的結合ドメインから分離するスペーサー領域;および
    d) 標的プレmRNAにトランススプライシングされるヌクレオチド配列;
    を含んでなり、該核酸分子は幹細胞または分化する幹細胞内の核スプライシング成分により認識されるものである、上記幹細胞。
  11. 核酸分子を発現する組換えベクターを含む幹細胞であって、該核酸分子が、
    a) 幹細胞または分化する幹細胞内で発現されたプレmRNAに該核酸分子の結合をターゲットする1以上の標的結合ドメイン;
    b) 3’スプライス受容部位;
    c) 3’スプライス領域を標的結合ドメインから分離するスペーサー領域;および
    d) 標的プレmRNAにトランススプライシングされるヌクレオチド配列;
    を含んでなり、該核酸分子は幹細胞または分化する幹細胞内の核スプライシング成分により認識されるものである、上記幹細胞。
  12. 核酸分子を発現する組換えベクターを含む幹細胞であって、該核酸分子が、
    a) 幹細胞または分化する幹細胞内で発現されたプレmRNAに該核酸分子の結合をターゲットする1以上の標的結合ドメイン;
    b) 5’スプライス部位;
    c) 5’スプライス部位を標的結合ドメインから分離するスペーサー領域;および
    d) 標的プレmRNAにトランススプライシングされるヌクレオチド配列;
    を含んでなり、該核酸分子は幹細胞または分化する幹細胞内の核スプライシング成分により認識されるものである、上記幹細胞。
  13. 前記核酸分子が5’供与部位をさらに含んでなる、請求項10または11に記載の幹細胞。
  14. 3’スプライス領域がピリミジン管をさらに含んでなる、請求項10または11に記載の幹細胞。
  15. 前記核酸分子が3’スプライス領域および/または5’スプライス部位の1以上の側に結合する1以上の相補配列を含むセーフティーヌクレオチド配列をさらに含んでなる、請求項10、11または12に記載の幹細胞。
  16. 幹細胞または分化する幹細胞内でキメラRNA分子を生成する方法であって、
    該細胞内で発現されたプレmRNAと、核スプライシング成分により認識される核酸分子とを、該核酸分子の一部が標的プレmRNAの一部にトランススプライシングされて幹細胞または分化する幹細胞内でキメラRNAを形成する条件下で、接触させることを含んでなり、該核酸分子が、
    a) 幹細胞または分化する幹細胞内で発現されたプレmRNAに該核酸分子の結合をターゲットする1以上の標的結合ドメイン;
    b) 分岐点および3’スプライス受容部位を含む3’スプライス領域;
    c) 3’スプライス領域を標的結合ドメインから分離するスペーサー領域;および
    d) 標的プレmRNAにトランススプライシングされるヌクレオチド配列;
    を含んでなる、上記方法。
  17. 幹細胞または分化する幹細胞内でキメラRNA分子を生成する方法であって、
    幹細胞または分化する幹細胞内で発現されたプレmRNAと、核スプライシング成分により認識される核酸分子とを、該核酸分子の一部が標的プレmRNAの一部にトランススプライシングされて幹細胞または分化する幹細胞内でキメラRNAを形成する条件下で、接触させることを含んでなり、該核酸分子が、
    a) 該細胞内で発現されたプレmRNAに該核酸分子の結合をターゲットする1以上の標的結合ドメイン;
    b) 3’スプライス受容部位;
    c) 3’スプライス領域を標的結合ドメインから分離するスペーサー領域;および
    d) 標的プレmRNAにトランススプライシングされるヌクレオチド配列;
    を含んでなり、該ヌクレオチド配列のトランススプライシングにより遺伝子欠損が修正される、上記方法。
  18. 幹細胞または分化する幹細胞内でキメラRNA分子を生成する方法であって、
    幹細胞または分化する幹細胞内で発現された標的プレmRNAと、核スプライシング成分により認識される核酸分子とを、接触させることを含んでなり、該核酸分子が、
    a) 幹細胞または分化する幹細胞内で発現されたプレmRNAに該核酸分子の結合をターゲットする1以上の標的結合ドメイン;
    b) 5’スプライス部位;
    c) 5’スプライス部位を標的結合ドメインから分離するスペーサー領域;および
    d) 標的プレmRNAにトランススプライシングされるヌクレオチド配列;
    を含んでなり、該核酸分子は幹細胞または分化する幹細胞内の核スプライシング成分により認識されるものであり、該ヌクレオチド配列のトランススプライシングにより遺伝子欠損が修正される、上記方法。
  19. 前記核酸分子が5’供与部位をさらに含んでなる、請求項16または17に記載の方法。
  20. 3’スプライス領域がピリミジン管をさらに含んでなる、請求項16または17に記載の方法。
  21. 前記核酸分子が3’スプライス領域および/または5’スプライス部位の1以上の側に結合する1以上の相補配列を含むセーフティーヌクレオチド配列をさらに含んでなる、請求項16、17または18に記載の方法。
  22. 標的プレmRNAへの前記ヌクレオチド配列のトランススプライシングが遺伝子欠損の修正をもたらす、請求項16に記載の方法。
  23. a) 幹細胞または分化する幹細胞内で発現されたプレmRNAに核酸分子の結合をターゲットする1以上の標的結合ドメイン;
    b) 分岐点および3’スプライス受容部位を含む3’スプライス領域;
    c) 3’スプライス領域を標的結合ドメインから分離するスペーサー領域;および
    d) 標的プレmRNAにトランススプライシングされるヌクレオチド配列;
    を含んでなり、幹細胞または分化する幹細胞内で核スプライシング成分により認識される、核酸分子。
  24. a) 幹細胞または分化する幹細胞内で発現されたプレmRNAに核酸分子の結合をターゲットする1以上の標的結合ドメイン;
    b) 3’スプライス受容部位;
    c) 3’スプライス領域を標的結合ドメインから分離するスペーサー領域;および
    d) 標的プレmRNAにトランススプライシングされるヌクレオチド配列;
    を含んでなり、幹細胞または分化する幹細胞内で核スプライシング成分により認識される、核酸分子。
  25. a) 幹細胞または分化する幹細胞内で発現されたプレmRNAに核酸分子の結合をターゲットする1以上の標的結合ドメイン;
    b) 5’スプライス部位;
    c) 5’スプライス部位を標的結合ドメインから分離するスペーサー領域;および
    d) 標的プレmRNAにトランススプライシングされるヌクレオチド配列;
    を含んでなり、幹細胞または分化する幹細胞内で核スプライシング成分により認識される、核酸分子。
  26. 前記核酸分子が5’供与部位をさらに含んでなる、請求項23または24に記載の核酸分子。
  27. 3’スプライス領域がピリミジン管をさらに含んでなる、請求項23または24に記載の核酸分子。
  28. 前記核酸分子が3’スプライス領域および/または5’スプライス部位の1以上の側に結合する1以上の相補配列を含むセーフティーヌクレオチド配列をさらに含んでなる、請求項23、24または25に記載の核酸分子。
  29. 前記核酸分子の標的プレmRNAへの結合が相補性、三重らせん形成またはタンパク質-核酸相互作用により媒介される、請求項23に記載の核酸分子。
  30. 標的プレmRNAへの前記ヌクレオチド配列のトランススプライシングが遺伝子欠損の修正をもたらす、請求項23に記載の核酸分子。
  31. 核酸分子を発現する真核生物発現ベクターであって、該核酸分子が、
    a) 幹細胞または分化する幹細胞内で発現されたプレmRNAに該核酸分子の結合をターゲットする1以上の標的結合ドメイン;
    b) 分岐点および3’スプライス受容部位を含む3’スプライス領域;
    c) 3’スプライス領域を標的結合ドメインから分離するスペーサー領域;および
    d) 標的プレmRNAにトランススプライシングされるヌクレオチド配列;
    を含んでなり、該核酸分子は幹細胞または分化する幹細胞内の核スプライシング成分により認識されるものである、上記真核生物発現ベクター。
  32. 核酸分子を発現する真核生物発現ベクターであって、該核酸分子が、
    a) 幹細胞または分化する幹細胞内で発現されたプレmRNAに該核酸分子の結合をターゲットする1以上の標的結合ドメイン;
    b) 3’スプライス受容部位;
    c) 3’スプライス領域を標的結合ドメインから分離するスペーサー領域;および
    d) 標的プレmRNAにトランススプライシングされるヌクレオチド配列;
    を含んでなり、該核酸分子は幹細胞または分化する幹細胞内の核スプライシング成分により認識されるものである、上記真核生物発現ベクター。
  33. 核酸分子を発現する真核生物発現ベクターであって、該核酸分子が、
    a) 幹細胞または分化する幹細胞内で発現されたプレmRNAに該核酸分子の結合をターゲットする1以上の標的結合ドメイン;
    b) 5’スプライス部位;
    c) 5’スプライス部位を標的結合ドメインから分離するスペーサー領域;および
    d) 標的プレmRNAにトランススプライシングされるヌクレオチド配列;
    を含んでなり、該核酸分子は幹細胞または分化する幹細胞内の核スプライシング成分により認識されるものである、上記真核生物発現ベクター。
  34. 前記核酸分子が5’供与部位をさらに含んでなる、請求項31に記載のベクター。
  35. 前記核酸分子がピリミジン管をさらに含んでなる、請求項31に記載のベクター。
  36. 前記核酸分子が3’スプライス領域の1以上の側に結合する1以上の相補配列を含むセーフティーヌクレオチド配列をさらに含んでなる、請求項31、32または33に記載のベクター。
  37. ウイルスベクターである、請求項31、32または33に記載のベクター。
  38. 前記核酸分子の発現が哺乳動物特異的プロモーターにより制御される、請求項31、32または33に記載のベクター。
  39. 生理的に許容される担体および請求項23〜30のいずれか1項に記載の核酸分子を含んでなる組成物。
  40. 核酸分子を被験者に投与することを含んでなる被験者の遺伝子欠損を修正するための方法であって、該核酸分子が、
    a) 細胞内で発現されたプレmRNAに該核酸分子の結合をターゲットする1以上の標的結合ドメイン、ただし、該プレmRNAは遺伝子欠損を含む遺伝子によりコードされるものであること;および
    b) 標的プレmRNAにトランススプライシングされるヌクレオチド配列、ただし、該トランススプライシングは遺伝子欠損の修正をもたらすこと;
    を含んでなり、該核酸分子は該細胞内の核スプライシング成分により認識されるものである、上記方法。
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