JP2005523908A - 抗原および診断としてのその利用そしてマラリア原虫種に対するワクチン - Google Patents

抗原および診断としてのその利用そしてマラリア原虫種に対するワクチン Download PDF

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Abstract

二つのタンパク質、およびそれらのワクチン用基質としての使用は、哺乳動物被験者において、マラリア原虫感染の診断用および抗マラリア薬の開発用の、マラリア原虫種の感染に対する免疫応答を起こすことを目的とした。本発明は、さらにこれらのマラリア原虫に基づく、診断、単離および精製分析にも関与している。さらに本発明は免疫学的な試薬、特にこれらのマラリア原虫タンパク質に対する抗体と関係している。

Description

(関連する出願の参照)
本出願は、2002年3月4日に出願された、第60/361,282号米国仮出願の優先権を主張するものである。
(発明の分野)
本発明は熱帯マラリア原虫のタンパク質をコードする二つの遺伝子、これらの検出のための方法、および哺乳動物の細胞に感染したマラリア原虫の表面上にある類似したタンパク質、およびヒトやヒト以外の哺乳動物でマラリアの予防のためのワクチンに特に関与するものである。さらに本発明は、これらのマラリア原虫タンパク質に基づいた診断学的、単離および精製分析に関与する。本発明は、さらに免疫学的な試薬、特にこれらのマラリア原虫タンパク質に対する抗体にも関係している。
(発明の背景)
マラリア疾病は4つのマラリア原虫種:熱帯熱マラリア原虫、三日熱マラリア原虫、四日熱マラリア原虫および卵形マラリア原虫のうちの一つと感染することにより引き起こされる。マラリア原虫寄生虫は原生動物科に属し、無脊椎動物の宿主(ハマダラカ)と哺乳動物の宿主の両方に関与する複雑な生活環を持った真核動物寄生原虫類である。寄生生活環には、感染したハマダラカが噛むことにより“スポロゾイト”として知られる寄生の段階を注入する、哺乳動物への直接接種が含まれる。スポロゾイトは肝臓への付着を含むと考えられ、また肝臓細胞(肝細胞)内部での在留期間を延ばすことになるプロセスのカスケードを含むような活性化侵入プロセスにより、急速に肝臓の細胞に侵入する(Hollingale、McCormickら、1998)。寄生虫は、数日間にわたり、宿主の循環に放たれる何千もの寄生虫の産生につながる無性増殖を経験する。これら“メロゾイト”の形は、赤血球の外部表面への付着、新たな方向付け、および寄生虫が赤血球に完全に包まれるまでの赤血球膜の陥入(折りたたみ)を含む活性化プロセスにより、宿主細胞の赤血球を侵害する(Preiser、Kaviratneら、2000)。赤血球の内部にいる間、寄生虫は赤血球のヘモグロビンをエネルギーとして用いて成長を始め、おおよそ一ダースの寄生虫に分裂する。この成長期の間、いくつかのマラリア原虫タンパク質は赤血球の表面へ輸送され、赤血球膜組織と結合するのが見られる。これらタンパク質の位置によりそれらが宿主の免疫システムにさらされるので、それらのタンパク質のいくつかはワクチンの発達に重要な標的物を示していると考えられる(Chen、Fernandezら、1998)。二つのモデルがマラリアに対する免疫性の発達を説明するため、およびマラリアワクチン開発のための新しい戦略の開発のツールとしてしばしば用いられる(RichieおよびSaul、2002):
放射線照射スポロゾイトモデル
自然獲得免疫
(a)放射線照射スポロゾイトモデル: 本モデルは放射線照射されたマラリア原虫に感染したハマダラカが噛むことによりボランティアを免疫することを含む。蚊の中の寄生虫は放射線によりダメージを受けるが殺されることはなく、従って、弱毒化した病原体そのものを利用するワクチンを構成する。蚊が養分を与え、肝臓細胞に侵入し、制限のある発達を経験するとき、それらはワクチン接種を受けた人の血流に入ることが可能であるが、しかし、放射線により引き起こされる弱毒化のために病原性血液段階には至ることができない。肝臓での発育を経験している間、これらダメージを受けた寄生虫は、肝臓段階の寄生虫に対する強い防御免疫反応を引き起こす。上記で記述しているように、この強い防御免疫反応は、弱毒化した病原体そのものを利用したスポロゾイトワクチン由来の様々な抗体に対する多くの免疫反応の合計を示しているように思われる。放射線照射され感染した蚊の一群を6ヶ月の間ボランティアを常食にさせたとき、続けてインタクトな寄生虫でテストしたヒトのボランティアの少なくとも95%で十分に防御できるまでに免疫のレベルが上がった。この免疫は少なくとも9ヶ月間続き、株特異的ではない(しかしながら種特異的であるようだ)。もしその免疫レベルをサブユニットワクチンで再生できるならば、病気の全ての兆候が防がれるので、それは非常に有効であると考えられるだろう。この免疫は肝臓段階(前赤血球)免疫に基づくため、それは完全なマラリア感染の防御のために設計された前赤血球段階ワクチンのためのモデルを形成する。
(b)自然獲得免疫: 本モデルはマラリア風土病地域に生活している子供および成人の調査に基づいている。マラリア風土病地域に住んでいる子供が生き延び10歳に達する場合、彼らはマラリア寄生虫に感染しやすいままではあるが、しかしマラリアの重度の疾病あるいは死に発展しないことが注目されてきている。言い換えれば、彼らは獲得した免疫で、マラリア感染による重度の疾病あるいは死から保護されている。この免疫は、彼らがマラリアの地域に住み続ける限り、彼らの残りの人生に渡って持続される。クリアード・コホート研究で示しているように、彼らは寄生虫に再感染し続けるかもしれないが、しかし彼らの健康は寄生虫によって顕著に影響されることはないだろう。自然獲得免疫は血液中の寄生虫の数を制限し、宿主に対するそれらの臨床効果を弱める。この免疫は血液段階の抗原に基づくため、それはたとえ感染を防げなくても、疾病と死を削減することを目的とした赤血球段階のワクチンのためのモデルを形成する。
マラリア感染に対する防御免疫が、ある程度、循環する抗体により仲介されることはよく証明されている(MohanおよびStevenson、1998)。一つの地理的場所から得た高度免疫抗体の受動伝達は、標的抗原を多様な寄生虫株に高度に保存することができることを示唆し、他の地域でのマラリア感染を防御することが可能である(McGegor、1963;McGegorおよびWilson、1988)。これらの保存された抗原は、寄生虫に感染した赤血球の表面にあり従って防御抗体にアクセスしやすく、ワクチンの良い候補であるが、いまだ確認されていない。表面抗原を同定する従来のアプローチでは、風土病地域に住む個人から採取した過免疫血清を用いる(Howard、1988;Fernanders、1998;Kyes、1998)。今までのところこの方法で同定された二つの表面抗原であるPfEMPIタンパク質およびリフィン(Rifins)は非常に変化しやすく、また体液性免疫タンパク質中でのそれらの役割はまだ研究中である。さらに、アプローチは、高い免疫抗原性あるいは豊富な分子の同定に限られている。
高度なプロテオミクス技術およびバイオインフォマティクスツールと組み合わせた熱帯熱マラリア原虫のゲノム解読計画の完了により、発現した寄生虫タンパク質のプロファイリングを前例のない規模でより高い感度および効率で行うことが可能となっている(Florens、Washburnら、2002)。多次元タンパク質同定技術(MudPIT)、つまりタンデム質量分析をつないだ二次元液体クロマトグラフィーの長所は、複雑なタンパク質混合物、特に他のゲルベースのタンパク質分離システムでの分析が難しい膜タンパク質の混合物を分析することができる点である(Eng、McCormackら、1994;Washburn、Woltersら、2001)。
マラリアに対するワクチンの開発は、寄生虫の生活環の特定の段階に存在するのが知られる寄生虫のタンパク質の同定や、その同定されたタンパク質に対する望ましい免疫応答を刺激することを意図し、宿主内での寄生虫の機能を除去、不能あるいは阻害することを意図するワクチン運搬システムの設計および構築に焦点が置かれている。
このワクチン戦略の重要な要素は寄生虫の生活環の特定の段階におけるタンパク質の同定である。最近、研究法が発達してきており、寄生虫生活環の分離された段階からのマラリア原虫タンパク質の同定に利用されている。タンデム質量分析をつないだマイクロキャピラリー液体クロマトグラフィーを使用する本アプローチは、寄生虫生活環のいくつかの段階からの2500以上のマラリア原虫タンパク質の同定をもたらしている(Florens、Washburnら、2002)。これらのタンパク質のいくつかは新しいマラリアワクチンの可能性のある標的となっている。
現在のところ、マラリアに対して許可されたワクチンはない。保護免疫を無効にする結果となる最も効果的なマラリアワクチンは、肝臓細胞内にいる間に寄生虫を除去することに注意が向けられるだろう。しかしながら、哺乳動物宿主の血流からの循環寄生虫および隔離された寄生虫の数を減じるように作られるワクチンは、特にマラリア伝染地域に住む子供や妊婦で、発病や死亡を大幅に減じる結果となるだろう。このタイプのワクチンは、宿主の血流中に住み、かつ循環している血液段階寄生虫との何年にもわたる接触で発達した自然獲得免疫を模倣するだろう。さらに、それは赤血球へ侵入する前の循環寄生虫に発現する寄生虫タンパク質、あるいは赤血球表面上に発現する寄生虫のタンパク質のいずれかに向けられた寄生虫タンパク質ワクチンとなるだろう。熱帯熱マラリア原虫に感染した赤血球の表面上に発現する最もよく特性が明らかになっているタンパク質である、PfEMPI(あるいはさまざまな表面抗原)が、多様なタンパク質ファミリーを意味することが実際にわかっており、また、循環中の寄生虫の数を減らすことが可能な免疫反応を刺激することがわかってきている。寄生虫ゲノム内のこのタンパク質の多様性および「抗原切り替え」における役割は、熱帯熱マラリア原虫に対する長期の防御の提供におけるその役割を制限するかもしれない。感染した赤血球の表面上のさらなるマラリア原虫タンパク質に対するワクチンの発達のために、これらのタンパンク質を同定する必要性がある。
哺乳動物におけるマラリア原虫感染の有無のための診断テストを開発することは、より一層興味を引く。現在まででもっとも信頼できる診断テスト、および臨床の研究室で用いられる判断基準となる検査は、ギムザ染色法により寄生虫の有無を調べるための血液検査である。しかしながら、本方法には赤血球内のマラリア寄生虫の同定において訓練された熟練した顕微鏡使用者が必要である。マラリアが非常に固有的である世界の多くの地域には、ギムザ染色された血液フィルムを読むことに長けている、熟練した顕微鏡使用者が豊富にいる。しかしながら、ヒトでのマラリア感染が豊富でない米国および他の先進国では、熟練した顕微鏡使用者の欠乏によるマラリアの誤診は、適切な治療の提供の遅れ、および感染したヒトに起こりうる死をもたらす。血液中のマラリア原虫の有無を検出する、非常に感度が高く信頼できる生体外分析の開発は、誤診率を減らし、迅速で適切な処理をもたらすだろう。マラリア原虫の血液段階で発現する寄生虫タンパク質の同定は、ヒトおよび他の哺乳動物でマラリア原虫のための臨床解析の開発の基礎を形成するだろう。
最後に、マラリア原虫寄生虫タンパク質の同定やそれらタンパク質の生化学的およびシグナル伝達的な経路との結びつきの同定により、新しい抗マラリア薬の開発は加速されるかもしれない。赤血球表面に発現する寄生虫タンパク質は、内部に存在する寄生虫と外部環境とをつなぐリンクを提供できる。したがって、これらのタンパク質は、薬あるいは小分子のいずれかによる妨害で寄生虫に損傷および潜在的な死につながる誤報をもたらしうる、シグナル伝達経路の構成要素となることができる。
発明の概要
本発明の目的は、ヒトにおいて、感染した赤血球の表面に発現する2つの熱帯熱マラリア原虫タンパク質を同定することである。
本発明の他の目的は、これらのタンパク質をワクチンとして単独であるいは共に、生来のあるいは組み換えのタンパク質あるいはペプチドのいずれかとして用いることである。
本発明の他の目的は、これらのタンパク質をコードする遺伝子を核酸ワクチンとしてあるいは組み換えウィルスの中で用いること、あるいは受容者中でこれらタンパク質に対する免疫応答を引き起こすことを目的とする他のワクチン運搬システムを用いることである。
本発明の他の目的は、生来のタンパク質、組み換えたタンパク質、ペプチドワクチンのいずれかを、受容者中でこれらタンパク質に対する免疫反応を引き起こすことを目的とする核酸、組み換えウィルスワクチン、あるいは他の運搬システムと組み合わせて用いることである。
本発明の他の目的は、ヒトあるいは哺乳動物の血液あるいは組織内におけるマラリア原虫寄生虫の有無を検出するために、これらのタンパク質あるいはこれらのタンパク質をコードする遺伝子を用いることである。
本発明の他の目的は、マラリア原虫での新陳代謝あるいはシグナル伝達を阻害するように設計された薬あるいは小分子介在の開発で、これらのタンパク質あるいはこれらのタンパク質をコードする遺伝子を用いることである。
本発明の他の目的は、その種が三日熱マラリア原虫、卵形マラリア原虫、あるいは四日熱マラリアであるマラリア原虫のオーソロガスタンパク質、あるいはそれらのタンパク質をコードする遺伝子を同定することである。
本発明のこれらおよび他の目的は、マラリア原虫に感染した赤血球における赤血球膜に関するこれらのタンパク質、あるいは、他の種(三日熱マラリア原虫、卵形マラリア原虫、あるいは四日熱マラリア)の場合には、例えば類似の主要アミノ酸シークエンスのタンパク質または類似の核酸シークエンスの遺伝子を同定するためのコンピュータープログラムであるBLAST(Altschul SFら)を用いたシークエンスの類似性比較に基づいたマラリア原虫オーソロガスシークエンスの有無の同定により達成される。赤血球膜に関連したタンパク質の検出は、親和性精製システムを用い、さらにこれら精製タンパク質を質量スペクトルパターンの作成のために液体キャピラリー/タンデム質量分析あるいは多次元タンパク質同定技術(MudPIT)にかけ、生体外培養した熱帯熱マラリアに感染した赤血球膜タンパク質を精製することにより達成される。これらの質量スペクトルパターンは、既知あるいは予想されるタンパク質の予想された質量スペクトルをコンピューターのデータベースで検索するのに用いることができる。潜在的なタンパク質が同定され、赤血球膜と関連して発現するマラリア原虫タンパク質を示す場合、それらはタンパク質化学的および免疫学的方法によりさらに場所の検証にかけられる。これらの方法は、生来あるいは組み換えタンパク質、ペプチド、核酸、組み換えウィルスあるいは他の手段に対する免疫による哺乳動物でのタンパク質特異的抗血清の生成、および、宿主細胞中あるいは宿主細胞と関連するタンパク質の場所を特定する、共焦点顕微鏡法、免疫蛍光抗体検査、免疫電子顕微鏡法、あるいは他の方法による免疫学的局在決定でのこれらの抗血清の利用を含むだろう。我々は感染したヒト赤血球と関連する熱帯熱マラリア原虫からの2つのタンパク質を同定するためにこれらの方法を用いてきた。PfSA1と呼ばれる熱帯熱マラリア原虫表面抗原1およびPfSA2と呼ばれる熱帯熱マラリア原虫表面抗原2のタンパク質は、熱帯熱マラリア原虫赤血球膜に結合しているが、感染していない赤血球にはないということが、マウス内で作られた各タンパク質由来のペプチドに対する抗血清を用い共焦点顕微鏡を用いた免疫学的局在決定により示された。さらに、我々は、赤血球の内部でではなく赤血球表面でタンパク質を消化するトリプシンおよびキモトリプシンに、全感染した赤血球をさらすことで、感染した赤血球に対するネズミの抗血清の反応性が消失するという実証により、これらのタンパク質が感染した赤血球の外表面で部分的に結合していることを示している。トリプシンおよびキモトリプシンに対する阻害剤を含むことでこの反応性の消失を防ぐことが可能であるという実証によりさらに支持される。
さらに、マラリア原虫に感染した赤血球への免疫反応を刺激し、体内からこれらの寄生虫を排除することになる潜在的な新しいワクチン標的抗原を提供すること、宿主内部での寄生虫の複製能を制限すること、および寄生虫あるいは宿主および宿主細胞中に住む寄生虫の結果引き起こされた臨床の疾病を制限することも本発明の主題の特徴および利点である。
さらに、宿主内での寄生虫の生存に有毒な、あるいは寄生虫の生活環を中断させるような変化を寄生虫の生物学的機能に引き起こすこれらのタンパク質と結合または相互作用する薬あるいは小分子を同定することも本発明の主題の特徴および利点である。
前述および他の特徴や利点は、添付の例と共に読まれ、添付図面を参照する時に、次に述べる現在好ましい実施例の詳細な記述から、さらに明白になるだろう。本発明の範囲は付加したクレームおよびそれらに相当するものにより定義されるので、詳細な記述および例は制限的というよりはむしろ実例になることは理解されるはずである。
発明の詳細な説明
本発明に従い一般的に提供される、感染したヒト赤血球とともに発現する2つの新しいマラリア原虫タンパク質があり、これらのタンパク質は世界中いたるところの多数の株の熱帯熱マラリア原虫に存在している。我々は、熱帯熱マラリア原虫寄生赤血球の表面膜タンパク質を含む混合物の解析、および2つの新しい保護表面抗体である、PfSA1(配列番号1)およびPfSA2(配列番号2)の同定および特徴付けのために、多次元タンパク質同定技術(MudPIT)(Washburmら)を適用してきた。これらの実験において、我々はまず感染した赤血球培養から熱帯熱マラリア原虫タンパク質を単離および同定し、そして生じた同定タンパク質からのペプチドシークエンスに対する抗血清を作成し、続いて感染した赤血球表面近くのタンパク質の局在を決定し、感染した赤血球表面上でのタンパク質局在を示し、さらに、他の熱帯熱マラリア原虫単離集団におけるこれらのタンパク質およびその変異体の有無を決定した。
最初の実施形態では、本発明は、PfSA1あるいはPfSA2のどちらかもしくは両方の、核酸シークエンス(配列番号3および配列番号4)あるいはアミノ酸シークエンス(配列番号1および配列番号2)を含むワクチンの生成に向けられる。
2、3、および4番目の実施形態においては、本ワクチンは組み換えタンパク質、ペプチドワクチン、組み換えウィルスに基づいたワクチン、あるいは、アジュバント、添加剤、筋肉内、皮内、皮下、鼻腔内、経口あるいは他の方法を介した運搬体とともに、あるいはそれらなしに、注射針、針なし、あるいは弾道注入により体内へ輸送された時に、ワクチンを投与されたヒトあるいは動物で体液性免疫反応、細胞性免疫反応、あるいは両方を引き起こすように作られた他のワクチン運搬メカニズムになりえる。
本発明の5番目の実施形態では、ワクチンは、例えば、PfSA1を発現する組み換えアデノウィルスの服用に続くPfSA1DNAワクチンの3服の輸送のような、2つあるいはそれ以上の上記ワクチン運搬システムの組み合わせになりえる。上記にリストした、どの方法によるこれらのタンパク質運搬に対する免疫反応であっても、体内でのマラリア原虫寄生虫の数、マラリア原虫寄生虫の体内での生存能力、および/またはマラリア原虫寄生虫感染の臨床症状を減じる結果となるだろう。ここにリストしたワクチンの例は実例であって、限定しているわけではない。
本発明の6番目の実施形態は、体内のマラリア原虫寄生虫を検出する分析の開発である。特にPfSA1あるいはPfSA2タンパク質に反応し、免疫学的検出分析の開発を可能にする抗体が生成される。これがどのように完了するかの一つの例は、マラリア原虫寄生虫に感染したと疑われる各個人から得られた生物学的サンプルで、これらの抗体を単独あるいは組み合わせて用いることだろう。例えば、これらの抗体は、患者からの血清中のPfSA1あるいはPfSA2タンパク質の有無を検出するために酵素免疫吸着測定法(ELISA)で、あるいは蛍光読み出しを用いた寄生虫を検出するための血液フィルムの顕微鏡検査で用いることができるだろう。これらの例が包括的であるというわけではないが、しかしPfSA1および/あるいはPfSA2に対する抗体の使用の可能性を説明するものである。
この発明の7番目の実施形態は、PfSA1および/あるいはPfSA2の核酸シークエンスの検出に基づいた、体内のマラリア原虫寄生虫を検出する分析法の開発に向けられる。本実施形態の一例は、PfSA1および/あるいはPfSA2の遺伝子シークエンスから選択されたオリゴヌクレオチドプライマーシークエンスの使用である。もし合成酵素の連鎖反応分析で用いられるならば、PfSA1および/あるいはPfSA2のDNAあるいはcDNAを増幅し、ゲル電気泳動、ハイブリダイゼーション、あるいは当分野の技術者に周知の他の方法によりこの特異的な核酸産物の有無による寄生虫の検出を可能にするだろう。
本発明の8番目の実施形態は、抗マラリア合成物として用いることが可能な、薬あるいは小分子の同定に向けられている。この実施形態の一例は、赤血球表面のPfSA1あるいはPfSA2タンパク質のいずれかの一部に結合し、当該タンパク質の機能を阻害してその結果マラリア原虫寄生虫の機能を破壊する、小分子の同定だろう。
以下の例は、発明の好ましい実施形態の例証となっており、発明を制限するものとして解釈されるものではない。
実施例1
熱帯熱マラリア原虫が寄生した赤血球からのタンパク質の単離
寄生された赤血球の表面上の全てのタンパク質を得るために、我々は、インタクトな寄生された赤血球を、それぞれリジンおよびシステインへの結合特異性を伴った2つの非浸透性ビオチン、スルホン酸−NHS−LC−ビオチンおよびPEO−maleimide活性化されたビオチンで、ラベルする方法を開発した(図1)。我々は、ラベルのために、1)この発達段階で広範囲な表面修飾が見られ、2)後の発達段階(浸襲後36−48時間、以降、繁殖体段階と命名)では、データの判断を複雑にすると思われる、寄生された赤血球膜で浸透性の高まりが生じ、さらに、3)正確な量ではないが、我々の予備データでは、細胞がより早く発現した表面タンパク質を落とすかもしれないことを示唆しているため、後期栄養体−前期繁殖体段階(浸襲後30−36時間、以降、後期栄養体段階と命名)を選んだ(図2)。非結合ビオチンタンパク質を除去するための広範囲の洗浄の後、細胞を溶解し、そして可溶性タンパク質を除去するために細胞破片を再度洗浄した。続いて、細胞膜を溶解し、そして、ビオチンでラベルされたタンパク質を保持するストレプトアビジン・カラムに溶解タンパク質混合物を充填した。したがって、ストレプトアビジン・カラムから溶出された混合液は表面タンパク質に富み、MudPIT解析にかける試料の複雑さが非常に軽減された。既知の表面抗原に対する抗体を用いたウェスタンブロッティング解析を抽出方法の確認のために行った(図2)。特異的な抗体によるPfEmp−1、リフィン、およびCD36の認識は、この方法が寄生された赤血球の表面上のタンパク質を効果的に抽出したことを示唆している。1)より多くのタンパク質が、繁殖体よりも後期栄養体(侵襲後30−36時間)のプレパレーション中に存在し、2)成熟した繁殖体または断片に発現したメロゾイトにおける短系要素であるEBA175が、繁殖体段階で検出され、繁殖体に感染した赤血球における膜透過性の変化を示唆している、という結果により、MudPIT解析のための後期栄養体の使用が支持された。さらに、CD36は、PEO−maleimide活性化したビオチンによってのみラベルされ、このことは異なる特異性を有する2つのビオチンを使用する必要性を示唆した。
実施例2
精製された寄生赤血球のプレパレーションからの熱帯熱マラリア原虫タンパク質の同定
ビオチンでラベルされた断片をトリプシンおよびエンドペプチダーゼで消化し、例えばナノLCエレクトロスプレー・イオン化ソースを備えた、Thermo Finnigan社製のLCQ−デカ・イオントラップ質量分析計へ直接、噴射するためにインストールされた、二相性マイクロキャピラリー・カラムに充填した。
全オートメーション化した120ステップのクロマトグラフィーの実行を行った。熱帯熱マラリア原虫および哺乳動物タンパク質シークエンスを結合させる(宿主タンパク質を汚染することを説明するため)シークエンスのデータベース中で、MS/MSスペクトルをペプチドに適合させるために、SEQUEST(質量分析に基づくタンパク質同定ツール)を使用した。ペプチド/スペクトルの適合の有効性は、パラメーター相互相関関数(XCorr)、デルタCn値、Spランクおよび相対的なイオン率を定義するSEQUEST□を用いて評価した。それらパラメーターの保存的なセットをパスするペプチド/スペクトルの適合を選択および分類するために、DTA選択(Eng、McCormackら、1994)を用いた。多数の実行からのペプチドヒットは、CONTRAST(Eng、McCormackら、1994)を用いて比較された。
リジン特異的なスルホン−NHSビオチンで標識された2つ、およびシステイン特異的なPEO−maleimide活性化ビオチンで標識された2つの、計4つの表面タンパク質試料をMudPITにより解析した。それらの4つの独立した試料からのコンパイルしたペプチドヒットである、623のユニークなタンパク質を確実に同定した。それらのタンパク質の中で、371もまた、熱帯熱マラリア原虫の栄養体−繁殖体からの全細胞溶解質のプロテオミックな研究で発見された(Florens、Washburnら、2002)。それら共通のタンパク質(すなわちタンパク質の同定に結びつくペプチドの数)のために検分されたシークエンス範囲の相違の解析は、混入した豊富な栄養体−繁殖体タンパク質と、ビオチンラベルされた断片において特に豊富なタンパク質とを識別することを可能にした。タンパク質は、1)SignalPにより予想されるようなシグナルペプチドの有無、2)TAMPにより予想されるような膜貫通領域の有無、3)その機能がまだ特徴付けられたことのない新規のタンパク質、4)多数の熱帯熱マラリア原虫株、あるいは/および雑種のマラリア原虫亜種内のシークエンスの保存、という基準による、追加特徴で選択された。30以上の仮定のタンパク質がこれらの基準を満たした。この30の同定されたタンパク質からの2つのタンパク質、示されたPfSA1およびPfSA2を追加特徴で選択した。
実施例3
PfSA1およびPfSA2のバイオインフォマティックな特徴づけ
ウェブサイトwww.plasmodb.org上に情報科学コンピュータープログラム一式を含む情報科学パッケージを、選択したタンパク質の特徴づけのために用いた。遺伝子モデル予想はGlimmerMを用いた(Salzberg、Perteaら、1999)。PfSA1は、理論上の分子量が154kDaで等電点電気泳動ポイントが5.14である、1297のアミノ酸の仮想の酸性タンパク質である。これは単一コピー遺伝子3885ヌクレオチド長によりコードされ、PfC0435wと示され、熱帯熱マラリア原虫の染色体3(ヌクレオチド位置444174−448058)上に位置し、knowlesiマラリア原虫とオーソログを持つ。
PfSA2は、理論上の分子量が49kDaで等電点電気泳動ポイントが6.67である408のアミノ酸の仮想のタンパク質である。これは、染色体5(ヌクレオチドシークエンス64605−64133および64332−65489)のテロメア領域に近い、単一コピーの2つのエキソン遺伝子によりコードされる。他の有機体で識別可能なオーソログは持たない(10−15のBlastPカットオフE値)。PfSA1およびPfSA2はどちらも様々な地理学的な場所(図6)からの多数の熱帯熱マラリア原虫株に高度に保存されており、ワクチン構築において潜在的な有用性を示唆している。
実施例4
PfSA1およびPfSA2に特異的な抗血清の生成
PfSA1およびPfSA2に基づいてデザインされた合成ペプチドに対して、ウサギ抗血清を作った。PfSA1に使用されるペプチドシークエンスは、NNSKFSKDGDNEDFNNKNDLYNPSDKLYNN (配列番号5)である。PfSA2に使用されるペプチドシークエンスは、YEIMHKEDESKESNQHNYKEGPSYEDKKNMYKE (配列番号6)である。108および112で表示される、2つの特異的な抗体は、全細胞溶解質およびビオチン標識断片中で、PfSA1およびPfSA2の理論上の分子量にそれぞれ一致するタンパク質を認識した(図3)。
実施例5
赤血球膜へのPfSA1およびPfSA2の発現の局在
PfSA1およびPfSA2の表面での局在を確認するために、抗血清108および112からの精製IgG懸濁液中の完全な寄生赤血球を標識し、その後、ヤギ−抗ウサギおよびトリ−抗ヤギAlexa Fluor488を2次および3次抗体としてともに培養した。核を染色するためにエチジウムブロマイドを培養へ加えた。前もってポリリジンでコーティングしたカバースリップに細胞を付着させ、共焦点顕微鏡で観察した。図4は感染した赤血球の表面上の抗体の局在を示している。抗体の標識でPfSA1およびPfSA2の表面局在が確定し、寄生赤血球のトリプシンおよびキモトリプシンでの前処理により取り除かれた(図5)。
実施例6
寄生虫感染した赤血球の表面上の基礎構造へのPfSA1およびPfSA2の局在の追加特徴
抗PfSA1および抗PfSA2の両方を備えた蛍光標識のパターンは、抗原が取っ手の一部、つまり寄生赤血球の表面上で突出している構造、であったかどうかを調査するきっかけとなった。取っ手構造のない熱帯熱マラリア原虫株のマラヤン・キャンプ(Malayan Camp)をこの調査用に選択した。この株は抗KaHRPを用いて取っ手がないと確認されたが、抗PfSA1および抗PfSA2はどちらも寄生虫の表面に局在しており、抗原は取っ手構造とは関連がないことが示唆された(データ示さず)。リセット陽性(MCR+)およびロゼット陰性(MCR-)が選択された熱帯熱マラリア原虫株のマラヤン・キャンプ(Malayan Camp)を、さらに抗PfSA1および抗PfSA2の反応性についてテストした。抗原は両株の表面上に存在しており、抗原が意外にもリセット過程に組み込まれていることを示唆している。全ての熱帯熱マラリア原虫株(3D7、R29、MCR+、MCR-、MCK-、T996)で抗PfSA1および抗PfSA2に対する反応性をテストしたところ、T996でのみ両抗体に対して陰性を示した(データ示さず)。他の熱帯熱マラリア原虫株(下記および図6参照)中のPfSA1およびPfSA2の配列決定のために用いるプライマーを備えたPCRで、T996株からのどんなシークエンスの増幅も失敗したため、遺伝子がこの株から削除されたか、あるいは見分けが付かないほど分化したと考えられる。これは、染色体9のセグメントもまたT996株から削除されているという発見と同調している(Wu、未発表データ)。
実施例7
多様な地域由来の熱帯熱マラリア原虫寄生虫の株からのPfSA1およびPfSA2の特徴づけ
PfSA1およびPfSA2のシークエンスの保存について調べるために、様々な地域、7G8(南アフリカ)、マラヤン・キャンプ(Malayan Camp)(東南アジア)およびR033(アフリカ)から単離し選択された熱帯熱マラリア原虫の抗原を増幅、および配列決定するための特異的なプライマーをつくった。図6および図7に示すように、他の熱帯熱マラリア原虫株に両タンパク質は非常に保存されており、両方共に広い特異性を備えた良いワクチン候補になりえることを示唆している。
これは、寄生赤血球表面上のタンパク質の同定に対し、高い処理能力プロテオミクスアプローチを適用する最初の研究である。詳細な特徴づけに選択された2つの抗原が共に寄生赤血球の表面上にあることが確認されていたため、本方法は非常に有効である。PfSA1およびPfSA2の免疫原性の一層の評価、および抗PfSA1および抗PfSA2の有効性は、抗原が抗マラリアワクチンの標的となりえるかどうかを知る上での手がかりとなるだろう。さらに我々の研究結果は、寄生赤血球の表面構成物は我々が考えていたよりも複雑で、より多くの候補がsilico解析の結果として解析を待っていること、さらに、それら構成物は表面タンパク質であるらしいことを示唆している。これらのタンパク質のうちのいくつかは保護免疫を担ってもよいし、いくつかは細胞粘着性を仲介してもよく、栄養物の取り込みを担うチャネルとなっても良い。
データの裏づけのない実施例8
PfSA1マラリアワクチンの開発
本例では、PfSA1あるいはPfSA2の全長をコードするDNAワクチンを、GMP下で生産し、そして一カ月毎に一服5ミリグラムで3服分筋肉内に投与し、その後、PfSA1あるいはPfSA2を発現するようにつくられ、DNAワクチンの最後の投与の一ヵ月後に筋肉内に10exp11のウィルス粒子という服用量で投与される、組み換えアデノウィルスワクチンが続く。その他の実施例では、PfSA1を発現するように作られた組み換えアデノウィルスワクチンを、筋肉内に10exp11のウィルス粒子という服用量で一ヶ月毎に2あるいは3服投与する。これらの例において、これらのワクチンは、サハラ以南のアフリカに居住する子供の人口で循環するマラリア原虫感染した赤血球数を減じるために単独で使用することが可能だろうし、マラリアに関する疾病率および死亡率の低下につながるだろう。さらにまたこれらのワクチンは、肝臓段階ワクチンが100%有効ではない個人において重度のマラリアに発展するリスクを制限するために、寄生の肝臓段階に対して向けられた他のワクチンとの組み合わせの中で用いることが可能である。
データの裏づけのない実施例9
ヒトでマラリア原虫感染を検出するための迅速な解析の開発
本実施例において、PfSA1あるいはPfSA2からのポリペプチドシークエンスに対して作られた、ポリクローナルまたはモノクローナル抗体は、血清中の循環PfSA1および/あるいはPfSA2を検出するため、あるいはマラリア原虫に感染していると疑われる患者からの血液塗抹標本中の寄生虫感染赤血球の同定を促進するために、免疫学に基づいた分析で用いることが可能である。これらの実施例において、これらの抗体を用いて寄生虫の検出を分析する他の方法もまた使用できるのだが、情報の読み出しは酵素が連結した免疫吸着剤分析、蛍光ベースの分析、あるいは比色分析になるだろう。
データの裏づけのない実施例10
マラリア原虫感染赤血球の表面からの付加的なマラリア原虫タンパク質の検出方法
本例では、感染した赤血球の表面に局在する付加的なマラリア原虫タンパク質を上記と同様の方法により検出する。感染した赤血球の表面上でのそれらの局在で、マラリア原虫に感染した赤血球に対する液組成および/あるいは細胞性の免疫反応の生成に反応するような免疫システムの細胞に接触することが予想されるため、これらのタンパク質はワクチン開発のための新規のタンパク質を示すだろう。これらの付加的なタンパク質、およびこれらのタンパク質をコードする遺伝子のシークエンスは、DNAワクチン、組み換えタンパク質、組み換えウィルスワクチンあるいは他のワクチン運搬システムにより運ばれるワクチンとして用いることが可能である。
データの裏づけのない実施例11
PfSA1あるいはPfSA2組み換えタンパク質マラリアワクチンの開発
本例において、PfSA1あるいはPfSA2のDNAシークエンスをバクテリアの発現システム内でクローンを作り、精製した組み換えPfSA1あるいはPfSA2タンパク質をcGMP下で精製し、1ヶ月毎に3ヵ月間、筋肉内に50マイクログラム投与される。本例においては、生成される、PfSA1あるいはPfSA2タンパク質に対する抗体は、感染した赤血球の表面上のこれらのタンパク質に反応し、そして血液循環からの感染赤血球の排除につながるだろう。
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このように記述されている本発明の主題と同じことが、多くの方法で変えられることは明白だろう。
そのような変形は本発明の主題の精神および範囲から逸脱しているとはみなされず、また、そのような修飾はすべて請求項の範囲内となることを意味している。
図1は、ビオチンとストレプトアビジンの結合およびグアニジンによる溶出を用いた、赤血球膜の精製過程の漫画図解である。 図2は、赤血球膜の精製方法が適切なものであり、また、その方法が感染した赤血球膜に関する前述のタンパク質の適切な同定をもたらすことを示した図である。 図3は、PfSA1およびPfSA2ペプチドに対して作られた抗血清の特異性を示した図である。 図4は、共焦点顕微鏡を用いてテストされた熱帯熱マラリア原虫の6株のうちの2つで熱帯熱マラリア原虫感染した赤血球表面での、PfSA1およびPfSA2の免疫学的局在決定を示した図である。 図5は、赤血球がトリプシンおよびキモトリプシンで前処理されている場合、および別のケースでトリプシンおよびキモトリプシンの阻害剤の存在下で赤血球がトリプシンおよびキモトリプシンで処理されている場合においてテストされた、熱帯熱マラリア原虫マラヤン・キャンプ(Marayan Camp)で熱帯熱マラリア原虫感染した赤血球表面での、PfSA1およびPfSA2の免疫学的局在決定を示した図である。 図6は、3つの熱帯熱マラリア原虫単離集団(MC、R033および7G8)からのPfSA1シークエンスに対する、熱帯熱マラリア原虫クローン3D7からのPfSA1のタンパク質シークエンスのシークエンス比較である。 図7は、3つの熱帯熱マラリア原虫単離集団(MC、R033および7G8)からのPfSA2シークエンスに対する、熱帯熱マラリア原虫クローン3D7からのPfSA2のタンパク質シークエンスのシークエンス比較である。
【配列表】
Figure 2005523908
Figure 2005523908
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Claims (18)

  1. 配列番号1、配列番号2、配列番号1あるいは2と80%以上の相同性を持つ相同のシークエンス、およびそれらの組み合わせを含む群から選択される免疫原性タンパク質あるいはポリペプチドを含み、該免疫原性合成物の投与が上記タンパク質あるいはポリペプチドの全てあるいは一部への免疫応答を引き出すことを特徴とする、マラリア原虫タンパク質の免疫原性合成物。
  2. B細胞の抗原決定基を含むポリペプチド断片が配列番号1あるいは配列番号2と反応する抗体を生じることを特徴とする請求項1記載の免疫原性合成物。
  3. T細胞の抗原決定基を含むポリペプチド断片が配列番号1あるいは配列番号2に対し細胞性免疫反応する抗体を生じることを特徴とする請求項1記載の免疫原性合成物。
  4. 上記ポリペプチドが配列番号5であることを特徴とする請求項1記載のポリペプチド。
  5. 上記ポリペプチドが配列番号6であることを特徴とする請求項1記載のポリペプチド。
  6. 上記マラリア原虫タンパク質が生来的あるいは遺伝子組み換え的に発現したものであることを特徴とする請求項1記載の免疫原性合成物。
  7. さらに遺伝子組み換えウィルスワクチンを含み、上記免疫原性タンパク質あるいはポリペプチドが発現することを特徴とする請求項6記載の免疫原性合成物。
  8. 上記遺伝子組み換えウィルスがアデノウィルスであることを特徴とする請求項7記載の免疫原性合成物。
  9. 上記遺伝子組み換えウィルスがワクシニアウィルスであることを特徴とする請求項7記載の免疫原性合成物。
  10. 上記マラリア原虫タンパク質あるいはポリペプチドが三日熱マラリア原虫、卵形マラリア原虫および四日熱マラリア原虫からなる種に由来することを特徴とする請求項1記載の免疫原性合成物。
  11. 配列番号3、配列番号4、配列番号3あるいは4と80%が相同なシークエンス、およびそれらの組み合わせを含む群から選択された免疫原性タンパク質あるいはポリペプチドをコードする核酸シークエンスを含み、上記合成物の投与が免疫応答を引き起こすことを特徴とする免疫原性合成物。
  12. 上記核酸シークエンスをDNAワクチンプラスミドに挿入することと、配列番号1あるいは配列番号2に反応する抗体を生じるB細胞の抗原決定基を含むポリペプチド断片が発現されることと、を特徴とする請求項11記載の免疫原性合成物。
  13. 上記核酸シークエンスを組み換えウィルスに挿入することと、配列番号1あるいは配列番号2に反応する抗体を生じるB細胞の抗原決定基を含むポリペプチド断片が発現されることと、を特徴とする請求項11記載の免疫原性合成物。
  14. 配列番号1あるいは配列番号2のアミノ酸配列を発現する組み換えウィルスに加えて上記合成物を投与することを特徴とする請求項11記載の免疫原性合成物。
  15. 以下、
    a.感染の疑いのある患者からサンプルを獲得するステップと、
    b.酵素免疫測定法あるいはその他の免疫学に基づく方法において、上記サンプルを、ポリクローナルあるいはモノクローナル抗体と共に配列番号1あるいは配列番号2あるいはそれらの組み合わせの全てあるいは一部と接触させるステップと、
    c.投与した抗体の活性を視覚化により評価するステップと、
    d.顕微鏡下で増強した視覚化により寄生虫の有無を評価するステップと
    を含む、PfSA1あるいはPfSA2タンパク質の同定によりマラリア原虫寄生虫の有無を検出する方法。
  16. 以下、
    a.感染の疑いのある患者からサンプルを獲得するステップと、
    b.患者サンプルからゲノムDNAあるいはcDNAを用意するステップと、
    c.ゲノムDNAあるいはcDNAを、配列番号3あるいは配列番号4のヌクレオチドシークエンスのいずれかからのオリゴヌクレオチドプライマーに伴ってポリメラーゼ連鎖反応にかけるステップと、
    d.特定増幅産物の有無を分析方法により視覚化するステップと、
    を含む、PfSA1あるいはPfSA2タンパク質の同定によりマラリア原虫寄生虫の有無を検出する方法。
  17. 上記サンプルが血液あるいは組織から得られることを特徴とする請求項16記載の方法。
  18. 配列番号1あるいは配列番号2のアミノ配列からなるタンパク質と特異的に結合する単離された抗体あるいはその部分。
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