JP2005523451A - 治療薬濃度の測定検査 - Google Patents

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Abstract

本発明は患者への化合物122(およびシトクロムP450 2D6を代謝酵素とする他薬物)の適正投与量を決定するための方法を提供する。また個人の該化合物の代謝能を判別する方法、該方法を実行するための装置、該装置および方法に使用する抗体も提供する。

Description

本発明の分野
本発明は、シトクロムP450 2D6を主な薬物代謝酵素とする(2-メトキシ-5-トリフルオロメトキシ-ベンジル)-(2-フェニル-ピペリジン-3-イル)-アミン(以下、化合物122という)その他化合物について潜在患者の同化・代謝能状態を評価する単純な検査に関する。この検査の結果は、そうした化合物を疾患治療のために該患者に投与する際の至適用量の決定に役立つ。
本発明の背景
薬物の効果がその薬物の、また存在する場合にはその薬物の活性代謝物の、体内濃度に関連することは周知のとおりである。数多くの薬物はそうした濃度がある範囲内に、つまり望ましくない副作用または毒性を及ぼすほど高くはないが、所期の効果を誘発するに足る程度に高い濃度範囲内に、収まる必要がある。人類集団はこれらの薬物の濃度予測にかかわる種々の速度や機構の点で異質である。この異質性は遺伝と環境の両因子に起因する可能性がある。この異質性が作用しうる薬物動態的な側面は経口吸収の速度と度合い、初回通過効果としての肝除去度、分布容積、クリアランス、半減期などである。この異質性は治療を混乱させかねない。というのは同用量の任意の薬物がある患者には有効、別の患者には無効、第3の患者には有害という結果をもたらしかねないからである。目下、医師には患者が薬物に対し薬物動態的にどう反応するかを予測する手段がない。医師が治療を始める前に患者を検査して薬物に対する患者の反応を予測しうるようになれば、治療の質は全般に高まろう。体液中の薬物濃度に関する迅速、単純、非侵襲的、便利および正確な検査、特に医療機関で、または患者が自宅で簡便に実行しうるような検査が求められている。
シトクロムP450ファミリーの酵素類は主に、生体異物(薬物、発がん物質および環境化学物質など)と数種の生体物質(ステロイド、プロスタグランジンなど)の代謝を担当する。シトクロムP450ファミリー酵素類は種々の濃度で存在しており、またその発現と活性は化学物質環境、性別、発育段階、栄養状態および年齢などの変数により制御される。
これまでに200余りのシトクロムP450遺伝子が確認された。P450にはアイソフォームが多く、個別アイソフォームごとに前記化合物類のなかの個別物質に対して特異性を示す。場合により、薬物や発がん物質といった基質が複数のシトクロムP450の代謝作用を受ける。シトクロムP450の遺伝的多型は表現型に差がある小集団を出現させる結果となるが、それらの小集団は特定の薬物または化学化合物の生体内変換能力に差がある。
薬物選定上、こうした表現型の差は重要である。たとえば大方の人間に投与し安全である薬物も、該薬物の解毒酵素に欠陥のある個人には有害な副作用を及ぼすことがある。あるいは大方の人間には有効である薬物も、該薬物を代謝活性型に変換する酵素を欠く特定の小集団には無効であるかもしれない。さらに、生体内変換酵素を欠く個人はしばしば、環境化学物質の解毒能力を欠くため、癌になりやすい[Eichelbaum et al., Toxicology Letters, 64165: 155-22 (1992)]。従って、特定P450酵素を欠く個人を識別して、該酵素の代謝作用を受けることが判明している(または疑われている)薬物はそうした個人には使用しない(または格別に注意しながら−たとえば低用量にする、注意深くモニターするなどして−使用する)ことが大切である。そうした個人の識別はがん検診の重点化にもなろう。
シトクロムP450 2D6 (別名デブリソキンヒドロキシラーゼ)は人類集団で最も解明が進んでいる多型性P450である[Gonzalez et al., Nature, 331:442-46(1988)]。低代謝能(poor metabolizer)表現型は常染色体性劣性形質として振る舞うことが報告されており、欧米白人集団の5〜10%に見られる。この低代謝能群はシトクロムP450 2D6がわずかしかない(Gonzalez et al., supra)。シトクロムP450 2D6の遺伝的な差は環境型および職業型の疾患を発症する危険と関連する。Gonzalez & Gelboin, J. Toxicology and Environmental Health, 40:289-308 (1993)を参照。
数種の心血管および精神疾患治療薬はシトクロムP450 2D6の基質として知られており[Dahl and Bertilsson, Pharmacogenetics, 3:61-70 (1993)]、そうした薬は処方が難しい。そうした薬が大部分の集団には最高の治療薬だとしても医師は低代謝能群への弊害を恐れて処方を渋る[Buchert et al., Pharmacogenetics, 2:2-11 (1992); Dahl et al., Pharmacogenetics, 3:61-70 (1993)]。
シトクロムP450 2D6と低代謝能群対策については詳しくは米国特許第6,060,253号明細書をも参照のこと。
数多くの適応症に対し潜在的に有効な新薬である化合物122は少なくとも2つの酵素、シトクロムP450 2D6 (CYP2D6)およびP450 3A4 (CYP 3A4)の代謝作用を受けると判明している。機能的CYP 2D6活性を欠く個人(individuals)は低代謝能群(poor metabolizers, PMs)に分類され、CYP2D6遺伝子の機能的コピーを1つまたは複数有する個人よりも薬物曝露が大きくなるという危険を伴う。CYP2D6活性がより一般的なレベルにある個人は高代謝能群(extensive metabolizers, EMs)に分類される。CYP2D6自体も他薬物(キニジンやパロキセチンなど)の阻害作用を受けるので、そうした薬物を摂取する患者ではCYP2D6活性が低下する。そのため、CYP2D6だけから遺伝子型を特定しても薬物曝露の増大という危険が潜む患者を識別しうるとは限らない。CYP2D6およびCYP3A4活性には患者間変動性があるため、決まった投薬計画に従っても化合物122への曝露は集団内で大きく異なりうる。体液中の化合物122濃度を測定する装置があれば、この化合物による治療は、患者ごとに投薬計画を立てて指定レベルの曝露を実現するようにすることで、最適化しやすくなろう。
この10年間に、免疫クロマトグラフィーの原理を利用した多数のin vitro検査キットが商業化されてきた。この種の検査キットで最初に普及したのは(ヒト)絨毛性ゴナドトロピン(hCG)を目的物質とする妊娠検査キットであった。これまでに開発された検査キットには検査液として尿または血漿を使用するもの、検出試薬としてラテックス、セレンおよび金の各抱合体を使用するもの、所要時間がわずか90秒程度のものまたは15分に及ぶもの、読取部が1本線で陽性反応(すなわちサンプルのhCG濃度が25mIU/mL-超の場合)に対応するものまたは2本線で陽性反応に対応するもの(この場合の1本線は陰性反応に対応する)などがある。検査キットは、検査ストリップ末端にサンプル前線が到達すると変色する部分を具備し、その変色によって検査が完了し結果を解釈するときが来たこと(検査の終了)を告げるものも多い。
市場には多彩な妊娠検査キットに加えて、レンサ球菌(A群)、黄体形成ホルモン(LH)およびエストラジオール(E2)(排卵予測用)、マラリアなど多様な熱帯感染症、B型肝炎(抗原および抗体)、C型肝炎、ヘモグロビン、HIV(抗体)、ヘリコバクターピロリ(H. pylori、潰瘍検診)、トロポニン(心モニタリング)、および多様な依存性薬物などに関する検査キットも出回っている。おそらく上記以外を目的物質とする製品や近い将来発売されることになる新製品もあろう。前記の目的物質は大多数が存在/不存在(有/無)方式で、またほとんどがサンドイッチ法で測定、検出される。サンドイッチ法では目的物質(通常は−必ずしもそうではないが−抗体[Ab])に対して特異的なリガンドをメンブレンに固定し、検出試薬(一般にラテックスまたはコロイド金属に結合した抗体)をコンジュゲートパッドに付着させておく(ただし未結合状態のままである)。サンプル(尿、血漿、全血など)をサンプルパッドに添加すると、急速に吸収されてコンジュゲートパッドにしみ込み、検出試薬を可溶化する。検出試薬はメンブレンストリップ上をサンプル前線と共に移動し始める。サンプル中に目的物質が存在すれば、検出試薬に結合させておいた抗体へと結合することになろう。サンプルが捕捉試薬を固定化しておいた部分を通過するとき、目的物質-検出試薬複合体が捕捉される。サンプル中の目的物質量に比例して発色が起こる。
依存性薬物検査やステロイドに基づく排卵予測などのための競合法による市販検査キットもある。競合法では、検出試薬は一般に、ラテックスまたはコロイド金属に結合した目的物質(または目的物質の類似物質)である。サンプル(その中に目的物質が含まれる)と検出試薬が捕捉試薬(一般に抗体)を固定しておいた部分を通過するとき、目的物質の一部および検出試薬の一部が結合し、捕捉される。目的物質はサンプル中の濃度が高ければ高いほど、検出試薬の結合と効果的に競合し、それを排除することができよう。ほとんどの競合法の顕著な特徴は、サンプル中の目的物質の濃度の上昇に応じて読取部のシグナルが低下することである。
免疫クロマトグラフィー法を応用した検査ストリップの製造に関するきわめて有益な参考文献はMilliporeのShort Guide for Developing Immunochromatographic Test Strips (2nd Edition, 1999)である。Milliporeのホームページwww.millipore.comで楽に閲覧することができる。米国特許第5,238,652号および6,194,221号の各明細書も有益な文献である。
本発明の要約
本発明は体液中の化合物122濃度を検出するための方法と試薬に関する。該方法はELISA、RIA、ケミルミネセンス、免疫蛍光、ラテラルフローおよびフロースルーの各免疫クロマトグラフィー法を使用する。加えて本発明は、サンドイッチ法と競合法の両免疫検査キットにより、親化合物選択的な抗体、親化合物のデスメチル代謝物を検出する抗体、化学標識化合物または化学標識デスメチル代謝物を使用して体液中の化合物122を検出しよう。検査キットは標準プレートアッセイと非熟練者にも読み取れるよう工夫された自蔵式装置とからなる。本発明はさらに免疫クロマトグラフィーキット用のパッケージ品目および化合物122濃度を検出するための検査装置用新規試薬に関する。この検査キットの使用によって得られる情報は、化合物122および/または他薬物に対する患者の反応の薬物曝露面からの評価に、また好ましい曝露目標値に合わせた用量調整に、役立とう。
本発明は第1の態様で、個人が化合物122の低代謝能群、高代謝能群のいずれに属するかを判別する方法であって、該個人に試験量の化合物122を投与するステップ、該投与後の所定時間に該個人に由来する唾液サンプル中の化合物122濃度を測定するステップ、および該測定ステップで得られた化合物122濃度測定値に基づいて該個人を化合物122の低代謝能群か高代謝能群に分類するステップを含む方法を提供する。
本発明は第2の態様で、患者に投与する化合物122の適正用量を決定する方法であって、該患者に試験量の化合物122を投与するステップ、該投与後の所定時間に該患者に由来する唾液サンプル中の化合物122濃度を測定するステップ、および該唾液中濃度が高ければ該患者は化合物122の低用量治療を必要とし、また該唾液中濃度が低ければ該患者は化合物122の標準用量治療を必要とすると判断するステップを含む方法を提供する。
本発明は第3の態様で、化合物122の唾液中濃度を測定する装置であって、ラテラルフローメンブレン、該メンブレン上の唾液添加部、および該メンブラン上の該唾液添加部から横方向に間隔を開けて設けた表示部を含み、該表示部には化合物122に対して特異的な抗体を固定し、該抗体は該唾液添加部に添加された唾液が十分な濃度の化合物122を含む場合には読み取りやすい色の変化をもたらすよう標識してあることを特徴とする装置を提供する。
本発明は第4の態様で、天然に存在する化合物122の代謝物には特異的に結合しないが化合物122には特異的に結合する抗体を提供する。
詳細な説明
本発明は主に、化合物122による治療が有効と見られる患者に対し低用量治療、標準用量治療のいずれを適用するかを決定するうえで有用である。化合物122は主にシトクロムP450 2D6を代謝酵素とするため、また人類集団のかなり部分はそうした酵素の活性をほぼまたはまったく欠くため、化合物122代謝能が低い人々には低用量治療を適用して、過剰投与にならないように、また潜在的な副作用を不当にこうむることがないようにすることが大切である。しかし、患者の化合物122代謝能は2D6を主な代謝酵素とする他化合物の代謝を基に推定することも可能である。そうした化合物の例は技術上周知のデキストロメトルファンなどである。しかし、化合物122はシトクロムP450 3A4をも代謝酵素とするため、他化合物を試験化合物として使用することには危険も伴う。場合によっては、患者はある化合物122については別の試験化合物に比して低代謝能群であり、他の化合物122については高代謝脳群であるかもしれない。同じ危険を伴うが、逆に化合物122を試験化合物として使用して患者を2D6の低代謝能群または高代謝能群に分類し、この分類を基に2D6を代謝酵素とする別の薬物の用量を決定することも可能である。従って、本発明の方法は、化合物122を試験化合物とする場合でも、化合物122自体とは異なる薬物の投薬計画にも応用することができる。
好ましい実施態様では、化合物122の患者への投与は医療機関または自宅で行い、その後まもなくサンプルの唾液を採取する。使用装置は今日広く使用されている家庭用の妊娠検査キットに匹敵するものであるのが、またそのようなものとして、患者本人の手で簡単にサンプルを採取し検査結果を判定しうるのが好ましい。装置例は図2を参照。こうした「ディップスティック」検査はすでに周知であり、ごく簡単な説明書があれば実施も楽である。初めての人でも誤使用に伴うエラー率はごく低く抑えることができる。
検査装置内の抗原/抗体複合体を検出するには、抗体又は抗原に検出試薬を結合させなければならない。検出試薬の例は着色ラテックス粒子、コロイド金属、酵素などである。これらの試薬はどれも、また他の検出試薬も様々なよく知られた企業から市販されている。
構成部品や完成(試作および製作)品を生産するには種々の設備が必要となろう。特殊設備を一般に必要とするような生産工程はメンブレン、サンプルパッド、試薬パッドおよび他の多孔質媒体への試薬の添加; 支持体上へのメンブレン、サンプルパッド、コンジュゲートパッド、吸着パッドの積層とそれによる各多孔質媒体の精密なオーバーラップの創出; シート材またはロール材の定尺ストリップへの切断; およびプラスチック筺体を使用した検査ストリップの組み立て(ピック&プレース)などである。
メンブレンの素材となるポリマーはメンブレンの結合特性をほぼ決定しよう。ある種の後処理(ポリビニルピロリドンのハイレベルコーティングなど)や二次ポリマーの添加(Milliporeの特許親水化法など)は特定メンブレンポリマー(ニトロセルロース、ポリフッ化ビニリデン、テフロンなど)のタンパク質結合能を劇的に変化さよう。
メンブレンのタンパク質結合能は大体が、固定化に利用可能な表面積で決まる。メンブレンの表面積を決めるのは気孔径、気孔率(3次元構造中の空気量)、厚さであり、素材ポリマーに特有の構造特性も若干関係する。他のパラメーターがすべて等しいとすれば、表面積は気孔径の増大に伴って増大し(非線形)、厚さの増大に伴って増大し(線形)、また気孔率の上昇に伴って増大する(非線形)。
図2はラテラルフロー装置または類似装置の例である。図2Aは代表的なラテラルフロー(またはディップスティック)装置の側断面図である。A部分は体液添加領域または吸上げ領域である。B部分はコンジュゲートパッドであり、着色検出及び対照試薬を含む。検出試薬は体液前線の吸収に伴い再懸濁する。C部分はニトロセルロースメンブレンであり、毛管作用で体液前線を移動させる。D部分は捕捉領域であり、捕捉試薬を恒久的に固定化してある。E部分は対照物質用の二次捕捉試薬である。EおよびF部分の色は装置の正常な使用と読取終了を告げる。
図2Bおよび2Cは装置の図解および競合法(competitive)とサンドイッチ法(direct)の結果解釈である。
ポイントオブケア(POC)検査に好適な、技術上周知の検出手段はラテラルフロー法の他にもある。たとえばアップコンバージョン蛍光体技術(Up-converting Phosphor Technology - UPT)は低エネルギーの赤外光を高エネルギーの可視光に変換する比較的新しいレポーターシステムである。このレポーターは、タンパク質や核酸の検出に使用されるメンブレン、粒子ビーズおよび抗体などを含む任意の固体表面に適用することができる。その利点はPOC検査キットに使用した場合の検出感度の向上ときわめて低いバックグラウンドノイズ、それに複数抗原の同時検出である。さらに時間経過に伴うシグナルの減衰が起こらないし、プラットフォームがミニチュア化しやすく、またレポーターはどんな母材にも有効である。詳細はZiljlams et al., Biochemistry, 267(1):30-36 (1999)を参照。
ラテラルフロー法に代わるもう1つの方法群はマイクロ流体プラットフォームまたはマイクロ化学分析システム(マイクロTAS)とDNA鎖置換増幅法(strand displacement amplification - SDA)によりタンパク質シグナルのDNA増幅を用いる方法である。他のPOC技術はナノスケール量の試薬の使用を可能にするマイクロ流体設計をうまく利用する。理想はサンプル取扱・検出プロセス全体が専用設計のバイオチップ上で行われることである。マイクロフルイディクスは一般にPOC DNA増幅に適用されるが、タンパク質系の検出にも適用可能である。要するに抗体は、種々のマイクロ流体技術によって増幅されるDNAプローブで標識することができる。抽出と増幅はすべて専用チップ上で行う。Handylab社(Ann Arbor, MI)はこの種の技術のリーダーである。Yang et al., Biosensors and Bioelectronics, 17(6-7):605-618 (2002)をも参照。
抗体の生成と解析: モノクローナル抗体(mAb)の治療診断上の有用性は種々の因子に依存する。mAbは抗原に対する十分な結合アフィニティーと比較的高いアビディティーをもたなければならない。mAbのアビディティーは抗体(と抗原)の結合価および相互作用する複数構成要素の四次構造に基づく。mAbは有用であるには、親化合物と代謝物の濃度を区別しうる程度に特異的である必要がある。困難は、低い体液中濃度の低薬物分子を検出するのに役立ちうるだけのアフィニティー、アビディティーおよび選択性をもつ抗体の識別/生成にある。
抗体は動物を低薬物分子抱合体で免疫して産生させるが、この抱合体は市販架橋試薬を使用して標的分子(化合物122など)をBSAまたはKLHに抱合させたもの、またはビオチニル化標的分子をアビジンと複合させたものである。これらの個別例に加えて、低分子の免疫特性を増強する他の手段も技術上周知である。Kilpatrick et al., Hybridoma, 16:381-389 (1997)で開示されているRIMMSプロトコールまたは在来の脾細胞融合[“Monoclonal Antibodies”, R. Kennett, ed. Plenum Press (1999)に記載の方法を参照]を使用してもよい。要するに、RIMMS法は所属リンパ節に応答を引き起こすための免疫処置を2週間以内に5〜6回行い、次いでリンパ節リンパ球を回収する。従来の免疫法は4〜8週間の免疫スキームとそれに続く脾臓の摘出と脾細胞の単離である。どちらの方法もフロイント、Ribi、TiterMax、CpG DNAまたはミョウバンをアジュバントとして用いてよい。
標的分子対代謝物またはその逆の特異的認識を実現するには、シクロホスファミドによる免疫抑制を用いてもよい。この方法では、陰性抗原をまず適量、シクロホスファミド(CP、Sigma 1g Isopacksから新規に調製、1週間後廃棄)100mg/kgと共に、ただしアジュバント抜きで注射する。最初の注射後24時間および48時間で追加量のCPを100mg/kg投与する。動物を7〜10日間回復させ、次いで陽性抗原による通常の免疫スケジュールを開始する。リンパ節および/または脾臓リンパ球の回収後、PEG融合法でハイブリドーマを生成させてもよい(実施例2を参照)。mAbはまたファージディスプレー、cDNAクローニング、または技術上周知の他の分子生物学的手法で調製することもできる。ハイブリドーマはELISAでスクリーニングしてもよい(実施例3および4を参照)。もちろんこの場合も、技術上周知の他の手法を使用してもよい。
ELISAで標的分子または代謝物として選定されたmAbは技術上周知の方法により、BIAcore 2000を用いて表面プラズモン共鳴からアフィニティーをさらに解析することができる。要するに、精製抗体をBIAcoreチップの表面に固定化し、標的分子または代謝物の結合を結合速度と解離速度の点から、また平衡解離およびアフィニティー定数の点から解析する。逆に、低分子薬剤またはビオチニル化誘導体はBIAcoreチップ上に捕捉し、抗体の結合カイネティクスおよびアフィニティーを求めることができる。
本発明の方法を実行するには、患者はまず2D6を主な代謝酵素とする化合物の試験量投与を受けなければならない。最も好ましい実施態様では、該化合物は化合物122である。該試験量は低代謝能群の唾液中に検出可能量の化合物122を生成させるに足ると同時に有害な副作用を生じさせるおそれのない量とする必要がある。化合物122の量は2mg〜100mgが可能であり、10〜30mgが好ましく、また現時点では10mgが最も好ましい。
患者への試験量の投与は任意の好都合な方法で行ってよいが、経口投与が最も好ましい。当業者は他にもたくさんの選択肢があることを承知である。
方法を標準化するためには、唾液サンプルを投与後の所定時点に採取することが大切である。この時点は投与後0.5時間〜24時間の範囲とすることができるが、投与後1〜4時間が好ましく、現時点では投与後2時間が最も好ましい。
現時点の研究成果では、化合物122の単回投与後数時間での化合物122の患者唾液濃度は何日にもわたる毎日投与後の化合物122の患者血中濃度と正の相関関係があると判明している。化合物122の単回投与は10〜30mg投与後数時間で測定して高代謝能群で約0.01〜0.9ng/mlの、より頻繁には約0.1〜0.5ng/mlの、唾液中濃度を実現する。低代謝能群ではこれが約1.1〜5.0ng/mlであり、より頻繁には約2.0〜3.0ng/mlである。従って1.0ng/mlは化合物122の低代謝能群を高代謝能群から分け隔てる好ましいカットオフ濃度である。しかし、化合物122の試験量をずっと多く、またはずっと少なくするとしたら、あるいは試験量投与から唾液採取までの間隔が異なるとすれば、異なるカットオフ濃度で両群を分け隔てる必要があろう。
採取した唾液サンプルは採取直後に検査するのが好ましい。保存は可能ではあるが好ましくはない。最も好ましい実施態様では、唾液採取に使用した装置が検査装置を兼ねる。すなわち唾液はラテラルフローまたはディップスティック装置で採取部に吸収する形で採取すると、装置内を添加部から表示部へと移動する。しかし、もっと正確な測定が必要ならば、実施例6で説明するような検査室法も可能である。
本明細書および添付の特許請求の範囲で本発明を説明するために使用している用語の意味は当業者には自明であろうが、特に断らない限り、次のとおりとする。
「低用量治療」は化合物122の合計日用量が約20mg以下であることを意味する。
「標準用量治療」は化合物122の合計日用量が約30mg以上であることを意味する。
「化合物122の高唾液中濃度」は試験量投与の数時間後に測定して約1ng/mlを超える濃度をいう。
「化合物122の低唾液中濃度」は試験量投与の数時間後に測定して約1ng/mlを下回る濃度をいう。
「化合物122の天然に存在する代謝物」は化合物122を人間の患者に投与したときに生成される化合物122の代謝物をいう。
「ラテラルフロー装置」はサンプルの液体を吸収または吸着し、該サンプルを検出部へと移動させ、また抗体系の検出方法を使用して特異抗原の存在または不存在に応じた視覚シグナルを生成させる装置を意味する。
本発明の他の特徴および利点は以下の詳細な説明および特許請求の範囲から明らかであろう。本発明を個別実施態様との関連で説明するが、実施可能な他の変更態様もまた本発明の一部をなし、添付の特許請求の範囲に含まれるものとする。本願は、本発明の原理に総じて従う本発明の一切の等価物、変異、使用または翻案を、本発明から技術上公知または慣用の実施に当たる逸脱を含めてカバーするものである。追加の手引きは分子生物学、タンパク質科学、免疫学等の標準教科書に求められる。本明細書で引用した刊行物はすべて参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
実施例1-抗原の生成
抗原1の合成: N piperidino -スクシニル化合物122
化合物122(19.0mg, 50μmol)と無水コハク酸(5.0mg, 50μmol)をアセトニトリル0.4mL+トリエチルアミン0.05mLに溶解した。反応系を50℃で90分間混合し、次いで逆相HPLC(Vydac C4カラム)で水/アセトニトリルのグラジエントを使用して精製した。収量: 19.4mg (79%)。LC-ESMSモノアイソトピックm/z(MH+)=482.2(期待値482.2)。以前の実験では、化合物122はアシル化剤とピペリジノ窒素において優先的に反応することが示唆されていた。今回は2D HNMR実験によりNpiperidinoのスクシニル化が確認された。
抗原2の合成: N piperidino -スクシニル-2-[(2-フェニル-ピペリジン-3-イルアミノ)-メチル]-4-トリフルオロメトキシ-フェノール
2-[(2-フェニル-ピペリジン-3-イルアミノ)-メチル]-4-トリフルオロメトキシ-フェノール(18.4mg, 50μmol)と無水コハク酸(5.0mg, 50μmol)をアセトニトリル1.0mL+トリエチルアミン0.05mLに溶解した。反応系を50℃で180分間混合し、次いで逆相HPLC(Vydac C4カラム)で水/アセトニトリルのグラジエントを使用して精製した。収量: 8mg (34%)。LC-ESMSモノアイソトピックm/z(MH+) = 467.2 (期待値467.2)。
抗原3の合成: ビオチニル-ジアミノジエチレングリコールN piperidino -スクシニル化合物122
抗原1(4.8mg, 10μmol)をDMF(0.2mL)に溶解した。これに以下を順に加えた: HOAt(1-ヒドロキシ-7-アザベンゾトリアゾール;1.4mg)、HATU [O-(7-アザベンゾトリアゾール-1-イル)-N,N,N’,N’-テトラメチルウロニウム ヘキサフルオロリン酸; 3.8mg, 10μmol]およびDIEA (10μL)。この溶液を2分間混合し、次いで予めDMF(0.1mL)に溶解しておいたビオチンPEO-LC-アミン(Pierce製品#21347) 8.4mgを加えた。5分後、分析用HPLCで反応の完了を確認した。混合物を逆相HPLC(Vydac C4カラム)で水/アセトニトリルのグラジエントを使用して精製した。収量: 5.0mg (57%)。LC-ESMSモノアイソトピックm/z(MH+)=881.4(期待値881.4)。
抗原4の合成: ビオチニル-ジアミノジエチレングリコールN piperidino -スクシニル化合物122
抗原2(4.7mg, 10μmol)をDMF(0.2mL)に溶解した。これに以下を順に加えた: HOAt (1.4mg)、HATU (3.8mg, 10μmol)およびDIEA (10μL)。この溶液を2分間混合し、次いで予めDMF(0.1mL)に溶解しておいたビオチンPEO-LC-アミン(Pierce製品#21347) 8.4mgを加えた。5分後、分析用HPLCで反応の完了を確認した。混合物を逆相HPLC(Vydac C4カラム)で水/アセトニトリルのグラジエントを使用して精製した。収量: 2.2mg (25%)。LC-ESMSモノアイソトピックm/z(MH+)=867.6(期待値867.4)。
抗原1および抗原2のウシ血清アルブミン(BSA)への結合
滅菌水0.2mLに懸濁させたImject BSA(Pierce; 2.0mg)を抗原1 (2.0mg)および抱合緩衝液(Pierce Imject EDC Conjugation Buffer Catalog # 77162)0.2mLと混合した。この溶液にEDC(エチル=ジメチルアミノプロピル=カルボジイミド、Pierce) 1.0mgを加え、23℃で2時間反応させ、次いで4℃で一晩反応させた。溶液を5mLポリアクリルアミド6000脱塩カラム(Pierce)に通して低分子試薬を除去した。画分1.0mLを収集し、タンパク質含有画分を280nmでのUV吸光度によって特定し、プールした。3,000Daの平均質量増加を示したMALDI-TOF解析により共有抱合を確認した(BSA分子あたり約8分子の抗原1)。抗原2でも同様の質量増加が観測された。
抗原1および抗原2のキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)への結合
滅菌水0.2mLに懸濁させたImject KLH(Pierce; 10mg)を抗原1 (2.0mg)および抱合緩衝液0.2mLと混合した。この溶液にEDCを1.0mg加え、23℃で2時間、次いで4℃で一晩反応させた。溶液を5mLポリアクリルアミド6000脱塩カラム(Pierce)に通して低分子試薬を除去した。画分1.0mLを収集し、タンパク質含有画分を280nmでのUV吸光度によって特定し、プールした。抗原2も同様に処理した。これらの抱合体ではKLMの質量(約1,000,000 Da)との関係でMALDI-TOF解析を行わなかったが、前記と同じ条件を使用して(BSAにより)活性化を確認した。
実施例2-ハイブリドーマ生成のための融合プロトコール
この実施例で使用した方法はLane et al., Methods in Enzymology, 121:183-92 (1986)に依拠した。
骨髄腫: 融合パートナーとして使用するSp2/Ag14骨髄腫細胞株はAmerican Type Cell Collectionから入手可能である。他の類似の骨髄腫細胞株もまた融合に使用することができる。HY培地(2mM L-グルタミン、0.15mg/mlオキサロ酢酸、0.05mg/mlピルビン酸ナトリウム、8.2μg/mlインスリンおよび血清を添加。抗生物質は無添加)で増殖させる。上清のマイコプラズマ汚染の有無を検査する。密度を2×105〜106細胞/mlに維持する。生存率は95%超とするのがよい。年1回、骨髄腫細胞を8-アザグアニン選択にかける。
PEG: PEGはロットが異なると融合効率や毒性も異なる。融合試験済みPEG(Sigma等の信頼性の高いメーカー)もまた使用可能である。融合PEG液は50% PEG、5% DMSO、45%無血清培地または緩衝生理食塩水で調製し、オートクレーブで滅菌処理するのが好ましい。
培地: 融合とクローニングに使用する培地は次のとおりとする:
70% HY培地(90% DMEM高グルコース、10% NCTC 135)
20% ウシ胎仔血清(Sp2骨髄腫細胞株のクローニング効率は試験済み)
2% L-グルタミン(200mMストック)
1% OPI(Sigma O5003由来の100Xストック、ストックは15mg/mlオキサロ酢酸、5mg/mlピルビン酸ナトリウム、0.82mg/mlインスリンを含む)
5% Origen(ハイブリドーマ増殖補助剤; Igen)
1% ヒポキサンチン(136mg/mlストック)
1% アザセリン(10mg/mlストック; 選択専用)
1% ペニシリン/ストレプトマイシン
HAT選択よりもヒポキサンチン/アザセリン選択のほうが好ましい。毒性レベルを高めるおそれがありマイコプラズマの増殖を助長する高チミジン濃度を嫌うためである[Foung et al., PNAS, 79:7484-88 (1988)]。
融合手順:
・ マウスを放血させ、脾臓を摘出する。脾臓を滅菌Collectorシーブに通してすりつぶし、脾臓リンパ球を7〜15mlのHY+L-グルタミンおよび10%血清で洗浄する。
・ 細胞をペレット化し、5mlの氷冷0.17M NH4Cl (pH 7.5)に懸濁させ、氷上で8分間インキュベートして赤血球を溶解させる。10mlの無血清HY培地を加え、サンプルを取って計数し、細胞をペレット化し、無血清HY培地に懸濁させる。一般的な収量は5×107〜2×108リンパ球である(生存率は100%)。
・ リンパ球のin vitro刺激を行う場合:
・ 融合培地(アザセリンとヒポキサンチンを欠く)に107細胞/mlを懸濁させる
・ 滅菌可溶性抗原を1μg/ml添加し、またアジュバントペプチド(Sigma A9519)を20μg/ml添加する
・ 細胞を37℃、8% CO2で4日間培養する
・ 再び細胞を計数し、下記の融合プロトコールに従ってSp2細胞との融合を実行する。一般に、生存リンパ球数は開始時の数の〜50%であろうが、顕微鏡下ではさらに多くの芽細胞が見られよう。
・ Sp2細胞を計数し、脾臓リンパ球108個あたり6×107個のSp2細胞をペレット化し、無血清HY培地に懸濁させる。
・ Sp2とリンパ球を50mlコニカルチューブで混合し、無血清HY培地を加えて満タンにし、穏やかにペレット化(350 g、10分間)する。上清を捨て、軽く叩いてペレットを残留培地に懸濁させる。
・ 細胞とPEGを37℃に温め、PEGを十分に混合する。細胞とPEGを37℃の水を入れたビーカー中に滅菌フード内に移す。タイマーを用意する(必要ならば助手に秒読みをさせる)。1mlと10mlのピペットを用意する。
・ PEGを1ml取り、細胞を可能な限り温かいビーカーに入れたまま、細胞上に30秒間にわたり、かき混ぜながら滴下する。次の15秒間で10mlピペットに換え、無血清HY培地12mlを取り込む。融合開始から45秒で、該培地3mlを30秒間にわたりかき混ぜながら滴下し、次いで残り9mlを次の30秒間にかき混ぜながら滴下する。次の30秒間で遠心チューブに培地を満たす。以上のステップと所要時間をまとめると次表のようになる:
経過時間 ステップ 所要時間(秒)
0:00 融合ミックス1mlの添加開始 30
0:30 10mlピペットに換え、培地12ml 15
を取り込む
0:45 培地3mlの添加開始 30
1:15 培地9mlの添加開始 30
1:45 培地36mlの添加開始 30
・ 懸濁液を室温で8分間静置し、次に37℃で2分間静置する。細胞を穏やかにペレット化し(200 g、10分間)、上清を捨て、軽く叩いてペレットを残留培地に懸濁させる。
・ 若干の(アザセリン添加)完全培地をチューブに加え、ボトルに注ぎ移す。完全培地の全容量を所期のレベルにする。108個のリンパ球を200mlに懸濁させ、0.13ml/wellを96穴プレート24枚にプレーティングすると、1つまたは複数のクローンをもつウェルが70〜80%に達することになる。細胞をウェルに分配するには、5mlピペットに静かに取り込み、ウェルあたり2滴を滴下すればよい。あるいは懸濁液を滅菌マルチピペッターリザーバーに注ぎこみ、8〜12連マルチピペッターを使用してリザーバーからマイクロタイタープレートに移せばよい。細胞懸濁液は周期的にかき混ぜ、均一に分配されるようにする。マルチピペッターには口径の大きいワイドボアチップを使用すること。
・ 7日目にウェルに(アザセリン無添加)完全培地を0.13ml(または2滴)加える。10〜12日目頃には黄色上清を回収し始めてよい。
・ 陽性ウェルをただちにクローニングする。完全培地(アザセリン無添加)を使用した限界希釈法が有効である。
サブクローニング:
・ 高密度ながらヘルシーなウェルの中身(〜0.2ml)(96穴プレートでは推定細胞密度106細胞/ml)を24穴プレートのウェル(培地1ml入り)に懸濁させる。これはクローンを増やすためであり、2×105細胞/mlの密度になる。必要なら、血球計による計数で細胞密度を確認する。
・ この新しいウェルから、1:10希釈(たとえば0.2ml+1.8ml)を3回行って200細胞/mlの密度を実現する。再び1.3ml+11.7ml希釈して20細胞/ml液を13ml得る。この希釈液6.5mlを1/2プレート、48ウェルに0.13ml/ウェル分注する。残りの細胞に培地6.5mlを加えて密度を10細胞/mlとする。6.5mlを残りの1/2プレート、48ウェルに0.13ml/ウェル分注する。
・ 各ウェルのクローン数を4〜6日目に評価して記録し、7日目に0.1mlを加えて全ウェル(またはクローンを含むウェル)をELISAで試験する。各親細胞株から単一クローンと評価されたELISA陽性の2〜4サブクローンを維持する。ELISA陽性がどれもマルチクローナルであるときは、サブクローニングをやり直す。親細胞株と各サブクローンを2枚の24穴プレートで増殖させ、上清を5ml回収し、各々2個のバイアルを凍結させる。
実施例3-ハイブリドーマスクリーニングのためのビオチニル化ペプチドELISAプロトコール
必要な試薬:
a) Pierce 15124 Reacti-Bind Streptavidinプレート。あるいはNunc Maxisorbプレートをストレプトアビジン/炭酸水素塩緩衝液(pH 9.5)10μg/mlと4℃で一晩インキュベートして独自のストレプトアビジンプレートを作製する。
b) PBS/Tween (商標)洗浄緩衝液。PBSはCa+2またはMG+2イオンを含まず、また0.05% Tween 20(モノラウリン酸ポリオキシソルビタン)を添加してある。
c) ブロッキング液。0.1%ミルク/PBS/Tween洗浄緩衝液。これは二次抗体の希釈にも使用してよいし、また一次抗体に(精製濃縮物であれば)使用してもよい。
d) ブロッキング液で希釈した二次抗体(アフィニティー精製したヤギ抗マウスHRP抱合体Jackson 115-035-003または等価物)。希釈係数はロットごとに異なろうが、通常は1/7500である。
e) ペルオキダーゼ基質(TMB; KPL cat # 50-76-04)。
手順:
1. 10μg/mlのビオチニル化ペプチド抗原/PBS溶液を調製する。二次抗原プレートをPBS/Tweenで10分間、再水和する。
2. プレートを振って半乾きにし(洗浄と洗浄の間はいつでもプレートを完全には乾燥させないようにする。PSB皮膜を残し、皮膜が乾燥する前に次の試薬をプレートに再補充するのがベストである)、各ウェルに抗原溶液100μlを加える(抗原を節約するには、ペプチド濃度を下げ、また容量を50μlに減らしてもよい)。抗原を室温で1時間、プレートに結合させる。プレートは抗原を入れた状態で用時まで-20℃で保存してもよい。
3. 抗原を除去する(抗原と洗液を除去するには、プレートを流しに軽く振る)。ウェルにブロッキング液を満たす。室温で1時間インキュベートする。ブロッキング時間を長くするか、またはミルク濃度を高くすると、バックグラウンドが小さくなろう。
4. PBS/Tween洗浄緩衝液で1回洗浄する。
5. 各ウェルに一次抗体を95μl加える(抗原を節約するなら、この量も減らす)。室温で1時間静置する。
6. PBS/Tweenで3回洗浄する(3×10分間)。
7. 10分間再ブロックする。
8. ブロッカーで希釈した二次抗体を、一次抗体をやや下回る量(90μl)加え、30分間インキュベートする。
9. PBS/Tweenで3回洗浄する(各10分間)。
10. TMB基質を200μl/ウェル加え、5〜30分間の種々の時点に650nmでの吸光度を読み取る。陰性対照が<0.1OD、陽性対照が>1.0ODのときをエンドポイントとする。
実施例4-ハイブリドーマスクリーニングのための複合ペプチドELISAプロトコール
必要な試薬:
a) pH 9.6緩衝液。50mM炭酸/炭酸水素ナトリウム緩衝液1LをNaHCO3 2.93gとNa2CO3 1.59gを混ぜて調製する。これはほとんどの抗原に有効である。抗原の性質次第で、他pHの結合液を使用してもよい。
b) PBS/Tween洗浄緩衝液。実施例3に準じる。
c) ブロッキング液。1%ミルク/PBS/Tween洗浄緩衝液。これは二次抗体の希釈にも使用してよいし、また一次抗体に(濃縮物を希釈したものであれば)使用してもよい。ハイブリドーマの上清は血清を含むが、血清はブロッカーとして作用する。ペプチド抗原にはもっと弱いブロッカーを使用するほうがよい。これは0.1%ミルク、0.5% 〜3% BSA、または無ブロッカーであろう。
d) 二次抗体。ブロッキング液で希釈した抗血清HRP結合体(たとえばRoche #605 250または他のアフィニティー精製二次抗体源)。希釈係数はロットごとに異なろう。
e) ABTS. (Roche cat# 1112 422として入手可能な2,2’-アジノ-ジ-[3-エチル-ベンズチオ-リン スルホン酸])50mg+50ml ABTS緩衝液(# 1204 530)。
f) Nunc Maxisorbまたは他ELISAプレート(Becton-Dickinson Probind、またはポリカーボネートプレート)。
手順:
1. pH 9.6緩衝液を使用してタンパク質またはペプチド抗原の1〜10μg/ml溶液を調製する。ELISAの初期開発段階で種々の濃度を試してみて、十分なシグナルの生成に必要な最小量を求めることができる。
2. 抗原溶液100μl(または抗原を節約するなら50μl)を各ウェルに加える。4℃で一晩、抗原をプレートに結合させる。あるいは、また異なる抗原の性質次第で、抗原を室温で2時間結合させてもよい。プレートはウェルに抗原を入れた状態で-20℃で保存してもよい。
3. 抗原を除去する(抗原と洗液を除去するには、プレートを流しに軽く振る)。ウェルにブロッキング液を満たす。室温で1時間ブロックする。抗原次第で、プレートはやはりブロッキング液を入れた状態で保存してもよい。ブロッキングを強くするには、ブロッカー濃度を高くするおよび/またはブロッキング時間を長くする。
4. プレートは使用前に解凍する。PBS/Tween洗浄緩衝液で1回洗浄する。
5. 各ウェルに抗原量よりもやや少ない量の一次抗体を加える。室温で1時間静置する。
6. PBS/Tweenで3回洗浄する(3×10分間)。10分間再ブロックする。
7. 二次抗体を、一次抗体をやや下回る量(90μl)加え、30分間インキュベートする。
8. PBS/Tweenで3回洗浄する(各10分間)。
9. ABTS液を200μl/ウェル加え、5〜30分間の種々の時点に405nmでの吸光度を読み取る。これにはMolecular Devices SpectraMaxプレートリーターまたは相当のリーダーを使用する。
注意: 洗浄と洗浄の間はいつでもプレートを完全には乾燥させないようにする。
実施例5-抗体特性
化合物122およびそのデスメチル代謝物(抗原2)に対して特異的な抗体を、検査試薬として使用するために生成させた。表1は、化合物122およびそのデスメチル代謝物(抗原2)に対して生成させた4つのモノクローナル抗体の特性を示す。うち3つ(9E2.C5、5D5.D9および1E8.B9)を検査法の開発に使用した。
Figure 2005523451
5D5.D9は親化合物に対して優れたアフィニティーを示し、代謝物に対する交差反応性をほとんど示さなかったが、1E8.B9は代謝物に対して優れたアフィニティーを示し、親化合物に対する交差反応性をほとんど示さなかった。
実施例6-ラテラルフロー法のプロトコール
少量の体液をサンプル吸上げパッド(AccuWik)に直接添加し、サンプルを網細管流動により、固定検出試薬を含むコンジュゲートパッド内を移動させる。競合法では、検出試薬は着色ラテックスまたは金コロイド標識化合物からなる。サンドイッチ法では、検出試薬は着色ラテックスまたは金コロイド標識抗体からなる。コンジュゲートパッド内には別の着色ラテックスまたは金コロイドと結合した第2移動試薬が存在しよう。体液前線は毛管作用でニトロセルロースメンブレン内を移動し、恒久的に固定化された捕捉試薬を含む捕捉部に到達する。競合法では、検出試薬が標識化合物なら捕捉試薬は抗体であるか、または検出試薬が着色標識抗体なら捕捉試薬は標識化合物である。サンドイッチ法では、捕捉試薬は抗体である。競合法では着色標識が現れなければ化合物は高レベルであることを示す(図2)。直接法では、着色標識が現れれば化合物は高レベルであることを示す(図2)。化合物検出試薬の下流に設けた対照検出試薬に対する抗体を含む第2捕捉部は装置の適正な機能を指示するものであり、検査終了の表示ともなる。
実施例7-唾液中化合物122の交差検証と直接測定
1. 溶液類
化合物122-塩酸塩と内部標準[2-ジフルオロメトキシ-5-トリフルオロメトキシ-ベンジル-(2-フェニル-ピペリジン-3-イル)-アミン]塩酸塩(以下、IS−内部標準を意味する−という)のストック液を1:1メタノール/水で濃度100μg/mlに調製し、-20℃で保存した。化合物122のストック液は93日間にわたって安定であることが判明した。化合物122ストック液の安定性は10μlの(1000:1希釈)分取量を後述のHPLC/MS/MSシステムに注入し、応答を新たに調製したストック液と比較して判定した。必要に応じてストック液の連続希釈液を1:1メタノール/水で調製した。ストック液の連続希釈液により標準曲線サンプルを新たに調製し、等量添加によって0.1、0.2、0.5、2、10および50ng/mlの対照ヒト唾液(CHS)溶液が生成されるようにした。品質管理サンプルを異なるストック液から同様に0.15、5および40ng/mlのCHS溶液となるように調製した。
2. サンプルの調製
ヒト唾液50μl、0.1%水酸化アンモニウム200μlおよび2.0ng/ml IS 50μlを96穴ブロックの1ウェルに順次加えた。プレートをざっと遠心して上記の内容物を落ち着かせ、Tomtec Quadra 96上にセットした。次のステップを自動プログラムで実行した: Watersブランドの10mg Oasis HLBプレートをメタノール100μlで、次いで(2%v/v水酸化アルミニウムを含む)50:50メタノール/水200μlで状態調節し、サンプル300μlをプレートに移し、プレートを(2%v/v水酸化アルミニウムを含む)50:50メタノール/水400μlで洗い、次いで薬物とISをクリーンな96ディープウェルブロックに(2%v/v水酸化アルミニウムを含む)70:30メタノール/水200μlで溶出する。溶出液を分離し、窒素流下に蒸発乾固し、60:40メタノール:水/10mM酢酸アンモニウム(どちらも0.05%のギ酸を含む)100μlに戻し、約30秒間ボルテックスした。次いでプレートを〜1分ほど、約3000rpmで遠心した。HPLCシステムへの注入量は一般に10μlであった。
3. HPLCシステム
移動相はメタノールと10mM酢酸アンモニウム(どちらも0.05%のギ酸を含む)の二元混合物(60/40)であった。分析用カラムはPhenomenex LUNA Phenyl Hexyl, 5μ, 2.00x 50mm LC/MSカラムであり、2.0ミクロンのステンレス鋼プレカラムフィルターの後に配置してあった。Hewlett Packard 1100シリーズのクォータナリーポンプを使用し、0.30ml/minの移動相流量を維持した。CTC Analytics (LEAP) HTS PALオートサンプラーで10μlのサンプルを約3分間隔でカラムに注入した。これらのHPLC条件下で化合物122とISはどちらも溶出時間が約85秒であった。
4. 質量分析計
質量分析は正イオンモードで使用するPerkin Elmer SCIEX API 300三連四重極質量分析計で行った。HPLCカラムからの溶出液を直接、1500V、375℃、6L/sec窒素ガスで使用するTurbolonSprayイオン源に導いた。窒素ネブライザーガス流量は10に、カーテンガス流量は9にセットした。目的物質およびIS応答はマルチプルリアクションモニタリング(MRM)を使用して測定した。薬物とISに対応する分子プロトン化イオン(それぞれm/z 381.4、m/z417.1)は窒素との衝突で解離させた。衝突ガス(CAD)は5にセットし32eVの衝突エネルギーを使用した。薬物ランとISランのどちらでもm/z 160.0での生成イオンをモニターした。この方法を使用して、実施例8で採取したサンプル唾液中の化合物122濃度を測定した。
実施例8-健康な被験者(CYP2D6高代謝能群および低代謝能群)の唾液中の化合物122濃度−10、30および100mg投与後: パラキセチンの同時投与を伴う場合と伴わない場合
目的:
この研究の目的は、CYP2D6高代謝能群(EMs)および低代謝能群(PMs)を含む健康な被験者に化合物122を経口投与した後の、およびCYP2D6阻害剤であるパロキセチンを同時投与した場合の化合物122の唾液中濃度を測定することであった。
方法:
被験者。被験者は次の3群に分け、1群を6人とした: CYP2D6高代謝能群(「中間」代謝能の1人を含む)、CYP2D6阻害剤パロキセチンの同時投与を受けたCYP2D6高代謝能群(やはり「中間」代謝能の1人を含む)、およびCYP2D6低代謝能群。被験者には化合物122塩酸塩を次の5区切りに分けて投与した: 10mg毎日1回(10mg q.d.)を5日間→10mg毎日2回(10mg b.i.d.)を5日間→30mg毎日1回を5日間→30mg毎日2回を5日間→最後に100mg毎日1回を5日間。唾液サンプルは各区切りの初日に採取した。
サンプルの分析。唾液中の化合物122濃度を、検証済みのHPLC-MS/MS試験(実施例7)を用いて調べた。サンプルは順次、固相抽出法、クロマトグラフィー、Sciex API3000タンデム四重極質量分析計による分析にかけた。
計算。個別数値の半数以上が>LLOQの場合には平均値を計算した。濃度が<LLOQの場合には0値とした。唾液中の化合物122のAUC(0〜24hr)値は線形台形法を用いて計算した。Cav(平均濃度)はAUC(0〜24hr)/24によって規定される。
結果:
表2は3被験者群(CYP2D6 EM被験者、PM被験者、およびパロキセチンの同時投与を受けたEM被験者)の平均濃度データの比較である。各投与群内の被験者間変動は大きく、%CV値は一般にPM被験者よりもEM被験者のほうが大きかった。IM被験者の曝露値は同じ投与群内のEM被験者と大差なかった。
Figure 2005523451
一般に、化合物122の唾液中濃度はPM被験者で高かった。PM被験者の平均唾液中AUC(0〜24hr)値はEM被験者のそれの2.8〜6.5倍であった。これら2群間の差は低用量でより大きかった。パロキセチンの同時投与を受けたEM被験者の値はEM被験者とPM被験者の間であった。
投与(毎日1回に限る)後2、4、8および24時間でのサンプリングでのEM被験者、PM被験者およびパロキセチン投与EM被験者の間の平均唾液中濃度値の比較から、EMおよびPM被験者の間の差は投与後の経過時間が長くなるほど、また低用量の場合ほど、より明白であると判明した。最大の差が観測されたのは24時間後の個別値であった。10mg用量では、1人のEM被験者に限り化合物122の唾液中濃度が最低濃度のPM被験者のそれを上回った。化合物122の唾液中濃度が最低のPM被験者と最高のEM被験者の間の重複度合いは用量の増加に伴って増大した。
3投与群のいずれでも、10倍の用量増(10mg→100mg)は10倍を超える曝露値の増大をもたらした(EM、PMおよびパロキセチン同時投与EMの各被験者でそれぞれ59倍、26倍、62倍)。経口投与での曝露値の増大は低用量域で比較的顕著であり、またPM被験者よりもEMおよびパロキセチン同時投与EM被験者で比較的顕著であった。
解釈:
これらの結果は化合物122の唾液中濃度が10〜100mg/日の経口投与後に容易に測定可能であること、またCYP2D6のEM被験者とPM被験者の間に差を認めうることを示す。特に化合物122の低用量(10mgまたは30mg)投与後24時間でのEMおよびPMの唾液中濃度実測値の間の差は、そうした測定を非侵襲的な検査に使用してこの薬物に関するCYP2D6表現型を識別することが潜在的に可能であることを示唆している。しかし、EM被験者をパロキセチン同時投与EM被験者から区別するのはそれほど容易ではないかもしれない。パロキセチンの頻回投与はCYP2D6 EM被験者をCYP2D6 PM「表現型模写」に転換するとの報告がある。化合物122の唾液中濃度に関しては、パロキセチンは確かにそれを上昇させる一因となったが、ただしその上昇もCYP2D6 PM被験者で観測された濃度には及ばなかった。
唾液中薬物濃度は化合物122の非結合血中濃度を反映するものと期待されるはずである。初期の実験ではヒト血中の化合物122の非結合率はfu=0.07であった。従って、唾液中濃度をfuで割ると全血中濃度に近い値が得られるはずである。興味深いことに、30mg毎日2回投与は平均唾液中濃度Cav値4.04ng/mLをもたらしたが、それは58ng/mLの血中Cavに相当しよう。対応する血中薬物動態データが得られるようになれば、唾液中濃度と血中濃度のもっと強い相関を示すことができる。
化合物122に対する唾液曝露は用量の増加に伴って増大した。曝露は変動性が大きく、%CV値は一般に100%を超えた。
CYP2D6のEMsとPMsでは唾液曝露の全般的な差が観測されたが、その差は低用量で最も大幅であった。これらの差は、化合物122の唾液中濃度のPOC検査がCYP2D6 EM群およびPM群を区別するために利用しうること、およびこれら両群に対して必要に応じて異なる化合物122用量を指定するために使用しうることを示唆する。
図1は本発明に使用する抗体を生成するために使用する抗原の化学構造を示す。 図2は免疫クロマトグラフィー法に基づく自蔵式検査キットの例を示す。 図2は免疫クロマトグラフィー法に基づく自蔵式検査キットの例を示す。 図2は免疫クロマトグラフィー法に基づく自蔵式検査キットの例を示す。 図3は、化合物122の投与を受けた健康な被験者の、投与後の特定時点での、唾液中および血中の化合物122濃度をHPLC-MS/MS分析法で測定した結果をグラフ化したものである。唾液中濃度が継続投与後に実現される循環濃度の予測指標となることが、このグラフから明らかである。

Claims (10)

  1. 被験者が化合物122の低代謝能群または高代謝能群のいずれに属するかを判別する方法であって、
    (a) 該被験者に試験量の化合物122を投与するステップ、
    (b) 該投与ステップ後、所定時間間隔で該被験者からの唾液サンプル中の化合物122濃度を計測するステップ、および
    (c) 該計測ステップで得られた化合物122の濃度値に基づいて該被験者を化合物122の低代謝能群か高代謝能群に分類するステップ
    を含む前記方法。
  2. 前記時間間隔が2時間以下である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記試験量が10mg以下である、請求項1に記載の方法。
  4. 前記唾液中の化合物122の濃度をラテラルフロー検査で計測する、請求項1に記載の方法。
  5. 前記唾液中の化合物122の濃度をHPLCまたは質量分析法を用いて計測する、請求項1に記載の方法。
  6. 10mgの試験量の経口投与後2〜3時間での被験者の唾液中の化合物122の濃度が1ng/mlを超える場合には、該被験者を低代謝能群に分類する、請求項1に記載の方法。
  7. 患者に投与すべき化合物122の適正用量を決定する方法であって、
    (a) 該患者に試験量の化合物122を投与するステップ、
    (b) 該投与後、所定時間間隔で該患者に由来する唾液サンプル中の化合物122濃度を測定するステップ、および
    (c) 該唾液中濃度が高ければ該患者は化合物122の低用量治療を必要とし、そして該唾液中濃度が低ければ該患者は化合物122の標準用量治療を必要とすると判断するステップ
    を含む前記方法。
  8. 10mgの試験量の経口投与後1〜4時間で測定したときに唾液中濃度が1ng/mlを超える場合には、該唾液中濃度を高いと判定する、請求項7に記載の方法。
  9. 化合物122の唾液中濃度を測定する装置であって、
    (a) ラテラル・フロー・メンブレン、
    (b) 該メンブレン上の唾液添加部、および
    (c) 該メンブラン上の該唾液添加部から横方向に間隔を開けて設けた表示部を含み、
    該表示部には化合物122に対して特異的な抗体を固定し、該抗体は該唾液添加部に添加された唾液が十分な濃度の化合物122を含む場合には読み取りやすい色の変化をもたらすよう標識してあることを特徴とする前記装置。
  10. 化合物122の天然代謝物には特異的に結合しないが化合物122には特異的に結合する抗体。
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