JP2005521518A - 有機系反応剤を低度イオン化ガス中に噴射して活性化学種を生成するためのシステム及び方法 - Google Patents

有機系反応剤を低度イオン化ガス中に噴射して活性化学種を生成するためのシステム及び方法 Download PDF

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Abstract

有機系反応剤を低度イオン化ガス中に噴射して化学活性種を生成させるためのシステムと方法。有機系反応剤は有機系添加剤(例えばアルコールやエチレン等)を酸化剤(酸素等)と組み合わせて混合したものとすることができ、これを低度イオン化ガス中に噴射する。或いは、有機系反応剤は有機系添加剤を単独で使用してもよく、この場合、元々酸素を含有し酸化剤として作用する空気(非真空チャンバ)の存在下で、低度イオン化ガス中に噴射する。また、有機系反応剤は、EO等の酸化成分をそれ自身が含有する有機系添加剤であってもよい。この場合、低度イオン化ガス中に噴射されたとき有機成分中の酸化成分が生成するヒドロキシラジカルを、酸化剤を補充する必要をなくするのに充分な量とすることができる。使用される有機系反応剤の如何にかかわらず、有機系添加剤は低度イオン化ガスの存在下で酸化剤と反応し、化学活性種の生成し始める。本システム及び方法は、滅菌のために用いることができ、これにより、生成された化学活性種の濃度上昇が促進され、表面上及び/又は流体流中にある望ましくない化学的及び/又は生物学的汚染物質(菌)の全体的破壊率を改善することができる。

Description

関連出願との相互参照
本願は2002年4月2日出願の米国仮出願番号第60/369,654号の利益の享受を請求するものであり、本明細書を構成するものとしてその開示の全体をここに援用する。
本発明は活性種の生成に関し、より詳細には、イオン化の程度が低いガス(以下、低度イオン化ガスと称する)に有機系反応剤を噴射して、イオンやフリーラジカル等の活性化学種を生成するためのシステムと方法に関する。
エチレンオキシド(EO)は温度や水気に弱い医療器具や装備を滅菌するための低温滅菌剤として1950年代から広く用いられてきた。EOによる滅菌は「アルキル化」と称されるメカニズムによるものと考えられている。アルキル化の際、生命維持に必要とされる分子に存在する水素原子がエチル基に置換される。この置換は生命現象を支えるタンパク質やDNA等の分子の正常な機能を阻害する。低温滅菌処理では、微生物の生命活動を妨害、阻止するに足る量のEOが消費される。
従来、EO滅菌装置はクロロフルオロカーボン系滅菌剤(例えばCFC−12等)と共に用いられるのが通常であった。1995年には、クロロフルオロカーボン系滅菌剤は地球オゾン層破壊に関する環境規制によって使用されなくなった。しかしながらEOは、薬剤の届きにくい場所でも微生物を死滅させることができること、多様な材料親和性・浸透性を有すること、更には、既存のシステムの交換には経済的制約が伴うことから、医療機器の滅菌の分野ではいまだに広く使用されている。そのような利点にもかかわらず、滅菌剤としてのEOには次のような多くの問題がある:(i)患者や作業員の安全確保のため、EOを使用した後では曝気する必要がある。(ii)高度の滅菌を確実に達成すると共に安全に曝気するには比較的長いサイクル時間が必要である。(iii)EOは毒性が高いと共に反応による事故の惧れがある。(iv)高純度EOは引火性が高い。
このように、環境規制は滅菌産業に未解決の分野を残しているが、EOに代わる各種代替滅菌法で用いる熱処理その他の化学処理によって影響を受けやすい物質や器具を滅菌する必要が増えていることにより問題は深刻化している。よって、EOを使用せずとも同等の効果をもたらす代替的滅菌剤の提供が注目されている。多くの代替的滅菌法が医療分野の需要を満たすために開発されており、そこでは例えば次のようなものが用いられている:(i)高純度EO(これは高引火性である)、(ii)非引火性のEO/HCFC混合物、及び/又は(iii)非熱プラズマ。
特にジョンソン&ジョンソンは、バリア放電プラズマ技術を利用するSterrad(登録商標)という低温ガス滅菌プロセスを開発した。このメカニズムの原理はスーパー・オキシダイザである過酸化水素の使用にある。酸化剤はアルキル化による滅菌剤(EO等)よりも化学的により反応性なので低温での効率は高いが、不利なことに、滅菌すべき対象のあらゆる部分(特に長く狭い管腔部等)に到達できる能力については劣る。スーパー・オキシダイザは少量でも生命維持に関与する分子(life-supporting molecules)を破壊する。FDA(連邦食品医薬品局)がSterrad(登録商標)装置をステリライザとして承認して以来、Sterrad(登録商標)装置を使用する医療機関が増加している。それにもかかわらず、Sterrad(登録商標)装置は包装目的や、滅菌剤を吸収するセルロースを含有する物品に対して使用するには適切ではない。Sterrad(登録商標)装置の更なる問題点としては、(i)真空チャンバ中で操作する必要があるため装荷量に制限があること、(ii)管腔を通過できないこと、(iii)資本コスト、運転コストが比較的高いこと、更に(iv)比較的サイクルタイムが遅いことが挙げられる:
そこで、EOの使用に伴う如何なる問題点も有することなく、同様のレベルの効果を提供する、改良されたシステム及び方法を開発することが望まれている。更に、望ましくない化学的及び/又は生物学的汚染物質(菌)を含有する、固体、液体、気体、蒸気あるいはそれらの任意の組合せを処理するためのシステム及び方法を開発することが望まれている。
本発明は、従来法での欠点を克服し、好ましくない化学的及び/又は生物学的汚染物質(菌)を撲滅除去するための、物体の処理方法を提供することを目的とする。
具体的には、本発明は、有機系反応剤を低度イオン化ガスに噴射してイオンやフリーラジカル等の活性化学種を生成するためのシステムと方法を提供する。有機系反応剤は、
有機系添加剤(例えばC1〜C5アルコール好ましくはC1〜C3アルコール等のアルコール)あるいはC2〜C6アルケン(エチレン等))と酸化剤(酸素等)を組合せたものとすることができ、これらは低度イオン化ガスに導入されるに先だって混合される。あるいは、有機系反応剤は、有機系の添加剤を単独で低度イオン化ガス中に、元々酸素を含有することにより酸化剤として機能する空気の存在下(非真空チャンバ)で噴射するものであってもよい。また、有機系反応剤は、エタノールなど、酸化性の成分をそれ自身有している有機系添加剤を包含してもよい。この場合、有機系成分中の酸化性成分は、低度イオン化ガス中に噴射されるとヒドロキシラジカル、原子状酸素、更にはその他の酸化性化学種を形成するので、別途酸化剤を補足しなくても必要酸化剤量を満たすことができる可能性がある。使用する有機系反応剤の如何にかかわらず、有機系添加剤は低度イオン化ガスの存在下で酸化剤と反応し、活性化学種を生成し始める。本システム及び方法を滅菌に使用すれば、生成した活性化学種の濃度上昇によって、各種表面上及び/又は流体流中における好ましくない化学的及び/又は生物学的汚染物質(菌)の全体的除去率を促進させ且つ改善できるであろう。
加えて、本発明は、対象物体を処理するために用いる低度イオン化ガスによって生成される活性化学種の濃度を上昇させる方法に関する。低度イオン化ガスは反応器を使用して生成する。有機系添加剤と酸化剤とを含んでなる有機系反応剤は、低度イオン化ガスの存在下で導入され、活性化学種の生成量を上昇させる。生成した活性化学種に処理対象を曝露することにより、望ましくない化学的及び/又は生物学的汚染物質(菌)を撲滅除去する。
本発明は更に、上述の方法を実施するためのシステムをも提供する。
本発明に係る上述のそしてその他の特徴は、以下記載する詳細な説明及び本発明の例示的実施形態を示す図面からより容易に理解できるであろう。なお、図中、数図に亘り使用されている同一の符号は同一の部材を示す。
本発明方法は有機系添加剤(液体、気体及び/又は蒸気等)を使用するものであって、低度イオン化ガスを生じさせてこのガス中に該添加剤を噴射することにより、各種表面上及び/又は流体流(液体、気体、蒸気、或いはそれらの組合せのいずれか)中における好ましくない化学的及び/又は生物学的汚染物質(菌)の全体的撲滅除去率を促進し且つ改善する活性化学種(イオンやフリーラジカル等)を生成させるものであって、前記噴射は好ましくは大気圧下で行なわれるが必ずしも大気圧下でなくてもよい。反応器の形態は、ガス放電プラズマ又は非プラズマ媒体(荷電粒子と中性粒子の混合物)として定義される「低度イオン化ガス」であって中性粒子の体積濃度と荷電粒子の体積濃度の比が約1000対1を越える低度イオン化ガスを生成するものである限り制限は無い。低度イオン化ガスは、正、負及び中性の粒子を含み所定体積中における負電荷粒子の数密度が正電荷粒子の数密度とほぼ等しいガスとして定義される「プラズマ」であることができるが、必ずしもそうである必要はない。反応器は直流(DC)、交流(AC)、無線周波数(RF)電源等の電力源に接続して動作させることができる。反応器の形態の数例について詳細に記載するが他の各種形態も考えることができ、それらも本発明の範囲内に入る。
反応器は、望ましくない化学物質(原子や化合物等)及び/又は生物学的剤(タンパク質やDNA等)によってその全体が汚染された処理対象(例えば固体、又は液体、蒸気、気体若しくはそれらの任意の組合せ)が生成低度イオン化ガスに接触し、該ガス中で酸化、還元、イオン誘導反応及び/又は電子誘導反応等の各種プロセスが効率的に選択的化学プロセス或いは反応メカニズムを引き起こすように構成されている。生成された低度イオン化ガス中に有機系反応剤が噴射されると、一種以上のこれら化学プロセスの出力を増大させる。有機系反応剤は、典型的には有機系添加剤(アルコール、エチルアルコール、エチレン等)と酸化剤(酸素等)を組み合わせたもので、これらは低度イオン化ガスに噴射される前に混合される。あるいは、有機系反応剤は、元々酸素を含有する空気の存在下(非真空チャンバ)で低度イオン化ガスに導入される有機系添加剤であってもよい。それ自身EOやエタノール等の酸化性成分を含む有機系添加剤を含有する有機系反応剤の使用も本発明が意図する範囲内である。この場合、有機系成分中の酸化性成分は低度イオン化ガス中に噴射されると、ヒドロキシラジカルや原子状酸素、その他の酸化性化学種を形成する。これら生成された酸化性化学種は、別に酸化剤を添加したり補足したりする必要をなくするのに充分であろう。しかしながら酸化剤を更に添加したいのであれば、補足的酸化剤(酸素等)は、酸化性成分を含有する有機系添加剤の噴射と同時に或いは噴射後に低度イオン化ガス中に噴射することができ、これにより酸化性化学種の濃度を上昇させて全体的パフォーマンスや効率を向上させることができる。いずれにせよ、有機系の蒸気が低度イオン化ガスの存在下で酸化剤(空気からの酸化剤、補足源として及び/又は有機系添加剤の一成分としての酸化剤)と反応して、イオンやフリーラジカル等の活性化学種を生成し始める。低度イオン化ガスに噴射される有機系添加剤を適宜選択すれば、殆どバルクガスの加熱を要することなく特定の化学反応を促進或いは開始することができる。
本発明を、汚染された各種表面、液体、気体、蒸気及び/又は空気流を滅菌するための低度イオン化ガスへの有機系添加剤の噴射適用に関し、例を挙げて説明する。しかしながら、本システム及び方法を滅菌以外の用途に使用することも本発明の意図する範囲内である。
下に記載の実施態様においては、低度イオン化ガスを生成させるための反応器のサイズ乃至容積は、生成された活性種に対する汚染物質の接触継続時間(residence time exposure)が望ましくない化学的汚染物質及び/又は生物学的汚染物質(菌)を所望のレベル、例えば分子レベルまで確実に減少させるために十分であるよう、任意に選択できる。有機系添加剤は低度イオン化ガスを生成する反応器に直接噴射することができる。低度イオン化ガス反応器のサイズ即ち寸法を適切に選択することにより、低度イオン化ガスによって生成された活性種の寿命が、低度イオン化ガス生成領域に留まらずこれを超えた領域においても、反応器下流で滅菌或いは酸化プロセスを達成できるに足る期間に亘って継続するよう(例えば、生成された活性種がそのライフサイクル中に反応器の下流に設けられたフィルター上で汚染物質(菌)と反応してこれを撲滅するよう)、各種有機系添加剤を利用する化学反応を選択的に生じさせる。
以下、活性化学種の形成に関与する低度イオン化ガスによる増強ケミストリーにおける4種の反応メカニズムについて説明する。これら全てのメカニズムに共通な点は、電子衝撃解離/電離(electron impact dissociation and ionization)による反応性ラジカルの形成である。有機系反応剤が低度イオン化ガス中に噴射されると、このような化学反応の一種以上が促進され、生成された活性化学種の一部のものの濃度を上昇させるので滅菌・除汚染プロセスを改善できる。有機系反応剤が低度イオン化ガス中に噴射されると、活性化学種を生成する次の反応連鎖の一以上が引き起こされる。
1.イオン及びイオンクラスターの形成:
Figure 2005521518
ヒドロニウムイオンクラスターが有機系反応剤中に存在すると、エチルアルコールをプロトン化することができる。
Figure 2005521518
EtOH2 +(H2O)b等のイオンクラスターは比較的長寿命で、滅菌対象物の表面へと移動する間も残存することができ、細菌のDNA中の水素原子と置換されるエチル基を提供するので、標的とする微生物を死滅させることができる。その他の有機イオン、例えば・C24OH+、・C23OH+、・CH2OH+、・CHOH+、CH3OH+、・C25 +、等も形成されクラスター化するであろう。これらの各有機イオンが滅菌プロセスにおいて果たす役割は、その寿命や化学活性によって異なる。
2.フリーラジカルの形成
Figure 2005521518
他にも数多くの反応が、NO2、HO2・を始めとする各種活性種、例えばH22の形成を導くものとして可能である。
有機剤(organics)の存在下において有機ラジカルが形成される。
Figure 2005521518
低度イオン化ガス中に噴射された有機剤と酸素とはまた、その他の有機ラジカル(例えばパーオキシ(RO2)、アルコキシ(RO)、アシルパーオキシアシル(RC(O)OO)等)や、副生物(例えばヒドロパーオキシド(ROOH)、パーオキシナイトレート(RO2NO2)、有機ナイトレート(RONO2)、パーオキシ酸(RC(O)OOH)、カルボン酸(RC(O)OH)、パーオキシアシルナイトレート(RC(O)O2NO2)等)及びその他の酸素含有有機ラジカルの形成を促進させる。使用する有機系添加剤の種類を問わず、これら各有機ラジカルは所定の濃度で生成されるが、唯一の差異は、用いた有機系添加剤によって各有機ラジカルの濃度が異なることである。予備実験の結果からは、エチレンを使用した場合に最も効率的な滅菌が達成されることが示唆されているようであるが、他の有機系添加剤を用いて部分酸化物(アルコール等)を形成することもできる。このように、低度イオン化ガス中に噴射された有機系反応剤の存在下において滅菌法を改良できる。
従来、先行技術の滅菌法は、低度イオン化ガス中に生成させた酸素、水素、或いは窒素ベースの活性種に依存するものであったり、電界やプラズマ、放射線の直接的効果に依存するものであった。これに対し、本発明に係る滅菌法は、低度イオン化ガス中に噴射された有機系反応剤の使用に応じて生成される活性化学種に依存するものである。酸素や水素、窒素原子(例えばNO2、H22、O3、また対応するラジカルであるHO2・やOH・等)に基づく活性種は、有機系反応剤を低度イオン化ガス中に噴射して用いることによって生成される活性化学種よりも効果がかなり劣る殺菌剤である。
図1は、本発明に係る反応器システムの全体概略図であって、該システムは、有機系反応剤を低度イオン化ガスに噴射して活性化学種を生成させるものである。酸化剤1(空気や酸素等)が有機系添加剤2(エチレンやアルコール等)と混合されて有機系反応剤9を生成する。例を挙げると、有機系反応剤9は、エチレンを酸素と混合したもの、或いは空気の存在下でのエタノールである。有機系添加剤の導入と独立して酸化剤を導入する代わりに、有機系添加剤自体に酸素成分を含有させてもよい。例えば、エチレンオキシドやエタノールを有機系添加剤として用い、低度イオン化ガス中に噴射することにより、酸化剤として機能するヒドロキシラジカルや原子状酸素、その他の酸化性化学種を生成させることができる。これらヒドロキシラジカルを利用すれば、酸化剤を別個に導入する必要をなくすることができる。パフォーマンスを向上させるために、酸素を成分として含有する有機系反応剤を用いた場合でも、更なる酸化剤を別個に低度イオン化ガスに噴射することもできる(但し特に要求されるものではない)。
有機系反応剤9は液体、気体、蒸気、或いはこれらの任意の組合せであることができる。加えて、有機系反応剤9は、低度イオン化ガス反応器3に導入される際、好ましくは主電極(第一電極)中に設けられた開口を通って(詳細については後述する)導入され、活性化学種を含む殺菌化学種が該電極上において最高濃度で生成される。
電源4はプラズマ源の具体的設計に即し、直流、交流、高周波、RF、マイクロ波、パルス波等を利用するもので、反応器3を起動する。処理対象物5(典型的には液体や気体、蒸気等の処理対象流体)は、有機系反応剤9と共にプラズマ反応器3の中に或いは該反応器領域の近傍に通され、そこで低度イオン化ガスが生成される。このようにすれば低度イオン化ガスの生成領域に存在する高濃度の生成活性化学種に処理対象物5が接触できるので有利である。これとは別に、或いはこれに加えて、処理対象物体5’(通常は固形物)を低度イオン化ガスが生成された領域の後方(例えば下流)のアフターグロー(after glow)中に置くことができ、そこで有機系反応剤と共に噴射させた低度イオン化ガスによって生成された活性化学種に、その寿命の続く間に亘って更なる接触に付すことができる。一具体例においては、処理対象物5’は粒状物フィルター及び/又は汚染された物体(例えば汚染された固体表面や汚染された液体、汚染された気体、或いはそれらの組合せ)であって、滅菌チャンバ内に入れられ、低度イオン化ガスと噴射された有機系反応剤とによって生成された殺菌性活性種と接触させられる。処理対象物5、5’は同一であることができるが、必ずしも同一である必要はない。例えば処理対象物5としての気体は毛細管を通過し、この毛細管中で生成した活性化学種と接触し、一方、処理されるべき固体対象物5’の表面は、生成した活性化学種のアフターフローと直接接触するように配置される。
低度イオン化ガスと噴射された有機系反応剤とによって生成された殺菌性化学種は、処理対象物5,5’の表面に付着したり内部に含有されている、化学的汚染物質や生物学的汚染物質(例えばDNAやその他の微生物構成単位)と相互作用する。例えば、生成した活性化学種との接触により、細菌のDNA中に存在する水素原子をアルキル基(Cn2n+1)で置換すると、微生物を不活性化あるいは破壊することができる。ここに記述する本発明方法においては、アルキル化が滅菌効果を提供するものと考えられるが、他のメカニズムや活性化学種が存在しても構わない。本発明の滅菌システム及び方法は、有機系添加剤の存在下で低度イオン化ガスによって生成された、生物学的に活性でありながらも比較的寿命の短い活性化学種を利用することによって、従来の有毒滅菌剤に付随する健康や環境への危険を減じつつ全体としての効果を向上させるものである。
低度イオン化ガス発生反応器3の形態は色々なものが多数考えられる。大気圧下での非熱プラズマ反応器の形態の数例を次に詳細に説明するが、所望により他の形態を用いることもできる。図2aは毛細管放電反応器の一例の断面図であり、譲受人が本発明と同一である米国特許出願第09/738923号(出願日:2000年12月15日)に記載の反応器と同様のものである。反応器200は、第一の誘電体205と第二の誘電体215とを有し、第一の誘電体には2本の毛細管210が貫通しており、第二の誘電体215は第一の誘電体205から離れて通路235を形成してこれにより毛細管210と流体連通している。但し、これは単に例示を目的として述べたものに過ぎない。第二の電極プレート225は第二の誘電体215と協同する。図2aには2本の毛細管210が示されているが、反応器200は第一の誘電体205が一以上の毛細管を有するようになされる限りどの様にも設計可能である。第一及び第二の誘電体205、215は、互いに同一でも異なっていてもよい。図2aに示すように、第二の電極225はプレート状であるが、第一の電極220と同様の分割形状等、他のどのような形状でもよい。更に、第二の電極と第二の誘電体とは、これらを全く用いないこともできる。
第一の電極220は第一の誘電体205と協同する。好ましい実施態様においては、第一の電極220は複数の電極セグメントからなり、各セグメントはそれぞれ毛細管210と流体連通している。図2aに示す例においては、電極セグメントは中空筒状、リング状、或いはワッシャ形状であってその一部が各毛細管210に挿入されている。また別の実施形態においては、第一の電極220は、第一の誘電体205上にこれと実質的に面一に配置されたり、あるいは毛細管210の内部に所望の深さだけ延在させてもよい。電源230は第一及び第二の電極220、225に接続される。
図2aに示す第一の電極220の電極セグメントは中空なので、有機系反応剤はその中空部を通って、第一の誘電体205に設けられた毛細管210内へと通過・噴射させることができる。電源230からの電圧が第一及び第二の電極220、225それぞれに印加されると、毛細管210及び通路235に低度イオン化ガスが発生する。この低度イオン化ガスに有機系反応剤が噴射されると毛細管210及び/又は通路235内に活性化学種が生成され、これが汚染物質(菌)の破壊や滅菌等のプロセスを進行させる化学反応を促進する。
動作時には、処理対象物5(通常、滅菌すべき汚染流体)を、好ましくは有機系反応剤と共に第一の電極220の電極セグメント中の開口を通って各毛細管210へと送り、そこで低度イオン化ガスが生成される。低度イオン化ガス存在下で有機系反応剤が存在することにより、生成される活性化学種の濃度が高くなる。活性化学種の最高濃度が達成されるのは毛細管210自体の中である。従って、汚染された処理対象をこれら生成されたイオン、フリーラジカル及び活性種が最高濃度で存在する領域(例えば毛細管自体の中)を通過させることにより最も効率的な滅菌が実現できる。これに加え、或いはこれに代え、処理対象物5’(典型的には汚染された固形物)を通路235に通したり、或いは毛細管の末端近傍に置いたりしてもよく、そこから低度イオン化ガスのアフターグローが生成活性化学種を含有するものとして放出される(第一の電極と対向)。殺菌性活性種は生成されてからの寿命が比較的短いので(例えば数マイクロ秒オーダーの寿命の殺菌性活性種が不活化されるまでに移動できる距離はほんの数ミリメートルである)、処理対象物5,5’を通路235に置くと、これら処理対象物を活性化学種が最高濃度を示す第一の電極220の開口及び毛細管220を介して通過させる場合と比べ、除汚染効果がかなり低い。
図2aに示す毛細管放電反応器は、第一の誘電体205に副通路を有するように変更してもよい。この形態は、中実で細孔を有しない第一の電極220を使用する場合に特に好適なものではあるが、中空あるいは細孔を有する第一の電極の使用を排除するものではない。図2bは、単一の毛細管210を有する毛細管放電反応器を示すが、これは先端が点状である中実ピン形状の環状電極220が部分的に該反応器内部に挿入されているものである。副通路215は、毛細管210の両側にある第一の誘電体205の中に設けられている。図2bに示す態様においては、副通路215は毛細管210と流体連通していない。これに代わる形態が図2cに示されているが、この態様では、末端を平坦化した中実ピン形状の環状電極220の一部が副通路215に流体連通している毛細管210中に挿入されている。いずれの形態でも、所望により、各毛細管及び/又は副通路の数や形状、サイズ、方位角を変更することができる。図2b、2cのいずれの実施形態においても、有機系反応剤を副通路215に導入することができ、これにより低度イオン化ガスを安定化させたり、化学反応を改善するために生成活性化学種の濃度を上昇させることができる。中空状の或いは細孔を有する第一の電極を用いる場合は、有機系反応剤を副通路215へと噴射することに加え、或いはこれに代え、有機系反応剤をこの中空状第一の電極の中を通るように噴射させたり及び/又は毛細管210へと噴射させたりできる。処理対象物5(通常、汚染された流体である)は有機系反応剤と共に、次の経路即ち、第一の電極220(中空或いは細孔を有するものの場合)と、第一の誘電体に設けられた毛細管210及び/又は副通路215と、を通して導入される。
毛細管放電反応器の形態に代え、本発明と譲受人を同一とする米国特許出願第10/371243号(2003年2月19日出願)に開示されているようなスロット放電反応器を使用することもできる。図3aにスロット放電反応器の一例の縦方向部分断面図を示し、図3bにその上面平面図を示す。第一の誘電体305には一以上のスロット310が設けられている。「スロット」は、長さが幅よりも長い開口或いは隙間であって、前記長さの最大値はそのスロットが存在する誘電体のサイズのみによって制限されるものであるような開口或いは隙間として定義される。例えば、スロットは幅約1/32インチ、長さ約16インチ(即ち、長さ対幅の比は512:1)のものとして第一の誘電体プレート内に設けることができる。スロット端と誘電体プレートの端部との間に1インチのしろをとることができる。スロットは、隣り合うもの同士が互いに約1/8インチ離れるように配置できよう。なお、この例及びサイズをもって本発明の範囲を限定しようとするものではない。好ましい態様においては、長さ対幅の比は少なくとも約10:1である。長さ対幅の比はこれより大きくてもよく、「少なくとも約100:1」や「少なくとも約1000:1」等のオーダーのより大きなサイズ比も可能である。他の態様においては、長さ対幅の比は約10:1から約100:1、1,000:1、更には10,000:1、或いは約100:1から約1,000:1や10,000:1である。これらは単なる一例に過ぎず、他の長さ対幅の比を有するスロットも考えられ、本発明が意図する範囲内に入るものである。
図2a〜2cに示す毛細管放電反応器においては、各毛細管のサイズは、これら毛細管の長手方向即ち軸方向に対し実質的に横方向に延びる横方向面として規定されるx−y面において互いに実質的に等しい。よって、電子が毛細管を下方に下っていく際の半径方向における電子ドリフトの差は殆ど無い。なぜなら、毛細管から出る前に(壁と衝突して)クエンチングする確率がx方向とy方向との両方向で実質的に等しいからである。スロットの場合、長さ(例えばy方向)は幅(例えばx方向)よりも実質的に大きい。好ましくは、スロットの長さ対幅の比は少なくとも約10:1である。このように長さ対幅の比の値が相当大きいことにより、電子が誘電体中のスロットをz方向にドリフトして降下しつつ、スロットから出て行く前に壁面と衝突したり相互に作用を及ぼしあったりする確率は大幅に減少する。壁面との衝突の確率の低下はクエンチングがより少ないことを意味し、これは言い換えれば毛細管放電形態の場合の単位面積当たりのプラズマ密度と比較して、スロット断面の単位面積当たりのプラズマ密度がより高いことを意味している。クエンチングが低下しているにもかかわらず、なおグロー放電からアーク放電への遷移はスロットによって適切に抑えられている。
直列に順次且つ密に配列された毛細管の数とは無関係に、本発明によるスロットの形態は毛細管放電設計のものと比べ、より大量の低度イオン化ガスを噴射できる。よって、低度イオン化ガスは、スロット形態を利用すると毛細管の形態を用いた場合との比較において、該ガスの非常に増大した領域と体積を達成することができる。生成される低度イオン化ガスの量が増大することにより、比較的大量の被処理流体/ガスを低度イオン化ガスに接触させることができる。更に、このようなスロット形態は容易に且つ安価に製造することができる。
図3a、3bはそれぞれ、一個の電極セグメント320、及び第一の誘電体305内にあってこれと協同するスロット310を例示的に示す部分縦断面図及び上面図である。図には唯一個のスロットとこれと協同する電極セグメントしか示されていないが、同様の電極セグメント構造・配置を利用してスロットを複数有する反応器とすることができる。図3aはT字型断面を有する長方形リム状電極セグメント320を例示的に示す部分断面図であって、該セグメント320の一部320’が、第一の誘電体305に設けられたスロット310に部分的に挿入されている。ショルダー部により、第一の電極320が実質的に均一且つ確実にスロット310内に挿入されることが保障されるが、ショルダー領域325は必須のものではなく、前記第一の電極は中空円筒状に形成してもよい。第一の電極320のこれに代わる形状構成及びスロット310に対するその関係は所望により変更可能である。長方形リム状電極セグメント320は外部へ開放している、即ち中空であるので、有機系反応剤及び/又は処理対象物5は第一の電極320自体の開口340を通って第一の誘電体305のスロット310内へと到達できる。このような状況下で、処理対象物5は、活性化学種が最高濃度で存在するスロット310内で、プラズマとの接触によって処理される。これに代え或いはこれに加え、有機系反応剤及び/又は処理対象物5’を第一及び第二の誘電体305、315間の通路335に通す、或いはこの通路335に配置してもよい。
低度イオン化ガス反応器の更なる他の形態は、本発明と譲受人を同一とする米国特許出願第10/287772号(2002年11月2日出願)に記載されているスリット放電反応器である。図4aは環状スリット放電反応器の第一の態様を示す斜視図である。第一の、或いは主たる、誘電体環状筒体405は、径方向に4個に分割されたセクションが縦方向に走っており、隣り合うセクション同士は所定の距離をもって互いに離間され該セクション同士の間に長手軸方向に延在するスリット410を形成している。主(即ち第一の)電極420は4枚のブレードをこれらが星状の形となるように有し、各ブレードは第一の誘電体環状筒体405の中を長手方向に延び、また、対応するスリット410に近接配置されこれと流体連通している。受取側の(即ち第二の)環状電極425は、第二の環状誘電体415が第一の誘電体405と第二の環状電極425の間に位置するような配置で、第一の誘電体405を取り囲んでいる。第一の電極420と第二の環状電極425は電源440に接続される。第一及び第二の誘電体405、415の間は通路435となっており、そこに有機系反応剤及び/又は被処理物が置かれる。この構成に代え或るいはこれに加え、第一の電極420と内側の第一の誘電体405の間の連絡通路445に有機系反応剤及び/又は被処理物を置くこともできる。図4aは径方向に4個に分割された長手方向に延びるセクションを有する第一の誘電体405を示すが、第一の誘電体を2以上の任意数のセクション(これらは同サイズでも同サイズでなくてもよい)に分割し、第一の電極420を好ましくは第一の誘電体中のスリット410と同数のブレードを有するように構成することも、本発明の意図する範囲内のものとして考えられる。
図4bは、図4aに示す内側第一誘電体の形態の変形例を示す。これは、該誘電体中、長手方向に延びる複数のスリットを有する構成(図4a)に代え、長手を横切る方向に第一の誘電体405を分割し、内側誘電体である中空筒状体を直列に並ぶリング405とするものである。図4bに示すように、第一の誘電体405は長手を横切る方向に4個のセクション即ちリングに分割され、隣り合うセクション同士は、所定の距離をもって互いに離間され該セクション同士の間に長手軸方向に延在するスリット410を形成している。本発明においては、内側にある第一の誘電体405は半径方向にリング状に分割されるにあたり幾つのリングに分割されていてもよく、各リングのサイズは同一でも異なっていてもよい。更に別の態様においては、スリット410を、中空筒状に形成された内側の第一誘電体405を走る螺旋として形成することもでき、その場合、第一の電極として作用するワイヤを、前記螺旋状のスリットと実質的に整列するように或いはこれを横切るように配置する。
図4cはスリット型放電反応器の更に別の態様を示し、図中、有機系反応剤及び/又は被処理物が通過できる(好ましくは中心部が中空の)内側筒状体455の外表面の周りに、複数の第一誘電体ロッド450が放射状に配置されている。図4cに示す内側筒状体455の外表面の周りには12本のロッドが配置されているが、ロッド数は所望により変更できる。内側の筒状体455は導電性材料或いは絶縁性材料で作ることができる。誘電体ロッド450は、隣り合うロッド間に隙間ができるように配置されており、この隙間がスリットとなり有機系反応剤及び/又は被処理物を通し、放射状に外方へ分配する。好ましい態様においては、隣り合う誘電体ロッド間に形成されたスリットは約1mm以下の幅を有し、グロー放電からアーク放電への遷移を完全にとまではいえなくても大幅に減少させる所望のチョーク効果を得る。内側の筒状体455が絶縁材料で作成されている場合には、導電ワイヤ或いはロッド460を、電極として働く隣り合う誘電体ロッド450間のスリットに挿入してもよい。受取側の(即ち第二の)環状筒状電極465は、好ましくは受取側の(第二の)環状誘電体470によって囲まれており、誘電体ロッド450に近接して配置され、内側の筒状電極体と受取側電極455、465との間に電位差が与えられる。交流やRF電源を利用する場合には、受取側(即ち第二の)電極465は第二の誘電体層470に包囲されるかあるいは非導電性の液体中に浸漬される。一方、直流電源を利用する場合には第二の誘電体は用いられず、受取側(即ち第二の)電極465を導電性の液体中に浸漬させることができる。開口475は所望の形状、配置、数をもって第一の電極455内に形成され、これにより第一の電極455の内側の中空通路によって受取られた有機系反応剤及び/又は被処理物の通過が許容される。
上述の各種低度イオン化ガス発生反応器形態はいずれも、誘電体に穿たれた穿孔を有するか或いは誘電体部材同士の間に形成された間隙を有する。しかしながら、誘電体に穿孔や間隙を有さない反応器(例えば従来のコロナ放電反応器やバリア放電反応器)と組合わせて有機系反応剤を使用することも、本発明が意図する範囲内のものと理解されるべきである。
更に、前記反応器は必ずしも誘電体を使用しなければならないものではなく、そのような場合、電極セグメント間に画定した(即ち電極セグメント間に形成した)間隙部に有機系反応剤を通すことができる。要するに、本発明においては有機系反応剤を低度イオン化ガスで活性化するのである。この活性化は、有機系反応剤が誘電体及び電極中の間隙部へと噴射され、受け止められ、あるいは通過させられる際に起こる。また、有機系反応剤が低度イオン化ガスのアフターグローの近傍に噴射されたり混合される際にも活性化が起こる。これは単に、有機系反応剤が活性化学種の生成に関与するためにはは、低度イオン化ガスの存在下になければならないことを意味しているに過ぎない。
本明細書に記載した本発明のシステム及び方法は、被処理物が個体、液体、気体、蒸気或いはそれらの任意の組合せであるか否かを問わず、任意の被処理物に存在する望ましくない化学物質及び/又は生物学的剤を処理し、破壊し、死滅させ、除去し、浄化し、或いは徐汚染するために用いることができる。滅菌は、微生物という作用因(agent)を破壊するための本発明方法又はシステムによる一応用例に過ぎない。本発明による殺菌システム及び方法の幾つかの具体的応用例を示し且つ記載するが、これに尽くされるものではなくまた本願の範囲の限定を意図するものでもない。注目すべき一応用例は、フィルター材をその使用後に洗浄したり処理したりする目的で本発明のシステム及び方法を使用するものである。低度イオン化ガスを発生する反応器をフィルターに対し上流側に配置し、胞子や細菌等の生物学的粒状物質を捕獲し、同時に破壊する。このシステムはまた、エアロゾルやガス状の化学剤を捕捉し破壊する目的においても好適である。胞子/細菌が存在する空気流をフィルターで濾過し、その表面に胞子や細菌を捕捉する。次いでフィルターを少なくとも一回(好ましくは連続的に又は周期的に)、生成された活性化学種のアフターグローに接触させることにより処理して胞子を破壊する。表面上の胞子の比較的長い滞留時間が実現できるので、空気流の速度を減じる必要なしに比較的高い殺傷率を保障できる。好ましくはHEPAフィルターを使用するが、その理由はこれが約0.3ミクロンという小さな粒子サイズに到るまで約99.97%の効果を示すからである。例えば炭素菌胞子は直径が約3ミクロンである。兵器としての炭素菌粒子は約1〜3ミクロンのオーダーである。よって、これら粒子の実質的に全てがフィルター外表面に補足され、そこにおいて有機系反応剤と低度イオン化ガスによって生成された活性化学種からの所望の化学反応が相当の効果を示すであろう。
全てのレファレンス、刊行物、及び係属中の或いは発行された特許の各々の全体を、本明細書の一部を構成するものとしてここに援用する。本願はまた次の各々についても本明細書の一部を構成するものとしてここに援用する:米国特許出願第09/738923号(2000年12月15日出願)、米国仮出願第60/171198号(1999年12月15日出願)、米国仮出願第60/171324号(1999年12月21日出願)、米国特許出願第10/287772号(2002年11月2日出願)、米国仮出願第60/336866号(2001年11月2日出願)、米国特許出願第10/371243号(2003年2月19日出願)、米国仮出願第60/358340号(2002年2月19日出願)、米国特許出願第10/287771号(2002年11月4日出願)及び米国仮出願番号第60/336868号(2001年11月2日出願)。
以上、本発明の基礎をなす新規な特徴を、その好ましい実施態様に即して示し、記載し、指摘してきたが、ここに掲載した装置の形態や詳細についてまたその動作については本発明の精神と範囲を逸脱することなく当業者であれば種々の省略、置換、変更をなしうることが理解されよう。例えば、実質的に同一の機能を実質的に同一の方法によって遂行し同一の結果を達成できる要素及び/又は工程の如何なる組合せも本発明の範囲に入ることが意図されていることを明記しておく。記載された一実施態様における要素を他のものに置換することもまた完全に意図され且つ企図されている。更に、図面は必ずしも一定の縮尺で描かれているものではなく、単なる概念的な性質のものに過ぎないものと理解されたい。よって、このような意図に対する限定は添付の請求項に記載の範囲に即してのみなされうるものである。
反応器システムの概略図であって、該システムにおいて有機系反応剤が低度イオン化ガスに噴射され本発明に係る活性化学種を生成する。 毛細管放電反応器の一例の断面図であって、該反応器において有機系反応剤が低度イオン化ガスに噴射され本発明に係る活性化学種を生成する。 毛細管放電反応器の一例の断面図であって、該反応器は、毛細管と流体連通していない副通路を備え、有機系反応剤が低度イオン化ガスに噴射され本発明に係る活性化学種を生成する。 毛細管放電反応器の一例の断面図であって、該反応器は、毛細管と流体連通している副通路を備え、有機系反応剤が低度イオン化ガスに噴射され本発明に係る活性化学種を生成する。 スロット放電反応器の一例の部分長手方向断面図であって、該反応器中、有機系反応剤が低度イオン化ガスに噴射され本発明に係る活性化学種を生成する。 図3aのスロット放電反応器の上面図。 環状スリット放電反応器の一例の斜視図であって、第一の電極中、長手方向にスリットが設けられており、有機系反応剤が低度イオン化ガスに噴射され本発明に係る活性化学種を生成する。 図4aに記載の内側第一誘電体の別形態の斜視図であって、スリットが第一の電極の周りに放射状に設けられている。 スリット放電反応器の更に別の一形態のカッタウェイ部を示す斜視図であって、スリットは内側筒状体の周りに配置されたロッドの隣り合うもの同士の間に形成されている。

Claims (24)

  1. 処理対象物を処理する為に用いる低度イオン化ガスによって生成される活性化学種の濃度を上昇させるための方法であって、前記方法は、
    反応器を用いて低度イオン化ガスを生成する工程と、
    低度イオン化ガスの存在下で有機系反応剤を導入して活性化学種の生成を向上させる工程と、を含み、
    前記有機系反応剤は、有機系添加剤と酸化剤とを含む方法。
  2. 有機系添加剤と酸化剤を混合して有機系反応剤を生成させる、請求項1に記載の方法。
  3. 有機系添加剤がエチルアルコールとエチレンの内の一種であり、酸化剤が酸素と空気の内の一種である、請求項2に記載の方法。
  4. 導入工程が、酸化剤として作用する空気の存在下で有機系添加剤を低度イオン化ガスに噴射することを含む、請求項1に記載の方法。
  5. 有機系反応剤が、酸化剤として作用する酸素成分を含有する有機系添加剤である、請求項1に記載の方法。
  6. 導入工程が補足的酸化剤を低度イオン化ガス内に噴射させることを更に含む、請求項5に記載の方法。
  7. 活性化学種が、パーオキシ(RO2)−、アルコキシ(RO)−、アシルパーオキシアシル(RC(O)OO)−、ヒドロパーオキシド(ROOH)、パーオキシナイトレート(RO2NO2)、有機ナイトレート(RONO2)、パーオキシ酸(RC(O)OOH)、カルボン酸(RC(O)OH)及びパーオキシアシルナイトレート(RC(O)O2NO)を含む、請求項1に記載の方法。
  8. 反応器が、開口を設けて有する誘電体と前記開口と流体連通するように配置された電極とを含み、前記有機系反応剤は前記開口と前記電極とを通して導入され、前記開口内で低度イオン化ガスと相互作用して活性化学種を生成する、請求項1に記載の方法。
  9. 接触の工程が、処理対象物を前記開口と電極とを通過させ、そこで生成された活性化学種と接触させる、請求項8に記載の方法。
  10. 処理対象物が、固体、液体、気体の内の一種である、請求項1に記載の方法。
  11. 少なくとも一種以上の化学的汚染物質や生物学的汚染物質を破壊するために処理対象物を滅菌する目的で用いる、請求項1に記載の方法。
  12. 処理対象物を生成された活性化学種に接触させることを更に含む、請求項1に記載の方法。
  13. 処理対象物を処理する為に用いる低度イオン化ガスによって生成される活性化学種の濃度を上昇させるためのシステムであって、前記システムは
    低度イオン化ガスを生成するための反応器であって有機系反応剤を受容するための反応器と、
    有機系反応剤の供給源と、を含み、
    前記反応器は、低度イオン化ガスの存在下、有機系反応剤を受容して活性化学種の生成を増大させ得るように構成され、前記有機系反応剤は有機系添加剤と酸化剤とを含む、システム。
  14. 有機系反応剤が有機系添加剤と酸化剤との混合物である、請求項13に記載のシステム。
  15. 有機系添加剤がエチルアルコールとエチレンの内の一種であり、酸化剤が酸素と空気の内の一種である、請求項14に記載のシステム。
  16. 有機系添加剤が、酸化剤として作用する空気の存在下、低度イオン化ガスによって受け止められる、請求項13に記載のシステム。
  17. 有機系反応剤が酸化剤として作用する酸素成分を含有する有機系添加剤である、請求項13に記載のシステム。
  18. 有機系反応剤が、低度イオン化ガス内に受け止められるように置かれた補足的酸化剤を更に含む、請求項17に記載のシステム。
  19. 活性化学種が、パーオキシ(RO2)−、アルコキシ(RO)−、アシルパーオキシアシル(RC(O)OO)−、ヒドロパーオキシド(ROOH)、パーオキシナイトレート(RO2NO2)、有機ナイトレート(RONO2)、パーオキシ酸(RC(O)OOH)、カルボン酸(RC(O)OH)及びパーオキシアシルナイトレート(RC(O)O2NO)を含む、請求項13に記載のシステム。
  20. 反応器が、開口を設けて有する誘電体と、前記開口と流体連通するように配置された電極とを含み、前記有機系反応剤は前記開口と前記電極とを介して受け取られるように構成され、前記開口内で低度イオン化ガスと相互作用して活性化化学種を生成する、請求項13に記載のシステム。
  21. 前記開口及び電極を通して処理対象物が受け止められ、そこで生成される活性化学種に接触させるように前記開口及び電極が構成される、請求項20に記載のシステム。
  22. 処理対象物が、固体、液体、気体の内の一種である、請求項13に記載のシステム。
  23. 少なくとも一種以上の化学的汚染物質や生物学的汚染物質を破壊するために処理対象物を滅菌する目的で用いる、請求項13に記載のシステム。
  24. 前記反応器の処理対象物に対しする相対位置配置は、生成された活性化学種が処理対象物と相互作用するものである、請求項13に記載のシステム。
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