JP2005521053A - 高用量細胞傷害性化学療法後の造血回復、好中球減少性発熱、および抗菌処置の予測のための細胞能力試験 - Google Patents

高用量細胞傷害性化学療法後の造血回復、好中球減少性発熱、および抗菌処置の予測のための細胞能力試験 Download PDF

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Abstract

本発明は、(a)被験体から得られた血液試料中に存在する白血球の量を測定する工程であって、該被験体が単回用量のG-CSFの投与に供されており、造血生成および貯蔵組織および辺縁趨向の部位から血液への白血球の動員または放出を可能にするのに十分な時間維持されている、工程;ならびに(b)工程(a)で測定された白血球の量を、(i)高用量細胞傷害性化学療法および/または造血細胞移植に関連する疾患、障害または合併症に対する高い危険性、(ii)高用量細胞傷害性化学療法および/または造血細胞移植に関連する疾患、障害または合併症に対する中程度の危険性または(iii)高用量細胞傷害性化学療法および/または造血細胞移植に関連する疾患、障害または合併症に対する低い危険性を有する被験体からなる群より選択される対照被験体において動員または放出されている白血球の量を用いて評価することにより造血細胞能力を測定する工程を含む、被験体の造血細胞能力を測定するための方法に関する。

Description

本発明は、(a)被験体から得られた血液サンプル中に存在する白血球の量を測定する工程、ここで上記被験体は、単回用量のG-CSFの投与に供され、造血産生および貯蔵組織ならびに辺縁趨向の部位から血液への白血球の動員または放出を可能にするのに十分な時間維持されている、および(b)対照被験体において動員または放出された白血球の量を用いて、工程(a)で測定された白血球の量を評価することにより造血細胞能力(cytocapacity)を測定する工程、ここで上記対照被験体は、(i)高用量細胞傷害性化学療法および/または造血細胞移植に関連する疾患、障害または合併症の高い危険性を有する被験体、(ii)高用量細胞傷害性化学療法および/または造血細胞移植に関連する疾患、障害または合併症の中間の危険性を有する被験体、または(iii)高用量細胞傷害性化学療法および/または、造血細胞移植に関連する疾患、障害または合併症の低い危険性を有する被験体からなる群より選ばれる、を含む被験体の造血細胞能力を測定する方法に関する。本発明はまた、適切な抗菌予防または治療、好中球減少性発熱の適切な予防または治療、移植に適切なCD34+細胞の量、被験体に適切な造血成長因子の量または支持的ケアの適切なレベルを選択する方法に関する。最後に、上記被験体における高用量細胞傷害性療法および/または造血性細胞移植に関連する、疾患、障害または合併症に対する感受性を診断するための診断用組成物の調製のための、被験体から得られた白血球の使用が本発明に含まれ、ここで、上記被験体は単回用量のG-CSFの投与に供されており、造血産生および貯蔵組織ならびに辺縁趨向の部位から血液への白血球の動員または放出を可能にするのに十分な時間維持されている。
悪性腫瘍に対する細胞傷害性化学療法後の骨髄抑制および造血回復は、処置関連罹患率および死亡率の主要な測定因子である(Bodey 1966; Link 1994)。骨髄または末梢血から収集した自己造血幹細胞および前駆細胞の移植は、高用量療法後の宿主造血機能を救助しうる。高用量療法は、リンパ腫または多発性骨髄腫を有する患者において有利な疾患管理および生存を示した(Philip 1995; Attal 1996; Barlogie 1997; Lenhoff 2000)。動員された末梢血幹細胞(PBSC)の使用は、より速い植え付けのために、移植片としての自己骨髄の使用をほぼ完全に置換した(Beyer 1995; Schmitz 1996)。PBSC移植におけるCD34+細胞数は、幹細胞および前駆細胞の量のマーカーであり、造血回復に関係する。CD34+細胞の数は正確に測定されうるが、造血回復の予測は大きく変わり易い(Bensinger 1995; Tricot 1995; Weaver 1995; Ketterer 1998)。細胞傷害性療法後の造血回復の役割を果たす宿主因子は、十分には規定されていない(Tricot 1995; Bolwell 1997)。
高用量療法後の好中球減少は、通常、動員されたPBSCの使用により短くなる、しかしそれでも数日間重篤である。患者の大多数は、感染を示す好中球減少性発熱を発生する(Kolbe 1997; Reich 2001)。感染の臨床課程は定まらず、一部の患者では、合併症は生命を脅かしうる。
顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)は、好中球産生および機能に特異的な造血成長因子である。これは、骨髄の好中球前駆細胞の増殖速度を増大し、好中球成熟を加速する(Lord 1989)。今日のG-CSFの主要な応用は、好中球減少性発熱の危険性を低減し、PBSCを動員することである(Ozer 2000)。
骨髄抑制された被験体の危険性評価は、可能である場合、種々のレベルの支持的ケアを規定するため、造血成長因子の適用および用量ならびに抗菌予防および治療の強度および持続期間を層別化するために使用されうる。
したがって、本発明の基礎となる技術的課題は、高用量細胞傷害化学療法および/または造血細胞移植に関連する疾患、障害または合併症の予測、診断、予防および処置の手段ならびに方法を提供することであり、それにより、前述の望まれない副作用が適切に回避、軽減、または処置される。
本発明の基礎となる技術的課題は、特許請求の範囲で特徴づけられる態様により解決される。
従って、本発明は、
(a)被験体から得られた血液サンプル中に存在する白血球の量を測定する工程、ここで、上記被験体は、単回用量のG-CSFの投与に供されており、造血産生および貯蔵組織または辺縁趨向の部位から血液への白血球の動員または放出を可能にするのに十分な時間維持されている;および
(b)対照被験体において動員または放出された白血球の量を用いて、工程(a)で測定された白血球の量を評価することにより造血細胞能力を測定する工程、ここで上記対照被験体は、(i)高用量細胞傷害性化学療法および/または造血細胞移植に関連する疾患、障害または合併症の高い危険性を有する被験体、(ii)高用量細胞傷害性化学療法および/または造血細胞移植に関連する疾患、障害または合併症の中間の危険性を有する被験体、または(iii)高用量細胞傷害性化学療法および/または造血細胞移植またはそれらに対する感受性に関連する疾患、障害または合併症の低い危険性を有する被験体からなる群より選ばれる、を含む被験体の造血細胞能力を測定する方法に関する。
ある好ましい態様では、本発明は、工程(b)において対照被験体が健康な被験体である上記方法に関する。本発明のさらに好ましい態様では、評価は、工程(a)で測定された白血球数と好ましくは健康な被験体である対照被験体(単数または複数)の白血球数の貯蔵数または範囲との比較により行われる。
さらに、工程(b)において白血球の量は、上記白血球が動員されたか、または放出された対照被験体に由来する血液サンプル中に存在することが本発明により予想される。
用語「造血細胞能力」は、高用量細胞傷害性化学療法および/または造血細胞移植に関連する疾患、障害または合併症の診断、予防および処置を予測する値をいう。上記値は、下記および添付の実施例に記載のように測定されうる。これは、高用量化学療法等の細胞傷害性療法後に被験体においてG-CSFの単回用量の投与により誘導される白血球を表す。造血細胞能力は、相対スケールおよび/または分類における誘導される白血球ピークの影響を表す。造血細胞能力は、白血球ピークの分布を<25百分位数、>25百分位数、<50百分位数、>50百分位数、<75百分位数および>75百分位数に分類すること、または1.0として設定されうる分布の中央値に対する相対値に変換することにより計算されうる;添付の実施例も参照。
用語「白血球」は、BおよびTリンパ球、顆粒球、(好酸球、好中球、好塩基球)、単球およびマクロファージならびにそれらの前駆体またはそれらに由来する細胞を含む。
本発明に従って使用される用語「被験体」は、動物、好ましくは、脊椎動物およびヒトに関する。
本明細書中で使用される用語「投与」は、G-CSF等のタンパク質またはポリペプチドの投与の全ての適切な形態をいう。かかる投与の様式は、G-CSFの静脈内および皮下投与を含む。さらに、物質は、通常の医薬組成物で、または別々の医薬組成物としてのいずれかで他の物質と組み合わせて投与されうる。
用語「単回用量」は、G-CSFが造血細胞能力の測定の前、ならびに被験体へのPBSCもしくは造血成長因子の移植または抗菌処置等の医学的処置のさらなる工程前の規定された時間間隔に患者に投与されることを意味する。しかし、上記用語は、G-CSFが一回だけ投与されることを必ずしも必要とはせず、むしろ単回用量のG-CSFはまた、いくらかの工程で独立して投与されうる。本発明の方法に従って投与される単回用量のG-CSFは、細胞傷害性療法の前、間、または後に投与されうる。好ましくは、上記単回用量は、細胞傷害性療法が行われた後に投与される。細胞傷害性療法の間の上記単回用量のG-CSFの投与は、好ましくは、かかる細胞傷害性療法の過程がかかる細胞傷害性療法のための治療剤の数回の投与を含む場合を意図し、それにより上記単回用量のG-CSFは、かかる細胞傷害性療法のための治療剤の用量の最初の投与がなされる時、しかしかかる細胞傷害性療法の同一または別の治療剤の最後の用量が投与される前に投与される。より好ましくは、上記時間間隔は、約1〜約120時間の範囲である。さらにより好ましくは、上記時間間隔は約1時間、約2時間、約6時間、約10時間、約12時間、約14時間または約18時間である。
本発明の別の態様では、単回用量のG-CSFは、細胞傷害性療法および/または造血細胞移植とは独立して投与されうる。従って、用語「造血細胞能力」はまた、感染に関連する疾患、障害または合併症の診断、予防および処置の予測となる値をいう。上記値は、細胞傷害性療法および/または造血細胞移植での患者の前処理とは独立して、下記および添付の実施例に記載されるようにして測定されうる。これは、被験体におけるG-CSFの単回用量の投与のために誘導される白血球を表す。造血細胞能力は、相対スケールにおける誘導される白血球ピークの影響を表す。造血細胞能力は、白血球ピークの分布を<25百分位数、>25百分位数、<50百分位数、>50百分位数、<75百分位数および>75百分位数に分類すること、または1.0として設定されうる分布の中央値に対する相対値に変換することにより計算されうる;添付の実施例も参照。さらに、従って、用語「単回用量」は、G-CSFが、被験体への造血成長因子もしくは抗菌処置または造血移植等の医学的処置のさらなる工程とは独立して造血細胞能力の測定の前の規定された時間間隔に被験体に投与されることを意味しうる。上記用語は、G-CSFが一回のみ投与されることを必ずしも必要とはせず、むしろ単回用量のG-CSFはまた、いくらかの工程で投与されうる。本発明の方法に従って投与されるG-CSFの単回用量は、細胞傷害性療法とは独立して、および/またはいかなる細胞傷害性療法をも伴うことなく投与されうる。
用語「G-CSF」は、Filgrastim(r-metHu G-CSF)、clinical practice, George Morstyn編、第2版、1998, Marcel Dekker Inc., New York; Kubota 1990; Asano 1991; Welte 1996に記載される顆粒球コロニー刺激因子の生物学的活性を有するポリペプチドまたはタンパク質をいう。用語ポリペプチドおよびタンパク質は本明細書中では同義語的に使用される。好ましくは、上記G-CSFタンパク質またはポリペプチドは、Genbank 登録番号CAA27291(配列番号:1)またはCAA27290(配列番号:2)で示される少なくともG-CSFの成熟配列のアミノ酸配列を有し、ここでアミノ酸1〜30はシグナル配列に対応し、アミノ酸31〜207は、G-CSFの生物学的活性を担う成熟ポリペプチドに対応する。さらに、Genbank登録番号CAA01330(配列番号:3)またはCAA01319(配列番号:4)に示されるアミノ酸配列はまた、成熟G-CSFポリペプチドに対応する。治療的に適切なG-CSF組成物は市販されており、以下に詳細に記載される。G-CSFポリペプチドまたはタンパク質は、さらに、前述の配列のいずれか1つに少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも92%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列を有する分子バリアントを含む。本発明の好ましい態様では、EP0459630に提供される配列のいずれかを有するG-CSFバリアントが使用されうる。また、G-CSFの修飾配列は、EP0459630の教示に従って調製され得、そのように調製されたG-CSFは、本発明に従って使用されうる。好ましくは、上記分子バリアントは、上記のようなG-CSFの生物学的活性を有する。さらに、上記のようにG-CSFの生物学的活性を有するG-CSFの断片はまた、本発明の方法に含まれる。これらの断片は、成熟G-CSFポリペプチドのN末端およびC末端欠失を含みうる。最後に、前述のG-CSFタンパク質、その分子バリアントまたは断片の融合タンパク質もまた本発明の範囲内に含まれる。上記融合タンパク質は、上記G-CSFタンパク質、その分子バリアントまたは断片に加えて、抗体等のG-CSFに関連しないタンパク質に由来しうるアミノ酸配列をさらに含む。しかし、上記融合タンパク質は、本明細書中で言及されるG-CSFの生物学的活性を示すはずである。本発明はまた、前述のタンパク質およびポリペプチドのペグ化のような全ての適切な化学修飾を含む。ペグ化の方法は、当業者に公知である。米国特許第6,166,183号は、ペグ化ヒトG-CSF、その製造および使用を教示する。
上記で言及されたタンパク質またはポリペプチドは、適切な希釈剤中に投与されうる。希釈剤は、組み合わせの生物学的活性に影響しないように選択される。かかる希釈剤の例は、蒸留水、生理的生理食塩水、リンゲル液、ブドウ糖溶液、およびハンクス液である。さらに、医薬組成物または製剤はまた、他の担体、アジュバント、または非毒性、非治療性、非免疫性安定剤などを含みうる。
さらに、上記タンパク質またはポリペプチドは、標準的な薬剤、抗菌剤、モノクローナル抗体および他の組換え成長または発達因子等の他の治療剤とともに同時投与されうる。
用語「抗菌剤」は、細菌、真菌、ウイルス、原生動物、または寄生生物の感染に関連する疾患、障害および/または合併症の予防または処置のための治療剤を含むことを意味する。
用語「白血球の動員または放出を可能にするのに十分な時間」は、白血球がG-CSFにより活性化されるのに必要とする時間およびそれらが動員され、血液に進入するのに必要とする時間をいう。上記時間窓は、被験体の種々のクラス間で変化し得、被験体のクラスの種々の個体間でも変化する。しかし、当業者は、苦心せずに容易に本発明の方法を採用することができる。
用語「造血産生および貯蔵組織および辺縁趨向の部位」は、白血球を産生、貯蔵または保有できる組織および器官を含む。上記組織または器官または部位は、とりわけ、肝臓、骨髄、脾臓、リンパ系器官、肺、皮膚、血管内皮または微小循環を含む。
用語「評価」は、本発明の方法の工程(a)で測定された白血球の量を、対照被験体において動員または放出された白血球の量と関係付けることを含み、ここで対照被験体は、高用量細胞傷害性化学療法および/または造血細胞移植またはそれらに対する感受性に関する疾患、障害または合併症に関する規定された危険性を有することが知られている。好ましくは、上記評価は、上記白血球の量またはそれに由来する統計学的値を比較することにより達成される。適切な統計学的値およびその計算は、当業者に周知であり、とりわけ、中央値および分布を含む。さらに、本発明に従う評価を行いうる詳細な方法は、添付の実施例に記載される。最も好ましくは、添付の実施例に示されるように、評価は、測定された白血球の量と、前述の疾患、障害または合併症の規定された危険性またはそれに対する感受性を有する分類された対照群とを比較することにより行われる。
用語「対照被験体」は、造血細胞能力が本発明の方法により既に確立されており、疾患、障害、合併症の危険性またはそれらに対する感受性が経験に基づく危険性評価の先行するソースから公知である被験体をいう。用語「対照群」は、本発明に従って言及される疾患、障害、合併症に関して同じ危険性分類またはそれらに対する同じ感受性に当てはまる対照被験体の群を意味する。
用語「高い危険性」、「中間の危険性」および「低い危険性」は、好ましくは被験体が高用量化学療法等の下記で言及される治療の1つによる処置後に、疾患、障害、合併症を発生することに関する個々の素因またはそれらに対する感受性における差異をいう。上記高い、中間または低い危険性は、統計学的に解析されうる。好ましくは、高い、中間または低い危険性を有する被験体または被験体の群間の差異は統計学的に有意である。これは、スチューデントt試験、χ2試験、Wilcoxon-Mann-Whitney試験、Kurskal-Wallis試験またはフィッシャーの正確検定、ログ-ランク試験、ロジスティック回帰分析、またはCoxモデルを含む周知の統計学的技術により評価されうる。最も好ましくは、危険性群は、添付の実施例に記載されるように解析され、それにより診査データ解析が行われ、危険性群は、中央値、25%および75%百分位数に関して形成される。この分析に基づいて、危険性群形成に関する相対スケールカットオフ値が規定されうる。類似または同一の化学療法を受けた群内で、絶対白血球値がまたカットオフとして使用されうる。用語「類似または同一の化学療法」は、好ましくは、本質的に同じ程度の骨髄抑制が本質的に同じ時間点で達成される化学療法を意味する。群の継続的な可変性における差異は、比較される群の数に応じてWilcoxon-Mann-Whitney試験またはKurskal-Wallis試験により試験される。少数または定序の分類のために、傾向に関するフィッシャーの正確検定またはχ2試験が適用される。予測因子の独立した影響を調査するため、および種々の危険性群を確立するために、容易に、当業者は、層別化したバージョンの前述の試験またはCoxモデルを用いて多変量解析を行いうる。
用語「高用量細胞傷害性化学療法および/または造血細胞移植またはそれらに対する感受性に関連する疾患、障害または合併症」は、手順により引き起こされるか、または関連することが報告されている疾患、障害または合併症を含む。好ましくは、かかる疾患、障害または合併症は、下に明確に記載されたものである。
有利には、高用量細胞傷害性化学療法および/または造血細胞移植に関連する疾患、障害または合併症の危険性評価に関する予測値が、細胞傷害性化学療法により処置された被験体におけるG-CSFにより生じた白血球ピークを測定することにより生じるうることが本発明に従って見出された。G-CSF投与後の数時間以内に、白血球は循環に進入する。本発明に従って、高用量療法後およびさらに末梢血幹細胞(PBSC)の自己移植後の単回用量のG-CSF投与後の白血球ピークが造血回復に関連することが観察された。性別不適合の同種異系造血移植片レシピエントの血中白血球におけるXY染色体に対する蛍光インサイチュハイブリダイゼーション(FISH)は、移植およびG-CSF投与後この早い段階での末梢血白血球は、主に、移植片起源ではなく宿主起源であることを示した(Arseniev 1997)。さらに、この現象への自家移植片のいかなる寄与をも排除するために、G-CSFは自己移植の前に投与され、誘導される一過性白血球ピークが宿主造血細胞能力の機能的な基準であるか否か、高用量細胞傷害性化学療法後の造血回復および関連する可変性を予測するか否かを調査した。
高用量化学療法後のG-CSFの単回用量の際の循環における初期の白血球ピークの値は、好中球減少および白血球減少の持続期間および重篤度ならびに宿主造血の回復率を予測した。細胞能力試験後に評価された血液学的なパラメータは、好ましくは、1つ以上の好中球および血小板回復の時間であり、また白血球減少<1000/μlの持続期間、好中球減少<500/μlの持続期間、骨髄抑制の間の血液中の残渣好中球/白血球レベルである。驚くことに、細胞能力試験と、骨髄抑制に由来する罹患率および死亡率に関連することが知られているこれらの血液学的パラメータとの相関は、非常に有意であった。細胞能力試験は、それ故、細胞傷害性療法の影響を解消する宿主造血の能力の基準を提供するようであった。好ましくは、細胞能力試験の時点で、血球計数がなおも正常であるか、正常に近く、試験結果は、骨髄抑制および/または移植の期間の管理に有利であると考えられうる。
細胞能力試験は、細胞傷害性療法の前、間または後の時点で使用されうる。細胞能力試験は、障害、合併症および/または疾患の可能性の評価に関する予測をもたらす。この予測は、治療の停止および/または処置の変更を決定するために有利に使用されうる。従って、非常に低い細胞傷害性試験値を測定した後、細胞傷害性療法および/または移植を(さらに)投与しないことが決定されうる。あるいは、好ましくは、低い〜中間の細胞能力試験値が測定される場合、治療が変更されるべきであることが決定されうる。例えば、細胞傷害性療法は、細胞傷害性療法が患者の造血系に対してより低い抑制効果を有するように、例えばそこで使用される1つ以上の細胞傷害性薬剤の用量の低減、および/またはかかる薬剤の少なくとも1つの省略、および/または細胞傷害性薬剤および/またはその用量および投与療法の選択の別のプロトコルへの変更により変更されうる。さらに、移植が投与される場合、患者の造血系を再構成するためにより多数のCD3+細胞が必要であると予想される。さらに、代わりにまたは加えて、患者の造血系を(より速く)再構成するために、同種異系または自己の造血幹細胞の移植が考慮されうる。さらに、所定の標準的な抗菌処置は、通常、感染および関連する合併症、障害、疾患および/または病気をより効果的に予防および/または処置するために、さらなる抗生物質、種々の抗生物質、および/またはより高い用量の抗生物質処置を含むように変更されうる。用語「抗生物質」は、本明細書では、細菌、寄生生物、原生生物、真菌および/またはウイルスに対して有効な物質を含むことが理解される。
種々の患者または患者群から得られた白血球数を比較する場合、値の基準化が行われうる。この目的のために、相対スケールが使用され得、その結果、数値の相対的増大のみが比較される。あるいは、または組み合わせて、値が分位点で分類される下記の実施例で使用される分類等の分類が使用されうる。本発明の別の態様では、規準化は、細胞傷害性化学療法により達成され、および/または患者および/または対照被験体に存在する骨髄抑制の程度を基礎として行われる。この種類の規準化を用いることにより、細胞能力を評価する時点で異なる程度の骨髄抑制を有する異なる患者群は、有利に比較されうる。
細胞傷害性化学療法の開始と単回用量のG-CSFとの間の時間間隔を増大させることにより、試験誘導性白血球ピークの中央値は、成熟血球の有効性が減少するために低くなる。しかし、造血回復の速度にこの影響はない。このことを考慮に入れて、白血球ピークは、類似した療法の群について別々に相対スケール上で評価されうる。分布の中央値に関するこれらの相対値は、上記で考察された継続的な細胞能力試験結果を構成する。
細胞能力試験それ自体は、末梢血幹細胞(PBSC)移植とは独立している。なぜならば、この試験は、凍結保存したPBSCの注入の前に行われるからである。自己PBSCの移植は、化学療法で枯渇した前駆体細胞プールを補給する。多変量解析では、細胞能力試験は、造血回復の予測においてPBSC CD34+細胞の用量効果とは独立した。
高用量化学療法後の動員されたPBSCの使用を伴う迅速な造血回復(Beyer 1995; Schmitz 1996)および関連する良好な耐容性および5%未満の低い処置関連死亡率は、外来患者基礎で自家移植を行うことに対する関心を刺激した(Meisenberg 1997; Hermann 1999; Palumbo 1999)。細胞能力試験>1.0で、少なくとも標準的な用量のCD34+細胞(>2.5×106/kg)が移植される場合、外来患者ケアは、可能性として示唆される(以下の実施例3〜5も参照)。この有利な群では、最適な好中球および血小板回復が存在し、これは、それぞれ10および12日目に完了した。それゆえ、この群では、造血回復は、遅延を伴うことなく起こり、感染の危険性が有意に減少し、抗菌治療の必要性が減少した。有利なことに、細胞能力試験の有効性により、有利な造血回復を達成するための移植に必要とされる閾値のCD34+細胞数が測定されうる。好中球減少性発熱は、しばしば細胞傷害性化学療法後の癌患者における感染の最初のサインおよび特徴である。これは、有意な合併症の比率に関連し、通常、標準的なケアとしての入院および経験的な広域スペクトルの静脈内抗菌性治療を導く(Pizzo 1993)。種々の臨床特徴を取り込む危険性モデルは、好中球減少性発熱を有する患者に関する合併症の危険性を規定するために開発された(Talcott 1992; Klastersky 2000)。低い危険性の患者は、経験的な経口抗菌治療(Kern 1999; Freifeld 1999)または外来患者処置(Talcott 1994; Rubenstein 1993)の候補であった。明らかに、化学療法の強度は、好中球減少性発熱だけでなく、感染を獲得する個体の感受性の重要な危険因子である。化学療法後の低リンパ球数は、好中球減少性発熱の発生に関して予測的であった(Blay, 1996)。化学療法の最初のサイクル後の好中球の最下点は、引き続く好中球減少、化学療法用量低減または後のサイクルで起こる処置遅延を予測した(Silber, 1998)。しかし、細胞能力試験は、骨髄抑制前の血中白血球数の上昇を誘導する。本発明の基礎をなす研究では、細胞能力試験は、白血球減少性発熱の発生、考証される感染(documented infection)および必要な静脈内抗菌治療の主要な予測変数であった。≦2.5×106CD34+細胞/kgを投与し、それ故不利な群を構成する場合が分析から排除された場合でさえも、細胞能力試験と好中球減少性発熱および/または考証される感染の非存在との間の観察される連続的な正比例ならびに抗菌治療の必要性との反比例は変化しなかった。細胞能力試験は、個々の患者の感染の危険性に関するさらなる情報を臨床医に提供しうる。細胞能力試験はまた、危険の層別化のための道具を提供する。
本発明の基礎をなす研究に基づいて、移植されるCD34+細胞の用量効果とは独立した造血回復を予測し得、高用量細胞傷害性化学療法に続く感染の危険性を予測しうる本発明の方法が確立された。さらに、本発明の細胞傷害性試験は、造血成長因子の適用および用量、移植されるCD34+細胞数、抗菌予防および治療の強度および期間ならびに骨髄抑制患者のためのケアのレベルを層別化しうる。また、医学的処置、感染または原発性および続発性骨髄疾患もしくは障害による種々の形態の骨髄抑制または免疫抑制における細胞能力試験が本発明に含まれる。それ故、本発明に従って、通常、細胞能力試験の適用および細胞能力試験の結果に従う適切な抗菌、抗真菌、および/または抗ウイルス治療の決定、任意に患者および任意に彼の血縁者の全般的な健康状態または疾患状態に関するさらなるデータを考慮することによる、骨髄抑制被験体における感染の予防方法が意図される。抗真菌、抗菌、および/または抗ウイルス治療は、予防的および/または治療的な処置として投与されうる。例えば、慢性感染の場合、患者が細胞能力試験の結果および任意に、患者および任意に、彼の血縁者の全般的な健康状態または疾患状態に関するさらなるデータに基づき、感染に対して有効には戦うことができないと決定されうる。結果として、治療処置が開始されうる。
さらに、細胞能力試験に由来する低い結果に基づき、感染を処置することまたは予防により感染を防止することよりもむしろ患者の造血系および/または免疫系を処置することが決定されうる。この目的のために、単回用量または連続用量または長期処置としての造血幹細胞の移植あるいは造血成長因子の投与が考慮されうる。1つのかかる造血成長因子はG-CSFである。他の因子としては、トロンボポエチン、GM-CSF、幹細胞因子、Flt3リガンド、エリスロポエチン、KGFが挙げられる。
本発明はまた、前述の方法の工程、およびさらに工程(c)工程(b)で得られた結果に基づいて上記被験体に適切な抗菌予防または治療を選択する工程を含む、被験体に対する適切な抗菌予防または治療を選択する方法に関する。上記でなされた用語の定義および説明が、必要な変更を加えて適用される。用語「適切な抗菌予防または治療」は、微生物感染を効率的に予防するか、またはその効率的な処置を可能にする医学的処置を含む。
本発明の好ましい態様では、上記予防または治療は、感染の処置、予防または軽減のための予防または治療である。
本発明のさらに好ましい態様では、上記感染は、真菌、ウイルス、原生動物、寄生生物および細菌の感染の群から選ばれる。
本発明のさらに好ましい態様では、感染は、肺炎、侵襲性真菌感染、全腸炎、軟組織感染、および敗血症からなる群より選ばれる。
上記医学的処置は、シプロフロキサシン、アンホテリシンB、フルコナゾール、トリメトプリム−スルファメトキサゾール、アシクロビル、ピペラシリン/タゾバクタム、ゲンタマイシン、メロペネム、バンコマイシン等の抗菌剤もしくは他の物質の投与、または上記抗菌剤もしくは物質の同時または連続投与の組み合わせを含みうる。多くの他の抗菌剤または物質が投与されうる。また、顆粒球注入またはその他等の細胞調製物が投与されうる。かかる抗菌剤または他の医学的処置の投薬量およびスケジュールは、微生物感染の予防または治療が達成されるか否かによる。さらに、臨床医はまた、どんな感染性因子を予測すべきか、およびどんな感染性因子が患者から単離されるかを考慮しなければならない。適切な抗菌予防または治療の臨界値は、造血回復に関する被験体の能力である。これらの考慮は、従来は経験的なデータに基づいてなされていた。本発明のおかげで、造血回復および被験体の感染の危険性の決定的な目印としての造血細胞能力が測定され、単に経験的なおよび平均データに頼ることなく適切な予防および治療を選択することができる。
さらに、本発明は、前述の方法の工程およびさらに工程(c)工程(b)で得られた結果に基づいて好中球減少性発熱に適切な予防または治療を選択する工程を含む、被験体の好中球減少性発熱に適切な予防もしくは治療を選択する方法に関する。
上記でなされた用語の定義および説明が、必要な変更を加えて適用される。用語「好中球減少性発熱に適切な予防または治療」は、好中球減少性発熱を効率的に予防するか、またはその効率的な処置を可能にする医学的処置を含む。上記医学的処置は、抗菌剤または生物学的な体液性もしくは細胞性治療の単独または組み合わせの経口もしくは静脈内投与を使用しうる。好ましくは、好中球減少性発熱に適切な予防または治療は、異なる投薬量およびスケジュールの単独または組み合わせ処置としてのG-CSFおよび他のもののような組換え成長因子および発達因子またはサイトカインの投与を含む。最も好ましくは、上記組換え成長因子および発達因子またはサイトカインは予防的に投与される。好中球減少性発熱の適切な予防または治療の臨界値は、造血回復に関する被験体の能力である。これらの考慮は、従来、経験的なデータに基づいてなされていた。
本発明のおかげで、造血回復および被験体の感染の危険性の決定的な目印としての造血細胞能力が測定され、単に経験的および平均データに頼ることなく好中球減少性発熱の適切な予防および治療を選択することができる。
さらに、本発明は、請求項1記載の方法の工程およびさらに工程(c)工程(b)で得られた結果に基づいて被験体の治療のために注入される造血幹細胞の量を選択する工程を含む、被験体の治療のために注入される造血幹細胞、好ましくはCD34+細胞の適切な量を選択する方法に関する。
上記でなされた用語の定義および説明が、必要な変更を加えて適用される。用語「治療のための造血幹細胞、好ましくはCD34+細胞の適切な量」は、効率的な造血回復を可能にする上記細胞の量をいう。
また、本発明は、上述の方法の工程およびさらに(c)工程(b)で得られ結果に基づいて上記被験体の処置のための造血成長因子またはサイトカインの適切な量を選択する工程を含む、被験体の処置のための造血成長因子またはサイトカインの適切な量を選択する方法に関する。
上記でなされた用語の定義および説明が、必要な変更を加えて適用される。用語「造血増殖因子またはサイトカインの適切な量」は、効率的な造血回復を支持する造血成長因子の量をいう。好ましくは、上記造血成長因子は、G-CSF、またはGM-CSF、エリスロポエチン、幹細胞因子、トロンボポエチンまたはKGFのような他の因子である。より好ましくは、適切な用量のG-CSFは、皮下適用される日当たり約5μg/kgである。
本発明の方法は、インビトロ適用を含む。
本発明はまた、(c)パラメータ、好ましくはサンプル、好ましくは体液、好ましくは血液または血液由来サンプルのパラメータを測定する工程、ここでパラメータは、好ましくは、哺乳動物から得られた上記サンプル中の造血細胞の集団または亜集団のマーカーであり、ここで上記哺乳動物は単回用量の造血成長因子、好ましくはG-CSFの投与に供されており、造血産生および貯蔵組織ならびに辺縁趨向の部位から血液への白血球の動員または放出を可能にするのに十分な時間維持されている;および
(d)対照哺乳動物中で同様の様式で測定されたパラメータの値を用いて、工程(a)で測定されたパラメータの値を評価することにより造血細胞能力を測定する工程、ここで対照哺乳動物は、(i)高用量細胞傷害性化学療法および/または造血細胞移植に関連する疾患、障害または合併症の高い危険性を有する哺乳動物、(ii)高用量細胞傷害性化学療法および/または造血細胞移植に関連する疾患、障害または合併症の中間の危険性を有する哺乳動物、または(iii)高用量細胞傷害性化学療法および/または造血細胞移植に関連する疾患、障害または合併症の低い危険性を有する哺乳動物からなる群より選ばれる、を含む被験体の造血細胞能力を測定する方法を含む。
さらに好ましくは、上記哺乳動物はヒトである。さらに好ましくは、上記マーカーはT細胞関連マーカー、またはB細胞関連マーカーである。本発明の範囲内にあるマーカーは、例えば実施例7に記載されている。
最後に、本発明は、本明細書中に記載される方法の工程およびさらに(i)有効量の適切な抗菌予防剤または治療剤、(ii)有効量の好中球減少性発熱の予防または治療のための適切な薬剤、(iii)造血幹細胞、好ましくはCD34+細胞の有効量、または(iv)造血成長因子の有効量を患者に投与することを含む、本明細書中に記載された、被験体における高用量細胞傷害性化学療法および/または造血細胞移植またはそれらに対する感受性に関連する疾患、障害もしくは合併症を処置する方法を含む。
上記でなされた用語の定義および説明が、必要な変更を加えて適用される。薬剤、細胞または成長因子の上記投与のための投薬療法は、担当する臨床医および他の臨床因子により;好ましくは上記方法のいずれかによって、測定される。医学分野で周知であるように、任意の患者の投薬量は、患者の大きさ、体表面積、年齢、投与される特定の化合物、性別、投与の時間および経路、全般的な健康、および同時に投与される他の薬物を含む多くの因子による。定期的な評価により進行はモニターされうる。
本発明は、被験体において、高用量細胞傷害性化学療法および/または造血細胞移植に関連した、疾患、障害または合併症に対する感受性を診断するための診断組成物を調製するための、被験体から得られた白血球の使用を包含する。ここで、該被験体はG-CSF用量の投与に供され、かつ造血産生組織および貯蔵組織、ならびに辺縁趨向の部位から血液への白血球の動員および放出を可能にするために充分な時間維持されている。
上記の用語の定義および説明が、必要な変更を加えて適用される。用語「診断組成物」は、本発明に従って使用される場合、前記白血球の治療または予防価の決定を可能にする、前記被験体から得られた白血球の実体、好ましくは、所定の血液量におけるそれらの絶対数または相対数をいう。白血球数の決定方法によって、前記細胞は、例えば蛍光活性化セルソーティング (FACS) 分析のために前処理がなされ得るか、または計測スライドなどの適切な計測デバイスに適用され得る。かかる前処理方法は当技術分野で周知である。
前述の見地から、本発明の方法または使用の好ましい態様において、高用量細胞傷害性化学療法および/または造血細胞移植に関連した前記疾患、障害または合併症は、好中球減少性発熱、微生物感染、造血回復遅延、出血、免疫抑制、宿主に対する免疫学的影響、高レベルの支持ケア、羅患率および致死率である。
本発明の方法または使用の別の好ましい態様において、前記被験体はヒトである。
本発明の方法または使用の更に好ましい態様において、前記被験体は高用量化学療法に供されている。
用語「高用量化学療法」とは、有意に減少した末梢血白血球数および血小板数、ならびに増加した感染リスクを伴って明らかな骨髄抑制が続く場合、「高用量」として認識される化学療法の投薬量および強さを言う。化学療法用物質の投薬量によって、PBSCの移植は必要とされ得るか、または必要とされ得ない。しばしば、高用量化学療法後にG-CSFまたはGM-CSFが適用され、かつ赤血球または血小板の輸血が必要とされる。
最も好ましくは、前記高用量化学療法はメルファラン、ブスルファン、シクロホスファミド、カルムスチン、エトポシドおよびシタラビン、または他の化学療法用物質の投与を含む。高用量化学療法においては、増大した投薬量が適用され得る。高用量養生法は、従来の投薬量の物質と、増大した投薬量との物質の組み合わせから成り得る。高用量化学療法における付加的な免疫抑制のために、抗胸腺細胞グロブリン (ATG) または抗リンパ球グロブリン (ALG) が該養生法に含まれ得る。
本発明の方法または使用の別の更に好ましい態様において、前記被験体は骨髄抑制的化学療法に供されている。
用語「骨髄抑制的化学療法」とは、骨髄機能における化学療法の効果をいう。末梢血白血球数、およびおそらく血小板数が限られた期間減少し、その後自発的にまたは造血成長因子刺激下で回復する場合、化学療法は骨髄抑制的である。骨髄抑制の程度に依存して、感染の危険性が増加し得る。
最も好ましくは、前記骨髄抑制治療は、シクロホスファミド、エトポシド、カルムスチン、シタラビン、メルファラン、ブスルファン、ドキソルビシン、エピルビシン、パクリタキセル、ドセタキセル (docetaxel)、チオテパ、フルダラビン (fludarabine)、ビンクリスチン、ベンダムスチン (bendamustine)、シスプラチン、カルボプラチン、ダウノルビシン、フルオロウラシル、ジェムシタビン (gemcitabine)、イダルビシン (idarubicin)、イフォスファミド (ifosfamide)、イリノテカン (irinotecan)、メトトレキセート (methotrexate)、ミトザントロン、オキサリプラチン (oxaliplatin)、トレオサルファン (treosulfan)、ビンブラスチン、ビノレルビン (vinorelbine)、の投与を含む。他の化学療法物質もまた、同様に投与され得る。
本発明の方法または使用の更に好ましい態様において、前記被験体は放射線療法に供されており、1次もしくは2次骨髄疾患、自己免疫疾患、遺伝的疾患もしくは障害、または感染症を患っている。
用語「放射線療法」とは、イオン性放射線の任意の治療適用をいう。前記放射線は、高速電子、中性子、陽子、またはPi-中間子、マイクロ波、IR、およびUV放射線を含む、放射活性放射線であり得る。好ましくは、前記放射線はガンまたは悪性の造血性疾患を処置するために使用される。
用語「1次骨髄疾患」は、1次的に骨髄の細胞に影響を与える疾患および障害を包含する。前記疾患または障害の例は、急性または慢性白血病、脊髄形成異常症、再生不良性貧血、先天性好中球減少症、周期性好中球減少症、特発性および自己免疫性好中球減少症である。
用語「2次骨髄疾患」は、ガンの骨髄転移の場合など、骨髄が2次的に関与する疾患および障害を包含する。
用語「自己免疫疾患」とは、患者における自己抗体の存在に関連する疾患をいう。前記疾患または障害の例は、リウマチ様関節炎または紅斑性狼瘡である。
用語「遺伝的疾患または障害」は、生殖系列を介して伝達される遺伝的欠損により引き起こされる全ての疾患または障害を包含する。最も好ましくは、本発明の範囲内の遺伝的疾患または障害は、周期性好中球減少症、コストマン症候群、シュバッハマン症候群およびゴーシェ病である。
用語「感染」は、好ましくは該被験体に生命を脅かす状態を生じ得る感染を包含する。感染は、骨髄抑制宿主において、重篤な器官機能異常および器官機能不全を導き得る。このような感染は、ブドウ球菌、連鎖球菌、腸球菌、大腸菌、クレブシエラ種、緑膿菌、カンジダ種、アスペルギルス種、ニューモシスティスカリニ、サイトメガロウイルス、ヘルペスウイルス、呼吸器ウイルスおよび他の多くの微生物などの、細菌、ウイルス、真菌、原生動物および寄生生物によって引き起こされ得る。骨髄抑制患者については、どの感染も生命を脅かし得る可能性があることが、当業者に理解される。しかしながら本発明により、処置、改善および/または予防される感染が、生命を脅かし得ないか、または生命を脅かす状態を導き得ない態様もまた意図することが更に理解される。それでもなお、被験体における細胞能力試験の適用は、主治医が任意のこのような感染の処置、予防および/または改善を検討することを導き得る。前記に関連して、本発明は、
(a)被験体から得られた血液試料に存在する白血球の量を測定する工程であって、該被験体が単回用量のG-CSFの投与に供されており、かつ造血産生および貯蔵組織ならびに辺縁趨向の部位から血液への白血球の動員または放出を可能にするのに充分な時間維持されている、工程;ならびに
(b)対照被験体において動員または放出された白血球量を用いて、工程(a)で測定された白血球量を評価することにより、造血細胞能力を決定する工程
を含む、被験体の造血細胞能力を決定する方法を提供する。
本発明は、好ましくは、工程(c)を更に含む上記の方法を提供する。ここで工程(c)は、工程(b)で得られた結果に基づいて、前記被験体に適切な抗微生物予防もしくは治療、または造血成長因子処置を選択する工程を含む。
上記の対照被験体は健常な対照被験体であり得る。好ましくは、対照被験体は(i) 高用量細胞傷害性化学療法および/または造血細胞移植に関連した疾患、障害または合併症に対して高いリスクを有する被験体、(ii) 高用量細胞傷害性化学療法および/または造血細胞移植に関連した疾患、障害または合併症に対して中程度のリスクを有する被験体、あるいは (iii) 高用量細胞傷害性化学療法および/または造血細胞移植に関連した疾患、障害または合併症に対して低いリスクを有する被験体からなる群より選択される。
本発明の方法または使用の、別の更に好ましい態様において、前記G-CSFはフィルグラスチン (filgrastim) (NeupogenTM; Amgen Inc., Thousand Oaks, CA, USA) またはレノグラスチン (lenograstim) (GranocyteTM; Chugai, Japan)である。
前記G-CSF調製物は市販されており、医学的処置の目的のため、薬物制御機関から認可されている。従って本発明の方法および使用には前記調製物の適用が好ましい。
好ましくは、G-CSFの投与量は、被験体の体重1 kgあたり約1〜約100μgの範囲から選択される。より好ましくは、G-CSFの投与量は被験体の体重1 kgあたり約1〜約20μgの範囲から選択される。
またより好ましくは、G-CSFの投与量は、被験体の体重1 kgあたり1.0、2.5、5、7.5、10または15μgである。
更に好ましくは、G-CSFの投与量は被験体の体重1 kgあたり約15〜約30、60および約100μgの範囲から選択される。更により好ましくは、G-CSFの投与量は被験体の体重1 kgあたり約20〜約30、60および約100μgの範囲から選択される。理論に拘束されること無しに、発明者らは、より高用量のG-CSF (被験体の体重1 kgあたり約15μg以上) が、より明確な患者の区別を導き、細胞能力試験の予測価を向上し得ることを信じる。これは特に、高用量処置を行っていない患者または健常被験体に関して真実であり得る。代替的な投与量 (例えば体表面積に基づいた) が使用される場合は、同様のG-CSFの絶対量が意図される。
本発明の方法または使用のより好ましい態様において、前記の、白血球の流動または放出を可能とするために充分な時間は、1〜120時間の範囲である。
またより好ましくは、前記の、白血球の動員または放出を可能とするのに充分な時間は、少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも6時間、少なくとも10時間、少なくとも12時間、少なくとも14時間または少なくとも18時間である。
本明細書の本文全体に、いくつかの文書が引用される。完全な引用文献は本明細書の最後、特許請求の範囲の直前に見出すことができる。本明細書中に引用される文書のそれぞれ (任意の製造者仕様書、使用説明書などを含む) は参照により本明細書中に援用される。
本発明は、以下の生物学的実施例に参照により例証されるが、これは単に実例に過ぎず、本発明の範囲の限定として構成されるものではない。
実施例1:細胞能力試験
患者
多発性骨髄腫 (MM) および再発性非ホジキンリンパ腫 (NHL) またはホジキン病 (HD) を有する87人の患者らに、標準的な養生法 (Philip 1995; Barlogie 1997; Weaver 1998; Linch 1993, Palumbo 1999) を伴う高用量治療を施し、続いて、一施設での自己末梢血幹細胞 (PBSC) 移植前に単回用量のG-CSFを投与した。患者らには、インフォームドコンセントを行った。患者らの特徴は表1に表される。
PBSCの流動、採取、処理および凍結保存
大多数の患者において、動員のため、G-CSFを用いたIEV養生法を使用した。IEV養生法は、1〜3日目の静脈内へのイフォスファミド2500 mg/m2、1日目の静脈内へのエピルビシン100 mg/m2、および1〜3日目の静脈内へのエトポシド150 mg/m2、続いて、5日目からPBSC採取の完了まで毎日の、皮下への5μg/kg用量のG-CSF (filgrastim; Amgen, Thousand Oaks, CA, USA) からなる。個々の用量削減とは別に、MMを有する60歳以上の患者は、2000年以降、75%の投薬量でIEVを受けている。最下点後、G-CSFが白血球数を5000〜10000/μL以上に上昇させるまで刺激した時に、COBE Spectra (COBE, Heimstetten, Germany) またはAS104 (Fresenius, St. Wendel, Germany) 細胞分離器および標準的プログラムを用いてPBSCを採取した。MMまたは低グレードNHLを有する20人の患者 (23%) においては、免疫磁性B細胞パージを受けた単回の白血球除去血輸血 (MaxSep, Baxter immunotherapy, Unterschleisseim, Germany) から、収集後直ぐにPBSCを採取した。PBSCを、等量の5% HSAおよび100% DMSO (Cryoserv, Tera Pharmaceuticals, Midvale, UT, USA) (4:1) で調製した凍結溶液と混合した。最終DMSO濃度は10%であった。コンピューター管理された制御速度凍結後、PBSCを含むバッグを液体窒素の蒸気相に貯蔵した。
CD34+細胞計数およびPBSC用量
CD34+細胞の決定を、アルゴンレーザーを備えたFACScan (BD, Mountain View, CA, USA) またはEPICS XL-MCL (Electronics, Miami, FL, USA) フローサイトメーターを使用して、ISHAGE (Sutherland 1993) のガイドラインに従って行った。全血を、PE結合体化モノクローナル抗CD34抗体およびFITC結合体化モノクローナル抗CD45抗体と、遮光下、4℃で30分間インキュベートし、続いて洗浄および赤血球溶解 (BD) を行った。1998年以前は20000の細胞を分析し、その後は75000の細胞を分析した。細胞残屑、血小板、残存する赤血球および全てのCD45ネガティブ細胞を排除するために、前方散乱対CD45蛍光ドットプロットを使用した。次いで二重ポジティブCD34+/CD45+細胞集団を、低いCD45発現および低い側方散乱特性に対して規定し、バックゲート (backgate) した。採取されたCD34+細胞の絶対数を得るために、規定されたCD34+細胞の百分率をアフェレーシス産物の総有核細胞含有量で乗じた。有核細胞含有量は、Coulter STKS (Coulter, Miami, FL, USA) を使用した自動細胞計測により決定した。使用された抗CD34抗体 (HPCA-2)、抗CD45抗体 (2D1) およびアイソタイプ対照はBD由来であった。
高用量治療および自己移植
MMを有する58人の患者 (67%) を、Barlogie の「総治療」コンセプト (Barlogie 1997) に従って処置し、3〜6ヶ月の間タンデムにメルファラン 200 mg/m2 (MEL200) を投与したか、あるいは、60〜70歳の患者については、Palumboに従って (Palumbo 1999) タンデムにメルファラン 100 mg/m2で処置した。第1のメルファラン 200 mg/m2後に部分的軽減に達しなかったMMを有する若い患者には、ブスルファン12〜16 mg/kg、およびシクロホスファミド120 mg/kgを第2の高用量処置 (BUCY) として投与した。再発性NHLまたはHDを有する29人の患者 (33%) を、ブスルファン16 mg/kgおよびシクロホスファミド120 mg/kg (BUCY)、またはカルムスチン300 mg/m2、エトポシド800 mg/m2、シタラビン800mg/m2およびシクロホスファミド140 mg/kg (BEAC)(Philip 1995)、またはカルムスチン300 mg/m2、エトポシド800 mg/m2、シタラビン1600 mg/m2およびメルファラン140 mg/m2 (BEAM)(Linch 1993)のいずれかで処置した。高用量養生法の分布を表1に示す。化学療法の最後の投薬から48〜60時間後に、自己PBSC移植を実行した。PBSC産物を37℃ウォーターバスの傍らで融解し、20 mLのACD-Aの添加後、中央静脈カテーテルを通して再注入した。
G-CSFの適用および血球計測
G-CSFは、最後の化学療法融合後、24時間以上常に与えられることが推奨される (Ozer 2000)。高用量化学療法後に皮下に投与した組換えヒトG-CSFは、113人の患者においてフィルグラスチン (Amgen, Thousand Oaks, CA, USA) であり、9人の患者においてレノグラスチン (Chugai, Japan) であった。PBSC自己移植の前の晩に、評価された単回のG-CSF注射を5μg/kg用量で行った。翌朝、単回G-CSF投与の約14時間後に、日常血液試験で、誘導された白血球ピークを検出した。日常血液試験のおよそ1時間後に、自己PBSC移植を行った。PBSC移植の翌日から、G-CSFを毎日、形成不全に続いて白血球数が5000/μLと10000/μLの間になるまで5μg/kg用量で投与した。Coulter STKS (Coulter, Miami, FL, USA) で、特異形態 (differential) を含む日常血球計測を、高用量治療の開始から患者が退院するまで毎日行った。
支持ケア
高用量治療、自己移植および移植後の段階の間、全ての患者は入院していた。抗微生物予防法は、以下で構成されていた: 自己移植の時点から好中球回復まで、シプロフロキサシン2×250 mg を毎日投与した。経口用アンホテリシンB懸濁液 4×1 mlを、全ての病院滞在の間投与したか、もしくは、経口用アンホテリシン不耐性の場合は、代わりに経口用フルコナゾール 1×100 mgを毎日投与した。高用量化学療法の投与間に、ニューモシスティスカリニ肺炎の予防を、毎日のトリメソプリム/スルファメトザゾール160 mg/800 mg 2×1で開始し、好中球回復後、2日間連続を各週、6ヶ月間2×1で続けた。トリメソプリム/スルファメトザゾール不耐性の場合は、代わりに300 mg のペンタミジン吸入を自己移植から6ヶ月、4週間ごとに行った。高用量治療の開始から好中球の回復まで、静脈内用アシクロビルを2×500 mgの用量で投与した。80 g/Lより上のヘモグロビンレベルおよび10000/μLより多い血小板数を維持するために、赤血球産物および個々のドナー血小板を代用した。全ての血球産物は、CMVネガティブであり、30 Gyの放射線を受け、白血球削減フィルターを通して輸血された。好中球減少の間、口腔体温が一度38.5℃を超した後、または38.0℃を超す熱が少なくとも1時間以上にわたってある時には、経験的静脈内微生物治療を開始し、先に公表されたガイドライン (Hughes 1997) に従って実行した。初期の処置は、ピペラシリン/タゾバクタム (tazobactam) +ゲンタマイシンを用いて行った。メロペネム (meropenem)/バンコマイシンを用いて段階的増大を行った。熱が5〜7日目にも続く場合は、静脈内用アンホテリシンBを加えた。好中球の回復まで、かつ解熱後少なくとも24時間までは、抗微生物処置を継続した。患者らは、好中球と血小板の回復後、および抗微生物治療の中止後に退院した。
造血回復、熱および支持ケアの評価
好中球回復は、自己移植の日以降、好中球数が500/μLを超えた初めての日と規定した。血小板回復は、自己移植の日以降、非代用血小板数が20000/μLを超えた初めての日と規定した。38℃を超す熱の発生、38℃を超す熱の日数および静脈内抗微生物治療の日数を、患者らが退院するまで記録した。
目的および統計学的分析
本研究の目的は、G-CSF誘導白血球ピークを、好中球および血小板回復、好中球減少性発熱の発生率および静脈内抗微生物治療の持続期間と相関づけること、ならびに、これらの相関を、PBSC自己移植物のCD34+細胞含有量に関して得られた相関と比較することであった。表された全ての分析は、観察の単位として移植過程に基づいている (個体群統計学的特徴および疾患基準特徴を除く)。
経時的な好中球および血小板回復の割合を、KaplanおよびMeier (1958) のプロダクト−リミット (product-limit) 法を使用して評価し、予後サブグループをログ−ランク試験 (Peto 1972) を使用して比較した。予後グループ間の連続型変数の差異を、グループの数によって、Wilcoxon-Mann-WhitneyまたはKruskal-Wallis分析により試験した。名目上のまたはオーダーされたカテゴリーの場合、Fisher’s 正確検定またはχ2検定を傾向に関して適用した。異なる終点に関する予測因子の独立した効果を試験するために、各試験の分類されたバージョンまたはCoxモデル (Cox 1972) を用いて多変量分析を行った。報告された全てのP値は、双方の試験から得られた。
細胞能力試験の実施
多発性骨髄腫またはリンパ腫を有する87人の患者において、122の高用量化学療法過程後、単回の皮下G-CSF注射 (5μg/kg) を行った。およそ14時間後に、日常血液試験を用いて、誘導された末梢血白血球ピークを検出した。これらの白血球ピーク (図1) は約90%好中球からなっていた。患者および処置特徴は表1に、誘導された白血球ピーク、好中球および血小板回復、38℃を超す熱の非存在および静脈内抗微生物治療の必要性は表2に表されている。静脈内化学療法の開始と単回G-CSF注射との間の時間間隔は、誘導された白血球ピークのメジアンに影響していた。しかしながら、シクロホファミド (cyclophophamide) の2日間の静脈内投与に先立つ、BUCY養生法における4日間のブスルファンの経口投与は、2日間のメルファランの静脈内投与でのMEL養生法と比較して白血球ピークを減少させなかった。
静脈内化学療法の開始と単回G-CSF投薬との間が2.5日間隔のBUCYおよびMEL高用量治療法の場合は、メジアン白血球ピークは16200/μLであった。6.5日間隔のBEAMおよびBEAC高用量治療の場合は、メジアン白血球ピークは4100/μLであり、ファクター4低かった。しかしながら、観察されたこの分析の対象は、BUCY/MELとBEAC/BEAMグループの間で類似していた (表2)。これにより、分布のメジアン (1.0として設定) で規定され、BUCY/MELおよびBEAC/BEAMグループに適用された相対的スケールで白血球ピークを評価することが示唆された。統計学的分析のため、白血球ピーク値を、メジアン未満 (≦50.百分位数) およびメジアンより大きい (>50.百分位数) に分類し、続いて、≦25.百分位数、>25.〜≦50.百分位数、および>50.百分位数への分類を使用した。最小、25.百分位数、50.百分位数および最大に対応した相対的スケールにおいける完全なメジアン配向値は、それぞれ0.15、0.77、1.0および3.66であった。この試験を、細胞能力試験と呼ぶ。
実施例2:造血回復の予測
好中球 (>500/μL) および血小板 (>20000/μL) 回復のメジアン時間は、それぞれ9日および10日である。細胞能力試験は、好中球 (p=0.001) および血小板回復 (p<0.0001) を予測した (表3)。興味深いことに、試験前の白血球数に対して、好中球回復 (p=0.06) はボーダーライン上に明確な相関が見られたのに対して、血小板回復 (p=0.4) は相関が見られなかった。予想通り、自己PBSC移植物におけるCD34+細胞数もまた、好中球 (p<0.0001) および血小板 (p<0.0001) 回復を予測した。
凍結保存された自己PBSCを移植する前に細胞能力試験を実施したため、細胞能力試験そのものはPBSC自己移植物から独立していた。誘導された白血球ピークとCD34+細胞数との間の相関は弱かった (r=0.226; p=0.01)。分類されたログ−ランク試験として行われた多変量解析において、好中球 (p=0.03) および血小板回復 (p=0.01) の予測における細胞能力試験の独立した効果 (<=メジアン、>メジアン) は、異なるCD34レベルを通して続き、より少ないCD34+細胞数で増加し、PBSC自己移植物のCD34+細胞用量影響を変化させた。自己移植物のCD34+細胞数が定量的な変数として含まれるCoxモデルにおいて、好中球 (p=0.05) および血小板回復 (p=0.0007) における細胞能力試験の独立した効果が確認された。
実施例3:移植のための好ましいCD34+細胞閾値の決定
凍結保存されたPBSCの移植前に細胞能力試験を実施したため、細胞能力試験そのものはPBSC移植から独立していた。多変量解析において、細胞能力試験は、PBSC CD34+細胞の用量影響から独立して造血回復を予測した。これは、移植のためのCD34+細胞の閾値用量を選択するための実践的な結果を有し得た。細胞能力試験>1.0では、>2.5×106CD34+ 細胞/kg の移植は好ましい好中球および血小板回復を達成するのに充分であり、それぞれ10日および12日で完了した。細胞能力試験<1.0の場合は、遅延造血回復に対する増加リスクが、より多くのCD34+細胞数の使用を示唆した。
実施例4:好中球減少性発熱および静脈内抗微生物治療の予測
38.0℃を超す熱は122の手順のうち55 (45%) で非存在であった。38℃を超す熱を有する日数のメジアン数は1日で、静脈内抗微生物治療を4日間のメジアンで行った。細胞能力試験は、熱の非存在と (p=0.03)、および静脈内抗微生物治療のメジアン持続時間と (p=0.03) 相関していた (表3)。PBSC自己移植物におけるCD34+細胞数の、38.0℃を超す熱の非存在との相関検索は傾向を示した (p=0.07) が、静脈内抗微生物治療との相関は見出せなかった (p=0.3)。細胞能力試験およびCD34+細胞数の両方が、白血球減少<1000/μL (p<0.0001) の持続期間と相関していた一方で、細胞能力試験のみが白血球減少の重篤度と相関していた (p=0.02)。細胞能力試験と、熱の非存在との間の継続的な直接的相関、および静脈内抗微生物治療の必要性との逆相関が観察された (図3)。低い細胞能力試験<0.6を伴うサブグループに関しては、熱の非存在は21%のみであった一方、高い細胞能力試験>2.0を伴うサブグループに関しては熱の非存在は80%であった。この分析から、少ないCD34+細胞数 (<=2.5×106/kg) のPBSC自己移植物を受けた場合と、それにより好ましく無い群が存在する場合を除外しても、この相関は変化しなかった (図3)。3件の処置関連死亡が起こった。これらは敗血症により引き起こされた。この3件の処置関連死亡における細胞能力試験は、0.15、0.77、および1.0であった。
実施例5:外来患者ケアの可能性
高用量化学療法後の動員PBSCの使用による早い造血回復、ならびに関連する良好な寛容性および5%以下の低い処置関連致死性は、外来患者を基礎とした自己移植の実行への興味を駆り立てた。CD34+細胞の標準用量 (>2.5×106/kg) と組み合わせた細胞能力試験>1.0で、可能性として外来患者ケアが示唆された。この群は、最適な造血回復 (図2) および減少した感染リスク (図3) に関連していた。
実施例6:細胞能力試験およびCD34+細胞数に影響を与える因子
年齢、性別、診断ならびに化学療法および放射線療法での前処置に対して、PBSC自己移植物における細胞能力試験またはCD34+細胞数との明らかな相関は見られなかった。
Figure 2005521053
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実施例7:造血回復と相関する因子
上記の細胞能力試験は、哺乳動物が造血成長因子の投与に供されている場合、造血回復と相関する哺乳動物のパラメータまたは哺乳動物由来の試料から得られたパラメータの測定を含む。パラメータは、好ましくは白血球 (white blood cell) 数、または白血球 (leukocyte) 数である。測定されたパラメータの絶対値は、上記の通り、好ましくは処置群内の、つまり類似のまたは同一の処置を受けている哺乳動物の群内の、分布のメジアン (1.0として設定) により規定される相対的スケールで評価される。用語「類似のまたは同一の処置」とは、好ましくは放射性療法および化学療法の用量、投与の回数およびここで使用される薬物の種類を含む、処置養生法に関する。パラメータは好ましくは体液またはバイオプシーなどの哺乳動物由来の試料において測定される。バイオプシーは好ましくは健常な哺乳動物において、免疫学的に活性な細胞を含む部位から得られる。細胞は好ましくはT細胞、B細胞、顆粒球、血小板、単球、NK細胞、その他の細胞である。細胞は、細胞発生および/または分化の、初期もしくは後期の段階から得られ得る。哺乳動物は好ましくはヒトである。成長因子は好ましくはG-CSFまたは造血系を刺激する類似した活性のある成長因子である。例えば、アンジオテンシンおよび/またはアンジオテンシン由来ペプチド(Rodgersら, Cancer Chemother Pharmacol 49(5):403-11,2002)、インターロイキン-1 β (Lebedev ら, Radiats Biol Radioecol 42(1):60-4, 2002)、インターロイキン-8 (Terashimaら, Blood 92 (3):1062-69, 1998; Laterveerら, Blood 85(8):2269-75, 1995; Laterveerら, Blood 87(2):781-88, 1996) およびインターロイキン-11 (Saitohら, Cytokine 13(5):287-94, 2001) はかかる活性を示し得る。造血系における刺激活性は、要因で変化し得る。例えば、インターロイキン-11は好ましくは巨核球新生において機能する。PGG-グルカンなどの非ペプチド因子もまた、造血細胞新生の刺激に作用し得る (Turnbullら, Acta Haematol 102(2):66-71, 1999)。
測定され得る因子としては細胞数が挙げられる。これは、好ましくは、哺乳動物、好ましくはヒト由来の試料中で測定され、この試料は好ましくは血液試料または血液由来試料である。血液由来試料は、好ましくは、白血球(white blood cell)、また好ましくは白血球(leukocyte)を含む。計数される細胞は、好ましくはT細胞、NK細胞、顆粒球、好酸球、単球、好中球、血小板、リンパ球、B細胞などである。計数される細胞は、好ましくは、造血起源、より好ましくは前駆および/または幹細胞由来である。
パラメーターはまた、おそらく、マーカー、好ましくは細胞表面マーカーの測定値由来である。このようなマーカーとしては、CD3、CD4、CD8、CD20、B7、CD45、CD34、CD36、CD56、CD19、CD20-24、CD25、CD37、CD79αおよび/またはβ、CD2、CD5、CD7、CD43、CD45(白血球共通抗原LAK)CD45R0、CD56、フローサイトメトリー側方散乱、フローサイトメトリー前方散乱、全てのリンパ系細胞と反応するS-100マーカー、CD30、CD45RA、CD74、CDw75、CDw76、CD79、κ軽鎖、λ軽鎖が挙げられる。さらなるマーカーは、細胞増殖と関連するもの、例えば、Ki-67マーカーである。さらに、マーカーは、細胞死、好ましくはアポトーシスまたはネクローシスと関連する。アポトーシスの検出のための多くのマーカーまたは方法は当業者に公知である。例えば、アネキシンV、DNAラダリング(laddering)、核濃縮、核断片化、一本鎖DNA標識化、シトクロムc放出およびカスパーゼによる基質(例えば、PARP)の切断は、アポトーシスと関連するマーカーである。好ましくは、アネキシンV標識化またはカスパーゼ3/7活性試験が使用され得る。
上記パラメーターの決定および/または測定は十分当業者の知識の範囲内である。例えば、上記表面および細胞内部タンパク質マーカーのためのアッセイは、Dako Cytomation Denmark A/S, Produktionsvej 42, 2600 Glostrup, Denmarkまたはその子会社から市販されている。
従って、任意の上記マーカーは、上記実施例1に記載のような細胞能力試験を実施し、上記のようなマーカーをさらなるパラメーターとして使用することにより相互関係を示され得る。次いで、さらなるパラメーターは、白血球数と同様の様式で造血回復と相互に関連があり、造血回復とのその相互関係を上記実施例1に記載する。造血回復、および/または本明細書中の実施例に記載するような治療関連因子および成果関連因子との白血球数の相互関係よりも良好な相互関係が好ましい。
実施例8:多発性骨髄種または再発リンパ腫を有する患者の群における細胞能力試験
患者および方法
患者
多発性骨髄種(MM)または再発リンパ腫(LYM)を有する86人の患者で研究を実施した。49人の患者(57%)は男性であり、37人の患者(43%)は女性であった。メジアン年齢は53歳であった(18〜68歳の範囲)。高用量治療の前に、患者は、メジアン6サイクルの化学療法を受けていた(0〜25サイクルの範囲)。放射線治療を29人の患者(34%)に行っていた。患者は、処置についてインフォームドコンセントを受けた。この患者コホートは、部分的に実施例1〜6の患者コホートと重複する。
血液幹細胞動員、採取、処理および低温保存
非常に多数の患者において、G-CSFでのIEV養生法を幹細胞動員のために使用した。IEV養生法は、静脈注射による1〜3日目のイフォスファミド(ifosfamide)2500mg/m2、静脈注射による1日目のエピルビシン(epirubicin)100mg/m2および静脈注射による1〜3日目のエトポシド150mg/m2、次いで皮下注射による5日から血液幹細胞採取の完了までの毎日の5μg/kgの用量でのG-CSF(フィルグラスチン(filgrastim);Amgen, Thousand Oaks, CA, USA)からなる。個々の用量削減は別として、MMを有し60歳以上の年齢の患者は、2000年から75%投薬でIEVを受けていた。COBE Spectra(COBE, Heimstetten, Germany)またはAS104(Fresenius, St. Wendel. Germany)細胞分離器および標準的なプログラムを使用して、最下点後、G-CSF刺激された白血球数が5000〜10000/μL以上まで上がった場合に、PBSCを採取した。幾つかの場合、単一の白血球搬出法から採取された血液幹細胞は、収集直後に免疫磁性(immunomagnetic)B細胞粛清(purging)(MaxSep, Baxter Immunotherapy, Unterschleissheim, Germany)を受けた。血液幹細胞を5%HSAおよび100%DMSO(Cryoserv, Tera Pharmaceuticals, Midvale, UT, USA)(4:1)で調製した等容積の凍結溶液と混合した。最終DMSO濃度は10%であった。電算化制御速度凍結後、血液幹細胞を含むバッグを液体窒素の蒸気相内で貯蔵した。
血液幹細胞自家移植片におけるCD34+細胞列挙
CD34+細胞の測定を、アルゴンレーザーを備えるFACScan(BD, Mountain View, CA, USA)またはEPICS XL-MCL(Electronics, Miami, FL, USA)フローサイトメーターを使用して、ISHAGE(Sutherlandら1996)のガイドラインに従って実施した。全血を、PE結合体化モノクローナル抗CD34抗体およびFITC結合体化モノクローナル抗CD45抗体と共に暗がりで4℃にて30分間インキュベートし、次いで洗浄および赤血球溶解(BD)した。1998年以前は、20000細胞を分析し、その後75000細胞を分析した。細胞残屑、血小板、残存赤血球および全てのCD45陰性細胞を排除するため、前方散乱対CD45蛍光ドットプロットを使用した。次いで、二重陽性CD34+/CD45+細胞集団を画定し、低CD45発現および低側方散乱特性について排除(backgate)した。そのように画定したCD34+細胞の割合を、アフェレーシス産物の総有核細胞含有量と掛けて、採取したCD34+細胞の絶対数を得た。有核細胞含有量を、Coulter STKS(Coulter, Miami, FL, USA)を使用して自動細胞計により測定した。抗CD34抗体(HPCA-2)、抗CD45抗体(2D1)および使用したアイソタイプ対照はBD由来であった。
高用量治療および血液幹細胞移植
86人の患者における128の高用量化学療法推移を研究した。メルファラン200mg/m2(MEL200)(Barlogieら1999)を88の手順(69%)に適用し、メルファラン100mg/m2(MEL100)(Palumboら1997)を18の手順(14%)に、BUCYを22の手順(17%)(Schillerら1994;Weaverら1999)に適用した。自己血液幹細胞移植を最終用量の化学療法48時間後に実施した。
G-CSFの適用および血球計数
高用量化学療法後に皮下注射により受けた組換えヒトG-CSFは、121の場合でフィルグラスチン(Amgen, Thousand Oaks, CA, USA)であり、7の場合でレノグラスチン(lenograstim)(Chugai, Japan)であった。評価される単一G-CSF注射を5μg/kgの用量で自己血液幹細胞移植前の夕方(最終化学療法注入約30時間後)に受けさせた。誘導されたWBCピークを、翌朝(単一G-CSF用量12〜14時間後)に慣用的な血液試験を用いて測定した。自己血液幹細胞移植を慣用的な血液試験約2時間後に行った。移植の次の日から、G-CSFを5μg/kgの用量で毎日、最下点後WBC数が5000/μLと10000/μLの間になるまで受けさせた。差を含む日常の血液計数を、高用量治療の開始から患者が病院を去るまで毎日Coulter STKS(Coulter, Miami, FL, USA)で実施した。
支持的ケア
全ての患者を高用量治療、自家移植片および移植後相の間入院させ、同じ支持的ケアを受けさせた。抗菌予防は以下からなっていた:自家移植片のときから好中球回復まで毎日シプロフロキサシン2×250mgを受けさせた。全入院滞在の間経口アンホテリシンB懸濁液4×1mLを受けさせ、あるいは経口アンホテリシン不耐性の場合は、経口フルコナゾール(fluconazole)1×100mgを毎日受けさせた。ニューモシスティスカリニ肺炎予防を、高用量化学療法の投与の間、トリメトプリム/スルファメトキサゾール160mg/800mg 2×1で毎日受けさせ、移植前に停止し、6月間1週あたり2日連続で2×1で好中球回復後に続けた。トリメトプリム/スルファメトキサゾール不耐性の場合、代替的に300mgのペンタミジン吸入を、自家移植片から6月間4週ごとに実施した。静脈内アシクロビルを、高用量治療の開始から好中球回復まで2×500mgの用量で受けさせた。赤血球産物および単一ドナー血小板を置換して、80g/Lを越えるヘモグロビンレベルおよび10000/μLを超える血小板数を維持した。全ての血球産物はCMV陰性であり、30Gyで照射し、白血球削減フィルターを介して輸注した。経験的静脈内抗菌治療を、38.5℃より高い単一の口部温度が少なくとも1時間にわたりあった後または38.0℃より高い熱が少なくとも1時間にわたりあった場合の好中球減少の間に開始し、以前に発表されたガイドライン(Hughesら1997)に従って実施した。初期処置を、ピペラシリン/タゾバクタム(tazobactam)およびゲンタマイシンを用いて実施した。エスカレーションをメロペネム/バンコマイシンを用いて実施した。熱が5〜7日目で持続する場合、静脈内アンホテリシンBを添加した。抗菌処置を好中球回復および熱の消散少なくとも24時間後まで続けた。患者を好中球および血小板回復後ならびに抗菌処置の停止後、病院から退院させた。
造血回復および感染の評価
好中球回復を、自家移植片の日から500/μLを超える好中球数を有する最初の日として規定した。血小板回復を、自家移植片の日から20000/μLを超える非置換血小板数を有する最初の日として規定した。観察期間は高用量治療から患者が退院するまでであった。以前に発表された基準(Linkら1994)に従って感染の評価を実施した。
目的および統計分析
本研究の目的は、G-CSF反応の指標としての誘導WBCピークと好中球および血小板回復ならびに感染の速度および型との相互関係を明らかにすること、ならびに自己血液幹細胞自己移植片におけるCD34+細胞数に対して得られたものとこれらの相互関係を比較することであった。示された全ての分析(人口統計学および疾患基準特性を除く)は、観察単位としての移植推移に基づく。
経時的な好中球および血小板回復の速度を、KaplanおよびMeierによる産物限定法(KaplanおよびMeier, 1958)を使用して判断し、予後部分群をログ列試験(PetoおよびPeto, 1972)の使用により比較した。予後群間の連続変数における差を、群の数に従いWilcoxon-Mann-WhitneyまたはKruskal-Wallis分析により試験した。フィッシャーの直接確率検定または傾向に対するχ2検定を適用した。異なる終点に関する予測因子の独立した影響を試験するため、結果変数の性質に従い、それぞれの試験の層別バージョン、Cox(Cox, 1972)またはロジスティック回帰モデルを用いて多変量解析を実施した。全ての報告されたp値は両側検定から生じる。
宿主G-CSF反応
単一の皮下G-CSF注射(5μg/kg)を、多発性骨髄種またはリンパ腫を有する86人の患者において、128の高用量化学療法推移後、早めに投与した。この時点で、メジアンWBC数は4100/μL(1800〜10700/μLの範囲)であり、メジアン血小板数は197000/μL(24000〜640000/μLの範囲)であった。G-CSF誘導WBCピークを12〜14時間後に測定した。これらの一過性のWBCピークは異なる大きさを有しており(図4)、およそ90%の好中球からなっていた。メジアンWBCピークは17400/μL(3300〜60600/μLの範囲)であった。WBCピークの分布を図5Aに示す。コロニー形成細胞またはCD34+細胞はこれらのWBCピーク内に検出されなかった。WBCピーク後、WBC数は減少し、重篤な白血球減少(<200/μL)が全ての場合で続いた。
造血回復の予測
G-CSF反応の測定の後に、3.92×106CD34+細胞/kgのメジアン(0.9〜21.2の範囲)を用いて自己血液幹細胞移植を実施した。好中球植付け(>500/μL)までの時間は9日のメジアン(8〜12の範囲)であり、血小板植付け(>20000/μL)までの時間は10日のメジアン(8〜25の範囲)であった。G-CSF反応は、好中球(p<0.0001)および血小板植付け(p<0.0001)を予測した(表4)。移植されたCD34+細胞の数はまた、期待どおり、好中球(p<0.0001)および血小板植付け(p<0.0001)を予測した。他の患者または処置特性およびG-CSF前のWBC数は、造血回復と相互に関係がなかった(表4)。G-CSF反応とCD34+細胞数との間の相互関係は弱かった(r=0.21;p=0.02)。Coxモデルにおける多変量解析において、G-CSF反応による造血回復の予測は、移植されたCD34+細胞の影響とは独立していた(表5)。
感染の予測
128のうち69の手順(54%)で38℃より高い熱があった。29の手順(23%)で感染が記録された。G-CSF反応は、記録された感染の割合を非常に有意に予測した(p<0.0001)。1000/μL未満の白血球減少は5日のメジアン(3〜11の範囲)で持続した。期待され得るように、白血球減少の期間もまた記録された感染の割合と相互に関連した(p=0.003)。ロジスティック回帰として実施した多変量解析において、G-CSF反応は、感染の予測において、白血球減少期間から独立しており、優勢予後因子として明らかになった(p<0.0001)(表5)。記録された感染の割合と移植されたCD34+細胞の数または他の患者と処置特性との間の相互関係はなかった(表4)。多数の因子が熱の発生と相互関係があったが、これらのいずれも多変量解析における独立した意味は保有していなかった。
非常に多数の記録された感染(86%)は低G-CSF反応で生じた(図5および表6)。血流由来の細菌単離物は主にコアグラーゼ陰性ブドウ球菌であった。また、多数の肺炎(83%)および全ての侵襲性真菌感染および処理関連死は低G-CSF反応と関連していた。
第一のおよび第二の高用量化学療法推移を分析した39人の患者において、G-CSF反応は、第一の高用量化学療法後21700/μL WBCのメジアン(6400〜59300/μLの範囲)から第二の高用量化学療法後15600/μL WBCのメジアン(3300〜24800/μLの範囲)まで減少した。同時に、記録された感染の割合は38%まで増加した。
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本研究において、本発明者らは、骨髄抑制の相が続く前の単一用量の薬理学的G-CSFに対する宿主の反応が、推移の間および骨髄抑制を克服するための決定的な造血機能の予測変数であり得ることを見出した。これはG-CSFの潜在能力を強調し、G-CSFが診断手順において使用され得ることを示唆する。感染と戦うためおよび骨髄抑制の発現前に血球減少を代償するための宿主防御メカニズムの能力を評価し予測することは、これまでは不可能であった。G-CSF反応は、骨髄微小環境を標的化することにより白血球動員を誘発し、エフェクター細胞応答を直接提示する。これは、サイトカインレベルを測定することとは概念的に異なる。本発明者らの研究は、薬理学的G-CSFによりインビボで明らかに標的化され試験され得る宿主防御の微小環境能力を示唆する。
移植されたCD34+細胞の数は、高用量化学療法後の幹細胞植付けに対する主要な関連性のある因子である(Bensingerら1995;Tricotら1995;Weaverら1995;Kettererら1998)。これは本発明者らの研究で確認された。しかしながら、G-CSF反応は、移植されたCD34+細胞の数から独立して幹細胞植付けを予測した。従って、G-CSF反応は、自己幹細胞移植後の機能的造血微小環境の改善の間維持される造血回復に対する重要な独立因子である。
白血球減少の持続時間は、骨髄抑制された宿主における感染の危険に対する主な公知の因子である(Bodeyら1966)。これは本発明者らの研究において再現することができた。しかしながら、G-CSF反応は感染の予測における白血球持続時間から独立し、優勢予後因子として明らかとなった(p<0.0001)。G-CSFは、好中球減少および感染に対する宿主応答における主要なメディエイタである(Watariら1989;Kawakamiら1990)。薬理学的G-CSFにより誘発される宿主白血球応答はおそらく、骨髄抑制中のこのG-CSF誘導可能な「緊急反応」の潜在能力の早期の影響であった。移植されたCD34+細胞数について、記録された感染の割合との相互関係は見出せなかった(p=0.79)。通常の好中球植付けが生じる限り、感染割合へのCD34+細胞数のさらなる影響はないだろう。
マウスにおける実験は、微小環境機能性へのG-CSFの影響を明らかにする。高レベルのヒトG-CSFを構成的に発現するトランスジェニックマウスにおいて、G-CSFは巨核球形成(megakaryocytopoiesis)に特定の役割を与えられていないが、骨髄における巨核球形成が増加した(Fujitaら2001)。移植実験において、巨核球形成の増加が、トランスジェニックヒトG-CSFにより誘導される微小環境変化に依存することを示した。この性質的に変化した微小環境は、造血移植後のさらに速い血小板回復を可能にした。これは、G-CSF反応が血小板回復の独立した予測変数であるという本発明者らの臨床知見と一致する。G-CSFを発現しないG-CSFノックアウトマウスにおいて、慢性好中球減少、前駆細胞の減少、単一薬理学的用量のG-CSFによる白血球の急速動員の減少および実験的感染に対する高い感受性を見出した(Lieschkeら1994)。これらの知見は、低G-CSF反応での患者における本発明者らの観察と一部一致する。微小環境へのG-CSFの発達影響はG-CSF反応に反映されることを推測し得る。
高度の骨髄抑制、より高い合同数の感染エピソードおよび病院での患者の緻密なモニタリングにより、高用量化学療法環境はおそらくG-CSF反応の予測的潜在能力の同定に好都合であった。治療のさらなる推移における好中球減少事象についての結論を引き出すための化学療法後の骨髄抑制中の好中球減少最下点の受動的な観察(Silberら1998)とは対照的に、G-CSF反応は通常のWBC数で評価され得、骨髄中の動員可能な白血球の存在に明らかに依存している。本発明者らの研究における一部非常に高い白血球ピークおよびその高い変動性は、患者間の差を認識することのできる最大の動員効果を示唆する。観察される強い動員効果は通常5μg/kgのG-CSF用量では観察されないので、G-CSFでの動員に起爆(priming)効果がたぶん働く直前に高用量化学療法を受けさせた。薬理学的G-CSFの効果は用量依存性である。定常状態造血中または従来の化学療法後の強い動員効果は、10μg/kg以上のG-CSF用量でのみ観察される(Morstynら1988;Morstynら1989)。
世界中の自己血液幹細胞移植の約1/3は多発性骨髄種で実施される。非常に多数のこれらの患者は、本発明者らの研究で適用されたように、移植前にメルファランまたはブスルファン/シクロホスファミド高用量化学療法を受ける。これらの患者において、G-CSF反応は、制御された臨床試験における危険層別支持的ケアを施すための基準を提供し得る(Meisenbergら1997;Herrmannら1999;Kernら1999;Freifeldら1999)。さらに、G-CSF反応は、固体腫瘍に対して幹細胞移植を用いない化学療法のような他の領域に役割を果たし得る。薬理学的G-CSFの現実の必要性がG-CSF反応に基づいて決定され得るかどうかを研究することに関心がもたれている。G-CSF反応はまた、感染に対する新規な予防戦略の開発に寄与し得る(Noursadeghiら2002)。
実施例9:細胞能力試験は白血球減少および好中球減少の期間を予測する。
以下の分析を実施例8の場合で行った。細胞能力試験(WBCピーク)は白血球減少および好中球減少の期間を予測する(表7)。
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実施例10:細胞能力試験の結果としての白血球(leukocyte)または白血球(white blood cell)(WBC)ピークは、それぞれの好中球ピークと非常に類似する。
以下のデータ(表8)は実施例8のケースに基づく。
Figure 2005521053
実施例11:造血幹細胞移植をしない骨髄抑制化学療法後の細胞能力試験。
リンパ腫または多発性骨髄種を有する48人の患者に、実施例8に詳細に述べたように、腫瘍減少および幹細胞動員のためのG-CSF前にIEV化学療法を受けさせた。最初のG-CSF注射を養生法の5日目に受けさせ、6日目に誘導された白血球ピークを細胞能力試験のために採取した。白血球数は、5.000/μLのメジアン(1.500〜8.200/μLの範囲)から10.100/μlのメジアン(300〜46.700/μLの範囲)に上がった。白血球ピークの勾配は、骨髄抑制の次の相中の熱および感染の危険を予測した(p<0.05)(表9)。造血移植を実施しなかった。
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G-CSF単回投与後の白血球ピークおよび白血球推移。高用量メルファラン処置を施したこの一連の多発性骨髄腫を有する患者で、G-CSF誘導白血球ピークが観察された (0日)。白血球ピーク測定後およそ1時間で、自己PBSC移植を実施した。HDT、高用量化学療法。 好中球および血小板回復の予測におけるCD34+細胞数からの細胞能力試験の独立。好中球 (絶対好中球数、ANC) 回復 (左) および血小板 (PLT) 回復 (右) の速度は異なるCD34+細胞レベルで示される。それぞれのCD34+細胞レベル内で、細胞能力試験の分類 (≦メジアン、>メジアン) を行った。分類されたログ−ランク試験を、3つの示されたCD34+細胞レベルを超えた、細胞能力試験による造血回復の独立した予測を調査するために使用した。 細胞能力試験による、38.0℃を超す熱および抗微生物治療の予測。細胞能力試験のカテゴリーは、白血球ピーク分布のメジアンを1.0と設定した、確立した相対的スケールに基づいている。38.0℃を超す熱の無いこのカテゴリー内の患者の割合 (A)、および静脈内抗微生物治療の対応メジアン日数 (B)が表されている。左側には、患者の完全数が示されており、右側は、2.5×106/kg以下のCD34+細胞数が投与された患者が除外されている。 G-CSF反応の放出。G-CSF (5μg/kg)の単回用量を、高用量化学療法の完了後、およそ30時間で投与した。5人の異なる患者に見られた誘導白血球ピークを、12〜14時間後に測定した。その後、自己血液幹細胞移植を実行した。 マグニチュード (A)、および証明された感染の割合とG-CSF反応との相関性 (B)によりオーダーされたG-CSF反応を表す、WBCピーク分布。
【配列表】
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Claims (21)

  1. a)被験体から得られた血液試料中の白血球の量を測定する工程であって、該被験体が単一用量のG-CSFの投与に供されており、造血生成および貯蔵組織および辺縁趨向の部位から血液への白血球の動員または放出を可能にするのに十分な時間維持されている、工程;ならびに
    b)工程(a)で測定された白血球の量を、(i)高用量細胞傷害性化学療法および/または造血細胞移植に関連する疾患、障害または合併症に対する高い危険、(ii)高用量細胞傷害性化学療法および/または造血細胞移植に関連する疾患、障害または合併症に対する中程度の危険または(iii)高用量細胞傷害性化学療法および/または造血細胞移植に関連する疾患、障害または合併症に対する低い危険性を有する被験体からなる群より選択される対照被験体において動員または放出されている白血球の量を用いて評価することにより造血細胞能力を測定する工程
    を含む、被験体の造血細胞能力を測定するための方法。
  2. 請求項1記載の方法の工程および工程(b)で得られた結果に基づいて被験体に適切な抗菌予防または治療を選択する工程(c)をさらに含む、被験体に適切な抗菌予防または治療を選択するための方法。
  3. 予防または治療が感染の処置、予防または改善のための予防または治療である、請求項2記載の方法。
  4. 感染が真菌、ウイルス、原生動物、寄生虫および細菌感染の群より選択される、請求項3記載の方法。
  5. 感染が肺炎、侵襲性真菌感染、腸炎、軟部組織感染およびセプシスからなる群より選択される、請求項3記載の方法。
  6. 請求項1記載の方法の工程および工程(b)で得られた結果に基づいて被験体に適切な好中球減少熱に対する予防または治療を選択する工程(c)をさらに含む、被験体に適切な好中球減少熱に対する予防または治療を選択するための方法。
  7. 請求項1記載の方法の工程および工程(b)で得られた結果に基づいて被験体の治療のために輸注されるべき造血幹細胞の量を選択する工程(c)をさらに含む、被験体の治療のために輸注されるべき造血幹細胞、好ましくはCD34+細胞の適切な量を選択するための方法。
  8. 請求項1記載の方法の工程および工程(b)で得られた結果に基づいて被験体の処置に適切な造血成長因子またはサイトカインの量を選択する工程(c)をさらに含む、被験体の処置に適切な造血成長因子またはサイトカインの量を選択するための方法。
  9. 高用量細胞傷害性化学療法および/または造血細胞移植に関連する疾患、障害または合併症に対する感受性を被験体において診断するための診断組成物の調製のための被験体から得られた白血球の使用であって、該被験体がG-CSFの用量の投与に供されており、造血生成および貯蔵組織および辺縁趨向の部位から血液への白血球の動員または放出を可能にするのに十分な時間維持されている、使用。
  10. 高用量細胞傷害性化学療法および/または造血細胞移植に関連する疾患、障害または合併症が好中球減少熱、微生物感染、遅延造血回復、出血、免疫抑制、宿主に対する免疫学的影響、高レベルの支持的ケア、病的状態および死亡率である、請求項1記載の方法または請求項9記載の使用。
  11. 被験体がヒトである、請求項1〜8いずれか記載の方法あるいは請求項9または10記載の使用。
  12. 被験体が高用量化学療法に供されている、請求項1〜8いずれか記載の方法、請求項9または10記載の使用あるいは請求項11記載の方法または使用。
  13. 高用量化学療法がメルファラン、ブスルファン、シクロホスファミド、カルムスチン、エトポシド、またはシタラビンの投与を含む、請求項12記載の方法または使用。
  14. 被験体が骨髄抑制化学療法に供されている、請求項1〜8いずれか記載の方法、請求項9または10記載の使用あるいは請求項11記載の方法または使用。
  15. 骨髄抑制化学療法がシクロホスファミド、エトポシド、カルムスチン、シタラビン、メルファラン、ブスルファン、ドキソルビシン、エピルビシン、パクリタキセル、ドセタキセル、チオテパ、フルダラビン、ビンクリスチン、ベンダムスチン、シスプラチン、カルボプラチン、ダウノルビシン、フルオロウラシル、ゲムシタビン、イダルビシン、イフォスファミド、イリノテカン、メトトレキサート、ミトザントロン、オキサリプラチン、トレオスルファン、ビンブラスチン、またはビノレルビンの投与を含む、請求項14記載の方法または使用。
  16. 被験体が放射線治療に供されている、原発性または続発性骨髄疾患、自己免疫疾患、遺伝性疾患もしくは障害あるいは感染に罹患している、請求項1〜8いずれか記載の方法、請求項9または10記載の使用あるいは請求項11記載の方法または使用。
  17. G-CSFがフィルグラスチン(NeupogenTM; Amgen Inc., Thousand Oaks, CA, USA)またはレノグラスチン(GranocyteTM; Chugai, Japan)である、請求項1〜8いずれか記載の方法、請求項9または10記載の使用あるいは請求項11〜16いずれか記載の方法または使用。
  18. G-CSFの用量が1〜20μg/kg被験体体重の範囲から選択される、請求項1〜8いずれか記載の方法、請求項9または10記載の使用あるいは請求項11〜17いずれか記載の方法または使用。
  19. G-CSFの用量が1.0、2.5、5、7.5または10μg/kg被験体体重である、請求項1〜8いずれか記載の方法、請求項9または10記載の使用あるいは請求項11〜17いずれか記載の方法または使用。
  20. 白血球の動員または放出を可能にするのに十分な時間が1〜120時間の範囲である、請求項1〜8いずれか記載の方法、請求項9または10記載の使用あるいは請求項11〜19いずれか記載の方法または使用。
  21. 白血球の動員または放出を可能にするのに十分な時間が少なくとも1時間、少なくとも2時間、少なくとも6時間、少なくとも10時間、少なくとも12時間、少なくとも14時間または少なくとも18時間である、請求項1〜8いずれか記載の方法、請求項9または10記載の使用あるいは請求項11〜19いずれか記載の方法または使用。
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