JP2005520560A - 方法 - Google Patents
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Abstract
本発明は、サンプル中のプリオンを検出するための方法であって、プリオン感染を受けやすい細胞集団を提供すること、細胞集団をサンプルと接触させること、増殖用培養基質上で細胞をインキュベートすること、プリオンのコロニー形成をアッセイすることを含み、プリオンのコロニーの存在がサンプル中のプリオンの存在を示す方法に関する。さらに本発明は、プリオンを定量するための方法、及びプリオン感染に対して感受性がある細胞株に関する。
Description
本発明は、プリオンの細胞培養系(即ちin vitro)アッセイに関する。詳細には本発明は、プリオンの定量的なin vitroアッセイに関する。さらに本発明は、プリオンのin vitroアッセイにおいて有用な細胞株に関する。
プリオン病の経過中、大部分はプロテアーゼ耐性である、PrPScと示される凝集形のPrPが、主に脳内に蓄積する。PrPScは、プリオンの主な成分又は唯一の成分であると考えられている(McKinley他、1991;Oesch他、1985)。PrPCとPrPScの間で、元の配列の違いがまったく見られないので(Stahl他、1993)、この2種はそれらの立体配座のみが異なると考えられる。
脳又はリンパ細網器官中のプロテアーゼ耐性PrPの存在は、プリオン病の認められている、特徴的で特異的な特徴であるが、それは必ずしも感染因子のレベルと相関関係があるわけではない。感染性は、サンプルを指標マウスの脳内に注射し、明確な臨床症状が出現する時間を判定すること(インキュベーション時間法(Prusiner他、1982))、又はサンプルの一連の希釈液を注射し、どの程度の希釈で50%のマウスがスクレーピーになるかを判定すること(終点法(Reed及びMuench、1938))によって、これまで定量されてきている。
大部分が神経組織に由来する、いくつかの細胞株、例えばN2a、GT1及びPC12系(Butler他、1988;Markovits他、1981;Race他、1987;Schatzl他、1997)などだけでなく、ウサギ上皮細胞株(Vilette他、2001)及び中胚葉細胞株(SMB細胞株)(Birkette他、2001)も、複数回の継代後のPrPScの蓄積及び/又は感染性により示されるように、プリオンによって感染する可能性がある。N2a又はGT1細胞集団のごく少数が、マウス適合型のRocky Mountain Laboratory(RML)スクレーピー菌株によって容易に感染するが、N2a群から、感染を受けやすい亜系が確立されてきている(Bosque及びPrusiner、2000;Nishida他、2000、Enari、2001)。特に選択した亜系においてN2a細胞は、PrPScの蓄積及び感染の伝播により示されるように、プリオン感染を受けやすいが、そのプロセスは、高感度アッセイ及び定量アッセイとして使用するには有効ではないと考えられている。Bosque及びPrusinerは、亜系を高希釈度のスクレーピー感染マウス脳のホモジェネートに曝し、PrPScのブロッティングアッセイが陰性になった希釈度を決定することによって、in vitroアッセイ用のそれらN2a亜系の適性を評価した。彼らは、この細胞培養アッセイは、in vivoでのマウスのアッセイより数桁感度が低かったことを報告した(Bosque及びPrusiner、2000)。さらに、Bosque及びPrasiner(2000)は、PrPScのブロッティングアッセイをし、フィルムを黒色にすることによって、「感染」を評価しているが、本発明者らは、個々のコロニーを計数することによる定量を開示し、これは本明細書で説明する利点を有する。
脳又はリンパ細網器官中のプロテアーゼ耐性PrPの存在は、プリオン病の認められている独特な特徴であるが、それが感染因子のレベルに関する指標を与えるわけではない(Manuelidis他、1987;Sakaguchi他、1993)。
従来技術において感染性は、最も一般的には脳内注射によってサンプルを指標マウスに導入し、明確で臨床的なスクレーピーの症状が出現する時間を判定することによって定量されている(インキュベーション時間法(Prusiner他、1982))。この方法は実験動物の維持を含み、これは高価であり非常に労力を有する。このアッセイは、比較的高い感染量でさえも、臨床症状が進行し示されるのにかかる時間のために、終了するのに数カ月を要する。
他の従来技術の方法は、一連のサンプルの希釈物を指標マウスに注射し、どの程度の希釈で50%のマウスがスクレーピーになるかを判定することを含む(終点法(Reed及びMuench、1938))。この方法も多数の試験用動物を必要とし、高い維持及び労働コストを被る。スクレーピーの症状の評価は、時間を浪費する方法であり、主観性に影響される可能性がある。
N2a細胞及び特定の選択した亜系は、プリオンにより感染する可能性があることが観察されてきているが、従来技術の細胞株及び方法は、高感度アッセイ及び/又は定量アッセイとして使用するには有効ではないと考えられている(Bosque及びPrusiner、2000)。従来技術の細胞株は、in vitroアッセイを行うのに有用な充分な感度を与えるわけではなく、それらの細胞株が「コロニー計数」技法に使用されたわけでもない。
本発明は、従来技術に関する問題点を克服しようとするものである。
本発明者らは、N2a亜株、N2a/Garyを単離し、これはRMLスクレーピープリオンなどのプリオンに、非常に感染しやすい。このN2a/Gary細胞株は、ときにはN2aPD88又はN2aPD112、或いはさらにN2aPDと呼ぶことができる。非感染性N2a細胞株は、ときにはNN2a又はN2aR33、或いはさらにN2aATCCと呼ぶことができる。本発明者らは、カバーガラス上で増殖した単層の感染N2a細胞を膜上にブロッティングし、PrPScに関してアッセイすると、斑点状のパターンが与えられたことを見出し、非感染細胞の菌叢中に埋め込まれた、感染細胞のミクロコロニーが可視化された状態であったことが示唆された(例えば図1を参照のこと)。
実際、感染した培養物を、1つのコロニーをカバーガラス上で識別することができるように希釈し、ブロッティングし、PrPScに関してアッセイすると、この培養物がPrPSc陽性及び陰性コロニーを含んでいたことが、驚くことに見出された。本発明はこの知見、及びPrPSc陽性コロニーの割合は、細胞を感染させるために使用したサンプルのプリオン力価の関数であることが実証されたことに基づく。本発明者らは本明細書に、これらの驚くべき知見に基づく、定量的なプリオンのアッセイを記載する。
本発明者らが本明細書に記載する細胞株(N2a/Gary)に関して、マウスにおける終点滴定により決定することができる濃度と同等に低いプリオン濃度を、最高の精度で定量的に決定することが可能である。本発明のアッセイは、最も迅速なマウスのアッセイにおける20週間と比較して、2週間以内に有利に終了することができる。
したがって、一態様では本発明は、サンプル中のプリオンを検出するための方法であって、
(i)プリオン感染を受けやすい細胞集団を提供すること、
(ii)細胞集団をサンプルと接触させること
(iii)増殖用培養基質上で細胞をインキュベートすること、
(iv)プリオンのコロニー形成をアッセイすることを含み、
プリオンのコロニーの存在がサンプル中のプリオンの存在を示す方法を提供する。
(i)プリオン感染を受けやすい細胞集団を提供すること、
(ii)細胞集団をサンプルと接触させること
(iii)増殖用培養基質上で細胞をインキュベートすること、
(iv)プリオンのコロニー形成をアッセイすることを含み、
プリオンのコロニーの存在がサンプル中のプリオンの存在を示す方法を提供する。
プリオンに曝した後、及びプリオンのコロニー形成をアッセイする前に、細胞を有利に増殖させることができる。したがって本発明は、細胞をインキュベートし、増殖用培養基質上に再度平板培養するステップをさらに含む、上記の方法を提供する。このステップによって、元の固相サンプルから細胞を有利に除去することができる。したがって本発明は、増殖用培養基質上で細胞をインキュベートするステップが、サンプルから細胞を分離すること、及びその細胞をインキュベートすることを含む、上記の方法を提供する。
さらに、サンプルの繰越しによって、アッセイ中に問題が引き起こされる可能性がある。サンプルがホモジェネートを含むとき、このことは特に重要である。なぜなら、コロニーを計数するときに、微量の粒子状の脳のホモジェネートが、バックグラウンドの読み取り値に寄与する可能性があるからである。この問題点を克服するために、本発明は有利なことに、サンプルと接触させた後、プリオンのコロニー形成をアッセイする前に、細胞を分離し再度平板培養することによって、バックグラウンドのサンプル繰越しの減少をもたらす。したがって本発明は、上記の方法であって、増殖用培養基質上で細胞をインキュベートするステップが、
(i)細胞を集密状態に達するまでインキュベートするステップ、
(ii)増殖用培養基質から細胞を剥離するステップ、
(iii)集密状態密度の約10分の1の初発密度で、新鮮な培養基質上において細胞をインキュベートするステップを含む方法を提供する。問題のあるバックグラウンドの低下は、この分離ステップの導入と共に低下する。有利なことに、2回又は3回、或いはそれより多くこのステップを繰り返すことによって、バックグラウンドはさらに低下する。2回の分離の後、5〜10%のバックグラウンドを維持することができる。3回の分離の後、バックグラウンドは取るに足らない量に低下する。したがって、分離ステップの最適な数は3である。したがって本発明は、ステップ(i)〜(iii)をさらに2回行う、記載の方法を提供する。
(i)細胞を集密状態に達するまでインキュベートするステップ、
(ii)増殖用培養基質から細胞を剥離するステップ、
(iii)集密状態密度の約10分の1の初発密度で、新鮮な培養基質上において細胞をインキュベートするステップを含む方法を提供する。問題のあるバックグラウンドの低下は、この分離ステップの導入と共に低下する。有利なことに、2回又は3回、或いはそれより多くこのステップを繰り返すことによって、バックグラウンドはさらに低下する。2回の分離の後、5〜10%のバックグラウンドを維持することができる。3回の分離の後、バックグラウンドは取るに足らない量に低下する。したがって、分離ステップの最適な数は3である。したがって本発明は、ステップ(i)〜(iii)をさらに2回行う、記載の方法を提供する。
プリオンのコロニー形成に関するアッセイは、PrPScを調べることによって有利に実施することができる。したがって他の実施形態では、本発明は、上記の方法であって、コロニー形成のアッセイが、
(i)細胞を支持体に移すステップ、
(ii)PrPScを可視化するステップ、
(iii)PrPScを示すコロニーの有無を示すステップを含む方法を提供する。
(i)細胞を支持体に移すステップ、
(ii)PrPScを可視化するステップ、
(iii)PrPScを示すコロニーの有無を示すステップを含む方法を提供する。
PrPScによるプリオンのコロニー形成に関するアッセイは、最初にPrPcを分解し、PrPScのみを残すことによって行うことができ、これは有利なことに、抗PrP抗体を使用して容易に検出することができる。したがって本発明は、上記の方法であって、コロニー形成のアッセイが、
(i)細胞をニトロセルロース支持体に移すステップ、
(ii)プロテイナーゼKで細胞を処理することによって、PrPを分解するステップ、
(iii)抗PrP抗体を用いた染色によって、PrPScを可視化するステップ、
(iv)PrPScを示すコロニーの有無を示すステップを含む方法を提供する。
(i)細胞をニトロセルロース支持体に移すステップ、
(ii)プロテイナーゼKで細胞を処理することによって、PrPを分解するステップ、
(iii)抗PrP抗体を用いた染色によって、PrPScを可視化するステップ、
(iv)PrPScを示すコロニーの有無を示すステップを含む方法を提供する。
操作可能な培養基質上でコロニーを生成することが、コロニーのアッセイに関して好都合である。有利には、これらはカバーガラスであってよい。したがって本発明は、上記の方法であって、細胞を支持体に移すことが、
(i)細胞を増殖用培養基質から剥離するステップ、
(ii)細胞をカバーガラス上に接種するステップ、
(iii)細胞を約4日間インキュベートするステップ、
(iv)細胞を支持体上にブロッティングするステップを含む方法を提供する。
(i)細胞を増殖用培養基質から剥離するステップ、
(ii)細胞をカバーガラス上に接種するステップ、
(iii)細胞を約4日間インキュベートするステップ、
(iv)細胞を支持体上にブロッティングするステップを含む方法を提供する。
他の実施形態(小コロニー又は単一細胞の実施形態(「スクレーピー細胞」又は「SC」アッセイ)と呼ばれることもある)では、自動計数装置を使用してコロニーをアッセイすることが有利である。この実施形態では、カバーガラス上への接種及びインキュベートをせずに、細胞を支持体に直接塗布することが有利である。したがって本発明は、上記の方法であって、細胞を支持体に移すことが、細胞を増殖用培養基質から剥離するステップ、及び細胞を支持体に直接塗布するステップを含む方法を提供する。有利には、計数装置はELISPOT読み取り装置の形をとってよい。したがって本発明は、上記の方法であって、支持体がELISPOTアッセイプレートを含む方法を提供する。
アッセイの細胞を支持するために、カバーガラスを使用することが好都合である。したがって本発明は、上記の方法であって、増殖用培養基質がプラスチック又はガラスを含むカバーガラスである方法を提供する。
コロニーは、それらがある大きさに達するとアッセイするのがさらに容易である。これは有利には、細胞を6〜7日間増殖用培養基質上で、インキュベートすることによってもたらされる。したがって本発明は、上記の方法であって、増殖用培養基質上での細胞のインキュベーションが約6〜7日間である、方法を提供する。カバーガラス上に置かれる細胞の数は重要である。感染コロニーの割合が小さいと予想される場合、約130,000個までの細胞をカバーガラス上に置くことができ、さらに小さいであろう個々のコロニーを識別することができる。多数のコロニーが予想される場合、その数の細胞が均一に黒い層を与えると思われ、わずか500個以下の細胞をカバーガラス上に置くことができると思われ、したがってコロニーはさらに大きい。したがって本発明者らは、未知のサンプル用に、さまざまな細胞数、それぞれのサンプルに関してカバーガラス(13mm径)当たり500〜130,000個の細胞を有する、いくつかのカバーガラスを調製する。コロニーの数は、通常は平板培養する細胞数の約40〜50%である(「培養効率」)。実際の効率は、参照サンプルを平行して施す限り、計算において何の役割も果たさない。
サンプルは、約3日以内に細胞によって効率的に取り込まれる。したがって本発明は、上記の方法であって、細胞を約3日間サンプルと接触させる方法を提供する。
プリオンが固相培養基質上に存在するとき、それをアッセイすることができることは、本発明の利点である。したがって本発明は、上記の方法であって、サンプルが固相物質を含む方法を提供する。
固相サンプルをアッセイするときは、細胞の前記固相サンプルへの付着を可能にして、プリオン感染性の取り込みを容易にすることが有利である。したがって本発明は、上記の方法であって、細胞の固相物質への付着を可能にし、少なくとも3日間インキュベートすることによって、細胞をサンプルと接触させる方法を提供する。場合によっては、インキュベーション時間を延長することができる。したがって本発明は、上記の方法であって、細胞を固相物質と共に約8日間インキュベートする方法を提供する。
本明細書で開示するように、N2a/Gary細胞株は有利なことに、プリオン感染に対して非常に感受性がある。したがって本発明は、上記の方法であって、細胞がN2a/Gary細胞である方法を提供する。さらに本発明は、本明細書で以下に記載する寄託済みのN2a/Gary細胞株を提供する。
N2a/Gary細胞は、RMLプリオンによる感染に対して非常に感受性がある。したがって本発明は、上記の方法であって、検出されるプリオンがRMLである方法を提供する。
さらに本発明は、サンプル中のプリオンを定量する方法であって、プリオンのコロニー形成に関するアッセイのステップが、コロニー数を計数するステップをさらに含む、上記の方法を実施することを含む方法を提供する。プリオン数の絶対的な決定は、マウスのアッセイで得られる数、即ちLD50単位との比較によって、有利に行うことができる。したがって本発明は、上記の方法であって、検量線から存在するプリオン数を決定するために計数したコロニーの数を使用して、サンプル中のプリオン数を評価することをさらに含む方法を提供する。検量線は、本明細書で以下に記載するlog−log曲線であることが有利である。したがって本発明は、検量線がlog−logプロットである、上記の方法を提供する。
したがって本発明は、プリオン感染性をアッセイするための方法に関する。特に本発明は、プリオン感染性をアッセイするためのin vitro法に関するものであり、これにより有利なことに、動物モデルにおいてアッセイする必要性が軽減される。さらに本発明は、in vitroでプリオン感染性を定量的にアッセイするための方法を提供する。さらに本発明は、本明細書で記載するlog−log検量法などの、プリオン感染性の定量アッセイを検量するための方法を提供する。
本発明は有利なことに、固相培養基質上に存在するプリオンを、定量的にアッセイするための方法を提供する。
本発明は有利なことに、プリオン感染性の定量アッセイを容易にする細胞株を提供する。本発明は、定量的プリオンアッセイ用の細胞株を生成させるための方法も提供する。
本発明の方法は有利なことに、プリオンに対するさらに高い感染性を与える。
従来技術の技法とは対照的に、本発明者らは、PrPScのブロッティングアッセイをし、フィルムを黒色にすることによって、「感染」を評価しているわけではなく、本発明者らは、本明細書に記載するようにコロニーを計数することによって、プリオン感染性を有利に定量する。このことは、定量が一層正確であり、感度を制限する可能性がある、フィルムのバックグラウンドを差し引かなければならないことに関する問題を回避するので有利である。
明らかであろうが、本発明は、プリオンを増殖させる方法であって、感受性細胞株を本明細書に記載するようにプリオンに感染させること、及び前記感染細胞株を増殖させることを含む方法をさらに提供する。
概要
本発明者らは細胞株を単離し、指標マウスの終点滴定アッセイと同程度の感度で感染性のアッセイを可能にする、典型的には2×10−7まで希釈した脳ホモジェネートの感染性の検出を可能にする手順を開発してきている。細胞が感染しているかどうかを判定するための基準はプロテアーゼ耐性PrPの蓄積であり、実際に測定されるのは感染因子の細胞への伝染であることに留意しなければならない。
本発明者らは細胞株を単離し、指標マウスの終点滴定アッセイと同程度の感度で感染性のアッセイを可能にする、典型的には2×10−7まで希釈した脳ホモジェネートの感染性の検出を可能にする手順を開発してきている。細胞が感染しているかどうかを判定するための基準はプロテアーゼ耐性PrPの蓄積であり、実際に測定されるのは感染因子の細胞への伝染であることに留意しなければならない。
本発明者らは、RMLスクレーピープリオンなどのプリオンに非常に感染しやすいN2a亜系、及びこれらに耐性のある細胞株を単離している。この作業の行程中に、本発明者らは、単層の慢性的に感染したN2a細胞が、膜上にブロッティングすると、PrPScに関するアッセイで斑点状のパターンが与えたことを観察し、非感染細胞の菌叢中に埋め込まれた、感染細胞のミクロコロニーが現れていたことが示唆された。実際、感染した培養物を1つのコロニーをカバーガラス上で識別することがきるように希釈すると、あるものはPrPSc陽性であり、他のものはPrPSc陰性であったことは明らかであった。したがって本発明者らは、ニトロセルロース膜で濾別した、個々のPrPSc陽性細胞を識別することが可能であると決定した。本発明者らは、PrPSc陽性細胞の割合が、細胞を感染させるために使用したサンプルのプリオン力価の一次関数であった条件を確立し、本発明者らはこれらの発見に基づく定量的アッセイを開発した。感受性N2a/Gary細胞株に関して、本発明者らは、マウスにおける終点滴定により決定することができる濃度と同等に低い、プリオン濃度を定量することができる。本発明のアッセイは、最も迅速なマウスのアッセイ[Fischer、1996#3602]における25週間と比較して、わずかなコストで2週間で有利に終了することができる。
プリオン、PrPc及びPrPSc
本明細書で使用するように、用語「プリオン」は、タンパク質を含む感染粒子を指し、これは適切な宿主において伝染性の海綿状脳症を引き起こす。
本明細書で使用するように、用語「プリオン」は、タンパク質を含む感染粒子を指し、これは適切な宿主において伝染性の海綿状脳症を引き起こす。
PrPScは、立体配座イソ形のPrPc(正常形のプリオンタンパク質)であり、プリオンの主な成分又は一部の成分であると考えられている。
PrPScの可視化
PrPScは、任意の適切な手段によって可視化することができる。例えばこれは、立体配座−特異的分子と存在するPrPタンパク質を結合させて、PrPScを示すことによるものであってよい。立体配座−特異的分子は、PrPScに特異的な抗体分子であってよい。
PrPScは、任意の適切な手段によって可視化することができる。例えばこれは、立体配座−特異的分子と存在するPrPタンパク質を結合させて、PrPScを示すことによるものであってよい。立体配座−特異的分子は、PrPScに特異的な抗体分子であってよい。
PrPScを可視化するための好ましい手法は、例えばプロテアーゼKによる消化によってPrPcを除去し、次いで抗PrP抗体などのPrP結合分子を使用して、残りのPrPScを示すことである(PrPScはプロテアーゼKによる消化に対する耐性があるので、PrP分子のみがプロテアーゼKによる消化の後に抗PrP抗体によって示されるであろう。)。
好ましいPrP抗体には、6H4及びICSM18がある。二次的な複合体は、読み取り(計数)をどのように行うかに応じて適切に選択する。
細胞株
本発明の方法は、任意の適切な細胞株を使用することができる。適切な細胞株は、アッセイしているプリオンによる感染を受けやすい細胞株であり、即ち使用する細胞株は、アッセイしている一群のプリオンを維持することができなければならない。例えばRMLプリオンをアッセイするとき、使用する細胞株は、RMLプリオンの感染を受けやすいものでなければならない。原則として、アッセイしているプリオンに感染を受けやすいことが知られている任意の細胞株を、本発明の方法で使用することができる。
本発明の方法は、任意の適切な細胞株を使用することができる。適切な細胞株は、アッセイしているプリオンによる感染を受けやすい細胞株であり、即ち使用する細胞株は、アッセイしている一群のプリオンを維持することができなければならない。例えばRMLプリオンをアッセイするとき、使用する細胞株は、RMLプリオンの感染を受けやすいものでなければならない。原則として、アッセイしているプリオンに感染を受けやすいことが知られている任意の細胞株を、本発明の方法で使用することができる。
本発明の方法で使用するのに適した細胞株は、それらのプリオン感染性に関して選択することができる。例えば、「同胞種(sib)選択法」によって細胞株を生成することができる。本発明の方法で使用するための、細胞株を選択するこの方法の変形を実施例5に示す。
実施例5は、本発明の方法において有用な、他の考えられるプリオン/細胞株の組合せを述べる。
好ましい実施形態では、使用する細胞株はN2a/Garyである。非常に好ましい実施形態では、アッセイされるプリオンはRMLプリオンであり、使用する細胞株はN2a/Garyである。
N2a/Gary細胞株
本発明はN2a/Gary細胞株を提供する。この細胞株は、ATCCから入手可能な親細胞株N2aに由来している。その由来は、実施例1に記載する。N2a/Garyは驚くことに、従来技術の細胞株よりもプリオンに対する感受性がはるかに強いことが見出されている。したがってN2a/Garyは、従来技術の細胞株と比較して有利な性質を有する。N2a/Garyは、ブダペスト条約に従いECACCによって寄託されている。
本発明はN2a/Gary細胞株を提供する。この細胞株は、ATCCから入手可能な親細胞株N2aに由来している。その由来は、実施例1に記載する。N2a/Garyは驚くことに、従来技術の細胞株よりもプリオンに対する感受性がはるかに強いことが見出されている。したがってN2a/Garyは、従来技術の細胞株と比較して有利な性質を有する。N2a/Garyは、ブダペスト条約に従いECACCによって寄託されている。
生物の寄託
N2a/Gary細胞の寄託は、ブダペスト条約に従いある寄託機関によって行われている。
N2a/Gary細胞の寄託は、ブダペスト条約に従いある寄託機関によって行われている。
その寄託機関は、Centre for Applied Microbiology and Research、Porton Down、Salisbury、Wiltshire、SP40JG、United Kingdomという住所を有する、European Collection of Cell Culturesである。
寄託者は、Medical Research Council(MRC)of 20 Park Crescent、London、WIB 1AL、United Kingdomである。
寄託は2002年3月13日に行われた。
寄託は、本出願の出願日前に行われた。
この寄託のアクセッション番号は、02031337である。
N2a細胞は、「Neuro−2a」(「N2a」)と指定されたマウスの神経芽腫細胞であり、アクセッション番号CCL−131としてATCCに寄託されている。N2a細胞の性質は、当分野において知られている。N2a/Gary細胞株は、本明細書に記載するようにN2aの親に由来する。
これらのN2a/Gary細胞を作製する方法の記載事項は、本明細書中、実施例1などにおいて見つけることができる。
N2a/Gary細胞の学名(即ち分類学上の記載)は、Mus musculusサブクローンN2a/Garyである。N2a/Gary細胞の他の性質の記載事項は、特に実施例の項の記載事項中で見つけることができる。これらの細胞は、本発明の方法において、例えばプリオンのアッセイ、及びプリオンの定量などにおいて有用である。
マイコプラズマ又は他の因子によって、細胞が感染状態になる可能性がある。マイコプラズマの治癒は、当業者に知られている。実際、多くのサービス研究所が、わずかな料金でこの日常的手順を行うであろう。本発明のアッセイで使用する細胞は、マイコプラズマを含まないことが好ましい。N2a/Garyの他の寄託物は、マイコプラズマを含まないものとして確認されている。この寄託物のアクセッション番号は03031801である。残りの詳細は、寄託日が2003年3月18日であること以外は、上記の通りである。
細胞集団
細胞集団は複数の細胞を指し、言い換えると用語「集団」は、2つ以上の細胞を意味する。本発明の方法では、サンプルを細胞集団と接触させ、次いでプリオンにより感染状態になった細胞の数を、コロニー/細胞ブロッティングアッセイ、即ち略して「コロニーアッセイ」によって評価する。用語コロニーアッセイは、小コロニー又は単一細胞のコロニーアッセイを含み、これは以下でより詳細に論じる(「スクレーピー細胞」又は「SC」アッセイと呼ばれることもある)。群を構成する正確な細胞数は当のアッセイの形式に依存し、これらはアッセイに使用する当の形式、増殖用培養基質上の利用可能な表面積、接触させるサンプルの大きさ、又は他の要因に従って変わることは予想されるはずである。異なるアッセイ形式で使用するための細胞の最適数の例は、実施例の項で見つけることができる。24ウエルプレートでは、培地1ml中において、ウエル当たり約100,000個の細胞集団を使用することができる。サンプルが液体又は懸濁液であるとき、細胞集団として細胞単層を使用することが好都合である。明らかに、単層群中に存在する細胞の正確な数は、使用する単層の領域、及び単層の細胞の密度に応じて変わる。96ウエルプレートでは、細胞単層を使用することが好都合である。サンプルがスチール製ディスク又はプラスチック製(例えばThermanox(商標))ディスクなどのディスクを含むとき、細胞集団はディスクの表面積に応じた数を構成すると思われる。この数は、約8日間の増殖を可能にする密度で、ディスク上に細胞が接種されるように、選択しなければならない。この数は細胞の増殖率に従って変わることは明らかであり、培養細胞の取り扱いの当業者によって容易に評価される。適切な数は、1cm2当たり約100〜1000個の細胞の範囲である。本明細書に示す指導を参照しながら、個々のアッセイ状況で使用するために細胞集団の個々の大きさを変えることは、充分に当業者の能力の範囲内にある。
細胞集団は複数の細胞を指し、言い換えると用語「集団」は、2つ以上の細胞を意味する。本発明の方法では、サンプルを細胞集団と接触させ、次いでプリオンにより感染状態になった細胞の数を、コロニー/細胞ブロッティングアッセイ、即ち略して「コロニーアッセイ」によって評価する。用語コロニーアッセイは、小コロニー又は単一細胞のコロニーアッセイを含み、これは以下でより詳細に論じる(「スクレーピー細胞」又は「SC」アッセイと呼ばれることもある)。群を構成する正確な細胞数は当のアッセイの形式に依存し、これらはアッセイに使用する当の形式、増殖用培養基質上の利用可能な表面積、接触させるサンプルの大きさ、又は他の要因に従って変わることは予想されるはずである。異なるアッセイ形式で使用するための細胞の最適数の例は、実施例の項で見つけることができる。24ウエルプレートでは、培地1ml中において、ウエル当たり約100,000個の細胞集団を使用することができる。サンプルが液体又は懸濁液であるとき、細胞集団として細胞単層を使用することが好都合である。明らかに、単層群中に存在する細胞の正確な数は、使用する単層の領域、及び単層の細胞の密度に応じて変わる。96ウエルプレートでは、細胞単層を使用することが好都合である。サンプルがスチール製ディスク又はプラスチック製(例えばThermanox(商標))ディスクなどのディスクを含むとき、細胞集団はディスクの表面積に応じた数を構成すると思われる。この数は、約8日間の増殖を可能にする密度で、ディスク上に細胞が接種されるように、選択しなければならない。この数は細胞の増殖率に従って変わることは明らかであり、培養細胞の取り扱いの当業者によって容易に評価される。適切な数は、1cm2当たり約100〜1000個の細胞の範囲である。本明細書に示す指導を参照しながら、個々のアッセイ状況で使用するために細胞集団の個々の大きさを変えることは、充分に当業者の能力の範囲内にある。
好ましい実施形態では、細胞集団は単一細胞株を含む。細胞集団は、N2a/Gary細胞集団であることが好ましい。
サンプルとの接触
サンプルと細胞集団の接触は、生存可能な細胞とサンプルの結合をもたらし、プリオンがサンプル中に存在する場合にはプリオンの吸着を可能にする任意の形をとってよい。細胞とサンプルの接触は、サンプルを細胞培地に加える形をとってよく、或いはサンプルが固相中にあるときは、細胞をサンプルに接種する形をとってよい。サンプルがワイヤー又はディスクであるとき、細胞を接種することが好ましい。しかしながら、ワイヤー又はディスクを、ワイヤー又はディスクの表面上で増殖すると思われる細胞集団に、同様に導入することができ、これによって細胞を接種する必要性が軽減されることは明らかであろう。
サンプルと細胞集団の接触は、生存可能な細胞とサンプルの結合をもたらし、プリオンがサンプル中に存在する場合にはプリオンの吸着を可能にする任意の形をとってよい。細胞とサンプルの接触は、サンプルを細胞培地に加える形をとってよく、或いはサンプルが固相中にあるときは、細胞をサンプルに接種する形をとってよい。サンプルがワイヤー又はディスクであるとき、細胞を接種することが好ましい。しかしながら、ワイヤー又はディスクを、ワイヤー又はディスクの表面上で増殖すると思われる細胞集団に、同様に導入することができ、これによって細胞を接種する必要性が軽減されることは明らかであろう。
サンプルと細胞集団の接触が、サンプルと群中のそれぞれの単一細胞との接触を必ずしも含むわけではないが、一般的には群との接触を含み、したがって前記群によって含まれる数個の細胞との接触を含むことは明らかであろう。例えば、サンプルがワイヤー又はディスク、或いは他の固相物質であるとき、群のごく一部分が固相サンプルと付着し、これによって固相物質と接触すると予想すべきである。他の細胞は固相サンプルと接触して、次いで他の表面と付着させることができる。明らかに、サンプルがホモジェネートを含むとき、このような実施形態では、ほぼ完全な細胞集団を接触させることができることは、当業者には明らかであろう。しかしながら、サンプルと細胞集団の接触は、通常は前に説明した群との接触を概略的に意味する。
サンプル
サンプルは、プリオンを収容することができる任意の物質であってよい。本発明の方法は、広範囲の形のサンプルに有利に施すことができる。例えば、サンプルは脳ホモジェネート、金属製ワイヤーなどの金属デバイス、プラスチック製又はガラス製ディスクなどの固体ディスクの形、或いは細胞集団と接触可能な任意の他の適切な形であってよい。
サンプルは、プリオンを収容することができる任意の物質であってよい。本発明の方法は、広範囲の形のサンプルに有利に施すことができる。例えば、サンプルは脳ホモジェネート、金属製ワイヤーなどの金属デバイス、プラスチック製又はガラス製ディスクなどの固体ディスクの形、或いは細胞集団と接触可能な任意の他の適切な形であってよい。
支持体
コロニーアッセイを行う際には、PrPScを可視化するために、細胞を支持体に移動させることが有利である。支持体は、当該の分子(PrP分子)を保持することができる、任意の支持体であってよい。アッセイの形式に応じて、異なる形の支持体が、処理の容易さを確実にするために、或いは他の物理的要件に見合うためなどに、異なる状況において好ましい可能性がある。好ましい実施形態では支持体は、ニトロセルロース膜などのニトロセルロースを含む。任意の適切な方法によって、細胞を支持体に移動させることができる。好ましい方法は細胞のブロッティングであり、この場合ニトロセルロース膜を細胞上に載せ、インキュベートし、次いで培養基質から除去し、細胞の支持体への移動をもたらす。移動の後、好ましくは40℃で1時間、膜を乾燥させる。さらに好ましい方法は、Immobilon−Pを支持体として含むプレートなどの、ELISPOTプレート上に細胞を直接塗布することであり、これは自動計数用途に非常に有利である。
コロニーアッセイを行う際には、PrPScを可視化するために、細胞を支持体に移動させることが有利である。支持体は、当該の分子(PrP分子)を保持することができる、任意の支持体であってよい。アッセイの形式に応じて、異なる形の支持体が、処理の容易さを確実にするために、或いは他の物理的要件に見合うためなどに、異なる状況において好ましい可能性がある。好ましい実施形態では支持体は、ニトロセルロース膜などのニトロセルロースを含む。任意の適切な方法によって、細胞を支持体に移動させることができる。好ましい方法は細胞のブロッティングであり、この場合ニトロセルロース膜を細胞上に載せ、インキュベートし、次いで培養基質から除去し、細胞の支持体への移動をもたらす。移動の後、好ましくは40℃で1時間、膜を乾燥させる。さらに好ましい方法は、Immobilon−Pを支持体として含むプレートなどの、ELISPOTプレート上に細胞を直接塗布することであり、これは自動計数用途に非常に有利である。
増殖用培養基質への細胞の移動
プリオンのコロニー形成をアッセイするとき、増殖用培養基質を用いて、細胞をインキュベートする。増殖用培養基質上に置く前に細胞をサンプルと接触させる本発明の実施形態では、したがって細胞は、サンプルと接触させた後で増殖用培養基質に移動させる。この移動の正確な方式は、アッセイの個々の状況又は形式に応じて変わるであろう。例えば、移動ステップは単に、細胞が存在する培養基質から増殖用培養基質に細胞を広げることを含むだけであってよい。サンプルが金属製ワイヤーであるとき、この形の移動が好ましい。この実施形態では、細胞を金属製ワイヤーサンプルと接触させ、細胞をサンプル(ワイヤー)に付着させる。従って移動は、このワイヤーを増殖用培養基質上に置きインキュベートすることにより行われ、このとき細胞の本来の移動及び増殖によって、ワイヤーから増殖用培養基質への移動がもたらされる。他の実施形態では、既存の培養基質から細胞を除去し、増殖用培養基質上に再度平板培養する(「接種する」)ことができる。既存の培養基質がプラスチック製、金属製、又はガラス製のディスクであるとき、この形式の移動が好ましい。培養基質からの細胞のすすぎ落とし、トリプシン処理、又は他のこのような剥離手段などの、任意の適切な手段によって、既存の培養基質から細胞を除去/剥離することができる。次いで、生成した細胞懸濁液を増殖用培養基質と接触させ、移動を終了させる。他の実施形態では、細胞はプリオンでコーティングされたプラスチック製、金属製、又はガラス製の表面上で、数日間増殖させ、ニトロセルロース膜に直接ブロッティングすることができる。
プリオンのコロニー形成をアッセイするとき、増殖用培養基質を用いて、細胞をインキュベートする。増殖用培養基質上に置く前に細胞をサンプルと接触させる本発明の実施形態では、したがって細胞は、サンプルと接触させた後で増殖用培養基質に移動させる。この移動の正確な方式は、アッセイの個々の状況又は形式に応じて変わるであろう。例えば、移動ステップは単に、細胞が存在する培養基質から増殖用培養基質に細胞を広げることを含むだけであってよい。サンプルが金属製ワイヤーであるとき、この形の移動が好ましい。この実施形態では、細胞を金属製ワイヤーサンプルと接触させ、細胞をサンプル(ワイヤー)に付着させる。従って移動は、このワイヤーを増殖用培養基質上に置きインキュベートすることにより行われ、このとき細胞の本来の移動及び増殖によって、ワイヤーから増殖用培養基質への移動がもたらされる。他の実施形態では、既存の培養基質から細胞を除去し、増殖用培養基質上に再度平板培養する(「接種する」)ことができる。既存の培養基質がプラスチック製、金属製、又はガラス製のディスクであるとき、この形式の移動が好ましい。培養基質からの細胞のすすぎ落とし、トリプシン処理、又は他のこのような剥離手段などの、任意の適切な手段によって、既存の培養基質から細胞を除去/剥離することができる。次いで、生成した細胞懸濁液を増殖用培養基質と接触させ、移動を終了させる。他の実施形態では、細胞はプリオンでコーティングされたプラスチック製、金属製、又はガラス製の表面上で、数日間増殖させ、ニトロセルロース膜に直接ブロッティングすることができる。
サンプルからの細胞の分離
サンプルとの接触後のサンプルからの細胞の分離が、いくつかの実施形態では、例えば、サンプルがワイヤーを含むときなど、本発明のアッセイの実施を容易にするために、望ましい可能性がある。分離は、当分野で知られている任意の適切な手段によるものであってよい。
サンプルとの接触後のサンプルからの細胞の分離が、いくつかの実施形態では、例えば、サンプルがワイヤーを含むときなど、本発明のアッセイの実施を容易にするために、望ましい可能性がある。分離は、当分野で知られている任意の適切な手段によるものであってよい。
サンプルからの細胞の分離は単に、細胞を洗浄することを意味するものであってよく、例えばサンプルが脳ホモジェネートを含むときは、繰り返し培地を交換することによって、細胞を洗浄することができる。サンプルからの細胞の分離は、サンプルがディスク又はワイヤーを含むときなどは、剥離を意味するものであってよい。さらに、サンプルからの細胞の分離は、サンプルがワイヤーを含み、次いでこれを増殖用培養基質でインキュベートし、これによって分離を行うときなどは、細胞をサンプルから広げ、それによって分離状態にすることを単に意味するものであってよい。
サンプルから細胞を分離することと、細胞を増殖用培養基質に移動させることの間に、さらなるインキュベーションステップを導入することが望ましい可能性がある。このことは、例えば細胞数を増大させるために有利である可能性がある。この実施形態では、コロニーアッセイのために増殖用培養基質に移動させる前の間、必要に応じて細胞を培養、分離、及び再度平板培養することができる。好ましい実施形態、特にサンプルが金属製ワイヤーであるときは、アッセイのために増殖用培養基質に移動させる前に1週間、細胞を場合によってはインキュベートすることができ、或いはアッセイのために増殖用培養基質に移動させる前に3週間又はそれ以上、インキュベートすることができる。
多量のPrPScを含む希釈していない脳ホモジェネートを使用して単層を感染させるとき(例えばBSEプリオンに対する感受性の調査において)、充分なPrPScを単層に付着させて、実際すでに感染している細胞以外の、PrPScに関する陽性反応を与えることができる。この「偽陽性」効果は、非感受性細胞の単層を平行して使用することによって調べることができる。このような対照層がPrPSc「斑点」を示す場合、ホモジェネートに曝した感受性及び非感受性細胞の単層を、例えば1:5、好ましくは1:10に分離し、再度単層に増殖させてアッセイしなければならないことを意味する。このプロセスは、元のPrPScを希釈除去し、陰性対照中に「斑点」が存在しなくなるまで、続けなければならない。したがって、ブロッティングアッセイにおけるPrPScの残留は、細胞が感染していることを意味する。3ラウンドの1:10分離及び再増殖を、使用することが好ましい。
増殖用培養基質
本発明のアッセイは、増殖用培養基質上で細胞をインキュベートして、コロニーを形成することを含む。増殖用培養基質は、アッセイにおいて使用する細胞に適した、任意の増殖用培養基質であってよい。例えば増殖用培養基質は、ガラス又はプラスチック、或いは誘導体プラスチックを含むことができる。好ましい実施形態では、増殖用培養基質は、6ウエルの組織培養プレートに置かれた、25mmのプラスチック製カバーガラスを含む。
本発明のアッセイは、増殖用培養基質上で細胞をインキュベートして、コロニーを形成することを含む。増殖用培養基質は、アッセイにおいて使用する細胞に適した、任意の増殖用培養基質であってよい。例えば増殖用培養基質は、ガラス又はプラスチック、或いは誘導体プラスチックを含むことができる。好ましい実施形態では、増殖用培養基質は、6ウエルの組織培養プレートに置かれた、25mmのプラスチック製カバーガラスを含む。
検量線
検量線は、本発明のアッセイを使用して、サンプル中の知られている量のプリオンをアッセイすることによって作製する。マウス試験系などの知られている動物モデルにおけるサンプルの滴定によって、定量を動物の感染性アッセイと関連付けることができる。サンプルを単に比較するだけの本発明の実施形態では、絶対的な定量は必要とされない可能性がある。この場合、所与の量のサンプルのコロニー数を比較することなどによる、相対的な定量で充分である。他の実施形態では、検量線を作製し参照することによる絶対的な定量を、有利に行うことができる。さらなる詳細に関しては、定量用の典型的な検量線を表す図2cを含めた、実施例の項を参照のこと。
検量線は、本発明のアッセイを使用して、サンプル中の知られている量のプリオンをアッセイすることによって作製する。マウス試験系などの知られている動物モデルにおけるサンプルの滴定によって、定量を動物の感染性アッセイと関連付けることができる。サンプルを単に比較するだけの本発明の実施形態では、絶対的な定量は必要とされない可能性がある。この場合、所与の量のサンプルのコロニー数を比較することなどによる、相対的な定量で充分である。他の実施形態では、検量線を作製し参照することによる絶対的な定量を、有利に行うことができる。さらなる詳細に関しては、定量用の典型的な検量線を表す図2cを含めた、実施例の項を参照のこと。
実施例2、実験2は、in vivoのマウスプリオンのアッセイとコロニーアッセイを相関させる。
コロニー
本発明の方法において述べるコロニーは、プリオンによる感染を受ける細胞の小さな亜集団又はクローンである。プリオン感受性細胞がプリオンに曝されると、それらのサブセットが感染状態になる可能性があることが、驚くことに見出されてきている。これらの感染細胞が増殖し、プリオンを有し、そのプロセス中にPrPScを蓄積させる。これらの細胞は、感染細胞の個別のプール又はクローンを効率よく形成し、これらは、使用する細胞株の付着性及び本明細書に記載するアッセイの形式のために、密接に結合した状態である。このようにして、全細胞バックグラウンド又は単層中のPrPScを可視化することにより、感染細胞の小コロニーを観察することができる。このPrPScは驚くことに、プリオン感染した細胞の亜集団(即ち、コロニー、好ましくは別個のコロニー)の増殖に対応する、小さなパッチ又はスポット中に見られる。本発明のアッセイが最適化及び定量を目的とするのは、これらのスポット様パッチ又はコロニーである。これらのコロニーは、小さなディスク又はスポットと類似した、点様又は斑点様の外見を有する顆粒形を有する。多数のコロニーが存在するとき、個々のコロニーを区別することがさらに困難になる可能性がある。なぜなら、別個のコロニーの端部が、互いに合流するか接する可能性があるからである。このことは、増殖用培養基質上に低密度でコロニーを平板培養することによって、有利に回避することができる。これらのコロニーのさらに詳細な外見及び形態の例は、添付の図面に見ることができる、例えば図1、3及び5を参照のこと。計数することによって、コロニーを定量することができる。定量に最も適した密度で、増殖用培養基質上において細胞をインキュベートすることによって、このことを最適化することができる。好ましい密度を示す実施例の項を参照しながら、試行錯誤によってこれを決定することができる。
本発明の方法において述べるコロニーは、プリオンによる感染を受ける細胞の小さな亜集団又はクローンである。プリオン感受性細胞がプリオンに曝されると、それらのサブセットが感染状態になる可能性があることが、驚くことに見出されてきている。これらの感染細胞が増殖し、プリオンを有し、そのプロセス中にPrPScを蓄積させる。これらの細胞は、感染細胞の個別のプール又はクローンを効率よく形成し、これらは、使用する細胞株の付着性及び本明細書に記載するアッセイの形式のために、密接に結合した状態である。このようにして、全細胞バックグラウンド又は単層中のPrPScを可視化することにより、感染細胞の小コロニーを観察することができる。このPrPScは驚くことに、プリオン感染した細胞の亜集団(即ち、コロニー、好ましくは別個のコロニー)の増殖に対応する、小さなパッチ又はスポット中に見られる。本発明のアッセイが最適化及び定量を目的とするのは、これらのスポット様パッチ又はコロニーである。これらのコロニーは、小さなディスク又はスポットと類似した、点様又は斑点様の外見を有する顆粒形を有する。多数のコロニーが存在するとき、個々のコロニーを区別することがさらに困難になる可能性がある。なぜなら、別個のコロニーの端部が、互いに合流するか接する可能性があるからである。このことは、増殖用培養基質上に低密度でコロニーを平板培養することによって、有利に回避することができる。これらのコロニーのさらに詳細な外見及び形態の例は、添付の図面に見ることができる、例えば図1、3及び5を参照のこと。計数することによって、コロニーを定量することができる。定量に最も適した密度で、増殖用培養基質上において細胞をインキュベートすることによって、このことを最適化することができる。好ましい密度を示す実施例の項を参照しながら、試行錯誤によってこれを決定することができる。
好ましい実施形態では、プリオンのコロニー形成は、「小コロニー」又は「単一細胞」コロニーアッセイ(SCアッセイ)によってアッセイする。この実施形態では、コロニーは初期段階でアッセイすることが有利である。細胞/コロニーは、大きな細胞コロニーに過剰増殖する前に、直接アッセイすることもできる。この実施形態では、「コロニー」は非常に少数の細胞を含むことができ、単一細胞のみを含むこともできる。
本明細書に記載する定量、検量、及び他の技術は、本発明の「小コロニー」(又は「単一細胞」)の実施形態に等しく適用される。
手動計数と自動計数、コロニーを増殖させるかどうか、又はそれらを初期に、或いは単一細胞としてアッセイするかどうかの選択は、当業者の必要性及び/又はアッセイ時に利用可能な装置に応じて、当業者によって行うことができる。SCアッセイがスピード、高スループット及びオートメーションの利点を有し、一方コロニーの過剰増殖及びブロッティングによるコロニーアッセイは、実施するのがそれほど難しくはなく、安価の装置を用いて行うことができ、少数サンプルを分析するのに好ましい可能性があることは、理解されるであろう。
本発明は、実施例5に記載するような、ヒト、ウシ、ヒツジ、ネズミ、ヒト以外の霊長類、ヤギ、オグロジカ、ネコ科動物、及びハムスタープリオンに感受性がある細胞株だけには限らないが、これらを含む。
さらに本発明は、金属、プラスチック、ガラスの表面に固定又は付着したプリオンを使用して、感受性細胞クローンに感染を移す方法に関する。
さらに本発明は、金属、プラスチック及びガラスからなるワイヤー又はニードルを一時的に挿入し、次いで本明細書に記載するコロニーアッセイ法によって、これらのワイヤー又はニードルをアッセイすることにより、プリオンに関して組織をアッセイするための方法に関する。
本発明は、固形培養基質に吸着あるいは結合したプリオンの感染性をアッセイするための方法を記載する。実施例の項に示すこれらの方法は、アッセイの細胞と固形培養基質を直接接触させることを含む。理論に縛られることは望まないが、プリオンは固形培養基質に不可逆的に結合するわけではなく、脱着及び拡散することができると考えられる。この場合、細胞と試験する固形培養基質の直接的な接触を避ける、アッセイを行うことができることが当業者には明らかであろう。例えば、非常に短い距離を空けて、例えば数ミクロン空けて、細胞と培養基質を並置し、次いでアッセイを行うことにより、アッセイを行うことができる。さらに、2つの培養基質を同様に並置することによって、ある固形培養基質から他の固形培養基質に感染を移すことができる可能性がある。感染を移した培養基質を直接的な接触によって、或いは前に説明した並置によって、次いでアッセイすることができる。
サンプルの繰越し
スクレーピー感染した脳のホモジェネートは、N2a細胞の単層に付着することができるPrPSc粒子を含み、スクレーピー感染した細胞からのシグナルと類似のバックグラウンドシグナルを与えるので、培養物を好ましくは3回の回数で1:10に分離して、外来の粒子を希釈除去することが有利である可能性がある。この手順の有効性は、PrPScの蓄積を妨げるPrPに対する抗体の存在下及び不在下で培養を行うこと[Enari、2001#5573]、又は感受性及び「非感受性」細胞をプリオンサンプルに曝すことによって調べることができる。本発明者らが記載する条件下では、感受性細胞をプリオンに曝し、次いで3回の1:10分離の後に検出されたスクレーピー陽性の「スポット」は、ほぼ完全にde novo感染細胞によるものであり、分離ステップによるバックグラウンドシグナルの充分な低下が実証される。
スクレーピー感染した脳のホモジェネートは、N2a細胞の単層に付着することができるPrPSc粒子を含み、スクレーピー感染した細胞からのシグナルと類似のバックグラウンドシグナルを与えるので、培養物を好ましくは3回の回数で1:10に分離して、外来の粒子を希釈除去することが有利である可能性がある。この手順の有効性は、PrPScの蓄積を妨げるPrPに対する抗体の存在下及び不在下で培養を行うこと[Enari、2001#5573]、又は感受性及び「非感受性」細胞をプリオンサンプルに曝すことによって調べることができる。本発明者らが記載する条件下では、感受性細胞をプリオンに曝し、次いで3回の1:10分離の後に検出されたスクレーピー陽性の「スポット」は、ほぼ完全にde novo感染細胞によるものであり、分離ステップによるバックグラウンドシグナルの充分な低下が実証される。
感染の不在下でさえも10〜20倍PrPを過剰発現する細胞の、PrP抗体による連続的な処理によって、「スポット」の蓄積を引き起こす可能性があり、これは低レベルのプロテイナーゼK処理の後で続き、おそらくエンドサイトーシス及びPrP−抗体複合体の凝集によるものであることに留意しなければならない。アッセイの24時間前に抗体を除去することによって、この現象を防ぐことができる。
コロニーの計数
計数することによって、コロニーを定量することが有利である。計数は、例えば肉眼による手段、又は本明細書に記載する自動式手段などの、任意の手段によるものであってよい。
計数することによって、コロニーを定量することが有利である。計数は、例えば肉眼による手段、又は本明細書に記載する自動式手段などの、任意の手段によるものであってよい。
コロニーアッセイの一実施形態では、細胞を、単層を形成し、その後のバックグラウンドを低下させるための任意選択の有利な第3の分離の後に、カバーガラス上に平板培養し、ミクロコロニーに発展させ、膜に移動させる。PK処理の後、PrPSc陽性のミクロコロニーを、化学発光イムノアッセイにより目に見える状態にし、X線フィルム上に記録された生成スポットを肉眼により計数した。この手順は、高精度の機器を必要としない。
しかしながらこの手順は、有利に自動化することができる。小コロニー(単一細胞又はスクレーピー細胞(SC))アッセイは、1種のPrPSc陽性細胞は、Elispot膜上で濾別すると、PrPに関する酵素関連イムノアッセイによって、識別することができるという発見に基づくものである。アッセイは96ウエルプレート形式で行うことができ、ウエル当たり約2000までの「スポット」を顕微鏡下で解像することができ、適切なElispotスキャニング装置によって数分以内に、自動式に計数することができる。応答は、0〜2000で直線的であると考えられる。最も確固たる直線的応答は、0〜1000で見られる。
末期のRML感染マウスからの脳ホモジェネートの希釈液に適用される、アッセイの直線範囲は、2×10−7と10−5個の間であり、一方、動的応答は10−4に及ぶ。低い希釈率では、スポット数のさらなる増大は存在せず、理論に縛られることは望まないが、非感染状態の脳中にも存在するホモジェネートのいくつかの成分が、アッセイに阻害的である可能性があると思われる。
SCアッセイは、開始(単層の作製)から終了(コロニー計数)まで14日間を要する。tga20マウス(PrP過剰発現マウス、短いインキュベーション時間)を使用する、マウスの感染性アッセイは、少なくとも140日間を要する[Fischer、1996#3602]。
マウスの感染性アッセイの定量に固有の問題は、[McLean、2000#5612]中で述べられている。本発明者らは、表2に示すように30匹のマウスを使用して、終点滴定により1種のプリオンサンプルをアッセイするためのコストは、SCアッセイのサンプル当たり約2ポンドの支出と比較して(6ウエル/サンプル;プレート当たり30ポンド;装置の譲渡なしで)、約450ポンド(7.5ポンド/1日/マウス;200日×30マウス×0.075BP)であると推測する。SCアッセイが、プリオンに関する大部分のin vivoアッセイに置き換わり、これによって広範囲のマウスの安定状態に貢献することができる可能性がある。
他の適用例
GT1及びPC12系(Butler他、1988;Markovits他、1981;Race他、1987;Schatzl他、1997)、ウサギ上皮細胞株(Vilette他、2001)及び中胚葉細胞株(SMB細胞株)を、本発明においてそれぞれ使用することができる。感受性細胞株を、本明細書に記載するようにプリオンの攻撃によって選択することができる。したがって、これらの感受性細胞株は、本発明のアッセイで使用することができる。これらの適用例は、他のプリオン種、例えばN2a細胞株を容易に感染させることができないプリオン種の、感染性のアッセイにおいて特に有利である。
GT1及びPC12系(Butler他、1988;Markovits他、1981;Race他、1987;Schatzl他、1997)、ウサギ上皮細胞株(Vilette他、2001)及び中胚葉細胞株(SMB細胞株)を、本発明においてそれぞれ使用することができる。感受性細胞株を、本明細書に記載するようにプリオンの攻撃によって選択することができる。したがって、これらの感受性細胞株は、本発明のアッセイで使用することができる。これらの適用例は、他のプリオン種、例えばN2a細胞株を容易に感染させることができないプリオン種の、感染性のアッセイにおいて特に有利である。
本発明は以下の実施例によって説明されるが、本発明は実施例に記載される実施態様に制限されるものではない。以下の図面を参照しつつ本実施例を説明する。
(実施例)
(実施例)
RMLプリオンに対する感受性が非常に高いN2a由来の細胞株の単離。
ATTCからの研究用ストックからの65個の個々のN2aクローンを、本質的に(Bosque及びPrusiner、2000)に記載されたようにRMLプリオンに対する感受性に関してスクリーニングした。6つの感受性、11の弱感受性、及び48の非感受性クローンを同定した。N2a/Garyとして指定したクローンは、N2a/Bos2と指定された以前に単離されたRML感受性クローンよりも、RMLプリオンに対する感受性が2桁強いことが見出された(Enari他、2001)。N2a/Bos2クローンは、PrP発現プラスミドでトランスフェクトしたN2a細胞培養物から選択されたが、それがPrPを過剰発現することはなかった(Enari他、2001)。
ATTCからの研究用ストックからの65個の個々のN2aクローンを、本質的に(Bosque及びPrusiner、2000)に記載されたようにRMLプリオンに対する感受性に関してスクリーニングした。6つの感受性、11の弱感受性、及び48の非感受性クローンを同定した。N2a/Garyとして指定したクローンは、N2a/Bos2と指定された以前に単離されたRML感受性クローンよりも、RMLプリオンに対する感受性が2桁強いことが見出された(Enari他、2001)。N2a/Bos2クローンは、PrP発現プラスミドでトランスフェクトしたN2a細胞培養物から選択されたが、それがPrPを過剰発現することはなかった(Enari他、2001)。
本発明者らはN2a/Garyという名称のN2a細胞株を単離し、これは以前に記載された系よりも、RMLスクレーピープリオンを脳ホモジェネートに懸濁させたものに対する感受性が数桁強かった(Bosque及びPrusiner、2000;Enari他、2001)。驚くことに、本明細書に記載するように行うと、N2aGary細胞を使用するプリオンコロニーアッセイは、指標マウスにおける終点滴定アッセイと少なくとも同程度の感受性があり、1桁迅速であり、及び数桁安価であった。感受性細胞が感染しているかどうかを判定するための基準は、プロテアーゼ耐性PrPの蓄積であるが、本発明者らのコロニーアッセイで実際測定されるのは、サンプルから細胞への感染因子の移動であることに留意しなければならない。
このN2a/Gary細胞株は、本明細書に記載する、プリオン感染性に関する細胞培養アッセイ(「コロニーアッセイ」)において有用である。
コロニーアッセイによる、マウスのスクレーピーに感染した脳ホモジェネートのアッセイ
実施例2−実験1:
末期のスクレーピー病状マウスからの、スクレーピーに感染した脳の10%ホモジェネートを0.01%の濃度までPBSで段階希釈して、その希釈以外には、担体として0.01%の非感染状態のマウスの脳ホモジェネートにして、チューブ及びピペットチップの壁への吸着による感染性の損失を回避した。
実施例2−実験1:
末期のスクレーピー病状マウスからの、スクレーピーに感染した脳の10%ホモジェネートを0.01%の濃度までPBSで段階希釈して、その希釈以外には、担体として0.01%の非感染状態のマウスの脳ホモジェネートにして、チューブ及びピペットチップの壁への吸着による感染性の損失を回避した。
プリオン感受性細胞の半集密状態の単層を、20,000個のN2a/Gary細胞を96ウエルプレートのウエルに接種し、24時間インキュベートすることによって作製した。これらの細胞は、3日間0.2mlのさまざまな希釈のホモジェネートに曝すことによって、サンプル(ホモジェネート)と接触させた。洗浄後、細胞を24ウエルプレートのウエルに移動させ、さらに4日間培養した(このステップは、コロニー収率を50%を超えて低下させずに短縮することができる)。細胞を計数し、2,000、8,000、32,000及び128,000個の細胞を、プラスチック製カバーガラス上に平板培養することによって、増殖用培養基質上でインキュベートし、7日後に最初にニトロセルロース膜に移動させることによって、プリオンのコロニー形成に関してアッセイし、次いでPrPSc陽性コロニーを、プロテイナーゼKによる処理、及びPrP抗体による染色によって識別した(図1)。
さらに少しだけ詳細には、コロニーをニトロセルロース膜に移動させ、40℃で1時間乾燥させ、5マイクログラムのプロテイナーゼK/mlで処理し、変性し、Superblockブロッキング剤(Pierce、Rockford I11、USA)を用いて1時間ブロッキングし、抗体6H4、次にホースラディッシュペルオキシダーゼ結合ヤギ抗マウスIgG1で免疫染色し、強い化学発光によって可視化した(ECLキット、Pierce、Rockford I11、USA)。
ホモジェネートの希釈液に対してプロットした、平板培養した104個の細胞当たりの陽性コロニーの数の対数は、log/log目盛りで直線を与えた(図2)。これが検量線として有用であることは明らかである。
実施例2−実験1a
これは実験1と同様に行う。ただし、サンプルと接触させた後、洗浄ステップの後に、細胞をインキュベートし、カバーガラス上に平板培養する前に1:10に3回分離する。これによって有利に、バックグラウンドの染色が低下し、アッセイの精度が改善される。
これは実験1と同様に行う。ただし、サンプルと接触させた後、洗浄ステップの後に、細胞をインキュベートし、カバーガラス上に平板培養する前に1:10に3回分離する。これによって有利に、バックグラウンドの染色が低下し、アッセイの精度が改善される。
実施例2−実験2:
コロニー単位とLD50単位の相関関係:知られているLD50力価を有するRML脳ホモジェネートに行うコロニーアッセイ。
知られているLD50力価を有する、RML脳ホモジェネート4.1及び5.0は、Professor Adriano Aguzzi、Institute of Neuropathology、Kantonsspital Zurichの提供品であった。この2つは、約109LD50単位/脳1gの力価を有していた。
コロニー単位とLD50単位の相関関係:知られているLD50力価を有するRML脳ホモジェネートに行うコロニーアッセイ。
知られているLD50力価を有する、RML脳ホモジェネート4.1及び5.0は、Professor Adriano Aguzzi、Institute of Neuropathology、Kantonsspital Zurichの提供品であった。この2つは、約109LD50単位/脳1gの力価を有していた。
20000個のN2a/Gary細胞をOptimem−10%FCSに溶かしたものを、96ウエルプレートのウエルに平板培養した。24時間後に培地を、10−4、10−5及び10−6(10%ホモジェネート=10−1)の最終濃度で、200マイクロリットルのRML.4.1及び5.0脳ホモジェネート(0.32Mスクロースに懸濁させた1%懸濁液として供給された、遠心分離済み)と交換した。3日後、細胞をOptimem−10%FCSで2回洗浄し、再懸濁させ計数した。次いで細胞を、500、2.000、8.000及び32.000の細胞数で、25mmのカバーガラス上に平板培養した。場合によっては、細胞を1:10に分離し、カバーガラス上に平板培養して上記ののと同様にバックグラウンドシグナルを低下させる前に、3回再増殖させた。7日後、コロニーをニトロセルロース膜に移し、PrPSc陽性コロニーを決定した。
PrPSc−pos.コロニー/10.000個の平板培養した細胞
RML希釈液
10(−4) 10(−5) 10(−6)
RML4.1 423 62 8
RML5.0 380 33 7
RML希釈液
10(−4) 10(−5) 10(−6)
RML4.1 423 62 8
RML5.0 380 33 7
コロニーアッセイとLD50マウスアッセイの感度を比較する:
LD50マウスアッセイ:脳ホモジェネートの感染性を(半定量的に)検出するためには、10匹のマウスに、それぞれ少なくとも1LD50単位の感染物質を注射しなければならない。1LD50単位が、30マイクロリットルのサンプル中に含まれなければならない、即ち1ml当たり33LD50単位でなければならない。したがって、ホモジェネートの10−6.5希釈液によって、陽性の結果が与えられる。
LD50マウスアッセイ:脳ホモジェネートの感染性を(半定量的に)検出するためには、10匹のマウスに、それぞれ少なくとも1LD50単位の感染物質を注射しなければならない。1LD50単位が、30マイクロリットルのサンプル中に含まれなければならない、即ち1ml当たり33LD50単位でなければならない。したがって、ホモジェネートの10−6.5希釈液によって、陽性の結果が与えられる。
コロニーアッセイ:本発明者らのアッセイの条件下で脳ホモジェネートの10−4希釈液から生じる、400コロニー単位(即ち10,000個の平板培養した細胞当たりの陽性コロニー)の値を使用し、少なくとも100,000個の細胞を平板培養することができることを考えると、1コロニーは10−7.6希釈で生じると思われる。
したがって、コロニーアッセイの感度は、マウスアッセイの感度と少なくとも同程度であるか、それより良い可能性がある。
コロニー単位とLD50単位の均一性を調べる:
前に与えた例では、マウスの脳は1g当たり109LD50単位を含む。コロニー単位に関しては、10−4希釈の200マイクロリットルの脳ホモジェネートが、約400コロニー/細胞10,000個(400コロニー単位)をもたらすことを考えると、脳1g当たり107.3コロニー単位が存在する(5×400×104)。したがって、1コロニー単位は、約50LD50単位(109/107.3)に等しい。コロニー単位は、10,000個の平板培養した細胞当たりのコロニーの数として定義されることに留意されたい。
前に与えた例では、マウスの脳は1g当たり109LD50単位を含む。コロニー単位に関しては、10−4希釈の200マイクロリットルの脳ホモジェネートが、約400コロニー/細胞10,000個(400コロニー単位)をもたらすことを考えると、脳1g当たり107.3コロニー単位が存在する(5×400×104)。したがって、1コロニー単位は、約50LD50単位(109/107.3)に等しい。コロニー単位は、10,000個の平板培養した細胞当たりのコロニーの数として定義されることに留意されたい。
時間的要因:
この実施例で実施するのと同様に、コロニーアッセイは、開始(単層の作製)から終了(コロニー計数)まで11日間を要した。tg20マウス(これらは、本発明者らが利用可能な短いインキュベーション時間を有するマウスである)を使用する、終点アッセイは、少なくとも120日間を要する(Fischer他、1996)。低力価のサンプルに適用するとき、マウスのインキュベーション時間アッセイに特有な問題は、McLean及びBostock(2000)中で述べられている。
この実施例で実施するのと同様に、コロニーアッセイは、開始(単層の作製)から終了(コロニー計数)まで11日間を要した。tg20マウス(これらは、本発明者らが利用可能な短いインキュベーション時間を有するマウスである)を使用する、終点アッセイは、少なくとも120日間を要する(Fischer他、1996)。低力価のサンプルに適用するとき、マウスのインキュベーション時間アッセイに特有な問題は、McLean及びBostock(2000)中で述べられている。
要約すると、コロニーアッセイは、マウスのLD50終点アッセイと少なくとも同程度の感度があり、少なくとも10倍迅速であり、数桁安価である。
固形培養基質と結合したプリオンの、コロニーアッセイによる定量
本発明者らは、スクレーピー感染した脳のホモジェネートに曝されるか、又はわずか5分間完全な脳中に挿入される、スチール製又は金ワイヤーなどの金属製デバイスは、プリオンと強く結合することを以前に示しており、このことは、指標マウスの脳に挿入すると、完全に洗浄した後に、それらがスクレーピーを効果的に引き起こすことができるという事実によって示される(Flechsig他、2001)。典型的には、スクレーピー感染した脳に一時的に挿入されるスチール製ワイヤーによって、同じ脳からの20μlの1%ホモジェネートと同程度に効果的に、指標マウスにおいて疾患が引き起こされる(Flechsig他、2001)。
本発明者らは、スクレーピー感染した脳のホモジェネートに曝されるか、又はわずか5分間完全な脳中に挿入される、スチール製又は金ワイヤーなどの金属製デバイスは、プリオンと強く結合することを以前に示しており、このことは、指標マウスの脳に挿入すると、完全に洗浄した後に、それらがスクレーピーを効果的に引き起こすことができるという事実によって示される(Flechsig他、2001)。典型的には、スクレーピー感染した脳に一時的に挿入されるスチール製ワイヤーによって、同じ脳からの20μlの1%ホモジェネートと同程度に効果的に、指標マウスにおいて疾患が引き起こされる(Flechsig他、2001)。
本発明者らは現在、金属表面だけでなくプラスチック表面も(及びガラスを含むことができる他の表面も)プリオンと強く結合し、N2a/Gary細胞などの付着性感受性細胞に感染を移すことを示している。
サンプルは、スチール製ディスク(FE240310 AISI 316ステンレス鋼ディスク、Goodfellow Cambridge Limited)、及びプラスチック製ディスク(改変型ポリエステルからなるNunc Thermanoxカバーガラス)の形であり、これらをスクレーピー感染した脳のホモジェネートのさまざまな希釈液に曝し、PBSで完全に洗浄し、N2a/Gary細胞と共に接種することにより、プリオン感受性細胞(N2a/Gary細胞)の群と接触させた。8日後、細胞を表面から剥離し、500、1,500又は5,000個の細胞を、カバーガラス上に平板培養することによって、増殖用培養基質上においてインキュベートした。7日後、PrPSc陽性ミクロコロニーの形成(プリオンコロニーの形成)を、ブロッティングアッセイによって判定した。図3は、1%脳ホモジェネートに曝した後に、14のPrPSc陽性コロニー/細胞5000個が、金属製ディスクに関して発見され、75/5000細胞がプラスチック製カバーガラスに関して発見されたことを示す。他のアッセイにおいて本発明者らは、ポリプロピレン、Thermanox、及び低い程度でポリスチレンが、効率良くプリオンと結合し、付着性N2a/Gary細胞に感染を移したことを実証する(図4)。
浸漬ワイヤーによるコロニーアッセイを使用する、生体内のプリオン感染性の判定
マウス脳内のプリオンのレベルを判定するために、これまではマウスを犠牲にして、脳ホモジェネートの力価を測定することが必要とされている。麻酔をかけたマウスの脳内への一時的なワイヤーの挿入(「ワイヤー浸漬」)、次に指標マウスへの持続的な移植による感染性の評価によって、異なる時間において同一マウス中のプリオンのレベルを判定し、例えば実験処理の影響を調べることが現在可能である。長期のインキュベーション時間のために、PrPを過剰発現するトランスゲニック指標マウス菌株においても、本発明によって提供されるより一層迅速なコロニーアッセイによって、浸漬ワイヤー又はニードルに付着したプリオンを測定することは有用である。
マウス脳内のプリオンのレベルを判定するために、これまではマウスを犠牲にして、脳ホモジェネートの力価を測定することが必要とされている。麻酔をかけたマウスの脳内への一時的なワイヤーの挿入(「ワイヤー浸漬」)、次に指標マウスへの持続的な移植による感染性の評価によって、異なる時間において同一マウス中のプリオンのレベルを判定し、例えば実験処理の影響を調べることが現在可能である。長期のインキュベーション時間のために、PrPを過剰発現するトランスゲニック指標マウス菌株においても、本発明によって提供されるより一層迅速なコロニーアッセイによって、浸漬ワイヤー又はニードルに付着したプリオンを測定することは有用である。
CD1マウスに、RMLスクレーピープリオンを脳内に接種し、感染後19、25、41及び61日に選別した。陽性対照として、RMLプリオンの脳内接種後140日で選別した、末期病状のCD1マウスを使用した。サンプルはスチール製ワイヤーの断片(5×0.15mm)を含んでおり、さまざまな時間地点で選別した、スクレーピー感染CD1マウスの脳及び脾臓に、5分間これを挿入した。PBSでワイヤーを完全に洗浄した後、表面に結合した感染因子の量を、指標マウスへの持続的な挿入によって、及びコロニーアッセイによって分析した。浸漬用に使用した脳及び脾臓は均質にして、コロニーアッセイによってアッセイした。表1及び図5は、浸漬ワイヤーのコロニーアッセイは、平板培養した細胞104個当たり40〜50コロニーの、感染後140日までは強い陽性であり、ホモジェネートのコロニーアッセイによって、2.4×107コロニー単位/脳1gが与えられたことを示す。指標マウスにおいて測定した(Bueler他、1993)、感染後140日の脳ホモジェネートの感染力価は、約108.6LD50単位/10%脳ホモジェネートである。40日及び60日で、浸漬ワイヤーのコロニーアッセイは検出限界であり、平板培養した細胞105個当たり約10コロニーであった。40日のホモジェネートのコロニーアッセイは陰性であり、60日のホモジェネートは、2×106コロニー単位/脳1gを与えた。
感染後56日で指標マウスにおいて測定した、ホモジェネートの感染力価は、約105.4LD50単位/10%脳ホモジェネート1mlであった、これは、10LD50単位の検出は、約4μgの脳組織を必要とすることを意味する。30u1の1%ホモジェネート、即ち約300μgの脳組織は、脳内に容易に注射することができるので、その検出限界は理論上は、ワイヤーアッセイによる検出の限界より約100倍高い。プラスチック表面は、プリオンを感受性細胞に移動させる際には、スチール表面より約5倍効率が良いので、スチール製ワイヤーではなくプラスチック製ニードルを使用することによって、アッセイの有効性が相当増大するはずである。
接種後の指定の時間で、ワイヤー断片を選別したマウスの脳内に挿入し、洗浄し、24ウエルプレートのウエル内に置き、1mlのOPTIMEM培地当たり100.000個のN2a/Gary細胞を含む、1mlの細胞懸濁液と共にインキュベートした。3日後にワイヤーを、1mlの新鮮なOPTIMEM培地を含む、新しいウエルに移動させ(約300個の細胞がそれぞれのワイヤーに付着していた)、さらに6日間培養した。集密状態まで増殖した後、1:7.5の希釈で合計3週間、細胞を週に2回分離させた。PrPSc陽性細胞の数を決定するために、N2a/Gary細胞を異なる細胞量で平板培養し、コロニーに増殖させた。2.000−8.000−32.000及び128.000個の細胞の細胞懸濁液を、6ウエルプレートのプラスチック製カバーガラス(25mm径)上に平板培養した。増殖の6日後、PrPSc陽性コロニーの数を、細胞のブロッティングアッセイによって決定した。
細胞のブロッティングアッセイ
コロニーをニトロセルロース膜に移動させ、40℃で1時間乾燥させ、プロテイナーゼKで処理し、変性させ、Superblockブロッキング剤(Pierce、Rockford I11、USA)を用いて1時間ブロッキングし、抗体6H4、次にホースラディッシュペルオキシダーゼ結合ヤギ抗マウスIgG1で免疫染色し、強い化学発光によって可視化した(ECLキット、Pierce、Rockford I11、USA)。
コロニーをニトロセルロース膜に移動させ、40℃で1時間乾燥させ、プロテイナーゼKで処理し、変性させ、Superblockブロッキング剤(Pierce、Rockford I11、USA)を用いて1時間ブロッキングし、抗体6H4、次にホースラディッシュペルオキシダーゼ結合ヤギ抗マウスIgG1で免疫染色し、強い化学発光によって可視化した(ECLキット、Pierce、Rockford I11、USA)。
BSE及びCJDへの適用
マウスPrP発現プラスミドでトランスフェクトしPrPを過剰生成する、N2a及びGT1−7細胞のクローンは、22L、139A及びChandler菌株に対して感受性があるが、22A又は87V菌株に対しては感受性がないことが報告されてきている(Nishida他、2000)。これらの著者は、PrPの過剰生成はプリオンに対する感受性に重要であることを示唆している。Bosque及びPrusinerは、非形質転換N2a及びGTl−trk亜系を選択し、RMLに対して感受性があるが、139A(Nishida他の発見とは対照的)、301V又はME7プリオンに対しては感受性がない系を発見した。Enari他(Enari他、2001)は、N2a細胞をPrP発現プラスミドでトランスフェクトし、RML感受性の亜系を同定した;興味深いことに、最も感受性のある亜系はPrPを過剰発現せず、一方いくつかの耐性系はPrPを過剰発現した。これは、プリオン感受性は、PrPの発現レベルとは無関係の形質であり、従来技術の技法で使用された細胞などの非クローンN2a細胞集団は、いくつかがその形質を発現し他は発現しない細胞を含むことを示唆する。理論に縛られることは望まないが、感受性細胞中のPrPの発現によって、プリオンに対するその感受性、又はPrPSc発現のレベルがさらに増大する可能性がある。
マウスPrP発現プラスミドでトランスフェクトしPrPを過剰生成する、N2a及びGT1−7細胞のクローンは、22L、139A及びChandler菌株に対して感受性があるが、22A又は87V菌株に対しては感受性がないことが報告されてきている(Nishida他、2000)。これらの著者は、PrPの過剰生成はプリオンに対する感受性に重要であることを示唆している。Bosque及びPrusinerは、非形質転換N2a及びGTl−trk亜系を選択し、RMLに対して感受性があるが、139A(Nishida他の発見とは対照的)、301V又はME7プリオンに対しては感受性がない系を発見した。Enari他(Enari他、2001)は、N2a細胞をPrP発現プラスミドでトランスフェクトし、RML感受性の亜系を同定した;興味深いことに、最も感受性のある亜系はPrPを過剰発現せず、一方いくつかの耐性系はPrPを過剰発現した。これは、プリオン感受性は、PrPの発現レベルとは無関係の形質であり、従来技術の技法で使用された細胞などの非クローンN2a細胞集団は、いくつかがその形質を発現し他は発現しない細胞を含むことを示唆する。理論に縛られることは望まないが、感受性細胞中のPrPの発現によって、プリオンに対するその感受性、又はPrPSc発現のレベルがさらに増大する可能性がある。
コロニーアッセイをBSE、CJD及び他のプリオン菌株に施すために、これらのプリオン菌株に対して感受性がある細胞株を、以下のように同定する。感受性細胞はプリオンドナーの配列を有するPrPを含むはずであることが予想されるが、前に示唆されたように、他の「感受性形質」が必要とされる可能性がある。プリオンに対して感受性がある細胞株は、「同胞種選択法」によって探すことができる。この手法では、明確な数の細胞のいくつかのプールを、当該のプリオン菌株に曝し、分離によって数倍に増殖させ、ブロッティングアッセイによってアッセイする(Bosque及びPrusiner、2000)。陽性のプールが同定されると、より少数の細胞を含む亜プールを、同じ手順によってアッセイする。これにより、感受性細胞の累進的増大がもたらされ、最終的にはクローン感受性群が生じる。
例えば、最初の細胞集団が1:1000で感受性細胞を含む場合、以下の戦略を適用することができる:
サイクル1.200細胞の20プール(平均4つの陽性プールをあたえるためのもの)を、約20,000〜30,000個の細胞にそれぞれ増殖させ、約5000細胞の3つの等分試料を凍結させる。2〜3000細胞の2つの等分試料を約20,000細胞に増殖させ、3日間プリオンに曝し、2週間培養し、20,000個の細胞を、まったく同様に大きなカバーガラス上に、PrPScブロッティング用に平板培養して、感染細胞を含むプールを同定し、陽性コロニーの数を決定する。
サイクル2.陽性プールはここでは、1:200以上の感受性細胞を含むはずである。最大数の陽性コロニーを与えたプールの凍結サンプルを解凍し、40細胞の20プールを、約20,000〜30,000個の細胞にそれぞれ増殖させ、前と同様に処理した。平均して4つの陽性プールが存在するはずである。
サイクル3.陽性プールは、1:40の陽性細胞を有しているはずである。最大数の陽性コロニーを与えるプールの凍結サンプルを解凍し、10細胞の20プールを、前と同様に処理した。約5つの陽性プールが与えられるはずである。
サイクル4.陽性プールは、1:10の陽性細胞を有しているはずである。最も陽性であるプールから、50の単一細胞を平板培養し、20,000〜30,000個の細胞に増殖させ、それぞれのクローンの等分試料を前と同様にアッセイする。
多数のプール、又は多数の細胞を含むプールで始めることが、当然ながら可能である。
この方法で使用する細胞株は、さまざまな種、上皮、不死化胚の脳細胞、又は所望の感受性の系を生み出す可能性がある他の系からの、神経外胚葉由来のものであってよい。
浸漬アッセイと組み合わせて、ウシ、ヒツジ、ヒト及び他の動物に適用可能な、最小限の侵襲性手順によってプリオンを検出することが、したがって可能である。PrPSc(プリオン感受性の指標)は、プリオン病に罹患しているヒト及びヒツジの脳内だけでなく、扁桃内でも検出されてきている。
この実施例では、コロニーアッセイは前の例で述べたのと同様に行い、これらの細胞株をN2a/Gary細胞株に必要に応じて置き換える。
プリオン感染に対する異なる感受性を有する細胞株の作製
概要
神経外胚葉細胞株N2aは、感染及びPrPScの蓄積により実証されるように、マウスのスクレーピープリオンのいくつかの菌株による感染に対して適度に感受性がある。本発明者らは高感受性N2a亜系を単離し、コロニー又は細胞計数手順に基づく、プリオン感染性に関するin vitroでの定量アッセイにおいて増殖させた。感受性N2a細胞を3日間プリオンに曝し、3回1:10に分離し、PrPSc含有細胞の割合をイムノアッセイによって測定した。動的範囲は3logのプリオン濃度に広がり、2logにわたり直線的である。このアッセイはマウスの接種アッセイとほぼ同程度の感度があり、1桁迅速であり、数桁安価である。
概要
神経外胚葉細胞株N2aは、感染及びPrPScの蓄積により実証されるように、マウスのスクレーピープリオンのいくつかの菌株による感染に対して適度に感受性がある。本発明者らは高感受性N2a亜系を単離し、コロニー又は細胞計数手順に基づく、プリオン感染性に関するin vitroでの定量アッセイにおいて増殖させた。感受性N2a細胞を3日間プリオンに曝し、3回1:10に分離し、PrPSc含有細胞の割合をイムノアッセイによって測定した。動的範囲は3logのプリオン濃度に広がり、2logにわたり直線的である。このアッセイはマウスの接種アッセイとほぼ同程度の感度があり、1桁迅速であり、数桁安価である。
N2a細胞のサブクローニング、増殖及び保存
N2a細胞は、通常はOptimem−FCS中で培養する。高感受性サブクローンのサブクローニング及び同定の後[Enari、2001#5573]、細胞を約3世代増殖させる。N2a/Gary(N2aPD)細胞を、N2a細胞をサブクローニングすることにより、上記のように単離した[Enari、2001#5573]。さらにサブクローニングし、RMLの10−6希釈液で攻撃することにより、SCアッセイにより最高の応答性を与える、クローンN2aPD112及びN2aPD88を作製し、これらを感受性がある系として選択した(N2al/Garyとも指定する)。
N2a細胞は、通常はOptimem−FCS中で培養する。高感受性サブクローンのサブクローニング及び同定の後[Enari、2001#5573]、細胞を約3世代増殖させる。N2a/Gary(N2aPD)細胞を、N2a細胞をサブクローニングすることにより、上記のように単離した[Enari、2001#5573]。さらにサブクローニングし、RMLの10−6希釈液で攻撃することにより、SCアッセイにより最高の応答性を与える、クローンN2aPD112及びN2aPD88を作製し、これらを感受性がある系として選択した(N2al/Garyとも指定する)。
N2aR33などの、10−4のRML希釈液に曝した後に、PrPScの蓄積を示さなかったクローンは、「非感受性が」亜系として選択した。選択したクローンを約3世代増殖させ、それぞれ50等分試料を、凍結容器(「Mr.Frosty」(Nalgene)を使用して、凍結培地(Optimem−FCS、6%DMSO)において−80℃で凍結させ、液体窒素中に保存した。作業用ストックは、考えられる感受性の悪化を避けるために、約4世代を超えて増殖させることはなかった。慢性的に感染した細胞を、RML(I2424)の10−4希釈液を用いた、新たに感染したN2a/Gary細胞の6回の1:10分離の後に得た。
RMLプリオンに対する感受性が非常に高い又は耐性がある、N2a由来の細胞株の単離。
ATTCストック培養物からの65個のN2aクローンを、RMLプリオンに対する感受性に関して個別にスクリーニングした。96ウエルプレート中の単層を、RML脳ホモジェネートに曝し、洗浄し3回継代し、各回に1:10に分離した。最終的な単層を、本質的に[Bosque、2000#4993]に記載されたのと同様に、ブロッティング手順によりPrPScに関してアッセイした。6つの感受性、11の弱感受性、及び48の明らかに非感受性のクローンを同定した。N2aPDとして指定したクローンは、非クローンATTCストックよりも、RMLプリオンに対する感受性が2桁強かった。サブクローニングの第2ラウンドによって、非クローン細胞より3桁感受性が強い、細胞株N2a/Garyが生成した(以下の図9bを参照のこと)。いくつかの「非感受性」の系を、高濃度のRMLホモジェネートに曝すことによって単離し、細胞の選択によってPrPScの蓄積はほとんど、或いはまったく示されず、クローンN2aR33は、N2a/Gary細胞より3桁感受性が弱かった(図6a)。
ATTCストック培養物からの65個のN2aクローンを、RMLプリオンに対する感受性に関して個別にスクリーニングした。96ウエルプレート中の単層を、RML脳ホモジェネートに曝し、洗浄し3回継代し、各回に1:10に分離した。最終的な単層を、本質的に[Bosque、2000#4993]に記載されたのと同様に、ブロッティング手順によりPrPScに関してアッセイした。6つの感受性、11の弱感受性、及び48の明らかに非感受性のクローンを同定した。N2aPDとして指定したクローンは、非クローンATTCストックよりも、RMLプリオンに対する感受性が2桁強かった。サブクローニングの第2ラウンドによって、非クローン細胞より3桁感受性が強い、細胞株N2a/Garyが生成した(以下の図9bを参照のこと)。いくつかの「非感受性」の系を、高濃度のRMLホモジェネートに曝すことによって単離し、細胞の選択によってPrPScの蓄積はほとんど、或いはまったく示されず、クローンN2aR33は、N2a/Gary細胞より3桁感受性が弱かった(図6a)。
プリオン感染に関するコロニーアッセイ
背景
本発明者らは、希釈したプリオン調製物に曝した集密状態の細胞層に、細胞ブロッティングアッセイを施すと、スポット状のパターンが生じ、非感染細胞の背景に埋め込まれた、個々のPrPSc陽性ミクロコロニーの存在が示唆されたことを示した。これは実際確かであることが証明され、この驚くべき発見によって、本発明の定量的なin vitroのプリオン感染性アッセイを開発することが可能であった。
背景
本発明者らは、希釈したプリオン調製物に曝した集密状態の細胞層に、細胞ブロッティングアッセイを施すと、スポット状のパターンが生じ、非感染細胞の背景に埋め込まれた、個々のPrPSc陽性ミクロコロニーの存在が示唆されたことを示した。これは実際確かであることが証明され、この驚くべき発見によって、本発明の定量的なin vitroのプリオン感染性アッセイを開発することが可能であった。
N2a/Gary細胞を使用するコロニーアッセイ
ATTCN2a細胞、感受性N2a/Gary細胞、及び「非感受性」N2aR33細胞を、さまざまな希釈液(10−3〜10−8)の感染した脳のホモジェネートに平行して曝し、連続的に3回1:10に分離して、接種物(以下参照)から繰り越されたPrPScを希釈除去した。集密状態に達した後、105、104、又は103個の細胞を、非感染N2aPD細胞と混合させて、全体を細胞105個にし、カバーガラス上に平板培養し、4日間増殖させ、細胞ブロッティングイムノアッセイを施した[Bosque、2000#4993]。図6aに示すように、陽性コロニーの数は、平板培養した細胞の数にほぼ比例し、接種物の希釈液の増大と共に直線的に低下した。10−5のRML感染した脳ホモジェネートに曝したN2a/Gary細胞によって、平板培養した100,000個の細胞当たり240個の陽性コロニーが与えられたのに対し、「非感受性」細胞によって、6個の陽性コロニーが与えられ;これらは低い感染率、又は接種物からのPrPScの残留繰越しのいずれかが原因であった。以下に示すように、「非感受性」細胞は実際、感染に対する感受性が非常に弱かった。
ATTCN2a細胞、感受性N2a/Gary細胞、及び「非感受性」N2aR33細胞を、さまざまな希釈液(10−3〜10−8)の感染した脳のホモジェネートに平行して曝し、連続的に3回1:10に分離して、接種物(以下参照)から繰り越されたPrPScを希釈除去した。集密状態に達した後、105、104、又は103個の細胞を、非感染N2aPD細胞と混合させて、全体を細胞105個にし、カバーガラス上に平板培養し、4日間増殖させ、細胞ブロッティングイムノアッセイを施した[Bosque、2000#4993]。図6aに示すように、陽性コロニーの数は、平板培養した細胞の数にほぼ比例し、接種物の希釈液の増大と共に直線的に低下した。10−5のRML感染した脳ホモジェネートに曝したN2a/Gary細胞によって、平板培養した100,000個の細胞当たり240個の陽性コロニーが与えられたのに対し、「非感受性」細胞によって、6個の陽性コロニーが与えられ;これらは低い感染率、又は接種物からのPrPScの残留繰越しのいずれかが原因であった。以下に示すように、「非感受性」細胞は実際、感染に対する感受性が非常に弱かった。
図6bは、コロニーの数は、10−7〜10−4のRML脳ホモジェネート希釈液の、ほぼ直線的な関数であることを示す(10%脳ホモジェネート=10−1)。この実験では、脳ホモジェネートの感染性は109LD50単位/脳1gであり、10LD50単位によって、平板培養した100,000個の細胞当たり約1.2のスクレーピー陽性コロニーが与えられた。図6Bの曲線などの参照曲線を使用して、未知のサンプルの感染性を決定することができる。これは、本発明の感受性の絶対的定量の一例である。
プリオン感染性に関する、「小コロニー」又は「単一細胞」(「スクレーピー細胞」)アッセイ
概略
前に実証したように、コロニーアッセイは、サンプルの感染性を分析するのに非常に有用である。しかしながら、コロニーアッセイは比較的労力がかかる可能性があり(視覚的にコロニーを計数することを含む)、細胞を異なる密度で平板培養して、解像することができるコロニー数を最適化することを必要とする可能性がある。
概略
前に実証したように、コロニーアッセイは、サンプルの感染性を分析するのに非常に有用である。しかしながら、コロニーアッセイは比較的労力がかかる可能性があり(視覚的にコロニーを計数することを含む)、細胞を異なる密度で平板培養して、解像することができるコロニー数を最適化することを必要とする可能性がある。
この実施例では、多数のサンプルの同時的処理及び自動式の定量を可能にする、アッセイの改変の仕方を実証する。
「Elispot」技法による1種のPrPSc陽性細胞の検出
適切な状況下において、1種のPrPSc陽性細胞を、酵素結合イムノアッセイ(ELISA)によって可視化することができることを、本発明者らは確認した。したがって、感染細胞にコロニーを形成させるのではなく、本発明者らは有利に、明確な数の細胞をElispotプレートの膜上で濾過し、細胞を溶解させプロテイナーゼK(PK)により消化した。PrPSc陽性細胞を、モノクローナルPrP抗体及びアルカリホスファターゼ結合抗IgG1抗血清を使用して、可視化した。陽性細胞を、Zeiss KS Elispotシステム及びWellscanソフトウェアを使用して計数した。
適切な状況下において、1種のPrPSc陽性細胞を、酵素結合イムノアッセイ(ELISA)によって可視化することができることを、本発明者らは確認した。したがって、感染細胞にコロニーを形成させるのではなく、本発明者らは有利に、明確な数の細胞をElispotプレートの膜上で濾過し、細胞を溶解させプロテイナーゼK(PK)により消化した。PrPSc陽性細胞を、モノクローナルPrP抗体及びアルカリホスファターゼ結合抗IgG1抗血清を使用して、可視化した。陽性細胞を、Zeiss KS Elispotシステム及びWellscanソフトウェアを使用して計数した。
最適感受性及びシグナル−ノイズ比に関する重要なパラメーターは、膜に堆積した細胞の数に対するPK濃度である。本発明者らは、慢性的にスクレーピー感染したN2a細胞と非感染N2a細胞の、異なる割合の混合物を調製し、合計25,000個の細胞(膜を通過する流速を低下させない、ほぼ可能な最大数)、及び5,000個の細胞をそれぞれ濾別し、高いシグナルノイズ比、フィルタに施した細胞数と計数した陽性「スポット」の数の間の直線的関係を得るのに最適な、PK濃度を決定した(図7)。
非感染細胞はPK処理の不在下でさえ、陽性シグナルを与えず、これはおそらく、PrPCが溶解用緩衝液によって溶解され、フィルタを介して洗浄されたためである。興味深いことに、適度なPK処理によりシグナル強度が改善され、これによって検出可能な感染細胞の数がいくらか増大した。過剰なレベルのPKによって、スポット数が減少した。なぜなら、前に示したように、PrPScの耐性は絶対的なものではないからである[Kuczius、1999#4646][Buieler、1994#6252]。本発明者らのアッセイの条件下では、5000個及び25,000個の細胞に関する、最適PK濃度はそれぞれ、90分で0.25μg/ml及び0.5μg/mlであった。細胞の中間数に関する最適値は、これらの図を参照しながら当業者により決定することができる。
25,000個の細胞をフィルタに塗布すると、アッセイの動的範囲は、約2000の陽性細胞まで及んだ(典型的には20〜40の「スポット」のバックグランドで)。
Elispot技法によって記録した感染性アッセイ
感受性細胞をスクレーピー感染した脳のホモジェネートに曝した後に、図8の実験中に示すように、感染培養物を3回1:10に分離して、ホモジェネート中に存在するPrPSc陽性粒子を希釈除去することが有利である。20000個の感受性細胞(N2a/Gary)(PD88))及び「非感受性」(NN2a)細胞をそれぞれ、96ウエルプレートのウエルに平板培養し、12時間培養し、RML感染した脳のホモジェネートの10−4希釈液に3日間曝した。次いで細胞を懸濁させ、1:10に分離した。3日後に集密状態に達し、細胞を再度1:10に分離した。この手順は、もう1回繰り返した。それぞれのステップで、集密状態に達した後、25,000個の細胞を8連で、Elispotプレートの膜上で濾過した。平行して、感染及び以下のすべてのステップを、モノクローナルPrP抗体(ICSM18、[White、2003#6289]、Beringue他)の存在下において、Mab6H4の存在下での慢性的にスクレーピー感染したN2a細胞中の、PrPScの蓄積を妨げる条件下で行った[Enari、2001#5573]。感染の3日後、約2,200の免疫反応「スポット」の数は、PrPScの蓄積がPrP抗体によって阻害されたどうかに関係なく、感受性細胞と非感受性細胞の両方で同等であり(図8)、この段階で大多数のスポットは、既存のPrPScによるものであったことが示された。第3の分離の後、抗体処理したサンプル中のスポット数は、抗体不在の約2,200スポットという値と比較して、基本レベルに減少し、元のPrPSc粒子が希釈除去された、及び/又は完全に分解されたことが示された。同様に、RMLに曝し3回1:10に分離した「非感受性」細胞は典型的には、「スポット」の約50、元のレベルの2.5%未満の減少をもたらした。PrP抗体が培地中に存在すると、この値は10へとさらに減少し、「非感受性」細胞が、非常に低い有効性では合ったが、感染に対して感受性があったことが示唆される。したがって、感受性細胞のプリオンへの暴露、次に3回の1:10分離後に検出された、スクレーピー陽性「スポット」は、ほぼ完全にde novo感染細胞よるものである。
感受性細胞をスクレーピー感染した脳のホモジェネートに曝した後に、図8の実験中に示すように、感染培養物を3回1:10に分離して、ホモジェネート中に存在するPrPSc陽性粒子を希釈除去することが有利である。20000個の感受性細胞(N2a/Gary)(PD88))及び「非感受性」(NN2a)細胞をそれぞれ、96ウエルプレートのウエルに平板培養し、12時間培養し、RML感染した脳のホモジェネートの10−4希釈液に3日間曝した。次いで細胞を懸濁させ、1:10に分離した。3日後に集密状態に達し、細胞を再度1:10に分離した。この手順は、もう1回繰り返した。それぞれのステップで、集密状態に達した後、25,000個の細胞を8連で、Elispotプレートの膜上で濾過した。平行して、感染及び以下のすべてのステップを、モノクローナルPrP抗体(ICSM18、[White、2003#6289]、Beringue他)の存在下において、Mab6H4の存在下での慢性的にスクレーピー感染したN2a細胞中の、PrPScの蓄積を妨げる条件下で行った[Enari、2001#5573]。感染の3日後、約2,200の免疫反応「スポット」の数は、PrPScの蓄積がPrP抗体によって阻害されたどうかに関係なく、感受性細胞と非感受性細胞の両方で同等であり(図8)、この段階で大多数のスポットは、既存のPrPScによるものであったことが示された。第3の分離の後、抗体処理したサンプル中のスポット数は、抗体不在の約2,200スポットという値と比較して、基本レベルに減少し、元のPrPSc粒子が希釈除去された、及び/又は完全に分解されたことが示された。同様に、RMLに曝し3回1:10に分離した「非感受性」細胞は典型的には、「スポット」の約50、元のレベルの2.5%未満の減少をもたらした。PrP抗体が培地中に存在すると、この値は10へとさらに減少し、「非感受性」細胞が、非常に低い有効性では合ったが、感染に対して感受性があったことが示唆される。したがって、感受性細胞のプリオンへの暴露、次に3回の1:10分離後に検出された、スクレーピー陽性「スポット」は、ほぼ完全にde novo感染細胞よるものである。
アッセイの用量応答性検量線
本発明者らは、プリオン、この実施例ではRMLプリオンに対する用量応答性を決定した。感受性及び「非感受性」N2a細胞をそれぞれ、Optimem−10%FCS中に10−7〜10−3に希釈した、RML感染した脳のホモジェネートに曝し、前と同様に処理した。図9aは、さまざまな希釈でのサンプルのElispotフィルタを示し、図9bは自動式に評価したデータのプロットを示し、2×10−7と10−5の間の直線性、及び10−4までの動的応答を示す。
本発明者らは、プリオン、この実施例ではRMLプリオンに対する用量応答性を決定した。感受性及び「非感受性」N2a細胞をそれぞれ、Optimem−10%FCS中に10−7〜10−3に希釈した、RML感染した脳のホモジェネートに曝し、前と同様に処理した。図9aは、さまざまな希釈でのサンプルのElispotフィルタを示し、図9bは自動式に評価したデータのプロットを示し、2×10−7と10−5の間の直線性、及び10−4までの動的応答を示す。
プリオン感染性に関するコロニーアッセイの、他のパラメーターの最適化
単層の細胞密度:感受性N2a細胞の単層を、ウエル当たりに104、2×104及び4×104個を平板培養し、それらを増殖させることによって作製した。単層を、記載したように希釈したRML感染した脳ホモジェネートに3日間曝して、SCアッセイによって分析した。このようにして、感染(即ち、サンプルとの接触)に最適な細胞密度を決定した。
単層の細胞密度:感受性N2a細胞の単層を、ウエル当たりに104、2×104及び4×104個を平板培養し、それらを増殖させることによって作製した。単層を、記載したように希釈したRML感染した脳ホモジェネートに3日間曝して、SCアッセイによって分析した。このようにして、感染(即ち、サンプルとの接触)に最適な細胞密度を決定した。
感染に対する露出時間:
2×104個の感受性N2a細胞を平板培養することにより作製した単層を、RML感染した脳の希釈液に1、2及び3日間曝し、SCアッセイを前と同様に行った。このようにして、感染(即ち、サンプルとの接触)に関する最適な露出時間を決定した。
2×104個の感受性N2a細胞を平板培養することにより作製した単層を、RML感染した脳の希釈液に1、2及び3日間曝し、SCアッセイを前と同様に行った。このようにして、感染(即ち、サンプルとの接触)に関する最適な露出時間を決定した。
非感染脳ホモジェネートの「SCスポット」生成に対する影響:
10−4及び10−3希釈で生じるスポットが類似していたという発見により、ホモジェネートの成分による感染効率の阻害が示唆された。多量の非感染CD1脳ホモジェネートを、スクレーピー感染した脳のホモジェネート(RML2121、2.95×108LD50単位/1g)の、10−4、10−5又は10−6希釈液(Optimem−FCSに希釈したもの)に加え、スポット収率をSCアッセイによって測定した。図10に示すように、非感染脳ホモジェネートを加えると、「スポット」の累進的な損失があった。10−5RMLに関しては、均質化した脳組織330μg/1mlの濃度で、スポット数が半分になる。したがって本発明は、プリオン感染の抑制物質としての、均質化した非感染脳組織の使用を提供する。さらに本発明は、プリオン感染を抑制するための薬剤の製造における、均質化した非感染脳組織の使用を提供する。
10−4及び10−3希釈で生じるスポットが類似していたという発見により、ホモジェネートの成分による感染効率の阻害が示唆された。多量の非感染CD1脳ホモジェネートを、スクレーピー感染した脳のホモジェネート(RML2121、2.95×108LD50単位/1g)の、10−4、10−5又は10−6希釈液(Optimem−FCSに希釈したもの)に加え、スポット収率をSCアッセイによって測定した。図10に示すように、非感染脳ホモジェネートを加えると、「スポット」の累進的な損失があった。10−5RMLに関しては、均質化した脳組織330μg/1mlの濃度で、スポット数が半分になる。したがって本発明は、プリオン感染の抑制物質としての、均質化した非感染脳組織の使用を提供する。さらに本発明は、プリオン感染を抑制するための薬剤の製造における、均質化した非感染脳組織の使用を提供する。
マウスの終点滴定アッセイと、スクレーピー細胞アッセイの比較:
末期病状のRML感染CD1マウス(I2424)の脳ホモジェネートを、一連で10倍に希釈し、それぞれの希釈液の30μlの等分試料を、5匹のTga20マウスそれぞれの皮内に注射した。平行して、100μlの等分試料を、腹腔内に投与した。表2に示すように、10−6より低い希釈液を皮内注射すると、5匹のマウスすべてがスクレーピーになったが、10−7希釈では、5匹のマウスのわずか3匹(10%脳ホモジェネート=10−1希釈)がスクレーピーになり、10−8希釈液の接種後は、5匹のマウスはいずれもスクレーピーにならなかった。同じ脳のホモジェネートは、SCアッセイによってアッセイすると、10−7希釈液に関して、25,000個の細胞(「SC単位」)当たりで26±23の「スポット」を生成した(バックグラウンド=1±1個のスポット)。したがってこれらの結果は、10−7希釈液のバックグラウンドを有意に超える(p=0.03)。これらの基準によって、マウス感染性アッセイとSCアッセイは、ほぼ同程度の感度を有することが実証される。
末期病状のRML感染CD1マウス(I2424)の脳ホモジェネートを、一連で10倍に希釈し、それぞれの希釈液の30μlの等分試料を、5匹のTga20マウスそれぞれの皮内に注射した。平行して、100μlの等分試料を、腹腔内に投与した。表2に示すように、10−6より低い希釈液を皮内注射すると、5匹のマウスすべてがスクレーピーになったが、10−7希釈では、5匹のマウスのわずか3匹(10%脳ホモジェネート=10−1希釈)がスクレーピーになり、10−8希釈液の接種後は、5匹のマウスはいずれもスクレーピーにならなかった。同じ脳のホモジェネートは、SCアッセイによってアッセイすると、10−7希釈液に関して、25,000個の細胞(「SC単位」)当たりで26±23の「スポット」を生成した(バックグラウンド=1±1個のスポット)。したがってこれらの結果は、10−7希釈液のバックグラウンドを有意に超える(p=0.03)。これらの基準によって、マウス感染性アッセイとSCアッセイは、ほぼ同程度の感度を有することが実証される。
10−5希釈液では300μlの脳ホモジェネートが、1039スクレーピー陽性細胞/細胞25,000個(1039SC単位)をもたらし、10−6希釈液では75SC単位がもたらされたことを考慮すると、約108.47SC単位/脳1g(3.3×1/2([1039×105]+[75×106]))が存在する。同じサンプルが由来するマウスの脳は、108.38LD50単位/1gを含んでいた。したがって、この実験の条件下では、1SC単位は、約1.23LD50単位(108.47/(108.38))に等しい。しかしながら、理論に縛られることは望まないが、SC単位は本明細書において定義され、さらにSC単位は、抗体の親和性及び濃度、並びにElispot装置による計数用に選択されるパラメーターに依存する可能性があることを、述べなければならない。したがって、別個のアッセイからの結果を比較する際に、参照用のプリオン調製物、好ましくはマウスの力価測定用のスクレーピー脳ホモジェネートを含むことは重要である。
表3は、知られているLD50力価を有する3つの他のRML脳ホモジェネートに行った、SCアッセイの結果を示す。
SC単位とLD50単位の比は、異なる研究室で調製しマウスのアッセイによりアッセイした、4つの別個の脳ホモジェネートに関して0.2〜3.5の範囲であり;この広がりはおそらく、マウスの感染性アッセイの不正確さによるものである[McLean、2000#5612]。
マウスの感染性アッセイ及びSCアッセイより決定した、接種後の異なる時間でのマウス脳のホモジェネートの感染性。
マウスの感染性アッセイとSCアッセイの感度をさらに比較するために、野生型CD1マウスからの脳ホモジェネートを、接種後の異なる時間で両方の方法によりアッセイした。表4に示すように、両方の方法共に、皮内接種後の第19、25及び41日には感染性を検出しなかったが、61日及び140日後に、両方の方法によって感染性を検出した。
マウスの感染性アッセイとSCアッセイの感度をさらに比較するために、野生型CD1マウスからの脳ホモジェネートを、接種後の異なる時間で両方の方法によりアッセイした。表4に示すように、両方の方法共に、皮内接種後の第19、25及び41日には感染性を検出しなかったが、61日及び140日後に、両方の方法によって感染性を検出した。
CD1マウスに、0.03mlのRML I2424(1%、約7.5×104LD50単位)を皮内接種した。19、25、41及び61日後、マウスを選別した;同様に接種したマウスを、感染後140日で陽性対照として選別した。脳ホモジェネートを調製し、表2に記載したようにマウスの感染性をアッセイする。SCアッセイの基底値は9±5であり、これは差し引かれた値ではなかった。希釈は脳組織に対するものである(10%=10−1)。陽性の値を太字で示す。
コロニーアッセイ
他に述べない限り、すべてのステップは室温で行う。TBST(10mMのTris.HCl(pH8.0)、150mMのNACl、0,1%のTween20)を、10×ストック溶液から使用する前に調製する。200μlのOptimem(Invitrogen)−10%FCS(Invitrogen)(OFCS)に溶かした、20000個の感受性N2a細胞(倍増時間約24時間)を、96ウエルプレートのウエルに平板培養した。24時間後37℃において、この培地をOFCSの0.3mlのサンプルと交換する。3日後、集密状態の単層(約105個の細胞)を、軽いピペッティングによって懸濁させる。それぞれのサンプルの30−ulの等分試料を、270μlのOFCSを含む96ウエルプレートのウエル中に置き、集密状態まで増殖させた。細胞は前と同様に、1:10に分離し、さらに2回1:10に分離する。
他に述べない限り、すべてのステップは室温で行う。TBST(10mMのTris.HCl(pH8.0)、150mMのNACl、0,1%のTween20)を、10×ストック溶液から使用する前に調製する。200μlのOptimem(Invitrogen)−10%FCS(Invitrogen)(OFCS)に溶かした、20000個の感受性N2a細胞(倍増時間約24時間)を、96ウエルプレートのウエルに平板培養した。24時間後37℃において、この培地をOFCSの0.3mlのサンプルと交換する。3日後、集密状態の単層(約105個の細胞)を、軽いピペッティングによって懸濁させる。それぞれのサンプルの30−ulの等分試料を、270μlのOFCSを含む96ウエルプレートのウエル中に置き、集密状態まで増殖させた。細胞は前と同様に、1:10に分離し、さらに2回1:10に分離する。
第3の分離、集密状態に達した後に、細胞を300μlのOFCSに懸濁させ、計数する。200、1000、5,000及び25,000個の細胞の3連の等分試料を、24ウエル(又は6ウエル)プレート中の、13mm(又は24mm)のThermanoxカバーガラス(Nunc、Fisher Scientific UK)上に堆積させる。4日後37℃において、コロニー(平板培養効率約40%)を、溶解用緩衝液(50mMのTris−HCl(pH7.4)、150mMのNaCl、0.5%のデオキシコール酸ナトリウム、0.5%のTriton X−100)に浸した、ニトロセルロース膜(Trans−Blot Transfer Medium、Nitrocellulose、0,45μm、Bio−Rad Laboratories Ltd.,Hemel Hempstead、Hertfordshire、UK)上にブロッティングする。この膜を1時間37℃で乾燥させ、5μg/mlのプロテイナーゼK(特異的活性30mAU/mg、Merck Pharmaceuticals、West Drayton、Middlesex、UK)を含む溶解用緩衝液中で、90分間37℃でインキュベートし、水で2回すすぎ、2mMのPMSF(Sigma−Aldrich、Gillingham、Dorset、UK)中で、10分間インキュベートする。この膜を、3Mのグアニジニウムチオシアネート(>99%、SigmaAldrich)、10mMのTris−HCl(pH8.0)中に10分間置き、水で5回すすぎ、Superblock(Pierce)(TBS)ブロッキング緩衝液中で1時間インキュベートし、抗PrP抗体6H4(Prionics AG、Zurich、Switzerland;1:5.000)又はICSM18(J.Collinge、Prion Unit;1:5000)と共に、TBST(10mMのTris.HCl(pH8.0)、150mMのNaCl、0.1%のTween20)、1%無脂肪乾燥ミルク(Marvel)中で1時間振とうさせ、次いでTBSTで4回5分間洗浄した。膜は、ホースラディッシュペルオキシダーゼ結合抗マウスIgG1抗体(Zymed Laboratories、South San Francisco、CA、USA;TBST中に1:7.500、1%無脂肪乾燥ミルク)と共に、1時間インキュベートする。1×TBSTで5分間5回洗浄した後、膜をフィルタ紙(タンパク質が上側)上で乾燥させ、ECL試薬(Super Signal West Pico、Pierce Biotechnology、Rockford、IL、USA)に3分間浸し、X線フィルム(Hyperfilm ECL、Amersham Biosciences Ltd.,Chalfont Buckinghamshire、England)に感光させる。PrPSc陽性コロニーを計数し、平板培養した細胞の数に対して表す。
スクレーピー細胞(SC)アッセイ(「小コロニー」又は「単一細胞」アッセイとも呼ばれる)
溶液はすべて濾過し、プレートはアッセイ中は粉塵から保護する。TBSTは、使用前に10×ストック溶液から新鮮に調製する。他に述べない限り、すべてのステップは室温で行う。細胞を感染及び増殖させるために、前の実施例10と同じ手順に従う。
溶液はすべて濾過し、プレートはアッセイ中は粉塵から保護する。TBSTは、使用前に10×ストック溶液から新鮮に調製する。他に述べない限り、すべてのステップは室温で行う。細胞を感染及び増殖させるために、前の実施例10と同じ手順に従う。
第3の分離、集密状態に達した後に、次いで細胞を250μlのPBSに懸濁させ、計数し(約500個の細胞/1μl)、25,000又は5,000個の細胞を、Elispotプレート(Multi Screen Immnobilon−P96ウエル濾過用プレート、滅菌済み、0.45μm;Millipore(U.K.)Ltd.,Watford,England)の、少なくとも3つのウエルのそれぞれ(200μlのPBSを含む)にピペッティングし、70%エタノールを用いて活性化させ、PBSで2回すすぐ。吸引力をElispot濾過装置に施し、プレートは50℃で1時間乾燥させる。それぞれのウエルに、50μlプロテイナーゼK(25,000個の細胞に関しては溶解緩衝液中に0.5μg/ml、5,000個の細胞に関しては0.25μg/mlで最適化させた)を加え、90分後に37℃で吸引除去する。160μlのPBSで洗浄した後、サンプルを160μlのPMSFに10分間に曝し、160μlのPBSで1回洗浄する。160μlの3Mグアニジニウムチオシアネート−10mMのTris−HCl(pH8.0)と共に10分間インキュベートした後、フィルタを吸引により160μlの1×PBSで4回洗浄し、160μlのSuperblockと共に45分間インキュベートする。50μlのPrP抗体ICSM18(1×TBST中に1:5000/1%無脂肪ミルク粉末)を加え、1時間後に上清を吸引除去し、ウエルを160μlの1×TBSTで7回洗浄する。50μlの抗IgG1−AP(Southern Biotech、Birmingham、Alabama USA;1×TBST中に1:4,500/1%ミルク粉末)を、1時間加える。160μlの1×TBSTで8回洗浄した後、プレートを乾燥させる。それぞれのサンプルに、50μlのアルカリホスファターゼ結合基質(製造者、Bio−Radにより奨励されるように調製したもの)を8分間加え、ウエルは160μlの水で2回洗浄する。プレートは、評価まで暗所に−20℃で保存する。
PrPSc陽性細胞を、Zeiss KS Elispotシステム(Hitachi HV−C20Aカラーカメラ、KL1500LCDスキャナーを備えるStemi2000−C立体顕微鏡、及びImaging Associates、Bicester、Oxfordshire、UKからのWellscanソフトウェア)を使用して計数した。設定を最適化して、PrPSc陽性を有するウエルの数と陰性対照サンプルを有するウエルの数の最大比を与え、一方サンプル数は可能な限り多く保つ。パラメーターは、製造者の教示書に従い、プログラムのトレーニング特徴を使用して調整する。
(参照文献)
(参照文献)
ここで本発明を実施例によって記載するが、これは実施例中に記載する実施形態を制限するものとしてみなすべきではない。実施例は、以下の図面に言及する。
Claims (21)
- サンプル中のプリオンを検出するための方法であって、
(i)プリオン感染を受けやすい細胞集団を提供すること、
(ii)細胞集団をサンプルと接触させること、
(iii)増殖用培養基質上で細胞をインキュベートすること、
(iv)プリオンのコロニー形成をアッセイすることを含み、
プリオンのコロニーの存在がサンプル中のプリオンの存在を示す方法。 - 増殖用培養基質上で細胞をインキュベートすることが、
(i)細胞を集密状態に達するまでインキュベートするステップ、
(ii)増殖用培養基質から細胞を剥離するステップ、
(iii)集密状態密度の約10分の1の開始密度で、新鮮な培養基質上で細胞をインキュベートするステップを含む、請求項1に記載の方法。 - 請求項2のステップ(i)〜(iii)をさらに2回行う、請求項2に記載の方法。
- コロニー形成のアッセイが、
(i)細胞を支持体に移すステップ、
(ii)PrPScを可視化するステップ、
(iii)PrPScを示すコロニーの有無を示すステップを含む、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。 - コロニー形成のアッセイが、
(i)細胞をニトロセルロース支持体に移すステップ、
(ii)プロテイナーゼKで細胞を処理することによって、PrPcを分解するステップ、
(iii)抗PrP抗体を用いた染色によって、PrPScを可視化するステップ、
(iv)PrPScを示すコロニーの有無を示すステップを含む、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。 - 細胞を支持体に移すことが、
(i)細胞を増殖用培養基質から剥離するステップ、
(ii)細胞をカバーガラス上に接種するステップ、
(iii)細胞を約4日間インキュベートするステップ、
(iv)細胞を支持体上にブロッティングするステップを含む、請求項2〜5のいずれかに記載の方法。 - 細胞を支持体に移すことが、
(i)細胞を増殖用培養基質から剥離するステップ、
(ii)細胞を支持体に直接塗布するステップを含む、請求項2〜5のいずれかに記載の方法。 - 支持体がELISPOTアッセイプレートを含む、請求項7に記載の方法。
- 増殖用培養基質がプラスチック又はガラスを含むカバーガラスである、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
- 増殖用培養基質上での細胞のインキュベーションが約6〜7日間である、請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
- 細胞を約3日間サンプルと接触させる、請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
- サンプルが固相物質を含む、請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
- 細胞の固相物質への付着を可能にし、少なくとも3日間インキュベートすることによって、細胞をサンプルと接触させる、請求項12に記載の方法。
- 細胞を固相物質と共に約8日間インキュベートする、請求項13に記載の方法。
- 細胞がN2a/Gary細胞である、請求項1〜14のいずれかに記載の方法。
- 検出されるプリオンがRMLである、請求項1〜15のいずれかに記載の方法。
- サンプル中のプリオンを定量するための方法であって、請求項1〜16のいずれかに記載の方法を実施することを含み、プリオンのコロニー形成に関するアッセイのステップが、コロニー数を計数するステップをさらに含む方法。
- 検量線から存在するプリオン数を決定するために計数したコロニー数を使用して、サンプル中のプリオン数を推定することをさらに含む、請求項17に記載の方法。
- 検量線がlog−logプロットである、請求項18に記載の方法。
- アクセッション番号02031337又は03031801でECACCに寄託された、N2a/Gary細胞系。
- 固相物質が増殖用培養基質を含む、請求項12〜14のいずれか一項に記載の方法。
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