JP2005519861A - 治療剤及び撮像剤としての脂質構築物 - Google Patents

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Abstract

キレーター、標的指向物質、検出用物質及び/又は治療用物質を含有する脂質構築物、並びにそれらの使用に関する方法が提供される。治療用又は処置用物質が、共有結合手段又は非共有結合手段により脂質構築物に結合していてもよい。治療用又は処置用物質は、ラジオアイソトープの場合もある。

Description

本発明は、一般的には放射線療法及び撮影のための脂質構築物に関するものである。より詳細には、本発明は、キレーター、標的指向物質、検出用物質及び/又は治療用物質を含有するリポソーム、並びにそれらの使用方法に関する。治療用又は処置用物質が、共有結合手段又は非共有結合手段により脂質構築物に結合していてもよい。治療用又は処置用物質はラジオアイソトープの場合もある。
がんは、依然として工業化社会における主要な死因の1つである。米国では、がんは心臓病に次ぎ2番目の最も一般的な死因であり、1997年には死の約1/4を占めていた。明らかに、新規の有効ながん治療が有意な健康の恩恵を提供するであろう。がんについて提案されている広範な治療の中で、標的化治療剤が注目すべき有望さを保った。原則として、細胞毒性剤ががん組織に特異的に標的化されている場合、健常組織は影響を受けないか又は病理組織よりも非常に小さな範囲の影響ですむため、患者は非常に高用量の細胞毒性剤の作用に耐えるであろう。
モノクローナル抗体は特異性が高いため、標的化がん治療療法のための細胞毒性剤と結合した抗体が提案されている。腫瘍を含む形質転換細胞及び腫瘍に供給している血管系において、特に固形腫瘍はある種の抗原を発現する。この抗原は、腫瘍細胞及び血管系に独自のものであるか、又は正常な細胞及び血管系と比較して腫瘍細胞及び血管系で過剰発現している。したがって、腫瘍抗原又は腫瘍血管系抗原に特異的抗体を細胞毒性剤に連結させることは、病理部位に高い特異性を提供するはずである。このような抗原のグループの1つは、さまざまな生理的及び疾患の経過のあいだ内皮細胞で発現する、細胞接着分子(CAM)と呼ばれるタンパク質のファミリーである。Reisfeld、「がん免疫療法におけるモノクローナル抗体」、Laboratory Immunology II、(1992)12(2):201−216、及びArchelos et al.、「実験的アレルギー性脳脊髄炎の、細胞間接着分子ICAM−1に対する抗体による阻害」、Ann.of Neurology(1993) 34(2):145−154。本明細書において参照されるReisfeld、Archelos et al.、並びに他の全ての出版物、特許、及び特許出願は、本明細書にその全体が援用される。複数の内皮リガンド、及びCAMを含む受容体は、炎症や腫瘍形成などの種々の病状において上方制御されることが知られている。したがって、標的指向戦略にとって魅力的な候補である。
他の可能性のある標的はインテグリンである。インテグリンは、細胞接着を介在する細胞表面糖タンパク質の一群である。したがって、種々の生物学的過程において生ずる細胞接着相互作用のメディエーターである。インテグリンは、非共有結合的に連結したα及びβポリペプチドサブユニットで構成されるヘテロダイマーである。最近、少なくとも11つの異なるαサブユニットが同定され、少なくとも6つの異なるβサブユニットが同定されている。それぞれ異なるαサブユニットがそれぞれ異なるβサブユニットと組み合わされて異なるインテグリンを形成することができる。αβとして同定されたインテグリン(ビトロネクチン受容体としても知られる)は、腫瘍転移、固形腫瘍増殖(新形成)、骨粗鬆症、パジェット病、悪性の体液性高カルシウム血症、腫瘍血管新生を含む血管新生、網膜症、関節リウマチを含む関節炎、歯周病、乾癬及び平滑筋細胞遊走(例えば再狭窄)を含む種々の状態又は疾患状態において役割を果たすインテグリンとして同定されている。更に、そのようなインテグリンの阻害剤が抗ウイルス剤、抗真菌剤及び抗菌剤として有用であろうことがわかっている。したがって、αβを選択的に阻害するか又はこれと拮抗する治療剤は、そのような状態の治療に有益であろう。αβインテグリンは、フィブリノーゲン(Bennett et al.、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、Vol.80(1983)2417)、フィブロネクチン(Ginsberg et al.、J.Clin.Invest.、Vol.71(1983)619−624)及びフォンビルブラント因子(Ruggeri et al.、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、Vol.79(1982)6038)のような多くのArg−Gly−Asp(RGD)含有マトリックス分子と結合することが示されている。RGD配列を含有する化合物は細胞外マトリックスリガンドを模倣し、細胞表面受容体に結合する。しかしながら、RGDペプチドは一般にRGD依存性インテグリンに対し非選択的であることも知られている。例えば、αβに結合する多くのRGDペプチドは、αβ、αβ及びαIIbβIIIaにも結合する。血小板αIIbβIIIa(フィブリノーゲン受容体としても知られる)の拮抗はヒトにおいて血小板の凝集をブロックすることが知られている。
多くの抗インテグリン抗体が知られている。Doerr, et al.、J.Biol.Chem.1996 271:2443は、αβインテグリンに対するブロッキング抗体が、IGF−1からの刺激に応答してin vitroでMCF−7ヒト乳癌細胞の遊走を阻害することを報告している。Gui et al.、British J.Surgery 1995 82:1192は、αβ及びαβ及びαβに対する抗体が、ヒト乳癌カルシノーマ細胞株Hs578T及びMDA−MB−231による化学浸潤をin vitroで阻害することを報告している。Lehman et al.、Cancer Research 1994 54:2102は、モノクローナル抗体(69−6−5)が、αβを含むいくつかのαインテグリンと反応し、ビトロネクチンを含む多くの基質への結腸癌細胞接着を阻害すること示す。Brooks et al.、Science 1994 264:569は、抗αβモノクローナル抗体LM609を用いたインテグリン活性の遮断が、ヒトM21−Lメラノーマフラグメントによるニワトリ漿尿膜の腫瘍−誘発血管新生を阻害することを示す。Gutheil et al.、Clinical Cancer Research 2000 6:3056は、この抗体のヒト化型であるビタキシンを用いたがん患者の治療に関する第1相臨床試験について記載している。Chuntharapai, et al.、Exp.Cell.Res.1993 205:345は、αβ複合体を認識するモノクローナル抗体9G2.1.3及びIOC4.1.3を開示する。後者のモノクローナル抗体は、破骨細胞以外のαβ発現組織に弱く結合するか又は全く結合しないと言われており、骨疾患のinvivo療法に有用であることが示唆された。前者のモノクローナル抗体は、ある種のがんにおいて治療剤としての可能性を有することが示唆されている。
Ginsberg et al.の米国特許第5,306,620号は、インテグリンと反応し、インテグリンのリガンドに対する結合アフィニティーを増加させる抗体を開示する。このようなモノクローナル抗体は、メラノーマ腫瘍を固定することにより転移を予防するのに有用であるといわれている。Brownの米国特許第5,057,604号は、RGD配列含有タンパク質を認識する受容体に結合することにより、RGDが介在する貪食作用の増大を阻害する、αβインテグリンに対するモノクローナル抗体の使用を開示する。Plow et al.の米国特許第5,149,780号は、インテグリンβサブユニットのRGDエピトープと相同性のあるタンパク質、及びβサブユニットに結合することにより、インテグリン−リガンド結合を阻害するモノクローナル抗体を開示する。その作用は、接着により開始される凝集のようなヒトの反応及びある種の炎症反応に対する療法に有用であるといわれている。
Carronの米国特許第6,171,588号は、細胞接着、破骨細胞介在骨再吸収、再狭窄、眼内血管新生及び血管腫の増殖、並びに新生物形成性細胞又は腫瘍の増殖及び播種のような、αβが介在するイベントをブロックするための方法に用いることができるモノクローナル抗体を記載する。記載される他の使用は、αβを有する新生物及び腫瘍関連血管床を破壊し、殺すための抗体介在標的指向及び治療剤の送達である。加えて、この発明のモノクローナル抗体は、αβを有する新生物又は腫瘍関連血管床をNMR又はイムノシンチグラフィーにより可視化又は撮影するために用いることができる。
標的化治療アプローチの例は、種々の特許文献及び科学文献に記載されている。国際特許出願WO93/17715は、腫瘍血管系関連抗原を認識することにより固形腫瘍塊の血管系に標的化された診断剤又は治療剤を運ぶ抗体について記載している。国際特許出願WO96/01653及び米国特許第5,877,289号は、抗体を用いて凝血剤を部位特異的に送達することにより腫瘍血管系をin vivo凝血させるための方法及び組成物について記載している。一方、国際特許出願WO98/31394は、凝血及び腫瘍治療のための組織因子組成物の使用について記載している。国際特許出願WO93/18793並びに米国特許第5,762,918号及び第5,474,765号は、血管内皮細胞に結合するポリ陰イオン性ポリマーに連結したステロイドについて記載している。国際特許出願WO91/07941及び米国特許第5,165,923号は、腫瘍細胞に対する抗体に結合したリシンAなどの毒素について記載している。米国特許第5,660,827号、第5,776,427号、第5,855,866号及び第5,863,538号は、腫瘍血管系の治療方法についても記載している。国際特許出願WO98/10795及びWO99/13329は、薬物を腫瘍に標的指向させるのに用いることができる腫瘍回帰分子について記載している。
Tabata, et al.、Int.J.Cancer 1999、82:737−42では、増殖している血管に、抗体を用いてラジオアイソト−プを送達している。Ruoslahti&Rajotte、Annu.Rev.Immunol.2000、18:813−27;Ruoslahti、Adv.Cancer Res.1999、76:1−20は、治療剤を新生血管系に標的指向させるための戦略について概説している。一方、Arap,et al.、Science 1998、279:377−80は、腫瘍血管を標的指向するペプチドの選択について記載している。
このようなシステムに用いる典型的な配置は、標的指向物質を単結合又は比較的短い化学リンカーにより治療用物質に連結させることであることに注目すべきである。このようなリンカーの例には、SMCC(スクシンイミジル 4−[N−マレイミドメチル]シクロヘキサン−1−カルボキシレート)又は米国特許第4,880,935号に開示されるリンカー、及びオリゴペプチドスペーサーが含まれる。カルボジイミド及びN−ヒドロキシスクシンイミド試薬は、治療用物質及び標的指向物質を適切な反応性化学基と直接結合させるのに用いられている。
遺伝子治療法において、異種遺伝子を送達するための陽イオン性有機分子の使用が文献に報告されている。全ての陽イオン性化合物がDNAと複合体を形成して遺伝子移入を促進させるわけではない。最近の主な戦略は、陽イオン性分子の慣例スクリーニングである。過去に用いられてきた化合物のタイプには、ポリエチレンアミン、エチレンジアミンカスケードポリマー及びポリブレンのような陽イオン性ポリマーが含まれる。実効陽電荷を有するポリリジンのようなタンパク質も用いられてきた。最も大きな化合物群である陽イオン性脂質には、DOTMA、DOTAP、DMRIE、DC−chol及びDOSPAが含まれる。これらの薬剤は全て有効であることが証明されているが、毒性や薬剤製造費用のような潜在的問題を抱えている。陽イオン性リポソームは、遺伝子トランスフェクションの研究に関し、近年最も普及した系である。陽イオン性リポソームは、DNAを分解から保護し、細胞に入るDNA量を増加させるという2つの機能を果たす。陽イオン性リポソームがどのように機能するかを示すメカニズムは十分に説明されていないが、このようなリポソームはin vitro及びin vivoの研究で有用であることが証明されている。しかしながら、これらのリポソームにはいくつかの重要な制約がある。このような制約には、トランスフェクション効率の低さ、脂質製造費用、DNAと複合体を形成したときのコロイド安定性の低さ、及び毒性が含まれる。
標的指向物質と治療用物質との比較的短いリンカーを介した結合体は多くの注目を集めているが、大きな粒子をリンカーとして用いることはほとんど注目されてこなかった。典型的には、リンカーは治療用物質と標的指向物質とを結合させるために単純に機能し、リンカーの特性についての考察は、一般に連結した物質との干渉を避けること、例えば免疫グロブリンの抗原結合部位の連結点を避けることに集中している。
リポソームのような生体適合性材料の大きな粒子集合体は、薬物及び常磁性造影剤を投与するための担体として用いられてきた。米国特許第5,077,057号及び第5,277,914号は、水溶性の低い薬物を送達するための、所定サイズの粒子、特に非プロトン性溶媒に溶解性の脂質を有するリポソーム又は脂質粒子懸濁液の製造について教示している。米国特許第4,544,545号は、リポソームを予め決められた臓器に対しより特異的にするための、修飾されたコレステロール誘導体を含む外殻を有するリン脂質リポソームについて教示する。米国特許第5,213,804号は、小胞形成脂質、及び親水性生体適合性ポリマーで誘導体化された1〜20モル%の小胞形成脂質で構成され、その生体内分布及び再循環半減期を制御するための大きさにした薬物のような、トラップされた薬剤を含有するリポソーム組成物を教示する。米国特許第5,246,707号は、タンパク質及びポリペプチドのようなトラップされた水溶性生体分子の放出速度を制御するための、リン脂質で被覆された、生物活性材料の微晶性粒子を教示する。米国特許第5,158,760号は、リポソームで被包された、放射性標識されたヘモグロビンなどのタンパク質を教示する。米国特許第5,512,294号及び第6,090,408号及び第6,132,764号(その内容は本明細書に援用される)は、種々の生体適用のための重合リポソームの使用について記載する。1つの記載された態様は、局所治療のために特定の生体部位に治療剤を指向送達するための、治療用化合物(例えばタンパク質、ホルモン又は薬物)に連結させるか又はそれを被包することができる標的化重合リポソームに関するものである。リポソーム組成物について記載する他の出版物には、米国特許第5,663,387号、第5,494,803号及び第5,466,467号が含まれる。タンパク質及び酵素を非共有結合的に固定するための重合脂質含有リポソームは、Storrs et al.の「常磁性重合リポソーム:合成、性質決定及び磁気共鳴撮影への応用」、J.Am.Chem.Soc.(1995)117(28):7301−7306;及びStorrs et al.の「新規再循環MR造影剤としての常磁性重合リポソーム」、JMRI(1995)5(6):719−724に記載されている。Wu et al.の「放射性免疫療法及び撮影に使用するための金属−キレート−デンドリマー抗体構築物」、Bioorganic and Medicinal Chemistry Letters(1994)4(3):449−454は、デンドリマーをベースとした化合物に関する出版物である。
標的部位に十分な濃度を提供して必要な治療効果をもたらすために、治療剤が体内を再循環することの必要性が認識されている。これは、細網内皮組織による急速なエンドサイトーシスの回避、及び腎臓による急速なろ過の回避を意味する。磁気共鳴造影剤を用いた実験は、循環寿命に関する有用な情報を提供している。ジエチレントリアミンペンタ酢酸ガドリニウムのような低分子は、急速な腎排泄のために循環時間が制約される傾向にある。一方、直径が800nmよりも大きい多くのリポソームは、細網内皮組織によりすぐに除去される。こうした問題を解決するための試みには、ジエチレントリアミンペンタ酢酸ガドリニウムで誘導体化したポリ多糖、ポリペプチド及びタンパク質のような高分子材料の使用が含まれる。これらの薬剤は、長い再循環時間及び活性な標的指向を提供するための化学修飾における万能性について一般に証明されていない。
撮影
磁気共鳴撮影(MRI)は、X線とは異なり、電離放射線を伴なわない撮影技術である。MRIは、例えば軸面、冠状面、矢状面又は直交面のような種々のスキャニング面での身体の断面像の作製に用いることができる。MRIは、磁場、高周波エネルギー及び磁場勾配を利用して身体を撮影する。コントラスト又はシグナル強度は、T1(縦軸)及びT2(横軸)緩和値並びに組織中のプロトン密度(一般に遊離水含量に対応する)を主に反映する組織間で異なっている。造影剤の使用により患者のある領域のシグナル強度を変化させるには、いくつかのアプローチが利用できる。例えば、造影剤は、T1、T2又はプロトン密度を変化させるように設計することができる。
一般的に言えば、MRIは造影剤を使用することが必要である。造影剤を使用しないでMRIを行えば、得られる像の中で目的組織を周辺組織と区別することが困難となる。過去には、MRI用常磁性造影剤が主に注目されていた。常磁性造影剤は、不対電子含有材料を含む。不対電子は主要磁場内で小さな磁石として作用し、縦軸(T1)及び横軸(T2)の緩和速度を増加させる。常磁性造影剤は、典型的には、不対電子源を提供する金属イオン、例えば遷移金属イオンを含む。しかしながら、これらの金属イオンは一般に毒性も高い。例えば、フェライトは、経口投与後の吐き気の症状や、膨満及び血清鉄の一時的上昇を引き起こすことが多い。Gd−DTPA中で複合体形成しているガドリニウムイオンは、遊離型で非常に毒性がある。胃での酸性度の上昇(低pH)及び腸でのアルカリ度の上昇(高pH)を含む消化管の種々の環境は、複合体から遊離イオンを脱カップリング及び分離させる機会を増加させるかもしれない。毒性を軽減させるための努力において、金属イオンは典型的にはリガンドとキレートしている。
超音波は、例えば組織微小血管系のような血管系を含む身体の種々の領域を研究するための、もう1つの価値ある診断撮影技術である。超音波は他の診断技術に比べてある利点を提供する。例えば、核医学及びX線を伴う診断技術は、一般に患者を電離放射線に曝露させることを伴う。このような放射線は、デオキシリボ核酸(DNA)、リボ核酸(RNA)及びタンパク質を含む細胞下材料に障害を引き起こし得る。超音波はこのような潜在的に障害を引き起こす放射線を伴なわない。加えて、超音波は、精巧で高価な装置を必要とするCT及びMRIを含む他の診断技術に比べて高価ではない。
超音波は、患者を音波に曝すことを伴う。一般に、音波は、体組織の吸収により消失するか、組織を通過するか、又は組織に反射する。一般に後方散乱又は反射能を意味する音波の組織による反射は、超音波像発生の基礎を形成する。これに関連して、音波は、それぞれの体組織から異なって反射する。この異なる反射は、特定の観察されている組織の構成成分及び密度を含む種々の因子によるものである。超音波は、一般に、1〜10メガヘルツの振動数(MHz)を有する音波を検出できる変換器を用いて、異なって反射した音波を検出することを含む。検出された音波は数値化された像に統合され、数値化された音波は研究されている組織の像に変換されることができる。
上で議論した診断技術のように、超音波も一般に造影剤の使用を含む。典型的な造影剤の例には、例えば、固体粒子懸濁液、乳濁化液滴及びガス充填泡が含まれる。例えばHilmann et al.の米国特許第4,466,442号、並びに公開された国際特許出願WO92/17212及びWO92/21382を参照されたい。Widder et al.の公開出願EP−A−0 324 938号は、熱変性生体適合性タンパク質、例えばアルブミン、ヘモグロビン及びコラーゲンから製造した安定化した微小泡タイプ超音波撮像剤について開示する。
液体−気体界面からの音の反射は、非常に効率的である。したがって、ガス充填泡を含むリポソーム又は小胞は造影剤として有用である。以下でより詳細に議論するように、リポソームの造影剤としての有効性は種々の因子、例えば泡のサイズ及び/又は弾性に依存する。
先行技術に開示される多くのリポソームは、望ましくないことに安定性が低い。したがって、先行技術のリポソームはin vivoでより破裂しやすく、例えばその中に含有する治療剤及び/又は診断剤を早期に放出する。リポソームの安定性を向上させるための試みに関し、種々の研究が行われている。このような研究には、例えばその膜又は壁が、アルブミンのようなタンパク質又は架橋を介して強化されているように見える材料を含むリポソームの製造が含まれる。例えば、生分解性架橋剤と架橋したタンパク質を含むリポソームが開示されている、Klaveness et al.のWO92/17212を参照されたい。医学磁気共鳴学会のカリフォルニアミーティング(1991年、Napa)においてMoseley et al.により発表がなされ、これが「微小泡:新規MR感受性造影剤」と題して要約にまとめられている。Moseley et al.により記載された微小泡は、ヒトアルブミンの殻で被覆された空気を含む。あるいは、膜は、タンパク質ではないが生体適合性化合物と架橋している化合物を含むことができる。例えばKlaveness et al.のWO92/17436、WO93/17718及びWO92/21382を参照されたい。
リポソームの撮像剤は理想的には、手頃な値段の標識基による簡便で効率的な標識手法を用いて製造されるべきであり、標識の遊離放出がなく、in vivoで安定であり、保存にも安定であるべきである。γ−シンチグラフィー、単一光子放射形コンピュータ断層撮影(SPECT)又は陽電子射出断層撮影(PET)のための発展した撮影及び診断様式を主に開発するために、放射性核種のリポソームへの結合について研究されている。リポソームは、キレーター、又はリポソームの水性内部若しくは脂質二重層内の他の好適なアンカー分子への結合により、放射性核種、最も一般的には99m−Tc、111−In及び67−Gaで標識されている。現在、ジステアロイルホスファチジルエタノールアミン(DSPE)のような脂質に結合した2官能性キレーターHYNICを用いた、99m−Tcによる効率のよい標識(>95%)が日常的となっている。
リポソームを標識するための他の技術には、リポソーム内部での単純なエントラップメントが含まれる。エントラップメントは、A23187のようなイオノフォアを用いて起こしてもよく、又はリポソーム形成中に起こしてもよい。リポソーム中にアイソトープを被包するためのA23187の使用例には、インジウム−111標識VesCan(Kubo et al、Eur.J.Nucl.Med(1993)、20(2)、107−113)が含まれる。
エントラップメントは、被包されているアイソトープを含有するリポソームを、被包されていないアイソトープからクロマトグラフィーで精製することを必要とする。親油性キレーターであるジパルミトイルホスファチジルエタノールアミン−DTTAを用いてリポソームの表面をTc99mで標識することが、Ahkong&Tilcock、Nucl.Med.Biol.1992、19:831−840により報告されている。Tilcock文献の不都合な点は、DTTAキレーター、DTPAの誘導体をTc99mで標識するには、遊離及びコロイド状のテクネチウムをリポソーム−Tc99m複合体から分離するためにクロマトグラフィーを必要とするということである。
治療応用のために放射性核種の担体としてリポソームを利用することは、あまり報告されていない。この分野の1つの主なハードルは、療法核種によるリポソームの効率的標識である。1つの戦略が、Hafeli,et al.、Nucl.Med.Biol.(1991)18:449−54に記載されている。Hafeli, et al.では、ゲルろ過カラム上での界面活性剤除去技術により直径70nMのリポソームを作製し、リポソーム形成中に放射性Re複合体をリポソームの二重層中に導入した。これら放射性リポソームの安定性を透析により検査し、8日後に過レニウム酸塩として同定される40%の放射活性の損失が確認された。抗酸化性アスコルビン酸の添加は、損失を20%まで減少させた。Hafeli, et al.は、親油性放射性Re−複合体を有するリポソームは、潜在的にβ−放射線療法に使用できることを示唆している。
他の報告、Utkhede,et al.、J.Liposome Res.(1994)4:1049−1061は、陽イオンイオノフォアA23187を介した90−YのSUV及びPEG−被覆リポソームへのエントラップメントについて記載する。脂質二重層を通る輸送の後、DTPAにより90−Yは小胞内部にキレートされる。40℃では充填は起こらないが、41〜50℃では89.2〜95.9%の充填が起こる。in vivo生体内分布の研究についても、リポソームの治療可能性を評価するための線量測定研究についてもは報告はされていない。
化学療法及び撮影目的に効果的な優先的腫瘍局在を示す種々のリポソームシステムが提示されているが、リポソームが送達した粒子が放出する放射性核種の腫瘍に対する可能な治療効果を調査している研究はほとんど記載されていない。Kosterelos,et al.、J.Liposome Res.(1999)9:407−24は、撮影及び療法のためのリポソームの使用について概説している。報告は、「文献中には治療応用のために放射性核種の担体としてリポソームを利用する単一の研究はない」(厳密には正しくないが)と主張し、更に放射線療法が成功するか失敗するかは決定的に適切な線量測定評価に依存するであろうと示唆している。Kostarelos&Emfietzoglouによるごく最近の理論的出版物Anticancer Res.(2000)20:3339−45では、種々のアイソトープを含有するリポソームについての線量測定の概算は、先に報告されたリポソーム−アイソトープ複合体の生体内分布データから計算された。多重膜リポソーム(MLV)、低分子単層膜リポソーム(SUV)及び立体的に安定化したリポソーム(GM1−被覆及びPEG−被覆)を、放射性核種67−Cu、188−Re及び211−At、90−Y及び131−Iを放出する粒子と組み合わせて試験した。放射性核種にかかわらず、MLVリポソームについては低値が得られた。立体的に安定化した(GM−被覆)リポソームは、SUVよりも容易に筋肉腫瘍組織に取り込まれる。結果として、前者と組み合わせたとき211−At及び188−Reはより高い腫瘍用量を送達する。しかし67−Cu、90−Y及び131−1は後者と組み合わせたときより有効である。Kostarelos&Emfietzoglouは、有効な放射性核種−担体システムを設計するときのリポソームサイズと立体障害の重要性、並びに放射性核種半減期及び腫瘍と正常組織のあいだでリポソーム蓄積比が最大となる時間の最適な整合が考慮すべき重要な事柄であると結論づけている。この理論的報告には、療法のための90Y−リポソーム複合体の使用については記載されていない。
Bard,et al.、Cliya.Exp.Rheumatol.(1985)3:237−42は、ウサギの実験的関節炎の経過において、キレーターリポソーム中のルテチウム−177の関節内注入の効果について研究している。リポソームは、3−コレステリル 6−[N’−イミノビス(エチレンニトリロ)テトラ酢酸]ヘキシルエーテル(Chol−DTTA)を、DSPC及びラジオアイソトープ、51−Cr又は177−Luのいずれかと組み合わせることにより調製した。放射線滑膜切除による慢性関節リウマチの治療は、関節腔からのラジオアイソトープの漏出を防ぐことが困難であるため制限されている。この研究では、リポソームは、種々のβ線放出放射性核種と複合体を形成できる3−コレステリル 6−[N’−イミノビス(エチレンニトリロ)−テトラ酢酸]ヘキシルエーテル(Chol−DTTA)を用いて調製された。先の研究、Bard,et al.、Clin.Exp.Rheumatol.(1983)1:113−7では、51−Crをラジオアイソトープとして用いた。リポソームを、実験的に誘発した関節炎をもつウサギの膝関節腔に注入した。51−Crリポソームでは、99%以上の放射活性が24時間後関節に残留し、93%の放射活性が滑膜(滑膜関節をカバーして滑液を分泌し、関節を滑らかにする膜)と結びついていた。177−Luの場合、報告された放射活性の損失は、47日以上で平均1%以下であり、低放射線はほとんど滑膜炎を起こさず、膝軟骨の障害もない。
Kosterelos,et al.及びBard,et al.の予備的結果は、勇気づけられるものであるが、一般に、治療用放射性核種をリポソームと組み合わせた治療応用は無視されてきた。したがって、種々の応用における治療用放射性核種の送達に好適な安定なリポソームの製造方法の必要性は残されている。更に、治療用放射性核種を送達するための標的指向剤を含有する安定なリポソームの製造方法の必要性が残されている。更に、標的指向剤及び撮像剤並びに治療用アイソトープを含有する安定なリポソームの製造方法に関し、必要性がある。
発明の概要
本発明は、キレーター、標的指向物質、及び検出用物質又は治療用物質を含む脂質構築物を提供する。脂質構築物は、ホスファチジルコリン誘導体を含む脂質を含んでいてもよい。脂質構築物は、コレステロールのような更なる成分又はポリエチレングリコールのような安定化剤を含むこともできる。好ましい態様において、治療用物質は、Y−90、Bi−213、At−211、Cu−67、Sc−47、Ga−67、Rh−105、Pr−142、Nd−147、Pm−151、Sm−153、Ho−166、Gd−159、Tb−161、Eu−152、Er−171、Re−186及びRe−188のような放射性核種である。治療剤は、脂質構築物の表面に結合しても脂質構築物内に被包されていてもよい。
好ましい態様において、キレーターは、1,2−ジミリストイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミドトリアミンテトラ酢酸(BisM−PE−DTPA4)Y−90、又はN,N−ビス[[[[(13’,15’−ペンタコサジイナミド−3,6−ドキサオクチル)カルバモイル]メチル](カルボキシメチル)アミノ]エチル]グリシン([PDA−PEG3]−DTTA3)、ジエチレントリアミンペンタ酢酸の誘導体、又はエチルアミンジアミンテトラ酢酸の誘導体、及び1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−N,N’,N’’,N’’’−テトラ酢酸(DOTA)の誘導体のようなキレート脂質の一部である。
ある態様において、キレート脂質は、1,2−ビス(10,12−トリコサジイノイル)−sn−グリセロ−3−ホスホコリン、あるいは重合性脂質が[PDA−PEG3]−DTTA3である請求項17又は18に記載の脂質構築物のようなジアセチレン脂質又は重合性脂質を含有する。
本発明は、更にカルボキシル、ホスフェート、ホスホネート、サルフェート、スルホネート又はスルフィネートのようなイオン化性基を含むキレート脂質を含有する脂質構築物を提供する。イオン化性基は、アイソトープ又は2価以上の金属と結合可能な表面をつくる。そしてイオン化性基は、アイソトープ又は3価以上の金属と結合可能な表面をつくる。
脂質構築物の標的指向物質は、低分子リガンド及びタンパク質を含んでいてもよく、ある態様では脂質構築物を細胞表面に指向させる。他の態様では、標的指向物質は、前記脂質のカルボキシル頭部基、脂質のマレイミド基、脂質のアセトアミドのα−メチル基、又はアミン、シアノ、カルボン酸、イソチオシアネート、チオール、ジスルフィド、α−ハロカルボニル、α,β−不飽和カルボニル若しくはアルキルヒドラジンのような他の共有結合手段と結合している。
ある態様において、検出用物質は、Tc−99m、In−111、Ga−67、Rh−105、Nd−147、Pm−151、Sm−153、Gd−159、Tb−161、Er−171、Re−186、Re−188又はTl−201のような放射性核種である。
他の態様において、標的指向物質は、脂質構築物と、ビオチン−アビジン ビオチン化抗体サンドイッチのような非共有結合手段により結合している。
ある態様において、標的指向物質は、P−セレクチン、E−セレクチン、プレイオトロピン、Gタンパク質共役受容体、エンドシアリン、エンドグリン、VEGF受容体、PDGF受容体、EGF受容体、マトリックスメタロプロテアーゼ及び前立腺特異的膜抗原(PSMA)から成る群より選択される標的を有する抗体のような抗体である。
他の態様において、標的指向物質は、ビタキシン又はLM609のような血管標的を有する。
他の態様において、標的指向物質は、抗VCAM−1抗体、抗ICAM−1抗体又は抗インテグリン抗体である。
他の態様において、標的指向物質は、腫瘍細胞標的を有する標的指向物質をもつ。
本発明は、脂質構築物を含む治療剤も提供する。前記脂質構築物はキレート脂質、標的指向物質及び治療用物質を含む。ここで、治療用物質はキレート脂質と前記脂質構築物の表面で結合している。治療剤は、Y−90、Bi−213、At−211、Cu−67、Sc−47、Ga−67、Rh−105、Pr−142、Nd−147、Pm−151、Sm−153、Ho−166、Gd−159、Tb−161、Eu−152、Er−171、Re−186又はRe−188のような放射性金属イオンを含む金属イオン、放射線滑膜切除剤である治療用物質を含んでいてもよい。
本発明は、脂質構築物を含む撮像剤も提供する。脂質構築物は、キレート脂質、標的指向物質及び検出用物質を含む。ここで、検出用物質はキレート脂質と前記脂質構築物の表面で結合している。撮像剤は、Tc−99m、In−111、Ga−67、Rh−105、Nd−147、Pm−151、Sm−153、Gd−159、Tb−161、Er−171、Re−186、Re−188及びTl−201のような放射性金属イオンを含む金属イオンである撮像用物質を含んでいてもよい。
本発明は、キレート脂質を含むリポソームを調製し、このリポソームを、Y−90、Bi−213、At−211、Cu−67、Sc−47、Ga−67、Rh−105、Pr−142、Nd−147、Pm−151、Sm−153、Ho−166、Gd−159、Tb−161、Eu−152、Er−171、Re−186及びRe−188(第I群の金属イオン)、Tc−99m、In−111、Ga−67、Rh−105、I−123、Nd−147、Pm−151、Sm−153、Gd−159、Tb−161、Er−171、Re−186、Re−188及びTl−201(第II群の金属イオン)を含む放射性金属イオンを含む金属イオンと接触させることを包含する、脂質構築物の製造方法も提供する。
この方法は、リポソームを第2金属イオンと接触させることを更に含んでいてもよい。第1金属イオンが第I群の金属イオンであり、第2金属イオンが第II群の金属イオンである方法を含む。2つの金属イオンは同一混合物中に存在してもよい。この方法は、未結合金属イオンを除去することを更に含んでいてもよい。
本発明は、それを必要とする患者に撮像剤を投与し、患者を撮影することを含む患者の撮影方法も提供する。前記撮像剤は脂質構築物を含み、前記脂質構築物はキレート脂質及び検出用物質を含む。撮影は、磁気共鳴撮影又は核シンチグラフィーを含んでいてもよい。
本発明は、それを必要とする患者に十分量の治療剤を投与することを含む患者の治療方法を更に提供する。前記治療剤は脂質構築物を含み、前記脂質構築物はキレート脂質及び治療用物質を含む。ある態様において、患者は慢性関節リウマチに罹患している。
本発明は、キレート脂質、標的指向物質、検出用物質及び治療用物質を含む治療及び撮影に有用な脂質構築物も提供する。ここで、前記検出用物質及び治療用物質は、前記キレート脂質と前記脂質構築物の表面で結合している。ある態様において、治療用物質は上記第I群の金属イオンのなかの金属イオンであり、検出用物質は上記第II群の金属イオンのなかの金属イオンである。
好ましい態様の詳細な説明
本発明は、脂質キレーター、標的指向物質、並びに治療用物質及び/又は検出用物質を含む脂質構築物に係るものである。
また、本発明は、本発明の脂質構築物の製造方法に係るものである。更に、本発明は、1つ以上の化学的に異なる脂質を含有する脂質構築物に係るものである。また、本発明は、本発明の脂質構築物を含む治療剤に係るものである。更に、本発明は、本発明の治療剤を、それを必要とする患者に投与する方法に係るものである。更に、本発明は、疾患の治療に係るものである。ここで、疾患に関わる血管系は標的化治療剤により治療されるか又は標的とされることができる。好適な標的はICAM、VCAM、インテグリン、P−セレクチン、E−セレクチン、プレイオトロピン、エンドシアリン、エンドグリン、VEGF受容体、PDGF受容体、EGF受容体、マトリックスメタロプロテアーゼ、Gタンパク質共役受容体及び前立腺特異的膜抗原(PSMA)である。更に、本発明は、がん、動脈硬化、慢性関節リウマチ及び骨粗鬆症の治療に係るものでもある。
また、本発明は、本発明の脂質構築物を含む撮像剤、本発明の撮像剤を患者に投与し、患者を撮影することを含む患者の撮影方法に係るものである。また、本発明は、治療にも撮影にも使用できる薬剤に係るものである。更に、本発明は、本発明の脂質構築物を用いた診断のための方法及び試薬に係るものである。
本明細書で用いる脂質構築物は、脂質、リン脂質、又は種々の異なる構造配列を含むそれらの誘導体を含有する構造である。この脂質は、水性懸濁液に採用されることが知られている。これらの構造には、限定されるものではないが、脂質二重層小胞、ミセル、リポソーム、エマルジョン、脂質リボン又はシートが含まれ、医薬的に許容可能であることが知られている種々の薬物及び成分を組み合わせることができる。好ましい態様において、脂質構築物はリポソームである。脂質構築物中の通常の追加成分には、とりわけコレステロール及びα−トコフェロールが含まれる。脂質構築物は、単独で用いてもよく、当業者が特定の適用に望ましい特性を提供すると理解するであろう組み合わせで用いてもよい。更に、脂質構築物及びリポソーム形成の技術的側面は、当該技術分野に周知であり、当該分野に通常用いられるいかなる方法も本発明に用いることができる。
リポソーム
本明細書で用いるように、脂質とは、水中で自然に組織化された構造を採用させる、両親媒性を発揮する物質を意味する。ここで、分子の疎水性部は水相から隔離されている。本発明の意味における脂質は、脂肪又は脂肪材料と同様の特性を有する物質である。原則として、このタイプの分子は、広範囲の無極性領域を有し、多くの場合、水溶性の極性親水性基、いわゆる頭部基も有する。リン脂質は細胞膜の主要構成成分である脂質である。典型的なリン脂質親水性基には、ホスファチジルコリン部分及びホスファチジルエタノールアミン部分が含まれ、一方、典型的な疎水性基には、ジアセチレンを含む種々の飽和及び不飽和脂肪酸部分が含まれる。水中のリン脂質混合物はリン脂質分子を自然に組織化し、用いる条件により種々の特徴的相にする。これらには二重層構造が含まれ、リン脂質の親水性基は二重層の外部で水と相互作用し、一方、疎水性基は二重層内部の隣接分子の同様の基と相互作用する。このような二重層構造は非常に安定であり、細胞膜の重要な基礎を形成することができる。本明細書で用いる脂質二重層小胞は、極性部(親水性)及び非極性部(親油性)を有する個々の分子から主に形成される、閉鎖性の液体が充填された微視的スフェアを意味する。親水性部は、ホスフェート、グリセリオホスフェート(glyceryophosphate)、カルボキシ、サルフェート、アミノ、ヒドロキシ、コリン及び他の極性基、並びにそれらの誘導体を含んでいてよい。非極性基の例としては、アルキル、アルケニル若しくは他の脂質基のような飽和又は不飽和炭化水素が挙げられる。ステロール(例えばコレステロール)及び他の医薬的に許容可能な成分(α−トコフェロールのような抗酸化物質を含む)を、小胞の安定性を向上させるか又は他の所望の特性を付与するために含んでいてもよい。更に、リガンド、疑似ペプチド、ペプチド又は他の合成分子のような標的指向剤が結合する脂質を、標的指向脂質又は更なる化学的に異なる脂質を有する脂質の混合物を製造することにより、リポソーム中に組み込んでもよい。1つ以上の標的指向脂質を、他の化学的に異なる脂質と混合してもよい。
二重層構造は、小胞又はリポソームと呼ばれる閉鎖性の球状殻様構造を形成することもできる。本発明に採用するリポソームは、種々の慣用リポソーム調製技術のいずれかを用いて製造することができる。当業者に容易に理解されるように、こうした慣用技術には、超音波処理、キレート透析、均質化処理、押し出しと組み合わせた溶媒注入、凍結融解押し出し、ミクロ乳化、及びその他が含まれる。これらの技術及びその他は、例えば、米国特許第4,728,578号、英国特許出願G.B.2193095A、米国特許第4,728,575号、米国特許第4,737,323号、国際出願PCT/US85/01161、Mayer et al.,Biochimica et Biophysica Acta,Vol.858,pp.161−168(1986)、Hope et al.,Biochimica et Biophysica Acta,Vol.812,pp.55−65(1985)、米国特許第4,533,254号、Mahew et al.,Methods In Enzymology,Vol.149,pp.64−77(1987)、Mahew et al.,Biochimica et Biophysica Acta,Vol.75,pp.169−174(1984)、及びCheng et al.,Investigative Radiology,Vol.22,pp.47−55(1987)、及び1989年10月27日に出願された米国特許出願第428,339号に議論されている。上記特許、出版物及び特許出願のそれぞれ開示内容は、本明細書にその全体が援用される。国際出願PCT/US85/01161又は1989年10月27日に出願された米国特許出願第428,339号に記載されるのと同様の無溶媒系は、リポソーム構築物の製造に用いることができる。これらの手順に従うことにより、ガス状前駆体又は固体若しくは液体のコントラスト増強剤をその中に被包させたリポソームを製造することができる。
本発明のリポソームの製造に利用することができる材料には、リポソーム構築物に公的であることが当業者に知られている材料又はその組み合わせが含まれる。用いる脂質は、天然由来でも合成でもよい。このような材料には、限定されるものではないが、コレステロール、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジン酸、ホスファチジルイノシトール、リゾ脂質、脂肪酸、スフィンゴミエリン、グリコスフィンゴ脂質、グルコ脂質、糖脂質、サルファチドのような脂質、アミド、エーテル及びエステル結合脂肪酸を有する脂質、重合性脂質、並びにそれらの組み合わせが含まれる。更に、本発明は、カルボキシル基、ホスフェート基、ホスホネート基、サルフェート基、スルホネート基及びスルフィネート基を含有する脂質誘導体を含む。当業者が認識するように、組み込んだ糖脂質、複合体炭水化物、タンパク質若しくは合成ポリマーの非存在下又は存在下で、慣用手法を用いてリポソームを合成してもよい。リポソーム表面は、当業者に容易に明らかな手順を用いて、ポリマー、例えばポリエチレングリコール(PEG)のようなもので修飾してもよい。脂質は、金属に付着するために官能表面基を含有してもよい。これは、治療用物質として作用するラジオアイソトープ又は他の材料をキレート化する。脂質又は脂質の組み合わせ、及び脂質マトリックスに組み込まれた結合した材料が生理的に適切な条件下で二重層を形成することを唯一の条件として、いかなる種の脂質を用いてもよい。当業者が認識するように、リポソームの組成を、得られるリポソームの生体内分布及びクリアランス特性を調節するために改変してもよい。
本発明は、本発明の脂質構築物の製造方法にも関するものである。混合脂質組成を有するリポソームを製造する場合、脂質は、確実に脂質混合物を均質なものとするために、先ず有機溶媒、例えばクロロホルム又はクロロホルム:メタノール混合物に溶解して混合してもよい。典型的な脂質溶液は、10〜20mg脂質/ml有機溶媒で調製されるが、脂質の溶解性及び混合が許容されれば、より高濃度で使用してもよい。一旦脂質を有機溶媒中で完全に混合したら、ヒュームフード中の乾性窒素若しくはアルゴン蒸気又はロータリーエバポレーションのいずれかを用いて溶媒を除去し、脂質フィルムを得る。続いてバイアル又はフラスコを真空ポンプ内に一晩置いて残留有機溶媒を除去する。あるいは、脂質を、凍結又は凍結乾燥できる溶媒中に溶解してもよい。脂質溶液を容器に移し、例えば容器をドライアイスの固まりの上に置くか又はドライアイス−アセトン若しくはドライアイス−アルコール(エタノール若しくはメタノール)浴中で容器を回転させることにより凍結させる。完全に凍結させた後、凍結した脂質ケークを真空ポンプ内に置き、乾燥するまで、典型的には容量により1〜3日間凍結乾燥させる。
乾燥脂質フィルムの水和は、水性溶媒を乾燥脂質の容器に加えて攪拌することにより簡便に達成される。水和溶媒の温度は、乾燥脂質に添加前の最も高いTをもつ脂質のゲル−液晶転移温度(T又はT)よりも高温であるべきである。水和溶媒は、通常、脂質小胞の適用により決定される。好適な水和溶媒には、蒸留水、バッファー液、生理食塩水、及び糖液のような非電解質が含まれる。in vivo適用には、生理的モル浸透圧濃度(290mOsm/kg)が推奨される。これらの条件を満たす、一般に許容される溶液は、0.9%生理食塩水、5%デキストロース及び10%ショ糖である。水和産物は、水層で分離されたそれぞれの脂質二重層をもつタマネギに類似した構造の、大きな多重膜小胞(LMV)である。脂質層間の間隔は、静電反発力に基づいて分離する、高度に荷電した層よりも共に近接した多水和層をもつ組成により決定される。一旦安定な水和MLV懸濁液が産生されれば、粒子を超音波処理、押し出し、又は高剪断均質化を含む種々の技術により、小型化することができる。
1つの態様において、本発明は、脂質混合物を調製し、この脂質混合物から脂質構築物を調製し、そしてこの脂質構築物を硬化させることを含む、脂質構築物の製造方法に係るものである。脂質構築物の調製は、所望の脂質構築物の調製に好適な技術を意味することができる。例えば水和の際に行う凍結/融解手法は、多重膜小胞を産生することが知られている。特定の大きさ範囲の粒子を作製するために押し出しを用いてもよい。本発明において、押し出しは小型化の好ましい方法である。本明細書で定義されるように、硬化とは、脂質構築物を、脂質構築物の安定性を向上させるのに有効な時間、脂質構築物の安定性を向上させるのに有効な温度まで加熱することを意味する。1つの対応において、硬化は、約80〜90℃で約16〜18時間加熱することを含む。硬化は、タンパク質及び塩の存在下で、小胞にある種の安定性を提供する。反復凍結融解サイクル又は逆相エバポレーション法によりMLVを調製してもよい(Liposome Technology、Volume I、「リポソームの製造及び関連技術」、G.Gregoriadis(編集)、CRC Press、Boca Raton、1993を参照されたい)。10以下の炭素原子から成る脂質尾部を用いてミセルを調製してもよく、これらの尾部は、アルキン、アルケン又はアルカンを含有していてもよい。リポソームが重合性脂質により調製される更なる態様において、リポソームを重合リポソームに転換してもよい。
小胞の大きさは、例えば診断用途及び/又は治療用途を含む、意図する特定の最終的な使用に応じて調製することができる。血管−標的化治療剤の全体的な大きさは、薬剤が所望の特性(例えば循環寿命、多価性)を維持するのに十分な大きさを保持する限り、病理部位の透過性(「漏出性」)血管系を介した粒子の最適な通過に適合させることができる。したがって、粒子はミセルであることができ、望ましくは30、50、100、150、200、250、300又は350nmの大きさであることができる粒子でもよい。更に、粒子の大きさは、透過性血管系を通過できない大きさの粒子を最初に投与し、次に透過性血管系を通過できる大きさの1つ以上の粒子を更に投与するように選択することができる。小胞の大きさは、好ましくは直径約1ナノメートル(nm)〜約400nmの範囲でよく、その中の範囲の全ての組合せ及びサブコンビネーションであることができる。より好ましくは、小胞の直径は約1nm〜約500nmであり、更に好ましくは、直径約40mn〜約120nmである。特定の使用、例えば血管系の磁気共鳴撮影を含む血管内使用に関連して、小胞は直径約500nm以下であるべきであり、より小さな小胞は直径約60〜80nmよりも大きくないことが好ましい。これらのより小さな小胞が微小血管系のような細い血管を灌流でき、同時に赤血球細胞が小胞を通り過ぎていくのを容認するのに十分な余地又は空間を血管内に提供することが意図される。
MLV又はUVのいずれとしてであっても、リポソームは、動物及びヒトにおける薬物送達用ビヒクルとして利用価値があることが証明されている。小さな親水性の分子及びポリペプチドを含む活性薬物は、リポソームの水性コア内にトラップされることができ、一方疎水性物質はリポソーム膜内に溶解させることができる。DNA又はRNAのような他の分子は、遺伝子治療応用のためのリポソームの外部に結合させることができる。リポソーム構造は、容易に注射することができ、徐放性及び特定の細胞タイプ又は身体の部分への薬物送達の基礎を形成することができる。MLVは、主に比較的大きいために、通常急速に細網内皮組織(肝臓及び脾臓)に取り込まれる。本発明は、典型的には、循環系に何時間も保持され、標的細胞によるエンドサイトーシスを介した内部移行後に分解される小胞を利用する。本発明はまた、標的部位に結合し、内部移行することなく治療剤を所望の部位に送達する小胞を利用してもよい。この場合、治療剤は、周囲細胞及び細胞層に照射するラジオアイソトープでもよい。治療剤はまた、本発明が所望部位に結合しているあいだに放出される薬物又はプロドラッグでもよい。こうした要件のために、製剤は、好ましくは平均直径200nm以下、より好ましくは100nm以下、更に好ましくは約60〜80nmのUVを利用する。
好ましい態様において、本発明のリポソームは、卵又はダイズのホスファチジルコリン及びコレステロールを含む。他の好ましい態様において、リポソームはポリエチレングリコールのような安定化剤を含む。
本発明の脂質構築物はキレーターも含むものである。好ましい態様において、キレーターはキレート脂質の部分である。本明細書で用いるように、キレート脂質は、キレーターが、脂質構築物を構成する脂質に化学的に結合しているものである。好ましい態様において、キレート脂質は1,2−ジミリストイル−sn−グリセロ−3−ホスフォエタノールアミドトリアミンテトラ酢酸(BisM−PE−DTPA4)である。この名称は、アミド結合によりDTPAに結合するホスフォエタノールアミン脂質誘導体を含有するテトラ酢酸を意味する一般名である。ここで、DTPAは、有機分子ジエチレントリアミンペンタ酢酸である。本発明の更なる態様は、DTPA又はDOTAのような被包されたキレーターを含有する脂質構築物を含む。
本発明の脂質構築物は、場合により重合性脂質を含んでいてもよく、これは、重合したリポソームである脂質構築物をもたらす。いくつかの好ましい重合性脂質は、N,N−ビス[[[[(13’,15’−ペンタコサジイナミド−3,6−ドキサオクチル)カルバモイル]メチル](カルボキシメチル)アミノ]エチル]グリシン(JACS 1995、117(28)、7301−7306中の化合物8a)及び1,2−ビス(10,12−トリコサジイノイル)−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(BisT−PC)として記載される[PDA−PEG3]−DTTA3である。
本発明は、本発明の脂質構築物内に被包された、例えば、薬物若しくは他の治療剤、又は撮像剤のような化合物を更に含む、本発明の脂質構築物をも意図するものである。このような物質の被包化方法は、先行技術において周知である。被包されていてもよい薬剤には、本明細書中で議論される放射性核種が含まれる。放射性核種は、被包されたDOTA、DTPA、又はそれに結合するキレーターを有する被包された高分子によりリポソーム内部にキレート化されるであろう。他の被包化方法は、2002年5月30日に出願した、標的化多価高分子と題する共に係属中の米国特許出願第10/158,777号に記載されるような、ドキソルビシンを被包化するために用いた塩勾配の使用と類似する。一般に、被包された塩を含有する脂質構築物の溶液に放射性核種を添加することが可能である。ここで、バルク溶液の塩濃度はこの濃度よりも非常に低い。この濃度差を用いて、リポソーム内部の放射性核種−塩複合体の沈殿によりリポソームに充填することができる。塩の例としては、ホスフェート、サルフェート、サルファイト、ホスホネート、カーボネートでよい。ポリ陰イオン性ポリマー又はイオノフォアを被包して、適切な勾配を生じさせてもよい。
治療用物質
「治療用物質」という用語は、処置される被験者において治療効果を有する分子、分子集合体又は高分子を意味する。ここで、処置される被験者は動物であり、好ましくは哺乳動物であり、より好ましくはヒトである。「治療効果」という用語は、疾患状態を逆転させ、疾患状態を停止させ、疾患状態の進行を遅延させ、疾患状態を改善し、疾患状態の症状を緩和させるか、又は処置される被験者に対し他の有益な結果を有する効果を意味する。治療用物質には、限定されるものではないが、ドキソルビシン及び他の化学療法剤のような薬物;リシンのような毒素;ラジオアイソトープ;並びにプロドラッグ(体内に不活性型で取り込まれin situで活性な薬物)が含まれる。治療用物質として有用なラジオアイソトープはKairemo,et al.、Acta Oncol.35:343−55(1996)に記載されており、また、Y−90、I−123、I−125、I−131、Bi−213、At−211、Cu−67、Sc−47、Ga−67、Rh−105、Pr−142、Nd−147、Pm−151、Sm−153、Ho−166、Gd−159、Tb−161、Eu−152、Er−171、Re−186及びRe−188が含まれる。治療用物質又は処置用物質は、共有結合手段又は非共有結合手段により脂質構築物に結合することができる。本明細書に用いるように、結合手段は共有結合性又は非共有結合性相互作用によりリポソームに結合している。
本発明は、本発明の脂質構築物を含む治療用物質にも係るものである。好ましい態様において、治療剤は放射性核種である。本明細書で用いるように、治療用放射性核種は、毒性量の放射エネルギーを隣接細胞に付与するのに十分なエネルギー転移を伴う自然転換(崩壊)を受ける核種である。逆に、診断に有用な放射性核種は、最小限の細胞障害で組織を貫通可能な放射線を放出する。このような放射線は、好適なシンチグラフ撮影装置を用いて検出することができる。本発明の治療用放射性核種には、限定されるものではないが、Y−90、I−123、I−125、I−131、Bi−213、At−211、Cu−67、Sc−47、Ga−67、Rh−105、Pr−142、Nd−147、Pm−151、Sm−153、Ho−166、Gd−159、Tb−161、Eu−152、Er−171、Re−186及びRe−188が含まれる。本発明の診断用又は撮影用核種には、限定されるものではないが、Tc−99m、In−111、Ga−67、Rh−105、I−123、Nd−147、Pm−151、Sm−153、Gd−159、Tb−161、Er−171、Re−186、Re−188及びTI−201が含まれる。
好ましい態様において、治療用放射性核種は、非共有結合手段により脂質構築物に結合している。特に好ましい態様において、治療用放射性核種はキレート脂質に結合している。他の特に好ましい態様において、イットリウム−90が治療用放射性核種であり、上記定義のように1,2−ジミリストイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミドトリアミン テトラ酢酸がキレート脂質である。好ましい他のキレート脂質は、ジエチレントリアミンテトラ酢酸及びジエチレントリアミントリ酢酸、エチルアミンジアミンテトラ酢酸の誘導体、並びに1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−N,N’,N’’,N’’’−テトラ酢酸(DOTA)の誘導体を含むジエチレントリアミンペンタ酢酸の脂質誘導体である。更に、カルボキシル(例えばニトリロトリ酢酸、イミノジ酢酸など)、ホスフェート、ホスホネート、サルフェート、スルホネート及びスルフィネートを含む、イオン化性基を含有する他の脂質も好ましい。他の好ましい態様において、単一イオン化性基を含有する脂質は、+2価以上の原子価を有するアイソトープ又は金属に結合可能な表面を生ずるために自己集合してもよい。他の好ましい態様において、2つのイオン化性基を含有する脂質は、+3価以上の原子価を有するアイソトープ又は金属に結合可能な表面を生ずるために自己集合してもよい。これらいずれの態様においても、単一金属イオンが2以上の脂質頭部基に結合することができる。本発明に使用するのに好適な更なるキレーターには、Liu及びEdwards、「治療用ランタニド放射性医薬品のための2官能性キレーター」、Bioconj.Chem.12:7−34(2001)に開示されるものが含まれる。
本発明は、本発明のリポソームの製造方法も提供する。好ましい態様において、この方法は、本発明のリポソームの製造、標的指向剤の付着、及びアイソトープの主にリポソーム表面へのキレート化を含む。本発明の方法は、標的指向剤をリポソームに付着させること並びに標的指向剤及び治療用アイソトープをともに含有するリポソームを作製することにより先行技術の欠点を克服する。治療用アイソトープは、未結合アイソトープを除去することを必要とせず、高効率で標的指向剤−リポソーム結合体へ付着させることができる。更に、本発明の治療用アイソトープは、温度限界を使用することなく、例えば室温で本発明のリポソームへ付着させることができる。得られる標的指向剤−リポソーム−アイソトープ複合体は、血清の存在下、in vitoで標的に結合する。その際、標的指向剤はその標的に結合し、アイソトープは適切な検出法及び装置を用いることにより検出される。
本発明は、治療用物質及び撮像用物質を含む脂質構築物にも係るものである。撮像剤又は診断剤は、以下の「撮影」及び「診断」のセクションに詳細に記載されている。好ましい態様において、治療用物質は治療用放射性核種であり、撮像用物質は撮像用放射性核種である。特に好ましい態様において、治療用アイソトープはイットリウム−90であり、撮像用アイソトープはインジウム−111又はテクネチウムアイソトープである。この態様において、脂質構築物は、治療用アイソトープ及び撮像用アイソトープを同一混合物中に供給し、脂質構築物含有混合物を接触させることにより製造することができる。本発明は、更に、標的指向剤、担体、及び被包された治療用又は撮影用アイソトープから成る治療用物質又は撮像剤に係るものである。
標的指向物質
「標的指向物質」という用語は、生体標的に特異的に結合する、分子、高分子又は分子集合体を意味する。標的指向物質の由来は天然でも合成でも半合成でもよい。標的指向物質の例としては、限定されるものではないが、抗体(抗体フラグメント、並びに抗体由来のFab、F(ab’)、Fv及びscFvのような特異的結合を保持する他の抗体由来分子を含む);ホルモン又は受容体に特異的に結合する他の分子のような受容体−結合リガンド;細胞機能に影響し、免疫応答、炎症反応又は造血反応に関わる細胞間の相互作用を調節するポリペプチドであるサイトカイン;酵素インヒビターのような酵素に結合する分子;核酸リガンド又はアプタマー、並びにビオチン又はイミノビオチン及びアビジン又はストレプトアビジンのような特異的結合相互作用の1つ以上のメンバーが挙げられる。本発明の1つの態様において、好ましい標的指向物質は、血管細胞上に見いだされる受容体又は抗原に特異的に結合する分子である。より好ましいのは、新生血管系の細胞上に見いだされる受容体、抗原若しくはマーカー、又は腫瘍血管系に関わる受容体、抗原若しくはマーカーに特異的に結合する分子である。腫瘍血管系に関わる受容体、抗原又はマーカーは、腫瘍を貫通するか若しくは腫瘍内に位置する血管、又は腫瘍の内縁若しくは外縁に限局した血管の細胞上に発現することができる。1つの態様において、本発明は、以前から存在するか又は誘導された腫瘍血管床からの漏出を利用する;この態様において、腫瘍細胞抗原は、循環系から腫瘍間質体積中へ通過する薬剤に直接標的とされることができる。
他の標的指向物質は、体液を介して接近可能な内皮受容体、組織若しくは他の標的、又は体液に隣接するか体液中にある組織若しくは細胞内で上方制御される受容体若しくは他の標的を標的とする。例えば、眼に薬物を送達するように設計された担体に付着した標的指向物質は、硝子体、脈絡膜又は強膜に注射することができ;関節に薬物を送達するように設計された担体に付着した標的指向剤は滑液に注射することができる。
本発明の他の態様において、好ましい標的指向物質は、悪性B細胞、又はウイルス感染の結果として抗原を発現する細胞のような、血管系内を循環する細胞上の受容体、抗原又はマーカーに特異的に結合する分子である。
本発明のリポソームに付着した標的指向物質には、限定されるものではないが、炭水化物のような低分子リガンド、及び米国特許第5,792,783号に開示されるような化合物(低分子リガンドは、本明細書中、分子量約1000ダルトン以下の有機分子として定義され、血管標的又は血管細胞マーカーのリガンドとして作用する)、2002年5月30日に出願した、標的化多価高分子と題する共に係属する米国特許出願第10/159,596号に記載されるインテグリン−結合分子のようなもの;抗体及び増殖因子のようなタンパク質;RGD−含有ペプチド(例えば米国特許第5,866,540号に記載されるもの)、ボンベシン又はガストリン放出ペプチド、米国特許第5,403,484号に記載されるようなファージディスプレイ技術により選択されるペプチド、及び腫瘍−発現受容体に相補的であるように新規に設計されたペプチド、のようなペプチド;抗原決定基;あるいは他の受容体標的指向群が含まれる。これらの頭部基を用いて、リポソームの生体内分布、非特異的接着及び血液プール循環寿命を調節することができる。例えば、β−D−ラクトースは、循環血液プールに接触している肝細胞に見られるアシアログリコプロテイン(ASG)を標的とするために表面に付着されている。
ある態様において、標的指向物質は、RGDペプチド(上記参照)、又は3−{4−[2−(3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イルアミノ)−エチルオキシ]−ベンゾイルアミノ}−2(S)−ベンゼン−スルフォニル−アミノプロピオン酸などのRGD疑似ペプチドのようなインテグリン特異的分子である。
特に、本発明は、1つ以上の3−{4−[2−(3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イルアミノ)−エチルオキシ]−ベンゾイルアミノ}−2(S)−ベンゼン−スルフォニル−アミノプロピオン酸部分を含む高分子を提供する。ある態様において、標的指向物質は、化合物AG1433又はSU1498のようなチロシンキナーゼ特異的分子である。
他の態様において、標的指向物質は、P−セレクチン、E−セレクチン、プレイオトロピン、Gタンパク質共役受容体、エンドシアリン、エンドグリン、VEGF受容体、PDGF受容体、EGF受容体、FGF受容体、MMP2及びMMP9を含むマトリックスメタロプロテアーゼ、並びに前立腺特異的膜抗原(PSMA)から成る群より選択される標的を有する。
標的指向物質として用いるために、糖脂質を誘導体化することができる。例えば、市販の脂質(DAGPE)又はペンタコサジイン酸(pentadicosanoic acid)誘導体N−(8’−アミノ−3’,6’−ジオキサオクチル)−10,12−ペンタコサジイナミド(PEG−PDAアミン)をそのイソシアネートに変換し、トリエチレンジアミンスペーサー1,8−ジアミノ−3,6−ジオキサオクタンで処理して、アミン末端化チオカルバメート脂質を産生し、これを炭水化物リガンドのパライソチオシアノフェニルグリコシドで処理して所望の標的指向糖脂質を産生する。この合成により、リポソームの内部構造又はコアを形成する脂質と細胞表面受容体に結合するリガンドとのあいだに間隔をおき、リガンドを細胞表面のタンパク質受容体に容易に接近させる水溶性柔軟性スペーサー分子を生ずる。炭水化物リガンドは、その多くは市販され、また、化学的又は酵素学的方法を用いて容易に構築される、還元糖又はパラ−ニトロフェニルグリコシドのようなグリコシドから誘導体化することができる。炭水化物リガンドで被覆されたリポソームは、上記のように、適正量の個々の脂質を混合し、続いて超音波処理、押し出し、重合性脂質を用いる場合は重合、及びろ過することにより、産生することができる。好適な炭水化物を誘導体化したリポソームは、約1〜約30モル%のPDA、DAPC、DAPEのような標的指向糖脂質及び充填脂質、又は他のホスホコリンベース脂質を有し、そのバランスは金属−キレート化脂質又は金属キレート脂質である。リポソーム形成を請け負い、高コントラスト及び再循環を提供するための他の脂質がリポソーム中に含まれていてもよい。
ある態様において、標的指向物質はリポソームを細胞表面に標的指向させる。治療剤又は撮像剤の送達は、リポソームのエンドサイトーシスを介して生ずることができる。このような送達は当該技術分野に公知である。例えばMastrobattista,et al.、抗腫瘍薬の標的送達のための免疫リポソーム、Adv.Drug Del.Rev.(1999)40:103−27を参照されたい。
好ましい態様において、標的指向物質は、脂質上のカルボキシル頭部基に付着している。他の好ましい態様において、標的指向物質は、マレイミド又はアセトアミドのαメチル基に付着している。1つの態様において、付着は共有結合手段による。他の態様において、付着は非共有結合手段による。例えば、抗体標的指向物質は、市販のビオチン化抗体を被覆されたリポソーム上で使用させるためのビオチン−アビジン ビオチン化抗体サンドイッチにより付着することができる。標的指向剤を付着させるための他の脂質頭部基には、アミン、シアノ、カルボン酸、イソチオシアネート、チオール、ジスルフィド、α−ハロカルボニル化合物、α,β−不飽和カルボニル化合物及びアルキルヒドラジンが含まれる。これらの基は、所望の細胞表面分子へ特異的標的指向させ且つ付着させるために、抗体、リガンド、タンパク質、ペプチド、炭水化物、ビタミン、核酸又はそれらの組合せのような標的指向物質を付着させること、並びに薬物又はラジオアイソトープのような治療用物質を付着させることに用いることができる。
他の頭部基は、例えば抗体、疑似ペプチドのような治療用物質を付着していてもよく、重合リポソーム粒子が付着する特定の生体分子又はその近傍の生体部位と相互作用するためのホルモン及び薬物を有していてもよい。本発明に用いる特定の血管系標的指向剤には、(限定されるものではないが)抗VCAM−1抗体(VCAM=血管細胞接着分子);抗ICAM−1抗体(ICAM=細胞接着分子);抗インテグリン抗体(例えば、国際特許出願WO89/05155及びCheresh et al.J.Biol.Chem.262:17703−11(1987)に記載されるLM609並びに国際特許出願WO98/33919及びWu et al.、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 95(11):6037−42(1998)に記載されるビタキシンのようなαβインテグリンに対する抗体;並びにP−及びE−セレクチン、プレイオトロピン及びエンドシアリン、エンドグリン、VEGF受容体、PDGF受容体、EGF受容体、マトリックスメタロプロテアーゼ、Gタンパク質共役受容体、並びに前立腺特異的膜抗原(PSMA)に対する抗体が含まれる。
本発明の1つの態様において、血管−標的化治療剤は、腫瘍細胞に直接標的化した薬剤と組み合わされる。この態様は、腫瘍周囲の新生血管系は高度に透過性又は「漏出性」であり、血流から腫瘍周囲の間質腔へ直接物質を通過させることが多いという事実を利用する。あるいは、血管−標的化治療剤自体が腫瘍血管系に透過性を誘導できる。例えば、薬剤が放射性治療用物質を有する場合、血管組織への結合及びこの組織への照射により、血管内皮の細胞死が続いて起こり、血管系の統合が弱まるであろう。
好ましい態様において、本発明は、インテグリン標的化剤及び90Y治療用物質を含む血管標的化治療剤を提供する。
したがって、1つの態様において、血管−標的化治療剤は、2つの標的指向物質:血管マーカーを指向する標的指向物質、及び腫瘍細胞マーカーを指向する標的指向物質を有する。他の態様において、抗がん剤は、血管−標的化療法剤とともに投与される。抗がん剤は、血管−標的化療法剤と同時に、又は血管−標的化療法剤の投与に続いて投与することができる。特に、血管−標的化療法剤が腫瘍領域の血管統合性を弱めることに依拠する場合、抗がん剤の投与は、好ましくは腫瘍血管系への最大ダメージとなる時点で行われる。
抗がん剤は、シスプラチンのような慣用の抗腫瘍療法、抗−Her2/neu抗体(例えばヘルセプチン)のような腫瘍マーカーに対する抗体、又は血管−標的化治療剤について本明細書に記載したような、しかし血管系よりは腫瘍細胞を標的とする三部剤、であることができる。種々の腫瘍マーカーに対するモノクローナル抗体の概要は、本明細書にその全体が援用される米国特許第6,093,399号の表Iに与えられている。一般に、血管−標的化療法剤が腫瘍領域の血管統合性を弱める場合、腫瘍細胞に直接作用する薬物の有効性を増強させることができる。
本発明の主な焦点は血管−標的化薬剤にあるが、原則として、標的化薬剤は、他の体液、体組織、及び体腔、例えば滑液、眼からの分泌液又は髄液に存在するマーカー上に集中するように設計することができる。したがって、例えば抗体−リポソーム−ラジオアイソトープ剤を髄液に投与することができ、その際、抗体は髄液から接近可能な病理部位を標的とする。薬剤は、リンパ系へ投与するために皮下に注射してもよい。
治療用組成物
本発明はまた、本発明の治療剤を含む治療用組成物に係るものである。本発明の組成物は、医薬的に許容可能な賦形剤、アジュバント、及び/又は担体のような他の成分を含むこともできる。例えば、本発明の組成物は、処置される動物が許容できる賦形剤中で製剤化することができる。このような賦形剤の例としては、水、生理食塩水、リンガー液、デキストロース溶液、マンニトール、ハンクス液及び他の水性の生理的平衡塩溶液が挙げられる。固定油、ゴマ油、オレイン酸エチル、又はトリグリセリドのような非水性ビヒクルを使用してもよい。他の有用な製剤には、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ソルビトール又はデキストランのような増粘剤を含有する懸濁液が含まれる。賦形剤は、等張性や化学的安定性を増強させる物質のような少量の添加剤を含有することもできる。バッファーの例としては、リン酸塩バッファー、重炭酸塩バッファー、トリスバッファー、ヒスチジン、クエン酸塩及びグリシン、又はそれらの混合物が挙げられる。一方、防腐剤の例としては、チメロサール、m−又はo−クレゾール、ホルマリン及びベンジルアルコールが挙げられる。標準製剤は、液体注射剤、又は懸濁液若しくは注射溶液として好適な液体に取ることができる固体のいずれかであることができる。したがって、非液性製剤において、賦形剤はデキストロース、ヒト血清アルブミン、保存剤などを含むことができ、これに、滅菌水又は生理食塩水を投与前に添加できる。
本発明の1つの態様において、組成物は、アジュバント又は担体のような免疫強化物質を含むことができる。アジュバントは、典型的には、特異的抗原への動物の免疫応答を一般に増強させる物質である。好適なアジュバントには、限定されるものではないが、フロイントアジュバント;他の細菌細胞壁成分;アルミニウム−ベース塩;カルシウム−ベース塩;シリカ;ポリヌクレオチド;トキソイド;血清タンパク質;ウイルスコートタンパク質;他の細菌由来調製物;γ−インターフェロン;ハンターのタイターマックスアジュバント(Vaxcel.TM.,Inc.Norcross,Ga.)のようなブロックコポリマーアジュバント;リビアジュバント(Ribi ImmunoChem Research,Inc.、Hamilton、Mont.から入手可能);及びサポニン、並びにQuil A(Superfos Biosector A/S、デンマークから入手可能)のようなそれらの誘導体が含まれる。担体は、典型的には、処置される動物における治療用組成物の半減期を増加させる化合物である。好適な担体には、限定されるものではないが、重合放出制御製剤、生分解性インプラント、リポソーム、細菌、ウイルス、油、エステル、及びグリコールが含まれる。
本発明の1つの態様は、本発明の組成物を動物へ徐々に放出することが可能な放出制御製剤である。本明細書で用いるように、放出制御製剤は、放出制御ビヒクル中に本発明の組成物を含む。好適な放出制御ビヒクルには、限定されるものではないが、生体適合性ポリマー、他のポリマーマトリックス、カプセル、マイクロカプセル、マイクロ粒子、ボーラス製剤、浸透圧ポンプ、核酸装置、リポソーム、リポスフェア、及び経皮送達システムが含まれる。本発明の他の放出制御製剤には、動物に投与するとin situで固体又はゲルを形成する液体が含まれる。好ましい放出制御製剤は生分解性(即ち生体分解性)である。
一般に、本発明に用いる治療剤は、動物に有効量で投与される。一般に、有効量とは、(1)治療しようとする疾患の症状を軽減させるか、又は(2)治療しようとする疾患の治療に関連する薬理学的変化を誘導するのに有効な量である。固形腫瘍、白血病、リンパ腫、及び関連転移性病巣を含むがこれらに限定されないがんについては、有効量は:腫瘍の大きさの減少;腫瘍の増殖遅延;転移の予防若しくは阻害;又は罹患動物の延命に有効な量を含む。
治療剤の治療的有効量は、所望の抗腫瘍効果を生じさせるのに十分な量又は用量であることができ、がんの状態、タイプ及び位置、患者の大きさ及び状態、並びに当業者に容易に知られる他の因子に部分的に依存することができる。用量は、単回用量として、又は例えば数週間のコースわたって分割される複数回用量として与えることができる。
本発明はまた、本発明の治療用組成物を用いた治療方法に関するものである。この方法は、治療剤を、そのような投与を必要とする被験者に投与することを含む。
本発明の治療剤は、例えば非経口投与、局部投与、経口投与、又は注射若しくはエアロゾルによる皮内投与のような局所投与を含む好適な手段により投与することができる。本発明の好ましい態様において、薬剤は注射により投与される。このような注射は、いずれの罹患領域にも局所投与することができる。治療用組成物は、投与方法により種々の単位剤形で投与することができる。例えば、動物の経口投与に好適な単位剤形には、粉末剤、錠剤、丸剤及びカプセルが含まれる。本発明の治療用組成物のための好ましい送達方法には、例えば注射又は局部投与による静脈内投与及び局所投与が含まれる。送達の特定の様式のために、本発明の治療用組成物を、本発明の賦形剤中に製剤化することができる。本発明の治療用試薬は、動物、好ましくは哺乳動物、より好ましくヒトに投与することができる。
特定の投与様式は、治療すべき状態に依存するであろう。本発明の薬剤の投与は、体液、又は体液を通して接近可能な標的若しくは組織を介することが意図される。
本発明の細胞表面標的化治療剤の好ましい投与経路は、静脈又はリンパ系に投与することを含む、静脈内注射、腹腔内注射、又は皮下注射である。本発明の主な焦点は血管標的化剤にあるが、原則として、標的化剤は、他の体液、体組織、及び体腔、例えば滑液、眼からの分泌液、又は髄液に存在するマーカーに集中するように設計することができる。したがって、例えば薬剤を髄液に投与することができ、その際、抗体は、髄液から接近可能な病理部位を標的とする。クモ膜下送達、即ち、脊髄及び脳が浸っている脳脊髄液への投与は、例えば、脳脊髄液(CSF)−血液関門の脈絡叢内皮に存在している標的の場合に適切であるかもしれない。
体液を介した投与の処置経路の1例として、治療すべき疾患が慢性関節リウマチである場合がある。本発明のこの態様において、本発明は、慢性関節リウマチに悩む人々の炎症性滑膜を治療するための治療剤を提供する。このタイプの治療剤は、放射線滑膜切除剤である。慢性関節リウマチを有する個体は、可動関節又は滑膜関節の破壊を経験し、これは実質的な痛みと身体的障害の原因となる。この疾患は、多くの患者の場合、手(中手指関節)、肘、手首、足首及び肩に関与し、半数以上は膝関節に影響するであろう。治療をしなければ、関節裏層にはますます炎症が起こり、痛み、動作の低下及び関節軟骨の破壊をもたらす。化学療法、外科的療法及び放射線療法が、炎症性滑膜を攻撃し、破壊し又は除去するために使用されているが、これらにはすべて欠点がある。
放射線滑膜切除剤の濃度は特定の使用により変化するが、満足のいく放射線滑膜切除を提供するのに十分な量が存在する。例えば、股関節部の放射線滑膜切除における薬剤濃度は、手関節の放射線滑膜切除に用いる場合よりも一般に高いであろう。放射線滑膜切除用組成物は、好ましくはアイソトープの20半減期のあいだ実質的に関節に残留するように投与されるが、放射性核種の漏出が小さく、漏出した放射性核種が急速に体内から浄化される限り、より短い滞留時間も許容される。
放射線滑膜切除用組成物は、そのような手順に関し、通常の方法で用いることができる。例えば、膝関節の治療の場合、適切な放射線滑膜切除を提供するために十分な量の放射線滑膜切除用組成物が膝関節に注入される。使用できるさまざまな技術が数多くあり、適切な技術は治療される関節により変化する。膝関節に関する例は、例えばNuclear Medicine Therapy、J.C.Harbert、J.S.Robertson及びK.D.Reid、1987、Thieme Medical Publishers、第172〜3頁に見いだすことができる。
滑液を介した投与経路は、変形性関節症の治療にも有用であるかもしれない。変形性関節症は、軟骨破壊により激痛がもたらされ、影響された関節が使用不能となる疾患である。加齢は唯一の最も強力な危険因子であるが、大きな外傷及び反復的な関節の使用は更なる危険因子である。この疾患の主要な特徴には、関節の菲薄化、軟骨の軟化、軟骨潰瘍、及び消耗骨が含まれる。炎症を軽減させ、破壊酵素を阻害し、そして痛みを小さくするために、滑液に標的化された担体を注射することによる薬剤の送達は、本発明のこの態様に予見されている。
他の投与経路は、眼からの分泌液を介するものである。眼において、網膜は、眼の奥の内壁に並ぶ光感受性組織の薄い層である。眼に光が入ると、角膜とレンズにより網膜上に焦点が合わされる。次に、網膜は、光像を電気刺激に変換し、この刺激は視神経を通して脳に送られる。
黄斑は、中心視及び色覚に応答性の、網膜の非常に小さな領域である。黄斑は、我々が読書し、運転し、細かな作業を行うことを可能にする。黄斑の周囲は、側視及び暗視に応答性の網膜周囲である。黄斑の変性は、黄斑、下層組織又は隣接組織の障害又は破壊である。黄斑の変性は、視力減退並びに読書及び細かな「近接」視野の障害の主要な原因である。加齢黄斑変性(ARMD)は、老人の法的盲の最も普通の原因である。
黄斑変性の最も一般的な形態は、「乾性」又は退行性黄斑変性と呼ばれ、黄斑領域の網膜の下にある血管の菲薄化及び他の構造的又は栄養的組織から生ずる。より重篤な形態は、「湿潤性」又は滲出性黄斑変性と呼ばれる。この形態では、脈絡膜層(網膜下にあり網膜に栄養を供給する層)の血管は、2つの組織間の薄い保護層に滲出する。これらの血管は、急速で制御できない様式で、網膜直下で異常に増殖することができ、毛細血管出血、出血、又は黄斑において最終的な瘢痕組織形成がもたらされ、中心視の重篤な欠失となる。この工程は、脈絡膜血管新生(CNV)と呼ばれる。
CNVは予後の悪い状態であり;熱レーザー光凝固術を用いた有効な治療は、病変検出及びその結果の境界のマッピングに依拠している。障害血管からの滲出を検出するために血管造影が用いられるが、血管が大きく、不明確な病巣を有し、網膜の下へ突き出る着色された上皮に結合できるため、CNVは従来の血管造影図により示されるものよりも大きいことが多い。
血管新生は、血管新生緑内障、眼のヒストプラスマ症候群、近視、糖尿病、翼状片、並びに感染症及び炎症性疾患を含む他の眼病において、視力喪失をもたらす。ヒストプラスマ症候群では、眼の奥の内側裏層の脈絡膜層において一連の事象が生じ、脈絡膜の限局した炎症、及び関与する網膜の機能損失及び盲点(暗点)の生成と共に、結果として起こる瘢痕化をもたらす。脈絡膜層では、正常血管よりも非常にもろい新性血管の産生が惹起される場合がある。それらは、更なる瘢痕化、及び重なっている網膜の機能の欠失と共に出血する傾向がある。糖尿病性網膜症は、脈絡膜血管よりも網膜血管に関与し、出血、不規則血管、及び白っぽい浸出液をもたらす。網膜の血管新生は、最も重得な形態で生ずるかもしれない。眼の血管系を標的とする場合、標的は血管系のいずれの側面に存在していてもよいことが認識されるべきである。
本発明の薬剤の眼組織への送達は、静脈内、眼及び局所を含む多くの形態をとることができる。眼の局所投与に関し、本発明の薬剤は、水性懸濁化点眼液、粘性点眼液、ジェル、水溶液、エマルジョン、軟膏などのような水性点眼液の形態で調製することができる。そのような製剤の調製に好適な添加剤は、当業者に公知である。眼の徐放送達システムの場合、徐放送達システムは、眼瞼下に置くか又は結膜、強膜、網膜、視神経鞘に注射するか、又は眼内若しくは眼窩内の部位に注射することができる。薬剤の眼への硝子体内送達も意図される。そのような硝子体内送達法は当業者に公知である。送達には、Averyの米国特許第6,251,090号に記載されているような装置を介した送達が含まれていてもよい。
更なる態様において、本発明の治療剤は遺伝子治療に有用である。本明細書で用いるように、「遺伝子治療」という用語は、遺伝性若しくは後天性の疾患若しくは状態を治療又は予防するために、目的の遺伝物質(例えばDNA又はRNA)を宿主へ移入させることを意味する。目的の遺伝物質は、in vivoでの産生が所望される産物(例えばタンパク質、ポリぺプチド、ペプチド又は機能性RNA)をコードする。例えば、目的の遺伝物質は、治療的価値のあるホルモン、受容体、酵素又は(ポリ)ペプチドをコードすることができる。特定の態様において、本発明は、本明細書にその全体が援用されるHughes,et al.の米国特許第6,169,078号に記載されるような、核酸と複合体を形成できる非ウイルス遺伝子治療での使用に脂質分子のクラスを利用する。その際、ジスルフィドリンカーが、脂質の極性頭部基と親油性尾部基とのあいだに提供される。
本発明のこれらの治療用組成物は、DNAと有効に複合体を形成し、異種DNAで形質転換された細胞の細胞内空間への細胞膜を通したDNAの移入を容易にする。更に、これらの脂質分子は、細胞室内で異種DNAの放出を容易にし、それにより、ヒト又は動物における遺伝子治療のあいだに遺伝子トランスフェクションを増加させる。
陽イオン性脂質−ポリ陰イオン性高分子集合体は、さまざまな当該技術分野に公知の方法により形成することができる。代表的な方法は、Felgner et al.、前掲;Eppstein et al.前掲;Behr et al.前掲;Bangham,A.et al.M.Mol.Biol.23:238、1965;Olson,F.et al.Biochim.Biophys.Acta 557:9,1979;Szoka,F.et al.Proc.Natl.Acad.Sci.75:4194、1978;Mayhew,E.et al.Biochim.Biophys.Acta 775:169、1984;Kim,S.et al.Biochim.Biophys.Acta 728:339、1983;及びFukunaga,M.et al.Endocrinol.115:757、1984に開示されている。一般に、(1)陽イオン性脂質、又は(2)共脂質と混合した陽イオン性脂質のいずれかから成る脂質粒子を調製し、約室温(約18〜26℃)でポリ陰イオン性高分子を脂質粒子へ添加することにより、集合体が形成されてもよい。一般に、保護基の脱保護が促されないような条件が選択される。1つの態様において、混合物は次に約10分〜約20時間にわたって集合体を形成させる。最も慣用されるのは約15〜60分である。特定の脂質タイプには、他の期間も適切であるかもしれない。複合体はより長い期間にわたり形成されてもよいが、トランスフェクション効率の更なる増強は、通常、より長い期間の複合体形成によっては得られないであろう。
本発明の化合物及び方法は、例えばポリヌクレオチドのような所望の分子を、標的細胞へ細胞内送達するために用いることができる。所望のポリヌクレオチドは、DNA若しくはRNA又はそれらの類似体で構成されることができる。本発明を用いて送達される所望のポリヌクレオチドは、調節機能を有するヌクレオチド、例えばプロモーター配列、又はポリペプチドをコードするヌクレオチドのような、さまざまな機能又は活性を提供するヌクレオチド配列で構成されることができる。所望のポリヌクレオチドは、細胞内で、他のヌクレオチド配列に対するアンチセンスであるヌクレオチド配列を提供することもできる。例えば、細胞内で翻訳される場合、所望のポリヌクレオチドは、細胞内で、他のヌクレオチド配列に対するアンチセンスである配列を有するポリヌクレオチドを提供することができる。アンチセンス配列は、細胞内のセンス鎖配列にハイブリダイズすることができる。アンチセンス配列を提供するポリヌクレオチドは、通常の技術を有するものによって容易に調製することができる。細胞内に送達される所望のポリヌクレオチドは、細胞内の2重鎖DNAと3重複合体を形成可能なヌクレオチド配列を含むこともできる。
慢性関節リウマチを有する個体は、可動関節又は滑膜関節の破壊を経験し、これは実質的な痛みと身体的障害の原因となる。この疾患は、多くの患者の場合、手(中手指関節)、肘、手首、足首及び肩に関与し、半数以上は膝関節に影響するであろう。治療をしなければ、関節裏層にはますます炎症が起こり、痛み、動作の低下及び関節軟骨の破壊をもたらす。化学療法、外科的療法及び放射線療法が、炎症性滑膜を攻撃し、破壊し又は除去するために使用されているが、これらにはすべて欠点がある。本発明の更なる態様において、本発明は、慢性関節リウマチに苦しむ人々の炎症した滑液を治療するための治療剤を提供する。このタイプの治療剤は、放射線滑膜切除剤である。放射線滑膜切除剤の濃度は、特定の使用により変化するが、満足のいく放射線滑膜切除を提供するのに十分な量が存在する。例えば、股関節部の放射線滑膜切除における薬剤濃度は、手首関節の放射線滑膜切除に用いる場合よりも一般に高いであろう。放射線滑膜切除用組成物は、好ましくはアイソトープの20半減期のあいだ実質的に関節に残留するように投与されるが、放射性核種の漏出が小さく、漏出した放射性核種が急速に体内から浄化される限り、より短い滞留時間も許容される。
放射線滑膜切除用組成物は、そのような手順に関し、通常の方法に用いることができる。例えば、膝関節の治療の場合、適切な放射線滑膜切除を提供するのに十分量の放射線滑膜切除用組成物が膝関節に注射される。使用できるさまざまな技術が数多くあり、適切な技術は治療される関節により変化する。膝関節の例は、例えばNuclear Medicine Therapy、J.C.Harbert、J.S.Robertson及びK.D.Reid、1987、Thieme Medical Publishers、第172〜3頁に見いだすことができる。
撮影
本発明は、医療診断において重要な特性を示す撮像剤に係るものである。より詳細には、本発明は、ガドリニウム、超音波撮像剤、又はTc−99m、In−111、Ga−67、Rh−105、I−123、Nd−147、Pm−151、Sm−153、Gd−159、Tb−161、Er−171、Re−186、Re−188、及びTl−201のような核撮像剤などの磁気共鳴撮影造影剤に係るものである。
本発明の撮像剤は、一般に患者の撮影、及び/又は特に患者の疾患組織の存在の診断に有用である。撮影工程は、本発明の撮像剤を患者へ投与し、次に超音波又は磁気共鳴撮影を用いて患者をスキャンし、患者の内部領域及び/又はその領域内の疾患組織の視覚画像を得ることにより行うことができる。患者の領域により、それは患者全体、又は患者の特定領域若しくは部分を意味する。イメージング造影剤は、血管系、心臓、肝臓、及び脾臓の画像を提供するために、及び胃腸領域又は他の体腔の撮影に、又は組織の特徴付け、血液プール撮影などのような当業者に容易に理解されるような他の方法に用いることができる。本発明の実施にはさまざまなタイプの超音波又は磁気共鳴撮影装置のいずれを用いることもでき、装置の特定タイプ又は様式は本発明には重大ではない。
診断
本発明の標的指向剤−結合脂質構築物は、磁気共鳴撮影又は核シンチグラフィーのような撮影方法による検出に十分なシグナル増強を提供するために、特定体組織に結合する特定分子並びに特定体性機能及び病理に結合する特定分子のin vitro及びin vivo標的指向を達成する。さまざまな疾患又は進行に関連した分子のそのようなin vivo撮影は、疾患の悪化に対するこれら分子の関係、進行の時間経過、及び薬理学的介入に対する応答に従うことを容認する。個々の動物におけるこれらの応答の特徴付けは、標的の発現及び退行が疾患の結果に関連するために確認できるため、介入の評価を単純化する。診断ツールとして、本技術は疾患を初期に検出し、それによりより有効な処置を可能にする。本発明の脂質構築物は、療法処置のための、撮影と薬物の送達の組合せに好適である。in vivoで特定部位へ送達するために、さまざまな薬剤を被包させるか又はリポソーム表面に付着させることができる。本発明の標的−特異的薬物/リポソームを用いることにより、薬物送達を磁気共鳴撮影により同時に可視化することができる。
1つの態様において、特定受容体に標的指向させるためにモノクローナル抗体を付着させた部位特異的リポソームは、インテグリン、VEGF受容体、PDGF受容体、マトリックスメタロプロテアーゼ、セレクチン、PSMA、エンドシアリン、Gタンパク質共役受容体、及びエンドグリンを含む細胞表面マーカーを用いて、固形腫瘍、炎症、慢性関節リウマチ、及び骨粗鬆症に関連した異常病理を可視化させるために用いることができる。
本発明は、診断目的の方法及び試薬を更に提供する。本発明により意図される診断アッセイは、限定されるものではないが、受容体−結合アッセイ、抗体アッセイ、免疫組織化学アッセイ、フローサイトメトリーアッセイ、ゲノミクス及び核酸検出アッセイを含む。ハイスループットスクリーニングアレイ及びアッセイも意図される。
本発明は、in vitroアッセイのためのさまざまな方法を提供する。例えば抗体−結合リポソームは、本発明によれば、溶液中の特定抗原に対する超感受性診断アッセイを提供する。分光学的に異なるイオンにキレートしたキレーター頭部基を有する本発明のリポソームは、タンパク質−タンパク質相互作用、リガンド−タンパク質相互作用、薬物−タンパク質相互作用、核酸−タンパク質相互作用、及び核酸−核酸相互作用を伴うアッセイに高感受性を提供する。蛍光体頭部基を有する本発明のリポソームは、細胞表面上の糖タンパク質を検出するための方法を提供する。
1つの態様において、本発明は、療法と撮影の両方に用いることができる薬剤を提供する。この2重機能薬剤は、1つの態様において、脂質構築物、治療剤及び撮像剤を含む。2重機能薬剤は標的指向剤を含んでいてもよい。
本発明は、複数の本発明のリポソームを、異常病理と接触している液体中の異常病理に関与する分子に導入し、標的指向リポソームを異常病理に関与する分子に付着させ、異常病理に関与する分子に付着したリポソームをin vitroで検出することを含む異常病理のin vitroアッセイ法を更に提供する。
本発明を例示するために以下の特定の実施例を詳細に説明するが、いかなる場合にも本発明を限定するものと解釈すべきでない。
A. PC/Chol/BisM−PE−DTPA4リポソームの製造
卵由来のホスファチジルコリン(PC、Avanti、232mg)、コレステロール(Chol、Avanti、50mg)、及び1,2−ジミリストイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミドトリアミン テトラ酢酸(Avanti、25mg)をクロロホルムに溶解し、溶媒をロータリーエバポレーションで除去した。混合物を水(10mL)で水和し、0.5M NaOH(87μl)を添加して、凍結融解サイクルを5回行った。その際、混合物をドライアイス/アセトン浴中で繰り返し凍結させ、およそ65℃で融解させた。溶液を、95℃に加熱した、30nmポリカーボネートフィルターを含有する熱障壁押し出し機(Lipex Biomembranes Inc.)に通過させ、Brookhaven Instruments ZetaPalsパーティクルサイザーを用いた動的光散乱による測定で60nmの大きさのリポソームを含有する透明溶液を得た。
B. PC/Chol/BisM−PE−DTPA4リポソームへの抗体の付着
エチルジメチルアミノプロピルカルボジイミド(EDC)を、ヒト化IgG(250μg/mL)を含有するする50mMホウ酸バッファー、pH8中のPC/Chol/BisM−PE−DTPA4リポソーム(10mg/mL)溶液に添加した。EDCの最終濃度は5 mMであった。溶液を室温で18時間インキュベートし、5mMクエン酸ナトリウムと100〜200mM塩化ナトリウムとを含有する50mMヒスチジンバッファー、pH7.4で平衡化したセファロースCL−4B樹脂(ファルマシア)含有カラムにかけた。ELISAで画分を解析したところ、リポソーム上にIgGが存在し、IgG−リポソーム結合体と未結合IgGが分離していた。得られた抗体−リポソーム結合体の純度を図1に示す。この図において、抗体−リポソーム結合体は、ELISAでの解析によると画分2〜6に存在する。同じカラム上で、未結合抗体もELISAにより検出されたが、画分7〜12(データは示していない)に溶出する。この調製物において、未結合抗体は検出されなかった。
C. 抗体−リポソーム結合体への 90 Yの付着
5mMクエン酸ナトリウムを含有する50mMヒスチジンバッファー中の100μLの抗体−リポソーム結合体(0.1〜50mg/mL)に、50mMクエン酸ナトリウム中のおよそ100〜250μCiのイットリウム−90塩化物(Dupont NEN又はNordion)を加え、ボルテックスミキサーで混合し、室温で30分間インキュベートした。次いで、100μLの90Y−小胞複合体を100k MWCO NANOSEP(商標)(Pall Filtron)フィルターに加えることにより、リポソームへの90Y結合%を測定した。フィルター集合体を、マイクロ遠心機で、4000rpm、1時間、又は全ての溶液がフィルターを通過するまで遠心をした。集合体中の「全90Y」は、Capintec CRC−15R線量計で測定する。集合体のろ液部分は取り除いて廃棄する。線量計を用いて、フィルターを通過した「未結合90Y」を含有する集合体の残留部分を計測する。「全90Y」から「未結合90Y」を引くことにより、「結合90Y」を決定する。「結合90Y」を「全90Y」で割り、100を掛けることにより、90Y結合%を計算する。脂質ベースDTPAキレーターについての90Y結合は、95%以上である。
D. ジアセチレン脂質を用いた抗体−リポソーム−イットリウム−90結合体の製造
実施例1Aに記載される脂質の代わりに1,2−ビス(10,12−トリコサジイノイル)−sn−グリセロ−3−ホスホコリン及びキレート脂質[PDA−PEG3]−DTTA3(図3)又は[TDA−PEG3]−DTTA3(図5)又はBisT−PE−DTTA4(図5)を用いることができる以外は、実施例1Aに記載されるようにジアセチレン脂質含有リポソームを製造する。抗体又はペプチド又は疑似ペプチドを実施例1Bに記載されるように付着させ、実施例1Cに記載されるようにイットリウム−90又はインジウム−111を付着させることができる。
ヒトαβインテグリン特異的抗体を実施例1Bの方法により付着させ、実施例1Cび方法を用いてイットリウム−90を付着させた。3成分複合体に特異的なαβインテグリンによるラジオイムノアッセイを用いて、in vitroで標的化を証明した。簡潔に言えば、αβインテグリン(Chemicon International,Inc.)でコーティングした96穴プレートを、BSAでブロッキングした。0〜100μg/mLの抗αβインテグリン抗体−リポソーム−イットリウム90複合体を含有するウサギ血清のサンプルを加え、室温で1時間インキュベートした。PBSTバッファーでプレートを3回洗浄し、Microbetaシンチレーションカウンター(Wallac)を用いてイットリウム90を測定した。検量線を図2に示す。
スクシニル化脂質含有重合小胞の製造、並びに抗体及びイットリウム−90の付着
1,2−ビス(10,12−トリコサジイノイル)−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(Avanti 870016、400mg、0.44mmol)及び1,2−ジパルミトイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミン−N−スクシネート(Avanti 870225、19mg、0.02mmol)を、クロロホルムに溶解し、溶媒をロータリーエバポレーションで除去した。混合物を水(8.3mL)で水和し、0.5M NaOH(100μl)を添加して、凍結融解サイクルを5回行った。その際、混合物をドライアイス/アセトン浴中で繰り返し凍結させ、およそ65℃で融解させた。溶液を、95℃に加熱した、30nmポリカーボネートフィルターを含有する熱障壁押し出し機(Lipex Biomembranes Inc.)に通過させ、Brookhaven Instruments ZetaPalsパーティクルサイザイーを用いた動的光散乱による測定で68nmの大きさの小胞を含有する透明溶液を得た。溶液の一部を90℃で一晩加熱した。1×15cmの丸底プラスチック皿に溶液を入れ、小型ランプを用いてUV光に12.5℃で3時間照らした。得られた小胞は、動的光散乱解析による測定で65nmであった。実施例1に記載されるように、およそ110μCiのイットリウム−90を0.1mgの脂質小胞に添加することにより、イットリウム結合を測定した。結合は80%であった。複合体の安定性を評価するために、小胞−90Y複合体を1mM DTPAの存在下で30分間インキュベートした。金属結合は70%であった。比較として、1,2−ビス(10,12−トリコサジイノイル)−sn−グリセロ−3−ホスホコリンのみを含有する対照小胞は、同一条件下でイットリウム−90に結合しない。
ウサギ血清中でのビタキシン−リポソーム− 90 Y結合体の安定性
卵PC由来のV2−リポソームは、卵ホスファチジルコリン(PC)、1,2−ジミリストイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミドトリアミン テトラ酢酸(BisM−PE−DTTA4)及びコレステロール(65/5/30モル%)で構成されるリポソーム上に存在するカルボキシル基に共有結合的にカップリングした、抗αβインテグリン抗体ビタキシン、又は1,2−ビス(10,12−トリコサジイノイル)−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(BisT−PC)及びジエチレントリアミントリ酢酸−ジアセチレン脂質誘導体(化合物8a、Journal of the American Chemistry Society、1995、pp7301−7306)から調製された非UV放射リポソーム上のカルボキシル基にカップリングしたビタキシンから成る。簡潔に言えば、V2−リポソームをイットリウム−90で標識し、ウサギ血清中で1、30、60及び180分間、37℃でインキュベートした。各時点でサンプルを取り出し、サンプル添加前にヒトαβインテグリンでコーティングし、BSAでブロッキングした96穴プレートに添加した。室温で1時間のインキュベーション後、プレートをPBSTバッファーで3回洗浄し、Wallac MicroBetaリーダーでイットリウムシグナルを検出した。結果を図3に示す。ビタキシンのないリポソームは、このアッセイで有意なシグナルを生じない。
抗体−リポソーム結合体の投与
処置のために選択されたウサギを、ウサギ拘束器で固定し、辺縁の耳静脈を介した試験サンプルの静脈内投与のために耳をアルコール(70%イソプロピル)で準備した。試験品を投与し易いように、22ゲージカテーテルを用いた。抗体−リポソーム−結合体含有試験サンプル又は90Yで標識されたこの結合体を含有する試験サンプルを、滅菌シリンジ中に適切に取り出し、細い針(22〜24ゲージ)を用いて注射した。0.2 cc/秒以下の速度で静脈注射を実施した。送達時、出血を最小限にするためにガーゼを押し当てた。生体分布データを図6に示す。
インテグリン−標的指向脂質及び硫酸アンモニウムを含有するインテグリン−標的指向リポソームの製造
RGD疑似ペプチド脂質は、共有結合的に付着した式3−{4−[2−(3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イルアミノ)−エチルオキシ]ベンゾイルアミノ}−2(S)−ベンゼン−スルホニル−アミノプロピオン酸を有する3つのインテグリン−結合低分子をもつ脂質である。RGD疑似ペプチド脂質は以下の構造を有する。
Figure 2005519861
RGD疑似ペプチドの製造は、2002年5月30日に出願した、標的化多価高分子と題する、普通に所有された共に継続中の米国特許出願第10/158,777号記載されている。
1,2−ビス(10,12−トリコサジイノイル)−sn−グリセロ−3−ホスホコリン(BisT−PC)(500mg、546.9μモル、95モル%)を、清潔な100ml丸底フラスコ中に秤量した。キレーター脂質[PDA−PEG3]DTTA(3.15ml、31.5mg、23μモル、4モル%)及びRGD疑似ペプチド脂質(1.54ml、15.4mg、5.74μモル、1モル%)をガラスシリンジでフラスコに添加した。ロータリーエバポレーションでクロロホルムを除去した。65℃の水浴中でフラスコを回転させながら、脂質フィルムを20mlの250mM硫酸アンモニウム及び190μlの0.5N NaOHで水和した。押し出し直前に、100mlフラスコ中で脂質懸濁液を短時間超音波処理し、凝集物の大きさを小さくし、次に押し出し機に移した。脂質懸濁液を、連続的に孔径の小さくなる一連のポリカーボネート(PC)膜を通して押し出した。90℃に維持した10mlの熱障壁押し出し機に2枚の重ねた膜を適合させ、脂質懸濁液を、300〜600p.s.i.のアルゴンを用いて100nmの膜、次に50nmの膜、最後に30nmの膜を通して押し出した。小胞を透析カセットに移し、10%ショ糖(2×1800ml、4時間)に対して透析した。動的光散乱により測定した大きさはおよそ60nmであった。
90 Yの疑似ペプチド−小胞複合体への付着
キレーター脂質[PDA−PEG3]DTTAを含有する疑似ペプチド−小胞複合体を、以下の手順により、5mMクエン酸塩、pH7.4を含有する50mMヒスチジンバッファー中の90Yで標識する。50mM HCl(NEN Life Science Products)中のイットリウム−90塩化物を希釈して、20mCi/mLを含有する希釈標準溶液とした。およそ100μLのインテグリン−標的化小胞(0.1〜50mg/mL)に、およそ100〜250μCiのイットリウム−90塩化物(NEN Life Science Products)を添加し、ボルテックスミキサーで混合し、室温で30分間インキュベートした。次いで、100μLの90Y−小胞複合体を100k MWCO Nanosep(商標)(Pall Filtron)フィルターに添加することにより、治療用小胞に対する90Y結合%を測定した。フィルター集合体を、マイクロ遠心機で、4000rpmで1時間、又は全ての溶液がフィルターを通過するまで遠心した。集合体中の「全90Y」を、Capintec CRC−15R線量計で測定した。集合体のろ液部分を取り出して廃棄した。線量計を用いて、フィルターを通過した「未結合90Y」を含有する集合体の残留部分を計測した。「全90Y」から「未結合90Y」を引くことにより、「結合90Y」を決定した。「結合90Y」を「全90Y」で割り、100を掛けることにより、90Y結合%を決定した。
マウスメラノーマモデルにおける 90 Y−疑似ペプチド−小胞複合体の抗腫瘍有効性の研究
先に記載されるように(X.Li,et al.Invasion Metastasis 1998,18,1−14)、腫瘍細胞の皮下注射により、K1735−M2 マウスメラノーマモデルを作製した。動物にプラセボ又は治療剤を単回静注し、腫瘍サイズが4倍になるまで腫瘍容積を測定した。腫瘍を以下のようにしてマウスに誘発した:およそ1×10のK1735 M2メラノーマ細胞を皮下注射することにより、腫瘍を移植した(X.Li、B.Chen、S.D.Blystone、K.P.McHugh、F.P.Ross、D.M.Ramos、K1735メラノーマ細胞におけるαインテグリンのディファレンシャル発現、Invasion Metastasis 18(1)(1998)1−14)。K1735 M2腫瘍細胞を、組織培養フラスコ内の10%ウシ胎仔血清(FCS)含有ダルベッコ培地中で増殖させた。トリプシンEDTA溶液(0.05%トリプシン含有)を用いて細胞を回収し、PBS中に再懸濁させて10,000,000/mlとし、氷上に維持した。100〜200mmの腫瘍を有する動物を、表Iに記載される処置のために選択した。
Figure 2005519861
図7は、本研究で得られた正常化腫瘍容積データを示す。処置後7日目が本研究の動物が全て生存していた最後の日である。その後の頁の図8は、処置群により分類された各動物の、処置後7日目における正常化腫瘍容積を示す。
分散分析(ANOVA)及びクラスカル・ウォリスの統計的検定を用いて処置後7日目の正常化腫瘍容積を比較した。これらの検定は、処置群間で観察された差異が偶然のみによるものかどうかを決定する。ANOVAは、処置手段の相等性を検定する。ANOVAは、データ中に著しい外れ値がない場合に最も信頼できる。一方、クラスカル・ウォリス検定は、所定の群の中の腫瘍の序列又は階級を他の処置と比較して考慮し、したがって外れ値の影響を最小限にする。クラスカル・ウォリス検定は、処置集団の中央値における有意差を探し、データが著しい外れ値を含む場合により信頼できる。
処置後7日目の正常化腫瘍容積に関し、ANOVA解析のP値は0.052であった。クラスカル・ウォリス検定のP値は0.167であった。これらの検定はいずれも95%の信頼レベルで有意でない。図7及び図8が示すように、本研究は、有効性において差が小さい多くの対照群を含む。処置群の数が統計的検定の結果を希釈するかどうかを決定するために、あまり差のない対照群をいくつか除いた後に検定を繰り返した。バッファー処置、IA−NP処置、IA−NP−Y90(2.5)処置及びIA−NP−Y90(5)処置のみを比較すると、P値は実質的に向上する(ANOVA検定で0.009、クラスカル・ウォリス検定で0.034)。これは、この換算比較において、少なくとも1つの有意に異なる処置があることを示す。
異なる処置群について、異なる統計的手順により、1組ずつ又は1対1の比較を行った。結果は、バッファーによる処置と比較した場合、IA−NP処置及びIA−NP−Y90(2.5)処置が、データをどのように解析するかにより、正常化腫瘍容積が有意に低いかもしれないことを示している。一方、IA−NP−Y90(5)による処置は、バッファーによる処置と比較した場合、採用する統計的検定に関わらず、正常化腫瘍容積が有意に低い。
腫瘍増殖遅延も本研究の有効性をモニターするために用いることができる。腫瘍増殖遅延は、所定の腫瘍が、処置日に測定した腫瘍容積に対し、4倍の容積になるのに要する時間として定義される(腫瘍容積4倍時間又はTVQT)。4倍増殖の正確な時間は、2つの近接する時点間に線を引くことにより推定される。図7に本研究の増殖遅延データをまとめる。
再びANOVA及びクラスカル・ウォリス検定を用いて、異なる処置群からのTVQT値を比較した。両検定に関わるP値は非常に有意であった(クラスカル・ウォリス検定は0.001、ANOVAは<0.0005)。異なる処置群について1組ずつ比較すると、高放射線用量(5μCi/g)でのIA−NP−Y90処置は、バッファー処置群、IA処置群並びに低及び高IA−NP処置群と有意に異なっていることを示している。以下の頁の表IIIは、チューキーのW多重比較法の結果を示す。これらの結果は非パラメトリック統計的検定によっても同様に確認された。
Figure 2005519861
処置後8日目に、組織学的染色のため、各処置群から1つの腫瘍をランダムに選択した。腫瘍を切除し、液体窒素温度のイソペンタン中で凍結させた。
Marin Biologic Laboratories,Inc.チブロン、CAは、切除した腫瘍について、TUNELアッセイ、フォンビルブラント因子及びH&E染色を行った。TUNELアッセイの結果は、Hist/Citバッファー処置、IA処置及びNP−Y90 2.5μCi/g処置はほとんど健常な細胞となったが、IA−NP、IA−NP−Y90 2.5μCi/g及びIA−NP−Y90 5μCi/gはアポトーシス及び細胞死の量が増加したことを示している。
IA−NP−Y90 5μCi/gによる処置は、この腫瘍モデルにおいて有意に腫瘍増殖を減少させる(有意差は95%の信頼レベルで確立された)。平均して、IA−NP−Y90 5μCi/gで処置された腫瘍についての正常化腫瘍容積は、バッファーで処置された腫瘍と比較して、容積が半分以下であった。加えて、IA−NP−Y90 5μCi/gで処置された腫瘍の平均TVQTは、バッファーで処置した腫瘍が6.4日であるのに対し、15.0日である。腫瘍サンプルの組織学的研究はこの結果を裏付けている。
興味深いことに、メラノーマ細胞は放射線療法に比較的耐性であることが知られている。このタイプの標的化療法は、最終分化し、遺伝学的に安定な内皮細胞上の新生血管細胞表面マーカーの存在のみに依拠する。
マウスメラノーマモデルにおける疑似ペプチド−デキストラン−小胞 90 Y複合体の抗腫瘍有効性の研究
マウスメラノーマモデルにおいて、実施例8に記載されるようにしてデキストラン被覆小胞についても試験した。結果を図9に示す。これらの研究のために、BisT−PC及びキレーター脂質[PDA−PEG3]DTTAを含有するデキストラン−被覆小胞を用いた。これらは以下のようにして製造し、実施例7に記載されるようにしてイットリウム−90で標識した。
小胞(10ml、250mg)を、5mlの50mM HEPESバッファーpH8中の攪拌したアミノデキストラン(アミン修飾した10,000MWのデキストラン、Molecular Probes、製品D−1860、500mg、デキストランポリマーあたり3アミノ基)に滴下した。200μlの水中のEDAC(Aldrich 16146−2、エチルジメチルアミノジプロピル カルボジイミドHCl塩、6mg)を、被覆混合物に攪拌しながら滴下した。混合物を室温で一晩攪拌させた。透明な反応混合物を、200mM NaCl、pH7.4を含有する10mM HEPESで平衡化したセファロースCL 4Bカラム(2.5×30cm、Amersham Pharmacia Biotech AB、製品17−0150−01)上で、サイズ排除クロマトグラフィーにより精製した。被覆小胞が溶出し始めたら、4mlの画分を回収した。ピーク画分(2〜6)をプールし、0.45μmフィルター(Nalgene 25mmシリンジフィルター、製品190−2545)、そして0.2μmフィルター(Nalgene 25mmシリンジフィルター、製品190−2520)でろ過した。被覆小胞の濃度は、90℃に維持したオーブン中でサンプルを一定重量まで乾燥することにより決定した。
マウス大腸がんモデルにおける疑似ペプチド−小胞− 90 Y複合体の抗腫瘍有効性の研究
本研究において、先に報告されるようにして雌BALB/cマウスに皮下注射で移植されたCT−26大腸がん細胞株(H.N.,Moehler,T.,Siang,R.,Jonczyk,A.,Gillies,S.D.,Cheresh,D.A.,Reisfeld,R.A.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,96:1591−1596,1999)を用いて、Targesomeの放射性医薬品の抗腫瘍活性を評価した。本研究の目的は、IA−NP−Y90複合体の単回静脈内投与による潜在的抗腫瘍効果を調査することである。
およそ1×10のCT−26細胞の皮下注射により腫瘍を移植した。CT−26腫瘍細胞を組織培養フラスコ内の10%ウシ胎仔血清(FCS)含有ダルベッコ培地中で増殖させた。トリプシン−EDTA溶液(0.05%トリプシン含有)を用いて細胞を回収し、PBSに再懸濁させて10,000,000/mlとし、氷上に維持した。
Figure 2005519861
正常化腫瘍容積データを図10にまとめる。8日目が、本研究において動物が全て生存していた最後の日である。処置群間の差異を分散分析(ANOVA)及びクラスカル・ウォリスの統計的検定を用いて比較した。8日目の正常化腫瘍容積の場合、ANOVA及びクラスカル・ウォリス検定のP値は0.0005未満である。本研究の処置間で有意差があると結論することは妥当である。いずれの処置群にもANOVA解析の結果をゆがめるであろう大きな外れ値がなかった。この理由により、処置後8日目でどの処置が有意に異なる正常化腫瘍容積を示すかをチューキーのW法を用いて決定した。
Figure 2005519861
表IIIが示すように、以下の治療間で、処置後8日目の正常化腫瘍容積に有意差がある。
バッファーとIA−NP、NP−Y90又はIA−NP−Y90との比較
IAと、IA−NP又はIA−NP−Y90との比較
本研究の有効性をモニターするために、腫瘍増殖遅延も用いた。腫瘍増殖遅延は、所定の腫瘍が、処置日に測定した腫瘍容積に対し、4倍の大きさに増殖するのに要する時間として定義される。4倍増殖の正確な時間は、2つの近接する時点間に線を引くことにより推定される。本研究の増殖遅延データを図11にまとめる。
ANOVA及びクラスカル・ウォリス検定に関するP値はともに0.0005であった。これは、図11に示される処置群間の差異は偶然のみによるものではないことを示している。腫瘍増殖遅延データに外れ値がないため、チューキーの多重比較法を用いて、どの処置が他と有意に異なるかを決定した。以下の表IVはチューキー法で得られたP値を示す。
Figure 2005519861
表IVが示すように、以下の治療間で腫瘍増殖に有意差がある。
バッファーと、IA−NP、NP−Y90及びIA−NP−Y90との比較
IAと、IA−NP、NP−Y90及びIA−NP−Y90との比較
IA−NPと、IA−NP−Y90との比較(注、この比較に関する有意差は他の有意な比較よりも非常に低い) 興味深いことに、この腫瘍タイプは放射線療法に耐性であることが知られている。in vitro αβインテグリン結合アッセイ
キレーター脂質[PDA−PEG3]DTTA含有RGD疑似ペプチド−リポソーム結合体によるインテグリンへの結合を、放射結合アッセイを用いてin vitroで証明した。簡潔にいえば、αβインテグリンでコーティングした96穴プレートをBSAでブロッキングした。0〜100μg/mLのアゴニスト−リポソーム−90Y複合体を含有するウサギ血清又はバッファーのサンプルを加え、室温で1時間インキュベートした。プレートをPBSTバッファーで3回洗浄し、Wallac Microbeta シンチレーションカウンターを用いて90Yを測定した。
図1は、サイズ排除クロマトグラフィー及びELISAにより、抗体−リポソーム結合体の純度を示す。この図中、各画分について行ったELISAからのシグナルを、セファロースCL−4Bカラムを用いて結合体を精製後の画分番号の機能としてプロットしている。大きな抗体−リポソーム複合体は第2〜6画分で溶出し、未結合抗体は第7〜12で溶出する(データは示していない)。 図2は、血清中の抗αβ抗体−リポソーム−イットリウム−90複合体についてのαβ特異的ラジオイムノアッセイにおける反応を示す。このアッセイは、抗体及びイットリウム−90が同一小胞に結合しているときシグナルを生じ、未結合イットリウム−90からはシグナルは生じない。 図3は、リポソームの製造に用いられるある脂質の構造を示す。 図4は、ウサギ血清中のビタキシン−リポソーム−90Y結合体の安定性を示す。 図5は、リポソームの製造に用いられる更なる脂質の構造を示す。これらの脂質は、リンカーを含まないBisT−PE−DTTA4を除いて、トリコサジイン酸及び親水性リンカー1,8−ジアミノ−3,6−ジオキサオクタンから製造される。 図6は、健常ニュージーランドウサギにおけるビタキシン−リポソーム−90Y結合体の生体内分布を示す。 図7は、実施例29に記載されるように、マウスメラノーマモデルにおけるイットリウム90で標識したインテグリン−標的化小胞(IA−NP−Y90)の有効性を示す。処置群には、IA(RGD疑似ペプチド10)、IA−NP(RGD−疑似ペプチド−重合小胞結合体)、NP−Y90(イットリウム−90で標識した重合小胞)及びIA−NP−Y90(イットリウム−90で標識したRGD−疑似ペプチド−重合小胞結合体)が含まれる。 図8は、実施例8に記載される研究で処置群に分類される、処置後7日の正常化腫瘍容積を示す。 図9は、実施例9に記載されるように、イットリウム−90で標識したインテグリン標的化デキストラン-被覆重合性小胞結合体を用いたマウスメラノーマモデルにおける固形腫瘍の治療を示す。 図10は、実施例10に記載されるように、マウス大腸癌モデルにおける有効性を示す。エラーバーは、1つの標準誤差を示す。治療群には、バッファー、PM(RGD疑似ペプチド単独)、PM−PV(RGD疑似ペプチド−小胞結合体)、PV−Y90(イットリウム−90で標識した重合小胞)及びPM−PV−Y90(イットリウム−90で標識したRGD疑似ペプチド−小胞結合体)が含まれる。 図11は、実施例10の研究でグループ分けされた、8日目の正常化した腫瘍容積をプロットしたものである。

Claims (65)

  1. キレーター、標的指向物質、及び検出用物質又は治療用物質を含む脂質構築物。
  2. 更に少なくとも1つの脂質を含む請求項1に記載の脂質構築物。
  3. 少なくとも1つの脂質がホスファチジルコリン誘導体である請求項1に記載の脂質構築物。
  4. 更にコレステロールを含む請求項1に記載の脂質構築物。
  5. 更に安定化剤を含む請求項1に記載の脂質構築物。
  6. 安定化剤がポリエチレングリコールである請求項5に記載の脂質構築物。
  7. 治療用物質が放射性核種である請求項1に記載の脂質構築物。
  8. 放射性核種が、Y−90、Bi−213、At−211、Cu−67、Sc−47、Ga−67、Rh−105、Pr−142、Nd−147、Pm−151、Sm−153、Ho−166、Gd−159、Tb−161、Eu−152、Er−171、Re−186及びRe−188から成る群より選択される請求項7に記載の脂質構築物。
  9. 放射性核種がY−90である請求項7に記載の脂質構築物。
  10. Y−90が脂質構築物表面に結合している請求項7に記載の脂質構築物。
  11. Y−90が脂質構築物内に被包されている請求項7に記載の脂質構築物。
  12. キレーターがキレート脂質の一部である請求項1に記載の脂質構築物。
  13. キレート脂質が1,2−ジミリストイル−sn−グリセロ−3−ホスホエタノールアミドトリアミン テトラ酢酸(BisM−PE−DTPA4)Y−90である請求項12に記載の脂質構築物。
  14. 治療用物質がY−90である請求項13に記載の脂質構築物。
  15. キレート脂質がN,N−ビス[[[[(13’,15’−ペンタコサジイナミド−3,6−ドキサオクチル)カルバモイル]メチル](カルボキシメチル)アミノ]エチル]グリシン([PDA−PEG3]−DTTA3)である請求項12に記載の脂質構築物。
  16. キレート脂質がジアセチレン脂質を含有する請求項12に記載の脂質構築物。
  17. 更に重合性脂質を含む請求項1に記載の脂質構築物。
  18. 更に重合性脂質を含む請求項12に記載の脂質構築物。
  19. 重合性脂質が1,2−ビス(10,12−トリコサジイノイル)−sn−グリセロ−3−ホスホコリンである請求項17又は18に記載の脂質構築物。
  20. 重合性脂質が[PDA−PEG3]−DTTA3である請求項17又は18に記載の脂質構築物。
  21. キレート脂質が、ジエチレントリアミンペンタ酢酸の誘導体、エチルアミンジアミンテトラ酢酸の誘導体及び1,4,7,10−テトラアザシクロドデカン−N,N’,N’’,N’’’−テトラ酢酸(DOTA)の誘導体から成る群より選択される請求項12に記載の脂質構築物。
  22. キレート脂質が、カルボキシル、ホスフェート、ホスホネート、サルフェート、スルホネート及びスルフィネートから成る群より選択されるイオン化性基を含む請求項12に記載の脂質構築物。
  23. キレート脂質が単一イオン化性基を含み、単一イオン化性基はアイソトープ又は2価以上の金属に結合可能な表面を生ずる請求項12に記載の脂質構築物。
  24. キレート脂質が単一イオン化性基を含み、単一イオン化性基はアイソトープ又は3価以上の金属に結合可能な表面を生ずる請求項12に記載の脂質構築物。
  25. 標的指向物質が、低分子リガンド及びタンパク質から成る群より選択される請求項1に記載の脂質構築物。
  26. 標的指向物質が、脂質構築物を細胞表面に標的指向させる請求項1に記載の脂質構築物。
  27. 検出用物質が放射性核種である請求項1に記載の脂質構築物。
  28. 放射性核種が、Tc−99m、In−111、Ga−67、Rh−105、Nd−147、Pm−151、Sm−153、Gd−159、Tb−161、Er−171、Re−186、Re−188及びTl−201から成る群より選択される請求項1に記載の撮像剤。
  29. 標的指向物質が脂質のカルボキシル頭部基に結合している請求項2に記載の脂質構築物。
  30. 標的指向物質が、脂質のマレイミド基又は脂質のアセトアミドのαメチル基に結合している請求項2に記載の脂質構築物。
  31. 標的指向物質が共有結合手段により脂質構築物に結合している請求項2に記載の脂質構築物。
  32. 標的指向物質が、アミン、シアノ、カルボン酸、イソチオシアネート、チオール、ジスルフィド、α−ハロカルボニル、α,β−不飽和カルボニル及びアルキルヒドラジンから成る群より選択される基を介して脂質構築物に結合している請求項2に記載の脂質構築物。
  33. 標的指向物質が非共有結合手段により脂質構築物に結合している請求項2に記載の脂質構築物。
  34. 非共有結合手段が、ビオチン−アビジン ビオチン化抗体サンドイッチである請求項33に記載の脂質構築物。
  35. 標的指向物質が抗体である請求項25に記載の脂質構築物。
  36. 抗体が、P−セレクチン、E−セレクチン、プレイオトロピン、Gタンパク質共役受容体、エンドシアリン、エンドグリン、VEGF受容体、PDGF受容体、EGF受容体、マトリックスメタロプロテアーゼ及び前立腺特異的膜抗原(PSMA)から成る群より選択される標的を有する請求項34に記載の脂質構築物。
  37. 標的指向物質が血管標的を有する請求項1に記載の脂質構築物。
  38. 標的指向物質が、ビタキシン又はLM609である請求項37に記載の脂質構築物。
  39. 標的指向物質が、抗VCAM−1抗体、抗ICAM−1抗体、抗インテグリン抗体から成る群より選択される請求項36に記載の脂質構築物。
  40. 腫瘍細胞を標的とする標的指向物質を更に含む請求項36に記載の脂質構築物。
  41. キレート脂質、標的指向物質及び治療用物質を含む脂質構築物を含み、治療用物質は脂質構築物の表面でキレート脂質に結合している治療剤。
  42. 治療用物質が金属イオンである請求項42に記載の治療剤。
  43. 金属イオンが放射性金属イオンである請求項42に記載の治療剤。
  44. 金属イオンが、Y−90、Bi−213、At−211、Cu−67、Sc−47、Ga−67、Rh−105、Pr−142、Nd−147、Pm−151、Sm−153、Ho−166、Gd−159、Tb−161、Eu−152、Er−171、Re−186及びRe−188から成る群より選択される請求項43に記載の治療剤。
  45. 治療剤が放射線滑膜切除剤である請求項43に記載の治療剤。
  46. 治療用物質がY−90であり、標的指向物質がインテグリン標的化剤である請求項42に記載の治療剤。
  47. キレート脂質、標的指向物質及び検出用物質を含む脂質構築物を含み、検出用物質は脂質構築物の表面でキレート脂質に結合している撮像剤。
  48. 検出用物質が金属イオンである請求項47に記載の撮像剤。
  49. 金属イオンが放射性金属イオンである請求項48に記載の撮像剤。
  50. 金属イオンが、Tc−99m、In−111、Ga−67、Rh−105、Nd−147、Pm−151、Sm−153、Gd−159、Tb−161、Er−171、Re−186、Re−188及びTl−201から成る群より選択される請求項49に記載の撮像剤。
  51. a)キレート脂質を含むリポソームを製造し;そして
    b)リポソームを金属イオンと接触させる、
    ことを含む脂質構築物の製造方法。
  52. 金属イオンが放射性金属イオンである請求項51に記載の方法。
  53. 金属イオンが、Y−90、Bi−213、At−211、Cu−67、Sc−47、Ga−67、Rh−105、Pr−142、Nd−147、Pm−151、Sm−153、Ho−166、Gd−159、Tb−161、Eu−152、Er−171、Re−186及びRe−188から成る群より選択される請求項52に記載の方法。
  54. 金属イオンが、Tc−99m、In−111、Ga−67、Rh−105、I−123、Nd−147、Pm−151、Sm−153、Gd−159、Tb−161、Er−171、Re−186、Re−188及びTl−201から成る群より選択される請求項52に記載の方法。
  55. 更にリポソームを第2金属イオンと接触させることを含む請求項52に記載の方法。
  56. 金属イオンが、Y−90、Bi−213、At−211、Cu−67、Sc−47、Ga−67、Rh−105、Pr−142、Nd−147、Pm−151、Sm−153、Ho−166、Gd−159、Tb−161、Eu−152、Er−171、Re−186及びRe−188から成る群より選択され、第2金属イオンが、Tc−99m、In−111、Ga−67、Rh−105、I−123、Nd−147、Pm−151、Sm−153、Gd−159、Tb−161、Er−171、Re−186、Re−188及びTl−201から成る群より選択される請求項55に記載の方法。
  57. 金属イオン及び第2金属イオンが同一混合物内に存在する請求項56に記載の方法。
  58. 未結合金属イオンを除去することを更に含む請求項52に記載の方法。
  59. a)キレート脂質及び検出用物質を含む脂質構築物を含む撮像剤を、それを必要とする患者に投与すること;そして
    b)患者を撮影すること、
    を含む患者を撮影する方法。
  60. 撮影が磁気共鳴撮影又は核シンチグラフィーである請求項59に記載の方法。
  61. キレート脂質及び治療用物質を含む脂質構築物を含む治療剤を、それを必要とする患者に十分量投与する、患者の治療方法。
  62. 患者が慢性関節リウマチに罹患している請求項61に記載の方法。
  63. 患者が、がん、固形腫瘍、白血病、リンパ腫、及び前記疾患の転移性病巣から成る群より選択される疾患に罹患している請求項61に記載の方法。
  64. キレート脂質、標的指向物質、検出用物質及び治療用物質を含み、検出用物質及び治療用物質は脂質構築物の表面でキレート脂質に結合している、治療及び撮影に有用な脂質構築物。
  65. 治療用物質が、Y−90、Bi−213、At−211、Cu−67、Sc−47、Ga−67、Rh−105、Pr−142、Nd−147、Pm−151、Sm−153、Ho−166、Gd−159、Tb−161、Eu−152、Er−171、Re−186及びRe−188から成る群より選択され、検出用物質が、Tc−99m、In−111、Ga−67、Rh−105、I−123、Nd−147、Pm−151、Sm−153、Gd−159、Tb−161、Er−171、Re−186、Re−188及びTl−201から成る群より選択される請求項64に記載の方法。
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