JP2005517716A - ヒトにおける老化および老化障害の治療法および予防的治療 - Google Patents
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Abstract
アルツハイマー病等の痴呆症を含む慢性神経変性状態に関連する状態のような、脳内の細胞特異的炭酸脱水酵素の低下した存在に関連する老化の状態等のヒトにおける老化の状態を治療および予防するための方法であって、該方法が6ヵ月〜5年間の範囲内の長期間にわたり、脳内の細胞特異的炭酸脱水酵素の存在を増加させる医薬上有効かつ非毒性用量の化合物の投与を含む方法。当該化合物は、細胞特異的炭酸脱水酵素、身体によって吸収されると反応または分解して細胞特異的炭酸脱水酵素を生成する化合物、または身体内での細胞特異的炭酸脱水酵素の自然生成を促進する化合物であってよい。
Description
本発明では、ヒトの加齢に関連する問題の治療法および予防的治療を取り扱う。より詳細には、特に脳内の細胞レベルでの老化過程に対抗する既存薬剤についての新用途を開示する。
ヒトにおける正常な老化は、下記の典型的な生理学的結果の一部またはすべてを生じさせると認識されている:
1. 脳重量が15%減少する
2. 脳への血流量が20%減少する
3. 体内含水率が18%減少する
4. 体重が12%減少する
5. 神経伝導速度が10%減少する
6. 神経内の神経線維の数が37%減少する
7. 酵素および補酵素の量が減少する
8. 神経伝達物質の量が減少する
9. 酸化力のあるphosphorelative酵素の欠失
10. アポトーシス−慢性的ニューロン萎縮症
1. 脳重量が15%減少する
2. 脳への血流量が20%減少する
3. 体内含水率が18%減少する
4. 体重が12%減少する
5. 神経伝導速度が10%減少する
6. 神経内の神経線維の数が37%減少する
7. 酵素および補酵素の量が減少する
8. 神経伝達物質の量が減少する
9. 酸化力のあるphosphorelative酵素の欠失
10. アポトーシス−慢性的ニューロン萎縮症
「ヒト大脳皮質内における年齢依存性のオゾン化物の変化に関する研究(Studies on Age−Dependent Ozonide Changes in Human Cerebral Cortex)」と題する論文(Reichlmeier K., Ermini M., and Schlecht H.P.著、Aktuelle Gerontol 1978 Aug.,8(8):44−8)で彼らの研究を記載する際に、この著者らは病理解剖で入手した19〜91歳の年齢範囲を含むヒトの脳の様々な酵素の活性を調査したと報告している。第二メッセンジャーであるサイクリックAMP(3’,5’−環状アデノシン一リン酸)により運ばれる情報を伝達するタンパク質キナーゼは、基礎活性の加齢に関連する変化を示さない。タンパク質キナーゼのサイクリックAMP依存性活性化は生まれてから60歳まではほぼ一定のまま維持されるが、60〜90歳では明確かつ進行性の低下を受ける。線条体では、サイクリックAMP依存性タンパク質キナーゼ活性の加齢に関連する変化は観察されなかった。炭酸脱水酵素の活性は、ヒトの皮質および線条体のどちらにおいても、同様に60歳代以後に始まる加齢に関連する低下を示す。これらの神経化学的変化は、老化する10の脳において発生した形態的および生理的変化に明確に関連付けることができる。それらは60歳代以後に始まる。
下記は、ヒト組織において発生する本質的な化学反応を表している:
グルコース + 酸素 → H2O + CO2 − H+ + HCO3
(細胞内) 存在する炭酸脱水酵素(可逆反応) 反応式(1)
グルコースは細胞内で不可逆的に酸化されて水と二酸化炭素を産生する。特に炭酸脱水酵素(それらのうちの数種の形態が存在するが、いずれの形態が存在するのかは存在する組織細胞のタイプに依存する)のような触媒の存在下では、水と二酸化炭素は可逆的に水素イオンと重炭酸イオンを産生する。
グルコース + 酸素 → H2O + CO2 − H+ + HCO3
(細胞内) 存在する炭酸脱水酵素(可逆反応) 反応式(1)
グルコースは細胞内で不可逆的に酸化されて水と二酸化炭素を産生する。特に炭酸脱水酵素(それらのうちの数種の形態が存在するが、いずれの形態が存在するのかは存在する組織細胞のタイプに依存する)のような触媒の存在下では、水と二酸化炭素は可逆的に水素イオンと重炭酸イオンを産生する。
炭酸脱水酵素は、反応式1に例示した可逆的CO2水和反応を触媒する亜鉛含有酵素である。種々の組織および器官の細胞のミトコンドリアは、図1に例示したように、すべての空間、つまり細胞、間質、および血管内で上記の反応式の平衡を維持する様々な特異的炭酸脱水酵素を産生する。「アイソザイム」と呼ばれる少なくとも7種の炭酸脱水酵素の変種が同定されている。文献では、これらは「炭酸脱水酵素I〜VII」または「CAS I〜VII」と呼ばれることがある。本出願人らは、本明細書ではこの選択性を「細胞特異的」と、そして存在する特定炭酸脱水酵素アイソザイムを「細胞特異的炭酸脱水酵素」と呼ぶ。
炭酸脱水酵素により産生する水素イオンはシトクロム系の影響を受け、これはその後各細胞を含んで取り囲む細胞膜の完全性を維持するイオンポンプのエネルギー源として利用される。これは脳電流の起源であるとも思われる。このプロセスについては略図により図1に例示したが、本明細書では詳細な考察を行わない。
反応式1を含むプロセスの中断は細胞壁膜の脱分極を引き起こすので、そのためナトリウム(Na)、水(H2O)、およびその他の化学物質は無制限の量で細胞内に流入して、カリウム(K)は無制限に流出することができ、その結果として関係する細胞の死および破壊が導かれ、続いて細胞浮腫が起こる。この浮腫が進行するにつれて細胞は死滅する。細胞の進行性かつ段階的死に加えて、神経膠症が続く−したがって脳内の老化が発生する。
老化すると、炭酸脱水酵素がその1つである酵素のレベルにおける進行性低下が観察されている。「老化しつつある脳内での神経化学的研究結果(Neurochemical findings in the Aging Brain)」(Adv.Biochem Psychopharmacology 1980;23;323−38)の著者らであるW.Meier−Ruge,P.Iwangoff,K.ReichlmeierおよびP.Sandozは、ヒトの大脳皮質内および被殻内の酵素に正常な老化が及ぼす影響に関する彼らの研究に炭酸脱水酵素を含めている。彼らの研究は、彼らが脳組織内のpO,/PCO2比の調節にとって重要であると言及している炭酸脱水酵素が加齢に伴って重大な低下を示すことを証明している。そこで、組織内pHのpCO,−依存性調節、イオン輸送プロセス、および脳血流量調節がさらに一層不安定になる傾向を有すると、彼らは観察している。
「炭酸脱水酵素III。老化中の体内での酸化的変性およびホスファターゼ活性の消失(Carbonic anhydrase III. Oxidative modification in vivo and loss of phosphatase activity during aging)」(J. Biol. Chem. 1995 Jun 16; 270(24):14742−7)の著者らE. Cabisco and R. L. Levineは、酸化変性タンパク質を検出するために免疫化学的方法を利用したと記載しており、彼らはその方法によってラット肝中の高度に酸化された1種のタンパク質を同定した。このタンパク質は均質になるまで精製され、炭酸脱水酵素IIIであると同定された。その特徴は、ラットの老化中に消失するタンパク質である老化マーカータンパク質−1について以前に記載された特徴に適合する。彼らの実験では、炭酸脱水酵素IIIが2、10、および18月齢のラットから精製され、これらのタンパク質が特徴付けられた。これら3種の標本はすべて、それらのカルボニル含量によって評価すると、高度に酸化変性されていた。前記酵素(炭酸脱水酵素III)は3つの既知の触媒活性を有しており、二酸化炭素水和およびエステル加水分解のための特異的活性は老化中にはおよそ30%低下した。しかし、ホスファターゼの活性である第3活性は、老化中には実質的に消失した。炭酸脱水酵素IIIの生理的役割は不明であるが、これらの著者らはそれが酸化環境として機能し、その自己酸化変性を引き起こすことを示唆している。
炭酸脱水酵素は、ラットの大脳皮質内での細胞外pHの緩衝を増強するために使用されてきた(Journal of neurophysiology 1995 Oct. ‘74(4):1806−9)。動物における血液脳関門は、血液脳関門が完全で化学物質輸送にとって強力な関門であるヒトと比較して不完全であることは知られている。動物の脳内化学成分に影響を及ぼすことに有効であることが証明されている物質は、ヒトのより完全な血液脳関門を通過できないために、それらの物質がヒトの脳内では必ずしも有効ではない。炭酸脱水酵素はヒトの血液脳関門を越えると思われる。一部の研究者はこの考えに関して明言を避けているが、医学界の大半は、特にCA−IIと呼ばれる炭酸脱水酵素に関しては、炭酸脱水酵素が事実としてヒトの血液脳関門を越えるという考えを受け入れている。
文献から判断できる限りでは、細胞特異的炭酸脱水酵素が正常な老化に起因するレベル低下を原因として不足している炭酸脱水酵素をより高レベルまで回復させるために使用されたことはない。少なくとも一部の炭酸脱水酵素は動物組織から抽出され、単離され、そして分子構造について研究されている。これは、これらの酵素を単離でき、治療法または予防的治療のために患者へ投与するために利用できることを示している。
米国特許第5,972,684号では、Bandmanらは以下のように教示している:
「炭酸脱水酵素の8種の酵素のおよび進化的関連の形態がヒトにおいて存在することが現在知られている:3種の細胞質アイソザイム(CAI、CAII、およびCAIII、2種の膜結合形(CAIVおよびCAVII)、ミトコンドリア形(CAV)、分泌された唾液形(CAVI)およびまだ特徴付けられていない1種のアイソザイム。アイソフォームは特徴的なモチーフを示す。(例えば、http//expasy.hcuge.chを参照されたい。)アイソザイムCAI、CAII、およびウシCAIIIは類似の第二構造およびポリペプチド鎖フォールドを有するが、CAIは6つ、CAIIは7つ、そしてCAIIIは8つのトリプトファンを有する(Boren, K.ら(1996), Protein Sci. 5(12):2479−2484)。CAIIは哺乳類の脳内で優れたCAアイソザイムである。」
「炭酸脱水酵素の8種の酵素のおよび進化的関連の形態がヒトにおいて存在することが現在知られている:3種の細胞質アイソザイム(CAI、CAII、およびCAIII、2種の膜結合形(CAIVおよびCAVII)、ミトコンドリア形(CAV)、分泌された唾液形(CAVI)およびまだ特徴付けられていない1種のアイソザイム。アイソフォームは特徴的なモチーフを示す。(例えば、http//expasy.hcuge.chを参照されたい。)アイソザイムCAI、CAII、およびウシCAIIIは類似の第二構造およびポリペプチド鎖フォールドを有するが、CAIは6つ、CAIIは7つ、そしてCAIIIは8つのトリプトファンを有する(Boren, K.ら(1996), Protein Sci. 5(12):2479−2484)。CAIIは哺乳類の脳内で優れたCAアイソザイムである。」
「CAの阻害および活性化は、CAの制限および活性についての情報を提供する。血管拡張性プロスタグランジンE1、E2および12は体外および体内でCAを阻害し、胃酸分泌におけるCAの関与を阻害する可能性がある。シクロオキシゲナーゼの活性およびプロスタグランジン産生を低下させる非ステロイド系抗炎症薬も、CAIおよびCAIIを用量依存性の非競合的方法で活性化させることが観察されている。プレプロスタグランジンシクロオキシゲナーゼは、炭酸脱水酵素活性に関連するpH変動によっておそらく媒介されるCAとの反比例関係を維持すると思われる(Puscas, I.(1996)J. Pharmacol. Exp. Ther. 277(3):1464−1466)。プロスタグランジンE2および12はどちらも胃酸分泌量を抑制する。プロスタグランジンE2は、交感神経13末端からのノルエピネフリンの流出を阻害する。」
Bandmanらの特許は、彼らの特許の主題であるまた別の炭酸脱水酵素CA−VIIIについて教示している。本特許ではCA−VIIIを取り扱わない。
炭酸脱水酵素VI(CA−VI)欠損症を有する患者は、CA−VIの合成/分泌を刺激する目的で亜鉛の経口投与により治療されており、American Journal of Medical Science(「炭酸脱水酵素VI欠損症患者の治療における外因性亜鉛経口投与の有効性(Efficacy of exogenous oral zinc in treatment of patients with carbonic anhydrase VI deficiency),Henkin R.I., Martin B.M.,and Agarwal R.P.−−Am J Med Sci 1999 Dec;318(6):392−405)には良好な結果が報告された。したがって、炭酸脱水酵素の合成/分泌は経口投与された化合物によって実際的に刺激できることが証明されている。
図1を参照すると、そこに記載されたように、CAの低下したレベルが原発性欠損症であろうと続発性欠損症であろうと、細胞特異的炭酸脱水酵素の欠損症に直接結び付けることができる細胞破壊の2つの平行経路を見ることができる。1つの経路は反応式1に示した化学反応の機能停止に関連しており、もう1つの経路はアポトーシスを引き起こすカスパーゼの遊離に関連する。どちらの経路の結果も死細胞および瀕死細胞であり、これらの細胞には脳細胞およびその他の神経細胞が含まれる。本明細書では、脳細胞およびその他のニューロンの破壊の少なくとも1つの原因は細胞特異的炭酸脱水酵素の低下したレベルへ帰せられることを証明する。
これまで、研究者らはこれら二つの平行経路のうち一方しか同定しておらず、それはカスパーゼを含む経路であった。詳細には、これは亜鉛欠損症によるメカニズム(亜鉛を有する炭酸脱水酵素欠損症と同等)が図1の右半分に示したようなカスパーゼ−3の活性化に関係する上皮細胞死を誘発することを記載したF.ChaiらによるJournal of Infectious Diseases,2000 September;182 Suppl I:S85−92に報告されている。この研究からは、亜鉛(すなわち、CA)はカスパーゼの活性化の直前に1つのステップを抑制することができ、亜鉛(すなわち、CA)欠損症はそのステップの抑制の失敗を生じさせるという提案がなされている。
図1の左半分に示した経路は、本発明で新しく提示する経路である。CA(すなわち、亜鉛を有する酵素)の低下したレベルは上記の反応式1に示した反応の可逆性部分の比率を逆転させ、細胞壁膜を維持するイオンポンプにとっての燃料である水素イオンの形成を低下させ、神経毒性物質を脱分極させて細胞内への侵入を可能にさせ、浮腫および細胞死を引き起こす。
老化すると炭酸脱水酵素がその1つである酵素レベルの進行性低下が観察されているが、反応式1の可逆性反応部分を触媒する炭酸脱水酵素を補充すれば、脳内の細胞を含む細胞の進行性および段階的死を少なくとも緩徐化させると考えられる。その脳細胞の減少はアルツハイマー病等の痴呆症および神経変性疾患を含む様々な脳障害の主要原因である。
細胞特異的炭酸脱水酵素は、補充用酵素が天然に産生して採取されたものであろうと合成的に生成されたものであろうと、正常老化に起因する低下したレベルが原因で不足している炭酸脱水酵素をより高レベルへ回復させるためにこれまで使用されたことはなかった。またこの目的で患者自身の炭酸脱水酵素の産生を促進するためにいずれかの炭酸脱水酵素促進剤が使用されたこともなかった。
本出願人は、細胞特異的炭酸脱水酵素の補足的投与または細胞特異的炭酸脱水酵素刺激剤の投与が、現在の細胞特異的炭酸脱水酵素のレベルを上昇させることによって、特に中枢神経系における老化に対する効果を実現した。用語「促進剤」を使用する場合、細胞特異的炭酸脱水酵素の産生を促進する物質を含むことを意図している。必要な酵素のレベルを上昇させるためのまた別の方法は、酵素自体を直接的に投与する方法である。これらの酵素は天然に産生した酵素であっても合成的に生成された酵素であってもよい。天然に産生した酵素を抽出するための手段および方法は医学文献から入手できる。
この治療は、アルツハイマー病の徴候を示す、あるいは他の形態の痴呆症もしくは神経変性疾患を示す患者に施すことができる。原因が何であろうと、そのような痴呆症の発現を予防または少なくとも遅延させるために高齢患者への予防もしくは防止療法としてこの治療を適用することもまた実行可能である。
そこで、本出願人は本明細書で、アルツハイマー病等の痴呆症を含む慢性神経変性状態に関連する状態のような、脳中の細胞特異的炭酸脱水酵素の低下した存在に関連する老化の状態を治療および予防するための方法を開示する。この方法は6ヵ月〜5年間の範囲内の長期間にわたり、脳内の細胞特異的炭酸脱水酵素の存在を増加させる医薬上有効かつ非毒性用量の化合物の投与を含む。脳内で最も豊富に見いだされる炭酸脱水酵素はCA−IIと呼ばれている;この方法はCA−IIと同様に他の炭酸脱水酵素にも適用できる。
使用する化合物は、血液検査において、または生検組織由来もしくは脳脊髄液由来の脳細胞の細胞培養中において測定されるような低下した存在を証明すると考えられる細胞特異的酵素であってよい。あるいはまた、使用する化合物は合成的に生成された細胞特異的炭酸脱水酵素であってよい。また別の例では、使用する化合物は天然に産生した細胞特異的炭酸脱水酵素であってよい。さらにまた別の例では、使用する化合物は、ヒト患者に投与すると血液検査または生検組織もしくは脳脊髄液由来脳細胞の細胞培養中で測定されるような低下した存在を証明する細胞特異的酵素の天然産生を促進することを可能にする。該化合物自体が血液脳関門を通過する化合物である必要はない;該細胞特異的酵素は、血液脳関門を通過することが知られているために脳内で産生される必要はなく、したがって細胞特異的酵素の天然産生の促進は身体内のいずれの場所で発生してもよい。
必要な特異的酵素の天然産生を促進することが知られている化合物の例には、亜鉛、アンドロゲンおよびエストロゲンである性ホルモン;インドメタシンを含む特定の非ステロイド系抗炎症薬;1,25−ジヒドロキシビタミンD3;ホルボールミリステートアセテート;システアミン;およびヒスタミンの特定のスルホニルアミド誘導体が含まれる。例えば、性ホルモンであるアンドロゲンおよびエストロゲンは炭酸脱水酵素IIIの産生を増加させることが知られている。ビタミンD3は炭酸脱水酵素IIの産生を増加させる。
化合物の投与は、注射または経口摂取によって行われてよい。使用する注射方法は、無菌生理食塩液、ブドウ糖液、またはその他の一般に投与される非経口溶液に溶解させる、筋肉内または静脈内注射であってよい。化合物を投与する最良の方法は、適度の実験により確認されるであろう。化合物に対する個々の患者の反応は、医薬品投与の前後に採取した血液サンプル中の細胞特異的酵素を検査することを通して、そして生検組織由来脳細胞の細胞培養から測定した、または脳脊髄液中で観察された酵素レベルによって確認されるであろう。目的は、脳内の細胞特異的炭酸脱水酵素のレベルを低下したレベルからより正常なレベルへ増加させることである。血液中の酵素レベルが脳内の酵素レベルの反映である限り、血液検査は重要な指標である可能性がある。これに加えて、さらに医師に知られている酵素レベルを測定するその他の手段も使用できる。
本発明に使用するために適した医薬組成物には、有効成分が所定の目的を達成するための有効量で含まれている組成物が含まれる。有効量の決定は、当業者の能力の範囲内に明確に含まれる。
治療有効量とは症状もしくは状態を改良する有効成分の量を意味しており、この状態は炭酸脱水酵素の低下した濃度によって誘発または反映される。治療有効性および毒性は、正常値と比較するために、血液検査や生検組織からの標準手法によって、および当業者に知られている他の手段によって決定できる。用量は、好ましくは毒性をほとんどまたは全く伴わずに有効である循環中濃度の範囲内である。用量は、使用する剤形、患者の感受性、および投与経路に依存してこの範囲内で変動する。
正確な用量は、治療を必要とする被験者に関連する要素に照らして、医師によって決定されるであろう。用量および投与は、有効成分の十分なレベルを提供するため、または細胞特異的酵素の正常値に近いレベルである所望の作用を維持するために調整される。考慮に入れてよい要素には、被験者に存在する酵素減少の重症度、被験者の身体全体の健康、被験者の年齢、体重および性別、食生活、投与の時間および頻度、併用薬、反応感受性、および治療への耐性/応答が含まれる。長時間作用性医薬組成物は、特定処方製剤の半減期およびクリアランス率に依存して3〜4日毎、毎週、または2週間毎に1回投与することができる。
標準用量は、投与経路に依存して、約1gの総量までに0.1〜100,000μgで変動してよい。特定用量および送達方法に関する手引きは文献に提供されており、当業者であれば一般に入手できる。それらの当業者は、所望の結果を達成するために様々な処方を使用するであろう。
Claims (11)
- 脳内の細胞特異的炭酸脱水酵素の低下した存在に関連する老化の状態を治療および予防するための方法であって、前記状態は痴呆およびアルツハイマー病を含む慢性神経変性状態に関連しており、前記方法が6ヵ月〜5年間の範囲内の長期間にわたり、脳内の前記細胞特異的炭酸脱水酵素の存在を増加させる医薬上有効かつ非毒性用量の化合物を投与することを含む方法。
- 前記化合物が前記低下した存在を明白に示している細胞特異的酵素である、請求項1の方法。
- 前記化合物が合成的に生成された細胞特異的炭酸脱水酵素である、請求項2の方法。
- 前記化合物が天然に産生した細胞特異的炭酸脱水酵素である、請求項2の方法。
- 前記化合物が、ヒト患者に投与されると前記低下した存在を明白に示す細胞特異的酵素の天然産生を促進する化合物である、請求項1の方法。
- 前記投与が注射による、請求項1の方法。
- 前記注射が筋肉内である、請求項6の方法。
- 前記注射が静脈内である、請求項6の方法。
- 前記投与が経口摂取による、請求項1の方法。
- 前記化合物が、亜鉛、アンドロゲンである性ホルモン;インドメタシンを含む非ステロイド系抗炎症薬;1,25−ジヒドロキシビタミン133;ホルボールミリステートアセテート;システアミン;およびヒスタミンのスルホニルアミド誘導体から構成されるリストから選択される、請求項5の方法。
- 前記細胞特異的酵素がCA−I、CA−II、CA−III、CA−IV、およびCA−VIからなるリストから選択される、請求項2の方法。
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