JP2005514099A - Qtまたはrr間隔のデータセットを用いて不整脈の危険を評価する方法およびシステム - Google Patents

Qtまたはrr間隔のデータセットを用いて不整脈の危険を評価する方法およびシステム Download PDF

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Abstract

被験者の心臓または心臓血管の健康状態の尺度を提供するための、その被験者の心不整脈の危険を評価する方法が、本願で説明される。

Description

[関連出願]
本出願は、2001年12月26日に出願された米国仮特許出願第60/344,654号に基づく権利を主張する。この特許出願の開示内容のすべては、引用することにより本明細書の一部をなすものとする。
[発明の分野]
本発明は、体表面の心電図(ECG)のデータを処理することにより、心不整脈の危険を非侵襲的に評価することに関する。
毎年、約300,000人の米国人が、突然心臓死(Sudden Cardiac Death:SCD)の結果死亡している。しかしながら、SCDの原因となる不整脈に関連する事象および仕組みは、まだ完全に理解されていない。心臓の電気的興奮波が不安定なことは、心臓の多様な悪性の不整脈およびフィブリル化(fibrillation)を結果としてもたらす可能性があり、突然心臓死の最も危険な原因の1つである。SCDからの死亡率を減少させる第1の予防手段は、心臓における電気的興奮の伝搬が不安定な個人を特定することである(リスク層化(risk stratification))。
心臓血管系は、主に心拍数を調整することによって生物学的な状態の変化に反応する。このことは、ECGのRR間隔の体表面測定値すなわち連続的なR波間の時間間隔から評価することができる。これらのR波は、2つの連続的な心拍間の時間間隔を示す。そのような調整は、通常ECGのQT間隔の持続時間における対応する変化と同時に発生する。このQT間隔は、心筋の電気的興奮の持続時間を特徴付けると共に、心筋の一定体積に対して平均化された活動電位の持続時間を示す(図1)。
現在では、心不整脈に対する個人の罹病性を評価するほぼ全ての主要な非侵襲的な方法には、QTおよび/またはRR間隔の空間的−時間的な分布の幾つかの解析が含まれる。実際に、QT間隔の分散は、心筋の再分極の不均質性の評価に基づいている(M. Zabelらの「Electrocardiographic indexes of dispersion of ventricular repolarization: an isolated heart validation study」、J. Am. Coll. Cardiol., 25、746-752 (1995);D.M. Mirvisの「Spatial variation of QT intervals in normal persons and patients with acute myocardial infarction」、J. Am. Coll. Cardiol., 5、625-631 (1985))。T波の交互方法(alternans method)は、T波の形態の交互的な拍動間の変動に関係する。このT波は、QT間隔としてECG上で視覚化された再分極期間の終端を表す(Kaplanらの米国特許第4,732,157号、1988年;Cohenらの米国特許第4,802,491号、1989年)。心臓の興奮の持続時間を反映するQT間隔の長さを含まない主な方法は、心拍数の変動性分析である(M. Malikによる「Heart rate variability: Standards of measurement, physiological interpretation, and clinical use」、Circulation, 93、1043-1065 (1996))。
コンピュータ技術における最近の進歩により、心拍数およびQT間隔の変動の自動分析に改善がもたらされた。心拍数(またはRR間隔)の変動分析とは別にまたはそれと組み合わせて行われるQT間隔の空間的変動(QT分散)を観察することにより、心不整脈の個々の罹病性の評価に対するツールが提供されることは、現在では周知である(B.SurawiczによるJ. Cardiovasc Electrophysiol, 7、777-784 (1996))。QTおよび他の間隔の空間的および時間的な両方の変動についての別の種類の評価は、Chamounによる米国特許第5,020,540号、1991年;Wangの米国特許第4,870,974号、1989年;Krollらの米国特許第5,117,834号、1992年;Henkinらの米国特許第5,323,783号、1994年;Xueらの米国特許第5,792,065号、1998年;Landerの米国特許第5,827,195号、1998年;Landerらの米国特許第5,891,047号、1999年;Hojumらの米国特許第5,951,484号、1999年の中で説明されているように、心不整脈に対する罹病性を評価するために適用された。
Dror Sadehおよび協力者(N Engl J Med, 317、1501-1505, (1987);Comp. in Card.125-127 (1987))は、平均QT間隔<TQT>の平均RR間隔<TRR>に対する依存性を研究した。彼らはそれをべき関数の形式で、一定の指数βを用いて、<TQT>=定数(<TRR>)βと表した。これは、古典的なバゼットの式(Bazett equation)に類似している(Bazett H.C.、Heart, 7、353-370 (1920))。彼らは健康な乳幼児と乳幼児突然死(sudden infant death:SID)を受けた乳幼児とを比較して、SIDの乳幼児のβの値が正常な乳幼児のβ値のわずか半分であることを見出した。
心臓の電気的不安定性は、QT分散方法の観察をECGのT波の交互方法と組み合わせることによって予測することもできることが最近見出された(Verrierらの米国特許第5,560,370号、5,842,997号、5,921,940号)。この方式は、突然の心臓死に対する危険に対して個人を識別および管理する上である程度有用である。この発明者らは、QT間隔の分散は長いQT症候群がある患者の不整脈に対する危険に関連していると報告している。しかしながら、T波の変化を同時に試験せずにQT間隔の分散だけでは、心臓の電気的不安定性を正確に予測することは難しいと言われている(米国特許第5,560,370号の列6、行4〜15)。
心臓突然死の予測に対するQT間隔の変動性についての別の出願は、J. Sarmaによって行われている(米国特許第5,419,338号)。彼は自律神経系試験の方法を説明している。この試験は、心臓に対する副交感神経および交感神経の両方の制御の間の不均衡を評価し、これにより、心臓突然死に対する傾向を示すように設計されている。
同じ発明者は、自律神経系の試験手順はQTヒステリシスに基づいて設計することができると提案されている(J.SarmaらのPACE 10、485-491 (1988))。運動と回復との間のQT間隔におけるヒステリシスが観察され、初期の運動後の期間における交感神経副腎の活動の結果であると考えられた。そのような活動は、RR間隔における変化にQT間隔が順応する過程に現れ、心臓の突然死に対する標識であると考えられた。
心臓周期の活動電位の持続時間(Action Potential Duration:APD)が一般に、全ての先行する心臓周期の長さに依存することは、十分に確立された生理学上の事実である。問題を容易にするために、生理学者は特別な実験プロトコル(S1−S2プロトコル)を使用する。この実験プロトコルによって、この複数パラメータの依存性は、わずか2つの主要なパラメータ、すなわちコンディショニングペーシング(conditioning pacing)(S1,S1,...,S1、同じ時間間隔Tcによって分離される)の期間Tcおよび直接先行する(試験)心臓周期の長さTtの依存性にまで減らされる。この期間Tcでサンプルは試験刺激(test stimulus)S2の前に一貫して刺激(訓練)され、長さTtは最後の刺激S1とその次の試験刺激S2との間の時間である(M.R. BoyettおよびB.R. Jewell、J Physiol, 285:359-380 (1978); V. ElharrarおよびB. Surawicz、Am J Physiol, 244:H782-H792 (1983))。回復結果の一貫性を得るために必要なコンディショニング時間、またはコンディショニング刺激の数は、別の重要で独立した媒体(組織)のパラメータを構成する。興奮性の媒体に関連する物理学は、安定性または不安定性の指標である回復過程の2つの特徴を指摘する、すなわち、2つの特徴の第1は偏導関数∂TQT/∂Ttの無次元値によって与えられた回復曲線の勾配であり、第2は波形が周期的になるために必要な最小の訓練時間または固有の遷移時間である。後者は、前述した生理学的な実験の中で実験的に見出されたコンディショニング時間と同様である。この遷移時間が長い場合、媒体は不安定領域に接近している。その接近は、ADPの長く活発な発振の存在および他の波形の特性を表している。そのような発振は生体外の実験の中で(L.H. FrameおよびM.B. Simpson、Ciculation, 78:1277-1287 (1988))および様々なモデルを使用するコンピュータのシミュレーションの中で観察されている(Courtemancheらによる、Phys Rev Lett, 14:2182-2185 (1993)、SIAM J Appi Math, 56:119-142 (1996)、Courtemanche, Chaos, 6:579-600 (1996)、Y. ChernyakおよびJ. Starobin、Crit. Rev. Biomed. Eng. 27:359 (1999)、T. HundおよびY. Rudy、Am J Physiol, 279: H1869-H1879))。これらの基本的な生理学的および物理的な事実は、本発明の全体的な基礎を構成している。
前述した現在の不整脈についてのマーカ形予測手段は、特定の前不整脈(proarrhythmic)の生理学的な状態においてのみ正確である。この状態は心筋の中で発生することもあるが発生しないこともある。このため、それらは高められた不整脈の危険を誤って示す可能性があり(偽陽性)、不要な電気生理学的(EP)な研究を結果として行う必要がある。この電気生理学的な研究は、心臓カテーテル法によって行われる。この方法は侵襲的で、高価であり、また多少危険な方法である。さらに、現在の方法の特異性は十分ではない。そのような欠陥の結果、前不整脈状況を見逃すことになり、必要な治療を行う機会を失うことになる。このため、心臓における前不整脈状態を感度が良く正確で非侵襲的に識別することは、未解決のある診断上のまた信号処理の問題である。この問題に対する解決策は、自動的にECGを記録するため、またそのQTおよび/またはRR間隔のデータセットを処理および取得するためのコンピュータ化されたホルターモニタ(Holter monitor)および同様の装置を容易に利用でき、それらが臨床上の応用に広く受け入れられているので、容易に行うことができる。
従って、本発明の目的は、患者の将来の心不整脈の危険を定量的に評価するための非侵襲的な技術を提供することである。
本発明の別の目的は、患者の将来の心不整脈の危険を定量的に評価するための、患者にとって過渡に不快またはストレスが多くない非侵襲的な技術を提供することである。
本発明の別の目的は、患者の将来の心不整脈の危険を定量的に評価するための、比較的容易な機器を用いて実行することができる非侵襲的な技術を提供することである。
本発明のさらに別の目的は、患者の将来の心不整脈の危険を定量的に評価するための、そのような危険レベルが低い不整脈に対して敏感な非侵襲的な技術を提供することである。
本発明は、従来技術における多くの欠陥を克服すると共に、不整脈として臨床的に現れる伝導の不安定性を結果として生ずる、心室内の電気的な心伝導の生理学的な変化を定量的に評価する方法を提供する。本発明は全体的に従来の不整脈の標識にリンクしており、さらに通常の体表面ECG信号の処理に基づいているが、従来の方式の中で見出されるような欠陥は存在しない。本発明は、心臓パラメータが電気的伝搬が不安定である生理学的なパラメータ領域に近いことを定量化する連続的な不安定性の測定を取り入れている。心伝導のパラメータが不安定な領域または安定な境界にある場合、極めて小さい摂動が成長することにより、悪性の不整脈の発生を引き起こすことがある。一般に、被験者の心室の状態が不安定な領域に近ければ、不整脈を引き起こすために必要となる摂動がその分小さくなるため、そのような被験者が不整脈を起こす危険は高い。リスク階層構造を規定する上でそのような感度は、前述した従来のマーカ形の危険評価方法を用いることでは不可能である。特に、従来の方法によって心不整脈に対する同じ罹病性を有するように思われる様々な人々は、本発明の方法によれば、異なる安定性の尺度を有することになる。個人に不整脈が発現する危険は、このように、本発明の方法を繰り返し適用することによって定量的に評価、モニタおよび比較することができる。
前の節で述べた基本的な科学的背景の事実に加えて、本発明は発明者らの以下のような発見にも基づいている。すなわち、
(a)末梢神経系の制御効果は、定常状態または準定常状態のもとでデータを収集することによって除外することができる。
(b)QTまたはRRのデータセットにおける遅い動向(slow trend)および変動は適当に処理することによって分離することができ、QTおよびRR値の動向とQTおよびRR値の変動との間の2つの別個の関係は適当な公式によって評価および近似することができる。
(c)そのようにして得られたQTおよびRR間隔の平均値間の関係(動向依存性(trend dependence))は、周期的なコンディショニング刺激の間の時間Tcにおける生理学的な(すなわち、S1−S2プロトコルの実験で得られた)APD依存性により識別することができる。
(d)そのようにして得られたQT間隔の変動と先行するRR間隔の変動との間の関係は、TcおよびTt間の差に対する最後の2つのAPDの差の関数依存性により識別することができる。
(e)変動分析は、非侵襲的な収集されたRRおよびQT間隔のデータから直接回復曲線の勾配を評価するために使用することができ、この勾配は不安定性の部分的な尺度(部分的な不整脈およびSCDリスクの尺度)として使用することができる。
(f)前述したAPDに変動がある場合、回復曲線は不明確にされ、QT間隔と先行するRR間隔との変動の間の相関は小さくされる必要がある。
(g)RR間隔の変動とおよびQT間隔の変動との間の相関係数は、非侵襲的に収集されたRRおよびQT間隔のデータセットを分析することによって評価された安定性の部分的な尺度(部分的不整脈およびSCDリスクの尺度)として使用することができる。
(h)両方の部分的な安定性の尺度の単調な関数の積は、被験者が不整脈を患う危険に対する1つの一般的な集合した尺度を構成する。
本発明は、1つには、生理学的な定常または準定常状態では、QTおよび/またはRR間隔のデータセットは、媒体(この場合、心筋)の回復特性の主要な依存性を非侵襲的に評価するために使用できるという発見に基づいている。このことは、興奮性の媒体におけるほぼ周期的な波形の安定性を求めるために周知である。外部の生理学的な条件が変化しないかまたは十分遅く変化して、平均の心拍数がほぼ一定である場合は、これは真実である。そのような場合は、交感神経副腎の活動によって制御された早いQT間隔の順応は、心拍数が相当変化する時期のかなり前に完了される。このため、交感神経副腎の活動は急速に、所定の値の一定または変化の遅い平均の心拍数におけるQT間隔の持続時間に対して著しく不適切なものになる。その結果、各QT間隔は主に2つのパラメータ、すなわち、平均の心拍数および先行する心臓の周期長に依存し、交感神経副腎の過渡現象へのその依存性は無視できるようになる。
本発明は、心拍数の遅い動向(slow trend)および早い時間的な変動は分離することができ、回復特性の生理学的なS1−S2プロトコルの研究において、それぞれコンディショニングペーシング速度および試験刺激を用いて識別することができるという発見にもある程度基づいている。このことは、一般に、心臓の伝搬の安定性に関連している。それにひきかえ、一定の生理学的な心拍数のしきい値以下で発生するT波の交替、QT間隔の空間変動(不均質性)、減少した心拍数の変動性、バセットのような公式における減少した指数の値およびQT−RRの自律神経系のヒステリシスがあるが、これら全ての定量的な指標は、心不整脈およびフィブリル化に対する感受性を示す。しかしながら、これらの方法の診断の値は、各分離された不整脈の標識から得られた予想を集めて定量化することができる、定量的な不整脈についての尺度が欠けているために限定される。
より具体的に言うと、T波の交互性技術は特定の不整脈惹起性の仕組みに関係している(D. Rosenbaum、J. Cardiovasc Elecrrophysiol, 12:207-209 (2001))。心拍数変動性の方法およびSarmaのQT−RRヒステリシス技術は、両方とも自律神経制御に関連した仕組みに関係している。QT(空間)分散は、波形分別機構(wave fractionation mechanism)に関連した分散不応性(dispersion refractoriness)の特定の仮説に関連している(M. Zabelらによる、J Am Coll Cardiol, 25:746-752 (1995); D.M. Mirvis、J Am Coil Cardiol, 5:625-631 (1985))。Sadehらの着想(N Engl J Med, 317:1501-1505, (1987); Comp in Card, 125-127 (1987))は、高められた心拍数から発生する伝導ブロックの特定の仕組みに限定される。従来の不整脈の指標がそのような性格であるため、それらの特異性は本質的に低減されている。これとは対照的に、本発明による方法は特定の仕組みに限定されず、伝搬の安定性についての一般的な尺度を提供する。このため、本発明の方法は、従来の方法と比較すると、十分に高い感度および特異性を有することが期待できる。
本発明の方法は、技術的に、QTおよびRRの時間的な変動並びにそれらの比較を同時に処理する点で、従来の技術とは技術的に異なっている。一方、従来技術の方法は、それらの平均値もしくは空間的変動、または心拍数の変動性の場合は、QTの変動に対して何らかの基準がないと考えられる時間的なRRの変動のいずれかに関係している。
上記に基づいて、本発明は心伝導の安定性に対する計量可能な方法および尺度を提供する。この方法により、心臓が最低限の安定性の境界に実際に近いことを判断することができ、これにより、不整脈が特定の被験者に将来発生する危険を評価することができる。
本発明の第1の態様は、被験者の心臓血管の健康状態についての尺度を提供するための、その被験者の心不整脈およびSCDに対する危険を評価する方法である。この方法は下記のようなステップから構成する、すなわち、
(a)(i)心拍数が徐々に増加する段階、(ii)心拍数が徐々に減少する段階、または(iii)心拍数が徐々に増加する段階および心拍数が徐々に減少する段階の両方、または(iv)心拍数が一定の段階、の間に被験者から少なくとも1つのQTおよびRR間隔のデータセットを収集するステップと、
(b)前記少なくとも1つのQTおよびRR間隔のデータセットにおける遅い動向から変動を分離するステップと、
(c)前記QTおよびRRの変動を互いに比較して、それらの間の関係および相関を求めるステップと、
(d)ステップ(c)の比較から、直ぐ後のQT間隔の変動に対するRR間隔の変動の効果が大きいことが前記被験者の心不整脈およびSCDの危険が大きいことを示す、前記被験者における心不整脈の危険に対する第1の部分的な尺度を発生するステップと、
(e)ステップ(c)の比較から、RR間隔の変動とQT間隔の変動との間の相関が小さいことが前記被験者の心不整脈の危険が大きいことを示す、前記被験者における心不整脈およびSCDの危険に対する第2の部分的な尺度を発生するステップと、
(f)ステップ(d)およびステップ(e)から、第1の部分的な尺度の値が大きいことが、合算された尺度(aggregated measure)の値が大きいことを示し、第2の部分的な尺度の値が大きいことが合算された尺度の値が大きいことを示し、また集合基準の値が大きいことが心不整脈およびSCDの危険が大きいことを示すような、前記被験者の心不整脈およびSCDの危険についての合算された尺度を発生するステップと、
から構成される。
本発明の第2の態様は、被験者における心不整脈の危険を評価する方法である。前記方法は、下記のようにコンピュータシステム上で実行されるステップから構成する、すなわち、
(a)(i)心拍数が徐々に増加する段階、(ii)心拍数が徐々に減少する段階、または(iii)心拍数が徐々に増加する段階および心拍数が徐々に減少する段階の両方、または(iv)心拍数が一定の段階、の間に被験者から収集された少なくとも1つのQTおよびRR間隔のデータセットを提供するステップと、
(b)前記少なくとも1つのQTおよびRR間隔のデータセットにおける遅い動向から変動を分離するステップと、
(c)前記QTおよびRRの変動を互いに比較して、それらの間の関係および相関を求めるステップと、
(d)ステップ(c)の比較から、直ぐ後のQT間隔の変動に対するRR間隔の変動の効果が大きいことが前記被験者の心不整脈およびSCDの危険が大きいことを示す、前記被験者における心不整脈の危険に対する第1の部分的な尺度を発生するステップと、
(e)ステップ(c)の比較から、RR間隔の変動とQT間隔の変動との間の相関が小さい場合は前記被験者の心不整脈の危険が大きいことを示す、前記被験者における心不整脈およびSCDの危険に対する第2の部分的な尺度を発生するステップと、
(f)ステップ(d)およびステップ(e)から、第1の部分的な基準の値が大きいことが集合基準の値が大きいことを示し、第2の部分的な基準の値が大きいことが集合基準の値が大きいことを示し、また集合基準の値が大きいことが心不整脈およびSCDの危険が大きいことを示すような、前記被験者の心不整脈およびSCDの危険についての集合基準を発生するステップとから構成される。
本発明の別の態様は、被験者における心不整脈の危険を評価するためのコンピュータシステムである。このシステムは下記から構成する、すなわち、
(a)(i)心拍数が徐々に増加する段階、(ii)心拍数が徐々に減少する段階、または(iii)心拍数が徐々に増加する段階および心拍数が徐々に減少する段階の両方、または(iv)心拍数が一定の段階、の間に被験者から収集された少なくとも1つのQTおよびRR間隔のデータセットを提供する手段と、
(b)前記少なくとも1つのQTおよびRR間隔のデータセットにおける遅い動向から変動を分離する手段と、
(c)前記QTおよびRRの変動を互いに比較して、それらの間の関係および相関を求める手段と、
(d)ステップ(c)の比較から、直ぐ後のQT間隔の変動に対するRR間隔の変動の効果が大きいことが前記被験者の心不整脈およびSCDの危険が大きいことを示す、前記被験者における心不整脈の危険に対する第1の部分的な尺度を発生する手段と、
(e)ステップ(c)の比較から、RR間隔の変動とQT間隔の変動との間の相関が小さい場合は前記被験者の心不整脈の危険が大きいことを示す、前記被験者における心不整脈およびSCDの危険に対する第2の部分的な尺度を発生する手段と、
(f)ステップ(d)およびステップ(e)から、第1の部分的な尺度の値が大きいことが集合尺度の値が大きいことを示し、第2の部分的な尺度の値が大きいことが集合尺度の値が大きいことを示し、また集合尺度の値が大きいことが心不整脈およびSCDの危険が大きいことを示すような、前記被験者の心不整脈およびSCDの危険についての集合尺度を発生する手段とから構成される。
本発明の別の態様は、(i)心拍数が徐々に増加する段階、(ii)心拍数が徐々に減少する段階、または(iii)心拍数が徐々に増加する段階および心拍数が徐々に減少する段階の両方、または心拍数が一定の段階、の間に被験者から収集された少なくとも1つのQTおよびRR間隔のデータセットから被験者における心不整脈の危険を評価するためのコンピュータプログラム製品である。このコンピュータプログラム製品は、媒体の中に組み込まれたコンピュータが読取り可能なプログラムコード手段を有するコンピュータが使用可能な記録媒体を備え、このコンピュータが読取り可能なプログラムコード手段は、
(a)前記少なくとも1つのQTおよびRR間隔のデータセットにおける遅い動向から変動を分離するためのコンピュータが読取り可能なプログラムコード手段と、
(b)前記QTおよびRRの変動を互いに比較して、それらの間の関係および相関を求めるためのコンピュータが読取り可能なプログラムコード手段と、
(c)ステップ(b)の比較から、直ぐ後のQT間隔の変動に対するRR間隔の変動の効果が大きいことが前記被験者の心不整脈およびSCDの危険が大きいことを示す、前記被験者における心不整脈の危険に対する第1の部分的な尺度を発生するためのコンピュータが読取り可能なプログラムコード手段と、
(d)ステップ(b)の比較から、RR間隔の変動とQT間隔の変動との間の相関が小さい場合は前記被験者の心不整脈の危険が大きいことを示す、前記被験者における心不整脈およびSCDの危険に対する第2の部分的な尺度を発生するためのコンピュータが読取り可能なプログラムコード手段と、
(f)ステップ(d)およびステップ(e)から、第1の部分的な尺度の値が大きいことが集合尺度の値が大きいことを示し、第2の部分的な尺度の値が大きいことが集合尺度の値が大きいことを示し、また集合尺度の値が大きいことが心不整脈およびSCDの危険が大きいことを示すような、前記被験者の心不整脈およびSCDの危険についての集合尺度を発生するためのコンピュータが読取り可能なプログラムコード手段とを備える。
本発明は、以下に記載する図面および明細書の中でより詳細に説明される。
本発明を以下のように一層詳細に説明する。この説明は、本発明の特定の要素を実現することができる全ての種々の方法の詳細な総覧となることを意図してはいない。また当面の開示に基づく多数の変形例が、当業者には明らかになるであろう。
当業者は理解するであろうが、本発明のある態様は、方法、データ処理システム、またはコンピュータプログラム製品として具体化することができる。従って、本発明のある態様は、完全にハードウェアの実施形態、完全にソフトウェアの実施形態、またはソフトウェアおよびハードウェアの態様を組み合わせた実施形態の形式を取る。さらに、本発明のある態様では、媒体の中に組み込まれたコンピュータが読取り可能なプログラムコード手段を有するコンピュータが使用可能な記録媒体上のコンピュータプログラム製品の形態が採用できる。ハードディスク、CD−ROM、光記憶装置および磁気記憶装置を含む任意の適当なコンピュータが読取り可能な媒体を使用することができるが、これらに限定されることはない。
本発明のある態様を、方法、装置(システム)、およびコンピュータプログラム製品のフローチャートについての説明を参照して以下のように説明する。フローチャートの説明の各ブロックおよびフローチャートの説明におけるブロックの組み合わせは、コンピュータプログラムの命令によって実行できることは理解されよう。これらのコンピュータプログラムの命令は、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、または計器のような機械を作るための他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサに送られる。これらの命令は、コンピュータまたは他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサを介して実行され、フローチャートのブロックの中で指定された機能を実行する手段を作り出す。
コンピュータまたは他のプログラム可能なデータ処理装置を特定の方法で機能させることができるコンピュータプログラムの命令を、コンピュータが読取り可能なメモリの中に記憶して、コンピュータが読取り可能なメモリ内に記憶された命令がフローチャートのブロックの中で指定された機能を実行する命令手段を含む製品を作ることもできる。
コンピュータプログラムの命令をコンピュータまたは他のプログラム可能なデータ処理装置にロードし、一連の動作ステップをコンピュータまたは他のプログラム可能なデータ処理装置上で実行させて、コンピュータの実行による処理を行い、コンピュータまたは他のプログラム可能な装置上で実行される命令がフローチャートのブロックの中で指定された機能を実行するステップを提供することもできる。
[1.定義]
本願で用いられる「心不整脈」とは、心房および心室の不整脈を含む全ての種類の心不整脈のことを指す。実施例には早発性の心室収縮および上室性収縮、心房粗動、心室および上室性頻脈並びに心室および上室性フィブリル化が含まれるが、これらに限定されることはない。
本願で用いられる「運動」とは、持続した動かない休止状態においてよりも心拍数が高くなる、被験者の自主的な骨格筋の活動のことを指す。運動の例には、サイクリング、ボート漕ぎ、ウェイトリフティング、散歩、ランニング、階段の昇降などが含まれるが、これらに限定されない。これらの運動はトレッドミルなどの静止した装置上でまたは静止しない環境の中で実行することができる。
「運動負荷」または「負荷レベル」は、被験者の心拍数がより高くなる所定の運動に対してより大きな負荷または負荷レベルを用いる、特定の運動の相対的な激しさのことを言う。例えば、ウェイトリフティングではウェイトの量を増加することにより、負荷を増加することができ、ウォーキングまたはランニングでは、速度を増すことによりおよび/またはウォーキングまたはランニング面の勾配すなわち傾斜を大きくすることによって、負荷を増加することができる。
運動負荷を「徐々に増加すること」および「徐々に減少すること」とは、複数の様々な順次増加または順次減少する負荷のもとで、被験者に運動をさせる運動のことを指す。シーケンスのステップ数は無限にすることができるため、負荷を徐々に増加および徐々に減少するという用語には、それぞれ、連続的に負荷を増加および減少することが含まれる。
「介在する休息」とは、心臓刺激を高めた後の段階に関して用いられる場合は、はっきりした交感神経副腎の応答を引き起こすように、心臓刺激を極めて急激に減少すること(例えば、運動負荷の急速な減少)によって開始された時間の段階のことを言う。このため、介在する休息の段階は、急速な交感神経副腎の調整(後述の実施例6の中でさらに詳細に説明する)によって特徴付けられ、介在する休息の段階を含めることにより、準定常的な運動(または刺激)のプロトコルを使用しないで済む(以下の実施例7でさらに説明する)。
「ヒステリシス」とは、外部の状態が変化する場合の生理的影響による遅滞のことを指す。
「心電図」すなわち「ECG」は、心筋の外部の1つ以上の位置から得られた局所的な電位場の連続的または逐次的な記録(またはそのような記録のセット)のことを指す。この場は、多数の心臓の細胞の結合された電気的活動(活動電位の生成)によって生成される。記録電極は皮下に埋め込むか、または被験者の通常は胸部の皮膚の表面に一時的に取り付ける。ECG記録には、一般的には、ゼロ、またはグラウンド電位の部位を含む任意の2つの記録部位間の電位差を示す、単一リード線のECG信号が含まれる。
「準定常状態」とは、外部状態における緩やかな変化、および/またはそれが引き起こす生理学的応答が交感神経/副交感神経の制御およびホルモンの制御によるいかなる対応する調整よりも遅く発生する任意の状況のことを指す。外部状態の変化の代表的な時間をτextで示し、τintが内部の交感神経/副交感神経の制御およびホルモンの制御の最も早い代表的な時間であるとすると、「準定常状態」はτext>>τintを表わす(例えば、τextはτintよりも少なくとも約2,3,4または5倍大きい)。運動負荷の急な変化は、準定常または非準定常のいずれかである。「非準定常な急な変化」とは、交感神経/副交感神経の制御およびホルモンの制御の速度と比較すると外部状態の極めて急速な変化に対応する、準定常状態とは反対の状況のことを指す。すなわち、それはτext<<τintとなることが必要である(例えば、τextはτintよりも少なくとも約2,3,4または5倍小さい)。「準定常な急な変化」とは、運動負荷の比較的早い変化のことを指す。例えば、変化は極めて大きな運動負荷により先行され、遅い準定常な回復周期が観察されるため、これはそれでも準定常である。
「QTおよびRRのデータセット」は、心筋を通って広がる活動電位を含む電気信号の時間的経過の記録を指す。どのような単一リード線のECG記録にも、通常QRSの複合波と呼ばれ、心室を通る活動電位の前部が伝搬することにより生成される3つの連続した鋭い振れのグループが含まれる。対照的に、心室組織の電気的回復が、T波として周知の比較的小さい振れとしてECG上に見られる。心臓周期間の時間間隔(すなわち、連続したR波の最大値の間)はRR間隔と呼ばれ、一方活動電位の持続時間(すなわち、QRS複合波の開始とその後のT波の終端との間の時間)はQT間隔と呼ばれる。これらの間隔の別の定義も、本発明の枠組みの中で同様の意味合いで使用することができる。例えば、RR間隔は、2つの連続するR波上の、同様の変曲点のような、任意の2つの同様の点間の時間、または心臓の周期長を測定する他の方法として定義することができる。QT間隔は、Q波のピークとT波のピークとの間の時間間隔として定義することができる。このQT間隔は、Q波の始点(または中心)と時間軸(ベースライン)上の点として定義されるその後のT波の終点との間の時間間隔、または活動電位の持続時間を測定するための任意の他の方法として定義することもできる。T波の終点で、時間軸はT波の下降ブランチの線形の外挿と交差し、その変曲点で開始する。拍動ベースでまたは任意の所定の拍動サンプリング速度のベースで蓄積された始点または終点の時刻で同時に順序付けられたそのような間隔の持続時間のセットは、対応するQTおよびRR間隔のデータセットを形成する。このため、QTおよびRR間隔のデータセットは、2つのQT間隔関連の配列{TQT,1,TQT,2,...,TQT,n}および{t1,t2,...,tn}を含み、2つのRR間隔関連の配列{TRR,1,TRR,2,...,TRR,n}および{t1,t2,...,tn}も含む(配列{t1,t2,...,tn}は、QTデータセット内の同様の配列と正確に一致すると一致しない場合がある)。
次の定義では、C[a,b]は、区間[a,b]上の連続関数f(t)のセットを示す。{ti},i=1,2,...,Nは、[a,b]からの点のセットを示す、すなわち、{ti}={ti:a≦ti≦b,i=1,2,...,N}および{f(ti)}である。ここで、f∈C[a,b]は、点{ti}における関数fの値のセットを示す。マトリックス動作では、量τ={ti},y={f(ti)}は、列ベクトルとして扱われる。ENは、距離RN(x,y),x,y∈ENのN次元の距離空間を示す。(RN(x,y)は点xとyとの間の距離と言われる。)(全)変化量
Figure 2005514099
は、C[a,b]から任意の絶対連続関数Fに対して積分として定義される(スティルチェス積分)。
Figure 2005514099
区間[a,b]上で単調な関数Fに関して、その変化量は単に|F(a)−F(b)|となる。関数F(t)が交互的な最大値および最小値を有する場合、Fの全変化量は、単調性の間隔上のその変化量の合計である。例えば、最小値および最大値の点がx1=a,x2,x3,...,xk=bの場合、
Figure 2005514099
となる。
「データセットの全変化量」:
データの点が{yi}={y1,y2,...,yn}である場合、データセットの全変化量は下記の式で定義される。
Figure 2005514099
「フィッティング(最良のフィッティング)」:
Figure 2005514099
をC[a,b]のサブセットとする。
Figure 2005514099
の場合は、連続した関数
Figure 2005514099
は、データセット{xi,ti}(i=1,2,...,N)に対する距離RNに関してクラス
Figure 2005514099
の「(最良の)フィット(または最良のフィッティング)関数」と呼ばれる。この時、RNの最小値はフィットのエラーと呼ばれる。
Figure 2005514099
からの関数f(t)は、試行関数と呼ばれる。
大抵の場合、ENはユークリッド距離を有するユークリッド空間を意味する。この時、エラーRNはここで良く知られている二乗平均平方根エラーになる。フィットが通常試行関数の特定のパラメータ化、および/または試行関数が所定の点を通過するおよび/または所定の点において所定の値の勾配を有するという必要条件としての制約を意味するため、フィットはサブセット
Figure 2005514099
上で実行される。
「スムーザー関数(smoother function)(平滑度の比較)」:
f(t)およびg(t)を、この区間上で絶対連続導関数を有するC[a,b]からの関数とする。
Figure 2005514099
が成立し、かつ、
Figure 2005514099
の場合、関数f(t)は関数g(t)「よりも平滑である」という。
ここで、素数は時間導関数を表し、等号のない不等式(strict inequality)は、関係式(D.5)および(D.6)の少なくともいずれかにおいて成立する。
「スムーザーセット」:
セット{xi,ti}(i=1,2,...,N)がセット{x’j,t’j}(j=1,2,...,N’)と同じ又はより小さいエラーで同じクラスのスムーザー関数f(t)にフィットすることができる場合、前者は、後者よりも「平滑である」という。スムーザーデータセットが小さい全変動を持つようにすることができる。
「データセットのスムージング」:
データセット(x,t)≡{xi,ti}(i=1,2,...,N0)の下記の形式の別のセット(y,τ)≡{yj,τj}(j=1,2,...,N1)への(線形)変換は、後者のセットが前者よりも平滑である場合は「スムージング」と呼ばれる:
y=A・x,τ=B・t 式(D.6)
ここで、AおよびBはN1×N0のマトリックスである。{yj,τj}を「平滑化されたセット」と呼ぶことができる。
データ区間上の「動向」(trend)とは、結果として生ずる動向からの偏差がゼロサム(zero sum)であるという制約のもとで、未加工のデータ区間からローパスフィルタ処理によって一般に得られたデータセットである。本願を実施する特定の場合においては、区間上の未加工データを最低次数の多項式(線形または二次の多項式、後者はデータセットが1つの極値、すなわち極小値または極大値を含む場合に用いられる)に適合することによって得られた最も平滑なデータセットとして、動向が評価される。動向の全変動は、未加工のデータ区間の全変動よりも常にはるかに小さい。
「定常データ区間」とは、その動向の変動が無視できるデータ区間である。
「遅い動向」とは、変動は小さいが無視できる程度ではない動向である。準定常プロトコル(実施例7を参照のこと)のもとで得られた動向は遅い動向である。遅い動向を取り入れているデータが収集される間の段階の持続時間は、ピーク負荷の心拍数(一般に、120から150拍/分)から休止の心拍数(一般に、50から70拍/分)への運動を急に停止させた後の心拍数の調整の平均持続時間(約1分)よりも約1桁(例えば、少なくとも約2,3,4,5または10倍)長いことが必要である。
本願で用いられるようなデータ区間上のQTまたはRR間隔の「変動」(fluctuation)または「急速な変動」(fast fluctuation)は、この特定のデータ区間に対応するQT(または、それぞれ、RR)の遅い動向からのゼロサム偏差のセットを指す。従来の変動に関する尺度は、標準二乗平均平方根偏差(STD)である。QT(またはRR)間隔の変動の一般的なSTDの値は、準定常状態のもとで全負荷段階の間のQT(または、それぞれ、RR)間隔の動向の全変動よりも1桁(例えば、少なくとも約2,3,4,5または10倍)小さい。
「瞬時回復依存性」とは、QT間隔の変動対RR間隔の変動を示す曲線のことを指す。ここで変動とは、対応するQTおよびRRの遅い動向からのゼロサム偏差として理解される。
[2.回復特性]
図1は、心筋の中で生成されその全体積にわたって合計された周期的な活動電位(AP、上側のグラフ20)と、体表面上で発生し心電図(ECG、下側のグラフ21)として記録されている電気信号との時間的な位相間の対応を示す。この図は、2つの規則的な心臓周期を示す。活動電位の上昇運動の間、QRS複合波が形成される。その複合波は、下側パネル上にマークされた3つの波形、Q,RおよびSから構成される。活動電位の回復段階は、APプロット上のその落ち込みおよびECGプロット上のT波によって特徴付けられる。活動電位の持続時間(APD)はQ波とT波との間の時間によって適切に示され、従来はQ波の始点からその後のT波の終点まで測定されたQT間隔として定義されることが分かる。連続したR波間の時間(RR間隔)は、心臓周期の持続時間を示し、一方その逆数の値は対応する瞬間の心拍数を示す。発明者らは、下記のように周期長によりRR間隔(持続時間)を、APDによりQT間隔(持続時間)を識別する。
<回復曲線および回復関数>
脱分極後に回復するためおよびその後の活動電位の波形を伝えるための心筋組織の能力は、組織の回復特性の中で反映される。完全に回復してない組織が刺激される場合、その後の活動電位は明白ではなく、APDは短い。このことは、伝統的に回復特性の尺度として機能している。興奮性の組織、特に心臓組織の回復特性を体外測定することにより、所定の例えば(n+1)番目の活動電位Tn+1 APの持続時間は一般に全ての先行する心臓の周期長T1,T2,...,Tn+1に依存することが明らかにされる。このことは、下記の一般的な回復関係式として表すことができる。
n+1 AP=rg(T1,T2,...,Tn+1) 式(R.1)
n番目の活動電位Tn+1 APは試験活動電位と呼ばれ、一方その直前の心臓周期は試験心臓周期と呼ばれる。試験APD上の試験心臓周期の長さTn+1の効果は、最もはっきりしている。心臓周期Tkがより離れると、その効果は、試験周期からの分離|n+1−k|が増加するにつれて減少する。しかしながら、多くの離れた周期の合計した効果は、極めて大きくなることがある。これら2つの主要な効果は、図1Bに示した特別なS1−S2プロトコルを用いる従来の生体外における回復測定の中において考慮されている。このS1−S2プロトコルによれば、APDなどの全ての観察される特性が刺激周期Tcで周期的になるまで、周期がTcのn個の同一の刺激S1の周期的なペーシングシーケンス(pacing sequence)によって、組織が最初に訓練(コンディショニング)される。次に、最後の(n番目の)コンディショニング刺激S1の後で、Ttの遅延を可変できる試験刺激S3が加えられる(Bass B.G. Am. J. Physiol. 228:1717-1724, (1975))。そのようなプロトコルのもとでは、S1,S1,...,S1−S2のシーケンスの最後の、(n+1)番目の試験波形のAPDおよび他の定量的な特性は、コンディショニングの周期長Tcおよび試験の周期長Ttの関数になる。APDの場合は、そのような関数は回復関数r(Tt,Tc)と呼ばれ、下記のような一般的な回復関数rgによって表すことができる。
n+1 AP=rg(Tc,Tc,...,Tc,Tt)≡r(Tc,Tt) 式(R.2)
APDはQT間隔によって表され、周期長はRR間隔で示されるため、ECGの項の回復関数は下記の形式で提示することができる。
t QT=r(Tc RR,Tt RR) 式(R.3)
ここで、Tt RRおよびTc RRは、それぞれ試験およびコンディショニングのRR間隔である。回復関数r(*,*)の第1および第2の引数が独立していることが重要である。その理由は、S2およびS1の刺激の間に任意の遅延を実験的に設定できるためである。試験の周期長Ttがコンディショニングの周期長Tcと等しい場合、その後のAPDはコンディショニングAPDと一致する必要があり、下記の式が成立する。
c QT=r(Tc,Tc)=r(Tc RR,Tc RR) 式(R.4)
新しい心臓周期の前の休止時間は拡張期の間隔(diastolic interval)TDIによって測定され、このため、回復特性はTc上のAPDおよび直前のTDIに依存するとして示されることが多い(Bass B.G. Am. J. Physiol. 228:1717-1724, (1975))。RR間隔は全心臓周期の持続時間を示すため、任意のk番目の周期は下記のように示される。
k RR=Tk DI+Tk QT 式(R.5)
特に、試験DIは定常状態およびコンディショニングの活動電位により先行されるため、下記の式が成立する。
t RR=Tt DI+Tc QT 式(R.6)
式(R.4),(R.6)および(R.3)によれば、回復特性は下記のように同等に表すことができる。
t QT=r(Tc RR,Tt DI+Tc QT
=r(Tc RR,Tt DI+r(Tc RR,Tc RR))
≡R(Tc RR,Tt DI) 式(R.7)
関数R(Tt,Tc)は、臨床的な基準に対しては関数r(.,.)が好ましいが、体外実験についての回復関数の最も伝統的な形式である(Bass B.G. Am. J. Physiol. 228:1717-1724, (1975); M.R. BoyettおよびB.R. Jewell、J Physiol, 285:359-380 (1978); V. ElharrarおよびB. Surawicz、Am J Physiol, 244:H782-H792 (1983))。実際の心伝導が回復関係式および回復曲線の幾つかの定量的な特性に従う両方の程度は、心伝導の安定性において重要な役割を演ずる。
<QTおよびRR間隔の時系列に対する臨床的にアクセス可能な測定による回復曲線の表示>
回復特性の心拍数依存性により、それが外部制御されているS1,S1,...,S1−S2のペーシングシーケンスを加える必要があると思われるため、非侵襲的な臨床的評価に対して深刻な困難がもたらされる。このシーケンスを加えることは、一般に侵襲的な方法によってのみ行われる。
発明者らは本願で、一定の(またはほとんど一定の)心拍数でRRおよびQT間隔の変動を測定および比較することにより、実際の心拍数依存の回復関数を非侵襲的に評価できるようにする方法を説明する。この回復曲線を非侵襲的に臨床測定する発想は、心臓の活動が定常または準定常な期間に、心臓のリズムの変動を心臓の周期長が平均の遅い変化と急速な拍動間の変動とに分離することができるという事実に基づいている。前者は系統的な変動のように見えるが、後者はランダムのように思われる。自然の心臓ペースメーカユニットである洞房(sino-atrial:SA)結節が発生したペーシングシーケンスを、下記のように、前記のS1,S1,...,S1−S2のシーケンスに例えることができる。定常状態では、SA結節は、周期長が平均のコンディショニング値Tcの回りに変動する、ほぼ周期的なペーシング信号を発生する。洞房結節によって刺激されたシーケンスにおける最後の波形の累積の特性は、コンディショニングペーシングの心拍数への依存性に極めて似通った平均の心拍数に依存する。他方では、(心臓が埋め込まれたペースメーカによって駆動されない場合は)心臓の周期長には常にいくらかの変動がある。そのような変動のために、任意の活動電位が与えられる直前の心臓の周期長が変動し、試験のS1−S2間隔の実験による変動に酷似する。これは、自然のペーシングシーケンスS1,S1,...,Sn−Sn+1は実験室のシーケンスS1,S1,...,S1−S2のように極めてよく観察することができることを意味する。唯一の相違は、コンディショニングの周期長は厳密に一定ではなく変動していることである。
先行するRR間隔T1,T2,...,Tnが平均値<Tk>≡Tcの回りに変動する場合の生理学的な静止状態を考察すると、下記の式を得ることができる。
k=Tc+δTk,<δTk>=0 式(R.8)
式(R.8)を式(R.1)に代入すると、下記の式が得られる。
n+1 AP=rg(Tc+δT1,Tc+δT2,...,Tc+δTn,Tn+1) 式(R.9)
変動δTkが小さいため、この関係式をテイラー級数に拡張して一次の中で得ることができる。
Figure 2005514099
実験的に有意義な観察可能な値は、確率変数の期待値(平均値)によって与えられる。このため、関係式(R.10)を平均して、<Tn+1 AP>を評価する必要がある。<δTk>=0である事実を考慮して、式(R.2)を使用すると、最終的に下記の式が得られる。
<Tn+1 AP>=rg(Tc,Tc,...,Tc,Tn+1)≡r(<Tk>,Tn+1) 式(R.11)
明示しないが、平均化は最初のn個の心臓周期について行なわれ、n+1番目の試験周期を含まない。式(R.11)の意味は<Tn+1 AP>=<TAP>+δTn+1 APおよびTn+1=Tc+δTn+1であることを思い起こすとより良く理解することができ、これにより、式(R.11)は下記の形式で動向と変動との間の関係式として表すことができる。
δTn+1 AP=r(Tc,Tc,+δTn+1)−<TAP> 式(R.12)
従って、興奮性媒体(excitable medium)の回復特性は、APDおよび心臓の周期長の動向値および変動の両方に依存する。APD(TAP)および心臓の周期長(Tc)はそれぞれQTおよびRR間隔の持続時間(長さ)として非侵襲的に評価することができるため、式(R.12)は提案された技術に対して基礎となる。このため、式(R.12)は下記のように、非侵襲的に測定可能な量として表すことができる。
δTn+1 QT=r(<Tc RR>,<Tc RR>+δTc RR)−<Tc RR> 式(R.13)
最後の変動が小さくないと仮定されることが重要である。式(R.13)によれば、回復特性はRRおよびQT間隔の動向値および変動の両方に依存する。このことは、勾配および高次の導関数のような回復曲線の様々な特性は、RRおよびQT間隔の拍動間の変動(平均値からの偏差は小さい)の同時測定から評価することができることを意味する。第1のステップは、動向および変動を決定すること、すなわち、動向および変動をもとのデータの時系列から分離することである。動向および変動を明白に分離できる十分な条件は、心拍数がデータ収集の各期間の間にごく僅かしか変動せずに、システムが一定の心拍数に対応する1つの状態にあると考えられることである。
これらの条件は、データ収集時間の区間があまり長くない場合、例えば15秒から60秒の場合は、準定常の運動プロトコルの間に極めて良く満足される。これは、準定常の条件には、RR間隔の変動が確実に十分小さくなるように運動負荷が十分に大きいという必要条件、および心拍数がゆっくり変化して心拍数の全変動も十分に小さいという必要条件が含まれるためである。
[3.安定性(不整脈の危険)の基準]
物理的な観点からすると、何らかの1つの心臓のリズムから別のリズムへ移行することは、心臓における周期的な活動電位波形の不安定性の現れである。特に、不整脈は一般に活動電位の不安定な伝搬から発展する。従って、臨床的に評価することができ、ある経験的な基準と比較することが可能であり、またこれにより、心伝導および評価された個人が不整脈に発展する危険の安定性/不安定性の定量的な基準として役に立つ安定性の尺度を見出すことが重要である。
<第1の部分的安定性の尺度および基準>
周期的な活動電位の波形の定常伝搬は、波形のパラメータが分散曲線の安定ブランチに対応する場合のみ可能であることは、種々のモデルに対して立証されている(例えば、J. RinzelおよびJ. Keller、Biophys J 13:1313-1337 (1973);Feldman, Y. ChernyakおよびR Cohen、Phys Rev, E57:7025-7040 (1998); Y. Chernyak J. StarobinおよびR. Cohen、Phys Rev E58:R4108-R4111 (1998))。この分散曲線上では、波形の周波数が増加すると伝搬速度が減少する。これは安定な定常伝搬に対して必要な条件である。また、Y. ChernyakおよびJ. Starobin(Crit Rev Biomed Eng, 27:359-414 (1999))の中で示すように、分散曲線の安定ブランチは、垂直勾配を有する点によって不安定なブランチから分離される。Y. Chernyak J. StarobinおよびR. Cohenが開発した技術(Phys Rev E58: R4108-R4111 (1998))を用いると、周辺の安定な点において、回復関数が必要条件
s≡∂r(Tc RR,Tt RR)/∂Tt RR≡r’t(Tc RR,Tt RR)=∞ 式(S.1)
を満足させることを証明できる。ここで、添え字tは、この導関数が偏導関数であり、第2の変数すなわち試験のRR間隔に関連して取られることを示す。根本的な一般概念は、周期的な波形の定常伝搬は波形のパラメータが分散および回復曲線の安定な部分に対応しない場合は本質的に可能でないことである。伝搬が非定常になる場合、これらの不安定性を複雑なリズム(不整脈)が発生する前兆と予想することができる。式(S.1)によれば、周期的な波形は導関数r’tが無限大である場合は不安定な方法で伝搬する。
Courtemanche、GlassおよびKeenerは、回復特性が伝導の安定性を決定すると示唆して、近似理論を展開した(Phys. Rev. Lett., 14, 2182-2185(1993), SIAM J. Appl. Math., 56, 119-142(1996))。1つの筋細胞内の電気的活動を周期的にダブリングするための安定条件は、Glassおよび協力者によって発見された(Guevara ら、Science, 214: 1350-1353 (1981), Glass 1984)。そのような不安定性の基準は、回復曲線の勾配sの点から下記のように表すこともできる。
s≡rt’(Tc RR,Tc RR)=1 式(S.2)
心拍数が正常な健康な被験者の勾配r’tは0.1程度とかなり小さいことに注意することは重要である。これは、QT間隔がRR間隔よりも常にかなり短いためである。従って、両方の条件、式(S.1)および式(S.2)は、勾配は正常な個人に対して一般的なものよりも著しく大きいことを示す。これらの式は、導関数が十分に大きくなる場合は不安定性が生じることを予想する必要があることを示す。安定性の境界の近傍で複雑で準定常なリズムが発生することを示す、心臓組織の特定のモデルを用いる補強証拠が発見された(I. Schwartz、I. Triandaf.、J. StarobinおよびY. Chernyak、Phys Rev E61:7208-7211, (2000))。このため、導関数r’tの値は周期的な心臓の波形に対する安定性の尺度として有用である。
従って、種々の方式で得られた安定性の基準は、安定性の尺度すなわち偏導関数r’tの値によって表すことができる。これらの結果は、勾配s=r’tが流体力学におけるレイノルズ数または対流理論(convection theory)におけるオイラー数に類似した主要な安定性の尺度を構成することを示す。流量のレイノルズ数がある基準値に達すると、層流モードと乱流モードとの間の移向が発生する。流体力学では、基準値は幾何学的形状に依存し、断面が円形または四辺形の流れに対していくらか異なる。レイノルズ数の特定の基準値は、実験から特に幾何学的形状が複雑な場合に通常見出される。しかしながら、無次元のレイノルズ数の概念は、安定性についての一定な基準を提供する。同様に、無次元の勾配s=r’t(Tc,Tc)は、無次元の安定性の尺度として使用できる。心臓の周期長TRRが所定の平均である場合の心臓のリズムの安定性についての必要条件は、下記の形式で示される。
Figure 2005514099
ここで、
Figure 2005514099
は定常または準定常なRR間隔の平均値であり、scritは勾配sの臨界値である。この勾配sは、理論的に評価することができおよび/または実験および観察から見出すことができる。
Figure 2005514099
における両方の引数が等しいという事実は、後述する式(F.19)の微分から得られる。式(S.3)は安定性の基準についての一般的な構造を有する。この安定性の基準においては、安定性の尺度の実際の値とその基準値とが比較される。この安定性の基準、式(S.3)は、単調に増大する関数F(.)を有する、任意の単調な(増大する)変換{F:[rt’,scrit]⇒[F(rt’),F(scrit)]}に関しては不変である。
<第2の部分的な安定性の尺度および基準>
多方面の安定性の研究では、不安定性および別のモードへの移向によって波形が破壊される前に、波形はAPDの幾つかの長く活発な発振および他の波形の特性を示す。そのような発振は体外実験の中で(L.H. FrameおよびM.B. Simpson、Circulation, 78:1277-1287 (1988))および種々のモデルを使用するコンピュータシミュレーションの中で観察されている(Courtemancheら、Phys Rev Lett, 14:2182-2185 (1993), SIAM J Appi Math, 56:119-142 (1996), Courtemanche, Chaos, 6:579-600 (1996), Y. ChernyakおよびJ. Starobin、Crit. Rev. Biomed. Eng. 27:359-414 (1999), T. Hundら、Am J Physiol, 279:H1869-H1879(2000))。そのようなAPDの発振の物理的な性質は、長く活発な固有の発振の現れとしてY. ChernyakおよびJ. Starobinによって説明された(Crit. Rev. Biomed. Eng. 27:359-414 (1999))。この固有の発振は伝搬の不安定性を示し、伝搬レジームの変化(propagation regime change)に対する必要な前身である。様々な重大な理由のために、そのような発振を直接臨床的に観察することは極めて困難、実際的に不可能であると思われる。しかしながら、そのような発振の幾つかの二次的に必要な効果は、直接観察することができる。特に、APDの発振はブラーリングする必要があり、回復の依存性の全部または一部を破壊できる。
そのような短期間のブラーリングは、APDの変動と先行するRR間隔との間の無次元の相関係数の減少によって現れる必要がある。APDと試験の周期長の持続時間との間の相関の、それらの体外回復の測定における極めて類似した減少は、実際にElharrarおよびSurawiczによって観察されている(Am J Physiol, 244:H782-H792 (1983))。試験波形の安定性とは無関係の状況において、彼らは回復依存性の早い成分は、コンディショニングペーシングの速度が早い場合は明らかにランダムになることを示した。ただし、彼らは可能な安定性の含意に関してコメントしていない。
QTおよびRR間隔の変動間の無次元の相関係数kQRは、この効果を評価するためには便利な基準である。
Figure 2005514099
ここで、σQTおよびσRRは、それぞれQTおよびRR間隔の標準偏差に対する推定値である。式(R.1)および式(R.9)〜式(R.11)では、量TkはAPDがTk APのk番目の活動電位の直前の心臓の周期長である。従って、Tk QTは持続時間がTk RRであるk番目のRR間隔の直後のQT間隔である。このため、式(S.4)によって与えられた相関係数は因果関係についての必要条件を満足させ、Tk RRとTk QTとの間の直接短期の因果関係の程度を実際に反映する。対応する部分的な安定性の基準は、下記の形式を含む。
QT>κcrit 式(S.5)
ここで、κcritは相関係数の勾配の臨界値であり、これを臨床データおよび試験結果を用いて実験的に評価することができる。
<第3の部分的安定性の尺度および基準>
RRおよびQT間隔の2つの観察された時系列間の相関に対するより一般的な特徴付けは、下記のような相互相関係数である。
Figure 2005514099
ここで、Nはサンプル数である。j=1の場合、相互相関係数は式(S.4)、kQT RR(1)=kQRによって与えられた相関係数と一致する。j>1の場合、相互相関係数はより長期にわたる効果を反映する。長く活発な固有の発振が心伝導を伴う場合、この係数は減少されるため、j>1の場合のその値は長期のブラーリング効果を反映する。一般性を失わずに、M=Nの場合を以下に説明する。kQT RR(j)の離散フーリエ変換(DFT)は、それぞれ正規化された変動δTk RR/σRRおよびδTk QT/σQTに対応する正規化されたDETの振幅の積
Figure 2005514099
に等しいファクタの中にある(ここで、波形記号はDFT、ωm=mω0,m=1,2,...,Nおよびω0=2π/(Nτ)を示し、τはサンプリング周期である)。ウィーナー・ヒンチンの定理(Wiener-Khinchin theorem)と同様に、合計
Figure 2005514099

Figure 2005514099
に(一定の要因の中で)等しいことを証明することができる。このことは、下記の形式のQTおよびRRの変動についてのスペクトル密度の重なり積分によって、QTおよびRR間隔の間の因果的依存性の程度を測定するための別の方法を示す。
Figure 2005514099
式(S.7)は一般に、拍動間の記録を行わずに評価できることに注意されたい。この無次元の量は、心臓の周期長の変動に対する全てのその後の機能的なQTの応答を反映する。興奮波形の特性の長く活発な固有の発振が存在する場合、そのような機能的な応答は完全に不鮮明にされる必要があるため、KQRは比較的小さいことが必要である。このため、KQRの小さい値も長く活発な固有の発振の存在を反映し、伝導の不安定性を示す。従って、量KQRは不整脈の危険の独立した部分的な尺度として理解することができる。対応する部分的な安定性の基準は、下記の形式を有する。
QR>Kcrit 式(S.8)
<集合した安定性の尺度および基準>
上記の3つの安定性の尺度は、下記のように1つの安定性の尺度Cに統合することができる。
C=F1(s)/F2(KQR)F3(KQR) 式(S.9)
ここで、F1(.),F2(.)およびF3(.)は、対応する部分的安定性の尺度の非線形のスケーリング変換を示す、単調に増加する関数である。3つ全ての部分的不安定性が式(S.3)および式(S.5)を含み、式(S.8)が満たされる場合、下記の式が得られる。
C>Ccrit≡F1(scrit)/F2(kcrit)F3(Kcrit) 式(S.10)
この場合、3つ全ての部分的基準には不整脈を引き起こす高い危険が含まれ、これはCcritに先行する集成された安定性の尺度Cの高い値の中で反映される。一般に、所定の被験者において統合された量Cの値が長ければそれだけ、将来の所定の時間間隔の間にこの被験者に不整脈が発生する危険が高くなることが予想される理論的な理由がある。このため、量Cは統合された不整脈の危険の尺度としての役割を果たすことができ、式(S.10)の統合された不整脈の危険の基準の中で、実験的に確立された臨界値Ccritと共に使用することができる。
[4.安定性の尺度を評価するための変動分析方法]
安定性の尺度kQRおよびKQR並びに以下に示すsは、QTおよびRRの変動の時系列によって表現される。このため、これらの変動をもとのデータセットから抽出する必要がある。
<動向と変動とを発見し分離するためのアルゴリズム>
非定常な平均値および定常な増分(第1の差)を有する場合に関する下記のデータ処理に対する理論的な論拠はA. Kolmogoroffによって提出され(Soviet Mathematics, Doklady, 26:6-9 (1940); および26:115-118(1940))、その後Yaglomが定常的な高次の差分に関して発展させた(Matematicheskii Sbornik, 37:141-196(1955))。1つの量T(t)によって、時刻tの直前のQTおよびRR間隔を簡潔に示してみる。T(t)を測定すると、確率過程T(t)のサンプルである離散的な時系列が生成され、これらの時系列は2つの成分、すなわちランダムではない成分f(t)とランダムな成分(変動すなわち生理学的および物理的なノイズ)φ(t)に分離できるため、下記の式を得ることができる。
Figure 2005514099
ここで、三角括弧は集合平均を示す。変動<δT>の集合平均がゼロである条件は極めて重要であり、何らかの一貫したデータ処理方法によって保管する必要がある。ランダムな成分δT(t)を平均値がゼロの定常的な確率過程としてまた時間に依存しない瞬間として考えることができるように、データレコードの十分短い区間を考える。{Tk}(k=1,2,...,N)によって{Tk RR}または{TK QT}のいずれかを簡潔に示す。動向を最小値の近傍で小さい累乗の多項式、例えば線形または二次式によって正確に表すことができるように、データ{Tk}の短い区間を検討してみる。前者の場合は、下記の式によって区間上のシーケンスTkを表す。
k=b(tk−t1)+c+δTk 式(F.2)
ここで、エラーEを最小にする必要条件によってbおよびcが下記のように決定される場合、δTkは定義によりk番目の変動である。
Figure 2005514099
この条件は係数aおよびb、およびこれにより変化する動向値
Figure 2005514099
のシーケンス、並びに変動の時系列δT(tk)≡δTk、k=1,2,...,Nを決定する。HRの最大値またはRR(QT)間隔の最小値の近傍で、動向に適合する放物線を使用して下記のように設定し、
k=a(tk−t12+b(tk−t1)+c+δTk 式(F.4)
また、必要条件
Figure 2005514099
によって、係数a,bおよびcを決定する必要がある。最小化方程式の1つ∂E/∂c=0が必要条件
Figure 2005514099
にまで簡略化できることは、容易に確認できる。これにより、実際に、級数{δTk}を一連の変動、すなわち平均値がゼロの定常なランダム処理として説明することができる。準定常状態では、上記の定数aおよびbは十分に小さいため、関数
Figure 2005514099
の動向の変動は区間上のその代表値よりもはるかに小さいことも注目に値する。線形の場合では、下記の条件が保持されることを意味する。
b(tN−tk)<b(tN−t1)<<c,(k=1,2,...,N) 式(F.7)
同様に、二次式の場合は下記を意味する
a(tN−tk2<a(tN−t12<<c,
b(tN−t1)<<c,(k=1,2,...,N) 式(F.8)
<QTおよびRR間隔の標準偏差の比率としての横勾配(transversal slope)の評価>
心室伝導のランダムな成分は、心臓ペースメーカ(洞房結節)からのペーシング信号のランダム性である。このことは、波形が始まる瞬間は、定常状態におけるその平均値は一定であり、平均心拍数の瞬間値によって適切に特徴付けられるが、ある程度ランダムであることを意味する。任意の心臓周期を検討し、また簡潔にするために対応する上付き添え字を省略すると、それを下記の形式で示すことができる。
RR=<TRR>+δTRR 式(F.9)
ここで、三角括弧は平均値を示すため、<TRR>はRR間隔の現在の平均値であり、δTRRは平均値がゼロのランダムなRR間隔の変動である。このため、定義によって下記の式が得られる。
<δTRR>=0 式(F.10)
同様に、QT間隔TQTの変動δTQTを取り入れて、下記のように記載できる。
QT=<TQT>+δTQT 式(F.11)
ここで、<TQT>はQT間隔の現在の平均値であり、δTQTは、平均値がゼロのランダムな変動
<δTQT>=0 式(F.12)
である。
定常な伝搬の間に、各拍動に対するQT間隔TQTの持続時間は、回復関係式
Figure 2005514099
によって(前の拍動の)TRRの値に関係付けられ、TRRの値が変動するため、TQTの値はそれに応じて変動する必要がある。式(F.9)および式(F.11)を回復関係式に代入し、下付き文字を省略すると、下記の式が得られる。
<TQT>+δTQT=r(<TRR>,<TRR>+δTRR) 式(F.13)
関数rをテイラー級数に拡張すると、下記の二次式が得られる。
Figure 2005514099
ここで、下付き文字tは、偏導関数が第2の試験変数に関して取られることを示す。両辺の二乗を取り、二次より大きい全ての項を無視すると、下記の式が生ずる。
Figure 2005514099
(F.14)および式(F.15)を平均化し、ゼロサム条件の式(F.10)および式(F.12)を使用すると、
Figure 2005514099
および
Figure 2005514099
がそれぞれ得られる。
ここで式(F.16)を式(F.17)に代入し、4次の項を無視し単純化すると、下記の式が得られる。
<(δTQT2>=(rt’)2<(δTRR2> 式(F.18)
この式により、下記の形式の勾配に対する明示的な式を見出すことができる。
Figure 2005514099
ここで、σQTおよびσRRは、対応する標準偏差である。量
Figure 2005514099
は時間平均したRR間隔であり、定常または準定常な条件のもとで集合平均<TRR>と一致する。式(27)の右手側の分子および分母の両方は、直接また独立して測定することができる。従って、式(27)により、平均すると一定になると思われる
Figure 2005514099
の同じ値に等しい訓練および試験する心臓の周期長の両方において、回復曲線
Figure 2005514099
の勾配を直接評価することができる。そのような定常状態では、ホルターモニタ(Holter monitor)または同様の装置によって得られた長期のECG記録が制限を受けることはない。他方では、準定常的な運動プロトコルにおけるように、平均の心拍数の中で系統的な変化が極めてゆっくりと発生する場合は、適度に短期の期間の間に、心拍数の変化を安全に無視することができる。例えば、本願の運動プロトコルの1つのバージョンでは、心拍数の一般的な変化は約4拍/分である。このため、データ収集の時間期間に15秒を選択すると、平均心拍数の系統的な変化は1拍動/秒を超えないため、それはほぼ1パーセント程度であり実際に無視できる。
RRおよびQT間隔についての変動を時間ウィンドウの中で発見すると、回復曲線の勾配を直ちに評価することができる。RRおよびQTの変動の時系列を、{δTk RR}{δTk QT}(k=1,2,...,N)によってそれぞれ示してみる。対応する標準偏差は下記のように評価される。
Figure 2005514099
次に、横勾配sは下記のように評価される。
s=σQT/σRR 式(F.21)
この方程式によれば、問題の勾配はQTおよびRR間隔の瞬間標準偏差の比率に等しい。提案された方法は、(a)短期ウィンドウ内の心臓周期の適当なサンプルに対してRRおよびQT間隔のセットを測定すること、(b)平均のRRおよびQT間隔の値の動向すなわち依存性を時間ウィンドウ内で時間通りに評価する適当なデータ処理すなわち回帰分析行うこと、(c)変動から動向を分離して、それぞれ平均値がゼロのRRおよびQT間隔の変動のサンプルを得ること、(d)変動を平均化する標準偏差を計算すること、および(e)問題の勾配の推定値を提供する比率を発見することから構成される。この方法は確固としており、容易に実行できまた通常は拍動間のサンプリングを必要としない。QTおよびRR間隔の変動が十分に小さい場合、その精度はより高くなる。本願の準定常な運動プロトコルのもとでは、この状態は十分に満足される。通常のホルター記録に対して一般的な変動が大きい別の場合に対しては、式(F.14)でより高次の累乗の拡張を用いることにより同様に扱うことができる。
[5.試験方法]
本発明の方法は、主に被験者を試験することを目的とする。事実上、男性、女性、若年者、若者、大人および老人の被験者を含むどのような被験者も、本発明の方法によって試験することができる。この方法は、十分な既往歴すなわち以前の記録を使用しない、被験者に対する初期の選別試験として実施することができ、また同じ被験者に繰り返し実施して(特に、長期にわたる個々の心臓の健康状態の比較的定量的な徴候が求められる場合)、試験期間の間にその被験者に介在する事象および/または介在する治療の効果または影響を評価することができる。
前述したように、本発明の方法は、概して、(a)(i)心拍数が徐々に増加する段階、(ii)心拍数が徐々に減少する段階、または(iii)心拍数が徐々に増加する段階および心拍数が徐々に減少する段階の両方の間に、被験者から少なくとも1つのQTおよびRR間隔のデータセットを収集するステップと、(b)前記少なくとも1つのQTおよびRR間隔のデータセットにおける遅い動向から変動を分離するステップと、(c)前記QTおよびRRの変動を互いに比較して、それらの間の相違を求めるステップと、(d)ステップ(c)の比較から、前記被験者の心不整脈の危険の尺度を生成するステップとを含む。QTおよびRRの変動間の相違が大きいことは、その被験者の心不整脈の危険が大きいことを示す。
心拍数が徐々に増加および/または徐々に減少する段階は、末梢神経系およびホルモンの制御系によって同じ心臓に対する刺激をこれらの期間の間にほぼまたは大体維持する方法で、緩やかな運動プロトコルの間に実行される。これらの段階は、任意の連続的なホルターのモニタリング記録から発見および選択することもできる。この方法は、平均の心拍数が徐々に増加および徐々に減少する1つおよび/または幾つかの連続したまたは単独の段階を実行または選択する多数の技術によって行うことができる。
平均心拍数が徐々に増加する段階および平均心拍数が徐々に減少する段階の持続時間は、同じであっても異なっていても良い。一般に、各段階の持続時間は、少なくとも3,5,8または10分またはそれ以上である。同時に、2つの段階の持続時間は、約6,10,16または20分から約30,40または60分またはそれ以上とすることができる。2つの段階は、時間的に連続して、すなわち、1つの段階が他の段階のほぼ直後に、休止の段階を介在させずに実行することが好ましい。別の方法では、2つの段階を時間的に離して、「プラトー」段階(例えば、1から5分)を介在させて実行することができる。プラトー段階の間は、心臓の刺激すなわち運動負荷は、負荷を減少する段階を開始する前までほぼ一定に保たれる。1つおよび/または幾つかの緩やかな遅い動向の段階を、同じ方法で連続するホルター記録から選択することができる。
運動プロトコルの心拍数が増加または減少する段階の間の負荷ステップのセットは、同じでもまたは異なっていても良い。例えば、各段階のピーク負荷は同じでも異なっていても良く、各段階の最小負荷も同じでも異なっていても良い。一般に、各段階は、段階によって決まる昇順または降順の、少なくとも2つまたは3つの異なる負荷レベルからなる。心拍数が比較的高くなる比較的高い負荷レベルを使用することができるが、それは不可欠なものではない。本発明の利点は、その感度により、被験者の心拍数を過度に増加させない比較的低い負荷レベルで両方の運動手順を実行することができることである。例えば、この方法は、被験者の心拍数が上昇段階または下降段階のいずれか(または両方)の間に、被験者の状態にもよるが、分当たりの拍動が約140,120または100さえも超えないように実行することができる。無論、被験者の状態次第であるが、分当たりの拍動が100,120または140以上の心拍数で収集されたデータも、希望するなら使用することができる。
例えば、運動または訓練を受ける被験者については、第1すなわち上昇段階では、第1の負荷レベルは被験者が60から100または150ワットのパワー出力を必要とするように選択され、中間の負荷レベルは被験者が100から150または200ワットのパワー出力を必要とするように選択され、また第3の負荷レベルは被験者が200から300または450ワット以上のパワー出力を必要とするように選択される。第2のすなわち下降段階に関しては、第1の負荷レベルは被験者が200から300または450ワット以上のパワー出力を必要とするように選択され、中間すなわち第2の負荷レベルは被験者が100から150または200ワットのパワー出力を必要とするように選択され、第3の負荷レベルは被験者が60から100または150ワットのパワー出力を必要とするように選択される。別の負荷レベルを、全ての前記の負荷レベルの前、後、またはその間に希望通り入れることができ、負荷レベル間の調整は、階段状または連続的な方法を含む任意の適当な方法で行うことができる。
さらに別の実施例では、平均的な被験者または心臓血管の病歴がある被験者については、第1すなわち上昇段階では、第1の負荷レベルは被験者が40から75または100ワットのパワー出力を必要とするように選択され、中間の負荷レベルは被験者が75から100または150ワットのパワー出力を必要とするように選択され、第3の負荷レベルは被験者が125から200または300ワット以上のパワー出力を必要とするように選択される。第2のすなわち下降段階に関しては、第1の負荷レベルは被験者が125から200または300ワット以上のパワー出力を必要とするように選択され、中間すなわち第2の負荷レベルは被験者が75から100または150ワットのパワー出力を必要とするように選択され、第3の負荷レベルは被験者が40から75または100ワットのパワー出力を必要とするように選択される。前述したように、別の負荷レベルを、全ての前記の負荷レベルの前、後、またはその間に希望通り入れることができ、負荷レベル間の調整は、階段状または連続的な方法を含む任意の適当な方法で行うことができる。
患者を前もって決めた計画の刺激に当てることにより、心拍数が徐々に増加および徐々に減少することができる。例えば、所定のプログラムまたは計画に基づいて、患者を徐々に増加する運動負荷および徐々に減少する運動負荷、または徐々に増加する電気的または薬理学的な刺激および徐々に減少する電気的または薬理学的な刺激に当てることができる。そのような前もって決めた計画には、患者からの実際の心拍数のフィードバックがない。別の方法では、患者のモニタリングを同時に行うことにより収集された実際の心拍数のデータに呼応して、患者の心拍数が徐々に増加および徐々に減少することができる。そのようなシステムはフィードバックシステムである。例えば、患者の心拍数を試験の間モニタして、心拍数が両方の試験の段階の間に処方した方法で変化するように、運動負荷(トレッドミルの場合は速度および/または傾斜)を調整することができる。負荷のモニタリングおよび制御は、制御システムおよびアナログ信号を発生する運動装置に接続された単純な制御プログラムおよび出力パネルを用いるコンピュータまたは他の制御システムによって達成することができる。そのようなフィードバックシステムの1つの利点は、心拍数が全ての遅い動向の段階の間にほぼ直線的に増加することを、制御システムが(必要なら)保証することができることである。
発生するステップ(d)は、データセットから曲線を発生する手段(この曲線は実際に表示してもまたは表示しなくてもよい)、および次に(i)尺度(例えば、回復曲線の勾配)を直接または間接的に評価する手段、この場合、この尺度が大きいとこの被験者に心不整脈が起こる可能性が高いことを示す、(ii)種々の曲線の形状(例えば、その勾配すなわち導関数)を直接または間接的に比較する手段、ここで形状に大きな相違がある場合は、この被験者に心不整脈が起こる可能性が高いことを示す、または(iii)(i)および(ii)の組合せ、などの任意の適当な手段によって実行することができる。特定の例は、下記の実施例7〜10の中で与えられる。
本発明の方法は、(e)心不整脈に対する罹病性の尺度を少なくとも1つの基準値(例えば、個体の母集団または部分母集団からの定量的な表示のための平均値、中央値またはモード)と比較するステップ、および次に、(f)ステップ(e)の比較から、この被験者の心臓血管の健康状態の少なくとも1つの定量的な表示を生成するステップをさらに含む。任意のそのような定量的な表示は、一時的に(例えば、被験者が心室性頻拍またはフィブリル化のような将来の不整脈に関連した心臓の事変に直面する危険の可能性を評価するために)生成される、または特に処方された心臓血管の治療に対してまたは単に被験者が回復または悪化する物理的な状態の継続するモニタリングとして、被験者の時間的な経過をモニタするために生成される(繰り返すが、特定の例は、下記の実施例7〜10で与えられる)。そのような場合は、上記のステップ(a)から(f)は、被験者の心臓血管の治療の効果または経過を評価するために、少なくとも1つの個々の場合に繰り返される。治療前から治療後のまたは時間の経過にわたるデータセット間の相違が減少する場合は、この被験者の心臓の健康状態が心臓血管の治療から改善していることが示される。エアロビクス体操、筋力ビルディング、ダイエットの変更、栄養補給剤、減量、禁煙、ストレスの軽減、薬品治療(遺伝子治療を含む)、外科治療(カテーテル焼灼術、ペースメーカまたは除細動器埋め込みなどの開心術および閉心術の両方を含む)、およびそれらの組み合わせを含む任意の適当な心臓血管治療を与えることができるが、これらに限定されることはない。
治療または治療介入は、承認されたものまたは実験的なものとすることができる。後者の場合は、本発明は実験的治療の臨床試験との関連で実行され、試験は提案された治療の効果を求める目的で治療の前後に(および/または治療中に)行われる。
[6.試験装置]
図3は、本発明によるデータを収集、処理および分析する装置の実施例を提供する。心電図が、被験者の身体上に置かれた導線を介して、ECGレコーダによって記録される。このECGレコーダは、例えば、標準的な複数リード線のホルターレコーダまたは他の任意の適当なレコーダとすることができる。アナログ−ディジタル変換器は、ECGレコーダによって記録された信号をディジタル化し、それらの信号を標準的な外部入出力ポートを介して、パーソナルコンピュータまたは他のコンピュータもしくは中央処理装置に転送する。次に、ディジタル化されたECGデータは、標準的なコンピュータベースの波形分析器ソフトウェアによって処理される。回復曲線および心不整脈に対する罹病性の存在、無いことまたは程度に対する心臓または心臓血管の健康状態の表示または他の定量的な尺度が、ソフトウェア、ハードウェア、またはハードウェアおよびソフトウェアの両方として中で実行されるプログラム(例えば、ベーシック、フォートラン、C++など)によって、コンピュータ内で自動的に計算される。
図4により、生理的状態における準定常的な変化の間に被験者から収集されたQTおよびRRのデータセットの分析を行うための、ディジタル化されたデータ処理の主なステップを説明する。複数リード線のレコーダから収集されたディジタル化データは、各リード線ごとにデータ配列としてコンピュータのメモリの中に記憶される(4a)。各データ配列の寸法は、心拍数が上昇および下降する段階の持続時間と、到来するディジタル化されたECG信号を処理する波形分析器が使用するサンプリングレートとによって決定される。波形分析器のソフトウェアは、各特定のリード線におけるECG信号の主な特徴的な波動(Q,R,SおよびT波)を最初に検出する(4b)。次に、各ECGのリード線で、このソフトウェアは連続するR波の間、およびQ波の始点とT波の終点との間の時間間隔を決定する(4c)。これらの基準点を用いて、このソフトウェアは心拍数並びにRRおよびQT間隔を計算する。次に、ソフトウェアのアプリケーション部が、心拍数が上昇および下降する段階に対する間隔をソートする(4d)。アプリケーションソフトウェアの一部は、各緩やかな段階に対する十分に平滑なQTおよびRRの大きい動向を得るために、任意の適当な機能を用いて、次のステップ(4e)すなわちスムージング、フィルタ処理またはデータのフィッティングを実行する。次のステップ(4f)において、このソフトウェアの別のアプリケーションはこのパラメータ表示を使用して、早いQTおよびRRの変動を平滑な遅い動向から分離する。次のステップ(4g)では、アプリケーションソフトウェアは遅い心拍数の動向に沿って瞬間的な回復の依存性の勾配を評価し、QTおよびRR間隔の変動およびそれらのパワースペクトルの間の相関係数を決定する。そのような尺度は安定性の合算された要因であり、この要因には様々な部分の瞬間的な勾配、またはQTおよびRR間隔およびそれらのパワースペクトルの間の相関が前記尺度に貢献する度合いを増加または減少させる適当な重み関数が含まれる。各ECGのリード線に対するデータ処理の最終ステップ(4h)は、アプリケーションソフトウェアがこの尺度またはこの尺度の任意の単調な関数を適当に繰り込むことによって指数を計算することである。これらの指数と共にこの尺度自体は、測定された回復曲線の形状の特殊性の中で示される、活動電位の波形の安定性および心不整脈に対する体質の両方を反映する。全ての前述した信号処理のステップの結果を使用して、試験される特定の個人の心臓虚血および、同時に行われるオプションとして、心臓血管系の健康状態を定量的に評価することができる。
以下に記載する非限定的な実施例の中で、本発明を一層詳細に説明する。
[実施例1]
<試験装置>
図3と同じ試験装置が組み立てられた。心電図が製造業者の指示書に基づいて被験者の身体上に配置されたLead-Lok Holter/Stress Test Electrodes LL510 (LEAD-LOK, INC.; 500 Airport Way, P.O. Box L, Sandpoint, ID, USA 83864)の12本の導線を介して、RZ153PM12 Digital ECG Holter Recorder (ROZINN ELECTRONICS, INC.; 71-22 Myrtle Av., Glendale, New York, USA 11385-7254)によって記録される。ディジタルのECGデータは、PC 700フラッシュカードリーダを有する40 MBのフラッシュカード(RZFC40)(両方ともRozinn Electronics, Inc.製である)を用いて、パーソナルコンピュータ(Dell Dimension XPS T500MHz/Windows(登録商標)98)に転送される。Windows(登録商標)(4.0.25)用のホルター波形分析ソフトウェアがコンピュータにインストールされる。このソフトウェアを使用して、標準的なコンピュータベースの波形分析器ソフトウェアによってデータを処理する。次に、回復曲線および心不整脈に対する罹病性の程度について定量的な特性を提供する表示が手動でまたはフォートラン90で実行されるプログラムによってコンピュータの中で自動的に計算される。
実験的なデータが、Landice L7 Executive Treadmill (Landice Treadmills; 111 Canfield Av., Randolph, NJ 07869)の中にプログラムされた運動プロトコルの間に収集された。このプログラムされたプロトコルは、各持続時間が48秒から1.5分の一定の運動負荷の20の階段状の間隔を含んでいた。これらの間隔全体で、全持続時間が16分から30分に変化する、2つの持続時間が等しい運動負荷を徐々に増加および減少させる段階を形成した。各段階に対して、トレッドミルのベルトの速度および高さが被験者の年齢および健康状態に基づいて、それぞれ往復で2.4 km/時(1.5マイル/時)から8.8 km/時(5.5マイル/時)まで、トレッドミルの高さが1から10段まで変化した。
[実施例2]
<年令が異なる健康な被験者における回復曲線の勾配およびQTおよびRR間隔の変動に対するパワースペクトル>
この実施例は前記の実施例1で説明した装置および方法を用いて、3人の男性および2人の女性の被験者に対して実行された。図5および図6を参照すると、年令が異なる概ね健康な被験者の回復曲線の勾配およびQTおよびRR間隔の変動に対するパワースペクトルに相違があることが容易にわかる。これらの被験者は、運動負荷が徐々に増加および徐々に減少する準定常的な20分のプロトコルに従って、トレッドミルで運動した。波形分析器がQTおよびRR間隔を決定する拍動のサンプリングレートは、分当たり15サンプルである。どの被験者にも、ECG−STセグメントには従来の虚血に起因する降下がなかった。しかしながら、一人の女性の被験者には、60の早発性心室収縮および3つの極めて短い(15〜20の連続した拍動)非持続的な心室性頻拍(VT)の発作があった。図5および図6の中で示された依存性は、本発明の方法により不安定な伝搬が始まる罹病性の従来のしきい値以下の範囲の中で相違を観察することができ、また心臓のリズムの安定性の保存された値と全ての反映された被験者との間を定量的に区別することができることを明白に示している。図5および図6の中で示された全ての場合に対して、合算された安定性の尺度を発生することは、前述した部分的な安定性の尺度に基づいており、下記の明細書(実施例8)の中で一層詳細に説明される。
[実施例3]
<冠動脈疾患の病歴がある被験者に対する回復曲線の勾配およびQTおよびRR間隔の変動に対するパワースペクトル>
これらの実施例は、上記の実施例1で説明された装置および方法を用いて、52才の女性および74才の男性の被験者に対して実施された。両方の被験者には冠動脈疾患の前歴があった。これらの被験者は、運動負荷を徐々に増加および徐々に減少する準定常的な20分のプロトコルに従って、トレッドミルで運動した。図7(曲線1,2)および図8(曲線1,2)は、それぞれ、女性の被験者がβ遮断薬を服用しないでおよび服用して運動した場合の、この被験者に対するQT間隔の変動の勾配およびパワースペクトルを示す。彼女は運動の間に比較的多数の早発性心室収縮184(図7の曲線2および図8(2))を有しており、心臓リズムの安定性を保存することはほとんどできなかった。加えられた運動負荷のほとんど全ての間隔の間で、勾配はしきい値0.5よりも大きかった。図7(曲線3)および図8(3)は、男性の被験者についてのQTおよびRR間隔の変動の勾配およびパワースペクトルを示す。この被験者は、短い(15の連続した拍動)非持続的な心室性頻拍の発作を経験した。この場合、運動が加えられた段階および運動の初期の段階の両方に対して、勾配は0.5の安定性のしきい値よりも高く、QTおよびRR間隔の変動のパワースペクトル間の相関は典型的な安定した関数依存性を反映するレベルよりも著しく低かった。これらの実施例は、本発明の方法により、良性の早発性心室収縮の場合から悪性の心室性頻拍まで変化した様々な臨床不整脈に対する保存のレベルと安定性の不足のレベルとの間の相違を決定しまた定量的に特徴付けることができることを実証する。図7および図8に示した全ての症例に対して合算された安定性の尺度を生成することは、前述した部分的な安定性の尺度に基づいており、下記の明細書(実施例8)の中で一層詳細に説明される。
[実施例4]
<急速な交感神経副腎の過渡現象の説明>
図9は、運動負荷を増加する10分の運動後の急な停止に対するQT間隔(パネルA,C)およびRR間隔(パネルB,D)に対する典型的な急速な交感神経/副交感神経およびホルモンの調整を示す。全てのパネルは、リード線が12本の複数リード線心電図の右前胸部リード線V3から得られたQT/RR間隔の時間的な変動を示す。波形分析器がQTおよびRR間隔を測定したサンプリングレートは、15サンプル/分に等しかった。被験者(47才の男性)は最初の10分は休止し、次に、運動負荷が徐々に(10分間)増加する運動を開始した(パネルA,B−RRおよびQTの最小値から左側)。次に、運動負荷のピーク(心拍数は約120拍/分)において、最も早いRRおよびQT間隔の適用を運動負荷の完全な急な停止に対して初期化するために、被験者はトレッドミルから降りた。QTおよびRR間隔が確実に運動後の平均の定常値になるように、被験者は十分長く(13分)休んだ。パネルCおよびDは、QTおよびRR間隔の変化の最大速度が運動負荷の急な停止の直後に発生したことを実証する。これらの速度は、0.28sから0.295sまで変化する間のQT間隔に対しては約0.015s/分であり、0.45sから0.6sまで変わる間のRR間隔に対しては約0.15s/分である。前述した実験に基づいて、「急速な交感神経副腎およびホルモンの過渡現象」または「急速な自律神経系およびホルモンの過渡現象」に対する定義を与えることができる。
自律神経系およびホルモンの制御による急速な過渡現象は、RR間隔に対しては0.15s/分の速度の過渡現象を指し、これは心拍数の約25拍/分の変化速度に対応し、またQT間隔に対しては0.02s/分の速度の過渡現象を指す。または運動負荷(または他の心臓刺激)における極めて急激な変化(停止または増加)に応答するRR/QT間隔における変化のより早い速度のことを言う。運動負荷における極めて急激な変化は本願では、運動のピークから静止した平均の休止値までの全範囲の大きさに匹敵する、QTおよびRR間隔内に急速な変動を引き起こす負荷変動として定義される。
[実施例5]
<準定常的な運動プロトコルおよび遅い心拍数の動向の説明>
図10は、リード線が12本の心電図記録の右前胸部V3において運動負荷を徐々に増加および徐々に減少する間に測定された、典型的な遅い(準定常的な)QT間隔(パネルA)およびRR間隔(パネルB)の調整を説明する。サンプリングは、毎分15のQTおよびRR間隔であった。男性の被験者は、運動負荷を徐々に増加および徐々に減少する2つの連続した10分間の段階の間に運動した。QTおよびRR間隔の両方は、ほぼピークの運動負荷(ピークの心拍数は約120拍/分)で最小値に次第に近付き、次に始めの運動前の休止値よりもわずかに低いレベルに次第に戻った。QTおよびRR間隔の展開は、パネルAおよびBで灰色で示した指数関数のフィッティング曲線によってうまく近似された。QT−RR間隔の往復の時間変動の範囲は、QTおよびRR間隔に対してそれぞれ、0.34s−0.27s−0.33s(変化の平均速度は約0.005s/分)および0.79s−0.47s−0.67s(変化の平均速度は約0.032s/分すなわち約6拍/分)であった。指数関数のフィッティングから両方のパネルで黒点で示された、観察されたQTおよびRR間隔の二乗平均平方根の標準偏差σは、試験全体の間の対応するピーク値と休止値との間の平均の差よりも1桁小さかった。これらの偏差は、それぞれ、QT間隔についてはσ≒0.003sであり、RR間隔に対してはσ≒0.03sであった。図9(パネルC,D)によると、そのような小さい変動は、生理的な変動によるまたは運動負荷の不連続による急激な心拍数の変化と結びつく場合、10sよりも早く増加および減少することがある。その時間は、運動プロトコルの1つの緩やかな(上昇または下降)段階の持続時間よりも60倍も短い。QT−RR間隔の遅い動向の変化および急激な心拍数の変動の振幅と時定数との間のそのような著しい差により、適当な平滑化する指数関数のような精度が高い関数によって、これらの時間にわたる変動を平均し、QT−RRプロトコルの持続時間のダイナミックスをフィッティングすることができる。同時に行われるフィッティング手順(パネルA,B)は、両方の測定されたQTまたはRRのデータセットからパラメータの時間依存性を削除するアルゴリズムを決定し、各運動段階に対するQT間隔を単調な関数として考えることができるようにする。
上述の実験に基づいて、緩やかな(遅い動向)または「準定常的な」運動(または刺激)プロトコルに対する定義は、定量的に規定することができる。すなわち、準定常的な運動(または刺激)プロトコルは、以下のような、運動負荷または刺激が徐々に増加または徐々に減少する2つの連続した段階(各段階の持続時間は3,5,8または10分以上)のことを指す。
1.各段階の持続時間は、平均したピーク負荷の心拍数(約120〜150または160拍/分)と平均した休止の心拍数の値(約50〜70または80拍/分)との間で運動の急激な停止の間の心拍数を調整するための平均持続時間(約1分)よりもほぼ1桁(例えば、少なくとも約2,3,4,5または10倍)長い。
2.平滑で単調な(各段階に対して)フィッティングからのもとのQTまたはRR間隔のデータセットの二乗平均平方根の標準偏差は、準定常的なプロトコルによる運動全体の間に測定されたピークおよび休止のQT/RR間隔の値の間の差の平均よりも1桁(例えば、少なくとも約2,3,4,5または10倍)小さい。
前に(図10)示したように、遅い動向の心臓の変化を結果として生ずる緩やかな準定常的プロトコル自身により、急激な時間に依存する変動を測定されたQTまたはRR間隔のデータセットから分離することが可能になる。その理由は、これらの変動の持続時間は短く、振幅が小さいためである。この種の分離についての特定のアルゴリズムおよび不安定な心臓のリズムに対する罹病性の定量的な尺度を発生することは、下記の実施例6で説明される。
[実施例6]
<心筋および心不整脈の興奮波形の伝搬の安定性を評価するための変動分析方法>
アルゴリズムの実施例:部分的な適合方法
準定常な運動試験で得られた曲線(図10)を生じる式{(tk,Tk):k=1,2,...,N}をデータ点(時間は同じ間隔、すなわちtk−tk-1=一定)のセットとする。通常のホルター記録から得られたデータセットに対して、同様の処理を行うことができる。セット{Tk}はRR間隔{Tk RR}またはQT間隔{Tk QT}のいずれかを示す。k番目の時間ウィンドウをs+r+1の点のセット{{(tj,Tj):j=k−s,k−s+1,...,k+r}}と定義する。このセットは点(tk,Tk)を含み、それを取り囲む。fk(t)によって、(t,fk(t))がウィンドウ内のデータ点(tj,Tj)に対して最も良く適合するような、直線回帰によって得られた二次式または直線の多項式を示す。次に、整数m,(m≦r+s+1)を選択し、下記の式によって標準偏差を定義する。
Figure 2005514099
mの値は、データセットの終端および極値点に近いkに対して確実に良く適合するように、時間ウィンドウの半値幅とは僅かに異なるように選択される。同じk番目の時間ウィンドウ内で式(14)によってQTおよびRR間隔に対する標準偏差を評価した後、勾配R’(tk)を式(13)による比率として評価する。Nをサンプルの全数(データ点の数)とすると、この方法はN−2m回行う必要がある。次に、心不整脈の発生の危険を評価するために、全ての評価されたr’t値はscritと比較される。
[実施例7]
<合算された安定性の尺度>
この実施例の中で、合算された安定性の尺度を定義する式(S.8)内の関数F1(.),F2(.)およびF3(.)を指定する。下記の式を設定する。
Figure 2005514099
ここで、αは負でない定数であり、σおよびμは正の定数である。σ=∞である場合、関数F1はべき関数sαまで減少する。定数σは、合算された不整脈の危険の尺度上でsの値の強い効果および弱い効果の領域を分離するしきい値の役割を果たす。累乗μは、これら2つの領域間の移行帯の幅を決定する。関数F2(.)は下記のように定義される。
Figure 2005514099
ここで、kおよびνは正の定数であり、βは非負の定数である。定数kは、相関係数の値が合算された安定性の尺度においてたいした役割を演じないしきい値を意味する。例えば、k=kcritを選択できる。定数νは、相関係数の高い貢献および低い貢献の2つの領域間の移行帯の幅を決定する。
関数F3(.)は、下記のように同様な方法で定義することができる。
Figure 2005514099
ここで、kおよびρは正の定数であり、γは負でない定数であり、k、νおよびβと同様の意味を有する。このため、合算された不整脈の危険の尺度は下記の形式で示すことができる。
Figure 2005514099
データが十分に利用できない場合は、式(7.4)の中にα、β、γの値のいくつかをゼロと設定することができる。
[実施例8]
<実施例2および3の中で説明された個々の症例に対する合算された安定性の尺度の計算>
合算された安定性の尺度C(不整脈の指数)式(7.4)が、前記の実施例2および3の中で説明された8つ全ての症例に対して計算された。波形分析器がQTおよびRR間隔を測定する拍動のサンプリングレートは、全ての症例に対して15サンプル/分に等しかった。その結果、F2(kQR)≡1を有効にし、合算された安定性の尺度からの利用できない拍動間のQTおよびRR間隔の相関係数を除外するために、γ=0と設定した。また、合算された尺度の設計を単純化し、同時に前不整脈の徴候を最も正確に反映させるために、8つ全ての分析された症例に対してα=2,σ=∞およびγ=1,ρ=0.5,K=0と設定した。観察された早発性心室収縮(PVC)および非持続的なVTの発作の数によって、それらの徴候の重大性は広がる。従って、合算された安定性の尺度Cは、下記の式によって与えられる。
Figure 2005514099
ここで、sは最大勾配である。Cの値(不整脈の指数)は、下記の表の中に要約される。
Figure 2005514099
表の中で示されたデータは、心臓のリズムの障害の重大性に対する合算された安定性の尺度C(不整脈の指数)に関して単調な依存性を実証する。実際に、指数CはPVCおよび非持続的なVTの発作の数が増加するにつれて大きくなる。
前述した内容は本発明の例証となるものであり、それを限定するものと解釈してはならない。本発明は、以下に記載する特許請求の範囲によって定義され、特許請求の範囲と等価なものはその中に含まれる。
心筋内のその体積上に合計された活動電位および人の体表面上で記録された発生した心電図(ECG)の概略図である。 S1−S2プロトコルに対応したn+1個の刺激の典型的な順序を示す図である。最初のn個の刺激は、基本的な周期長Tcで等間隔であり、一連のコンディショニング刺激からなる。n番目のコンディショニング刺激とn+1番目の試験刺激との間の時間はTtである。試験の周期長の変動は、Tt−Tcとして定義される。 試験APD対直前の弛緩期の間隔(DI)のグラフにおいて、異なるコンディショニングの基本周期長についての一群の回復曲線を示す図である。この図面は、猫のベントリキュラ・ファイバ(cat ventricular fiber)に対する実験データを示し、ElharrarおよびSurawiczにより提供されたフィッティング方程式(Am J Physiol. 244:H782-H792(1983))を用いて計算されている。 図2Aと同様の図面であるが、より便利な座標である試験APD対直前の周期長(すなわち、RR間隔)により異なる基本的なコンディショニング周期長を示す。 図2Aおよび図2Bで示した回復特性の三次元の図面であり、試験APD対基本的なコンディショニング周期長および直前の(試験)周期長としてプロットされている。 試験APD対基本的なコンディショニング周期長および直前の周期長の変形としてプロットされた、同じ回復特性の別の三次元の図面である。 本発明の方法を実行する装置のブロック図である。 本発明のデータ収集および分析を行うための処理ステップのブロック図である。 冠動脈疾患(CAD)ではない健康な被験者についてのQTおよびRR間隔の変動の実験に基づく回復曲線の勾配およびパワースペクトルを示す図である。曲線1、曲線2および曲線3(図5)並びにチャート6(1〜3)は、それぞれ47,50および58才の男性の被験者の勾配およびパワースペクトルを示す。曲線4および曲線5(図5)並びにチャート6(4,5)は、それぞれ、57才および58才の男性の被験者の勾配およびパワースペクトルを示す。 図6の全ての部分の点線および実線の曲線は、それぞれQTおよびRR間隔の変動に該当している。 CADの被験者のQTおよびRR間隔の変動についての回復曲線の勾配およびパワースペクトルの例を提供する図である。曲線1および曲線2(図7)およびチャート8(1,2)は、それぞれ(β遮断剤を服用していないおよび服用している)52才の女性の勾配およびパワースペクトルを示す。曲線3およびチャート8(3)は、74才の男性の被験者についての勾配およびパワースペクトルを示す。各人は、冠動脈疾患の病歴を試験する前であった。 図8の全ての部分の点線および実線の曲線は、それぞれQTおよびRR間隔の変動に該当している。回復曲線の勾配およびQTおよびRR間隔の変動のスペクトルの発生については、下記の明細書の中でより詳細に説明される。 運動を突然停止した場合(すなわち、急に休息段階を開始すること)の、QTおよびRR間隔に対する一般的な末梢神経系およびホルモンによる急速な制御調整を示す典型的な図である。これは、以下に一層詳細に説明するように、準定常的な急な変化とは対照的に、非準定常突然変化(non-quasi-stationary abrupt change)を示している。 心臓刺激を徐々に増加および徐々に減少する間に測定された典型的な遅い動向(準定常的な)のQTおよびRR間隔の調整を示す図である。

Claims (20)

  1. (a)(i)心拍数が徐々に増加する段階の間、(ii)心拍数が徐々に減少する段階の間、または、(iii)心拍数が徐々に増加する段階と心拍数が徐々に減少する段階との両方の間において、被験者から少なくとも1つのQTおよびRR間隔のデータセットを収集するステップと、
    (b)前記少なくとも1つのQTおよびRR間隔のデータセットにおいて遅い動向から変動を分離するステップと、
    (c)前記QTおよびRRの変動を互いに比較することにより、それらの間での相違を求めるステップと、
    (d)前記ステップ(c)の比較から、QTおよびRRの変動の間で相違が大きいことが前記被験者の心不整脈の危険が大きいことを示す、前記被験者において心不整脈の危険に対する尺度を生成するステップと
    を含む、被験者の心不整脈の危険を選別する方法。
  2. 前記第1のQTおよびRR間隔のデータセットと前記第2のQTおよびRR間隔のデータセットとが、準定常状態のもとにおいて収集されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 心拍数が徐々に増加する前記段階と心拍数が徐々に減少する前記段階とはそれぞれ、持続時間が少なくとも3分であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  4. 心拍数が徐々に増加する前記段階と心拍数が徐々に減少する前記段階とは、全体の時間を6分から40分として一緒に実行されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  5. 心拍数が徐々に増加する前記段階と心拍数が徐々に減少する前記段階との両方が、ピーク速度と最低速度との間において実行され、心拍数が徐々に増加する前記段階と心拍数が徐々に減少する前記段階との両方の前記ピーク速度が同じであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  6. 心拍数が徐々に増加する前記段階と心拍数が徐々に減少する前記段階との両方の前記最低速度がほぼ同じであることを特徴とする請求項5に記載の方法。
  7. 心拍数が徐々に減少する前記段階が少なくとも3つの異なる心拍数の刺激レベルにおいて実行されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  8. 心拍数が徐々に増加する前記段階が少なくとも3つの異なる心拍数の刺激レベルにおいて実行されることを特徴とする請求項7に記載の方法。
  9. 心拍数が徐々に増加する前記段階と心拍数が徐々に減少する前記段階とが時間的に連続して実行されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  10. 心拍数が徐々に増加する前記段階と心拍数が徐々に減少する前記段階とが時間的に間をおいて実行されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  11. 心拍数が徐々に増加する前記段階の間において前記心拍数が120拍/分を超えないことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  12. 心拍数が徐々に増加する前記段階の間において前記心拍数が120拍/分を超えることを特徴とする請求項1に記載の方法。
  13. (e)前記心不整脈の危険に対する尺度と少なくとも1つの基準値とを比較するステップと、
    (f)次いで、前記ステップ(e)の比較から、前記被験者の心不整脈の危険に対する定量的な表示を生成するステップと
    をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  14. (g)前記被験者に心臓血管の治療を行うステップと、
    (h)次に、ステップ(a)からステップ(f)までを繰り返すことにより、前記治療の前から前記治療の後までの定量的な表示が減少する場合には、前記心臓血管の治療から前記被験者の心臓の健康状態が向上したことを示す、前記心臓血管の治療の効果を評価するステップと
    をさらに含むことを特徴とする請求項13に記載の方法。
  15. 前記心臓血管の治療が、エアロビクス体操、筋力ビルディング、ダイエットの変更、栄養補給剤、減量、ストレスの軽減、禁煙、薬品治療、外科治療、およびそれらの組み合わせからなるグループから選択されることを特徴とする請求項14に記載の方法。
  16. 前記定量的な表示から前記被験者が将来心不整脈を患う危険の可能性を評価するステップをさらに含むことを特徴とする請求項14に記載の方法。
  17. 前記データセットが、第1のQTおよびRR間隔のデータセットを前記被験者から心拍数が徐々に増加する段階の間に収集して、第2のQTおよびRR間隔のデータセットを前記被験者から心拍数が徐々に減少する段階の間で収集することによって集められ、
    (e)前記第1のQTおよびRR間隔のデータセットと前記第2のQTおよびRR間隔のデータセットとを比較することによって、前記データセット間で相違を決定するステップと、
    (f)前記ステップ(e)の比較から、前記第1データセットと前記第2データセットとの間の相違が大きいことが前記被験者の心臓虚血の危険が大きいことを示す、前記被験者における心臓虚血の危険に対する尺度を生成するステップと
    をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  18. (a)(i)心拍数が徐々に増加する段階の間、(ii)心拍数が徐々に減少する段階の間、または(iii)心拍数が徐々に増加する段階と心拍数が徐々に減少する段階との両方の間で被験者から収集した少なくとも1つのQTおよびRR間隔のデータセットを提供するステップと、
    (b)前記少なくとも1つのQTおよびRR間隔のデータセットにおいて遅い動向から変動を分離するステップと、
    (c)前記QTおよびRRの変動を互いに比較することによって、それらの間で相違を求めるステップと、
    (d)前記ステップ(c)の比較から、QTおよびRRの変動の間での相違が大きいことが前記被験者の心不整脈の危険が大きいことを示す、前記被験者における心不整脈の危険に対する尺度を生成するステップと
    を含む、コンピューターシステム上において実行される被験者の心不整脈の危険を評価する方法。
  19. (a)(i)心拍数が徐々に増加する段階、(ii)心拍数が徐々に減少する段階、または(iii)心拍数が徐々に増加する段階と心拍数が徐々に減少する段階との両方の間において、前記被験者から収集した少なくとも1つのQTおよびRR間隔のデータセットを提供する手段と、
    (b)前記少なくとも1つのQTおよびRR間隔のデータセットにおいて遅い動向から変動を分離する手段と、
    (c)前記QTおよびRRの変動を互いに比較することによって、それらの間で相違を求める手段と、
    (d)前記ステップ(c)の比較から、QTおよびRRの変動の間で相違が大きいことが前記被験者の心不整脈の危険が大きいことを示す、前記被験者における心不整脈の危険に対する尺度を生成する手段と
    を備える、被験者の心不整脈の危険を評価するコンピューターシステム。
  20. (i)心拍数が徐々に増加する段階の間、(ii)心拍数が徐々に減少する段階の間、または(iii)心拍数が徐々に増加する段階と心拍数が徐々に減少する段階との両方の間において、前記被験者から収集した少なくとも1つのQTおよびRR間隔のデータセットから被験者において心不整脈の危険を評価するためのコンピュータープログラム製品であって、
    前記コンピュータープログラム製品は媒体の中に組み込まれたコンピューターが読取り可能なプログラムコード手段を有するコンピューターが使用可能な記録媒体を備え、
    前記コンピューターが読取り可能なプログラムコード手段が、
    (a)前記少なくとも1つのQTおよびRR間隔のデータセットにおいて遅い動向から変動を分離するためのコンピューターが読取り可能なプログラムコード手段と、
    (b)前記QTおよびRRの変動を互いに比較することによって、それらの間で相違を求めるためのコンピューターが読取り可能なプログラムコード手段と、
    (c)前記ステップ(b)の比較から、QTおよびRRの変動の間において相違が大きいことが前記被験者の心不整脈の危険が大きいことを示す、前記被験者における心不整脈の危険に対する尺度を生成するためのコンピューターが読取り可能なプログラムコード手段と
    を備える、コンピュータープログラム製品。
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