JP2005512548A - 遺伝物質の改変の検出方法ならびにそのモニター方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は「基質」核酸の構造を第1の状態から第2の状態へと変化させることが可能な酵素またはエンジインの活性を決定するための方法に関するものであり、酵素またはエンジインの活性は、「基質」核酸またはこれに相補的なオリゴヌクレオチドまたはその酵素またはエンジイン産物に結合される化学発光標識を用いてモニターされる。

Description

本発明は遺伝物質の改変に関与する酵素の活性を検出及び/または定量するための方法に関する。本方法は、標識した核酸の使用に基づいたものであって、該標識が例えば蛍光または化学発光分子であり、ab initioまたはハイブリダイゼーション工程の結果として標識が置かれる核酸の状態に応じて該標識の化学的性質を改変することを可能とする方法である。本発明は更に薬剤のスクリーニングにおける前記方法の使用、これによって同定される薬剤、及び合成核酸酵素基質に関するものである。
デオキシリボ核酸(DNA)及びリボ核酸(RNA)分子の、複製、組換え、修復といった改変は、すべて遺伝物質の構造変化をともなっており、すべての生物にとって基本的な重要性を有するものである。こうしたプロセスの例として、リガーゼ、ヌクレアーゼ、インテグラーゼ、トランスポザーゼ、ヘリカーゼ、ジャイレース、ポリメラーゼ、プライマーゼ、及び逆転写酵素による酵素反応があげられる。例えば、DNAリガーゼは生物の核酸の改変に関与する酵素であり、(i)ATP依存型である真核細胞及びウイルスの酵素、(ii)NADH依存型である原核細胞のDNAリガーゼの2つのクラスに分けることができる。更に原核細胞のリガーゼは平滑末端化されたフラグメントはライゲートすることができないが、原核細胞酵素のこうした特徴のためこれらの酵素は選択的抗生作用の格好の標的となる。真核細胞系での研究によってもヒトにおけるリガーゼ活性の欠損が特定の病理状態と相関することが示されている。
したがってこれらの酵素の活性の評価を行うことが重要であることから、核酸に影響を与える因子を検出するためのアッセイシステムが開発されてきた。細菌またはウイルスの酵素活性をモニターすることによって、これらの酵素の阻害能に基づく抗細菌または抗ウイルス特性について単一または組合わせの新規化合物のスクリーニングを行うことが可能である点は特に興味深い。
(従来技術の説明)
これらの酵素、例えばリガーゼなどの活性を評価するため現在用いられているアッセイ(図1)では、酵素中間体の測定や、基質及び/または生成物の構造のキャラクタライズを行う。これらのアッセイの大半では更に放射性物質を使用するために、実験に注意を要し、廃棄物の処理コストが発生する。最近のアッセイでは、放射性物質の使用を酵素基質に対する蛍光標識に代える試みがなされている。また、DNAリガーゼ活性についての生物学的アッセイも開発されているが、こうしたアッセイは時間がかかり(最低でも2日)、複雑で、定量的ではなく寧ろ定性的なものである。より迅速な生物学的アッセイが開発されている(米国特許第5976806号明細書)が、このアッセイはDNAリガーゼの他に、リポーター遺伝子産物(例、ルシフェラーゼ)を発現させる転写/翻訳組合わせ系を使用することから、この多酵素/多段階のアッセイは潜在的医薬化合物の高スループットスクリーニングには適さない。
二本鎖の核酸を巻き戻すヘリカーゼについてのアッセイも報告されている。一例(米国特許第5958696号明細書)では、一方の鎖を放射性同位体標識した二本鎖核酸の固相誘導体を調製する。ヘリカーゼ活性は、分離測定が可能な標識鎖を溶液相中に遊離させる酵素の能力によって検出される。更なる一例では、特定のマーカーが、一本鎖ではなく複鎖(例、二本鎖)核酸に選択的に結合する性質を利用する。したがってこのマーカーはヘリカーゼ活性によって巻き戻された物質とは結合しない。
感染性生物のRNAを定量化するための直接化学発光標識したオリゴヌクレオチドプローブの使用についても述べられている(米国特許第5283174号明細書、米国特許第5399491号明細書)。これらの方法は、特定の分子が二本鎖の核酸分子と結合した場合に分解から保護され、分解を受ける分子と比較して特徴的性質を保持するという事実を利用していることから、標的核酸配列の検出において有用である。特定の例では、化学発光分子が加水分解され化学ルミネセンスが消失するような化学的条件下に化学発光標識したオリゴヌクレオチドを置く。しかし相補鎖との二本鎖分子の形成(ハイブリダイゼーション)が起こった場合には、二本鎖分子の環境による保護のために加水分解を行った後にも化学発光は維持される。4−メチルウンベリフェリル−β−D−ガラクトースから炭水化物残基が開裂する(Ishikawa and Kato, Scand J Immunol 8(Suppl.7)1978)場合のように、構造の改変によって蛍光分子の蛍光性が変化することが知られており、同じ原理が蛍光分子にも当てはまる。
(発明の概要)
前述の従来技術に対し、本発明者等は反応の基質を構成する核酸と、該核酸に作用する酵素の作用によって生成する生成物分子との区別が可能なシステムを開発したものである。こうした作用によってこれらの酵素は基質の状態に変化をもたらすものである。
本発明の好ましい実施形態は、基質の見かけ上小さな構造変化に対して極めて高い感度を有するように構成されている。例えば、好ましい実施形態では核酸に欠損している核酸がない場合でも核酸内の「ニック」(nick)を検出することが可能である。しかしながらこうしたニックが形成されたりその修復が行われなかったりする場合にはDNA及びRNAの複製、組換え、及び修復に重大な影響を及ぼす可能性がある点は認識されよう。同様に本発明の好ましい実施形態は、DNAやRNAの1以上の塩基または配列の挿入、欠失、転位、ならびにDNAやRNAの非共有結合構造の変化を検出することを可能とするものである。
すなわち本発明はその一局面において、第1の状態から第2の状態へと核酸の構造を変化させることが可能な物質の活性を決定するための方法であって、
(a)試験試料中に、
(i)前記物質と、
(ii)前記核酸と、必要に応じて、
(iii)前記第1または第2の状態にある場合に前記核酸に対して少なくとも部分的に相補的な1以上のオリゴヌクレオチドとを与える工程;該オリゴヌクレオチドまたは核酸の一方もしくは両方は出力シグナルを与えることが可能な標識を有し、分解に対する前記標識の安定性は前記核酸が前記第1または第2の状態のいずれにあるかに応じて異なる;と、
(b)前記試験試料を分解条件に曝す工程と、
(c)前記出力シグナルを検出することによって前記核酸が前記第1または第2の状態のいずれに少なくとも主としてあるかを判定する工程と、
(d)前記物質の活性を決定する工程とを含む方法を提供するものである。
上記の方法は基本的に物質活性によって引き起こされる核酸の状態の変化を検出するものである。
ここで云う「活性」なる用語には、前記物質の活性が高いか、低いか、あるいはゼロである場合が含まれる。
本発明の実施形態は、核酸の代謝、特に遺伝物質の修復及び複製に関与する物質の活性または活性の阻害を測定するための効率的かつ信頼度の高い手段を提供するものである。好ましい実施形態では、本方法は標識化オリゴヌクレオチド配列を使用する。
ある実施形態では、標識化オリゴヌクレオチド配列は、生成物(第2の状態)分子に選択的に結合(ハイブリダイズ)し、これにより発光分子の化学的性質に変化をもたらすことによってこれらの物質に特有の第1及び第2の状態の核酸分子(核酸の2つの状態)を区別するようなものである。別の実施形態では、標識化オリゴヌクレオチド配列は、改変されていない(第1の状態)分子に選択的にハイブリダイズするものである。更なる別の実施形態では、標識化オリゴヌクレオチド配列は、核酸分子中に標識化オリゴヌクレオチドが既に存在するものとみなすことができるような設計された核酸として予め調製される。
本発明で用いる核酸の定義には、DNA、RNA、cDNA、gDNA、mRNA、tRNA、例えば二本鎖や三本鎖などの複鎖DNA、及びこれらの核酸の混合物が含まれる。ここで用いる「核酸」なる用語には、更に、DNAの個々の鎖や、短い配列、更にはライゲートされていない個別の核酸塩基の集団が含まれるものである。
核酸の「状態」、及び、ある状態から別の状態への核酸の変化とは、例えば、核酸の鎖が無傷であるかニックを有するか、核酸の選択された塩基または配列が1本以上の鎖に転位しているか、二本鎖が巻き戻されているか、二本鎖が開裂しているか、非共有結合構造が変化しているか、核酸の鎖がインテグレートされているか、核酸の鎖がライゲートされているか、関連する塩基の集団が所定の配列にアセンブルされているか、といった特徴を指すものである。ここでは便宜上、物質の活性の作用を一旦受けたならば核酸の状態は変化しないものとみなす。したがってニックを有する二本鎖が酵素リガーゼによって修復される場合、この二本鎖は第1の(ニックを有する)状態から第2の(修復された)状態へと変化したと云うことができる。本明細書中で述べる方法において修復された二本鎖核酸の2本の鎖がその後で分離される場合、これらの鎖は第2の状態にあるものと依然みなされる。
「ハイブリダイズ」なる用語は、相補的な一本鎖分子間での安定的な二本鎖または他の複鎖分子の形成を意味する。
本発明のある実施形態は、核酸の代謝に影響を及ぼす物質の活性を測定するための単純、迅速で耐久性の高いアッセイを提供するものである。これらのアッセイは、こうした活性の評価が必要とされる多くの状況において有用であるが、前記物質の活性を阻害する潜在的な抗菌ならびに抗ウイルス化合物のスクリーニングに特に適している。
物質の活性を評価する場合、前記物質として、リガーゼ、ヌクレアーゼ、トランスポザーゼ、インテグラーゼ、プライマーゼ、ヘリカーゼ、ジャイレース、ポリメラーゼ、逆転写酵素、トポイソメラーゼ、またはエンジインの1以上を使用することができる。
エンジインは制限エンドヌクレアーゼとして機能する自然界に存在する有機分子である(例、カリケアマイシンやエスペラマイシン)。エンジインは二本鎖の核酸を切断する能力を有し、核酸分子を第1の状態から第2の状態に変換するこの能力のためにこれらの分子は本発明の範囲に含まれるものである。エンジインの反応は非触媒的であるが、核酸分子に対して1:1に反応する。エンジインのクラスに属する分子については次の文献に詳細に述べられている(Borders D B & Doyle T W 1995 ‘Enediyne Antibiotics as Anti−Tumour Agents’(Dekker, New York))。また制限エンドヌクレアーゼの活性を模倣するエンジインの能力については次の論文に述べられている(Biggins et al PNAS 97 13537−13542)。
したがってエンジインは核酸分子を第1の状態から第2の状態へと変換することが可能であり、本明細書で開示する技術を用いることによってこれらの分子の活性をアッセイすることが可能であることから、本発明の範囲に包含される物質である。更に、本明細書に記載される発明を用いることによって試料中のこれらの分子の存在、ひいてはその活性の存在を特定することも可能である。更に、核酸分子の分子構造を第1の状態から第2の状態へと変換するこれらの分子の能力を考慮すると、本明細書に記載される発明を用いることによってエンジインの活性を調節する分子についてスクリーニングを行うことが可能であり、これによりそのアゴニストまたはアンタゴニストとしての薬理学的な活性を有する分子または薬剤を同定することが可能である。
リガーゼの活性をモニターするための特定の一実施形態では、前記核酸は複鎖であり、前記(a)工程では、二本鎖核酸にリガーゼを作用させ、リガーゼを作用させた後に、試料を高温に曝してライゲートしていない核酸に少なくとも部分的に一本鎖を形成させる。
ライゲートしていない核酸フラグメントを選択的に溶解、または選択的に再ハイブリダイズさせるために温度調節を行うことによって、ライゲートした核酸とライゲートしていない核酸とを区別する適切な方法が与えられる。一方法では、ライゲートしていない核酸は少なくとも部分的に分離するが、ライゲートしている核酸は分離しないように前記高温を調節する。
上述したように本発明を使用して異なる広範な酵素をモニターすることが可能である。すなわち、ヘリカーゼ活性をモニターするための別の一実施形態では、核酸は複鎖であり、前記(a)工程では、該核酸が少なくとも部分的に巻き戻されるような環境下で核酸にヘリカーゼを作用させる。
ヘリカーゼの活性を決定するための好ましい一方法では、試験試料に上記のオリゴヌクレオチドが含まれず、代わりに前記核酸を前記標識で標識する。
前記核酸が複鎖であり、酵素がヘリカーゼである場合、核酸は、
(i)該核酸の鎖の内の1本の少なくとも一部を別の鎖から分離して一本鎖部分を与え、更に必要に応じて、
(ii)試料を前記オリゴヌクレオチドの内の1つと接触させることによって第1と第2の状態との間で変化させる。このとき、前記オリゴヌクレオチドまたは前記核酸の1つには前記標識が結合しており、前記オリゴヌクレオチドは前記核酸の前記一本鎖部分とハイブリダイズすることが可能である。
ポリメラーゼまたはプライマーゼの活性をモニターするための更なる別の一実施形態では、前記核酸はヌクレオチドまたはその短いフラグメントであり、前記(a)部分では、前記塩基及び/または前記核酸の鎖の連結を可能とする環境下で前記核酸にポリメラーゼを作用させる。
本アッセイ法は、2つの異なる終了点の一方を与えるように設計することが可能であることは認識されよう。すなわち一方では、前記核酸に状態の変化が起きている場合に前記標識化核酸の標識が比較的に影響を受け、他方では、前記核酸に状態の変化が起きている場合に前記標識化核酸の標識は比較的に影響されない。
活性である前記酵素が複鎖核酸の中断鎖のニックや他の不連続点の少なくとも1つを修復するように作用して修復鎖を与える場合、前記(a)部分は、
(i)前記中断鎖が他方の鎖もしくは残りの各鎖から分離するのに必要な温度を上回る温度に試料の温度を上昇させる(中断鎖が修復されているか否かとは関係なく)工程と、
(ii)修復鎖にハイブリダイズ可能な前記標識化オリゴヌクレオチドと前記試料を接触させる工程と、
(iii)前記修復鎖を含む二本鎖分子の溶解点よりも低い温度であるが、前記中断鎖の非修復部分を含む二本鎖分子の溶解点よりは高い温度に前記試料の温度を低下させることによって前記修復された中断鎖が存在する場合にこれと前記標識化オリゴヌクレオチドとをハイブリダイズさせる工程と、
(b)この後、前記試料を前記分解条件下に置いてから前記標識の活性を検出する工程とを含むことにより、該検出工程において、比較的影響されていない標識の存在もしくはその量によって前記修復酵素の活性の存在もしくはその量が示される。
この構成では、修復鎖が存在する場合に標識化オリゴヌクレオチドの修復鎖へのハイブリダイズによって、標識が消化から比較的保護された複合体が形成される。
無論のこと、ニックや不連続点を修復する代わりに、同様の方法を用いて、活性である酵素が複鎖核酸の少なくとも1本の標的鎖に塩基間の切断によって少なくとも1個のニックや他の不連続点を形成することによって中断標的鎖を生成することも可能である。この場合には、前記(a)部分は、
(i)前記核酸の標的鎖が他方の鎖もしくは残りの各鎖から分離するのに必要な温度を上回る温度に試料の温度を上昇させる(酵素が中断標的鎖を生成する活性を有するかとは関係なく)ことと、
(ii)中断されていない状態にあるときに前記標的鎖とハイブリダイズすることが可能な標識化オリゴヌクレオチドと試料を接触させることと、
(iii)前記中断されていない標的鎖が前記標識ヌクレオチドとハイブリダイズする温度よりも低い温度であるが、標的鎖の分離した中断部分が前記核酸の前記残りの鎖とハイブリダイズすることが可能な温度よりも高い温度に前記試料の温度を低下させることによって前記中断されていない標的鎖が存在する場合にこれと前記標識化オリゴヌクレオチドとをハイブリダイズさせることと、
(b)この後、前記試料を前記分解条件下に置いてから前記標識の活性を検出することとを含むことにより、該検出工程において、比較的影響されている標識の存在もしくはその量によって開裂分子を生成することが可能な前記酵素の存在もしくは量が示される。
このアッセイでは、試料中に中断されていない鎖が存在する場合に、前記(iii)工程において標識化オリゴヌクレオチドがこれとハイブリダイズして標識が比較的保護された複合体を形成する。
上記の各場合において、温度を上昇させる工程((i)工程)の前後で試料を標識化オリゴヌクレオチドと接触させることが可能である。
本発明の別の局面もしくは実施形態では、前記標識化核酸は前記核酸と標識とからなる複合体であり、この核酸が特定の物質の作用を受けるものであることによって、該物質が活性を有する場合に核酸が前記第1の状態から第2の状態に変化して標識の安定性を変化させる。こうした複合体を本明細書では設計基質と呼ぶこととする。
別の一実施形態では、前記核酸は遊離(ライゲートされていない)ヌクレオチドの集団であり、前記酵素は、選択された遊離ヌクレオチドが連結されてヌクレオチドが少なくとも1本の核酸生成物の鎖を形成した第2の状態となるような活性を有するものであり、前記(a)部分では前記核酸生成物とハイブリダイズするように設計された標識化オリゴヌクレオチドと前記試料とを接触させる。
別の一実施形態では、前記物質はヌクレアーゼまたはエンジインであり、前記オリゴヌクレオチドが前記試料に含まれず、前記核酸は複鎖であり開裂点を含むとともに前記標識を有し、前記(a)工程は更に、あらゆる開裂核酸が一本鎖に分離するような温度に前記試料を曝すことを含む。また、本発明のこの実施形態は、前記試料から前記オリゴヌクレオチドが省略されておらず、したがって前記核酸が前記標識を有さないように改変することも可能である。本発明のこの実施形態では、前記ヌクレアーゼまたはエンジインが前記核酸に作用してこれを開裂することにより、すべての開裂核酸が一本鎖に分離するような温度に前記試料が曝された場合に、アッセイを行う目的で選択される前記鎖の1本に前記標識化オリゴヌクレオチドが結合することが可能である。
この標識アッセイからの出力シグナルの検出には、比色定量法、蛍光測定法、及び化学発光法の1以上を使用することが可能である。
標識としては蛍光分子やアクリジニウム塩などの化学発光分子を使用すると便利である。
本明細書で開示する方法は、物質の活性の検出だけではなく、調節活性のスクリーニングに使用することも可能である。すなわち別の一態様において本発明は、調節活性について薬剤をスクリーニングするための方法であって、核酸の構造を第1の状態から第2の状態へと変化させることが可能な物質に対してスクリーニングを行う方法において、
(a)試験試料中に、
(i)前記物質と、
(ii)前記核酸と、
(iii)試験すべき薬剤と、必要に応じて、
(iv)前記第1または第2の状態にある場合に前記核酸に対して少なくとも部分的に相補的な少なくとも1つのオリゴヌクレオチドとを与える工程;該オリゴヌクレオチド及び核酸の一方もしくは両方は出力シグナルを与えることが可能な標識を有し、分解に対する前記標識の安定性は前記核酸が前記第1または第2の状態のいずれにあるかに応じて異なる;と、
(b)前記試験試料を分解条件に曝す工程と、
(c)前記出力シグナルを検出することによって前記核酸が前記第1または第2の状態のいずれに少なくとも主としてあるかを判定する工程と、
(d)前記物質の活性、ひいては前記薬剤の調節活性を決定する工程とを含む方法を提供するものである。
上記の方法を用いて薬理活性について物質をスクリーニングすることができる。
本発明には更に特定の物質の活性の検出に使用される核酸も含まれる。この核酸は前記の物質との反応性を有し、付随する標識を有するものである。この標識の位置ならびに核酸の配置は、使用時、前記物質が前記核酸に作用する際に、該物質によって核酸の状態が第1の状態から第2の状態へと変化するように選択される。後の反応における消化に対する前記標識の安定性は、前記核酸が第1の状態にあるか第2の状態にあるかに応じて異なる。
本発明には更に、試料中の核酸に、第1の状態から第2の状態へと該核酸を変化させるような事象が発生したか否かを検出する方法が含まれる。
上述したように選択的な温度管理を行うことによって、特定の酵素が基質としての核酸にニックを形成するかあるいはこれを修復するかを検出する重要な方法が与えられる。
別の一局面において本発明は、中断された核酸鎖を修復して修復核酸鎖を形成することが可能な酵素の、試料中での活性または存在を検出するための方法であって、
(a)前記試料中に、
(i)活性である前記酵素によってライゲートすることが可能な少なくとも2つの中断部分からなる中断標的鎖を有する複鎖核酸を与える工程と、
(b)未修復の中断標的鎖の前記中断部分の少なくとも1つの溶解温度よりも高いが、修復された中断鎖の溶解温度よりも低い温度に前記試料を曝す工程であって、これにより標的鎖の未修復の中断部分の少なくとも1つと相補鎖とのハイブリダイゼーションがほとんどまたはまったく起こらない工程と、
(c)これにより前記酵素の活性または存在の少なくとも一方を決定する工程とを含む方法を提供するものである。
別の一局面において本発明は、複鎖核酸の少なくとも1本の標的鎖にニックまたは他の不連続部分を形成することによって中断標的鎖を生成することが可能な酵素の、試料中での活性または存在を検出するための方法であって、
(a)前記試料中に、
(i)ニックまたは不連続部分が形成される部位を含んだ複鎖核酸を与える工程と、
(b)中断標的鎖のライゲートされていない部分(存在する場合)の少なくとも1つの溶解温度よりも高い温度に前記試料を曝す工程であって、これにより中断鎖のライゲートされていない部分の前記少なくとも1つと相補鎖とのハイブリダイゼーションがほとんどまたはまったく起こらない工程と、
(c)これにより前記酵素の活性または存在の少なくとも一方を決定する工程とを含む方法を提供するものである。
上記の決定工程のいずれにおいても、その方法としては、前記核酸の前記相補鎖の少なくとも一部に対して相補的な標識化オリゴヌクレオチドを前記試料中に導入することによって、修復または未修復鎖と前記相補鎖とのハイブリダイゼーションの存在または量を検出する。また、前記決定工程において、中断鎖のフラグメントの少なくとも1個に対して相補的な標識化オリゴヌクレオチドを試料中に導入することによって、ハイブリダイゼーションの存在や量を検出することも可能である。
一実施形態では前記核酸は、下記の3つの異なる溶解温度が存在するように中断フラグメントまたは活性部位に関して選択される。すなわち、
(i)基質の中断鎖の第1のフラグメントの溶解温度、
(ii)基質の中断鎖の第2のフラグメントの溶解温度、
(iii)基質の中断されていない鎖の溶解温度。
各フラグメントの溶解温度及びそれらの長さは、例えばフラグメントの相対的長さや選択されたミスマッチを配列中に導入するなど、異なる方法で調節することが可能である点は認識されよう。
異なる実施形態の詳細な説明
一実施形態では、化学発光分子でオリゴヌクレオチド配列を標識する。この化学発光分子は、1以上の結合の解離によって化学発光性を消失させることが可能であるが、標識化オリゴヌクレオチドが例えば二本鎖などの複鎖核酸の一部を構成する場合には前記の解離から保護されるようなものである。本発明者等は、化学発光分子を解離させるのに使用される条件下では、ライゲートされていない鎖を有する核酸が解離からの保護を与えないことを期せずして発見したものである。
そこで下記に述べる実施形態では、対象とする配列に相補的な標識化化学発光オリゴヌクレオチドを合成する。対象とする配列は、対象とする酵素またはエンジインの生成物または基質となるものである。標識化オリゴヌクレオチドの溶液をハイブリダイゼーションを許容する条件下で前記対象配列の溶液と混合する。この反応混合物を、化学発光分子を解離させて化学発光を消失させることが知られる化学的、酵素的、及び/または物理的分解条件に曝す。次いで反応容器を照度計に入れ、試薬を加えて化学発光反応を起こして放射光を観測する。また、化学発光反応の反応速度が充分に遅い場合には、反応容器を照度計に入れる前に化学発光を開始させてもよい。対象配列が存在し、標識化オリゴヌクレオチドと二本鎖分子を形成することによって化学発光が維持されるのに対して、対象配列が存在せずに標識化オリゴヌクレオチドが二本鎖分子を形成できないと化学発光は消失する。この結果、対象配列の相対量を求めることが可能である。
基質及び生成物分子は、ライゲートされているまたはライゲートされていない配列によって異なることから、一実施形態では、リガーゼまたは酵素ヌクレアーゼまたはエンジインについてのアッセイを提供する。すなわち、例えば「ニック」を有するDNAをリガーゼ活性を有する調製物と接触させた場合、化学発光標識したオリゴヌクレオチドとのハイブリダイゼーション及び例えば複合体を形成しなかった化学発光標識を加水分解しうるような条件から保護されることによる化学発光の維持によってライゲート産物が生成したことが分かる。
好ましくは試料中の核酸をリガーゼに接触させ、リガーゼとの接触後に試料を高温に曝して試料中の核酸を変性すなわち分離させ、この後温度を低下させて核酸を再びハイブリダイズさせる。
使用する高温条件は、ライゲートされなかった核酸は分離するがライゲートされた核酸は分離しないような充分に高い温度であることが好ましい。使用する温度は、ハイブリダイゼーション反応の化学量論にしたがって調節することが好ましい。
驚くべき発見として、多くの場合、酵素やエンジインはこれが作用する核酸が標識部分を有していても機能し得たことがある。したがって上述した本発明の更なる一局面は、予め生成された標識化酵素またはエンジインの「基質」(「設計基質」と呼ぶ)であって、鎖の一本が上述したような加水分解可能な化学発光標識を有する例えば二本鎖などの複鎖オリゴヌクレオチド配列からなる基質の使用に関するものである。
必要に応じて前記の他方の鎖は「ニック」を有する。例えば高温に曝した場合、ライゲートされていない二本鎖分子は化学発光標識を加水分解から保護することができないが、リガーゼ活性によって形成されるライゲートされた二本鎖分子は化学発光標識を加水分解から保護するのである。
本明細書で説明する実施形態は、潜在的薬理活性を有する化合物のスクリーニングの潜在的ターゲットとなる遺伝物質のライゲート型と非ライゲート型との相互変換を引き起こす酵素の活性を評価する方法を開示するものである。
同様に、特定の遺伝子配列内での別個のヌクレオチド配列の挿入(インテグラーゼ)や転位(トランスポザーゼ)を触媒する酵素のアッセイにも同様な原理が適用できる。その場合、生成物配列とはハイブリダイズ可能であるが基質配列とはハイブリダイズできない適当な標識化オリゴヌクレオチド配列を利用する。これにより、インテグラーゼまたはトランスポザーゼ調製物の活性の評価が可能であるばかりか、反応混合物に加えられる化合物が酵素活性を阻害し、したがって医薬品としての有用性を有するか否かを判定することが可能である。
ヌクレアーゼ、リガーゼ、インテグラーゼ、及びトランスポザーゼを例とする酵素のクラスは、遺伝物質の共有結合の改変を触媒するという共通の特徴をすべてが有している。
ヘリカーゼを例とするような、遺伝物質の2次構造の変化を触媒する酵素も存在している。これらの酵素の活性によって「巻き戻された」核酸の部分が形成される。ここでは、こうした酵素活性によって生成する「巻き戻し」産物としての核酸配列が、基質としての二本鎖核酸配列と異なり、相補的な標識オリゴヌクレオチド配列によって結合されることを利用する。
上述したように、二本鎖核酸を含み、発光標識したオリゴヌクレオチド配列を既に有し、発光標識が二本鎖核酸内でのその位置のために分解(例、加水分解)から保護されている、予め生成した基質を使用することが望ましい。ここでヘリカーゼ活性の存在によって二本鎖核酸が巻き戻されて発光標識が加水分解を受ける。この場合、発光の強度はヘリカーゼ活性と反比例する。
本発明の更なる好ましい一実施形態では、核酸を構成する鎖が巻き戻されるような環境下で核酸をヘリカーゼと接触させ、試料中にはヘリカーゼの活性を変化させるような物質が含まれており、上記の巻き戻された核酸の一方の鎖に相補的な標識化オリゴヌクレオチドの存在下で鎖が再ハイブリダイズするような条件を与える。
特定の状況では、酵素反応を行った後に標識化オリゴヌクレオチド配列の結合を利用する状況の変形例として、酵素反応の生成物ではなく基質に結合する標識化オリゴヌクレオチド配列を設計することが適当である。
ここで述べる新規な原理は、個々の塩基のように小さな前駆物質から核酸生成物が生成するような状況にも適用が可能であるが、これは酵素反応の生成物が標識された相補的オリゴヌクレオチド配列とハイブリダイズ可能であるのに対して反応物はそうではないことによる。こうした酵素の例としては、プライマーゼ、ポリメラーゼ、及び逆転写酵素が挙げられる。
本発明の別の一実施形態では、核酸/鎖が結合するような条件下で核酸/鎖をポリメラーゼと接触させ、該結合した核酸/鎖に相補的である1以上の核酸/鎖が前記試料中に含まれ、前記結合した相補的核酸/鎖がハイブリダイズするような条件を与える。
正常な酵素活性によって、相補的な標識化オリゴヌクレオチド配列とハイブリダイズすることが可能な核酸が生成し、これによって形成される二本鎖分子が分解から標識を保護する。この酵素を阻害すると二本鎖分子が形成されないために標識は誘導される分解から保護されなくなる。したがって化学発光または蛍光標識などのオリゴヌクレオチドのマーカーの発光を後で測定することによって対象とする酵素の活性などの定量的な指標が与えられる。
更に発光標識は、「多チャンネル」アッセイを構成できるという利点を有する。波長による区別と時間的な区別の両方を利用して標識の混合物を同時かつ独立に定量できることが文献に報告されている(米国特許第5,827,656号明細書)。同様の原理を、本発明の教示において例えばリガーゼやインテグラーゼに対する阻害活性について複数の化合物を同時にスクリーニングすることが望ましい場合に適用することが可能である。本明細書の開示に基づけば好適な多チャンネルアッセイをいかに設計、使用すべきかは当業者にとって容易に認識されよう。
本発明の異なる実施形態では、基質核酸の鎖の内の一本(状態の変化によって直接影響を受ける鎖であってもなくてもよい)と、後の分解工程における分解に対する保護が、基質核酸が第1の状態にあるか第2の状態にあるかによって異なるように設計された標識化オリゴヌクレオチドとからなる複合体を形成させることによって基質核酸の状態の変化を検出する。分解工程を行った後、使用した標識に適した方法で標識シグナルを検出し、ここから基質核酸の状態を決定することが可能である。
こうした様々な手法の理解を助けるため、図面の中の模式図を参照しながら多くの異なるスキームについて以下に説明する。
スキームA(図3)
第2の鎖12に対して相補的な第1のヌクレオチド鎖10を有する第1のオリゴヌクレオチド二本鎖分子を合成する。核酸の二本鎖分子中で第1の鎖と結合して存在する場合、第2の鎖は無傷な(ライゲートされた)鎖12か、あるいは「ニック」を有するライゲートされていない鎖12として存在し得る。リガーゼ活性、またはこうした活性に影響する因子を検出するように設計された本スキームの目的上、第2の鎖12がニックを有するかライゲートされていないような核酸の二本鎖分子を合成する。ライゲートされていない第2の鎖12はリガーゼの酵素基質として機能する鎖の少なくとも一部分を表し、酵素の作用によってライゲートされた鎖12へと変換される。このアッセイにおいて基質核酸の2つの状態とは、第2の鎖がライゲートされていない状態と、第2の鎖がライゲートされている状態のことである(ii)。
第1の鎖10と同じ(したがって第2の鎖12に対して相補的)であるが、化学発光または蛍光発光分子18を結合させることが可能な「リンカー」部分16を更に有する第3のオリゴヌクレオチド14を合成する。特定の応用例では、第3のオリゴヌクレオチドは第1の鎖と同じである必要はなく、第3のオリゴヌクレオチドが第2の鎖に安定してハイブリダイズ可能であるならば塩基のミスマッチがあってもよい。
スキームAは以下の段階からなる。括弧内のローマ数字は図3に示した工程と対応している。
(i)第1の鎖10が、「ニック」を有するかライゲートされていない第2の鎖12にハイブリダイズした二本鎖からなる試薬を与える。
(ii)前記(i)工程の試薬を、阻害剤及び補因子の存在下または非存在下で酵素リガーゼと接触させる(図の左側は酵素活性がある条件を、図の右側は活性のない条件を示す。これは以下の図3〜図8でも同様である。)。
(iii)標識化オリゴヌクレオチド14を試料に導入し、試料の温度を上げて第1の鎖と第2の鎖を分離させる。
(iv)ライゲートした(無傷の)鎖12のハイブリダイゼーション温度よりも低いが第2の鎖12のライゲートされていないフラグメントのハイブリダイゼーション温度よりも高い温度にまで温度を低下させると、ライゲートされた第2の鎖12の一部が、第1の鎖10の代わりに標識化オリゴヌクレオチド14とハイブリダイズする。しかし、ライゲートされていない短い標的鎖のハイブリダイゼーション温度よりも温度が高いためにライゲートされていない12のフラグメントは標識化オリゴヌクレオチド14にはハイブリダイズしない。
(v)次いで、標識の加水分解や解離によって標識18が分解される条件に試料を曝す(以下、分解条件と一般的に呼ぶ)。この標識化オリゴヌクレオチドは、無傷の鎖12に標識化オリゴヌクレオチドがハイブリダイズした場合には標識18からの出力シグナルが実質影響されないという性質を有するものである。これに対し、標識化オリゴヌクレオチドがハイブリダイズしなかった場合(または部分的にしかハイブリダイズしなかった場合)には、分解条件から保護されずに出力シグナル光が変化する(シグナルが存在しないか変化する)。
(vi)化学発光反応を開始し、標識の性質に応じて出力光を測定するかまたは蛍光を測定する。
(vii)出力シグナル光はリガーゼ活性に比例する。
スキームB−(図4)
このスキームは第1の鎖10と、ライゲート型(12)か非ライゲート型(12)のいずれかである第2の鎖12を使用し、更に標識化オリゴヌクレオチドを使用する点でスキームAと似ている。しかしながらこの例では標識化オリゴヌクレオチド14は第2の鎖ではなく第1の鎖10にハイブリダイズするように設計されている。
(i)ライゲートされていない第2の鎖12とハイブリダイズした第1の鎖10からなる基質二本鎖を試料中に与える。
(ii)阻害剤、補因子などの存在下または非存在下で試料をリガーゼと接触させる。
(iii)ライゲートされていない第2の鎖12を第1の鎖から分離させるだけ充分に高いがライゲートされた第2の鎖12が分離するほどには高くない温度に試料の温度を上げる。
(iv)第1の鎖に相補的な標識化オリゴヌクレオチド14と試料を接触させ、ハイブリダイズしていない第1の鎖10のすべてをハイブリダイズさせる。
(v)ハイブリダイズしていない標識化オリゴヌクレオチド14の化学発光または蛍光活性は影響されるが、相補鎖(この場合では第1の鎖10)にハイブリダイズした標識化オリゴヌクレオチド14の活性は実質影響されないような分解条件に試料を曝す。
(vi)化学発光反応を開始し、標識の性質に応じて出力光を測定するかまたは蛍光を測定する。
(vii)出力シグナル光はリガーゼ活性と反比例する。
スキームC−(図5)
このスキームでは、設計基質核酸として二本鎖分子20を作成した。
(i)基質核酸二本鎖分子20は、ニックを有するかライゲートされていない第2の鎖24にハイブリダイズした第1の鎖22からなる。標識28はリンカー部分26によって第1の鎖22に連結されている。設計基質核酸としての二本鎖分子20は、第2の鎖がライゲートされていない時には標識が分解条件から比較的保護されず、第2の鎖が酵素活性によってライゲートされている場合には標識が分解状態から比較的保護されるよう、ライゲートされていない鎖24のニックに対して標識28の位置が決められるように設計されている。模式図では標識はニックの丁度反対となる位置に示されているが、標識とライゲートされていない鎖のニックとの相対位置は異なり得るものであって、ニックは対向する鎖の標識の位置から塩基数個分離れた位置にあってもよい。標識及び設計基質の末端に対するニックの好ましい位置は、米国特許第5,283,174号明細書及び同第5,399,491号明細書の開示に基づき、経験的に決定することができる。
(ii)設計基質20を阻害剤、補因子などの存在下または非存在下でリガーゼと接触させる。リガーゼ活性の存在下では、ライゲートされていない第2の鎖24は修復されてライゲートされた鎖24を与える。酵素活性の非存在下では第2の鎖24は修復されない。
(iii)次いで,ライゲートされていない第2の鎖24を第1の鎖22から分離させるだけ充分に高いがライゲートされている第2の鎖24が第1の鎖22から分離するほどには高くない温度にまで試料の温度を上げる。次に試料を分解条件に曝すと第1の鎖がライゲートされた第2の鎖24によって保護されていない場合には標識28の活性が失われる。
(iv)化学発光反応を開始し、標識の性質に応じて出力光を測定するかまたは蛍光を測定する。
(v)出力シグナル光はリガーゼ活性と比例する。
スキームD−(図6)
このスキームは二本鎖を分離させるDNAヘリカーゼなどの酵素活性をモニターすることを目的としたものである。
(i)リンカー部分によって標識34が結合された第1の鎖32を有する設計二本鎖分子30を与える。第1の鎖32は第2の鎖38とハイブリダイズしている。
(ii)設計基質分子30を阻害剤、補因子などの存在下または非存在下でヘリカーゼと接触させる。活性ヘリカーゼの存在下では、第1の鎖32と第2の鎖38は酵素活性によって分離されて二本鎖分子の状態が変化するが、こうした活性の非存在下では設計基質分子30の状態は変化しない。
(iii)試料を分解条件に曝して化学発光または蛍光標識34の活性を消失させる。第1の鎖32が第2の鎖38から分離している場合には標識34の活性は低下するが、酵素が活性でない場合には標識34は比較的保護される。
(iv)保護されていない場合に化学発光または蛍光活性を消失させる条件に試料を曝す。
(v)出力シグナル光はヘリカーゼ活性と反比例する。
スキームE−(図7)
このスキームは、「構造単位」としてのリボヌクレオシド三リン酸40を核酸配列42にアセンブルするRNAポリメラーゼなどの酵素の酵素活性をモニターするのに適している。
(i)リボヌクレオシド三リン酸40、試験を行う酵素、及び必要な補因子や阻害剤とともに適当な二本鎖DNAまたはRNAの鋳型分子(図示せず)を試料に加える。
(ii)酵素が阻害されない場合には酵素によって一本鎖のリボヌクレオチド産物42が生成するが、そうでない場合にはリボヌクレオシド三リン酸40は分離したままとなる。
(iii)(ii)の酵素活性の産物に相補的な標識化オリゴヌクレオチド44を試料に導入する。
(iv)生成した産物42が存在すれば標識化オリゴヌクレオチド44がこれにハイブリダイズする。
(v)試料を分解条件に曝して化学発光または蛍光活性を消失させる。標識化オリゴヌクレオチド44が産物42にハイブリダイズしている場合には、標識化ヌクレオチドがハイブリダイズできる生成鎖が存在しない場合と比較して標識46の安定性は比較的影響されない。
(vi)化学発光反応を開始し、標識の性質に応じて出力光を測定するかまたは蛍光を測定する。
(vii)出力シグナル光は酵素活性と比例する。
スキームF
このスキームは逆転写酵素やプライマーゼなどの酵素の活性をモニターするように設計されている。
(i)試料は、ヌクレオシド三リン酸50、試験を行う酵素、及び必要に応じて1以上の補因子や阻害剤とともに、一本鎖の鋳型分子48を含んだものである。
(ii)酵素が活性である場合には鋳型分子48上に相補的な標的鎖52が形成されるが、不活性である場合には相補鎖は形成されない。
(iii)酵素によって合成された標的鎖52に相補的な標識化オリゴヌクレオチド54を試料に導入する。
(iv)温度をサイクル変化させて鋳型48と酵素合成された標的鎖52とを分離させ、次いでハイブリダイゼーションが可能な温度にまで温度を低下させる。標的鎖52が存在する場合にはその一部が標識化オリゴヌクレオチド54にハイブリダイズする。
(v)ハイブリダイズしていない標識化オリゴヌクレオチドが活性を失うように試料を分解条件に曝して化学発光または蛍光活性を消失させる。
(vi)化学発光反応を開始し、標識の性質に応じて出力光を測定するかまたは蛍光を測定する。
(vii)標識50からの出力信号光は酵素活性と比例する。
スキームG(図9)
部位特異的開裂点を有するDNA二本鎖分子を先ず合成する。次に、標識が酵素ヌクレアーゼ活性に干渉しないように、二本鎖分子の一方の鎖の開裂点から充分に離れた部位に化学発光標識(AE標識)を結合させる。標識はそれ自体と酵素ヌクレアーゼとの間で立体障害が生じないような位置に結合されることが最も理想的である。開裂剤または酵素ヌクレアーゼが存在しない場合には標識化二本鎖分子は実質無傷のままである(図9の左側)。あるいは、開裂剤または酵素ヌクレアーゼが存在する場合にはこれが部位特異的開裂点に作用してDNAを開裂する。したがって次にこのDNAを適宜選択した溶解温度に曝すと開裂した鎖がその相補鎖から分離して化学発光標識が露出する。この後、加水分解条件に曝すことで化学発光標識は破壊される。これに対し、酵素が存在しないか不活性である場合には、二本鎖分子の開裂は起こらず、したがって化学発光標識は二本鎖分子のコイル内で加水分解の影響から保護されるためにその機能が保たれる。このようにすると化学発光シグナルの出力は開裂活性と反比例する。したがって酵素ヌクレアーゼの存在量または活性が増大することによって開裂が増加すると、より多くの化学発光標識が破壊されて化学発光シグナルが低下する。
スキームGは更にエンジイン開裂アッセイに含まれる工程を示している。上述したようにエンジインの存在下では標識化二本鎖分子は開裂され、後に溶解条件に曝した際に開裂が生じていると、開裂鎖はその相補鎖から分離して化学発光標識が露出する。この後、加水分解条件に曝すと化学発光標識は破壊される。したがってこのアッセイ法はエンジインの活性または存在についてアッセイを行ううえで同様に効果的である。
図10に示したスキームの改変例では、化学発光標識を二本鎖分子に結合させずに、二本鎖分子の一部に少なくとも部分的に相補的な別のオリゴヌクレオチドに結合させることによって、酵素またはエンジインの存在下では二本鎖分子が開裂してオリゴヌクレオチドが二本鎖分子の相補部分に結合することが可能となる。したがってスキームGのこの改変例では、二本鎖分子のフラグメントへの標識化オリゴヌクレオチドの結合によって酵素またはエンジインの存在が示され、結合は酵素またはエンジインの活性と比例する。
スキームH(図10)
このスキームは酵素インテグラーゼの活性をモニターするように設計されている。
この酵素の基質は2個のオリゴヌクレオチドからなる。これらのオリゴヌクレオチドは、ハイブリダイズすることによって図に示すような2次構造を形成することが可能な分子間及び分子内相補配列を有している。インテグラーゼがこの構造を開裂及びライゲートすることによって2個のオリゴヌクレオチドの大きい方に化学発光(AE)標識が取り込まれる。これを高温に曝すと標識を取り込んでいない、すなわち小さい方のオリゴヌクレオチドは脱落する。次いで大きな方のオリゴヌクレオチドを加水分解条件に曝すと、インテグラーゼによって長い方の鎖にライゲートされた化学発光標識は二本鎖の核酸のコイル内で保護されるために分解を免れる。
このスキームでは化学発光標識のシグナルは酵素インテグラーゼの活性に直接比例する。したがって酵素の活性が高いほどより多くの化学発光標識が二本鎖分子に取り込まれ、加水分解の分解作用から化学発光標識がより保護されることになる。
スキームI(図11)
このスキームは酵素トポイソメラーゼの活性をモニターするように設計されている。
先ず5’末端側の延長部分を有する二本鎖核酸を作成する。この二本鎖分子の一方の鎖は酵素トポイソメラーゼによる特異的開裂部位を更に含んでいる。トポイソメラーゼが存在するか活性である場合、酵素は開裂部位において二本鎖分子に作用して5’末端側の延長部分を有する二本鎖分子を形成する。
次いでこの5’末端側の延長部分に相補的な化学発光標識したオリゴヌクレオチドをアッセイに加える。トポイソメラーゼはこのオリゴヌクレオチドをライゲートして化学発光標識化二本鎖分子を生成する。
これを加水分解のための分解条件に曝すと化学標識は二本鎖分子のコイル内で加水分解から保護される。これに対してライゲートされていないオリゴヌクレオチドは破壊される。
このアッセイでは化学発光標識のシグナル強度は酵素トポイソメラーゼの活性に直接比例する。したがってシグナルの量は酵素が作用してオリゴヌクレオチド標識が延長二本鎖分子に取り込まれるのにしたがって増大する。
発明の詳細な説明
スキームAに基づいた間接的リガーゼ活性アッセイ
ここではニックを有するかライゲートされていない第2の(標的)鎖に相補的なヌクレオチドの配列を有する第1のオリゴヌクレオチド鎖を合成する。ライゲートされていない第2の鎖は、酵素リガーゼの基質として機能する鎖の少なくとも一部であり、この酵素の作用によって修復またはライゲートされた鎖へと変換される。この鎖は、ライゲートされていない鎖の2個の部分の相対長さの比が4を越えないような位置に「ニック」を有することが好ましい。ニックの位置の可能な範囲はニックを有する鎖の全体の長さによって制限される。第3のオリゴヌクレオチド鎖は、第1のオリゴヌクレオチド鎖と同じであるが化学発光または蛍光発光分子を結合させることが可能な「リンカー」部分を更に有するヌクレオチド鎖を有する。こうした標識化オリゴヌクレオチドの合成はよく確立された技術である。第1のオリゴヌクレオチド鎖及び第3のオリゴヌクレオチド鎖は塩基10〜60個、好ましくは塩基20から40個からなるヌクレオチド鎖であることが好ましい。発光分子は好ましくは化学発光分子であり、より好ましくは化学発光性アクリジニウム塩である。
スキームAの(i)工程における二本鎖分子と同様のニックを有する二本鎖分子が得られるように第1の鎖と第2の鎖を混合することによって好適なリガーゼ基質を調製する。実際には第2の鎖は、例えばT4ポリヌクレオチドキナーゼを用いた適当な方法によって一方の鎖の遊離5’末端をリン酸化した2本の短い鎖からなる。好ましくは10〜100nmolの各鎖を適当なバッファー、好ましくはコハク酸リチウム(1〜100mmol/l、0.1〜1ml)中で好ましくは0.5〜2時間60℃でハイブリダイズさせる。次いでこの基質の適当な量を所望量の酵素と混合し、通常の条件下で適当な時間反応を行う。
標識した第3のオリゴヌクレオチド鎖は特定のバッファー媒体に溶解する。このバッファーは、標識鎖と第2のオリゴヌクレオチド鎖とのハイブリダイズを可能とし、ハイブリダイズ反応の間の試薬の安定性を維持する点で標識鎖に適合したものである。こうしたバッファーの処方はこの分野では確立されたものである。一般にバッファーのイオンは好ましくは1〜100mmol/lの範囲の濃度の有機及び/または無機塩からなり、溶液には界面活性剤及び/または保存料などの他の溶質が含まれていてもよく、pHは好ましくは7以下である。使用する標識化オリゴヌクレオチドの量は、アッセイで求められる標識の検出感度及び標的鎖の検出感度に応じて異なる。一般に化学発光は従来の蛍光よりも高感度で検出が可能であり、したがって極めて高い感度の検出が必要とされる場合には蛍光プローブは不適当であることが知られている。個々の判定で使用する標識化オリゴヌクレオチドの量は一般的に10−18〜10−9mol、より好ましくは10−15〜10−12molの範囲である。これは1μl〜1mlの範囲の量のバッファに加えてもよいが、状況によってはこの量は1μl未満である。
この標識化プローブの溶液を個別の試験管などの適当な反応容器か、96、384、または1536穴マイクロタイタープレートなどの反応容器のアレイ中で分析用試料と混合する。または、不動化したマイクロアレイを用いた固相システムが多くの分析法で利用されていることは周知であり、従来の標識化プローブアッセイの使用法とならんで、本明細書で述べる手段がこうしたシステムにも拡張されるものであることは了承されよう。
ハイブリダイズ反応は、一般に4〜80℃、より好ましくは30〜60℃の範囲の温度で、一般に1分〜240分、より一般的には5分〜30分の範囲で行う。
この最初のインキュベーション後に分解工程を行う。この分解工程では、標識部分の1以上の結合を解離させる分解試薬を反応混合物に加えるが、標識が無傷な二本鎖分子の一部である場合には標識は解離反応から保護される。この解離反応も一般に高温で行う必要がある。分解試薬としては標識部分を加水分解することが可能な、pHが7よりも大きいバッファー溶液を使用することができる。本発明はこうした加水分解の応用に限定されるものではなく、光放射標識が無傷な二本鎖分子の一部であるか否かに応じて光放射標識の発光能を選択的に阻害する他の方法にも拡張されるものである。こうした選択的解離反応を行う他の方法の例が文献に開示されている(Ishikawa and Kato)。この方法では化学発光の強度は、ライゲートされていない核酸に対するライゲートされた核酸の比と比例している。
特定のDNA酵素基質によってリガーゼ活性を決定するための上記のアッセイでは、上記のハイブリダイズ反応の前に、酵素が存在する場合にその作用によって核酸の構造を変化させる反応工程を行う。リガーゼの場合ではこの工程で核酸の「ニック」が修復される。次いで核酸を加熱してハイブリダイズした鎖を変性、すなわち分離させ、その後に冷却することによって鎖を再びハイブリダイズさせる。特定の化合物または化合物の混合物が酵素活性を阻害または活性化するか否かを判定したい場合には、前記の酵素を前記の化合物または化合物の混合物と接触させて、アッセイによって求められるその活性または活性の欠如を、化合物と接触させない酵素のアッセイによる酵素活性と比較する。同様にして、「基質」の生成物へのこうした変換を引き起こす任意の化学的または物理的システムの活性、及びその阻害剤や活性化剤の活性を求めることが可能である。
スキームCに基づいた直接的リガーゼ活性のアッセイ
20個〜60個の塩基対を有する二本鎖のオリゴヌクレオチド鎖からなり、一方の鎖が少なくとも1個の「ニック」を有してライゲートされていないような「設計」酵素基質を作成する。更にニックを有する鎖の一方は上述したようなリンカーと加水分解可能な化学発光標識を有する。この基質をリガーゼ酵素活性についてのアッセイで使用する。このアッセイでは、使用される特定の酵素リガーゼに適した条件下で基質と酵素を混合し、二本鎖の基質は酵素反応の際に一本鎖に解離することはない。
基質を酵素に接触させた後、反応混合物を一般に35〜75℃、より好ましくは45〜65℃の高温に曝して保護されていない化学発光標識をすべて加水分解する。必要な場合、事前に適当なバッファー溶液を加えて反応混合物のpHを好ましくは7〜9の範囲に上げることによってこの加水分解反応を促進する。
この選択的加水分解工程の後、反応混合物を照度計に入れて化学発光を開始してこれを測定する。化学発光反応を開始させる方法は使用される特定の化学発光標識に依存し、当業者には周知のものである。標識が化学発光性のアクリジニウム塩であるような一例では、一般に過酸化水素とアルカリを加えることによって反応を開始させる。化学発光検出に適した機器は多くのものが市販されている。
上記に述べた手法はリガーゼ活性のモニタリングに関するものであるが、こうした手法は、ライゲートされた核酸とライゲートされていない核酸の間の相互変換を促進するすべての酵素で使用することが可能である。これらの手法は、反応が行われるうえで必要な条件下かつ反応に必要なすべての補因子の存在下で、試験する酵素を核酸基質と混合する方法にて開始するか、あるいはこうした方法を先に行う。この時点かこれよりも先の時点で、特定の物質を加えてこの物質が酵素の活性に与える影響について調べることも可能である。
特定の酵素の活性に適合した反応条件は文献で確立されているものであり、本明細書の教示に適用することが可能である。更に、酵素と阻害剤との相互作用を引き起こす好ましい態様を代表する一般的な手法はよく知られたものである。したがって本明細書で開示する方法は、本明細書で説明する酵素の活性に影響するあらゆる化学的または物理的変量の研究が可能であるように適合させることが可能である。
最後に、化学発光の強度は、ライゲートされていない鎖に対するライゲートされた鎖の濃度の比に比例しており(方法に応じて直接または間接に)、したがって系に存在する酵素の活性、不活性、または活性の阻害の指標、尺度となるものである。
ここで述べた方法は、核酸の改変を引き起こし、その全体の機能の一部としてライゲーション及び/または開裂を行う広範な酵素の活性を調べるための手段として応用することが可能である。そのため上記の加水分解工程を行う温度は、ライゲートされていない二本鎖分子は溶解するがライゲートされている二本鎖分子は無傷に維持されることでハイブリダイゼーションによる保護が促進されるように適切に選択される必要がある。適切な温度は異なる鎖で異なり、特定の鎖に対してこの温度を最適化するには経験的なアプローチが必要である。
同様の実験プロトコールを酵素ヘリカーゼまたはその阻害剤の活性のアッセイに用いることが可能であるが、こうした場合では、標識化オリゴヌクレオチド鎖が、各酵素活性の産物を構成する「巻き戻された」遺伝物質に結合可能であるが、核酸二本鎖分子に代表されるような基質に結合することはできないように設計されている点が異なっている。特定の化合物または化合物の混合物による酵素阻害の際に見られるような酵素活性の消失によって標識化オリゴヌクレオチド鎖のハイブリダイゼーションの標的が失われる。
更にスキームDで述べたように、ヘリカーゼアッセイにおいて、基質二本鎖分子の鎖の一方がそれ自体標識されていることにより、二本鎖分子が酵素によって「巻き戻されて」いる場合に標識の性質が異なるような「設計基質」を使用することが可能である。こうした設計基質二本鎖分子は例えばアクリジニウムエステルで標識することが可能である。アクリジニウムエステルの加水分解速度は、アクリジニウムエステルが結合した核酸鎖の部分がヘリカーゼの作用によってその相補鎖から分離する際に増大する。上述したようにここで物理的/化学的条件を変化させることによって、ヘリカーゼ反応の生成物中に存在するアクリジニウム塩は選択的に加水分解されるが、未反応基質として存在するものには実質影響を及ぼさないようにする。この場合、化学発光の強度は酵素活性に反比例する。
同様の実験プロトコールを酵素インテグラーゼ及びトランスポザーゼまたはその阻害剤の活性のアッセイに使用することができる。その場合、(酵素活性後の)生成物である核酸鎖にはハイブリダイズできるが改変されていない基質核酸鎖にはハイブリダイズできない、またはその逆である標識化オリゴヌクレオチドを使用することができる。
標識化オリゴヌクレオチド鎖を結合させる基質または生成物が二本鎖分子として存在する場合、オリゴヌクレオチドプローブとのハイブリダイズを行う前にこの二本鎖分子を解離させる必要がある場合がある。こうした解離反応を行うための多くの方法が当該分野では確立されている。
以下の実施例は本明細書で具体化される教示の原理をその応用に関して限定することなく説明するためのものである。
実施例1
1.化学発光アクリジニウムエステルで標識したオリゴヌクレオチド鎖のハイブリダイゼーション保護を利用したDNAリガーゼアッセイ
確立された方法を用いて3種類のオリゴヌクレオチドを調製した。これらの鎖は以下のようなものである。
(i) 5’−GGC CTC TTC GCT ATT ACG CCA GCT−3’
(ii) 3’−CCG GAG AAG CGA−5’
(iii) 3’−TAA TGC GGT CGA−5’
更に発表されている方法によって以下のような(i)の化学発光性誘導体を調製した(は化学発光標識の位置を示す)。
(iv) 5’−GGC CTC TTC GCTATT ACG CCA GCT−3’
(ii)の遊離5’末端を確立された方法でリン酸化した。このリン酸化によって鎖は確実にニックされる。リン酸化した(ii)を等モル量の(i)及び(iii)と1時間、60℃でコハク酸リチウムバッファー中でハイブリダイズさせることによってストック用の二本鎖分子を生成した。この二本鎖分子(6pmol)とT4 DNAリガーゼ(80単位)との混合物に必要に応じて潜在的阻害剤を混合したものを用いてリガーゼ活性を調べた。
以下のようにして反応生成物をライゲートされた生成物について分析した。
ハイブリダイゼーション保護アッセイによる分析用にリガーゼ生成物の反応混合物の試料をTrisバッファー(0.01mol/l,pH8.3)で1000倍に希釈した。100μlの希釈液を、500μlの微小遠心管中で反応バッファー(125mmol/l 水酸化リチウム、95mmol/l コハク酸、1.5mmol/l EGTA、1.5mmol/l EDTA、8.5% ラウリル硫酸リチウム、pH5.2)に希釈した標識化プローブ(iv)(50fmol)に加えた。この遠心管を95℃で5分インキュベートしてから60℃で30分インキュベートした。遠心管を4℃に冷却し、各遠心管の内容物を100μlずつ、対応した12×75mmのポリスチレン製試験管に移した。次いで加水分解試薬(190mmol/l ホウ酸ナトリウム、5%TritonX−100、pH7.6)(300μl)を加え、試験管を60℃で10分インキュベートした。これらの試験管を氷浴中に1分置き、次いで、検出試薬I及びII(ジェンプローブ社 サンディエゴ 米国)を各200μlずつ順次注入しかつ読取り時間5秒となるようにプログラムされた照度計(ストラテック・バイオメディカルシステムズ社 フォルツハイム ドイツ)に入れた。
図9は、既知のリガーゼ阻害剤(エチレンジアミンテトラ酢酸、EDTA)の酵素に対する影響を示したものである。
2.化学発光性アクリジニウムエステルで標識した二本鎖分子基質のハイブリダイゼーション保護を利用したDNAリガーゼアッセイ
実施例1で得られたオリゴヌクレオチド(ii)、(iii)及び(iv)を上記で鎖(i)、(ii)及び(iii)で用いたのと同様の方法でハイブリダイズした。このストック用標識化二本鎖分子をリガーゼアッセイで直接使用した。
上記と同じようにして加水分解試薬を加え、上述したように化学発光の測定を行った。
実施例2
逆転写酵素(RT):ジデオキシチミジン三リン酸(ddTTP)の阻害
アッセイの鋳型分子を、連続プライマー、T7ウイルスDNA依存型RNAポリメラーゼ、及びリポーター配列からなるヌクレオチド81個のDNA(ナンセンス)オリゴヌクレオチドでプレプライミングした。プレハイブリダイズした短鎖のセンス鎖プライマーのRT依存型伸長反応によって二本鎖の基準プロモーター/リポーターが生成し、リポーターとしてのmRNA転写産物のT7RNAポリメラーゼによる生成をRTによって調節することが可能となる。rTNP(2mM)、dTNP(0.1mM)、トリ骨髄芽球症ウイルスRT、T7RNAポリメラーゼ、及びddTTPの連続希釈液を含んだバッファ中で鋳型分子をインキュベートした。次いでレポーターとしてのmRNA産物をHPA(ハイブリダイズ保護アッセイ)によって測定した。簡単に述べると、基質鎖に相補的なオリゴヌクレオチドまたはその相補鎖を、溶解温度に曝した後に対応するDNA鎖にハイブリダイズさせたのである。
上記と同じようにして加水分解試薬を加え、上述したように化学発光の測定を行った。
実施例3
DNAヘリカーゼ:3つの異なる酵素:基質比における鎖分離の時間的変化
AE標識した二本鎖基質を酵素の存在下でインキュベートした。分離されていない基質がAEにハイブリダイゼーション保護を与えることから、信号強度は酵素活性に反比例する。
実施例4
T7DNA依存型RNAポリメラーゼによるmRNAの生成:EDTAを用いた阻害用量応答
鋳型分子として、T7RNAポリメラーゼプロモーターを含み、リポーター標的配列を有するヌクレオチド295個からなるmRNA転写産物をコードした直線化DNAをPCRで生成したものを用いた。鋳型分子を酵素とともにモデル阻害剤としてのEDTAの連続希釈液中でインキュベートした。この後、レポーターとしてのmRNA産物をハイブリダイゼーション保護アッセイ(HPA)で測定した。簡単に述べると、新たに形成された鎖に相補的な標識化オリゴヌクレオチドをこの新たな鎖にハイブリダイズさせたのである。上記と同じようにして加水分解試薬を加え、上述したように化学発光の測定を行った。
実施例5
E coli RNAポリメラーゼ:リファンピシンによる阻害
コンセンサス配列であるRNAポリメラーゼプロモーター及びリポーターmRNA転写産物を連続的にコードした(3’−5’ナンセンス)ヌクレオチド64個からなる合成オリゴヌクレオチドからストックの鋳型分子を構築した。短鎖のセンス鎖プライマーを3’末端にアニールし、KlenowDNAポリメラーゼを用いて完全な二本鎖分子を伸長した。ホロ酵素であるE.coli RNAポリメラーゼを用い、DMSOによる阻害剤の連続希釈液とともにアッセイバッファー中で鋳型分子をインキュベートした。この後、レポーターとしてのmRNA産物をハイブリダイゼーション保護アッセイ(HPA)によって測定した。簡単に述べると、標識化オリゴヌクレオチドを新たに形成された鎖にハイブリダイズさせたのである。上記と同じようにして加水分解試薬を加え、上述したように化学発光の測定を行った。
酵素リガーゼの作用を示す模式図であり、核酸配列の一部がライゲートされる様子が示されている。 酵素ヘリカーゼの作用を示す模式図であり、二本鎖核酸の個々の鎖が「巻き戻されて」いる様子が示されている。 リガーゼ活性をアッセイするための本発明の第1の実施形態に含まれる工程を示した模式図。 やはりリガーゼ活性をアッセイするための本発明の第2の実施形態に含まれる工程を示した模式図。 設計標識化基質としての核酸を使用してリガーゼ活性をアッセイする本発明の第3の実施形態に含まれる工程を示した模式図。 DNAヘリカーゼなどの酵素の活性についてアッセイするための本発明の第4の実施形態に含まれる工程を示した模式図。 複鎖DNA鋳型分子に作用するRNAポリメラーゼなどの酵素についてアッセイするための本発明の第5の実施形態に含まれる工程を示した模式図。 一本鎖鋳型分子に作用する逆転写酵素やプライマーゼなどの酵素の活性についてアッセイするための本発明の第6の実施形態に含まれる工程を示した模式図。 複鎖DNAに作用するエンジインまたはヌクレアーゼなどの酵素の活性についてアッセイするための本発明の第7の実施形態に含まれる工程を示した模式図。 オリゴヌクレオチドに作用するインテグラーゼなどの酵素の活性についてアッセイするための本発明の第8の実施形態に含まれる工程を示した模式図。 二本鎖の核酸分子に作用するトポイソメラーゼなどの酵素の活性についてアッセイするための本発明の第9の実施形態に含まれる工程を示した模式図。 酵素リガーゼの阻害剤としてEDTAを使用した実施例1の実験結果を示す図。 逆転写酵素の阻害剤としてジデオキシチミジン三リン酸(ddTTP)を使用した実施例2の実験結果を示す図。 ヘリカーゼの活性を3つの異なる酵素:基質比にて測定した実施例3の実験結果を示す図。 ウイルス性DNA依存型RNAポリメラーゼ酵素の阻害剤としてEDTAを使用した実施例4の結果を示す図。 細菌性DNA依存型RNAポリメラーゼ酵素の阻害剤としてリファンピシンを使用した実施例5の結果を示す図。

Claims (44)

  1. 第1の状態から第2の状態へと核酸の構造を変化させることが可能な物質の活性を決定するための方法であって、
    (a)試験試料中に、
    (i)前記物質と、
    (ii)前記核酸と、必要に応じて、
    (iii)前記第1または第2の状態にある場合に前記核酸に対して少なくとも部分的に相補的な1以上のオリゴヌクレオチドとを与える工程;該オリゴヌクレオチドまたは核酸の一方もしくは両方は出力シグナルを与えることが可能な標識を有し、分解に対する前記標識の安定性は前記核酸が前記第1または第2の状態のいずれにあるかに応じて異なる;と、
    (b)前記試験試料を分解条件に曝す工程と、
    (c)前記出力シグナルを検出することによって前記核酸が前記第1または第2の状態のいずれに少なくとも主としてあるかを判定する工程と、
    (d)前記物質の活性を決定する工程と
    を含む方法。
  2. 前記オリゴヌクレオチドまたは前記核酸は前記標識を有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 前記物質は、リガーゼ、ヌクレアーゼ、トランスポザーゼ、インテグラーゼ、プライマーゼ、ヘリカーゼ、ジャイレース、ポリメラーゼ、逆転写酵素、トポイソメラーゼ、及びエンジインからなる群から選択されることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記核酸はDNAまたはRNAであることを特徴とする請求項1、2または3に記載の方法。
  5. 前記核酸は一本鎖または複鎖であることを特徴とする請求項1、2または3に記載の方法。
  6. 前記物質はリガーゼであり、前記基質核酸は複鎖であって、前記(a)工程は更に、前記複鎖核酸が一本鎖に分離することによって、ライゲートされている核酸鎖またはその相補鎖がすべて前記オリゴヌクレオチドとハイブリダイズすることが可能となるような温度に前記試料を曝すことを更に含む請求項1、2、3または4に記載の方法。
  7. 前記物質はリガーゼであり、前記オリゴヌクレオチドは前記試験試料には含まれず、複鎖である前記核酸は前記標識を有し、前記(a)工程は、ライゲートされていない核酸のすべてが少なくとも部分的に一本鎖に分離するような温度に前記試料を曝すことを更に含む請求項1、2、3または4に記載の方法。
  8. 前記温度は、前記ライゲートされていない核酸は分離するがライゲートされている核酸は分離しないように選択されることを特徴とする請求項6に記載の方法。
  9. 前記核酸は、前記酵素によってライゲートされることが可能な少なくとも2個のライゲートされていない部分からなる中断鎖を有することを特徴とする請求項6、7または8に記載の方法。
  10. 前記物質はヘリカーゼであり、前記基質核酸は複鎖であって、前記(a)工程は更に、前記核酸が少なくとも部分的に巻き戻されるような環境に前記試料を曝すことを更に含む請求項1、2、3または4に記載の方法。
  11. 前記オリゴヌクレオチドは前記試験試料には含まれず、前記核酸は前記標識を有することを特徴とする請求項10に記載の方法。
  12. 前記物質はポリメラーゼであり、前記核酸はオリゴヌクレオチド及び/またはヌクレオチドの形態であって、前記(a)工程は更に、前記オリゴヌクレオチド及び/または前記ヌクレオチドが連結されて鎖を形成し、これに前記相補的オリゴヌクレオチドが結合することが可能となるような環境に前記試料を曝すことを特徴とする請求項1、2または3に記載の方法。
  13. 前記物質は逆転写酵素またはプライマーゼであり、前記核酸はヌクレオシド三リン酸の形態であって、前記(a)工程は更に、前記ヌクレオシド三リン酸が連結されて鎖を形成し、これに前記相補的オリゴヌクレオチドが結合することが可能となるような環境に前記試料を曝すことを更に含む請求項1、2または3に記載の方法。
  14. 前記試料は更に核酸鋳型分子を含むことを特徴とする請求項12または13に記載の方法。
  15. 前記鋳型分子は一本鎖であることを特徴とする請求項14に記載に方法。
  16. 前記物質はヌクレアーゼであり、前記オリゴヌクレオチドは前記試料には含まれず、複鎖であって部位特異的開裂点を有する前記核酸は前記標識を有し、前記(a)工程は更に、開裂した核酸がすべて一本鎖に分離するような温度に前記試料を曝すことを更に含む請求項1、2または3に記載の方法。
  17. 前記物質はヌクレアーゼであり、前記核酸は複鎖であるとともに部位特異的開裂点を有し、前記(a)工程が更に、開裂した核酸がすべて一本鎖に分離するような温度に前記試料を曝すことを更に含むことによって前記鎖の少なくとも選択された1本に前記相補的オリゴヌクレオチドが結合可能となる請求項1、2または3に記載の方法。
  18. 前記物質はエンジインであり、前記オリゴヌクレオチドは前記試料に含まれず、複鎖であって開裂点を有する前記核酸は前記標識を有し、前記(a)工程は更に、開裂した核酸がすべて一本鎖に分離するような温度に前記試料を曝すことを更に含む請求項1、2または3に記載の方法。
  19. 前記物質はエンジインであり、前記核酸は複鎖であるととともに開裂点を有し、前記(a)工程が更に、開裂した核酸がすべて一本鎖に分離するような温度に前記試料を曝すことを更に含むことによって前記鎖の少なくとも選択された1本に前記相補的オリゴヌクレオチドが結合可能となる請求項1、2または3に記載の方法。
  20. 前記温度は、前記開裂した核酸は分離するが開裂していない核酸は分離しないように選択されることを特徴とする請求項16、17、18または19に記載の方法。
  21. 前記物質はインテグラーゼであり、前記オリゴヌクレオチドは前記試料に含まれず、前記核酸は、分子間及び分子内相補配列を有する少なくとも2個のオリゴヌクレオチドからなることと、前記配列の1つは前記標識を有し、前記(a)工程は更に、標識を取り込んでいないオリゴヌクレオチドはすべて分離または脱落する温度に前記試料を曝すことを更に含むこととを特徴とする請求項1、2、3または4に記載の方法。
  22. 前記標識は前記物質が活性である部位から離れた位置にあることによって前記標識が前記物質の活性に干渉することがないことを特徴とする請求項7、16、18または21に記載の方法。
  23. 前記物質はトポイソメラーゼであり、前記基質核酸は5’末端または3’末端側に延長部分を有する二本鎖分子であり、前記オリゴヌクレオチドは前記酵素の活性によって生成される前記5’末端または3’末端側の延長部分に相補的な鎖である再ライゲートされた鎖であることを特徴とする請求項1、2、3または4に記載の方法。
  24. 前記出力シグナルの検出には、比色定量法、蛍光測定法、及び化学発光法の1以上を使用することを特徴とする請求項1乃至23のいずれかに記載の方法。
  25. 前記標識は蛍光分子または化学発光分子であることを特徴とする請求項1乃至24のいずれかに記載の方法。
  26. 前記標識はアクリジニウム塩であることを特徴とする請求項25に記載の方法。
  27. 複数の物質の活性を決定する請求項1乃至26のいずれかに記載の方法であって該方法は、
    (a)試験試料中に、
    (i)複数の物質と、
    (ii)前記複数の物質の核酸と、必要に応じて、
    (iii)前記第1または第2の状態にある場合に前記核酸に対して少なくとも部分的に相補的な1以上のオリゴヌクレオチドとを与える工程;該オリゴヌクレオチドまたは核酸の一方もしくは両方はそれぞれ出力シグナルを与えることが可能な複数の標識を有し、該シグナルは前記核酸が前記第1または第2の状態のいずれにあるかによって分解の影響に対して安定であり、各標識の出力シグナルが異なることによって各物質の活性の区別が可能である;と、
    (b)前記試験試料を分解条件に曝す工程と、
    (c)各標識の出力シグナルを検出することによって前記複数の核酸が前記第1または第2の状態のいずれに少なくとも主としてあるかを判定する工程と、
    (d)前記複数の物質のそれぞれの活性を決定する工程とを含む方法。
  28. 前記物質に関して、薬剤を調節活性についてスクリーニングするための請求項1乃至27のいずれかに記載の方法の用途であって、前記方法は更に前記(a)部分において前記試験試料中に試験を行う前記薬剤を与えることを更に含むことを特徴とする用途。
  29. 前記薬剤は薬理活性についてスクリーニングされることを特徴とする請求項28に記載の用途。
  30. 前記物質は抗細菌活性についてスクリーニングされることを特徴とする請求項28または29に記載の用途。
  31. 前記物質は抗ウイルス活性についてスクリーニングされることを特徴とする請求項28または29に記載の用途。
  32. 試料中の基質核酸の構造が変化して第1の状態または第2の状態のいずれにあるかを検出するための請求項1乃至27のいずれかに記載の方法の用途。
  33. 核酸の構造を第1の状態から第2の状態へと変化させることが可能な物質に関して、薬剤を調節活性についてスクリーニングするための方法であって、
    (a)試験試料中に、
    (i)前記物質と、
    (ii)前記核酸と、
    (iii)試験する薬剤と、必要に応じて、
    (iv)前記第1または第2の状態にある場合に前記核酸に対して少なくとも部分的に相補的な少なくとも1つのオリゴヌクレオチドとを与える工程;該オリゴヌクレオチド及び核酸の一方もしくは両方は出力シグナルを与えることが可能な標識を有し、分解に対する前記標識の安定性は前記核酸が前記第1または第2の状態のいずれにあるかに応じて異なる;と、
    (b)前記試験試料を分解条件に曝す工程と、
    (c)前記出力シグナルを検出することによって前記核酸が前記第1または第2の状態のいずれに少なくとも主としてあるかを判定する工程と、
    (d)前記物質の活性、したがって前記薬剤の調節活性を決定する工程とを含む方法。
  34. 請求項30に記載の方法によって同定される、核酸の構造を第1の状態から第2の状態へと変化させることが可能な物質の活性を調節する薬剤。
  35. 請求項34に記載の薬剤の治療薬としての使用。
  36. 核酸の第1の状態から第2の状態への変換が関与する状態を治療するための治療薬の製造における請求項34に記載の薬剤の使用。
  37. 前記核酸の前期変換が本明細書に述べられたものであるような請求項36に記載の薬剤の使用。
  38. 所定の酵素の活性の検出において基質として使用するための基質核酸であって、基質核酸と標識とから形成される複合体からなり、該基質核酸が前記酵素によって作用を受けるものであることによって、前記酵素が活性である場合に前記基質核酸は第1の状態から第2の状態に変化して標識の安定性を変化させることを特徴とする基質核酸。
  39. 所定の物質の活性の検出に使用するための核酸であって、該核酸は前記物質と反応可能であるとともに標識を有し、該標識の位置及び核酸の配置は、使用時において前記物質が前記核酸に対して活性を有する場合に、核酸の状態を第1の状態から第2の状態へと変化させるように選択されることと、後の反応における分解に対する前記標識の安定性が前記核酸が前記第1の状態または第2の状態のいずれにあるかに応じて異なることとを特徴とする核酸。
  40. 前記物質は、リガーゼ、ヌクレアーゼ、トランスポザーゼ、インテグラーゼ、プライマーゼ、ヘリカーゼ、ジャイレース、ポリメラーゼ、逆転写酵素、トポイソメラーゼ、またはエンジインからなる群から選択されることを特徴とする請求項39に記載の核酸。
  41. 中断核酸鎖を修復することが可能な酵素の、修復核酸鎖を形成する活性または存在を試料中で検出するための方法であって、
    (a)試料中に、
    (i)活性である前記酵素によってライゲートされることが可能な少なくとも2個の中断部分からなる中断標的鎖を有する複鎖基質核酸を与える工程と、
    (b)修復されていない中断鎖の中断部分の少なくとも1個の溶解温度よりも高いが、修復された中断鎖の溶解温度よりは低い温度に試料を曝す工程;これにより標的鎖の修復されていない中断部分の少なくとも1個は相補鎖にほとんどあるいはまったくハイブリダイズしない;と、
    (c)前記酵素の活性または存在の少なくとも一方を決定する工程とを含む方法。
  42. 複鎖基質核酸の少なくとも1本の標的鎖にニックまたは他の不連続部分を形成して中断標的鎖を生成することが可能な酵素の活性または存在を試料中で検出するための方法であって、
    (a)前記試料中に、
    (i)ニックまたは不連続部分を生成または形成することが可能な部位を有する複鎖基質核酸を提供する工程と、
    (b)中断標的鎖が存在する場合にそのライゲートされていない部分の少なくとも1個の溶解温度よりも高い温度に試料を曝す工程;これにより前記中断鎖のライゲートされていない部分の少なくとも1個は相補鎖とほとんどあるいはまったくハイブリダイズしない;と、
    (c)前記酵素の活性または存在の少なくとも一方を決定する工程とを含む方法。
  43. 前記決定工程は、前記基質核酸の前記相補鎖の少なくとも一部に相補的な標識化オリゴヌクレオチドを前記試料中に導入することによって、修復された、すなわち中断していない鎖と前記相補鎖とのハイブリダイゼーションの存在または量を検出することを含む請求項41または42に記載の方法。
  44. 前記決定工程は、前記中断鎖のフラグメントの1個に相補的な標識化オリゴヌクレオチドを前記試料中に導入することによってハイブリダイゼーションの存在または量を検出することを含む請求項41または42に記載の方法。
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