JP2005508197A - ポリヌクレオチドの分析の方法、システムおよびキット - Google Patents
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Abstract
ポリヌクレオチドの改善された検出のための方法、システム、組成物およびキット。1アスペクトにおいて、液体クロマトグラフィー分離装置(例えば、逆相カラムもしくはイオン交換カラム)を使用し、溶離されたポリヌクレオチドをインターカレート色素と接触させ、そして溶離ポリヌクレオチドに結合された色素を検出(例えば蛍光検出により)することにより、ポリヌクレオチド(例えばDNAもしくはRNA)を分離する方法が提供される。本発明は好ましくは分離カラムの下流の混合ティー字装置のようなカラム後反応器を使用する。変性高速液体クロマトグラフィー(DHPLC)による突然変異検出の感度が高められる。
Description
【技術分野】
【0001】
本発明は概括的にポリヌクレオチド分離の分野に関し、より具体的には分離法を受けたポリヌクレオチドの検出における改良に関する。
【背景技術】
【0002】
DNAのようなポリヌクレオチドの分離は伝統的にスラブゲル電気泳動もしくは毛細管電気泳動を使用して実施されてきた。しかし、分析を自動化させ、分離された後の画分を捕集する性能のために、ポリヌクレオチドの液体クロマトグラフィー分離がますます重要になっている。
【0003】
DNA分離のための高品質の材料はポリマー基材(特許文献1および2に記載のような)およびシリカをベースとする逆相カラム材料(特許文献3および4に記載のような)に基づくものであった(特許文献1、2、3および4参照)。溶離ポリヌクレオチドの検出は具体的にはその検出限界が背景より約5〜10%上の紫外線検出を使用する。液体クロマトグラフィー分析および他の分離法を受けたポリヌクレオチドはしばしば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)産物を含む。PCR増幅は、検出感度を増加するために、増幅産物中に検出可能な部分(例えば蛍光標識)を取り込むために共有結合標識された(covalently tagged)PCRプライマーを使用して定常的に実施される。しかし、蛍光タグおよびその他の共有結合タグはPCR法のコストを追加する。これらのタグは通常、疎水性であり、フラグメントのクロマトグラフィー保持時間を著しく変動させることができる。様々な分離法を受けたポリヌクレオチドの検出において増加された感受性が必要である。共有結合標識PCRプライマーの使用を必要としない方法も必要である。
【特許文献1】
米国特許第5,585,236号明細書
【特許文献2】
米国特許第6,066,258号明細書
【特許文献3】
米国特許第6,056,877号明細書
【特許文献4】
米国特許第6,156,206号明細書
【発明の開示】
【0004】
一つの態様において、本発明は混合物中の1種もしくは複数のポリヌクレオチドを分析する方法に関する。一つの態様において、その方法は(a)ポリヌクレオチドが液体クロマトグラフィー分離装置から溶離される該装置を使用して、ポリヌクレオチドを分離すること、(b)色素が溶離されたポリヌクレオチドに結合するようにインターカレート色素と溶離ポリヌクレオチドを接触させること、および(c)溶離ポリヌクレオチドに結合した色素を検出すること、を含む。その装置は好ましくは逆相カラムもしくはイオン交換カラムのような分離カラムを備える。接触させることは好ましくは混合ティー字装置もしくは混合十字装置のようなカラム後反応器中に混合物を通過させることを含む。適当な反応器の他の例には「Y」結合装置、1個の出口および3個以上の入り口を有する複数口の結合装置、複数入り口の混合弁、および切り替え弁が設けられている。好ましい色素はポリヌクレオチドと結合する時にのみ蛍光を示すものである。より好ましい色素はポリヌクレオチドでインターカレートされる時にのみ蛍光を示すものである。その方法はカラムと試薬が本質的に同一温度で保持されるように試薬を加熱することを含むことができる。ポリヌクレオチドはDNAもしくはRNA、一本鎖もしくは二本鎖分子を含むことができる。ポリヌクレオチドはホモ二本鎖およびヘテロ二本鎖分子を含むことができる。色素は好ましくは核酸染料である。色素はSYBRグリーンI、SYBRグリーンIIおよびそれらの混合物から選択することができる。もう1つの例はSYBRゴールドである。その方法は質量分析により段階(b)のポリヌクレオチド産物を分析することを含むことができる。もう1つのアスペクトにおいて、本発明は前記の方法からもたらされるポリヌクレオチド産物を含んで成る組成物に関する。
【0005】
更なる態様において、本発明は1種もしくは複数のポリヌクレオチドを分析するための方法に関する。一つの態様において、その方法は(a)ポリヌクレオチドが液体クロマトグラフィー分離装置から溶離される該装置を使用してポリヌクレオチドを分離する段階、(b)色素が溶離ポリヌクレオチドに結合するように溶離ポリヌクレオチドをインターカレート色素と接触させる段階、および(c)溶離ポリヌクレオチドに結合された色素を検出する段階、を含む。
【0006】
もう一つの態様において、本発明はポリヌクレオチドを分析するための装置を提供する。一つの態様において、その装置は(a)イオン対逆相高速液体クロマトグラフィーによりポリヌクレオチドを分離することができる液体クロマトグラフィー分離カラム、および(b)カラムから溶離されたポリヌクレオチドとインターカレート色素試薬を混合するための反応器、を備える。カラムは逆相分離カラムもしくはイオン交換カラムであることができる。装置は更にポリヌクレオチドに結合した色素を検出することができる、蛍光検出器のような検出器を含むことができる。反応器は混合用ティー字装置もしくは混合用十字装置であることができる。適当な反応器の他の例には「Y」結合装置(union)、1個の出口および3個以上の入り口を有する複数口の結合装置、複数入り口の混合弁、および切り替え弁が含まれる。装置は更にカラムと本質的に同一温度に色素試薬を加熱するためのヒーターを備えることができる。装置は紫外線検出器を備えることができる。装置はまた、分離カラムに操作可能に接続された質量分析計を含むことができる。他の態様において、本装置は(c)カラムから溶離する移動相を誘導するためにカラムの末端に接続された導管(ここで反応器は配管に接続されている)、d)貯蔵器を反応器に操作可能に接続するための導管を含むインターカレート色素試薬を含む貯蔵器、およびe)色素試薬が移動相と混合するように反応器中に色素試薬を送り込むためのポンプ、を含むことができる。
【0007】
更なる態様において、本発明はポリヌクレオチドを分析するための装置を提供する。好ましい態様において、本装置はa)1種もしくは複数のポリヌクレオチドを分離するためのクロマトグラフィー手段およびb)装置から溶離したポリヌクレオチドとインターカレート色素を混合するための手段を含む。適当なクロマトグラフィー手段の例には逆相分離カラムおよびイオン交換カラムが含まれる。装置は好ましくは更にクロマトグラフィー手段から溶離されたポリヌクレオチドに結合されたインターカレート色素を検出するための手段を含む。検出手段は好ましくは蛍光検出器である。混合手段は好ましくはインターカレート色素および分離のための手段から溶離されたポリヌクレオチドを混合するようになっている混合ティー字装置のようなカラム後反応器である。
【0008】
もう一つの態様において、本発明は混合物中のヘテロ二本鎖およびホモ二本鎖DNA分子を分離するクロマトグラフィー法を提供する。その方法には固定逆相保持体(support)に混合物を適用すること、イオン対試薬および有機溶媒を含有する移動相で混合物のヘテロ二本鎖(duplex)およびホモ二本鎖分子を溶離すること(ここで溶離がヘテロ二本鎖を少なくとも一部変性させるのに有効な条件下で実施され、かつ溶離がホモ二本鎖からのヘテロ二本鎖の分離をもたらす)、溶離後にヘテロ二本鎖およびホモ二本鎖分子をインターカレート色素試薬と接触させること、並びにヘテロ二本鎖およびホモ二本鎖分子に結合された色素を検出すること、を含む。その方法において、固定保持体はアルキル化基材から成ることができ、そこで基材はシリカ、アルミナ、ジルコニア、ポリスチレン、ポリアクリルアミドおよびスチレン−ジビニルコポリマーから成る群から選択される。移動相は好ましくは低級アルキル第一級、第二級および第三級アミン、低級トリアルキルアンモニウム塩並びに低級第四級アンモニウム塩から成る群から選択されるイオン対形成剤(ion−pairing agent)を含む。好ましい移動相はトリエチルアンモニウムアセテートを含む。移動相はメタノール、エタノール、アセトニトリル、エチルアセテートおよび2−プロパノールから成る群から選択される有機溶媒を含むことができる。適当な移動相の1例は約40容量%未満の有機溶媒を含む。その方法はその条件下のヘテロ二本鎖およびホモ二本鎖分子と本質的に同一温度に試薬を加熱することを含むことができる。色素はSYBRグリーンI染料、SYBRグリーンII染料およびそれらの混合物から成る群から選択することができる。適当な色素の他の例にはSYBRゴールドおよびPicoGreenがある。
【0009】
更にもう一つのアスペクトにおいて、本発明はポリヌクレオチド検出キットに関する。キットは以下:インターカレート色素試薬、インターカレート色素試薬を液体クロマトグラフィーカラムから溶離する移動相と混合するための反応器、液体クロマトグラフィーカラム、色素溶液を反応器中に送り込むためのポンプ、色素を検出するための検出器、カラムに反応器を接続するための導管、別な容器中のポリヌクレオチドの標準混合物(例えばDNAのような二本鎖ポリヌクレオチドのポリヌクレオチドの標準混合物)、別な容器中のSYBRグリーンI染色液、SYBRグリーンII染色液もしくはそれらの混合物のようなインターカレート色素、別な容器中のSYBRゴールド核酸染色液もしくはPicoGreen、のうちの1種もしくは複数を含むことができる。
【0010】
更にもう一つの態様において、本発明はa)1種もしくは複数のポリヌクレオチドをクロマトグラフィー分離のための手段に適用し、かつクロマトグラフィー分離のための手段から溶離することができるクロマトグラフィー分離のための手段、b)インターカレート色素に、クロマトグラフィー分離のための手段から溶離されたポリヌクレオチドを添加もしくは混合するための手段、並びにc)クロマトグラフィー分離のための手段から溶離されたポリヌクレオチドに結合されたインターカレート色素を検出するための手段、を含む、ポリヌクレオチド分析装置を提供する。クロマトグラフィー分離のための手段は逆相液体クロマトグラフィーカラムもしくはイオン交換カラムを含んで成ることができる。添加もしくは混合のための手段は混合ティー字装置、液体通過反応器もしくは中空繊維膜を含んで成ることができる。
【0011】
更にもう一つの態様において、本発明はi)1個の出口を有する液体クロマトグラフィーカラム、ii)第1の入り口、第2の入り口および、クロマトグラフィーカラムの出口と流体連絡する第1の入り口をもつ1出口を有する混合ティー字装置、iii)そこで、第2の入り口が流体源と流体連絡しており、そこで流体源がインターカレート色素試薬を含んで成る、を含むポリヌクレオチドを分析するための装置を提供する。装置は好ましくは色素試薬を加熱するためのヒーター(例えばサーモスタット制御ヒーター)を含む。
【0012】
もう一つの態様において、本発明は、シリカ基材のクロマトグラフィーカラム手段もしくはポリマー基材のクロマトグラフィーカラム手段のような液体クロマトグラフィー装置、カラム手段と流体連絡している移動相の貯蔵器、そこで少なくとも1種のポリヌクレオチドの混合物を含んで成る試料がカラム手段をとおって溶離され、そして混合物の成分物質がクロマトグラフィーカラム手段の流出液中にクロマトグラフィーにより置換された形態で出現する、カラム手段に移動相を添加するためのクロマトグラフィーポンプ手段を含み、そして更に、クロマトグラフィーカラム手段の流出液がそれをとおって液体クロマトグラフィー検出器に供給されるカラム後反応器手段、インターカレート色素試薬を含んで成る溶媒を含み、ここで反応器手段が、クロマトグラフィーカラム手段の流出液中への試薬の移動のための溶媒と操作可能に接触もしくは連絡している。適当なカラム後反応器の例は中空繊維膜、混合ティー字装置および混合十字装置を意味する。装置はクロマトグラフィーカラム手段から流出液中にを溶媒を送り込むためのポンプを含むことができる。適当なポンプの例にはシリンジ、蠕動ポンプもしくはHPLCポンプが含まれる。
【0013】
更なる態様において、本発明はポリヌクレオチドを分離するためのクロマトグラフィー装置を提供し、その装置は、逆相分離カラム、カラムの下流に配置されたカラム後反応器、インターカレート色素を含む溶媒(ここで前記反応器はカラムから溶離された移動相を溶媒を混合するようになっている)、ポリヌクレオチドに結合されたインターカレート色素を検出するための、前記反応器の下流の蛍光検出器、を含む。カラムはシリカ固定保持体もしくはポリマー固定保持体を含むことができる。
【0014】
更なる態様において、本発明は1種もしくは複数のポリヌクレオチドを分析する方法に関する。その方法は好ましくはa)毛細管電気泳動を使用してポリヌクレオチドを分離すること、b)インターカレート色素とポリヌクレオチドを接触させること、およびc)ポリヌクレオチドに結合された色素を検出すること、を含む。
【0015】
包括的な態様において、本発明は液体クロマトグラフィー分離のような分離法を受けたポリヌクレオチドの検出を高めるための方法、組成物、システムおよびキットに関する。本発明は一部は、ポリヌクレオチドの検出を高めるために、分離カラムから溶離されたポリヌクレオチドを様々な結合剤と混合することができるという本出願者の観察に基づく。出願者は驚くべきことには、分離カラムからの流出液とのインターカレート色素(下記に説明される)の混合物が検出感度の著しい増加をもたらすことを見いだした。
【0016】
「ポリヌクレオチド」の用語は、リン酸残基により1リボース(もしくはデオキシリボース)から他方に結合された不確定数のヌクレオチドを含む線状ポリマーを含むと定義される。本発明はRNAまたは二本鎖もしくは一本鎖DNAの分離に使用することができる。本発明の説明を簡略化する目的で、かつ限定することによらずに、本明細書では二本鎖DNAの分離が主として説明され、そこですべてのポリヌクレオチドが本発明の範囲内に含まれることが意図されることは理解される。
【0017】
イオン交換クロマトグラフィーおよびイオン対液体クロマトグラフィーのような液体クロマトグラフィー法を含む、ポリヌクレオチドの分離のためには多様な方法が周知である。イオン交換クロマトグラフィーの使用は例えば、2001年1月6日出願の米国特許出願第09/756,070号明細書および国際公開第01/27331号パンフレットに開示されている。簡略化の目的で、かつ限定によらずに、本明細書ではイオン対逆相高速液体クロマトグラフィー(IP−RP−HPLC)が主として説明される。
【0018】
好ましいIP−RP−HPLCシステムは試料の選択、移動相勾配の選択および制御、カラムおよび移動相温度の制御並びに画分捕集に対する自動化のオプションを提供する。
【0019】
図1はIP−RP−HPLCシステムの一つの態様に従うシステムのスキーム図である。移動相を形成する溶媒、対イオンおよびその他の溶液のような溶液のための貯蔵器として複数の容器を使用することができる。例えば、容器2は対イオン形成剤(例えばトリエチルアンモニウムアセテート(TEAA))の水溶液のような移動相の水性成分を含むことができ、容器4は対イオン形成剤プラス有機(駆動)溶媒(例えばTEAAプラスアセトニトリル)の水溶液を含むことができる。補助液(例えば共溶媒)は容器6に保持することができる。これらの溶液は分離期間中に移動相中の有機溶媒の選択された濃度を達成するために混合される。これらの溶液のその他の例は本明細書の実施例および前記の共通に譲渡された特許中に提供されている。容器は対イオン溶液運搬配管8、溶媒溶液運搬配管10およびそれらと連絡し、排気装置14に導く補助液運搬配管12のようなそれぞれの運搬配管を有する。
【0020】
排気装置14は液体から溶解ガスを除去する。適当な排気装置の1例はDegassit Model 6324である。溶解酸素の除去はその存在がシステムの構成部品中の第1鉄もしくは他の酸化可能金属を酸化する、従って対応するカチオンを移動相液中に導入する危険性を増大するために、特に重要である。
【0021】
カラム清浄化溶液は、同様に、それと連絡して排気装置14に導く洗浄溶液運搬導管18を有する洗浄液容器16中に含まれる。この態様においては、容器16が排気装置および注入弁54より高く揚げられると重力の圧力により洗浄液が流動することができる。
【0022】
本発明のシステムは溶媒溶液および移動相の水性成分の流量を制御する通常の移動相流量制御手段を取り入れている。一つの態様において、移動相流量制御手段はそれぞれ以下に説明されるコンピューター制御下の自動開放制御装置をもつ1組の流量制御弁を含んで成る。もう一つの態様において、移動相流量制御手段は流量設定(flow setting)が下記に説明されるようなコンピューター制御に応答する1組のポンプを含んで成る。
【0023】
図1に示したシステムは1組の流量制御弁を含む移動相流量制御手段の一つの態様を使用している。排気した対イオン溶液導管20、排気溶媒溶液導管22および排気装置14から導く排気補助液導管24はそれぞれの水性成分配分弁(proportioning valve)26、溶媒溶液配分弁28および補助液配分弁30と連絡する。これらの配分弁の設定値はそれらと接続されたステッピン・モーターのような弁操作装置により設定され、変更され、そしてこれらの弁操作装置は下記に、より詳細に説明される移動相流量制御ソフトウェアモジュールからのコマンドに応答して所望の設定値を確立するように応答する。流量制御弁26、28および30は溶媒溶液および移動相の他の成分の流量を制御する移動相流量制御手段の一つの態様を含んで成る。これらの弁の設定値は注入弁および分離カラムをとおる液体(共溶媒、溶媒溶液、等)の比率を制御する。導管32、34および36はそれぞれの配分弁26、28および30からポンプ38の取り込み口に導く。
【0024】
洗浄溶液運搬導管31は洗浄溶液弁40に導く。任意の洗浄溶液導管42は弁40から導き、ポンプ38の入り口と連絡する。弁33は導管42をとおる流量を制御する。
【0025】
弁26、28および30の開口部は、IP−RP−HPLCによるポリヌクレオチド分離が溶媒濃度の関数であるために、このシステムのもっとも重要な部分の、移動相内の有機溶媒と他の成分の相対的比率を正確に設定する。様々なポリヌクレオチド分離法に関して説明されるように、時間の関数としての有機溶媒勾配の傾斜は分離過程中に変化し、もっとも重要な(critical)相は非常に正確な勾配を必要とするかも知れない。弁26、28および30の設定値は通常の弁制御装置に対し、信号により遠隔設定することができる通常の弁作動装置により設定される。
【0026】
好ましい態様において、分離システムは35で表わされるようなコンピューター制御下にある。コンピューターはシステムの操作期間中の適当な時間に弁26、28および30の設定値を正確な流量値に設定するためのコンピューター制御指示を与えるInstrument Control Software(装置制御ソフトウェア)を含む。
【0027】
同様な方法で、本発明の装置制御ソフトウェアはポンプのオン/オフ状態およびポンプの圧力もしくは流量設定値のようなポンプ38の操作パラメーターを設定するためのコンピューター制御指示を提供する。
【0028】
ポンプ排出導管44は成分の完全な混合のために液体流をミキサー46にとおさせるインラインミキサー46と連絡する。混合された液体の排出導管48はポリヌクレオチド分子の分離を妨げると考えられる多価金属カチオンおよび他の汚染物を除去するために混合液を処理するために任意のガードカラム50と連絡する。ガードカラム50は通常のイオン交換により多価金属カチオンの除去のためのナトリウムもしくは水素形態のカチオン交換樹脂を含むことができる。導管52はガードカラムの出口および洗浄液注入弁54の入り口と連絡する。洗浄液供給導管56は弁40を洗浄液注入弁54と接続し、廃気物出口導管58は廃気口に誘導する。導管60は弁54から試料注入弁62に誘導する。
【0029】
試料アリコート選択装置64は試料導管66をとおして注入装置の弁62と連絡する。廃水導管68は注入弁から誘導し、排液を除去する。
【0030】
注入弁62において、試料を導管60から弁を通過する溶媒および担体液流中に誘導する。試料導管70は注入弁62の出口および空気浴オーブン72中のカラム前フィルター74と連絡する。毛細管配管コイル76は前フィルター74およびクロマトグラフィーカラム78の入り口と連絡する。毛細管コイル76の延伸された長さがコイルを通過する液体中に加熱されたオーブンの空気から豊富な熱を通過させて、液体を選択された温度の±0.05℃以内にもたらす。オーブン72は前フィルター74、コイル76およびクロマトグラフィーカラム78におけるこの温度の均一性を確保する。
【0031】
分離カラム78はIP−RP−HPLC法により、対イオンの存在下でのポリヌクレオチド分子の分離を実施する独特な分離表面を有するビーズを充填されている。分離法並びにカラムおよびビーズについての詳細は下記に詳細に説明される。分離されたポリヌクレオチド分子を含む移動相の流れは導管81をとおりクロマトグラフィーカラム78から通過する。
【0032】
導管80は任意の検出器84と連絡する。検出器は液体移動相中のポリヌクレオチドフラグメント構造物のUV吸収を測定する通常のUV吸収装置であることができる。吸収は試験されている液体中のポリヌクレオチドフラグメントの濃度の関数である。
【0033】
前記の説明において、液体流システムは一連の導管として説明される。導管は液体中への多価カチオンの導入を回避するために選択される毛細管である。好ましい毛細管配管の材料はチタンおよびPEEKである。システムの他の構成部品は好ましくはチタンもしくはPEEKで製造されるかまたはそれらを酸化から遮蔽し、かつ液体中への多価カチオンの導入を防止するために液体に露出される表面をPEEKで被覆させる。ステンレス鋼も使用することができるが、好ましくはすべての酸化された表面物質を除去するように処理され、ステンレス鋼表面に接する溶液が溶解された酸素を含まない。
【0034】
本発明の好ましい態様において、システムはカラム78の下流に配置されているカラム後反応器92を含む。反応器は貯蔵器96および、導管98を介するカラムから溶離する移動相と導管94を介して連絡する。以下に説明されるように、貯蔵器94はインターカレート色素を含む溶液を含むことができる。ポンプ99は貯蔵器94からの溶液の流れを達成するために使用することができる。任意の加熱装置100は反応器92に到達する前に貯蔵器96からの流体を前加熱するために使用することができる。
【0035】
蛍光検出器のような検出器102は反応器92の下流に配置され、導管104を介して反応器92と連絡する。検出器からの電気出力は好ましくはA/Dコンバーターによりディジタル形態に変換されて、コンピューター35中のディスクドライブのようなディジタル保存装置に標準ディジタルフォーマットで記録される。
【0036】
次に移動相は自動化画分捕集装置106に通過し、そこで移動相画分の選択された部分を後の処理もしくは分析のためにバイアルに捕集することができる。非捕集画分は導管108を通って除去される。
【0037】
本発明の一つの態様はクロマトグラフィー分離後のポリヌクレオチド検出に使用のためのカラム後反応器(すなわち混合装置)に関する。1個もしくは複数のカラム後反応器は図1に示した分離カラムの下流に配置することができる。このような反応器の一つの態様は通常の混合ティー字装置である。混合ティー字装置および混合十字装置は市販されており(例えばUpchurch Scientific)、クロマトグラフィーシステムにおける使用に容易に改造される。適した反応器の例には:米国特許第6,100,522号明細書に記載され、市販(例えば部品番号P−632 Upchurch)のような混合ティー字装置、混合十字装置(部品番号p−634、Upchurch)、「Y」結合装置、1出口と3個以上の入り口をもつ多口結合装置、多入り口混合弁(部品番号080T−3−12−32−5,BioChem Valve Corporation)および切り替え弁(部品番号V−100T、Upchurch)が含まれる。装置は好ましくは不活性内面(例えば、TefzelのTeflon(ETFE))を有するように構成される。
【0038】
本発明に適した反応器の一つの態様は図2に示した通常の混合ティー字装置196である。導管200は分離カラムから誘導され、アダプター202内に保持される。アダプター202は入り口弁204とねじによりかみ合い、それはティー字接合体198とネジ結合する。色素試薬の貯蔵器(図示されていない)から誘導される導管206は入り口弁210とかみ合うアダプター208内に保持される。弁210は図示のようにティー接合体198とかみ合う。導管216は混合ティー字装置から検出器(例えば蛍光検出器)の方向に排出誘導される。導管216は出口弁212内でかみ合うアダプター214内に保持される。弁212は図示のようにティー接合体198とかみ合う。移動相は矢印214の方向に装置に侵入し、色素試薬は矢印218の方向にティー字装置に侵入する。弁204、210および212は好ましくは逆止め弁のような一方向弁である。混合後、流体は矢印220の方向に流れる。
【0039】
色素試薬を導入するのに適したもう1種の反応器は米国特許第4,448,691号および第4,451,374号明細書に記載のような中空繊維膜を包含する。
【0040】
色素試薬は好ましくは、水溶液に溶解される。色素の濃度は選択される蛍光染色液に左右されるであろう。色素の濃度は約0.001μMと1Mの間であることができる。溶液はバッファー剤、様々な可溶化剤もしくは安定剤を含むことができる。
【0041】
ポンプを使用して反応器中へのインターカレート色素の流れを提供することができる(図1)。1例は通常のHPLCポンプである。米国特許第6,281,019号明細書に記載のような脈動付与装置(pulse dampening devices)を本明細書で記載のようなカラム後反応器とともに使用されるポンプと一緒に使用することができる。好ましいポンプの1例はSSIシリーズIの往復の単一ピストンポンプ(Scientific Systems,Inc.,State College,PA)である。ポンプの好ましい流量範囲は0.01〜10.00ml/分である。ポンプは好ましくは5000psi以上の背圧、そしてより好ましくは約1000psi以上の背圧で操作される。出願者はポンプと反応器の間に一定の長さの毛細管の配管(すなわち背圧コイル)を挿入することにより背圧を調整することができることを見いだした。溶液をコイル中に送り込むことにより好ましい背圧を与えた。圧力は背圧コイルの長さを変更することにより様々な流量に「調整(tuned)」することができた。一つの態様において、3フィートのコイルのPEEK配管(75μmID)(SSI)を使用した。
【0042】
本発明の好ましい態様において、インターカレート色素溶液は分離カラムから溶離される移動相と接触する前に前以て加熱される。例えば溶液は約25℃から約70℃の範囲の温度に加熱することができる。色素溶液は好ましくはカラム温度と本質的に同一の温度に加熱される。一つの態様において、色素溶液を含む貯蔵器全体が加熱される。好ましい態様において、貯蔵器から延伸している毛細管導管(例えばテフロン配管)のコイルが混合装置中への導入の前に色素試薬の前加熱をもたらすために加熱される。コイルは分離カラムに使用されるものと同一のカラムヒーター内で加熱することができる(図1)かもしくは異なるヒーターであることができる。好ましいヒーター装置の例は米国特許第6,103,122号明細書に記載されている。
【0043】
本発明の実施において、インターカレート色素−ポリヌクレオチド複合体を蛍光検出器を使用して検出する。適した検出器は市販(例えばHewlett Packard(モデル 1046)、Hitachi(モデル L7450)、Gilson(モデル 121)、WATERS(モデル 120)、Bio−Rad(モデル 1700)およびBeckman(モデル 6300A)されている。好ましい蛍光検出器はレーザー(例えばアルゴンレーザー)誘発励起源であつ。キセノンアークランプは励起源としてはあまり好ましくない。
【0044】
重要なアスペクトにおいて、本発明は(a)非極性表面を有する分離媒体にポリヌクレオチドを適用すること、(b)対イオン形成剤および有機溶媒を含む移動相で表面からポリヌクレオチドを溶離すること、(c)可逆的DNA−結合色素とポリヌクレオチドを接触させて、ポリヌクレオチドと可逆的DNA−結合色素間の複合体を形成すること、および(d)複合体を検出すること、を含むイオン対逆相高速液体クロマトグラフィーにより分離されたポリヌクレオチドの検出を高めるための方法を提供する。好ましい可逆的DNA−結合色素にはDNAインターカレート色素およびDNA溝結合色素が含まれる。可逆的DNA−結合色素の限定しない例にはPICO GREEN、エチジウムブロミド、プロピジウムヨウジド、アクリジンオレンジ、7−アミノアクチノマイシンD、シアニン色素、ビスベンズイミド、ビスベンズイミド、ベンゾキサンテンイエロー、ネトロプシン、SYTO、SYBRグリーンI、SYBRグリーンII、SYBRゴールド、SYBR DX、OliGreen、CyQuant GR、SYTOXグリーン、SYTO9、SYTO10、SYTO17、SYBR14、FUN−1、DEADレッド、ヘキシジウムヨウジド、ジヒドロエチジウム、エチジウムホモダイマー、9−アミノ−6−クロロ−2−メトキシアクリジン、DAPI、DIPI、インドール色素、イミダゾール色素、アミノアクチノマイシンD、ヒドロキシスチルバミジンおよびLDS751が含まれる。
【0045】
もう一つの態様において、本発明はポリヌクレオチドの検出を高めるために使用される可逆的DNA−結合色素を提供する。「可逆的DNA−結合色素」の用語は本明細書において、インターカレート色素およびDNA溝結合色素を含むために使用される。「インターカレート色素(intercalating dye)」は本明細書においては二重らせんの塩基対の間への挿入により、可逆的な非共有的方法でDNAもしくは他のポリヌクレオチドに結合する概括的に平面状の芳香族の環形態の発色団分子を含むと定義される。
【0046】
「DNA溝結合色素」の用語は本明細書においては、核酸の溝(主溝もしくは副溝)のいずれかにおける塩基対の端との直接的相互作用により可逆的に結合する発色団分子を含むと定義される。これらの色素は非挿入DNA結合剤を含んで成る群に含まれる。DNA溝結合色素の限定しない例にはNetropsin(N’−(2−アミヂノエチル)−4−(2−グアニジノアセトアミド)−1,1’−ジメチル−N,4’−ビ[ピロール−2−カルボキサミド])(Sigma)、Heochst色素番号33258(ビスベンズイミド、B−2261、Sigma)、Heochst色素番号 33342(ビスベンズイミド、B2261、Sigma)およびHeochst色素番号 2495(ベンゾキサンテンイエロー、B−9761、Sigma)が含まれる。
【0047】
本発明における好ましい可逆的DNA−結合色素には蛍光色素が含まれる。好ましい可逆的DNA−結合色素の限定されない例にはPICO GREEN(P−7581、Molecular Probes)、エチジウムブロミド(E−8751、Sigma)、プロピジウムヨウジド(P−4170、Sigma)、アクリジンオレンジ(A−6014、Sigma)、7−アミノアクチノマイシン D(A−1310、Molecular Probes)、シアニン色素(例えばTOTO−1、YOYO−1、BOBOおよびPOPO−3)、SYTO、SYBRグリーンI、SYBRグリーンII、SYBRゴールド、SYBR DX、OliGreeen、CyQuant GR、SYTOX グリーン、SYTO9、SYTO10、SYTO17、SYBR14、FUN−1、DEAD レッド、ヘキシジウムヨウジド、ジヒドロエチジウム、エチジウムホモダイマー、9−アミノ−6−クロロ−2−メトキシアクリジン、DAPI、DIPI、インドール色素、イミダゾール色素、パラチンクロムブラック6BN、アクチノマイシンD、ヒドロキシスチルバミジンおよびLDS 751が含まれる。多数の可逆的DNA−結合色素はHandbook of Fluorescent Probes and Research Chemicals,Ch.8.1(1997)(Molecular Probes,Inc.,Eugene,OR)、国際公開第00166799号、第09919514号、第09810099号、第09746714号パンフレット、欧州特許出願第0 634 640号明細書、カナダ特許第2,119,126号明細書および次の米国特許第4,716,905号、第5,312,921号、第5,321,130号、第5,410,030号、第5,432,134号、第5,445,946号、第5,646,264号、第5,658,735号、第5,734,058号、第5,760,201号、第5,929,227号、第6,054,272号、第6,162,931号、第6,187,787号、第6,210,885号および第6,280,933号明細書に記載されている。
【0048】
一つの態様においてポリヌクレオチド試料は分離カラムからの溶離後に、蛍光インターカレート色素のような可逆的DNA−結合色素と接触させられる。DNAに対する色素の好ましい比率は30塩基対当たり色素約1モルである。好ましい色素(例えばTOTO)は内因性蛍光をほとんどもしくは全くもたず、ポリヌクレオチド中に挿入された時にのみに実際に蛍光を示すものである。蛍光は本明細書で記載のような通常の蛍光検出器を使用して検出することができる。
【0049】
本発明における使用に好ましいインターカレート色素はdsDNA、ssDNAもしくはRNA(色素自体に応じて)に結合された時にのみ蛍光を発するものである。
【0050】
「逆相保持体」は出発移動相よりも極性の低い(例えばより疎水性の)液体クロマトグラフィー、特に高速液体クロマトグラフィー(HPLC)に使用のための固定保持体(基材物質およびあらゆる化学的に結合した相を含む)を意味する。
【0051】
「イオン対(IP)クロマトグラフィー」は試料成分の幾らかもしくは全部がイオン化されているもしくはイオン化可能な官能基を含む試料を分離するクロマトグラフィー法を意味する。イオン対クロマトグラフィーは具体的には、イオン対試薬の存在下で逆相カラムにより実施される。
【0052】
「イオン対試薬」はクロマトグラフィー分離における分離(resolution)を改善するために試料中のイオン化されたもしくはイオン化可能な基と相互反応する試薬である。「イオン対形成剤」は試薬およびその水溶液双方を意味する。イオン対形成剤は具体的には最適な分離のために逆相液体クロマトグラフィーの移動相に添加される。選択するべきイオン対形成剤の濃度および疎水性は分離される試料中の荷電部位(charged site)の数および種類(例えばカチオンもしくはアニオン)に依るであろう。
【0053】
イオン対逆相クロマトグラフィー(IP−RPC)はDNA(一本鎖および二本鎖双方の)およびRNAを含むポリヌクレオチドの分離および分析に使用されるクロマトグラフィーの強力な形態である(Eriksson et al.,(1986)J.Chromatography 359:265−74)。IP−RPCのもっとも多数報告された出願書は高速液体クロマトグラフィー(IP−RP−HPLC)との関連においてであったが、その方法は非HPLCクロマトグラフィーシステムを使用して実施することができる(米国特許出願第09/318,407号および09/391,963号明細書)。しかし、簡略化のために、下記の説明は大部分、特に強力で便利な形態のIP−RPCのIP−RP−HPLCの使用に焦点を当てるであろう。これは本発明の範囲を限定する意図はもたれず、場合によっては最適ではない結果をもたらすであろうが、説明される方法は概してHPLCの使用を伴なわずに実施することができることを理解することができる。IP−RPCは、逆相(すなわち疎水性)固定相および、負に荷電したポリヌクレオチドと非極性の固定相間に架橋相互反応を形成すると考えられるアルキル化カチオン(例えばトリエチルアンモニウム)を含む移動相の使用を特徴とするクロマトグラフィーの1形態である。ポリヌクレオチドと固定相間のアルキル化カチオン媒介相互作用は好都合には水より極性の低い溶媒、例えばアセトニトリルにより調整される、移動相の極性により調節することができる。概括的にポリヌクレオチドは対イオン剤の存在下で分離媒体により保持され、非極性溶媒の濃度を増加することにより溶離することができる。溶離は対イオン剤の存在下でもしくは不在下で実施することができる。性能は米国特許第5,585,236号明細書に記載されたように非孔質の分離媒体の使用により高められる。IP−RP−HPLC(更にMIPCとも呼ばれる)は、それら全体において引用により本明細書中に取り込まれている、米国特許第5,585,236号、6,066,258号および6,056,877号明細書および国際公開第98/48913号、98/48914号、98/56797号、98/56798号パンフレットに記載されている。MIPCはポリヌクレオチド分離を妨げる可能性がある多価カチオン汚染物を実質的に含まない溶媒およびクロマトグラフィー表面の好ましい使用を特徴とする。本発明の実施において、IP−RP−HPLC分離を実施するために好ましいシステムは商品名WAVE(R)としてTransgenomic,Inc.により提供されるものである。
【0054】
IP−RP−HPLCによる分離は分離媒体の非極性表面で起る。一つの態様において、非極性表面はポリマービーズの表面を含んで成る。それに代る態様において、表面は下記でより詳細に説明される成形ポリマーモノリス中の間隙空間の表面を含んで成る。本発明の説明を簡略化するために、かつ限定によらずに、非孔質ビーズを使用するポリヌクレオチドの分離およびこれらのビーズの調製が主として本明細書で説明されるであろうが、ポリマーモノリスの間隙表面のような他の分離表面は本発明の範囲内に包含されることが意図されることが理解される。
【0055】
概括的に、IP−RP−HPLCにおける使用に適するためには、分離媒体は内因的に非極性であるかもしくは対イオン剤と相互反応するために十分な非極性を有する表面を形成する物質と結合されているかいずれかの表面をもたなければならない。
【0056】
本発明の一つの態様において、IP−RP−HPLC検出は約0.5〜100ミクロン、好ましくは1〜10ミクロン、より好ましくは1〜5ミクロンの平均粒径を有する非孔質ポリマービーズを充填されたカラムを使用して実施される。1.0〜3.0ミクロンの平均粒径を有するビーズがもっとも好ましい。
【0057】
本発明の好ましい態様において、多孔質ビーズを使用することもできるが、クロマトグラフィー分離媒体は非孔質ビーズ、すなわち分離されているポリヌクレオチドがビーズに侵入することを本質的に排除する孔サイズを有するビーズ、を含んで成る。本明細書で使用される「非孔質」の用語は、そこで使用される溶媒中の分離物中の最小のDNAフラグメントを有効に排除するように十分に小さい直径を有する表面細孔をもつビーズを表わすと定義される。この定義には、それらの天然の状態でこれらの規定された最大サイズの制限をもつ、または要求された最大有効細孔サイズに合うようにそれらの細孔サイズを縮小するように処理されたポリマービーズが含まれる。
【0058】
本発明の非孔質ビーズの表面構造は分離過程を妨げないへこみ及び浅い穴様構造を含むことができる。多孔質ビーズを非孔質にさせるための前処理を、ビーズ構造物中の細孔を充填し、IP−RP−HPLC過程を有意には妨げないあらゆる物質で実施することができる。
【0059】
細孔はそれをとおって移動相および他の物質がビーズ構造物中に侵入することができる開放構造物である。細孔はしばしばある細孔に侵入する流体がもう1つの細孔から排出することができるように相互に連絡している。あらゆる具体的な説により制約されることを意図されないが、ポリヌクレオチドの相互に連絡された細孔構造物中およびビーズ中への移動を許すディメンションを有する細孔は分離物の分離を損なうかもしくは非常に長い保持時間を有する分離物をもたらすと考えられる。
【0060】
本発明の実施に有用な非孔質ポリマービーズはそこで小さい種結晶ビーズが最初に適当な重合可能なモノマーのエマルション重合により生成される2段階工程により調製することができる。エマルション重合法はGoodwin等(Colloid & Polymer Sci.,252:464−471(1974))の方法の修飾体である。種結晶ビーズを生成するためのエマルション重合法に使用することができるモノマーには、スチレン、アルキル置換スチレン、アルファ−メチルスチレンおよびアルキル置換アルファ−メチルスチレンが含まれる。次に種結晶ビーズが拡大し、場合によっては様々な基による置換により修飾されて、本発明の非孔質ポリマービーズを生成する。
【0061】
エマルション重合により生成された種ビーズはポリマービーズのサイズを増大するためのあらゆる既知の方法により拡大することができる。例えば、ポリマービーズは米国特許第4,563,510号明細書に開示された活性化膨張法により拡大することができる。拡大もしくは膨張されたポリマービーズは架橋重合可能モノマーおよび重合開始剤により更に膨張される。重合は拡大されたポリマービーズの架橋密度を増加し、ビーズの表面多孔性を減少させる。適当な架橋モノマーは開始剤の存在下で重合可能な少なくとも2個の炭素−炭素二重結合を含む。好ましい架橋モノマーはジビニルモノマー、好ましくはアルキルおよびアリール(フェニル、ナフチル等)ジビニルモノマーであり、ジビニルべベンゼン、ブタジエン等を含む。ポリマー種ビーズの活性化膨張は1〜約100ミクロンまでの範囲の平均粒径を有するポリマービーズを生成するために役立つ。
【0062】
あるいはまた、ポリマー種ビーズはエマルション重合からもたらされる種ラテックスを単に加熱することにより拡大することができる。この代替法は活性化溶媒による種ビーズの活性化膨張の必要を回避する。その代りに、種ラテックスは架橋モノマーのための水混和性溶媒を伴ないもしくは伴なわずに、架橋モノマーおよび前記の重合開始剤と混合される。適当な溶媒には、アセトン、トテラヒドロフラン(THF)、メタノールおよびジオキサンが含まれる。生成される混合物を約1〜12時間、好ましくは約4〜8時間、重合開始剤の開始温度より低い温度に、概括的に約10℃〜80℃、好ましくは30℃〜60℃に加熱される。場合によっては、混合物の温度は10〜20%上昇させることができ、混合物は更に1〜4時間加熱することができる。少なくとも200の重合度を確保するためには、重合開始剤に対するモノマーの比率は、少なくとも100:1、好ましくは約100:1〜約500:1の範囲内に、より好ましくは約200:1である。この重合度を有するビーズはHPLC適用に使用するために十分、圧力安定である。この熱膨張法は約110〜160%までビーズのサイズを増大させて、約5ミクロン、好ましくは約2〜3ミクロンまでの平均粒径を有するポリマービーズを得ることができる。従って、熱膨張法は、以前は活性化膨張法によってのみ入手できた、より小さい粒子サイズを生成するために使用することができる。
【0063】
熱拡大後、過剰架橋モノマーを除去し、紫外線もしくは熱への暴露により粒子を重合する。重合は例えば重合開始剤の活性化温度への拡大粒子の加熱および所望の重合度が達成されるまで重合を継続することにより実施することができる。継続した加熱および重合が500を越える重合度をもつビーズを得ることを可能にする。
【0064】
本発明に使用のために、米国特許第4,563,510号明細書に開示された充填材料をアルキル基によるポリマービーズの置換により修飾することができるかもしくはその未修飾状態で使用することができる。例えば、ポリマービーズはメチルヨージドもしくはエチルヨージドのようなアルキル化剤とビーズを接触させることにより1もしくは2炭素原子をもつアルキル化することができる。アルキル化はポリマービーズをフリーデルクラフツ触媒の存在下でアルキルハロゲン化物と混合して、ポリマー混合物の表面の芳香環上で求電子芳香族置換を実施することにより達成することができる。適当なフリーデルクラフツ触媒は当該技術分野で周知であり、アルミナムクロリド、三フッ化ホウ素、四塩化錫、等のようなルイス酸が含まれる。ビーズは例えば前記の方法において、メチルヨージドに、対応する炭化水素ハロゲン化物を置換することにより置換された炭化水素であることができる。
【0065】
本発明の実施に有用なビーズに関して本明細書で使用されるアルキルの用語は1〜1,000,000炭素を有するアルキルおよびアルキル置換アリール基を含むと定義され、ここでアルキル基はアルデヒド、ケトン、エステル、エーテル、アルキル基等を含む様々な種類の直鎖、分枝鎖、環式、飽和、不飽和の非イオンの官能基を含み、かつアリール基はフェニル、ナフチル等を含む単環、二環および三環式芳香族炭化水素基を含む。アルキル置換法は当該技術分野で通常で周知のものであり、本発明のアスペクトではない。置換はまた、非極性で、逆相官能基であると考えられるヒドロキシ、シアノ、ニトロ基等を含むことができる。
【0066】
このようなポリマービーズの生成における使用に適する基材ポリマーの非限定例には、スチレン、置換スチレン、アルファ−置換スチレンおよびジビニルベンゼンのようなモノ−およびジ−ビニル置換芳香族;アクリレートおよびメタクリレート;ポリプロピレンおよびポリエチレンのようなポリオレフィン;ポリエステル;ポリウレタン;ポリアミド;ポリカーボネート;および商品名TEFLONとして公知のフッ素置換エチレンを含む置換ポリマーが含まれる。基材ポリマーはまた、ポリマーの混合物であることができ、それらの限定しない例にはポリ(スチレン−ジビニルベンゼン)およびポリ(エチルベニルベンゼン−ジビニルベンゼン)が含まれる。これらのポリマーからビーズを製造する方法は当該技術分野で通常で周知である(例えば、米国特許第4,906,378号明細書を参照されたい)。ビーズの表面および表面に近い部分の物理特性がクロマトグラフィー効率の主要決定要因である。誘導されようとされまいと、ポリマーはIP−RP−HPLC分離のための非孔質の非反応性のそして非極性の表面を提供しなければならない。本発明の特に好ましい態様において、分離媒体はオクタデシル誘導の非孔質のアルキル化ポリ(スチレン−ジビニルベンゼン)ビーズから成る。DNASep(R)カラムと呼ばれるこれらの特に好ましいビーズを使用する分離カラムはTransgenomic,Inc.から市販されている。
【0067】
本発明に使用される分離ビーズは非極性分子もしくはその表面上に付着もしくは被覆された非極性ポリマーを有する非孔質粒子を含んで成ることができる。概括的にこれらのビーズは、ポリマーで被覆された、または非極性炭化水素もしくは置換炭化水素基と反応された実質的にすべての表面基材の基および米国特許第6,056,877号明細書に記載されたようなトリ(低級アルキル)クロロシランもしくはテトラ(低級アルキル)ジクロロジシラザンで末端キャップされた(endcapped)あらゆる残りの表面基材の基を有する非孔質粒子を含んで成る。
【0068】
非孔質粒子は好ましくは無機粒子であるが、非孔質有機粒子であることができる。非孔質粒子は例えばシリカ、シリカカーバイド、シリカナイトライト、チタンオキシド、アルミナムオキシド、ジルコニウムオキシド、炭素、セルロースのような不溶性多糖類もしくはケイソウ土または非孔質であるように修飾されたこれらのあらゆる物質であることができる。炭素粒子の例には、ダイヤモンドおよびあらゆる妨害汚染物を除去するように処理された黒鉛が含まれる。好ましい粒子は本質的に変形不可能であり、高圧に耐えることができる。非孔質粒子は既知の方法により調製される。好ましい粒子サイズは約0.5〜100ミクロン、好ましくは1〜10ミクロン、より好ましくは1〜5ミクロンである。1.0〜3.0ミクロンの平均粒径を有するビーズがもっとも好ましい。
【0069】
通常のシリカ基材の逆相HPLC材料調製の化学が周知であるため、本発明に使用のために適した非孔質ビーズの大部分の説明はシリカに関して提供される。しかし、前記に挙げたような他の非孔質粒子を同様な方法で修飾し、シリカと置き換えることができることを理解することができる。シリカの一般的化学の説明には、それらの開示がそれら全体を引用により本明細書中に取り込まれている、Poole,Colin F. and Salwa K.Poole,Chromatography Today,Elsevier:New York(1991),pp.313−342およびSnyder,R.L.and J.J.Kirkland,Introduction to Modern Liquid Chromatography,2nd ed.,John Wiley & Sons,Inc.:New York(1979),pp.272−278を参照されたい。
【0070】
本発明の非孔質ビーズは被覆もしくはシレート化試薬(silating reagents)との反応後に、最少の露出シラノール基をもつことを特徴とする。最少のシラノール基は基材とのDNAの相互反応を減少させるため、そして更に、高いpHおよび水性環境内の材料の安定性を改善するために必要である。シラノール基はDNA分子の負の荷電に反撥して、カラムの固定相とのDNAの相互反応を妨げもしくは限定することができるために、有害である可能性がある。相互反応のもう1つの可能な機序は、シラノールがイオン交換部位として働き、鉄(III)もしくはクロム(III)のような金属を取り込むことができることである。カラム上に捕捉される鉄(III)もしくは他の金属はDNAピークを変形させるかもしくはDNAがカラムから溶離されることを妨げることすらできる。
【0071】
シラノール基は水基材の移動相により加水分解することができる。加水分解はより多くのシラノール部位を露出することにより、もしくはシリカのコア中に存在する可能性がある金属を露出することにより固定相の極性および反応性を増加するであろう。加水分解は増加した非誘導シラノール基により更に優勢になるであろう。DNA分離に対するシラノール基の効果はどの妨害機序がもっとも優勢であるかに依る。例えば鉄(III)は鉄(III)が溶離液、装置もしくは試料中に存在するか否かにより露出されたシラノール部位に付着することができる。
【0072】
金属の効果は金属がシステムもしくは試薬内にすでに存在する場合にのみ起ることができる。システムもしくは試薬内に存在する金属はシリカ上のイオン交換部位により捕捉されることができる。しかし、システムもしくは試薬内に金属が存在しない場合には、シラノール基自体がDNA分離を妨げることができる。水性環境による露出シラノール部位の加水分解はシリカコア中に存在するかも知れない金属を露出することができる。
【0073】
完全に加水分解されたシリカは1平方メーターの表面につき約8μモル濃度のシラノール基を含む。立体的考慮のために、1平方メーター当たり最大でも約4.5μモルのシラノール基が反応することができ、残りのシラノールは反応された基により立体妨害される。最少のシラノール基は、シラノール基が分離を妨害することを防止するための理論的限界に到達するかもしくはそれに十分な遮蔽物を有するものと定義される。
【0074】
非孔質シリカコア粒子を形成するための多数の方法が存在する。例えばメタノール中に注入されたナトリウムシリケート溶液はナトリウムシリケートの微細粉砕球状粒子の懸濁物を生成するであろう。これらの粒子は酸との反応により中和される。このようにして、約1〜2ミクロンの粒径を有するシリカゲルの球形粒子を得る。シリカは有機液体もしくは蒸気から沈殿させることができる。高温(約2000℃)においてシリカは蒸発し、蒸気は温度低下もしくは酸化ガスを使用することのいずれかにより凝縮して、微細粉砕シリカを形成することができる。シリカの合成および特性はR.K.IlerによりThe Chemistry of Silica,Solubility,Polymerization,Colloid and Surface Properties,and Biochemistry,John Wiley & Sons:New York(1979)
中に記載されている。
【0075】
W,Stoeber等はJ.Colloid and Interface Sci.,26:62−69(1968)中にミクロンサイズの範囲のモノ分散シリカ球の制御された成長につき記載した。Stoeber等はアルキルシリケートの加水分解およびアルコール溶液中でのケイ酸のその後の縮合により均一なサイズの球状シリカ粒子の制御された成長を可能にする化学反応のシステムにつき記載している。形態学的触媒としてアンモニアが使用される。懸濁物中で得られる粒子サイズは0.05μm未満〜2μmの範囲の粒径である。
【0076】
非孔質ビーズを調製するために、非孔質粒子をポリマーで被覆するかまたは非孔質粒子の実質的にすべての表面基材の基が非極性炭化水素もしくは置換炭化水素基でブロックされるように反応され、かつ末端キャップされることができる。これは米国特許第6,056,877号明細書に記載のあらゆる幾つかの方法により実施することができる。ビーズの調製中、ビーズの表面が最少のシラノールもしくは金属酸化物露出を有し、かつ表面が非孔質に維持されることを確保するように注意しなければならない。非孔質シリカコアのビーズはMicra Scientific(Northbrook,IL)およびChemie Uetikkon(Lausanne,Switzerland)から得ることができる。
【0077】
適した固定保持体のもう一つの例は米国特許第6,379,889号明細書に記載されたような広い(wide)細孔のシリカ基材のアルキル化保持体である。
【0078】
本発明のもう一つの態様において、IP−RP−HPLC分離媒体はポリマーモノリス、例えばロッド−様モノリスカラムの形態にあることができる。モノリスは、溶離溶媒および検体を通過させ、かつ米国特許第6,066,258号および米国特許出願第09/562,069号明細書に記載のような非極性分離表面を提供する貫通孔もしくは間隙空間をもつ単一構造物を有する、カラム内部に形成されたポリマー分離媒体である。米国特許第6,238,565号、2000年5月1日出願の米国特許出願第09/562,069号明細書、国際公開第00/15778号パンフレット中にそしてHuber等(Anal.Chem.71:3730−3739(1999))により開示されたような毛細管カラムを含むモノリスカラムもまた使用することができる。間隙分離表面は多孔質であることができるが、好ましくは非孔質である。関与する分離の原理は、ビーズ充填カラムと遭遇されるものと平行する。ビーズについては、モノリスを横切る孔はDNAと相容性でそれに透過性でなければならない。好ましい態様において、ロッドはDNAと反応し、その分離を妨げることができる汚染物、例えば多価カチオンを実質的に含まない。
【0079】
本発明を実施する際に使用することができる成形ポリマーモノリスロッドは例えばクロマトグラフィーカラムの境界内におけるバルクのフリーラジカル重合により調製することができる。ロッドの基材ポリマーは様々な重合可能なモノマーから生成することができる。例えばモノリスロッドはスチレン、置換スチレン、アルファ−置換スチレンおよびジビニルベンゼンのようなモノ−およびジ−ビニル置換芳香族化合物;アクリレートおよびメタクリレート;ポリプロピレンおよびポリエチレンのようなポリオレフィン;ポリエステル;ポリウレタン;ポリアミド;ポリカーボネートを含むポリマー;および商品名TEFLONとして一般に知られたフッ素置換エチレンを含む置換ポリマーから製造することができる。基材ポリマーはまた、ポリマーの混合物であることもでき、それらの限定しない例にはポリ(グリシジルメタクリレート−コ−エチレンジメタクリレート)、ポリ(スチレン−ジビニルベンゼン)およびポリ(エチルベニルベンゼン−ジビニルベンゼン)が含まれる。ロッドは未置換でもまたは炭化水素アルキルもしくはアリール基のような置換基で置換されることができる。アルキル基は場合によっては直鎖もしくは分枝鎖を含む1〜1,000,000炭素を有し、アルデヒド、ケトン、エステル、エーテル、アルキル基等を含む様々な種類の直鎖、分枝鎖、環式、飽和、不飽和の非イオンの官能基を含み、そしてアリール基はフェニル、ナフチル等を含む単環、二環および三環式芳香族炭化水素基を含む。好ましい態様において、アルキル基は1〜24炭素を有する。より好ましい態様において、アルキル基は1〜8炭素を有する。置換基はまた、非極性の逆相官能基であると考えられるヒドロキシ、シアノ、ニトロ基等を含むことができる。炭化水素置換法は当該技術分野で通常の周知のものであり、本発明のアスペクトではない。ポリマーモノリスの調製は次の参考文献:Wang et al(1994)J.Chromatog.A 699:230;Petro et al.(1996)Anal.Chem.68:315および米国特許第5,334,310号、5,453,185号および5,522,994号明細書に記載のような当該技術分野で周知の通常の方法による。モノリスもしくはロッドカラムはMerck & Co(Darmstadt,Germany)から市販されている。
【0080】
分離媒体は連続的モノリスシリカゲルの形態を採ることができる。成形モノリスはクロマトグラフィーカラムの境界(例えばロッドを形成するための)もしくは他の閉じ込めシステム内での重合により調製することができる。モノリスは好ましくはアルコキシシランの加水分解およびポリ縮合により得られる。好ましいモノリスは非極性間隙表面を生成するために被覆(derivatize)される。オクタデシル、メチルもしくは他のリガンドによるシリカモノリスの化学的修飾を実施することができる。好ましい被覆モノリスの1例はオクタデシルシリル基で多官能基被覆されたものである。被覆シリカモノリスの調製はその全体が引用により本明細書に取り込まれている次の文献:米国特許第6,056,877号明細書、Nakanishi,et al.,J.Sol−Gel Sci.Technol.8:547(1997)、Nakanishi,et al.,Bull,Chem.Soc.Jpn.67:1327(1994)、Cabrera,et al.,Trends Analytical Chem.17:50(1998)、Jinno,et al.,Chromatographia 27:288(1989)に記載のような当該技術分野で周知の通常の方法を使用して実施することができる。
【0081】
MIPCはDNAと結合することができる金属汚染物もしくは他の汚染物を実質的に含まない分離媒体の好ましい使用を特徴とする。好ましいビーズおよびモノリスは脱汚染物処理、例えば酸洗浄処理を含む、あらゆる多価カチオン汚染物(例えばFe(III)、Cr(III)もしくはコロイド状金属汚染物)を実質的に除去するように注意を払われた条件下で生成された。生成されるビーズの金属含量を最少にするために、ビーズの生産において非常に純粋な非金属含有材料のみを使用しなければならない。
【0082】
最適なピークの分離を達成するために実質的に金属を含まない分離媒体に加えて、分離カラムおよびカラム内に保持されるもしくはカラム中を流動するすべての工程溶液は好ましくは多価カチオン汚染物(例えばFe(III)、Cr(III)およびコロイド状金属汚染物)を実質的に含まない。米国特許第5,772,889号および5,997,742号および6,017,457号明細書に記載のように、これは、カラムを多価カチオン汚染物から遮蔽するためにカラム内に保持もしくは流動する工程液中に多価カチオンを放出しない材料から製造された工程液−接触面を有する構成部品を含む分離カラムに侵入する溶液を供給する(supplying and feeding)ことにより達成することができる。システムの構成部品の工程液−接触面は好ましくは、チタン、被覆ステンレス鋼、皮膜保護ステンレス鋼および有機ポリマーから成る群から選択される材料である。例えばステンレス鋼中に認められる金属はそれらが酸化もしくはコロイド状の一部酸化された状態にない限り、分離に害を与えない。例えば、316ステンレス鋼のフリット(frits)はカラムのハードウェアに許容できるが、表面の酸化ステンレス鋼フリットはDNA分離を害する。
【0083】
更なる保護のために、溶液がカラムに侵入する前に、分離媒体を多価カチオンの汚染から防護するために、移動相溶液およびカラムに侵入する試料溶液中の多価カチオンを、多価カチオン捕捉樹脂とこれらの溶液を接触させることにより除去することができる。多価カチオン捕捉樹脂は好ましくは、カチオン交換樹脂および/もしくは錯体形成樹脂である。
【0084】
IP−RP−HPLCカラムの数回の使用後には、溶媒流路中のいずれかにある痕跡レベルの多価カチオンが分離物の分離において有意な劣化を引き起こすことができる。これは交換カラムを購入するための必要によりもたらされる経費増加および中断時間増加をもたらす可能性がある。従って好ましくは、分離媒体と移動相の接触を含む分離システムの構成部品の多価金属カチオン汚染を防止するための有効な手段が採られる。これらの手段には、それらに限定はされないが、分離媒体からの痕跡の多価カチオンを除去するための洗浄プロトコールおよび移動相貯蔵器とIP−RP−HPLCカラムの間のラインにおけるカチオン捕捉樹脂を含むガードカートリッジの設置が含まれる。多価カチオンによるシステムの汚染を防止するために採られるこれらおよび類似の手段はカラム寿命の延長および分析中断時間の縮小をもたらした。
【0085】
MIPC分離には多価−カチオン−結合剤、例えば錯体形成剤が使用される2カ所の部分が存在する。一つの態様においては、これらの結合剤は移動相が通過する固体中に取り込むことができる。汚染物は分離を妨げる可能性があるシステム内の部分に到達する前に捕捉される。これらの場合には、官能基が固体マトリックスもしくは樹脂(例えば通過カートリッジ、通常は有機ポリマー、しかし場合によりシリカもしくは他の材料)に結合される。マトリックスの性能は好ましくは、約2m当量/gである。適当な錯体形成樹脂の1例はイミノジアセテート官能基を含む商品名CHELEX 100(Dow Chemical Co.)として入手できる。
【0086】
もう一つの態様においては、多価カチオン−結合剤を移動相に添加することができる。結合官能基は有機化学構造物中に取り込まれる。好ましい多価カチオン−結合剤は3種の条件を果たす。第1に、それは移動相に可溶性である。第2に、金属との錯体が移動相に可溶性である。EDTAのような多価カチオン−結合剤は錯体形成剤および多価カチオン−結合剤−金属錯体の双方が双方を水溶性にさせる電荷を含むためにこの条件を満たす。更に、例えばアセトニトリルを添加する時にはどちらも沈殿しない。水性移動相中の溶解度はサルフェート、カルボキシレートもしくはヒドロキシのような共有結合されたイオンの官能基を結合させることにより高めることができる。好ましい多価カチオン−結合剤は水、有機溶媒もしくは移動相で洗浄することによりカラムから容易に除去することができる。第3に、結合剤はクロマトグラフィー工程を妨げてはならない。
【0087】
多価カチオン−結合剤は配位化合物であることができる。好ましい配位化合物の例には水溶性錯体形成剤およびクラウンエーテルが含まれる。本発明に使用することができる多価カチオン−結合剤の限定されない例には、アセチルアセトン、アリザリン、アルミノン、クロラニル酸、コージ酸、モリン、ロジゾン酸(rhodizonic acid)、チオナリド、チオ尿素、α−フリルジオキシム、ニオキシム、サリチルアルドキシム、ジメチルグリオキシム、α−フリルジオキシム、クペロン、α−ニトロソ−β−ナフトール、ニトロソ−R−塩、ジフェニルチオカルバゾン、ジフェニルカルバゾン、エリオクロムブラックT、PAN、SPANDS、グリオキサール−ビス(2−ヒドロキシアニル)、ムレキシド、α−ベンゾインオキシム、マンデル酸、アントラニル酸、エチレンジアミン、グリシン、トリアミノトリエチルアミン、チオナリド、トリエチレンテトラミン、EDTA、金属フタレイン、アルソン酸、α,α’−ビピリジン、4−ヒドロキシベンゾチアゾール、8−ヒドロキシキナルジン、8−ヒドロキシキノリン、1,10−フェナンスロリン、ピコリン酸、キナルジン酸、α,α’,α”−ターピリジル、9−メチル−2,3,7−トリヒドロキシ−6−フルオロン、ピロカテコール、サリチル酸、チロン、4−クロロ−1,2−ジメルカプトベンゼン、ジチオール、メルカプトベンゾチアゾール、ルベアン酸、蓚酸、ナトリウムジエチルジチオカルバメートおよび亜鉛ジベンジルジチオカルバメートが含まれる。これらおよび他の例はOrganic Complexing Reagents:Structure,Behavior,and Application to Inorganic Analysis,Robert E,Krieger Publishing Co.(1964)中にPerrinにより記載されている。本発明において好ましい多価カチオン−結合剤はEDTAである。
【0088】
ポリヌクレオチドの高分解能クロマトグラフィー分離を達成するためには、概括的に固体相のポリマービーズでクロマトグラフィーカラムを堅く充填することが必要である。適当な高分解能分離を得るためにはカラム充填剤をカラムに充填するあらゆる既知の方法を本発明に使用することができる。具体的には、ポリマービーズのスラリーをポリマービーズの密度以下の密度を有する溶媒を使用して調製する。次にカラムにポリマービーズのスラリーを充填し、カラム中のポリマービーズの充填密度を改善するために振動もしくは震盪する。充填密度を改善するためには具体的には機械的振動もしくは音波適用を使用する。
【0089】
例えば、50×4.6mmI.D.のカラムを充填するために2.0グラムのビーズを音波の補助によりメタノール10mL中に懸濁させることができる。次に懸濁物を8,000psiの圧力においてメタノール50mLを使用してカラム中に充填する。これが充填床の密度を改善する。
【0090】
IP−RP−HPLCによる使用に適した幾つかの種類の対イオンが存在する。これらにはプロトン化させて陽性の対電荷を形成することができるモノ−、ジ−もしくはトリアルキルアミンまたはすでに陽性の対電荷を含む第四級アルキル置換アミンが含まれる。アルキル置換基は均一(例えばトリエチルアンモニウムアセテートもしくはテトラプロピルアンモニウムアセテート)でもまたは混合(例えばプロピルジエチルアンモニウムアセテート)でもよい。アルキル基のサイズは、置換アルキル基の1個のみが大きく、他は小さい場合には特に、小さくても(メチル)もしくは大きく(30炭素まで)てもよい。例えばオクチルジメチルアンモニウムアセテートは適した対イオン剤である。好ましい対イオン剤はエチル、プロピルもしくはブチルのサイズ範囲からのアルキル基を含むものである。
【0091】
どんな具体的な説によっても限定されることを意図されないが、DNAが分離媒体の非極性表面と相互反応することができるように、アルキル基はイオン対生成過程(ion pairing process)をとおしてDNAに非極性の特性を与えることにより働くと考えられる。対イオン−DNA対の非極性の度合いの条件は分離媒体の極性、分離に要する溶媒条件、分離されるフラグメントの具体的なサイズおよび種類に左右される。例えば分離媒体の極性が増加すると、対イオン剤の極性は表面の極性に合致して、対イオン−DNA対の相互反応を増加するように調整されなければならないかも知れない。概括的にアルキル基のサイズおよび疎水性が増加すると、分離はDNA配列および塩基の組成により影響を受けにくく、むしろ主としてDNA配列の長さに基づく。
【0092】
場合によっては、分離を実施するために使用される有機溶媒の濃度範囲を増大することが所望されるかも知れない。例えば対イオン剤上のアルキル鎖の長さを増加すると、対イオン−DNA対の非極性を増加し、移動相の有機溶媒の濃度を増加するかもしくは有機溶媒の種類の強度を増加するかいずれかの必要をもたらすであろう、例えばアセトニトリルはDNAを溶離するためにメタノールよりも約2倍有効である。カラムからフラグメントを溶離するために要する有機溶媒の濃度と、フラグメントの長さの間には正の相関がある。しかし、高い有機溶媒濃度においては、ポリヌクレオチドは沈殿する可能性がある。沈殿を回避するために、より非極性の有機溶媒および/もしくはより小さい対イオンのアルキル基を使用することができる。対イオン剤上のアルキル基はまた、極性を調節するために、ハロゲン化物、ニトロ基等で置換することができる。
【0093】
移動相は好ましくは対イオン剤を含む。具体的な対イオン形成剤には、低級アルキル第一級、第二級および低級第三級アミン、低級トリアルキルアンモニウム塩および低級第四級アルキルアンモニウム塩、のような有機もしくは無機酸のトリアルキルアンモニウム塩、が含まれる。低級アルキルはメチル、エチル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、イソアミル、n−ペンチルおよびイソペンチルにより例示されるような1〜6炭素原子のアルキル基を意味する。対イオン剤の例には、オクチルアンモニウムアセテート、オクタジメチルアンモニウムアセテート、デシルアンモニウムアセテート、オクタデシルアンモニウムアセテート、ピリジニウムアンモニウムアセテート、シクロヘキシルアンモニウムアセテート、ジエチルアンモニウムアセテート、プロピルエチルアンモニウムアセテート、プロピルジエチルアンモニウムアセテート、ブチルエチルアンモニウムアセテート、メチルヘキシルアンモニウムアセテート、テトラメチルアンモニウムアセテート、テトラエチルアンモニウムアセテート、テトラプロピルアンモニウムアセテート、テトラブチルアンモニウムアセテート、ジメチルジエチルアンモニウムアセテート、トリエチルアンモニウムアセテート、トリプロピルアンモニウムアセテート、トリブチルアンモニウムアセテート、テトラプロピルアンモニウムアセテートおよびテトラブチルアンモニウムアセテートが含まれる。前例中のアニオンはアセテートであるが、カーボネート、ホスフェート、スルフェート、ナイトレート、プロピオネート、ホルメート、クロリドおよびブロミド含む他のアニオンもしくはカチオンおよびアニオンのあらゆる組み合わせ物をも使用することができる。これらおよびその他の物質はGjerde等によりIon Chromatography,2nd Ed.,Dr.Alfred Huethig Verlag Heidelberg(1987)中に記載されている。本発明の特に好ましい態様において、テトラプロピルもしくはテトラブチルアンモニウム塩のような他の第四級アンモニウム試薬を使用することができるが、対イオンとしてテトラブチルアンモニウムブロミド(TBAB)が好ましい。あるいはまた、トリアルキルアンモニウム塩、例えばトリエチルアンモニウムアセテート(TEAA)を使用することができる。移動相のpHは好ましくは約pH5〜約pH9の範囲内、そして場合によっては約pH6〜約pH7.5の範囲内にある。
【0094】
条件に応じて、IP−RP−HPLCは二重鎖のポリヌクレオチドをサイズによりもしくは塩基対配列により分離し、従って興味深いDNAの具体的なフラグメントの存在を検出するための好ましい分離法である。クロマトグラフィーのプロファイルは可視的表示、データの印刷表示もしくは元のデータの流れの形態にあることができる。
【0095】
二重鎖のDNAフラグメントのIP−RP−HPLC保持時間はWavemakerTMソフトウェア(Transgenomic)もしくはStarワークステーションソフトウェア(Varian)のようなソフトウェアを使用して予測することができる。これらのプログラムは与えられた1組の溶離条件に対するDNAフラグメントの長さに基づいて保持時間の予測を可能にする(米国特許第6,287,822号および6,197,516号明細書および1999年12月22日出願の米国特許出願第09/469,551号明細書および国際公開第99/07899号および01/46687号パンフレット)。
【0096】
IP−RP−HPLCの使用および理解が発展するに従って、IP−RP−HPLC分析が部分的変性温度、すなわち不適性塩基対の部位でヘテロ二本鎖を変性させるのに十分な温度で実施される時に、ホモ二本鎖は同様な塩基対の長さを有するヘテロ二本鎖から分離することができることが明らかになった(Hayward−Lester,et al.,Genome Research 5:494(1995);Underhill,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.93:193(1996);Doris,et al.,DHPLC Workshop,Stanford University,(1997))。従って変性高速液体クロマトグラフィー(DHPLC)の使用が突然変異体検出に適用された(Underhill,et al.,Genome Research 7:996(1997);Liu,et al.,Nucleic Acid Res.,26;1396(1998))。
【0097】
DNAフラグメントの混合物がイオン対形成剤と混合され、逆相分離カラムに適用される時に、それらはサイズにより分離され、そこでより小さいフラグメントがカラムから最初に溶離する。IP−RP−HPLCはヘテロ二本鎖を部分的に変性するのに十分な温度で実施される時にはDHPLCと呼ばれる。DHPLCはまた、当該技術分野において「変性適正イオンポリヌクレオチドクロマトグラフィー」(DMIPC)とも呼ばれる。
【0098】
混合物中のヘテロ二本鎖(100%未満の配列相補性を有する二本鎖核酸分子)およびホモ二本鎖(100%配列相補性を有する二本鎖核酸分子)核酸試料(例えばDNAもしくはRNA)を分離するためのDHPLCは米国特許第5,795,976号、6,287,822号および6,379,889号明細書に記載されている。分離法において、ヘテロ二本鎖およびホモ二本鎖核酸試料の双方を含む混合物を固定逆相保持体に適用する。次に試料混合物をイオン対試薬および有機溶媒を含む移動相で溶離する。試料の溶離は二本鎖を少なくとも一部変性するのに有効な条件下で実施され、ヘテロ二本鎖およびホモ二本鎖分子の分離をもたらす。
【0099】
「ハイブリッド形成(hybridization)」の用語は二本鎖DNA(dsDNA)試料を加熱、冷却する過程、例えば95℃に加熱し、次に緩徐に冷却する過程を表わす。加熱過程はDNA鎖に変性を引き起こす。冷却すると、鎖は二本鎖に再結合(re−combine)、もしくは再アニーリングする(re−anneal)。
【0100】
DHPLCによる分析のための1組のDNAフラグメントを調製する際に、フラグメントは具体的には同一組のPCRプライマーを使用して生成されるので、それらはすべて通常、同一の長さを有すると推定される。更に、通常、フラグメントは温度および溶媒の勾配の本質的に同一条件下で溶離されることが推定される。クロマトグラフィー分離プロファイルのパターンもしくは形態は、分離過程中の様々な物質の溶離体としての検出器の応答を表わすピークから成る。プロファイルは例えば、ピークの数、高さ、幅、対称性および保持時間により決定される。3もしくは2ピークのようなその他のパターンを認めることができる。プロファイルはまた、余り分離されないショルダーを含むことができる。プロファイルの形態は試料の性状についての有用な情報を含む。生成されるクロマトグラムのパターンもしくは形態は突然変異の種類および位置により影響を受けるであろう。各突然変異(例えば、単一のヌクレオチドの多形性(SNP))は温度および勾配の一定の1組の溶離条件において、対応する溶離プロファイルもしくは署名(signature)を有する。
【0101】
IP−RP−HPLCおよびDHPLCにおいて、システムの移動相圧力および温度のみならずまた、分離カラムの長さおよび直径、並びにその他のパラメーターは変動することができる。カラム直径の増加はIP−RP−HPLCおよびDHPLCにおけるポリヌクレオチドフラグメントの分離を増加することが見いだされた(米国特許第6,372,142号明細書、国際公開第01/19485号パンフレット)。DNAフラグメントのサイズに基づく分離はまた、米国特許第6,265,168号、5,972,222号および5,986,085号明細書に開示されたようなバッチ法および装置を使用して実施することができる。
【0102】
DHPLCにおいて、移動相は具体的にはイオン−対剤(すなわち対イオン剤)および有機溶媒を含む。その方法における使用のためのイオン対剤には低級第一級、第二級および第三級アミン、トリエチルアンモニウムアセテートのような低級トリアルキルアンモニウム塩および低級第四級アンモニウム塩が含まれる。具体的にはイオン対試薬は約0.05と1.0モルの間の濃度で存在する。その方法に使用のための有機溶媒にはメタノール、エタノール、2−プロパノール、アセトニトリルおよびエチルアセテートのような溶媒が含まれる。
【0103】
DHPLCの一つの態様において、分離を実施するための移動相は約40容量%未満の有機溶媒および約60容量%を越えるイオン対剤の水溶液を含む。好ましい態様において、溶離は2項の(binary)勾配系を使用して実施される。
【0104】
ヘテロ二本鎖分子の部分的変性はpHもしくは塩濃度の変化、変性物質の使用または温度の上昇のような様々な方法で実施することができる。分離を実施するための温度は具体的には約50℃と70℃の間、好ましくは約55℃と65℃の間である。好ましい温度は配列に依存する。例えば、GC−濃度の高いヘテロ二本鎖およびホモ二本鎖分子の分離を実施する際にはより高い温度が好ましい。
【0105】
DHPLCを実施するために使用することができる多様な液体クロマトグラフィーシステムが利用可能である。これらのシステムには具体的には、ポンプ、ヒーター、ミキサー、画分回収装置、インジェクターのようなクロマトグラフィー構成部品を操作するためのソフトウェアが含まれる。クロマトグラフィー装置を操作するためのソフトウェアの例には、HSM コントロールシステム(Hitachi)、ChemStation(Agilent)、VPデータシステム(Shimadzu)、Millennium32ソフトウェア(Waters)、Duo−Flowソフトウェア(Bio−Rad)およびStarワークステーション(Varian)が含まれる。DHPLCを実施するために好ましい液体クロマトグラフィーシステムの例にはWAVE(R)DNAフラグメント分析システム(Transgenomic)およびVarian ProStar HelixTMシステム(Varian)が含まれる。
【0106】
DHPLC分析を実施する際に、操作温度および移動相の組成を試行錯誤により決定することができる。しかし、これらのパラメーターは好ましくはソフトウェアを使用して得られる。DHPLC実施時に使用することができるコンピューターソフトウェアは次の特許および特許出願書:米国特許第6,287,822号、6,197,516号明細書、1999年12月22日出願の米国特許出願第09/469,551号明細書および国際公開第0146687号および0015778号パンフレットに開示されている。DHPLC分析に最適な温度を予測するためのソフトウェアの例はClinical Chem.45:113−1140(1999)中にJones等によりそしてhttp://insertion.stanford.edu/melt.html.のアドレスをもつウェブサイドに開示されている。市販のソフトウェアの例にはWAVEMaker(R)ソフトウェアおよびNavigatorTMソフトウェア(Transgenomic)が含まれる。
【0107】
DHPLCを実施するのに適した分離媒体は次の米国特許および特許出願書:米国特許第6,379,889号、第6,056,877号、第6,066,258号、第5,453,185号、第5,334,310号、2000年1月28日出願の米国特許出願第09/493,734号明細書、2000年5月1日出願の米国特許出願第09/562,069号明細書および次のPCT出願書、国際公開第98/48914号、98/48913号パンフレット、PCT/US98/08388、PCT/US00/11795明細書、に記載されている。適した媒体の例には分離ビーズおよびモノリスロッドが含まれる。ポリマー固定保持体に基づく適したカラムの1例はDNASep(R)カラム(Transgenomic)である。シリカ固定保持体に基づく適したカラムの例にはMicrosorb 分析カラム(Varian and Rainin)および”ECLIPSE dsDNA”(Hewlett Packard,Newport,Del.)が含まれる。
【0108】
「突然変異標準物(mutation standard)」は本明細書においては、ハイブリッド形成され、DHPLCにより分析される時に、クロマトグラフィーシステムの性能を評価するために使用することができる以前に特徴を調べた突然変異分離プロファイルを生成するDNA物質の混合物を含むと定義される。突然変異標準物は購入することができ(例えばWAVE(R)システム低領域突然変異標準物、部品番号 700210,GCH338 突然変異標準物(部品番号 700215))、HTMS219 突然変異標準物(部品番号 700220)はTransgenomicから入手できる。A 209 bp突然変異標準物もVarian,Inc.から入手できる。209塩基対突然変異標準物はヒトY染色体座DYS217(GenBankアクセス番号S76940)からの209−bpフラグメントを含んで成る。
【0109】
209bp突然変異標準物(部品番号 700210,Transgenomic)の分析は図7にスキームにより示される。分離カラム上への混合物の注入の前に、スキーム300に示すように突然変異標準物は好ましくはハイブリッド形成される。ハイブリッド形成過程は2種のホモ二本鎖および2種のヘテロ二本鎖を形成した。突然変異分離プロファイル302に示すように、ハイブリッド産物はDHPLCを使用して分離された。2個の比較的低い保持時間のピークは2種のヘテロ二本鎖を表わし、2個の比較的高い保持時間のピークは2種のホモ二本鎖を表わす。A−T塩基対はC−G塩基対よりも低い温度で変性するために、2種のホモ二本鎖が分離する。理論により拘束されることを望まないが、結果は片方の二本鎖における、より程度の大きい変性および/もしくは他方に比較された片方の部分的変性ヘテロ二本鎖の極性の差と一致し、逆走分離カラム上の保持時間の差をもたらす。
【0110】
もう1つのアスペクトにおいて、本発明はポリヌクレオチド検出用キットに関する。本発明のキットは1種もしくは複数の以下のものを含むことができる:
−別の容器内の本明細書に記載のインターカレート色素試薬。その色素試薬は好ましくは、核酸染色液(stain)である。適した色素試薬の例にはSYBRグリーンI、SYBRグリーンII、SYBRゴールドおよびそれらの混合物が含まれる。
−別の容器内のインターカレート色素試薬を希釈するためのバッファー溶液、
−逆走液体クロマトグラフィーカラムから溶離する移動相とインターカレート色素試薬を混合するための反応器、
−逆走液体クロマトグラフィーカラム、
−カラム後反応器とともに使用のためのポンプ、
−ポリヌクレオチドに結合したインターカレート色素を検出するための検出器、例えば蛍光検出器、
−カラム後容器を分離カラムに接続するための導管、
−別の容器内の、ポリヌクレオチドの標準混合物。この例には1本鎖、2重鎖ポリヌクレオチドが含まれる。ポリヌクレオチドはDNAもしくはRNAであることができる。標準混合物のもう一つの例は突然変異標準物である。
−液体クロマトグラフィーシステムにおけるカラム後反応器およびインターカレート色素の使用に関する使用説明資料。
【0111】
本明細書の本発明の考え方は通常の毛細管電気泳動のような他の分離法に適用することができることは認められるであろう。ポリヌクレオチドの毛細管電気泳動のためのマトリックス、電磁場および他の条件は周知である(米国特許第5,073,239号、5,874,213号明細書に記載のような)。米国特許第5,633,129号明細書は一定の変性剤の毛細管電気泳動を使用する突然変異検出のためのヘテロ二本鎖およびホモ二本鎖DNAの分離につき記載している。本発明の更なるアスペクトにおいて、本明細書で記載されたようなインターカレート色素は毛細管電気泳動による分離後にポリヌクレオチドと接触され、検出される(例えば蛍光検出を使用して)。好ましい毛細管電気泳動システムは、それをとおって試料が移動し、成分に分離する、その中の細孔を区画している、流体を含む電気泳動分離毛細管が存在する修飾物(米国特許第5,310,463号明細書に記載のような)を取り入れている。管は、インターカレート色素を含む溶媒により囲まれているその中の貫通孔を区画する側壁を有する。色素は重力、圧力もしくは電気浸透により孔をとおって毛細管中に導入される。本発明の好ましい態様において、本明細書に記載されたような1種もしくは複数のインターカレート色素は毛細管電気泳動による分離後にポリヌクレオチドと接触され、通常の蛍光検出器を使用して検出される。
【0112】
本発明の方法の更なる適用において、質量分析を本明細書に記載のようなカラム後反応器の下流で実施することができる。本出願者はインターカレート色素が質量分析に影響を与えないことを認めた。
【0113】
腫瘍の形成および成長に関与する機序の解明はヒトゲノムの複数の遺伝子の研究を必要とする。腫瘍の進行に寄与する体細胞(somatic)突然変異の検出は圧倒的多数の野生型産物の存在下で幾つかの突然変異体遺伝子産物を区別することができる方法を要する。対立遺伝子のヌクレオチド組成を決定するために一般に遺伝子情報の配列解読が使用されるが、このアプローチは過剰に多数の野生型対立遺伝子個体群中の低レベルの突然変異を検出するためには使用することはできない。DHPLCの方法は遺伝子変異体のモニターおよび検出の早急な、安価な、そして正確な方法を提供する。UV検出によるDHPLC分析は約5%のレベルで配列変異を定常的に検出することができる。本発明の使用により、本出願者は0.1%のように低い配列変異を検出することができた。UV分析に比較して2桁の数字もの感度のこの増加は標識プライマーを必要とせず、従ってあらゆるPCR産物とともに使用することができる。従って、本発明は癌の進行経路に関与する遺伝子のヌクレオチド変異体の発見およびモニターに使用することができる。
【0114】
特記されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は本発明が属する当該技術分野の当業者により一般に理解されるものと同様な意味を有する。本明細書に記載されたものと類似のもしくは等しいあらゆる方法および材料を本発明の実施もしくは試験に使用することができるが、好ましい方法および材料が今や記載されている。本明細書に引用されたすべての特許出願書、特許、および参考文献はそれらの全体を引用により本明細書に取り入れられている。コンフリクトもしくは不適合の場合には、定義を含む本明細書の説明が調整するであろう。特記されない限り、本明細書に使用され、もしくは検討された方法は当業者に周知の標準法である。材料、方法および実施例は具体的に示すためだけのものであり、限定するものではない。本明細書中のすべての数値の範囲はそれらの上限および下限を含むことが意図される。本発明の具体的な提示として与えられ、それを限定する意図はもたれない、例示的態様の以下の説明の過程において、本発明の他の特徴物が明らかになるであろう。以下の実施例中で過去形で記載された方法は実験室で実施された。現在形で記載の方法はまだ実験室ではまだ実施されていず、本出願の提出に伴って推定により実施したことにする(constructively reduced to practice)。
【実施例1】
【0115】
二本鎖ポリヌクレオチドの検出
本実施例において、試料はpUC18HAEIII ダイジェストサイジングスタンダード(0.0485μgのDNA/μl)(部品番号 560078,Transgenomic)から成った。9種のフラグメントがそれぞれ約4.1分〜約16.8分の範囲の保持時間をもつ9個のピークにより示される、80、102、174、257、267、298、434、458、587のサイズ(塩基対の)順に溶離した(図4)。IP−RP−HPLCはDNASep(R)カートリッジ(4.6mmID×50mm)(Transgenomic)を付けた、WAVE(R)Model 2100Aクロマトグラフィーシステム(Transgenomic)を使用して実施した。注入容量は5μl(0.242μgDNA)であった。移動相はバッファーA:0.1MのTEAA(Transgenomic)およびバッファーB:25%アセトニトリル中0.1MのTEAA、pH7(Transgenomic)から成った。
【0116】
インターカレート色素溶液はバッファー(10mMのトリス−HCl(部品番号 15568−025,Invitrogen,Carlsbad,CA)1リッターに溶解されたSYBRゴールド色素(S−11494、Molecular Probes,Eugene,OR)100μl、1mMのEDTA(ED,Sigma−Aldrich,St Louis,MO)、pH=8.0(NaOH(S−5881,Sigma)で調整)から成った。(製造業者は色素ストック溶液は10000×であることを示した。従って作業色素溶液の濃度は10×であった)。溶離勾配は以下であった:
0.7ml/分の流量で実施時間23.0分であった。カラム温度は50.0℃であった。
【0117】
検出器1(チャンネル1)は260nmに設定されたHitachi L−7400であった(図4Aに示したクロマトグラム)。カラム後反応器の下流に配置された検出器2(チャンネル2)は497nmの励起波長および535nmの発光波長をもつHitachi L7485蛍光検出器であった(図4Bに示したクロマトグラム)。
【0118】
カラム後反応器は次の構成部品を含んだ:約1000psiの背圧および0.1ml/分のインターカレート色素溶液流量を伴なうSSIシリーズの1ポンプ、「ティー字」接合体(Upchrch Scientific モデル番号 P−713)、2個の逆止め弁、インライン1/4−28結合スタイル、入り口(Upchrch Scientific モデル番号 P−3401)、逆止め弁、インライン1/4−28結合スタイル、出口(Upchrch Scientific モデル番号 P−3402)、各種の配管および結合具。「ティー字装置」は吸収検出器の後に配置された。SSIポンプから混合ティー字装置への配管は0.50mmIDのPEEK配管を約3ftのコイルを含んでいた。3ftの長さの毛細管配管(75μmID)をこの配管中に挿入した。外部のPEEK配管が通常のHPLC結合体との混合ティー字装置の様々な構成部品への取り付けを可能にし、毛細管配管に対する支持体として働いた。
【0119】
蛍光の検出器の信号は174bpより上のフラグメントに対しては目盛りからはみ出した(was scale off)(図4B)。
【実施例2】
【0120】
DNAサイジング標準の希釈混合物の検出
試料は実施例1からのサイジング標準の1:10希釈物であった。希釈に使用されたバッファーは40mMのトリス−HCl、pH=8.0であった。注入容量は5μl(0.0242μgDNA)であった。カラムを実施例1に記載のものと同様な条件を使用して溶離した。試料をUV検出(図5A)および蛍光検出(図5B)を使用してモニターした。
【0121】
吸収検出器上でのカラム後挿入システムの信号増加は明らかに明白である。UV吸収検出に対する0.0133mv/チャンネルに比較して蛍光と関連したノイズは0.00858mv/チャンネルであった。1例として、587ピークの信号対ノイズ比率は蛍光検出に対する約7240に比較して、UV検出に対して約41.1であった。
【実施例3】
【0122】
希釈DNAサイジング標準の検出
実施例1からのDNAサイジング標準の1:80希釈物を調製した。希釈に使用されたバッファーは40mMのトリス−HCl、pH=8.0であった。試料(注入容量は5μl(0.00303μgDNA))を実施例1に記載のように分析した。
【0123】
吸収検出に対する蛍光検出器の信号増加は明らかに明白である(図6)。増強された検出感度の1例として、吸収クロマトグラムにピークを認めなかったが(図6A)、蛍光クロマトグラムにはピークが明白に見え、同定可能であった(図6B)。
【実施例4】
【0124】
DHPLCにおけるインターカレート色素の使用
DHPLC分析をTransgenomic モデル 3500HT WAVE(R)核酸フラグメント分析システムを使用して実施した。システムはHitachi D−7000インターフェース、Hitachi D−7100ポンプ、Hitachi D−7250自動サンプラー、ステンレスのプレヒーターの付いたHitachi D−7300カラムヒーター、260nmに設定されたHitachi D−7400UV検出器、ERC−345a真空脱気モジュールおよびHitachi HSM制御装置および収集ソフトウェアおよびWAVEMAKER(R)v.4.1.38ソフトウェア(Transgenomic)を含むIntel Pentiumコンピューターから成った。移動相水溶液は25%アセトニトリル(Transgenomic)中のバッファーA:100mMのトリエチルアンモニウムアセテート(TEAA)(Transgenomic)、およびバッファーB:100mMのTEAAから成った。バッファー溶液を調製するために使用された高純度の水はMilli−Q water system(Millipore,Milford,Mass.)を使用して得た。バッファーはすべての重力測定調製物(gravimetric formulation)に製造することができ(すなわちすべての成分を秤量することができる)、温度調節条件下(例えば水浴中)で調製することができる。
【0125】
DYS271突然変異標準物(部品番号 560077,Transgenomic)を以下のように分析した。注入容量は2μlであった。移動相の流量は0.9ml/分であった。インターカレート色素溶液は水1リッター中に希釈された50μlのCYBRグリーン1色素試薬(Molecular Probes)を含んだ。色素溶液の流量は0.9ml/分であった。カラム温度は図7に示した分析には50℃であり、図8に対しては56℃で(部分的変性条件)あった。
【0126】
図7および8において、分離カラム(4.6mmID×50mm)はアルキル化ポリ(スチレン−ジビニルベンゼン)ビーズ(DNASep(R)カラム、Transgenomic)を含んだ。カラムを以下の勾配:
で、0.9ml/分の流量で溶離した。
【0127】
DYS271突然変異標準物はヒトY染色体座DYS271(GenBank 入手番号 S76940)からの等量の209塩基対フラグメントの2重鎖配列変異体168Aおよび168Gを含んでいた。配列中のA→G移行位置168はSeielstad等(Human Molecular Genetics 3:2159−2161(1994))により報告され、変異体の調製は記載されている(Narayanaswami et al,Genetic Testing 5:9−16(2001))。以下は168A変異体の配列である:
【0128】
【表1】
【0129】
標準体において、変異体は45μg/mLのDNA濃度で存在し、10mMのトリス−HCl、pH8、1mMのEDTA中に懸濁された。
【0130】
DHPLC分析の前に、試料を以下のハイブリッド形成法にかけた:95℃で12分間変性し、次に30分間にわたり25℃に冷却した。
【0131】
UV検出器をカラムの下流に、次にカラム後反応器のティー字装置、次に蛍光検出器を直列に配置した。図7Aおよび8AはA260の吸収を示す。図7Bおよび8Bは蛍光検出により分析されたような試料を示し、蛍光検出器と一緒にインターカレート色素を使用した時に感度の増加を示す。信号の増強はUV吸収信号に比較して蛍光信号に対しては約580−倍であった。
【0132】
以上は本発明の具体的な態様を提示してきたが、これらの態様は例としてのみ提示されたことを理解することができる。他の研究者は以上とは異なるが、本明細書に記載され、請求された本発明の精神および範囲から逸脱しない変形物を認識し、実施するであろうことが期待される。
【0133】
本明細書に引用されたすべての特許出願書、特許および参考文献はそれらの全体を引用により本明細書に取り入れられている。コンフリクトもしくは不適切の場合には、定義を含む本明細書の説明が調整するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0134】
【図1】本発明のクロマトグラフィーシステムの一つの態様のスキーム図である。
【図2】カラム後反応器の一つの態様のスキーム図である。
【図3】ホモ二本鎖およびヘテロ二本鎖分子の混合物のDHPLC分析を例示する。
【図4】UV検出(図4A)および蛍光検出(図4B)によるポリヌクレオチドの混合物のIP−RP−HPLC分離を表わす。
【図5】UV検出(図5A)および蛍光検出(図5B)による図4のポリヌクレオチドの混合物の第1希釈物のIP−RP−HPLC分離を表わす。
【図6】UV検出(図6A)および蛍光検出(図6B)による図4からのポリヌクレオチドの混合物のもう1種の希釈物のIP−RP−HPLC分離を表わす。
【図7】UV検出(図7A)および蛍光検出(図7B)による非変性温度におけるホモ二本鎖およびヘテロ二本鎖分子のIP−RP−HPLC分離を表わす。
【図8】UV検出(図8A)および蛍光検出(図8B)によるホモ二本鎖およびヘテロ二本鎖分子のDHPLC分析を表わす。
【0001】
本発明は概括的にポリヌクレオチド分離の分野に関し、より具体的には分離法を受けたポリヌクレオチドの検出における改良に関する。
【背景技術】
【0002】
DNAのようなポリヌクレオチドの分離は伝統的にスラブゲル電気泳動もしくは毛細管電気泳動を使用して実施されてきた。しかし、分析を自動化させ、分離された後の画分を捕集する性能のために、ポリヌクレオチドの液体クロマトグラフィー分離がますます重要になっている。
【0003】
DNA分離のための高品質の材料はポリマー基材(特許文献1および2に記載のような)およびシリカをベースとする逆相カラム材料(特許文献3および4に記載のような)に基づくものであった(特許文献1、2、3および4参照)。溶離ポリヌクレオチドの検出は具体的にはその検出限界が背景より約5〜10%上の紫外線検出を使用する。液体クロマトグラフィー分析および他の分離法を受けたポリヌクレオチドはしばしば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)産物を含む。PCR増幅は、検出感度を増加するために、増幅産物中に検出可能な部分(例えば蛍光標識)を取り込むために共有結合標識された(covalently tagged)PCRプライマーを使用して定常的に実施される。しかし、蛍光タグおよびその他の共有結合タグはPCR法のコストを追加する。これらのタグは通常、疎水性であり、フラグメントのクロマトグラフィー保持時間を著しく変動させることができる。様々な分離法を受けたポリヌクレオチドの検出において増加された感受性が必要である。共有結合標識PCRプライマーの使用を必要としない方法も必要である。
【特許文献1】
米国特許第5,585,236号明細書
【特許文献2】
米国特許第6,066,258号明細書
【特許文献3】
米国特許第6,056,877号明細書
【特許文献4】
米国特許第6,156,206号明細書
【発明の開示】
【0004】
一つの態様において、本発明は混合物中の1種もしくは複数のポリヌクレオチドを分析する方法に関する。一つの態様において、その方法は(a)ポリヌクレオチドが液体クロマトグラフィー分離装置から溶離される該装置を使用して、ポリヌクレオチドを分離すること、(b)色素が溶離されたポリヌクレオチドに結合するようにインターカレート色素と溶離ポリヌクレオチドを接触させること、および(c)溶離ポリヌクレオチドに結合した色素を検出すること、を含む。その装置は好ましくは逆相カラムもしくはイオン交換カラムのような分離カラムを備える。接触させることは好ましくは混合ティー字装置もしくは混合十字装置のようなカラム後反応器中に混合物を通過させることを含む。適当な反応器の他の例には「Y」結合装置、1個の出口および3個以上の入り口を有する複数口の結合装置、複数入り口の混合弁、および切り替え弁が設けられている。好ましい色素はポリヌクレオチドと結合する時にのみ蛍光を示すものである。より好ましい色素はポリヌクレオチドでインターカレートされる時にのみ蛍光を示すものである。その方法はカラムと試薬が本質的に同一温度で保持されるように試薬を加熱することを含むことができる。ポリヌクレオチドはDNAもしくはRNA、一本鎖もしくは二本鎖分子を含むことができる。ポリヌクレオチドはホモ二本鎖およびヘテロ二本鎖分子を含むことができる。色素は好ましくは核酸染料である。色素はSYBRグリーンI、SYBRグリーンIIおよびそれらの混合物から選択することができる。もう1つの例はSYBRゴールドである。その方法は質量分析により段階(b)のポリヌクレオチド産物を分析することを含むことができる。もう1つのアスペクトにおいて、本発明は前記の方法からもたらされるポリヌクレオチド産物を含んで成る組成物に関する。
【0005】
更なる態様において、本発明は1種もしくは複数のポリヌクレオチドを分析するための方法に関する。一つの態様において、その方法は(a)ポリヌクレオチドが液体クロマトグラフィー分離装置から溶離される該装置を使用してポリヌクレオチドを分離する段階、(b)色素が溶離ポリヌクレオチドに結合するように溶離ポリヌクレオチドをインターカレート色素と接触させる段階、および(c)溶離ポリヌクレオチドに結合された色素を検出する段階、を含む。
【0006】
もう一つの態様において、本発明はポリヌクレオチドを分析するための装置を提供する。一つの態様において、その装置は(a)イオン対逆相高速液体クロマトグラフィーによりポリヌクレオチドを分離することができる液体クロマトグラフィー分離カラム、および(b)カラムから溶離されたポリヌクレオチドとインターカレート色素試薬を混合するための反応器、を備える。カラムは逆相分離カラムもしくはイオン交換カラムであることができる。装置は更にポリヌクレオチドに結合した色素を検出することができる、蛍光検出器のような検出器を含むことができる。反応器は混合用ティー字装置もしくは混合用十字装置であることができる。適当な反応器の他の例には「Y」結合装置(union)、1個の出口および3個以上の入り口を有する複数口の結合装置、複数入り口の混合弁、および切り替え弁が含まれる。装置は更にカラムと本質的に同一温度に色素試薬を加熱するためのヒーターを備えることができる。装置は紫外線検出器を備えることができる。装置はまた、分離カラムに操作可能に接続された質量分析計を含むことができる。他の態様において、本装置は(c)カラムから溶離する移動相を誘導するためにカラムの末端に接続された導管(ここで反応器は配管に接続されている)、d)貯蔵器を反応器に操作可能に接続するための導管を含むインターカレート色素試薬を含む貯蔵器、およびe)色素試薬が移動相と混合するように反応器中に色素試薬を送り込むためのポンプ、を含むことができる。
【0007】
更なる態様において、本発明はポリヌクレオチドを分析するための装置を提供する。好ましい態様において、本装置はa)1種もしくは複数のポリヌクレオチドを分離するためのクロマトグラフィー手段およびb)装置から溶離したポリヌクレオチドとインターカレート色素を混合するための手段を含む。適当なクロマトグラフィー手段の例には逆相分離カラムおよびイオン交換カラムが含まれる。装置は好ましくは更にクロマトグラフィー手段から溶離されたポリヌクレオチドに結合されたインターカレート色素を検出するための手段を含む。検出手段は好ましくは蛍光検出器である。混合手段は好ましくはインターカレート色素および分離のための手段から溶離されたポリヌクレオチドを混合するようになっている混合ティー字装置のようなカラム後反応器である。
【0008】
もう一つの態様において、本発明は混合物中のヘテロ二本鎖およびホモ二本鎖DNA分子を分離するクロマトグラフィー法を提供する。その方法には固定逆相保持体(support)に混合物を適用すること、イオン対試薬および有機溶媒を含有する移動相で混合物のヘテロ二本鎖(duplex)およびホモ二本鎖分子を溶離すること(ここで溶離がヘテロ二本鎖を少なくとも一部変性させるのに有効な条件下で実施され、かつ溶離がホモ二本鎖からのヘテロ二本鎖の分離をもたらす)、溶離後にヘテロ二本鎖およびホモ二本鎖分子をインターカレート色素試薬と接触させること、並びにヘテロ二本鎖およびホモ二本鎖分子に結合された色素を検出すること、を含む。その方法において、固定保持体はアルキル化基材から成ることができ、そこで基材はシリカ、アルミナ、ジルコニア、ポリスチレン、ポリアクリルアミドおよびスチレン−ジビニルコポリマーから成る群から選択される。移動相は好ましくは低級アルキル第一級、第二級および第三級アミン、低級トリアルキルアンモニウム塩並びに低級第四級アンモニウム塩から成る群から選択されるイオン対形成剤(ion−pairing agent)を含む。好ましい移動相はトリエチルアンモニウムアセテートを含む。移動相はメタノール、エタノール、アセトニトリル、エチルアセテートおよび2−プロパノールから成る群から選択される有機溶媒を含むことができる。適当な移動相の1例は約40容量%未満の有機溶媒を含む。その方法はその条件下のヘテロ二本鎖およびホモ二本鎖分子と本質的に同一温度に試薬を加熱することを含むことができる。色素はSYBRグリーンI染料、SYBRグリーンII染料およびそれらの混合物から成る群から選択することができる。適当な色素の他の例にはSYBRゴールドおよびPicoGreenがある。
【0009】
更にもう一つのアスペクトにおいて、本発明はポリヌクレオチド検出キットに関する。キットは以下:インターカレート色素試薬、インターカレート色素試薬を液体クロマトグラフィーカラムから溶離する移動相と混合するための反応器、液体クロマトグラフィーカラム、色素溶液を反応器中に送り込むためのポンプ、色素を検出するための検出器、カラムに反応器を接続するための導管、別な容器中のポリヌクレオチドの標準混合物(例えばDNAのような二本鎖ポリヌクレオチドのポリヌクレオチドの標準混合物)、別な容器中のSYBRグリーンI染色液、SYBRグリーンII染色液もしくはそれらの混合物のようなインターカレート色素、別な容器中のSYBRゴールド核酸染色液もしくはPicoGreen、のうちの1種もしくは複数を含むことができる。
【0010】
更にもう一つの態様において、本発明はa)1種もしくは複数のポリヌクレオチドをクロマトグラフィー分離のための手段に適用し、かつクロマトグラフィー分離のための手段から溶離することができるクロマトグラフィー分離のための手段、b)インターカレート色素に、クロマトグラフィー分離のための手段から溶離されたポリヌクレオチドを添加もしくは混合するための手段、並びにc)クロマトグラフィー分離のための手段から溶離されたポリヌクレオチドに結合されたインターカレート色素を検出するための手段、を含む、ポリヌクレオチド分析装置を提供する。クロマトグラフィー分離のための手段は逆相液体クロマトグラフィーカラムもしくはイオン交換カラムを含んで成ることができる。添加もしくは混合のための手段は混合ティー字装置、液体通過反応器もしくは中空繊維膜を含んで成ることができる。
【0011】
更にもう一つの態様において、本発明はi)1個の出口を有する液体クロマトグラフィーカラム、ii)第1の入り口、第2の入り口および、クロマトグラフィーカラムの出口と流体連絡する第1の入り口をもつ1出口を有する混合ティー字装置、iii)そこで、第2の入り口が流体源と流体連絡しており、そこで流体源がインターカレート色素試薬を含んで成る、を含むポリヌクレオチドを分析するための装置を提供する。装置は好ましくは色素試薬を加熱するためのヒーター(例えばサーモスタット制御ヒーター)を含む。
【0012】
もう一つの態様において、本発明は、シリカ基材のクロマトグラフィーカラム手段もしくはポリマー基材のクロマトグラフィーカラム手段のような液体クロマトグラフィー装置、カラム手段と流体連絡している移動相の貯蔵器、そこで少なくとも1種のポリヌクレオチドの混合物を含んで成る試料がカラム手段をとおって溶離され、そして混合物の成分物質がクロマトグラフィーカラム手段の流出液中にクロマトグラフィーにより置換された形態で出現する、カラム手段に移動相を添加するためのクロマトグラフィーポンプ手段を含み、そして更に、クロマトグラフィーカラム手段の流出液がそれをとおって液体クロマトグラフィー検出器に供給されるカラム後反応器手段、インターカレート色素試薬を含んで成る溶媒を含み、ここで反応器手段が、クロマトグラフィーカラム手段の流出液中への試薬の移動のための溶媒と操作可能に接触もしくは連絡している。適当なカラム後反応器の例は中空繊維膜、混合ティー字装置および混合十字装置を意味する。装置はクロマトグラフィーカラム手段から流出液中にを溶媒を送り込むためのポンプを含むことができる。適当なポンプの例にはシリンジ、蠕動ポンプもしくはHPLCポンプが含まれる。
【0013】
更なる態様において、本発明はポリヌクレオチドを分離するためのクロマトグラフィー装置を提供し、その装置は、逆相分離カラム、カラムの下流に配置されたカラム後反応器、インターカレート色素を含む溶媒(ここで前記反応器はカラムから溶離された移動相を溶媒を混合するようになっている)、ポリヌクレオチドに結合されたインターカレート色素を検出するための、前記反応器の下流の蛍光検出器、を含む。カラムはシリカ固定保持体もしくはポリマー固定保持体を含むことができる。
【0014】
更なる態様において、本発明は1種もしくは複数のポリヌクレオチドを分析する方法に関する。その方法は好ましくはa)毛細管電気泳動を使用してポリヌクレオチドを分離すること、b)インターカレート色素とポリヌクレオチドを接触させること、およびc)ポリヌクレオチドに結合された色素を検出すること、を含む。
【0015】
包括的な態様において、本発明は液体クロマトグラフィー分離のような分離法を受けたポリヌクレオチドの検出を高めるための方法、組成物、システムおよびキットに関する。本発明は一部は、ポリヌクレオチドの検出を高めるために、分離カラムから溶離されたポリヌクレオチドを様々な結合剤と混合することができるという本出願者の観察に基づく。出願者は驚くべきことには、分離カラムからの流出液とのインターカレート色素(下記に説明される)の混合物が検出感度の著しい増加をもたらすことを見いだした。
【0016】
「ポリヌクレオチド」の用語は、リン酸残基により1リボース(もしくはデオキシリボース)から他方に結合された不確定数のヌクレオチドを含む線状ポリマーを含むと定義される。本発明はRNAまたは二本鎖もしくは一本鎖DNAの分離に使用することができる。本発明の説明を簡略化する目的で、かつ限定することによらずに、本明細書では二本鎖DNAの分離が主として説明され、そこですべてのポリヌクレオチドが本発明の範囲内に含まれることが意図されることは理解される。
【0017】
イオン交換クロマトグラフィーおよびイオン対液体クロマトグラフィーのような液体クロマトグラフィー法を含む、ポリヌクレオチドの分離のためには多様な方法が周知である。イオン交換クロマトグラフィーの使用は例えば、2001年1月6日出願の米国特許出願第09/756,070号明細書および国際公開第01/27331号パンフレットに開示されている。簡略化の目的で、かつ限定によらずに、本明細書ではイオン対逆相高速液体クロマトグラフィー(IP−RP−HPLC)が主として説明される。
【0018】
好ましいIP−RP−HPLCシステムは試料の選択、移動相勾配の選択および制御、カラムおよび移動相温度の制御並びに画分捕集に対する自動化のオプションを提供する。
【0019】
図1はIP−RP−HPLCシステムの一つの態様に従うシステムのスキーム図である。移動相を形成する溶媒、対イオンおよびその他の溶液のような溶液のための貯蔵器として複数の容器を使用することができる。例えば、容器2は対イオン形成剤(例えばトリエチルアンモニウムアセテート(TEAA))の水溶液のような移動相の水性成分を含むことができ、容器4は対イオン形成剤プラス有機(駆動)溶媒(例えばTEAAプラスアセトニトリル)の水溶液を含むことができる。補助液(例えば共溶媒)は容器6に保持することができる。これらの溶液は分離期間中に移動相中の有機溶媒の選択された濃度を達成するために混合される。これらの溶液のその他の例は本明細書の実施例および前記の共通に譲渡された特許中に提供されている。容器は対イオン溶液運搬配管8、溶媒溶液運搬配管10およびそれらと連絡し、排気装置14に導く補助液運搬配管12のようなそれぞれの運搬配管を有する。
【0020】
排気装置14は液体から溶解ガスを除去する。適当な排気装置の1例はDegassit Model 6324である。溶解酸素の除去はその存在がシステムの構成部品中の第1鉄もしくは他の酸化可能金属を酸化する、従って対応するカチオンを移動相液中に導入する危険性を増大するために、特に重要である。
【0021】
カラム清浄化溶液は、同様に、それと連絡して排気装置14に導く洗浄溶液運搬導管18を有する洗浄液容器16中に含まれる。この態様においては、容器16が排気装置および注入弁54より高く揚げられると重力の圧力により洗浄液が流動することができる。
【0022】
本発明のシステムは溶媒溶液および移動相の水性成分の流量を制御する通常の移動相流量制御手段を取り入れている。一つの態様において、移動相流量制御手段はそれぞれ以下に説明されるコンピューター制御下の自動開放制御装置をもつ1組の流量制御弁を含んで成る。もう一つの態様において、移動相流量制御手段は流量設定(flow setting)が下記に説明されるようなコンピューター制御に応答する1組のポンプを含んで成る。
【0023】
図1に示したシステムは1組の流量制御弁を含む移動相流量制御手段の一つの態様を使用している。排気した対イオン溶液導管20、排気溶媒溶液導管22および排気装置14から導く排気補助液導管24はそれぞれの水性成分配分弁(proportioning valve)26、溶媒溶液配分弁28および補助液配分弁30と連絡する。これらの配分弁の設定値はそれらと接続されたステッピン・モーターのような弁操作装置により設定され、変更され、そしてこれらの弁操作装置は下記に、より詳細に説明される移動相流量制御ソフトウェアモジュールからのコマンドに応答して所望の設定値を確立するように応答する。流量制御弁26、28および30は溶媒溶液および移動相の他の成分の流量を制御する移動相流量制御手段の一つの態様を含んで成る。これらの弁の設定値は注入弁および分離カラムをとおる液体(共溶媒、溶媒溶液、等)の比率を制御する。導管32、34および36はそれぞれの配分弁26、28および30からポンプ38の取り込み口に導く。
【0024】
洗浄溶液運搬導管31は洗浄溶液弁40に導く。任意の洗浄溶液導管42は弁40から導き、ポンプ38の入り口と連絡する。弁33は導管42をとおる流量を制御する。
【0025】
弁26、28および30の開口部は、IP−RP−HPLCによるポリヌクレオチド分離が溶媒濃度の関数であるために、このシステムのもっとも重要な部分の、移動相内の有機溶媒と他の成分の相対的比率を正確に設定する。様々なポリヌクレオチド分離法に関して説明されるように、時間の関数としての有機溶媒勾配の傾斜は分離過程中に変化し、もっとも重要な(critical)相は非常に正確な勾配を必要とするかも知れない。弁26、28および30の設定値は通常の弁制御装置に対し、信号により遠隔設定することができる通常の弁作動装置により設定される。
【0026】
好ましい態様において、分離システムは35で表わされるようなコンピューター制御下にある。コンピューターはシステムの操作期間中の適当な時間に弁26、28および30の設定値を正確な流量値に設定するためのコンピューター制御指示を与えるInstrument Control Software(装置制御ソフトウェア)を含む。
【0027】
同様な方法で、本発明の装置制御ソフトウェアはポンプのオン/オフ状態およびポンプの圧力もしくは流量設定値のようなポンプ38の操作パラメーターを設定するためのコンピューター制御指示を提供する。
【0028】
ポンプ排出導管44は成分の完全な混合のために液体流をミキサー46にとおさせるインラインミキサー46と連絡する。混合された液体の排出導管48はポリヌクレオチド分子の分離を妨げると考えられる多価金属カチオンおよび他の汚染物を除去するために混合液を処理するために任意のガードカラム50と連絡する。ガードカラム50は通常のイオン交換により多価金属カチオンの除去のためのナトリウムもしくは水素形態のカチオン交換樹脂を含むことができる。導管52はガードカラムの出口および洗浄液注入弁54の入り口と連絡する。洗浄液供給導管56は弁40を洗浄液注入弁54と接続し、廃気物出口導管58は廃気口に誘導する。導管60は弁54から試料注入弁62に誘導する。
【0029】
試料アリコート選択装置64は試料導管66をとおして注入装置の弁62と連絡する。廃水導管68は注入弁から誘導し、排液を除去する。
【0030】
注入弁62において、試料を導管60から弁を通過する溶媒および担体液流中に誘導する。試料導管70は注入弁62の出口および空気浴オーブン72中のカラム前フィルター74と連絡する。毛細管配管コイル76は前フィルター74およびクロマトグラフィーカラム78の入り口と連絡する。毛細管コイル76の延伸された長さがコイルを通過する液体中に加熱されたオーブンの空気から豊富な熱を通過させて、液体を選択された温度の±0.05℃以内にもたらす。オーブン72は前フィルター74、コイル76およびクロマトグラフィーカラム78におけるこの温度の均一性を確保する。
【0031】
分離カラム78はIP−RP−HPLC法により、対イオンの存在下でのポリヌクレオチド分子の分離を実施する独特な分離表面を有するビーズを充填されている。分離法並びにカラムおよびビーズについての詳細は下記に詳細に説明される。分離されたポリヌクレオチド分子を含む移動相の流れは導管81をとおりクロマトグラフィーカラム78から通過する。
【0032】
導管80は任意の検出器84と連絡する。検出器は液体移動相中のポリヌクレオチドフラグメント構造物のUV吸収を測定する通常のUV吸収装置であることができる。吸収は試験されている液体中のポリヌクレオチドフラグメントの濃度の関数である。
【0033】
前記の説明において、液体流システムは一連の導管として説明される。導管は液体中への多価カチオンの導入を回避するために選択される毛細管である。好ましい毛細管配管の材料はチタンおよびPEEKである。システムの他の構成部品は好ましくはチタンもしくはPEEKで製造されるかまたはそれらを酸化から遮蔽し、かつ液体中への多価カチオンの導入を防止するために液体に露出される表面をPEEKで被覆させる。ステンレス鋼も使用することができるが、好ましくはすべての酸化された表面物質を除去するように処理され、ステンレス鋼表面に接する溶液が溶解された酸素を含まない。
【0034】
本発明の好ましい態様において、システムはカラム78の下流に配置されているカラム後反応器92を含む。反応器は貯蔵器96および、導管98を介するカラムから溶離する移動相と導管94を介して連絡する。以下に説明されるように、貯蔵器94はインターカレート色素を含む溶液を含むことができる。ポンプ99は貯蔵器94からの溶液の流れを達成するために使用することができる。任意の加熱装置100は反応器92に到達する前に貯蔵器96からの流体を前加熱するために使用することができる。
【0035】
蛍光検出器のような検出器102は反応器92の下流に配置され、導管104を介して反応器92と連絡する。検出器からの電気出力は好ましくはA/Dコンバーターによりディジタル形態に変換されて、コンピューター35中のディスクドライブのようなディジタル保存装置に標準ディジタルフォーマットで記録される。
【0036】
次に移動相は自動化画分捕集装置106に通過し、そこで移動相画分の選択された部分を後の処理もしくは分析のためにバイアルに捕集することができる。非捕集画分は導管108を通って除去される。
【0037】
本発明の一つの態様はクロマトグラフィー分離後のポリヌクレオチド検出に使用のためのカラム後反応器(すなわち混合装置)に関する。1個もしくは複数のカラム後反応器は図1に示した分離カラムの下流に配置することができる。このような反応器の一つの態様は通常の混合ティー字装置である。混合ティー字装置および混合十字装置は市販されており(例えばUpchurch Scientific)、クロマトグラフィーシステムにおける使用に容易に改造される。適した反応器の例には:米国特許第6,100,522号明細書に記載され、市販(例えば部品番号P−632 Upchurch)のような混合ティー字装置、混合十字装置(部品番号p−634、Upchurch)、「Y」結合装置、1出口と3個以上の入り口をもつ多口結合装置、多入り口混合弁(部品番号080T−3−12−32−5,BioChem Valve Corporation)および切り替え弁(部品番号V−100T、Upchurch)が含まれる。装置は好ましくは不活性内面(例えば、TefzelのTeflon(ETFE))を有するように構成される。
【0038】
本発明に適した反応器の一つの態様は図2に示した通常の混合ティー字装置196である。導管200は分離カラムから誘導され、アダプター202内に保持される。アダプター202は入り口弁204とねじによりかみ合い、それはティー字接合体198とネジ結合する。色素試薬の貯蔵器(図示されていない)から誘導される導管206は入り口弁210とかみ合うアダプター208内に保持される。弁210は図示のようにティー接合体198とかみ合う。導管216は混合ティー字装置から検出器(例えば蛍光検出器)の方向に排出誘導される。導管216は出口弁212内でかみ合うアダプター214内に保持される。弁212は図示のようにティー接合体198とかみ合う。移動相は矢印214の方向に装置に侵入し、色素試薬は矢印218の方向にティー字装置に侵入する。弁204、210および212は好ましくは逆止め弁のような一方向弁である。混合後、流体は矢印220の方向に流れる。
【0039】
色素試薬を導入するのに適したもう1種の反応器は米国特許第4,448,691号および第4,451,374号明細書に記載のような中空繊維膜を包含する。
【0040】
色素試薬は好ましくは、水溶液に溶解される。色素の濃度は選択される蛍光染色液に左右されるであろう。色素の濃度は約0.001μMと1Mの間であることができる。溶液はバッファー剤、様々な可溶化剤もしくは安定剤を含むことができる。
【0041】
ポンプを使用して反応器中へのインターカレート色素の流れを提供することができる(図1)。1例は通常のHPLCポンプである。米国特許第6,281,019号明細書に記載のような脈動付与装置(pulse dampening devices)を本明細書で記載のようなカラム後反応器とともに使用されるポンプと一緒に使用することができる。好ましいポンプの1例はSSIシリーズIの往復の単一ピストンポンプ(Scientific Systems,Inc.,State College,PA)である。ポンプの好ましい流量範囲は0.01〜10.00ml/分である。ポンプは好ましくは5000psi以上の背圧、そしてより好ましくは約1000psi以上の背圧で操作される。出願者はポンプと反応器の間に一定の長さの毛細管の配管(すなわち背圧コイル)を挿入することにより背圧を調整することができることを見いだした。溶液をコイル中に送り込むことにより好ましい背圧を与えた。圧力は背圧コイルの長さを変更することにより様々な流量に「調整(tuned)」することができた。一つの態様において、3フィートのコイルのPEEK配管(75μmID)(SSI)を使用した。
【0042】
本発明の好ましい態様において、インターカレート色素溶液は分離カラムから溶離される移動相と接触する前に前以て加熱される。例えば溶液は約25℃から約70℃の範囲の温度に加熱することができる。色素溶液は好ましくはカラム温度と本質的に同一の温度に加熱される。一つの態様において、色素溶液を含む貯蔵器全体が加熱される。好ましい態様において、貯蔵器から延伸している毛細管導管(例えばテフロン配管)のコイルが混合装置中への導入の前に色素試薬の前加熱をもたらすために加熱される。コイルは分離カラムに使用されるものと同一のカラムヒーター内で加熱することができる(図1)かもしくは異なるヒーターであることができる。好ましいヒーター装置の例は米国特許第6,103,122号明細書に記載されている。
【0043】
本発明の実施において、インターカレート色素−ポリヌクレオチド複合体を蛍光検出器を使用して検出する。適した検出器は市販(例えばHewlett Packard(モデル 1046)、Hitachi(モデル L7450)、Gilson(モデル 121)、WATERS(モデル 120)、Bio−Rad(モデル 1700)およびBeckman(モデル 6300A)されている。好ましい蛍光検出器はレーザー(例えばアルゴンレーザー)誘発励起源であつ。キセノンアークランプは励起源としてはあまり好ましくない。
【0044】
重要なアスペクトにおいて、本発明は(a)非極性表面を有する分離媒体にポリヌクレオチドを適用すること、(b)対イオン形成剤および有機溶媒を含む移動相で表面からポリヌクレオチドを溶離すること、(c)可逆的DNA−結合色素とポリヌクレオチドを接触させて、ポリヌクレオチドと可逆的DNA−結合色素間の複合体を形成すること、および(d)複合体を検出すること、を含むイオン対逆相高速液体クロマトグラフィーにより分離されたポリヌクレオチドの検出を高めるための方法を提供する。好ましい可逆的DNA−結合色素にはDNAインターカレート色素およびDNA溝結合色素が含まれる。可逆的DNA−結合色素の限定しない例にはPICO GREEN、エチジウムブロミド、プロピジウムヨウジド、アクリジンオレンジ、7−アミノアクチノマイシンD、シアニン色素、ビスベンズイミド、ビスベンズイミド、ベンゾキサンテンイエロー、ネトロプシン、SYTO、SYBRグリーンI、SYBRグリーンII、SYBRゴールド、SYBR DX、OliGreen、CyQuant GR、SYTOXグリーン、SYTO9、SYTO10、SYTO17、SYBR14、FUN−1、DEADレッド、ヘキシジウムヨウジド、ジヒドロエチジウム、エチジウムホモダイマー、9−アミノ−6−クロロ−2−メトキシアクリジン、DAPI、DIPI、インドール色素、イミダゾール色素、アミノアクチノマイシンD、ヒドロキシスチルバミジンおよびLDS751が含まれる。
【0045】
もう一つの態様において、本発明はポリヌクレオチドの検出を高めるために使用される可逆的DNA−結合色素を提供する。「可逆的DNA−結合色素」の用語は本明細書において、インターカレート色素およびDNA溝結合色素を含むために使用される。「インターカレート色素(intercalating dye)」は本明細書においては二重らせんの塩基対の間への挿入により、可逆的な非共有的方法でDNAもしくは他のポリヌクレオチドに結合する概括的に平面状の芳香族の環形態の発色団分子を含むと定義される。
【0046】
「DNA溝結合色素」の用語は本明細書においては、核酸の溝(主溝もしくは副溝)のいずれかにおける塩基対の端との直接的相互作用により可逆的に結合する発色団分子を含むと定義される。これらの色素は非挿入DNA結合剤を含んで成る群に含まれる。DNA溝結合色素の限定しない例にはNetropsin(N’−(2−アミヂノエチル)−4−(2−グアニジノアセトアミド)−1,1’−ジメチル−N,4’−ビ[ピロール−2−カルボキサミド])(Sigma)、Heochst色素番号33258(ビスベンズイミド、B−2261、Sigma)、Heochst色素番号 33342(ビスベンズイミド、B2261、Sigma)およびHeochst色素番号 2495(ベンゾキサンテンイエロー、B−9761、Sigma)が含まれる。
【0047】
本発明における好ましい可逆的DNA−結合色素には蛍光色素が含まれる。好ましい可逆的DNA−結合色素の限定されない例にはPICO GREEN(P−7581、Molecular Probes)、エチジウムブロミド(E−8751、Sigma)、プロピジウムヨウジド(P−4170、Sigma)、アクリジンオレンジ(A−6014、Sigma)、7−アミノアクチノマイシン D(A−1310、Molecular Probes)、シアニン色素(例えばTOTO−1、YOYO−1、BOBOおよびPOPO−3)、SYTO、SYBRグリーンI、SYBRグリーンII、SYBRゴールド、SYBR DX、OliGreeen、CyQuant GR、SYTOX グリーン、SYTO9、SYTO10、SYTO17、SYBR14、FUN−1、DEAD レッド、ヘキシジウムヨウジド、ジヒドロエチジウム、エチジウムホモダイマー、9−アミノ−6−クロロ−2−メトキシアクリジン、DAPI、DIPI、インドール色素、イミダゾール色素、パラチンクロムブラック6BN、アクチノマイシンD、ヒドロキシスチルバミジンおよびLDS 751が含まれる。多数の可逆的DNA−結合色素はHandbook of Fluorescent Probes and Research Chemicals,Ch.8.1(1997)(Molecular Probes,Inc.,Eugene,OR)、国際公開第00166799号、第09919514号、第09810099号、第09746714号パンフレット、欧州特許出願第0 634 640号明細書、カナダ特許第2,119,126号明細書および次の米国特許第4,716,905号、第5,312,921号、第5,321,130号、第5,410,030号、第5,432,134号、第5,445,946号、第5,646,264号、第5,658,735号、第5,734,058号、第5,760,201号、第5,929,227号、第6,054,272号、第6,162,931号、第6,187,787号、第6,210,885号および第6,280,933号明細書に記載されている。
【0048】
一つの態様においてポリヌクレオチド試料は分離カラムからの溶離後に、蛍光インターカレート色素のような可逆的DNA−結合色素と接触させられる。DNAに対する色素の好ましい比率は30塩基対当たり色素約1モルである。好ましい色素(例えばTOTO)は内因性蛍光をほとんどもしくは全くもたず、ポリヌクレオチド中に挿入された時にのみに実際に蛍光を示すものである。蛍光は本明細書で記載のような通常の蛍光検出器を使用して検出することができる。
【0049】
本発明における使用に好ましいインターカレート色素はdsDNA、ssDNAもしくはRNA(色素自体に応じて)に結合された時にのみ蛍光を発するものである。
【0050】
「逆相保持体」は出発移動相よりも極性の低い(例えばより疎水性の)液体クロマトグラフィー、特に高速液体クロマトグラフィー(HPLC)に使用のための固定保持体(基材物質およびあらゆる化学的に結合した相を含む)を意味する。
【0051】
「イオン対(IP)クロマトグラフィー」は試料成分の幾らかもしくは全部がイオン化されているもしくはイオン化可能な官能基を含む試料を分離するクロマトグラフィー法を意味する。イオン対クロマトグラフィーは具体的には、イオン対試薬の存在下で逆相カラムにより実施される。
【0052】
「イオン対試薬」はクロマトグラフィー分離における分離(resolution)を改善するために試料中のイオン化されたもしくはイオン化可能な基と相互反応する試薬である。「イオン対形成剤」は試薬およびその水溶液双方を意味する。イオン対形成剤は具体的には最適な分離のために逆相液体クロマトグラフィーの移動相に添加される。選択するべきイオン対形成剤の濃度および疎水性は分離される試料中の荷電部位(charged site)の数および種類(例えばカチオンもしくはアニオン)に依るであろう。
【0053】
イオン対逆相クロマトグラフィー(IP−RPC)はDNA(一本鎖および二本鎖双方の)およびRNAを含むポリヌクレオチドの分離および分析に使用されるクロマトグラフィーの強力な形態である(Eriksson et al.,(1986)J.Chromatography 359:265−74)。IP−RPCのもっとも多数報告された出願書は高速液体クロマトグラフィー(IP−RP−HPLC)との関連においてであったが、その方法は非HPLCクロマトグラフィーシステムを使用して実施することができる(米国特許出願第09/318,407号および09/391,963号明細書)。しかし、簡略化のために、下記の説明は大部分、特に強力で便利な形態のIP−RPCのIP−RP−HPLCの使用に焦点を当てるであろう。これは本発明の範囲を限定する意図はもたれず、場合によっては最適ではない結果をもたらすであろうが、説明される方法は概してHPLCの使用を伴なわずに実施することができることを理解することができる。IP−RPCは、逆相(すなわち疎水性)固定相および、負に荷電したポリヌクレオチドと非極性の固定相間に架橋相互反応を形成すると考えられるアルキル化カチオン(例えばトリエチルアンモニウム)を含む移動相の使用を特徴とするクロマトグラフィーの1形態である。ポリヌクレオチドと固定相間のアルキル化カチオン媒介相互作用は好都合には水より極性の低い溶媒、例えばアセトニトリルにより調整される、移動相の極性により調節することができる。概括的にポリヌクレオチドは対イオン剤の存在下で分離媒体により保持され、非極性溶媒の濃度を増加することにより溶離することができる。溶離は対イオン剤の存在下でもしくは不在下で実施することができる。性能は米国特許第5,585,236号明細書に記載されたように非孔質の分離媒体の使用により高められる。IP−RP−HPLC(更にMIPCとも呼ばれる)は、それら全体において引用により本明細書中に取り込まれている、米国特許第5,585,236号、6,066,258号および6,056,877号明細書および国際公開第98/48913号、98/48914号、98/56797号、98/56798号パンフレットに記載されている。MIPCはポリヌクレオチド分離を妨げる可能性がある多価カチオン汚染物を実質的に含まない溶媒およびクロマトグラフィー表面の好ましい使用を特徴とする。本発明の実施において、IP−RP−HPLC分離を実施するために好ましいシステムは商品名WAVE(R)としてTransgenomic,Inc.により提供されるものである。
【0054】
IP−RP−HPLCによる分離は分離媒体の非極性表面で起る。一つの態様において、非極性表面はポリマービーズの表面を含んで成る。それに代る態様において、表面は下記でより詳細に説明される成形ポリマーモノリス中の間隙空間の表面を含んで成る。本発明の説明を簡略化するために、かつ限定によらずに、非孔質ビーズを使用するポリヌクレオチドの分離およびこれらのビーズの調製が主として本明細書で説明されるであろうが、ポリマーモノリスの間隙表面のような他の分離表面は本発明の範囲内に包含されることが意図されることが理解される。
【0055】
概括的に、IP−RP−HPLCにおける使用に適するためには、分離媒体は内因的に非極性であるかもしくは対イオン剤と相互反応するために十分な非極性を有する表面を形成する物質と結合されているかいずれかの表面をもたなければならない。
【0056】
本発明の一つの態様において、IP−RP−HPLC検出は約0.5〜100ミクロン、好ましくは1〜10ミクロン、より好ましくは1〜5ミクロンの平均粒径を有する非孔質ポリマービーズを充填されたカラムを使用して実施される。1.0〜3.0ミクロンの平均粒径を有するビーズがもっとも好ましい。
【0057】
本発明の好ましい態様において、多孔質ビーズを使用することもできるが、クロマトグラフィー分離媒体は非孔質ビーズ、すなわち分離されているポリヌクレオチドがビーズに侵入することを本質的に排除する孔サイズを有するビーズ、を含んで成る。本明細書で使用される「非孔質」の用語は、そこで使用される溶媒中の分離物中の最小のDNAフラグメントを有効に排除するように十分に小さい直径を有する表面細孔をもつビーズを表わすと定義される。この定義には、それらの天然の状態でこれらの規定された最大サイズの制限をもつ、または要求された最大有効細孔サイズに合うようにそれらの細孔サイズを縮小するように処理されたポリマービーズが含まれる。
【0058】
本発明の非孔質ビーズの表面構造は分離過程を妨げないへこみ及び浅い穴様構造を含むことができる。多孔質ビーズを非孔質にさせるための前処理を、ビーズ構造物中の細孔を充填し、IP−RP−HPLC過程を有意には妨げないあらゆる物質で実施することができる。
【0059】
細孔はそれをとおって移動相および他の物質がビーズ構造物中に侵入することができる開放構造物である。細孔はしばしばある細孔に侵入する流体がもう1つの細孔から排出することができるように相互に連絡している。あらゆる具体的な説により制約されることを意図されないが、ポリヌクレオチドの相互に連絡された細孔構造物中およびビーズ中への移動を許すディメンションを有する細孔は分離物の分離を損なうかもしくは非常に長い保持時間を有する分離物をもたらすと考えられる。
【0060】
本発明の実施に有用な非孔質ポリマービーズはそこで小さい種結晶ビーズが最初に適当な重合可能なモノマーのエマルション重合により生成される2段階工程により調製することができる。エマルション重合法はGoodwin等(Colloid & Polymer Sci.,252:464−471(1974))の方法の修飾体である。種結晶ビーズを生成するためのエマルション重合法に使用することができるモノマーには、スチレン、アルキル置換スチレン、アルファ−メチルスチレンおよびアルキル置換アルファ−メチルスチレンが含まれる。次に種結晶ビーズが拡大し、場合によっては様々な基による置換により修飾されて、本発明の非孔質ポリマービーズを生成する。
【0061】
エマルション重合により生成された種ビーズはポリマービーズのサイズを増大するためのあらゆる既知の方法により拡大することができる。例えば、ポリマービーズは米国特許第4,563,510号明細書に開示された活性化膨張法により拡大することができる。拡大もしくは膨張されたポリマービーズは架橋重合可能モノマーおよび重合開始剤により更に膨張される。重合は拡大されたポリマービーズの架橋密度を増加し、ビーズの表面多孔性を減少させる。適当な架橋モノマーは開始剤の存在下で重合可能な少なくとも2個の炭素−炭素二重結合を含む。好ましい架橋モノマーはジビニルモノマー、好ましくはアルキルおよびアリール(フェニル、ナフチル等)ジビニルモノマーであり、ジビニルべベンゼン、ブタジエン等を含む。ポリマー種ビーズの活性化膨張は1〜約100ミクロンまでの範囲の平均粒径を有するポリマービーズを生成するために役立つ。
【0062】
あるいはまた、ポリマー種ビーズはエマルション重合からもたらされる種ラテックスを単に加熱することにより拡大することができる。この代替法は活性化溶媒による種ビーズの活性化膨張の必要を回避する。その代りに、種ラテックスは架橋モノマーのための水混和性溶媒を伴ないもしくは伴なわずに、架橋モノマーおよび前記の重合開始剤と混合される。適当な溶媒には、アセトン、トテラヒドロフラン(THF)、メタノールおよびジオキサンが含まれる。生成される混合物を約1〜12時間、好ましくは約4〜8時間、重合開始剤の開始温度より低い温度に、概括的に約10℃〜80℃、好ましくは30℃〜60℃に加熱される。場合によっては、混合物の温度は10〜20%上昇させることができ、混合物は更に1〜4時間加熱することができる。少なくとも200の重合度を確保するためには、重合開始剤に対するモノマーの比率は、少なくとも100:1、好ましくは約100:1〜約500:1の範囲内に、より好ましくは約200:1である。この重合度を有するビーズはHPLC適用に使用するために十分、圧力安定である。この熱膨張法は約110〜160%までビーズのサイズを増大させて、約5ミクロン、好ましくは約2〜3ミクロンまでの平均粒径を有するポリマービーズを得ることができる。従って、熱膨張法は、以前は活性化膨張法によってのみ入手できた、より小さい粒子サイズを生成するために使用することができる。
【0063】
熱拡大後、過剰架橋モノマーを除去し、紫外線もしくは熱への暴露により粒子を重合する。重合は例えば重合開始剤の活性化温度への拡大粒子の加熱および所望の重合度が達成されるまで重合を継続することにより実施することができる。継続した加熱および重合が500を越える重合度をもつビーズを得ることを可能にする。
【0064】
本発明に使用のために、米国特許第4,563,510号明細書に開示された充填材料をアルキル基によるポリマービーズの置換により修飾することができるかもしくはその未修飾状態で使用することができる。例えば、ポリマービーズはメチルヨージドもしくはエチルヨージドのようなアルキル化剤とビーズを接触させることにより1もしくは2炭素原子をもつアルキル化することができる。アルキル化はポリマービーズをフリーデルクラフツ触媒の存在下でアルキルハロゲン化物と混合して、ポリマー混合物の表面の芳香環上で求電子芳香族置換を実施することにより達成することができる。適当なフリーデルクラフツ触媒は当該技術分野で周知であり、アルミナムクロリド、三フッ化ホウ素、四塩化錫、等のようなルイス酸が含まれる。ビーズは例えば前記の方法において、メチルヨージドに、対応する炭化水素ハロゲン化物を置換することにより置換された炭化水素であることができる。
【0065】
本発明の実施に有用なビーズに関して本明細書で使用されるアルキルの用語は1〜1,000,000炭素を有するアルキルおよびアルキル置換アリール基を含むと定義され、ここでアルキル基はアルデヒド、ケトン、エステル、エーテル、アルキル基等を含む様々な種類の直鎖、分枝鎖、環式、飽和、不飽和の非イオンの官能基を含み、かつアリール基はフェニル、ナフチル等を含む単環、二環および三環式芳香族炭化水素基を含む。アルキル置換法は当該技術分野で通常で周知のものであり、本発明のアスペクトではない。置換はまた、非極性で、逆相官能基であると考えられるヒドロキシ、シアノ、ニトロ基等を含むことができる。
【0066】
このようなポリマービーズの生成における使用に適する基材ポリマーの非限定例には、スチレン、置換スチレン、アルファ−置換スチレンおよびジビニルベンゼンのようなモノ−およびジ−ビニル置換芳香族;アクリレートおよびメタクリレート;ポリプロピレンおよびポリエチレンのようなポリオレフィン;ポリエステル;ポリウレタン;ポリアミド;ポリカーボネート;および商品名TEFLONとして公知のフッ素置換エチレンを含む置換ポリマーが含まれる。基材ポリマーはまた、ポリマーの混合物であることができ、それらの限定しない例にはポリ(スチレン−ジビニルベンゼン)およびポリ(エチルベニルベンゼン−ジビニルベンゼン)が含まれる。これらのポリマーからビーズを製造する方法は当該技術分野で通常で周知である(例えば、米国特許第4,906,378号明細書を参照されたい)。ビーズの表面および表面に近い部分の物理特性がクロマトグラフィー効率の主要決定要因である。誘導されようとされまいと、ポリマーはIP−RP−HPLC分離のための非孔質の非反応性のそして非極性の表面を提供しなければならない。本発明の特に好ましい態様において、分離媒体はオクタデシル誘導の非孔質のアルキル化ポリ(スチレン−ジビニルベンゼン)ビーズから成る。DNASep(R)カラムと呼ばれるこれらの特に好ましいビーズを使用する分離カラムはTransgenomic,Inc.から市販されている。
【0067】
本発明に使用される分離ビーズは非極性分子もしくはその表面上に付着もしくは被覆された非極性ポリマーを有する非孔質粒子を含んで成ることができる。概括的にこれらのビーズは、ポリマーで被覆された、または非極性炭化水素もしくは置換炭化水素基と反応された実質的にすべての表面基材の基および米国特許第6,056,877号明細書に記載されたようなトリ(低級アルキル)クロロシランもしくはテトラ(低級アルキル)ジクロロジシラザンで末端キャップされた(endcapped)あらゆる残りの表面基材の基を有する非孔質粒子を含んで成る。
【0068】
非孔質粒子は好ましくは無機粒子であるが、非孔質有機粒子であることができる。非孔質粒子は例えばシリカ、シリカカーバイド、シリカナイトライト、チタンオキシド、アルミナムオキシド、ジルコニウムオキシド、炭素、セルロースのような不溶性多糖類もしくはケイソウ土または非孔質であるように修飾されたこれらのあらゆる物質であることができる。炭素粒子の例には、ダイヤモンドおよびあらゆる妨害汚染物を除去するように処理された黒鉛が含まれる。好ましい粒子は本質的に変形不可能であり、高圧に耐えることができる。非孔質粒子は既知の方法により調製される。好ましい粒子サイズは約0.5〜100ミクロン、好ましくは1〜10ミクロン、より好ましくは1〜5ミクロンである。1.0〜3.0ミクロンの平均粒径を有するビーズがもっとも好ましい。
【0069】
通常のシリカ基材の逆相HPLC材料調製の化学が周知であるため、本発明に使用のために適した非孔質ビーズの大部分の説明はシリカに関して提供される。しかし、前記に挙げたような他の非孔質粒子を同様な方法で修飾し、シリカと置き換えることができることを理解することができる。シリカの一般的化学の説明には、それらの開示がそれら全体を引用により本明細書中に取り込まれている、Poole,Colin F. and Salwa K.Poole,Chromatography Today,Elsevier:New York(1991),pp.313−342およびSnyder,R.L.and J.J.Kirkland,Introduction to Modern Liquid Chromatography,2nd ed.,John Wiley & Sons,Inc.:New York(1979),pp.272−278を参照されたい。
【0070】
本発明の非孔質ビーズは被覆もしくはシレート化試薬(silating reagents)との反応後に、最少の露出シラノール基をもつことを特徴とする。最少のシラノール基は基材とのDNAの相互反応を減少させるため、そして更に、高いpHおよび水性環境内の材料の安定性を改善するために必要である。シラノール基はDNA分子の負の荷電に反撥して、カラムの固定相とのDNAの相互反応を妨げもしくは限定することができるために、有害である可能性がある。相互反応のもう1つの可能な機序は、シラノールがイオン交換部位として働き、鉄(III)もしくはクロム(III)のような金属を取り込むことができることである。カラム上に捕捉される鉄(III)もしくは他の金属はDNAピークを変形させるかもしくはDNAがカラムから溶離されることを妨げることすらできる。
【0071】
シラノール基は水基材の移動相により加水分解することができる。加水分解はより多くのシラノール部位を露出することにより、もしくはシリカのコア中に存在する可能性がある金属を露出することにより固定相の極性および反応性を増加するであろう。加水分解は増加した非誘導シラノール基により更に優勢になるであろう。DNA分離に対するシラノール基の効果はどの妨害機序がもっとも優勢であるかに依る。例えば鉄(III)は鉄(III)が溶離液、装置もしくは試料中に存在するか否かにより露出されたシラノール部位に付着することができる。
【0072】
金属の効果は金属がシステムもしくは試薬内にすでに存在する場合にのみ起ることができる。システムもしくは試薬内に存在する金属はシリカ上のイオン交換部位により捕捉されることができる。しかし、システムもしくは試薬内に金属が存在しない場合には、シラノール基自体がDNA分離を妨げることができる。水性環境による露出シラノール部位の加水分解はシリカコア中に存在するかも知れない金属を露出することができる。
【0073】
完全に加水分解されたシリカは1平方メーターの表面につき約8μモル濃度のシラノール基を含む。立体的考慮のために、1平方メーター当たり最大でも約4.5μモルのシラノール基が反応することができ、残りのシラノールは反応された基により立体妨害される。最少のシラノール基は、シラノール基が分離を妨害することを防止するための理論的限界に到達するかもしくはそれに十分な遮蔽物を有するものと定義される。
【0074】
非孔質シリカコア粒子を形成するための多数の方法が存在する。例えばメタノール中に注入されたナトリウムシリケート溶液はナトリウムシリケートの微細粉砕球状粒子の懸濁物を生成するであろう。これらの粒子は酸との反応により中和される。このようにして、約1〜2ミクロンの粒径を有するシリカゲルの球形粒子を得る。シリカは有機液体もしくは蒸気から沈殿させることができる。高温(約2000℃)においてシリカは蒸発し、蒸気は温度低下もしくは酸化ガスを使用することのいずれかにより凝縮して、微細粉砕シリカを形成することができる。シリカの合成および特性はR.K.IlerによりThe Chemistry of Silica,Solubility,Polymerization,Colloid and Surface Properties,and Biochemistry,John Wiley & Sons:New York(1979)
中に記載されている。
【0075】
W,Stoeber等はJ.Colloid and Interface Sci.,26:62−69(1968)中にミクロンサイズの範囲のモノ分散シリカ球の制御された成長につき記載した。Stoeber等はアルキルシリケートの加水分解およびアルコール溶液中でのケイ酸のその後の縮合により均一なサイズの球状シリカ粒子の制御された成長を可能にする化学反応のシステムにつき記載している。形態学的触媒としてアンモニアが使用される。懸濁物中で得られる粒子サイズは0.05μm未満〜2μmの範囲の粒径である。
【0076】
非孔質ビーズを調製するために、非孔質粒子をポリマーで被覆するかまたは非孔質粒子の実質的にすべての表面基材の基が非極性炭化水素もしくは置換炭化水素基でブロックされるように反応され、かつ末端キャップされることができる。これは米国特許第6,056,877号明細書に記載のあらゆる幾つかの方法により実施することができる。ビーズの調製中、ビーズの表面が最少のシラノールもしくは金属酸化物露出を有し、かつ表面が非孔質に維持されることを確保するように注意しなければならない。非孔質シリカコアのビーズはMicra Scientific(Northbrook,IL)およびChemie Uetikkon(Lausanne,Switzerland)から得ることができる。
【0077】
適した固定保持体のもう一つの例は米国特許第6,379,889号明細書に記載されたような広い(wide)細孔のシリカ基材のアルキル化保持体である。
【0078】
本発明のもう一つの態様において、IP−RP−HPLC分離媒体はポリマーモノリス、例えばロッド−様モノリスカラムの形態にあることができる。モノリスは、溶離溶媒および検体を通過させ、かつ米国特許第6,066,258号および米国特許出願第09/562,069号明細書に記載のような非極性分離表面を提供する貫通孔もしくは間隙空間をもつ単一構造物を有する、カラム内部に形成されたポリマー分離媒体である。米国特許第6,238,565号、2000年5月1日出願の米国特許出願第09/562,069号明細書、国際公開第00/15778号パンフレット中にそしてHuber等(Anal.Chem.71:3730−3739(1999))により開示されたような毛細管カラムを含むモノリスカラムもまた使用することができる。間隙分離表面は多孔質であることができるが、好ましくは非孔質である。関与する分離の原理は、ビーズ充填カラムと遭遇されるものと平行する。ビーズについては、モノリスを横切る孔はDNAと相容性でそれに透過性でなければならない。好ましい態様において、ロッドはDNAと反応し、その分離を妨げることができる汚染物、例えば多価カチオンを実質的に含まない。
【0079】
本発明を実施する際に使用することができる成形ポリマーモノリスロッドは例えばクロマトグラフィーカラムの境界内におけるバルクのフリーラジカル重合により調製することができる。ロッドの基材ポリマーは様々な重合可能なモノマーから生成することができる。例えばモノリスロッドはスチレン、置換スチレン、アルファ−置換スチレンおよびジビニルベンゼンのようなモノ−およびジ−ビニル置換芳香族化合物;アクリレートおよびメタクリレート;ポリプロピレンおよびポリエチレンのようなポリオレフィン;ポリエステル;ポリウレタン;ポリアミド;ポリカーボネートを含むポリマー;および商品名TEFLONとして一般に知られたフッ素置換エチレンを含む置換ポリマーから製造することができる。基材ポリマーはまた、ポリマーの混合物であることもでき、それらの限定しない例にはポリ(グリシジルメタクリレート−コ−エチレンジメタクリレート)、ポリ(スチレン−ジビニルベンゼン)およびポリ(エチルベニルベンゼン−ジビニルベンゼン)が含まれる。ロッドは未置換でもまたは炭化水素アルキルもしくはアリール基のような置換基で置換されることができる。アルキル基は場合によっては直鎖もしくは分枝鎖を含む1〜1,000,000炭素を有し、アルデヒド、ケトン、エステル、エーテル、アルキル基等を含む様々な種類の直鎖、分枝鎖、環式、飽和、不飽和の非イオンの官能基を含み、そしてアリール基はフェニル、ナフチル等を含む単環、二環および三環式芳香族炭化水素基を含む。好ましい態様において、アルキル基は1〜24炭素を有する。より好ましい態様において、アルキル基は1〜8炭素を有する。置換基はまた、非極性の逆相官能基であると考えられるヒドロキシ、シアノ、ニトロ基等を含むことができる。炭化水素置換法は当該技術分野で通常の周知のものであり、本発明のアスペクトではない。ポリマーモノリスの調製は次の参考文献:Wang et al(1994)J.Chromatog.A 699:230;Petro et al.(1996)Anal.Chem.68:315および米国特許第5,334,310号、5,453,185号および5,522,994号明細書に記載のような当該技術分野で周知の通常の方法による。モノリスもしくはロッドカラムはMerck & Co(Darmstadt,Germany)から市販されている。
【0080】
分離媒体は連続的モノリスシリカゲルの形態を採ることができる。成形モノリスはクロマトグラフィーカラムの境界(例えばロッドを形成するための)もしくは他の閉じ込めシステム内での重合により調製することができる。モノリスは好ましくはアルコキシシランの加水分解およびポリ縮合により得られる。好ましいモノリスは非極性間隙表面を生成するために被覆(derivatize)される。オクタデシル、メチルもしくは他のリガンドによるシリカモノリスの化学的修飾を実施することができる。好ましい被覆モノリスの1例はオクタデシルシリル基で多官能基被覆されたものである。被覆シリカモノリスの調製はその全体が引用により本明細書に取り込まれている次の文献:米国特許第6,056,877号明細書、Nakanishi,et al.,J.Sol−Gel Sci.Technol.8:547(1997)、Nakanishi,et al.,Bull,Chem.Soc.Jpn.67:1327(1994)、Cabrera,et al.,Trends Analytical Chem.17:50(1998)、Jinno,et al.,Chromatographia 27:288(1989)に記載のような当該技術分野で周知の通常の方法を使用して実施することができる。
【0081】
MIPCはDNAと結合することができる金属汚染物もしくは他の汚染物を実質的に含まない分離媒体の好ましい使用を特徴とする。好ましいビーズおよびモノリスは脱汚染物処理、例えば酸洗浄処理を含む、あらゆる多価カチオン汚染物(例えばFe(III)、Cr(III)もしくはコロイド状金属汚染物)を実質的に除去するように注意を払われた条件下で生成された。生成されるビーズの金属含量を最少にするために、ビーズの生産において非常に純粋な非金属含有材料のみを使用しなければならない。
【0082】
最適なピークの分離を達成するために実質的に金属を含まない分離媒体に加えて、分離カラムおよびカラム内に保持されるもしくはカラム中を流動するすべての工程溶液は好ましくは多価カチオン汚染物(例えばFe(III)、Cr(III)およびコロイド状金属汚染物)を実質的に含まない。米国特許第5,772,889号および5,997,742号および6,017,457号明細書に記載のように、これは、カラムを多価カチオン汚染物から遮蔽するためにカラム内に保持もしくは流動する工程液中に多価カチオンを放出しない材料から製造された工程液−接触面を有する構成部品を含む分離カラムに侵入する溶液を供給する(supplying and feeding)ことにより達成することができる。システムの構成部品の工程液−接触面は好ましくは、チタン、被覆ステンレス鋼、皮膜保護ステンレス鋼および有機ポリマーから成る群から選択される材料である。例えばステンレス鋼中に認められる金属はそれらが酸化もしくはコロイド状の一部酸化された状態にない限り、分離に害を与えない。例えば、316ステンレス鋼のフリット(frits)はカラムのハードウェアに許容できるが、表面の酸化ステンレス鋼フリットはDNA分離を害する。
【0083】
更なる保護のために、溶液がカラムに侵入する前に、分離媒体を多価カチオンの汚染から防護するために、移動相溶液およびカラムに侵入する試料溶液中の多価カチオンを、多価カチオン捕捉樹脂とこれらの溶液を接触させることにより除去することができる。多価カチオン捕捉樹脂は好ましくは、カチオン交換樹脂および/もしくは錯体形成樹脂である。
【0084】
IP−RP−HPLCカラムの数回の使用後には、溶媒流路中のいずれかにある痕跡レベルの多価カチオンが分離物の分離において有意な劣化を引き起こすことができる。これは交換カラムを購入するための必要によりもたらされる経費増加および中断時間増加をもたらす可能性がある。従って好ましくは、分離媒体と移動相の接触を含む分離システムの構成部品の多価金属カチオン汚染を防止するための有効な手段が採られる。これらの手段には、それらに限定はされないが、分離媒体からの痕跡の多価カチオンを除去するための洗浄プロトコールおよび移動相貯蔵器とIP−RP−HPLCカラムの間のラインにおけるカチオン捕捉樹脂を含むガードカートリッジの設置が含まれる。多価カチオンによるシステムの汚染を防止するために採られるこれらおよび類似の手段はカラム寿命の延長および分析中断時間の縮小をもたらした。
【0085】
MIPC分離には多価−カチオン−結合剤、例えば錯体形成剤が使用される2カ所の部分が存在する。一つの態様においては、これらの結合剤は移動相が通過する固体中に取り込むことができる。汚染物は分離を妨げる可能性があるシステム内の部分に到達する前に捕捉される。これらの場合には、官能基が固体マトリックスもしくは樹脂(例えば通過カートリッジ、通常は有機ポリマー、しかし場合によりシリカもしくは他の材料)に結合される。マトリックスの性能は好ましくは、約2m当量/gである。適当な錯体形成樹脂の1例はイミノジアセテート官能基を含む商品名CHELEX 100(Dow Chemical Co.)として入手できる。
【0086】
もう一つの態様においては、多価カチオン−結合剤を移動相に添加することができる。結合官能基は有機化学構造物中に取り込まれる。好ましい多価カチオン−結合剤は3種の条件を果たす。第1に、それは移動相に可溶性である。第2に、金属との錯体が移動相に可溶性である。EDTAのような多価カチオン−結合剤は錯体形成剤および多価カチオン−結合剤−金属錯体の双方が双方を水溶性にさせる電荷を含むためにこの条件を満たす。更に、例えばアセトニトリルを添加する時にはどちらも沈殿しない。水性移動相中の溶解度はサルフェート、カルボキシレートもしくはヒドロキシのような共有結合されたイオンの官能基を結合させることにより高めることができる。好ましい多価カチオン−結合剤は水、有機溶媒もしくは移動相で洗浄することによりカラムから容易に除去することができる。第3に、結合剤はクロマトグラフィー工程を妨げてはならない。
【0087】
多価カチオン−結合剤は配位化合物であることができる。好ましい配位化合物の例には水溶性錯体形成剤およびクラウンエーテルが含まれる。本発明に使用することができる多価カチオン−結合剤の限定されない例には、アセチルアセトン、アリザリン、アルミノン、クロラニル酸、コージ酸、モリン、ロジゾン酸(rhodizonic acid)、チオナリド、チオ尿素、α−フリルジオキシム、ニオキシム、サリチルアルドキシム、ジメチルグリオキシム、α−フリルジオキシム、クペロン、α−ニトロソ−β−ナフトール、ニトロソ−R−塩、ジフェニルチオカルバゾン、ジフェニルカルバゾン、エリオクロムブラックT、PAN、SPANDS、グリオキサール−ビス(2−ヒドロキシアニル)、ムレキシド、α−ベンゾインオキシム、マンデル酸、アントラニル酸、エチレンジアミン、グリシン、トリアミノトリエチルアミン、チオナリド、トリエチレンテトラミン、EDTA、金属フタレイン、アルソン酸、α,α’−ビピリジン、4−ヒドロキシベンゾチアゾール、8−ヒドロキシキナルジン、8−ヒドロキシキノリン、1,10−フェナンスロリン、ピコリン酸、キナルジン酸、α,α’,α”−ターピリジル、9−メチル−2,3,7−トリヒドロキシ−6−フルオロン、ピロカテコール、サリチル酸、チロン、4−クロロ−1,2−ジメルカプトベンゼン、ジチオール、メルカプトベンゾチアゾール、ルベアン酸、蓚酸、ナトリウムジエチルジチオカルバメートおよび亜鉛ジベンジルジチオカルバメートが含まれる。これらおよび他の例はOrganic Complexing Reagents:Structure,Behavior,and Application to Inorganic Analysis,Robert E,Krieger Publishing Co.(1964)中にPerrinにより記載されている。本発明において好ましい多価カチオン−結合剤はEDTAである。
【0088】
ポリヌクレオチドの高分解能クロマトグラフィー分離を達成するためには、概括的に固体相のポリマービーズでクロマトグラフィーカラムを堅く充填することが必要である。適当な高分解能分離を得るためにはカラム充填剤をカラムに充填するあらゆる既知の方法を本発明に使用することができる。具体的には、ポリマービーズのスラリーをポリマービーズの密度以下の密度を有する溶媒を使用して調製する。次にカラムにポリマービーズのスラリーを充填し、カラム中のポリマービーズの充填密度を改善するために振動もしくは震盪する。充填密度を改善するためには具体的には機械的振動もしくは音波適用を使用する。
【0089】
例えば、50×4.6mmI.D.のカラムを充填するために2.0グラムのビーズを音波の補助によりメタノール10mL中に懸濁させることができる。次に懸濁物を8,000psiの圧力においてメタノール50mLを使用してカラム中に充填する。これが充填床の密度を改善する。
【0090】
IP−RP−HPLCによる使用に適した幾つかの種類の対イオンが存在する。これらにはプロトン化させて陽性の対電荷を形成することができるモノ−、ジ−もしくはトリアルキルアミンまたはすでに陽性の対電荷を含む第四級アルキル置換アミンが含まれる。アルキル置換基は均一(例えばトリエチルアンモニウムアセテートもしくはテトラプロピルアンモニウムアセテート)でもまたは混合(例えばプロピルジエチルアンモニウムアセテート)でもよい。アルキル基のサイズは、置換アルキル基の1個のみが大きく、他は小さい場合には特に、小さくても(メチル)もしくは大きく(30炭素まで)てもよい。例えばオクチルジメチルアンモニウムアセテートは適した対イオン剤である。好ましい対イオン剤はエチル、プロピルもしくはブチルのサイズ範囲からのアルキル基を含むものである。
【0091】
どんな具体的な説によっても限定されることを意図されないが、DNAが分離媒体の非極性表面と相互反応することができるように、アルキル基はイオン対生成過程(ion pairing process)をとおしてDNAに非極性の特性を与えることにより働くと考えられる。対イオン−DNA対の非極性の度合いの条件は分離媒体の極性、分離に要する溶媒条件、分離されるフラグメントの具体的なサイズおよび種類に左右される。例えば分離媒体の極性が増加すると、対イオン剤の極性は表面の極性に合致して、対イオン−DNA対の相互反応を増加するように調整されなければならないかも知れない。概括的にアルキル基のサイズおよび疎水性が増加すると、分離はDNA配列および塩基の組成により影響を受けにくく、むしろ主としてDNA配列の長さに基づく。
【0092】
場合によっては、分離を実施するために使用される有機溶媒の濃度範囲を増大することが所望されるかも知れない。例えば対イオン剤上のアルキル鎖の長さを増加すると、対イオン−DNA対の非極性を増加し、移動相の有機溶媒の濃度を増加するかもしくは有機溶媒の種類の強度を増加するかいずれかの必要をもたらすであろう、例えばアセトニトリルはDNAを溶離するためにメタノールよりも約2倍有効である。カラムからフラグメントを溶離するために要する有機溶媒の濃度と、フラグメントの長さの間には正の相関がある。しかし、高い有機溶媒濃度においては、ポリヌクレオチドは沈殿する可能性がある。沈殿を回避するために、より非極性の有機溶媒および/もしくはより小さい対イオンのアルキル基を使用することができる。対イオン剤上のアルキル基はまた、極性を調節するために、ハロゲン化物、ニトロ基等で置換することができる。
【0093】
移動相は好ましくは対イオン剤を含む。具体的な対イオン形成剤には、低級アルキル第一級、第二級および低級第三級アミン、低級トリアルキルアンモニウム塩および低級第四級アルキルアンモニウム塩、のような有機もしくは無機酸のトリアルキルアンモニウム塩、が含まれる。低級アルキルはメチル、エチル、n−ブチル、i−ブチル、t−ブチル、イソアミル、n−ペンチルおよびイソペンチルにより例示されるような1〜6炭素原子のアルキル基を意味する。対イオン剤の例には、オクチルアンモニウムアセテート、オクタジメチルアンモニウムアセテート、デシルアンモニウムアセテート、オクタデシルアンモニウムアセテート、ピリジニウムアンモニウムアセテート、シクロヘキシルアンモニウムアセテート、ジエチルアンモニウムアセテート、プロピルエチルアンモニウムアセテート、プロピルジエチルアンモニウムアセテート、ブチルエチルアンモニウムアセテート、メチルヘキシルアンモニウムアセテート、テトラメチルアンモニウムアセテート、テトラエチルアンモニウムアセテート、テトラプロピルアンモニウムアセテート、テトラブチルアンモニウムアセテート、ジメチルジエチルアンモニウムアセテート、トリエチルアンモニウムアセテート、トリプロピルアンモニウムアセテート、トリブチルアンモニウムアセテート、テトラプロピルアンモニウムアセテートおよびテトラブチルアンモニウムアセテートが含まれる。前例中のアニオンはアセテートであるが、カーボネート、ホスフェート、スルフェート、ナイトレート、プロピオネート、ホルメート、クロリドおよびブロミド含む他のアニオンもしくはカチオンおよびアニオンのあらゆる組み合わせ物をも使用することができる。これらおよびその他の物質はGjerde等によりIon Chromatography,2nd Ed.,Dr.Alfred Huethig Verlag Heidelberg(1987)中に記載されている。本発明の特に好ましい態様において、テトラプロピルもしくはテトラブチルアンモニウム塩のような他の第四級アンモニウム試薬を使用することができるが、対イオンとしてテトラブチルアンモニウムブロミド(TBAB)が好ましい。あるいはまた、トリアルキルアンモニウム塩、例えばトリエチルアンモニウムアセテート(TEAA)を使用することができる。移動相のpHは好ましくは約pH5〜約pH9の範囲内、そして場合によっては約pH6〜約pH7.5の範囲内にある。
【0094】
条件に応じて、IP−RP−HPLCは二重鎖のポリヌクレオチドをサイズによりもしくは塩基対配列により分離し、従って興味深いDNAの具体的なフラグメントの存在を検出するための好ましい分離法である。クロマトグラフィーのプロファイルは可視的表示、データの印刷表示もしくは元のデータの流れの形態にあることができる。
【0095】
二重鎖のDNAフラグメントのIP−RP−HPLC保持時間はWavemakerTMソフトウェア(Transgenomic)もしくはStarワークステーションソフトウェア(Varian)のようなソフトウェアを使用して予測することができる。これらのプログラムは与えられた1組の溶離条件に対するDNAフラグメントの長さに基づいて保持時間の予測を可能にする(米国特許第6,287,822号および6,197,516号明細書および1999年12月22日出願の米国特許出願第09/469,551号明細書および国際公開第99/07899号および01/46687号パンフレット)。
【0096】
IP−RP−HPLCの使用および理解が発展するに従って、IP−RP−HPLC分析が部分的変性温度、すなわち不適性塩基対の部位でヘテロ二本鎖を変性させるのに十分な温度で実施される時に、ホモ二本鎖は同様な塩基対の長さを有するヘテロ二本鎖から分離することができることが明らかになった(Hayward−Lester,et al.,Genome Research 5:494(1995);Underhill,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.93:193(1996);Doris,et al.,DHPLC Workshop,Stanford University,(1997))。従って変性高速液体クロマトグラフィー(DHPLC)の使用が突然変異体検出に適用された(Underhill,et al.,Genome Research 7:996(1997);Liu,et al.,Nucleic Acid Res.,26;1396(1998))。
【0097】
DNAフラグメントの混合物がイオン対形成剤と混合され、逆相分離カラムに適用される時に、それらはサイズにより分離され、そこでより小さいフラグメントがカラムから最初に溶離する。IP−RP−HPLCはヘテロ二本鎖を部分的に変性するのに十分な温度で実施される時にはDHPLCと呼ばれる。DHPLCはまた、当該技術分野において「変性適正イオンポリヌクレオチドクロマトグラフィー」(DMIPC)とも呼ばれる。
【0098】
混合物中のヘテロ二本鎖(100%未満の配列相補性を有する二本鎖核酸分子)およびホモ二本鎖(100%配列相補性を有する二本鎖核酸分子)核酸試料(例えばDNAもしくはRNA)を分離するためのDHPLCは米国特許第5,795,976号、6,287,822号および6,379,889号明細書に記載されている。分離法において、ヘテロ二本鎖およびホモ二本鎖核酸試料の双方を含む混合物を固定逆相保持体に適用する。次に試料混合物をイオン対試薬および有機溶媒を含む移動相で溶離する。試料の溶離は二本鎖を少なくとも一部変性するのに有効な条件下で実施され、ヘテロ二本鎖およびホモ二本鎖分子の分離をもたらす。
【0099】
「ハイブリッド形成(hybridization)」の用語は二本鎖DNA(dsDNA)試料を加熱、冷却する過程、例えば95℃に加熱し、次に緩徐に冷却する過程を表わす。加熱過程はDNA鎖に変性を引き起こす。冷却すると、鎖は二本鎖に再結合(re−combine)、もしくは再アニーリングする(re−anneal)。
【0100】
DHPLCによる分析のための1組のDNAフラグメントを調製する際に、フラグメントは具体的には同一組のPCRプライマーを使用して生成されるので、それらはすべて通常、同一の長さを有すると推定される。更に、通常、フラグメントは温度および溶媒の勾配の本質的に同一条件下で溶離されることが推定される。クロマトグラフィー分離プロファイルのパターンもしくは形態は、分離過程中の様々な物質の溶離体としての検出器の応答を表わすピークから成る。プロファイルは例えば、ピークの数、高さ、幅、対称性および保持時間により決定される。3もしくは2ピークのようなその他のパターンを認めることができる。プロファイルはまた、余り分離されないショルダーを含むことができる。プロファイルの形態は試料の性状についての有用な情報を含む。生成されるクロマトグラムのパターンもしくは形態は突然変異の種類および位置により影響を受けるであろう。各突然変異(例えば、単一のヌクレオチドの多形性(SNP))は温度および勾配の一定の1組の溶離条件において、対応する溶離プロファイルもしくは署名(signature)を有する。
【0101】
IP−RP−HPLCおよびDHPLCにおいて、システムの移動相圧力および温度のみならずまた、分離カラムの長さおよび直径、並びにその他のパラメーターは変動することができる。カラム直径の増加はIP−RP−HPLCおよびDHPLCにおけるポリヌクレオチドフラグメントの分離を増加することが見いだされた(米国特許第6,372,142号明細書、国際公開第01/19485号パンフレット)。DNAフラグメントのサイズに基づく分離はまた、米国特許第6,265,168号、5,972,222号および5,986,085号明細書に開示されたようなバッチ法および装置を使用して実施することができる。
【0102】
DHPLCにおいて、移動相は具体的にはイオン−対剤(すなわち対イオン剤)および有機溶媒を含む。その方法における使用のためのイオン対剤には低級第一級、第二級および第三級アミン、トリエチルアンモニウムアセテートのような低級トリアルキルアンモニウム塩および低級第四級アンモニウム塩が含まれる。具体的にはイオン対試薬は約0.05と1.0モルの間の濃度で存在する。その方法に使用のための有機溶媒にはメタノール、エタノール、2−プロパノール、アセトニトリルおよびエチルアセテートのような溶媒が含まれる。
【0103】
DHPLCの一つの態様において、分離を実施するための移動相は約40容量%未満の有機溶媒および約60容量%を越えるイオン対剤の水溶液を含む。好ましい態様において、溶離は2項の(binary)勾配系を使用して実施される。
【0104】
ヘテロ二本鎖分子の部分的変性はpHもしくは塩濃度の変化、変性物質の使用または温度の上昇のような様々な方法で実施することができる。分離を実施するための温度は具体的には約50℃と70℃の間、好ましくは約55℃と65℃の間である。好ましい温度は配列に依存する。例えば、GC−濃度の高いヘテロ二本鎖およびホモ二本鎖分子の分離を実施する際にはより高い温度が好ましい。
【0105】
DHPLCを実施するために使用することができる多様な液体クロマトグラフィーシステムが利用可能である。これらのシステムには具体的には、ポンプ、ヒーター、ミキサー、画分回収装置、インジェクターのようなクロマトグラフィー構成部品を操作するためのソフトウェアが含まれる。クロマトグラフィー装置を操作するためのソフトウェアの例には、HSM コントロールシステム(Hitachi)、ChemStation(Agilent)、VPデータシステム(Shimadzu)、Millennium32ソフトウェア(Waters)、Duo−Flowソフトウェア(Bio−Rad)およびStarワークステーション(Varian)が含まれる。DHPLCを実施するために好ましい液体クロマトグラフィーシステムの例にはWAVE(R)DNAフラグメント分析システム(Transgenomic)およびVarian ProStar HelixTMシステム(Varian)が含まれる。
【0106】
DHPLC分析を実施する際に、操作温度および移動相の組成を試行錯誤により決定することができる。しかし、これらのパラメーターは好ましくはソフトウェアを使用して得られる。DHPLC実施時に使用することができるコンピューターソフトウェアは次の特許および特許出願書:米国特許第6,287,822号、6,197,516号明細書、1999年12月22日出願の米国特許出願第09/469,551号明細書および国際公開第0146687号および0015778号パンフレットに開示されている。DHPLC分析に最適な温度を予測するためのソフトウェアの例はClinical Chem.45:113−1140(1999)中にJones等によりそしてhttp://insertion.stanford.edu/melt.html.のアドレスをもつウェブサイドに開示されている。市販のソフトウェアの例にはWAVEMaker(R)ソフトウェアおよびNavigatorTMソフトウェア(Transgenomic)が含まれる。
【0107】
DHPLCを実施するのに適した分離媒体は次の米国特許および特許出願書:米国特許第6,379,889号、第6,056,877号、第6,066,258号、第5,453,185号、第5,334,310号、2000年1月28日出願の米国特許出願第09/493,734号明細書、2000年5月1日出願の米国特許出願第09/562,069号明細書および次のPCT出願書、国際公開第98/48914号、98/48913号パンフレット、PCT/US98/08388、PCT/US00/11795明細書、に記載されている。適した媒体の例には分離ビーズおよびモノリスロッドが含まれる。ポリマー固定保持体に基づく適したカラムの1例はDNASep(R)カラム(Transgenomic)である。シリカ固定保持体に基づく適したカラムの例にはMicrosorb 分析カラム(Varian and Rainin)および”ECLIPSE dsDNA”(Hewlett Packard,Newport,Del.)が含まれる。
【0108】
「突然変異標準物(mutation standard)」は本明細書においては、ハイブリッド形成され、DHPLCにより分析される時に、クロマトグラフィーシステムの性能を評価するために使用することができる以前に特徴を調べた突然変異分離プロファイルを生成するDNA物質の混合物を含むと定義される。突然変異標準物は購入することができ(例えばWAVE(R)システム低領域突然変異標準物、部品番号 700210,GCH338 突然変異標準物(部品番号 700215))、HTMS219 突然変異標準物(部品番号 700220)はTransgenomicから入手できる。A 209 bp突然変異標準物もVarian,Inc.から入手できる。209塩基対突然変異標準物はヒトY染色体座DYS217(GenBankアクセス番号S76940)からの209−bpフラグメントを含んで成る。
【0109】
209bp突然変異標準物(部品番号 700210,Transgenomic)の分析は図7にスキームにより示される。分離カラム上への混合物の注入の前に、スキーム300に示すように突然変異標準物は好ましくはハイブリッド形成される。ハイブリッド形成過程は2種のホモ二本鎖および2種のヘテロ二本鎖を形成した。突然変異分離プロファイル302に示すように、ハイブリッド産物はDHPLCを使用して分離された。2個の比較的低い保持時間のピークは2種のヘテロ二本鎖を表わし、2個の比較的高い保持時間のピークは2種のホモ二本鎖を表わす。A−T塩基対はC−G塩基対よりも低い温度で変性するために、2種のホモ二本鎖が分離する。理論により拘束されることを望まないが、結果は片方の二本鎖における、より程度の大きい変性および/もしくは他方に比較された片方の部分的変性ヘテロ二本鎖の極性の差と一致し、逆走分離カラム上の保持時間の差をもたらす。
【0110】
もう1つのアスペクトにおいて、本発明はポリヌクレオチド検出用キットに関する。本発明のキットは1種もしくは複数の以下のものを含むことができる:
−別の容器内の本明細書に記載のインターカレート色素試薬。その色素試薬は好ましくは、核酸染色液(stain)である。適した色素試薬の例にはSYBRグリーンI、SYBRグリーンII、SYBRゴールドおよびそれらの混合物が含まれる。
−別の容器内のインターカレート色素試薬を希釈するためのバッファー溶液、
−逆走液体クロマトグラフィーカラムから溶離する移動相とインターカレート色素試薬を混合するための反応器、
−逆走液体クロマトグラフィーカラム、
−カラム後反応器とともに使用のためのポンプ、
−ポリヌクレオチドに結合したインターカレート色素を検出するための検出器、例えば蛍光検出器、
−カラム後容器を分離カラムに接続するための導管、
−別の容器内の、ポリヌクレオチドの標準混合物。この例には1本鎖、2重鎖ポリヌクレオチドが含まれる。ポリヌクレオチドはDNAもしくはRNAであることができる。標準混合物のもう一つの例は突然変異標準物である。
−液体クロマトグラフィーシステムにおけるカラム後反応器およびインターカレート色素の使用に関する使用説明資料。
【0111】
本明細書の本発明の考え方は通常の毛細管電気泳動のような他の分離法に適用することができることは認められるであろう。ポリヌクレオチドの毛細管電気泳動のためのマトリックス、電磁場および他の条件は周知である(米国特許第5,073,239号、5,874,213号明細書に記載のような)。米国特許第5,633,129号明細書は一定の変性剤の毛細管電気泳動を使用する突然変異検出のためのヘテロ二本鎖およびホモ二本鎖DNAの分離につき記載している。本発明の更なるアスペクトにおいて、本明細書で記載されたようなインターカレート色素は毛細管電気泳動による分離後にポリヌクレオチドと接触され、検出される(例えば蛍光検出を使用して)。好ましい毛細管電気泳動システムは、それをとおって試料が移動し、成分に分離する、その中の細孔を区画している、流体を含む電気泳動分離毛細管が存在する修飾物(米国特許第5,310,463号明細書に記載のような)を取り入れている。管は、インターカレート色素を含む溶媒により囲まれているその中の貫通孔を区画する側壁を有する。色素は重力、圧力もしくは電気浸透により孔をとおって毛細管中に導入される。本発明の好ましい態様において、本明細書に記載されたような1種もしくは複数のインターカレート色素は毛細管電気泳動による分離後にポリヌクレオチドと接触され、通常の蛍光検出器を使用して検出される。
【0112】
本発明の方法の更なる適用において、質量分析を本明細書に記載のようなカラム後反応器の下流で実施することができる。本出願者はインターカレート色素が質量分析に影響を与えないことを認めた。
【0113】
腫瘍の形成および成長に関与する機序の解明はヒトゲノムの複数の遺伝子の研究を必要とする。腫瘍の進行に寄与する体細胞(somatic)突然変異の検出は圧倒的多数の野生型産物の存在下で幾つかの突然変異体遺伝子産物を区別することができる方法を要する。対立遺伝子のヌクレオチド組成を決定するために一般に遺伝子情報の配列解読が使用されるが、このアプローチは過剰に多数の野生型対立遺伝子個体群中の低レベルの突然変異を検出するためには使用することはできない。DHPLCの方法は遺伝子変異体のモニターおよび検出の早急な、安価な、そして正確な方法を提供する。UV検出によるDHPLC分析は約5%のレベルで配列変異を定常的に検出することができる。本発明の使用により、本出願者は0.1%のように低い配列変異を検出することができた。UV分析に比較して2桁の数字もの感度のこの増加は標識プライマーを必要とせず、従ってあらゆるPCR産物とともに使用することができる。従って、本発明は癌の進行経路に関与する遺伝子のヌクレオチド変異体の発見およびモニターに使用することができる。
【0114】
特記されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は本発明が属する当該技術分野の当業者により一般に理解されるものと同様な意味を有する。本明細書に記載されたものと類似のもしくは等しいあらゆる方法および材料を本発明の実施もしくは試験に使用することができるが、好ましい方法および材料が今や記載されている。本明細書に引用されたすべての特許出願書、特許、および参考文献はそれらの全体を引用により本明細書に取り入れられている。コンフリクトもしくは不適合の場合には、定義を含む本明細書の説明が調整するであろう。特記されない限り、本明細書に使用され、もしくは検討された方法は当業者に周知の標準法である。材料、方法および実施例は具体的に示すためだけのものであり、限定するものではない。本明細書中のすべての数値の範囲はそれらの上限および下限を含むことが意図される。本発明の具体的な提示として与えられ、それを限定する意図はもたれない、例示的態様の以下の説明の過程において、本発明の他の特徴物が明らかになるであろう。以下の実施例中で過去形で記載された方法は実験室で実施された。現在形で記載の方法はまだ実験室ではまだ実施されていず、本出願の提出に伴って推定により実施したことにする(constructively reduced to practice)。
【実施例1】
【0115】
二本鎖ポリヌクレオチドの検出
本実施例において、試料はpUC18HAEIII ダイジェストサイジングスタンダード(0.0485μgのDNA/μl)(部品番号 560078,Transgenomic)から成った。9種のフラグメントがそれぞれ約4.1分〜約16.8分の範囲の保持時間をもつ9個のピークにより示される、80、102、174、257、267、298、434、458、587のサイズ(塩基対の)順に溶離した(図4)。IP−RP−HPLCはDNASep(R)カートリッジ(4.6mmID×50mm)(Transgenomic)を付けた、WAVE(R)Model 2100Aクロマトグラフィーシステム(Transgenomic)を使用して実施した。注入容量は5μl(0.242μgDNA)であった。移動相はバッファーA:0.1MのTEAA(Transgenomic)およびバッファーB:25%アセトニトリル中0.1MのTEAA、pH7(Transgenomic)から成った。
【0116】
インターカレート色素溶液はバッファー(10mMのトリス−HCl(部品番号 15568−025,Invitrogen,Carlsbad,CA)1リッターに溶解されたSYBRゴールド色素(S−11494、Molecular Probes,Eugene,OR)100μl、1mMのEDTA(ED,Sigma−Aldrich,St Louis,MO)、pH=8.0(NaOH(S−5881,Sigma)で調整)から成った。(製造業者は色素ストック溶液は10000×であることを示した。従って作業色素溶液の濃度は10×であった)。溶離勾配は以下であった:
0.7ml/分の流量で実施時間23.0分であった。カラム温度は50.0℃であった。
【0117】
検出器1(チャンネル1)は260nmに設定されたHitachi L−7400であった(図4Aに示したクロマトグラム)。カラム後反応器の下流に配置された検出器2(チャンネル2)は497nmの励起波長および535nmの発光波長をもつHitachi L7485蛍光検出器であった(図4Bに示したクロマトグラム)。
【0118】
カラム後反応器は次の構成部品を含んだ:約1000psiの背圧および0.1ml/分のインターカレート色素溶液流量を伴なうSSIシリーズの1ポンプ、「ティー字」接合体(Upchrch Scientific モデル番号 P−713)、2個の逆止め弁、インライン1/4−28結合スタイル、入り口(Upchrch Scientific モデル番号 P−3401)、逆止め弁、インライン1/4−28結合スタイル、出口(Upchrch Scientific モデル番号 P−3402)、各種の配管および結合具。「ティー字装置」は吸収検出器の後に配置された。SSIポンプから混合ティー字装置への配管は0.50mmIDのPEEK配管を約3ftのコイルを含んでいた。3ftの長さの毛細管配管(75μmID)をこの配管中に挿入した。外部のPEEK配管が通常のHPLC結合体との混合ティー字装置の様々な構成部品への取り付けを可能にし、毛細管配管に対する支持体として働いた。
【0119】
蛍光の検出器の信号は174bpより上のフラグメントに対しては目盛りからはみ出した(was scale off)(図4B)。
【実施例2】
【0120】
DNAサイジング標準の希釈混合物の検出
試料は実施例1からのサイジング標準の1:10希釈物であった。希釈に使用されたバッファーは40mMのトリス−HCl、pH=8.0であった。注入容量は5μl(0.0242μgDNA)であった。カラムを実施例1に記載のものと同様な条件を使用して溶離した。試料をUV検出(図5A)および蛍光検出(図5B)を使用してモニターした。
【0121】
吸収検出器上でのカラム後挿入システムの信号増加は明らかに明白である。UV吸収検出に対する0.0133mv/チャンネルに比較して蛍光と関連したノイズは0.00858mv/チャンネルであった。1例として、587ピークの信号対ノイズ比率は蛍光検出に対する約7240に比較して、UV検出に対して約41.1であった。
【実施例3】
【0122】
希釈DNAサイジング標準の検出
実施例1からのDNAサイジング標準の1:80希釈物を調製した。希釈に使用されたバッファーは40mMのトリス−HCl、pH=8.0であった。試料(注入容量は5μl(0.00303μgDNA))を実施例1に記載のように分析した。
【0123】
吸収検出に対する蛍光検出器の信号増加は明らかに明白である(図6)。増強された検出感度の1例として、吸収クロマトグラムにピークを認めなかったが(図6A)、蛍光クロマトグラムにはピークが明白に見え、同定可能であった(図6B)。
【実施例4】
【0124】
DHPLCにおけるインターカレート色素の使用
DHPLC分析をTransgenomic モデル 3500HT WAVE(R)核酸フラグメント分析システムを使用して実施した。システムはHitachi D−7000インターフェース、Hitachi D−7100ポンプ、Hitachi D−7250自動サンプラー、ステンレスのプレヒーターの付いたHitachi D−7300カラムヒーター、260nmに設定されたHitachi D−7400UV検出器、ERC−345a真空脱気モジュールおよびHitachi HSM制御装置および収集ソフトウェアおよびWAVEMAKER(R)v.4.1.38ソフトウェア(Transgenomic)を含むIntel Pentiumコンピューターから成った。移動相水溶液は25%アセトニトリル(Transgenomic)中のバッファーA:100mMのトリエチルアンモニウムアセテート(TEAA)(Transgenomic)、およびバッファーB:100mMのTEAAから成った。バッファー溶液を調製するために使用された高純度の水はMilli−Q water system(Millipore,Milford,Mass.)を使用して得た。バッファーはすべての重力測定調製物(gravimetric formulation)に製造することができ(すなわちすべての成分を秤量することができる)、温度調節条件下(例えば水浴中)で調製することができる。
【0125】
DYS271突然変異標準物(部品番号 560077,Transgenomic)を以下のように分析した。注入容量は2μlであった。移動相の流量は0.9ml/分であった。インターカレート色素溶液は水1リッター中に希釈された50μlのCYBRグリーン1色素試薬(Molecular Probes)を含んだ。色素溶液の流量は0.9ml/分であった。カラム温度は図7に示した分析には50℃であり、図8に対しては56℃で(部分的変性条件)あった。
【0126】
図7および8において、分離カラム(4.6mmID×50mm)はアルキル化ポリ(スチレン−ジビニルベンゼン)ビーズ(DNASep(R)カラム、Transgenomic)を含んだ。カラムを以下の勾配:
で、0.9ml/分の流量で溶離した。
【0127】
DYS271突然変異標準物はヒトY染色体座DYS271(GenBank 入手番号 S76940)からの等量の209塩基対フラグメントの2重鎖配列変異体168Aおよび168Gを含んでいた。配列中のA→G移行位置168はSeielstad等(Human Molecular Genetics 3:2159−2161(1994))により報告され、変異体の調製は記載されている(Narayanaswami et al,Genetic Testing 5:9−16(2001))。以下は168A変異体の配列である:
【0128】
【表1】
【0129】
標準体において、変異体は45μg/mLのDNA濃度で存在し、10mMのトリス−HCl、pH8、1mMのEDTA中に懸濁された。
【0130】
DHPLC分析の前に、試料を以下のハイブリッド形成法にかけた:95℃で12分間変性し、次に30分間にわたり25℃に冷却した。
【0131】
UV検出器をカラムの下流に、次にカラム後反応器のティー字装置、次に蛍光検出器を直列に配置した。図7Aおよび8AはA260の吸収を示す。図7Bおよび8Bは蛍光検出により分析されたような試料を示し、蛍光検出器と一緒にインターカレート色素を使用した時に感度の増加を示す。信号の増強はUV吸収信号に比較して蛍光信号に対しては約580−倍であった。
【0132】
以上は本発明の具体的な態様を提示してきたが、これらの態様は例としてのみ提示されたことを理解することができる。他の研究者は以上とは異なるが、本明細書に記載され、請求された本発明の精神および範囲から逸脱しない変形物を認識し、実施するであろうことが期待される。
【0133】
本明細書に引用されたすべての特許出願書、特許および参考文献はそれらの全体を引用により本明細書に取り入れられている。コンフリクトもしくは不適切の場合には、定義を含む本明細書の説明が調整するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0134】
【図1】本発明のクロマトグラフィーシステムの一つの態様のスキーム図である。
【図2】カラム後反応器の一つの態様のスキーム図である。
【図3】ホモ二本鎖およびヘテロ二本鎖分子の混合物のDHPLC分析を例示する。
【図4】UV検出(図4A)および蛍光検出(図4B)によるポリヌクレオチドの混合物のIP−RP−HPLC分離を表わす。
【図5】UV検出(図5A)および蛍光検出(図5B)による図4のポリヌクレオチドの混合物の第1希釈物のIP−RP−HPLC分離を表わす。
【図6】UV検出(図6A)および蛍光検出(図6B)による図4からのポリヌクレオチドの混合物のもう1種の希釈物のIP−RP−HPLC分離を表わす。
【図7】UV検出(図7A)および蛍光検出(図7B)による非変性温度におけるホモ二本鎖およびヘテロ二本鎖分子のIP−RP−HPLC分離を表わす。
【図8】UV検出(図8A)および蛍光検出(図8B)によるホモ二本鎖およびヘテロ二本鎖分子のDHPLC分析を表わす。
Claims (68)
- 混合物中の1種もしくは複数のポリヌクレオチドの分析方法であって、
a)前記ポリヌクレオチドが液体クロマトグラフィー分離装置から溶離される該装置を使用して前記ポリヌクレオチドを分離すること、
b)色素が溶離ポリヌクレオチドに結合するように溶離ポリヌクレオチドをインターカレート色素と接触させること、および
c)前記溶離ポリヌクレオチドに結合された前記色素を検出すること、
を含んで成る方法。 - 前記装置が逆相分離カラムを備える請求項1の方法。
- 前記装置がイオン交換カラムを備える請求項1の方法。
- 前記接触が更に、カラム後反応器中に前記混合物を通過させることを含む請求項1の方法。
- 前記反応器が混合ティー字装置もしくは混合十字装置である請求項4の方法。
- 前記色素が蛍光色素を含んで成る請求項1の方法。
- 前記方法が更に、前記カラムおよび前記試薬が本質的に同一温度に保持されるように前記試薬を加熱することを含む請求項1の方法。
- 前記ポリヌクレオチドが少なくとも1種の一本鎖および二本鎖分子を含む請求項1の方法。
- 前記ポリヌクレオチドがDNAを含んで成る請求項1の方法。
- 前記ポリヌクレオチドがRNAを含んで成る請求項1の方法。
- 前記ポリヌクレオチドがホモ二本鎖およびヘテロ二本鎖分子を含んで成る請求項1の方法。
- 前記色素が核酸染色液を含んで成る請求項1の方法。
- 前記色素がSYBRグリーンI、SYBRグリーンIIおよびそれらの混合物から成る群から選択される請求項1の方法。
- 前記色素がSYBRゴールド核酸染色液を含んで成る請求項1の方法。
- 質量分析により段階(b)のポリヌクレオチドを分析することを更に含む請求項1の方法。
- 請求項1のポリヌクレオチド産物を含んで成る組成物。
- 1種もしくは複数のポリヌクレオチドの分析方法であって、
a)前記ポリヌクレオチドが液体クロマトグラフィー分離装置から溶離される該装置を使用して前記ポリヌクレオチドを分離する段階、
b)色素が溶離ポリヌクレオチドに結合するようにインターカレート色素と溶離ポリヌクレオチドを接触させる段階、および
c)前記溶離ポリヌクレオチドに結合された前記色素を検出する段階、
を含んで成る、方法。 - a)イオン対逆相高速液体クロマトグラフィーによりポリヌクレオチドを分離することができる液体クロマトグラフィー分離カラム、および
b)前記カラムから溶離されたポリヌクレオチドとインターカレート色素試薬を混合するための反応器、
を備えるポリヌクレオチドを分析するための装置。 - 前記カラムが逆相分離カラムを備える請求項18の装置。
- 前記カラムがイオン交換カラムを備える請求項18の装置。
- ポリヌクレオチドに結合された前記色素を検出することができる検出器を更に備える請求項18の装置。
- 前記検出器が蛍光検出器を備える請求項21の装置。
- 前記反応器が混合用ティー字装置を備える請求項18の装置。
- 前記色素試薬を前記カラムと本質的に同一温度に加熱するためのヒーターを更に備える請求項18の装置。
- 紫外線検出器を備える請求項18の装置。
- 前記カラムに操作可能に接続された質量分析計を備える請求項18の装置。
- c)前記カラムから溶離する移動相を誘導するための前記カラムの末端に接続された導管(ここで前記反応器は前記配管に接続されている)、
d)前記インターカレート色素試薬を含む貯蔵器を前記反応器に操作可能に接続するための導管を備える、前記貯蔵器、および
e)前記色素試薬が前記移動相と混合するように前記反応器中に前記色素試薬を送り込むためのポンプ、
を更に備える請求項18の装置。 - a)1種もしくは複数のポリヌクレオチドを分離するためのクロマトグラフィー手段および
b)前記装置から溶離されたポリヌクレオチドとインターカレート色素を混合するための手段、
を備える、ポリヌクレオチドを分析するための装置。 - 前記クロマトグラフィー手段が逆相分離カラムを備える請求項28の装置。
- 前記クロマトグラフィー手段がイオン交換カラムを備える請求項28の装置。
- 前記クロマトグラフィー手段から溶離されたポリヌクレオチドに結合されたインターカレート色素を検出するための手段を含む請求項28の装置。
- 前記検出器が蛍光検出器を備える請求項31の装置。
- 前記混合手段がカラム後反応器を備える請求項28の装置。
- 前記混合手段が前記インターカレート色素および、分離のための前記手段から溶離されたポリヌクレオチドを混合するようになっている混合ティー字装置を備える請求項33の装置。
- 混合物中のヘテロ二本鎖およびホモ二本鎖DNA分子を分離するためのクロマトグラフィー法であって、
固定逆相保持体に混合物を適用すること、
イオン対試薬および有機溶媒を含有する移動相で前記混合物のヘテロ二本鎖およびホモ二本鎖分子を溶離すること(ここで前記溶離は前記ヘテロ二本鎖を少なくとも一部変性するのに有効な条件下で実施され、かつ前記溶離が前記ホモ二本鎖からの前記ヘテロ二本鎖の分離をもたらす)、
前記溶離後に、ヘテロ二本鎖およびホモ二本鎖をインターカレート色素試薬と接触させること、および
前記ヘテロ二本鎖およびホモ二本鎖分子に結合された前記色素を検出すること、
を含んで成る方法。 - 固定保持体がアルキル化基材から成り、そこで前記基材がシリカ、アルミナ、ジルコニア、ポリスチレン、ポリアクリルアミドおよびスチレン−ジビニルコポリマーから成る群から選択される請求項35の方法。
- 移動相が低級アルキル第一級、第二級および第三級アミン、低級トリアルキルアンモニウム塩および低級第四級アンモニウム塩から成る群から選択されるイオン対形成剤(ion−pairing agent)を含む請求項35の方法。
- 移動相がトリエチルアンモニウムアセテートを含んで成る請求項35の方法。
- 移動相がメタノール、エタノール、アセトニトリル、エチルアセテートおよび2−プロパノールから成る群から選択される有機溶媒を含む請求項34の方法。
- 移動相が約40容量%未満の前記有機溶媒を含む請求項35の方法。
- 前記方法が前記条件下で、前記ヘテロ二本鎖およびホモ二本鎖分子と本質的に同一温度に前記試薬を加熱することを含む請求項35の方法。
- 前記色素がSYBRグリーンI染色液、SYBRグリーンII染色液およびそれらの混合物から成る群から選択される請求項35の方法。
- 前記色素がSYBRゴールド核酸染色液を含んで成る請求項35の方法。
- ポリヌクレオチドを検出するためのキットであって、
a)インターカレート色素試薬、および
b)液体クロマトグラフィーカラムから溶離する移動相とインターカレート色素試薬を混合するための反応器、
を含んで成るキット。 - 液体クロマトグラフィーカラムを更に備える請求項44のキット。
- 前記色素溶液を前記反応器中に送り込むためのポンプを更に備える請求項44のキット。
- 前記色素を検出するための検出器を更に備える請求項44のキット。
- 前記カラムに前記反応器を接続するための導管を更に備える請求項44のキット。
- ポリヌクレオチドの標準混合物を更に備える請求項44のキット。
- ポリヌクレオチドの前記標準混合物が二本鎖DNAを含んで成る請求項49のキット。
- ポリヌクレオチドの前記標準混合物が突然変異標準物を含んで成る請求項49のキット。
- ポリヌクレオチドの前記標準混合物が二本鎖ポリヌクレオチドを含んで成る請求項49のキット。
- 前記色素試薬が核酸染料を含んで成る請求項44のキット。
- 前記色素試薬がSYBRグリーンI染料、SYBRグリーンII染料およびそれらの混合物から成る群から選択される請求項44のキット。
- 前記色素試薬がSYBRゴールド核酸染料を含んで成る請求項44のキット。
- a)1種もしくは複数のポリヌクレオチドをクロマトグラフィー分離のための前記手段に適用することができ、かつクロマトグラフィー分離のための前記装置から溶離することができる、クロマトグラフィー分離のための手段、
b)インターカレート色素に、クロマトグラフィー分離のための前記手段から溶離されたポリヌクレオチドを添加もしくは混合するための手段、および
c)クロマトグラフィー分離のための前記手段から溶離されたポリヌクレオチドに結合されたインターカレート色素を検出するための手段、
を備える、ポリヌクレオチドを分析するための装置。 - クロマトグラフィー分離のための前記手段が逆相液体クロマトグラフィーカラムを備える請求項56の装置。
- 添加もしくは混合のための前記手段が混合用ティー字装置、液体流通反応器、もしくは中空繊維膜を備える請求項56の装置。
- i)出口を有する液体クロマトグラフィーカラム、
ii)クロマトグラフィーカラムの出口と流体連絡する第1の入り口をもつ、第1の入り口、第2の入り口および出口を有する混合ティー字装置、
を含んで成り、
iii)ここで、第2の入り口が流体源と流体連絡しており、ここで前記流体源がインターカレート色素試薬を含んで成る、
ポリヌクレオチドを分析するための装置。 - 前記色素試薬を加熱するためのヒーターを更に含む請求項59の装置。
- シリカをベースとするクロマトグラフィーカラム手段もしくはポリマーをベースとするクロマトグラフィーカラム手段、前記カラム手段と流体連絡している移動相の貯蔵器、少なくとも1種のポリヌクレオチドの混合物を含んで成る試料がカラム手段をとおって溶離され、そして前記混合物の成分物質がクロマトグラフィーカラム手段の流出液中にクロマトグラフィーにより置き換えられた形態で出現する、移動相をカラム手段に添加するためのクロマトグラフィーポンプ手段を含んで成り、そして更に、クロマトグラフィーカラム手段の流出液がそれをとおって液体クロマトグラフィー検出器に供給されるカラム後反応器手段、インターカレート色素試薬を含んで成る溶媒(medium)を含む液体クロマトグラフィー装置、であって、前記反応器手段がクロマトグラフィーカラム手段の流出液中への試薬の移動のために前記溶媒(medium)と操作可能に接触もしくは連絡している、装置。
- 前記カラム後反応器手段が中空繊維膜、混合用ティー字装置および混合用十字装置から成る群から選択される請求項61の装置。
- 前記クロマトグラフィーカラム手段からの流出液中に前記溶媒を送り出すためのポンプを備える請求項61の装置。
- 前記ポンプがシリンジ、蠕動ポンプもしくはHPLCポンプである請求項63の装置。
- ポリヌクレオチドを分離するためのクロマトグラフィー装置であって、
逆相分離カラム、
前記カラムの下流に配置されたカラム後反応器、
インターカレート色素を含む溶媒(ここで前記反応器は前記カラムから溶離された移動相を前記溶媒と混合するようになっている)、
ポリヌクレオチドに結合されたインターカレート色素を検出するための前記反応器の下流の蛍光検出器、
を備える装置。 - 前記カラムがシリカの固定保持体を含んで成る請求項65の装置。
- 前記カラムがポリマーの固定保持体を含んで成る請求項65の装置。
- 1種もしくは複数のポリヌクレオチドを分析する方法であって、
a)毛細管電気泳動法を使用して前記ポリヌクレオチドを分離すること、
b)インターカレート色素と前記ポリヌクレオチドを接触させること、および
c)前記ポリヌクレオチドに結合した前記色素を検出すること、
を含んで成る方法。
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