JP2005508146A - モラクセラ(ブランハメラ)カタラーリス抗原 - Google Patents

モラクセラ(ブランハメラ)カタラーリス抗原 Download PDF

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Abstract

本発明は、予防、診断、及び/又は治療に有用である、モラクセラ(ブランハメラ)カタラーリスのポリペプチドに関する。
【選択図】図2

Description

【技術分野】
【0001】
本発明はポリペプチド、より特異的には、モラクセラ(ブランハメラ)カタラハリス( Moraxella (Branhamella) catarrhalis の予防、診断及び/又は治療に使用可能なモラクセラ(ブランハメラ)カタラーリスのポリペプチドに関する。
【背景技術】
【0002】
モラクセラ(ブランハメラ)カタラーリスはヒトにおいて気道感染を引き起こすグラム陰性双球菌である。M. カタラーリスは、肺炎球菌Streptococcus pneumoniae)及びインフルエンザ菌Haemophilus influenzae)に次ぐ、現在幼児や子供において中耳炎を引き起こす第3の最も代表的な起炎菌であるとして受け入れられている。M. カタラーリスはまた、副鼻腔炎、しつこい咳、大人の急性喉頭炎、化膿性角膜炎、新生児(neonatorum)結膜炎、および免疫不全宿主における侵入性疾患を含む、他の何種類かの感染症にも関連している。
【0003】
モラクセラ・カタラハリス株のおよそ90%は抗生物質(βラクタマーゼ陽性)に耐性を有し、再発性中耳炎は高死亡率に結びついているから、宿主をM. カタラーリス感染から防御することができるワクチンの開発の必要性がある。M. カタラーリスによる感染は細菌細胞の表面において見出される抗原に対して免疫反応を引き起こす。しかし、これらの表面蛋白質の多くはいまだ特性解析されておらず、他の株による感染から防御する結果となる免疫反応もまた判っていない。
【0004】
M. カタラーリスの宿主への感染を予防するワクチンの開発するために、主に、偏在性表面タンパク質A(UspA)という名の高分子・質量タンパクのような外膜タンパク質に主として努力がなされてきた。このタンパク質は、マウスの肺-クリアランスモデルにおいて、モノクローナル抗体とポリクローナル抗体の両方が殺菌及び防御作用を示したため、ワクチンとして有望視された。しかしながら、このタンパク質は、他のM. カタラーリスの株との間での変動性が非常に高かった。このタンパク質の他にも、別のM. カタラーリスタンパク質もワクチンの候補として関心を集めており、保存エピトープを有するトランスフェリン結合タンパクは、細菌表面に晒されているものであった。しかしながら、ある株から他の株への、同タンパク質による抗体交叉反応の程度には開きがあった。他の研究者もまた、45KDaのタンパク質CD(OMP CD)に焦点を当てていた。このタンパク質は、M. カタラーリスの株の中での保存性が非常に高いが、慢性閉塞性肺疾患の成人においては、このOMP CDに対する免疫反応には変動性が見られる。
【0005】
それ故に、モラクセラブランハメラカタラーリス感染の予防、診断及び/又は治療に使用可能なM. カタラーリスポリペプチドの解明が、依然必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
一つの観点において、本発明は、配列番号2、4に示す配列か、又はそれらの断片か若しくは類似体から選択された配列からなる2次(second)ポリペプチドに対して、少なくとも70%の同一性を有するポリペプチドをコードする、単離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0007】
一つの観点において、本発明は、配列番号2、4に示す配列か、又はそれらの断片か若しくは類似体から選択された配列からなるポリペプチドに関する。
【0008】
他の観点においては、本発明のポリヌクレオチドにコードされたポリペプチド、薬剤組成物、発現制御部位を機能が発現するように連結した本発明のポリヌクレオチドを含むベクター、及び前記ベクターを用いてトランスフェクトされた宿主細胞が提供され、また、前記宿主細胞を発現に適した条件下において培養する工程を含むポリペプチドの作成方法
を提供する。
【0009】
本発明は、モラクセラ感染の予防、診断及び/又は治療に利用可能な、モラクセラのポリペプチドをコードする、精製および単離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0010】
一観点において、本発明は、配列番号2、4に示す配列か、又はそれらの断片か若しくは類似体から選択された配列からなる2次(second)ポリペプチドと、少なくとも70%の同一性を有するポリペプチドをコードする、単離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0011】
一観点において、本発明は、配列番号2、4に示す配列か、又はそれらの断片か若しくは類似体から選択された配列からなる2次ポリペプチドと、少なくとも80%の同一性を有するポリペプチドをコードする、単離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0012】
一観点において、本発明は、配列番号2、4に示す配列か、又はそれらの断片か若しくは類似体から選択された配列からなる2次ポリペプチドと、少なくとも95%の同一性を有するポリペプチドをコードする、単離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0013】
一観点において、本発明は、配列番号2又は4から選択された配列からなる2次ポリペプチドと、少なくとも70%の同一性を有するポリペプチドをコードする、単離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0014】
一観点において、本発明は、配列番号2又は4から選択された配列からなる2次ポリペプチドに対して、少なくとも80%の同一性を有するポリペプチドをコードする、単離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0015】
一観点において、本発明は、配列番号2又は4から選択された配列からなる2次ポリペプチドに対して、少なくとも95%の同一性を有するポリペプチドをコードする、単離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0016】
一観点において、本発明は、配列番号2、4に示す配列か、又はそれらの断片か若しくは類似体から選択されたアミノ酸配列からなるポリペプチドに関する。
【0017】
一観点において、本発明は、配列番号2又は4から選択されたアミノ酸配列からなるポリペプチドに関する。
【0018】
一観点において、本発明は、配列番号2、4に示す配列か、又はそれらの断片か若しくは類似体から選択されたアミノ酸配列により特徴づけられるポリペプチドに関する。
【0019】
一観点において、本発明は、配列番号2又は4から選択されたアミノ酸配列により特徴づけられるポリペプチドに関する。
【0020】
一観点において、本発明は、配列番号2、4に示す配列か、又はそれらの断片か若しくは類似体から選択された配列からなるポリペプチドの一部を有するエピトープをコードするポリヌクレオチドを提供する。
【0021】
一観点において、本発明は、配列番号2又は4から選択された配列からなるポリペプチドの一部を有するエピトープをコードするポリヌクレオチドを提供する。
【0022】
一観点において、本発明は、配列番号2、4に示す配列か、又はそれらの断片か若しくは類似体から選択された配列からなるポリペプチドの一部を有するエピトープに関する。
【0023】
一観点において、本発明は、配列番号2又は4から選択された配列からなるポリペプチドの一部を有するエピトープに関する。
【0024】
一態様において、本発明は、下記のポリヌクレオチド:
(a)配列番号2、4に示す配列か、又はそれらの断片か若しくは類似体から選択された配列からなる2次ポリペプチドと、少なくとも70%の同一性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
(b)配列番号2、4に示す配列か、又はそれらの断片か若しくは類似体から選択された配列からなる2次ポリペプチドと、少なくとも80%の同一性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
(c)配列番号2、4に示す配列か、又はそれらの断片か若しくは類似体から選択された配列からなる2次ポリペプチドと、少なくとも95%の同一性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
(d)配列番号2、4に示す配列か、又はそれらの断片か若しくは類似体から選択された配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
(e)配列番号2、4に示す配列か、又はそれらの断片か若しくは類似体から選択された配列からなるポリペプチドに対して、結合特異性を有する抗体を生成することが可能なポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
(f)配列番号2、4に示す配列か、又はそれらの断片か若しくは類似体から選択された配列からなるポリペプチドの一部を有するエピトープをコードするポリヌクレオチド、
(g)配列番号1、3に示す配列か、又はそれらの断片か若しくは類似体から選択された配列からなるポリヌクレオチド、及び
(h)上記(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)又は(g)のポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチド、
から選択されたポリヌクレオチドからなる、単離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0025】
一態様において、本発明は、下記のポリヌクレオチド:
(a)配列番号2又は4から選択された配列からなる2次ポリペプチドと、少なくとも70%の同一性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
(b)配列番号2又は4から選択された配列からなる2次ポリペプチドと、少なくとも80%の同一性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
(c)配列番号2又は4から選択された配列からなる2次ポリペプチドと、少なくとも95%の同一性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
(d)配列番号2又は4から選択された配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
(e)配列番号2又は4から選択された配列からなるポリペプチドに対して、結合特異性を有する抗体を生成することが可能なポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
(f)配列番号2又は4から選択された配列からなるポリペプチドの一部を有するエピトープをコードするポリヌクレオチド、
(g)配列番号1又は3から選択された配列からなるポリヌクレオチド、
(h)上記(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)又は(g)のポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチド、
から選択されたポリヌクレオチドからなる、単離されたポリヌクレオチドを提供する。
【0026】
一態様において、本発明は、下記のポリポリペプチド:
(a)配列番号2、4に示す配列か、又はそれらの断片か若しくは類似体から選択された配列からなる2次ポリペプチドと、少なくとも70%の同一性を有するポリペプチド、
(b)配列番号2、4に示す配列か、又はそれらの断片か若しくは類似体から選択された配列からなる2次ポリペプチドと、少なくとも80%の同一性を有するポリペプチド、
(c)配列番号2、4に示す配列か、又はそれらの断片か若しくは類似体から選択された配列からなる2次ポリペプチドと、少なくとも95%の同一性を有するポリペプチド、
(d)配列番号2、4に示す配列か、又はそれらの断片か若しくは類似体から選択された配列からなるポリペプチド、
(e)配列番号2、4に示す配列か、又はそれらの断片か若しくは類似体から選択された配列からなるポリペプチドに対して、結合特異性を有する抗体を生成することが可能なポリペプチド、
(f)配列番号2、4に示す配列か、又はそれらの断片か若しくは類似体から選択された配列からなるポリペプチドの一部を有するエピトープ、
(g)N末端のメチオニン残基が欠失した、上記(a)、(b)、(c)、(d)、(e)又は(f)のポリペプチド、
(h)分泌アミノ酸配列が欠失した、上記(a)、(b)、(c)、(d)、(e)又は(f)に記載のポリペプチド、
から選択されたポリペプチドからなる、単離されたポリペプチドを提供する。
【0027】
一態様において、本発明は、下記のポリポリペプチド:
(a)配列番号2又は4から選択された配列からなる2次ポリペプチドと、少なくとも70%の同一性を有するポリペプチド、
(b)配列番号2は4から選択された配列からなる2次ポリペプチドと、少なくとも80%の同一性を有するポリペプチド、
(c)配列番号2又は4から選択された配列からなる2次ポリペプチドと、少なくとも95%の同一性を有するポリペプチド、
(d)配列番号2又は4から選択された配列からなるポリペプチド、
(e)配列番号2又は4から選択された配列からなるポリペプチドに対して、結合特異性を有する抗体を生成することが可能なポリペプチド、
(f)配列番号2又は4から選択された配列からなるポリペプチドの一部を有するエピトープ、
(g)N末端のメチオニン残基が欠失した、上記(a)、(b)、(c)、(d)、(e)又は(f)に記載のポリペプチド、
(h)分泌アミノ酸配列が欠失した、上記(a)、(b)、(c)、(d)、(e)又は(f)に記載のポリペプチド、
から選択されたポリペプチドからなる、単離されたポリペプチドを提供する。
【0028】
当業者であれば、本発明は、本特許出願において述べられたDNA分子、すなわち突然変異体(mutant)や、変異体(variant)や、相同物や、それらポリペプチドの誘導体のような類似体をコードするポリヌクレオチドや、それらの相補的配列が含まれることが理解できよう。また、本発明には、本発明のDNA分子に対応するRNA分子も含まれる。DNAやRNA分子以外にも、本発明には、対応するポリペプチドや、かかるポリペプチドに特異的に結合する単一特異性を有する抗体が含まれる。
【0029】
さらなる一態様において、本発明のポリペプチドは抗原性を示す。
【0030】
さらなる一態様において、本発明のポリペプチドは免疫原性を示す。
【0031】
さらなる一態様において、本発明のポリペプチドは、宿主内で免疫反応を引き起こすことができる。
【0032】
さらなる一態様において、本発明は、上記の本発明のポリペプチドに対して結合特異性を有する抗体を生成することが可能なポリペプチドにも関連する。
【0033】
“結合特異性を有する”抗体は、選択されたポリペプチドを認識して結合するけれども、サンプル、例えば生体サンプル内の他の分子を実質的に認識せず結合もしない抗体であり、その生体サンプルには当然にその選択されたペプチドが含まれる。結合特異性は、固相酵素免疫検定法を用いて測定することができるが、それにおいては、選択されたポリペプチドを抗原として使用する。
【0034】
本発明において、生物学の研究上の“予防”とは、生存曲線や、生存率や、生存期間の顕著な増加によって規定されるものである。生存曲線を比較するためのログランクテスト(log rank test)や、生存率及び死亡までの日数を比較するためのフィッシャーの正確確率テスト(Fisher exact test)を用いた統計分析は、それぞれ、P値を算出して2グループ間に統計上の有意な相違があるかを判断するのに有用であろう。P値の0.05は、有意ではないとみなされる。
【0035】
本発明の他の観点においては、本発明のポリペプチドの抗原性/免疫原性を有する断片や、それらの類似体が提供される。
【0036】
本発明の断片は、かかる抗原決定部位(epitopic region)を1又はそれ以上含むか、あるいはそれらの抗原性/免疫原性特性を維持するのに十分な程、かかる部位に類似したものでなければならない。従って、本発明の断片は、本明細書に記載のポリペプチドや類似体の特定部位と100%の同一性を有するかもしれないので、本発明の断片に関しては、同一性の程度はおそらく無関係なものであろう。本発明はさらに、本発明のポリペプチド配列に由来する、少なくとも10の連続するアミノ酸残基を有する断片を提供する。一態様においては、少なくとも15の連続するアミノ酸残基である。一態様においては、少なくとも20の連続するアミノ酸残基である。
【0037】
当業者であれば、本発明において、本発明のポリペプチドの類似体が利用可能であること、すなわち抗原性/免疫原性を有する材料として利用可能であることが理解できよう。従って、本発明には、例えば付加、欠失、又は置換等を1又はそれ以上含むタンパク質やポリペプチドが含まれる。
【0038】
本明細書で用いる、本発明のポリペプチドの“断片”、“類似体”、又は“誘導体”には、
アミノ酸残基の1又はそれ以上が、保存されるか又は保存されていないアミノ酸残基(好ましくは保存されたもの)で置換されたポリペプチドが含まれ、それらは天然のものかもしでないし又はそうでないかもしれない。一態様においては、本発明のポリペプチドの誘導体や類似体は、図面に表示の配列か又はそれらの断片と、約80%の同一性を有する。すなわち、残基の80%が同一である。他のさらなる態様では、ポリペプチドは80%以上の同一性を有するであろう。他のさらなる態様では、ポリペプチドは85%以上の同一性を有するであろう。他のさらなる態様では、ポリペプチドは90%以上の同一性を有するであろう。他のさらなる態様では、ポリペプチドは95%以上の同一性を有するであろう。他のさらなる態様では、ポリペプチドは99%以上の同一性を有するであろう。他のさらなる態様においては、本発明のペプチド類似体の、約20個以下、より好ましくは10以下のアミノ酸残基が置換、修飾又は欠失されている。
【0039】
これら置換は、ペプチドの二次構造や疎水性度(hydropathic nature)に最小限の影響しか与えないものである。好ましい置換は、保存されているとして従来から知られているもの、すなわち、疎水性、大きさ、電荷、又は官能基などの物理的又は化学的特性を共有する置換残基である。前記置換基には、デイホフ.Mが“Atlas of Protein Sequence and Structure 5(1989年)”中で記載した置換基、又はアルゴス.Pが“EMBO J.(8、第779-785頁、1989年)”中に記載した置換基などが含まれる。例えば、天然のものであろうが又はそうでなかろうが、下記グループ:
ala、pro、gly、gln、asn、ser、thr、val;
cys、ser、tyr、thr;
val、ile、leu、met、ala、phe;
lys、arg、orn、his; 及び、
phe、tyr、trp、his
の1つに属するアミノ酸は、保存的置換を代表するものである。好ましい置換基は、対応するL-アミノ酸のD-光学異性体の置換基も含む。
【0040】
異なるアプローチでは、類似体を、例えば効果的なタグを所望のポリペプチドに付けることによって、精製をより簡単にするための部分を組み込んだ融合ポリペプチドとすることができる。“タグ”は、取り除く必要があるかもしれないし、又は融合ポリペプチド自体が使用に十分な抗原性を維持する場合もあるかもしれない。
【0041】
相同性のパーセンテージは、同一性のパーセンテージと、類似性のパーセンテージ又はアミノ酸タイプの保存性の合計パーセンテージとして定める。
【0042】
一態様において、本発明のポリペプチドの類似体は、図面に記載の配列又はそれらの断片に対して、約70%の同一性を有する。すなわち、残基の70%が同一である。さらなる一態様において、ポリペプチドは80%以上の同一性を有する。さらなる一態様において、ポリペプチドは85%以上の同一性を有する。さらなる一態様において、ポリペプチドは90%以上の同一性を有する。さらなる一態様において、ポリペプチドは95%以上の同一性を有する。さらなる一態様において、ポリペプチドは99%以上の同一性を有する。さらなる一態様において、本発明のポリペプチドの類似体は、約20個以下、より好ましくは訳10個以下のアミノ酸残基が置換、修飾又は欠失されている。
【0043】
一態様において、本発明のポリペプチドの類似体は、図面に記載の配列又はそれらの断片に対して、約70%の相同性を有する。さらなる一態様において、ポリペプチドは80%以上の相同性を有する。さらなる一態様において、ポリペプチドは85%以上の相同性を有する。さらなる一態様において、ポリペプチドは90%以上の相同性を有する。さらなる一態様において、ポリペプチドは95%以上の相同性を有する。さらなる一態様において、ポリペプチドは99%以上の相同性を有する。さらなる一態様において、本発明のポリペプチドの類似体は、約20個以下、より好ましくは訳10個以下のアミノ酸残基が置換、修飾又は欠失されている。
【0044】
アミノ酸配列を比較するためには、CLUTALプログラムのようなプログラムを用いることができる。このプログラムは、アミノ酸配列を比較して、必要に応じてどちらかの配列にスペースを挿入することにより、最適アラインメントを探し出すというものである。最適アラインメントについて、同一性や相同性を求めることもできる。BLASTxのようなプログラムは、類似配列を最も長くなるようにアラインし、適合値を定める。従って、それぞれ異なる値を有することが見付かったいくらかの類似する部位を比較することが可能となる。本発明では、両タイプの同一性分析の検討がなされている。
【0045】
異なるアプローチでは、類似体又は誘導体は、例えば所望のタンパク質又はポリペプチドに効果的にタグを付けることによって、精製をより簡単にするための部分を組み込んだ融合ポリペプチドとすることができる。“タグ”は、取り除く必要があるかもしれないし、又は融合ポリペプチドが使用に十分な抗原性を維持する場合があるかもしれない。
【0046】
抗原決定部位、すなわちポリペプチドの抗原性又は免疫原性を担う抗原決定部位を特定するための抗原性ポリペプチドを選別できることは既知である。かかる選別を行なう方法は、従来から知られている。従って、本発明の断片は、かかる抗原決定部位を1又はそれ以上含むか、又はそれらの抗原性/免疫原性特性を維持できる程十分にかかる部位に類似していなければならない。
【0047】
従って、本発明の断片は、本明細書に記載のポリペプチドや類似体の特定部位と100%の同一性を有するかもしれないので、本発明の断片に関して、同一性の程度はおそらく無関係なものであろう。
【0048】
従って、類似体、誘導体、及び断片としては、それらが、少なくともそれらの誘導前のタンパク質又はポリペプチドの抗原性/免疫原性特性をある程度有することが重要である。
【0049】
また、ポリペプチドの生物学上又は薬学上の特性を変える他の化合物、すなわち半減期を長期化するポリエチレングリコール(PEG)、精製を簡略化するリーダー又は分泌アミノ酸配列、プレプロ及びプロ配列、及び(ポリ)サッカリドと融合されたポリペプチドも含まれる。
【0050】
さらに、アミノ酸部位が多型性であると分かっている場合には、特定のアミノ酸1又はそれ以上を変えて、異なるモラクセラ株の異なるエピトープに、より効果的に似せるようにすることが望ましい。
【0051】
さらに、本発明のポリペプチドは、末端のNH2基のアシル化により(例えば、アンモニア又はメチルアミンを用いた、アセチル化、又はチオグリコール酸アミド化、末端カルボキシル基のアミド化により)修飾して、安定性を与え、かつ、担体や他の分子への結合又は連結に関する疎水性を高めることができる。
【0052】
また、ポリペプチドの断片及び類似体の、ヘテロ及びホモポリペプチドマルチマーについても検討する。これらのポリマー型のものには、例えば、アビジン/ビオチン、グルタルアルデヒド、又はジメチルスーパーイミデイトなどの架橋剤によって架橋された、1又はそれ以上のポリペプチドが含まれる。それらポリマー型のものには、組換えDNA技術によって生み出された、マルチシストロニック(multicistronic)mRNAから生成された2つ又はそれ以上の直列(tandem)又は反転した(inverted)隣接配列を含むポリペプチドも含まれる。
【0053】
さらなる一態様において、本発明は、本願の図面に記載のポリペプチド、又はそれらの断片か若しくは類似体を1又はそれ以上含むキメラポリペプチドにも関連する。
【0054】
さらなる一態様において、本発明は、配列番号2、4に示す配列、又はそれらの断片か若しくは類似体から選択された配列を有するポリペプチドを2又はそれ以上含み、キメラポリペプチドを形成するように該ポリペプチドを連結して提供された、キメラポリペプチドにも関連する。
【0055】
さらなる一態様において、本発明は、配列番号2又は4に示す配列から選択された配列からなるポリペプチドを2又はそれ以上含み、キメラポリペプチドを形成するように該ポリペプチドを連結して提供された、キメラポリペプチドにも関連する。
【0056】
好ましくは、本発明のポリペプチドの断片、類似体、又は誘導体は、抗原部位を少なくとも一つ、すなわち少なくとも1つのエプトープを含むであろう。
【0057】
抗原性ポリマー(すなわち合成マルチマー)の形成を完成させるために、ポリペプチドには、ビスハロアセチル基を有するものか、又はニトロアリルハロゲン化物等を用いることができるが、ここで試薬は、チオ基に対して特異性を有するものである。従って、異なるポリペプチドの2つのメルカプト基間の連結は1重結合であるかもしれないし、又は炭素数が少なくとも2、典型的には炭素数が少なくとも4、そして炭素数が多くても16の結合基から成るものであるかもしれないけれども、通常炭素数は14以下である。
【0058】
ある特定の態様においては、本発明のポリペプチド断片及び類似体は、メチオニン(Met)やバリン(Val)のような開始残基を含まない。好ましくは、ポリペプチドは、リーダー又は分泌配列(シグナル配列)を組み込まないものであろう。本発明のポリペプチドのシグナル部分は、確立された分子生物学技術に従い、判断することができる。通常は、興味のあるポリペプチドをモラクセラ培養物から単離して、続いて配列決定を行ない、成熟タンパク質の最初の残基を決定し、それによって成熟ポリペプチドの配列を決定する。
【0059】
ポリペプチドは、組換えポリペプチドの生成や精製を助ける開始コドン(メチオニン又はバリン)を用いずに及び/又はリーダーペプチドを用いずに、生成及び/又は使用できることが分かっている。リーダーペプチドをコードする配列を有さないクローニング遺伝子は、ポリペプチドを大腸菌の細胞質に限定し、その回収を促すことが分かっている(グリック,G.R.及びパスタ−ナック,J.J.の“Manipulation of gene expression in prokaryotes” (1998年)、ワシントンDC、ASMプレスの“Molecular biotechnology:Principles and applications of recombinantDNA”(第2版、第109−143頁))。
【0060】
本発明の他の観点によれば、(i)本発明のポリペプチドを担体、希釈剤、又はアジュバントと共に含む組成物、(ii)本発明のポリペプチドと、担体、希釈剤、又はアジュバントを含む薬剤組成物、(iii)本発明のポリペプチドと、担体、希釈剤、又はアジュバントを含むワクチン、(iv)宿主に本発明のポリペプチドを免疫反応の惹起に有効な量投与することにより、宿主においてモラクセラに対する免疫反応(例えばモラクセラに対する感染防御免疫)を誘発する方法、及び、特には(V)予防又は治療量の本発明のポリペプチドを、必要とする宿主に投与することにより、モラクセラ感染を予防及び/又は治療する方法も提供する。
【0061】
本発明の他の観点によれば、(i)本発明のポリヌクレオチドを担体、希釈剤、又はアジュバントと共に含む組成物、(ii)本発明のポリヌクレオチドと、担体、希釈剤、又はアジュバントを含む薬剤組成物、(iii宿主に本発明のポリヌクレオチドを免疫反応の惹起に有効な量投与することにより、宿主においてモラクセラに対する免疫反応(例えばモラクセラに対する感染防御免疫)を誘発する方法、及び、特には(iv)予防又は治療量の本発明のポリヌクレオチドを、必要とする宿主に投与することにより、モラクセラ感染を予防及び/又は治療する方法も提供する。
【0062】
本発明のポリペプチドは、免疫化の前に、テタナス毒素、ジフテリア毒素、B型肝炎ウィルス表面抗原、ポリオウィルスVP1抗原や、他のウィルス性か細菌性の毒素、抗原、又は、任意の適当なタンパク質のような運搬体タンパク質に結合又は共役させて、より強い免疫反応を促すこともできる。この結合又は共役は、化学的に又は遺伝子学的に行なうことができる。ペプチド-担体の共役は、ヴァン・レゲンモーテル,M.H.V、ビリアンド J.P.、ミューラー S.による生化学及び分子生物学の実験技術の“Synthetic Polypeptides as antigens”第19巻(1998年、ニューヨーク、エルゼビアのバードウ R.H.及びヴァン・ニッペンベルグ P.H.出版)でより詳細な説明を得ることができる。
【0063】
他の観点によれば、薬学的に受容可能なアジュバントの混合物中に、本発明のモラクセラポリペプチドを1又はそれ以上含む薬剤組成物が提供されている。適当なアジュバントは、(1)MF59(登録商標)、SAF(登録商標)、Ribi(登録商標)のような水中油エマルジョン形成物、(2)フロインドの完全な又は不完全なアジュバント、(3)AlK(SO4)2、AlNa(SO4)2、AlNH4(SO4)2、Al(OH)3、AlPO4、シリカ、カオリン等の塩、(4)スティミュロン(登録商標)のようなサポニン誘導体、又はそれらから生成されたISCOMsのような粒子(免疫刺激性複合体)、(5)インターロイキン、インターフェロン、マクロファージコロニー刺激因子(M−CSF)、腫瘍壊死因子(TNF)のようなサイトカイン、(6)カーボンポリヌクレオチドのような他の物質、すなわちポリICやポリAU、解毒コレラ毒素(CTB)と、大腸菌の粘膜免疫の誘発のための熱不安定性毒素を含むものである。アジュバントのより詳細な説明は、M.Z.Iカーン等による総説“Pharmaceutical Research”第11巻、第1号(1994年)の第2−11頁や、グプタ等による他の総説“Vaccine”第13巻、第14号の第1263−1276頁(1995年)や、WO99/24578で得ることができる。好ましいアジュバントは、QuilA(登録商標)、QS21(登録商標)、Alhydrogel(登録商標)及びAdjuphos(登録商標)を含むものである。
【0064】
本発明の薬剤組成物は、注射、急速輸液、鼻咽吸込、皮膚吸込により非経口で投与されるか、又は舌下錠又は経口で投与される。
【0065】
本発明の薬剤組成物は、P.R.ムライ(編集長)、E.J.バロン、M.A.ファレー、F.C.テノヴァー及びR.H.ヨルケンの“Manual of Clinical Microbiology”(ASMプレス、ワシントンD.C.)第7版(1999年)の第1773頁に記載のように、モラクセラ感染の予防及び/又はモラクセラ感染により生じた疾病及び症状に対して用いられる。一態様においては、本発明の薬剤組成物は、中耳炎、副鼻腔炎、慢性咳、急性喉頭炎、化膿性角膜炎、新生児の結膜炎の治療又は予防に用いられる。一態様においては、本発明のワクチンの組成物は、モラクセラ感染の治療又は予防及び/又はモラクセラ感染により生じた疾病及び症状に対して用いられる。さらなる態様においては、モラクセラ感染はモラクセラカタラーリスである。
【0066】
ある特定の態様において、薬剤の組成物は、新生児、幼児、子供、高齢者、及び免疫不全宿主のような、モラクセラ感染の危険性のある宿主に投与される。
【0067】
本願で用いる“宿主”には、哺乳動物が含まれる。さらなる一態様においては、該哺乳動物は人間である。さらなる一態様においては、該ヒトは新生児、幼児、子供である。さらなる一態様においては、該ヒトは大人である。
【0068】
ある特定の態様において、薬剤の組成物は、新生児、幼児、子供、高齢者、及び免疫不全宿主のような、モラクセラ感染の危険性のある宿主に投与される。
【0069】
薬剤組成物は、好ましくは約0.001〜100μg/kg(抗原/体重)、より好ましくは、0.01〜10μg/kg、最も好ましくは0.1〜1μg/kgの投薬形態を単位として、免疫化の間に約1〜6週間の間隔をおいて1〜3回投与する。
【0070】
薬剤組成物は、好ましくは約0.1μg〜10mg、より好ましくは1μg〜1mg、最も好ましくは10〜100μgを投与形態の単位として、免疫化の間に約1〜6週間の間隔をおいて1〜3回投与する。
【0071】
別の観点においては、配列番号2、4に示す配列か、又はそれらの断片か若しくは類似体から選択された配列からなるアミノ酸配列により特徴付けられたポリペプチドをコードするポリヌクレオチドが提供される。
【0072】
一態様において、ポリヌクレオチドは、本発明のポリペプチドをコードするオープン・リーディング・フレーム(ORF)を含む、配列番号第1、3に記載のものである。
【0073】
図中に示されたポリヌクレオチド配列は、縮重コドンで変化を受けるかもしれないけれども、それでもなお、本発明のポリペプチドをコードする、ということが理解できるであろう。従って、本発明はさらに、上記のポリヌクレオチド配列(又は、それらの相補配列)とハイブリダイズするポリヌクレオチドにおいて、配列間の同一性が70%であるものを提供する。一態様では、配列間の同一性は少なくとも80%である。一態様では、配列間の同一性は少なくとも85%である。一態様では、配列間の同一性は少なくとも90%である。さらなる一態様では、ポリヌクレオチドは、厳しい条件下でハイブリダイズし、すなわち少なくとも95%の同一性を有する。さらなる一態様では、同一性は97%以上である。
【0074】
ハイブリダイゼーションにとって最適の厳しい条件は、当業者であれば直ちに分かる(例えば、サンブローク等(Sambrook et al.)の“Molecular cloning : A Laboratory Manual” 第2版(1989年):ニューヨーク、コールド・スプリング・ハーバー;、ニューヨーク、ジョン・ウィレイ&ソンズ出版、ニューヨーク、オースベルF.M.等編(Ausubel F.M. et al.,John Wiley & Sons, Inc. N.Y.)“Current protocols in Molecular Biology”(1999年)を参照)。
【0075】
さらなる一態様において、本発明は、厳しい条件下において、下記のポリヌクレオチド:
(a)ポリペプチドをコードするDNA配列、又は
(b)ポリペプチドをコードするDNA配列の相補鎖
(ここで、前記ポリペプチドは、配列番号2、4に示す配列、又はそれらの断片か若しくは類似体からなるものである)のいずれかとハイブリダイズするポリヌクレオチドを提供する。
【0076】
さらなる一態様において、本発明は、厳しい条件下において、下記のポリヌクレオチド:
(a)ポリペプチドをコードするDNA配列、又は
(b)ポリペプチドをコードするDNA配列の相補鎖
(ここで、前記ポリペプチドは、配列番号2又は4からなるものである)のいずれかとハイブリダイズするポリヌクレオチドを提供する。
【0077】
さらなる一態様において、本発明は、厳しい条件下において、下記のポリヌクレオチド:
(a)ポリペプチドをコードするDNA配列、又は
(b)ポリペプチドをコードするDNA配列の相補鎖
(ここで、前記ポリペプチドは、配列番号2、4に記載の配列か、又はそれらの断片か若しくは類似体なるポリペプチドに由来する、少なくとも10の連続するアミノ酸残基を含むものである)のいずれかとハイブリダイズするポリヌクレオチドを提供する。
【0078】
さらなる一態様において、本発明は、厳しい条件下において、下記のポリヌクレオチド:
(a)ポリペプチドをコードするDNA配列、又は
(b)ポリペプチドをコードするDNA配列の相補鎖
(ここで、前記ポリペプチドは、配列番号2又は4からなるポリペプチドに由来する、少なくとも10の連続するアミノ酸残基を含むものである)のいずれかとハイブリダイズするポリヌクレオチドを提供する。
【0079】
さらなる一態様において、ポリヌクレオチドは、本発明のポリペプチドをコードする、配列番号1、3に記載の配列、又はそれらの断片か若しくは類似体である。
【0080】
さらなる一態様において、ポリヌクレオチドは、本発明のポリペプチドをコードする、配列番号1、3に記載のものである。
【0081】
当業者であれば直ちに分かるように、ポリヌクレオチドにはDNAとRNAの両方が含まれる。
【0082】
本発明には、本願に記載のポリポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチドも含まれる。
【0083】
さらなる観点においては、本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、又はそれらの断片か、配列か、若しくは誘導体をDNAの免疫化法に用いることができる。つまり、注入すると複製可能かつ発現可能となるベクターにそれらを組み込んで、インビボで抗原性ポリペプチドを生成することができる。例えば、ポリヌクレオチドは、真核細胞内で機能するCMVプロモーターの制御下にある、プラスミドベクターに組込むことができる。好ましくは、前記ベクターは、筋肉注射で注入する。
【0084】
他の態様においては、宿主内で該ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを発現させて、その発現ポリペプチド生成物を回収することによる、組換え技術を用いた本発明のポリペプチドの生成方法が提供されている。別の方法としては、ポリペプチドは、確立された合成化学技術に基づいて、すなわち液相合成法又は固相合成法により、連結させて全ポリペプチドを生成する(ブロック・ライゲーション)ことにより、生成することができる。
【0085】
ポリヌクレオチド及びポリペプチドを入手及び鑑定するための通常の方法は、以下の参考文献:サンブローク等の“Molecular Cloning :A Laboratory Manual”第2版(1989年)、ニューヨーク、コールド・スプリング・ハーバー;ニューヨーク、ジョン・ウィレイ&ソンズ社、ニューヨーク、オースベルF.M.等編の“Current Protocol in Molecular Biology”;ニュージョージー、トトワ、ヒューマンプレス、ホワイト B.A.出版の“PCR Cloning Protocols, from Molecular Cloning to Genetic Engineering”(1997年)の490頁;ニューヨーク、シュプリンガー、スコープス R.K.(Scopes R.K.)出版の“Protein Purification, Principles and Practices”第3版(1993年)の380頁;ニューヨーク、ジョン・ウィレイ&ソンズ社出版、Coligan J.E等編の“Current Protocol in Immunology”に記載されたとおりである。
【0086】
本発明は、前記ポリペプチドの発現に適した条件下において、本発明の宿主細胞を培養する工程を含む、ポリペプチドの生成方法を提供する。
【0087】
組換え体の生成においては、本発明のポリペプチドをコードするベクターを用いて宿主をトランスフェクトし、その後、プロモーターの活性化か、形質転換細胞の選択か、又は遺伝子の増殖に適するように改変した栄養培養液中で培養する。適したベクターは、選択された宿主内で生存と複製が可能なものであり、かつ染色体性、非染色体性、及び合成DNA配列を含み、例えば、細菌性プラスミド、ファージDNA、バキュロウィルス、イースト菌プラスミド、プラスミドとファージDNAの組み合わせから生成したベクターなどがある。ポリペプチド配列を、制限酵素を用いてベクターの適切な部位に組込むことが可能であり、該ポリペプチドはプロモーター、リボソーム結合部位(共通部位又はシャイン・ダルガルノ配列)と、必要に応じてオペレーター(制御要素)からなる発現制御部位と機能が作動するように連結されている。所定の宿主とベクターに適した発現制御部位の個々の構成成分は、確立された分子生物学の原理(サンブローク等の“Molecular Cloning :A Laboratory Manual”第2版(1989年)、ニューヨーク、コールド・スプリング・ハーバー;ニューヨーク、ジョン・ウィレイ&ソンズ社、ニューヨーク、オースベルF.M.等編の“Current Protocol in Molecular Biology”)に従い、選択することができる。適したプロモーターは、LTR又はSV40プロモーターと、大腸菌ラクトースと、tac又はtrpプロモーターと、ファージラムダPLプロモーターとを含むものであるが、それらに制限されない。ベクターは、好ましくは選択マーカー、すなわちアンピシリン抵抗性遺伝子だけでなく、複製起点も組込んだものである。適した細菌性ベクターは、pET、pQE70、pQE60、pQE-9、pD10、phagescript、psiX174、pbluescript SK、pbsks、pNH8A、pNH16a、pNH18A、pNH46A、ptrc99a、pKK223-3、pKK233-3、pDR540、pRIT5、と真核ベクターpBlueBacIII、pWLNEO、pSV2CAT、pOG44、pXT1、pSG、pSVK3、pBPV、pMSG、及びpSVLを含むものである。宿主は細菌性のもの、すなわち大腸菌枯草菌ストレプトミセス;カビ、すなわちアスペルギルスニガーアスペルギルスニダランス;、酵母菌、すなわちサッカロミケス;又は真核性のもの、すなわちCHO、COSとすることができる。
【0088】
培養液中にポリペプチドが発現すれば、細胞を通常遠心分離で分離し、その後(発現したポリペプチドが媒体中に分泌されていなければ)物理的又は化学的手法を用いて破砕し、その結果生じた粗抽出物を保持して興味の対象であるポリペプチドを単離する。培養液又は溶解液からのポリペプチドの精製は、ポリペプチドの特性に応じて確立された技術を用い、すなわち硫酸アンモニウム又はエタノール沈殿、酸抽出、陰イオン又は陽イオン交換クロマトグラフィー、ホスホセルロース・クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、ヒドロキシルアパタイト・クロマトグラフィー、及びレクチン・クロマトグラフィーを用いて行なうことができる。最終精製は、HPLCを用いて行なうことができる。
【0089】
ポリペプチドは、リーダー又は分泌配列の有無にかかわらず発現することができる。過去の方法においては、リーダーは翻訳後プロセシングを用いて取り除く(米国第4,431,739号、同第4,425,437号、及び同第4,338,397号)か、又は発現したポリペプチドの精製後に化学的に取り除く。
【0090】
さらなる観点によれば、本発明のモラクセラポリペプチドは、モラクセラ感染、詳細にはモラクセラカ感染の診断検査に使用することができる。いくつかの診断方法が可能であるが、例えば、生体サンプルにおけるモラクセラ菌の検査において、下記工程:
a)宿主から生体サンプルを得る工程、
b)本発明のモラクセラポリペプチドに反応性を示す抗体又はその断片を、生体サンプルと共にインキュベートして、混合物を生成する工程、及び
c)モラクセラの存在を示す混合物中で、特異的に結合した抗体又は結合した断片を検出する工程
に従った方法がある。
【0091】
その他には、モラクセラ抗原に特異的な抗体を含むか、又は含むと思われる生体サンプル内における、前記抗体の検出方法は、下記工程:
a)宿主から生体サンプルを得る工程、
b)本発明のモラクセラポリペプチドの1又はそれ以上、あるいはその断片を、生体サンプルと共にインキュベートして、混合物を生成する工程、及び
c)モラクセラに特異的な抗体の存在を示す混合物中で、特異的に結合した抗原又は結合した断片を検出する工程、
に従い実施することができる。
【0092】
当業者であれば、この診断検査には、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)、放射免疫測定法、又はラテックス凝集反応法のような免疫検査を含む、本質的にはそのタンパク質に特異的な抗体が菌中に存在するか否かを調べるための、様々な方法があると分かるであろう。
【0093】
本発明のポリペプチドをコードするDNA配列は、モラクセラを含むと思われる生体サンプル中の、同菌の存在有無の検出に用いるDNAプローブの設計にも用いることができる。本発明の検出法は、下記工程:
a)宿主から生体サンプルを得る工程、
b)本発明のポリペプチドをコードするDNA配列を有するDNAプローブの1又はそれ以上、又はその断片を、生体サンプルと共にインキュベートして、混合物を生成する工程、及び
c)モラクセラ菌の存在を示す混合物中で、特異的に結合したDNAプローブを検出する工程、を含む。
【0094】
本発明のDNAプローブも、例えばポリメラーゼ連鎖反応を用いた、循環モラクセラ、すなわちサンプル中のモラクセラ核酸の検出に、モラクセラ感染の診断方法として用いることができる。そのプローブは、従来技術を用いて合成することができ、固相に固定するか、又は検出可能なラベルを付すことができる。本願の好ましいDNAプローブは、本発明のモラクセラペプチドの少なくとも約6個の連続するヌクレオチドに相補的な配列からなるオリゴマーである。
【0095】
宿主中のモラクセラを検出する他の診断方法は、下記工程:
a)本発明のポリペプチド又はその断片に反応性を示す抗体に検出可能なラベルを付す工程、
b)ラベルを付した抗体又はラベルを付した断片を宿主に投与する工程、及び
c)モラクセラの存在を示す宿主中で、特異的に結合したラベルを付した抗体またはラベルを付した断片を検出する工程:
を含む。
【0096】
本発明のさらなる観点は、モラクセラ感染の診断と、特にはその治療に特有の抗体の生成に用いる免疫原として、本発明のモラクセラポリペプチドを使用する方法である。適当な抗体は、適切なスクリーニング法を用いて、例えば試験モデル内においてモラクセラ感染を受動的に防御するある特定の抗体の能力を測ることにより、測定することができる。動物モデルの一例は、本明細書の実施例に記載のマウスモデルである。前記抗体は、完全な抗体であるか、又は抗原に結合性のある断片でもよく、かつ任意の免疫グロブリンのクラスに属するものとすることができる。前記抗体又は断片は、動物由来のものとすることができ、詳細には、哺乳動物のもの、より詳細には、マウス、ラット、又はヒトのものとすることができる。天然の抗体やその断片とすることもでき、あるいは必要に応じて、組換え抗体や抗体の断片とすることもできる。組換え抗体や抗体の断片という用語は、分子生物学の技術を用いて生成された抗体又は抗体の断片を意味する。前記抗体又は抗体の断片は、ポリクローナルか、又は好ましくはモノクローナルのものとすることができる。それは、モラクセラポリペプチドと結合した一群のエピト−プに特有のものでもよいが、好ましくは、1つのものに特有のものとすることができる。
【0097】
一観点において、本発明は、モラクセラ感染の治療及び/又は予防に用いる抗体の使用方法を提供している。
【0098】
本発明のさらなる観点は、本発明のポリペプチドに対する抗体を、受動免疫のために用いる使用方法である。本願に記載された抗体を使用することができるであろう。
【0099】
本発明のさらなる観点は、本発明のポリペプチドから生成された抗体を受動免疫に十分な量を宿主に投与することによる免疫法である。
【0100】
さらなる態様において、本発明は、モラクセラ感染の予防又は治療用の薬剤の製造における、本発明の薬剤組成物の使用方法を提供する。
【0101】
さらなる態様において、本発明は、本発明のポリペプチドを含む、モラクセラ感染の検出又は診断用のキットを提供している。
【0102】
別段の定義がない限り、本明細書で使用する技術又は科学用語の全ては、本発明が属する分野における当業者に通常理解されているものと同様の意味を有する。ここに記載の出版物、特許出願、特許、及びその他のここで言及された参考文献の全ては、参考文献としてそのまま盛りこまれる。紛争の際には、定義も含めて本明細書が支配をする。さらに、材料や方法や実施例は解説を行うのみであり、それに制限されるものではない。
【実施例1】
【0103】
BVH−MC6遺伝子とそれに対応するポリペプチドのクローニング及び分子特性を、以下実施例で説明する。
【0104】
M. カタラーリスBVH−MC6(配列番号:1)遺伝子のコード領域を、PCR(カリフォルニア州サンノゼ、パーキンエルマー社のDNA熱サイクル遺伝子増幅PCRシステムを使用)により、M. カタラーリス株のETSU C−2のゲノムDNAから増幅し、そのPCRにあたって、制限部位NdeI(CATATG)及びXhoI(CTCGAG)付加のための伸張した塩基を含む下記オリゴ:DMAR598(5'-TAAGGATACATATGACGGCCCATAAAGATCG-3');DMAR599(5'-TATGCTCGAGGTATACTTTGACTGGCTTATCATGTG-3')を用いた。PCR産物を、QIAgen社のQIAquickゲル抽出キットを用いて、その製品使用説明書(カリフォルニア、チャッツワース)に従って、アガロースゲルから精製し、NdeI及びXhoI(カナダ、ベー・ドゥルフェ、アマシャム ファルマシア バイオテク社)により消化した。pET21b(+)ベクター(ウィスコンシン州、マディソン、ノヴァゲン)をNdeI及びXhoIにより消化し、QIAgen社(カリフォルニア、チャッツワース)のQIAquickゲル抽出キットを用いて、アガロースゲルから精製した。NdeI−XhoI PCR産物を、NdeI−XhoI pET21b(+)発現ベクターに連結させた。その連結した産物により、シマニス(Simianis)(Hanahan.Dによる“DNAクローニング”(1985年)、D.M.グローバー出版、第109−135頁)の方法に従い、大腸菌DH5α[φ80dlacZΔM15 Δ(lacZYA-argF)U169 endA1 racA1 hsdR17 (rK-mK+)deoR thi-1 supE44 λ-gyrA96 relA1](メリーランド州、ゲーサーズバーグ、ギブコBRL)を形質転換した。BVH-MC2遺伝子を含む組換えpET21b(+)プラスミド(rpET21b(+))からQIAgenキット(カリフォルニア、チャッツワース)を用いて精製し、DNA挿入物の配列決定を行なった(カリフォルニア、フォスター シティ、エー・ビー・アイ、タック・ダイ・デオキシターミネ−ター配列キット)。
【0105】
【表1】
Figure 2005508146
【0106】
BVH-MC6のポリペプチドをコードするオープン・リーディング・フレーム(ORF)は1005bpを含み、5.46の予測pIと36662.14Daの予測分子量を有するアミノ酸残基334個のポリペプチドをコードすることが分かった。スプキャン・ソフトウェア(ウィスコンシン配列分析パッケージ;ジェネティックス・コンピューター・グループ)を用いた予測アミノ酸残基配列(配列番号:2)の分析では、39個のアミノ酸残基のシグナルペプチド(MTAHKDRSTNLSKICLKHCFFTSSLIATLAMGLAMSACS)の存在が示されたが、それは、セリンとアスパラギン残基との間に位置する開裂部位を末端としていた。
【0107】
PCR増幅法によりBVH-MC6(配列番号:1)遺伝子の存在を確認するために、次の4種の別個のM. カタラーリス株:イースト・テネシー州立大学から提供されたM. カタラーリスETSU C-2と、ETSU T-25と、ETSU658の臨床単離株;ラバル大学病院本部感染病研究センターから提供されたM. カタラーリス株M-12を用いた。これらの実験には、負のコントロールとして、大腸菌XL1−Blue MRF’を用いた。PCR(カリフォルニア州サンノゼ、パーキンエルマー社のDNA熱サイクル遺伝子増幅PCRシステム)により、オリゴヌクレオチド・プライマーDMAR598及びDMAR599(表1)を用いて、BVH-MC6(配列番号:1)遺伝子を、前記4種のM. カタラーリス株のゲノムDNAと、コントロールの大腸菌株から増幅させた。PCRは、94℃で30秒間と、50℃で30秒間と、72℃で1分のサイクルを30回と、最終伸長期間10分を72℃で行なった。PCR産物は、1%アガロースゲル中でサイズ分別し、エチジウムブロマイド染色で視覚化した。これらPCR増幅の結果は、表2に示すとおりである。増幅産物の分析から、テストした4種のM. カタラーリス株の全てのゲノム中に、BVH−MC6(配列番号:1)遺伝子が存在することが明らかになった。コントロールである大腸菌DNAに、前記オリゴヌクレオチド・プライマーを用いた同様のPCR増幅法を行なっても、そのような産物は検出されなかった。
【0108】
【表2】
Figure 2005508146
【実施例2】
【0109】
BVH−MC7遺伝子とそれに対応するポリペプチドのクローニング及び分子特性を、以下実施例で説明する。
【0110】
M. カタラーリスBVH−MC7(配列番号:3)遺伝子のコード領域を、PCR(カリフォルニア州サンノゼ、パーキンエルマー社のDNA熱サイクル遺伝子増幅PCRシステムを使用)により、M. カタラーリス株ETSU C−2のゲノムDNAから増幅し、そのPCRにあたって、制限部位NdeI(CATATG)及びXhoI(CTCGAG)付加のために伸張した塩基を含む下記オリゴ: 表1に記載のDMAR594及びDMAR691を用いた。発現ベクターへのBVH-MC7のクローニングとその解読には、実施例1に記載のものと同様の方法を用いた。
【0111】
BVH-MC7のポリペプチドをコードするオープン・リーディング・フレーム(ORF)は1179bp を含み、8.65の予想pIと41456.50Daの予想分子量を有するアノ酸残基392個のポリペプチドをコードすることが分かった。スプキャン・ソフトウェア(ウィスコンシン配列分析パッケージ;ジェネティックス・コンピューター・グループ)を用いた予想アミノ酸残基配列(配列番号:4)の分析では、21個のアミノ酸残基のシグナルペプチド(MYQRFINTALVAALAVTMAGC)の存在が示されたが、それは、システインとグリシン酸残基との間にある開裂部位を末端としていた。
【0112】
試験した4種のM. カタラーリス株(表2)について、オリゴヌクレオチド・プライマーDMAR594及びDMAR691を用いてPCR増幅を行なったところ、BVH-MC7遺伝子の存在が示された。BVH-MC7遺伝子のPCR増幅には、実施例1に記載の方法と同様の方法を用いた。これらオリゴヌクレオチド・プリマーを用いた同様のPCR増幅を、コントロール大腸菌DNAについて行なったが、上記のような産物は検出されなかった。
【実施例3】
【0113】
CMVプラスミドpCMV-GHにおけるM. カタラーリス遺伝子のクローニングを、以下実施例で説明する。
【0114】
M. カタラーリスポリペプチドのDNAコード領域を、プラスミドベクターpCMV-GH中のサイトメガロウイルス(CMV)転写調節下にあるヒト成長ホルモン(hGH)遺伝子の下流相に挿入した(タング等の“Nature”(1992年)356:152)。CMVプロモーターは、大腸菌細胞内では機能しないプラスミドであるけれども、真核細胞へのプラスミド投与により活性化する。前記ベクターは、アンピシリン耐性遺伝子も組込んだものとした。
【0115】
BVH-MC6(配列番号:1)とBVH-MC7(配列番号:3)の、リーダーペプチド部位を有さないコード領域を、PCR法(カリフォルニア州サンノゼ、パーキンエルマー社、DNA熱サイクル遺伝子増幅PCRシステム)によりM. カタラーリス株のETSU C−2のゲノムDNAから増幅し、そのPCRにあたって、表1に記載の制限部位BamHI(GGATCC)及びBglII(AGATCT)、SalI(GTCGAC)、又はHindIII(AAGCTT)付加のための伸張した塩基を含むオリゴヌクレオチド・プライマーを用いた。PCR産物は、QIAgen社のQIAquickゲル抽出キット(カリフォルニア、チャッツワース)を用いてアガロースゲルから精製し、制限酵素(カナダ、ベー・ドゥルフェ、アマシャム ファルマシア バイオテク社)により消化した。pCMVベクター(テキサス州、ダラス、テキサス大学、生化学部、ステファン・A・ジョンストン博士研究室)をBamHI、BglII、SalI、又はHindIIIにより消化し、QIAgen社のQIAquickゲル抽出キット(カリフォルニア、チャッツワース)を用いてアガロースゲルから精製した。消化したDNA断片を、消化したpCMV-GHベクターに連結させ、CMVポリモーターの制御下で、hGH-BVH-MC6とhGH-BVH-MC7の融合ポリペプチドを生成できるようにした。その連結産物を、シマニスの方法(ハナハン、D.DNAクローニング、1985年、D.M.グローバー出版、pp.109-135)に従って、大腸菌株DH5α[φ80dlacZΔM15Δ(lacZYA-argF)U169 endA1racA1 hsdR17 (rK-mK+)deoR thi-1 supE44 λ-gyrA96 relA1](メリーランド州、ゲーサーズバーグ、ギブコBRL)を形質転換した。組換えpCMVプラスミドをQIAgenキット(カリフォルニア、チャッツワース)を用いて精製し、DNA配列決定により、挿入物のDNAのヌクレオチド配列を確認した。
【実施例4】
【0116】
M. カタラーリスポリペプチド抗原に対して免疫反応を誘発するDNAの使用法を、以下実施例で説明する。
【0117】
雌のBALB/cマウス8匹(カナダ国ケベック州、セントコンスタント、チャールズリバー)のグループに、50μgの顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)発現プラスミドpCMV-GH-GM-CSF(テキサス州、ダラス、テキサス大学、生化学部、ステファン・A・ジョンストン博士研究室)存在下に、BVH−MC6(配列番号:1)とBVH−MC7(配列番号:3)遺伝子をコードする組換えpCMV-GHを50μg、2〜3週間の間隔をあけて100μlを3回筋肉注射することにより、免疫化した。コントロールとしては、マウスのグループに、50μgのpCMV-GH-GM-CSF存在下に、pCMV-GH を50μg注射した。各免疫注射の実施前と三度目の注射の7日後に、眼窩洞から血液サンプルを採取して、対応するHisタグラベルを付したM. カタラーリス組換えポリペプチドを皮膜抗原として用いて、ELISA法により血清の抗体反応を調べた。これらHisタグでラベル化したM. カタラーリス組換えポリペプチドの生成及び精製法については、実施例5に示す。
【実施例5】
【0118】
M. カタラーリス組換えポリペプチドの生成及び精製法を、以下実施例で説明する。
【0119】
BVH−MC6(配列番号:1)とBVH−MC73(配列番号:3)遺伝子を組込んだ組換えpET21b(+)を用いて、電気穿孔法(カナダ国ミシサーガ、バイオラッド研究室、ジェーンパルサーIIアパレイタス)により、大腸菌株AD494(DE3)[Δara-leu7697ΔlacX74ΔphoA PvuII phoRΔmalF3 F’[lac+(lacIq)pro] trxB::Kan(DE3)](ウィスコンシン州マディソン、ノヴァゲン)を形質転換した。大腸菌のこの菌株において、組換えポリペプチドの発現を制御するT7プロモーターは、イソプロピル-β-d-チオ-ガラクトピラノシド(IPTG)によって誘導が可能であるラクトース・プロモーターの制御下にある遺伝子であるT7 RNAポリメラーゼ(λDE3プロファージ上に存在)によって特異的に認識される。形質転換細胞AD494(DE3)/rpET21b(+)を、1mlにつき100μgのカルベニシリン(カナダ国オークビル、シグマ-アルドリッチ・カナダ社)を含むLB培養液(ペプトン10g/L、イースト菌抽出物5g/L、NaCl10g/L)中で250rpmで攪拌しながら、A600値が0.5になるまで、37℃で培養した。Hisタグを付したM. カタラーリス組換えポリペプチドの生成を促進するために、最終濃度1mMのIPTGと共に、細胞をさらに3時間インキュベートした。500ml培養液から誘導された細胞を遠心分離でペレット化して、-70℃で凍結させた。
【0120】
His結合金属キレート樹脂に固定された2価のカチオン(Ni2+)へのHisタグ配列(連続する6個のヒスチジン残基)の結合特性に基づいたアフィニティー・クロマトグラフィーを用いて、IPTGに誘導されたAD494(DE3)/rpET21b(+)の可溶性細胞質画分から、組換えポリペプチドの精製を行なった。大略すると、IPTGにより誘導された500mLの培養液から得られたペレット化した細胞を、PMSFを1mM含む溶解緩衝液(20mLトリス、500mMNaCl、10mMイミダゾ-ル、pH7.9)中に再び懸濁させ、超音波処理して12000Xgで20分間遠心分離処理して、沈殿物を取り除いた。その上清をNi-NTAアガロースカラム(カナダ国オンタリオ、ミシサーガ、チャゲン)にかけた。Hisタグでラベルを付したM. カタラーリス組換えポリペプチドを、250mMのイミダゾ-ルと、500mMのNaClと、20mMのトリスpH7.9で溶出した。4℃でPBSに対して透析して、サンプルから塩とイミダゾ-ルを取り除いた。大腸菌の可溶部分から得られた組換えポリペプチド量は、MicroBCA(イリノイ州、ロックフォード、ピース)で測定した。
【実施例6】
【0121】
Hisタグを付したM. カタラーリス組換えポリペプチドと抗体ヒト口蓋扁桃中に存在する抗体と、M. カタラーリス抗原調製物による免疫化後のマウスから採集した血清の反応性を、以下実施例で説明する。
【0122】
表3に示すように、ヒト口蓋扁桃内に存在する抗体を用いた免疫ブロット法において、BVH-MC6のHisタグを付した組換えポリペプチドの存在が認められた。このことは、ヒトは普通にM. カタラーリスと接触し、そのポリペプチドに特異的な抗体を作成することを示している。これらの特別なヒトの抗体は、M. カタラーリス感染の予防に関与するかもしれない。さらに、免疫ブロット法から、M. カタラーリス抗原調製物によって免疫化されたマウスから採取され、マウスモデルにおいて著しく肺のクリアランスを促す膜ポリペプチドに富んだ血清も、BVH-MC7のHisタグを付した組換えポリペプチドを認識する抗体を作成することが明らかになった。これらの結果は、このタンパク質が、マウスを感染から防御すべくM. カタラーリス抗原の調整物中に存在し、それにより、対応するBVH-MC7のHisタグを付した組換えポリペプチドと反応する抗体が誘発されたことを示している。
【0123】
【表3】
Figure 2005508146
1免疫ブロットは、実施例5に記載のように生成かつ精製されたHis標識組換えポリペプチドを用いて行なった。
2 Hisタグを付した組換えポリペプチドの分子量は、SDS-PAGE後に測定した。
3免疫ブロットには、ヒト口蓋扁桃の原液を用いた。
4膜ポリペプチドに富むM. カタラーリス抗原調製物で免疫化した後にマウス血清を採取し、それをプールして1/500に希釈して免疫ブロットを行なった。これらマウスは、M. カタラーリス感染から防御されたものである。
【実施例7】
【0124】
M. カタラーリス株表面上のBVH-MC6及びBVH-MC7ポリペプチドの抗体への接近の可能性を、以下実施例で説明する。
【0125】
細菌を、37℃、8%二酸化炭素ガス中で、0.25%デキストロースを含む脳心臓輸液(BHI)培養液中で培養して、OD490nmが0.650(〜10CFU/ml)となるようにした。その後、BVH-MC6又は抗BVH-MC7又はコントロール血清の希釈物を添加して細胞に結合させ、回転させながら4℃で2時間インキュベートした。サンプルをブロッキング緩衝液(2%ウシ血清アルブミン(BSA)含有リン酸緩衝生理食塩水(PBS))で4回洗浄し、その後、ブロッキング緩衝液で特異的に希釈したヤギ蛍光標識(FITC)-結合抗マウスIgG Fc(ガンマ)の断片1mlを加えた。さらに暗室中で回転させながら、室温で60分間インキュベートした後、サンプルをブロッキング緩衝液で4回洗浄し、0.25%ホルムアルデヒド含有PBS緩衝液で4℃で18時間固定化した。細胞をPBS緩衝液で2回洗浄し、PBS緩衝液0.5ml中に再懸濁させた。細胞は、フローサイトメトリー(ベックマン・コールター社、Epics(登録商標)XL)で分析するまで、4℃の暗室に放置した。フローサイトメトリー分析から、BVH-MC6とBVH-MC7に特異的な抗体が、試験した均質な(ETSU C-2)M. カタラーリス株上の、それらに対応する表面エピトープを、効率的に認識することが明らかになった(表4)。分析されたモラクセラ細胞10000個のうちの60%以上が、BVH-MC6とBVH-MC7に特異的な血清中に存在する抗体によりラベル化されていることが示された。加えて、BVH-MC6とBVH-MC7に特異的な血清のプール中に存在する抗体は、M. カタラーリスのETSU 658及びM-12株の表面に結合した(表4)。後者2つの株においてそれぞれ、10000個の細胞の90%以上が特異的な抗体により標識されていることも測定された。これらの観察は、BVH-MC6とBVH-MC7ポリペプチドが、抗体に認識され易い表面に接近可能であることが明確に示されている。抗M. カタラーリス抗体は、M. カタラーリス感染の予防に重要な役割を果すことが明らかになった。
【0126】
【表4】
Figure 2005508146
1精製した組換えポリペプチド20μgとQuilAアジュバント(カナダ国、ホーンビー、シーダーレーン・ラボラトリーズ社)10μgの混合物を2週間毎に5回、マウスに皮下注射した。血清を1/50に希釈した。
2免疫血清で細胞にラベルを付けた後に得られた蛍光値の中央値を、コントロールのマウス血清について得られた蛍光値で割って算出したものを、蛍光指標とした。蛍光値の1は、無傷のモラクセラ細胞の表面に結合された抗体が存在しないことを示したものとする。
3分析した10,000細胞のうちの、ラベルを付した細胞%を示す。
4この検定には、免疫化されていないマウス又は見せかけ上免疫化されたマウスから採取した血清をプールして1/50に希釈したものを、負のコントロールとして用いた。
5検定には、精製されたM. カタラーリス株ETSU-C2由来の精製された外膜ポリペプチド20μgで免疫化されたマウスから得られた血清を1/1000に希釈して、正のコントロールとして用いた。
【実施例8】
【0127】
BVH-MC6マウス血清の殺菌活性を、以下実施例で説明する。
【0128】
細菌をチョコレート寒天プレートに載せ、8%二酸化炭素ガス中、37℃で18時間、インキュベートした。その後、OD490nmが0.25となるように溶菌緩衝液(10%ハンクス平衡塩類溶液(HBSS)及び1%カゼイン加水分解物、pH7.3)中に細菌細胞を再懸濁させ、8×104CFU/mlに希釈した。細菌懸濁液25μlと、熱で不活化した希釈試験用血清50μl及びHBSS15μlとを混合して、攪拌(200rpm)しながら8%二酸化炭素中、37℃で15分間インキュベートすることにより、細菌検定を行なった。その後、ウサギの捕体成分含有血清を最終濃度が10%となるように添加して、その混合物を攪拌(200rpm)しながら8%二酸化炭素中37℃で、さらに60分間インキュベートした。インキュベート終了時に、チョコレート寒天プレートに検定混合物10μlをのせ、生存細菌数を測定した。そのプレートを8%二酸化炭素中、37℃で18〜24時間インキュベートした。コントロールは、免疫化前のマウスから採取した熱不活化血清およびウサギ捕体とインキュベートした細菌を含むものとした。M. カタラーリス株ETSU658を用いて血清の殺菌活性を評価した。下記の数式によって溶菌%を測定した。
【0129】
【数1】
Figure 2005508146
【0130】
精製した組み換えBVH-MC6タンパク質により免疫化したマウス7匹から採取された血清において、殺菌性抗体が存在していることが見出された(表5)。コントロールマウスから得られた血清において殺菌活性は記録されなかった(データ示さず)。
【0131】
【表5】
Figure 2005508146
1精製した組換えポリペプチド20μgとQuilAアジュバント(カナダ国、ホーンビー、シーダーレーン・ラボラトリーズ社)10μgの混合物を、2週間毎に5回、マウスに皮下注射した。
2 BVH-MC6で免疫化したマウスより採集した各マウス血清を1/50に希釈した。
3検定には、精製された外膜タンパク質20μgで免疫化されたマウスから得られた血清を1/50に希釈して、正のコントロールとして用いた。
【実施例9】
【0132】
免疫化により誘発されたM. カタラーリス感染に対するマウスの予防を、以下実施例で説明する。
【0133】
10匹の雌のBALB/cマウス(チャールズリバー)のグループに、10%のQuilAアジュバント(カナダ国、ホーンビー、シーダーレーン・ラボラトリーズ社)の存在下で、アフィニティ精製されたHisタグを付したM. カタラーリス組換えポリペプチド20μgを、2週間毎に3回、皮下に投与して免疫化するか、又は、コントロールとして、PBS中のQuilAアジュバントのみを投与した。血液サンプルは、それぞれ免疫化前の0、14と28日目と3度目の注射から14日後(42日目)に、眼窩洞から採取した。1週間後、M. カタラーリス株ETSU 658約1×106CFUを用いて、マウスに肺内疾患を患わせた。M. カタラーリス疾患の接種材料をチョコレート寒天にのせ、CFUを測定して、投与した量を確認した。マウスは、ペントバルビタール・ナトリウム(Euthanyl(登録商標))の腹腔内投与により、感染後5時間で死亡した。無傷の肺を摘出して、組織ホモゲナイザーで均質化した。CFU測定のための連続希釈でプレーティングすることにより、肺ホモジェネートについて細菌クリアランスを測定した。
【実施例10】
【0134】
精製した組換えBVH-MC6の免疫化により誘発されたM. カタラーリス感染に対するマウスの予防を、以下実施例で説明する。
【0135】
8匹の雌のBALB/cマウス(チャールズリバー)のグループに、10%のQuilAアジュバント(カナダ国、ホーンビー、シーダーレーン・ラボラトリーズ社)の存在下で、アフィニティ精製されたHisタグを付したM. カタラーリス組換えBVH-MC6ポリペプチド20μgを、2週間毎に5回、皮下に投与して免疫化するか、又は、コントロールとして、PBS中にQuilAアジュバントのみを投与した。血液サンプルは、それぞれ免疫化前の0、14、28、42、56日目と、5度目の注射から14日後(70日目)に、眼窩洞から採取した。1週間後、M. カタラーリス株ETSU658約9×105CFUを用いて、マウスに肺内疾患を患わせた。M. カタラーリス疾患の接種材料をチョコレート寒天にのせ、CFUを測定して、投与した量を確認した。マウスは、ペントバルビタール・ナトリウム(Euthanyl(登録商標))の腹腔内投与により、感染後5時間で死亡した。無傷の肺を摘出して、組織ホモゲナイザーで均質化した。CFU測定のための連続希釈でプレーティングすることにより、肺ホモジェネートについて細菌クリアランスを測定した。表6に示すように、平行して感染させたコントロールグループのマウスと比較して、免疫化したマウスから回収した細菌は60%少なかった。このように、組換えBVH-MC6ポリペプチドによる免疫化は、マウスの肺から、M. カタラーリスの異種菌のクリアランスを急速に促進した。
【0136】
【表6】
Figure 2005508146
aマウス7匹の平均±標準偏差を示したものである。
bマウス8匹の平均±標準偏差を示したものである。
cマウスは9×105 CFUの細菌により肺内部に疾患を負わせたものとし、生存細菌は、疾患の5時間後に肺から回収した。免疫化したマウスから除去された細菌のパーセンテージ数をコントロールと比較した。
【図面の簡単な説明】
【0137】
【図1】図1は、M. カタラーリス株ETSU C-2由来のBVH-MC6遺伝子のDNA配列を示したもの(配列番号:1)である。前記配列の下線部は、リーダーペプチドのコード領域を示す。
【図2】図2は、M. カタラーリス株ETSU C-2由来のBVH-MC6ポリペプチドのアミノ酸配列を示したもの(配列番号:2)である。下線部の配列は、39のアミノ酸残基のリーダーペプチドを示す。
【図3】図3は、M. カタラーリス株ETSU C-2由来のBVH-MC7遺伝子のDNA配列を示したもの(配列番号:3)である。前記配列の下線部は、リーダーペプチドのコード領域を示す。
【図4】図4は、M. カタラーリス株ETSU C-2由来のBVH-MC7ポリペプチドのアミノ酸配列を示したもの(配列番号:4)である。下線部の配列は、21のアミノ酸残基のリーダーペプチドを示す。

Claims (31)

  1. 下記のポリヌクレオチド:
    (a)配列番号2又は4に示す配列か、又はそれらの断片か若しくは類似体から選択された配列からなる2次(secondary)ポリペプチドと、少なくとも70%の同一性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
    (b)配列番号2又は4に示す配列か、又はそれらの断片か若しくは類似体から選択された配列からなる2次ポリペプチドと、少なくとも80%の同一性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
    (c)配列番号2又は4に示す配列か、又はそれらの断片か若しくは類似体から選択された配列からなる2次ポリペプチドと、少なくとも95%の同一性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
    (d)配列番号2又は4に示す配列か、又はそれらの断片か若しくは類似体から選択された配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
    (e)配列番号2又は4に示す配列か、又はそれらの断片か若しくは類似体から選択された配列からなるポリペプチドに対して、結合特異性を有する抗体を生成することが可能なポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
    (f)配列番号2又は4に示す配列か、又はそれらの断片か若しくは類似体から選択された配列からなるポリペプチドの一部を有するエピトープをコードするポリヌクレオチド、
    (g)配列番号1又は3に示す配列か、又はそれらの断片か若しくは類似体から選択された配列からなるポリヌクレオチド、及び
    (h)上記(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)又は(g)のポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチド;
    から選択されたポリヌクレオチドからなる、単離されたポリヌクレオチド。
  2. 下記のポリヌクレオチド:
    (a)配列番号2又は4から選択された配列からなる2次ポリペプチドと、少なくとも70%の同一性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
    (b)配列番号2又は4から選択された配列からなる2次ポリペプチドと、少なくとも80%の同一性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
    (c)配列番号2又は4から選択された配列からなる2次ポリペプチドと、少なくとも95%の同一性を有するポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
    (d)配列番号2又は4から選択された配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
    (e)配列番号2又は4から選択された配列からなるポリペプチドに対して、結合特異性を有する抗体を生成することが可能なポリペプチドをコードするポリヌクレオチド、
    (f)配列番号2又は4から選択された配列からなるポリペプチドの一部を有するエピトープをコードするポリヌクレオチド、
    (g)配列番号1又は3から選択された配列からなるポリヌクレオチド、及び
    (h)上記(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)又は(g)のポリヌクレオチドに相補的なポリヌクレオチド;
    から選択されたポリヌクレオチドからなる、単離されたポリヌクレオチド。
  3. 前記ポリヌクレオチドがDNAである、請求項1に記載のポリヌクレオチド。
  4. 前記ポリヌクレオチドがDNAである、請求項2に記載のポリヌクレオチド。
  5. 前記ポリヌクレオチドがRNAである、請求項1に記載のポリヌクレオチド。
  6. 前記ポリヌクレオチドがRNAである、請求項2に記載のポリヌクレオチド。
  7. 厳しい条件下において、
    (a)ポリペプチドをコードするDNA配列、又は
    (b)ポリペプチドをコードするDNA配列の相補鎖
    (ここで、前記ポリペプチドは、配列番号第2又は4に示す配列か、又はそれらの断片か若しくは類似体から選択された配列からなる);
    のいずれかにハイブリダイズする、単離されたポリヌクレオチド。
  8. 厳しい条件下において、
    (a)ポリペプチドをコードするDNA配列、又は
    (b)ポリペプチドをコードするDNA配列の相補鎖
    (ここで、前記ポリペプチドは、配列番号第2又は4に示す配列か、又はそれらの断片か若しくは類似体から選択された配列からなる);
    のいずれかにハイブリダイズする、請求項1に記載のポリヌクレオチド。
  9. 厳しい条件下において、
    (a)ポリペプチドをコードするDNA配列、又は
    (b)ポリペプチドをコードするDNA配列の相補鎖
    (ここで、前記ポリペプチドは、配列番号2又は4から選択された配列からなる);
    のいずれかにハイブリダイズする、請求項2に記載のポリヌクレオチド。
  10. 厳しい条件下において、
    (a)ポリペプチドをコードするDNA配列、又は
    (b)ポリペプチドをコードするDNA配列の相補鎖
    (ここで、前記ポリペプチドは、配列番号2又は4に示す配列か、又はそれらの断片か若しくは類似体から選択された配列からなるポリペプチドに由来する、少なくとも10の連続するアミノ酸残基からなる);
    のいずれかにハイブリダイズする、請求項1に記載のポリヌクレオチド。
  11. 厳しい条件下において、
    (a)ポリペプチドをコードするDNA配列、又は
    (b)ポリペプチドをコードするDNA配列の相補鎖
    (ここで、前記ポリペプチドは、配列番号2又は4から選択された配列からなるポリペプチドに由来する、少なくとも10の連続するアミノ酸残基からなる);
    のいずれかにハイブリダイズする、請求項2に記載のポリヌクレオチド。
  12. 前記DNAは発現制御部位と機能が発現するように連結されている、請求項1に記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
  13. 前記DNAは発現制御部位と機能が発現するように連結されている、請求項2に記載のポリヌクレオチドを含むベクター。
  14. 請求項12に記載のベクターによりトランスフェクトされた宿主細胞。
  15. 請求項13に記載のベクターによりトランスフェクトされた宿主細胞。
  16. 前記ポリペプチドの発現に適した条件下で、請求項14に記載の宿主細胞を培養する工程を含む、ポリペプチドの生成方法。
  17. 前記ポリペプチドの発現に適した条件下で、請求項15に記載の宿主細胞を培養する工程を含む、ポリペプチドの生成方法。
  18. 下記のポリペプチド:
    (a)配列番号2、4に示す配列か、又はそれらの断片か若しくは類似体から選択された配列からなる2次ポリペプチドと、少なくとも70%の同一性を有するポリペプチド
    (b)配列番号2、4に示す配列か、又はそれらの断片か若しくは類似体から選択された配列からなる2次ポリペプチドと、少なくとも80%の同一性を有するポリペプチド
    (c)配列番号2、4に示す配列か、又はそれらの断片か若しくは類似体から選択された配列からなるアミノ酸配列を有する2次ポリペプチドと、少なくとも95%の同一性を有するポリペプチド、
    (d)配列番号2、4に示す配列か、又はそれらの断片か若しくは類似体から選択された配列からなるポリペプチド、
    (e)配列番号2、4に示す配列か、又はそれらの断片か若しくは類似体から選択された配列からなるポリペプチドに対して、結合特異性を有する抗原を生成することが可能なポリペプチド、
    (f)配列番号2、4に示す配列か、又はそれらの断片か若しくは類似体から選択された配列からなるポリペプチドの一部を有するエピトープ、
    (g)N末端のメチオニン残基が欠失した上記(a)、(b)、(c)、(d)、(e)又は(f)に記載のポリペプチド、及び
    (h)分泌アミノ酸配列が欠失した上記(a)、(b)、(c)、(d)、(e)又は(f)に記載のポリペプチド;
    から選択されたポリペプチドからなる、単離されたポリペプチド。
  19. 下記のポリペプチド:
    (a)配列番号2又は4から選択された配列からなるアミノ酸配列を有する2次ポリペプチドと、少なくとも70%の同一性を有するポリペプチド、
    (b)配列番号2又は4から選択された配列からなるアミノ酸配列を有する2次ポリペプチドと、少なくとも80%の同一性を有するポリペプチド、
    (c)配列番号2又は4から選択された配列からなるアミノ酸配列を有する2次ポリペプチドにと、少なくとも95%の同一性を有するポリペプチド、
    (d)配列番号2又は4から選択された配列からなるポリペプチド、
    (e)配列番号2又は4から選択された配列からなるポリペプチドに対して、結合特異性を有する抗原を生成することが可能なポリペプチド、
    (f)配列番号2又は4から選択された配列からなるポリペプチドの一部を有するエピトープ、
    (g)N末端のメチオニン残基が欠失した上記(a)、(b)、(c)、(d)、(e)又は(f)に記載のポリペプチド、及び
    (h)分泌アミノ酸配列が欠失した上記(a)、(b)、(c)、(d)、(e)又は(f)に記載のポリペプチド;
    から選択されたポリペプチドからなる、単離されたポリペプチド。
  20. 配列番号2、4に示す配列、又はそれらの断片か若しくは類似体から選択された配列を有するポリペプチドを2又はそれ以上含み、キメラポリペプチドを形成するように該ポリペプチドを連結して提供された、キメラポリペプチド。
  21. 配列番号2又は4に示す配列から選択された配列を有するポリペプチドを2又はそれ以上含み、キメラポリペプチドを形成するように該ポリペプチドを連結して提供された、キメラポリペプチド。
  22. 請求項18から21のいずれか1つの請求項に記載のポリペプチドと、薬学的に受容可能な担体、希釈液、又はアジュバントを含む薬剤組成物。
  23. モラクセラMoraxella)感染を受けやすい宿主に、請求項22に記載の組成物を予防又は治療に必要な量を投与する工程を含む、モラクセラ感染の予防又は治療方法。
  24. 前記宿主が新生児、幼児、又は子供である、請求項23に記載の方法。
  25. 前記宿主が免疫不全宿主である、請求項23に記載の方法。
  26. 前記宿主が成人である、請求項23に記載の方法。
  27. 前記宿主に請求項22に記載の組成物を予防又は治療に必要な量を投与する工程を含む、中耳炎、副鼻腔炎、慢性咳、急性喉頭炎、化膿性角膜炎、新生児(neonatorum)の結膜炎、侵入性疾病の予防又は治療方法。
  28. 下記の工程;
    (a)宿主から生体サンプルを得る工程、
    (b)請求項18から21のいずれか1つの請求項に記載のポリペプチドに反応性を示す抗体又はその断片を、生体サンプルと共にインキュベートして、混合物を生成する工程、及び
    (c)モラクセラの存在を示す混合物中で、特異的に結合した抗体又は結合した断片を検出する工程;
    からなる、モラクセラ感染を受けやすい宿主における、モラクセラ感染の診断方法。
  29. 下記の工程;
    (a)宿主から生体サンプルを得る工程、
    (b)請求項18から21のいずれか1つの請求項に記載のポリペプチド又はその断片を一つ又はそれ以上、生体サンプルと共にインキュベートして、混合物を生成する工程、及び
    (c)モラクセラに特異的な抗体の存在を示す混合物中で、特異的に結合した抗原又は結合した断片を検出する工程;
    からなる、前記抗体を含むか又は含むと思われる生体サンプルにおける、モラクセラ抗原に特異的な抗体の検出方法。
  30. モラクセラ感染の予防又は治療処理用の薬剤を製造において、請求項22に記載の薬剤組成物を使用する方法。
  31. 請求項18から21のいずれか1つの請求項に記載のポリペプチドを含む、モラクセラ感染の検出又は診断用のキット。
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