JP2005507237A - インターフェロン−アルファ誘導性遺伝子 - Google Patents

インターフェロン−アルファ誘導性遺伝子 Download PDF

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ドロン、ミシェル
トヴィー、マイケル、ジェラード
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Abstract

本発明は、配列番号1のcDNA配列に対応する、インターフェロン−α投与によりアップレギュレートされる遺伝子の同定に関する。この遺伝子の発現産物の測定は、インターフェロン−α、および1型インターフェロン受容体で作用する他のインターフェロンを用いる治療に対する応答性を予測するのに有用であると言われている。同じ遺伝子によりコードされるタンパク質の治療的使用も企図される。

Description

【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、そのコード配列が従来は未知であると考えられる、インターフェロン−α(IFN−α)投与によりアップレギュレートされるヒト遺伝子の同定に関する。この遺伝子の発現産物の検出は、IFN−α、および1型インターフェロン受容体で作用する他のインターフェロンに対する応答性を予測するのに有用であり得る。同じ遺伝子によりコードされる単離された新規タンパク質の治療的使用も企図される。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
IFN−αは、多くの疾患の治療で広く使用されている。IFN−αを使用して治療される疾患には、新生物疾患(例えば、白血病、リンパ腫、および固形腫瘍)、AIDS関連カポジ肉腫、およびウイルス感染症(例えば、慢性肝炎)がある。IFN−αはまた、自己免疫疾患、マイコバクテリウム疾患、神経変性疾患、寄生体疾患、およびウイルス疾患の治療のために、口粘膜経路による投与が提唱されている。特にIFN−αは、例えば、多発性硬化症、らい病、結核、脳炎、マラリア、子宮頚癌、陰部ヘルペス、B型肝炎とC型肝炎、HIV、HPVおよびHSV−1と2の治療について提唱されている。これはまた、関節炎、ループスおよび糖尿病の治療についても示唆されている。新生物疾患、例えば、多発性骨髄腫、ヘアリーセル白血病、慢性骨髄性白血病、低グレードリンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、カルチノイド腫瘍、子宮頚癌、肉腫(例えばカポジ肉腫)、腎腫瘍、癌(腎細胞癌、肝細胞癌、上咽頭癌、血液癌、結腸直腸癌、神経膠芽細胞腫、喉頭パピローマ、肺癌、結腸癌、悪性黒色腫、および脳腫瘍を含む)もまた、口粘着経路(すなわち、経口および鼻内経路)によるIFN−αの投与により治療可能であることが示唆されている。
【0003】
IFN−αは、1型インターフェロンファミリーのメンバーであり、1型インターフェロン受容体との相互作用を介してその特徴的な生物活性を示す。他の1型インターフェロンには、IFN−β、IFN−ω、およびIFN−τがある。
【0004】
残念ながら、インターフェロン−αのような1型インターフェロンによる治療の必ずしもすべての候補患者(例えば、慢性ウイルス肝炎、新生物疾患、および再発性弛緩性多発性硬化症の患者)が、1型インターフェロン療法に良好に応答することはなく、また応答する患者のうちほんの一部のみが長期的効果を示す。医師が1型インターフェロンの治療の結果を自信を持って予測できないことは、そのような治療のコスト−利益比に関して、治療の膨大な生物薬学的時間と失われた時間の無駄のみでなく、患者が受ける重大な副作用の点からも、重大な問題を提起している。さらに、IFN−αの異常産生は、多くの自己免疫疾患を引き起こすことが証明されている。これらの理由のために、1型インターフェロンは多くの遺伝子の発現を調節して治療作用を示すため、1型インターフェロン応答性遺伝子の同定に大きな関心が寄せられている。実際、患者が治療にうまく応答するかいなかを決定するのは、1型インターフェロン治療により誘導される遺伝子発現の特異的パターンである。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
(発明の要約)
ヒト遺伝子cDNAは現在、口粘膜経路または腹腔内経路によるIFN−αの投与によりアップレギュレートされるマウス遺伝子に対応するとして同定されている。従って対応するヒト遺伝子は、IFN−αアップレギュレート遺伝子と呼ばれる。
【0006】
同じ遺伝子によりコードされるタンパク質を、以後HuIFRG55.1タンパク質と呼ぶ。このタンパク質およびその機能性変種は現在、特に抗ウイルス剤、抗腫瘍剤、または免疫調節剤として使用するための治療薬として企図される。例えばこれらは、自己免疫疾患、マイコバクテリウム疾患、神経変性疾患、寄生体疾患、またはウイルス疾患、関節炎、糖尿病、ループス、多発性硬化症、らい病、結核、脳炎、マラリア、子宮頚癌、陰部ヘルペス、B型肝炎またはC型肝炎、HIV、HPV、HSV−1または2、または新生物疾患、例えば、多発性骨髄腫、ヘアリーセル白血病、慢性骨髄性白血病、低グレードリンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、カルチノイド腫瘍、子宮頚癌、肉腫(例えばカポジ肉腫)、腎腫瘍、癌(腎細胞癌、肝細胞癌、上咽頭癌、血液癌、結腸直腸癌、神経膠芽細胞腫、喉頭パピローマ、肺癌、結腸癌、悪性黒色腫、および脳腫瘍を含む)の治療で使用してもよい。すなわち、そのようなタンパク質は、1型インターフェロンで治療可能な疾患を治療するのに有用であり得る。
【0007】
1型インターフェロン治療患者(例えば、IFN−αを用いて、例えば口粘膜経路または非経口経路により治療される患者)の細胞試料中の、HuIFRG55.1タンパク質その天然に存在する変種、または対応するmRNAの測定もまた、そのような治療に対する応答性を予測するのに使用される。あるいは、かつさらに好ましくは、そのような応答性は、例えばヒト末梢血単核細胞の試料を1型インターフェロンでインビトロで処理し、HuIFRG55.1遺伝子に対応する発現産物(好ましくはmRNA)のアップレギュレーションまたはダウンレギュレーションを調べることにより、判定される。
【0008】
本発明の第1の面において:
(i)配列番号2のアミノ酸配列;
(ii)実質的に類似の機能、例えば免疫調節活性および/または抗ウイルス活性および/または抗腫瘍活性を有する、その変種;または
(iii)実質的に類似の機能、例えば免疫調節活性および/または抗ウイルス活性および/または抗腫瘍活性を保持する(i)または(ii)の断片、
を含む単離されたポリペプチドが提供される。
【0009】
本発明はまた、ヒトまたは非ヒト動物の治療で使用するための、さらに詳しくは抗ウイルス剤、抗腫瘍剤または免疫調節剤として使用するための、そのようなタンパク質を提供する。上記したように、そのような使用は、任意の1型インターフェロンで治療可能な疾患を包含してもよい。
【0010】
本発明の別の面において、上記の本発明のポリペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチドまたはその相補体が提供される。そのようなポリヌクレオチドは典型的には、以下を含む配列を含む:
(a)配列番号1の核酸、またはそのコード配列および/またはそれに相補的な配列;
(b)例えば厳密性条件下で、(a)で定義した配列に相補的な配列にハイブリダイズする配列;
(c)遺伝コードの結果として、(a)または(b)で定義した配列と縮重した配列;
(d)(a)、(b)または(c)で定義した配列と、少なくとも60%の同一性を有する配列。
【0011】
本発明はまた、以下を提供する:
− 本発明のポリヌクレオチドを含み、本発明のポリペプチドを発現することができる発現ベクター;
− 本発明の発現ベクターを含有する宿主細胞;
− 本発明のポリペプチドに特異的な抗体;
− 1型インターフェロンで治療可能な疾患を有する被験体の治療法であって、該患者に、有効量のHuIFRG55.1タンパク質またはその機能性変種を投与することを含む方法;
− 抗ウイルス剤または抗腫瘍剤または免疫調節剤として治療に使用するための、さらに詳しくは1型インターフェロンで治療可能な疾患の治療に使用するための薬剤の製造における、そのようなポリペプチドの使用;
− 本発明のポリペプチドと薬剤学的に許容される担体もしくは希釈剤を含む医薬組成物;
− 本発明のポリペプチドの産生方法であって、本発明の宿主細胞を、ポリペプチドの発現を得るのに適した条件下で維持し、該ポリペプチドを単離することを含む方法;
− ヒトまたは非ヒト動物の治療的処置で使用するための、さらに詳しくは抗ウイルス剤、抗腫瘍剤または免疫調節剤として使用するための、上記で定義したポリペプチドのインビボ発現を指令する、例えば発現ベクターの形の本発明のポリヌクレオチド;
− そのようなポリヌクレオチドと薬剤学的に許容される担体もしくは希釈剤を含む医薬組成物;
− 1型インターフェロンで治療可能な疾患を有する被験体の治療法であって、有効量のそのようなポリヌクレオチドを該患者に投与することを含む方法;
− 抗ウイルス剤、抗腫瘍剤または免疫調節剤として治療に使用するための、さらに詳しくは1型インターフェロンで治療可能な疾患の治療に使用するための、薬剤例えばベクター調製物の製造における、そのようなポリヌクレオチドの使用;
− 免疫調節活性および/または抗ウイルス活性および/または抗腫瘍活性を有する化合物の同定方法であって、HuIFRG55.1タンパク質またはその天然に存在する変種を発現することができる細胞を提供し、該細胞を試験化合物とともにインキュベートし、HuIFRG55.1遺伝子発現のアップレギュレーションを追跡することを含む方法。
【0012】
さらに別の面において本発明は、患者からの細胞試料(例えば血液試料)中の、HuIFRG55.1タンパク質またはその天然に存在する変種(例えばアレレ変種)、または対応するmRNAのレベルを測定することを含んでなる、1型インターフェロンを用いる治療、例えばIFN−α治療(例えば、口粘膜経路または非経口経路、例えば静脈内、皮下、または筋肉内経路によるIFN−α治療)に対する患者の応答性を予測する方法であって、該試料は、1型インターフェロン(例えばIFN−α)の投与(例えば、口粘膜経路または静脈内経路)後に該患者から得られるか、または該測定の前に、1型インターフェロン(例えば、IFN−α)でインビトロで処理される、上記方法が提供される。本発明はまた、そのような試験を実施するためのキットを包含する。
【0013】
(配列の簡単な説明)
配列番号1は、ヒトタンパク質HuIFRG55.1のアミノ酸配列とそのコードするcDNAである。
配列番号2は、HuIFRG55.1タンパク質のアミノ酸配列単独である。
【0014】
(発明の詳細な説明)
上記したようにヒトタンパク質HuIFRG55.1とその機能性変種は現在、治療的に有用な物質として、さらに詳しくは抗ウイルス剤、抗腫瘍剤、または免疫調節剤としての使用が企図される。
【0015】
この目的のためにHuIFRG55.1タンパク質の変種は、HuIFRG55.1タンパク質と実質的に同じ機能活性を有し、IFN−αの投与に応答してアップレギュレートされる、天然に存在する変種(アレレ変種または種変種)でもよい。あるいは治療用途のHuIFRG55.1タンパク質の変種は、配列番号2とは異なるが非天然の変異体である配列を含んでよい。
【0016】
「機能性変種」という用語は、HuIFRG55.1タンパク質の基本的機能と基本的に同じ性質を有するポリペプチドを意味する。HuIFRG55.1タンパク質の基本的性質は、免疫調節ペプチドであると見なされる。機能性変種ポリペプチドは、追加的にまたは代替的に、抗ウイルス活性および/または抗腫瘍活性を示す。
【0017】
所望の抗ウイルス活性は、例えば以下のように試験または追跡される。試験すべき変種をコードする配列は、ウイルスパッケージングシグナルψおよび薬剤耐性マーカーを含有する、モロニーマウス白血病ウイルス(MoMuLV)から得られるレトロウイルスベクターのようなレトロウイルスベクター中にクローン化される。ウイルスgagおよびpol遺伝子を含有する向汎性パッケージング細胞株は、次に組換えレトロウイルスベクターおよびプラスミドpVSV−G(水疱性口内炎ウイルスエンベロープ糖タンパク質を含有する)と同時トランスフェクションされて、高力価の感染性複製不能ウイルスが産生される(バーンズ(Burns)ら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 84, 5232-5236)。次に感染性組換えウイルスを使用して、インターフェロン感受性繊維芽細胞またはリンパ芽球細胞をトランスフェクションし、次に変種タンパク質を安定に発現する細胞株を選択し、標準的インターフェロンバイオアッセイでウイルス感染に対する耐性について試験する(トベイ(Tovey)ら、Nature, 271, 622-625, 1978)。標準的増殖測定法(モスマン(Mosmann, T.)、J. Immunol. Methods, 65, 55-63, 1983)を使用する増殖阻害と、標準的方法を使用するMHCクラスIおよびクラスIIの発現を調べてもよい。
【0018】
HuIFRG55.1の所望の機能性変種は、基本的に配列番号2の配列からなる。配列番号2の機能性変種は、少なくとも20、好ましくは少なくとも30、例えば少なくとも100の連続アミノ酸の領域にわたって、または配列番号2の完全長にわたって、配列番号2のアミノ酸配列と、少なくとも60%〜70%の同一性、好ましくは少なくとも80%または少なくとも90%および特に好ましくは少なくとも95%、少なくとも97%または少なくとも99%の同一性を有するポリペプチドでもよい。タンパク質の同一性を測定する方法は、当該分野で公知である。
【0019】
例えば1、2、または3から10、20または30置換のアミノ酸置換を作成してもよい。例えば、以下の表に従って保存的置換を作成してもよい。2列目の同じブロック中、および好ましくは3列目の同じ行のアミノ酸は、互いに置換できる。
【0020】
Figure 2005507237
【0021】
本発明の治療で使用される変種ポリペプチド配列は、より短いポリペプチド配列、例えば長さが少なくとも20アミノ酸のペプチドでもよく、または50、60、70、80、100、150または200アミノ酸までの長さも、HuIFRG55.1タンパク質の適切な生物活性を保持する限り、本発明の範囲内にあると考えられる。特に(しかし、排他的ではない)本発明のこの面は、変種が、完全な天然に存在するタンパク質配列の断片である時を包含する。
【0022】
また、抗HuIFRG55.1タンパク質抗体を作成するのに使用することができるHuIFRG55.1タンパク質の修飾型およびその断片も、本発明に包含される。そのような変種は、HuIFRG55.1タンパク質のエピトープを含むであろう。
【0023】
本発明のポリペプチドは、化学的に修飾(例えば、翻訳的に修飾)してもよい。例えばこれらは、グリコシル化されるかおよび/または修飾アミノ酸残基を含有してもよい。これらはまた、N末端および/またはC末端で配列の付加により、例えばその精製を助けるためにヒスチジン残基またはT7標識の提供により、または細胞膜への挿入を促進するためにシグナル配列の付加により、修飾してもよい。そのような修飾ポリペプチドは、本発明の「ポリペプチド」という用語の範囲に含まれる。
【0024】
本発明のポリペプチドは、露出性の標識物で標識してもよい。露出性の標識物は、ポリペプチドが検出されることを可能にする任意の適切な標識物である。適切な標識物には、ラジオアイソトープ(例えば、125I、35S)、または酵素、抗体、ポリヌクレオチド、およびリンカー(例えば、ビオチン)がある。本発明の標識ポリペプチドは、アッセイで使用してもよい。そのようなアッセイにおいて、固体支持体に結合したポリペプチドを提供することが好ましい。本発明はまた、容器中のキットの形でパッケージングされたそのような標識したおよび/または固定化したポリペプチドに関する。キットは場合により、他の適切な試薬、対照、または説明書などを含有してもよい。
【0025】
本発明のポリペプチドは、合成法または組換え法により作成してもよい。本発明のそのようなポリペプチドは、天然に存在しないアミノ酸(例えばDアミノ酸)を含むように修飾してもよい。本発明の変種ポリペプチドは、インビトロおよび/またはインビボでの安定性を上昇させるための修飾を有してもよい。ポリペプチドが合成法により産生される時、そのような修飾は、産生中に導入される。ポリペプチドはまた、合成または組換え産生後に、修飾してもよい。
【0026】
タンパク質修飾分野では、多くの側鎖修飾が公知であり、本発明のポリペプチド中に存在してもよい。そのような修飾には、例えばアルデヒドと反応し次にNaBH4で還元させる還元的アルキル化によるアミノ酸の修飾、メチルアセトイミデートによるアミジノ化、または無水酢酸によるアシル化がある。
【0027】
本発明のポリペプチドは、実質的に単離した型である。ポリペプチドは、ポリペプチドの目的を妨害しない担体または希釈剤と混合してもよく、それでも実質的に単離されていると見なされる。本発明のポリペプチドはまた、実質的に精製された型で、一般に調製物中90重量%より多く、例えば95、98または99重量%より多いポリペプチドが本発明のポリペプチドである調製物中のポリペプチドを含む。
【0028】
ポリヌクレオチド
本発明はまた、HuIFRG55.1タンパク質またはその変種をコードする単離されたヌクレオチド配列、ならびにこれに相補的な単離されたヌクレオチド配列を含む。ヌクレオチド配列は、DNAまたはRNA、1本鎖または2本鎖(ゲノムDNA、合成DNA、cDNAを含む)でもよい。好ましくはヌクレオチド配列は、DNA配列であり、最も好ましくはcDNA配列である。
【0029】
前記したように、そのようなポリヌクレオチドは典型的には:
(a)配列番号1の核酸、またはそのコード配列、および/またはそれに相補的な配列;
(b)例えば厳密性条件下で、(a)で定義した配列に相補的な配列にハイブリダイズする配列;
(c)遺伝コードの結果として(a)または(b)で定義した配列と縮重した配列;
(d)(a)、(b)、または(c)で定義した配列と少なくとも60%の同一性を有する配列、
からなる配列を含むであろう。
【0030】
適切なコード配列を含むポリヌクレオチドは、ヒト細胞から単離されるか、または例えばサムブルーク(Sambrook)ら(1989)モレキュラークローニング、実験室マニュアル、第2版、コールドスプリングハーバーラボラトリープレス(Cold Spring Harbor Laboratory Press)に記載のような、当該分野で公知の方法に従って合成される。
【0031】
本発明のポリヌクレオチドは、その中に合成または修飾ヌクレオチドを含有してもよい。ポリヌクレオチドへの多くの異なる型の修飾が当該分野で公知である。それらには、メチルホスフォネートおよびホスホチオエート骨格、分子の3'末端および/または5'末端のアクリジンまたはポリリジン鎖の付加がある。そのような修飾は、本発明のポリヌクレオチドのインビボ活性の上昇または寿命の延長のために行われる。
【0032】
典型的には本発明のポリヌクレオチドは、ヌクレオチド配列を含有し、これは好ましくはヌクレオチドの連続的配列であり、選択的条件下で配列番号1のコード配列またはコード配列の相補体にハイブリダイズすることができる。そのようなハイブリダイゼーションは、バックグランドより有意に高いレベルで起きるであろう。バックグランドハイブリダイゼーションは、例えばcDNAライブラリー中に存在する他のcDNAにより起きるかも知れない。本発明のポリヌクレオチドと配列番号1のコード配列またはコード配列の相補体との間の相互作用により生成するシグナルレベルは、他のポリヌクレオチドと配列番号1のコード配列との間の相互作用より、典型的には少なくとも10倍、好ましくは少なくとも100倍強い。相互作用の強度は、例えばプローブを例えば32Pで放射能標識して測定される。選択的ハイブリダイゼーションは、典型的には低い厳密性(約40℃の0.3M塩化ナトリウムと0.03Mクエン酸ナトリウム)、中程度の厳密性(例えば、約50℃の0.3M塩化ナトリウムと0.03Mクエン酸ナトリウム)、または高い厳密性(例えば、約60℃の0.03M塩化ナトリウムと0.03Mクエン酸ナトリウム)の条件下で行われる。
【0033】
配列番号1のコード配列は、ヌクレオチド置換(例えば1、2または3から10、25、50または100の置換)により修飾してもよい。縮重置換が行われるかおよび/または、修飾配列が例えば上記表に示すように翻訳された時、保存的アミノ酸置換が起きるような置換が行われてもよい。配列番号1のコード配列は、代替的にまたは追加的に、1つ以上の挿入および/または欠失および/または一端または両端での伸長により修飾されてよい。
【0034】
配列番号1から選択されたDNA配列、そのコード配列、およびそれに相補的なDNA配列に選択的にハイブリダイズすることができる本発明のポリヌクレオチドは、標的配列に一般的に少なくとも70%、好ましくは少なくとも80%または90%およびさらに好ましくは少なくとも95%または97%相同的である。この相同性は、典型的には少なくとも20、好ましくは少なくとも30、例えば少なくとも40、60または100またはそれ以上の連続的ヌクレオチドの領域にわたる。
【0035】
上記の相同性の程度と最小のサイズの任意の組合せは本発明のポリヌクレオチドを定義するのに使用され、より厳密な組合せ(すなわち、より長い長さにわたってより高い相同性)が好ましい。すなわち例えば25、好ましくは30ヌクレオチド以上にわたって少なくとも80%の相同性のポリヌクレオチドが適当であり、40ヌクレオチドにわたって少なくとも90%の相同性のポリヌクレオチドが同様に好ましい。
【0036】
本明細書に記載のポリヌクレオチドまたはタンパク質配列の同族体は、相同性計算の公知の手段によって決定され、例えばタンパク質相同性は、アミノ酸同一性(時に「ハード(hard)相同性」と呼ばれる)に基づき計算される。例えばUWGCGパッケージは、相同性を計算するのに使用できるBESTFITプログラムを提供する(例えば、そのデファオルト設定に基づき使用される)(デベロー(Devereux)ら、(1984) Nucleic Acids Research 12, 387-395)。例えばアルツチュル・エス・エフ(Altschul S.F.)(1993) J. Mol. Evol. 36, 290-300;アルツチュル・エス・エフ(Altschul S.F.)ら(1993) J. Mol. Biol. 215, 403-10に記載のように、相同性またはラインアップ配列を計算するのにまたは同等のまたは対応する配列を同定するのに、PILEUPおよびBLASTアルゴリズムを、そのデファオルト設定に基づき使用することができる。
【0037】
BLAST解析を行うためのソフトウェアは、ナショナル・センター・フォー・バイオテクノロジー・インフォメーション(National Center for Biotechnology Information)(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)から公に入手できる。このアルゴリズムは、データベース配列中の同じ長さの単語と並べた時、ある正の閾値スコアTに一致するかまたは満足する問題の配列中の長さWの短い単語を同定することにより、まず高スコア配列対(HSPs)を同定する。Tは、近隣単語スコア閾値と呼ばれる(アルツチュル(Altschul)ら、前述)。これらの近隣単語ヒットは、それらを含むHSPsを見つけるための検索を開始するための元になる。単語ヒットは、累積整列スコアが増加する限り、各配列に沿って両方向に伸長される。各方向の単語ヒットの延長は、以下の時停止する:累積整列スコアが、その最大達成値から量Xだけ低下した時;1つ以上の負のスコアの残基整列の蓄積により、累積スコアがゼロまたはそれ以下になった時;またはいずれかの配列の末端に到達した時。BLASTアルゴリズムパラメータW、TおよびXは、整列の感度と速度を決定する。BLASTプログラムは、デフォルト値として、単語長さ(W)が11、BLOSUM62スコアリングマトリックス(ヘニコフ(Henikoff)とヘニコフ(Henikoff)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89, 10915-10919)整列(B)が50、予測(E)が10、M=5、N=4を使用し、および両方の鎖の比較を使用する。
【0038】
BLASTアルゴリズムは、2つの配列の間の類似性の統計解析を行う;例えば、カーリン(Karlin)とアルツチュル(Altschul)Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:5873-5787を参照。BLASTアルゴリズムにより提供される類似性の1つの尺度は、最も小さい和確率(P(N))であり、これは、2つのヌクレオチドまたはアミノ酸配列の一致が偶然起きる確率を示す。例えば第1の配列と第2の配列との比較における最も小さい和確率が約1未満、好ましくは約0.1未満、さらに好ましくは約0.01未満、および最も好ましくは約0.001未満なら、その配列は別の配列と同様であると見なされる。
【0039】
本発明のポリヌクレオチドは、本発明のタンパク質の産生において有用であり、これは、インビトロ、インビボ、またはエクスビボで起きる。そのようなポリヌクレオチドにおいて、本発明の所望のタンパク質のコード配列は、選択された宿主細胞中の所望のタンパク質の発現を指令することができるプロモーター配列に機能できる形で結合しているであろう。そのようなポリヌクレオチドは一般的に、発現ベクターの形にある。免疫調節活性および/または抗ウイルス活性および/または抗腫瘍活性を有する本発明のポリペプチドのインビボの発現を指令する本発明のポリヌクレオチド(例えば発現ベクターの形)は、治療薬としても使用される。
【0040】
そのような目的の発現ベクターは、組換えDNA技術の分野で一般的な方法に従って構築される。これらは、例えばプラスミドDNAの使用を含む。これらは、複製開始点とともに提供される。そのようなベクターは、1つ以上の選択マーカー遺伝子、例えば細菌プラスミドの場合はアンピシリン耐性遺伝子を含有してもよい。本発明のベクターの他の特徴は、適切なイニシエーター、エンハンサーおよび他の要素(例えば、好ましくかつ正しい配向で位置しているポリアデニル化シグナル)を含有して、タンパク質発現を可能にする。他の適当な非プラスミドベクターは、当業者に公知であろう。この点でさらに例として、サムブルーク(Sambrook)ら1989(前述)を再度参照されたい。そのようなベクターは、例えばウイルスベクターを追加的に含有してもよい。適当なウイルスベクターの例には、単純ヘルペスウイルスベクター、複製欠損レトロウイルス(レンチウイルスを含む)、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、HPVウイルス(例えば、HPV−16とHVP−18)および弱毒化インフルエンザウイルスベクターがある。
【0041】
プロモーターおよび他の発現制御シグナルは、発現が計画される宿主細胞に適合性があるように選択される。例えば酵母プロモーターには、エス・セレビッシェ(S. cerevisiae)GAL4やADHプロモーター、エス・ポンベ(S. pombe)nmt1およびadhプロモーターがある。哺乳動物プロモーターには、重金属(例えば、カドミウム)に応答して誘導されるメタロチオネインプロモーターおよびβ−アクチンプロモーターがある。SV40ラージT抗原プロモーター、またはアデノウイルスプロモーターのようなウイルスプロモーターも使用される。使用可能なウイルスプロモーターの他の例には、モロニーマウス白血病ウイルス末端繰返し配列(MMLV LTR)、ラウス肉腫ウイルス(RSV)LTRプロモーター、ヒトサイトメガロウイルス(CVM)IEプロモーター、およびHPVプロモーター、特にHPV上流制御領域(URR)がある。他の適当なプロモーターは、組換えDNA分野の当業者に公知である。
【0042】
本発明の発現ベクターは、さらに真核生物ゲノム配列、好ましくは哺乳動物ゲノム配列、またはウイルスゲノム配列に相補的配列を提供する本発明の所望のポリペプチドのためのコード配列の両側に位置する配列を含む。これは、相同的組換えによる真核生物細胞またはウイルスのゲノム内への本発明のそのようなポリヌクレオチドの導入を可能にする。特に、ウイルス配列が両側に位置する発現カセットを含むプラスミドベクターを使用して、本発明のポリヌクレオチドを哺乳動物細胞に送達するのに適したウイルスベクターが調製される。
【0043】
本発明はまた、HuIFRG55.1タンパク質またはその変種を発現するように修飾されたインビトロの細胞、例えば原核生物細胞または真核生物細胞を含む。そのような細胞は、安定な、例えば真核生物細胞株を含み、ここでHuIFRG55.1タンパク質またはその変種をコードするポリヌクレオチドは、宿主のゲノム内に取り込まれる。本発明の宿主細胞は、哺乳動物細胞または昆虫細胞、下等真核生物細胞(例えば酵母)、または原核生物細胞(例えば、細菌細胞)でもよい。本発明のポリペプチドをコードするベクターの挿入により修飾される細胞の具体的な例には、哺乳動物HEK293T、CHO、HeLaおよびCOS細胞がある。好ましくは細胞株は、安定なだけでなく、ポリペプチドの成熟したグリコシル化を可能にするものが選択される。発現は、例えば、形質転換された卵母細胞中で行われる。
【0044】
本発明のポリペプチドは、トランスジェニック非ヒト動物、好ましくはマウスの細胞で発現される。本発明のポリペプチドを発現するすることができるトランスジェニック非ヒト動物は、本発明の範囲に含まれる。
【0045】
本発明のポリヌクレオチドはまた、アンチセンス配列の産生を提供することができるように、アンチセンス配向で上記のベクター中に挿入される。アンチセンスRNAまたは他のアンチセンスポリヌクレオチドもまた、合成手段により産生される。
【0046】
ヒトまたはヒトではない動物の治療に使用される、配列番号2で定義されるアミノ酸配列のコード配列またはその天然に存在する変種のアンチセンスをインビボで発現することができる、例えば発現ベクターの形の、ポリヌクレオチドもまた、本発明の追加の面を構成することが企図される。そのようなポリヌクレオチドは、HuIFRG55.1タンパク質のアップレギュレーションに関連する疾患の治療に有用であろう。
【0047】
本発明のポリヌクレオチドは、本発明のポリペプチドのcDNA内の配列を標的とする核酸増幅のためのプライマーのセット、またはPCR増幅のためのプライマー対を包含する。本発明はまた、本発明のポリペプチドのcDNAまたはRNA内の配列を標的とするのに適したプローブを提供し、これは、露出性の標識物、例えば放射能標識物または非放射能標識物(例えば、酵素またはビオチン)で標識されてよい。そのようなプローブは、固体支持体に結合してもよい。そのような固体支持体は、さらなる核酸(例えば、他の1型インターフェロンアップレギュレートされた遺伝子、例えばIFN−αの口腔粘膜または静脈内投与に応答してアップレギュレートされるとして同定される遺伝子に対応する、mRNAまたはその増幅産物)のプローブを運搬するマイクロアレイ(一般的に核酸、プローブまたはDNAチップとも呼ばれる)でもよい。そのようなマイクロアレイを構築する方法は公知である(例えば、アフィマックス・テクノロジーズ(Affymax Technologies)N.V.のEP−B0476014号および0619321号、および Nature Genetics 増刊、1999年1月号、標題「チッピング予測」を参照)。
【0048】
そのようなプライマーまたはプローブの核酸配列は、好ましくは少なくとも10、好ましくは少なくとも15または少なくとも20、例えば少なくとも25、少なくとも30または少なくとも40ヌクレオチドの長さである。しかしこれは、最大40、50、60、70、100または150ヌクレオチドの長さまたはそれ以上でもよい。
【0049】
本発明の別の面は、HuIFRG55.1遺伝子中の突然変異(例えば、単一のヌクレオチド多型(SNPs))を同定するための本発明のプローブまたはプライマーの使用である。
【0050】
前記したように、別の面において本発明は、HuIFRG55.1タンパク質または天然に存在するその変種を発現することができる細胞を提供し、該細胞を試験化合物とインキュベートし、HuIFRG55.1遺伝子発現のアップレギュレーションを追跡することを含む、免疫調節活性および/または抗ウイルス活性および/または抗腫瘍活性を有する化合物の同定方法を提供する。そのような追跡は、HuIFRG55.1タンパク質またはその天然に存在する変種をコードするmRNAをプローブ結合することにより行われる。あるいは1つ以上のHuIFRG55.1および天然に存在する変種の1つ以上に特異的に結合することができる抗体または抗体断片も使用される。
【0051】
抗体
別の面において本発明はまた、従来法により得られ、かつ本発明のポリペプチドに特異的な抗体(例えば、ポリクローナル抗体または好ましくはモノクローナル抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体と抗原結合能を保持するその断片)に関する。そのような抗体は、例えば、免疫沈降を含む精製、単離またはスクリーニング法に有用であり、HuIFRG55.1タンパク質またはその変種の機能をさらに解明するための手段として使用されるであろう。これらは、それ自身が治療薬であり得る。そのような抗体は、本発明のタンパク質の特異的エピトープに対して作成される。抗体は、あるタンパク質に高親和性で結合するが、他のタンパク質には結合しないかまたは低親和性で結合する時、そのタンパク質に特異的に結合する。抗体の特異的結合能を測定するための競合的結合アッセイまたは免疫放射アッセイのための種々のプロトコールが知られている。
【0052】
医薬組成物
本発明のポリペプチドは典型的には、薬剤学的に許容される担体もしくは希釈剤とともに投与するために製剤化される。この薬剤学的に許容される担体もしくは希釈剤は、例えば等張溶液でもよい。例えば固体経口剤は、活性化合物とともに、希釈剤、例えば乳糖、デキストロース、サッカロース、セルロース、コーンスターチまたはポテトスターチ;滑沢剤、例えばシリカ、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウムまたはカルシウム、および/またはポリエチレングリコール;結合剤、例えばデンプン、アラビアゴム、ゼラチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースまたはポリビニルピロリドン;崩壊剤、例えばデンプン、アルギン酸、アルギン酸塩またはナトリウムデンプングリコレート;発泡剤;色素;甘味剤;湿潤剤、例えばリシチン、ポリソルベート、ラウリル硫酸塩;および一般的に、製剤で使用される非毒性かつ薬学的不活性な物質を含有する。そのような医薬調製物は、公知の方法で製造され、例えば混合、造粒法、打錠法、糖衣、またはフィルムコーティングプロセスで製造される。
【0053】
経口投与用の液体分散物は、シロップ剤、乳剤および懸濁剤でもよい。シロップ剤は、担体として、例えばサッカロースまたはグリセリンおよび/またはマンニトールおよび/またはソルビトールとともにサッカロースを含有してもよい。
【0054】
懸濁剤と乳剤は、担体として例えば天然ゴム、寒天、アルギン酸ナトリウム、ペクチン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、またはポリビニルアルコールを含有してもよい。筋肉内注射のための懸濁剤または溶液剤は、活性化合物とともに、薬剤学的に許容される担体、例えば無菌水、オリーブ油、オレイン酸エチル、グリコール、例えばプロピレングリコール、および所望であれば、適切な量の塩酸リドカインを含有してもよい。
【0055】
静脈内投与または点滴用の溶液は、担体として例えば無菌水を含有してもよく、または好ましくはこれらは、無菌、水性、等張の食塩水の形でもよい。
【0056】
本発明で使用されるHuIFRG55.1タンパク質またはその機能的類似体の適切な用量は、種々のパラメータ、特に使用される物質;治療される患者の年齢、体重および症状;投与経路;および必要な処方によって決定される。再度医師が、特定の患者の必要な投与経路や用量を決定するであろう。典型的な1日当たりの用量は、特異的インヒビターの活性、治療される被験体の年齢、体重および症状、および投与の頻度と経路に従って、約0.1〜50mg/kg体重、好ましくは約0.1mg/kg〜10mg/kg体重である。好ましくは1日当たりの用量レベルは、5mg〜2gである。
【0057】
治療用途に適した本発明のポリヌクレオチドはまた、典型的には薬剤学的に許容される担体もしくは希釈剤との投与用に製剤化されるであろう。そのようなポリヌクレオチドは、インビボで所望のポリペプチドの発現が達成される任意の公知の方法により投与される。例えばポリヌクレオチドは、注射(好ましくは、皮内、皮下または筋肉内)により投与される。あるいは核酸を、直接皮膚を通して粒子介在送達装置を使用して投与してもよい。治療用核酸に適した本発明のポリヌクレオチドは、あるいは例えば鼻内または経口投与により、口腔粘膜表面に投与される。
【0058】
治療用途に適した本発明の非ウイルスベクターは、例えばリポソームまたは界面活性剤含有ベクター送達粒子中にパッケージングされる。本発明の核酸構築体の取り込みは、いくつかの公知のトランスフェクション法(例えばトランスフェクション物質の使用を含むもの)により増強される。これらの物質の例には、陽イオン性物質、例えばリン酸カルシウム、およびDEAEデキストラン、リポフェクタント(例えば、リポフェクタムおよびトランスフェクタム)がある。投与される核酸の用量は変化してもよい。典型的には核酸は、1pg〜1mg、好ましくは粒子介在遺伝子送達には1pg〜10μg核酸、そして他の経路には10μg〜1mgの範囲で投与される。
【0059】
1型インターフェロン応答性の予測
また前記したように、さらに別の面において本発明は、1型インターフェロンによる治療(例えば、口腔粘膜経路または静脈内経路によるIFN−α治療のようなIFN−α治療)に対する患者の応答性を予測する方法であって、患者の細胞試料中のHuIFRG55.1タンパク質またはその天然に存在する変種または対応するmRNAのレベルを測定することを含んでなり、該試料は、1型インターフェロンが投与された後に該患者から得られるか、または該測定前に1型インターフェロンでインビトロで処理される、上記方法を提供する。
【0060】
好ましくは、応答性を試験するための1型インターフェロンは、治療用に選択された1型インターフェロンであろう。これは、提唱された治療経路および提唱された治療用量で投与される。好ましくは、分析される以後の試料は、例えば血液試料または血液試料から単離された末梢血単核細胞(PBMCs)の試料である。
【0061】
より便利で好ましくは、血液から単離したPBMCsを含む患者から得られた試料を、インビトロで1型インターフェロン(例えば、約1〜10,000IU/mlの用量範囲)で処理される。そのような処理は、数時間(例えば、約7〜8時間)の長さである。そのようなインビトロ試験の好適な処理条件は、正常ドナーから取ったPBMCsを同じインターフェロンで試験し、適切な発現生成物のアップレギュレーションを調べることにより決定される。再度、使用される1型インターフェロンは、好ましくは患者の治療に提唱された1型インターフェロン(例えば、組換えIFN−α)である。そのような試験のPBMCsは、従来法で血液試料からフィコール−ヒペーク(Ficoll-Hypaque)密度勾配を使用して単離してもよい。1型インターフェロン応答性のそのようなインビトロ試験の適切なプロトコールの例を、以下の表3に示す。
【0062】
試料は、1型インターフェロンによりインビトロ処理の後に適宜、HuIFRG55.1タンパク質またはその天然に存在する変種のレベルについて分析される。これは、HuIFRG55.1タンパク質およびその天然に存在する変種(例えば、そのアレレ変種)に特異的に結合することができる1つまたは複数の抗体を使用して行ってもよい。しかし好ましくは試料は、HuIFRG55.1タンパク質またはその天然に存在する変種をコードするmRNAについて分析される。そのようなmRNA分析は、mRNAの検出について公知の任意の方法(例えば、ノーザンブロット検出またはmRNA差別ディスプレイ)を使用する。検出前に、試料中に存在する目的のmRNAまたはその一部を増幅するのに、種々の公知の核酸増幅プロトコールが使用できる。目的のmRNAまたは対応する増幅核酸は、固体支持体に結合した核酸プローブを使用して、プローブ結合してもよい。そのような固体支持体は、前記したように、1型インターフェロンでアップレギュレートされた遺伝子、例えばIFN−αの口腔粘膜または静脈内投与に応答してアップレギュレートされるとして同定された遺伝子に対応する、さらなるmRNAまたはその増幅生成物のレベルを測定するためのプローブを有するミクロアレイでもよい。
【0063】
以下の例は本発明を例示する。
【0064】

【0065】
例1
正常な成体マウスの各鼻孔にP20エッペンドルフマイクロピペットを使用して、5μlのクリスタルバイオレットを適用すると、口咽頭腔の全表面にわたってほとんど直後に色素が分布することが、実験で証明されている。口咽頭腔の染色は、色素の適用後約30分後もまだ明らかであった。これらの結果は、同じ方法で適用された125I−標識組換えヒトIFN−α1−8を使用して確認された。同じ投与法を使用して、以下に示す試験で口腔粘膜投与を行った。
【0066】
6週齢の雄のDBA/2マウスを、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)中のライフテクノロジーズ社(Life Technologies Inc.)から購入した100,000IUの組換えマウスインターフェロンα(IFNα)、プロテインインスチチュート社(Protein Institute Inc.)から購入した10μgの組換えヒトインターロイキン15(IL−15)、100μg/mlのウシ血清アルブミン(BSA)を含有するPBSで処理したか、または未処理のままとした。8時間後、マウスを頚部脱臼により屠殺し、口咽頭腔から外科的にリンパ組織を取り出し、液体窒素中で急速凍結し、−80℃で保存した。チョムクジンスキー(Chomczynski)とサッチ(Sacchi)1987の方法(Anal. Biochem. 162, 156-159)によりリンパ組織からRNAを抽出し、mRNA差別ディスプレイ分析を行った(ラング・ピー(Lang. P.)とパルディー・エー・ビー(Pardee, A.B.), Science 257, 967-971)。
【0067】
差別ディスプレイ分析
差別ディスプレイ分析は、ゲンフンターコーポレーション(GenHunter Corporation)の「メッサージクリーン(Message Clean)」と「RNAイメージ(RNA image)」キットを、基本的に製造業者が記載するように使用して行った。簡単に説明すると、RNAをRNAを含まないDNAaseで処理し、1μgを、3つの1塩基アンカードオリゴ−(dT)プライマーA、C、またはGのいずれかを使用して、100μlの反応緩衝液中で逆転写した。RNAはまた、9個の2塩基アンカードオリゴ−(dT)プライマーAA、CC、GG、AC、CA、GA、AG、CG、GCのいずれかを使用して逆転写した。比較すべきすべての試料を、同じ実験で逆転写し、アリコートに分けて凍結した。TaqDNAポリメラーゼとα−32P dATP(3,000Ci/mmol)を含有する10μlの増幅混合物中のわずかに1μlの逆転写試料で、増幅を行った。80の5’末端(HAP)ランダム配列プライマーを、(HT11)A、C、G、AA、CC、GG、AC、CA、GA、AG、CG、またはGCプライマーのそれぞれと組合せて使用した。次に試料を、7%変性ポリアクリルアミドゲルで流し、オートラジオグラフィーに暴露した。推定の示差的に発現されたバンドを切り取り、供給業者の説明書に従って再増幅し、IFN処理、IL−15処理、および賦形剤処理動物の口咽頭腔から抽出したRNAのノーザンブロットとハイブリダイズするプローブとしてさらに使用した。
【0068】
クローニングと配列決定
差別ディスプレイスクリーニングからの再増幅バンドを、pPCR−ScriptSK(+)プラスミド(ストラタジーン(Stratagene))のSfr1部位にクローン化し、cDNA末端の迅速増幅から増幅されたcDNAを、pCR3プラスミド(インビトロゲン(Invitrogen))中のTAクローニングにより単離した。自動ジデオキシシーケンサー(パーキン・エルマー(Perkin-Elmer)ABIPRISM377)を使用して配列決定した。
【0069】
ヒトcDNAの単離
差別ディスプレイスクリーニングから同定された示差的に発現されたマウス3’配列を、米国ナショナル・センター・フォー・バイオテクノロジー・インフォメーション(NCBI、National Center for Biotechnology Information)のGenBank(登録商標)のdbESTデータベース中に存在するランダムなヒトの発現配列標識(EST)と比較した。差別ディスプレイスクリーニングから単離されたマウスESTと関連するかも知れない配列をコンチグ(contig)で組合せて、推定cDNAに対応するヒトコンセンサス配列を構築するのに使用した。そのようなcDNAの1つは、1865ヌクレオチドの長さであった。これは、IFN−αの口腔粘膜投与後にマウスの口腔のリンパ組織中でその発現が約2倍増強されることがわかったマウス遺伝子に対応した。
【0070】
この推定cDNAが真のヒト遺伝子に対応することを確認するために、コンセンサス配列の5’末端と3’末端から得られたプライマーを使用して、ヒト末梢血白血球(PBL)から抽出したmRNAから、特異的逆転写とPCR増幅によりcDNAを合成した。予測されたサイズのユニークなcDNA断片を得て、クローン化し配列決定した(配列番号1)。このcDNAの配列は、両方向に3回配列決定することにより確認した。このヒトcDNAは、111〜1583位に1473bpの読みとり枠(ORF)を含有し、490アミノ酸(配列番号2)のタンパク質をコードする。
【0071】
例2
IFN−αの腹腔内投与
オスのDBA/2マウスに、200μlのPBS中のライフテクノロジーズ社(Life Technologies Inc.)から購入した100,000IUの組換えマウスIFNαを腹腔内投与したか、または等量のPBSのみで処理した。8時間後、頚部脱臼により動物を屠殺し、通常の方法で脾臓を取り出した。チョムクジンスキー(Chomczynski)とサッチ(Sacchi)の方法(Anal. Biochem. (1987) 162, 156-159)により総RNAを抽出し、試料当たり10.0μgの総RNAを、グリオキサールの存在下でノーザンブロッティングを行い、ダンドイ−ドロン(Dandoy-Dron)ら(J. Biol. Chem. (1998) 273, 7691-7697)が記載したように、HuIFRG55.1 mRNAのcDNAプローブとハイブリダイズさせた。ブロットをまず、オートラジオグラフィーに暴露し、次にホスホルマージャー(Phospholmager)を使用して製造業者の説明書に従って定量した。賦形剤のみで処理した動物に比較して、IFN−α処理動物の脾臓から抽出したRNAの試料では、増強したレベル(約4倍)のHuIFRG55.1タンパク質のmRNAが検出された。
【0072】
例3
1型インターフェロン応答性のインビトロの試験
ヒトダウディ(Daudi)またはヒーラ(Hela)細胞を、PBS中10,000IUの組換えヒトIFN−α2(シェリング−プラウ(Shering-Plough)からのイントロンA)または等量のPBSのみで処理した。8時間後、細胞を遠心分離(800×gで10分)し、細胞ペレットを回収した。上記例2に記載のように、チョムクジンスキー(Chomczynski)とサッチ(Sacchi)の方法により細胞ペレットから総RNAを抽出し、試料当たり10.0μgの総RNAを、グリオキサールの存在下でノーザンブロッティングを行い、HuIFRG55.1 mRNAのcDNAプローブとハイブリダイズさせた。PBSのみで処理した動物に比較して、IFN−α処理ダウディ(Daudi)またはヒーラ(Hela)細胞から抽出したRNAの試料では、増強したレベルのHuIFRG55.1タンパク質のmRNA(約2倍)が検出された。
【0073】
同じ操作を使用して、1型インターフェロンで治療する予定の患者から取ったPBMCsを使用して、1型インターフェロン応答性を予測してもよい。

Claims (25)

  1. (i)配列番号2のアミノ酸配列;
    (ii)免疫調節活性および/または抗ウイルス活性および/または抗腫瘍活性から選択された実質的に類似の機能を有する、その変種;または
    (iii)免疫調節活性および/または抗ウイルス活性および/または抗腫瘍活性から選択された実質的に類似の機能を保持する、(i)または(ii)の断片、
    を含む単離されたポリペプチド。
  2. 配列番号のアミノ酸配列により定義されるポリペプチドおよび/またはその天然に存在する変種に対する特異的抗体を作成するのに適した、該ポリペプチドの変種または断片。
  3. 請求項1または2のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド。
  4. cDNAである、請求項3のポリヌクレオチド。
  5. 請求項1のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドであって:
    (a)配列番号1の核酸配列、またはそのコード配列および/またはそれに相補的な配列;
    (b)(a)で定義した配列にハイブリダイズする配列;
    (c)遺伝コードの結果として、(a)または(b)で定義した配列と縮重した配列;または
    (d)(a)、(b)または(c)で定義した配列と、少なくとも60%の同一性を有する配列
    を含む上記ポリヌクレオチド。
  6. 請求項1または2のポリペプチドを発現することができる、請求項3〜5のいずれか1項に記載のポリヌクレオチド配列を含む発現ベクター。
  7. 請求項6の発現ベクターを含有する宿主細胞。
  8. 請求項1または請求項2のポリペプチドに特異的な抗体。
  9. 請求項1のポリペプチドのインビボの発現を指令する、単離されたポリヌクレオチド。
  10. ヒトまたは非ヒト動物の治療的処置で使用するための、請求項1のポリペプチドまたは請求項9のポリヌクレオチド。
  11. 請求項1のポリペプチドまたは請求項9のポリヌクレオチドと、薬剤学的に許容される担体もしくは希釈剤とを含む医薬組成物。
  12. 抗ウイルス剤、抗腫瘍剤または免疫調節剤として治療に使用するための薬剤の製造における、請求項1のポリペプチドまたは請求項9のポリヌクレオチドの使用。
  13. 1型インターフェロンで治療可能な疾患を有する患者の治療法であって、請求項1のポリペプチドまたは請求項9のポリヌクレオチドの有効量を該患者に投与することを含む方法。
  14. 請求項1または2のポリペプチドの産生方法であって、ポリペプチドの発現を得るのに適した条件下で請求項7の宿主細胞を培養し、該ポリペプチドを単離することを含む、上記方法。
  15. 免疫調節活性および/または抗ウイルス活性および/または抗腫瘍活性を有する化合物の同定方法であって、請求項2のポリペプチドまたはその天然に存在する変種を発現することができる細胞を提供し、該細胞を試験化合物とともにインキュベートし、該ポリペプチドまたはその変種をコードする遺伝子の発現のアップレギュレーションを追跡することを含む、上記方法。
  16. ヒトまたは非ヒト動物の治療的処置で使用するための、配列番号2で定義されるアミノ酸配列のコード配列または該コード配列の天然に存在する変種に対するアンチセンス配列を、インビボで発現することができるポリヌクレオチド。
  17. 治療的処置で使用するための請求項8の抗体。
  18. 請求項4のcDNA内の配列を標的とする、核酸増幅のためのプライマーセット。
  19. 請求項3〜5のいずれか1項に記載のポリヌクレオチドから得られる核酸プローブ。
  20. 固体支持体に結合された、請求項19のプローブ。
  21. 患者からの細胞試料中の、配列番号2のアミノ酸配列により定義されるタンパク質またはその天然に存在する変種、または対応するmRNAのレベルを測定することを含む、1型インターフェロンを用いる治療に対する患者の応答性を予測する方法であって、該試料は、1型インターフェロンの投与後に該患者から得られるか、または該測定の前に、1型インターフェロンでインビトロで処理される、上記方法。
  22. 試料を得る前に投与されるか、またはインビトロで試料を処理するために使用されるインターフェロンは、該患者の治療で使用する予定のインターフェロンである、請求項21の方法。
  23. 患者の血液試料から単離された末梢血単核細胞を含む試料は、1型インターフェロンでインビトロで処理される、請求項21または請求項22の方法。
  24. 測定は、配列番号2の配列により定義されるタンパク質または該タンパク質の天然に存在する変種をコードするmRNAのレベルを測定することを含む、請求項21〜23のいずれか1項に記載の方法。
  25. 請求項1のポリペプチドを発現することができる非ヒトトランスジェニック動物。
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