JP2005507139A - 質量分析計により直線イオンと反射イオンとを同時に検出するための技術 - Google Patents
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Abstract
飛行時間質量分析計により直線イオンと反射イオンとを同時に検出するための技術は、飛行管と、試料のイオンのイオンビームを生成するとともに飛行管の第1部分にイオンビームを供給するための供給部とを含んでいる。反射器は、飛行管の第1部分において、イオンビームからのイオンを反射する。飛行管の第1部分と飛行管の第2部分との間には、イオンビームの軸に対してほぼ垂直な板が位置している。この板は、空孔を備えている。この空孔を介して、イオンビーム中のイオンの一部が飛行管の第1部分から飛行管の第2部分に通過することができる。板の2つの対向面には、それぞれ、1組の、1つまたは複数のイオン検出器が備えられている。この技術によって、少数の試料中の錯因子を急速で確実に検出することができる。
Description
【0001】
〔関連出願〕
本出願は、アメリカ特許法第119条(e)に基づいて、仮出願60/323,563(出願日:2001年9月20日)の特典を請求するものである。この仮出願の全文を、ここに全て記載するように文献によって援用する。
〔発明の背景〕
1.発明の属する分野
本発明は、複合体分子を有する試料の質量分析計に関するものであり、特に直線(「線」)飛行時間質量スペクトルと反射飛行時間質量スペクトルとを同時に検出する質量分析計、に関するものである。
2.関連技術の記載
ここでは、従来のアプローチを記載できるが、この従来のアプローチは、必ずしも、以前に着想されたり、実行されてきたアプローチではない。したがって、他にここで示さない場合、ここに記載するアプローチは、本出願の特許請求の範囲に関する従来技術はないので、発明の背景の箇所にこれらのアプローチについて記載する。
【0002】
居住空間は、人間の健康に有害な生物学的因子の、自然な、および、人工的な蔓延の影響を受けやすい。このような蔓延を早期検出することにより、このような空間から早く撤退できるし、第1の防御線をはることができる。このような蔓延にさらされた個人を迅速に治療する(treatment)ことが、第2の防御線である。有害な因子の迅速で正しい識別が、正しい治療につながる場合が多い。
【0003】
生物学的因子を検出・識別するために通常用いられる1つの方法が、質量分析である。この質量分析において、分子量の特殊な分布(distinctive distribution)は、公衆衛生を保護する上で、所定の(of interest)いくつかの生物学的因子それぞれと関連している。
【0004】
質量分析計では、物質試料は、イオン化され、試料中の分子をイオン(純電荷(net electrical charge)を有する分子)に変える。例えば、レーザーは、分子から電子を除去するために用いられえる、そして、この分子は、陽イオンになる(leaving)。これらのイオンを、電界によって供給領域において加速する。これらのイオンを加速するために用いられる所定の電圧については、質量の少ない(less massive)イオンは、質量の多い(more massive)イオンよりも速く加速する。供給領域の外側(「ドリフト領域」と呼ばれる領域)では、どのイオンも、その質量に反比例して固有の速度で移動している。したがって、供給領域から検出器に移動するイオンの飛行時間は、イオンの質量に関係している。空気の分子との衝突を低減するために、供給領域およびドリフト領域は、真空状態にある。この真空は、真空室中で簡単に生成されるか、または、地球の大気圏の外側を取り巻いているものである。
【0005】
所定の分子の中には、多少大きいものが多いので、2つの分子間のわずかな原子量単位(a difference of a few atomic mass units)の差は、化学的特性と生物的特性との違いに関連しているが、この差は、比較的小さな質量差、及び、これに起因する比較的小さな速度差に関連している。質量と速度とが近い2つの分子を識別するために、イオンの軌道を幾分長めにすることで、飛行時間の差が大きくすることが望ましい。
【0006】
軌道の長さが長くなると問題が生じてしまう。例えば、イオンの軌道がドリフト領域で発散する傾向にあるために、多くのイオンが検出器を見失い、検出器の信号が減少してしまう。この発散を低減するために、加速段階で、イオンにイオンビームを集中させる(focused)。イオンにイオンビームを集中させることにより、検出器を見失うイオンの数は低下する。
【0007】
さらに、軌道の長さが長くなると、ドリフト領域の長さが長くなる。これにより、質量分析計の寸法が大きくなる。大きな質量分析計は、不都合であり、アプリケーションによっては大きすぎてしまうものもある。例えば、大きすぎる質量分析計は、移動可能なユニットに適していないだろうし、または、航空機、通風管(air ducts)、および、他の有用な場所、に設置するには不適切だろう。これらの問題は、軌道を長くすることにより発散が大きくなることを補償するためにイオン検出器をも大きく形成する場合に、悪化する。
【0008】
他のアプローチでは、反射電界(reflecting electric field)を用いてイオンビームを反射することにより、質量分析計の寸法をあまり大きくすることなく軌道の長さをほぼ2倍にする。この反射電界を供給領域中の加速領域の方に向けることにより、イオンは、反射領域の長さを横切った後で、かつ、分光計の端壁に衝突する前に、方向を反転する。従来の反射飛行時間質量分析計では、方向検出器は供給部近くに配置されているが、供給部の方を向いていない。検出器の空孔を介して、イオンビーム中のイオンのほとんどは、供給部から、検出器を介して分光計の反射部分へと通過する。ビーム中のイオンを供給部の方へと逆行させるために反射すると、多くのイオンが検出器に衝突する。
【0009】
また、反射飛行時間質量分析計には、次の問題がある。すなわち、非常に大きな分子には、非常に壊れやすいものが存在するため、ゼロに減速されてしまうもの、及び、2つまたはそれ以上の破片へと分解されずに反対方向へ加速するものがあるという問題である。反射飛行時間質量分析計において、例えば、約1万の原子質量単位(amu)またはそれ以上の質量を有する分子は、断片化する場合が多い(原子質量単位は、およそ陽子の質量に相当する)。1つまたはそれ以上の断片は、荷電しないかもしれない。荷電されない破片のほとんどは、検出器に衝突することなく、質量分析計の壁に衝突し、たとえ検出器に衝突しても検出されない場合が多い。この破片の質量は、検出器によって検出されない。電荷を保つより軽い断片は、非常に速く逆行し、低質量分子に関連した(associated with)飛行時間の後、検出器に衝突する。
【0010】
他にも、反射飛行時間質量分析計には問題がある。すなわち、イオンビームのほとんどを通すために検出器の空孔を十分大きく形成するという誘因が、反射イオンのほとんどを検出するためにできるだけ小さい検出器の空孔を形成するという動機と矛盾するという問題である。結果として、この空孔は非常に小さいので、イオンのほとんどは、検出器の後ろに衝突して反射領域に入ることができず、消滅してしまうことが多い。
【0011】
居住領域中の防御線として有用にするために、質量分析計は、居住領域に必要な空気や水からろ過しうる小さく、わずかな試料で、有害な生物学的因子を検出する必要がある。これらの試料を、ノイズのあるデータに基づいた検出によって生じる誤った警報を、回避するべきである。システムが、実際には危険がないのに警報を繰り返し行う(fires)と、このシステムは、本当の脅威が検出された場合に気がつかない可能性が高い。誤った警報を低減するために、検出が基づいている質量分布の存在を確認する多数の測定を、行う必要がある。よく知られた統計的検定を、検出に関する信頼限界を形成するために行うことができる。この統計は、いくつかの試料を個々に測定した後でのみ、信頼できるものになる。
【0012】
従来の質量分析計の問題は、別々の測定に時間がかかるので、警報を行ってしまう前にはるかに多くの人々が因子にさらされることにある。これにより、1つの防御線での(on)従来の質量分析計の有効性が低下してしまう。例えば、質量分析計に挿入するために1つの試料または1組の試料を調製し、上記1組の試料を挿入し、空気を真空室から抜き、消耗した1組の試料を除去することに、数分かかってしまう。測定値をちょうど(even)2組の試料から得ると、時間は倍増し、生物学的因子に対する母集団の露出量(exposure)が増す。
【0013】
さらに、試料数が足りない場合には、十分に別々の測定値を得ることが、困難である。また、生物学的因子の試料を得ることは困難である場合があるので、得られたどの試料も貴重なものである。また、2つの別々の測定値を測定するのに十分な試料がない場合がある。
【0014】
実行できる1つのアプローチでは、第2検出器を、供給部から最も遠い側面に沿った、反射飛行時間質量分析計の真空室に配置してもよい。このとき、反射飛行時間を測定する前後に、反射電界をOFF状態にでき、直接飛行時間を測定することができる。しかしながら、このアプローチは、反射イオン検出用の板を貫く空孔に達しなかった(miss)イオンから、依然として信号を消滅させてしまうし、反射飛行時間測定中のみに使用するよりも多くの試料および多くの時間を費やしてしまう。
【0015】
前述したことに基づいて、短時間の間に寸法の小さなわずかな試料によって、警報の誤り率(false-alarm rate)が低下する、生物学的因子を確実に検出できる移動可能な質量分析計が、明らかに必要である。特に、直線飛行時間質量分布と反射飛行時間質量分布とを同時に測定できる質量分析計が、必要である。
〔発明の概要〕
本発明の1形態によれば、質量分析計によって直線イオンと反射イオンとを同時に検出するための装置が、飛行管(flight tube)、および、試料からイオンビームを生成するための供給部を含んでいる。このイオン供給部は、イオンビームを飛行管の第1部分に導入する。この装置は、飛行管の第2部分でイオンビームからイオンを反射するための反射器(reflector)を含んでいる。この装置も、イオンビームの軸に対してほぼ垂直な取り付け板を含んでいる。この板は、飛行管の第1部分と飛行管の第2部分との間に設置されている。この取り付け板は、イオンビーム内のいくつかのイオンが飛行管の第1部分から第2部分に通過できる、空孔を備えている。この取り付け板における2つの対向面は、それぞれ、1組の、1つまたは複数のイオン検出器を含んでいる。
【0016】
また、本発明の他の形態によれば、質量分析計によって直線イオンと反射イオンとを同時に検出するための装置の製造方法には、飛行管に沿って、試料のイオンのイオンビームを生成するための供給部を配置するステップが含まれている。この供給部から、飛行管の第1部分にイオンビームを導入する。反射器も、飛行管の中に配置されている。この反射器は、飛行管の第2部分中のイオンビームから、イオンを反射する。取り付け板は、飛行管の中に、飛行管の第1部分と飛行管の第2部分との間のイオンビームの軸に対してほぼ垂直に配置されている。この取り付け板は、イオンビーム中のいくつかのイオンが、飛行管の第1部分から第2部分に通過する空孔を備えている。この取り付け板の2つの対向面は、それぞれ、1組の1つまたは複数のイオン検出器を含んでいる。
【0017】
本発明の他の形態では、質量分析計を用いた直線イオンと反射イオンとを同時に検出するための方法には、供給部に存在するイオンの試料からイオンビームを形成するステップが含まれている。イオンビームからの第1イオンの数を示す第1信号が、生成される。この第1イオンは、イオンが供給される方向に面した板の第1表面に衝突する。さらに、同じイオンビームから複数の第2イオンを示す第2信号が、生成される。この第2イオンは、板の第2表面に衝突する。この第2表面は、イオンが供給される方向とは逆の方向に面しており、板にあいた空孔を通過するとともに反射電界を用いて反射される第2イオンの方向に面している。直線飛行時間質量分布が、第1信号に基づいて確定される。また、反射飛行時間質量分布が、第2信号に基づいて確定される。この反射飛行時間質量分布は、実際は異なる(different)イオンが検出されるので、直線飛行時間質量分布とは無関係である。
【0018】
本発明の他の形態では、固有の因子が試料中に存在しているかどうかを確定するための技術が、第1信号を受信するステップを含んでいる。この第1信号は、供給部中の試料から生成されたイオンビームからの(from)第1イオンの数を表している。この第1イオンは、イオンが供給される方向に面した方を向いた板の第1表面に衝突する。同じイオンビームからの複数の第2イオンを示す第2信号も、受信される。この第2イオンは、板の第2表面に衝突する。この第2表面は、イオンが供給される方向とは逆方向に面しており、板に空いた空孔を通過するとともに反射電界を用いて反射された第2イオンの方を向いている。また、直線飛行時間質量分布が、第1信号に基づいて確定される。反射飛行時間質量分布が、第2信号に基づいて確定される。固有の因子が、直線飛行時間質量分布および反射飛行時間質量分布に少なくとも部分的に基づいた試料の中に、存在しているのかどうかが確定される。
【0019】
両方の向かい合う面に沿ったイオン検出器を備えた板を用いて、供給部の方向に面した表面に沿って直接飛行時間を測定でき、同じ供給部からの同じイオンビーム中の異なるイオンから、供給部とは逆を向いた面に沿って反射飛行時間を測定できる。反射飛行時間質量分布の測定値とは無関係である直線飛行時間質量分布の測定値を同時に得ることにより、2つの別々の測定値が、同じ小さな試料から形成される。これにより、試料が制限されて供給される場合、従来の質量分析計を介した誤った警報率が低減する。さらに、全信号が増加する。なぜなら、第2部分に続く空孔の外側に位置する板に衝突して、反射測定によって失われたイオンが、直接飛行時間測定によって検出されるからである。さらに、これらの測定が、(試料の前処理(sample preparation)、電離、および、加速、検出、および、試料の除去を繰り返さずに)同時に起こるので、必要な別々の測定値を、他のアプローチよりもわずかな時間で獲得する。さらには、直接飛行時間を測定することにより、反射飛行時間を構成する(configurations)ことにより分解する大きな分子からの質量分布の検出が、維持される。
〔図面の簡単な説明〕
本発明を、添付図面の図によって、例を用いて、限定せずに示す。また、本発明では、同じ部材には同じ参照符号を付けている。
【0020】
図1(a)は、一実施形態に係る、直線飛行時間質量分布と反射飛行時間質量分布とを同時に測定する、質量分析計を示すブロック図である。
【0021】
図1(b)は、一実施形態に係る、両方の面に沿ったイオン検出器を備えた取り付け板を示す、ブロック図である。
【0022】
図2(a)は、1実施形態に係る、直接(「直線」)飛行時間用の例示的質量分布を示すグラフである。
【0023】
図2(b)は、1実施形態に係る、反射飛行時間用の例示的質量分布を示すグラフである。
【0024】
図3は、1実施形態に係る、質量分析計を用いた因子の確定方法を高レベルで(at a high level)示す流れ図である。
【0025】
図4は、本発明の1実施形態を実行できるコンピュータシステムを示すブロック図である。
〔詳細な説明〕
質量分析計による直線イオンと反射イオンとを同時に検出するための方法および装置について、記載する。以下の記載では、説明上、本発明を完全に理解するために、細部について多数具体的に説明する。しかしながら、当業者は、明らかに、これらの具体的な詳細がなくても本発明を実施できるだろう。また、よく知られた構造および装置を、本発明を不必要に不透明にすることを避けるために、ブロック図の形状で示す。
1.構造的機能的概要
図1(a)は、1実施形態に係る、直線飛行時間質量分布と反射飛行時間質量分布とを同時に測定する質量分析計100を示すブロック図である。この質量分析計は、真空室に備えられた飛行管120を含んでいる。この真空室は、地球の大気圏の外側で用いられる実施形態では省略してもよい。飛行管は、供給領域部110、ドリフト領域部122、および、反射器領域部124を含んでいる。反射器領域部124の中の反射器126は、飛行管120の反射器領域部124中の軌道の長さおよび飛行時間を2倍にするために、イオンビーム中のイオンを反転させる。
【0026】
また、ドリフト領域部122と反射器領域部124との間には、2つの部分を分割する両面チャネルプレート検出器140が位置している。実施形態によっては、この検出器140は、2つの部分の間に位置しているが、これらの部分を分割していなくてもよい。この両面チャネルプレート検出器は、2つの側面のそれぞれ(つまり検出器の「表面」)に沿って極小チャネルプレートイオン検出器を備えている。1つの面は、供給領域部110およびドリフト領域部122の方を向いており、その反対側の面は、反射領域部124の方を向いている。この両面チャネルプレート検出器140については、図1(b)を参照しながら以下でより詳しく説明する。また、他の実施形態では、2つの対向面に沿ってイオン検出器を備えた他の検出器が用いられる。
【0027】
供給領域部110で、試料はイオン化し、イオンは加速し、イオンビームに集中される。実施形態によっては、供給領域部110で試料をレーザーで照らすことにより、試料をイオン化するものもある。また、ドリフト領域部122では、イオンビーム102が発散する。発散するイオンビーム102中のイオンには、供給領域部110およびドリフト領域部122の方を向いた検出器140の面に衝突するものもある。これらのイオンは、検出器140のこの面に沿った極小チャネルプレート検出器によって検出され、直接(「直線」)飛行時間質量分布の決定に用いられる。
【0028】
発散するイオンビーム102中のイオンには、検出器140の空孔を介して反射器領域部124に通過するものもある。反射器126を用いて形成された(established)電界によって、反射イオンビーム104を形成するためのこれらのイオンの進行方向が逆になる。反射イオンビーム104のイオンは、反射器領域部124の方を向いた検出器140の面に衝突する。これらのイオンは、検出器140のこの面に沿った極小チャネルプレート検出器によって検出され、反射飛行時間質量分布の決定に用いられる。
【0029】
直線質量分布および反射質量分布は、供給領域部110中の試料から得られる質量分布の独立した観察(observations)を提供する。イオンが、一つ一つ異なっているがほぼ同じ型であることにより、測定値を各板で得ることができる。特徴的な質量ピークが両方の分布中で検出される(are found)試料成分(sample component)が、誤った警報がノイズまたは機器のエラーに基づいているために、実際に試料中に存在している可能性が高い。供給領域部110において電離された小さく貴重な試料からでさえ、少なくとも2つの別々の質量分布測定が生じる。
【0030】
図示した実施形態では検出器140の両方の表面に沿った極小チャネルプレート検出器を使用しているが、他の実施形態では、他のイオン検出器を使用している。質量分析計を構成する従来技術によって知られているどの中央空孔イオン検出器を使用してもよい。
【0031】
この図示した実施形態では、反射器領域部124中の垂線は、導線(conductors)である。これらの導線は、飛行管120の反射器領域部124の内壁の中に位置する反射器126の部分である。これらの導線は、それぞれ、反射器領域において電圧勾配を形づくるために、異なる電圧に設定されている。また、他の実施形態では、他の反射器を使用してもよい。質量分析計を構成する従来技術によって知られているどの反射器を使用してもよい。
2.両面チャネルプレート検出器
図1(b)は、1実施形態に係る検出器140を示すブロック図である。この検出器は、その両方の表面に沿ってイオン検出器を備えた取り付け板から構成されている。
【0032】
この検出器140は、飛行管120に接触するために形成された板状の構造部(structural member)146を含んでいる。記述した実施形態では、この構造部146は、飛行管120のドリフト領域部122と、飛行管の反射器領域部124とに接触するために形成された接触成分(attachment element)149を含んでいる。また、他の実施形態では、質量分析計をどのような方法によって形成しても、この構造部は、飛行管120内部の取り付け台に接触される。また、構造部146が図1(b)の図面に対して垂直に形成された平らな円板である、実施形態もある。また、他の実施形態では、この構造部は長方形のような他の形状をしている。また、組み立てる際に、この構造部146を飛行管120のドリフト領域部122と反射器領域部124との間の領域に配置した、実施形態もある。他の実施形態では、構造部146をこの領域に配置していない。
【0033】
この構造部146は、中央空孔148を含んでいる。この中央空孔は、発散イオンビーム102中のイオンの一部を反射器領域部124に通過させる。図示した実施形態では、空孔148は、構造部のほぼ中央に位置している。また、他の実施形態では、空孔を構造部に沿ったどの位置に配置してもよい。また、構造部をドリフト領域部122と反射器領域部124との間の領域に配置しない実施形態では、イオンは、構造部146の外側に位置する反射器領域部124へと通過することができ、「空孔」は、構造部146の外側に位置する板の部分と見なされる。空孔は、検出器140の中央に近接して配置されていることが好ましい。なぜなら、反射器領域部124へとイオンを通す空孔が検出器の中央に近接しており、集中されたイオンビームの中心と合っている場合に、発散しているイオンおよび反射イオンが検出器に衝突しやすくなり、信号をさらに供給するからである。
【0034】
検出器140は、2つの表面141a・141bを含んでいる。これらの表面は、各表面に沿って1つまたは複数のイオン検出器を備えている。図示した実施形態では、各表面は、極小チャネル検出器を1つ含んでいる。(格子143とは、異なる電界間の境界線を精確に規定するために用いられる純度の高い金属性の網目である。これら2つの表面141a・141bを、山形の極小チャネルプレート検出器表面(または両面チャネルプレート検出器表面)と呼ぶ。また、他の実施形態では、他のイオン検出器を、各表面141a・141b上で使用する。1つの表面141aは、飛行管120の、供給領域部110およびドリフト領域部122の方を向いている。もう1つの表面141bは、飛行管120の反射器領域部124の方を向いている。また、図示した実施形態では、表面141a・141bと構造部146の部分との間に、隙間を形成する。また、他の実施形態では、検出器を備えた向かい合う表面は、構造部146に対して平行である。図示した実施形態では、表面141a・141bは、図1(b)の図面に対して垂直面(plane perpendicular)方向に、構造部の境界線の外側に広がらない。また、他の実施形態では、検出器を備えた向かい合う面は、この境界線の外側に広がっていてもよい。また、他の実施形態では、格子143を、検出器取り付け台から完全に除去している。
【0035】
また、検出器140は、チャネルプレートの裏側から放出される電子を集めるためのアノードを含んでいる。図示した実施形態では、1対のピンアノード(pin anodes)145a・145bを使用する。他の実施形態では、表面141a・141bと同軸の、環状の形をしたアノードのような、他のアノードを使用してもよい。イオンビームのイオン(分析器(analyzer)の構造に応じた陽イオンまたは負イオン)は、第2電子が後に拡散される(ejected)各検出器の表面に衝突する。この電子信号を、検出器内の極小チャネルの内部表面に沿って縦につながった電子(the electrons cascade)として増幅する。多数の電子は、検出器の前面に衝突する各イオン用の検出器の裏側から出力し、結果として、電流が非常に高くなる。例えば、ほぼ106に上昇する。
【0036】
検出器140は、イオンの数に関する信号を出力するための、2つの出力端子を含んでいる。例えば、アノード145a・145bの電流を、電圧信号に変える。これら2つの端子のこれらの電圧信号は、2つの向かい合う表面に衝突する複数のイオンに関係がある。線出力端子142が、供給領域部110およびドリフト領域部122の方向に面した表面141aに衝突する複数のイオンに関係のある信号を供給する。また、反射出力端子144が、反射器領域部124の方を向いた表面141bに衝突する複数のイオンに関係のある信号を供給する。
3.両面チャネルプレート検出器からのデータ例
図2(a)は、実施形態に係る、直接(「線」)飛行時間の質量分布を示す、線スペクトル240の一例を示すグラフである。図2(a)は、図1(b)に描かれた検出器140の表面141aに沿って検出されたイオンの飛行時間の測定値に基づいている。また、図2(b)は、実施形態に係る、反射飛行時間の質量分布を示す、反射器スペクトル250の一例を示すグラフである。図2(b)は、図1(b)に描かれた検出器140の表面141bに沿って検出されたイオンの飛行時間の測定値に基づいている。
【0037】
図2(a)・図2(b)のグラフは、それぞれ、質量軸210a・210bの質量に対する電圧軸220a・220bの電圧増幅を示している。電圧を、線出力端子142および反射出力端子144の各信号によって増幅し、この電圧増幅は、表面141a・141bに沿った各極小チャネルプレート検出器に衝突する複数のイオンに関係がある。原子質量単位(amu)を用いて測定された質量を、従来技術によってよく知られているような飛行時間測定値から導く。供給領域部110から検出器までの軌道の長さは、各表面141a・141bのゆえに(for)知られている。各表面141a・141bまでの軌道の長さを、測定された飛行時間で割ったものが、イオンの平均速度である。(電子ボルトでの)供給領域によって与えられたエネルギーを、速度の2乗で割ったものは、質量に比例している(か、または、他の方法では、イオンの飛行時間は、その質量の2乗に比例する)。
【0038】
また、第1表面141aまでの軌道の長さが、第2表面141bまでの軌道の長さよりも短いということが、重要である。したがって、与えられた質量(約6000amu)の分子は、第1表面141aに、同じ質量の他の分子が第2表面141bに達するよりも早く達する。信号対質量のグラフを作成することにより、水平軸上の位置の違い(the differences in positions)を考慮しなくてよい。(そして、2つの別々の測定値を、比較および分析するために並べることができる。質量軸210a・210bを用いた図2(a)および図2(b)のグラフでは、それぞれ、線スペクトル240を、反射器スペクトル250と直接比較できる。
【0039】
これらのスペクトル240・250は、どこか類似しており、どこか異なっている。両方のスペクトル240・250には、明らかに、ピークがいくつか存在している。ピークとは、分光計によって分解された最大質量よりも多い(in great numbers compared to)質量のことである。例えば、線スペクトル240中のピーク242a・242b・242cおよび242cは、はっきりと分かる。これらに相当する、反射器スペクトル250中の質量のピークは、それぞれ、ピーク252a・252b・252c。252dである。
【0040】
線スペクトルと比べて、軌道および飛行時間がより長い反射器スペクトル250の質量の分解は、より大きい。つまり、反射器スペクトルは、線スペクトル240が行うよりも、より小さな質量差を識別する。このことは、線スペクトル240のピーク242aと比べて、それに対応する反射器スペクトル250のピーク252aの幅が狭いことから、明らかである。
【0041】
反射器スペクトル250は、より大きな分子の分裂によって損失を受ける。このことは、8000amu以上の質量であるピーク252dと関係のある信号レベルが、反射器スペクトル250中の2000amuよりも少ない質量であるピーク252aのそれと比べて、比較的低いことから明らかである。これとは対照的に、線スペクトル240では、8000amu以上の質量であるピーク242dは、2000amu以下のピーク242aよりも大きな信号レベルを有している。同様に、線スペクトル240中のほぼ9800amuの小さなピークが、反射器スペクトル250にはまったく見当たらない。
【0042】
1つのスペクトルでは目立つ質量が、他のスペクトルではそうではない。例えば、線スペクトル240中の約3000amuで現れるピーク242bは、反射器スペクトル250では、むしろ目立たないピーク252bである。図解するために、重要な因子の成分(component)が3000amuでのピークに関連していると仮定する。このピーク242bは反射器スペクトル250では目立たないので、このピークがノイズに起因している可能性もある。ピーク242がノイズに起因しているなら、因子が存在すると推定することが、システムの有用性を著しく下げる誤った警報を構成してしまう。
【0043】
他方、ピークが両方のスペクトル中で顕著であることにより、検出をより信頼性をもって行うことができる。図解するために、重要な第2因子が約1800amu、4200amu、および、8500amuで複数のピークに関連している、と仮定する。この質量でのピークは両方のスペクトルで観察される(線スペクトル240では、ピーク242a、242c、242d、反射器スペクトル250ではピーク252a、252c、252d)。両方のスペクトル中の全ての3つのピークがノイズによって形成されているということは、疑わしく、第2因子が存在すると推定する方が正しいと判断する。このような推定は、供給領域において電離された単一の試料から形成された単一のイオンビームに基づいて、信頼できるものである。この試料は、両方のスペクトル240・250を(例えば、かつて用意されて(prepared)かつて分光計に挿入された、ある試料から)同時に形成している。
【0044】
図2(a)および図2(b)のグラフは、試料中の重要な因子の、線スペクトル240および反射器スペクトル250の両方に少なくとも部分的に基づいた検出結果を、示している。なお、これらのスペクトルは、同時に両方の表面141aおよび141bに沿った検出器によって出力された信号から確定されたものである。
【0045】
図2(a)のスペクトルは、極端な信号強度と、従来の反射飛行時間質量分析計では忘れられていた別々の観察(observations)とを示している。
4.複合体分子因子の決定方法
図3は、1実施形態に係る、質量分析計によって因子を確定するための方法300を、高レベルで(at a high level)示す流れ図である。ステップ310では、真空室の供給領域において、イオンビームが試料から形成される。また、イオンビームを形成するための従来のどの方法を使用してもよい。1実施形態では、レーザービームが、反射器領域部124の壁の透過性の部分と、検出器140中央空孔148とを通って、供給領域110中の試料の方を向く。このレーザービームは、試料中の分子を電離する。また、予め確定されたエネルギーに分子を加速してイオンをイオンビーム102へ集中させるために、電界を供給領域部110に供給する。イオンビームを加速して集中させるために、質量分析計を構成する場合は従来のどの方法を用いてもよい。このイオンビームは、飛行管120のドリフト領域部122の方を向いている。
【0046】
ステップ320では、線信号が生じる。この線信号は、供給領域に面している板の表面に沿った検出器に、各時間間隔中に衝突する複数のイオンに関係している。例えば、信号が、発散イオンビーム102のイオン量に基づいた線出力端子142において生じる。このイオンビームは、いくつかのミリセカンド間の(for several milliseconds)数ミリセカンド毎に、両面チャネルプレート検出器140の表面141aに衝突する。また、この信号は、空孔を通って飛行管120の反射器領域部124へ通過しないイオンに基づいている。したがって、この信号は、従来の反射器質量分析計において有していなかった付加的な信号強度を表している。
【0047】
ステップ330では、反射器信号が生じる。この反射器信号は、反射器領域に面した板の表面に沿った検出器に、各時間間隔中に衝突する複数のイオンに関係している。例えば、信号が、反射イオンビーム104のイオン量に基づいた反射器出力端子144において生じる。このイオンビームは、いくつかのミリセカンドごとに(for several milliseconds)数ミリセカンド毎に、両面チャネルプレート検出器140の表面141bに衝突する。
【0048】
ステップ340では、線飛行時間質量分布を、線信号に基づいて確定する。例えば、コンピュータが、線信号を受信し、コンピュータに格納された命令に応じて線信号に基づいた線スペクトル240を生成する。このスペクトルは、従来の反射器質量分析計によって測定されないイオンの観察(observations)に基づいている。したがって、このスペクトルは、従来の反射器質量分析計から得られないほぼ別々の観察である。
【0049】
ステップ350では、反射器飛行時間質量分布を反射器信号に基づいて確定する。例えば、コンピュータが、反射器信号を受信し、コンピュータに格納された命令に応じて、反射器信号に基づいた反射器スペクトル250を生成する。
【0050】
ステップ360では、特定の因子が、線質量分布および反射質量分布に少なくとも部分的に基づいた試料に存在しているかどうかを確定する。例えば、コンピュータが、線スペクトル240および反射器スペクトル250に基づいた試料に特定の因子が存在しているかどうかを、確定する。従来の反射器質量分析計では、このような確定は、測定ノイズおよび分裂のゆえに、同じく信頼されない。
5.コンピュータ実施概要
図4は、本発明の1実施形態を実施できるコンピュータシステム400を示すブロック図である。コンピュータシステム400は、バス410のような通信メカニズムを含んでいる。このバスは、コンピュータシステムのそれ以外の内部素子と外部素子との間で情報を行き来させるためのものである。情報とは、測定可能な現象(phenomenon)の物理信号のことである。この現象とは、例えば、通常は電圧(electric voltages)のことを指すが、他の実施形態では、磁気、電磁、圧力、化学、分子、原子間の相互作用といった現象も含まれる。例えば、南北の磁界(つまり、ゼロおよびゼロ以外の電圧(electric voltages))は、2進数(bit)の2つの状態(0,1)を示している。一列の2進数は、キャラクタ用の数または符号を表すために用いられるデジタルデータを構成している。バス410が、多くの平行な情報の導線を含んでいるので、情報が、バス410に接続された装置間で高速で転送される。情報を処理するための1つまたは複数の処理装置402は、バス410に接続されている。処理装置402が、情報に関する一連の動作を実行する。これらの一連の動作とは、バス410から(in from)情報を移動すること、および、情報をバス410に載せることを含んでいる。さらに、これらの一連の動作は、通常、2つまたは複数の情報ユニットを比較し、これらの情報ユニットの位置を移し、例えば加算または乗算によって、2つまたはそれ以上の情報ユニットを合成することを含んでいる。この処理装置402によって実行される一連の動作が、コンピュータ命令を構成している。
【0051】
コンピュータシステム400は、さらに、バス410に接続されたメモリ404を含んでいる。このメモリ404(例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)または他のダイナミック記憶装置)には、コンピュータ命令を含んだ情報が格納されている。ダイナミックメモリは、そこに格納された情報を、コンピュータシステムによって変更することができる。RAMは、記憶アドレスが呼び出される位置に格納された1つの情報ユニットを、隣接するアドレスの情報とは無関係に、格納および検索することができる。さらに、メモリ404は、コンピュータ命令を実行している間に一時的な値を格納するための処理装置402によって用いられる。このコンピュータシステム400は、さらに、静的情報を格納するためにバス410に接続された、読み出し専用メモリ(ROM)406または他の静的記憶装置を含んでいる。これらの装置には命令が含まれており、これらの命令は、コンピュータシステム400によって変更されない。さらに、情報を格納するための不揮発性(永続的な)記憶装置408(例えば、磁気ディスクや光ディスク)が、バス410に接続されている。この記憶装置は、コンピュータシステム400をOFF状態にしたり他には電源を切った場合にも消滅しない命令を、含んでいる。
【0052】
命令を含んだ情報を、外部入力装置412(例えば、ユーザー(human user)が操作する英数字のキーを含んだキーボード、または、センサー)から、処理装置によって用いられるバス410に供給する。センサーが、その周辺の状況を検出し、それらの検出結果を、コンピュータシステム400中の情報を示すために用いられる信号と互換性のある信号に変換する。バス410に接続され、人が命令するために主に用いられる他の外部装置には、表示装置414および位置決め装置416が含まれている。表示装置とは、例えば陰極線管(CRT)または液晶表示装置(LCD)であり、画像を示すためのものである。また、位置決め装置とは、例えばマウスやトラックボールやカーソル方向キーであり、表示装置414に示された小さなカーソル画像の位置を制御するとともに、表示装置414に示された図式素子(graphical elements)に関連のある命令を発行するためのものである。
【0053】
図示した実施形態では、特定目的ハードウェア(例えば特定用途向け集積回路(IC)420)が、バス410に接続されている。この特定目的ハードウェアは、処理装置402によって実行されない動作を、特定目的のために十分に早く実行するように構成されている。特定用途向けICは、例えば、表示装置414用の画像を形成するためのグラフィックス・アクセラレータカードと、ネットワークを介して送信されるメッセージを暗号化して解読するための暗号化ボードと、音声認識と、特定外部装置とのインターフェースとを含んでいる。このインターフェースは、例えばロボットアーム(robotic arms)、および、ハードウェアーにおいて効果的に実行される一連の複雑な動作を繰り返し実行する医療走査装置(medical scanning equipment)のことである。
【0054】
コンピュータシステムは、さらに、バス410に接続された通信インターフェース470のインスタンス(instances)を1つまたは複数含んでいる。通信インターフェース470は、自身の処理装置によって動作する外部装置(例えば、プリンタ、スキャナ、および、外部ディスク)に接続して、双方向通信を行う。通常、この接続は、処理装置を有する様々な外部装置が接続されたローカルネットワーク(local network)480に接続された、ネットワークリンク478によって行われる。また、通信インターフェース470が、例えば、パーソナルコンピュータに接続された(on)パラレル・ポートやシリアル・ポートや汎用シリアルバス(universal serial bus)(USB)であってもよい。通信インターフェース470が、総合デジタル通信サービス網(ISDN)カードや、デジタル加入者回線(DSL)カードや、通信インターフェースに対応する型の電話線に情報通信を接続する電話モデムである、実施形態もある。また、通信インターフェース470が、バス410の信号を、同軸ケーブルを介して通信接続するための信号に、または、光ファイバーケーブルを介して通信接続するための光信号に変換するケーブルモデムである、実施形態もある。他の例として、通信インターフェース470が、互換性のあるLAN(例えばイーサネット(登録商標))に対するデータ通信接続を供給するためのローカルエリアネットワーク(LAN)カードであってもよい。また、ワイヤレスリンクを導入してもよい。ワイヤレスリンクを用いた場合、通信インターフェース470は、電気信号、音響信号、または、電磁信号を送受信し、デジタルデータのような情報の流れを運ぶ赤外線信号および光信号を含んでいる。このような信号が、例えば、搬送波である。
【0055】
コンピュータ読取り可能媒体という語は、ここでは、実行するための処理装置402への命令の供給に関係している全ての媒体に言及する(refer)ために用いられる。このような媒体が、不揮発性媒体、揮発性媒体、および、伝送媒体を含んだ形態であってもよいが、これらに限定されるものではない。不揮発性媒体は、例えば、記憶装置408のような光ディスクまたは磁気ディスクを含んでいる。揮発性媒体は、例えば、ダイナミック記憶装置404を含んでいる。伝送媒体は、例えば、同軸ケーブル、銅線、光ファイバーケーブル、および、ワイヤまたはケーブルのない空間を移動する波(例えば、電波、光波および赤外線波を含んだ、音響波および電磁波)を含んでいる。伝送媒体を介して伝送される信号を、ここでは、搬送波と呼ぶ。
【0056】
コンピュータ読取り可能媒体の共通した形状(forms)は、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープまたは他の全ての磁気媒体、コンパクトディスクROM(CD−ROM)または他の全ての光媒体、せん孔カード、紙テープまたは他の全ての空孔のパターンを有する物理媒体、RAM、プログラム可能ROM(PROM)、消去可能(PROM)、FLASH−EPROMまたは他の全てのメモリチップまたはカートリッジ、搬送波、または他の全てのコンピュータが読取ることのできる媒体、を含んだものである。
【0057】
また、ネットワークリンク478は、通常、情報を使用したり処理したりする他の装置に、1つまたは複数のネットワークを介して情報通信を供給する。例えば、ネットワークリンク478が、ローカルネットワーク480を介して、ホストコンピュータ482や、インターネットサービスプロバイダー(ISP)によって操作される装置に、接続してもよい。順に(in turn)、ISP装置484は、インターネット490と最近一般的に呼ばれるネットワークの中の公衆世界パケット交換通信ネットワーク(public, world-wide packet-switching communication network)を介して、データ通信サービスを供給する。インターネットに接続されたサーバー492を呼び出すコンピュータが、インターネットを介して受信された情報に応じてサービスを提供する。例えば、サーバー492が、表示装置414に表示するための映像データの情報を提供する。
【0058】
本発明は、上述の技術を実行するためのコンピュータシステム400の使用に関するものである。本発明の1実施形態にしたがって、これらの技術を、メモリ404に含まれている1つまたは複数連続した1つまたは複数の命令を実行する処理装置402に基づいて、コンピュータシステム400によって実行する。このような命令(ソフトウェアおよびプログラムコードと呼ばれる)を、メモリ404に、記憶装置408のような他のコンピュータ読取り可能媒体から読み込んでもよい。メモリ404に含まれる一連の命令を実行することにより、処理装置402は、上記した方法ステップを実行する。他の実施形態では、ハードウェア(例えば、専用集積回路420)を、本発明を実行するためのソフトウェアに代わって、または、このソフトウェアと組み合わせて、使用してもよい。したがって、本発明の実施形態を、ハードウェアとソフトウェアとの特定の組み合わせに限定しない。
【0059】
ネットワークリンク478を介して、および、通信インターフェース470を経由した他のネットワークを介して伝送される信号は、情報を、コンピュータシステム400へ伝送し、このシステムから伝送するものであり、搬送波の形状をしていることが好ましい。コンピュータシステム400は、ネットワーク480・490を介して他のネットワークの間で(among)、ネットワークリンク478および通信インターフェース470を介して、プログラムコードを含んだ情報を送受信できる。インターネット490を用いる例としては、サーバー492が、コンピュータ400から、インターネット490、ISP装置484、ローカルネットワーク480、および、通信インターフェース470を介して送信されるメッセージによって要求された、特定のアプリケーション用のプログラムコードを伝送する。受信されたコードを、それを受信しながら処理装置402によって実行してもよい。または、このコードを、後に実行する記憶装置408または他の不揮発性記憶装置またはこれら両方に格納してもよい。このようにして、コンピュータシステム400は、搬送波の形状で、アプリケーションプログラムコードを獲得することができる。
【0060】
コンピュータ読取り可能媒体は、実行するための処理装置402まで(to)、1つまたは複数の連続した命令またはデータまたはそれら両方を伝送するために(in carrying)、様々な形状をしていてもよい。例えば、命令およびデータを、初めに、ホスト482のようなリモートコンピュータの磁気ディスクに(on)伝送してもよい。このリモートコンピュータは、命令およびデータをそのダイナミック記憶装置にロードし、これらの命令およびデータを、モデムを用いた電話線を介して送信する。コンピュータシステム400に対して局所的な(local to)モデムが、電話線を介して命令およびデータを受信し、命令およびデータを赤外線信号(ネットワークリンク478として機能している搬送波)に変換するための赤外線送信機を使用する。通信インターフェース470として機能している赤外線検出器が、赤外線信号によって伝送される命令およびデータを受信し、命令およびデータである情報をバス410に送信する(place)。バス410は、メモリ404に情報を伝送する。このメモリからの命令を、処理装置402が命令によって送信されたデータのいくつかを用いて検索・実行する。記憶装置404に受信されたこれらの命令およびデータを、任意的に、処理装置402によって実行する前か後に、記憶装置408に格納してもよい。
6.範囲および代案(Extensions and Alternatives)
前述の仕様では、本発明を、その特定の実施形態に関して記載してきた。しかし、本発明のより広義の精神および範囲から離れることなく、本発明を様々に改良および変更できることは、明らかであろう。したがって、この仕様および図面を、限定的意義よりもむしろ例証的意義において考慮すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】図1(a)は、1実施形態に係る、直線飛行時間質量分布と反射飛行時間質量分布とを同時に測定する、質量分析計を示すブロック図である。図1(b)は、一実施形態に係る、両方の面に沿ったイオン検出器を備えた取り付け板を示す、ブロック図である。
【図2】図2(a)は、1実施形態に係る、直接(「直線」)飛行時間用の例示的質量分布を示すグラフである。図2(b)は、1実施形態に係る、反射飛行時間用の例示的質量分布を示すグラフである。
【図3】1実施形態に係る、質量分析計を用いた因子の確定方法を高レベルで示す流れ図である。
【図4】本発明の1実施形態を実行できるコンピュータシステムを示すブロック図である。
〔関連出願〕
本出願は、アメリカ特許法第119条(e)に基づいて、仮出願60/323,563(出願日:2001年9月20日)の特典を請求するものである。この仮出願の全文を、ここに全て記載するように文献によって援用する。
〔発明の背景〕
1.発明の属する分野
本発明は、複合体分子を有する試料の質量分析計に関するものであり、特に直線(「線」)飛行時間質量スペクトルと反射飛行時間質量スペクトルとを同時に検出する質量分析計、に関するものである。
2.関連技術の記載
ここでは、従来のアプローチを記載できるが、この従来のアプローチは、必ずしも、以前に着想されたり、実行されてきたアプローチではない。したがって、他にここで示さない場合、ここに記載するアプローチは、本出願の特許請求の範囲に関する従来技術はないので、発明の背景の箇所にこれらのアプローチについて記載する。
【0002】
居住空間は、人間の健康に有害な生物学的因子の、自然な、および、人工的な蔓延の影響を受けやすい。このような蔓延を早期検出することにより、このような空間から早く撤退できるし、第1の防御線をはることができる。このような蔓延にさらされた個人を迅速に治療する(treatment)ことが、第2の防御線である。有害な因子の迅速で正しい識別が、正しい治療につながる場合が多い。
【0003】
生物学的因子を検出・識別するために通常用いられる1つの方法が、質量分析である。この質量分析において、分子量の特殊な分布(distinctive distribution)は、公衆衛生を保護する上で、所定の(of interest)いくつかの生物学的因子それぞれと関連している。
【0004】
質量分析計では、物質試料は、イオン化され、試料中の分子をイオン(純電荷(net electrical charge)を有する分子)に変える。例えば、レーザーは、分子から電子を除去するために用いられえる、そして、この分子は、陽イオンになる(leaving)。これらのイオンを、電界によって供給領域において加速する。これらのイオンを加速するために用いられる所定の電圧については、質量の少ない(less massive)イオンは、質量の多い(more massive)イオンよりも速く加速する。供給領域の外側(「ドリフト領域」と呼ばれる領域)では、どのイオンも、その質量に反比例して固有の速度で移動している。したがって、供給領域から検出器に移動するイオンの飛行時間は、イオンの質量に関係している。空気の分子との衝突を低減するために、供給領域およびドリフト領域は、真空状態にある。この真空は、真空室中で簡単に生成されるか、または、地球の大気圏の外側を取り巻いているものである。
【0005】
所定の分子の中には、多少大きいものが多いので、2つの分子間のわずかな原子量単位(a difference of a few atomic mass units)の差は、化学的特性と生物的特性との違いに関連しているが、この差は、比較的小さな質量差、及び、これに起因する比較的小さな速度差に関連している。質量と速度とが近い2つの分子を識別するために、イオンの軌道を幾分長めにすることで、飛行時間の差が大きくすることが望ましい。
【0006】
軌道の長さが長くなると問題が生じてしまう。例えば、イオンの軌道がドリフト領域で発散する傾向にあるために、多くのイオンが検出器を見失い、検出器の信号が減少してしまう。この発散を低減するために、加速段階で、イオンにイオンビームを集中させる(focused)。イオンにイオンビームを集中させることにより、検出器を見失うイオンの数は低下する。
【0007】
さらに、軌道の長さが長くなると、ドリフト領域の長さが長くなる。これにより、質量分析計の寸法が大きくなる。大きな質量分析計は、不都合であり、アプリケーションによっては大きすぎてしまうものもある。例えば、大きすぎる質量分析計は、移動可能なユニットに適していないだろうし、または、航空機、通風管(air ducts)、および、他の有用な場所、に設置するには不適切だろう。これらの問題は、軌道を長くすることにより発散が大きくなることを補償するためにイオン検出器をも大きく形成する場合に、悪化する。
【0008】
他のアプローチでは、反射電界(reflecting electric field)を用いてイオンビームを反射することにより、質量分析計の寸法をあまり大きくすることなく軌道の長さをほぼ2倍にする。この反射電界を供給領域中の加速領域の方に向けることにより、イオンは、反射領域の長さを横切った後で、かつ、分光計の端壁に衝突する前に、方向を反転する。従来の反射飛行時間質量分析計では、方向検出器は供給部近くに配置されているが、供給部の方を向いていない。検出器の空孔を介して、イオンビーム中のイオンのほとんどは、供給部から、検出器を介して分光計の反射部分へと通過する。ビーム中のイオンを供給部の方へと逆行させるために反射すると、多くのイオンが検出器に衝突する。
【0009】
また、反射飛行時間質量分析計には、次の問題がある。すなわち、非常に大きな分子には、非常に壊れやすいものが存在するため、ゼロに減速されてしまうもの、及び、2つまたはそれ以上の破片へと分解されずに反対方向へ加速するものがあるという問題である。反射飛行時間質量分析計において、例えば、約1万の原子質量単位(amu)またはそれ以上の質量を有する分子は、断片化する場合が多い(原子質量単位は、およそ陽子の質量に相当する)。1つまたはそれ以上の断片は、荷電しないかもしれない。荷電されない破片のほとんどは、検出器に衝突することなく、質量分析計の壁に衝突し、たとえ検出器に衝突しても検出されない場合が多い。この破片の質量は、検出器によって検出されない。電荷を保つより軽い断片は、非常に速く逆行し、低質量分子に関連した(associated with)飛行時間の後、検出器に衝突する。
【0010】
他にも、反射飛行時間質量分析計には問題がある。すなわち、イオンビームのほとんどを通すために検出器の空孔を十分大きく形成するという誘因が、反射イオンのほとんどを検出するためにできるだけ小さい検出器の空孔を形成するという動機と矛盾するという問題である。結果として、この空孔は非常に小さいので、イオンのほとんどは、検出器の後ろに衝突して反射領域に入ることができず、消滅してしまうことが多い。
【0011】
居住領域中の防御線として有用にするために、質量分析計は、居住領域に必要な空気や水からろ過しうる小さく、わずかな試料で、有害な生物学的因子を検出する必要がある。これらの試料を、ノイズのあるデータに基づいた検出によって生じる誤った警報を、回避するべきである。システムが、実際には危険がないのに警報を繰り返し行う(fires)と、このシステムは、本当の脅威が検出された場合に気がつかない可能性が高い。誤った警報を低減するために、検出が基づいている質量分布の存在を確認する多数の測定を、行う必要がある。よく知られた統計的検定を、検出に関する信頼限界を形成するために行うことができる。この統計は、いくつかの試料を個々に測定した後でのみ、信頼できるものになる。
【0012】
従来の質量分析計の問題は、別々の測定に時間がかかるので、警報を行ってしまう前にはるかに多くの人々が因子にさらされることにある。これにより、1つの防御線での(on)従来の質量分析計の有効性が低下してしまう。例えば、質量分析計に挿入するために1つの試料または1組の試料を調製し、上記1組の試料を挿入し、空気を真空室から抜き、消耗した1組の試料を除去することに、数分かかってしまう。測定値をちょうど(even)2組の試料から得ると、時間は倍増し、生物学的因子に対する母集団の露出量(exposure)が増す。
【0013】
さらに、試料数が足りない場合には、十分に別々の測定値を得ることが、困難である。また、生物学的因子の試料を得ることは困難である場合があるので、得られたどの試料も貴重なものである。また、2つの別々の測定値を測定するのに十分な試料がない場合がある。
【0014】
実行できる1つのアプローチでは、第2検出器を、供給部から最も遠い側面に沿った、反射飛行時間質量分析計の真空室に配置してもよい。このとき、反射飛行時間を測定する前後に、反射電界をOFF状態にでき、直接飛行時間を測定することができる。しかしながら、このアプローチは、反射イオン検出用の板を貫く空孔に達しなかった(miss)イオンから、依然として信号を消滅させてしまうし、反射飛行時間測定中のみに使用するよりも多くの試料および多くの時間を費やしてしまう。
【0015】
前述したことに基づいて、短時間の間に寸法の小さなわずかな試料によって、警報の誤り率(false-alarm rate)が低下する、生物学的因子を確実に検出できる移動可能な質量分析計が、明らかに必要である。特に、直線飛行時間質量分布と反射飛行時間質量分布とを同時に測定できる質量分析計が、必要である。
〔発明の概要〕
本発明の1形態によれば、質量分析計によって直線イオンと反射イオンとを同時に検出するための装置が、飛行管(flight tube)、および、試料からイオンビームを生成するための供給部を含んでいる。このイオン供給部は、イオンビームを飛行管の第1部分に導入する。この装置は、飛行管の第2部分でイオンビームからイオンを反射するための反射器(reflector)を含んでいる。この装置も、イオンビームの軸に対してほぼ垂直な取り付け板を含んでいる。この板は、飛行管の第1部分と飛行管の第2部分との間に設置されている。この取り付け板は、イオンビーム内のいくつかのイオンが飛行管の第1部分から第2部分に通過できる、空孔を備えている。この取り付け板における2つの対向面は、それぞれ、1組の、1つまたは複数のイオン検出器を含んでいる。
【0016】
また、本発明の他の形態によれば、質量分析計によって直線イオンと反射イオンとを同時に検出するための装置の製造方法には、飛行管に沿って、試料のイオンのイオンビームを生成するための供給部を配置するステップが含まれている。この供給部から、飛行管の第1部分にイオンビームを導入する。反射器も、飛行管の中に配置されている。この反射器は、飛行管の第2部分中のイオンビームから、イオンを反射する。取り付け板は、飛行管の中に、飛行管の第1部分と飛行管の第2部分との間のイオンビームの軸に対してほぼ垂直に配置されている。この取り付け板は、イオンビーム中のいくつかのイオンが、飛行管の第1部分から第2部分に通過する空孔を備えている。この取り付け板の2つの対向面は、それぞれ、1組の1つまたは複数のイオン検出器を含んでいる。
【0017】
本発明の他の形態では、質量分析計を用いた直線イオンと反射イオンとを同時に検出するための方法には、供給部に存在するイオンの試料からイオンビームを形成するステップが含まれている。イオンビームからの第1イオンの数を示す第1信号が、生成される。この第1イオンは、イオンが供給される方向に面した板の第1表面に衝突する。さらに、同じイオンビームから複数の第2イオンを示す第2信号が、生成される。この第2イオンは、板の第2表面に衝突する。この第2表面は、イオンが供給される方向とは逆の方向に面しており、板にあいた空孔を通過するとともに反射電界を用いて反射される第2イオンの方向に面している。直線飛行時間質量分布が、第1信号に基づいて確定される。また、反射飛行時間質量分布が、第2信号に基づいて確定される。この反射飛行時間質量分布は、実際は異なる(different)イオンが検出されるので、直線飛行時間質量分布とは無関係である。
【0018】
本発明の他の形態では、固有の因子が試料中に存在しているかどうかを確定するための技術が、第1信号を受信するステップを含んでいる。この第1信号は、供給部中の試料から生成されたイオンビームからの(from)第1イオンの数を表している。この第1イオンは、イオンが供給される方向に面した方を向いた板の第1表面に衝突する。同じイオンビームからの複数の第2イオンを示す第2信号も、受信される。この第2イオンは、板の第2表面に衝突する。この第2表面は、イオンが供給される方向とは逆方向に面しており、板に空いた空孔を通過するとともに反射電界を用いて反射された第2イオンの方を向いている。また、直線飛行時間質量分布が、第1信号に基づいて確定される。反射飛行時間質量分布が、第2信号に基づいて確定される。固有の因子が、直線飛行時間質量分布および反射飛行時間質量分布に少なくとも部分的に基づいた試料の中に、存在しているのかどうかが確定される。
【0019】
両方の向かい合う面に沿ったイオン検出器を備えた板を用いて、供給部の方向に面した表面に沿って直接飛行時間を測定でき、同じ供給部からの同じイオンビーム中の異なるイオンから、供給部とは逆を向いた面に沿って反射飛行時間を測定できる。反射飛行時間質量分布の測定値とは無関係である直線飛行時間質量分布の測定値を同時に得ることにより、2つの別々の測定値が、同じ小さな試料から形成される。これにより、試料が制限されて供給される場合、従来の質量分析計を介した誤った警報率が低減する。さらに、全信号が増加する。なぜなら、第2部分に続く空孔の外側に位置する板に衝突して、反射測定によって失われたイオンが、直接飛行時間測定によって検出されるからである。さらに、これらの測定が、(試料の前処理(sample preparation)、電離、および、加速、検出、および、試料の除去を繰り返さずに)同時に起こるので、必要な別々の測定値を、他のアプローチよりもわずかな時間で獲得する。さらには、直接飛行時間を測定することにより、反射飛行時間を構成する(configurations)ことにより分解する大きな分子からの質量分布の検出が、維持される。
〔図面の簡単な説明〕
本発明を、添付図面の図によって、例を用いて、限定せずに示す。また、本発明では、同じ部材には同じ参照符号を付けている。
【0020】
図1(a)は、一実施形態に係る、直線飛行時間質量分布と反射飛行時間質量分布とを同時に測定する、質量分析計を示すブロック図である。
【0021】
図1(b)は、一実施形態に係る、両方の面に沿ったイオン検出器を備えた取り付け板を示す、ブロック図である。
【0022】
図2(a)は、1実施形態に係る、直接(「直線」)飛行時間用の例示的質量分布を示すグラフである。
【0023】
図2(b)は、1実施形態に係る、反射飛行時間用の例示的質量分布を示すグラフである。
【0024】
図3は、1実施形態に係る、質量分析計を用いた因子の確定方法を高レベルで(at a high level)示す流れ図である。
【0025】
図4は、本発明の1実施形態を実行できるコンピュータシステムを示すブロック図である。
〔詳細な説明〕
質量分析計による直線イオンと反射イオンとを同時に検出するための方法および装置について、記載する。以下の記載では、説明上、本発明を完全に理解するために、細部について多数具体的に説明する。しかしながら、当業者は、明らかに、これらの具体的な詳細がなくても本発明を実施できるだろう。また、よく知られた構造および装置を、本発明を不必要に不透明にすることを避けるために、ブロック図の形状で示す。
1.構造的機能的概要
図1(a)は、1実施形態に係る、直線飛行時間質量分布と反射飛行時間質量分布とを同時に測定する質量分析計100を示すブロック図である。この質量分析計は、真空室に備えられた飛行管120を含んでいる。この真空室は、地球の大気圏の外側で用いられる実施形態では省略してもよい。飛行管は、供給領域部110、ドリフト領域部122、および、反射器領域部124を含んでいる。反射器領域部124の中の反射器126は、飛行管120の反射器領域部124中の軌道の長さおよび飛行時間を2倍にするために、イオンビーム中のイオンを反転させる。
【0026】
また、ドリフト領域部122と反射器領域部124との間には、2つの部分を分割する両面チャネルプレート検出器140が位置している。実施形態によっては、この検出器140は、2つの部分の間に位置しているが、これらの部分を分割していなくてもよい。この両面チャネルプレート検出器は、2つの側面のそれぞれ(つまり検出器の「表面」)に沿って極小チャネルプレートイオン検出器を備えている。1つの面は、供給領域部110およびドリフト領域部122の方を向いており、その反対側の面は、反射領域部124の方を向いている。この両面チャネルプレート検出器140については、図1(b)を参照しながら以下でより詳しく説明する。また、他の実施形態では、2つの対向面に沿ってイオン検出器を備えた他の検出器が用いられる。
【0027】
供給領域部110で、試料はイオン化し、イオンは加速し、イオンビームに集中される。実施形態によっては、供給領域部110で試料をレーザーで照らすことにより、試料をイオン化するものもある。また、ドリフト領域部122では、イオンビーム102が発散する。発散するイオンビーム102中のイオンには、供給領域部110およびドリフト領域部122の方を向いた検出器140の面に衝突するものもある。これらのイオンは、検出器140のこの面に沿った極小チャネルプレート検出器によって検出され、直接(「直線」)飛行時間質量分布の決定に用いられる。
【0028】
発散するイオンビーム102中のイオンには、検出器140の空孔を介して反射器領域部124に通過するものもある。反射器126を用いて形成された(established)電界によって、反射イオンビーム104を形成するためのこれらのイオンの進行方向が逆になる。反射イオンビーム104のイオンは、反射器領域部124の方を向いた検出器140の面に衝突する。これらのイオンは、検出器140のこの面に沿った極小チャネルプレート検出器によって検出され、反射飛行時間質量分布の決定に用いられる。
【0029】
直線質量分布および反射質量分布は、供給領域部110中の試料から得られる質量分布の独立した観察(observations)を提供する。イオンが、一つ一つ異なっているがほぼ同じ型であることにより、測定値を各板で得ることができる。特徴的な質量ピークが両方の分布中で検出される(are found)試料成分(sample component)が、誤った警報がノイズまたは機器のエラーに基づいているために、実際に試料中に存在している可能性が高い。供給領域部110において電離された小さく貴重な試料からでさえ、少なくとも2つの別々の質量分布測定が生じる。
【0030】
図示した実施形態では検出器140の両方の表面に沿った極小チャネルプレート検出器を使用しているが、他の実施形態では、他のイオン検出器を使用している。質量分析計を構成する従来技術によって知られているどの中央空孔イオン検出器を使用してもよい。
【0031】
この図示した実施形態では、反射器領域部124中の垂線は、導線(conductors)である。これらの導線は、飛行管120の反射器領域部124の内壁の中に位置する反射器126の部分である。これらの導線は、それぞれ、反射器領域において電圧勾配を形づくるために、異なる電圧に設定されている。また、他の実施形態では、他の反射器を使用してもよい。質量分析計を構成する従来技術によって知られているどの反射器を使用してもよい。
2.両面チャネルプレート検出器
図1(b)は、1実施形態に係る検出器140を示すブロック図である。この検出器は、その両方の表面に沿ってイオン検出器を備えた取り付け板から構成されている。
【0032】
この検出器140は、飛行管120に接触するために形成された板状の構造部(structural member)146を含んでいる。記述した実施形態では、この構造部146は、飛行管120のドリフト領域部122と、飛行管の反射器領域部124とに接触するために形成された接触成分(attachment element)149を含んでいる。また、他の実施形態では、質量分析計をどのような方法によって形成しても、この構造部は、飛行管120内部の取り付け台に接触される。また、構造部146が図1(b)の図面に対して垂直に形成された平らな円板である、実施形態もある。また、他の実施形態では、この構造部は長方形のような他の形状をしている。また、組み立てる際に、この構造部146を飛行管120のドリフト領域部122と反射器領域部124との間の領域に配置した、実施形態もある。他の実施形態では、構造部146をこの領域に配置していない。
【0033】
この構造部146は、中央空孔148を含んでいる。この中央空孔は、発散イオンビーム102中のイオンの一部を反射器領域部124に通過させる。図示した実施形態では、空孔148は、構造部のほぼ中央に位置している。また、他の実施形態では、空孔を構造部に沿ったどの位置に配置してもよい。また、構造部をドリフト領域部122と反射器領域部124との間の領域に配置しない実施形態では、イオンは、構造部146の外側に位置する反射器領域部124へと通過することができ、「空孔」は、構造部146の外側に位置する板の部分と見なされる。空孔は、検出器140の中央に近接して配置されていることが好ましい。なぜなら、反射器領域部124へとイオンを通す空孔が検出器の中央に近接しており、集中されたイオンビームの中心と合っている場合に、発散しているイオンおよび反射イオンが検出器に衝突しやすくなり、信号をさらに供給するからである。
【0034】
検出器140は、2つの表面141a・141bを含んでいる。これらの表面は、各表面に沿って1つまたは複数のイオン検出器を備えている。図示した実施形態では、各表面は、極小チャネル検出器を1つ含んでいる。(格子143とは、異なる電界間の境界線を精確に規定するために用いられる純度の高い金属性の網目である。これら2つの表面141a・141bを、山形の極小チャネルプレート検出器表面(または両面チャネルプレート検出器表面)と呼ぶ。また、他の実施形態では、他のイオン検出器を、各表面141a・141b上で使用する。1つの表面141aは、飛行管120の、供給領域部110およびドリフト領域部122の方を向いている。もう1つの表面141bは、飛行管120の反射器領域部124の方を向いている。また、図示した実施形態では、表面141a・141bと構造部146の部分との間に、隙間を形成する。また、他の実施形態では、検出器を備えた向かい合う表面は、構造部146に対して平行である。図示した実施形態では、表面141a・141bは、図1(b)の図面に対して垂直面(plane perpendicular)方向に、構造部の境界線の外側に広がらない。また、他の実施形態では、検出器を備えた向かい合う面は、この境界線の外側に広がっていてもよい。また、他の実施形態では、格子143を、検出器取り付け台から完全に除去している。
【0035】
また、検出器140は、チャネルプレートの裏側から放出される電子を集めるためのアノードを含んでいる。図示した実施形態では、1対のピンアノード(pin anodes)145a・145bを使用する。他の実施形態では、表面141a・141bと同軸の、環状の形をしたアノードのような、他のアノードを使用してもよい。イオンビームのイオン(分析器(analyzer)の構造に応じた陽イオンまたは負イオン)は、第2電子が後に拡散される(ejected)各検出器の表面に衝突する。この電子信号を、検出器内の極小チャネルの内部表面に沿って縦につながった電子(the electrons cascade)として増幅する。多数の電子は、検出器の前面に衝突する各イオン用の検出器の裏側から出力し、結果として、電流が非常に高くなる。例えば、ほぼ106に上昇する。
【0036】
検出器140は、イオンの数に関する信号を出力するための、2つの出力端子を含んでいる。例えば、アノード145a・145bの電流を、電圧信号に変える。これら2つの端子のこれらの電圧信号は、2つの向かい合う表面に衝突する複数のイオンに関係がある。線出力端子142が、供給領域部110およびドリフト領域部122の方向に面した表面141aに衝突する複数のイオンに関係のある信号を供給する。また、反射出力端子144が、反射器領域部124の方を向いた表面141bに衝突する複数のイオンに関係のある信号を供給する。
3.両面チャネルプレート検出器からのデータ例
図2(a)は、実施形態に係る、直接(「線」)飛行時間の質量分布を示す、線スペクトル240の一例を示すグラフである。図2(a)は、図1(b)に描かれた検出器140の表面141aに沿って検出されたイオンの飛行時間の測定値に基づいている。また、図2(b)は、実施形態に係る、反射飛行時間の質量分布を示す、反射器スペクトル250の一例を示すグラフである。図2(b)は、図1(b)に描かれた検出器140の表面141bに沿って検出されたイオンの飛行時間の測定値に基づいている。
【0037】
図2(a)・図2(b)のグラフは、それぞれ、質量軸210a・210bの質量に対する電圧軸220a・220bの電圧増幅を示している。電圧を、線出力端子142および反射出力端子144の各信号によって増幅し、この電圧増幅は、表面141a・141bに沿った各極小チャネルプレート検出器に衝突する複数のイオンに関係がある。原子質量単位(amu)を用いて測定された質量を、従来技術によってよく知られているような飛行時間測定値から導く。供給領域部110から検出器までの軌道の長さは、各表面141a・141bのゆえに(for)知られている。各表面141a・141bまでの軌道の長さを、測定された飛行時間で割ったものが、イオンの平均速度である。(電子ボルトでの)供給領域によって与えられたエネルギーを、速度の2乗で割ったものは、質量に比例している(か、または、他の方法では、イオンの飛行時間は、その質量の2乗に比例する)。
【0038】
また、第1表面141aまでの軌道の長さが、第2表面141bまでの軌道の長さよりも短いということが、重要である。したがって、与えられた質量(約6000amu)の分子は、第1表面141aに、同じ質量の他の分子が第2表面141bに達するよりも早く達する。信号対質量のグラフを作成することにより、水平軸上の位置の違い(the differences in positions)を考慮しなくてよい。(そして、2つの別々の測定値を、比較および分析するために並べることができる。質量軸210a・210bを用いた図2(a)および図2(b)のグラフでは、それぞれ、線スペクトル240を、反射器スペクトル250と直接比較できる。
【0039】
これらのスペクトル240・250は、どこか類似しており、どこか異なっている。両方のスペクトル240・250には、明らかに、ピークがいくつか存在している。ピークとは、分光計によって分解された最大質量よりも多い(in great numbers compared to)質量のことである。例えば、線スペクトル240中のピーク242a・242b・242cおよび242cは、はっきりと分かる。これらに相当する、反射器スペクトル250中の質量のピークは、それぞれ、ピーク252a・252b・252c。252dである。
【0040】
線スペクトルと比べて、軌道および飛行時間がより長い反射器スペクトル250の質量の分解は、より大きい。つまり、反射器スペクトルは、線スペクトル240が行うよりも、より小さな質量差を識別する。このことは、線スペクトル240のピーク242aと比べて、それに対応する反射器スペクトル250のピーク252aの幅が狭いことから、明らかである。
【0041】
反射器スペクトル250は、より大きな分子の分裂によって損失を受ける。このことは、8000amu以上の質量であるピーク252dと関係のある信号レベルが、反射器スペクトル250中の2000amuよりも少ない質量であるピーク252aのそれと比べて、比較的低いことから明らかである。これとは対照的に、線スペクトル240では、8000amu以上の質量であるピーク242dは、2000amu以下のピーク242aよりも大きな信号レベルを有している。同様に、線スペクトル240中のほぼ9800amuの小さなピークが、反射器スペクトル250にはまったく見当たらない。
【0042】
1つのスペクトルでは目立つ質量が、他のスペクトルではそうではない。例えば、線スペクトル240中の約3000amuで現れるピーク242bは、反射器スペクトル250では、むしろ目立たないピーク252bである。図解するために、重要な因子の成分(component)が3000amuでのピークに関連していると仮定する。このピーク242bは反射器スペクトル250では目立たないので、このピークがノイズに起因している可能性もある。ピーク242がノイズに起因しているなら、因子が存在すると推定することが、システムの有用性を著しく下げる誤った警報を構成してしまう。
【0043】
他方、ピークが両方のスペクトル中で顕著であることにより、検出をより信頼性をもって行うことができる。図解するために、重要な第2因子が約1800amu、4200amu、および、8500amuで複数のピークに関連している、と仮定する。この質量でのピークは両方のスペクトルで観察される(線スペクトル240では、ピーク242a、242c、242d、反射器スペクトル250ではピーク252a、252c、252d)。両方のスペクトル中の全ての3つのピークがノイズによって形成されているということは、疑わしく、第2因子が存在すると推定する方が正しいと判断する。このような推定は、供給領域において電離された単一の試料から形成された単一のイオンビームに基づいて、信頼できるものである。この試料は、両方のスペクトル240・250を(例えば、かつて用意されて(prepared)かつて分光計に挿入された、ある試料から)同時に形成している。
【0044】
図2(a)および図2(b)のグラフは、試料中の重要な因子の、線スペクトル240および反射器スペクトル250の両方に少なくとも部分的に基づいた検出結果を、示している。なお、これらのスペクトルは、同時に両方の表面141aおよび141bに沿った検出器によって出力された信号から確定されたものである。
【0045】
図2(a)のスペクトルは、極端な信号強度と、従来の反射飛行時間質量分析計では忘れられていた別々の観察(observations)とを示している。
4.複合体分子因子の決定方法
図3は、1実施形態に係る、質量分析計によって因子を確定するための方法300を、高レベルで(at a high level)示す流れ図である。ステップ310では、真空室の供給領域において、イオンビームが試料から形成される。また、イオンビームを形成するための従来のどの方法を使用してもよい。1実施形態では、レーザービームが、反射器領域部124の壁の透過性の部分と、検出器140中央空孔148とを通って、供給領域110中の試料の方を向く。このレーザービームは、試料中の分子を電離する。また、予め確定されたエネルギーに分子を加速してイオンをイオンビーム102へ集中させるために、電界を供給領域部110に供給する。イオンビームを加速して集中させるために、質量分析計を構成する場合は従来のどの方法を用いてもよい。このイオンビームは、飛行管120のドリフト領域部122の方を向いている。
【0046】
ステップ320では、線信号が生じる。この線信号は、供給領域に面している板の表面に沿った検出器に、各時間間隔中に衝突する複数のイオンに関係している。例えば、信号が、発散イオンビーム102のイオン量に基づいた線出力端子142において生じる。このイオンビームは、いくつかのミリセカンド間の(for several milliseconds)数ミリセカンド毎に、両面チャネルプレート検出器140の表面141aに衝突する。また、この信号は、空孔を通って飛行管120の反射器領域部124へ通過しないイオンに基づいている。したがって、この信号は、従来の反射器質量分析計において有していなかった付加的な信号強度を表している。
【0047】
ステップ330では、反射器信号が生じる。この反射器信号は、反射器領域に面した板の表面に沿った検出器に、各時間間隔中に衝突する複数のイオンに関係している。例えば、信号が、反射イオンビーム104のイオン量に基づいた反射器出力端子144において生じる。このイオンビームは、いくつかのミリセカンドごとに(for several milliseconds)数ミリセカンド毎に、両面チャネルプレート検出器140の表面141bに衝突する。
【0048】
ステップ340では、線飛行時間質量分布を、線信号に基づいて確定する。例えば、コンピュータが、線信号を受信し、コンピュータに格納された命令に応じて線信号に基づいた線スペクトル240を生成する。このスペクトルは、従来の反射器質量分析計によって測定されないイオンの観察(observations)に基づいている。したがって、このスペクトルは、従来の反射器質量分析計から得られないほぼ別々の観察である。
【0049】
ステップ350では、反射器飛行時間質量分布を反射器信号に基づいて確定する。例えば、コンピュータが、反射器信号を受信し、コンピュータに格納された命令に応じて、反射器信号に基づいた反射器スペクトル250を生成する。
【0050】
ステップ360では、特定の因子が、線質量分布および反射質量分布に少なくとも部分的に基づいた試料に存在しているかどうかを確定する。例えば、コンピュータが、線スペクトル240および反射器スペクトル250に基づいた試料に特定の因子が存在しているかどうかを、確定する。従来の反射器質量分析計では、このような確定は、測定ノイズおよび分裂のゆえに、同じく信頼されない。
5.コンピュータ実施概要
図4は、本発明の1実施形態を実施できるコンピュータシステム400を示すブロック図である。コンピュータシステム400は、バス410のような通信メカニズムを含んでいる。このバスは、コンピュータシステムのそれ以外の内部素子と外部素子との間で情報を行き来させるためのものである。情報とは、測定可能な現象(phenomenon)の物理信号のことである。この現象とは、例えば、通常は電圧(electric voltages)のことを指すが、他の実施形態では、磁気、電磁、圧力、化学、分子、原子間の相互作用といった現象も含まれる。例えば、南北の磁界(つまり、ゼロおよびゼロ以外の電圧(electric voltages))は、2進数(bit)の2つの状態(0,1)を示している。一列の2進数は、キャラクタ用の数または符号を表すために用いられるデジタルデータを構成している。バス410が、多くの平行な情報の導線を含んでいるので、情報が、バス410に接続された装置間で高速で転送される。情報を処理するための1つまたは複数の処理装置402は、バス410に接続されている。処理装置402が、情報に関する一連の動作を実行する。これらの一連の動作とは、バス410から(in from)情報を移動すること、および、情報をバス410に載せることを含んでいる。さらに、これらの一連の動作は、通常、2つまたは複数の情報ユニットを比較し、これらの情報ユニットの位置を移し、例えば加算または乗算によって、2つまたはそれ以上の情報ユニットを合成することを含んでいる。この処理装置402によって実行される一連の動作が、コンピュータ命令を構成している。
【0051】
コンピュータシステム400は、さらに、バス410に接続されたメモリ404を含んでいる。このメモリ404(例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)または他のダイナミック記憶装置)には、コンピュータ命令を含んだ情報が格納されている。ダイナミックメモリは、そこに格納された情報を、コンピュータシステムによって変更することができる。RAMは、記憶アドレスが呼び出される位置に格納された1つの情報ユニットを、隣接するアドレスの情報とは無関係に、格納および検索することができる。さらに、メモリ404は、コンピュータ命令を実行している間に一時的な値を格納するための処理装置402によって用いられる。このコンピュータシステム400は、さらに、静的情報を格納するためにバス410に接続された、読み出し専用メモリ(ROM)406または他の静的記憶装置を含んでいる。これらの装置には命令が含まれており、これらの命令は、コンピュータシステム400によって変更されない。さらに、情報を格納するための不揮発性(永続的な)記憶装置408(例えば、磁気ディスクや光ディスク)が、バス410に接続されている。この記憶装置は、コンピュータシステム400をOFF状態にしたり他には電源を切った場合にも消滅しない命令を、含んでいる。
【0052】
命令を含んだ情報を、外部入力装置412(例えば、ユーザー(human user)が操作する英数字のキーを含んだキーボード、または、センサー)から、処理装置によって用いられるバス410に供給する。センサーが、その周辺の状況を検出し、それらの検出結果を、コンピュータシステム400中の情報を示すために用いられる信号と互換性のある信号に変換する。バス410に接続され、人が命令するために主に用いられる他の外部装置には、表示装置414および位置決め装置416が含まれている。表示装置とは、例えば陰極線管(CRT)または液晶表示装置(LCD)であり、画像を示すためのものである。また、位置決め装置とは、例えばマウスやトラックボールやカーソル方向キーであり、表示装置414に示された小さなカーソル画像の位置を制御するとともに、表示装置414に示された図式素子(graphical elements)に関連のある命令を発行するためのものである。
【0053】
図示した実施形態では、特定目的ハードウェア(例えば特定用途向け集積回路(IC)420)が、バス410に接続されている。この特定目的ハードウェアは、処理装置402によって実行されない動作を、特定目的のために十分に早く実行するように構成されている。特定用途向けICは、例えば、表示装置414用の画像を形成するためのグラフィックス・アクセラレータカードと、ネットワークを介して送信されるメッセージを暗号化して解読するための暗号化ボードと、音声認識と、特定外部装置とのインターフェースとを含んでいる。このインターフェースは、例えばロボットアーム(robotic arms)、および、ハードウェアーにおいて効果的に実行される一連の複雑な動作を繰り返し実行する医療走査装置(medical scanning equipment)のことである。
【0054】
コンピュータシステムは、さらに、バス410に接続された通信インターフェース470のインスタンス(instances)を1つまたは複数含んでいる。通信インターフェース470は、自身の処理装置によって動作する外部装置(例えば、プリンタ、スキャナ、および、外部ディスク)に接続して、双方向通信を行う。通常、この接続は、処理装置を有する様々な外部装置が接続されたローカルネットワーク(local network)480に接続された、ネットワークリンク478によって行われる。また、通信インターフェース470が、例えば、パーソナルコンピュータに接続された(on)パラレル・ポートやシリアル・ポートや汎用シリアルバス(universal serial bus)(USB)であってもよい。通信インターフェース470が、総合デジタル通信サービス網(ISDN)カードや、デジタル加入者回線(DSL)カードや、通信インターフェースに対応する型の電話線に情報通信を接続する電話モデムである、実施形態もある。また、通信インターフェース470が、バス410の信号を、同軸ケーブルを介して通信接続するための信号に、または、光ファイバーケーブルを介して通信接続するための光信号に変換するケーブルモデムである、実施形態もある。他の例として、通信インターフェース470が、互換性のあるLAN(例えばイーサネット(登録商標))に対するデータ通信接続を供給するためのローカルエリアネットワーク(LAN)カードであってもよい。また、ワイヤレスリンクを導入してもよい。ワイヤレスリンクを用いた場合、通信インターフェース470は、電気信号、音響信号、または、電磁信号を送受信し、デジタルデータのような情報の流れを運ぶ赤外線信号および光信号を含んでいる。このような信号が、例えば、搬送波である。
【0055】
コンピュータ読取り可能媒体という語は、ここでは、実行するための処理装置402への命令の供給に関係している全ての媒体に言及する(refer)ために用いられる。このような媒体が、不揮発性媒体、揮発性媒体、および、伝送媒体を含んだ形態であってもよいが、これらに限定されるものではない。不揮発性媒体は、例えば、記憶装置408のような光ディスクまたは磁気ディスクを含んでいる。揮発性媒体は、例えば、ダイナミック記憶装置404を含んでいる。伝送媒体は、例えば、同軸ケーブル、銅線、光ファイバーケーブル、および、ワイヤまたはケーブルのない空間を移動する波(例えば、電波、光波および赤外線波を含んだ、音響波および電磁波)を含んでいる。伝送媒体を介して伝送される信号を、ここでは、搬送波と呼ぶ。
【0056】
コンピュータ読取り可能媒体の共通した形状(forms)は、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープまたは他の全ての磁気媒体、コンパクトディスクROM(CD−ROM)または他の全ての光媒体、せん孔カード、紙テープまたは他の全ての空孔のパターンを有する物理媒体、RAM、プログラム可能ROM(PROM)、消去可能(PROM)、FLASH−EPROMまたは他の全てのメモリチップまたはカートリッジ、搬送波、または他の全てのコンピュータが読取ることのできる媒体、を含んだものである。
【0057】
また、ネットワークリンク478は、通常、情報を使用したり処理したりする他の装置に、1つまたは複数のネットワークを介して情報通信を供給する。例えば、ネットワークリンク478が、ローカルネットワーク480を介して、ホストコンピュータ482や、インターネットサービスプロバイダー(ISP)によって操作される装置に、接続してもよい。順に(in turn)、ISP装置484は、インターネット490と最近一般的に呼ばれるネットワークの中の公衆世界パケット交換通信ネットワーク(public, world-wide packet-switching communication network)を介して、データ通信サービスを供給する。インターネットに接続されたサーバー492を呼び出すコンピュータが、インターネットを介して受信された情報に応じてサービスを提供する。例えば、サーバー492が、表示装置414に表示するための映像データの情報を提供する。
【0058】
本発明は、上述の技術を実行するためのコンピュータシステム400の使用に関するものである。本発明の1実施形態にしたがって、これらの技術を、メモリ404に含まれている1つまたは複数連続した1つまたは複数の命令を実行する処理装置402に基づいて、コンピュータシステム400によって実行する。このような命令(ソフトウェアおよびプログラムコードと呼ばれる)を、メモリ404に、記憶装置408のような他のコンピュータ読取り可能媒体から読み込んでもよい。メモリ404に含まれる一連の命令を実行することにより、処理装置402は、上記した方法ステップを実行する。他の実施形態では、ハードウェア(例えば、専用集積回路420)を、本発明を実行するためのソフトウェアに代わって、または、このソフトウェアと組み合わせて、使用してもよい。したがって、本発明の実施形態を、ハードウェアとソフトウェアとの特定の組み合わせに限定しない。
【0059】
ネットワークリンク478を介して、および、通信インターフェース470を経由した他のネットワークを介して伝送される信号は、情報を、コンピュータシステム400へ伝送し、このシステムから伝送するものであり、搬送波の形状をしていることが好ましい。コンピュータシステム400は、ネットワーク480・490を介して他のネットワークの間で(among)、ネットワークリンク478および通信インターフェース470を介して、プログラムコードを含んだ情報を送受信できる。インターネット490を用いる例としては、サーバー492が、コンピュータ400から、インターネット490、ISP装置484、ローカルネットワーク480、および、通信インターフェース470を介して送信されるメッセージによって要求された、特定のアプリケーション用のプログラムコードを伝送する。受信されたコードを、それを受信しながら処理装置402によって実行してもよい。または、このコードを、後に実行する記憶装置408または他の不揮発性記憶装置またはこれら両方に格納してもよい。このようにして、コンピュータシステム400は、搬送波の形状で、アプリケーションプログラムコードを獲得することができる。
【0060】
コンピュータ読取り可能媒体は、実行するための処理装置402まで(to)、1つまたは複数の連続した命令またはデータまたはそれら両方を伝送するために(in carrying)、様々な形状をしていてもよい。例えば、命令およびデータを、初めに、ホスト482のようなリモートコンピュータの磁気ディスクに(on)伝送してもよい。このリモートコンピュータは、命令およびデータをそのダイナミック記憶装置にロードし、これらの命令およびデータを、モデムを用いた電話線を介して送信する。コンピュータシステム400に対して局所的な(local to)モデムが、電話線を介して命令およびデータを受信し、命令およびデータを赤外線信号(ネットワークリンク478として機能している搬送波)に変換するための赤外線送信機を使用する。通信インターフェース470として機能している赤外線検出器が、赤外線信号によって伝送される命令およびデータを受信し、命令およびデータである情報をバス410に送信する(place)。バス410は、メモリ404に情報を伝送する。このメモリからの命令を、処理装置402が命令によって送信されたデータのいくつかを用いて検索・実行する。記憶装置404に受信されたこれらの命令およびデータを、任意的に、処理装置402によって実行する前か後に、記憶装置408に格納してもよい。
6.範囲および代案(Extensions and Alternatives)
前述の仕様では、本発明を、その特定の実施形態に関して記載してきた。しかし、本発明のより広義の精神および範囲から離れることなく、本発明を様々に改良および変更できることは、明らかであろう。したがって、この仕様および図面を、限定的意義よりもむしろ例証的意義において考慮すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】図1(a)は、1実施形態に係る、直線飛行時間質量分布と反射飛行時間質量分布とを同時に測定する、質量分析計を示すブロック図である。図1(b)は、一実施形態に係る、両方の面に沿ったイオン検出器を備えた取り付け板を示す、ブロック図である。
【図2】図2(a)は、1実施形態に係る、直接(「直線」)飛行時間用の例示的質量分布を示すグラフである。図2(b)は、1実施形態に係る、反射飛行時間用の例示的質量分布を示すグラフである。
【図3】1実施形態に係る、質量分析計を用いた因子の確定方法を高レベルで示す流れ図である。
【図4】本発明の1実施形態を実行できるコンピュータシステムを示すブロック図である。
Claims (14)
- 質量分析計によって直線イオンと反射イオンとを同時に検出するための装置であって、
飛行管と、
試料のイオンのイオンビームを生成するとともに、イオンビームを飛行管の第1部分に導入するための供給部と、
上記飛行管の第2部分でイオンビームからイオンを反射するための反射器と、
上記イオンビームの軸に対してほぼ垂直な板とを備え、
上記板が、飛行管の第1部分と飛行管の第2部分との間に配置されており、
上記イオンビーム中のいくつかのイオンが飛行管の第1部分から第2部分に通過できる、空孔を備えており、
上記板の2つの対向面それぞれが、1つまたは複数のイオン検出器の組を備えている装置。 - 請求項1に記載の装置であって、
上記2つの対向面において飛行管の第1部分の側面を形成している第1表面上の、1つまたは複数のイオン検出器の第1組により、時間間隔中に検出されたイオンビーム中のイオンに基づいた、第1信号を伝送する第1信号端子と、
上記2つの対向面において飛行管の第2部分の側面を形成している第2表面上の、1つまたは複数のイオン検出器の第2組により、時間間隔中に検出されたイオンビーム中のイオンに基づいた、第2信号を伝送する第2信号端子とを備える、装置。 - 上記1組のイオン検出器が、複数の極小チャネルプレートイオン検出器である、請求項1に記載の装置。
- 請求項1に記載の装置であって、
直線飛行時間質量スペクトルが、2つの対向面の第1表面上の1つまたは複数のイオン検出器の第1組によって検出されたイオンに基づいて確定され、
上記第1表面が、飛行管の第1部分の方を向いている装置。 - 請求項1に記載の装置であって、
反射飛行時間質量スペクトルが、2つの対向面の第2表面上の1つまたは複数のイオン検出器の第2組によって検出されたイオンに基づいて確定され、
上記第2表面が、飛行管の第2部分の方を向いている装置。 - 上記板が、飛行管の第1部分を第2部分から分離している、請求項1に記載の装置。
- 質量分析計によって直線イオンと反射イオンとを同時に検出するための装置の製造方法であって、
飛行管に沿って、試料のイオンのイオンビームを生成するとともに飛行管の第1部分にイオンビームを導入するために、供給部を配置するステップと、
上記飛行管の中に、上記飛行管の第2部分中のイオンビームからイオンを反射させるために、反射器を配置するステップと、
上記飛行管の中で、上記飛行管の第1部分と上記飛行管の第2部分との間に、イオンビームの軸に対してほぼ垂直な板を配置するステップとを含み、
上記板が、イオンビーム中のいくつかのイオンが飛行管の第1部分から第2部分に通過する、空孔を備えており、
上記板の2つの対向面が、それぞれ、1組の1つまたは複数のイオン検出器を含んでいる、方法。 - 質量分析計を用いた直線イオンと反射イオンとを同時に検出するための方法であって、
イオンを供給することにより、試料からイオンビームを形成するステップと、
上記イオンビームから、イオンが供給される方向に面した板の第1表面に衝突する第1イオンの数を示す、第1信号を生成するステップと、
同じイオンビームから第2イオンの数を示す、第2信号を生成するステップと、
上記第1信号に基づいた直線飛行時間質量分布を確定するステップと、
上記第2信号に基づいた反射飛行時間質量分布を確定するステップとを含み、
上記第2イオンが、板の第2表面に衝突し、上記第2表面が、イオンが供給される方向とは逆の方向に面しており、板の空孔を通過するとともに反射電界を用いて反射される第2イオンの方向に面している、方法。 - 上記第1信号が、多数の時間間隔の各時間間隔中の複数の第1イオンを示す、請求項8に記載の方法。
- 上記第2信号が、多数の時間間隔の各時間間隔中の複数の第2イオンを示す、請求項8に記載の方法。
- 直線飛行時間質量分布および反射飛行時間質量分布に少なくとも部分的に基づいて、試料中に、特定の因子が存在しているかどうかを確定することを、さらに含んだ、請求項8に記載の方法。
- 固有の因子が試料中に存在しているかどうかを確定するための方法であって、
供給部中の試料から生成されたイオンビームから第1イオンの数を示す、第1信号を受信するステップと、
上記同じイオンビームから第2イオンの数を示す、第2信号を受信するステップと、
上記第1信号に基づいた直線飛行時間質量分布を確定するステップと、
上記第2信号に基づいた反射飛行時間質量分布を確定するステップと、
上記固有の因子が、直線飛行時間質量分布および反射飛行時間質量分布に少なくとも部分的に基づいた試料の中に存在しているかどうかを確定するステップとを含み、
上記第1イオンが、イオンが供給される方向に面した板の第1表面に衝突し、
上記第2イオンは、板の第2表面に衝突し、上記第2表面は、イオンが供給される方向とは逆方向に面しており、板に空いた空孔を通過するとともに反射電界を用いて反射された第2イオンの方を向いている、方法。 - 特定の因子が試料中に存在しているかどうかを確定するための、1つまたは複数の連続した命令を伝送する、コンピュータ読取り可能媒体であって、
1つまたは複数の処理装置によって1つまたは複数の連続した命令を伝送することによって、1つまたは複数の処理装置が、
供給部中の試料から生成されたイオンビームから第1イオンの数を示す、第1信号を受信するステップと、
上記同じイオンビームから第2イオンの数を示す、第2信号を受信するステップと、
上記第1信号に基づいた直線飛行時間質量分布を確定するステップと、
上記第2信号に基づいた反射飛行時間質量分布を確定するステップと、
上記固有の因子が、直線飛行時間質量分布および反射飛行時間質量分布に少なくとも部分的に基づいた試料の中に存在しているかどうかを確定するステップとを実行し、
上記第1イオンが、イオンが供給される方向に面した板の第1表面に衝突し、
上記第2イオンが、板の第2表面に衝突し、上記第2表面は、イオンが供給される方向とは逆方向に面しており、板の空孔を通過するとともに反射電界を用いて反射された第2イオンの方を向いている、コンピュータ読取り可能媒体。 - 特定の因子が試料中に存在しているかどうかを確定するための装置であって、
処理装置と、
1つまたは複数の連続した命令を伝送する、コンピュータ読取り可能媒体とを含んでおり、
処理装置によって1つまたは複数の連続した命令を実行することによって、上記処理装置が、
供給部中の試料から生成されたイオンビームから第1イオンの数を示す、第1信号を受信するステップと、
上記同じイオンビームから第2イオンの数を示す、第2信号を受信するステップと、
上記第1信号に基づいた直線飛行時間質量分布を確定するステップと、
上記第2信号に基づいた反射飛行時間質量分布を確定するステップと、
上記固有の因子が、直線飛行時間質量分布および反射飛行時間質量分布に少なくとも部分的に基づいた試料の中に存在しているかどうかを確定するステップとを実行し、
上記第1イオンが、イオンが供給される方向に面した板の第1表面に衝突し、
上記第2イオンが、板の第2表面に衝突し、上記第2表面は、イオンが供給される方向とは逆方向に面しており、板の空孔を通過するとともに反射電界を用いて反射された第2イオンの方を向いている装置。
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