JP2005505151A - 無線通信システムにおいて信号を追跡するための方法および装置 - Google Patents
無線通信システムにおいて信号を追跡するための方法および装置 Download PDFInfo
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Abstract
【選択図】図3
Description
【0001】
[1000]この発明は通信に関する。特に、この発明は、無線通信システムにおいて信号を追跡するための新規で改良された方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
[1001]無線通信システムにおいて、基地局と移動ユーザとの間の通信は移動ユーザの動き並びに地理的な被覆領域の環境により影響される。基地局から移動ユーザへの通信リンクは順方向リンクと呼ばれる。移動ユーザから基地局への通信リンクは逆方向リンクと呼ばれる。基地局は、逆方向リンクを介して受信した信号により移動ユーザを追跡する。逆方向リンクの劣化は、移動ユーザを追跡し、移動ユーザと通信するための基地局の能力に影響を与える。劣化は、陰影妨害、周波数間サーチ、フェージング(fading)、ブロッキング(blocking)、他のシステムを監視するような監視、および他の影響により生じ得る。基地局が逆方向リンクを失うと、基地局はもはや移動ユーザを追跡することができない。一度リンクを失うと回復は困難になる。
【0003】
[1002]それゆえ、実際の損失の前に逆方向リンクの予想される損失を基地局が検出するための方法と装置の必要性がある。さらに、問題を発見すると、基地局が受信器の動作を調節するための方法と装置の必要性がある。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
[1003]開示した実施の形態は無線通信システムにおいて、信号を追跡するための新規で改良された方法を提供する。一形態によれば、複数の指を有したレーキ受信器を有する無線通信システムにおいて、方法は、固有の経路を複数の指の各々に割当て、すべての指がロック状態にあるかどうか判断し、複数の指の経路割当てを維持し、受信した信号のエネルギーをしきい値と比較し、その比較に応答して、ロックフィルタを調節する。
【0005】
[1004]他の形態において、トランシーバは複数の指を持つレーキアンテナを含む。複数の指は複数の経路信号に適合している。また、トランシーバは、レーキアンテナに接続され受信した信号を濾波するように動作し、指のロック状態に基づいてフィルタリングを調節するように動作するロック検出器を含む。
【0006】
[1005]さらに他の形態において、無線通信システムにおいて移動局を追跡するための方法は、移動局がソフトハンドオフ状態にあるかどうか判断し、移動局がソフトハンドオフ状態にあれば指のロック状態を無視し、または移動局がソフトハンドオフ状態になければ所定の電力制御パターンを送信する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
[1013]図1は基地局12、14および移動局16を有する無線通信システム10を図解する。移動局16はシステム10の地理的環境内で移動する。無線大気インターフェースは順方向リンクと逆方向リンクのための媒体を供給する。「デュアルモード広域スペクトル拡散セルラシステムのためのTIA/EIA/IS−95移動局−基地局互換標準」(以下、「IS−95標準」と呼ぶ)、「cdma2000スペクトル拡散システムのためのTIA/EIA/IS−2000標準」(以下cdma2000標準と呼ぶ)、および/または「TIA/EIA/IS−856 cdma2000高レートパケットデータ大気インターフェース仕様」(以下HDR標準と呼ぶ)を含む標準に詳細に記載されたシステムを含む、符号分割多重アクセス(CDMA)システムのようなスペクトル拡散送信システムにおいて、スペクトル拡散信号は同じチャネル帯域幅を占有する。この場合、各信号は固有の識別可能な擬似乱数雑音(PN)系列を占有する。CDMAシステムの動作は、この特許出願の譲受人に譲渡され、参照することにより、明確にここに組み込まれる、米国特許第4,901,307号(発明の名称:「衛星または地上リピータを用いたスペクトル拡散多重アクセス通信システム」および米国特許第5,103,459号(発明の名称:「CDMAセルラ電話システムにおいて波形を発生するためのシステムおよび方法」)に記載されている。スペクトル拡散システムにおいて、複数のユーザは同じチャネル帯域幅を介して同時にメッセージを送信する。各基地局12、14は複数の受信信号を区別するためのレーキタイプ受信器を含む。
【0008】
[1014]CDMAシステムにおいて、リソースはすべての同時ユーザに割当てられる。この場合、送信電力は、所定の信号対雑音比SNRを維持するために必要な最小値に制御される。SNRは典型的に所望のまたは必要な性能レベルにより決定される。他のユーザからの信号は、所定の符号化された信号の復調の期間干渉になる。さらに、信号は地理的環境内を送信するので、地形と物体は送信された信号を反射および屈折させる。この結果、折り返された信号、すなわちマルチパスを生じ、受信器において、受信される。マルチパスは物体からの反射のグループから構成され、いずれのマルチパスも支配的でない。異なる反射された信号経路は異なる時刻に受信器に到達し、異なる振幅と位相を有するかもしれない。
【0009】
[1015]個々の伝搬経路の構造は識別可能であり、互いに区別されるとき、潜在的に利用される。擬似乱数雑音すなわちPNコードのような擬似乱数系列を用いたスペクトル拡散システムにおいて、個々のビットの時間分Tcまたは拡散信号のチップは、拡散帯域幅に反比例される。留意すべきは、Tcはチップ継続期間と呼ばれる点である。個々の伝搬経路は、Tcより大きい遅延により相互に分離されたなら区別できるかもしれない。所定の経路の信号の振幅は、相対的な伝搬距離、並びに地形、ビル、環境の他のエレメント等の反射するおよび/または屈折する性質に、依存する。いくつかの場合において、区別可能なマルチパス成分は実際には、変化する振幅の区別できない経路の一次結合であろう。この場合、振幅は、均一に分配された位相を有したレイリー分配されるように見える。マルチパス成分の識別により、各々のエネルギーを得ることができ、受信した信号の復調のために使用することができる。
【0010】
[1016]スペクトル拡散システムのダイバーシティを利用するためのレーキタイプ受信器構造を使用することが可能である。レーキ受信器はR.PriceおよびP.E.Green,Jr.(1958)「マルチパスチャネルのための通信技術」IREの行動、vol.46, pp.555-570に詳細に記載されている。これによって、参照することにより明確に組み込まれる。レーキタイプ受信器は典型的にサーチャーエレメントおよび多数の指プロセッサを含む。図8は受信した信号が乗算器202および204に供給されるレーキ受信器200を図解する。受信した信号は、それぞれ乗算器202、204内のキャリア成分IおよびQを用いて処理され、結果はそれぞれ波形一致フィルタ206、208に供給される。波形一致フィルタ206、208の出力は並列復調器210に供給される。並列復調器210はマルチパス伝搬経路のために最適化される。マルチパスコンポーネント復調器の各々はレーキ受信器200の「指」と呼ばれる。並列復調器は、重み付けされた、位相調節された、および遅延調節されたコンポーネントを形成する。並列復調器210はL個の指から構成される。指はこれらのマルチパスに対する復調された記号を発生するために最も強いマルチパスを処理するために割当てられる。次に、レーキ受信器200はすべての割当てられた指プロセッサからの復調された記号を結合し、加算ノード212において、送信されたデータの推定値であるリカバーされた記号を発生する。レーキ受信器200は複数の信号経路を介して受信したエネルギーを効率的に結合する。レーキ受信器200は、基地局、移動局、アクセス端末、アクセスネットワーク、遠隔局等のような受信器または送信器内で使用することができる。レーキ受信器は1つのアンテナエレメントまたはアンテナアレイのような複数のアンテナエレメントを用いて実施することができる。
【0011】
[1017]図1に戻ると、システム10は、基地局12、14または移動局16内に、図8の受信器200のようなレーキ受信器を採用することができる。図2は一実施形態に従うレーキ受信器を有する基地局12の受信器部分を図解する。アンテナアレイ20は逆方向リンクRLを介して信号を受信し、順方向リンクFLを介して信号を送信する。アンテナアレイ20は複数の信号を同時に受信するための複数の指を含む。アンテナアレイ20はシステム10内の移動局16により発生された複数の信号を受信する。アンテナアレイ20はレーキ受信器22および通信バス21を介してトランシーバ回路28に接続される。レーキ受信器22は図8のレーキ受信器200と同様であってもよいし、代わりの構成を持つようにしてもよい。レーキ受信器は、スペクトル拡散無線通信システム内のマルチパスを処理するように作動している。レーキ受信器22は基地局12が、所定のチャネルの送信された信号のマルチパスを利用可能にする。レーキ受信器はすべての経路の信号エネルギーを復調し使用する。レーキ受信器22は受信した信号を処理し、その情報を通信バス21に供給する。
【0012】
[1018]トランシーバ回路28はアンテナアレイ20の種々の指からの信号を処理するためのプロセッサを含む。トランシーバ回路28はロック検出器24およびしきい値計算装置26と通信する。アンテナアレイ20の各指について、ロック検出器24は受信した信号をエネルギーしきい値と比較する。受信した信号がエネルギーしきい値を越えているとき、ロック検出器は、受信経路が受信のために良好であり、それゆえ信号の現在の経路に「ロックする」。受信した信号がエネルギーしきい値を下回るとき、ロック検出器24は現在の経路が、信号の受信のために良好でないと判断し、それゆえ、アンテナの対応する指は異なる経路の信号を受信するように調節されるかもしれない。フィルタ係数を含む調節または代わりのフィルタ構成は、以下に記載するようにロック検出器24において行なうことができる。
【0013】
[1019]トランシーバ回路28もしきい値計算装置26に接続される。しきい値計算装置26は、受信した信号のエネルギーレベルの変化に応答してロック検出器24による比較のために使用されるしきい値を調節する。しきい値計算装置26は、システムの目標動作および送信の要件に応じて複数のエネルギーしきい値を発生する。
【0014】
[1020]図2において、理解を明確にするために、レーキ受信器22、ロック検出器24およびしきい値計算装置26は別個の機能ブロックとして図解される。代わりの実施の形態は、代わりの方法で、例えばレーキ受信器22内でこれらのブロックの機能性を結合することができる。機能的には、レーキ受信器、ロック検出器24、およびしきい値計算装置は異なるマルチパスコンポーネントにロックする。時間基準が使用されると、異なるマルチパスコンポーネントは、所定のアンテナに対して時間内に分離される信号の区別できるエコーとして別個に識別される。次に、別個に識別されたコンポーネントは、位相が統一され、結合され最終複合受信信号を生じる。
【0015】
[1021]レーキ受信器の各指について、ロック検出器24は、長期平均濾波信号を発生する受信信号を追跡する。その平均値がロックしきい値エネルギーレベルと比較される。この比較は受信判断を生じる。この場合、良好な受信は、指が良好な伝搬経路にロックされたことを示す。平均濾波信号がしきい値エネルギーレベル以下に下がると、ロック検出器24はまた高速な回復を提供する。この場合、ロック検出器24は、事前濾波受信信号を調節されたしきい値エネルギーレベルと比較する。調節されたしきい値は、控えめな回復基準を供給するロックしきい値エネルギーレベルより大きいかもしれない。この場合、指を回復するためにより高いエネルギーレベルが必要となる。反対に、調節されたしきい値は、より寛大な回復基準を供給するロックしきい値エネルギーレベル未満かもしれない。この場合、可能な限り、指を回復するためにより少ないエネルギーレベルを求める。
【0016】
[1022]回復については、すなわち高速回復について、受信した信号エネルギーは調節されたしきい値エネルギーレベルと比較される。この場合、受信した信号エネルギーが調節されたしきい値以上なら、信号フィルタリングに調節がなされる。この調節によって、結果的に長期平均濾波信号の計算が異なる。
【0017】
[1]図3はレーキ受信器22の1つの指からの信号を処理するためのロック検出器24の一部の一実施の形態を図解する。信号は図2のアンテナアレイ20から受信され、レーキ受信器22により処理され、ロックフィルタ30に供給される。アンテナアレイ20からロック検出器24において受信された信号にはγのラベルが付けられる。ロック検出器30は長期フィルタリングを実行し、γFのラベルが付けられた信号の平均濾波バージョンを出力する。ロックフィルタ30はチャネル誘導歪みを修正する。ロックフィルタ30は無限インパルス応答、IIR、フィルタのような等化フィルタであってよい。一実施の形態において、等化フィルタは複数のタップを含み、タップの出力は増幅され加算される。ロックフィルタ30の出力は受信した信号の平均長期濾波バージョンである。濾波された信号γFは入力として比較器32に供給される。比較器32は濾波された信号γFをしきい値発生器42により供給されるロックしきい値エネルギーレベルELOCKと比較する。しきい値発生器42は固定のまたは所定のしきい値レベルに事前にプログラム可能である、または基地局12の動作またはその他の基準に基づいて動的に変更可能である。一実施の形態において、しきい値発生器42は計算を実行するしきい値計算装置26に応答し、適当なしきい値レベルを決定する。濾波された信号γFのエネルギーがしきい値レベルELOCKを超えると、関連する指の経路がロックされる。
【0018】
[1024]比較器32の出力は比較の結果を示すLOCK信号である。LOCK信号は指のロックステータスを供給する。一実施の形態において、LOCK信号はバイナリインジケータであり、アサーションはロック条件を示し、否定は指が経路上にまたは経路コンポーネントにロックしなかったことを示す。代わりの実施の形態は異なる極性割当てを使用することができる。同様に、LOCK信号はロック条件に関するより詳細な情報を供給する複数のビットを含むことができる。例えば1つのLOCK信号はロック状態のかかわり合いを示す、この場合、LOCK信号は、指がアンロック状況への傾向があるときの表示を供給する。図解するように、LOCK信号はスイッチを介してトランシーバ回路28に接続される。ロック検出器24はレーキ受信器22の各指に対してエネルギーレベルの比較を実行する。
【0019】
[1]指の所定の経路が依然としてロック状態のままであるとき、その経路を介して受信された信号は継続してトランシーバ回路28により処理される。ロック条件はその経路上での良好な受信に対応する。しかしながら、指がロックからはずれると、すなわちγFがELOCKを下回ると、受信が劣化し、指を他の経路に再割り当てするかまたはロックフィルタ30の調節または再構成により指の回復を供給する必要があるかもしれない。ロックのはずれた指のために、一実施の形態は、指が自発的に回復することを可能にするための第1の時間を供給し、次に、フィルタコンポーネントおよび/または構成を調節するためのさらなる時間を供給する。このさらなる時間は、所定の指上の現在の経路を回復するための最後のチャンスを供給する。さらなる時間が満了すると、指は新しい経路に再割り当てすることができる。一実施の形態において、再割り当ては他の無線周波数に対して行なわれる。
【0020】
[1]特に、所定の指が所定時間T1、ロックからはずれた状態で留まっているとき、ロック検出器24はロックフィルタ30を調節しようと試みる。この状況において、調節されたエネルギーレベルしきい値E’LOCKは、事前に濾波された受信信号γとの比較のために使用される。比較の結果は、ロックフィルタ30の調節のためにフィードバックを供給する。留意すべきは、1つの調節は、ロックフィルタ30のフィルタリング効果を無視することかもしれない。この場合、ロックフィルタ30への入力はまたその出力としても供給される。この場合、ロックフィルタ30を表現する伝達関数はインパルス、すなわちh(t)=δ(t)として与えられる。代わりの調節はロックフィルタ30のエネルギーレベルを増加することかもしれない、従って、LOCK信号を供給するために十分な受信信号のエネルギーを増加させる。一実施の形態によれば、ロックフィルタ30の調節はフィルタサンプルの各々に重みを与え、受信信号γのより最近のサンプルにより大きな重みが与えられる。このようにして、ロックフィルタ30は受信信号γをより正確に追跡しようとする。
【0021】
[1027]ロックフィルタ30への調節のために、受信信号γは比較器34への入力として供給される。従って、指により受信された信号γは比較器34において、調節されたエネルギーしきい値E’LOCKと比較される。調節されたエネルギーしきい値E’LOCKは発生器38により発生される。一実施の形態において、調節されたエネルギーしきい値E’LOCKはしきい値計算装置26に応答する。比較器34の出力はANDゲート36への入力として供給される。ANDゲート36への第2入力はタイマ40により供給される待ち状態インジケータである。タイマー40は、ロック検出器24が経路上に定着するための時間T1を認める。これは、地理的かつ環境的条件ならびに移動局の移動のような無線システムの予測のつかない変化を考慮に入れる。待ち状態T1が満了し、受信した信号が、調節されたしきい値レベルE’LOCKよりも大きければ、ロックフィルタ30に対して調節が成される。一実施の形態において、ビットの極性に基づいてロックフィルタ30をバイパスするかまたはフィルタリングを可能にするかを示すビットがANDゲート36により発生される。代わりの実施の形態において、ロックフィルタ30のフィルタリング係数を調節するためのメッセージとして複数のビットが設けられる。この調節はロックフィルタ30のサンプルに重みを割当てるかまたは平均信号を発生するために使用されるサンプル数を低減することができる。留意すべきは、一実施の形態によれば、しきい値計算装置26は発生器38および42を制御する。
【0022】
[1]基地局12のレーキ受信器22の各指の動作は2つの状態を含む:LOCKとOUTOF LOCKである。図4Aはレーキ受信器22の動作の状態図を提供する。図4Bはロック状態に関するレーキ受信器22の動作のプロットを図解する。LOCK状態70は指上の経路の良好な受信に対応する。OUT OF LOCK状態72は指上の経路の質の悪い受信に対応する。指がLOCK状態70を獲得すると、受信された信号γは処理され、濾波され長期平均値γFを決定する。次に、濾波された平均値γFの各更新は、しきい値ELOCKと比較される。γFがしきい値ELOCKを下回ると、状態70からOUT OF LOCK状態72に遷移する。指が状態72を獲得すると、受信した信号γは回復処理のために利用できる。状態72にいる間に濾波された平均値γFは再びしきい値ELOCKと比較される。γFの値がELOCK以上のとき、動作は状態70の戻る。
【0023】
[1029]一実施の形態において、ELOCKの値は、状態70から状態72に遷移すると調節される。この場合、状態70にあるとき、第1のしきい値ELOCK(i)が適用可能であり、状態72にあるとき、第2のしきい値ELOCK(i+1)が適用可能である。このように、OUT OF LOCK状態70への遷移をトリガするために使用されるエネルギーしきい値とは異なるエネルギーしきい値を用いてIN LOCK状態70への遷移をトリガする。そのようなスキームのヒステリシスタイプ特性は図4Bに図解される。水平軸はしきい値に対応し、垂直軸は状態に対応する。OUT OF LOCK状態72から始まって、遷移は、しきい値ELOCK(i+1)で生じIN LOCK状態70に遷移する。反対に、IN LOCK状態70から、OUT OF LOCK状態72への遷移はしきい値ELOCK(i)において生じる。図解された実施の形態において、指が良好な受信を有する経路にロックされる確実性を増加させるために、IN LOCK状態70に遷移するためにより高いしきい値ELOCK(i+1)が使用される。より低いしきい値ELOCK(i)は、質の悪い受信を示すために必ずしも相関しない信号強度の変化を許容するためにOUT OF LOCKに遷移するために使用される。
【0024】
[1]一実施の形態によれば、待ち時間T1の満了はロックフィルタ30の調節を可能にし、指の回復を達成するための時間を認めるために、第2の時間T2を開始する。図5は、受信した信号γと、レーキ受信器22内の1つの指のための相関する濾波された平均値γFが時間の関数としてプロットされた1つのシナリオを図解する。最初に、平均値γFはしきい値ELOCKより上にあり、それゆえ、指はロック状態にある。時刻t1において、受信した信号γの強度はしきい値ELOCKより下に低減される。濾波された平均値γFはELOCKより下に下がり、その後時刻t2において、時間T1の開始をトリガする。時間T1の期間、ロックフィルタ30は調節されないが、指に回復するための時間が与えられる。時間T1はこの指に対する受信した信号内の短期間の変化および摂動を考慮に入れる。
【0025】
[1]図5を続けると、時刻t3において、時間T1が満了し、時間T2が開始する。時間T2の期間、指の高速な回復を許容するようにロックフィルタ30を調節することができる。ロックフィルタ30の調節は結果として調節された濾波信号(図示せず)を発生する。時間T2は時刻t4において、満了し、γおよびγFは共にELOCKを下回る。このシナリオにおいて、指は回復されなかったそして再割り当てされるであろう。言い換えれば、時間T2、事実上は合計時間(T1+T2)の満了時に指が回復されなかったなら、その指には別の経路が割当てられる。それに対して、時間T2の間に回復が生じるなら、その指はロック状態になる。留意すべきは、時刻t4に続いて、信号γとγFはELOCKより上に上がり、T2がt5でまたはおよそt5で満了していたなら、指を回復可能にしていたであろう。時間T1およびT2の実際の時間分の決定は、固定値にあらかじめ決めてもよいし、歴史に関する知識および/または発見的決定に従って動的に調節してもよい。代わりの実施の形態において、時間T1、T2を決定するために、更なる信号処理を使用してもよい。この場合、決定は、ビットエラーレート(BER)、フレームエラーレート(FER)、および/またはデータエラーレートの関数であってよい。しきい値ELOCKおよびE’LOCKのエネルギーレベルは、いろいろな動作条件およびシナリオに対して指の回復を最適にするように決定される。例えば、一実施の形態において、しきい値エネルギーレベルは、どれくらい他の指がロック状態にあるかを考察する。この場合、他の指がロックされていないなら、より寛大なしきい値を適用することができる。反対に、他のすべての指がロック状態なら、その決定は、受信した信号の精度を高めるために控えめなしきい値レベルを適用するかもしれない。
【0026】
[1032]指がロック状態でないとき、時間を与えてフィルタ調節を行い、ロック状態を回復する。回復が得られないとき、指は代替経路に再割り当てすることができる。図6は、一実施の形態に従って図1のシステム10内の信号を追跡するための方法を図解する。開始から、タイマ期間T1、T2が初期化される。次に、ステップ52において、プロセスは、アンテナアレイ20の複数の指上の受信された信号を追跡することにより始まる。判断ひし形54において、いずれかの指がロックしていないかどうかを判断するためにチェックが行なわれる。少なくとも1つの指がロックしていないなら、処理は判断ひし形56に進み、そうでなければ、処理はステップ52に戻り信号を追跡し続ける。判断ひし形56において、時間T1が満了していれば、判断ひし形58において、受信した信号が調節されたしきい値E’LOCKと比較される。時間T1が満了していなければ、処理は、判断ひし形64に進み、濾波された信号をしきい値ELOCKと比較する。このようにして、指の経路割当ては、少なくとも時間T1の満了まで維持される。
【0027】
[1033]判断ひし形54において、いずれかの指がロックしていないと判断されたなら、判断ひし形56において、所定時間T1、指経路割当てが最初に維持される。上述したように、時間T1は一時的な機能停止を許容するための待ち期間である。そこから、システムは自発的に回復するであろう。時間T1は所定の時間であってもよいし、または動作中に動的に調節されてもよい。さらに、時間T1は、システム10の動作に関する歴史的知識および/または統計資料に基づいてもよい。時間T1の満了後に、指がまだロックしていないなら、処理は判断ひし形58に進む。判断ひし形58において、受信した信号のエネルギーは調節されたエネルギーレベルE’LOCKと比較される。この比較は、図3のロックフィルタ30のためのようなフィルタリング調節のための情報を提供する。十分なエネルギー、すなわちE’LOCKより大きなエネルギーの場合、ステップ60において、ロックフィルタ30の出力はロックフィルタ30への入力に等しく設定される。不十分なエネルギー、すなわちE’LOCK以下のエネルギーの場合、エネルギーがロックフィルタ30に追加される。ロックフィルタ30のためのエネルギーレベルの調節は、図3の比較器32において、エネルギーしきい値ELOCKと比較するための調節された出力を生じる。フィルタリング調節の完了後、プロセスは、判断ひし形64において、濾波された信号をしきい値ELOCKと比較する。この時点で、信号にロックするための十分なエネルギーがあれば、受信した信号処理はステップ68に進む。しかしながら、依然として不十分なエネルギーであるなら、第2の時間T2が供給される。この場合、判断ひし形65において、時間T2が満了するなら、ステップ66において、指が再割り当てされる。時間T2が満了するまで、処理は判断ひし形64に戻り、エネルギーはELOCKと比較される。
【0028】
[1034]動作中に、基地局が指のロック状態を無視し、受信した信号の品質に関係無く電力制御を供給したいと望むときのシナリオがある。図7は、無線通信システムにおいて、信号を追跡する方法の一実施の形態を図解する。プロセスは、ステップ102において、複数の指において、信号が受信されたとき開始する。ステップ104において、移動局がソフトハンドオフ状態にあるかどうかを判断するためにチェックが行なわれる。ソフトハンドオフは、移動局通信が少なくとも2つの基地局に対して成される移動局の状態を呼ぶ。移動局が一方のカバー領域から他方のカバー領域に移動すると、各基地局は移動局と通信する。次に、移動局は一方の基地局との送信を、他方の基地局に優先して終了してもよい。この場合には、後者の通信はより高い品質を有する。移動局がソフトハンドオフ状態にあるなら、ステップ108において、基地局は、ロック状態を無視する。そして、ステップ110において、受信信号のエネルギーの関数として電力制御調節を行なう。移動局がソフトハンドオフしていないなら、基地局は、ステップ106において、電力制御(PC)のために移動局に所定のパターンを送信する。この場合、そのパターンは移動局に、送信された信号の電力を段階的に調節するように命令する。
【0029】
[1035]基地局が、一時的または永久的に移動局から逆方向リンクを失うと、基地局は、移動局から信号を受信できなくなるかもしれず、それゆえ、移動局を追跡することができない。理想的には、基地局は、差し迫った逆方向リンク損失を検出し、必要な調節を行なうであろう。基地局は受信した信号のエネルギーをしきい値エネルギーレベルと比較することによりそのような潜在的な問題を検出することができる。基地局がそのような問題を検出すると、移動局は一時的な機能停止を被るという判断がなされる。一時的機能停止が過度の時間存続すると、永続的になるかもしれない。一実施の形態において、一時的な機能停止の期間、基地局において、逆方向リンク信号の損失を最小にするために、基地局は割当てられた指の追跡を無効にする。これは、一時的な機能停止の期間に雑音を追跡することを防止する。次に、基地局は、真の経路を見つけるサーチャーの高い確率に関して再割り当てが行なわれるように、指の再割り当てに対して相対的に高いしきい値を設定する。留意すべきは、そのようなロックアウト期間に、受信器は与えられた指の高速回復を実行するために選択することができるという点である。
【0030】
[1036]以上、無線通信システムにおいて、信号を追跡するための新規で改良された方法および装置について述べた。理解の明確さのために、およびこの発明の精神と範囲内の代わりの実施の形態を排除しないように、種々の例、実施の形態、観点、および図が提供された。当業者は、上述の記載を介して参照することができる、データ、命令、コマンド、情報、信号、ビット、記号およびチップは、電圧、電流、電磁波、磁界または磁性粒子、光学界または光学粒子、またはそれらのいずれかの組合せで表すことができることを理解するであろう。同様に、種々の実施の形態は、特定の極性スキームに関して記載されるけれども、アサーションおよび否定は相対的な用語であり、高ロジックレベルまたは低ロジックレベルに厳密に制限されない。
【0031】
[1037]ここに開示した実施の形態に関連して記載した種々の実例となる論理ブロック、モジュール、回路、およびアルゴリズムステップは、電子ハードウエア、ソフトウエア、ファームウエアおよび/またはそれらの組合せとして実現できることを当業者はさらに理解するであろう。種々の実例となる部品、ブロック、モジュール、回路、およびステップが一般にそれらの機能性の観点から記載された。機能性がハードウエア、ソフトウエア、またはファームウエアとして実現されるかどうかは特定のアプリケーションおよびシステム全体に課せられた設計制約に依存する。当業者は、これらの環境下においてハードウエアおよびソフトウエアの互換性を認識し、各特定の応用に対して、記載された機能性をどのように最善に実施するかを認識する。さらに、フロー図に対して、この発明の精神と範囲に一致して可能な機能ステップを置き換えることができる。
【0032】
[1038]ここに開示した実施の形態に関連して記載した種々の実例となる論理ブロック、モジュール、回路、およびアルゴリズムステップは、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、または他のプログラマブル論理デバイス、ディスクリートゲートまたはトランジスタロジック、ディスクリートハードウエア部品を用いて実現または実行してもよい。ファームウエア命令のセットを実行するプロセッサ、何らかの従来型のプログラマブルソフトウエアモジュールおよびプロセッサ、またはここに記載された機能を実行するように設計されたそれらのいずれかの組合せは、ここに記載した機能性を実現するように設計することができる。プロセッサは有利にはマイクロプロセッサであるが、別の方法では、プロセッサはいずれかの従来型のプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、プログラマブル論理装置、論理素子のアレイまたはステートマシンであってもよい。ソフトウエアモジュールは、ランダムアクセスメモリ;RAMメモリ、フラッシュメモリ、リードオンリーメモリ、ROMメモリ、電気的にプログラム可能なROM;EPROMメモリ、電気的に消去可能なプログラマブルROM;EEPROMメモリ、レジスタ、ハードディスク、脱着可能ディスク、CD−ROM、または技術的に知られた他のいずれかの形態の記憶媒体に存在することができる。例示プロセッサは、記憶媒体から情報を読み、記憶媒体に情報を書き込むように、記憶媒体に有利に接続される。別の方法では、記憶媒体はプロセッサに一体化してもよい。プロセッサと記憶媒体はASICに存在してもよい。ASICは電話または他のユーザ端末に存在してもよい。別の方法では、プロセッサと記憶媒体は電話または他のユーザ端末に存在してもよい。プロセッサは、DSPとマイクロプロセッサの組合せとして実現してもよい、またはDSPコア等と共に2つのマイクロプロセッサとして実現してもよい。
【0033】
[1039]しかしながら、当業者には、この発明の精神と範囲から逸脱することなくここに開示された実施の形態に多数の変更を行なうことができることは、明白であろう。好適実施の形態の上述の記載は当業者がこの発明を製作または使用可能にするために提供される。これらの実施の形態に対する種々の変形例は当業者には容易に明白であり、ここに定義される包括的原理は発明力の使用なしに他の実施の形態に適用可能である。従って、この発明はここに示される実施の形態に制限されることを意図したものではなく、ここに開示された原理および新規な特徴に一致する最も広い範囲が許容されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】[1006]図1はブロック図形態で無線通信システムを図解する。
【図2】[1007]図2はブロック図形態で図1の基地局の部分を図解する。
【図3】[1007]図2はブロック図形態で図1の基地局の部分を図解する。
【図4A】[1008]図4Aは状態図形態で基地局の動作を図解する。
【図4B】[1009]図4Bはタイミング図形態で、基地局の動作期間中の状態遷移を図解する。
【図5】[1010]図5はタイミング図形態で無線通信システムの信号追跡を図解する。
【図6】[1011]図6はフロー図形態で無線通信システムにおいて、信号追跡の方法を図解する。
【図7】[1011]図7はフロー図形態で無線通信システムにおいて、信号追跡の方法を図解する。
【図8】[1012]図8は、無線通信システムにおいて、レーキタイプ受信器を図解する。
Claims (14)
- 複数の指を有するレーキ受信器を有する無線通信システムにおいて、下記を具備する方法:
前記複数の指の第1の指に対するロック状態を決定する;
前記第1の指がロックしていないなら、前記第1の指に対する受信した信号エネルギーとしきい値との比較を判断する;および
前記比較に応答して前記第1の指に関して受信した処理信号のためのロックフィルタを調節する。 - 前記ロックフィルタを調節する前に前記第1の指がロックしないなら、第1の時間待つことをさらに具備する、請求項1の方法。
- ロックフィルタを調節することはさらに下記を具備する、請求項1の方法:
前記受信した信号のエネルギーが前記しきい値より大きいとき、前記受信した信号に等しいロックフィルタの出力を供給する;
前記受信した信号のエネルギーがしきい値未満であるとき、前記ロックフィルタのエネルギーレベルを増大させる。 - 下記をさらに具備する請求項1の方法:
前記ロックフィルタを調節した後で、前記第1の指に対する濾波された信号エネルギーと第2しきい値との比較を判断する;および
前記比較に応答して前記第1の指に経路を再割り当てする。 - 所定の時間、複数の指に対する経路割当てを維持することをさらに具備する、請求項4の方法。
- 下記をさらに具備する請求項1の方法:
前記受信した信号の送信器がソフトハンドオフ状態にあるかどうか判断する;および
前記送信器がソフトハンドオフ状態にあるなら、前記受信した信号の前記エネルギーの関数として電力制御命令を供給する。 - 徐々に送信電力を調節するように送信器を命令することをさらに具備する、請求項5の方法を実行する無線装置。
- 下記を具備するトランシーバ:
マルチパス信号を受信するように適合した複数の指を有するレーキ受信器;および
前記指のロック状態に基づいて信号のフィルタリングを調節するように動作するレーキ受信器に接続されたロック検出器。 - 前記ロック検出器は、前記受信した信号の受信したエネルギーを第1のエネルギーしきい値と比較するようにさらに動作する、請求項7のトランシーバ。
- 前記ロック検出器は、
前記受信した信号を濾波するように動作するロックフィルタ;および
前記ロック検出器に応答して前記ロックフィルタを調節するように動作するフィルタ調節手段;
を具備する請求項8のトランシーバ。 - 前記フィルタ調節手段は、前記ロックフィルタを調節する前に所定の時間待つ、請求項9のトランシーバ。
- 下記を具備する、無線通信システムにおいて、移動局を追跡するための方法:
前記移動局がソフトハンドオフ状態にあるかどうか判断する;
前記移動局がソフトハンドオフ状態にあるなら、レーキアンテナのロック状態を無視する;および
前記移動局がソフトハンドオフ状態にないなら、所定の電力制御パターンを送信する。 - 前記移動局がソフトハンドオフ状態にあるなら、受信した信号エネルギーの関数として前記電力制御を調節することをさらに具備する、請求項12の方法。
- 第1の伝搬経路から受信した信号を濾波するためのフィルタ手段;
前記受信した信号をしきい値と比較するように動作する比較手段;
前記比較手段に応答して前記フィルタ手段を調節するように動作するフィルタ調節手段;
を具備する無線装置。
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