JP2005504316A - 硬化性調合物の硬化を調査する方法及び装置 - Google Patents

硬化性調合物の硬化を調査する方法及び装置 Download PDF

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Abstract

本発明は、液体又は粘性の硬化性調合物における硬化を組合せ調査する方法であって、(a)n個の硬化性調合物をn個の容器に並行して作製し、(b)n個の調合物のそれぞれについて、その調合物に測定用チップを所定の力で挿入し、そしてこの調合物の硬化度の尺度としての達成された最大浸入度を測定することによって、少なくとも1回硬化度を決定し、そして(c)各場合、調合物の内の1個の組成について、硬化の反応速度の指標である1個以上パラメータを、調合物作製後の様々な時点で、浸入度の測定値から決定することを特徴とする方法に関する。工程(a)〜(c)は多数回行われることが好ましく、硬化の反応速度の指標パラメータのための、このようにして得られた多数の個々の値を分析することにより、指標パラメータの調合物の組成への系統的依存性を決定することができ、これにより調合物の組成をそれの硬化挙動に関して最適化することを可能にする。
【選択図】図2

Description

【技術分野】
【0001】
本発明は、n個の液体又は粘性の硬化性調合物における硬化を組合せ調査する方法、及び個々の液体又は粘性の硬化性調合物における硬化を調査する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
材料の組合せ調査においては、多数の新材料が短期に小規模で製造され、材料の重要な性質が試験されている。異なる調合物について、多数の測定結果を評価することにより、代表(lead)構造及び構造−活性度関係は、いわゆる組合せの工程ループで同定される。次いで、これらの代表構造は、開発技術における古典的な最適化により商品になっている。
【0003】
材料の組合せ調査は、現在、多数の、広範で様々なタイプのシステムに関係している。例えば、新規な触媒、新規の構造及び機能性ポリマー、又は多様な用途のために改良された調合物を挙げることができる。調合物の並行作製及び迅速特性化の他に、有効なデータ処理が材料の組合せ調査を行うには必要である。これには、実験の自動立案、統合ロボットの制御によるそれのコンピュータによる作業、及び機器を測定することによるそれのコンピュータによる作業、構造−活性度関係を知るために大量のデータの保管及び可視化及びこれらのデータの分析が含まれる。
【0004】
コンクリート混合物の硬化を遅らせるために、所定のポリマーが添加剤として混合物に添加される。コンクリート中の添加剤の可塑化作用を試験するために、広がり試験がDIN 1048に従い行われる。DIN 1048では、コンクリート調合物の粘度が、調合物の付形サンプルを基板に流すことにより測定される。この試験には複雑なマニュアル作業が必要である。例えば、個々の調合物は、個々の成分の質量を測り、混合し、型に移しそして型を逆さにして基板に付与することにより手動作製しなければならない。基板に流した調合物の直径は、所定の時間後に手動で測定しなければならない。コンクリート硬化の反応速度(kinetics)を測定しようとした場合、多くのこのような試験を同じコンクリート混合物を用いて行わなければならないが、これは相当骨折りである。コンクリート混合物の硬化時間は24時間までなり得るので、この標準試験法に従う一連の実験は、消費時間が多大で、多くの労力を要する。単一の試験は、大量の材料(約500g)が必要となる。組合せの合成で得られるような少量のポリマーは、この標準試験には不適当である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明の目的は、材料の組合せ調査に使用することができるコンクリート混合物の硬化を調査するための簡単で迅速な方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的は、液体又は粘性の硬化性調合物における硬化を組合せ調査する方法であって、
(a)硬化性調合物のn個のサンプルをn個の容器に並行して作製し、
(b)サンプルに測定用チップを所定の力で挿入し、そしてこのサンプルの硬化度の尺度としての達成された最大浸入度を測定することによって、n個の調合物のそれぞれについて少なくとも1回硬化度を決定し、そして
(c)n個の調合物の1個の組成について、硬化の反応速度の指標である1個以上パラメータを、調合物作製後の様々な時機(時点)における浸入度の測定値から決定することを特徴とする方法により達成されることを見出した。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の方法では、n個の硬化性調合物が並行に作製される。適当な容器は、例えばマイクロ滴定量プレート(microtitre plate)である。調合物は、自動又は手動作製することができる。調合物の自動作製のために、例えば、自動ピペットを使用することができる。自動ピペットは、調合物の個々の成分を容器に所望量分配する。
【0008】
並行に作製されたサンプル数n個は少なくとも2個であり、基本的には所望の数にすることができる。通常、2〜1000個、好ましくは10〜1000個である。
【0009】
硬化度は、n個の調合物のそれぞれについて少なくとも1回測定される。このため、測定チップは、所定の力で調合物に挿入される。測定チップが調合物に働く力は、通常、サンプルが不完全硬化状態の場合に、チップがサンプルを貫通して容器底部に達し、一方完全に硬化した状態ではもはやサンプルを貫通しないように選ばれる。測定チップは、所望の材料から作製することができる。サンプルを部分硬化する場合、測定チップは、サンプルに一部だけ浸入する形状を有することが好ましい。本発明の方法の特に好ましい態様では、測定チップは、同一のサンプルに対して複数の個々の測定を相互に影響し合うことなく行うことができる様な直径である。これにより、硬化工程の(高粘度の)中間状態を検出することができる。硬化度の尺度として、測定チップの浸入度を測定する。これは、サンプルの液体又は比較的低粘度の状態において最大値であり、サンプルの完全硬化状態において最小値(理想的には0)であり、そしてサンプルの多少高粘性の中間状態に対しては、これらの極値の間にある値を採用することができる。これに関連して、用語「低粘度」及び「高粘度」は、絶対的な用語ではなく、むしろチップにより加えられる力に関連するものと理解されるべきである。
【0010】
浸入度は、調合物の作製後、異なる時機に調合物の各組成について測定される。異なる時機の浸入度の測定は、同じ組成の異なるサンプルについて行うことができる。しかしながら、サンプル処理量を増やすために、同じサンプルについて、複数の空間的に分離された地点で、異なる時機に多数の測定を行うことが好ましい。サンプル当たりの挿入地点の数は、サンプル容器の直径及び測定チップの直径に依存して変わり、例えば2と20の間であり得る。48個の穴(well)(穴の直径は約1cm)を有する標準のマイクロ滴定量プレートの場合、それは、例えば7である。最大のサンプル処理量は、他のサンプル全てから得られる異なる組成を有するそれぞれのサンプルにより達成される。測定値を正確に決定するために、同じ組成の複数のサンプルについて、実質的に同時に複数の個々の測定を行うことが適当であり得る。
【0011】
各組成について、硬化の反応速度の指数である1個以上のパラメータが、サンプル作製後様々な時機における浸入度の測定値から決定される。適当な反応速度(kinetic)パラメータは、測定された浸入度が低下するまで、例えば最大値の半分まで低下するまでの、サンプル作製から経過した時間である。
【0012】
浸入度は、自動的に行われ、好ましくは変位変換器(displacement transducer)により、そしてコンピュータ制御下に自動的に行われる。測定された浸入度は、コンピュータにより獲得され、評価される。
【0013】
硬化性調合物は、どのような系であっても良い。例えば、2成分を接着剤或いは2成分塗料の系(これらの硬化挙動は組成物の機能として調査されるべきである)。
【0014】
接着剤又は接着調合物において、測定チップは、それぞれの個々の測定後に、洗浄、ブラッシング及び乾燥により浄化されることが好ましい。このために、例えば、測定チップは、洗浄液に浸漬し、ついてブラシに沿って移動させることによって浄化される。
【0015】
変位変換器の代わりに、力変換器を代替え品として使用することができ、測定チップのサンプルへの最大浸入度の代わりに、測定チップのサンプルへの浸入中に測定チップに働く力を測定することができる。それ以外は、この変形法は、上述の変形法に全く類似している。調合物の硬化のための対応する反応速度パラメータは、サンプルの作製後の様々な時機における、浸入力と呼ばれるこの測定量のためのこれらの測定値から決定することができる。この変形法における好適な反応速度パラメータは、サンプル作製からある浸入力に達するまでに経過した時間である。
【0016】
本発明の方法の適用できる好ましい範囲は、コンクリート−可塑作用を有するポリマーを含むセメント調合物の硬化挙動の調査である。コンクリート−可塑化ポリマーの活性度の尺度は、セメント調合物の硬化時間であり、この硬化時間は、セメント調合物の作製後、その後に浸入度が初期値の半分に低下した時間と定義される。例えば、ボルツマン関数を測定値に合わせることにより、この値はまた、浸入度のための比較的少数の個々の値、例えば各サンプルについて7個の個々の値、から決定することができる。
【0017】
最も高い可能性のある数の異なる調合物のための硬化−指標のパラメータを得るために、調合物の組成を系統的に変えながら、本発明の方法を多数回繰り返すことが好ましい。硬化の反応速度の指標パラメータのためにこのようにして得られた多数の個々の値を、分析することにより、指標パラメータの調合物の組成への系統的依存性を決定することができ、これにより調合物の組成をそれの硬化挙動に関して最適化することを可能にする。
【0018】
ポリマーのコンクリート−可塑化作用のための構造−活性度の関係を決定するために、セメント調合物は、多数の観点から系統的に変えることができる。例えば、ポリマー中に存在するモノマーの種類及び混合比、ポリマーの設計(ブロック共重合体、グラフト共重合体、ランダム共重合体、交互共重合体、多ブロック共重合体の使用)、分岐度、配列順序(アイソタクチック、シンジオタクチック、アタクチック)、セメント混合物中のポリマー濃度、及び使用されるセメントの種類を挙げることができる。
【0019】
本発明はまた、以下の(i)〜(v):
(i)n個のサンプルを並行に作製するためのn個の容器、
(ii)降下可能なロボットアームを有する自動ポジショナー、
(iii)ロボットアームに接続された測定チップ、
(iv)サンプルの中に降ろされた測定チップの浸入度を測定するための、その測定チップに接続された自動変位変換器、
(v)ポジショナー及びロボットアームの制御のため、及び変位変換器により測定された浸入度の取得及び保管のための、自動制御のデータ取得及びデータ評価システム
を含む、液体又は粘性の硬化性調合物における硬化を組合せ調査する装置に関するものである。
【0020】
本発明の方法では、特に、セメント調合物の硬化時間を決定するための簡単で迅速な方法を用いる。この決定方法は、唯1個のサンプルの場合にも容易に使用することができる。このため、本発明の方法は、液体又は粘チョウな硬化可能調合物、特にセメント調合物の硬化を調査する方法に関するものでもある。この方法では、
(a)液体又は粘性の調合物を容器に作製し、
(b)測定用チップを、空間的に分離された地点で所定の力で繰り返し及び異なる回数サンプルに挿入し、そしてこの調合物の硬化度の尺度としての達成された最大浸入度を測定することによって、サンプルの硬化度を多数回決定し、そして
(c)調合物の硬化の反応速度の指標である1個以上のパラメータを、調合物作製後の様々な時機における浸入度の測定値から決定する。
【0021】
本発明はまた、液体又は粘性の硬化可能調合物、特にセメント調合物の硬化を調査する装置に関するものでもある。その装置は、以下の(i)〜(v):
(i)サンプルを並行に作製するための容器、
(ii)降下可能なロボットアームを有する自動ポジショナー、
(iii)ロボットアームに接続された測定チップ、
(iv)サンプルの中に降ろされた測定チップの浸入度を測定するための、その測定チップに接続された自動変位変換器、
(v)ポジショナー及びロボットアームの制御のため、及び変位変換器により測定された浸入度の取得及び保管のための、自動制御のデータ取得及びデータ評価システムを含んでいる。
【0022】
本発明を、図面を参照しながらより詳細に説明する。
【0023】
図1aは、個々のサンプルの平面図であり、その全体は8で示されており、時間順序で相互に続いている挿入地点1〜7を有する。
【0024】
図1bは、個々のサンプル11を有するマイクロ滴定量プレートの穴12の断面図で、その穴では、硬化の様々な相9a(低粘度)、9b(高粘度)及び9c(完全硬化)の間におけるチップ10の様々な浸入度を有するサンプル11が示されている。
【0025】
図2は、機械的ポジショナー20を有する本発明の方法を実施する装置の側面図である。ポジショナーは、マルチサンプルキャリヤー23の所望の穴を所定の位置に移動させ、サンプルを含む穴に測定チップ21を降下させる。変位変換器を有するダイアルゲージ22により、測定チップの浸入度を測定する。測定された浸入度は自動的にコンピュータに送られ、保管、評価される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1a】図1aは、個々のサンプルの平面図である。
【図1b】図1bは、硬化の様々な相を示す個々のサンプル11を有するマイクロ滴定量プレートの穴12の断面図である。
【図2】図2には、機械的ポジショナー20を有する本発明の方法を実施する装置の側面図である。

Claims (11)

  1. 液体又は粘性の硬化性調合物における硬化を組合せ調査する方法であって、
    (a)n個の硬化性調合物をn個の容器に並行して作製し、
    (b)調合物に測定用チップを所定の力で挿入し、そしてこの調合物の硬化度の尺度としての達成された最大浸入度を測定することによって、n個の調合物のそれぞれについて少なくとも1回硬化度を決定し、そして
    (c)n個の調合物の1個の組成について、硬化の反応速度の指標である1個以上パラメータを、調合物作製後の様々な時機における浸入度の測定値から決定することを特徴とする方法。
  2. n個の硬化性調合物が、コンクリート−可塑作用を有するポリマーを含むセメント調合物である請求項1に記載の方法。
  3. 浸入度を、n個の調合物のそれぞれについて、各調合物作製後、複数の異なる時機に測定する請求項1又は2に記載の方法。
  4. 浸入度を、各調合物の空間的に分離された複数の挿入地点で測定する請求項3に記載の方法。
  5. n個の調合物のそれぞれが、他の全ての調合物とは異なる組成を有する請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
  6. 硬化の反応速度の指標であるパラメータが、調合物の製造から所定の最大浸入度が達成されるまでに経過した時間である請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
  7. 並行に作製された調合物の数nが2〜1000である請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
  8. 液体又は粘性の硬化性調合物における硬化を組合せ調査する方法であって、
    請求項1〜7のいずれかに記載の(a)〜(c)の工程を、1回以上行い、そして
    (d)硬化の反応速度の指標であるパラメータのための、このように得られる多数の個々の値を分析することにより、指標パラメータの調合物の組成への依存性を決定し、調合物の組成を硬化挙動に関して最適化させることを特徴とする方法。
  9. セメント調合物の硬化を調査する方法であって、
    (a)液体又は粘性の硬化性調合物のサンプルを容器に作製し、
    (b)測定用チップを、空間的に分離された地点で所定の力で繰り返し及び異なる時機においてサンプルに挿入し、そしてこのサンプルの硬化度の尺度としての達成された最大浸入度を測定することによって、サンプルの硬化度を多数回決定し、そして
    (c)調合物の硬化の反応速度の指標である1個以上のパラメータを、調合物作製後の様々な時機における浸入度の測定値から決定することを特徴とする方法。
  10. 以下の(i)〜(v):
    (i)n個のサンプルを並行に作製するためのn個の容器、
    (ii)降下可能なロボットアームを有する自動ポジショナー、
    (iii)ロボットアームに接続された測定チップ、
    (iv)サンプルの中に降ろされた測定チップの浸入度を測定するための、その測定チップに接続された自動変位変換器、
    (v)ポジショナー及びロボットアームの制御のため、及び変位変換器により測定された浸入度の取得及び保管のための、自動制御のデータ取得及びデータ評価システム
    を含む、n個の液体又は粘性の硬化性調合物における硬化を組合せ調査する装置。
  11. 以下の(i)〜(v):
    (i)サンプルを作製するための容器、
    (ii)降下可能なロボットアームを有する自動ポジショナー、
    (iii)ロボットアームに接続された測定チップ、
    (iv)サンプルの中に降ろされた測定チップの浸入度を測定するための、その測定チップに接続された自動変位変換器、
    (v)ポジショナー及びロボットアームの制御のため、及び変位変換器により測定された浸入度の取得及び保管のための、自動制御のデータ取得及びデータ評価システム
    を含む、液体又は粘性の硬化性調合物における硬化を調査する装置。
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