JP2005502946A - 高処理能力、高精度の集積マイクロ光学・フォトニクス素子バッチの前処理、研磨、洗浄および検査用研磨システムおよびそのような研磨を用いる方法 - Google Patents

高処理能力、高精度の集積マイクロ光学・フォトニクス素子バッチの前処理、研磨、洗浄および検査用研磨システムおよびそのような研磨を用いる方法 Download PDF

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Abstract

被加工物のバッチを研磨するための高処理能力、高精度の集積化および自動化されたマイクロ光学・フォトニクス素子研磨システムであって、研磨を行う被加工物のバッチに前処理を行うためのセットアップおよび前処理ステーション(40)と、前処理ステーションで前処理された被加工物のバッチの研磨、洗浄および検査を行うためのステーションと、前処理ステーションと研磨、洗浄および検査ステーション(38)との間、および、研磨、洗浄および検査ステーションの複数の位置間で被加工物のバッチを移動させるためのロボットアーム(46)と、研磨システムの動作を制御するための制御コンピュータ(42)とを備える。本発明はさらに、このようなシステムを使用する方法にも関連する。
【選択図】図1

Description

【技術分野】
【0001】
本発明は、高処理能力、高精度の集積マイクロ光学・フォトニクス素子自動研磨システムに関する。さらに具体的には、本発明は、マイクロ光学・フォトニクス素子をサブミクロン精度までバッチ処理にて研磨、洗浄および検査するための研磨システムに関する。本発明はさらに、このようなシステムを用いるための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フォトニクス、特に光通信の急速な発展の結果、多くの光学、光学機械、電気光学素子が小型化されている。これらの素子の小型化とともに、マイクロ光学・フォトニクス素子の生産量も急増している。シリコン系フォトニクス・プレーナー光学素子の製造方法が半導体製造業界から採用され、高い生産量を支えている。しかしながら、マイクロ光学・フォトニクス素子の大半は、平面状ではなく、シリコン系でもなく、これらの素子のための量産方法はない。このように、マイクロ光学素子のための量産方法がないことが、関連市場のより迅速な成長の制約となっている。
【0003】
マイクロ光学・フォトニクス素子の製造において、研磨は、広く用いられている処理の1つである。研磨される素子としては、光ファイバー導波管や、フィルタ、平坦ガラス板、光ファイバーコネクタ等のマイクロ光学素子が含まれる。歴史的に見て、様々な業界において研磨が用いられており、主に試作や試料の前処理のための制御に用いられてきた。このような業界の典型例として、小構造の分析のために試料を作成する金属業界がある。半導体業界では、光学顕微鏡または走査型電子顕微鏡(SEM)を用いた検査用にウェハ断面を研磨する。開発研究に携わるエンジニアが新しい工程を試してみる際にシリコンウェハの断面検査および分析を行うために研磨技術を用いることもある。材料の微小構造分析を専門とする分析機関が研磨技術を用いることもある。さらに、岩石、砂、鉱石、石炭等の天然材料の微小構造の分析においても研磨技術は広く用いられている。研磨技術のその他の用途としては、鉄および非鉄材料、印刷回路基板(すなわち、銅層の断面)およびセラミック複合材料、被膜、ポリマー等のマイクロセクショニング等の新型材料の微小構造分析が含まれる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような研磨作業のための装置はあるが、光ファイバー導波管や、フィルタ、平坦ガラス板、光ファイバーコネクタ等のマイクロ光学素子等の試料または被加工物を大量に処理するようには改造されていない。この研磨装置は、典型的には、単一の被加工物を受け入れるものである。近年このような状況を変えるための努力がなされており、数個の被加工物を同時に処理可能な装置も入手可能となっている。このような装置は、オペレータにかなりのスキルを要求し、特徴として複数の処理ステーションを有し、被加工物をマニュアルにてステーション間で移載するものであり、満足のいく生産量を得られない。
【0005】
さらに、既存の装置は、光ファイバー端面または光ファイバーフェルール等の単一種類の被加工物を処理するように構成される。処理結果の制御および計測は、オフラインで行われる。グリッパーやホルダから被加工物を取り外すことなく研磨処理に反映されるようなまたは再加工を可能とするようなオンラインでのフィードバックはない。複数回の取り付け・取り外し工程を繰り返すことができないので、処理の精度も悪くなる。
【0006】
回転する研磨用具または研磨剤で被覆した表面に被加工物を押し付けることによって、研磨作業は行われる。より均一な表面の風合いを得るために、被加工物または回転表面自身の振動または軌道運動によって、研磨用具または研磨剤で被覆した表面の回転運動を強化する場合もある。このような動きの互いの調整は、未だ純粋な機械的手段によって行っており、最新のマイクロ光学素子および材料によって要求される多様な動きや速度に対応していない。
【0007】
被加工物は、典型的には、別の補助装置の助けを借りて、ポリッシャ上に直接搭載される。多くの場合、適切な研磨および被加工物の空間的方向付けを行うにはまず、試行錯誤の工程を行う。研磨処理に関して適当な先験的な被加工物の位置決めおよび研磨処理の計測および品質結果等の後の評価を可能とするような市販の手段はない。
【0008】
このような業界では、規定の精度で、高度に熟練したオペレータに頼らずに、多様な被加工物を大量にバッチ処理可能な、高処理能力、高精度の自動研磨システムを提供する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
したがって、本発明の目的は、規定の精度で、オペレータのスキルに頼らずに、多様な被加工物を大量にバッチ処理可能な、高処理能力、高精度の自動研磨システムを提供することである。
【0010】
本発明の他の目的は、所定の精度でオペレータのスキルに頼らずに、多様な被加工物の大きなバッチを研磨処理する方法を提供することである。
【0011】
本発明によれば、被加工物のバッチを研磨するのに必要な処理が、専用の作業を行う複数のステーション上で同時にかつ独立して提供される。このようなステーションの例としては、前処理ステーション、研磨ステーションおよび前処理ステーションと研磨ステーションとの間で被加工物のバッチを移動させるためのロボットアームがある。研磨システムのすべての作業を制御するためにコンピュータを用いてもよい。
【0012】
本発明のさらに他の目的は、研磨処理を行う被加工物のバッチを前処理するための前処理ステーションを提供することであり、前処理ステーションは、被加工物の空間的な方向付けを行う手段、被加工物の空間的な方向付けを固定する手段、粗研磨実施手段、粗研磨結果計測および検査手段およびバッチIDデータ符号化および通信手段を備える。
【0013】
本発明のさらなる目的は、被加工物の保持およびグリップ手段を提供することであり、これによって、被加工物の正確な空間的な方向が設定でき、このような空間的な方向を全ての処理を通じて維持することができ、ある処理ステーションから別の処理ステーションへの被加工物または被加工物のバッチの持ち運びが完全に可能となる。
【0014】
本発明のさらなる他の目的は、前処理ステーションと粗研磨実施手段とを一体化し、粗研磨結果の測定および検査処理を容易にし、「クロッキング」と称されることもある被加工物の空間的方向の設定処理を誘導し、バッチ情報データ符号化および通信手段に入力を提供することである。
【0015】
本発明のさらなる他の目的は、研磨すべき被加工物のバッチを前処理するための前処理ステーションを使用する方法を提供することである。
【0016】
本発明によれば、前処理された被加工物のバッチは、ロボットまたはマニュアル手段によって研磨ステーションに移動される。本発明の目的は、被加工物のバッチを研磨、洗浄、すすぎ・乾燥および検査し、これら全ての処理を手順データベースから処理手順を自動的に選択することによって行う研磨ステーションを提供することである。研磨処理において、前記手順は、最適な順序での研磨、洗浄および検査作業の全てを備え、この手順は前処理ステーションによって提供されるバッチ情報データに基づいて選択される。
【0017】
本発明の他の目的は、異なるデータベース手順によって定義される種々の研磨処理を受け入れ可能である柔軟性を備えた、複数の研磨、洗浄、すすぎ・乾燥および検査手段を構成可能および交換可能に有する研磨ステーションを提供することである。研磨ステーションは、被加工物のバッチを保持およびグリップする手段を受け入れ、前処理ステーションで設定された空間的方向を維持する機械的インタフェースを有する。
【0018】
本発明のさらなる目的は、検査を行い、処理バッチの状態に関するレポートを作成し、研磨作業の進行に関するオンラインフィードバックを提供するよう設定された、一体化された検査手段を有する研磨ステーションを提供することである。
【0019】
本発明のさらなる他の目的は、異なる軌道パターンの動作を生成しこの軌道パターン動作の軌跡を維持可能であるデジタル軌道動作制御を備えた研磨ステーションを提供することである。研磨ステーションにおいて、前記軌道動作パターンによって、研磨処理の結果が改善され、研磨紙内の前回未使用の領域上を軌道とすることで、研磨紙の利用率や交換頻度を改善することができる。
【0020】
本発明のさらなる他の目的は、被加工物のバッチの研磨面を前回の研磨段階と同じ研磨面に維持する研磨機構を備えた研磨ステーションを提供することである。この研磨機構は、研磨処理の前進速度を常に監視し、全ての研磨処理を通じてその速度を一定に維持可能である。この研磨処理の前進速度監視機構は、設定された処理の前進速度からのずれを監視し、研磨材料の交換の必要性を知らせる。
【0021】
本発明のこれらの目的は、研磨を行う被加工物のバッチを前処理するための前処理ステーションと、前処理ステーションで前処理された被加工物のバッチを研磨するための研磨ステーションと、前処理ステーションと研磨ステーションとの間で被加工物のバッチを移動させるためのロボットアームと、研磨システムの作業を制御するためのコンピュータとを備えたバッチ研磨システムを提供することによって達成される。
【0022】
被加工物のバッチを研磨するための高処理能力、高精度の集積化および自動化されたマイクロ光学・フォトニクス素子研磨システムが開示され、このシステムは、研磨を行う被加工物のバッチに前処理を行うためのセットアップおよび前処理ステーションと、前処理ステーションで前処理された被加工物のバッチの研磨、洗浄および検査を行うための少なくとも1つのステーションと、前処理ステーションと研磨、洗浄および検査ステーションとの間、および、研磨、洗浄および検査ステーションの複数の位置間で被加工物のバッチを移動させるためのロボットアームと、ステーション全てとロボットアームとに接続され、研磨システムの動作を制御するための制御コンピュータとを備える。
【0023】
前述の研磨システムの前処理ステーションは、以下に示す処理手段のうち少なくとも1つを備える:
研磨を行う被加工物のバッチをセットアップするためのバッチセットアップ手段、
研磨すべき被加工物のバッチを予備研磨するための試験研磨手段、
研磨すべき予備研磨された被加工物のバッチを検査するためのバッチ検査手段、
研磨すべき被加工物のバッチを適当な空間的方向に配置するための空間的バッチ方向付け手段、
被加工物バッチに関する情報を生成し符号化する手段であって、それを研磨ステーションに通信する手段、
前処理ステーションを制御する制御コンピュータ。
【0024】
前述の研磨システムのバッチセットアップ手段は、被加工物のバッチを異なる位置間で移動させるポータブルラッチングタレットと、被加工物を搭載したグリッパーを保持する着脱可能グリッパーキャリアと、異なる被加工物を保持するグリッパーと、被加工物とグリッパーとを連結するためのグリッパーに被加工物を挿入する手段と、被加工物の空間的方向付け処理を補助するためのマイクロメータ式のグリッパー方向付け調整手段と、被加工物の方向付けを容易にするための検査手段とを備える。
【0025】
前述の研磨システムの着脱可能グリッパーキャリアは、異なる被加工物を保持するための複数のグリッパーを備える。
【0026】
前述の研磨システムにおいて、着脱可能グリッパーキャリアが独立して、吊り下げられ、浮いた状態のグリッパーマウントを備える。
【0027】
前述の研磨システムにおいて、独立して、吊り下げされたグリッパーマウントは、ポータブルラッチングタレットアセンブリに取り付け可能である。
【0028】
前述の研磨システムにおいて、ポータブルラッチングタレットアセンブリは、研磨すべき被加工物のバッチを保持する浮いた部分と、ハンドリングと研磨のためにロボットアームに連結された固定部分とを備える。
【0029】
前述の研磨システムにおいて、ポータブルラッチングタレットアセンブリは、固定ポータブルタレットアセンブリである。
【0030】
前述の研磨システムにおいて、ポータブルラッチングタレットアセンブリは、浮いた状態のポータブルタレットアセンブリである。
【0031】
前述の研磨システムにおいて、ポータブルラッチングタレットアセンブリは、全ての処理を通じて、被加工物のバッチの空間的方向を一定に保つ。
【0032】
前述の研磨システムにおいて、少なくとも1つの研磨、洗浄および検査ステーションは、以下に示すもののうち少なくとも1つを備える:
補助的および作業上の移動のために、被加工物のバッチを保持する、被加工物のバッチ保持および移動手段、
被加工物のバッチを研磨するための研磨部、
研磨された被加工物のバッチを洗浄するための洗浄部、
研磨された被加工物のバッチをすすぎおよび乾燥するためのすすぎ・乾燥部、
研磨された被加工物のバッチを検査するための検査部、
研磨された被加工物のバッチの軌道動作のためのデジタル軌道動作制御部、
研磨された被加工物のバッチの下降速度を制御するための被加工物のバッチを保持する手段の下降速度の制御手段、
研磨された被加工物のバッチに加わる研磨力を制限するための力維持および監視手段、
システム上で実行すべき処理を保存および選択するための手順データベース、
研磨されたバッチの検査結果をレポートするためのSPC型レポート手段、
システムの動作を制御するための制御コンピュータ。
【0033】
前述の研磨システムは、少なくとも1つの研磨、洗浄、検査ステーションを備え、被加工物のバッチ保持および移動手段は、デジタル的に制御され、直線状に移動するX−Y−Zステージによって配置される。
【0034】
前述の研磨システムは、少なくとも1つの研磨、洗浄、検査ステーションを備え、直線状に移動するX−Y−Zステージは、補助的なおよび作業上の移動のいずれをも行う。
【0035】
前述の研磨システムは、少なくとも1つの研磨、洗浄、検査ステーションを備え、デジタル軌道動作制御部は、XおよびY移動ステージに沿った研磨バッチの前進速度を同時に変更することによって、軌道動作を生み出しており、XおよびYステージの速度は同じでなくてもよい。
【0036】
前述の研磨システムは、少なくとも1つの研磨、洗浄、検査ステーションを備え、デジタル軌道動作のパターンは、XおよびY移動ステージに沿った前進速度間の比率を設定することによって得られる。
【0037】
前述の研磨システムは、少なくとも1つの研磨、洗浄、検査ステーションを備え、研磨部、洗浄部、すすぎ・乾燥部は、共通の外寸を有し、これらの位置および順番が交換可能である。
【0038】
前述の研磨システムは、少なくとも1つの研磨、洗浄、検査ステーションを備え、研磨、洗浄、検査処理が処理手順に従って行われ、この手順はデータベース内に格納される。
【0039】
前述の研磨システムは、少なくとも1つの研磨、洗浄、検査ステーションを備え、処理手順データベースが階層構造を有し、以下のものを備える:
類似の特徴を有する部品を含むファミリーと、
特定の被加工物を特徴付ける部品と、
部品処理パラメータを有する複数の処理手順。
【0040】
前述の研磨システムは、少なくとも1つの研磨、洗浄、検査ステーションを備え、研磨、洗浄および検査処理手順は、前処理ステーションで付与されたバッチIDコードに従って選択される。
【0041】
前述の研磨システムは、少なくとも1つの研磨、洗浄、検査ステーションを備え、検査手段は、研磨された被加工物の角度を測定する少なくとも1つの角度測定装置と、研磨表面を検査し、線寸法を測定する少なくとも1つの顕微鏡と、研磨表面の粗さを測定する少なくとも1つの干渉計とを備える。
【0042】
前述の研磨システムは、少なくとも1つの研磨、洗浄、検査ステーションを備え、研磨された被加工物の角度を測定する少なくとも1つの角度測定装置は、レーザ測定装置である。
【0043】
前述の研磨システムは、少なくとも1つの研磨、洗浄、検査ステーションを備え、角度測定は、回転する研磨された被加工物の表面によって反射されたレーザビームを測定することにより行われる。
【0044】
前述の研磨システムは、少なくとも1つの研磨、洗浄、検査ステーションを備え、研磨表面を検査し、線寸法を測定する少なくとも1つの顕微鏡は、明視野および暗視野照射およびビデオカメラを有する。
【0045】
前述の研磨システムは、少なくとも1つの研磨、洗浄、検査ステーションを備え、少なくとも1つの顕微鏡の焦点は、研磨された被加工物の表面上に自動的に合わせられる。
【0046】
前述の研磨システムは、少なくとも1つの研磨、洗浄、検査ステーションを備え、少なくとも1つの顕微鏡の焦点は、被加工物の表面の検査処理と同時に、自動的に合わせられる。
【0047】
前述の研磨システムは、少なくとも1つの研磨、洗浄、検査ステーションを備え、研磨除去率は、研磨中の被加工物のバッチの下降速度を測定することによって制御される。
【0048】
前述の研磨システムは、少なくとも1つの研磨、洗浄、検査ステーションを備え、力維持および監視部は、研磨される被加工物のバッチに加わる研磨力を制限する。
【0049】
研磨の前処理のために、マイクロ光学・フォトニクス素子の被加工物のバッチを処理する方法であって、それぞれのグリッパー内に被加工物をそれぞれ挿入し、着脱可能グリッパーキャリアとポータブルラッチングタレット上に各グリッパーを搭載し、ポータブルラッチングタレットを被加工物のバッチと共に前処理ステーションに移動させ、被加工物のバッチの粗研磨を行い、粗研磨された被加工物のバッチにクロッキングのための所望の空間的な方向付けを行い、1つの平面内にそれぞれの研磨表面を配置し、粗研磨された被加工物のバッチに関するバッチID情報を生成する工程を備え、粗研磨されたバッチに関するバッチID情報は、更なるバッチ処理工程においても使われる。
【0050】
研磨、洗浄、検査のためにマイクロ光学・フォトニクス素子の被加工物のバッチを処理し、統計的処理制御(SPC)レポートを提供する方法であって、前処理ステーション上で研磨すべき被加工物のバッチを前処理し、研磨すべき前処理された被加工物のバッチを研磨、洗浄および検査ステーションに移動させ、前処理された被加工物のバッチのID情報を研磨、洗浄および検査ステーションに伝達/転送し、バッチID情報に従って、前処理された被加工物のバッチを研磨するための研磨処理手順を選択し、バッチID情報に従って、研磨された被加工物のバッチを洗浄するための洗浄手順を選択し、バッチID情報に従って、研磨および洗浄された被加工物のバッチをすすぎ、乾燥するためのすすぎ・乾燥手順を選択し、バッチID情報に従って、すすぎおよび乾燥された被加工物のバッチを検査し、検査された被加工物のバッチに関する合格−不合格およびSPCレポートを提供する工程を備える。
【0051】
除去率制御をしながら、マイクロ光学・フォトニクス素子のバッチ研磨処理をする方法であって、前処理ステーション上で研磨すべき被加工物のバッチを前処理し、前処理された被加工物のバッチを研磨ステーションに移動させ、前処理された被加工物のバッチの情報を研磨ステーションに転送し、バッチID情報に従って、前処理された被加工物のバッチを研磨するための研磨処理手順を選択する工程を備え、材料除去率は、被加工物のバッチの下降速度制御によって制御される。
【0052】
研磨、洗浄および検査ステーションを含む研磨システム上で研磨材料を交換する方法であって、研磨材料を用いて研磨すべき被加工物のバッチを配置し、研磨材料上で被加工物のバッチを研磨し、被加工物のバッチの被加工物の一対の保持手段の直線状の前進速度を監視および制御し、被加工物のバッチの被加工物の一対の保持手段の直線状の前進速度の最適範囲を設定する工程をさらに備え、被加工物のバッチを保持する手段の直線状の前進速度のずれが、直線状の前進速度の所定の範囲を超えたら、研磨材料の交換を行う。
【0053】
前処理、研磨、洗浄および検査ステーションを含む研磨システム上での研磨およびSPCレポートを受ける、マイクロ光学・フォトニクス素子を含む被加工物のバッチを処理する方法であって、前処理ステーション上で研磨すべき被加工物のバッチを前処理し、研磨、洗浄および検査ステーション上で研磨すべき前処理された被加工物のバッチを研磨し、洗浄ステーション上で研磨された被加工物のバッチを洗浄し、検査ステーション上で洗浄された被加工物のバッチを検査する工程を備え、SPCレポートは、被加工物のバッチの検査結果に従って、オンライン上で準備される。
【0054】
着脱可能グリッパーキャリアおよびポータブルラッチングタレット上の複数のグリッパーを有する研磨前処理ステーション上でマイクロ光学・フォトニクス素子の被加工物のバッチを処理する方法であって、着脱可能グリッパーキャリアの複数のグリッパーのそれぞれのグリッパー内に被加工物をそれぞれ挿入し、着脱可能グリッパーキャリアおよびポータブルラッチングタレット上にグリッパーをそれぞれ搭載し、被加工物のバッチと共にポータブルラッチングタレットを、前処理ステーションに移動させ、被加工物のバッチを粗研磨し、粗研磨された被加工物のバッチをクロッキングし、1つの平面にそれぞれの研磨表面を配置するために所望の空間的方向付けを施し、粗研磨された被加工物のバッチに関するバッチID情報を生成し、粗研磨されたバッチに関するバッチID情報は、更なるバッチ処理工程にも使われ、1つの着脱可能グリッパーキャリアで異なる被加工物のための複数の前記グリッパーを使用する。
【0055】
前述の処理方法は、画像を検査および分析する工程をさらに備える。
【0056】
前述の処理方法は、研磨角度を測定する工程をさらに備える。
【0057】
前述の処理方法は、画像を測定し分析する工程をさらに備える。
【0058】
前述の処理方法は、経験によるデータベースを適用し、研磨ディスク領域の全てを使用し、研磨速度をそれに応じて調節する工程をさらに備える。
【0059】
前述の処理方法において、着脱可能グリッパーキャリアが、独立し、吊り下げられたグリッパーマウントを使用する。
【0060】
前述の処理方法において、特定の発明によって、同一のグリッパーマウント部を用いてグリッパーが異なる形状の被加工物を保持することによって、着脱可能グリッパーキャリア構造の交換の回数が減少する。
【0061】
前述の処理方法において、第一の粗研磨処理は固定状態の作業によって行われ、次の研磨工程は浮いた状態での作業によって行われる。
【0062】
前述の処理方法において、全ての研磨表面の研磨のための前処理によって同一の平面となる。
【0063】
研磨バッチ前処理ステーションはさらに、頂部(本体)と、その上に搭載されたバッチセットアップ手段、バッチ試験研磨手段、バッチ検査手段およびバッチ情報データ符号化手段とを備える。この前処理ステーションにおいて、研磨すべき被加工物のバッチの各被加工物は、個別のグリッパーに搭載され、バッチの全ての被加工物は、着脱可能なグリッパーキャリア上に搭載される。
【0064】
前処理ステーションにおいてさらに、バッチセットアップをする各被加工物は、着脱可能なグリッパーキャリアにおいて、空間的に方向付けられ、所望の位置にロックされる(クロッキングされる)。前処理ステーションにおいて、各被加工物の位置は、検査手段の助けを借りて決められ、バッチIDデータはデジタル形式で記録され研磨ステーションに伝達される。
【0065】
着脱可能グリッパーキャリアはさらに、異なる被加工物と、ポータブルラッチングタレットアセンブリに取り付け可能な独立して吊り下げられたグリッパーマウントと共に複数のグリッパーを保持することができ、1つの処理ステーションから別のステーションへと簡単に持ち運び可能である。ポータブルラッチングタレットは、研磨ステーションに搭載される際、浮いた状態でも固定状態も動作可能である。
【0066】
研磨ステーションはさらに、複数の研磨部、洗浄部、すすぎ・乾燥部、検査部、デジタル軌道動作制御部、力維持および監視部、手順データベースおよび統計的処理制御(SPC)型のレポート手段を備える。
【0067】
研磨ステーションはさらに、寸法が同じで電気接続が交換可能である研磨部、洗浄部およびすすぎ・乾燥部を備える。研磨ステーションにおいて、バッチ処理は、データベース内に格納され、前処理ステーションから発せられたIDデータで特定のバッチの処理に関して最適化された複数の手順のうちの1つを含む手順によって定義される。
【0068】
研磨ステーションはさらに、バッチ検査手段およびSPC型のレポート手段を備え、被加工物の分類(ビニング)は、研磨バッチの検査および画像分析の結果に基づく。
【0069】
研磨ステーションはさらに、デジタル軌道動作制御を備え、これによって、研磨すべき被加工物62のバッチがディスク上の任意の領域に配置可能となり、研磨ディスクの全ての領域を使用することによって研磨紙を節約でき、よって研磨速度が改善される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0070】
図1に示す高処理能力、高精度の集積化および自動化されたマイクロ光学・フォトニクス素子研磨システム36は、研磨ステーション38と前処理ステーション40とを備える。制御コンピュータ42が研磨ステーション38と前処理ステーション40の両方の動作を制御する。あるいは、各ステーションが専用のコンピュータを有してもよい。この場合は、ネットワークを介して分散したコンピュータ同士の通信を行う。
【0071】
コンピュータ42は、検査処理等のすべての研磨システム処理を制御し、統計的な処理の分析を行い、処理および部品のデータベースを保持し、種々のレポートを発行する。さらに、制御コンピュータ42は、処理に関する学習機能に備えるプログラムを有してもよい。学習機能によって研磨処理が常に改善されることとなる。学習機能によって、処理を劣化させるパラメータを特定し、処理劣化の理由を示してもよい。
【0072】
オペレータ台44は、モニターとグラフィカルユーザーインターフェース(GUI)とを備えており、オペレータが対話式に処理の各段階に介入することが可能となる。制御コンピュータ42は、GUIを備えたモニターを用いて、処理の状態を表示し、その他の有益な情報や処理中の被加工物の画像をオペレータに提供する。この高処理能力、高精度の自動研磨システム36は、前処理ステーションと研磨ステーションとの間の被加工物の移載用に、必須ではないロボットアーム46を備えていてもよい。
【0073】
本発明の高処理能力、高精度の集積化および自動化されたマイクロ光学・フォトニクス素子研磨システムの主要部品のいくつかについて詳細な情報を以下に記載する。以下に示すのは、典型的な作業の流れのパターンに基づく。
【0074】
前処理ステーション
前処理ステーション40は、本発明の高処理能力、高精度の集積化された自動マイクロ光学・フォトニクス素子研磨システム36の一部であり、図2および3に示す。前処理ステーション40は、被加工物の1バッチ全体を同一の空間的位置にセットし、そのバッチ内の全ての被加工物に関して同一の処理条件を確保できるようにする。これに加えて、前処理ステーション40は、ファイバーをフェルールに接着させるのに用いられるエポキシの残渣等の不必要な材料を除去するために設けられる。さらに、前処理ステーション40は、特定の被加工物の空間的方向を制御し、その方向を修正し、研磨システム36内外のその他の処理とのデータ通信の準備をするために設けられる。
【0075】
図2に示すように、前処理ステーション40の頂部90上にいくつかの付属品を形成してもよい。これらの付属品の例としては、予備粗研磨部122と、汎用の着脱可能グリッパーキャリア56とポータブルラッチングタレットアセンブリ60とで覆われたように図示される回転固定具102とがある。また、前処理ステーション40の同頂部表面90上には、図3に示すように検査部124を配置してもよく、マイクロメータ式のグリッパー調整機構142を配置してもよい。前処理ステーション40の側面で表面90のレベルには、オペレータパネル130があり、前処理ステーション40の構成部分のいくつかを制御するつまみやスイッチが備わっている。図示されない電気駆動機構は、回転固定具102を駆動し、図3に示す保護カバー114の後ろ側に配置されている。制御コンピュータ42(図1参照)がこの電気駆動機構を制御し、図2および3において共にポータブルラッチングタレット60によって覆われて図示される、回転固定具102の全ての動きをそれぞれ制御する。図2に示すジョイスティック型の制御装置134は、回転固定具102の回転運動を調整するために設けられる。回転固定具102は、連続的に回転しても、ステップ状の回転運動をしてもよい。ステップ状の回転運動に関して、典型的なステップは、汎用の着脱可能グリッパーキャリア56上のグリッパー間の距離に相当する。ステーション制御装置は、矢印110で示すように、回転固定具102の時計方向および反時計方向の回転運動のいずれにも対応している。その他のノブは、予備粗研磨部122および検査部124(図3)のオペレータによる動作を制御する。オペレータ用モニター112は、前処理ステーション40の前処理用頂部90の上部に軸120を基準として揺動する位置に示されるアーム118を介して搭載してもよい。オペレータモニター44は、前処理ステーション40で捕らえた画像を表示する機能を有してもよいが、典型的には前処理ステーション40は、専用ディスプレイ112を有する。ボックス140は、前処理ステーション制御用電子回路を収容する。
【0076】
制御コンピュータ42(図1参照)が前処理ステーション40を制御してもよい。専用ケーブル86(図2、3および22)は、研磨ステーション38内にある制御コンピュータ42と前処理ステーション40とを接続する。あるいは、ネットワーク上でコンピュータ42と通信する(図示されない)独立型のコンピュータが前処理ステーション40を制御してもよい。主にソフトウェアを含み、必要であればハードウェアを含むマーキング・コーディングモジュールを前処理ステーション40の構成要素としてもよい。ボックス140は、前処理ステーション40を制御すると共に、本発明の高処理能力、高精度の集積化された自動マイクロ光学・フォトニクス素子研磨システム36のその他のステーションとの通信インタフェースを制御する電子回路基盤を収容する。
【0077】
次に、前処理ステーション40に含まれる構成部分のいくつかについて詳細に説明する。図4は、前処理ステーション40の構成要素の一部である、予備粗研磨部122の組み立て概略図である。図5は、前処理ステーションの予備粗研磨部122の概略拡大図である。予備粗研磨部122は、研磨ディスク480(図5参照)を備えており、この上に様々なきめの研磨紙が置かれる。研磨ディスク480は、継ぎ手482によってDCブラシレス電動機484の軸に結合される。防水ガスケット488は、モータ−ディスク組み立て部品を保護用ステンレス鋼容器490(図4参照)に対して密閉する。流体ディスペンサ136(図2および3)は、容器490に冷却用流体を供給する。研磨部122の回転速度は可変である。研磨部122の回転速度は、10〜300rpmの範囲内で変更でき、異なる材料でできた被加工物に対して研磨速度と材料除去率とを最適に組み合わせることが可能となる。研磨ディスク480は、時計方向に回転しても反時計方向に回転してもよい。完成したモータ−研磨ディスク組み立て部品をガイド492および506上に搭載する。モータ496によって駆動される(図示されない)ねじによって、矢印494によって示す軸方向に、完成したモータ−研磨ディスク組み立て部品を動かしてもよい。ねじ486は、ガイド506を駆動する。ねじ486が回転すると、完成したモータ−研磨ディスク組み立て部品が矢印498の方向に駆動される。ガイド506はさらに、支持体502上に搭載される。完成した予備粗研磨部組み立て部品はさらに、支持体500に対する角回転自由度を有し、矢印96(図2および5)で示す方向に揺動または傾斜してもよい。ハンドル504を操作することによって粗研磨部122が傾斜する。支持体500に対して粗研磨部122を傾斜させると、被加工物の予備粗研磨角度が決まる。
【0078】
図6は、本発明の前処理ステーション40の回転固定具102の概略図である。回転固定具102は、バイオネット型ロックピン538付き精密機械加工ディスク536を備える。バイオネット型ロックピン538は、着脱可能グリッパーキャリア56(図2および3)の位置を保持および固定する。ディスク536は、軸540(図7)を中心に回転する。保護カバー114(図3)の後ろ側に配置された(図示されない)電気駆動機構は、軸540およびディスク536を駆動する。エンコーダ166は、固定具102の電気駆動144の制御装置に対する入力を提供する。電気駆動機構を制御することによって、汎用の着脱可能グリッパーキャリア56(図示せず)と共にディスク536の連続的およびステップ状の回転運動が可能となる。汎用の着脱可能グリッパーキャリア56(図2および3)と共に行われるディスク536のステップ状の回転運動の各ステップは、グリッパーホルダの穴512(図8および9)間の角距離に等しく、(図6には図示しない)被加工物62はそれぞれ個別および固有のホルダ、チャック、またはグリッパーに搭載される。連続的な回転運動およびステップ状の回転運動のいずれの場合も、矢印110で示すように時計方向、反時計方向のいずれにも回転可能である。ジョイスティック型の制御装置134(図2)によって、オペレータがマニュアルにてディスク536を汎用の着脱可能グリッパーキャリア56(図2および図3)とポータブルラッチングタレット60(図示せず)と共に連続的におよびステップ状に回転運動させることが容易となる。図7は、本発明の前処理ステーション40の図6に示した回転固定具102のマウントの概略図である。グリッパーキャリア56上にグリッパーを搭載し易くするために、ジョイスティック134(図2)によってディスク536の動きを制御する。あるいは、着脱可能なグリッパーキャリア56は、オフラインにてグリッパーによって搭載してもよく、その後、方向決めと予備研磨処理のために前処理ステーション上に搭載してもよい。
【0079】
ブラケット542によってプレート544の軸540にディスク536を取り付ける。図6および7に示すように、4つの柱546によって、組み立て部品を前処理ステーション40の上部90に取り付ける。
【0080】
図8は、本発明の前処理ステーションの研磨部122、回転固定具102および検査部124の相対位置を示す概略図である。回転固定具102は、前処理ステーション40の頂部に固定して搭載される。被加工物62(図22のみに図示)を保持する汎用の着脱可能グリッパーキャリア56(細線にて図示)は、回転固定具102と同じ軸164を中心に回転する。予備粗研磨部122の回転軸162の位置と、検査システム124(鎖線にて図示)のアクティブな顕微鏡128の光軸位置と、マイクロメータ式の調整機構142のグリッパー接触点とは、実質的に同一線160上にある。予備粗研磨部122と検査システム124とは共に、動きに関して略全ての自由度を有するので、必要であれば定期的に再編成することが可能である。一般に、着脱可能なグリッパーキャリアの種類を変更する際には、再編成が必要となる。穴512は、グリッパーを搭載する穴である。
【0081】
図9は、第1の着脱可能グリッパーキャリア510の構造の一例を示す図である。汎用の着脱可能グリッパーキャリア56によって、片側のディスク536(図6)ともう片側のポータブルラッチングタレットアセンブリ60(図9には図示されないが、図3および17に図示)との結合が容易となる。汎用の着脱可能グリッパーキャリア56は、被加工物と共に全てのグリッパーを保持する。その形状および大きさは、保持する被加工物によって変更可能である。特に、本発明によれば、異なる形状の被加工物を保持する場合であっても、同一のグリッパーマウント部(図15Aおよび15B参照)を有するグリッパーとすることで、着脱可能なグリッパーキャリア構造に必要となる変更の回数を減らすことができる。
【0082】
典型的に、グリッパーまたはチャックによって被加工物62を保持する(図22参照)。被加工物62としては、光ファイバー導波路、フィルタ、平坦ガラス板、V溝、光ファイバーコネクタ、アレー状導波路格子(AWG)等のマイクロ光学素子がある。被加工物を保持する各グリッパーを第1例の着脱可能グリッパーキャリア510のグリッパーマウント穴512内に挿入し、任意の周知のロック手段によって穴内にロックする。第1例の着脱可能グリッパーキャリア510は、24個または32個等の多数のグリッパーを保持可能である。多数のまたは少数のグリッパーまたは被加工物を保持する汎用の着脱可能グリッパーキャリアは、前処理ステーション40にセット可能である。バイオネット型ロックピン538(図6および7)と合うバイオネット型穴514によって、第1例の着脱可能グリッパーキャリア510を前処理ステーション40(図2および3)の回転固定具102のディスク536にすばやく簡単にとりつけることが可能となる。穴516は、第1例の着脱可能グリッパーキャリア510をポータブルラッチングタレットアセンブリ60(図示せず)に搭載するのに使用する。同種の被加工物を第1例の着脱可能グリッパーキャリア510に搭載するのがより好ましいが、複数の異なるグリッパーまたはチャックを保持するのに第1例の着脱可能グリッパーキャリア510を使用してもよい。
【0083】
図10は、第2例の着脱可能グリッパーキャリア520の構造の斜視図および底面図である。図11に示すように、第2例の着脱可能グリッパーキャリア520は、複数のマウント穴の替わりに、独立したグリッパーホルダ522を保持する。グリッパーホルダ522は、通常の構造であっても浮き構造であってもよい。グリッパーホルダ522が浮き構造である場合、被加工物を保持する各グリッパー524を、独立した浮き構造のグリッパーホルダ522の1つのマウント穴526(図12参照)に挿入し、任意の周知のロック手段によって穴内にロックする。各グリッパーマウント522は、カバー530の下に配置されたばね式懸架システム(図示せず)によって吊るされる。このばね式懸架システムによって、グリッパーホルダ522は、着脱可能グリッパーキャリア本体532に対して浮いた状態に保たれる。
【0084】
図13は、浮き構造のグリッパーホルダ522の構造および動作の原理を詳細に示す図である。グリッパーホルダ522は、グリッパーホルダガイド562上を摺動するグリッパーホルダ本体560を備える。ガイド562は、グリッパーホルダマウント564に固定して取り付けられており、グリッパーホルダマウント564は、(図示しない)ねじによって第2例の着脱可能グリッパーキャリア520の本体532に取り付けられる。ブッシング566によって、ばね式懸架システム530に予荷重を設定する。この予荷重によって、グリッパーホルダ本体560の位置および圧力が加わった際に予荷重の力を超えてグリッパー524が挿入されて浮き状態を保持する点が決まる。この予荷重力の値は、研磨対象の被加工物に損傷を与えるおそれのある力を超えないように設定する。この様な配置によれば、グリッパー長の突起に関わらず、全ての被加工物に働く最大の力が等しくなる。トルクキーを用いてロックねじ544をロックしてもよく、ロックねじ544はこれに適した形状を有する。
【0085】
図14は、長く平らな被加工物582を保持するために改造されたグリッパーを備えた、長い被加工物用の着脱可能グリッパーキャリア570として構成された第3例の着脱可能グリッパーキャリアを示す図である。この様な被加工物としては、典型的には、AWG、可変光減衰器(VOA)等のプレーナー光ガイド回路がある。長く平らな被加工物用グリッパー572は各々、長い被加工物を保持する。グリッパー572は、ネスト/マウント574内に置かれる。調整ねじ576が長く平らな被加工物582をグリッパー572と反対側に押すことによって、被加工物は、横方向の所望の位置にくる。この動作によって、全ての長く平らな被加工物582が各グリッパー572内で同一の位置に配置される。長い被加工物用グリッパーキャリア570は、中間フランジ578およびバイオネットロック580によって回転固定具102(図2および3参照)上に搭載される。
【0086】
被加工物用グリッパーは、被加工物毎に準備する。図15A、15B、15Cに被加工物用グリッパーの例を示す。図15Aは、円筒形被加工物524用のグリッパーを示す図である。図15Bは、矩形状または角柱状の被加工物用のグリッパー420を、図15Cは、長い被加工物用のグリッパー572を示す。グリッパーまたはチャックは、工程全体を通じて、被加工物の保持を容易にかつ正しく行えるようにする。1つの被加工物は、準備、研磨、洗浄、すすぎ、検査の間、同一のチャックにおいて保持される。グリッパーを正しく設計することが重要である。グリッパーによって、汎用の着脱可能グリッパーキャリア56と研磨ディスクとに対する被加工物の位置が決まる。被加工物に加わる力に関わらず、被加工物をしっかりと保持する必要がある。一方、着脱可能バッチ処理グリッパーキャリア56、510、520、570その他の同様のキャリアのいずれにおいても、グリッパーそのものを容易にかつすばやく搭載する必要がある。
【0087】
次に、第1例の着脱可能グリッパーキャリア510(図9)を用いて研磨用バッチの準備について説明するが、被加工物を備えたグリッパー524(図15A)等により搭載が行われる。かなり多数のグリッパーが各着脱可能グリッパーキャリアに搭載される。グリッパーへの被加工物の搭載は、バッチを構成する全ての被加工物に対して容易に、一貫して、かつ再現性を有するように行うのが好ましい。被加工物をグリッパーに挿入するための補助的な装置によって、グリッパーと被加工物との連結処理が容易になる。図16Aは、グリッパー内に被加工物を挿入する装置548の斜視図であり、これは、本発明の研磨システムの前処理ステーションの一部である。図16Bは、グリッパー内に被加工物を挿入する装置548の断面図である。
【0088】
被加工物を搭載するには、グリッパー524をグリッパーガイドおよび保持シリンダー550(図16B)内にスライドさせる。グリッパー524が肩部552上にしっかりと載ったなら、スライドロック558が摺動し、グリッパーをその位置でロックする。レバー554が軸584を中心に回転することによって上昇し、ばね556を押してグリッパー524のチャック586(図15A)が開き、光ファイバー、フェルール等の円筒形の被加工物が挿入可能な状態となる。ストッパー表面562によって、挿入される被加工物の長さが調整される。挿入に続いて、従来からのダイアモンド劈開ブレード564によってファイバーを劈開する。
【0089】
図17Aは、本発明の研磨システム36および前処理ステーション40(図1)のポータブルラッチングタレットアセンブリ60を三次元的に示した図である。グリッパーを用いた搭載の前に、着脱可能グリッパーキャリアをユニットと連結し、これによって研磨表面上での固定したまたは浮いた状態での配置が可能となる。この組み立て部品をポータブルラッチングタレットアセンブリ60と呼ぶ。グリッパーと共に搭載された第1例の着脱可能グリッパーキャリア510は、前処理ステーション40から始まって研磨ステーション38の検査部72(図21)にいたる全ての工程を通じて、ポータブルラッチングタレットアセンブリ60の一部として存在する(部分的にグリッパーを伴って搭載すれば、ポータブルラッチングタレットアセンブリ60も研磨の目的のために使用可能である)。
【0090】
ポータブルラッチングタレットアセンブリ60は、持ち手242と、特定の例である光ファイバー用グリッパー524を伴って搭載される第1例の着脱可能グリッパーキャリア510と共に図示されている。前処理および研磨工程の間、光ファイバーの束のうち長すぎる部分は、半円形のハンガー248上に位置する。半円形のハンガー248は、突起状の端部240を有し、これによって工程の途中に光ファイバーの束がすべるのを防止する。前処理ステーション40においてポータブルラッチングタレットアセンブリ60は、被加工物と共に搭載してもよく、全ての処理においてこの状態のままであってもよい。ポータブルラッチングタレットアセンブリ60は、バイオネット型ロック250によってその作業または搭載位置に簡単にかつすばやく組み立てられる。同一の着脱可能な被加工物用グリッパーを複数使用することによって、大量の被加工物のバッチ処理を能率的に行うことが出来る。
【0091】
図17Bは、グリッパー524によって被加工物を搭載した、浮き構造のグリッパーホルダ522を有する第2例の着脱可能グリッパーキャリア520を備えたポータブルラッチングタレットアセンブリ60を三次元的に示したものである。この様に搭載されたポータブルラッチングタレットアセンブリ60は、被加工物が研磨ディスク表面に触れると、被加工物の突起の長さに相当する量だけ各グリッパーマウント522が浮き、すなわちばねが収縮する。たとえば、コネクタフェルールを備えたファイバーを研磨する場合、ファイバーには異なる長さの突起があるかもしれない。最初の接触および引き続き行われる研磨によって、1または2本のファイバーだけに過度の圧力が加わるおそれがある。この様な接触により発生する力は、他のファイバーに比べて長く飛び出ているファイバーに取り返しのつかない損傷をもたらす可能性がある。本発明の第2例の着脱可能グリッパーキャリア520によれば、1本または数本のこのような飛び出た被加工物に過度の圧力が加わることがない。このような損傷は、被加工物に損傷を与える可能性のある力を超えないように、グリッパー524の予荷重の値を設定することで回避できる。この様な配置によれば、被加工物の長さに関わらず、全ての被加工物に働く最大の力が等しくなる。
【0092】
図17Cは、長い被加工物用の着脱可能グリッパーキャリア570が取り付けられたポータブルラッチングタレットアセンブリ60を示す図である。このように、異なる形状および大きさの被加工物に対して同様の汎用の着脱可能グリッパーキャリア56の着想を適用することによって、1つの研磨システムにおいてこれらの被加工物の処理が可能となる。
【0093】
図18は、本発明の研磨システム38のポータブルラッチングタレットアセンブリの構造の概略図である。このポータブルラッチングタレットアセンブリ244は、被加工物の1バッチを備えた汎用の着脱可能グリッパーキャリア56(図示せず)を容易にすばやく取り付け可能なフランジ252を備える。フランジ252は、異なる着脱可能グリッパーキャリア56、510、520または570のアダプターとして機能し、中間フランジ254によって、スライド式円筒形ブッシング256に取り付けられる。円筒形ブッシング256は、円筒部258と肩部264とを有する。十分なクリアランスによって、円筒部258と下部フランジ262のカウンタボア260との間の摺動動作が容易となり、図の紙面内および紙面に垂直な方向のある程度の角自由度が得られる。頂部フランジ266は、円筒形ブッシング256の肩部264の直径より若干大きい内径を有する内部中空くぼみ268を有し、ブッシング256と下部フランジ262とを覆う。膨張可能なゴム製のピストン270が、フランジ266とスライド式の円筒形ブッシング256の内部リセスとの間にできたスペース272内に挿入される。
【0094】
ポータブルラッチングタレットアセンブリ60と、特定の例であるポータブルラッチングタレットアセンブリ244とは、着脱可能グリッパーキャリア56、510、520または570の種類によって異なるが、全て固定および浮いた状態での動作モードにおいて動作可能である(これ以降参照符号244だけを用いるが、以下の記述はすべてのポータブルラッチングタレットアセンブリに関して有効である)。ポータブルラッチングタレットアセンブリ60の固定および浮いた状態での動作モードについて、研磨システム部において説明する。ただし、浮き構造のグリッパーホルダ522が使用される場合を除いて、前処理ステーション40においてなされる第1の粗研磨工程は常に固定モードで行われるものである。
【0095】
図19Aおよび19Bは、前処理ステーション40(図1、2および3)の検査および測定部の正面および側面図である。検査部124は、複数の顕微鏡、または倍率が可変で異なる種類の照射が可能である単一の顕微鏡128を備える。顕微鏡128は、被加工物の粗研磨された表面を検査するのに使用され、適切な方向に設定される。顕微鏡128は、モニター112のスクリーン上に画像を表示するビデオカメラ(図示せず)に結合される。表示された画像は、保存目的または将来的に使用するために取り込んで保存してもよい。研磨された被加工物の画像に加えて、目盛つきの固定または可動の格子状の線をモニター112のスクリーン上に表示してもよい。固定格子腺は、別の測定機器によって較正してもよい。測定機器によって較正された格子線によって、異なる測定や被加工物の空間的な方向付けに便利なツールが提供される。
【0096】
顕微鏡128は、角自由度を有する動き154や、矢印156および158で示すような二軸線形自由度を有する動きが可能である。ハンドル146によって、顕微鏡128の角位置を設定する精密回転機構を動作させる。顕微鏡が回転することによって、検査中の被加工物の研磨角度に合う位置に顕微鏡を設定し、研磨面内に顕微鏡の焦点を合わせることが可能となる。モータ駆動のステージ148および150によって、検査領域内で顕微鏡128を正確に位置決めすることが可能となり、検査中の被加工物上に顕微鏡の焦点を合わせることも可能となる。
【0097】
図20(図1、2および3を参照)に、前処理ステーション40のマイクロメータ式のグリッパー高さ調整機構142を示す。マイクロメータ式グリッパー高さ調整機構142は、同一のポータブルラッチングタレットアセンブリ上に搭載された被加工物の全ての粗研磨された表面が1つの共通した研磨平面を持つように、前処理ステーション40のオペレータを補助する。
【0098】
マイクロメータ式のグリッパー調整機構142は、軸592を中心に回転するレバー590を備える。レバー590の一端は、着脱可能グリッパーキャリアの下部にあり、グリッパー524またはその他の被加工物を保持するグリッパーを上昇および下降させることが可能である。マイクロメータ式のねじ594を回転することによって、レバー590の位置が変わり、これに伴って、着脱可能なグリッパーキャリアの特定の位置でのグリッパー524の位置が変わる。レバー590の位置の変化によって、グリッパー524が上昇または下降し、検査システム128の焦点が合ったり外れたりする。この動きによって、全ての被加工物の研磨表面を同一平面内の同一位置に配置することが可能となる。レバー590の位置を変える前に、ロックつまみねじ596を解除しておく必要がある。
【0099】
研磨、洗浄および検査ステーション
図21、22、23は、本発明の高処理能力、高精度の自動研磨システムの一部である、研磨、洗浄および検査ステーション38の上面、正面および背面図である。本研磨ステーションには、図21の上面図に示すように、メインフレーム50、その上に複数の研磨部52を搭載することが可能なトッププレート100が、駆動装置や直接駆動制御装置と共に含まれる。メインフレーム50の頂部上には、処理される被加工物のバッチを洗浄するための複数の洗浄部54をさらに配置してもよい。洗浄部54のうちの1つ以上をすすぎおよび乾燥部として機能させてもよい。一例として、二重丸印をつけて、すすぎおよび乾燥部55示すが、一般的に洗浄部54のいずれもがすすぎおよび乾燥部として転用可能である。さらに、追加の接触洗浄部(図示せず)をメインフレーム50の頂部に搭載してもよい。
【0100】
接触洗浄、すすぎ・乾燥部55を含む、研磨部52および洗浄部54は、同様の外寸を有しており、特定の処理によって要求される場合には、互いに交換可能である。たとえば、3つの研磨部と3つの洗浄部とを備えた構成、または4つの研磨部と2つの洗浄部とを備えた構成が可能である。特定の被加工物の処理によって要求されるようなその他の組み合わせについても対応可能である。
【0101】
図21に示すように、メインフレーム50のトッププレート100上でステージを組み立てることが可能であり、その上に、汎用の着脱可能グリッパーキャリア56および被加工物の1バッチ62(図22参照)を備えたポータブルラッチングタレットアセンブリ60を保持する固定マウント58が配置される。これらのステージによって、固定マウント58がX方向64、Y方向66およびZ方向68(図22参照)に移動可能となる。固定マウント58は実質上、研磨ステーション38の頂部100に位置する任意の箇所に移動可能となる。ラッチングタレットアセンブリ60と被加工物62のバッチ(図22参照)と共に固定マウント58を移動させることにより、内蔵のロボットアームのように機能させることができ、メインフレーム50の頂部表面100上に位置する任意の処理ステーションへの移動が可能となる。処理対象の被加工物を検査するための検査部72は、メインフレーム50のトッププレート100のリセス内に配置してもよい。
【0102】
洗浄液吐出、回収および処理部74を図22に示すが、制御コンピュータ42と空気圧および真空調達部78とをメインフレーム50に組み込んでもよい。図23に示すように、配電部80をメインフレーム50内にさらに配置してもよい。図23において鎖線で示すカバー94は、研磨ステーションの頂部を覆う。カバー94によって、被加工物62の処理を行う部分に周囲の空気が進入するのが制限され、カバー94の中に比較的きれいで塵芥のない空気の流れを作ることができる。一組のケーブル84および86(図22参照)によって、制御コンピュータ42を、モニターとGUIとを備えたオペレータ台44(図1にのみ図示)と、前処理ステーション40(図1、2および3)とにそれぞれ接続する。あるいは、通信・相互接続部92によって接続してもよい。
【0103】
コンピュータ42は、全ての検査工程を制御し、統計的な処理の分析を行い、処理および部品のデータベースを保持し、種々のレポートを発行する。さらに、制御コンピュータ42は、処理に関する学習機能を可能にするプログラムを有してもよい。このような学習機能によって研磨処理が常に改善されることとなる。学習機能によって、処理を劣化させるパラメータを特定し、処理劣化の理由を示してもよい。
【0104】
次に研磨、洗浄および検査ステーションを含む部分のいくつかについて説明する。図24は、研磨ディスク表面を詳細に示す断面図B−Bを伴う、研磨ステーション38の研磨部52の概略図である。研磨部52は、研磨ディスク180を備えており、この上に様々なきめの研磨紙が置かれる。あるいは、異なるメッシュのスラリーを入れた基板を研磨ディスク上に置いてもよい。処理対象の被加工物を接触洗浄するのに有用な布およびその他の材料を研磨ディスク180上に配置してもよい。研磨ディスク180は、継ぎ手182によってDCブラシレス電動機184の軸に結合される。継ぎ手182によって、ディスク180の交換が容易となり、研磨ステーション38の被加工物に影響を与えずに、ディスク上に搭載されている研磨紙等の材料のオフラインでの変更や研磨面の切り替えが可能となる。ディスク180の外表面186は、高度な表面平坦度が得られるようにラップ仕上げとなっている。防水ガスケット188は、モーターディスク組み立て部品をステンレス鋼容器190およびメインフレーム50に対して密閉する。流体ディスペンサ(図示せず)は、容器190に冷却用流体または研磨用スラリーを供給する。容器190に搭載された流体レベルセンサー196によって、研磨用スラリーや冷却用流体があふれないようにする。通常の流体レベルを参照符号198で示す。研磨部の回転速度は、10〜300rpmの広い範囲内で変更でき、研磨速度と材料除去率とを最適にすることが可能となる。研磨ディスク180は、時計方向に回転しても反時計方向に回転してもよい。速度の変更は、DCブラシレス電動機184を制御する制御コンピュータ42に対応して行う。
【0105】
図25は、本発明の研磨ステーション38の洗浄部54の側面概略図および底面概略図である。各研磨工程間での被加工物62の相互汚染を防止し、次の画像検査および画像分析に必要な清浄度を得るために、洗浄部54が研磨ステーション38に含まれる。洗浄部54は、流体注入管202、流体排出管204および流体溢出管206を備えたステンレス鋼容器200を備える。流体注入管202はさらに、種々の洗浄液、洗剤、アルコール等の流体とともに、脱イオン水を流すための複数の管を組み合わせてもよい。ヒータ210は、洗浄部の容器200内の洗浄用流体を最適な洗浄結果が得られるような温度にまで加熱する。2つの超音波攪拌器212は、洗浄用流体を常に攪拌する。
【0106】
洗浄部54はさらに、2つの流体レベルセンサーを備える。流体レベルセンサー218は、洗浄用流体の最低レベルを検知する。このセンサーは、制御コンピュータ42に接続されており、流体ポンプ(図示せず)を作動させる。流体ポンプは、洗浄用流体吐出、回収および処理モジュール74内に組み込まれており、適切な洗浄条件によって定まり最適流体レベルセンサー220によって制御されるレベルに到達するまで洗浄部容器200内に洗浄用流体を補充する。最適流体レベルセンサー220も制御コンピュータ42に接続されており、洗浄用流体吐出、回収および処理モジュール74内に配置された流体ポンプ(図示せず)をオフにして流体がオーバーフローするのを防止する。この動作が万一うまく行かなかった場合には、余分な流体は、溢出排出管206から排出可能である。一日の終わりや電源を遮断した場合には、洗浄用流体は自動的に容器200から排出される。
【0107】
図26は、本発明の研磨ステーション36のすすぎ・乾燥部230の一実施態様の概略図である。すすぎ・乾燥部230は、処理対象のバッチを最終的に洗浄するために、清浄水または洗浄液の噴射、および予め加熱されフィルタリングされた乾燥空気を利用する。空気吐出ノズル232および流体吐出ノズル234が2本交互に、容器236の周囲に等間隔で分散している。この独特の設計によって、ポータブルラッチングタレットアセンブリ60および特に被加工物62の1バッチを保持する汎用の着脱可能グリッパーキャリア56をそれぞれ、研磨領域で確実に均一に覆うことが可能となる。それぞれの噴射の強度は、個別に調整可能である。使用済みのすすぎ用流体は、容器236の底の開孔238を通じて排気される。容器236の基底部にある吸気部(図示せず)によって、乾燥工程の効率が高まり、システムの重要な部分に不必要な粒子が届かないようにする。空気導入貫通ノズル232の温度は、典型的には高くしておく。制御コンピュータ42(図1)は、空気圧および真空調達部78(図22)を介して、気流と真空ポンプの両方を制御する。全ての被加工物62に対して同一のすすぎ・乾燥条件を確保するために、被加工物62のバッチを備えたポータブルラッチングタレットアセンブリ60を保持するZステージは、垂直方向に振動する。洗浄手順に応じて、すすぎ・乾燥処理の時間を決める。
【0108】
図27は、本発明の研磨ステーション38のすすぎ・乾燥部310の別の実施態様の三次元的な概略図である。すすぎ・乾燥部310は、回転式のすすぎ用流体および乾燥空気吐出機構314を備えたステンレス鋼容器312を備える。すすぎ・乾燥部310の回転式すすぎ用流体および乾燥空気吐出機構314は、処理対象のバッチを最終的に洗浄するために、清浄水または洗浄液の噴射、および予め加熱されフィルタリングされた乾燥空気を利用する。回転式流体吐出機構314の一部である、一連の流体吐出ノズル316が備わっている。流体吐出機構314の回転によって、被加工物、グリッパー、任意の着脱可能グリッパーキャリア56、510、520または570(図示せず)上に均一に洗浄用流体が行き渡る。洗浄手順に応じて、すすぎ・乾燥処理の時間を決める。流体のフラッシング処理の最後に、制御コンピュータ42は、洗浄液の供給をオフに切り替え、同じノズル316から温風を吐出する。その他の点については、すすぎ・乾燥部310は、すすぎ・乾燥部230と同様の動作を行う。
【0109】
先に述べたように、研磨部190、洗浄部200、およびすすぎ・乾燥部230、310の外寸および電気接続は同一であり、よって相互に位置を変えることができる。よって、異なる構成の高処理能力、高精度の集積化および自動化されたマイクロ光学・フォトニクス素子研磨システム36もこれによって裏付けられる。
【0110】
典型的には、同一の汎用の着脱可能グリッパーキャリア56を備えた複数のポータブルラッチングタレットがバッチ処理のために使用される。研磨処理のために前処理された被加工物62を完全に搭載した状態で、ポータブルラッチングタレットは前処理ステーション40から取り外され、研磨ステーション38上に配置される。ロボットアーム46によって、ポータブルラッチングタレットアセンブリ60のステーション間の移動を行う。あるいは、被加工物62のバッチを備えたグリッパーキャリア56の必要な空間的方向を維持しながら、手でステーション間を運んでもよい。
【0111】
先に述べたように、ポータブルラッチングタレットアセンブリ60は、固定した状態でも浮いた状態でも動作可能である。研磨ディスクの表面186と接触すると、各被加工物ホルダ、たとえば524を備えた汎用の着脱可能グリッパーキャリア56を支持するポータブルラッチングタレットアセンブリ60は、浮いた状態になる。汎用の着脱可能グリッパーキャリア56の研磨ディスク表面186に浮いた状態での配置は、研磨ディスク表面186と前回の研磨ディスクとの交差により生まれた研磨表面平面と一致する。この配置方法によれば、新たに研磨角度を作成しないので、研磨時間が短くなり材料の除去率も向上する。上述の研磨平面が合わない場合は、部分的に材料を除去しすぎる箇所が発生するかもしれず、被加工物62の損傷、劣化が増加する。
【0112】
研磨は、典型的には、一定の量の力で行う。研磨対に働く力は、注意深く制御することが好ましい。被加工物のバッチを備えたラッチングタレットアセンブリの下降速度の制御によって、研磨除去率を制御する。研磨力制御・監視機構によって過度の研磨力を防止する。図28に、研磨力制御・監視機構を示す。浮いた状態での動作において、フランジ252および254の組み立て部品は、ブッシング258に対して3つのガイド280(図18)上を移動する。ガイド280によって、Z方向の直線上の動きに自由度が与えられ、ゴム製のピストン270上にあるブッシング256との間のゆとりが得られる。カウンタボア260によって、XおよびY軸の回りの角運動の自由度が得られる。ゴム製のピストン270は、空気口274によって膨張可能である。ブッシング256は、回転を防止するために、直径方向に沿って相対するよう配置される2つのガイド(図示せず)を有する。
【0113】
固定モードの動作においては、ブッシング256の肩部264が下部フランジ262上に来るようブッシング256に圧力が与えられるようなレベルに、空気口274を介してゴム製ピストン270を膨らませておく。ゴム製ピストン270内の空気によって発生する圧力によって、Z方向の動きが防止される。ゴム製ピストン270の圧力でブッシング256の肩部264を下部フランジ262に押し付けた時の摩擦によって、回転動作が防止される。
【0114】
参照符号290は、着脱可能グリッパーキャリア56を含むポータブルラッチングタレットアセンブリ60の下部の複数の要素を備えたアセンブリを模式的に示している。参照符号294は、バイオネット型ロック250(図17A参照)を含むポータブルラッチングタレットアセンブリ60の上部を模式的に示している。参照符号280は、アセンブリ290がZ方向に摺動可能なガイドを表しており、参照符号298は、アセンブリ290の不要な回転の自由を防止するピンを表す。参照符号270は、膨張可能なゴム製ピストンを表す。直線300は、研磨平面を示し、直線302は、ポータブルラッチングタレットアセンブリ60をバイオネット型ロック250によって取り付けるZ方向ステージに沿った固定基準平面を示す。ひずみゲージ304を、Z方向ステージ(図22参照)に沿った固定基準平面302に配置する。
【0115】
Z方向ステージの動きによって、研磨ディスク表面186(図24参照)が、個々の被加工物ホルダ246を備えた汎用の着脱可能グリッパーキャリア56を支持する特定のポータブルラッチングタレットアセンブリ240に接触する。この接触面も研磨面であり、参照符号300で示す。ひずみゲージ304によって、被加工物と研磨ディスク表面186との最初の接触を検出する。ポータブルラッチングタレットアセンブリ60の重力および目標の下降速度を可能にする力を若干追加して加えて、目標の材料除去率に合う所定の速度でZ方向ステージを連続的に上昇または下降させる。所定の下降速度の値は、処理する被加工物の種類、紙のきめ、過去に研磨したバッチの数およびその他の処理のパラメータに依存する。0.1ミクロン/秒から10ミクロン/秒の速度が可能である。
【0116】
研磨処理の間、矢印68(図22)で示すような、着脱可能なグリッパーキャリア56のZ方向ステージにおける汎用の着脱可能グリッパーキャリア56および被加工物62のバッチを備えたポータブルラッチングタレットアセンブリ60の下降速度は、常に制御コンピュータ42によって監視される。制御コンピュータ42は、実際の下降速度を所望の目標下降速度と比較し、目標下降速度との大きなずれがある場合には、制御コンピュータ42は、処理中の特定のバッチの被加工物の研磨速度を変更可能である。力を変更するべき場合には、制御コンピュータ42によって研磨力すなわちZ方向の下降速度を変更するようなコマンドを発行する。
【0117】
研磨力が大きいと処理中の被加工物が損傷を受ける場合がある。定常的な下降速度を維持することが必要となるような、不要なおよび大きい研磨力を避けるため、研磨処理中に汎用の着脱可能グリッパーキャリア56および被加工物62のバッチ上にZ方向ステージ内の定常的な前進によって働く力は、ひずみゲージ304によって常に監視される。ひずみゲージ304によってもたらされるフィードバックに基づく閉ループ内で、力制御システムが動作し、たとえば、浮いた状態での動作の際に加わる力を制限できる。ひずみゲージ304の感度および動作範囲を適切に選択することによって、加わる力を確実に精密に制御する。
【0118】
類似する被加工物62からなる大きなバッチを処理する際は、一定の下降速度を維持し監視することが特に重要である。下降速度が変化することによって、研磨材料や流体の状態に関する貴重な情報が得られる。たとえば、研磨力が一定の際に、下降速度が所定の範囲を超える範囲で変化する場合、研磨紙が目詰まりを起こして、材料除去率が落ちていることを示している可能性がある。下降速度の適切な減少しきい値または許容値を設定することで、研磨紙を交換する必要性をオペレータに知らせることが可能となる。研磨紙の交換は、研磨処理の連続作業を中断することになり、装置のスループットを減少させる。このメッセージは、制御コンピュータ42によって自動的に発行させることができ、オペレータ台のモニター44に表示することができる。研磨処理のパラメータを維持することによって、再現性のある研磨結果が確実に得られる。図29は、下降速度の変化を利用して研磨紙の交換を示す箇所を模式的に示したものである。実際の速度の変化が参照符号306で示されており、点線によって下降速度変化のしきい値を示している。点308は、研磨紙の交換ポイントを示す。
【0119】
図30は、Z方向ステージの構造を示す図である。Z方向ステージ68は、その上をポータブルラッチングタレットアセンブリ60が摺動する一組の平行ガイド330を備える。ポータブルラッチングタレットアセンブリ60の動作は、精密ねじによって行われ、直線エンコーダ(図示せず)によって監視される。モータ334は、ギアー336およびフレキシブルトランスミッションコンビネーション338を介して、ねじを駆動する。別の回転エンコーダ340によってモータの位置に関する情報が得られる。2つのエンコーダを使用することによって、フレキシブルトランスミッション338によってもたらされるかもしれない潜在的な位置の誤差をなくすことができる。
【0120】
図31は、コンピュータによって発生する軌道動作のパターンを模式的に表したものである。研磨ディスク180は、矢印450で示す方向に一定の速度で回転する。着脱可能グリッパーキャリア56を備えたポータブルラッチングタレットアセンブリ60は、Z方向ステージ68(図31には示さず)上、および、X方向ステージ64とY方向ステージ66上とのそれぞれに搭載される。X方向ステージ64およびY方向ステージ66のモータを適切な信号で駆動するデジタル制御手段によって、着脱可能グリッパーキャリア56を備えたポータブルラッチングタレットアセンブリ60を保持しながら、Z方向ステージ68の軌道動作が行える。たとえば、両ステージをK×sin(ω+πt)のような形の等しい周波数および振幅の信号で駆動すると、点線452で示すような円形の軌道動作となる。信号のうちの1つの振幅を変えると、点線454で示すような楕円軌道動作となる。線456で示すような、8の字型等のその他の軌道動作パターンは、駆動信号の波形、周波数、振幅を変えることで得られる。
【0121】
デジタル的に発生および制御される軌道動作によって、従来からの機械的なシステムでは対応できなかったような複数の選択肢や利点が得られる。軌道パターン動作を変更できることも1つの選択肢である。これに加えて、同一の軌道動作パターン内で速度を可変にすることも可能である。より優れた速度制御と組み合わせて、動作パターンに柔軟性を持たせることによって、より品質の高い研磨表面が得られる。制御コンピュータ42(図1および21)によって、処理対象の被加工物に応じて、軌道動作のパラメータを設定および制御する。
【0122】
軌道動作パターンの速度をデジタル制御することによって、より優れた研磨速度の制御が可能となり、図32に示すような1バッチの被加工物62の場合と同様に、被加工物62の異なる箇所の研磨速度が一様になる。X−Yステージの動作によって、研磨ディスク180の実質的に任意の箇所に被加工物62のバッチを配置することが可能となる。
【0123】
図32は、本発明の研磨ステーション38の検査部72の概略図である。検査部72は、角寸法および線寸法を測定し、任意の被加工物の研磨表面や光ファイバーケーブルの劈開端面を検査し、表面の品質を評価するよう設計されている。検査部72の準備は、検査手順に応じて自動で行われる。検査部72は、3つの自由選択のサブユニットである、光学顕微鏡サブユニット380、研磨角度測定部382、および干渉計による表面品質評価サブユニット384を備える。
【0124】
図33は、集積化した検査部72を示す研磨ステーションの分解斜視図である。光学顕微鏡サブユニット380は、明視野および暗視野、光源388による自動照射機能を有する。照射パワーは、調整して所望の値に設定可能であり、画像処理の選択肢の幅を広げることができる。広いレンジの対物レンズ390によって、特定の被加工物の検査ニーズに合った幅の倍率が得られる。顕微鏡の対物レンズ390を保持するタレットは、電動化され、コンピュータ制御されており、倍率の変更を簡単に行える。光学検査サブユニット380は、微分干渉コントラスト(DIC)顕微鏡(図示せず)をさらに備えてもよい。光学検査サブユニット380は、ビデオ画像の取り込みおよび処理のためにカラーCCDカメラ392につながれる。
【0125】
光学検査サブユニット380の作業倍率は、光学的なサブユニットの倍率および電気的なサブユニットの倍率と関係する。検査システムの初期状態の倍率は、被加工物の大きさが許せば、被加工物を完全に観察できるように選択するのが好ましい。最大倍率によってサブミクロンの欠陥を検出できるようにするのが好ましい。たとえば、ある倍率で検査される線寸法は、2000×1600ミクロンであり、以前の倍率による500×400ミクロンのそれぞれ4倍である。倍率を可変とすることによって、異なる大きさの被加工物や同一の被加工物の異なる領域を最適の状態で検査することが可能となる。
【0126】
図34Aは、直径125ミクロンの研磨されたファイバーの先端を目盛付きで示した画像の一例である。参照符号394がコアを、参照符号396がクラッドを表す。図34Bは、本発明の研磨ステーションの検査部により得られる目盛付き画像のその他の例であり、長さ約100mmのシリコンアレー状導波路格子被加工物(AWG)の研磨端面の一部を示す。
【0127】
図35Aおよび35Bに模式的に示した研磨角度測定部382は、被加工物408が着脱可能なグリッパーキャリア56に搭載され、研磨角度測定部382の回転中心上に位置するように、研磨ステーション38の頂部100(図21)上に配置される。研磨角度測定部382(図35B)は、2つの平行レーザ放射源410、ビームスプリッター/コンンバイナー412およびレーザビーム位置測定検出器416を備える。研磨角度測定部382の全ての部品もまた、Z方向に移動可能な回転プラットフォーム420(図35A)上に搭載される。平行レーザビーム間の角度は、予め設定されており周知である。研磨対象面424および426を備えた被加工物408を挿入すると、レーザビーム位置測定検出器416の表面上での平行レーザビーム422の位置に変化が生じる。その変位は、測定された角度と予め設定された基準角度との差に比例する。角度測定部382のこのような特定の配置およびこれに伴う角度測定方法によって、被加工物408の2つの光学表面間の角度が測定でき、被加工物の搭載誤差が自動的に排除される。開示した角度測定方法は、被加工物408を形成する各光学表面の角度の測定に対応できる。たとえば、検出器416は、平行レーザビーム422の光軸に一致する軸418を中心に被加工物408を回転させることによって表面406の傾斜または角度を検出可能である。4分割検出器416、ビームスプリッター412および被加工物408の表面426間の距離によって、角度測定の精度が決まる。これらのパラメータを適切に選択することによって、0.05度を超える精度が達成できる。フェルールやファイバー等の回転対称性を有する被加工物の角度測定の場合には、角度測定部408は、角度測定部を1つだけ含んでいてもよい。コンピュータ42(図1)によって、被加工物の角度測定データを回収し格納する。
【0128】
図36に示す研磨表面角度測定についてのさらなる方法において、細長い被加工物430の角度β(ベータ)を、表面顕微鏡380(図32および33)上で再び焦点を合わす(リフォーカスする)ことによって測定する。さらに精度を上げるには、顕微鏡380の焦点を細長い被加工物430の端部に合わせることが好ましい。典型的には、表面のプロファイリングのためには2つの焦点で十分である。リフォーカス動作は、後に示すような焦点アルゴリズムに従って、表面の不連続な箇所に関して、または、連続的に走査することによって自動的に行う。同時に、標準走査手段によって、細長い被加工物430の切り子面432の長さの測定が可能となる。基準面を基準とした測定視野の深さの変位によって、簡単で正確な研磨表面角度の測定が可能となる。説明を簡略化するために細長い被加工物に関する方法を示したが、任意の被加工物について同じように適用可能である。この方法の精度は、焦点間の距離に依存する。
【0129】
処理手順およびデータベース
高処理能力、高精度の集積化および自動化されたマイクロ光学・フォトニクス素子自動研磨システム36(図1)での被加工物62のバッチ処理に関する研磨パラメータは、オペレータの経験に基づいてマニュアルで設定してもよく、前処理ステーション40(図1、2および3参照)により発せられるバッチIDコードに基づいてコンピュータによって自動的に設定してもよい。バッチIDコードの一部を含むセットアップパラメータは、処理対象の被加工物62の種類や形状、被加工物62の物理的特徴、着脱可能グリッパーキャリア上の被加工物62の数、検査目的に関する被加工物の幾何学的特徴、検査対象のアクティブ領域、各被加工物62の機械的な位置等を含む。
【0130】
セットアップパラメータに基づいて、高処理能力、高精度の集積化および自動化されたマイクロ光学・フォトニクス素子自動研磨システム36(図1参照)は、処理手順とも呼ぶ、適切な研磨・洗浄・検査処理を選択する。全ての処理パラメータを定義する手順は、手順データベースに格納される。手順データベース構造およびパラメータを図37に示す。
【0131】
手順データベース構造は、階層構造であり、複数のファミリー610、612および614を含む。各ファミリーは、類似する特性を有する複数のマイクロ光学・フォトニクス部品616、618、620、622、624および626を含む。ファミリーの典型的なサンプルは、AWG、V溝ファミリー、コネクタファミリーなどである。あるファミリーに含まれる部品は、AWG1、AWG2等である。ファミリーの各部品は、一般的な部品の種類、部品の形状の種類、処理液等によって特徴付けられる。複数の処理手順630、632、634等によって各部品に関して異なる処理パラメータを提供できる。
【0132】
高処理能力、高精度の集積マイクロ光学・フォトニクス素子自動研磨システム36のデータベースはさらに、表を含んでもよく、表のうちのいくつかは、システムのパラメータの全てを含み、別のいくつかに、ログイベント、製造レポート、および保存した被加工物62の画像等のシステムが蓄積したデータを含んでもよい。
【0133】
手順には、研磨、洗浄、すすぎ・乾燥および検査処理を含んでもよいが、これに限定されるものではない。研磨処理手順は、ポリッシャ数、ラッチングタレットアセンブリを下降させる(浮いた状態または固定状態)Z方向ステージの種類、研磨回数、速度のパラメータ等が含まれる。手順はさらに、研磨方向、研磨力、連続下降速度、削除すべき材料の量、スラリーを使用する場合にはスラリー数、水や潤滑油の使用、軌道動作の周波数、振幅、研磨剤種類の選択を含んでもよい。
【0134】
洗浄処理手順は、接触または非接触、洗浄ステーション数、バッチ洗浄回数、超音波攪拌パワー、洗浄液温度等の洗浄方法のパラメータ等を含んでもよい。すすぎ・乾燥工程手順は、すすぎ・乾燥回数、すすぎ液温度等のパラメータ等を含んでもよい。
【0135】
検査処理手順は、特定の装置構造、検査すべきアクティブ領域に関する定義、検査処理においてチェックすべき欠陥の種類等のパラメータ等を含んでもよい。各領域および欠陥の種類に応じて、しきい値を設定してもよい。しきい値は、単一の欠陥に対して設定してもよいし、選択されたアクティブ領域において欠陥数が最大である欠陥群に対して設定してもよい。単一の欠陥の長さや深さによって、欠陥の面積、または単一の欠陥の周囲の長さによって欠陥を分類してもよい。しきい値の基準集合に基づいて、たとえば、単一の欠陥の長さまたはこの種類の全ての欠陥の長さの合計がしきい値を超える場合には、検査結果は「不合格」になる。この種類の全ての欠陥の周囲の長さの合計がしきい値を超える場合には、検査結果は不合格となる。欠陥の分類は、欠陥がある表面の粗さを考慮に入れて行ってもよい。粗さは、表面の品質を定義するしきい値として定義される。粗さの値が大きい場合には、研磨表面の品質が低いことを意味し、粗さの値が小さい場合には、研磨表面の品質が高いことを意味する。被加工物が失敗であるとみなされる場合、その検査結果は、一定の粗さの値を超えた「不合格」となる。
【0136】
被加工物バッチのセットアップ(前処理)、研磨、洗浄および検査方法
本発明の研磨システム36(図1)を用いた被加工物62の前処理、研磨、洗浄および検査の方法は次の通りである。図38は、セットアップ、研磨、洗浄、検査およびレポート生成処理に関する高レベルフローチャートの概略図である。高処理能力、高精度の集積化および自動化されたマイクロ光学・フォトニクス素子自動研磨システム36は、単一の被加工物62または被加工物62のバッチを研磨するよう動作可能である。被加工物62をバッチ処理すると、単一の被加工物62を処理する場合に比べて、より高い処理能力が得られる。工程980で、光ファイバー導波路、フィルタ、平坦ガラス板、V溝、光ファイバーコネクタ、AWG等のマイクロ光学素子等の被加工物62のバッチを集め、前処理ステーション40(図1、2および3)上での次の研磨処理のために適当な方向に向ける。バッチ準備が完了したら次に、コンピュータ42がバッチIDコードを発行し、着脱可能グリッパーキャリア56と被加工物62とを備えたポータブルラッチングタレットアセンブリ60は、工程982において、前処理ステーション40から研磨ステーション38へと移動する(図1、21および22参照)。マニュアルまたはロボット手段によってこの移動を行ってもよい。バッチIDコードは、制御コンピュータ42に伝えられるか、またはオペレータがGUI機能を用いてマニュアルにて入力する。
【0137】
研磨工程984は、1つ以上の研磨工程を備え、特定のバッチIDコードや処理手順によって要求される、異なるきめの研磨紙やスラリーを採用する。研磨ステージの中間で、異なるきめの研磨紙やスラリーが採用される次の研磨ステーションに移動する前に、バッチを洗浄してもよい。工程986での全ての研磨処理が終了したら、処理バッチを洗浄、すすぎ、乾燥する。工程988では、検査モジュール72にバッチを配置する。必要に応じて、寸法精度、研磨角度の値、表面の品質、その他目的とするパラメータに関して、処理バッチを選択的に測定する。あるいは、各被加工物を測定および検査してもよい。工程990において、バッチ測定の結果を定性化および定量化するレポートを発行し、工程992において、研磨ステーションは、次のバッチを受け入れる準備が整っている。
【0138】
前処理ステーション40を用いて本発明の研磨システム36で研磨すべき被加工物62のバッチをセットアップする方法を図39に示す。図39は、前処理ステーションで行われる処理の高レベルフローチャートである。
【0139】
工程1030において、各被加工物62を、先に説明したような個別のチャックまたはグリッパー、たとえば524(図11、12、13および15参照)と連結する。図18に示す特殊な被加工物挿入装置によって、連結処理が容易となる。
【0140】
工程1032において、着脱可能グリッパーキャリア56(図2、17Aおよび22)をラッチングタレット60と連結する。次に着脱可能グリッパーキャリアとラッチングタレットの組み立て部品を次の処理段階に移動させる。
【0141】
工程1034において、被加工物62を備えたグリッパー524を、第1例の着脱可能グリッパーキャリア510(図9参照)の搭載穴512に挿入する。着脱可能なグリッパーキャリア56は典型的には、被加工物62を備えた24個または32個のグリッパーを保持する。グリッパーによって搭載されたなら、着脱可能なグリッパーキャリアとラッチングタレットを組み立てたものを次の処理段階に移動させる。
【0142】
工程1036において、ラッチングタレットアセンブリ60を回転固定具102のディスク536(図6参照)に取り付ける。バイオネット型ロック538を用いると、ラッチングタレットアセンブリをディスク536に取り付ける処理が容易となる。工程1038において、グリッパーのうちの1つ、典型的には検査部の上にあるグリッパーを、インデックスまたはイニシャル計数点に設定する。
【0143】
工程1040において、粗研磨部122(図2、3および4参照)を作動させ、その回転研磨ディスク480(図5参照)を着脱可能グリッパーキャリア56に搭載した被加工物62と接触させる。工程1042において、着脱可能グリッパーキャリアに搭載された被加工物の粗研磨が行われる。工程1042での着脱可能なグリッパーキャリア56に搭載された被加工物のバッチの粗研磨処理は、回転固定具102を完全に一回転させることにより行う。この回転の際、工程1044においてバッチ全体の予備粗研磨処理が完了するまで研磨動作を継続する。
【0144】
予備粗研磨動作によって、ファイバーをフェルールと結合している材料が除去され、ファイバーまたはフェルール表面が露出し・洗浄される。ファイバー表面が露出することにより、ファイバーの測定及び方向付けの処理が可能となる。被加工物のバッチの予備粗研磨処理の後、粗研磨部122(図2、3および4参照)の回転を停止させる。着脱可能グリッパーキャリア56を保持する回転固定具102(図2および8参照)のディスク536(図6参照)のステップ状の回転を始動させる。たとえば、各ステップ毎に、着脱可能グリッパーキャリア510を1つのグリッパーから次のグリッパーへと進ませて、工程1046において検査部124(図3および8参照)に配置する。検査部124によって、所望の研磨位置を基準とした、角度および高さに関する被加工物の方向付けが容易となる。検査部は、インデックスグリッパーを基準として位置が既知であるグリッパーに保持された被加工物に焦点を合わせる。検査部124は、その他の被加工物の測定のためにリフォーカス動作を行わない。その代わり、マイクロメータ式のグリッパー調整機構142によって検査部124の焦点面内に来るように、被加工物を上下に移動させて調整する。
【0145】
偏波面維持(PM)ファイバー等の用途によっては、研磨角度を高精度にすることだけでなく、研磨端面角度に対して偏光面を特定の方向にすることも要求される。公知のフォトニクス素子用の典型的なファイバーまたはフェルールの端面研磨角度は、8度から12度であり、公差は+/−0.25度である。PM型ファイバーの偏光面の位置決めに関する現行の角精度は、+/−3度以下の範囲内にある。この精度を達成するには、被加工物62を備えたグリッパーそれぞれがこれに応じて位置決めおよび方向付けされなければならない。この位置決めおよび方向付けの処理を「クロッキング」と呼ぶ。この目的のために前処理ステーション40を用いると、偏光面の角度に関する位置決め精度が非常に向上する。前処理ステーション40による被加工物の方向付けと、本発明の研磨システム36の研磨ステーション38上でこれに引き続いて行われる研磨とを組み合わせることによって、方向決めの精度が+/−0.1度となる。これは現行の角度測定法に比べると格段の向上である。
【0146】
工程1050においてPMファイバーを研磨する場合、特定の被加工物62を備えたグリッパーによって、適切に方向付け、すなわちクロッキングする(このファイバーに関するクロッキング処理は後に説明する)。この工程は、特定の着脱可能グリッパーキャリア上に搭載された全ての被加工物に関して繰り返される。この処理の結果、正しく方向付けられ、研磨表面を有する予備研磨された全ての被加工物が、被加工物の共通研磨面を持つことなり、次の工程に移動することが可能となる。
【0147】
工程1054において、前処理したバッチのデータをコンピュータ42(図1参照)に入力する。工程1056において、コンピュータ42は、このデータに基づいて自動バッチIDコードを生成する。バッチIDコードは、特定のポータブルラッチングタレットアセンブリ60に搭載された特定のバッチを一意に特徴付ける。このコードは、付属のプリンタ(図示せず)によって印刷されたバーコードラベルの形式をとってもよいし、特定のバッチおよびポータブルラッチングタレットアセンブリパラメータと関連する電気的符号であってもよい。このコードによって、ファイバーの種類、ファイバーコア、コネクタまたはフェルールアタッチメントの種類、AWGの種類等の特定のバッチおよび被加工物62のパラメータが特定される。これに続いて、工程1058において、ポータブルラッチングタレットアセンブリ60が前処理ステーション42から取り除かれ、工程1060において、システムは引き続き次のバッチの処理に移る。
【0148】
後の段階で、研磨および検査された被加工物は、グリッパーと共に、ポータブルラッチングタレット62から取り除かれる。被加工物をグリッパーに挿入する装置548によって、グリッパーから被加工物を取り出す処理が容易となる。同一の着脱可能な被加工物ホルダを複数用いることによって、大量の被加工物62のバッチ処理を合理化することができる。空になったポータブルラッチングタレット60には再び被加工物を搭載し、次の研磨サイクルに使用する。
【0149】
「クロッキング」処理のために検査部124を使用することおよびその動作について以下に詳しく説明する。PM型ファイバーに対するコネクタのフェルールの測定および方向付けの例を用いて説明を行う。図40は、「パンダ」型の偏波面維持(PM)ファイバー1070を示す図である。参照符号1072はファイバーコアを示し、参照符号1074はファイバークラッディングを示す。参照符号1076は、いわゆるストレスロッドを示し、これは単なる予備荷重供給ファイバーである。較正済みの前処理ステーションの線1078は、線160(図8参照)と一致、または必要に応じてそれに平行であることが好ましい。モニター112(図2および3参照)のスクリーン上に表示されるグリッド線1080は、線160に平行に設定し、固定グリッド線間の距離はストレスロッド1076の大きさに合うように設定する。
【0150】
クロッキング処理を行うには、たとえばグリッパー524は、穴512(図8、9および17A)内で若干ゆるめておき、オペレータは顕微鏡の下でグリッパーを回転させて、ストレスロッドおよびファイバーコアの中心を通る線1076をグリッド線1078に平行に、かつこれらが覆う面積のほぼ中間を線1076が通過するようにする。クロッキング作業が終了したら、着脱可能なグリッパーキャリア510内でグリッパーを再びロックする。
【0151】
図41は、研磨ステーション上で行われる研磨処理、洗浄処理、検査処理とその順番についてのフローチャートをより詳細に示す概略図である。工程1090において、ポータブルラッチングタレットアセンブリ60は、研磨ステーション38(図22参照)の固定マウント58上に搭載される。工程1092において、自動バッチIDコードが読み取られ、バッチデータに応じて、手順データベースよりバッチ処理手順が選択される。
【0152】
自動バッチIDコードは、光学式のワンドによって読み取ってもよいし、前処理ステーション40が制御コンピュータ42とは異なる制御コンピュータを有する場合には、前処理ステーション40からネットワークを介して伝達されてもよいし、その他の電気的な手段によって入力されてもよい。オペレータ台46のグラフィカルユーザーインターフェースを介したマニュアルによる入力にも対応可能である。工程1094において、バッチデータに基づいて、処理手順データベースより、適切なバッチ処理手順が選択される。既に述べたパラメータに加えて、ファイバーの種類、所望の表面品質、ラッチングタレットの直径、スピンドル回転および軌道の速度、研磨圧力、各研磨部における研磨回数、材料のグレード等の情報をデータベースに含めてもよい。研磨処理は、制御コンピュータ42によって選択された手順の具体的な工程にしたがって進行する。まず、第1の研磨工程が行われる。第1の研磨段階が終了すると引き続いて、工程1098においてバッチを洗浄し、工程1100において、必要があれば、次の研磨段階に移動する。工程1100は、特定の研磨手順に要求される場合には、繰り返してもよい。
【0153】
本発明の研磨システムは、各研磨段階後の洗浄、すすぎ、検査に対応しているが、研磨処理は安定しており、中間の検査や各工程についての品質評価は必要なく、オンラインでの研磨処理制御が可能となる。破線1000によって示す中間検査工程によって、そのバッチが処理手順において設定された必要な品質の基準を満たしていないことが判明した場合には、再加工工程のために前のステップに戻る。研磨処理が安定しているという仮定に基づいて、典型的には特定の手順に含まれる全ての研磨段階が終了すれば、そのバッチは、工程1102において、最終洗浄と角測定および表面検査の準備のために洗浄・すすぎ・乾燥部へと移動する。なお、バッチ洗浄を異なる研磨段階の間に行ってもよい。処理されたバッチの検査を工程1104において行う。洗浄、すすぎ・乾燥処理は、研磨および検査処理の両方の重要な部分である。研磨工程の間の洗浄処理は、研磨処理の際の汚染や損傷を避けるために必要である。最終洗浄は、素子の品質を画像処理によって評価するために必要である。
【0154】
洗浄は、典型的には、多段式処理として行われ、被加工物のバッチ全体に対して行われる。まず、検査対象表面を湿らせ、スラリーの残渣や研磨紙粒子を取り除く。この段階は、被加工物のバッチが研磨部上にまだあるときに行われる。次の洗浄段階は、研磨表面の洗浄であり、洗浄部54(図21、26および27参照)を使用する。被加工物の処理バッチ全体を洗浄液内に浸し、被加工物の機械的な動きや洗浄液の攪拌により洗浄そのものを補助してもよい。洗浄液の攪拌には、超音波を典型的に使用する。
【0155】
次の段階では、被加工物、被加工物を保持するグリッパーおよびグリッパーキャリアから洗浄液の残渣を取り除く。被加工物の研磨表面の乾燥によって表面にウォーターマークが残ってはならない。ウォーターマークによって検査処理の失敗につながる可能性がある。それまでの作業によってきれいにならなかった粒子やウォーターマークを取り除く材料を用いて、乾燥した表面を拭き取ってもよい。粒子を取り除くために、清浄な空気流を用いてもよい。
【0156】
バッチ検査のパラメータには、幾何学的寸法の計測、研磨表面測定の品質、角測定などが含まれる。検査は、手動、半自動、自動のいずれによって行ってもよい。いずれの場合でも、ステーションオペレータがしきい値を設定する。
【0157】
検査処理が終了したら、制御コンピュータが、工程1106において、ステータスレポートを発行し、処理された被加工物62の分類が可能となる。典型的には、被加工物の分類は統計処理であり、故障確率を示す。検査部124はバッチ検査において最も有効であるが、個別の被加工物の測定も行える。
【0158】
検査された各被加工物62に関するレポートは、被加工物62の名称、カタログ番号、被加工物62の検査日及び回数、バッチID番号、着脱可能グリッパーキャリアの部品番号、検査結果(合格または不合格)、ユーザによって定義されたその他のパラメータを示すデータが含まれる。工程1108での被加工物の分類が終了すると、研磨ステーション38は、次の処理バッチを受け入れる準備が整っている。
【0159】
バッチ検査処理のアルゴリズムおよび各段階について以下に詳細に記す。
【0160】
図42は、研磨ステーション上で行われる検査処理およびの初期段階のフローチャートおよびその順序をより詳細に示す概略図である。工程1114において、バッチ検査処理が始まる。工程1116において、コンピュータ/システムは、角測定が必要かどうか、および、どのような種類の角度測定が含まれるべきかについて照合する。角度測定サブユニット382によって角度測定が行われるべきであるならば、工程1118において、そのユニットにバッチを移動する。工程1120において、バッチを構成する各被加工物62の研磨表面角度が測定され、工程1122での測定データが図43に示す工程1154に転送される。角度測定が必要でない場合には、あるいは、そのバッチが細長い被加工物からなり、検査で使用されたのと同じ顕微鏡で研磨角度の測定が可能である場合には、アルゴリズムは、工程1124において図43の工程1130へと進む。
【0161】
図43は、検査処理工程およびアルゴリズムを示す高レベルフローチャートの概略図である。ここに示すように、研磨処理の完了に引き続いて、被加工物のバッチは、洗浄、すすぎ、乾燥を施され、オンラインでの検査および寸法制御のための準備がされる。電気的駆動装置によって起動されると、研磨および洗浄された被加工物のバッチを保持するポータブルラッチングタレットアセンブリ60は、X−Y−Zガイド64、66、68上をそれぞれ移動し(図21、22および23)、検査システム領域内に配置される。検査システムの対物レンズを基準とした検査対象制御システムに従って、検査すべき第一の被加工物が配置される。研磨された被加工物のバッチの移動と同時に、工程1114において、コンピュータ42(図1)は、バッチIDコードを読み取り、手順データベースから検査すべき被加工物のパラメータを入手する。
【0162】
工程1130において、制御コンピュータ42は、検査システムの倍率が検査すべき被加工物に対して設定されている検査対象手順と合っているかどうかをチェックする。これまでのバッチの検査から保留されていた倍率または照射の種類および強度等のパラメータのいずれかが検査対象の手順に合っていない場合には、コンピュータ42は、工程1132において、適切な検査システムパラメータを設定する。
【0163】
工程1134において、コンピュータ42は、被加工物表面上に検査システムの焦点を合わせる。着脱可能なグリッパーキャリアを移動させる適当なモータ駆動を起動させ、焦点アルゴリズムを適用することによって、自動焦点合わせを行う。焦点アルゴリズムによって、特定の被加工物の領域を走査し、顕微鏡の対物レンズによって異なる距離での画像をサンプリングする。実際の焦点合わせは、ある画像と異なる距離/位置の対物レンズより得られた同じ領域のそれまでの画像との相関関係をチェックすることにより行う。画像の最も鮮明な端部の数が最も多いことによって定義される最大相関値をもたらす位置が、検査システムの焦点であると考える(焦点アルゴリズムについては文献に数多く記載されており、例えば、Geusebroekらによる「顕微鏡におけるロバストオートフォーカシング」(V39,2000、1〜9頁)、S.Allegroらによる「顕微鏡の下での自動マイクロアセンブリに関するオートフォーカス」(IEEE,1996、677〜680頁)等を参照のこと)。記載された全ての焦点アルゴリズムは、顕微鏡と被加工物との間の移動が無い静止位置でのオートフォーカスを行うのに対して、現在のオートフォーカスアルゴリズムは、被加工物の走査中に行われることを述べておく必要がある。これによって、バッチ検査時間が大幅に減少し、上述のような迅速かつ簡易な研磨角度測定が可能となる。
【0164】
被加工物上での検査システムの焦点合わせが完了すると次に、工程1136において、被加工物の幾何学中心の同定が可能となる。被加工物の幾何学中心を見つけるには、まず、ビデオカラーチャンネルのうちの1つにおいて被加工物の画像を分析する(実際の画像分析は、CCDビデオカメラのビデオカラーチャンネルの1つによってもたらされる画像上で行う)。ビデオカラーチャンネルのうちの1つ、たとえば緑のチャンネル、の画像の分析によって幾何学中心の定義に至らない場合には、「グレー」(実際には256階調のモノクロ画像)画像を分析する。このような幾何学中心を見つけるアルゴリズムは、実用上どのような被加工物の形状に対しても適用可能であるが、円形の形状により適している。円形の対称性を有する被加工物の幾何学中心の座標は、アクティブ領域の位置の定義および検査についての開始点として機能しうる。
【0165】
楕円または多角形形状を有する被加工物(被加工物の形状はバッチIDコードに記録されている)については、その周縁部の特性点の方が幾何学中心よりも検査対象としてよりよく機能する。したがって、アルゴリズムは、被加工物の周縁部の同定のために工程1138に進む。被加工物の周縁部は、ヒュー(Hough)変換を用いて見つける。ヒュー変換の詳細については、Hough.P.V.C.「複雑パターンを認識するための方法および手段」、米国特許♯3,069,654,1962を参照のこと。図34Bは、アレー状導波路格子(AWG)の被加工物を示すが、点Bは、被加工物の検査の開始点として選択された点(角)である。座標系のカウントは、ポータブルラッチングタレットアセンブリ60の回転軸1160で始まり、これは図35Aに示すような着脱可能グリッパーキャリア56の中心と一致し、距離のカウントは矢印1200(図35A)で示すように外側に向かうことに注目されたい。
【0166】
被加工物の幾何学的なパラメータが分かったなら、被加工物が検査に適しているかどうかをアルゴリズムはチェックする。このチェックは、被加工物の表面の粗さを定義することによって工程1140において行われる。表面上に存在するでこぼこの大きさや数によって表面の粗さを定義する。インテルオープンソースによって提供される「トップハットアルゴリズム」を、被加工物の画像のビデオカラーチャンネルのうちの1つに適用する。トップハットアルゴリズムによって、256階調のヒストグラムが作成され、さらにその平滑化されたバージョンが作成される。オリジナルのヒストグラムと平滑曲線との論理AND演算によって、工程1142において、被加工物表面のでこぼこすなわち粗さが判る。検査手順の一部をなすしきい値によって、判明したでこぼこの大きさが定義される。あるいは、オペレータが手順の推奨を無視して、所望のしきい値を入力してもよい。
【0167】
被加工物の表面のでこぼこ状態がわかると、アクティブな領域をマーキングしやすくなる。これらについては工程1144に示す。先に示したように、検査システムによって見える画像は、絶対長さ測定単位に較正されており、アクティブ領域の座標は即座にわかる。アクティブ領域とは、欠陥に関する調査を行う領域である。その説明に際しては矩形および円形のものに限定するが、複数の種類を含んでよい。各アクティブ領域に関して、その寸法や位置が記録される。矩形のアクティブ領域を定義する記録の例について以下に示す。
【0168】
左上コーナー: X座標、Y座標
右上コーナー: X座標、Y座標
左下コーナー: X座標、Y座標、および
右下コーナー: X座標、Y座標
これらの記録におけるXおよびYの値は、ミクロンで記載されており、各座標は、先に説明したように、開始点からカウントされる。
【0169】
円形のアクティブ領域についての同様の記録についても以下に示す。
【0170】
半径(値);および
中心位置(X座標、Y座標)
図44は、ファイバー画像におけるアクティブ領域を示す図である。図において、参照符号1170は、ファイバーコアの中心を示し、ファイバークラッド1162およびセラミックフェルール1164が示される。矩形のアクティブ領域は、参照符号1166で示され、円形のアクティブ領域は、参照符号1168で示される。これらの座標は、コア中心1170から矩形領域1166の角および円形領域1168の中心までカウントされる。
【0171】
処理された被加工物について、工程1146(図43参照)において、アクティブ領域にマスク画像をかぶせる。マスク画像は、先に定義したアクティブ領域に従って合成によって生成された画像である。処理データベースは、処理対象の被加工物のマスク画像を保持する。工程1148において、実際の画像とマスク画像との論理AND演算によって、表面の欠陥が存在しているかがわかる。この欠陥は、工程1150において、先に開示したように、重大度および形状に応じて分類される。欠陥の幾何学上の形状に応じて、欠陥分析が工程1152において行われ、統計的処理のレポートが工程1154において発行される。
【0172】
この処理は、各既知のまたは発見された表面欠陥および被加工物に対して繰り返され、バッチの検査が終了したなら、工程1156において次のバッチの検査が可能となる。
【0173】
本発明の実施例について述べてきたが、本発明の趣旨や範囲に影響しない範囲で様々な変更を行うことが可能であるがわかるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0174】
【図1】図1は、本発明の原理に従って構成された、高処理能力、高精度の集積化および自動化されたマイクロ光学・フォトニクス素子研磨システムの概略ブロック図である。
【図2】図2は、本発明の高処理能力、高精度の集積化および自動化されたマイクロ光学・フォトニクス素子研磨システムの一部である、前処理ステーションの上面図である。
【図3】図3は、本発明の高処理能力、高精度の集積化および自動化されたマイクロ光学・フォトニクス素子研磨システムの一部である、前処理ステーションの正面図である。
【図4】図4は、本発明の前処理ステーションの研磨部の概略図である。
【図5】図5は、前処理ステーションの研磨部の拡大概略図である。
【図6】図6は、本発明の前処理ステーションの回転固定具の概略図である。
【図7】図7は、本発明の前処理ステーションの図6に示した回転固定具のマウント部の概略図である。
【図8】図8は、本発明の前処理ステーションの研磨部、回転固定具、検査部の相対位置を示す概略図である。
【図9】図9は、着脱可能グリッパーキャリアの構造の一例を示す概略図である。
【図10】図10は、着脱可能グリッパーキャリアの構造の他の例を示す概略図である。
【図11】図11は、図12に示す浮いた状態のグリッパーホルダを備えた図10に示した着脱可能グリッパーキャリアの構造の一例である。
【図12】図12は、図11に示す組み立て部品のC−C領域の拡大図である。
【図13】図13は、図10に示す着脱可能グリッパーキャリアの浮いた状態でのグリッパーホルダの一例を詳細に示す概略図である。
【図14】図14は、長くて平らな被加工物用に改造されたグリッパーホルダを備えた着脱可能グリッパーキャリアの他の例を示す図である。
【図15A】図15Aは、被加工物グリッパーの構造の一例を示す。
【図15B】図15Bは、被加工物グリッパーの構造の一例を示す。
【図15C】図15Cは、被加工物グリッパーの構造の一例を示す。
【図16A】図16Aは、本発明の研磨システムの前処理ステーションの一部である、被加工物をグリッパーに挿入する装置を示す図である。
【図16B】図16Bは、本発明の研磨システムの前処理ステーションの一部である、被加工物をグリッパーに挿入する装置を示す図である。
【図17A】図17Aは、本発明の研磨システムの前処理ステーションの一部である、ポータブルラッチングタレットアセンブリの一例を示す図である。
【図17B】図17Bは、本発明の研磨システムの前処理ステーションの一部である、ポータブルラッチングタレットアセンブリの一例を示す図である。
【図17C】図17Cは、本発明の研磨システムの前処理ステーションの一部である、ポータブルラッチングタレットアセンブリの一例を示す図である。
【図18】図18は、本発明の研磨システムのポータブルラッチングタレットアセンブリの構造の概略図である。
【図19A】図19Aは、本発明の研磨システムの前処理ステーションの検査および測定部の正面図である。
【図19B】図19Bは、本発明の研磨システムの前処理ステーションの検査および測定部の側面図である。
【図20】図20は、本発明の前処理ステーションのマイクロメータ式のグリッパー調整機構を示す図である。
【図21】図21は、本発明の高処理能力、高精度の集積化および自動化されたマイクロ光学・フォトニクス素子研磨システムの研磨ステーションの上面図である。
【図22】図22は、本発明の高処理能力、高精度の集積化および自動化されたマイクロ光学・フォトニクス素子研磨システムの研磨ステーションの正面概略図である。
【図23】図23は、本発明の高処理能力、高精度の集積化および自動化されたマイクロ光学・フォトニクス素子研磨システムの研磨ステーションの背面図である。
【図24】図24は、本発明の研磨ステーションの研磨部の概略図である。
【図25】図25は、本発明の研磨ステーションの洗浄部の概略図である。
【図26】図26は、本発明の研磨ステーションのすすぎ・乾燥部の概略図である。
【図27】図27は、本発明の研磨ステーションのすすぎ・乾燥部のその他の例について三次元的に示した概略図である。
【図28】図28は、研磨力制御および監視機構を示す図である。
【図29】図29は、研磨バッチの下降速度測定を利用した、研磨紙交換箇所を模式的に示す図である。
【図30】図30は、Z方向ステージの構造を示す図である。
【図31】図31は、被加工物のバッチを保持する着脱可能グリッパーキャリアのコンピュータにより生成した軌道動作パターンを模式的に示す図である。
【図32】図32は、本発明の研磨ステーションの検査部を示す図である。
【図33】図33は、集積化した検査部を示す、本発明の研磨ステーションの分解斜視図である。
【図34A】図34Aは、研磨されたファイバーの先端面の較正画像である一例を示す図である。
【図34B】図34Bは、シリコンアレー状導波路格子(AWG)の研磨端の一部の較正画像であるその他の例を示す図である。
【図35A】図35Aは、本発明の研磨ステーションの研磨角度測定部の概略図である。
【図35B】図35Bは、本発明の研磨ステーションの研磨角度測定部の概略図である。
【図36】図36は、本発明の一部である、研磨角度測定のその他の方法を示す概略図である。
【図37】図37は、手順データベースの構造およびそのパラメータを示すブロック図である。
【図38】図38は、システムのセットアップ、研磨、洗浄、検査、検査およびレポート生成処理を示す高レベルフローチャートの概略図である。
【図39】図39は、前処理ステーション上で行われる処理についての高レベルフローチャートである。
【図40】図40は、前処理ステーションの検査部の助けを借りて行われる、被加工物クロッキング処理の概略図である。
【図41】図41は、研磨ステーション上で行われる、研磨処理、洗浄処理、検査処理の初期段階のフローチャートおよびその順番についてより詳細に示す概略図である。
【図42】図42は、研磨ステーション上で行われる、検査処理の初期段階のフローチャートおよびその順番についてより詳細に示す概略図である。
【図43】図43は、検査処理の工程およびアルゴリズムを示す高レベルフローチャートである。
【図44】図44は、ファイバー画像上のアクティブ領域を示す図である。

Claims (41)

  1. 被加工物のバッチを研磨するための高処理能力、高精度の集積化および自動化されたマイクロ光学・フォトニクス素子研磨システムであって、
    研磨を行う前記被加工物のバッチに前処理を行うためのセットアップおよび前処理ステーションと、
    前記前処理ステーションで前処理された前記被加工物のバッチの研磨、洗浄、すすぎ、乾燥および検査を行うための少なくとも1つのステーションと、
    前記前処理ステーションと前記研磨、洗浄、すすぎ、乾燥および検査ステーションとの間、および、前記研磨、洗浄、すすぎ、乾燥および検査ステーションの複数の位置内で前記被加工物のバッチを移動させるためのロボットアームと、
    前記ステーション全てと前記ロボットアームとに接続され、前記研磨システムの動作を制御するための制御コンピュータとを備えることを特徴とする研磨システム。
  2. 前記前処理ステーションが、
    研磨を行う被加工物のバッチをセットアップするためのバッチセットアップ手段と、
    研磨すべき前記被加工物のバッチを予備研磨するための試験研磨手段と、
    研磨すべき、前記予備研磨された被加工物のバッチを検査するためのバッチ検査手段と、
    研磨すべき前記被加工物のバッチを適当な空間的方向に配置するための空間的バッチ方向付け手段と、
    被加工物バッチに関する情報を生成し符号化する手段であって、それを前記研磨ステーションに通信する手段と、
    前記前処理ステーションを制御する制御コンピュータとのうち少なくとも1つを備える請求項1に記載の研磨システム。
  3. 前記バッチセットアップ手段が、
    前記被加工物のバッチを異なる位置間で移動させるポータブルラッチングタレットと、
    前記被加工物を搭載したグリッパーを保持する着脱可能グリッパーキャリアと、
    異なる被加工物を保持するグリッパーと、
    前記被加工物と前記グリッパーとを連結するための、グリッパーに被加工物を挿入する手段と、
    被加工物空間的方向付け処理において補助するためのマイクロメータ式グリッパー方向付け調整手段と、
    被加工物の方向付けを容易にするための前記検査手段とを備える、請求項2に記載の研磨システム。
  4. 前記着脱可能グリッパーキャリアが、異なる被加工物を保持するための複数のグリッパーを備える、請求項3に記載の研磨システム。
  5. 前記着脱可能グリッパーキャリアが、独立して、吊り下げられ、浮いた状態のグリッパーマウントを備える、請求項4に記載のシステム。
  6. 前記独立して吊り下げされたグリッパーマウントが、ポータブルラッチングタレットアセンブリに取り付け可能である、請求項5に記載の研磨システム。
  7. 前記ポータブルラッチングタレットアセンブリが、
    研磨すべき前記被加工物のバッチを保持する浮いた部分と、
    ハンドリングと研磨とのために前記ロボットアームに連結された固定部分とを備える、請求項1および2に記載の研磨システム。
  8. 前記ポータブルラッチングタレットアセンブリが、固定ポータブルラッチングタレットアセンブリである、請求項2に記載の研磨システム。
  9. 前記ポータブルラッチングタレットアセンブリが、浮いた状態のポータブルラッチングタレットアセンブリである、請求項2に記載の研磨システム。
  10. 前記ポータブルラッチングタレットアセンブリが、全ての処理を通じて、前記被加工物のバッチの空間的方向を一定に保つ、請求項2、7および8に記載の研磨システム。
  11. 前記研磨、洗浄および検査ステーションの少なくとも1つが、
    補助的および作業上の移動のために、前記被加工物バッチを保持する、被加工物バッチ保持および移動手段と、
    前記被加工物のバッチを研磨するための研磨部と、
    前記研磨された被加工物のバッチを洗浄するための洗浄部と、
    前記研磨された被加工物のバッチをすすぎおよび乾燥するためのすすぎ・乾燥部と、
    前記研磨された被加工物のバッチを検査するための検査部と、
    前記研磨された被加工物のバッチの軌道動作のためのデジタル軌道動作制御部と、
    前記研磨された被加工物のバッチの下降速度を制御するための被加工物バッチ保持手段の下降速度制御手段と、
    前記研磨される被加工物のバッチに加わる前記研磨力を制限するための力維持および監視手段と、
    システム上で実行すべき処理を保存および選択するための手順データベースと、
    前記研磨されたバッチの検査結果をレポートするためのSPC型レポート手段と、
    前記システムの動作を制御するための制御コンピュータとのうち少なくとも1つを備える、請求項1に記載の研磨システム。
  12. 請求項11に記載の前記研磨、洗浄、検査ステーションの少なくとも1つを備え、前記被加工物バッチ保持および移動手段が、直線状に移動するX−Y−Zステージによってデジタル的に制御され位置決めされる、請求項1に記載の研磨システム。
  13. 請求項11および12に記載の前記研磨、洗浄、検査ステーションの少なくとも1つを備え、前記直線状に移動するX−Y−Zステージが、補助的なおよび作業上の移動のいずれをも行う、請求項1に記載の研磨システム。
  14. 請求項11に記載の前記研磨、洗浄、検査ステーションの少なくとも1つを備え、前記デジタル軌道動作制御部が、XおよびY移動ステージに沿った研磨バッチの前進速度を同時に変更することによって、軌道動作を生み出しており、前記XおよびYステージの速度は同じでなくてもよい、請求項1に記載の研磨システム。
  15. 請求項11および14に記載の前記研磨、洗浄、検査ステーションの少なくとも1つを備え、前記デジタル軌道動作のパターンが、XおよびY移動ステージに沿った前進速度間の比率を設定することによって得られる、請求項1に記載の研磨システム。
  16. 請求項11に記載の前記研磨、洗浄、検査ステーションの少なくとも1つを備え、前記研磨部、前記洗浄部、前記すすぎ・乾燥部が共通の外寸を有し、これらの位置および順番が交換可能である、請求項1に記載の研磨システム。
  17. 請求項11に記載の前記研磨、洗浄、検査ステーションの少なくとも1つを備え、前記研磨、洗浄および検査処理が前記処理手順に従って行われ、前記手順はデータベース内に格納される、請求項1に記載の研磨システム。
  18. 請求項11および17に記載の前記研磨、洗浄、検査ステーションの少なくとも1つを備え、前記処理手順データベースは、
    類似の特徴を有する部品を含むファミリーと、
    特定の被加工物を特徴付ける部品と、
    部品処理パラメータを有する複数の処理手順とを含む階層的データベースである、請求項1に記載の研磨システム。
  19. 請求項17に記載の前記研磨、洗浄、検査ステーションの少なくとも1つを備え、前記研磨、洗浄および検査処理手順が、前記前処理ステーションで付与された前記バッチIDコードに従って選択される、請求項1に記載の研磨システム。
  20. 請求項11に記載の前記研磨、洗浄、検査ステーションの少なくとも1つを備え、前記検査手段が、
    研磨された被加工物の角度を測定する少なくとも1つの角度測定装置と、
    研磨表面を検査し、線寸法を測定する少なくとも1つの顕微鏡と、
    研磨表面の粗さを測定する少なくとも1つの干渉計とを備える、請求項1に記載の研磨システム。
  21. 請求項11および20に記載の前記研磨、洗浄、検査ステーションの少なくとも1つを備え、研磨された被加工物の角度を測定する前記少なくとも1つの角度測定装置が、レーザ測定装置である、請求項1に記載の研磨システム。
  22. 請求項11および20に記載の前記研磨、洗浄、検査ステーションの少なくとも1つを備え、前記角度測定が、研磨された被加工物の表面によって反射されたレーザビームを測定することにより行われる、請求項1に記載の研磨システム。
  23. 請求項11および20に記載の前記研磨、洗浄、検査ステーションの少なくとも1つを備え、前記研磨表面を検査し、線寸法を測定する少なくとも1つの顕微鏡が、明視野および暗視野照射およびビデオカメラを有する、請求項1に記載の研磨システム。
  24. 請求項11および20に記載の前記研磨、洗浄、検査ステーションの少なくとも1つを備え、前記少なくとも1つの顕微鏡の焦点が、前記研磨された被加工物の表面上に自動的に合わせられる、請求項1に記載の研磨システム。
  25. 請求項11および20に記載の前記研磨、洗浄、検査ステーションの少なくとも1つを備え、前記少なくとも1つの顕微鏡の焦点が、被加工物の表面の検査処理と同時に、自動的に合わせられる、請求項1に記載の研磨システム。
  26. 請求項11に記載の前記研磨、洗浄、検査ステーションの少なくとも1つを備え、前記研磨除去率が被加工物のバッチの下降速度を測定することによって制御される、請求項1に記載の研磨システム。
  27. 請求項11に記載の前記研磨、洗浄、検査ステーションの少なくとも1つを備え、前記力維持および監視部が、研磨される被加工物のバッチに加わる研磨力を制限する、請求項1に記載の研磨システム。
  28. 研磨の前処理のために、マイクロ光学・フォトニクス素子の被加工物のバッチを処理する方法であって、
    それぞれのグリッパー内に前記被加工物をそれぞれ挿入し、
    着脱可能グリッパーキャリアおよびポータブルラッチングタレット上に前記各グリッパーを搭載し、
    前記ポータブルラッチングタレットを前記被加工物のバッチと共に前処理ステーションに移動させ、
    前記被加工物のバッチの粗研磨を行い、
    前記粗研磨された被加工物のバッチに所望の空間的な方向付けを行い、1つの平面内にそれぞれの研磨表面を配置し、
    前記粗研磨された被加工物のバッチを記述するバッチID情報を生成し、
    前記粗研磨されたバッチを記述する前記バッチID情報は、更なるバッチ処理工程においても使われることを特徴する方法。
  29. 研磨、洗浄、検査のためにマイクロ光学・フォトニクス素子の被加工物のバッチを処理し、統計的処理制御(SPC)レポートを提供する方法であって、
    前記前処理ステーション上で研磨すべき被加工物の前記バッチを前処理し、
    前記研磨すべき前処理された被加工物のバッチを前記研磨、洗浄および検査ステーションに移動させ、
    前記前処理された被加工物のバッチのID情報を前記研磨、洗浄および検査ステーションに伝達/転送し、
    前記バッチID情報に従って、前記前処理された被加工物のバッチを研磨するための研磨処理手順を選択し、
    前記バッチID情報に従って、前記研磨された被加工物のバッチを洗浄するための洗浄手順を選択し、
    前記バッチID情報に従って、前記研磨および洗浄された被加工物のバッチをすすぎ、乾燥するためのすすぎ・乾燥手順を選択し、
    前記バッチID情報に従って、前記すすぎおよび乾燥された被加工物のバッチを検査し、
    前記検査された被加工物のバッチに関する合格−不合格およびSPCレポートを提供することを特徴とする方法。
  30. 除去率制御をしながら、マイクロ光学・フォトニクス素子のバッチ研磨処理をする方法であって、
    前記前処理ステーション上で研磨すべき被加工物の前記バッチを前処理し、
    前記前処理された被加工物のバッチを前記研磨ステーションに移動させ、
    前記前処理された被加工物のバッチの情報を前記研磨ステーションに転送し、
    前記バッチID情報に従って、前記前処理された被加工物のバッチを研磨するための研磨処理手順を選択し、前記材料除去率は、前記被加工物のバッチの下降速度制御によって制御されることを特徴とする方法。
  31. 研磨、洗浄および検査ステーションを含む研磨システム上で研磨材料を交換する方法であって、
    研磨材料を用いて研磨すべき被加工物のバッチを配置し、
    前記研磨材料上で前記被加工物のバッチを研磨し、
    前記被加工物のバッチの被加工物の一対の保持手段の直線状の前進速度を監視および制御し、
    前記被加工物のバッチの被加工物の一対の保持手段の直線状の前進速度の最適範囲を設定し、前記被加工物のバッチを保持する手段の直線状の前進速度のずれが、直線状の前進速度の所定の範囲を超えたら、前記研磨材料の交換を行うことを特徴とする方法。
  32. 前処理、研磨、洗浄および検査ステーションを含む研磨システム上での研磨およびSPCレポートを受ける、マイクロ光学・フォトニクス素子を含む被加工物のバッチを処理する方法であって、
    前記前処理ステーション上で研磨すべき被加工物の前記バッチを前処理し、
    前記研磨、洗浄および検査ステーション上で処理すべき前記前処理された被加工物のバッチを研磨し、
    前記洗浄ステーション上で前記研磨された被加工物のバッチを洗浄し、
    前記検査ステーション上で前記洗浄された被加工物のバッチを検査し、
    前記SPCレポートは、前記被加工物のバッチの検査結果に従って、オンライン上で準備されることを特徴とする方法。
  33. 着脱可能グリッパーキャリアおよびポータブルラッチングタレット上の複数のグリッパーを有する研磨前処理ステーション上でマイクロ光学・フォトニクス素子の被加工物のバッチを処理する方法であって、
    前記着脱可能グリッパーキャリアの前記複数のグリッパーのそれぞれのグリッパー内に前記被加工物をそれぞれ挿入し、
    前記着脱可能グリッパーキャリアおよび前記ポータブルラッチングタレット上に前記グリッパーをそれぞれ搭載し、
    前記被加工物のバッチと共に前記ポータブルラッチングタレットを、前記前処理ステーションに移動させ、
    前記被加工物のバッチを粗研磨し、
    前記粗研磨された被加工物のバッチをクロッキングし、1つの平面にそれぞれの研磨表面を配置するために所望の空間的方向付けを施し、
    前記粗研磨された被加工物のバッチを記述するバッチID情報を生成し、
    前記粗研磨されたバッチを記述するバッチID情報は、更なるバッチ処理工程にも使われ、
    前記1つの着脱可能グリッパーキャリアで異なる被加工物のための複数の前記グリッパーを使用することを特徴とする方法。
  34. 前記画像を検査および分析する工程をさらに備える、請求項33に記載の処理方法。
  35. 研磨角度を測定する工程をさらに備える、請求項33に記載の処理方法。
  36. 前記画像を測定し分析する工程をさらに備える、請求項33に記載の処理方法。
  37. 経験によるデータベースを適用し、研磨ディスク領域の全てを使用し、研磨速度をそれに応じて調節する工程をさらに備える、請求項33に記載の処理方法。
  38. 前記着脱可能グリッパーキャリアが、独立し、吊り下げられたグリッパーマウントを使用する、請求項33に記載の処理方法。
  39. 前記特定の発明によって、同一のグリッパーマウント部を用いてグリッパーが異なる形状の被加工物を保持することによって、着脱可能グリッパーキャリア構造の交換の回数が減少する、請求項33に記載の処理方法。
  40. 第一の粗研磨処理は固定状態の作業によって行われ、次の研磨工程は浮いた状態での作業によって行われる、請求項33に記載の処理方法。
  41. 前記全ての研磨表面の研磨のための前処理によって同一の平面となる、請求項33に記載の処理方法。
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