JP2005500258A - Gm1ガングリオシドを阻害することによる、鎮痛効力を増大し、そして、ニ峰作用性オピオイドアゴニストの有害な興奮性効果を減弱する方法。 - Google Patents
Gm1ガングリオシドを阻害することによる、鎮痛効力を増大し、そして、ニ峰作用性オピオイドアゴニストの有害な興奮性効果を減弱する方法。 Download PDFInfo
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Abstract
Description
【0001】
(発明の背景)
モルヒネおよび多くの他のオピオイドアゴニストは、侵害受容の(疼痛媒介の)ニューロン上の阻害性オピオイドレセプターの活性化により媒介される、鎮痛効果を有する(9)。従って、これらのオピオイドは、重篤な疼痛を軽減するために投与される。しかし、モルヒネおよび多くの他のオピオイドアゴニストはまた、侵害受容ニューロン上の興奮性オピオイドレセプターを活性化することが示されており、それによって、このオピオイドアゴニストの鎮痛効力を減少して、そして、抗痛覚脱失、過剰興奮性、痛覚過敏、身体的依存、心理的依存、耐性および他の有害(興奮性)効果の発生を生じる(9、10、12、14、15、48、51、52)。従って、これらのニ峰作用性オピオイドアゴニストの鎮痛(阻害)効果を増大して、そして、これらの投与に関連する有害(興奮性)効果をブロックまたは防止することを両方する方法を開発する、長期的必要性が存在する。本発明は、これらの必要性を満たす。
【0002】
先の特許は、超低用量の選択的興奮性オピオイドレセプターアンタゴニストとニ峰作用性オピオイドアゴニストとを同時投与することによって、ニ峰作用性のオピオイドアゴニストの鎮痛効力は増強され得、そして、耐性/依存性の傾向が減少され得ることを開示している(米国特許第5,472,943号;同第5,512,578号;同第5,580,876号;および同第5,767,125号)。興奮性オピオイドレセプターアンタゴニストは、侵害受容(疼痛)経路中のニューロン上の、阻害性オピオイドレセプターではなく、興奮性オピオイドレセプターに結合して、このレセプターを不活化する化合物である。選択的興奮性オピオイドレセプターアンタゴニストは、末梢神経系および中枢神経系の侵害受容経路中の、阻害性オピオイドレセプター機能ではなく、興奮性オピオイドレセプター機能を減弱させる。結果として、興奮性オピオイドレセプターの活性化に関連する症状(例えば、抗痛覚脱失、痛覚過敏、過剰興奮性、身体的依存および耐性の効果)はブロックされるが、ニ峰作用性のオピオイドアゴニストの鎮痛効果(これは、阻害性オピオイドレセプターにより媒介される)は、アンマスキングされ、これによって増大される(10、11、12、52)。
【0003】
先の特許はさらに、単独または低用量のメタドンと組合せた超低用量のナルトレキソン(例えば、米国特許第5,512,578号)および他の興奮性オピオイドレセプターアンタゴニスト単独(例えば、米国特許第5,580,876号および同第5,767,125号)が、急性解毒後のオピオイド嗜癖のための効率的な長期間の維持処置を提供し得、そして、薬物乱用の再発を予防し得ることを開示している。さらに、前臨床研究は、超低用量の選択的興奮性オピオイドレセプターアンタゴニストが、鎮痛効力を増大するため、および、内因性オピオイドペプチド(例えば、エンケファリン、ジノルフィンおよびエンドルフィン)(これらは、慢性疼痛患者において上昇する)の耐性/依存性傾向を減少させるために、慢性疼痛患者に単独で投与され得ることを、示唆している(10)。
【0004】
GM1は、ニューロン細胞膜の外面上に豊富に分布するモノシアロガングリオシドである(23、24、25、37、62)。GM1−ガングリオシドは、恐らく、オピオイドレセプター上のアロステリック調節部位に結合することによって、侵害受容ニューロンにおいて興奮性オピオイドレセプターを調節する役割を担う(11、50、53)。以前の研究(67、68)および先の特許(例えば、米国特許第5,321,012号;同第5,502,058号;同第5,556,838号;および同第5,654,281号)は、オピオイドが高用量の内因性GM1−ガングリオシドと同時投与される場合、オピオイドアゴニストの鎮痛能力が増大して、そして内因性オピオイドペプチドの耐性/依存性傾向が減少されることを示唆している。より最近の証明は、マウスにおいて、低用量の外因性GM1−ガングリオシド(0.1mg/kgの腹腔内(i.p.)注射)は、モルヒネの鎮痛効果を迅速に減弱することを実証した(13)。
【0005】
コレラ毒素は、細胞付着を引き起こす非毒性Bサブユニット(CTX−B)の非共有結合的に構築されたペンタマーおよび毒素産生のAサブユニット(CTX−A)からなる(39)。CTX−Bは、細胞表面上のGM1−ガングリオシドに選択的に結合して、CTX−Aの細胞膜への透過を促進する(23、27、43)。CTX−Aは、GsのADPリボシル化を選択的に触媒して(28、40)、関連するGTPaseの阻害を生じて(6)、アデニル酸シクラーゼ活性を増大して、そして、Gs結合レセプターのリガンド活性化の効率を減少する(5、6、38、41、55)。
【0006】
以前の研究は、CTX−Bを用いる背根神経節(DRG)ニューロンの前処置が、活動電位持続(APD)のオピオイド誘導化短縮ではなくて、APDのオピオイド誘導化延長を選択的にブロックすることを示しており(50)、これは、GM1−ガングリオシドが、DRGニューロン中のGs−連結興奮性オピオイドレセプター機能を調節し得ることを示唆する。培養中のDRGニューロンのさらなる研究は、慢性オピオイド処置が、ナノモル濃度のCTX−Bの投与と共に、オピオイド興奮性過感応性の発達(インビボでのオピオイド耐性および依存性に関連する細胞徴候)を防止することにより、マイクロモル濃度のオピオイドの阻害性APD短縮効果に対する耐性の発達を防止することを示している(51)。
【0007】
CTX−Aは、GsのADPリボシル化によってオピオイド興奮性効果をブロックすることが示されているが(49)、CTX−B遮断は、オピオイド興奮性レセプター機能のGM1−ガングリオシド調節との干渉に関すると思われる。特に、CTX−Bが選択的な高親和性(KD=10−10M)を伴いGM1ガングリオシドに結合することが公知である(23、24、25、37、62)。抗GM1抗体を用いたDRGニューロンの処置は、CTX−Bでも生じるように、オピオイド誘導化APD延長を選択的にブロックすることが示されている(50)。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
(発明の要旨)
本発明は、モルヒネ(ニ峰作用性オピオイドアゴニスト)の鎮痛効力が、モルヒネが、マウスにおいて、CTX−Bまたはオセルタミビル(oseltamivir)(侵害受容ニューロン中のオピオイドレセプター上の内因性GM1ガングリオシドの特定の機能を阻害する薬剤)と同時投与される場合、増加されるという驚くべき発見について叙述する。この発見は予想外であった。なぜならば、先行技術は、高用量の内因性GM1−ガングリオシドの投与が、オピオイドアゴニストの鎮痛効力を増加して、モルヒネ耐性および依存性を減弱させるということを示唆していたからである(67、68)。この発見に基づいて、本発明は、鎮痛量または副鎮痛量のニ峰作用性オピオイドアゴニストを、このニ峰作用性オピオイドアゴニストの鎮痛効力を増大させるのに有効な侵害受容ニューロンにおいてGM1−ガングリオシドを阻害する量の薬剤と組合せて、被験体に投与することによって、この被験体におけるニ峰作用性オピオイドアゴニストの鎮痛効力を増大する方法を提供する。
【0009】
本発明によって、被験体において慢性疼痛を処置するのに有効な量で、侵害受容ニューロン中のGM1−ガングリオシドを阻害する薬剤をこの被験体に投与することによって、この処置が必要な被験体において疼痛を処置する方法もまた、提供される。
【0010】
本発明はさらに、被験体において疼痛を処置するのに有効な量で、侵害受容ニューロン中のGM1−ガングリオシドを阻害する薬剤と組合せたニ峰作用性オピオイドアゴニストをこの被験体に投与することによって、この処置が必要な被験体において慢性疼痛を処置するための方法を提供する。
【0011】
さらに、本発明は、被験体において有害な興奮性効果を処置するのに有効な量で、侵害受容ニューロン中のGM1−ガングリオシドを阻害する薬剤を、この被験体に投与することによって、この処置が必要な被験体において、ニ峰作用性オピオイドアゴニストの投与に関連した有害な興奮性効果を処置するための方法を提供する。
【0012】
最後に、本発明は、薬学的に受容可能なキャリア、鎮痛量または副鎮痛量のニ峰作用性オピオイドアゴニストおよび組成物が投与される被験体において、ニ峰作用性オピオイドアゴニストの鎮痛効力を増大させるのに有効な侵害受容ニューロン中のGM1−ガングリオシドを阻害する量の薬剤を含む、薬学的組成物を提供する。
【0013】
本発明のさらなる目的は、以下の説明を考慮して理解される。
【0014】
(発明の詳細な説明)
本発明は、被験体中でニ峰作用性(興奮性/阻害性)オピオイドアゴニストの鎮痛効力を増大する方法を提供する。この被験体は、好ましくは、哺乳動物(例えば、ヒト、家畜、および市販の動物であり、雌ウシ、イヌ、マウス、サル、ブタおよびラットを含む)であり、そして、最も好ましくはヒトである。
【0015】
本明細書中で使用される場合、用語「オピオイド」は、神経系の特異的オピオイドレセプターに結合する天然化合物または合成化合物をいい、これは、これらのレセプターにて、アゴニスト効果(活性化)またはアンタゴニスト効果(不活化)を有する。オピオイド化合物の例としては、オピオイドアルカロイド(例えば、アゴニストモルヒネおよびアンタゴニストナロキソン)およびオピオイドペプチド(例えば、ジノルフィン、エンドルフィン、およびエンケファリン)が挙げられるが、これらに限定されない。用語「アヘン剤」は、アヘンまたは関連アナログ由来の薬物をいう。
【0016】
本明細書中でさらに使用される場合、「二峰作用性オピオイドアゴニスト」は、侵害受容ニューロン上の阻害性オピオイドレセプターおよび興奮性オピオイドレセプターの両方に結合して、活性化するオピオイドアゴニストである。「侵害受容ニューロン」または、侵害受容器は、皮膚を損傷するか、または、潜在的に損傷する刺激(例えば、高圧、高熱、および化学物質の燃焼)に応答し、これによって、疼痛を媒介するニューロンである。痛覚脱失または疼痛からの免荷は、末梢神経系および中枢神経系の侵害受容(疼痛)経路における、ニューロン上の阻害性オピオイドレセプターのオピオイドアゴニストによる活性化から生じ得る。有害な興奮性効果は、二峰作用性オピオイドアゴニストによる、これらの侵害受容経路におけるニューロン上の興奮性オピオイドレセプターの持続的活性化を生じる。これらの有害な興奮性効果の例としては、抗痛覚脱失、過剰興奮性、痛覚過敏、身体的依存、心理的依存および耐性ならびに便秘、悪心、呼吸低下、鎮静および嘔吐が挙げられるが、これらに限定されない。
【0017】
二峰作用性オピオイドアゴニストの鎮痛効力は、侵害受容ニューロンにおける阻害性オピオイドレセプターのアゴニスト活性化を増強することによって増大され、増大した鎮痛効果を生じる。さらに、ニ峰作用性オピオイドアゴニストの鎮痛効力は、侵害受容ニューロンにおける興奮性オピオイドレセプターのアゴニスト活性化を減少することにより増大され得る。これは、抗痛覚脱失、過剰興奮性、痛覚過敏、身体的依存、心理的依存、耐性、および、ニ峰作用性オピオイドアゴニストの投与に関連する他の有害な興奮性効果を減弱して、これによって、アゴニストの強力なオピオイド痛覚脱失をアンマスキングする。さらに、ニ峰作用性オピオイドアゴニストの鎮痛効力は、侵害受容ニューロンにおける阻害性オピオイドレセプターのアゴニスト活性化を増大する一方、同時に、侵害受容ニューロンにおける興奮性オピオイドレセプターのアゴニスト活性化の減少することによって増大され得る。
【0018】
本発明の方法において、ニ峰作用性オピオイドアゴニストの鎮痛効力は、ニ峰作用性オピオイドアゴニストの鎮痛効力を増大するのに有効な量で、侵害受容ニューロンにおいてGM1−ガングリオシドを阻害する薬剤と組合せて、鎮痛量または副鎮痛量のニ峰作用性オピオイドを被験体に投与することによって、この被験体中で増大される。侵害受容ニューロンにおいてGM1−ガングリオシドを阻害する量の薬剤と組合せて、鎮痛量または副鎮痛量のニ峰作用性オピオイドアゴニストを被験体に投与することで、ニ峰作用性オピオイドアゴニストの鎮痛効力を増大する一方、同時に、ニ峰作用性オピオイドアゴニストの投与に関連する、有害な興奮性効果を減弱することはまた本発明の範囲内である。このような有害な興奮性効果の例としては、抗痛覚脱失、過剰興奮性、痛覚過敏、身体的依存、心理的依存および耐性が挙げられるが、これらに限定されない。
【0019】
本明細書中で開示されるように、侵害受容ニューロンにおいてGM1−ガングリオシドを阻害する薬剤は、侵害受容ニューロン中の興奮性オピオイドレセプターのニ峰作用性オピオイドアゴニストの活性化の減少をもたらす。結果として、阻害性オピオイドレセプターのアゴニスト活性化は、同時にアンマスキングされる。従って、阻害性オピオイドレセプターのアンマスキング効果と合わせた、興奮性オピオイドレセプターの活性化における減少は、侵害受容ニューロンにおいてGM1−ガングリオシドを阻害する薬剤と同時投与される場合、ニ峰作用性オピオイドアゴニストの増加した鎮痛効力を生じる。従って、侵害受容ニューロンにおいてGM1−ガングリオシドを阻害する薬剤との同時投与がない場合に必要とされる用量よりも、かなり低い用量のニ峰作用性オピオイドアゴニストが、被験体に投与され得る。これは、オピオイドアゴニストの投与に関連するさらなる有害効果(例えば、便秘、悪心、呼吸低下、鎮静および嘔吐)の減少または減弱についてさらなる利点を有する(3、15)。
【0020】
本発明の方法は、鎮痛量または副鎮痛量のニ峰作用性オピオイドアゴニストを、侵害受容ニューロン中でGM1−ガングリオシドを阻害する量の薬剤と組合せて被験体に投与する工程を包含する。本発明における使用に適切なニ峰作用性オピオイドアゴニストは、組織培養物中の背根神経節(DRG)ニューロンの活動電位持続(APD)に対するオピオイド効果を測定することによって、同定され得る。これに関して、ニ峰作用性オピオイドアゴニストは、ピコモル(pM)〜ナノモル(nM)の濃度での、DRGニューロンのAPDの延長(例えば、興奮性効果)、および、μM濃度でのDRGニューロンのAPDの短縮(例えば、阻害性効果)を誘発する化合物である。適切なニ峰作用性オピオイドアゴニストとしては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:ブプレノルフィン、ブトルファノール、コデイン、ジノルフィン、エンドルフィン、エンケファリン、フェンタニルアナログ、ヒドロモルホン、レボルファノール、メペリジン、メタドン、モルヒネ、ナルブフェン、オキシコドン、オキシモルホン、ペンタゾシン、プロポキシフェン、トラマドールならびに他の同様の作用性オピオイドアルカロイドおよびオピオイドペプチド。疼痛を処置する目的では、モルヒネ、コデイン、およびトラマドールが好ましい。
【0021】
ガングリオシドは、ガラクトース含有複合糖脂質(スフィンゴ脂質)の1つのクラスである。これらは、神経系において、特に、灰白質において最高濃度で見出され、ここで、このガングリオシドは、脂質の6%を構成する。ガングリオシドにおいて、少なくとも1つの酸性糖を含むオリゴ糖は、セラミドに付着される。この酸性糖は、N−アセチルノイラミネートまたはN−グリコリルノイラミネートであり、これらの両方は、シアリン酸である。GM1は、ニューロン細胞膜の外面上に豊富に分布するモノシアロガングリオシドである(23、24、25、37、62)。これは、N−アセチルガラクトサミンおよびガラクトース基の添加によって、形成される。サイクリックAMP(cAMP)レベルは、GM1−ガングリオシドおよびタンパク質キナーゼのニューロンレベルを刺激することが知られている。経路が、グリコシルトランスフェラーゼ(これは、GM1−ガングリオシドを作る酵素である)を刺激するために必要とされる(11,62)。
【0022】
本明細書中で使用される場合、「侵害受容ニューロンにおいてGM1−ガングリオシドを阻害する」薬剤は、被験体における侵害受容ニューロン中のGM1−ガングリオシドの機能(特に、侵害受容ニューロンにおける興奮性オピオイドレセプターの調節(modulatoin)または調節(regulation)を無効、破壊もしくは不活化することによって、または、被験体における侵害受容ニューロン中のGM1−ガングリオシドのレベルまたは量を減少することによって、被験体における侵害受容ニューロン中のGM1−ガングリオシド活性を減少させる薬剤をいう。被験体の侵害受容ニューロン中のGM1−ガングリオシドは、GM1−ガングリオシドを直接標的化することにより阻害され得る。被験体の侵害受容ニューロン中のGM1−ガングリオシドはまた、この被験体における侵害受容ニューロン中のGM1−ガングリオシドの機能またはレベルを調節(regulate)または調節(modulate)する酵素または他の内因性分子を標的化することによって、間接的に阻害し得る。例えば、侵害受容ニューロンにおいてGM1−ガングリオシドを阻害する薬剤は、GM1−ガングリオシドと反応性である薬剤であり得る。本明細書中で使用される場合、「反応性」は、GM1−ガングリオシドへの結合のための親和性を有するか、または、GM1−ガングリオシドに対して指向される薬剤を意味する。このような薬剤は、興奮性オピオイドレセプター上のアロステリックGM1−結合部位をブロックし得る。侵害受容ニューロンにおけるGM1−ガングリオシドを阻害する薬剤はまた、被験体における侵害受容ニューロン中のGM1−ガングリオシドのレベルを調節する薬剤であり得る。
【0023】
他に示されない限り、本明細書中で使用される場合、「薬剤(agent)」は、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、核酸(DNAまたはRNAを含む)、抗体、Fabフラグメント、F(ab’)2フラグメント、分子、化合物、抗生物質、薬物、およびこれらの任意の組み合わせを含む。Fabフラグメントは、抗体の一価の抗原結合フラグメントであり、これは、パパイン消化によって産生される。F(ab’)2フラグメントは、抗体の二価の抗原結合フラグメントであり、これは、ペプシン消化によって産生される。侵害受容ニューロン中のGM1−ガングリオシドを阻害する薬剤の例としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:CTX−B、抗−GM1−ガングリオシド抗体、ノイラミニダーゼインヒビター(例えば、Na2SO4、オセルタミビル(oseltamivir)、およびザナミビル(zanamivir))、CTX−Bに対してアンチセンスなオリゴヌクレオチド、cAMPを低減または阻害する薬剤、およびグリコシルトランスフェラーゼ(GM1−ガングリオシドを作製する酵素)を低減または阻害する薬剤。好ましくは、侵害受容ニューロン中のGM1−ガングリオシドを阻害する薬剤は、CTX−Bまたはオセルタミビルである。
【0024】
コレラ毒素は、細胞の接着を担う非毒性Bサブユニット(CTX−B)、および毒素性のAサブユニット(CTX−A)の非共有結合的に構築された5量体からなる(39)。CTX−Bは、細胞表面上のGM1−ガングリオシドに対して選択的な高親和性(KD=10−10M)で結合し、CTX−Aの細胞膜への貫通を容易にする(27、23、43)。本明細書中で使用される場合、「CTX−B」は、CTX−Bならびにそのアナログおよび誘導体をいい、例えば、CTX−Bの生物学的活性を有するCTX−Bの天然または合成の機能的改変体、およびCTX−Bの生物学的活性を有する、CTX−Bのフラグメントを含む。さらに、本明細書中で使用される場合、用語「CTX−Bの生物学的活性」は、本明細書中で記載されるように、タンパク質、ペプチド、またはGM1−ガングリオシドに選択的に結合する能力を示す他の分子の活性をいう。CTX−Bは、1日あたり0.01〜1mg/kgの範囲の用量で被験体に投与され得る。
【0025】
CTX−Bならびにそのアナログおよび誘導体は、合成または組換えによって産生され得る。例えば、CTX−Bならびにそのアナログおよび誘導体は、CTX−A遺伝子を欠くVibrio choleraeの組換え株から産生され得そして精製され得る(45)。CTX−B(「コレラ原(choleragenoid)」)および組換えCTX−Bは、経口投与のために錠剤形態で調製され、そしてList Biological Labs,Inc.(Campbell,CA)から得られ得る。さらに、組換えCTX−B(1mg)は、SBL Vaccine(Stockholm,Sweden)製の経口コレラワクチン(「Dukoral」)中で使用される(44)。経鼻投与のためのスプレー形態のCTX−Bもまた、ワクチンとしての使用のために開発中である(Maxim Pharmaceuticals,San Diego,CA)。
【0026】
さらに、CTX−BおよびCTX−Bアナログは、天然のVibrio choleraeの培養物から単離され得、そして精製され得る。CTX−Bタンパク質は、当該分野で公知の標準的な方法を使用してVibrio choleraeから単離され得、そして精製され得る。この方法としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:抽出(例えば、タンパク質を可溶化する界面活性剤を用いて)、カラムによるアフィニティー精製、クロマトグラフィー(例えば、FTLCおよびHPLC)、免疫沈降(CTX−Bに対する抗体を用いて)、および沈降(例えば、イソプロパノールおよびTrizolのような試薬)。CTX−Bタンパク質の単離および精製に続いて、電気泳動(例えば、SDS−ポリアクリルアミドゲルによる)がなされ得る。CTX−Bは、好ましくは、CTX−A遺伝子を欠くVibrio choleraeの組換え株を使用して、組換えにより産生される。
【0027】
ノイラミニダーゼは、感染した細胞からのインフルエンザウイルスの放出を促進し、気道内へのウイルスの拡散を容易にする。この酵素のいくつかの強力かつ特異的なインヒビターが開発されており、2つ(オセルタミビル、およびザナミビル)が、ヒトへの使用を承認されている。オセタミビルおよびザナミビルは、インフルエンザAウイルスおよびインフルエンザBウイルスの両方の複製を阻害する。いずれかの薬物による初期の処置は、インフルエンザ症状および関連の合併症の重症度および持続時間を減少させる(66)。
【0028】
ノイラミニダーゼはまた、GM1−ガングリオシドの細胞レベルを調節する。例えば、外因性ノイラミノダーゼの投与は、ガングリオテトラオース(gangliotetraose)シリーズのポリシアル化リガンドからのノイラミン酸(シアル酸)の酵素的除去によって、DRG細胞の細胞膜および他のニューロン中のGM1−ガングリオシドの濃度を顕著に上昇させることが示されている(11、53、59、60、64、65、69)。ニューロン中でのポリシアル化ガングリオシドのGM1−ガングリオシドへの酵素的転換に対するノイラミニダーゼのこの特異的な影響は、感染細胞からのインフルエンザウイルスの放出の促進および気道内へのウイルスの拡散の促進におけるノイラミニダーゼの役割とは非常に異なる。
【0029】
前述を考慮すると、侵害受容ニューロン中のGM1−ガングリオシドを阻害する薬剤は、ノイラミニダーゼインヒビターであり得る。本発明において有用であり得るノイラミニダーゼインヒビターの例としては、Na2SO4、オセルタミビル、ザナミビル、および他の類似の作用をするノイラミニダーゼインヒビターが挙げられるが、これらに限定されない。
【0030】
近年の研究は、無機硫酸塩(例えば、Na2SO4およびMgSO4)がヒトマクロファージ細胞の培養物中の哺乳動物ノイラミニダーゼ活性における強力な阻害効果を示している(70)。従って、これらの無機硫酸塩は、本発明において使用するための、侵害受容ニューロン中のGM1−ガングリオシドを阻害する適切な薬剤であり得る。例えば、Na2SO4は、疼痛についての処置が必要である被験体に1日あたり10mg/kgのオーダーの量で投与され得る。
【0031】
オセルタミビルは、活性形態であるオセルタミビルカルボキシレートに転換するためにエステル加水分解を必要とするエチルエステルプロドラッグである。提唱されるオセルタミビルの作用機構は、インフルエンザウイルスノイラミニダーゼの阻害を介し、ウイルス粒子集合の変化および放出の可能性を伴う。オセルタミビルならびにそのアナログおよび誘導体は、市販されている。オセルタミビルは、「Tamiflu」という商品名で経口投与のために錠剤形態で調製され、Roche Laboratories(Nutley,NJ)から入手され得る。Tamifluは、、経口使用のためにオセルタミビルを、オセルタミビルリン酸塩の形態で75mg含有するカプセルとして入手可能である。Tamifluは、1日に一度または二度、0.1〜1mg/kgの範囲の用量で被験体に投与され得る。
【0032】
インフルエンザウイルスのノイラミニダーゼ阻害を生じる用量のオセルタミビル(66)はまた、侵害受容ニューロンにおけるGM1−ガングリオシドレベルを減少させる際に効果があり得る。GM1−ガングリオシドのレベルにおけるこのような減少は、GM1によって調節されるGs共役興奮性オピオイドレセプター媒介性痛覚過敏機能の効力の減弱をもたらし、それによってGi/Go共役阻害性オピオイドレセプター媒介性痛覚脱失をアンマスキングし、そして寛容および身体的依存の発展を減少させる。
【0033】
本発明の別の実施形態において、GM1−ガングリオシドと反応する薬剤は、GM1−ガングリオシドに対する抗体である。本発明の抗体は、ポリクローナルまたはモノクローナルであり得、そして当業者に周知の技術によって産生され得る。例えば、ポリクローナル抗体は、マウス、ウサギ、またはラットを、精製されたGM1−ガングリオシドで免疫することによって産生され得る。次いで、モノクローナル抗体は、この免疫したマウスから脾臓を取りだし、その脾臓細胞を骨髄腫細胞と融合させ、ハイブリドーマ(これは、培地中で増殖した場合、モノクローナル抗体を産生する)を形成することによって産生され得る。
【0034】
侵害受容ニューロン中のGM1−ガングリオシドを阻害する他の薬剤は、結合アッセイを含む、当該分野で公知の標準的なインビトロアッセイを使用して同定され得る。例えば、候補薬剤は、細胞培養物中で侵害受容ニューロンと接触され、そしてその細胞中のGM1−ガングリオシド発現レベルは、ウエスタンブロット分析のような標準的な技術を使用して決定され得る。同様に、候補薬剤は、細胞培養物中の侵害受容ニューロンと接触され得、次いで、CTX−B/ペルオキシダーゼアッセイ(62)を使用して細胞中のGM1−ガングリオシド結合活性のレベルが決定され得る。侵害受容ニューロン中のGM1−ガングリオシドの発現レベルまたは結合活性のレベルが候補の存在下で減少する場合、その候補は、侵害受容ニューロン中のGM1−ガングリオシドを阻害する有用な薬剤であり得ると結論され得る。
【0035】
一旦侵害受容ニューロン中のGM1−ガングリオシドを阻害する薬剤が同定されると、本発明における使用のためのこれらの適切さは、米国特許第5,472,943号に記載されるように、組織培養中の後根神経節(DRG)ニューロンの活動電位持続時間(APD)に対するこれらの影響を測定することによって確認され得る。特に、本発明の侵害受容ニューロン中のGM1−ガングリオシドを阻害する薬剤は、DRGニューロン中の低濃度のモルヒネおよび他の二峰作用性オピオイドアゴニストによって誘導されるDRGニューロンのAPDの延長(興奮性オピオイドレセプター媒介効果)を選択的にブロックするが、二峰作用性オピオイドレセプターアゴニストによって誘発されるDRGニューロンのAPDの短縮(阻害性オピオイドレセプター媒介効果)はブロックしない化合物であり得る。あるいは、本発明の侵害受容ニューロン中でGM1−ガングリオシドを阻害する薬剤は、低濃度(μg/kg)のモルヒネおよび他の二峰作用性オピオイドアゴニストによってマウス中で誘導される急性温熱性痛覚過敏(興奮性オピオイドレセプター媒介性効果)を選択的にブロックし、それによって強力なオピオイド痛覚脱失(15)をアンマスキングする化合物であり得る。
【0036】
本発明の方法において、鎮痛量または準鎮痛量(subanalgesic amount)の二峰作用性オピオイドアゴニストが、侵害受容ニューロン中のGM1−ガングリオシドを阻害する薬剤と組み合わせて被験体に投与される。本明細書中で使用される場合、「鎮痛」量は、二峰作用性オピオイドアゴニストが単独で投与された被験体において痛覚脱失(痛みからの開放)を引き起こす、二峰作用性オピオイドアゴニストの量であり、痛覚脱失を引き起こすために典型的に投与される標準的なアゴニスト用量(例えば、mg用量)を含む。「準鎮痛」量は、被験体に単独で投与された場合、その被験体において痛覚脱失を引き起こさないが、侵害受容ニューロン中のGM1−ガングリオシドを阻害する薬剤と組み合わせて使用された場合に痛覚脱失を生じる二峰作用性オピオイドアゴニストの量である。
【0037】
阻害性オピオイドレセプター媒介機能は、二峰作用性オピオイドアゴニストによって活性化され、侵害受容ニューロン中のGM1−ガングリオシドを阻害する薬剤の投与によって減弱されない。結果として、侵害受容ニューロン中のGM1−ガングリオシドを阻害する薬剤での処置は、二峰作用性オピオイドアゴニストの痛覚脱失効力を増強し、そして二峰作用性オピオイドアゴニストの投与と関連する有害な興奮性作用(例えば、抗痛覚脱失性、過剰興奮性、痛覚脱失、身体的依存性、心理学的依存性、および耐性、ならびに便秘、吐き気、呼吸抑制、鎮静作用、および嘔吐)を低減または減弱する。
【0038】
二峰作用性オピオイドアゴニストと組み合わせて投与される場合、侵害受容ニューロン中のGM1−ガングリオシドを阻害する薬剤は、二峰作用性オピオイドアゴニストの痛覚脱失効果を増大させるのに有効な量で投与され得る。本明細書中で使用される場合、用語「二峰作用性オピオイドアゴニストの痛覚脱失効力を増大させるのに有効」とは、二峰作用性オピオイドアゴニストが侵害受容ニューロンにおける興奮性オピオイドレセプター機能を選択的にブロックする場合、抗痛覚脱失性、痛覚脱失、過剰興奮性、身体的依存、耐性および他の有害な影響のような過剰な興奮性オピオイドレセプター媒介機能を不活性化または減弱するのに有効な量である。従って、侵害受容ニューロン中のGM1−ガングリオシドを阻害する薬剤は、阻害性オピオイドレセプターにおいてアゴニストの影響をブロックすることなく、興奮性オピオイドレセプターに対する二峰作用性オピオイドアゴニストの影響をブロックする用量で投与される。この量は、当業者によって容易に決定される(10、14、15、52)。
【0039】
本明細書中で記載されるように、本発明における使用のためのオピオイドアゴニストの量に対する本発明における使用のためのGM1−ガングリオシドインヒビターの量は、本明細書中で開示される増強された痛覚脱失効果を達成するために特に重要というわけではない。なぜならば、必要以上に高い用量は、阻害性痛覚脱失効果を減弱しないからである。二峰作用性オピオイドアゴニストおよび侵害受容ニューロン中でGM1−ガングリオシドを阻害する薬剤の、投与されるべき最適な量はもちろん、使用されるアゴニストおよび薬剤、選択されたキャリア、投与経路、ならびに処置される被験体の身体的特性および薬物動態学的特性を含む、各場合の特定の因子に依存する。上記のように、GM1−ガングリオシドインヒビターの用量の例としては、10mg/kgのNa2SO4、0.01〜1mg/kgのCTX−B、および0.1〜1mg/kgのオセルタミビルが挙げられるが、これらに限定されない。オセルタミビルは、1日に一度または二度、0.1〜1mg/kgの範囲の用量で被験体に投与され得る。
【0040】
本発明の方法において、侵害受容ニューロン中でGM1−ガングリオシドを阻害する薬剤と「組み合わせた」二峰作用性オピオイドアゴニストの投与は、アゴニストおよび薬剤の共投与のことをいう。共投与は、同時的に、連続してまたは代替的に行なわれ得る。同時共投与とは、二峰作用性オピオイドアゴニストと侵害受容ニューロン中のGM1−ガングリオシドを阻害する薬剤の両方を本質的に同時に投与することをいう。同時発生的同時投与のために、二峰作用性オピオイドアゴニストおよび侵害受容ニューロン中のGM1−ガングリオシドを阻害する薬剤による処置の過程は、同時に実行され得る。例えば、ある量の二峰作用性オピオイドアゴニストおよび侵害受容ニューロン中のGM1−ガングリオシドを阻害するある量の薬剤の両方を含む単一の組み合わされた処方物は、互いに物理結合し、被験体に投与され得る。単一の組み合わされた処方物は、ある量の二峰作用性オピオイドアゴニストおよび侵害受容ニューロン中でGM1−ガングリオシドを阻害するある量の薬剤の両方を含む、被験体に経口的に投与され得る経口処方物からなり得るか、またはある量の二峰作用性オピオイドアゴニストおよび侵害受容ニューロン中のGM1−ガングリオシドを阻害するある量の薬剤の両方を含む、被験体に注射され得る液体混合物であり得る。
【0041】
ある量の二峰作用性オピオイドアゴニストおよび侵害受容ニューロン中のGM1−ガングリオシドを阻害するある量の薬剤が、被験体に同時に、別々の処方物中で投与され得ることもまた本発明の範囲内である。例えば、ある量のアゴニストは、バイアルまたは単位用量にパッケージングされ得、そしてある量のこの薬剤が、別のバイアルまたは単位用量にパッケージングされ得、次いで別個のバイアルまたは単位用量の内容物は、被験体に同時に共投与(co−administer)され得る。従って、本発明の方法は、互いに物理的に関連した状態での、二峰作用性オピオイドアゴニストおよび侵害受容ニューロン中のGM1−ガングリオシドを阻害する薬剤の同時の共投与に制限されない。
【0042】
本発明の方法では、二峰作用性オピオイドアゴニストおよび侵害受容ニューロン中のGM1−ガングリオシドを阻害する薬剤はまた、組合せの最大の効力が得られるように、一定の短い時間(例えば、数分間または数時間)にわたって隔てられた別個の個々の処方物中で被験体に共投与され得る。このアゴニストおよびこの薬剤の投与は、持続時間が、短い迅速な投与から、連続灌流までの範囲にわたり得る。短い期間にわたって隔てられる場合、二峰作用性オピオイドアゴニストおよび侵害受容ニューロン中のGM1−ガングリオシドを阻害する薬剤の共投与は、連続的または代替的であり得る。連続的共投与に関して、化合物の一方(すなわち、このアゴニストまたはこの薬剤のいずれか)が別個に投与され、続いて、他方が、数分間または数時間の時間内に投与される。
【0043】
本発明の方法に従って、(別個の個々の処方物中または単一の組合せ処方物中のいずれかの)二峰作用性オピオイドアゴニストおよび侵害受容ニューロン中のGM1−ガングリオシドを阻害する薬剤は、公知の手順によって、ヒトまたは動物の被験体に投与され得る。公知の手順としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:経口投与、非経口投与(例えば、硬膜外投与、筋膜上投与、嚢内投与、皮内投与、真皮内投与、筋肉内投与、眼窩内投与、腹腔内投与(特に、限局的局所治療の場合)、胸骨内投与、脈管内投与、静脈内投与、実質投与、および皮下投与)、鼻腔内投与、舌下投与、経皮投与、および浸透圧ポンプによる投与。好ましくは、本発明のGM1−ガングリオシドインヒビターは、鼻腔内または経口的に投与される。
【0044】
経口投与については、二峰作用性オピオイドアゴニストおよび侵害受容ニューロン中のGM1−ガングリオシドを阻害する薬剤の(個々かまたは組み合わせたかのいずれかの)処方物は、固体または液体の調製物(例えば、カプセル剤、錠剤、散剤、顆粒剤、分散剤、液剤および懸濁剤)中に存在し得る。このような調製物は、当該分野で周知であり、本明細書中に列挙されていない他の経口投薬量形態も同様に周知である。処方物は、従来の添加剤(例えば、ラクトース、マンニトール、コーンスターチ、または馬鈴薯デンプン)を有し得る。処方物はまた、バインダー(例えば、結晶性セルロース、セルロース誘導体、アカシア、コーンスターチ、またはゼラチン)を伴って提示され得る。さらに、処方物は、崩壊剤(例えば、コーンスターチ、馬鈴薯デンプン、またはカルボキシメチルセルロースナトリウム)を伴って提示され得る。この処方物はまた、無水二塩基性リン酸カルシウムまたはグリコール酸ナトリウムデンプンを伴って提示され得る。最後に、この処方物は、滑沢剤(例えば、タルクまたはステアリン酸マグネシウム)を伴って提示され得る。
【0045】
非経口投与について、二峰作用性オピオイドアゴニストおよび侵害受容ニューロン中のGM1−ガングリオシドを阻害する薬剤の(個々かまたは組み合わせたかのいずれかの)処方物は、好ましくは被験体の血液と等張性である、無菌水溶液を用いて組み合わされ得る。このような処方物は、固体の活性成分を、生理学的に適合性の物質(例えば、塩化ナトリウム、グリシンなど)を含みかつ生理学的条件と適合性の緩衝化されたpHを有する水に溶解して水溶液を生成し、次いでこの溶液を滅菌にすることによって調製され得る。この処方物は、単位用量の容器または複数用量の容器(例えば、シールされたアンプルまたはバイアル)中に提示され得る。この処方物は、任意の形態の注射(硬膜外、筋膜上、嚢内、皮内、真皮内、筋肉内、眼窩内、腹腔内(特に、限局的局所治療の場合)、胸骨内、脈管内、静脈内、実質または皮下を含むがこれらに限定されない)によって、送達され得る。
【0046】
鼻腔内投与のために、二峰作用性オピオイドアゴニストおよび侵害受容ニューロン中のGM1−ガングリオシドを阻害する薬剤の、(個々かまたは組み合わせたかのいずれかの)エアゾール処方物、鼻腔内霧処方物、または鼻腔内スプレー処方物は、鼻腔内スプレーの調製について当該分野で公知の標準的手順に従って調製され得る。さらに、鼻腔内投与のためのスプレーの形態のCTX−Bは、Maxim Pharmaceuticals(San Diego,CA)から入手され得る。
【0047】
経皮投与のために、二峰作用性オピオイドアゴニストおよび侵害受容ニューロン中のGM1−ガングリオシドを阻害する薬剤の(個々かまたは組み合わせたかのいずれかの)処方物は、このアゴニストおよびこの薬剤に対する皮膚の透過性を増大させ、かつこのアゴニストおよびこの薬剤が皮膚を貫通して血流に入るのを可能にする、皮膚透過エンハンサー(例えば、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、イソプロパノール、エタノール、オレイン酸、N−メチルピロリドンなど)と組み合わされ得る。このエンハンサーならびにこのアゴニストおよび/またはこの薬剤の組成物はまた、ポリマー物質(例えば、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチレン/ビニルアセテート、ポリビニルピロリドンなど)とさらに組み合わされて、溶媒(例えば、塩化メチレン)に溶解されてエバポレートされて所望の粘度にされ得、次いで裏当て材料に塗布されてパッチを提供し得る、ゲル形態の組成物を提供し得る。このアゴニストおよびこの薬剤は、被験体のうちの、疼痛が局在している部位またはその部位の付近に、経皮的に投与され得る。あるいは、このアゴニストおよびこの薬剤は、全身投与を達成するために、罹患した領域以外の部位で、経皮的に投与され得る。
【0048】
二峰作用性オピオイドアゴニストおよび侵害受容ニューロン中のGM1−ガングリオシドを阻害する薬剤の(個々かまたは組み合わせたかのいずれかの)処方物はまた、浸透圧ミニポンプまたは他の持続放出デバイスから放出または送達され得る。基本的浸透圧ミニポンプからの放出速度は、放出オリフィス中に配置された、微細な孔のある、迅速応答ゲルを用いて調節され得る。浸透圧ミニポンプは、このアゴニストおよびこの薬剤の放出を制御するためまたはこれらの送達を標的化するために有用である。
【0049】
本発明の方法に従って、二峰作用性オピオイドアゴニストまたは侵害受容ニューロン中のGM1−ガングリオシドを阻害する薬剤がタンパク質である場合、このアゴニストタンパク質またはこの薬剤タンパク質は、このアゴニストタンパク質もしくはこの薬剤タンパク質自体を被験体に導入することによって、またはこのアゴニストもしくは薬剤をコードする核酸をこのアゴニストタンパク質もしくはこの薬剤タンパク質の発現を可能にする様式で被験体に導入することによって、被験体に投与され得る。本発明のアゴニストおよび薬剤は、薬物の導入のために用いられる公知の技術(例えば、注射および灌流を含む)によって、被験体に導入され得る。疼痛が、被験体の身体の特定の部分に対して限局的である場合、このアゴニストまたはこの薬剤を、注射または何らかの他の手段によって(例えば、このアゴニストまたは薬剤を血液または別の体液中に導入することによって)その領域に直接的に導入することが所望され得る。
【0050】
アゴニストおよび薬剤の非侵襲的導入について、微小カプセル化調製物(例えば、リポソーム)もまた用いられ得る。リポソーム小胞は、当該分野で公知の種々の方法によって調製され得、そしてリポソーム組成物は、当業者に公知の、リポソーム調製についての種々の従来技術のうちのいずれか1つを用いて調製され得る。このような方法および技術の例としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:キレート透析、(凍結−融解を用いるかまたは用いない)排出、フレンチプレス、ホモジナイゼーション、微小乳化、逆相エバポレーション、単純な凍結−融解、溶媒透析、溶媒注入、溶媒蒸発、音波破砕、および自然形成。リポソームの調製は、溶液(例えば、生理食塩水水溶液、リン酸緩衝水溶液または滅菌水)中で実施され得る。リポソーム組成物はまた、振盪またはボルテックスを含む種々のプロセスによって調製され得る。このアゴニストまたは薬剤は、その細胞内ドメインがリポソームの外側に広がり、かつその細胞外ドメインがリポソームの内側に広がるように、リポソームの層に組み込まれ得る。二峰作用性オピオイドアゴニストまたは侵害受容ニューロン中のGM1−ガングリオシドを阻害する薬剤のリポソーム送達が、血液脳関門を通ったこのアゴニストまたはこの薬剤の通過を促進することが予想される(32)。
【0051】
二峰作用性オピオイドアゴニストまたは侵害受容ニューロン中のGM1−ガングリオシドを阻害する薬剤をコードする核酸、ならびにGM1−ガングリオシドの任意のアンチセンスオリゴヌクレオチドもしくは他のヌクレオチドインヒビターは、以下を含むがこれらに限定されない、当該分野で公知の従来の手順を用いて、被験体に導入され得る:エレクトロポレーション、DEAEデキストラントランスフェクション、リン酸カルシウムトランスフェクション、リポフェクション(lipofection)、モノカチオン性リポソーム融合、ポリカチオン性リポソーム融合、プロトプラスト融合、インビボでの電場の作製、DNAでコーティングしたマイクロプロジェクタイルボンバードメント、組換え複製欠損ウイルスを用いた注射、相同組換え、インビボでの遺伝子治療、エキソビボでの遺伝子治療、ウイルスベクターおよび裸のDNAの移入、またはこれらの任意の組合せ。遺伝子治療に適切な組換えウイルスベクターとしては、ウイルス(例えば、レトロウイルス、HSV、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、セムリキ森林ウイルス、サイトメガロウイルス、およびワクシニアウイルス)のゲノムに由来するベクターが挙げられるがこれらに限定されない。
【0052】
二峰作用性オピオイドアゴニストおよび侵害受容ニューロン中のGM1−ガングリオシドを阻害する薬剤(別個の個々の処方物中か、または単一の組み合わせた処方物のいずれか)の処方物が、薬学的に受容可能なキャリアとさらに関連し得、それによって、薬学的組成物を構成し得ることもまた本発明の範囲内である。従って、本発明は、二峰作用性オピオイドアゴニスト、侵害受容ニューロン中のGM1−ガングリオシドを阻害する薬剤、および薬学的に受容可能なキャリアを含む薬学的組成物を提供する。薬学的に受容可能なキャリアは、組成物の他の成分と適合性であって、かつそのレシピエントにとって有害ではないという意味で「受容可能」でなければならない。受容可能な薬学的キャリアの例としては、とりわけ、カルボキシメチルセルロース、結晶性セルロース、グリセリン、アラビアゴム、ラクトース、ステアリン酸マグネシウム、メチルセルロース、粉末、生理食塩水、アルギン酸ナトリウム、スクロース、デンプン、タルク、および水が挙げられる。二峰作用性オピオイドアゴニストおよび薬学的に受容可能なキャリアを含む薬学的組成物、ならびに侵害受容ニューロン中のGM1−ガングリオシドを阻害する薬剤および薬学的に受容可能なキャリアを含む薬学的組成物を提供することもまた本発明の範囲内である。
【0053】
本発明の薬学的組成物の処方物は、単位投薬量で便利に提示され得る。この処方物はまた、製薬の分野で周知の方法によって調製され得る。例えば、活性な化合物は、キャリアまたは希釈剤と、懸濁液または溶液として関連させられ得る。必要に応じて、1以上の補助成分(例えば、緩衝剤、矯味矯臭剤、界面活性剤など)もまた添加され得る。キャリアの選択は、投与経路に依存する。薬学的組成物は、本発明のアゴニストおよび薬剤(すなわち、別個の個々の処方物中、または単一の組み合わせた処方物中のいずれかの、二峰作用性オピオイドアゴニスト、侵害受容ニューロン中のGM1−ガングリオシドを阻害する薬剤、ならびにそれらのアナログおよび誘導体)を被験体に投与して疼痛を処置するために有用であり得る。
【0054】
本発明の組成物では、二峰作用性オピオイドアゴニストは、上記のアゴニストのうちのいずれかであり得る。好ましくは、このアゴニストは、モルヒネである。さらに、本発明の組成物では、侵害受容ニューロン中のGM1−ガングリオシドを阻害する薬剤は、上記の薬剤のうちのいずれかであり得る。好ましくは、この薬剤は、CTX−Bまたはオセルタミビル(oseltamivir)である。本発明の組成物では、二峰作用性オピオイドアゴニストは、上記で規定されたとおりの鎮痛量で、または上記で規定されたとおりの準鎮痛量で提供される。侵害受容ニューロン中のGM1−ガングリオシドを阻害する薬剤は、上記で規定したとおり、被験体中での二峰作用性オピオイドアゴニストの鎮痛効力を増大させるに有効な量で提供される。これらの量は、当業者によって、または本明細書中に記載の方法に従って、容易に決定され得る。
【0055】
本発明はさらに、その処置を必要とする被験体における疼痛を処置する方法を提供する。疼痛は、複雑な自覚的感覚であり、現実または潜在的な組織損傷およびそれに対する感情の応答を反映する(3)。疼痛は、急性(数時間または数日間続く)または慢性(1ヶ月よりも長く持続する)、体細胞原性(somatogenic)または精神性として広く分類され得る。体細胞原性または器質性の疼痛は、生理的機構の点で説明され得る。精神性の疼痛は、器官性の病理(organic pathology)を用いずに、疼痛および障害の程度を説明するのに十分に生じ、そして、主に心理的問題に関連すると考えられている(3)。
【0056】
体細胞原性の疼痛は、侵害受容性または神経障害性であり得る(3)。侵害受容性の疼痛は、体性または内蔵性の疼痛に敏感な神経線維の継続する活性化から生じる。体性神経が罹患すると、疼痛は、代表的に、うずく疼痛(aching)または苦痛(pressure)として感じられる。神経障害性の疼痛は、神経系における機能障害から生じる。これは、末梢神経系、中枢神経系、または両方における、迷走性の体性感覚プロセスによって持続されると考えられている。侵害受容性の疼痛は、慢性的な関節または骨の損傷に関する疼痛の症候群(例えば、関節炎、癌、血友病、および鎌状赤血球症)において支配し得る。一般的な疼痛の分類としては、急性の手術後の疼痛、癌の疼痛、頭痛、神経障害性の疼痛(例えば、複雑で局地的な症候群)、および精神性の疼痛の症候群が挙げられる(3)。本発明の方法において、疼痛は、上記に記載されるもののいずれかであり得、急性および慢性的疼痛、侵害受容性の疼痛および神経障害性の疼痛を含む。好ましくは、この疼痛は、侵害受容性の疼痛である。
【0057】
本発明の方法は、侵害受容性ニューロンにおいて、GM1−ガングリオシドを阻害する薬剤と併用して、ニ峰作用性オピオイドアゴニストを被験体に被験体において疼痛を処置するのに有効量で投与することを含む。被験体は、上記されるいずれかのものであり得る。好ましくは、この被験体はヒトである。疼痛についての処置を必要とする被験体は、疼痛を示しているかもしくは経験している被験体か、または疼痛を引き起こす事象に供されようとしている被験体であり得る。
【0058】
本発明の方法に基づいて、ニ峰作用性オピオイドアゴニストは、上記されるもののいずれかであり得る。好ましくは、このアゴニストは、モルヒネである。さらに、侵害受容性ニューロンにおいてGM1−ガングリオシドを阻害する薬剤は、上記されるもののいずれかであり得る。好ましくは、この薬剤は、CTX−Bまたはオセルタミビル(oseltamivir)である。本発明のアゴニストおよび薬剤は、上記される任意の方法によって、そして、任意の処方物で、疼痛についての処置を必要とする被験体に投与され得る。好ましくは、アゴニストおよび薬剤は、経鼻的または経口的に投与される。さらに、侵害受容性ニューロンにおいて、ニ峰作用性オピオイドアゴニストおよびGM1−ガングリオシドを阻害する薬剤は、上記されるように、同じ処方物中で一緒に同時投与され得るか、またはこれらは、別個の処方物で投与され得る。このアゴニストおよび薬剤が別個の処方物で同時投与される場合、上記されるように、これらは、同様の様式または異なる様式の投与によって同時投与され得、そして、これらは、同時、連続、または交互に同時投与され得る。
【0059】
本発明の方法において、アゴニストおよび薬剤は、被験体において疼痛を処置するために有効量で被験体に投与される。本明細書中で使用される場合、語句「疼痛を処置するために有効」とは、疼痛から生じる臨床的な障害もしくは症状を回復または最小にするのに有効なことをいう(例えば、被験体によって経験される任意の不安、不快、または衰弱させる感覚を減少させることによる)。その処置を必要とする被験体において、疼痛を処置するために有効なアゴニストおよび薬剤の量は、それぞれの場合の特定の因子に依存して変動し、これらの因子としては、疼痛の型、疼痛の位置、被験体の体重、被験体の状態の重症度、使用されるアゴニストおよび薬剤、ならびに投与経路が挙げられる。これらの量は、当業者によって容易に決定され得る。
【0060】
本発明の1つの実施形態において、ニ峰作用性オピオイドアゴニストの量は、上記に定義されるように、鎮痛性または準鎮痛性(subanalgesic)の量であり、そして、侵害受容性ニューロンにおいてGM1−ガングリオシドを阻害する薬剤の量は、上記に定義されるように、ニ峰作用性オピオイドアゴニストの鎮痛的効力を増加させるのに有効な量である。上記されるように、GM1−ガングリオシドインヒビターの用量の例としては、限定することなしに、10mg/kgのNa2SO4、0.01〜1mg/kgのCTX−B、および0.1〜1mg/kgのオセルタミビルが挙げられる。
【0061】
上記されるように、GM1−ガングリオシドを阻害する薬剤が、内因性オピオイドペプチド(例えば、エンケファリン、ジノルフィン、およびエンドルフィン(これらは、慢性的疼痛の患者において増強される))の鎮痛的効力を増強させ、そして、これらの耐性/依存性の傾向を減少させるために、慢性的疼痛の患者に単独で投与され得ることは本発明の範囲内である(10)。従って、本発明は、さらに、その処置を必要とする被験体において慢性的疼痛を処置するための方法を提供し、この方法は、侵害受容性ニューロンにおいてGM1−ガングリオシドを阻害する薬剤を、被験体における慢性的疼痛を処置するのに有効な量で投与することを含む。この被験体は、上記されるもののいずれかであり得る。好ましくは、この被験体は、ヒトである。慢性的疼痛についての処置を必要とする被験体は、慢性的疼痛を示すか、または経験している被験体であり得る。侵害受容性ニューロンにおいてGM1−ガングリオシドを阻害する薬剤は、上記されるもののいずれかであり得る。好ましくは、この薬剤は、CTX−Bまたはオセルタミビルである。
【0062】
本発明の方法では、侵害受容性ニューロンにおいてGM1−ガングリオシドを阻害する薬剤は、上記されるいずれかの方法によって、そして、いずれかの処方物で、被験体に投与され得る。この薬剤は、被験体における慢性的疼痛を処置するために有効な量で被験体に投与される。本明細書中で使用される場合、語句「慢性的疼痛を処置するために有効」とは、慢性的疼痛から生じる臨床的な障害もしくは症状を回復または最小にするのに有効なことをいう(例えば、被験体によって経験される任意の不安、不快、または衰弱させる感覚を減少させることによる)。その処置を必要とする被験体において、慢性的疼痛を処置するために有効な薬剤の量は、それぞれの場合の特定の因子に依存して変動し、これらの因子としては、疼痛の型、疼痛の位置、被験体の体重、被験体の状態の重症度、使用される薬剤、ならびに投与方法が挙げられる。この量は、当業者によって容易に決定され得る。
【0063】
本発明の1つの実施形態において、侵害受容性ニューロンにおいてGM1−ガングリオシドを阻害する薬剤の量は、内因性オピオイドペプチド(例えば、エンケファリン、ジノルフィン、およびエンドルフィン(これらは、慢性的疼痛の患者において増強される))の鎮痛的効力を増強させ、そして、これらに対する耐性または依存性を減少させるために有効な量である。従って、GM1−ガングリオシドを阻害する薬剤は、ニ峰作用性オピオイドアゴニストの阻害性作用(例えば、鎮痛作用)をブロックすることなしに、内因性のニ峰作用性オピオイドアゴニストの興奮性作用(例えば、耐性および身体的依存性)をブロックする量で投与され得る。上記されるように、GM1−ガングリオシドインヒビターの用量の例としては、限定することなしに、10mg/kgのNa2SO4、0.01〜1mg/kgのCTX−B、および0.1〜1mg/kgのオセルタミビルが挙げられる。
【0064】
侵害受容性ニューロンにおける興奮性オピオイドレセプターは、体性感覚脊髄神経節(「DRG」)ニューロンにおいて生じることが示されているように、内因性または外因性のニ峰作用性(興奮性/阻害性)オピオイドアゴニストへの長期被曝によって過敏になり得る。従って、侵害受容性ニューロンにおける過敏化した興奮性オピオイドレセプター機能を有するニューロンは、体性感覚ニューロンおよびCNSニューロンにおいて生じるように、オピオイドに「身体的に依存」し得る。10−6Mモルヒネまたは他のニ峰作用性オピオイドアゴニスト(培地中にて1週より長い)を含む培地における感覚ニューロンの長期処置の間、10−7M CTX−Bの同時投与は、オピオイドの興奮性の過敏性の発生(ナロキソンで沈澱するAPD伸長を含む)、ならびにオピオイドの阻害性作用(これは、一般的に慢性的なオピオイドの曝露の後に生じる)に対する耐性を妨げた。CTX−Bは、興奮性オピオイドレセプター上のアロステリックなGM1−ガングリオシド結合部位に選択的に結合し、それによって、オピオイド作用を阻害的ではなく興奮的にブロックする(50)。長期オピオイド処置の間のCTX−Bの同時投与は、ニューロンの感受性における可塑的変化(これは、インビボでオピオイド依存性かつ耐性に関する細胞性発現であると考えられている)の発生を妨げる(51)。前述を考慮して、侵害受容性ニューロンにおけるGM1−ガングリオシドを阻害する薬剤は、オピオイドを媒介する嗜癖を処置するために有用であり得る。
【0065】
従って、本発明は、その処置を必要とする被験体においてニ峰作用性オピオイドアゴニストの投与に関連した有害な興奮性作用を処置するために方法を提供する。このニ峰作用性オピオイドアゴニストは、上記に記載されるもののいずれかであり得る。好ましくは、このアゴニストは、モルヒネである。有害な興奮性作用の例としては、限定することなしに、抗無痛覚、過剰興奮性、痛覚過敏、身体的依存、生理的依存、および耐性、ならびに便秘、吐気、呼吸低下、鎮静、および嘔吐が挙げられる。本明細書中で使用される場合、「生理的依存」とは、オピオイドを摂り続ける抵抗し難い強迫として表れる生理的状態をいい、そして、「身体的依存」とは、薬物に対する生理的適応の状態であり、これは、オピオイドの使用の投薬量および期間の増加とともに強度を増加し得、そして、この薬物が中断されるかまたはその作用が弱められる場合、離脱(禁断)症候群を表し得る。本明細書中でさらに使用される場合、「耐性」とは、ニ峰作用性オピオイドアゴニストの投薬量が、初期の効果を得るために増加されなければならない状況をいう。
【0066】
本発明の方法は、侵害受容性ニューロンにおいてGM1−ガングリオシドを阻害する薬剤を被験体における有害な興奮性作用を処置するために有効な量で、被験体に投与することを含む。この被験体は、上記に記載されるもののいずれかであり得る。好ましくは、この被験体はヒトである。侵害受容性ニューロンにおいてGM1−ガングリオシドを阻害する薬剤は、上記のもののいずれかであり得る。好ましくは、この薬剤は、CTX−Bまたはオセルタミビルである。
【0067】
本明細書中で使用される場合、用語「有害な興奮性作用を処置するために有効」とは、有害な興奮性作用に由来する臨床的な障害または耐性を回復または最小にするのに有効である(例えば、オピオイドアゴニストに対する任意の耐性、またはこのアゴニストに対する任意の生理的もしくは身体的依存症を減少させることによる)。オピオイドアゴニストに対する耐性、およびこのアゴニストに対する心理的依存または身体的依存を減衰することによって、侵害受容性ニューロンにおいてGM1−ガングリオシドを阻害する薬剤は、別の二次的な利点を生成し得、この利点としては、ニ峰作用性オピオイドアゴニストの鎮痛的効力の増加、ならびに慢性的なオピオイドの使用または乱用に関する副作用およびこれらに由来する離脱症状(例えば、筋肉痛、食欲不振、不安、オピオイドに対する欲求、のぼせおよび悪寒(cold flash)、呼吸速度の上昇、かゆみ、流涙、筋肉攣縮、散瞳、発汗、立毛、鼻漏、震えなど)の減少が挙げられる。
【0068】
本発明の薬剤は、上記される任意の方法によって、そして、任意の処方物で被験体に投与され得る。その処置を必要とする被験体におけるニ峰作用性オピオイドアゴニストに対する耐性またはこのアゴニストに対する嗜癖を処置するために有効な薬剤の量は、それぞれの場合の特定の因子に依存して変化し、これらの因子としては、耐性または嗜癖の型、耐性または嗜癖の程度、被験体の体重、被験体の状態の重症度、使用される薬剤、および投与の方法が挙げられる。この量は、当業者によって容易に決定され得る。本発明の1つの実施形態において、侵害受容性ニューロンにおいてGM1−ガングリオシドを阻害する薬剤の量は、上記されるように、ニ峰作用性オピオイドアゴニストの鎮痛的効力を増加させるのに有効な量である。従って、GM1−ガングリオシドを阻害する薬剤は、ニ峰作用性オピオイドアゴニストの阻害性作用(例えば、鎮痛作用)をブロックすることなしに、ニ峰作用性オピオイドアゴニストの興奮性作用(例えば、耐性および身体的依存性)をブロックする量で投与され得る。この量は、当業者によって容易に決定され得る。上記されるように、GM1−ガングリオシドインヒビターの用量の例としては、限定することなしに、10mg/kgのNa2SO4、0.01〜1mg/kgのCTX−B、および0.1〜1mg/kgのオセルタミビルが挙げられる。
【0069】
本発明は、以下の実験的な詳細(Experimental Details)の節で記載され、この節は、本発明の理解の目的で記述され、そして、前述の特許請求の範囲に規定される本発明のいかなる範囲をも限定するように解釈されるべきではない。
【0070】
(実験の詳細)
(1.導入)
培地中のマウス脊髄神経節(DRG)ニューロンの侵害受容性タイプの電気生理学的研究は、低いナノモル濃度(nM)でこれらの多くのニューロンに適用される場合、特異的なμオピオイドアゴニスト、δオピオイドアゴニスト、およびκオピオイドアゴニストが、活動電位持続時間(APD)のナロキソンに可逆的な延長を惹起することを示してきた(9、48)。対照的に、これまでの研究において見られるように、より高いマイクロモル濃度(μM)レベルのオピオイドは、APDを短縮した(7、57)。低い濃度または高い濃度のいずれかのオピオイドアゴニストに対する曝露による、DRGニューロンにおけるAPDのこの複峰的な変調は、興奮性オピオイドレセプター機能または阻害性オピオイドレセプター機能の活性化に起因されるように考えられる。
【0071】
調節性Gタンパク質GjおよびGoに連結される阻害性レセプターを脱共役する(29、36)百日咳毒素(PTX)を用いる処置は、DRGニューロンにおいて、APDのオピオイドに誘導される短縮化をブロックし(48)、そしてDRGに惹起されるシナプス後の後角ネットワークのオピオイド抑制が、DRG−索外植片において応答する(16)。対照的に、DRGニューロンにおいて、オピオイドに誘導されるAPDの延長は、Gs−連結興奮性レセプターのリガンド活性化で干渉する、コレラ毒素(CTX−A)のAサブユニットで処理することによってブロックされる(49)。
【0072】
結合したGTPaseの阻害をもたらす(6)、GsのADPリボシル化を選択的に触媒するCTX−A(28、40)は、アデニル酸シクラーゼ活性を増加させ、そしてGs−共役レセプターのリガンド活性化の効力を減少させた(5、6、38、41、55)。非常に低濃度の精製CTX−Aを用いるか、または毒素全体(1pg/ml〜1ng/ml)を用いる、DRGニューロンの簡単な処理は、オピオイドに誘導されるAPDの延長を選択的にブロックし、これによって、Gs/プロテインキナーゼA/cAMPセカンドメッセンジャー系に関連したオピオイドレセプターによる、この興奮性の調節性作用の媒介についての強力な証拠を提供する(9、17、49)。
【0073】
CTX−B(1〜10ng/ml)を用いるDRGニューロンの前処理もまた、オピオイドに誘導されるAPDの延長を選択的にブロックするが、オピオイドに誘導されるAPDの短縮化はブロックしない(49)。GsのADP−リボシル化によるオピオイド興奮性作用のCTX−A遮断と対照的に、CTX−B遮断は、オピオイド興奮性レセプター機能のGM1−ガングリオシド調節の妨害に関すると考えられる。この結論は、GM1−ガングリオシド(これは、ニューロンの細胞膜の外側表面上に大量に分布している)に対する選択的な高い親和性(KD=10−10M)を有する、結合におけるCTX−Bの特異性に基づく(23、24、25、37、59)。抗GM1抗体を用いるDRGニューロンの処理もまた、CTX−Bを用いて生じるように、オピオイドに誘導されるAPDの延長を選択的にブロックする(49)。
【0074】
引き続く研究は、低濃度(10nM)のGM1(GM2、GM3、または他のガングリオシドもしくは糖脂質ではなく)を用いるDRGニューロンの簡単な処理の後に、オピオイドペプチドジノルフィン(これは、多くのDRGニューロンにおいてAPDを延長するために必要とされる)の閾値濃度は、nMレベルからfM〜pMレベルへと顕著に減少される(49、53)。これらの電気生理学的研究は、オピオイドアゴニストの興奮性作用に対するGM1で処理したDRGニューロンの増加した感受性は、オピオイドレセプター上のアロステリック制御部位(これは、興奮性の効力(GS−共役オピオイドレセプター機能)を増強させると考えられる(12))に対するGM1の結合に起因する(50)ことを示唆する。
【0075】
オピオイドアゴニストの興奮性作用に対するGM1で処理したDRGニューロンの増加した感受性は、マウスにおける低用量のGM1(0.1mg/kg)の注射(i.p.)がモルヒネの鎮痛性作用を迅速に弱める(13)という最近の証拠と一致する。本研究は、非常に低用量のCTX−B(10ng/kg;s.c.)が、低用量のμ−オピオイドおよびκ−オピオイドに誘導される痛覚過敏作用を選択的にブロックし、それによって、強力なオピオイド無痛覚をアンマスクすることを示すことによって、内因性GM1−ガングリオシドが、インビボでの興奮性オピオイドレセプター機能を調節する生理学的役割を果たすというより直接的な証拠を提供する。これらの結果は、低用量のオピオイドに誘導される痛覚過敏作用をブロックし、これによって、強力なオピオイド痛覚過敏をアンマスクする、モルヒネおよび超低用量のNTX(10、15、52)を用いるマウスの同時処置の作用に匹敵する。低用量のNTXは、興奮性オピオイドレセプターをこれらの認識部位で選択的にブロックするのに対し、CTX−Bは、興奮性オピオイドレセプター上の推定上のアロステリックなGM1調節性部位に結合し、そしてこの部位に干渉する(11、12、49)。さらに、モルヒネおよびCTX−Bを用いるマウスの長期同時処置もまた、低用量のNTXを用いる同時処置の間に生じることが既に示されているように(10、52)、オピオイド耐性および身体的依存の発生を減弱する。
【0076】
(2.材料および方法)
(A.マウスにおける抗侵害受容アッセイおよび痛覚過敏アッセイ)
Swiss−Webster(SW)のオスおよびメスのマウス(20〜25g;Charles River,NY)を、5匹のグループに別個に収容し、12時間の明/暗のサイクルで維持し、そして抗侵害受容試験の前に1〜3日間適宜、水および餌を与えた。オピオイドの抗侵害受容作用および痛覚過敏作用を、既に記載されるアッセイ(10、13、33、52)と同様な熱水浸漬(hot−water−immersion)テール−フリックアッセイを用いて、これらのマウスについて測定した。各々のマウスを、空気孔を備えるテーパー状のプラスチックシリンダーに入るようにした。シリンダーのサイズは、動物の身体のサイズよりもわずかに大きく、その結果、その尾は、シリンダーから自由に垂れ下がり得た。このシリンダーは、動物が強制を適用することなく随意的に入る隔離された環境を提供した。
【0077】
テール−フリックアッセイの間、シリンダーのみを取扱い、そして動物との直接的な接触はなかった。先端から測られた尾の3分の1を、電気温度調節器(Yellow Springs)で52℃または55℃(±0.1℃)に維持された水浴中に漬けた。素早いテール−フリックに対する潜伏時間を、記録した。(コントロール潜伏時間)>8秒のマウスを、これらの試験から除外し、そして10秒のカットオフを用いて、組織損傷を最小にした。6回の連続的なコントロール試験を、各々10分間の間隔で行った。最後の4回の試験の潜伏時間を、平均して、薬物前(pre−drug)の値を与えた。時間−作用曲線を、縦軸としてテール−フリック潜伏時間を用いてプロットした(13)。
【0078】
(B.動物試験グループ)
比較試験を、ほぼ同じ日に実施し、特定の同時処置を受けている8匹のマウスの2つ以上のグループ、およびモルヒネ(または他のオピオイド試験アゴニスト)単独で処置された8匹のマウスの適切なコントロールグループを用いた。それぞれの動物試験グループを、長期薬物処置試験についてを除いて、1回のアッセイのみについて使用した。
【0079】
(C.統計分析)
処置グループ間の差異を、Neuman−Keuls試験を用いるANOVAによってか、またはスチューデントのt−検定によって、統計的有意さについて試験した(56)。
【0080】
(D.材料)
以下の薬物を使用した:NTX、モルヒネ、ナロキソン(NLX)、およびU−50,488H(Sigma);CTX−B(「コレラゲノイド(choleragenoid)」)および組換えCTX−B(List);ならびにオセルタミビル(oseltamivir)(「Tamiflu」;Roche Laboratories,Nutley,NJ)。CTX−B(全CTXから商業的に精製される)のストック溶液を、20分間56℃まで加熱して、商業的製品において考えられる微量のCTX−Aを除去した。このプロトコルは、APDのオピオイド興奮性調節に関して、CTX−A(1μg/mlまで試験した)および全CTX(1ng/mlまで試験した)の両方の強力なブロック作用が、この熱処理後に完全に解消された(50)ことを示した本発明者らのこれまでの研究に基づいた。熱不安定性のAサブユニットの酵素的特性と対称的に、CTXのBサブユニットの調製物は、56℃までの加熱後、比較的少ない効力の減少を示した。これらの結果は、CTX−Bを用いるDRGニューロンの前処理が、Aサブユニットによって媒介される作用を不可能にする条件下でさえも、オピオイドに誘導されるAPDの延長をブロックし得ることを示す。コントロール試験もまた、組換えCTX−B(rCTX−B)(これは、CTX−A遺伝子を欠失するVibrio choleraeの組換え株から作製および精製した(45))を注射したマウスのいくつかの群で実施した。
【0081】
(3.結果)
(A.CTX−Bを用いるマウスの同時処置は、急性の低用量のモルヒネに誘導される熱性痛覚過敏をブロックし、これによって、強力なオピオイド無痛覚をアンマスクする)
正常でネイティブなSWマウスにおける熱水浸漬(52℃)侵害受容性アッセイは、約4秒間のコントロールのテール−フリック潜伏時間をもたらした(15)。非常に低用量のモルヒネ(約1μg/kg;s.c.)のこれらのマウスへの投与は、テールフリック潜伏時間(約1〜2秒)の急速な減少の発生をもたらし、この減少は、薬物注射後4〜5時間続いた(図1A:黒丸)。1μg/kg CTX−B(s.c.)を用いたマウスの他のグループの同時処置は、この低用量のモルヒネで誘導される熱性痛覚過敏をブロックし、そして強力なオピオイドの無痛覚を6時間よりも長くアンマスクし(図1A:黒逆三角)、超低用量のNTXを用いる同時処置によって生成したもの(図1A:白色)と同様に作用する(13)。さらに低用量のCTX−B(0.1μg/kg)を用いる同時処置もまた、低用量のモルヒネに誘導される痛覚過敏、および強力な無痛覚をアンマスクするのに有効であった(図1B:黒逆三角)。
【0082】
本発明者らの規則的なCTX−Bの熱処理が、実際に、微量のCTX−Aを除去することを確認するために、いくつかの群のマウスを、組換えCTX−Bを用いて試験した。同じ用量以下のrCTX−B(10ng/kg)を用いた同時処置はまた、低用量モルヒネ誘導性痛覚過敏をブロックし、それによって、強力なオピオイド痛覚脱失が曝露された(図1C;参考、図1B)。
【0083】
(B.CTX−Bを用いた同時処置は、急性で低用量のκ−オピオイド誘導性の痛覚過敏をブロックし、強力な痛覚脱失を曝露する)
κ−オピオイドアゴニスト(U−50,488H(10ng/kg)(図2A:黒丸)によって誘発された急性痛覚過敏は、CTX−B(0.1μg/kg)によってブロックされ、それによって強力な痛覚脱失を曝露した(図2A:▽)。これらの効果は、NTX(図2A:白丸)または特異的なκ−オピオイドアンタゴニスト(ノル−ビナルトルフィミン(binaltorphimine)(図2A:黒三角))のいずれかのpg/kg用量を用いた同時処置に起因する効果に匹敵した。U−50,488HおよびCTX−Bによって同時処置されたマウスの群(図2A:▽)が、κ−オピオイドのみで1日後に再試験される場合、この時間−効果曲線(図2B:白丸)は、CTX−Bのブロック効果が消失し、代表的な痛覚過敏応答(参考、図2A:黒丸)を曝露したことを示した。さらに、低用量U−50,488H誘導性痛覚過敏を示すマウスの群(図2A:黒丸)が、U−50,488Hおよび低用量のCTX−B(10ng/kg)を用いて1日後に再試験された場合、痛覚過敏は、ブロックされ、顕著なκ−オピオイド痛覚脱失を曝露した(図2B:黒丸)。別の群のマウスの、10ng/kgのrCTX−Bおよび10ng/kgのU−50,488Hを用いた同時処置はまた、急性κ−オピオイド誘導性痛覚過敏をブロックし、規則的なCTX−Bを用いて生じるような、潜在的な痛覚脱失を曝露した(図2C;参考、図2B)。
【0084】
(C.CTX−Bを用いたマウスの急性同時処置は、高用量のモルヒネの痛覚脱失効果を顕著に延長する)
CTX−B同時処理のモルヒネ痛覚脱失に対する効果の一連の鎮痛テールフリック(tail−flick)アッセイはまた、低用量NTX同時処置を用いた本発明者らの以前の研究で使用されたように、わずかにより高い浸水温度(55℃)を使用して実施された(52)。55℃でのアッセイにおいて、コントロールのテールフリック潜伏期は、約2秒で、可能な痛覚過敏効果を定量することをより困難にし得る(参考、図1および図2と共に、図3および図4)。0.1mg/kgのCTX−Bを用いた同時処置は、3mg/kgモルヒネの5時間を超えるピーク鎮痛効果の顕著な延長を生じ(図3:黒三角)、一方、モルヒネ単独の効果は、最初の1時間のピークの後、急に低下した(図3:黒丸)。モルヒネの痛覚脱失潜在性のCTX−B誘導性増強は、超低用量のNTXを用いた同時処置から生じる増強に匹敵し、おそらくさらにそれを超えた(図3:白丸)(10,52)。類似する結果は、モルヒネ±CTX−Bのいくつかの他のアッセイにおいて、得られた。
【0085】
(D.モルヒネおよびCTX−Bを用いたマウスの慢性同時処置は、オピオイド耐性の発症を阻害する)
マウスの別の群において、CTX−Bを用いた急性同時処置はまた、モルヒネの鎮痛効果の大きさ、および持続時間を顕著に強化した(図4)。3mg/kgのモルヒネおよびCTX−Bを5日間、毎日注入した後、モルヒネの鎮痛効果の大きさおよび持続時間は、なお非常に大きかった(図4B:白丸)。対照的に、モルヒネ単独の痛覚脱失効果は、5日で急に減少した(図4B:黒丸)。モルヒネおよびCTX−Bの同時処置から生じたモルヒネ耐性の顕著な減衰は、モルヒネおよび超低量NTXの同時処置を用いて観察される効果と類似した(52)。
【0086】
(E.モルヒネおよびCTX−Bを用いたマウスの慢性同時処置は、NLX−沈殿性禁断症状痛覚過敏の発症を阻害する)
未処置のマウスに低用量のNLXまたはNTXを注射するによって、本発明者らの鎮痛アッセイにおけるベースラインテールフリック潜伏期は変更されなかった(10,52)。対照的に、慢性的なモルヒネ処置(例えば、10mg/kgで5〜6日間)の後、モルヒネの禁断症状および10μg/kgのNLXの注射は、5時間を超えて存続する顕著な痛覚過敏応答を引き起こした。この応答は、大きさおよび持続時間において、未処置のマウスにおいて低用量のモルヒネによって引き起こされる応答に匹敵した(図1A、B:黒丸)。有意でないNLX−沈殿性禁断症状痛覚過敏は、CTX−Bおよびモルヒネで同時処理されたマウスにおいて生じた。興味深いことに、NLX−沈殿性禁断症状痛覚過敏は、顕著な度合いの鎮痛耐性の発達の前に、慢性モルヒネ処置マウスにおいて、よく誘発され得る。この結果は、DRGニューロンの培地中での慢性オピオイド処置の間、耐性を有さない依存性の証拠と一致する(51)。
【0087】
(F.CTX−Bを用いた、雄性マウスおよび雌性マウスの経口同時処置は、モルヒネ注射の痛覚過敏効果をブロックし、強力な痛覚脱失を曝露する)
CTX−Bを、低用量のモルヒネ(0.1μg/kg;s.c.)を使用する鎮痛アッセイの前に1日間、雄性マウスおよび雌性マウスの群の飲料水ボトルに添加した。雄性マウスおよび雌性マウスの両方は、この低用量のモルヒネによって、コントロールの群のマウスにおいて誘発される顕著な痛覚過敏と全く対照的に、CTX−Bで前処理された後、顕著で長期間の鎮痛を示した(図5Aおよび5B)。経口CTX−Bにおいて第2日目の後、雄性マウスおよび雌性マウスを、10,000倍高い用量のモルヒネを用いて再試験した(1mg/kg;s.c.)。CTX−Bで処置された雄性群および雌性群の両方は、モルヒネ単独を受容したコントロールの群が示した痛覚脱失よりも、非常により大きくかつより長期間の痛覚脱失を示した(図5Cおよび5D)。モルヒネによって誘発される痛覚過敏効果の大きさは、雌性群と比較して、雄性群において一貫して大きいが、モルヒネの痛覚脱失潜在性を強化するCTX−B同時処置の効率は、全てのアッセイにおいて全く類似した。
【0088】
(G.オセルタミビルおよび他のノイラミニダーゼインヒビターを用いたマウスの同時処置は、興奮性オピオイドレセプターの機能を、これらのレセプターのGM1制御を妨害することによってブロックする)
外因性のノイラミニダーゼの投与は、DRGおよび他のニューロンの膜におけるモノシアロガングリオシドGM1の濃度の増加を顕著に示し、この増加は、これらのニューロンにおけるガングリオテトラオース種のポリシアリル化リガンド由来のノイラミン酸(シアリン酸)の酵素的除去による(11、53、59、60、64、65、69)。ニューロン中のポリシアリル化ガングリオシドのGM1への酵素的転換に対するノイラミニダーゼのこの特異的な効果は、感染細胞からのインフルエンザウイルスの放出の促進および呼吸路内のウイルスの拡散を容易にすることにおけるノイラミニダーゼの役割と極めて異なる。ノイラミニダーゼインヒビターの抗ウイルス効果は、ニューロンの糖脂質からのシアリン酸の除去とは対照的に、細胞表面の糖タンパク質由来のシアリン酸の除去を含み得る。
【0089】
ノイラミニダーゼのインヒビターを含むさらなる研究は、外因性GM1−ガングリオシドが、インビボでの興奮性オピオイドレセプター媒介性機能の制御における生理学的役割を果たすというさらなる証拠を提供した。特に、ノイラミニダーゼインヒビター(オセルタミビル(Tamiflu))が、モルヒネの痛覚過敏効果を選択的にブロックし、それによって強力なオピオイド痛覚脱失を曝露することが示された(図6および7)。モルヒネおよびオセルタミビルを用いたマウスの慢性的な同時処置は、オピオイド耐性の発達を減衰することもまた示された(図8および9)。興味深いことに、慢性的なモルヒネ耐性マウスへのオセルタミビルの添加は、顕著な痛覚脱失を回復した(図10)。モルヒネおよびオセルタミビルを用いた慢性的な同時処置はまた、NLX−沈殿性禁断症状痛覚過敏の発症を阻害した。これらの結果は、モルヒネおよび、超低用量NTXまたは低用量CTX−Bを用いたマウスの同時処置によって生じた結果に匹敵するが、これらの両方が、オピオイド誘導性痛覚過敏をブロックし、強力なオピオイド痛覚脱失を曝露し、そしてオピオイド耐性および身体的依存性を減衰する(10、52、53、63)。
【0090】
マウスにおける本研究は、インフルエンザウイルスのノイラミニダーゼ阻害を生じる用量でのオセルタミビルの臨床的投与(66)が、同時に、侵害受容ニューロンにおけるGM1−ガングリオシドレベルの減少において有効であり得ることを示唆する。後の結果は、GM1−制御Gs−共役興奮性オピオイドレセプター媒介性痛覚過敏機能の効力を減衰し、それによってGi/Go−共役阻害性オピオイドレセプター媒介性痛覚脱失を曝露し、そして耐性の発達および身体的依存性を減少する。オセルタミビルおよびモルヒネを用いた同時処置が、CTX−Bおよびモルヒネを用いた雄性マウスおよび雌性マウスにおける最近の試験において生じることが示されるように、両方の性において類似した効果を生じることが期待される。
【0091】
最近、無機硫酸(例えば、Na2SO4)が、ヒトマクロファージ細胞の培地中で哺乳動物のノイラミニダーゼ活性に対する強力な阻害効果を有することが実証された(70)。上記に記載されるような、モルヒネ痛覚脱失の増強およびモルヒネ耐性/依存性の低下におけるオセルタミビルの顕著な効力を考慮して、本発明者らは、3μg/kgのモルヒネおよび10mg/kgのNa2SO4を用いて同時処置されたマウスで、類似する鎮痛アッセイを実施した。この結果は、驚くべきことに、さらにより複雑なノイラミニダーゼインヒビター(オセルタミビル)を用いて得られた結果に類似した。10mg/kgのNa2SO4および3mg/kgのモルヒネを用いたマウスの慢性的同時処置は、痛覚脱失を増強し、5日間の毎日の注射の間、耐性の発達を防止し、そして6日目に試験される場合、NLX−沈殿性禁断症状痛覚過敏を防止した。モルヒネの痛覚脱失潜在性を増強およびモルヒネ耐性/依存性を低下するための、この意外に単純な手順は、直感に反している。なぜなら、MgSO4を用いる同時処置によって、モルヒネ痛覚脱失の増強を示すいくつかの研究が、可能性のあるな原因となる硫酸塩の影響を認識をしない、興奮性NMDA−レセプター機能に対するマグネシウムのアンタゴニスト効果に起因するからである(4、21、22、42)。
【0092】
(4.考察)
本研究の結果は、興奮性Gs−共役オピオイドレセプターに結合するGM1が、インビボでの侵害受容ネットワークにおけるニューロン上のこれらのレセプターの制御における生理学的役割を果たすという強力な証拠を提供する。本発明者らは、マウスにおける低用量の外因性GM1(0.1〜1mg/kg;i.p.)の注射が、おそらくは、侵害受容ニューロンの興奮性オピオイドレセプター機能の効率を低下することによって、モルヒネの痛覚脱失効果(「急性耐性」)を迅速に減衰することを以前に示した(13)。この解釈は、著しく低い容量のCTX−B(s.c.)の注射が、急性オピオイド誘導性痛覚過敏効果を迅速にブロックし、それによって強力なオピオイド痛覚脱失を曝露するという本証拠によって支持される。
【0093】
(A.マウスにおけるオピオイド誘導性痛覚過敏のCTX−Bブロックと培地中のDRGニューロンにおける興奮性オピオイドレセプター媒介性機能のCTX−Bブロックとの一致)
興奮性オピオイドレセプター媒介性機能を制御することにおける、GM1ガングリオシドに対する可能な役割は、CTX−BのDRGニューロンへの急な適用が、興奮性オピオイドレセプター機能をブロックするが、阻害性オピオイドレセプター機能をブロックしないことが観察された後、最初に提唱された(50)。CTX−Bは、ニューロンの細胞膜上のGM1−ガングリオシドに選択的に結合するので、この結果は、CTX−Bが、それによって、Gs−共役興奮性オピオイドレセプター上の推定アロステリックGM1制御部位を妨害し得ることを示唆した(50)。
【0094】
DRGニューロンにおける研究はまた、DRGニューロンにおける、オピオイド誘導性の、興奮性APD−延長効果のCTX−ブロックが、イオンチャネルの機能を直接妨害することに起因することが明らかではないことを示した。第1に、CTX−B単独への曝露は、DRGニューロンのAPDにおける有意な改変を生じなかった。第2に、フォルスコリン(forskolin)への曝露は、CTX−B処置ニューロンにおけるAPDの特徴的な延長を生じ、このことは、CTX−Bが、cAMP−依存性イオンチャネルの反応性を妨害しないことを示し、このcAMP−依存性イオンチャネルは、フォルスコリン(30,48,58)およびオピオイド(8、9、12、48)の興奮性効果を媒介する。さらに、非オピオイド、クローン化されたオピオイドレセプターでトランスフェクトされた、GM1−欠損チャイニーズハムスターの卵巣(CHO)細胞の最近の研究において、GM1−ガングリオシドの急な適用は、これらのレセプターの、阻害性Gi−共役モードから興奮性Gs−共役モードへの急速な(約30分)転換を生じる(11、12、61)。
【0095】
マウスにおける、CTX−Bの急性低用量オピオイド誘導性痛覚過敏のブロックおよび強力なオピオイド痛覚脱失の曝露は、培地中のDRGニューロンに対するCTX−B効果に関する、本発明者らの以前の研究と顕著に一致する。1〜10ng/mlのCTX−Bを用いたDRGニューロンの同時処置は、低用量(1〜10nM)のμ−オピオイド誘導性興奮性、δ−オピオイド誘導性興奮性、およびκ−オピオイド誘導性興奮性であるAPD−延長(「痛覚過敏」)効果を約15分間ブロックし、潜在性オピオイド阻害性APD−短縮(「痛覚脱失」)効果を曝露し、これらの効果は、単独で適用される場合、100倍〜1,000倍高いオピオイド濃度を必要とした(50)。
【0096】
(B.CTX−Bを用いた慢性的な同時処置によるオピオイド耐性および身体的依存性の減衰)
慢性的オピオイド曝露マウスにおける耐性の低下は、CTX−Bを用いた同時処置から生じた。この効果は、培地中のDRGニューロンにおける、本発明者らの以前の研究と一致し、このことは、nM濃度のCTX−Bを用いた慢性的同時処置が、安定なδ/μオピオイドペプチド(D−ala2−D−leu5−エンケファリン(DADLE))のμM濃度の阻害的なAPD−短縮化効果に対する耐性の発展を減衰することを示した(51)。
【0097】
培地中の慢性的オピオイド処理のDRGニューロン中およびインビボでのマウス中のCTX−Bまたは低用量NTXを用いた同時処置による、耐性の発達の減衰(10、52)は、興奮性Gs−共役オピオイドレセプター機能(この機能は、二方式活性化オピオイドアゴニストへの慢性的曝露の間、制御されず、そして超感作化される)の選択的なブロックに起因し得、それによって、阻害性オピオイドレセプター機能が曝露される(10、12、51、74)。しかし、本発明のインビボ研究(図4Aおよび4B)および本発明者らの以前のインビトロの研究(51)の両方において、小さいが有意な度合いの耐性が、CTX−B処置試験群において観察されたことに、留意するべきである。この観察された耐性は、おそらく、阻害的なオピオイドレセプター機能の同一の脱感作に起因した(71、72、74)。
【0098】
さらに、慢性的モルヒネ処置マウスにおける、CTX−Bを用いた同時処置によるNLX−沈殿性禁断症状痛覚過敏の予防は、培地中の慢性的オピオイド処置DRGニューロンの本発明者らの研究と、顕著に一致し、この研究において、オピオイド超感作ニューロンにおけるNLX−沈殿性興奮性APD−延長効果(10、74)が、CTX−Bを用いた慢性的同時処置によって防止された(51)。慢性的モルヒネ処置マウスにおけるNLX−沈殿性禁断症状痛覚過敏の本立証は、脊髄媒介性身体的依存の指標を提供し得る価値のある新規アッセイを示し、それによって、脳幹機構および脊髄機構を含み得るNLX−沈殿性禁断症状跳躍の以前の研究を拡大する(12)。興味深いことに、慢性的モルヒネ処置マウスにおいて痛覚過敏を引き起こすために使用される低用量のNLX(10μg/kg)は、アヘン製剤依存症のヒトにおける重篤な自律神経性禁断症状を臨床的に誘発するために使用される用量(73)に匹敵する。
【0099】
(C.CTX−B同時処置は、マウス中のκ−オピオイドおよびμ−オピオイド誘導性痛覚過敏をブロックする)
本研究は、低用量の特異的κ−オピオイドアゴニスト(U−50,488H)およびμ−アゴニスト(モルヒネ)の急性痛覚過敏効果が、CTX−Bによってブロックされ、その結果、潜在的なオピオイド痛覚過敏が曝露されることを示す。テールフリック潜伏期(注射後、90分に試験される)を有意に減少することによって測定される場合、10ng/kgのU−50,488Hによってマウス中に誘導される痛覚過敏は、低用量のκ−オピオイドペプチド(ジノルフィン(0.5μg/kg;s.c.))が、マウスにおける熱痛覚過敏を生じるということを示した以前の報告に一致する効果(1)である。対照的に、100倍高い用量(50μg/kg)は、痛覚脱失を誘発した(1)。本研究は、低用量のκ−オピオイド誘導性痛覚過敏が、超微量の特異的なκ−オピオイドアンタゴニスト(ノル−ビナルトルフィミン)によって、ならびにNTXおよびCTX−Bによって選択的にブロックされ得ることを示すことによって以前の報告(1)を拡張する。本発明者らの結果はまた、男性歯痛患者においての、5mg低用量のκ−オピオイドアゴニスト(ナルブフェン)のi.v.注射後、1時間以内に観察される痛覚過敏は、0.5mgのナロキソンと共に同時処置することによってブロックされ、顕著な痛覚脱失を曝露する(26)という証拠と一致する。
【0100】
(D.オピオイド誘導性痛覚過敏をブロックする際の、CTX−Bの効率および可逆性)
10〜100ng程度に低いCTX−Bの用量の皮下注射は、投与後30分未満で、低用量オピオイド誘導性痛覚過敏をブロックするように、侵害受容ニューロンに対して、興奮性オピオイドレセプター上の十分な数の推定アロステリックGM1−結合部位に到達し得る。おそらく、いくつかのCTX−B分子は、後根を通って、脊髄に入り、それによって、侵害受容DRGニューロンのシナプス前部末端上のオピオイドレセプターに接触し得る。このことは、本発明者らが、低用量の外因性GM1の腹腔内注射による、マウスにおける興奮性オピオイド効果の類似する驚くべき増強を説明し得る(13)ことを示唆した通りである。
【0101】
GM1含有膜とのCTX−Bの結合は、膜リン脂質パッケージングの局在化された擾乱を生じるように見える(35)。CTX−Bによる膜パッケージングの初期の崩壊は、膜内における5つのGM1分子の剛直な配置、続いてのCTX−Bとの結合から生じるということが提案される(43)。この配置は、リン脂質による占有に利用可能な領域が、CTX−Bペンタマーによって結合された5つのGM1分子の固定位置の間で、25%以上減少したジオメトリーを作製し得る(43、31)。このような物理化学的相互作用は、興奮性オピオイドレセプターに対する、GM1部位への結合における、CTX−Bの有効性の基礎となり得、それによって、オピオイド誘導性痛覚過敏をブロックする。
【0102】
興味深いことには、CTX−Bは、現在、口腔粘膜ワクチンおよび鼻腔粘膜ワクチンにおいて臨床的に使用され(32、44)、CTX−Bのキャリア分子としての免疫強化能力は、免疫担当細胞の細胞膜上のGM1を結合するCTX−Bの能力に関連すると考えられる(20、34、54)。経口CTX−Bを用いた臨床的研究の視点において、本発明者らは、オピオイド痛覚脱失に対する経口的に投与されるCTX−Bの効果を決定するために、マウスにおける予備的な試験を実施した。経口的CTX−B(マウスの飲料水を介して)を用いて前処理されたマウスにおける低用量モルヒネの(s.c.)注射は、痛覚過敏よりむしろ痛覚脱失を生じ(図5)、これは、CTX−Bのs.c.注射に伴って観察された効果に匹敵した(図1)。特に、モルヒネ痛覚脱失に対する経口的CTX−Bの効果を増強することは、雄性マウスおよび雌性マウスの両方において全く同じである(図5)。
【0103】
本発明者らの、モルヒネおよびCTX−Bを用いて同時処置されたマウスにおける抗侵害受容アッセイは、CTX−Bのオピオイド痛覚過敏のブロックおよび痛覚脱失の強化が、薬物注射後6時間未満の間有効であることを示す(図3)。しかし、低用量オピオイド誘導性痛覚過敏に対する10ng/kgのCTX−Bのブロック効果は、マウスを、オピオイド単独で24時間後に再試験した場合、もはや存在しなかった(図2B)。それにも関わらず、0.1mg/kgのCTX−Bおよびモルヒネを用いた慢性的な毎日の同時処置の結果は、オピオイド痛覚過敏およびオピオイド耐性のCTX−Bブロックが、5日後でさえも、極めて効率的に維持され得ることを示す。
【0104】
(E.全CTXを用いたマウスの同時処置は、Gs−共役とのCTX−A媒介性干渉によって、興奮性オピオイドレセプター機能をブロックする一方、CTX−Bは、これらのレセプターのGM1制御と干渉する)
マウスにおける全CTXの脳室内(i.c.v)注射が、おそらくは、「Gs変換タンパク質の機能を損なうこと」によって、モルヒネの鎮痛能力を著しく増強することが報告された(46)。さらに、マウスにおける全CTXの鞘内注射が、ジノルフィンの「痛覚過敏作用」を阻害し、この痛覚過敏作用が、「(興奮性)Gs−共役オピオイドレセプターの活性化によって媒介される」ように見えることが示された(2)。これらの解釈は、以下の証拠によって支持される:(1)GSαに対して指向される抗体を用いるマウスのi.c.v.注射はまた、モルヒネ非侵害受容を強化する(47);そして(2)マウスにおけるアンチセンスオリゴヌクレオチドの鞘内注射によるGSαタンパク質のダウンレギュレーションは、低用量モルヒネ誘導性痛覚過敏のブロック(19)および慢性的モルヒネ処置の間の耐性(18)を生じる。
【0105】
マウスにおいて、CTX全体を用いる研究は、培養物において、CTX全体処置DRGニューロン、およびCTX−A全体処置DRGニューロンの両方を用いてこれまでに実証された(49)ように、これらのレセプターのGS共役との低用量CTX−A媒介性干渉による、興奮性オピオイドレセプター機能の選択的遮断と一致する。対照的に、本研究は、無毒性CTX−Bサブユニットとの同時処置が、これらのGS共役レセプターのGM1調節との干渉によって、興奮性オピオイドレセプター機能の明確な類似の遮断を生じ得ることを示す。
【0106】
(参考文献)
【0107】
【表1】
上記の全ての刊行物は、その全体が本明細書によって参考として援用される。前述の発明は、明解さと理解の目的のために、いくらか詳細に記載されているが、本開示の読解より、添付の特許請求の範囲のおける本発明の真の範囲から逸脱すること無しに、形態および詳細を種々変更し得ることが、当業者によって認識される。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1A】図1は、コレラトキシンBサブユニット(CTXB)を用いたマウスの同時処置が、急性、低用量、モルヒネ誘導熱痛覚過敏を遮断し、潜在的なオピオイド痛覚脱失をアンマスキング(unmasking)することを示す。熱水−浸漬(52℃)テールフリック試験の時間効果曲線を示す。A:1μg/kgのモルヒネ(Mor)(s.c.)の投与は、薬物の注射後4〜5時間持続したテールフリック潜伏時間の減少の発生を示した(黒丸)。1μg/kgのモルヒネと1μg/kgのCTXB(s.c.)での同時処置は、6時間よりも長く持続したこの低用量、モルヒネ誘導熱痛覚過敏を遮断し、および潜在的なオピオイド痛覚脱失をアンマスキングした(黒逆三角)。この効果は、1pg/kgのナルトレキソン(NTX)での同時処置によってなされた効果と類似していた(白丸)。点線は、痛覚過敏の効果の視覚化を容易にするために挿入されている。使用した全てのマウスは雄であった。各曲線についてn=8;エラーバーは、S.E.M.を示す。
【図1B】図1は、コレラトキシンBサブユニット(CTXB)を用いたマウスの同時処置が、急性、低用量、モルヒネ誘導熱痛覚過敏を遮断し、潜在的なオピオイド痛覚脱失をアンマスキング(unmasking)することを示す。熱水−浸漬(52℃)テールフリック試験の時間効果曲線を示す。B:さらに低用量のCTXB(0.1μg/kg)での同時処置もまた効果的であった(黒逆三角;cf.1μg/kgのモルヒネ単独)。10μg/kgのCTXB単独では有効でないことをコントロール試験は示した(白逆三角;cf.1μg/kgのMor+10μg/kgのCTX−B:黒丸)。使用した全てのマウスは雄であった。各曲線についてn=8;エラーバーは、S.E.M.を示す。
【図1C】図1は、コレラトキシンBサブユニット(CTXB)を用いたマウスの同時処置が、急性、低用量、モルヒネ誘導熱痛覚過敏を遮断し、潜在的なオピオイド痛覚脱失をアンマスキング(unmasking)することを示す。熱水−浸漬(52℃)テールフリック試験の時間効果曲線を示す。C:さらに低用量(10ng/kg)での組換えCTX−B(rCTXB)を用いた同時処置はまた、低用量(100ng/kg)、モルヒネ誘導痛覚過敏を遮断し、これによって潜在的なオピオイド痛覚脱失をアンマスキングした(白丸;cf.黒丸)。使用した全てのマウスは雄であった。各曲線についてn=8;エラーバーは、S.E.M.を示す。
【図2A】図2は、コレラトキシンBサブユニット(CTXB)での同時処置が、急性、低用量、κ−オピオイド−誘導痛覚過敏を遮断す、これによる潜在的な痛覚脱失をアンマスキングすることを例示する。A:κ−オピオイドアゴニスト、U−50,488H(10ng/kg;s.c.)の低用量の投与は、低用量のμ−オピオイドアゴニスト、モルヒネによって誘発されるものに類似した痛覚過敏を生じた(黒丸;cf.図1A:黒丸)。U−50,488Hと0.1μg/kgのCTX−Bでの同時処置は、この低用量、κ−オピオイド痛覚過敏、およびマスキングされていない潜在的な痛覚脱失(白逆三角)を、超低用量のナルトレキソン(NTX)(白丸)または特異的k−オピオイドアンタゴニスト、nor−ビナルトルフィミン(nor−BNI)(黒逆三角)のいずれかでの同時処置によって生成される効果に類似の効果を伴なって、遮断した。点線は、痛覚過敏の効果の視覚化を容易にするために挿入されている。使用した全てのマウスは雄であった。各曲線についてn=8;エラーバーは、S.E.M.を示す。
【図2B】図2は、コレラトキシンBサブユニット(CTXB)での同時処置が、急性、低用量、κ−オピオイド−誘導痛覚過敏を遮断す、これによる潜在的な痛覚脱失をアンマスキングすることを例示する。B:U−50,488HとCTXB(A:白逆三角)での同時処置に続く顕著な痛覚脱失を示したマウスの群は、U−50,488H単独での処置の24時間後に再試験された。生じた代表的な痛覚過敏(白丸)は、CTXB遮断効果の喪失を示す。同様に、U−50,488H単独での処置に続く痛覚過敏を示したマウスの群(A:黒丸)を、著しく低い容量のCTXB(10ng/kg)での同時処置の24時間後に再試験した。この結果、痛覚過敏は遮断され、これによって強力な痛覚脱失をアンマスキングした(黒丸)。破線は、痛覚過敏の効果の視覚化を容易にするために挿入されている。使用した全てのマウスは雄であった。各曲線についてn=8;エラーバーは、S.E.M.を示す。
【図2C】図2は、コレラトキシンBサブユニット(CTXB)での同時処置が、急性、低用量、κ−オピオイド−誘導痛覚過敏を遮断す、これによる潜在的な痛覚脱失をアンマスキングすることを例示する。C:10ng/kg組換えCTXB(rCTXB)と10ng/kgのU−50,488Hでの別の群のマウスの同時処置はまた、通常のCTXB(B:黒丸)で生じたように、急性κ−オピオイド誘導痛覚過敏(黒丸)を遮断し、そして潜在的な痛覚脱失をアンマスキングした(白丸)。rCTXB単独での処置は、無効であった(黒逆三角)。使用した全てのマウスは雄であった。各曲線についてn=8;エラーバーは、S.E.M.を示す。
【図3】図3は、CTX−Bを用いたマウスの急性の同時処置が、高用量のモルヒネ(Mor)の鎮痛性効果を顕著に延長させることを示す。0.1mg/kgのコレラトキシンB(CTXB)(s.c.)での同時処置は、5時間よりも長い3mg/kgのモルヒネの抗侵害受容効果のピークの著しい延長を生じ(黒逆三角)、一方で、モルヒネ単独での効果は、1時間目のピークの後に激しく減少した(黒丸)。テールフリックアッセイを、わずかに高い温度浸漬温度(55℃)を用いて実行し、52℃(図1および2)でのアッセイにおいて得られた(4秒)の結果よりも短いコントロールのテールフリック持続時間(ca.2秒)を生じた。使用した全てのマウスは雄であった。各曲線についてn=8;エラーバーは、S.E.M.を示す;NTX=ナルトレキソン。
【図4A】図4は、モルヒネ(Mor)とコレラトキシンBサブユニット(CTXB)を用いたマウスの慢性同時処置が、オピオイド耐性の発生を遮断することを例示する。A:0.1mg/kgのCTXB(s.c.)での別の群のマウスの急性同時処置は、3mg/kgのモルヒネの抗侵害受容効果(黒丸;cf.図3)の程度および持続時間を増加させた。使用した全てのマウスは雄であった。各曲線についてn=8;エラーバーは、S.E.M.を示す。
【図4B】図4は、モルヒネ(Mor)とコレラトキシンBサブユニット(CTXB)を用いたマウスの慢性同時処置が、オピオイド耐性の発生を遮断することを例示する。B:3mg/kgのモルヒネとCTXBの毎日の注射後、モルヒネの抗侵害受容効果の程度および持続時間は、なお非常に大きかった(白丸)。対照として、モルヒネ単独の鎮痛性効果は、5日までに鋭く減少した(黒丸)。テールフリックアッセイを、わずかに高い水浸漬温度(55℃)を用いて実行し、これは、52℃でのアッセイ(図1および2)において得られた(4秒)よりも短いコントロールテールフリック潜伏時間(ca.2秒)を生じた。使用した全てのマウスは雄であった。各曲線についてn=8;エラーバーは、S.E.M.を示す。
【図5A】図5は、経口投与されたコレラトキシンBサブユニット(CTXB)での雄および雌のマウスの同時処置は、急性、低用量モルヒネ誘導痛覚過敏効果遮断し、これにより潜在的なオピオイド痛覚脱失をアンマスキングする。テールフリック試験を、図1および2のように52℃で実行した。A:0.1μg/kgのモルヒネ(Mor)(s.c.)の投与は、図1:黒丸のような、特徴的な痛覚過敏(黒丸)を生じた。対照的に、CTXBでの別の群のマウスの経口前処置後(その日水を飲む前に、1μg/mlの濃度を添加した)、低用量、モルヒネ誘導痛覚過敏は、遮断され、そして顕著な痛覚脱失がアンマスキングされた(白丸)。各曲線についてn=8;エラーバーは、S.E.M.を示す;*=前日の飲料水中のCTXB(1μg/ml)の経口前処置。
【図5B】図5は、経口投与されたコレラトキシンBサブユニット(CTXB)での雄および雌のマウスの同時処置は、急性、低用量モルヒネ誘導痛覚過敏効果遮断し、これにより潜在的なオピオイド痛覚脱失をアンマスキングする。テールフリック試験を、図1および2のように52℃で実行した。B:Aにおいて使用されたプロトコールをまた、雌のマウスの群で実行し、同様のモルヒネ誘導痛覚過敏の経口CTXB遮断の実施、および同様のオピオイド痛覚脱失のアンマスキング(白丸)を生じた。各曲線についてn=8;エラーバーは、S.E.M.を示す;*=前日の飲料水中のCTXB(1μg/ml)の経口前処置。
【図5C】図5は、経口投与されたコレラトキシンBサブユニット(CTXB)での雄および雌のマウスの同時処置は、急性、低用量モルヒネ誘導痛覚過敏効果遮断し、これにより潜在的なオピオイド痛覚脱失をアンマスキングする。テールフリック試験を、図1および2のように52℃で実行した。C:経口CTXB処置の2日後、雄および雌のマウスの同じ群を、急性モルヒネ用量(1mg/kg;s.c.)で10,000倍に増加した効果を試験することによってアッセイした。モルヒネの抗侵害受容効果の程度および持続時間におけるより大きな増加を、CTXB処置マウスに示した(白丸)。雌のマウスのコントロール群におけるモルヒネの鎮痛性効果は、著しく弱いが、オピオイド注射(黒丸)の2時間後に痛覚過敏を生じ、CTXB処置群は、試験期間全体で顕著なモルヒネ痛覚脱失を示した(白丸)。各曲線についてn=8;エラーバーは、S.E.M.を示す;*=前日の飲料水中のCTXB(1μg/ml)の経口前処置。
【図5D】図5は、経口投与されたコレラトキシンBサブユニット(CTXB)での雄および雌のマウスの同時処置は、急性、低用量モルヒネ誘導痛覚過敏効果遮断し、これにより潜在的なオピオイド痛覚脱失をアンマスキングする。テールフリック試験を、図1および2のように52℃で実行した。D:経口CTXB処置の2日後、雄および雌のマウスの同じ群を、急性モルヒネ用量(1mg/kg;s.c.)で10,000倍に増加した効果を試験することによってアッセイした。モルヒネの抗侵害受容効果の程度および持続時間におけるより大きな増加を、CTXB処置マウスに示した(白丸)。雌のマウスのコントロール群におけるモルヒネの鎮痛性効果は、著しく弱いが、オピオイド注射(黒丸)の2時間後に痛覚過敏を生じ、CTXB処置群は、試験期間全体で顕著なモルヒネ痛覚脱失を示した(白丸)。各曲線についてn=8;エラーバーは、S.E.M.を示す;*=前日の飲料水中のCTXB(1μg/ml)の経口前処置。
【図6】図6は、モルヒネ(Mor)およびノイラミニダーゼインヒビター、オセルタミビル(oseltamivir)(Tamiflu)での雄マウスの同時処置が、低用量、モルヒネ誘導痛覚過敏(黒丸)を遮断し、そして熱水浸漬、テールフリック抗侵害受容アッセイにおいて潜在的なオピオイド痛覚脱失(白丸)をアンマスキングすることを例示する。全ての薬物を、皮下注射した(13)。
【図7】図7は、オセルタミビル(Tamiflu)での雄マウスの同時処置は、高用量のモルヒネ(Mor)(cf.白丸および黒丸)によって誘因される鎮痛性の効力を増強する。
【図8】図8は、オセルタミビル(Tamiflu)とモルヒネ(Mor)での3日間の慢性同時処置が、オピオイド耐性の発生を防ぐことを示す(cf.白丸および黒丸)。
【図9】図9は、オセルタミビル(Tamiflu)で処置されたマウスが、同時処置の5日後に顕著なモルヒネ(Mor)痛覚脱失(白丸)をなお示し、一方で、モルヒネのみの群が、著しい痛覚過敏(黒丸)を示すことを例示する。
【図10】図10は、慢性モルヒネ耐性マウスの同じ群へのオセルタミビル(Tamiflu)の1日間の添加(図9で黒丸で示される)が、顕著な痛覚脱失を回復し(黒丸)、一方で、モルヒネ(Mor)耐性が、オセルタミビルの撤回後1日以内に発達する(白丸)ことを示す。
Claims (31)
- 被験体において、二峰作用性オピオイドアゴニストの鎮痛効力を増加するための方法であって、該方法は、二峰作用性オピオイドアゴニストの沈痛作用の増加を増加するために有効な侵害感受性ニューロンにおいて、GM−1ガングリオシドを阻害する薬剤と併用して、被験体に、鎮痛量または準鎮痛量の二峰作用性オピオイドアゴニストを投与する工程を包含する、方法。
- 請求項1に記載の方法であって、ここで、前記二峰作用性オピオイドアゴニストの鎮痛効力を増加するために有効な、侵害感受性ニューロンにおいてGM−1ガングリオシドを阻害する薬剤の量と併用して、前記鎮痛量または準鎮痛量の二峰作用性オピオイドアゴニストの投与が、また二峰作用性オピオイドアゴニストの投与に関係した有害な興奮作用を減弱する、方法。
- 前記有害な興奮作用が、抗痛覚脱失、痛覚過敏、過剰興奮性、身体的依存、心理的依存、または耐性からなる群より選択される、請求項2に記載の方法。
- 前記二峰作用性オピオイドアゴニストが、ブプレノルフィン、ブトルファノール、コデイン、ジノルフィン、エンドルフィン、エンケファリン、フェンタニルアナログ、ヒドロモルホン、レボルファノール、メペリジン、メタドン、モルヒネ、ナルブフィン、オキシコドン、オキシモルホン、ペンタゾシン、プロキシフェンおよびトラマドールからなる群より選択される、請求項4に記載の方法。
- 前記二峰作用性オピオイドアゴニストがモルヒネである、請求項1に記載の方法。
- 前記侵害感受性ニューロンにおいてGM−1ガングリオシドを阻害する薬剤が、CTX−B、オセルタミビル、抗GM1−ガングリオシド抗体、およびNa2SO4からなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
- 前記侵害感受性ニューロンにおいてGM−1ガングリオシドを阻害する薬剤が、CTX−Bまたはオセルタミビルからなる群より選択される、請求項6に記載の方法。
- 前記投与形態が、経鼻、経口、非経口、または経皮からなる群より選択される、請求項1に記載の方法。
- 前記投与形態が、経鼻、または経口である、請求項8に記載の方法。
- 疼痛を処置する必要のある被験体においてこれを処置する方法であって、該方法が、侵害感受性ニューロンにおいてGM−1ガングリオシドを阻害する薬剤と併用して、二峰作用性オピオイドアゴニストを、該被験体における疼痛を処置するのに有効な量で、該被験体に投与する工程を包含する、方法。
- 請求項10に記載の方法であって、ここで、前記二峰作用性オピオイドアゴニストの量が鎮痛量または準鎮痛量であり、そして前記侵害感受性ニューロンにおいてGM−1ガングリオシドを阻害する薬剤の量が、該二峰作用性オピオイドアゴニストの鎮痛効力を増加するのに有効な量である、方法。
- 請求項10に記載の方法であって、ここで、前記侵害感受性ニューロンにおいてGM−1ガングリオシドを阻害する薬剤と併用する前記二峰作用性オピオイドアゴニストの投与がまた、該二峰作用性オピオイドアゴニストの投与に関係する有害な興奮作用を減弱する、方法。
- 前記有害な興奮作用が、抗痛覚脱失、痛覚過敏、過剰興奮性、身体的依存、心理的依存、または耐性からなる群より選択される、請求項12に記載の方法。
- 前記二峰作用性オピオイドアゴニストが、ブプレノルフィン、ブトルファノール、コデイン、ジノルフィン、エンドルフィン、エンケファリン、フェンタニルアナログ、ヒドロモルホン、レボルファノール、メペリジン、メタドン、モルヒネ、ナルブフィン、オキシコドン、オキシモルホン、ペンタゾシン、プロポキシフェンおよびトラマドールからなる群より選択される、請求項10に記載の方法。
- 前記二峰作用性オピオイドアゴニストがモルヒネである、請求項14に記載の方法。
- 前記侵害感受性ニューロンにおいてGM−1ガングリオシドを阻害する薬剤が、CTX−B、オセルタミビル、抗GM1−ガングリオシド抗体、およびNa2SO4からなる群より選択される、請求項10に記載の方法。
- 前記侵害感受性ニューロンにおいてGM−1ガングリオシドを阻害する薬剤が、CTX−Bまたはオセルタミビルである、請求項16に記載の方法。
- 前記投与形態が、経鼻、経口、非経口、または経皮からなる群より選択される、請求項10に記載の方法。
- 前記投与形態が、経鼻、または経口である、請求項18に記載の方法。
- 慢性疼痛を処置する必要のある被験体においてこれを処置するための方法であって、該方法が、侵害感受性ニューロンにおいてGM−1ガングリオシドを阻害する薬剤を、該被験体における慢性疼痛を処置するのに有効な量で、二峰作用性オピオイドアゴニストを該被験体に投与する工程を包含する、方法。
- 前記侵害感受性ニューロンにおいてGM−1ガングリオシドを阻害する薬剤が、CTX−B、オセルタミビル、抗GM1−ガングリオシド抗体、およびNa2SO4からなる群より選択される、請求項20に記載の方法。
- 前記侵害感受性ニューロンにおいてGM−1ガングリオシドを阻害する薬剤が、CTX−Bまたはオセルタミビルである、請求項21に記載の方法。
- 有害な興奮作用の処置を必要とする被験体において、二峰作用性オピオイドアゴニストの投与に関係する該有害な興奮作用を処置するための方法であって、該方法が、被験体において有害な興奮作用を処置するのに有効な量で、侵害感受性ニューロンにおいてGM−1ガングリオシドを阻害する薬剤を、被験体に投与する工程を包含する、方法。
- 前記有害な興奮作用が、抗痛覚脱失、痛覚過敏、過剰興奮性、身体的依存、心理的依存、または耐性からなる群より選択される、請求項23に記載の方法。
- 前記侵害感受性ニューロンにおいてGM−1ガングリオシドを阻害する薬剤が、CTX−B、オセルタミビル、抗GM1−ガングリオシド抗体、およびNa2SO4からなる群より選択される、請求項23に記載の方法。
- 前記侵害感受性ニューロンにおいてGM−1ガングリオシドを阻害する薬剤が、CTX−Bまたはオセルタミビルである、請求項23に記載の方法。
- 薬学的組成物であって、該組成物が、薬学的に受容可能なキャリア、鎮痛量または準鎮痛量の二峰作用性オピオイドアゴニスト、および該組成物が投与された被験体において二峰作用性オピオイドアゴニスト鎮痛効力を増加するのに有効な量の、侵害感受性ニューロンにおいてGM−1ガングリオシドを阻害する薬剤を含有する、薬学的組成物。
- 前記二峰作用性オピオイドアゴニストが、ブプレノルフィン、ブトルファノール、コデイン、ジノルフィン、エンドルフィン、エンケファリン、フェンタニルアナログ、ヒドロモルホン、レボルファノール、メペリジン、メタドン、モルヒネ、ナルブフィン、オキシコドン、オキシモルホン、ペンタゾシン、プロポキシフェンおよびトラマドールからなる群より選択される、請求項27に記載の薬学的組成物。
- 前記二峰作用性オピオイドアゴニストがモルヒネである、請求項27に記載の薬学的組成物。
- 前記侵害感受性ニューロンにおいてGM−1ガングリオシドを阻害する薬剤が、CTX−B、オセルタミビル、抗GM1−ガングリオシド抗体、およびNa2SO4からなる群より選択される、請求項27に記載の薬学的組成物。
- 前記侵害感受性ニューロンにおいてGM−1ガングリオシドを阻害する薬剤が、CTX−Bまたはオセルタミビルである、請求項27に記載の薬学的組成物。
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