JP2005354197A - 磁界通信装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 携帯機の向きを変えても受信感度が常に良好な磁界通信装置を提供する。
【解決手段】 所定の角度で配置された2つの送信コイルに位相がほぼ90度ずれた電流を流し、回転磁場3を生成する回転磁場送信回路1と、互いに軸方向が直交する3つの受信コイル、各受信コイルに接続された共振用コンデンサ、及び上記各受信コイルを通過する磁界を検出する検出部を備えた磁場受信回路2とで磁界通信装置を構成し、上記回転磁場送信回路1と上記磁場受信回路2との間で磁気結合による信号伝送を行う。
【選択図】 図1
【解決手段】 所定の角度で配置された2つの送信コイルに位相がほぼ90度ずれた電流を流し、回転磁場3を生成する回転磁場送信回路1と、互いに軸方向が直交する3つの受信コイル、各受信コイルに接続された共振用コンデンサ、及び上記各受信コイルを通過する磁界を検出する検出部を備えた磁場受信回路2とで磁界通信装置を構成し、上記回転磁場送信回路1と上記磁場受信回路2との間で磁気結合による信号伝送を行う。
【選択図】 図1
Description
本発明は、磁界通信装置に関するものであり、特に車体に搭載された送信アンテナと携帯機との間で空間を介して磁気結合による信号伝送を行う通信システムに関するものである。
従来、車体と携帯機との間で通信を行う近距離通信システムとして例えばキーレスエントリーシステムがあった(例えば、非特許文献1参照。)。上記システムにおいて、車体に設置される送信アンテナは2つのコイルからなり、上記2つのコイルに位相が互いに90度異なる電流を流すことにより発生磁界を所定の面内で回転させていた。一方、車体外部近傍に位置する携帯機(カードトランスポンダ)は単一ループよりなる受信コイルを実装しており、該受信コイルは回転磁界と常に鎖交するため、携帯機の向きによらずに誘導磁界を用いた通信が常に成立するとされていた。
一方、従来から、単振動磁場を送信して、3つの直交配置された受信コイルで受信し、その最大受信電圧に対してデータ通信する方式があった(例えば、非特許文献2参照。)。このような通信方式に使用される多チャンネルICは、各チャンネルのいずれかの受信用コイルに十分大きい磁束が鎖交すれば通信が成立するように設計されている。すなわち、電池の消耗を防ぐために、通常はスリープ状態であり、3チャンネルのうちの最大受信電圧が所定の閾値を越えた場合に回路が能動状態になるように構成されていた。
一方、従来から、単振動磁場を送信して、3つの直交配置された受信コイルで受信し、その最大受信電圧に対してデータ通信する方式があった(例えば、非特許文献2参照。)。このような通信方式に使用される多チャンネルICは、各チャンネルのいずれかの受信用コイルに十分大きい磁束が鎖交すれば通信が成立するように設計されている。すなわち、電池の消耗を防ぐために、通常はスリープ状態であり、3チャンネルのうちの最大受信電圧が所定の閾値を越えた場合に回路が能動状態になるように構成されていた。
「Keyless entry system with radio card transponder」Hirano et al,IEEE Trans.Industrial Electronics,VOL.35,NO.2,May 1988,P.208−P.216
「3D Analog Frontend(3DAFE)TMS37122/TMS37127」RADIO FREQUENCY IDENTIFICATION SYSTEMS,Copyright 2003 Texas Instruments Incorporated
上記のような従来の通信方式において、送信アンテナより回転磁界を発生させるものにおいては、実際は、上記非特許文献1にも記載されているように、回転磁場の回転面と受信コイルのループ面が平行になった場合に、受信コイルには磁束が鎖交しなくなるため通信が成立しなくなる。上記文献ではこのような可能性は小さいとしているが、実際にかばんの中に携帯機が入っている場合は、必ずしも可能性は小さくなく、結果的に従来方式では通信ができなくなることが問題となる。
また、単振動磁場を送信して、3つの直交配置された受信コイルで受信するものにおいても、単振動する送信磁場ベクトルが、携帯機内に直交配置された3つの受信コイルのいずれに対しても45度方向を向いた場合、受信感度が最大感度の1/√3倍すなわち0.58倍と低下してしまうため、送信磁場が弱いエリアでは、携帯機の向きを傾けると通信できなくなってしまう問題があり、実用上問題になっていた。なお、最大感度とは、送信磁場ベクトルが上記受信コイルのいずれか1つと同じ向きを向いた場合の受信感度である。
さらに、このような単振動磁場を送信した場合は、この送信磁場の磁力線方向と垂直方向にPDAなどの携帯端末と磁界通信装置の携帯機とが密着配置された場合にも通信できなくなるという問題があった。具体的には、磁界通信装置における送信磁場が水平方向の場合であって、運転者の胸ポケットにPDA携帯端末と磁界通信装置の携帯機とが重ねて配置された場合がその一例である。これはPDAの金属筐体や内部に配置された磁気シールドシートの影響で、送信された水平方向の磁力線が携帯機を避けてしまい通信ができなくなるためである。
さらに、車内通信システムにおいて、車体に設置された送信アンテナより単振動磁場を送信し、車室内全域で携帯機と通信するためには、送信磁場の弱いエリアを無くすことが必要であり、そのためには多数の送信アンテナを車体に配置する必要があり、製造コストの低減が難しかった。
さらに、このような単振動磁場を送信した場合は、この送信磁場の磁力線方向と垂直方向にPDAなどの携帯端末と磁界通信装置の携帯機とが密着配置された場合にも通信できなくなるという問題があった。具体的には、磁界通信装置における送信磁場が水平方向の場合であって、運転者の胸ポケットにPDA携帯端末と磁界通信装置の携帯機とが重ねて配置された場合がその一例である。これはPDAの金属筐体や内部に配置された磁気シールドシートの影響で、送信された水平方向の磁力線が携帯機を避けてしまい通信ができなくなるためである。
さらに、車内通信システムにおいて、車体に設置された送信アンテナより単振動磁場を送信し、車室内全域で携帯機と通信するためには、送信磁場の弱いエリアを無くすことが必要であり、そのためには多数の送信アンテナを車体に配置する必要があり、製造コストの低減が難しかった。
本発明は、かかる問題点を解決するためになされたもので、携帯機の向きを変えても受信感度が常に良好な磁界通信装置を提供することを目的としている。
この発明に係る磁界通信装置は、回転磁場を生成する回転磁場送信回路と、互いに軸方向が直交する3つの受信コイルを備えた磁場受信回路とを備え、上記回転磁場送信回路と上記磁場受信回路との間で磁気結合による信号伝送を行うものである。
この発明は、回転磁場送信回路と直交3軸磁場受信回路との間で信号伝送を行うので、上記受信回路が搭載される携帯機の向きを変えても受信感度が常に良好な磁界通信装置が得られるようになる。
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1による磁界通信装置を示す構成図である。磁界通信装置は回転磁場を生成する回転磁場送信回路1と、互いに軸方向が直交する3つの受信コイルを備えた直交3軸磁場受信回路2とで構成されている。送信回路1は車室内に搭載され、送信回路1で生成された回転磁場3は空間を介して伝播され、携帯機内に実装された磁場受信回路2に到達する。
図1は本発明の実施の形態1による磁界通信装置を示す構成図である。磁界通信装置は回転磁場を生成する回転磁場送信回路1と、互いに軸方向が直交する3つの受信コイルを備えた直交3軸磁場受信回路2とで構成されている。送信回路1は車室内に搭載され、送信回路1で生成された回転磁場3は空間を介して伝播され、携帯機内に実装された磁場受信回路2に到達する。
図2は車体に設置される回転磁場送信回路1の一例を示す構成図である。図2において、第1の送信コイル4、共振コンデンサ5、及び直列抵抗6が交流駆動電源7に直列接続され、これらより第1の共振回路8を構成する。第1の共振回路8において、直列共振条件を満足するようにコンデンサ5の容量(c1)を選ぶことにより、大きな電流i1を第1の送信コイル4に流すことができる。この結果、第1の誘導磁場を生成することができる。一方、第2の送信コイル9を第1の送信コイル4の近傍に配置し、相互インダクタンスMを発生させる。この結果、電磁誘導により第2の送信コイル9に誘導電流i2が流れる。また、第2の送信コイル9には共振コンデンサ10、及び直列抵抗11が直列接続され、第2の共振回路13を構成する。第2の共振回路13において、共振コンデンサ10の容量(c2)を共振条件が満足されるような値に選定することによって、第1の送信コイル4を流れる電流i1と位相がほぼ90度ずれた振幅の大きな電流i2を得ることができる。第2の送信コイル9に大きな電流が流れることにより、第2の磁場が生成する。第1の送信コイル4の軸方向と第2の送信コイル9の軸方向とが所定の角度となるように配置し、上記第1の磁場と上記第2の磁場とが所定の角度になるようにすれば、電流i1と電流i2とは位相がほぼ90度ずれているため、回転磁場を生成することができる。所定の角度配置としては、近似的に90度である配置が好ましいが、実験の結果、60度〜120度の範囲であれば、真円度の悪化の程度が許容レベルであった。なお、電流値i1,i2はそれぞれ直列抵抗6,11で制限される。直列抵抗6は、電源7の出力抵抗、配線抵抗、コイル抵抗、コンデンサ損失で決定され、直列抵抗11は、コイル抵抗、コンデンサ損失で決定される。
また、図2に示すように、第2の共振回路13に、さらに並列逆接続したダイオード対12を直列接続することにより、通電するパルス電流の過渡応答を高速化することができる。実験の結果、ダイオード対12にはショットキーダイオードを用いるのが特に有効であった。ショットキーダイオードは損失が小さいので、電流i2にほとんど影響を与えない。ダイオード対12の挿入により、複数の電流パルスを通電しても高速に電流を減衰させるため、通信性能を劣化させないことが実験的に確認された。これは、受信信号をパルス整形して2値データを高速に復調する受信方式を採用する場合に極めて有用である。なぜならば、電流が十分減衰しない間に次の送信パルスが送信されると、受信電圧がゼロとなる期間が消失し、2値データの判別閾値を超えた状態が連続し、正しい2値データを送ることができないからである。もちろん、通信速度を落とせば、上記電流が十分減衰してから次のパルスを送信でき、このような問題は発生しないが、応答速度が遅いと操作性が極めて悪化するので現実的ではない。
発明者らの実験では、ダイオード対12がない場合に、第2の共振回路13のQ(共振回路の共振の鋭さをあらわす量)を増大させると過度応答が遅いために通信に失敗することがわかった。一方、Qを低下させると、電流i2が小さくなり通信距離が短くなる問題があり、設計が困難となった。ダイオード対12を用いれば、Qを25程度まで増加させ、電流値を大きな値に維持しながら高速に電流を減衰させることが可能となり、問題なく通信できることが確認された。
発明者らの実験では、ダイオード対12がない場合に、第2の共振回路13のQ(共振回路の共振の鋭さをあらわす量)を増大させると過度応答が遅いために通信に失敗することがわかった。一方、Qを低下させると、電流i2が小さくなり通信距離が短くなる問題があり、設計が困難となった。ダイオード対12を用いれば、Qを25程度まで増加させ、電流値を大きな値に維持しながら高速に電流を減衰させることが可能となり、問題なく通信できることが確認された。
駆動電源7の電源電圧、直列抵抗6、直列抵抗11、相互インダクタンスM、ダイオード対12の損失抵抗を与えれば、電流値i1,i2が決まる。さらに、第1の送信コイル4及び第2の送信コイル9の半径、巻き数、透磁率により、各コイルが空間に発生する磁場強度が決定される。また、電流の位相差が約90度であるから、前述のように、第1の送信コイル4と第2の送信コイル9を90度程度の角度に配置すれば、電流の位相差が約90度であるから、回転磁場が生成できるが、2つのコイル電流i1,i2の比率に依存して、生成された回転磁場は楕円磁場となる。2つのコイル4,9を車室内に配置した場合、周囲の金属は必ずしも2つのコイル4,9に対して対称に配置されないため、各コイル4,9に周囲の金属が同じように寄与しないので、楕円の程度(真円度)は空間位置によって変動することになる。なお、真円度とは、楕円回転磁場面の磁界ベクトルの楕円軌跡において、短径を長径で割った値である。真円度を調整するためには、コイル4,9の半径・巻き数・透磁率の比率、および各コイルの直列抵抗や相互インダクタンスM、ダイオード対12の損失抵抗を変化させればよい。
図3は、携帯機に設置される直交3軸磁場受信回路2を示す構成図である。図3において、直交3軸磁場受信回路2は、互いに軸方向が直交する3つの受信コイル20a,20b,20cと、各受信コイル20a,20b,20cに並列接続された共振用コンデンサ21a,21b,21cと、共振用コンデンサ21a,21b,21cの端子間電圧を検出することにより、各受信コイルを通過する交流磁界を検出すると共に、各受信コイル20a,20b,20cにおける受信電圧V1,V2,V3のうちの最大値Max(V1,V2,V3)23を出力する回路22とで構成されている。
また、図4は、携帯機に設置される直交3軸磁場受信回路2の他の例を示す構成図である。図4において、直交3軸磁場受信回路2は、互いに軸方向が直交する3つの受信コイル20a,20b,20cと、共振用コンデンサ21a,21b,21cと、各受信コイル20a,20b,20cにおける受信電圧V1,V2,V3のそれぞれを検波する回路24を介して、検波電圧25a,25b,25cを入力し、いずれか1つの検波電圧が所定の閾値以上の場合に、携帯機をスリープ状態から能動状態に変化させるためのウェイクアップ信号27を出力する回路26とで構成されている。このように回路を構成した結果、通常は電力をほとんど消費しないため、携帯機の電池寿命を延ばすことができる。
図5〜8は本実施の形態1による磁界通信装置の動作を説明する図である。本発明の磁界通信装置は、回転磁場を生成する送信回路と、3つの受信コイルが直交配置した受信回路とを組み合わせたものであり、受信感度の携帯機方位角依存性を解析的に計算した結果、上記組み合わせのものにおいて、いずれの方向にも安定した受信感度が得られることがわかった。とくに、回転磁場の真円度が0.8以上であれば、携帯機の向きを全ての方位に回転しても、受信感度が80%以上である方位角が全体の約80%を占め、実用上、常に通信が成立することがわかった。また、回転磁場の真円度を0.95以上とすれば、受信感度が92%以上である方位角が全体の約80%を占め、より優れた特性のものが得られることがわかった。なお、送信磁場が回転しない単振動磁場の場合は、3つの受信コイルを直交配置した受信回路であっても、受信感度が80%以上である方位角は全体の約65%を占めるに過ぎず、受信感度が90%以上である方位角は全体の約40%を占めるに過ぎなかった。本発明の組み合わせは従来にない組み合わせであり、解析的な計算によって始めて、上記のような著しい効果があることが明らかにされた。その結果、携帯機の向きによらず受信感度を常に安定に維持できる無指向性通信システムを構築することが可能となる。以下では、この解析計算の概要を説明し、次に試作した磁界通信装置の概要および試験結果を説明する。
図5は、携帯機内に実装された直交する3つの受信コイル32,33,34で回転磁場30を受信する場合の座標系を示す。ここで、受信コイル32,33はフェライトロッドに巻いたソレノイドコイルであり、受信コイル34は空芯のループコイルである。これら3つの受信コイル32,33,34は、携帯機の基板上の同一平面に配置される。回転磁場面の法線ベクトル31の向きを変化させて、3つの受信コイル32,33,34に誘導される電圧変化を解析的に計算することができる。なお、図5では、上記法線ベクトル31がy軸の周りでθだけ回転し、さらにz軸の周りでφだけ回転した様子を示している。携帯機の方向を任意の立体角方向とするためには、0≦θ≦π、0≦φ≦2πの範囲で、θとφを独立に変化させればよい。
図6に、実際にθとφを変化させた場合の、3つの受信コイル32,33,34に誘導される電圧の最大値(すなわち、受信感度)を球座標プロットした結果を示す。図6では第1と送信磁場振幅と第2の送信磁場振幅が等しい回転磁場として計算した。この場合、回転磁場面の軌跡は円になる。すなわち、真円度が1である。座標の原点(0,0,0)は表示された立体の中心にあり、そこからの距離が受信感度を与える。図6に示すように、携帯機を任意方向に傾けた場合の受信感度の変動が極めて小さくなることが判明した。このような結果は、事前に予想することができず、解析的に計算して初めて判明した事実である。
図7は、図6の表示をより定量化したヒストグラムを表している。このヒストグラムからわかることは、ほとんどの方位角に対する受信感度は0.95以上であることがわかる。なお、受信感度は最大値を1としている。
図8は、図7をさらにわかりやすく表示した結果であり、いわゆる積分ヒストグラム表示である。図8の5本のグラフは、曲線35が真円度1であり、曲線36が真円度0.95、曲線37が真円度0.9、曲線38が真円度0.8の楕円回転磁場の場合である。曲線39は1つの送信コイルを用いた単振動磁場の場合である。積分ヒストグラムでは、ある受信感度以上の感度を与える方位角の割合を表示している。たとえば、真円度1(曲線35)において、0.9以上の受信感度を与える方位角の割合は約0.95である。これに対して、真円度0.9(曲線37)においては、0.85以上の受信感度を与える方位角の割合が約0.9である。真円度が0.8(曲線38)以上の回転磁場を生成すれば、実用上、充分と思われる0.8以上の受信感度を与える方位角の割合が0.8となり、携帯機を傾けても実用的には常に通信が成立することがわかる。さらに、望ましくは、回転磁場の真円度を0.95(曲線36)以上とし、受信感度が0.92以上となる方位角の割合が約0.8であるようにするとよい。
なお、2つの磁場は車室内部の位置により振幅が変動し、真円度は車室内の位置に依存する。最も好ましい調整方法としては、回転磁場到達領域の境界近傍、即ち送信アンテナ(送信回路)から最も遠方領域において生成されている微弱磁場に対して、真円度が0.8以上となるように調整すれば弱磁場エリアでも携帯機の向きによらず安定した通信が可能となる。送信アンテナに近い領域では磁場が強いので真円度が多少悪化しても通信が成立する。したがって、磁界到達領域内で携帯機の向きによらず安定した通信が可能となる。この結果、送信アンテナからの磁界到達距離を携帯機の向きによらず一定とできる。逆に言えば、受信が可能な磁界到達距離の境界を明確に設定できるようになる。例えば、送信アンテナを車室中央に配置した場合、車室内全体で通信可能で、かつ車外では通信不可能になるように、送信磁場強度を調整することが容易になる。この結果、携帯機が車内にあるか、車外にあるかというセキュリティ上重要な判別を正確に実施できる。
実施の形態2.
図9は本実施の形態2に係わる回転磁場送信回路を示す構成図である。図9に示す回転磁場送信回路1において、第1の共振回路8は実施の形態1と同様の構成である。第2の共振回路13は、直列接続された第2の送信コイル9、共振コンデンサ10、及び直列抵抗11で構成されており、図2に示すダイオード対12が無い構成のものである。また、第2の送信コイル9として、直径0.5mmの銅線を用いた。実施の形態1では、高周波損失を小さく、したがってQを増大させるために、第2の送信コイル9として直径0.8mmの被覆銅線を用いた。この場合は、図2に示すように、ダイオード対12を接続することが有効となった。本実施の形態では、第2の送信コイル9として直径0.5mmの銅線を使うことにより、高周波損失が比較的大きくなり、その結果Qが比較的小さくなるが、電流i2は必要十分な値で、かつ電流パルスの減衰も十分高速であるため、問題なく通信できた。その結果、第2の共振回路13にダイオード対12を接続する必要がなくなる。
図9は本実施の形態2に係わる回転磁場送信回路を示す構成図である。図9に示す回転磁場送信回路1において、第1の共振回路8は実施の形態1と同様の構成である。第2の共振回路13は、直列接続された第2の送信コイル9、共振コンデンサ10、及び直列抵抗11で構成されており、図2に示すダイオード対12が無い構成のものである。また、第2の送信コイル9として、直径0.5mmの銅線を用いた。実施の形態1では、高周波損失を小さく、したがってQを増大させるために、第2の送信コイル9として直径0.8mmの被覆銅線を用いた。この場合は、図2に示すように、ダイオード対12を接続することが有効となった。本実施の形態では、第2の送信コイル9として直径0.5mmの銅線を使うことにより、高周波損失が比較的大きくなり、その結果Qが比較的小さくなるが、電流i2は必要十分な値で、かつ電流パルスの減衰も十分高速であるため、問題なく通信できた。その結果、第2の共振回路13にダイオード対12を接続する必要がなくなる。
実施の形態3.
図10は本発明の実施の形態3に係わる送信コイルを示す構成図であり、図2の第1の送信コイル4と第2の送信コイル9の例である。図10において、フェライト棒40にソレノイドコイル41が巻かれ、コイル41に近接して主軸方向がコイル41と直交するコイル42が配置されている。コイル42は空芯ループコイルである。コイル41,42のうちのいずれを図2のコイル4,9に選んでも構わないが、例えば、図10において、フェライト棒40に巻いたソレノイドコイル41を第1の送信コイル4とし、上記コイル41を駆動電源に接続することができる。この場合、図10のコイル42を第2の送信コイル9として用いる。その際、コイル41とコイル42は相互インダクタンスが大きくなるように空間配置する必要があり、コイル42の片側を近似的な鞍型構造としている。
また、コイルの実装エリアをなるべく小さくするという車室内の実装上の制約がある。これら2つの条件を満たす構成として、図11に示す構成を採用することができる。図11において、コイル42はフェライト棒40の周囲に配置されると共に、片側が近似的な鞍型構造となっている。このように構成すれば、フェライト棒40に巻いたコイル41と、コイル42との間で、大きな磁気結合(相互インダクタンスM)を生成することができることが実験によりわかった。
図10は本発明の実施の形態3に係わる送信コイルを示す構成図であり、図2の第1の送信コイル4と第2の送信コイル9の例である。図10において、フェライト棒40にソレノイドコイル41が巻かれ、コイル41に近接して主軸方向がコイル41と直交するコイル42が配置されている。コイル42は空芯ループコイルである。コイル41,42のうちのいずれを図2のコイル4,9に選んでも構わないが、例えば、図10において、フェライト棒40に巻いたソレノイドコイル41を第1の送信コイル4とし、上記コイル41を駆動電源に接続することができる。この場合、図10のコイル42を第2の送信コイル9として用いる。その際、コイル41とコイル42は相互インダクタンスが大きくなるように空間配置する必要があり、コイル42の片側を近似的な鞍型構造としている。
また、コイルの実装エリアをなるべく小さくするという車室内の実装上の制約がある。これら2つの条件を満たす構成として、図11に示す構成を採用することができる。図11において、コイル42はフェライト棒40の周囲に配置されると共に、片側が近似的な鞍型構造となっている。このように構成すれば、フェライト棒40に巻いたコイル41と、コイル42との間で、大きな磁気結合(相互インダクタンスM)を生成することができることが実験によりわかった。
図12は、他の送信コイルの例であり、図11と異なる点は、コイル43の両側が鞍型構造になっていることである。なお、注意する点として、鞍型構造を形成する位置を、ソレノイドコイル41の位置に対して非対称に選ぶことである。左右対称な位置で鞍型構造にすると、結合する磁束による誘導電流が互いに打ち消しあうので、磁気結合がゼロになって、電流が流れなくなる。
図13は、さらに他の送信コイルの例であり、図12と異なる点は、左右の鞍型構造部分44a,44bの高さが違う点である。このようにすれば、ソレノイドコイル41が鞍型構造44a,44bの中央に配置されても、磁気結合がゼロにならない。
図14は、図11に示したコイル41,42を有する送信アンテナ50を、車室内のドア部分の内側に実装した様子を示す。各コイル41,42により発生する発生磁場51,52の向きは、矢印に示すとおりであり、送信回路構成を図2に示すようにすれば、各磁場の位相を90度ずらすことができる。その結果、矢印で表示した磁場51,52の合成により車室内空間に回転磁場を生成できる。
図15は、一方のコイル42の向きを90度変えた場合の例であり、第1の磁場51は図14と同じ水平磁場であるが、コイル42の主軸方向を車幅方向としたため、第2の磁場52も水平磁場となっている。この場合も、図2の送信回路構成を用いて各コイル41,42を駆動すれば、車室内空間には回転磁場を生成でき、本発明を実現できる。
図14,図15のいずれの例においても、携帯機に搭載する受信回路の構成を実施の形態1と同様、直交3軸磁場受信回路2とすることにより、回転磁場生成領域で携帯機の向きによらず安定した通信を実現できる。とくに、回転磁場の真円度を0.8以上とすることにより、常に安定した通信が可能となる。また、回転磁界到達領域の境界が車内にあり、かつ上記境界近傍における微弱磁場に対して真円度を0.8以上に調整することにより、携帯機が車内にあればどこでも通信可能であり、車外に移動すれば所定の送信アンテナに対して通信不可能になるように設定することが可能となる。
また、携帯機を胸ポケット内等でPDAに密着して配置しても、送信磁場は二方向形成されているため、いずれかの方向の磁力線が携帯機を通過するため安定な通信が可能である。
また、本発明のように第1の送信コイル及び第2の送信コイルにより1つの送信アンテナを構成し、回転磁場を発生させた場合、従来より少ないアンテナ数で車室内全体をカバーすることが可能になることがわかった。特に、図14に示すような垂直磁場52と水平磁場51との組合せにより、通常、運転席前方に設置される送信アンテナを除外し、運転席と助手席のドアに配置した送信アンテナだけで、車内前方の全領域をカバーできることが判明した。アンテナ数の削減により、車内通信システムのコストダウンを実現できるため、大きなメリットがある。
1 回転磁場送信回路、2 直交3軸磁場受信回路、3 回転磁場、4 第1の送信コイル、5,10 共振コンデンサ、6,11 直列抵抗、7 駆動電源、8 第1の共振回路、9 第2の送信コイル、12 ダイオード対、13 第2の共振回路、20a,20b,20c 受信コイル、21a,21b,21c 共振用コンデンサ、40 フェライト棒、41,42,43 コイル、50 送信アンテナ、51,52 磁場。
Claims (7)
- 回転磁場を生成する回転磁場送信回路と、互いに軸方向が直交する3つの受信コイルを備えた磁場受信回路とを備え、上記回転磁場送信回路と上記磁場受信回路との間で磁気結合による信号伝送を行うことを特徴とする磁界通信装置。
- 回転磁界到達領域の境界近傍において、回転磁場の真円度を0.8以上としたことを特徴とする請求項1記載の磁界通信装置。
- 回転磁場生成領域において、回転磁場の真円度を0.8以上としたことを特徴とする請求項1記載の磁界通信装置。
- 回転磁場送信回路は、駆動電源に接続された第1の送信コイル、及び上記第1の送信コイルに直列接続した共振コンデンサよりなる第1の共振回路と、上記第1の送信コイルの近傍に配置した第2の送信コイル、及び上記第2の送信コイルに直列接続した共振コンデンサよりなる第2の共振回路とを備えたことを特徴とする請求項1記載の磁界通信装置。
- 第2の送信コイルに、並列逆接続したダイオード対を直列接続したことを特徴とする請求項4記載の磁界通信装置。
- 回転磁場送信回路は、互いの軸方向が所定の角度を成すように配置された第1の送信コイル及び第2の送信コイルを備え、上記第1の送信コイルと上記第2の送信コイルとは、フェライト棒に巻かれたループコイルと空芯ループコイルとで構成されていることを特徴とする請求項1記載の磁界通信装置。
- 空芯ループコイルの片側または両側を略鞍型構造としたことを特徴とする請求項6記載の磁界通信装置。
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- 2004-06-08 JP JP2004170188A patent/JP2005354197A/ja active Pending
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