JP2005332961A - インダクタ、インピーダンス整合回路、および通信装置 - Google Patents

インダクタ、インピーダンス整合回路、および通信装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 断面形状が特殊な電極を形成することなく容易に製造できるようにし、高周波帯において低損失なインダクタ、それを備えたインピーダンス整合回路および通信装置を構成する。
【解決手段】 基板1表面に複数の線路導体2a〜2eからなる環状の共振単位を設けたステップリング共振器7を構成し、その表面に絶縁体層3を形成し、さらにその上面にスパイラル電極4、ブリッジ電極5、端子電極6a,6bを形成してスパイラルインダクタ8を構成する。このスパイラルインダクタ8とステップリング共振器7とを誘導性結合させ、ステップリング共振器7の共振周波数付近でのスパイラル電極4を取り巻く磁界ベクトルの疎密変化を平坦化する。
【選択図】 図1

Description

この発明は、無線通信や電磁波の送受信に利用される、たとえばマイクロ波帯やミリ波帯におけるインダクタ、インピーダンス整合回路、および通信装置に関するものである。
たとえば高周波増幅回路では、FETへの電源供給ラインやFETと接続回路とのインピーダンス整合回路の一部にほとんどの場合インダクタが使用されている。インダクタは、理想的にはインダクタンス成分のみを備えるべきであるが、現実の回路では線路や電極の抵抗成分を有し、その抵抗成分によって損失が生じる。特に高周波帯においては線路の表皮効果により高周波抵抗が増大し、増幅回路の利得や出力の低下という問題が発生する。
このような問題を解決することを目的として、特許文献1に示されているようなストリップ線路が提案されている。この特許文献1のストリップ線路は、インダクタを形成する線路の側面部に凹凸を設けたり、電極内部に空隙などを形成することによって電極の表面積を増大させて表皮効果を緩和するようにしたものである。
特開平8−288463号公報
ところが、上記特許文献1に示されているストリップ線路の配線層の断面形状が複雑であるため、製造が困難であったり精度良く線路を作成できなかったりという問題があった。
そこで、この発明の目的は、断面形状が特殊な電極を形成することなく容易に製造できるようにし、高周波帯において低損失なインダクタ、それを備えたインピーダンス整合回路および通信装置を提供することにある。
(1)この発明のインダクタは、スパイラル状に形成したインダクタ用電極を有し、単数または複数の導体線路からなる環状の共振単位の、1個または複数個から構成された共振器を前記インダクタ用電極に近接させた構造とする。
(2)また、この発明のインダクタは、(1)において、導体線路を基板の表面または表面付近に形成して前記共振器を構成するとともに、前記導体線路の上部に絶縁体層を介して前記インダクタ用電極を形成した構造とする。
(3)また、この発明のインダクタは、(1)において、インダクタ用電極を下部基板の表面または表面付近に形成し、導体線路を素子基板の表面または表面付近に形成して前記共振器を構成するとともに、導体線路の形成面をインダクタ用電極の形成面に対向させて下部基板に素子基板を配置した構造とする。
(4)また、この発明のインピーダンス整合回路は(1)〜(3)のインダクタを備えたことを特徴としている。
(5)また、この発明の通信装置は、(1)〜(3)のいずれかのインダクタまたは(4)のインピーダンス整合回路を備えたことを特徴としている。
(1)この発明によれば、スパイラル状に形成したインダクタ用電極に対して、導体線路からなる環状の共振単位で構成された共振器を近接させたことにより、共振周波数近傍における磁界ベクトルは上記共振器による共振モードが支配的となり、スパイラル状のインダクタ用電極を取り巻く磁界ベクトルの疎密変化が平坦化される。その結果、インダクタ用電極の縁端効果や表皮効果が緩和され、Qの高いインダクタが得られる。
(2)また、この発明によれば、基板の表面または表面付近に前記導体線路を形成して共振器を構成するとともに、導体線路の上部に絶縁層を介して前記インダクタ用電極を形成したことにより、別の素子を用いることなく基板上にQの高いインダクタが構成できる。
(3)また、この発明によれば、前記導体線路を素子基板の表面または表面付近に形成して共振器を構成し、それを下部基板のインダクタ用電極の形成面に対向するように、下部基板に対して素子基板を配置したことにより、下部基板のインダクタ用電極と共振器用の導体線路とがそれぞれ最適なプロセスで製造可能となり、線路の微細化によって縁端効果および表皮効果の大きな低減効果が得られる。
(4)また、この発明によれば、前記インダクタを備えることによって低挿入損失のインピーダンス整合回路となり、増幅回路の利得や出力の低下といった問題が解消できる。
(5)また、この発明によれば、前記インダクタまたはインピーダンス整合回路を備えることによって低損失・高利得な通信装置が得られる。
以下、この発明に係るインダクタ、インピーダンス整合回路、および通信装置の例を各図を参照して説明する。
図1は第1の実施形態に係るインダクタの構成を示す図であり、(A)は上面図、(B)は基板表面の平面図、(C)は(A)におけるC−C部分の断面図である。
(B)に示すように、例えばアルミナやサファイア等の絶縁体からなる基板1の表面に、複数の線路導体2からなるステップリング共振器7をフォトリソグラフィ等の薄膜微細加工プロセスで構成している。このステップリング共振器7については後に詳述する。
(A)において破線の円はステップリング共振器7の形成領域を示している。基板1の表面にはステップリング共振器7の形成領域を含む範囲に、ポリイミド(PI)やベンゾシクロブテン(BCB)などの樹脂材料で約10μmの絶縁体層3を形成し、その表面にスパイラル状のスパイラル電極4、ブリッジ電極5、および端子電極6a,6bをそれぞれフォトリソグラフィ等の薄膜微細加工により形成している。スパイラル電極4の外周端は端子電極6bに接続している。またスパイラル電極4の内周端はブリッジ電極5の一方端に接続していて、ブリッジ電極5の他方端は端子電極6aに接続している。ブリッジ電極5はスパイラル電極4を空中で跨いだエアブリッジを構成している。このスパイラル電極4、ブリッジ電極5、および端子電極6a,6bによってスパイラルインダクタを構成している。この実施形態に係るインダクタは上記スパイラルインダクタ8に対して上記ステップリング共振器7を互いの面同士を近接させて誘導性結合(磁界結合)させたものである。
基板1上の導体線路2a,2b,2c,2d,2eは、その両方の端部同士が幅方向に近接するとともに、導体線路2a,2b,2c,2d,2eのそれぞれの一方の先端と、それに隣接する他の導体線路の一方の先端とが、Gで示す位置で所定間隙を隔てて向き合うように配置している。このパターンは、一本のスパイラル状の導体線路を、途中の所定箇所で部分的に切断して得られるものに等しい。すなわち、或る2つの隣接する共振単位同士で比較すると、共振単位の容量性領域(図中破線の楕円で囲んだ範囲内に存在する領域)は周回方向に少しずつずれた位置に形成している。
このようにして、限られた占有面積内に多くの導体線路(2a〜2e)を配置して小型のステップリング共振器を構成している。また、各導体線路の全長に亘って、隣接する導体線路同士の間隙を一定とし、導体線路の全体にわたって縁端効果による電流集中を緩和するようにしている。
ここで、上記導体線路2a,2b,2c,2d,2eのうち1つの共振単位について図2を基に説明する。
図2の(A)は1共振単位の平面図である。(B)は、導体線路2の両方の端部同士の近接部分での電界分布を示している。(C)は導体線路上の電流分布を示している。
このように、導体線路2は誘電体基板1上で、一定幅で1周以上周回した形状としていて、その両方の端部を互いに導体線路の幅方向に近接させている。
図2の(B)において実線の矢印は電界ベクトル、白抜きの矢印は電流ベクトルを表している。この(B)に示すように、導体線路の両端x1,x2の幅方向に近接する部分に電界が集中する。また、導体線路の一方の先端部と、それに近接する他方の端部付近x11との間に、および他方の先端部と、それに近接する他方の端部付近x21との間にも電界が分布し、これらの部分に容量が生じる。
図2の(C)に示すように、電流強度は導体線路のAからBにかけて急峻に増大し、B〜Dの領域において略一定値を保ち、DからEにかけて急激に減少する。両端部は0である。導体線路の両端部同士が幅方向に近接する領域A〜B,D〜Eは容量性領域、その他の領域B〜Dを誘導性領域と呼ぶ。この容量性領域と誘導性領域とにより共振動作する。すなわち、この共振単位は、それを集中定数回路のように見なせばLC共振回路を構成している。
このように、共振単位をインピーダンスの高い誘導性領域とインピーダンスの低い容量性領域とから構成していて、インピーダンスがステップ状に変化するので、この共振単位をステップリングと呼ぶ。また、この共振器は複数の共振単位(ステップリング)からなるので、ステップリング共振器と呼ぶ。
このようにして、限られた占有面積内に線数の多い導体線路2の集合体を配置して、線数の多い導体線路を設け、且つ小型の共振器を構成する。なお、ステップリング共振器の微細電極の線幅を動作周波数における表皮深さよりも小さくすることによって表皮効果を緩和し、このステップリング共振器での損失を低減させている。
図3は図1に示したインダクタの等価回路図である。ここで「第1の回路」は上層に形成したスパイラルインダクタによる回路、「第2の回路」は下層のステップリング共振器による回路である。このようにスパイラルインダクタはインダクタンスL1と抵抗R1の直列回路に対してキャパシタンスC1を並列接続した回路で表せる。ここでR1はスパイラル電極4の抵抗成分、C1はスパイラル電極の形状によって生じる寄生容量である。
ステップリング共振器は、インダクタンスL2、抵抗R2、およびキャパシタンスC2のリング回路によって表せる。ここでR2は線路導体2の抵抗成分、C2は前記容量性領域のキャパシタンス、L2は前記誘導性領域によるインダクタンスである。
この等価回路からも明らかなように、スパイラルインダクタの第1端子と第2端子間は直流(DC)から伝達可能である。スパイラル電極4の巻数(ターン数)が多い程インダクタンスが増大するが、高周波では寄生容量が増大する。寄生容量を低減するためにはスパイラル電極の線幅に比べて線間隔の大きい方が有利である。
次に、図1に示したインダクタの磁界ベクトル分布のシミュレーション結果を図4に示す。(A)はステップリング共振器7およびスパイラルインダクタ8の形成領域の中心から右半面の断面について磁界ベクトルの分布を示している。また(B)は(A)における部分拡大図である。ここで下層のステップリング共振器は、その線路導体の線路幅を1.3μm、線路間隔を1.3μm、線数を60線とし、各線に1[A]の電流を分布させた。上層のスパイラルインダクタのスパイラル電極は、線幅を1.3μm、線間隔を15.7μm、巻数を10ターンとし、1[A]の電流を分布させた。
図10は、図1に示した下層のステップリング共振器を設けない、上層のスパイラルインダクタ単体での磁界ベクトル分布のシミュレーション結果である。但し、FEM計算でメッシュ条件を共通にするために、図4のステップリング共振器の線路導体に相当する部分にはダミーの空気を配置している。
図10に示すようにスパイラル電極4に電流が流れた時に誘導される磁界ベクトルの分布は、スパイラル電極単体で見たときに、スパイラル電極の線間隔が大きいほど、電極の一つの線毎(断面でみたときの一つの線断面毎)に、それをとりまく様な分布で疎密変化が急峻となる。これに対し、図4に示すようにステップリング共振器がスパイラル電極4に近接すると、スパイラル電極4とステップリング共振器7が相互誘導結合する。そのためステップリング共振器7の各線路導体の周囲には、ステップリング共振器7の共振周波数に依存した振幅で同じ周波数の電流が流れることにより磁界が発生する。さらにステップリング共振器を形成する各線路導体の線路幅と線路間隔が微細であるため、同心環状に形成されたステップリング共振器7には、その中心部から外周部を通る閉磁界が形成される。さらにスパイラル電極4とステップリング共振器7を近接させているため、スパイラル電極4とステップリング共振器7の両方の電極周囲の磁界分布が重なり、両電極を取り囲むような閉磁界が形成される。このようにステップリング共振器をスパイラル電極に近接させることにより、スパイラル電極4の各線(各部)で発生される磁界が緩和される。
その結果、スパイラル電極を取り巻く磁界ベクトルの疎密変化は平坦化される。この時、ステップリング共振器を構成する線路導体2の線幅および線間隔が小さいほど、全体として縁端効果や表皮効果が緩和されて高Q化に有利となる。
図3に示した回路の入力インピーダンスZinは次の式で表される。
但し、
ここで第1の回路(スパイラルインダクタ)のスパイラル電極と第2の回路(ステップリング共振器)および結合係数の計算条件を次のとおりにして求めた回路解析結果を図5に示す。
〔第1の回路(スパイラルインダクタ)〕
自己誘導量 : L1 = 6.7nH (at 1GHz)
Q値 : Q1 = 20 (at 1GHz)
自己共振周波数: f01 = 12GHz
寄生容量 : C1 = 0.0263pF (at 12GHz)
〔第2の回路(ステップリング共振器)〕
自己誘導量 : L2 = 0.681nH (at 5GHz)
Q値 : Q2 = 160 (at 5GHz)
共振周波数 : f02 = 5GHz
内部容量 : C2 = 1.49pF (at 5GHz)
〔結合係数〕
第1と第2の回路の結合係数: k12 = 0.8
相互誘導量 : M12 = 1.71 nH
図5の(A)は、入力インピーダンスZinの実数部Rであり、Ra0は第1の回路(スパイラルインダクタ)のみの場合、Ra1はそれに第2の回路(ステップリング共振器)を付加した場合である。
図5の(B)は、入力インピーダンスZinの虚数部Xであり、Xa0は第1の回路(スパイラルインダクタ)のみの場合、Xa1はそれに第2の回路(ステップリング共振器)を付加した場合である。
図5の(C)は、インダクタのQ値(X/R)であり、Qa0は第1の回路(スパイラルインダクタ)のみの場合、Qa1はそれに第2の回路(ステップリング共振器)を付加した場合である。この例では、2.5〜4GHz付近で高Q化できている。例えば、スパイラルインダクタ単体では約5GHzで38程度のQ値しか得られないのに対し、第2の回路(ステップリング共振器)を付加した場合には3.5GHzで約45と高いQ値が得られている。
図5の(D)はインダクタンス(L=X/ω)について示している。La0は第1の回路(スパイラルインダクタ)単体での特性、La1はそれに第2の回路(ステップリング共振器)を付加した場合の特性である。上記周波数3.5GHzで約15nHが得られる。
この発明の目的はQの高いインダクタを得ることであるので、使用周波数帯でQが最も高くなり、且つ所定のインダクタンスが得られるように上記計算条件で示した各パラメータを設定する。例えば、ステップリング共振器のインダクタンス値を変化させることにより、ステップリング共振器の共振周波数を変えることができるため、スパイラルインダクタは変更することなく、高Q化の効果の得られる周波数帯域を定めることができる。また、よりQ値の高いステップリング共振器を用いることによってインダクタのQ値をさらに高めることができる。
図6はスパイラル電極に流れる電流に対するステップリング共振器の線路導体に流れる電流の比とQ値との関係を示している。この例では上記電流比を0.1から高めるにつれてQ値は上昇し、電流比が1.0の時、Q値は最大となる。このようにスパイラル電極に流れる電流に対するステップリング共振器の線路導体に流れる電流比が1.0の状態は、特定の電極に電流が集中していない状態である。したがって、同等の電流振幅を持った電極を互いに近接させて、疎密の平坦な磁界分布にすることによってQ値の高いインダクタを実現できる。
なお、結合係数が1.0を超えることは実際に考えられないので、図6上の電流比が1.0以上の領域は参考値として示している。
次に、第2の実施形態に係るインダクタの構成を図7を参照して説明する。
図7の(A)はインダクタに用いる共振器素子10の下面図、(B)は基板1の平面図、(C)はインダクタの(B)におけるC−C部分の断面図である。
共振器素子10は素子基板9の表面に図1の(B)に示したものと同様の線路導体2を形成してステップリング共振器7を構成したものである。基板1の上面には図1の(A)に示したものと同様のスパイラル電極4、ブリッジ電極5、および端子電極6a,6bを形成してスパイラルインダクタ8を構成している。
このように基板(下部基板)1側にスパイラルインダクタを構成し、その上部に共振器素子10を、その線路導体2の形成面が基板1のスパイラル電極4の形成面に対向するようにフリップチップボンディングする。共振器素子10には、その四隅にAu(金)バンプBPを形成していて、スパイラル電極4と線路導体2との間隔GをAuバンプBPによって定める。但し、図7の(C)ではバンプを図示していない。
このようにスパイラルインダクタと、それに付加するステップリング共振器を個別に形成し、所定位置関係に組み合わせることによって、第1の実施形態の場合と同様のインダクタを構成することができる。但し、第1の実施形態の場合と異なり、ステップリング共振器を表面が平坦な基板(素子基板)上に薄膜微細加工によって形成できるので、特性バラツキが少なく、また線路導体2の線幅および線路間隔を微細化して、表皮効果の緩和効果をさらに高めることができる。さらに、バンプの高さによってスパイラル電極とステップリング共振器との結合量を調整できる。このことはステップリング共振器のインダクタンス値を変化させることになるので、スパイラルインダクタおよびステップリング共振器自体を変更することなく、バンプ高さによってステップリング共振器の共振周波数を定め、高Q化効果の得られる周波数帯域を定めることができる。
次に、第3の実施形態に係るインダクタについて図8を参照して説明する。
図8の各図は、スパイラルインダクタに付加するステップリング共振器の構成例である。第1・第2の実施形態では、ステップリング共振器の各導体線路の両端の端部同士が幅方向に近接しているとともに、線路導体の一方の先端とそれに隣接する他の線路導体の一方の先端とが所定間隙を隔てて向かい合うように配置したが、図8の(A)に示すように、各導体線路2a,2b,2cの両端の端部を近接させた容量性領域を1箇所に集中して配置してもよい。図中破線の円は容量性領域を示している。
また、第1・第2の実施形態では1つの共振単位を単数の導体線路で構成したが、共振単位を構成する線路導体は単数である必要は無く、複数であってもよい。たとえば図8の(B)に示すように、4つの線路導体で環状の共振単位を構成してもよい。すなわち図8の(B)に示す例では、2a,2b,2c,2dで示す4つの導体線路をそれぞれ4分の1周以上周回した形状としている。2e,2f,2g,2hで示す4つの導体線路や2i,2j,2k,2lで示す4つの導体線路についても同様である。
また、第1・第2の実施形態では、複数の導体線路のそれぞれを同一の線路幅同一の線路間隔にしてステップリング共振器を構成したが、図8の(C)に示すように、複数の導体線路の集合体の幅方向のほぼ中央から両端にかけて導体線路幅を次第に細くしてもよい。この構成により、導体線路集合体の縁端部における表皮効果による電流集中を効率よく緩和でき、その分Qを高めることができる。
なお、図1に示した例では、基板上にステップリング共振器を構成し、その上部にスパイラルインダクタを構成したが、これを逆にしてもよい。すなわち、図1の基板1の表面にスパイラルインダクタ8を構成し、ブリッジ電極5をエアブリッジとはせずに絶縁層上に形成し、スパイラルインダクタの上面に絶縁体層を介してステップリング共振器7を形成することによって、単一の基板上にスパイラルインダクタとステップリング共振器を近接配置してもよい。
次に、第4の実施形態に係るインピーダンス整合回路および通信装置の構成を図9を基に説明する。
図9において送信フィルタTxFILと受信フィルタRxFILを備えたデュプレクサDUPのアンテナポートにアンテナANTを接続し、送信フィルタTxFILの入力ポートと送信回路TxCIRとの間にインピーダンス整合回路IMCを設けている。また受信フィルタRxFILの出力ポートに受信回路RxCIRを接続している。
上記インピーダンス整合回路IMCは送信回路TxCIRの出力段のFETと送信フィルタTxFILの入力ポート間のインピーダンス整合を行う。このインピーダンス整合回路IMCには、第1〜第3の実施形態で示したインダクタを線路に対して直列に設けている。この発明に係るインダクタによれば挿入損失が抑えられるため、送信信号の電力損失が低減でき、高利得化が図れる。
第1の実施形態に係るインダクタの構成を示す図 同インダクタで用いるステップリング共振器の構成および作用を示す図 同インダクタの等価回路図 同インダクタの磁界ベクトル分布のシミュレーション結果を示す図 同インダクタの周波数特性を示す図 同インダクタの、スパイラル電極の電流に対するステップリング共振器の線路導体に流れる電流比とQ値との関係を示す図 第2の実施形態に係るインダクタの構成を示す図 第3の実施形態に係るインダクタで用いるステップリング共振器の幾つかの構成例を示す図 第4の実施形態に係るインピーダンス整合回路および通信装置の構成を示す図 従来のスパイラルインダクタの磁界ベクトル分布のシミュレーション結果を示す図
符号の説明
1−基板(下部基板)
2−線路導体
3−絶縁体層
4−スパイラル電極
5−ブリッジ電極
6−端子電極
7−ステップリング共振器
8−スパイラルインダクタ
9−素子基板
10−共振器素子

Claims (5)

  1. スパイラル状に形成したインダクタ用電極を有するインダクタであって、
    単数または複数の導体線路からなる環状の共振単位の、1個または複数個から構成された共振器を前記インダクタ用電極に近接させたことを特徴とするインダクタ。
  2. 前記導体線路を基板の表面または表面付近に形成して前記共振器を構成するとともに、前記導体線路の上部に絶縁体層を介して前記インダクタ用電極を形成した請求項1に記載のインダクタ。
  3. 前記インダクタ用電極を下部基板の表面または表面付近に形成し、
    前記導体線路を素子基板の表面または表面付近に形成して前記共振器を構成するとともに、前記導体線路の形成面を前記インダクタ用電極の形成面に対向させて前記下部基板に前記素子基板を配置した請求項1に記載のインダクタ。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のインダクタを備えたインピーダンス整合回路。
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載のインダクタまたは請求項4に記載のインピーダンス整合回路を備えた通信装置。
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