JP2005327214A - 災害発生頻度推定装置、方法、ソフトウェア、記録媒体及び災害事象発生頻度推定システム - Google Patents

災害発生頻度推定装置、方法、ソフトウェア、記録媒体及び災害事象発生頻度推定システム Download PDF

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Abstract

【課題】石油類等化学物質の大気中への漏洩・火災・爆発リスクを定量的に解析し、実用的であり、汎用性、信頼性に富み、恣意性を極力排除し得る災害発生頻度推定装置、方法、ソフトウェア、記録媒体及び災害事象発生頻度推定システムを提供すること。
【解決手段】初期事象及び防護設備を入力するための入力部と、初期事象発生頻度情報を格納する第1格納部と、防護設備標準失敗確率を規定する防護設備標準失敗確率規定部と、初期事象毎のイベントシナリオに対応する分岐事象及び分岐失敗確率情報を格納する第2格納部と、当該入力された初期事象及び防護設備、並びに第1格納部及び第2格納部から取得された該初期事象及び防護設備に対応する初期事象発生頻度及び分岐事象並びに該分岐事象に係る分岐失敗確率、及び当該防護設備標準失敗確率規定部で規定された防護設備標準失敗確率を用いてイベントツリー解析を行うイベントツリー解析部と、当該イベントツリー解析部による解析結果から災害事象及び該災害事象に係る災害発生頻度を求める災害事象・発生頻度導出部とを備えて構成される。
【選択図】 図1

Description

本発明は、例えば災害発生頻度推定装置、方法、ソフトウェア、記録媒体及び災害事象発生頻度推定システムに係り、特に火災保険料の算定を行うための化学物質漏洩に基づく災害発生頻度推定装置、方法、ソフトウェア、記録媒体及び災害事象発生頻度推定システムに関する。
損害保険業界では、リスクの判断基準のひとつとして予想最大損害(Probable Maximum Loss、PML)を見積もることがその業務上極めて重要である。特に、石油産業の場合には、引き受けるリスクが、災害が発生すると極めて大きな損害が発生する可能性を有しているため、想定しうる範囲内で、最大どの程度の損害が発生するかを算出し、かかる損害が発生しても経営に大きな影響を与えないよう再保険を主体にリスク分散させ、低下させている。
一般にPMLの算出は、一定のシナリオを作成し、決定論的に算出しており、確率論的には過去の統計の範囲内で経験則に基づいている。
したがって、PMLの算出において、リスクの良否を反映する要素は比較的少なく、確率論的な要素を考慮することには困難性が存する。
建物火災においては、特開2002−149965号公報に開示されているような火災リスクの評価システムにより、ある程度明らかにさせたが、石油工業などの爆発危険を伴う屋外プラントに係る災害については、未だ明確にされていない。
従来石油工業のPMLは、石油精製工場を例にとると、液化石油ガス(LPG)ベッセル内のLPGが放出し、蒸気雲爆発を発生した場合の損害額による算出が一般的である。即ち、放出エネルギーを爆発力とし、爆風圧によるプラントの損傷度を求める。
この場合、以下のシナリオを想定する。
シナリオ
(1)LPGの最大収容量を特定する。但し、貯蔵タンクは考慮しない。
(2)最大収容量は、プラント内の最大停滞量でなく、最大ベッセルの量とする。
(3)全量が漏洩し、蒸気雲を形成し、引火爆発する。
(4)引火場所は、損害が大きくなる地点にドリフトする。
(5)爆発後、二次爆発は想定しない。

爆風圧の算出
爆発力は、放出エネルギーと燃焼速度により求められる。一般的には、TNT換算してその爆発力を求めている。
この要素としては、爆発依存度と爆発効率がある。
このためには、危険物の物性・化学特性が重要となるが、一般的に物質の種類・温度・圧力・漏洩量を想定した上で、爆風圧を求める。

PMLの算出
一定の爆風圧を受けるプラントの損傷度は、一般的に明らかにされており、爆風圧を3区分または4区分しその区分領域における爆風圧からの損傷度を求め、損害額を算出する。この結果をPMLとしている。この算出も上記の爆風圧の算出システムに損傷度・損害額を組み込むことによりPMLを求める。なお、爆発に伴って、火災が生じるため、この額を経験的に一定率上乗せし、修正する方法もとられている。
具体的には、常圧蒸留装置のLPGリフラックスドラム内のLPGが全量漏洩し、蒸気雲爆発を発生し、爆風圧により、プラントが損害を受け、その損害度により、損害額を算出し、PMLとしている例が多い。

理論的爆風圧の算出
上記は、経験値を含めた簡易的な爆発力の算出モデルであるが、更に詳細に算出するためには、漏洩範囲を漏洩拡散式から算出し、爆発範囲領域を決定し、爆発させ、爆発モデルから、爆風圧を算出するシステムの構築も可能である。これに基づけば、漏洩条件の設定・気象等様々な要因を考慮した上での損害額の算出が可能となる。

爆発事象発生頻度の算出
消防庁特殊災害室発行の「石油コンビナートの防災アセスメント指針」(平成6年3月発行、平成13年3月19日消防特第40号通知別添「新指針」)では、イベントツリー解析(Event Tree Analysis:ETA)が災害事象の発生頻度を推定する手法として採用され、防災設備の機能失敗確率を考慮した防災アセスメントの考え方を提案している。
ETAは、事故の進展とその拡大を阻止する要因の関係を解析する手法である。ETAは、事故の発端を引金事象として起点に置き、その事故災害の進展過程を、防災設備の機能成功・失敗等の二つの分岐事象(Event)に単純化して解析する二元解析法(Binary
Method)である。分岐は、一般的に成功・失敗(Success−Failure)あるいはYes−Noの二分岐で表され、事故災害の拡大過程を樹木状(Tree状)に記述するので、この名がある。ETAは、防災設備の効果や災害事象(火災、爆発、毒性影響)発生の有無等の定性的評価、あるいは災害事象の発生頻度や防災設備の事故拡大防止への寄与などの定量的評価に用いられる。ETAを用いることで、どのような災害の形態が起こり易いかを定量的に捉えることが可能となる。このことによって、防災対策への重点配分を効果的に行うことができる。
前出「石油コンビナートの防災アセスメント指針」第2章には、防災アセスメントの考え方として、以下の評価手法が示されている。

2.1 防災アセスメントの基本概念
われわれはよく「危険」とその反対の「安全」という言葉を耳にする。危険か安全かは主観的なもので、ある人には安全と思われることでも別の人には危険と思われることもよくある。社会はしばしば絶対安全を要求するが、危険がまったくないということは現実的にはあり得ない。
絶対安全が実現不可能であるとすれば、危険がどの程度であれば安全といえるか。このような評価を定量的に行うために、海外では「リスク」という概念がよく用いられる。リスクは、危険な事象(例えば事故)の発生危険と発生したときの影響度の積として表され、一般的に次のように定義される。
Figure 2005327214
事象の発生危険は確率または頻度によって定量化される。確率は、N回の試行に対するある事象の出現回数をn回としたときn/Nとして表され、0と1の間の無次元数(単位を持たない数)となる。頻度は、一定期間にある事象が出現する回数で、リスク評価では1年あたりの出現回数として「/年」という単位をつけて表されることが多い。事象によっては1年に1回以上出現するようなものも考えられ、確率のように0と1の間になるとは限らない。
リスク評価では、故障の発生確率や事故の発生頻度といった非常に小さな数値を扱うため、次のような指数表示がよく用いられる。

10−2:確率→100回に1回発生する。
頻度→100年に1回発生する。

5×10−3:確率→200回に1回発生する。
頻度→200年に1回発生する。

2×10−3:確率→500回に1回発生する。
頻度→500年に1回発生する。
一方、事象が発生したときの影響度に関しては、評価の目的に応じて物理的作用が被害を及ぼす範囲の大きさ、死者数や負傷者数などの人的被害、損害額などの経済的損失が用いられる。
石油コンビナートの防災アセスメントにおいても、上記のようなリスクの概念を導入して評価を行う。ただし、災害の発生危険性を総合評価することにより必要な防災対策やその優先度の検討を行うものとする。このような防災アセスメントの基本概念を次に示す。
Figure 2005327214
2.2 防災アセスメント手法の概要
災害の発生危険に関しては、確率的な安全性評価手法の1つであるイベントツリー解析(Event Tree Analysis:ETA)を適用する。この手法は、事故の発端となる事象(初期事象)が見いだされた後、この事象を出発点として事故が拡大していく過程を、各種の防災設備や防災活動の成否、火災や爆発などの現象の発生有無によって枝分かれ式に展開したイベントツリー(Event Tree:ET)を作成して解析するものである。
ツリーに初期事象の発生頻度と事象の分岐確率を与えることにより、中間あるいは末端に現れる各種災害事象がどの程度の頻度で起こりうるかを算出することができる。イベントツリーの概念図を表2に示す。
一方、災害の影響度に関しては、漏えい、火災、爆発に伴う物理的作用(放射熱、爆風圧、拡散ガス濃度など)を確定的モデルにより算定し、この結果に地域特性を考慮し影響の大きさを推定する。
Figure 2005327214
2.3 評価レベル(評価の細かさ)
この防災アセスメントは石油コンビナート全域を対象とするため、主要な施設に限ったとしても相当数の施設を評価する必要がある。これらの施設は細かく見ればすべて異なり、したがって災害拡大イベントツリー、あるいは初期事象の発生頻度や事象の分岐確率は個々の施設によってすべて異なってくる。例えば、製造プラントの潜在危険性の決定要因となりうる規模や構造、取扱物質の種類やプロセス条件などは1つ1つ異なり、ほとんど同じように見える石油タンクでも貯蔵物質の腐食性、配管の材質や太さなどによって漏えい事故の発生頻度は異なってくるであろう。
しかし現実問題として、数多くある施設の1つ1つに対してこのような細かい要因を取入れてETAによる確率的評価を行うことは困難である。したがって、本防災アセスメントを実施するにあたっては、災害の発生や拡大の様相がある程度共通とみなせるような施設群をひとまとめにしたマクロ的な評価を行うことになる。ただし、災害の影響度は、個々の施設の位置やプロセス条件(取扱物質の性状、貯蔵量や滞留量、取扱の温度、圧力、相など)によって決まるため、可能な範囲でこれらを反映して評価する必要がある。
このようなことから、本防災アセスメントを行った結果として石油コンビナート周辺地域が無視できない頻度で災害による重大な影響を受ける恐れがあり、かつ発災時の応急対応が困難な場合には、影響元となる特定の施設を対象としたさらに詳細な防災アセスメントを実施し、この結果をもとに施設の安全強化対策を検討することが望ましい。この意味で、本防災アセスメントは主として行政が行うべき防災対策の重点地域を洗い出すための基礎的な防災アセスメントであり、これにより直ちに事業所に多額のコストを要するハード対策を要求するものではない。

2.4 評価にあたっての留意点
本防災アセスメントにおいては、災害の発生危険と影響度の推定が評価の主要な部分を占める。
災害の発生危険に関しては、ETAにより各種災害事象の発生頻度を算出する原理は簡単である。しかし、前提となる初期事象の発生頻度と事象の分岐確率を与えるためには過去の事故データや機器の信頼性データが必要になり、現在わが国においてはこれらが十分に整備されているとはいいがたい。本指針では、事象発生頻度や分岐確率の推定方法とともに、現状で入手可能な国内外のデータソースと独自に収集したデータとを示したが、石油コンビナートに存在する多種多様な施設の評価を行うにはまだまだ不足であり、専門家の主観に頼るところが大きい。
このような状況で実施した防災アセスメントにより得られる災害発生頻度の信頼性には問題があるといわざるを得ない。しかし、絶対的な頻度としてではなく、同一の基準のもとで判断した相対的な指標として解釈すると意味がある。このことは、例えば発生頻度が10−3の事象に比べて2×10−3の事象は多少(2倍くらい)起こりやすく、10−2の事象はかなり(10倍くらい)起こりやすいとして解釈することをいう。このような解釈を前提に石油コンビナートで起こりうる災害の発生危険を定量的に評価し、講ずるべき防災対策の優先度を検討することは十分に有意義なことである。
災害の影響度に関しては、災害現象に伴う物理的作用を解析するためのモデルの研究が進んでおり、発生危険度の推定よりも容易であるといえるが、災害現象によっては算定できないものもある。本指針では、比較的簡易に適用できるいくつかのモデルを一例として示したが、これ以外にも国内外の研究者や研究機関によって数多く提案されている。また、近年のパソコンの高速化に伴い、災害現象を厳密に解析できるシミュレーションソフトウエアもパッケージとして販売されている。したがって、これら国内外の多くのモデル、さらに今後の新しい知見も含めた広い視野で検討を行い、想定される災害現象によく適合するものを選定して適用することが望ましい。

以上が「石油コンビナートの防災アセスメント指針」第2章の必要箇所の抜粋である。

更に、防災という観点ではなく、プラント設計の安全性解析という観点から、ETAを用いて特定のLNG受入基地における災害発生頻度を論じたものとして、「セイフティエンジニアリング 122号掲載論文「インドの液化天然ガス受入基地における安全性解析」(全6ページ)」(2002年12月1日発行)がある。
特開2002−149965号公報 「石油コンビナートの防災アセスメント指針」(平成6年3月発行、平成13年3月19日消防特第40号通知別添「新指針」) 「セイフティエンジニアリング 122号掲載論文「インドの液化天然ガス受入基地における安全性解析」(全6ページ)」(2002年12月1日発行)
上述のとおり、石油及び化学工業等のプラント内で石油類が開放空間に漏洩した場合、漏洩・火災・爆発等リスクが生じ、PMLは、シナリオに基づく決定論的手法をとっている。しかしながら、この算出したPMLの発生確率については、明確化されていない。
例えば、過去の統計からPMLの発生確率がどの程度か検証することとし、1981年から1991年の石油物件の事故件数と損害額についてある統計をまとめると、損害規模12億円以下については損害額2,351億円(損害額割合27.5%)、件数2,139件(件数割合94.1%)、損害規模12〜60億円については損害額2,491億円(損害額割合29.1%)、件数107件(件数割合4.7%)、損害規模60〜120億円については損害額1,768億円(損害額割合20.7%)、件数20件(件数割合0.9%)、損害規模120億円以上については損害額1,940億円(損害額割合22.7%)、件数7件(件数割合0.3%)となる。
この中で、PML規模の事故は、120億円以上で7件発生しているが、大規模な事故例で把握すると次の4件が明らかである。
84:Removill石油:PD:150億円
87:Pampa石化:260億円
86:Norco石油:360億円
89:Phillips石化:900億円
この4件ベースでPMLの発生確率を単純に母数を設定し、割合を求めると以下のとおりとなる。
かかる、石油工業の全世界の工場数は、わが国の工場数から類推すると石油精製工場の1常圧蒸留設備を1ユニットの1工場とすると約1,000工場、石油化学および関連工場数で10,000工場(危険ユニット数とする)および石油貯蔵施設で約9,000構内とすると約20,000工場(ユニット)が存在するものと想定できる。
したがって、4件が11年間で発生すると1年間の発生確率は、220,000分の4となり、約50,000分の1に該当する。
以上は、あくまで平均化した数値であることおよび母数を仮定していること安全性を考慮していないことによる誤差を考えると石油工業全体では、10-4 〜10-6 回/年の範囲内になるものと考えられる。
このように具体的にみたように、過去の石油物件の事故件数と損害額についての統計から、PMLの発生確率につきある程度明確化されるが、あくまで平均化した数値であること、母数を仮定していること、および安全設備の良否による発生確率などの安全性を考慮していないことによる誤差があり、精度は満足できる状態には程遠いのが現状である。
すなわち従来、これらリスクについては、火災保険料率として定量値は、与えられるものの、この数値は、過去の統計における多くの母数に対する損害の平均値に基づいたものである。個々の漏洩・火災・爆発の規模または、損害における発生頻度または確率の算出評価は困難であった。また、防護設備の効果がリスクの評価において定量化されないため、安全性を定量的に評価することは、十分ではなかった。
また先に述べた消防庁特殊災害室発行の「石油コンビナートの防災アセスメント指針」では、ETAが災害事象の発生頻度を推定する手法として採用され、防災設備の機能失敗確率を考慮した防災アセスメントの考え方が提案されているものの、あくまで考え方のガイドラインが示されているだけで、具体的にどのような初期事象を考え、それに対しどのような初期事象の発生頻度という数値を与えるのが最も実用的なシステムを可能とするか、また、上の初期事象に対して具体的にどのような分岐事象を設定し、設定された分岐事象についての失敗確率をどのくらいの数値とするのが実用的で信頼性に足る災害発生頻度推定をもたらすかについては、何ら明らかにされていない。そのため、汎用性、信頼性を備え産業上実用化し得る災害発生頻度を推定するシステム、装置、方法、ソフトウェア等が存在していなかった。
上述の「石油コンビナートの防災アセスメント指針」抜粋にも記載のとおり、前提となる初期事象の発生頻度と事象の分岐確率を与えるためには過去の事故データや機器の信頼性データが必要になり、現在わが国においてはこれらが十分に整備されているとはいいがたい、本指針では、事象発生頻度や分岐確率の推定方法とともに、現状で入手可能な国内外のデータソースと独自に収集したデータを示したが、石油コンビナートに存在する多種多様な施設の評価を行うにはまだまだ不足であり、専門家の主観に頼るところが大きい、とある。
換言すれば、当指針だけでは実際のリスク評価は困難なのである。実用化にあたって、そもそも何を初期事象として具体的に選択すべきか、何を防災設備として考慮すべきか、何を分岐事象とすべきか、しかも分岐事象それぞれをどういう順序とすべきか、最終災害事象としては何が考えられるか、加えて、初期事象の発生確率をどう設定すべきか、防災設備の信頼度を発生確率とどうリンクすべきか、分岐事象の失敗確率をどう設定すべきか、などなど検討すべき課題は多い。
また、前出の「セイフティエンジニアリング」掲載の論文においては、防災という観点ではなく、安全性解析がその目的であり、本発明の意図する、損害保険会社として必要なアンダーライティング上のリスク評価(発生頻度・影響度・最大予測損害額および損害頻度)については一切触れていない。そのため、特定のプラント、しかも特定の火災リスクに特化した議論が展開されている。本発明の目的とする、損害保険会社として必要なアンダーライティング上のリスク評価(発生頻度・影響度・最大予測損害額および損害頻度)については一切触れていない。従って、石油コンビナート他化学物質漏洩全般に汎用的に応用はできない。すなわち、石油産業・化学産業および化学物質を取り扱う産業全般に応用できない。更に、リスクの範囲が狭く、有害物質の漏洩拡散リスクにも応用できない。
また、ETAを用いた災害発生頻度の推定について論じてはいるものの、初期事象として単にLNGの漏洩のみを想定、またそれからの分岐事象としても、初期着火、漏洩見地およびシャットダウン、漏洩から時間を経過した時点での着火(1)および漏洩から時間を経過した時点での着火(2)という4つのイベント事象にしか注目していない。
この論文においては、安全性解析の手順およびその評価について述べているものの、システムとして実用化する開示も示唆も一切ない。
本発明は上記の従来技術の問題を解決するためになされたもので、石油類等化学物質の大気中への漏洩・火災・爆発リスクを定量的に解析し、実用に供することのできる災害発生頻度推定装置、方法、ソフトウェア、記録媒体及び災害事象発生頻度推定システムを提供することを目的とする。
さらには本発明は、汎用性、信頼性に富み、恣意性を極力排除し得る災害発生頻度推定装置、方法、ソフトウェア、記録媒体及び災害事象発生頻度推定システムを提供することを目的とする。
本発明はまた、漏洩・火災・爆発現象と各現象の発生頻度を連成してリスク評価を行い、その手法をシステム的に組み込んだ災害発生頻度推定装置、方法、ソフトウェア、記録媒体及び災害事象発生頻度推定システムを提供することを目的とする。
かかる目的を達成するために本発明に係る災害発生頻度推定装置は、初期事象及び該初期事象に対応する防護設備を入力するための入力部と、初期事象と対応する初期事象発生頻度とに関する情報を格納する第1格納部と、防護設備に対応する防護設備標準失敗確率を規定する防護設備標準失敗確率規定部と、初期事象毎のイベントシナリオに対応する分岐事象及び該分岐事象に係る分岐失敗確率に関する情報を格納する第2格納部と、当該入力された初期事象及び防護設備、並びに第1格納部及び第2格納部から取得された該初期事象及び防護設備に対応する初期事象発生頻度及び分岐事象並びに該分岐事象に係る分岐失敗確率、及び当該防護設備標準失敗確率規定部で規定された防護設備標準失敗確率を用いてイベントツリー解析を行うイベントツリー解析部と、当該イベントツリー解析部による解析結果から災害事象及び該災害事象に係る災害発生頻度を求める災害事象・発生頻度導出部とを具備する。
上記の構成を備える本発明によれば、豊富でさまざまな経験、検証に基づき、最も関連性の高い初期事象の設定を行い、初期事象についての発生頻度として好適な値を割り出し、初期事象ごとのイベントシナリオを最適に設定し、分岐事象の設定及び分岐事象に係る失敗確率として最適な値を設定した上で、これらを第1乃至第3格納部に格納し、イベントツリー解析部がこれら各格納部と情報の授受を行った上でイベントツリー解析を行い、当該解析結果から災害事象・発生頻度導出部が災害事象及び該災害事象に係る災害発生頻度を求めるので、汎用性、信頼性に富む災害発生頻度に関する推定値を得ることが可能となる。
ここで、第1のデータベースに格納される初期事象発生頻度は、事故データに基づく推定によって得られる数値、フォールトツリー解析によって得られる数値、専門的判断による推定によって得られる数値を用いることが可能である。このときフォールトツリー解析は、プロセスの特性に基づき、当該初期事象に発展し得るプロセス異常事象を同定し、該同定したプロセス異常事象に対して所定の異常事象確率を適用することでフォールトツリー解析を行い、当該解析により初期事象発生頻度を定量化する。
またここで、分岐失敗確率は、事故データに基づく推定によって得られる数値、フォールトツリー解析によって得られる数値を用いることが可能である。このときフォールトツリー解析は、当該防護設備のシステムを構成する構成要素を同定し、該構成要素に対して所定の機器故障確率データを適用することでフォールトツリー解析を行い、当該解析により分岐失敗確率を定量化する。
また本発明に係る災害発生頻度推定方法は、初期事象を選択させるための画面を表示し、初期事象に対応する初期事象発生頻度が定義された第1のデータベースから前記入力された初期事象に対応する初期事象発生頻度を取得し、当該入力された初期事象に対応する防護設備を選択させるための画面を表示し、当該選択された防護設備に対応する防護設備標準失敗確率を取得し、初期事象に対応するイベントシナリオが定義された第2のデータベースから前記入力された初期事象に対応するイベントシナリオを取得し、 分岐事象及び分岐失敗確率が定義された第3のデータベースから前記取得されたイベントシナリオに規定された分岐事象及び対応する分岐失敗確率を取得し、当該選択された初期事象及び防護設備、並びに取得された初期事象発生頻度、防護設備標準失敗確率、分岐事象及び分岐失敗確率を用いてイベントツリー解析を行うことにより、災害事象及び該災害事象に係る災害発生頻度を求め、当該求められた災害事象及び該災害事象に係る災害発生頻度を前記初期事象に対応させて表示することを特徴とする。
上記の構成を備える本発明によれば、豊富でさまざまな経験、検証に基づき、最も関連性の高い初期事象の設定を行い、初期事象についての発生頻度として好適な値を割り出し、初期事象ごとのイベントシナリオを最適に設定し、分岐事象の設定及び分岐事象に係る失敗確率として最適な値を設定した上で、これらが書きこまれた第1乃至第3のデータベースから、これらの各種情報を受け取った上でイベントツリー解析を行い、当該解析結果から得られた汎用性、信頼性に富む災害発生頻度に関する推定値が表示されるので、利便性、汎用性がより増すこととなる。
さらに本発明に係るソフトウェアは、少なくとも初期事象及び該初期事象に対応する防護設備を入力させるマクロと、初期事象とその発生頻度とを規定する第1のデータベースと、初期事象毎のイベントシナリオに基づきイベントツリー解析における分岐形態を規定する第2のデータベースと、初期事象毎のイベントシナリオによって各分岐の災害事象となり得る分岐事象とその発生頻度とを規定する第3のデータベースと、解析対象となる初期事象について、対応するイベントシナリオに基づき、イベントツリー上の各分岐に分岐事象と分岐確率とを割り当てるための第1の作業領域と、当該第1の作業領域を参照して、初期事象及び分岐確率をイベントツリー上に展開し、個々の災害事象の発生頻度を計算する関数と、当該関数の解析結果を集約して小計を行うための第2の作業領域とを具備する。
上記の構成を備える本発明によれば、豊富でさまざまな経験、検証に基づき、最も関連性の高い初期事象の設定を行い、初期事象についての発生頻度として好適な値を割り出し、初期事象ごとのイベントシナリオを最適に設定し、分岐事象の設定及び分岐事象に係る失敗確率として最適な値を設定した上で、これらが書きこまれるべき第1乃至第3のデータベースを設定し、解析対象初期事象に対応するイベントシナリオに基づき、イベントツリー上の各分岐に分岐事象と分岐確率とを割り当てるための第1の作業領域を設定し、さらに初期事象及び分岐確率をイベントツリー上に展開し、個々の災害事象の発生頻度を計算する関数と、当該関数の解析結果を集約して小計を行うための第2の作業領域とを備えたので、本発明に係る技術思想を汎用のアプリケーション・ソフトウェア上でも実現し得ることになり、より一層の利便性、汎用性が招来される。
また本発明に係るソフトウェアは、初期事象及び該初期事象に対応する防護設備を選択させるための第1の画面と、当該選択された初期事象に対応する初期事象発生頻度、及び前記選択された防護設備に対応する防護設備標準失敗確率を表示するための第2の画面と、当該選択された初期事象に対応する分岐事象及び該分岐事象に対応する分岐失敗確率を表示するための第3の画面と、当該選択された初期事象及び防護設備、並びに対応する初期事象発生頻度、防護設備標準失敗確率、分岐事象及び該分岐事象に係る分岐失敗確率を用いてイベントツリー解析を行うことにより求められた災害事象及び該災害事象に係る災害発生頻度を表示するための第4の画面とを表示する機能を具備する。
上記の構成を備える本発明によれば、ユーザが第1の画面により初期事象及び該初期事象に対応する防護設備を選択すると、コンピュータ・システム(ソフトウェア、装置)側で第2の画面に当該選択された初期事象に対応する初期事象発生頻度、及び前記選択された防護設備に対応する防護設備標準失敗確率を表示し、さらに第3の画面に当該選択された初期事象に対応する分岐事象及び該分岐事象に対応する分岐失敗確率を表示し、当該選択された初期事象及び防護設備、並びに対応する初期事象発生頻度、防護設備標準失敗確率、分岐事象及び該分岐事象に係る分岐失敗確率を用いてイベントツリー解析を行うことにより求められた災害事象及び該災害事象に係る災害発生頻度を第4の画面に表示するので、本発明に係る技術思想をユーザ・グラフィック・インターフェースとしてのソフトウェアとしても実現し得ることになり、より一層の利便性、汎用性が招来される。
さらに本発明に係る災害事象発生頻度推定システムは、複数の災害初期事象候補、該災害初期事象各々の発生頻度情報、該災害初期事象毎の分岐事象情報および該災害初期事象毎の最終事象である災害事象に係る情報とを有する、災害初期事象に対応する情報を格納する手段と、複数の防護設備候補および該防護設備各々に係る確率情報を有する、防護設備に対応する情報を格納する手段と、当該複数の災害初期事象候補の少なくともひとつを選択入力する手段と、当該複数の防護設備候補の少なくともひとつ選択入力する手段と、当該災害初期事象対応情報格納手段より選択入力された災害初期事象に対応する情報、および前記防護設備対応情報格納手段より選択入力された防護設備に対応する情報を呼び出し災害事象の発生頻度を解析する手段と、当該解析された災害事象の発生頻度を表示する手段とを具備する。
上記の構成を備える本発明によれば、豊富でさまざまな経験、検証に基づき、最も関連性の高い初期事象の設定を行い、初期事象についての発生頻度として好適な値を割り出し、初期事象ごとのイベントシナリオを最適に設定し、分岐事象の設定及び分岐事象に係る失敗確率として最適な値を設定した上で、これらを各種情報の格納部に格納し、解析部がこれら各格納部と情報の授受を行った上でイベントツリー解析を行い、当該解析結果から求められた災害事象及び該災害事象に係る災害発生頻度を表示するので、汎用性、信頼性に富む災害発生頻度に関する推定値を得ることが可能となる。
ここで本発明に係る災害事象発生頻度推定システムは、災害初期事象のクレジットを入力する手段をさらに具備していてもよい。このとき、前記災害発生頻度を解析する手段が、当該入力されたクレジットを加味して解析を行う。
またここで本発明に係る災害事象発生頻度推定システムは、選択入力された防護設備の信頼性を入力する手段をさらに具備していてもよい。このとき、前記災害発生頻度を解析する手段が、当該入力された信頼性を加味して解析を行う。
また、当該災害初期事象が少なくとも、圧力容器大規模破損によるガス大量漏洩、機器ノズル・配管破損によるガス連続漏洩、タンク大規模破損による高沸点液体大量漏洩、機器ノズル・配管破損による高沸点液体連続漏洩、タンク大規模破損による冷凍液体大量漏洩、機器ノズル・配管破損による冷凍液体連続漏洩、タンク大規模破損による低沸点液体大量漏洩、および機器ノズル・配管破損による低沸点液体連続漏洩のいずれかひとつであることが望ましい。これらの要素を災害頻度発生推定システムの要素として組み込み、該システムとして実用化し汎用に適したものとするには、災害初期事象及びその発生頻度としては次のようなものが好ましい。即ち、初期事象:「圧力タンクの大規模破損」の発生頻度:1.00×10-6 (1/year)〜 1.00×10-4(1/year)が好適であり、1.00×10-5 (1/year)
がより好ましい。初期事象:「冷凍タンクの大規模破損」の発生頻度:1.00×10-7 (1/year)〜 2.00×10-4 (1/year)
が好適であり、1.00×10-5(1/year)がより好ましい。初期事象:「大気圧タンクの大規模破損」の発生頻度:1.00×10-6(1/year) 〜 1.00×10-4 (1/year) が好適であり、1.00×10-5 (1/year)
がより好ましい。初期事象:「配管からの漏洩」の発生頻度: 1.00×10-3 (1/year) が好適である。
さらに、防護設備が少なくとも、ガス検知器、手動の緊急遮断装置、遠隔操作の緊急遮断装置、水膜式のガス遮断装置、水蒸気膜式のガス遮断装置、液化石油ガスまたは液化天然ガス蒸気抑制高発泡設備、および固定式粉末消火設備のいずれかひとつであることが望ましい。
また、当該防護設備は、IEC61508電子・電気・プログラムの機能安全規格における安全度水準を満たしたものである場合には、より信頼性の高い防護設備として、高いクレジットを付けることが可能となる。
さらに、当該分岐事象情報が少なくとも、蒸気発生抑制失敗、即時着火防止失敗、初期検知失敗、ガス希釈拡散失敗、緊急遮断失敗、プール火災消火失敗、遅れ着火防止失敗、フラッシュ火災または蒸気雲爆発、およびフラッシュ火災またはプール火災のいずれかひとつであることが望ましい。
また、当該災害事象が少なくとも、ガス希釈拡散、ジェット火災、ジェット火災鎮火、 小規模フラッシュ火災、小規模蒸気雲爆発、小規模漏洩、中規模フラッシュ火災、中規模蒸気雲爆発、中規模漏洩、中大規模フラッシュ火災、中大規模蒸気雲爆発、中大規模漏洩、大規模フラッシュ火災、大規模プール火災、大規模蒸気雲爆発、大規模漏洩、および消火のいずれかひとつであることが望ましい。
さらに、格納手段が、複数の災害初期事象候補および前記災害初期事象各々の発生頻度情報とを有する第1の格納手段、当該災害初期事象毎の分岐事象情報を有する第2の格納手段、および当該災害初期事象毎の最終事象である災害事象に係る情報を有する第3の格納手段とを有するようにしてもよい。
また、解析手段は、当該災害初期事象から最終事象である前記災害事象に至るまでの分岐事象をイベントツリーでモデル化する手段を有するようにしてもよい。
さらに、解析手段が更に、当該災害初期事象の発生および当該分岐事象に係る防護設備の奏功確率をフォールトツリーでモデル化する手段、および該フォールトツリーに基づく確率計算により前記災害事象の発生頻度を解析する手段とを有するようにしてもよい。
また好適には、イベントツリーモデル化手段において、当該災害初期事象が圧力容器大規模破損によるガス大量漏洩である場合には、当該分岐事象が、少なくとも、即時着火防止失敗、初期検知失敗、ガス希釈拡散失敗、遅れ着火防止失敗、およびフラッシュ火災もしくは蒸気雲爆発の順に分岐するよう構成されているのが望ましい。
さらに好適には、イベントツリーモデル化手段において、当該災害初期事象が機器ノズル・配管破損によるガス連続漏洩または機器ノズル・配管破損による低沸点液体連続漏洩であって、当該分岐事象が、少なくとも、即時着火防止失敗、初期検知失敗、緊急遮断失敗、遅れ着火防止失敗、およびフラッシュ火災もしくは蒸気雲爆発の順に分岐するよう構成されているのが望ましい。
また好適には、イベントツリーモデル化手段において、災害初期事象がタンク大規模破損による低沸点液体大量漏洩であって、当該分岐事象が、少なくとも、即時着火防止失敗、初期検知失敗、ガス希釈拡散失敗、遅れ着火防止失敗、およびフラッシュ火災もしくは蒸気雲爆発の順に分岐するよう構成されているのが望ましい。
さらに好適には、イベントツリーモデル化手段において、当該災害初期事象がタンク大規模破損による冷凍液体(LNG、LPG)大量漏洩であって、当該分岐事象が、少なくとも、蒸気発生抑制失敗、即時着火防止失敗、初期検知失敗、ガス希釈拡散失敗、遅れ着火防止失敗、およびフラッシュ火災もしくは蒸気雲爆発またはフラッシュ火災もしくはプール火災、の順に分岐するよう構成されているのが望ましい。
また好適には、イベントツリーモデル化手段において、当該災害初期事象が機器ノズル・配管破損による冷凍液体(LNG、LPG)連続漏洩であって、当該分岐事象が、少なくとも、即時着火防止失敗、初期検知失敗、緊急遮断失敗、遅れ着火防止失敗、およびフラッシュ火災もしくは蒸気雲爆発、の順に分岐するよう構成されているのが望ましい。
さらに好適には、イベントツリーモデル化手段において、当該災害初期事象がタンク大規模破損による高沸点液体大量漏洩であって、当該分岐事象が、少なくとも、即時着火防止失敗、初期検知失敗、プール火災消火失敗、遅れ着火防止失敗、およびフラッシュ火災もしくは蒸気雲爆発、の順に分岐するよう構成されているのが望ましい。
また好適には、イベントツリーモデル化手段において、当該災害初期事象が機器ノズル・配管破損による高沸点液体連続漏洩であって、当該分岐事象が、少なくとも、即時着火防止失敗、初期検知失敗、緊急遮断失敗、遅れ着火防止失敗、およびフラッシュ火災もしくは蒸気雲爆発、の順に分岐するよう構成されているのが望ましい。
本発明によれば、化学物質漏洩に基づく災害事象発生頻度が定量的にかつ精度高く推定できるため、実用的な安全性の定量評価が可能になり、したがって実際的なリスクの評価も可能になり、より実用的な予想最大損害(PML)を見積もることができるようになり、結果かかるリスクに対する安全対策と損害保険料の巨額リスク部分算出の信頼性向上が可能となる。
本発明の概要
本発明においては、理論的にPMLの発生確率を求める算出方法を以下により求めた。
基本的概念として、具体的・簡略的にいえば、従来のシナリオの発生を以下のステップとする。
(1)対象機器の選定(最大容量の容器)
(2)漏洩形態のシナリオ:配管・容器の破損他
(3)漏洩の検知の可否
(4)漏洩の停止可否
(5)引火の有無(爆発発生の有無)
(6)消火および爆発制御の可否
(7)火災・爆発規模の分類---最大がPMLとなる
以上を組合せ確率評価する。
漏洩発生は、初期事象として重要となるが、この発生確率は、文献等の事故データにより、或いは、FTAの展開によって設定する。
漏洩事故発生事象を初期事象とし、漏洩事故からPML事故発生までのプロセスに従って、ETAにて展開することにより、PMLの発生確率を求める。
次に上記のプロセスを、以下のプロセスをもってETAモデルとしてシステム化する。
(第1段階)システムのデータベース作成
ETA展開のためのデータ整備とメモリー保存化する。
データとしては、以下がある。
(ア)初期事象発生確率
(イ)分岐事象失敗確率
・ 緊急遮断弁作動の失敗
・ 遠隔操作バルブ作動の失敗
・ マニュアル作動バルブ作動の失敗
・ 消火設備作動の失敗
・ 検知設備作動の失敗
・ 引火防止の失敗
・ 爆発防止の失敗
(第2段階)ETAプログラムによる解析
ETAを作成し、計算実行プログラムとなる。

(第3段階)出力
ETAの詳細と解析結果を出力する。
以上を概念的に図示したのが図30である。

(第4段階)ETAによる算出例
圧力容器の破壊による大量漏洩を初期事象とした場合の上記システム活用した、ETAによる展開結果の一例を図31に示す。

算出結果
石油精製工場の前述シナリオの漏洩事故発生について、圧力容器破壊からのの瞬間漏洩の発生頻度10-5/年から、かかる爆発発生頻度は、4.5×10-6/年と算出できた。なお、大量漏洩を配管・バルブも含めると更に発生頻度は、増大し、10-5/年程度となる。
以下、図面を参照して、本発明の最良の形態について説明する。
本発明では、化学物質とは、可燃性液体、可燃性ガス、および有毒性ガス等をいう。可燃性液体としてはたとえば、石油、加圧液化物質(例;プロパン、ブタン)、可燃性液体(特に高温・高圧で運転されているもの:例;シクロヘキサン、ナフサ)、可燃性ガスとしてはたとえば、(液化されていない)ガス(例;メタン、エチレン、アセチレン)、LNGやLPGが挙げられる。
災害初期事象候補とは、前述の「石油コンビナートの防災アセスメント指針」10ページに記載されているように、原則として災害のはじまりとなるプロセス内容物の漏えい、あるいは火災や爆発といったいわゆる「事故」の発生である。本発明では災害初期事象として好ましくは、圧力容器大規模破損によるガス大量漏洩、機器ノズル・配管破損によるガス連続漏洩、タンク大規模破損による高沸点液体大量漏洩、機器ノズル・配管破損による高沸点液体連続漏洩、タンク大規模破損による冷凍液体大量漏洩、機器ノズル・配管破損による冷凍液体連続漏洩、タンク大規模破損による低沸点液体大量漏洩、および機器ノズル・配管破損による低沸点液体連続漏洩が挙げられる。
防護設備とは、災害の発生を防ぐ、あるいは発生しても抑止・緩和するための設備であって、本発明では好ましくは、ガス検知器、手動の緊急遮断装置、遠隔操作の緊急遮断装置、水膜式のガス遮断装置、水蒸気膜式のガス遮断装置、液化石油ガスまたは液化天然ガス蒸気抑制式高発泡設備、および固定式粉末消火設備が挙げられる。また好ましくは、IEC61508電子・電気・プログラムの機能安全規格における安全度水準を満たした防護設備が推奨される。
災害初期事象から最終事象である災害事象に至るまでの分岐事象として好ましくは、蒸気発生抑制失敗、即時着火防止失敗、初期検知失敗、ガス希釈拡散失敗、緊急遮断失敗、プール火災消火失敗、遅れ着火防止失敗、フラッシュ火災または蒸気雲爆発、およびフラッシュ火災またはプール火災が挙げられる。
最終事象である災害事象としては、ガス希釈拡散、ジェット火災、ジェット火災鎮火、小規模フラッシュ火災、小規模蒸気雲爆発、小規模漏洩、中規模フラッシュ火災、中規模蒸気雲爆発、中規模漏洩、中大規模フラッシュ火災、中大規模蒸気雲爆発、中大規模漏洩、大規模フラッシュ火災、大規模プール火災、大規模蒸気雲爆発、大規模漏洩、および消火といった事象が好ましくは挙げられる。
図1は、本発明の一実施形態に係る災害発生頻度推定装置の構成を示すブロック図である。
同図に示すように、災害発生頻度推定装置10は、入力部101、第1格納部103、第2格納部105、第3格納部107、イベントツリー解析部109、防護設備標準失敗確率規定部111、災害事象・発生頻度導出部113及び制御部115を備えて構成される。
入力部101は、初期事象及び該初期事象に対応する防護設備を入力するための機能を有する。
第1格納部103、第2格納部105及び第3格納部107はそれぞれ、初期事象と対応する初期事象発生頻度とに関する情報、初期事象に対応するイベントシナリオに係る情報、及び、初期事象毎のイベントシナリオに対応する分岐事象及び該分岐事象に係る分岐失敗確率に関する情報を格納する。なお、ここでは第1格納部103、第2格納部105及び第3格納部107は災害発生頻度推定装置10の内部にあるものとして説明しているが、これらは装置10の外部にあってもよい(図示しない)。
イベントツリー解析部109は、入力部101から入力された初期事象及び防護設備をもとに、第1格納部103から対応する初期事象発生頻度とに関する情報を取得するとともに、第2格納部105から該初期事象及び防護設備に対応するイベントシナリオを検索して取得し、ついでこのイベントシナリオに規定された分岐事象並びに該分岐事象に係る分岐失敗確率を第3格納部107から取得し、後述する防護設備標準失敗確率規定部111で規定された防護設備標準失敗確率を用いてイベントツリー解析を行う機能を有する。
災害事象・発生頻度導出部113は、イベントツリー解析部109による解析結果から災害事象及び該災害事象に係る災害発生頻度を求める機能を有する。
制御部115は、入力部101から(図示しない)画面に入力をうながすメッセージを表示するタイミングを制御するほか、災害発生頻度推定装置10の全般の制御を行う機能を有する。
出力部117は、災害事象・発生頻度導出部113により求められた災害発生頻度を含む各種情報を出力する機能を有する。
次に、上記のように構成される災害発生頻度推定装置の動作を説明する。
図2は、本発明の一実施形態に係る災害発生頻度推定装置の動作を示すフローチャートである。
同図に示すように、災害発生頻度推定装置10の入力部101がまずツール側では、開始(ステップ201)のあと、本装置のユーザに初期事象及び防護設備を入力もしくは選択させる(ステップ202)。必要に応じて、初期事象のクレジットの入力を促し、防護設備強度を設定させる(図示しない)。初期事象及び防護設備が入力されたのを確認した制御部115は、イベントツリー解析部109を通じて、入力された初期事象と対応する初期事象発生頻度を第1格納部103から取得する(ステップ203)とともに、入力された初期事象に対応するイベントシナリオに係る情報を第2格納部105から取得する(ステップ204)。
次に制御部115は、イベントツリー解析部109を通じて、ステップ204で得たイベントシナリオ情報に基づき、初期事象に対応して規定された分析事象を選定し、該分岐事象に係る分岐失敗確率に関する情報を第3格納部107から取得する(ステップ205)。分岐失敗確率を求めるにあたっては、好適にはステップ202にて入力(または選択)された防護設備に基づく。
次にイベントツリー解析部109は、分岐レベルのそれぞれについて分岐確率を計算する(ステップ206)。次には、ステップ206によって求めた確率計算結果を集約して(ステップ207)、求める最終解である災害発生頻度の推定値を得、得られた災害発生頻度を出力部117より出力して(ステップ208)、一連の処理動作を終了する。
以上、本発明の一実施形態に係る災害発生頻度推定装置の構成とその動作について説明したが、上記の説明は、災害発生頻度推定方法としての本発明を実現する場合、さらにはソフトウェアとして或いはソフトウェアが記録された記録媒体として本発明を実現する場合にも該当する。
次に、本発明を災害事象発生頻度推定システムとして実現する場合の別の実施形態について説明する。
図3は、本発明の異なる実施形態に係る化学物質漏洩に基づく災害事象発生頻度推定システムの構成の概要を示す概念的ブロック図である。
以下の説明は当該システムの概略を示すこととし、詳細について上記と重なるところは説明を省略する。
同図に示すように、同システムは、解析結果表示部30、初期事象入力部31、防護設備入力部32、災害初期事象対応情報格納部33、防護設備対応情報格納部34及び災害事象発生頻度解析部35並びにジョブシート301を備えて構成される。災害初期事象対応情報格納部33はさらに、マクロ操作によりジョブシート301に呼び出され得る初期事象データベース331及び分岐階層データベース(ハザードシナリオデータベース)333を備える。防護設備対応情報格納部34は、マクロ操作によりジョブシート301に呼び出され得る防護設備データベース341を備える。災害事象発生頻度解析部35は、マクロからデータが書きこまれる分岐確率データシート351及び、ETA本体353並びにETAシート355を備える。
さらに詳細には、複数の災害初期事象候補の少なくともひとつを選択入力するとともに複数の防護設備候補の少なくともひとつ選択入力するためのジョブシート301、ETA解析のシナリオとなる災害初期事象候補と災害初期事象各々の発生頻度に関する情報を格納する初期事象データベース331、災害初期事象毎の分岐情報、たとえば災害初期事象それぞれについて、基本的な分岐の階層と基本となる分岐失敗確率の情報を格納する分岐階層データベース(ハザードシナリオデータベース)333、標準的な防護設備と標準とする防護設備の失敗確率情報を格納する防護設備データベース341、解析対象となる初期事象について、ETシートの各分岐に対応する個別の分岐確率を割り当て、かつ分岐階層データベースに基づいて、シナリオに対応した分岐確率の候補を、分岐確率をジョブシートで定義した防護設備とその強度(信頼性)に基づいて調整し割り当てる解析ための分岐確率データシート351、および、分岐確率データシート351を参照し、初期事象および分岐確率をETA(イベントツリーアナリシス)上に展開し、個々の最終事象である災害事象の発生頻度を推定する災害事象発生頻度集約/解析(バックグラウンド処理)の機能を有するETA本体を搭載したETAシート355とがあり、ジョブシート301において選択された初期事象に該当する情報が、初期事象データベース331および分岐階層データベース333から呼び出され、またジョブシート301において選択された防護設備に該当する情報が、防護設備データベース341から呼び出され、分岐確率データシート351での解析およびETAシート355への展開・集約を経て、再びジョブシート301に最終事象である災害事象発生頻度が解析結果として表示される。
次に、本システムの動作について説明する。以下において、上記と同様のところは説明を簡略化する。
図4は、当該システムの動作を示すフローチャートである。この図4においては、システム全体の視点をツールの操作としての視点からのフローチャートとツールのマクロとしての視点からのフローチャートとを合成してある。初期事象クレジットおよび防護設備強度については後に触れる。
同図に示すように、まずツール側では、開始(ステップ501)のあと、本システムのユーザに一般事項の入力を促し(ステップ502)、初期事象を選択させる(ステップ503)。続いて、初期事象のクレジットの入力を促し(ステップ504)、防護設備を選択させ(ステップ505)、防護設備強度を設定させる(ステップ506)。一連の入力操作が終了したあとにマクロボタンを押下させる(ステップ507)。これにより、ETA(イベントツリー解析)分析事象が選定され、分岐確率が設定されるとともにマクロ側に制御が移る(ステップ508)。
ステップ508により制御の移ったマクロ側では(ステップ401)、分岐確率データシート351をクリアする(ステップ402)。ステップ503で選択された初期事象に対応する分岐階層を分岐階層データベース333から選択する(ステップ403)。条件付き分岐階層があるかを検証し(ステップ404)、ある場合には分岐階層の条件付き確率を与え(ステップ405)、ない場合にはそのまま、ステップ406に進む。
ステップ406では、ステップ505にて選択された防護設備に基づいた分岐失敗確率を求める(ステップ406)。次に分岐レベルのそれぞれについて分岐確率を計算する(ステップ407〜ステップ409)。なお、ここでは分岐レベルが3層の場合を例にとって説明しているが、分岐レベルの層数はさまざまであり、3層に限定されるわけではない。
マクロ側では、ステップ407〜ステップ409によって求めた確率計算結果を分岐確率データシート351に書き込む(ステップ410)。これにより、最終的に災害発生頻度を集約して(ステップ411)、起こり得る災害事象の発生頻度の推定値を得る。
一方、ツール操作側としては、ステップ508のあと、ETAを参照し(ステップ509)、処理を終了する(ステップ510)。
次に、本発明に係るシステムで採用されるイベントツリー解析(ETA)手法、およびその関連の情報について説明する。

1.イベントツリー解析手法
1.1
概要
イベントツリー解析(Event Tree Analysis : ETA)は、事故の進展とその拡大を阻止する要因の関係を解析する手法である。ETAは、事故の発端を引金事象として起点に置き、その事故災害の進展過程を、防災設備の機能成功・失敗等の二つの分岐事象(Event)に単純化して解析する二元解析法(Binary
Method)である。分岐は、一般的に成功・失敗(Success−Failure)あるいはYes−Noの二分岐で表され、事故災害の拡大過程を樹木状(Tree状)に記述するので、この名がある。
ETAは、防災設備の効果や災害事象(火災、爆発、毒性影響)発生の有無等の定性的評価、あるいは災害事象の発生頻度や防災設備の事故拡大防止への寄与などの定量的評価に用いられる。
消防庁特殊災害室発行の「石油コンビナートの防災アセスメント指針」(平成6年発行、平成13年改訂)では、ETAを災害事象の発生頻度を推定する手法として採用し、防災設備の機能失敗確率を考慮した防災アセスメントの考え方を提案している。ETAを用いることで、どのような災害の形態が起こり易いかを定量的に捉えることが可能となる。このことによって、防災対策への重点配分を効果的に行うことができる。
1.2
ETAの実施手順
ETAにおける解析の対象は、想定される事故事象を起点とする事故の拡大過程である。起点となる事故事象(引金事象、初期事象、あるいは発端事象とも呼ぶ)は、事故データベースの分析、あるいはPHA(Preliminary
Hazard Analysis)、What−If Analysis、HAZOP Study(Hazard and Operability Study)などの手法により見出される。これらの各手法については、それぞれ既知なので、その詳細はここでは省略する。
ETAの準備段階では、想定される事故の現象や規模などに関する情報、および防災設備に関する情報を収集する。
1.3
ツリーの作成
ETA解析の初期段階では、効果があると考えられる防災設備の洗い出しを行う。次に、事故の拡大過程への防災設備の係りあい方をシナリオ化して、ツリーに表現する。
可燃性流体に係る事故では、着火の有無によりその拡大過程が大きく変わるので、防災設備に加えて “着火の有無” による分岐が加えられる。
イベントツリーは、トーナメント図を横にした形で描かれ、時系列的に防災設備の「成功」、「失敗」の分岐を設けて作成する。「成功」に関する分岐は上方に、「失敗」に関する分岐は下方に記述するのが一般的である。なお、時系列的に前の項目が「成功」していないと、後部の項目が成り立たない場合(例えば、検知に成功しないとその後の対策は取り得ない)は分岐を作らない場合もある。
1.4
定性的評価
定性的評価では、ツリー構造に基づいて防災設備の弱点を同定したり、分岐点での分岐割合を事故事例や防災設備の特性に基づいて評価し、災害事象の出現の可否を定性的に評価する。
1.5
定量的評価
定量的評価では、引き金事象(初期事象)の発生頻度と各分岐点の分岐失敗確率に基づいて、各災害事象の発生頻度を求める。求められた発生頻度推定値に基づいて、防災設備(あるいは防災システム)の弱点を分析して、防災対策による安全性向上を図る。
1.5.1
引き金事象(初期事象)の発生頻度
引き金事象の発生頻度は、一般的に次のいずれかによって推定される。
(1)事故データによる推定
事故データによる推定では、過去の事故(統計)データに基づいて発生頻度を推定する。
(2)フォールトツリー解析(FTA)による推定
FTAによる推定では、プロセスの特性(反応や制御)を考慮して、漏洩等の初期事象に発展し得るプロセスシステム異常を同定し、フォールトツリー解析(Fault
Tree Analysis: FTA)を行うことによって、頂上事象の発生頻度を定量的に推定する。多くのETAを解析する場合、総ての初期事象を解析するには多大な時間が必要となる。
(3)専門的判断による推定
専門的判断による推定では、過去の事例等に基づいて、専門家の経験や主観に基づいた判断で推定する。過去に同様の事象が発生していない場合、推定に必要なデータが入手できない場合等には、この方法を採ることになる。この場合、階層構造に基づく分析方法(Analytic
Hierarchy Process: AHP)を適用するのも一つの方法である。
なお、ここでいう「専門家」とは、コンビナート施設の運転員、安全管理者、あるいはリスクアセスメントに携わる専門家である。
1.5.2 分岐確率
事象分岐の確率は、一般的に次のいずれかによって推定される。
⑴専門的判断
専門的判断による推定では、事故事例や事故データに基づいて分岐確率を推定する。
⑵FTAを用いて分岐確率を求める。
防災設備等のシステム構成が分かっている場合、それぞれの構成要素の機器故障率データを用いてFTA定量解析を行うことで、当該防災設備失敗確率(分岐失敗確率)を定量的に推定することが可能である。
1.5.3
1.5.4 故障率・破損発生率データベース
FTAを行う場合には、次のような故障率データベースを参照できる。
・ Offshore Reliability Data Handbook, 1997(OREDA-97) ; SINTEF (Norway)
・ Reliability Data for Control and Safety Systems; SINTEF (Norway)
・ Guidelines for Process Equipment Reliability Data; AIChE CCPS (USA)
・ IEEE Std. 500-1984ss; IEEE
・ COREDAT(the Component Reliability Data); Serco Assurance
・ 「原子力発電所に関する確率論的安全評価用の機器故障率の算出」
・ (研究報告:P95001)(平成8年1月)財団法人電力中央研究所
2.蒸気雲爆発の要因
蒸気雲爆発のシナリオの展開を理解するために、蒸気雲爆発のメカニズムについて検討する。
2.1 蒸気雲爆発の条件
CCPS発行の蒸気雲爆発等評価のガイドライン(Guidelines for Evaluating the Characteristics
of Vapor Cloud Explosions, Flash Fires, and BLEVEs, 1994, CCPS−AIChE
(Center for Chemical Process Safety − American Institute of Chemical Engineers)およびGuidelines
for Chemical Process Quantitative Risk Analysis, Second Edition, 2000, CCPS−AIChE))によると、ブラストによる損害を与え得る規模の蒸気雲爆発は次の条件が揃った場合に起こり得る。
2.1.1 可燃性物質
漏洩物質が可燃性であり、爆発を発生し得る温度・圧力条件であること。それらの可燃性物質の例を挙げると、加圧液化物質(例;プロパン、ブタン)、可燃性液体(特に高温・高圧で運転されているもの:例;シクロヘキサン、ナフサ)、(液化されていない)ガス(例;メタン、エチレン、アセチレン)等である。
2.1.2 蒸気雲のサイズ
蒸気雲爆発を起こすためには、着火までに、蒸気雲が十分なサイズに成長していることが必要である。漏洩時、直ちに着火が起こった場合には、大規模火災、ジェット火災、あるいはファイアーボールとなることはあるが、重大なブラスト(爆風圧)による損傷は起こし難い。
蒸気雲がプロセスエリアに十分に広がった後着火した場合に、広範囲に損傷を与えるブラスト圧を生じる可能性がある。1〜5分の遅れ着火の場合に、蒸気雲爆発に繋がる可能性が最も高いと考えられる。
しかしながら、重大事故例では、漏洩発生後の遅れ着火には、数秒から30分後までの幅があるとされている。従って、後段の実施例(”ETA_Tool.xls” )では、漏洩後の即時着火の可能性はあるとして、着火確率を見込んでいる。
2.1.3 十分な可燃性物質の質量
重大なブラスト(爆風圧)効果を引き起こすためには、十分な蒸気雲質量が可燃性範囲にあることが必要である。蒸気雲には、一般的に、漏洩点近傍の高濃度範囲、蒸気雲周縁の低濃度範囲、それらの間の可燃性範囲という3つの領域がある。これらの範囲は、漏洩時の圧力、漏洩孔のサイズ、漏洩点近傍の換気状態(屋外でも、澱みの起こり易い環境)、風速、風向等の影響を受ける。
ある実験では、フラッシュ火災から蒸気雲爆発となる、最小可燃性蒸気雲質量は1トンから15トンの範囲にあると推定された。また他の実験では、水素やアセチレンといった最小着火エネルギーの小さい物質について、蒸気雲爆発となる最小可燃性蒸気雲質量を100kgと見積もっている。
2.1.4 燃焼速度
蒸気雲爆発による被害の規模を決定するブラストは、可燃性物質の燃焼速度によって影響を受ける。
蒸気雲爆発の多くは爆燃であると考えられるが、それは燃焼の伝播が分子と乱流の移動で支配されている場合である。乱流がない場合には、一般的な炭化水素の火炎伝播速度は、5〜30m/secであると考えられる。この火炎伝播速度では、重大な爆風圧を引き起こすことはできない。従って、準層流状態では、蒸気雲の燃焼は単純であり、大規模なフラッシュ火災となると考えられる。
蒸気雲爆発においては、常に乱流が発生しており、乱流によって爆燃の燃焼速度が大きく促進されることが実証されている。
蒸気雲爆発事故における乱流は、次のいずれかによって引き起こされる。
1.漏出そのものに伴う乱流(例えば、ジェット漏洩あるいは破局的な容器の破損によって引き起こされるもの)
2.燃焼の伝播がプロセス機器の間を通過する際に、その機器の前面の未燃ガス内で発生する乱流
3.外的要因(例えば、換気装置、エアフィンによる空冷熱交換器、およびファン)によって引き起こされる乱流

2.2 着火源
潜在的着火源には、次の表3に示すものが考えられる。
Figure 2005327214
蒸気雲の想定到達範囲において、着火源を最小化する対策が十分とられており、移動しうる着火源の管理が徹底されている場合には、着火確率を低く見積もることが可能である。
3.初期事象発生頻度
3.1 ET初期事象発生頻度
後段の実施例(”ETA_Tool.xls” ) で使用するETAの定量解析における初期事象の発生頻度は、表4に基づく。
Figure 2005327214
3.2 ET初期事象発生頻度の考え方
初期事象発生頻度の標準推定にあたっては、表5及び表6(表5の続き)に示されるように比較検討を行った。
Figure 2005327214
Figure 2005327214
3.3
配管の破損頻度について
災害想定においては、何らかの妥当な規模の破損を仮定した上で決定論的解析で災害影響範囲が推定される。配管の破損頻度に関する資料は、漏洩の発生原因として配管の破断(全破断、中規模部分破断、小規模部分破断)事故を想定する際の一助となり得る。ここでは、それらの破断事故の発生頻度について検討を行い、配管径による破断のし易さや破断の規模の違いを考察する。
破損頻度に関するデータ等は、後述する。なお、配管の破断・破損についての文献データは、使用環境(腐食、温度、圧力等)によるパラメータ整理はされておらず、サイズのみによるマクロな分類であることに注意が必要である。
Center for Chemical Process Safety of the American Institute
of Chemical Engineers (CCPS, AIChE) が出版している "Guideline for
the use of vapor cloud dispersion models" (1987) によると、化学プラントにおける漏洩事故の発生形態について、以下のように記述されている。
現実に起こりうる最大規模の事故として;
・ 1インチ口径の配管の破断
・ 大口径配管のガスケットの部分破損(吹き飛び、噴出)
・ 一般的には運転員の対応を考慮すると漏洩継続時間は15分間と考えられる。
起こりうる最大規模の事故として;
・ 2インチまたは3インチ口径の液配管の破断
・ 一つの容器の全保存量が流出する
上記のように、化学プラントにおいては、ごく一般的には小口径配管(1インチ程度)からの漏洩を、起こりうる現実的な災害として想定する場合が多い。
ここで、Guidelines for Chemical Process Quantitative Risk Analysis, Second Edition, 2000, CCPS−AIChE)およびLoss Prevention in the Process
Industries 2nd Edition, 1996, F.P. Leesから得られた配管の破断・破損事故データを整理すると、表7および表8に示すグラフのようになる。同表中、表題の「重大な漏洩」は中規模部分破断事故による漏洩に、「破局的破断」は全破断に相当する。
Figure 2005327214
Figure 2005327214
なお、破損頻度は単位長さで示されており、配管が長い程破損し易いということになる。これは、物理的に長ければ、それだけ外部的要因による損傷を受ける機会が増えることを意味する。しかしながら、実際のプラントにおける配管の形態を考えると、機器(ポンプ、圧力容器、熱交換器)廻りの配管とラック上の配管では、外部的要因による損傷の機会は異なると考える方が合理的であろう。
大口径配管の破断発生頻度は、表7および表8より350 mmφの配管の破断発生頻度を用いて、ある程度外挿あるいは安全率を仮定して350
mmφの配管の破断発生頻度そのものを用いる等が考えられる。
3.4
配管長に基づいた配管破損頻度の推定
タンク防液堤内の配管長さを想定すると、単位長さあたりの配管破損頻度を用いて、表9のように配管の破損頻度が推定できる。
Figure 2005327214
4.初期事象発生頻度についての考察
4.1 LNGタンク施設数に基づく事故発生頻度推定
国内におけるLNG金属二重殻式タンク基数93基の運転経過年数を平均20年とし、実際には事故は起こっていないが0.5件の事故が起こったと仮定して(但し事故の規模は不特定)、下記の式で事故発生頻度を推定する。実際には、事故が起こっていないので、この式から得られる事故発生頻度は、極めて安全側の推定値となる。
Figure 2005327214
運転年数が短期間であるため、誤差が大きくなっている。すなわち、90%信頼区間の幅が広すぎる。運転年数がもっと長ければ、点推定値自体が小さくなり、90%信頼区間の幅は狭まることになる。
4.2冷凍タンクと大気圧タンクの事故発生頻度の比較
添付書1(Loss Prevention in the Process Industries, Appendix 8/5,
Table A8.2)から、冷凍タンクと大気圧タンクの重大な漏洩事故発生頻度の比は次のようになる。
Figure 2005327214
また、冷凍タンクと大気圧タンクの破局的破損事故発生頻度の比は次のようになる。
Figure 2005327214
更に、「Loss Prevention in the Process Industries, Appendix 14/12,
Table A14.11」からは、次の表10のようなタンク破損頻度のデータが得られる。
Figure 2005327214
金属二重殻タンクで、内槽9%Ni鋼、外槽軟鋼のケースがあるが、これは実質的には表10でいう一重殻タンクに該当する。従って、上記のデータに基づいた場合の冷凍タンクと大気圧タンクの事故発生頻度の比は次のようになる。
Figure 2005327214
以上から、冷凍タンクの内槽の事故発生頻度は、大気圧タンクの事故発生頻度の約1/5と考えることも可能と考えられる。
4.3危険物タンクの事故データに基づく事故発生頻度推定
日本全国での危険物タンクの施設数は約86,000基であり、1992年〜1996年の5年間でのタンク側板・底板の小破損(ただし、微量漏洩を除く)による漏洩が8件発生しており、事故発生頻度は次のように推定できる。
Figure 2005327214
4.4 LNGタンクの事故発生頻度の推定
4.2より冷凍タンクの内槽の事故発生頻度が大気圧タンクの事故発生頻度の約1/5と考え、4.3の大気圧タンクの事故発生頻度に基づいてLNGタンクの側板・底板の破損発生頻度推定すると、次のようになる。
Figure 2005327214
5.初期事象のクレジットの考え方
初期事象の標準発生頻度は、事故データ等に基づいて、前出の表4〜6のように仮定した。
しかしながら、これらの発生頻度には、プロセスに本来備えられている防護設備の効果は考慮されていない。
プロセス機器等には、プロセス異常がハザード(例えば漏洩事故)に繋がらないように、一般的に次の表11の分類による防護が図られている。
Figure 2005327214
これらの安全対策は、本質安全(Inherent Safety)、受動的安全(Passive Safety)、能動的安全(Active
Safety)、手順による安全(Procedural)の順に、相対的に信頼性が低くなる。動作に頼らずにその固有の特性として安全性を備えている点で、本質安全や受動的安全の方が、より信頼性が高くより強固であると言える。一方、能動的安全は機能することで初めてその使命を果たすことができるため、機能失敗の危険性がある。
初期事象の基準発生頻度に対してクレジットを与える場合には、表12に示すような信頼度に影響を与える因子を考慮する。その際、前述した安全対策の相対的信頼度の違いを考慮する。
Figure 2005327214
6.ET分岐確率
6.1 防護設備の有無に依存しない分岐
可燃性物質が大気中に漏洩して蒸気雲が拡散していく場合には、防護設備の有無に依らず、着火する危険性がある。
この着火に関する分岐を、即時着火防止失敗確率(すなわち、即時着火確率)と遅れ着火防止失敗確率(すなわち、遅れ着火確率)の2種類で評価する。
着火防止失敗確率(すなわち着火の確率)は、漏洩物質の最小着火エネルギー、漏洩量、可燃性ガスの比重、拡散の方向等によって影響を受ける。
大量漏洩の場合には、より着火源となるものに接する機会が増えると考えられるため、即時着火防止失敗確率は、少量漏洩の場合に比べて大きくなると考えられる。
またこの場合、燃焼下限界を下回る濃度に希釈されるまでの拡散移動距離が長く、火気管理の行き届いた構内から、火気管理の及ばない構外に可燃性雰囲気が存在する危険性が考えられるため、遅れ着火防止失敗確率は高くなると考えられる。
比較的少量漏洩の場合には、着火源となるものに接する機会はある程度限られると考えられるため、即時着火防止失敗確率は、比較的小さくなると考えられる。
またこの場合、ガス拡散は火気管理の行き届く構内に限定されると考えられるため、遅れ着火防止失敗確率は、比較的小さくなると考えられる。
“ETA_Tool.xls” では、表13の着火防止失敗確率を適用することとした。
Figure 2005327214
6.2防護設備に基づいた分岐失敗確率の考え方
“ETA_Tool.xls” では、表14の防護設備による災害低減効果を考慮している。
Figure 2005327214
ETAの防護設備の失敗に依存する分岐失敗確率は、表15のように考えた。
Figure 2005327214
6.3 分岐確率に影響を与える因子
各防護設備の信頼度に影響を与える要因は、機能の喪失という観点で、表16の事項が考えられる。
Figure 2005327214
次に、本発明に係る化学物質漏洩に基づく災害事象発生頻度推定システムの実施例について説明する。以下実施例において、化学物質漏洩に基づく災害事象発生頻度推定システムを、イベントツリーを用いた蒸気雲爆発発生頻度推定ツールと呼ぶことがあり、またシステムはETA_Tool.xls
によるマクロである。
なお、このマクロは、Microsoft Excel 97(登録商標)のVBAを使用して作成されている。Excel 97(登録商標)での動作確認、及びExcel
2000(登録商標)での動作確認ができている。以下で使用しているExcel(登録商標)依存による画面は、Excel 97(登録商標)のものである。Excel 2000(登録商標)を使用する場合には、若干表示が異なる。
1.概要
“ETA_Tool.xls” の特徴は、次のとおりである。
1)“ETA_Tool.xls” は、漏洩(初期事象)から蒸気雲爆発に至る災害進展のイベントツリーをExcel(登録商標)上に展開して、蒸気雲爆発発生頻度を推定するツールである。
2) “ETA_Tool.xls” を用いると、シートへのデータ入力を最少化し、メニュー操作によってイベントツリー解析(Event Tree Analysis : ETA)を行うことができる。
3)解析結果の要旨を、独立したエクセルファイルとして保存することができる。
2.操作方法
2.1 起動
4) “ETA_Tool.xls” を適当なフォルダーに保存する。
5)Excel 97(登録商標)を起動する。
6)[ファイル(F)][開く(O)]で、“ETA_Tool.xls”を開く。
7)一度使用した後、履歴が残っている場合には、履歴から開いても構わない。
8)図5の警告画面が現れる。
9)[マクロを有効にする(E)] ボタンを押す。
10) 図6の画面が現れる。(但し、表示内容は、前回このファイルを保存した時のものである。)
2.2 メニュー
1)
起動と同時にExcel(登録商標)のメニューバーに図7のメニューが追加される。
2)
このメニューには、図8のように3つの基本操作メニュー、2つの再解析メニュー、及び解析結果保存メニューがある。このメニューバーは、ETA_Tool.xls” を閉じると同時に、エクセルメニューバーから取り除かれる。
2.3
2.4 データを初期化する
1)新しい解析を行う際には、必ずデータの初期化を行う。
2)データの初期化は、メニューバーの「ETA 初期化」を選択することで実行される。
3)データ初期化後の画面は、図9のとおりである。
4)“ジョブ”シートで初期化される範囲は、図9の斜線を付した部分である。
2.5
2.6 解析の準備をする
1) 図10の「初期事象の名称」と「防護設備」をプルダウンメニューから選択する。初期事象プルダウンメニューの下の網掛けセルは、事象の名称をより明確にしたい場合に、補足説明を入力するためのものである。
2) 図10の「ジョブ名称」「顧客名」「解析 ID」横のセルは、必要に応じて入力する。「解析 ID」は、ファイルを別名保存する場合のシート名、ブック名のデフォルト値として利用される。解析結果の整理のためにも、この欄を利用することが望ましい。
3) 初期事象を選択すると、その事象の発生頻度が表示される。
4) この事象発生頻度に対して、プロセス装置の信頼度や防護設備に基づいてクレジットをつける。クレジットのつけ方の目安は、次のとおりである。詳細は、後述の5.1に示す。
標準:1
やや低い:1.2
プロセス防護無し:1.5
やや高度:0.9
高度:0.8
5) 防護設備は複数選択できる。
6) 防護設備の信頼度に応じて、クレジットをつける。クレジットのつけ方の目安は、次のとおりである。詳細は、後述の5.5に示す。
標準:1
信頼度が低い:0.5〜0.9
信頼度が高い:1.1〜1.5
防護設備のクレジットをつけなかった場合は、次のステップで、自動的に標準(1)が選定される。
7) 以上の準備が終わったら、”ETA_Tool.xls” メニューから
[ETA 解析準備] を選択する。
8) [ETA 解析準備] の操作によって、”ジョブ” シートは、図11のようになる。点線で囲まれた(楕円の)範囲が、この操作によって追加されたデータである。
9) それぞれの防護設備の標準失敗確率は、この段階で表示される。同時に、初期事象に対応するイベントツリーが選択され、防護設備の種類、標準失敗確率、防護設備のクレジットを用いて、分岐失敗確率が計算される。
備考:
1) 図11は、図10の状態で、”ETA_Tool.xls” メニューから[ETA
解析準備]を選択した後の状態を表す。図10で、防護設備の信頼度にクレジットを入力していなかったため、 [ETA 解析準備] 操作によって、信頼度に1が入力された。
2) 図10における防護設備等の選択では、防護設備#の順番は昇順に指定する必要はない。[ETA 解析準備] の操作によって、自動的に昇順に並べ替えられる。
2.7
2.8 ETA解析
解析の準備が完了したら、”ETA_Tool.xls” メニューから [ETA 解析実行] を選択する。
1)解析が修了すると、図12のように解析修了メッセージが現れる。
2)解析修了メッセージの “OK” ボタンを押して、エクセルシートに戻り、「災害事象」の内容が見えるところまでスクロールする。図13のように、災害事象発生頻度の計算結果が現れる。(図13は、スクロール後の状態である。)
2.9 再解析を行う
1)ここでは、解析終了後、初期事象発生頻度や分岐確率を修正して、再解析を行う方法を説明する。解析終了後、若しくは解析準備終了後に初期事象発生頻度や分岐確率を修正したい場合には、この操作を行う。図14の斜線を付したセル範囲が修正可能な範囲である。
2)図14は、図11で0.9であった遅れ着火防止失敗確率を0.1に変える例である。
3)初期事象発生頻度や分岐確率の修正が終わったら、”ETA_Tool.xls” メニューから
[ETA 再解析実行(ステップ1)] を選択する。(図15)
4)図16のように、“分岐確率” シートに画面が変わり、メッセージが現れる。図16では、図14の修正に伴って、「遅れ着火防止失敗」の分岐確率が総て0.1に変わっている。
5)”OK” ボタンを押して、必要であれば、各分岐の個別分岐確率(図16のカラムC5〜C29)を修正し(図16)、メニューから [ETA 再解析実行(ステップ2)]
を選択する。(図17)
6)解析が終了し、図12と同様のメッセージが表示される。
2.10
2.11 解析結果を保存する
1)解析結果を別のエクセルブックとして保存しておきたい場合に、”ETA_Tool.xls” メニューから[ETA
解析結果保存]を選択する。
注意: この操作は、途中で中断することはできない。ファイル保存が不要になった場合には、一度保存した後、エクスプローラで削除する。
2)“ジョブ” シートのコピーを作成し、エクセルブックに保存する準備ができると、図18のメッセージが表れる。
3)ファイル保存準備完了メッセージの
“OK” ボタンを押すと、図19のファイル保存先指定ダイアログが現れる。保存先フォルダを指定する。
4)解析の準備段階で入力された「解析 ID」が、シート名、ブック名のデフォルト値として利用されている。
5)別名保存ファイルは、この保存操作後は、閉じている。内容を確認したい場合には、ファイルを開き直す。
6)図20は、別名保存したファイルを開いたものである。ファイル名およびシート名に、解析IDで入力していた名称が用いられている。
7)別名保存ファイルのデータは、数値およびテキストデータのみを抽出したものである。このシートを再利用しての再計算はできない。
2.12 “ジョブ”シートを保存する
作業の終了したマクロファイル “ETA_Tool.xls” は、必ずしも毎回保存し直す必要はない。
次回に継続して、例えば防護設備の信頼度を変えてみる等の作業を行いたい場合には、上書き保存しておくとよい。
3.イベントツリーシナリオ
“ETA_Tool.xls” では、表17のように、初期事象のタイプ(破損の形態)と取り扱い物質の種類(漏洩物質の物性)の組み合わせに基づいたイベントツリーシナリオを用意している。それぞれのイベントツリーシナリオは、図21から図27に示される。
Figure 2005327214
タイプ1は災害初期事象が圧力容器大規模破損によるガス大量漏洩の場合で、これに伴う災害進展イベントツリーに関するシナリオが図21に示されている。かかるシナリオに関するETA展開に係る分岐の考え方は表18に示す。以下では表に係る説明は表をもって代えることとする。
Figure 2005327214
但し、上記表8において、着火防止失敗(即時、遅れ)の意味するところは、実際に着火を防止する機能を示しているものではなく、着火の可能性を示すものである。即時着火防止失敗確率、遅れ着火防止失敗確率それぞれはデフォルトの分岐確率として与えられる。
タイプ2は災害初期事象が機器ノズル・配管破損によるガス・低沸点液体連続漏洩の場合で、これに伴う災害進展イベントツリーに関するシナリオが図22に示されている。かかるシナリオに関するETA展開に係る分岐の考え方は表19に示す。
Figure 2005327214
タイプ3は災害初期事象がタンク大規模破損による低沸点液体大量漏洩の場合で、これに伴う災害進展イベントツリーに関するシナリオが図23に示されている。かかるシナリオに関するETA展開に係る分岐の考え方は表20に示す。
Figure 2005327214
タイプ4は災害初期事象がタンク大規模破損による冷凍液体(LNG、LPG)大量漏洩の場合で、これに伴う災害進展イベントツリーに関するシナリオが図24に示されている。かかるシナリオに関するETA展開に係る分岐の考え方は表21に示す。
Figure 2005327214
タイプ5は災害初期事象が機器ノズル・配管破損による冷凍液体(LNG、LPG)連続漏洩の場合で、これに伴う災害進展イベントツリーに関するシナリオが図25に示されている。かかるシナリオに関するETA展開に係る分岐の考え方は表22に示す。
Figure 2005327214
タイプ6は災害初期事象がタンク大規模破損による高沸点液体大量漏洩の場合で、これに伴う災害進展イベントツリーに関するシナリオが図26に示されている。かかるシナリオに関するETA展開に係る分岐の考え方は表23に示す。
Figure 2005327214
なお、シナリオ6,7(ETAタイプ6,7)の「高沸点液体」とは、大気に漏洩した場合に、プールを構成した後、ある程度の可燃性蒸気を発生し得るものを指す。
タイプ7は災害初期事象が機器ノズル・配管破損による高沸点液体連続漏洩の場合で、これに伴う災害進展イベントツリーに関するシナリオが図27に示されている。かかるシナリオに関するETA展開に係る分岐の考え方は表24に示す。
Figure 2005327214
4.イベントツリーシナリオの定義
“ETA_Tool.xls” におけるツリーは、次の図28のように構成されており、分岐階層(A, B, C, D, E, F)と各階層における番号の組み合わせで、分岐番号(A,
B1, B2, C1, … F32)が定義されている。
分岐事象は、ある分岐番号における分岐において、下側が分岐失敗、上側が分岐成功となるように定義されている。例えば、分岐B2における分岐失敗確率をB2で与えると、分岐失敗事象の確率はB2、分岐成功事象の確率は(1-B2)で与えられる。
災害事象発生頻度は、右端の(1-F1)から(F32)の右側の箱に累積される。
5.シートの説明
”ETA_Tool.xls” には、表25のシートが含まれる。データベースとなっているシートは、保護がかかっているのが好ましく、データの変更等のアクセスは、管理者のみに限定した方がよい。
Figure 2005327214
5.1 “ET Type” シート
表26に示される“ET Type” シートは、3項で分類したイベントツリーシナリオ、それぞれの初期事象の発生頻度、および着火防止失敗確率のデフォルト値を記録したデータベースである。このデータが参照されて、最終事象である災害事象発生頻度の推定に使用される。
Figure 2005327214
なお、シナリオ6, 7の「高沸点液体」とは、大気に漏洩した場合に、プールを構成した後、ある程度の可燃性蒸気を発生し得るものを指す。
これらの初期事象の基準発生頻度は、事故データ等に基づいて決定している。
クレジットを与える場合には、信頼度に影響を与える表27のような因子を考慮する。
Figure 2005327214
5.2 “BranchDef” シート
“BranchDef” シートは、各イベントツリーシナリオに対応して、分岐番号とその分岐(失敗)名称を定義したデータベースである。たとえば、表28に示されるものである。
Figure 2005327214
”Range Name” とは、図28で定義された分岐の名前である。この分岐の名前が、”分岐確率” シートにおいて分岐確率を記入するセルに埋め込まれている。(関数の参照において混乱を避けるため、各分岐名称の前にはアンダースコア
“_” を付けている。)
マクロ操作「ETA解析準備」を実行することで、この情報に基づいて、”分岐確率” シートの該当セルに分岐失敗確率データが代入される。
5.3
5.4 “ETA” シート
“ETA” シートでは、”分岐確率” シートに書き込まれた分岐確率(失敗確率)を参照して、図29のように定義(式を埋め込んでいる)されたイベントツリーで計算を行う。右端の欄には累積災害事象発生頻度が表示される。
ある分岐に失敗確率が与えられていない場合には、分岐失敗確率が0となるため、その分岐に与えられる発生頻度は分岐の上側(成功側)を伝わって右端のトーナメントの末端に伝達される。
5.4 “Final Event” シート
“Final Event” シートは、各イベントツリーシナリオに対応した分岐の詳細情報を定義したデータベースである。
”Location” 欄は、“ETA” シート上で災害発生頻度の累積が与えられるセルを示し、そのセルに表示される発生頻度は、”災害事象”欄に示される災害事象のものであることを示す。
例えば表29の例で解析を行った場合、”ETA” シートのS4というセル(1-F1のイベントに対応する)にある数値は、「ガス希釈拡散」の発生頻度を表す。
Figure 2005327214
なお、“ETA” シート上のセル(図29)と、図28におけるイベントツリーの災害事象との対応は表30のとおりである。
Figure 2005327214
5.5 “D_Table” シート
“D_Table” シートは、防護設備および基本分岐事象の標準失敗確率を定義したデータベースである。
このデータベースの値を参照して、災害事象発生頻度が計算される。この標準値は、必要な場合にのみ、管理者が保護を外して変更することができるようにするのが望ましい。
5.5.1
防護設備
防護設備の標準失敗確率は、表31のように設定されている。イベントの進展に対応して、有効なイベントツリーシナリオが限定されている。表31中で、有効なイベントツリーシナリオの欄に番号だけが記載されているが、これは先に述べたシナリオのタイプ1から7を意味する。
Figure 2005327214
“ジョブ” シートでの解析準備において、有効でないシナリオに対する防護設備を選定した場合には、その防護設備は解析では無視される。
それぞれの防護設備の機能は、表32のとおりである。
Figure 2005327214
各防護設備の信頼度に影響を与える要因は、表33のとおりである。
Figure 2005327214
5.5.2
基本分岐事象
基本分岐事象の標準失敗確率は、表34のように設定されている。
Figure 2005327214
前述の防護設備の信頼度(失敗確率)に依存するもののほか、着火防止失敗(つまり着火)や着火した場合の災害現象のように容易には管理できないものがある。
着火防止失敗確率(すなわち着火の確率)は、漏洩物質の最小着火エネルギー、漏洩量、可燃性ガスの比重、拡散の方向等によって影響を受ける。
“ETA_Tool.xls” では、表13の着火防止失敗確率を適用している。
大量漏洩の場合には、より着火源となるものに接する機会が増えると考えられるため、即時着火防止失敗確率を、少量漏洩の場合に比べて大きくしている。
またこの場合、ガス拡散の結果、火気管理の行き届いた構内から、火気管理の及ばない構外に可燃性雰囲気が到達する危険性を考慮して、遅れ着火防止失敗確率を大きくしている。
比較的少量漏洩の場合には、着火源となるものに接する機会はある程度限られると考えられるため、即時着火防止失敗確率を、比較的小さくしている。
またこの場合、ガス拡散は火気管理の行き届く構内に限定されると考えられるため、遅れ着火防止失敗確率も、比較的小さくしている。
図32乃至図40は、以上説明したような、本発明の一実施形態に係る災害事象発生頻度推定システムによる災害発生頻度推定結果の出力イメージの一例である。それぞれの説明については省略する。
上記の説明において、マクロは、Microsoft Excel 97(登録商標)のVBAを使用して作成する場合を主にし、付随的に、Excel
97(登録商標)及びExcel 2000(登録商標)での動作確認等につき説明したが、本発明に係る上記の技術思想はこれらのアプリケーションに限定されるものでなく、アプリケーションの種類を問わず、適用・実現が可能である。
以上詳述したように、本発明によれば、豊富でさまざまな経験、検証に基づき、最も関連性の高い初期事象の設定を行い、初期事象についての発生頻度として好適な値を割り出し、初期事象ごとのイベントシナリオを最適に設定し、分岐事象の設定及び分岐事象に係る失敗確率として最適な値を設定した上で、これらを各格納部に格納し、イベントツリー解析部がこれら各格納部と情報の授受を行った上でイベントツリー解析を行い、当該解析結果から災害事象・発生頻度導出部が災害事象及び該災害事象に係る災害発生頻度を求めるので、汎用性、信頼性に富む災害発生頻度がシステム的に入手することが可能となる。
本発明の多くの特徴および利点は明細書の詳細な説明から明白である。更に、当該技術分野における通常の知識を有する者にとって修正および改変が容易に数多くなし得るので、図示および記述されたものと寸分違わぬ構成および動作に本発明を限定することは望ましくないことであり、従って、あらゆる適切な改変体および等価体は本発明の範囲に含まれるものと見なされうる。前述の本発明に係る実施形態の説明および例示によって詳細に記述されたが、特許請求の範囲のみならず本発明に係る開示事項全体に定義された本発明の範囲から逸脱することなしに、修正、置換、および、変更が数多く可能であり、また、本発明の技術思想の範囲内で様々な変形が可能である。
例えば、上記の説明では、イベントツリー解析を行った結果、当該解析結果から災害事象・発生頻度導出部が災害事象及び該災害事象に係る災害発生頻度を求めることについて説明したが、かかるイベントツリー解析結果は、災害発生頻度推定以外にもさまざまに利用可能である。また、解析については上記ではイベントツリー解析に主眼を置いて説明したが、かかる解析は、他の解析手法(例えば、ジェネティック・アルゴリズム、タブーサーチ、ランダムサーチ等の探索手法等)を用いてもよい。
また、上述の実施形態では、初期事象や防護設備を設定するのに、人間(ユーザ)が対話型で行うこととしたが、これは予めデータとして設定したバッチ処理の方法によってもよい。
さらに例えば、上記の本発明の技術思想をさらに、経済的な影響評価にまで繋げるシステム、装置、方法、ソフトウェア等としても実現することが可能である。図41はこのような、本願発明に係る技術思想をさらに拡張する場合の概念を示す概念図である。即ち、同図に示すように、(上記と重なる点については説明を割愛する)初期事象、分岐事象及びそれぞれの確率を規定しそれらをETAを用いて解析して得られる物理的な影響評価をもとに、さらに、ロスデータベース、事故情報データベース、判例データベース等を用いることで、ロスデータによる損害解析を行うことにより、例えば、財物損害、人身損害、事業中断、賠償責任等に係る情報を信頼性及び汎用性高いシステム的に獲得することが可能である。
また、本願に係る発明は、その適用において、上記の記述において説明されるか、或いは、図面に示された要素の詳細な解釈及び組み合わせに限定されるものではない。本発明は、他の実施形態が可能であり、種々の方法で実用および実施可能である。また、ここで用いられた語法および用語は記述を目的とするものであり、限定的に働くものとみなされてはならない。
従って、当該技術分野における通常の知識を有する者は、本開示の基調となる概念は、本発明の幾つかの目的を実施するための他の構成及び方法を設計するための基礎として容易に利用され得るものである。従って、本発明の趣旨および範囲から逸脱しない限り、本願の特許請求の範囲にはそのような等価な解釈が含まれるものと見なされるものである。
また、本発明は、上記に挙げた装置、方法、ソフトウェア、システムに限らず、これを組み込んだ複合機械或いは複合装置一般として、またはそれらの一部として、或いは、これらと他の機能とを組み合わせたものとしても、実現することが可能である。
例えば、上記で説明したETAの前段階として、事象発生確率を求めるためのフォールトツリー解析に係るシステムと接合してもよい。図42はこのような拡大的な本願発明の可能性のために用いることのできるフォールトツリー解析に係るシステムによる出力結果の一例を示す図である。
さらに本願発明は、その技術思想の同一及び等価に及ぶ範囲において様々な変形、追加、置換、拡大、縮小等を許容するものである。また、本願発明を用いて生産される装置、方法、ソフトウェア、システムが、その2次的生産品に登載されて商品化された場合であっても、本願発明の価値は何ら減ずるものではない。
本発明の一実施形態に係る災害発生頻度推定装置の構成を示すブロック図である。 本発明の一実施形態に係る災害発生頻度推定装置の動作を説明するためのフローチャートである。 本発明に係るイベントツリー災害発生頻度推定システム仕様に関するブロック図である。 本発明に係るイベントツリー災害発生頻度推定システムの操作およびマクロフローチャートである。 本発明に係るイベントツリー災害発生頻度推定システムに係るマクロ警告画面を示す図である。 本発明に係るイベントツリー災害発生頻度推定システムに係る“ETA_Tool.xls”起動時の画面を示す図である。 本発明に係るイベントツリー災害発生頻度推定システムに係る“ETA_Tool.xls”起動で追加されるメニューバーを示す図である。 本発明に係るイベントツリー災害発生頻度推定システムに係る“ETA_Tool.xls”操作メニューを示す図である。 本発明に係るイベントツリー災害発生頻度推定システムに係る初期化画面を示す図である。 本発明に係るイベントツリー災害発生頻度推定システムに係るデータ選択及びクレジット入力画面を示す図である。 本発明に係るイベントツリー災害発生頻度推定システムに係る解析準備作業後の画面を示す図である。 本発明に係るイベントツリー災害発生頻度推定システムに係る解析終了メッセージ画面を示す図である。 本発明に係るイベントツリー災害発生頻度推定システムに係る解析結果(最終事象である災害事象発生頻度)画面を示す図である。 本発明に係るイベントツリー災害発生頻度推定システムに係る分岐確率の修正例画面を示す図である。 本発明に係るイベントツリー災害発生頻度推定システムに係る再解析メニュー(ステップ1)画面を示す図である。 本発明に係るイベントツリー災害発生頻度推定システムに係る分岐確率の修正画面を示す図である。 本発明に係るイベントツリー災害発生頻度推定システムに係る再解析メニュー(ステップ2)画面を示す図である。 本発明に係るイベントツリー災害発生頻度推定システムに係るファイル保存準備完了メッセージ画面を示す図である。 本発明に係るイベントツリー災害発生頻度推定システムに係るファイル保存先指定ダイアログ画面を示す図である。 本発明に係るイベントツリー災害発生頻度推定システムに係る別名保存したファイル画面を示す図である。 圧力容器大規模破損によるガス大量漏洩に伴う災害進展イベントツリーを示す図である。 機器ノズル・配管破損によるガス・低沸点液体連続漏洩に伴う災害進展イベントツリーを示す図である。 タンク大規模破損による低沸点液体大量漏洩に伴う災害進展イベントツリーを示す図である。 タンク大規模破損による冷凍液体(LNG、LPG)大量漏洩に伴う災害進展イベントツリーを示す図である。 機器ノズル・配管破損による冷凍液体(LNG、LPG)連続漏洩に伴う災害進展イベントツリーを示す図である。 タンク大規模破損による高沸点液体大量漏洩に伴う災害進展イベントツリーを示す図である。 機器ノズル・配管破損による高沸点液体連続漏洩に伴う災害進展イベントツリーを示す図である。 イベントツリーの定義を示す図である。 本発明に係るイベントツリー災害発生頻度推定システムに係る“ETA”シートの一例を示す図である。 本発明の概要を示す概念図である。 本発明に係るETAによる算出結果の一例を示す図である。 本発明に係る災害発生頻度推定システムによる出力結果の一例を示す図である。 本発明に係る災害発生頻度推定システムによる出力結果の一例を示す図である。 本発明に係る災害発生頻度推定システムによる出力結果の一例を示す図である。 本発明に係る災害発生頻度推定システムによる出力結果の一例を示す図である。 本発明に係る災害発生頻度推定システムによる出力結果の一例を示す図である。 本発明に係る災害発生頻度推定システムによる出力結果の一例を示す図である。 本発明に係る災害発生頻度推定システムによる出力結果の一例を示す図である。 本発明に係る災害発生頻度推定システムによる出力結果の一例を示す図である。 本発明に係る災害発生頻度推定システムによる出力結果の一例を示す図である。 本願発明に係る技術思想をさらに拡張する場合の概念を示す概念図である。 拡大的な本願発明の可能性のために用いることのできるフォールトツリー解析に係るシステムによる出力結果の一例を示す図である。
符号の説明
10 災害発生頻度推定装置
30 解析結果表示部
31 初期事象入力部
32 防護設備入力部
33 災害初期事象対応情報格納部
34 防護設備対応情報格納部
35 災害事象発生頻度解析部
101 入力部
103 第1格納部
105 第2格納部
107 第3格納部
109 イベントツリー解析部
111 防護設備標準失敗確率規定部
113 災害事象・発生頻度導出部
115 制御部
117 出力部
301 ジョブシート
331 初期事象データベース
333 分岐階層データベース
341 防護設備データベース
351 分岐確率データシート
353 ETA(イベントツリー解析)本体
355 ETA(イベントツリー解析)シート

Claims (27)

  1. 初期事象及び該初期事象に対応する防護設備を入力するための入力部と、
    初期事象と対応する初期事象発生頻度とに関する情報を格納する第1格納部と、
    防護設備に対応する防護設備標準失敗確率を規定する防護設備標準失敗確率規定部と、
    初期事象毎のイベントシナリオに対応する分岐事象及び該分岐事象に係る分岐失敗確率に関する情報を格納する第2格納部と、
    前記入力された初期事象及び防護設備、並びに第1格納部及び第2格納部から取得された該初期事象及び防護設備に対応する初期事象発生頻度及び分岐事象並びに該分岐事象に係る分岐失敗確率、及び前記防護設備標準失敗確率規定部で規定された防護設備標準失敗確率を用いてイベントツリー解析を行うイベントツリー解析部と、
    前記イベントツリー解析部による解析結果から災害事象及び該災害事象に係る災害発生頻度を求める災害事象・発生頻度導出部と
    を具備することを特徴とする災害発生頻度推定装置。
  2. 前記第1のデータベースに格納される初期事象発生頻度は、事故データに基づく推定によって得られる数値を用いることを特徴とする請求項1記載の災害発生頻度推定装置。
  3. 前記第1のデータベースに格納される初期事象発生頻度は、フォールトツリー解析によって得られる数値を用いることとし、該フォールトツリー解析は、
    プロセスの特性に基づき、前記初期事象に発展し得るプロセス異常事象を同定し、
    前記同定したプロセス異常事象に対して所定の異常事象確率を適用することでフォールトツリー解析を行い、
    前記解析により初期事象発生頻度を定量化する
    ことを特徴とする請求項1記載の災害発生頻度推定装置。
  4. 前記第1のデータベースに格納される初期事象発生頻度は、専門的判断による推定によって得られる数値を用いることを特徴とする請求項1記載の災害発生頻度推定装置。
  5. 前記分岐失敗確率は、事故データに基づく推定によって得られる数値を用いることを特徴とすることを特徴とする請求項1記載の災害発生頻度推定装置。
  6. 前記分岐失敗確率は、フォールトツリー解析によって得られる数値を用いることとし、該フォールトツリー解析は、
    前記防護設備のシステムを構成する構成要素を同定し、
    前記構成要素に対して所定の機器故障確率データを適用することでフォールトツリー解析を行い、
    前記解析により分岐失敗確率を定量化する
    ことを特徴とすることを請求項1記載の災害発生頻度推定装置。
  7. 初期事象を選択させるための画面を表示し、
    初期事象に対応する初期事象発生頻度が定義された第1のデータベースから前記入力された初期事象に対応する初期事象発生頻度を取得し、
    前記入力された初期事象に対応する防護設備を選択させるための画面を表示し、
    前記選択された防護設備に対応する防護設備標準失敗確率を取得し、
    初期事象に対応するイベントシナリオが定義された第2のデータベースから前記入力された初期事象に対応するイベントシナリオを取得し、
    分岐事象及び分岐失敗確率が定義された第3のデータベースから前記取得されたイベントシナリオに規定された分岐事象及び対応する分岐失敗確率を取得し、
    前記選択された初期事象及び防護設備、並びに取得された初期事象発生頻度、防護設備標準失敗確率、分岐事象及び分岐失敗確率を用いてイベントツリー解析を行うことにより、災害事象及び該災害事象に係る災害発生頻度を求め、
    前記求められた災害事象及び該災害事象に係る災害発生頻度を前記初期事象に対応させて表示することを特徴とする災害発生頻度推定方法。
  8. 少なくとも初期事象及び該初期事象に対応する防護設備を入力させるマクロと、
    初期事象とその発生頻度とを規定する第1のデータベースと、
    初期事象毎のイベントシナリオに基づきイベントツリー解析における分岐形態を規定する第2のデータベースと、
    初期事象毎のイベントシナリオによって各分岐の災害事象となり得る分岐事象とその発生頻度とを規定する第3のデータベースと、
    解析対象となる初期事象について、対応するイベントシナリオに基づき、イベントツリー上の各分岐に分岐事象と分岐確率とを割り当てるための第1の作業領域と、
    前記第1の作業領域を参照して、初期事象及び分岐確率をイベントツリー上に展開し、個々の災害事象の発生頻度を計算する関数と、
    前記関数の解析結果を集約して小計を行うための第2の作業領域と
    を具備することを特徴とするアプリケーション・ソフトウェア。
  9. 初期事象及び該初期事象に対応する防護設備を選択させるための第1の画面と、
    前記選択された初期事象に対応する初期事象発生頻度、及び前記選択された防護設備に対応する防護設備標準失敗確率を表示するための第2の画面と、
    前記選択された初期事象に対応する分岐事象及び該分岐事象に対応する分岐失敗確率を表示するための第3の画面と、
    前記選択された初期事象及び防護設備、並びに対応する初期事象発生頻度、防護設備標準失敗確率、分岐事象及び該分岐事象に係る分岐失敗確率を用いてイベントツリー解析を行うことにより求められた災害事象及び該災害事象に係る災害発生頻度を表示するための第4の画面と
    を表示する機能をコンピュータに果たさせるための災害発生頻度推定用ソフトウェア。
  10. 請求項8もしくは9記載のソフトウェアが記録された記録媒体。
  11. 複数の災害初期事象候補、該災害初期事象各々の発生頻度情報、該災害初期事象毎の分岐事象情報および該災害初期事象毎の最終事象である災害事象に係る情報とを有する、災害初期事象に対応する情報を格納する手段と、
    複数の防護設備候補および該防護設備各々に係る確率情報を有する、防護設備に対応する情報を格納する手段と、
    前記複数の災害初期事象候補の少なくともひとつを選択入力する手段と、
    前記複数の防護設備候補の少なくともひとつ選択入力する手段と、
    前記災害初期事象対応情報格納手段より選択入力された災害初期事象に対応する情報、および前記防護設備対応情報格納手段より選択入力された防護設備に対応する情報を呼び出し災害事象の発生頻度を解析する手段と、
    前記解析された災害事象の発生頻度を表示する手段と
    を具備することを特徴とする化学物質漏洩に基づく災害事象発生頻度推定システム。
  12. 前記選択入力された災害初期事象のクレジットを入力する手段を更に有し、
    前記災害発生頻度を解析する手段が、当該入力されたクレジットを加味して解析を行うことを特徴とする請求項11記載の化学物質漏洩に基づく災害事象発生頻度推定システム。
  13. 前記選択入力された防護設備の信頼性を入力する手段を更に有し、
    前記災害発生頻度を解析する手段が、当該入力された信頼性を加味して解析を行うことを特徴とする請求項11記載の化学物質漏洩に基づく災害事象発生頻度推定システム。
  14. 前記災害初期事象が少なくとも、
    圧力容器大規模破損によるガス大量漏洩、
    機器ノズル・配管破損によるガス連続漏洩、
    タンク大規模破損による高沸点液体大量漏洩、
    機器ノズル・配管破損による高沸点液体連続漏洩、
    タンク大規模破損による冷凍液体大量漏洩、
    機器ノズル・配管破損による冷凍液体連続漏洩、
    タンク大規模破損による低沸点液体大量漏洩、および
    機器ノズル・配管破損による低沸点液体連続漏洩
    のいずれかひとつであることを特徴とする請求項11記載の化学物質漏洩に基づく災害事象発生頻度推定システム。
  15. 前記防護設備が少なくとも、
    ガス検知器、
    手動の緊急遮断装置、
    遠隔操作の緊急遮断装置、
    水膜式のガス遮断装置、
    水蒸気膜式のガス遮断装置、
    液化石油ガスまたは液化天然ガス蒸気抑制高発泡設備、および
    固定式粉末消火設備
    のいずれかひとつであることを特徴とする請求項11記載の化学物質漏洩に基づく災害事象発生頻度推定システム。
  16. 前記分岐事象情報が少なくとも、
    蒸気発生抑制失敗、
    即時着火防止失敗、
    初期検知失敗、
    ガス希釈拡散失敗、
    緊急遮断失敗、
    プール火災消火失敗、
    遅れ着火防止失敗、
    フラッシュ火災または蒸気雲爆発、および
    フラッシュ火災またはプール火災
    のいずれかひとつであることを特徴とする請求項11記載の化学物質漏洩に基づく災害事象発生頻度推定システム。
  17. 前記災害事象が少なくとも、
    ガス希釈拡散、
    ジェット火災、
    ジェット火災鎮火、
    小規模フラッシュ火災、
    小規模蒸気雲爆発、
    小規模漏洩、
    中規模フラッシュ火災、
    中規模蒸気雲爆発、
    中規模漏洩、
    中大規模フラッシュ火災、
    中大規模蒸気雲爆発、
    中大規模漏洩、
    大規模フラッシュ火災、
    大規模プール火災、
    大規模蒸気雲爆発、
    大規模漏洩、および
    消火
    のいずれかひとつであることを特徴とする請求項11記載の化学物質漏洩に基づく災害事象発生頻度推定システム。
  18. 前記格納手段が、
    複数の災害初期事象候補および前記災害初期事象各々の発生頻度情報とを有する第1の格納手段、
    前記災害初期事象毎の分岐事象情報を有する第2の格納手段、および
    前記災害初期事象毎の最終事象である災害事象に係る情報を有する第3の格納手段、
    とを有することを特徴とする請求項11記載の化学物質漏洩に基づく災害事象発生頻度推定システム。
  19. 前記解析手段は、
    前記災害初期事象から最終事象である前記災害事象に至るまでの分岐事象をイベントツリーでモデル化する手段
    を有することを特徴とする請求項11記載の化学物質漏洩に基づく災害事象発生頻度推定システム。
  20. 前記解析手段が更に、
    前記災害初期事象の発生および当該分岐事象に係る防護設備の奏功確率をフォールトツリーでモデル化する手段、および
    該フォールトツリーに基づく確率計算により前記災害事象の発生頻度を解析する手段
    とを有することを特徴とする請求項19記載の化学物質漏洩に基づく災害事象発生頻度推定システム。
  21. 前記イベントツリーモデル化手段において、
    前記災害初期事象が圧力容器大規模破損によるガス大量漏洩であって、
    前記分岐事象が、少なくとも、即時着火防止失敗、初期検知失敗、ガス希釈拡散失敗、遅れ着火防止失敗、およびフラッシュ火災もしくは蒸気雲爆発の順に分岐するよう構成されている
    ことを特徴とする請求項19記載の化学物質漏洩に基づく災害事象発生頻度推定システム。
  22. 前記イベントツリーモデル化手段において、
    前記災害初期事象が機器ノズル・配管破損によるガス連続漏洩または機器ノズル・配管破損による低沸点液体連続漏洩であって、
    前記分岐事象が、少なくとも、即時着火防止失敗、初期検知失敗、緊急遮断失敗、遅れ着火防止失敗、およびフラッシュ火災もしくは蒸気雲爆発の順に分岐するよう構成されている
    ことを特徴とする請求項19記載の化学物質漏洩に基づく災害事象発生頻度推定システム。
  23. 前記イベントツリーモデル化手段において、
    前記災害初期事象がタンク大規模破損による低沸点液体大量漏洩であって、
    前記分岐事象が、少なくとも、即時着火防止失敗、初期検知失敗、ガス希釈拡散失敗、遅れ着火防止失敗、およびフラッシュ火災もしくは蒸気雲爆発の順に分岐するよう構成されている
    ことを特徴とする請求項19記載の化学物質漏洩に基づく災害事象発生頻度推定システム。
  24. 前記イベントツリーモデル化手段において、
    前記災害初期事象がタンク大規模破損による冷凍液体大量漏洩であって、
    前記分岐事象が、少なくとも、蒸気発生抑制失敗、即時着火防止失敗、初期検知失敗、ガス希釈拡散失敗、遅れ着火防止失敗、およびフラッシュ火災もしくは蒸気雲爆発またはフラッシュ火災もしくはプール火災、の順に分岐するよう構成されている
    ことを特徴とする請求項19記載の化学物質漏洩に基づく災害事象発生頻度推定システム。
  25. 前記イベントツリーモデル化手段において、
    前記災害初期事象が機器ノズル・配管破損による冷凍液体連続漏洩であって、
    前記分岐事象が、少なくとも、即時着火防止失敗、初期検知失敗、緊急遮断失敗、遅れ着火防止失敗、およびフラッシュ火災もしくは蒸気雲爆発、の順に分岐するよう構成されている
    ことを特徴とする請求項19記載の化学物質漏洩に基づく災害事象発生頻度推定システム。
  26. 前記イベントツリーモデル化手段において、
    前記災害初期事象がタンク大規模破損による高沸点液体大量漏洩であって、
    前記分岐事象が、少なくとも、即時着火防止失敗、初期検知失敗、プール火災消火失敗、遅れ着火防止失敗、およびフラッシュ火災もしくは蒸気雲爆発、の順に分岐するよう構成されている
    ことを特徴とする請求項19記載の化学物質漏洩に基づく災害事象発生頻度推定システム。
  27. 前記イベントツリーモデル化手段において、
    前記災害初期事象が機器ノズル・配管破損による高沸点液体連続漏洩であって、
    前記分岐事象が、少なくとも、即時着火防止失敗、初期検知失敗、緊急遮断失敗、遅れ着火防止失敗、およびフラッシュ火災もしくは蒸気雲爆発、の順に分岐するよう構成されている
    ことを特徴とする請求項19記載の化学物質漏洩に基づく災害事象発生頻度推定システム。
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