JP2005324185A - 嫌気性処理汚泥の処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 処理コスト低減が可能な汚泥処理方法を提供する。
【解決手段】 嫌気性処理汚泥4を、反応器6内で水の存在下で温度300℃以上、圧力15MPa以上で処理する。反応器6での処理によって、汚泥4を短時間で適度に分解処理し、化学原料として優れた処理液を得ることができる。従って、汚泥を焼却処理する従来の処理方法に比べ、焼却処理を不要にすることができ、処理コストを低く抑えることができる。さらには、化学原料、例えば発酵原料として優れた処理液を得ることができるため、工業的に有用な発酵生産物、例えばアルコールを低コストで得ることができる。
【選択図】 図1


Description

本発明は、消化汚泥などの嫌気性処理汚泥を処理する方法、さらに詳しくは、嫌気性処理汚泥を短時間で処理する方法に関する。
地球温暖化対策としてのCO削減、循環型社会構築のための廃棄物削減などの観点から、未利用バイオマスの利用が検討されている。
木質バイオマスと並んで、未利用のバイオマスとして知られる有機汚泥は、通常、焼却処理されている。
バイオマスの利用技術としては、特許文献1および非特許文献1に記載された処理方法がある。これらの文献に記載された処理方法では、バイオマスを超臨界状態または亜臨界状態の水を用いて分解処理する。
特許第3042076号公報 上田進一、他5名、第13回廃棄物学会研究発表会講演論文集、2002年、p.286〜288
しかしながら、上記焼却処理では、多大な加熱コストを要するという問題があった。
超臨界状態または亜臨界状態の水を用いてバイオマスを分解処理する方法には、非特許文献1の第287頁に記載されているように、反応器内面での局部的な加熱により被処理物がチャー化(炭化)してスケールとして生成するという問題があった。さらに、この処理方法では、反応器が高温、高圧条件となるため、被処理物が分解して生成した有機酸などにより反応器の腐食が起こりやすくなるという問題がある。
また、これらの処理方法では、バイオマスの前処理(粉砕等)等に多大なコストを要するという不都合がある。さらには、処理に長時間を要するため処理コストの点で不利であった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は以下の通りである。
(1)処理コスト低減が可能な汚泥処理方法を提供する。
(2)反応器の腐食を防ぐことができる処理方法を提供する。
(3)反応器内で汚泥がチャー化(炭化)してスケールとして生成するのを防ぐことができる処理方法を提供する。
本発明の嫌気性処理汚泥の処理方法は、嫌気性処理汚泥を、反応器内で水の存在下で温度300℃以上、圧力15MPa以上で処理し、有機成分を含む処理液を得ることを特徴とする。
本発明の処理方法では、前記嫌気性処理汚泥と混合したときに混合液の温度および圧力が前記範囲になるように加熱および加圧された水を、前記嫌気性処理汚泥とともに反応器内に導入することによって、反応器内の温度および圧力を前記範囲とすることができる。
前記嫌気性処理汚泥としては、汚泥消化法によって得られた消化汚泥を使用することができる。
本発明の処理方法では、前記反応器に導入する前の前記嫌気性処理汚泥の温度を200℃以下にすることが好ましい。
本発明では、次に示す効果が得られる。
(1)嫌気性処理汚泥を、水の存在下で温度300℃以上、圧力15MPa以上の条件で処理するので、汚泥を短時間で適度に分解処理し、化学原料として利用可能な処理液を得ることができる。
従って、汚泥を焼却処理する方法に比べ、加熱コスト、廃棄物処理コストなどの処理コストを低く抑えることができる。
(2)化学原料として利用可能な処理液、例えば発酵の基質として適した構造の有機成分(例えば単糖類、二糖類などの糖)を多く含む処理液が得られる。
このため、この処理液を発酵させることによって、高濃度の発酵生産物が得られる。従って、工業的に有用な発酵生産物、例えばアルコールを低コストで得ることができる。
(3)バイオマスである汚泥を処理して得られた処理液を用いて、化石燃料の代替として利用できるアルコール等を得ることができるため、化石燃料の使用量を抑制し、二酸化炭素排出量の低減が可能となる。
(4)嫌気性処理(メタン発酵など)により固形物が微細化された汚泥を使用するので、前処理などに要するコストを低減できる。従って、処理コストを低く抑えることができる。
(5)給水の温度および圧力を、混合部における混合液の温度および圧力が上記範囲となるように設定する方法によれば、反応器を外部から加熱することなく、反応器の温度および圧力を上記範囲とすることができる。
このため、反応器自体の温度を低く抑え、反応器内で汚泥がチャー化(炭化)してスケールとして生成するのを防ぐことができる。従って、高濃度の汚泥を使用することができ、汚泥処理効率を高めるとともに、高濃度の生産物を得ることができる。
(6)給水の温度および圧力を、混合部における混合液の温度および圧力が上記範囲となるように設定する方法によれば、反応器自体の温度を低く抑えることができるため、汚泥の分解生成物として有機酸が生じた場合でも反応器が腐食するのを抑制することができる。
(7)給水の温度および圧力を、混合液の温度および圧力が上記範囲となるように設定する方法によれば、短時間で汚泥を分解でき、糖などの有機成分を効率よく生成させることができる。
図1は、本発明の処理方法の一例を実施可能な反応装置の概略構成図である。
反応装置1は、給水2を供給する給水供給部3と、嫌気性処理汚泥4を供給する汚泥供給部5と、反応器6とを主な構成要素とする。
給水供給部3は、給水2を貯留する貯留槽11と、給水2を加圧する給水加圧部12と、給水2を加熱する給水加熱部13と、給水2を反応器6に供給する給水供給路14とを備えている。
給水加圧部12としては、遠心ポンプ、回転ポンプ、往復ポンプ、斜流ポンプ、軸流ポンプなどのポンプを使用できる。
汚泥供給部5は、汚泥4を貯留する貯留槽21と、汚泥4を加圧する汚泥加圧部22と、汚泥4を加熱する汚泥加熱部23と、汚泥4を反応器6に供給する汚泥供給路24とを備えている。
汚泥加圧部22は、第1および第2加圧部26a、26bを備えている。第1および第2加圧部26a、26bは、それぞれシリンダ27a、27bと摺動部28a、28bとを備え、汚泥4を被処理液室29a、29b内で加圧することができるようになっている。
反応器6は、断面略円形の上部空間31を有する上部32と、上部32より内径が大きい断面略円形の下部空間33を有する下部34と、下方に向けて徐々に縮径する底部空間35を有する底部36と、反応器6内の温度を保つヒータである保温部40とを備えている。
反応器6は、上部および下部空間31、33の軸方向がほぼ鉛直方向に沿うようにされている。
反応器上部32には、給水2を上部空間31に導く給水導入路37と、汚泥4を上部空間31に導く汚泥導入路38とが形成されている。
図示例では、これら導入路37、38は、反応器6の上部および下部空間31、33の軸方向に対しほぼ垂直な方向に沿うように形成されている。また、導入路37、38は、互いにほぼ同じ高さ位置に形成されている。また、導入路37、38は、上部空間31の中心軸に対しほぼ回転対称となる位置に形成されている。
導入路37、38が形成された部分の上部空間31は、給水2と汚泥4とが合流する混合部39である。
以下、図1に示す反応装置1を用いて嫌気性処理汚泥を処理する方法の一例を説明する。
本発明の対象となる嫌気性処理汚泥は、嫌気性生物処理(メタン発酵など)によって得られた汚泥であり、汚泥消化法により得られた消化汚泥を例示できる。
汚泥消化法とは、原料汚泥(下水汚泥、家畜糞尿、工業排水汚泥など)を嫌気性条件下で生物処理する方法をいう。
嫌気性処理汚泥は、あらかじめ濾過することが好ましい。濾別された固形分は燃料として使用可能であるため、バイオマスとしての汚泥を有効に利用することができる。また、処理コストの点でも有利になる。
貯留槽11内の給水2を給水加圧部12および給水加熱部13で加圧および加熱する。
給水2の温度は、低すぎる場合には汚泥4の分解率が低くなる。
給水2の温度が高すぎる場合には、反応器6での汚泥4の分解が過剰となり、発酵生産物(後述)の収率が低下することがある。また、有効エネルギーが高い加熱源が必要となり、コスト面で不利になる。
給水2の圧力は、低すぎる場合には、反応器6内で、沸点における飽和水と飽和水蒸気の比エンタルピー差が大きくなるため、混合液が気液2相状態になり不均一になりやすくなることから、汚泥4の分解効率が低くなる。図2は、水の温度と比エンタルピーの関係を示すグラフである。
また、圧力が高すぎる場合には、耐圧強度が高い厚肉の反応器6が必要となり、設備コストがかさむことになる。
このため、給水2の温度および圧力は、給水2を反応器6内で汚泥4と混合したときに混合液の温度が300℃以上(好ましくは320℃以上、さらに好ましくは360℃以上)となり、かつ反応器6内の圧力が15MPa以上(好ましくは18MPa以上、さらに好ましくは20MPa以上)となるように定める。
給水2の温度および圧力は、混合液の温度が550℃以下(好ましくは500℃以下、さらに好ましくは450℃以下)となり、かつ反応器6内の圧力が30MPa以下(好ましくは27MPa以下)となるように定めるのが好ましい。
給水2の温度は、例えば320〜550℃(好ましくは350〜550℃)とすることができる。
給水2は、給水供給路14を通して反応器6の給水導入路37に導入する。
貯留槽21内の嫌気性処理汚泥4を、汚泥供給路24を通して反応器6の汚泥導入路38に導入する。
汚泥4は、高圧の反応器6に導入するため、予め汚泥加圧部22で加圧される。また、汚泥4は、反応器6に導入するに先だって、汚泥加熱部23で加熱することもできる。
汚泥4の温度は、200℃以下、例えば常温(20℃)〜200℃とするのが好ましい。
汚泥4の温度がこの範囲を越えると、反応器6内での汚泥4の分解率が低くなりやすい。また、汚泥加熱部23で汚泥4がチャー化してスケールとして生成しやすくなる。
汚泥4の温度が上記範囲を下回ると、反応器6内の温度を十分に高めるために給水2の温度を非常に高くすることが必要となり、エネルギーコストの点で不利である。
汚泥4の温度および圧力は、水の密度が0.87g/cm以上となるように設定するのが好ましい。これによって、反応器6での汚泥4の分解効率を高めることができる。
図3は、水の温度と圧力と密度との関係を示すグラフである。
給水2と汚泥4の混合比率(容量基準)は、1:1〜9:1(好ましくは2:1〜9:1)とするのが好ましい。
汚泥4の比率がこの範囲より低いと、処理液の有機成分濃度が低くなりすぎ、発酵生産物(後述)の濃度が低くなってしまう。
汚泥4の比率が上記範囲より高いと、反応器6内の温度を十分に高めるために給水2の温度を非常に高くすることが必要となることから、有効エネルギーが高い加熱源が必要となり、コスト面で不利になる。
反応器6において、給水導入路37から導入された給水2と、汚泥導入路38から導入された汚泥4は、上部空間31内に流入し、混合部39で合流する。
給水2と汚泥4はここで混合され、混合液の温度は、300℃以上(好ましくは320℃以上、さらに好ましくは360℃以上)となる。
このように、予め高温にした給水2を用いて反応器6内で混合液を所定の温度にする方法を直接加熱法という。これに対し、反応器を外部から加熱することにより反応器内の温度を設定する方法を間接加熱法という。
反応器6内の圧力は15MPa以上(好ましくは18MPa以上、さらに好ましくは20MPa以上)となる。
混合部39における混合液の温度、および反応器6内の圧力を上記範囲とすることによって、汚泥4の分解率を高め、エタノール発酵などで用いられる発酵原料として適した処理液を得ることができる。
混合液の温度、および反応器6内の圧力は、それぞれ550℃以下(好ましくは500℃以下)、30MPa以下(好ましくは27MPa以下)が好ましい。
混合液の温度が上記範囲未満である場合には、汚泥4の分解が不十分となる。また、混合液が気液2相状態になりやすく、温度が一定でも気液2相の状態が変化するため反応制御が難しくなる。
混合液の温度が上記範囲を越える場合には、反応器6内で汚泥4の分解が過剰となり、発酵生産物の収率が低下することがある。また、有効エネルギーが高い加熱源が必要となり、コスト面で不利になる。
反応器6内の圧力が上記範囲未満である場合には、反応器6内で、沸点における飽和水と飽和水蒸気の比エンタルピー差が大きくなるため、混合液が気液2相状態になり不均一になりやすいことから、汚泥4の分解効率が低くなりやすい。
反応器6内の圧力が上記範囲を越える場合には、耐圧強度が高い厚肉の反応器6が必要となり、設備コストがかさむことになる。
混合液の温度および反応器6内の圧力は、反応器6内の水が超臨界状態または亜臨界状態となるように設定することもできる。
これによって、汚泥4に含まれる難溶有機成分が可溶化しやすくなる。
反応器6内の温度および圧力は、水の密度が0.73g/cm以下(好ましくは0.69g/cm以下、さらに好ましくは0.55g/cm以下)となるように設定するのが好ましい。これによって、汚泥4の分解効率を高めることができる。
なお、反応器6では、必要に応じて保温部40を用いて内部温度を維持することができる。
混合液のpHは特に限定されないが、予めアルカリ(水酸化ナトリウムなど)を汚泥4に添加することなどにより、8以上に設定してもよい。
反応器6内においては、混合液中の微生物が死滅するとともに、有機成分が分解され低分子化する。
汚泥4には、微生物の細胞壁などに由来する難分解性有機成分が含まれているが、難分解性有機成分は反応器6内の処理によって液中に溶出する。溶出した難分解性有機成分は分解され、低分子化する。例えば多糖類は糖化により低分子の糖類(単糖類、二糖類など)となる。単糖類としては、例えばグルコース、フルクトース、ガラクトース、これらの異性体を挙げることができる。
有機成分が分解された処理液は、反応器出口41を経て、処理液排出路42を通して排出される。
処理液は1次冷却部43で冷却された後、固液分離部44で固形物が分離され、次いで2次冷却部45でさらに冷却され、気液分離部46で気体が分離された後、処理液槽47に導入される。
なお、符号48は冷却部43、45に用いられる冷媒を供給する冷媒供給部である。
上記処理液は、発酵原料として発酵槽50に導入され、ここで酵母などの微生物により発酵が行われる。
発酵の種類としては、アルコール発酵(特にエタノール発酵)、酢酸発酵、乳酸発酵を例示できる。
発酵によって、上記処理液中の有機成分、特に糖質が分解され、発酵生産物としてアルコールなど(例えばエタノール)が高収率で得られる。
得られたアルコールは、燃料として利用することができる。例えば、アルコールをガソリンに添加して得られた混合燃料を自動車などに使用することができる。
上記処理方法は、次に示す効果を奏する。
(1)嫌気性処理汚泥4を、水の存在下で温度300℃以上、圧力15MPa以上の条件で処理するので、汚泥4を短時間で適度に分解処理し、化学原料、例えば発酵原料として利用可能な処理液を得ることができる。
従って、汚泥を焼却処理する方法に比べ、加熱コスト、廃棄物処理コストなどの処理コストを低く抑えることができる。
(2)化学原料として利用可能な処理液、例えば発酵原料として優れた処理液を得ることができるため、工業的に有用な発酵生産物、例えばアルコールを低コストで得ることができる。
処理液が発酵原料として優れた性質を有する理由については、次の推測が可能である。
上記温度および圧力条件での処理によって、汚泥4は、反応器6で急激な温度上昇にさらされることになる。
これによって、反応器6内の水の密度が短時間で低下し(すなわち、膨張し)、汚泥4に含まれる有機成分が効率よく分解され、低分子化する。
この際、反応器6内の温度および圧力を上記範囲とするので、有機成分が過剰に低分子化することなく、発酵の基質として適した構造(例えば単糖類、二糖類などの糖)となる。このため、この有機成分を多く含む処理液が得られる。
従って、この処理液を発酵原料として使用すると、高濃度の発酵生産物が得られる。
(3)嫌気性処理汚泥は多くの難分解性有機成分を含むが、上記処理方法によれば、これを効率よく分解し、発酵分解が可能となるまで低分子化することができる。
従って、アルコールなどの発酵生産物の収率を高めることができる。
(4)嫌気性処理汚泥4を上記温度および圧力条件で処理するので、汚泥4に含まれる微生物を死滅させることができる。
このため、処理液を原料として発酵を行う際に、発酵に関与しない微生物の増殖により発酵が阻害されるのを未然に防ぐことができる。
(5)アルコール発酵を行う場合には、バイオマスである汚泥を用いて、自動車などの燃料として利用できるアルコールを得ることができるため、化石燃料の使用量を抑制し、自動車などからの二酸化炭素排出量の低減が可能となる。
(6)一般に、固体のバイオマスを分解処理してアルコールなどの有価物を製造する場合には、バイオマスの前処理(粉砕等)等に多大なコストを要する。
これに対し、上記処理方法では、嫌気性処理(メタン発酵など)により固形物が微細化された汚泥を使用するので、前処理などに要するコストを低減できる。従って、処理コストを低く抑えることができる。
(7)上記処理方法では、給水2の温度および圧力を、混合部39における混合液の温度および圧力が上記範囲となるように設定する。この方法によれば、反応器6を外部から加熱することなく、反応器6の温度および圧力を上記範囲とすることができる。
このため、反応器6自体の温度を低く抑え、反応器6内で汚泥4がチャー化(炭化)してスケールとして生成するのを防ぐことができる。
従って、高濃度の汚泥4を使用することができ、汚泥処理効率を高めるとともに、高濃度の発酵生産物(アルコール等)を得ることができる。
これに対し、反応器を外部から加熱することにより反応器内の温度および圧力を設定する処理方法では、反応器自体の温度を比較的高くする必要があり、反応器内面での局部的な加熱により汚泥がチャー化(炭化)してスケールとして生成するおそれがある。
(8)上記処理方法では、給水2の温度および圧力を、混合液の温度および圧力が上記範囲となるように設定する。この方法によれば、反応器6自体の温度を低く抑えることができるため、汚泥4の分解生成物として有機酸が生じた場合でも反応器6が腐食するのを抑制することができる。
(9)上記処理方法では、給水2の温度および圧力を、混合液の温度および圧力が上記範囲となるように設定する方法(直接加熱法)が採用される。この方法によれば、短時間で汚泥4を分解でき、糖などの有機成分を効率よく生成させることができる。
(10)上記処理方法では、水の密度が0.87g/cm以上となる条件にある汚泥4を反応器6に導入し、水の密度が0.73g/cm以下となる条件で処理することができる。
この方法によれば、汚泥を焼却処理する従来方法に比べ、焼却処理に要するコストを削減できる。
さらに、発酵原料として優れた処理液を得ることができ、発酵生産物(アルコール等)を低コストで製造することができる。
(試験1)
家畜糞尿を消化して得られた消化汚泥を水で2倍に希釈し、1mmメッシュのフィルタを通して汚泥4とした。図1に示す反応装置1を用いて、加熱および加圧した給水2と汚泥4とを反応器6に導入した。試験条件は以下の通りである。
(1−1)反応器圧力23MPa、温度410℃、反応時間5秒、混合比(給水185[ml/min]/汚泥20[ml/min]、給水温度471℃/汚泥温度25℃。
(1−2)反応器圧力23MPa、温度380℃、反応時間8秒、混合比(給水185[ml/min]/汚泥20[ml/min]、給水温度391℃/汚泥温度25℃。
(1−3)反応器圧力23MPa、温度375℃、反応時間12秒、混合比(給水185[ml/min]/汚泥20[ml/min]、給水温度379℃/汚泥温度25℃。
(1−4)反応器圧力23MPa、温度370℃、反応時間20秒、混合比(給水185[ml/min]/汚泥20[ml/min]、給水温度377℃/汚泥温度25℃。
(1−5)反応器圧力20.5MPa、温度365℃、反応時間10秒、混合比(給水165[ml/min]/汚泥25[ml/min]、給水温度370℃/汚泥温度25℃。
(1−6)反応器圧力19.5MPa、温度363℃、反応時間9秒、混合比(給水165[ml/min]/汚泥25[ml/min]、給水温度365℃/汚泥温度25℃。
(1−7)反応器圧力18MPa、温度320℃、反応時間33秒、混合比(給水140[ml/min]/汚泥20[ml/min]、給水温度347℃/汚泥温度25℃。
(1−8)反応器圧力15MPa、温度300℃、反応時間35秒、混合比(給水140[ml/min]/汚泥20[ml/min]、給水温度329℃/汚泥温度25℃。
なお、反応時間とは、反応器6における滞留時間をいう。
得られた処理液を、示差屈折率検出器(カラム:Shim−pack SPR−Na、溶離水:水)を用いて分析した結果を図4に示す。図4には、試薬のグルコースの分析結果を併せて示す。
図4より、反応器6での処理によって、グルコースに近い分子量をもつ有機成分を含む処理液が得られたことが確認できた。
(試験2)
試験1で用いたものと同様の消化汚泥を水で2倍に希釈し、2mmメッシュのフィルタを通して汚泥4とした。図1に示す反応装置1を用いて、加熱および加圧した給水2と汚泥4とを反応器6に導入した。
汚泥4の温度は50℃、流量は60mL/minとした。給水2の温度は490℃、圧力は24MPa、流量は120mL/minとした。反応器6内の温度および圧力は380℃、24MPaとした。混合液の反応器6の滞留時間は20秒とした。
得られた処理液1Lを、5gのドライイーストとともに発酵槽に入れ、ゆるく攪拌しつつ温度32℃の条件においた。
試験開始後、12時間後、24時間後、および48時間後に上澄み液を採取し、ガスクロマトグラフィーによる分析に供した。結果を図5に示す。
比較のため、汚泥4(汚泥原液)も同様に分析した。図5には、試薬のエタノールの分析結果を併せて示す。
(試験3)
試験2で得られた処理液500mLをドライイーストとともに1L容量の容器に入れ、温度20〜24℃の条件においた。
試験開始後、5日後および15日後に上澄み液を採取し、ガスクロマトグラフィーによる分析に供した。結果を図5に示す。
図5より、処理液を発酵させることによって、エタノールが生成したことが確認できた。
(試験4)
試験1で用いたものと同様の消化汚泥を水で3倍に希釈して得られた汚泥(汚泥原液)150mlを、オートクレーブ(反応器、内径50mm、高さ220mm、材質SUS316、攪拌機付き)を用いて加熱処理した。この加熱方法は、反応器外壁面に取り付けたマイクロリングヒータにより反応器内の汚泥を加熱するため、間接加熱法である。加熱処理時間は1時間とした。マイクロリングヒータ温度を反応器壁面温度として、処理条件を以下に示す。
(4−1)反応器圧力1.1MPa、反応器壁面温度200℃、攪拌機回転数400rpm、1時間後の汚泥温度185℃。
(4−2)反応器圧力2.8MPa、反応器壁面温度250℃、攪拌機回転数400rpm、1時間後の汚泥温度231℃。
(4−3)反応器圧力10.3MPa、反応器壁面温度250℃、攪拌機回転数400rpm、1時間後の汚泥温度235℃。
(4−4)反応器圧力6.7MPa、反応器壁面温度300℃、攪拌機回転数400rpm、1時間後の汚泥温度281℃。
試験終了後、反応器内の汚泥を観察したところ、反応器壁面温度を250℃とした場合には汚泥に変色が見られ、300℃とした場合には汚泥のチャー化が観察された。
得られた処理液を、示差屈折率検出器(カラム:Shim−pack SPR−Na、溶離水:水)を用いて分析した結果を図6に示す。比較のため、汚泥原液も同様に分析した。図6には、試薬のグルコースおよびフルクトースの分析結果を併せて示す。
図6に矢印で示すように、単糖類に近い分子量をもつ有機成分を含む処理液が得られたことが確認できた。
混合部での混合液温度と給水温度との関係を図7に示す。試験条件を次に示す。
例1:反応器圧力18MPa、汚泥温度25℃、混合比(給水:汚泥)9:1。
例2:反応器圧力25MPa、汚泥温度25℃、混合比(給水:汚泥)9:1。
例3:反応器圧力30MPa、汚泥温度25℃、混合比(給水:汚泥)9:1。
例4:反応器圧力18MPa、汚泥温度25℃、混合比(給水:汚泥)2:1。
例5:反応器圧力25MPa、汚泥温度25℃、混合比(給水:汚泥)2:1。
例6:反応器圧力30MPa、汚泥温度25℃、混合比(給水:汚泥)2:1。
例7:反応器圧力25MPa、汚泥温度200℃、混合比(給水:汚泥)2:1。
本発明の処理方法の一例を実施可能な反応装置の概略構成図である。 水の温度と比エンタルピーの関係を示すグラフである。 水の温度と圧力と密度との関係を示すグラフである。 汚泥を直接加熱法により加熱処理して得られた処理液の成分分析結果を示すグラフである。 汚泥を加熱処理して得られた処理液を発酵させて得られた液の成分分析結果を示すグラフである。 汚泥を間接加熱法により加熱処理して得られた処理液の成分分析結果を示すグラフである。 試験の結果を示すグラフである。
符号の説明
1…反応装置、2…給水、3…給水供給部、4…嫌気性処理汚泥、5…汚泥供給部、6…反応器、12…給水加圧部、13…給水加熱部、 50…発酵槽

Claims (4)

  1. 嫌気性処理汚泥を、反応器内で水の存在下で温度300℃以上、圧力15MPa以上で処理し、有機成分を含む処理液を得ることを特徴とする嫌気性処理汚泥の処理方法。
  2. 前記嫌気性処理汚泥と混合したときに混合液の温度および圧力が前記範囲になるように加熱および加圧された水を、前記嫌気性処理汚泥とともに反応器内に導入することによって、反応器内の温度および圧力を前記範囲とすることを特徴とする請求項1に記載の嫌気性処理汚泥の処理方法。
  3. 前記嫌気性処理汚泥が、汚泥消化法によって得られた消化汚泥であることを特徴とする請求項1または2に記載の嫌気性処理汚泥の処理方法。
  4. 前記反応器に導入する前の前記嫌気性処理汚泥の温度を200℃以下にすることを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか1項に記載の嫌気性処理汚泥の処理方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2002263465A (ja) * 2001-03-07 2002-09-17 Saka Shiro 超臨界水又は亜臨界水による有機物質等の反応装置

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