JP2005321284A - 多層膜が形成された光学素子の評価装置 - Google Patents

多層膜が形成された光学素子の評価装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2005321284A
JP2005321284A JP2004139058A JP2004139058A JP2005321284A JP 2005321284 A JP2005321284 A JP 2005321284A JP 2004139058 A JP2004139058 A JP 2004139058A JP 2004139058 A JP2004139058 A JP 2004139058A JP 2005321284 A JP2005321284 A JP 2005321284A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
multilayer film
light
optical element
incident
photoelectrons
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2004139058A
Other languages
English (en)
Inventor
Mika Nakamura
美香 中村
Akira Miyake
明 三宅
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP2004139058A priority Critical patent/JP2005321284A/ja
Publication of JP2005321284A publication Critical patent/JP2005321284A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Analysing Materials By The Use Of Radiation (AREA)
  • Exposure And Positioning Against Photoresist Photosensitive Materials (AREA)
  • Exposure Of Semiconductors, Excluding Electron Or Ion Beam Exposure (AREA)

Abstract

【課題】 任意の形状を有する光学素子の入射光から見た実効的な反射面の形状や入射光と反射光との関係を精度よく、簡易かつ安価に測定することを可能とする光学素子の評価方法および評価装置を提供すること。
【解決手段】 多層膜が形成された光学素子の評価装置において、前記光学素子の多層膜に波長2乃至40nmの光を入射させる照射系と、前記多層膜に前記光が入射することにより該多層膜から放出される光電子のうち、所定のエネルギーを持つ光電子を分離する分離手段と、前記分離手段に分離された光電子を検出する検出器と、前記検出器の検出値に基づいて前記多層膜へ入射する前記光と前記多層膜から反射する前記光との位相差を求める演算部とを有することを特徴とする構成とした。
【選択図】 図1

Description

本発明は、一般には、光学素子の評価に係り、特に、多層膜が形成された光学素子(例えば、ミラー、反射マスク)を評価する装置及びその方法に関する。
従来、半導体メモリや論理回路などの微細な半導体素子を製造するための焼き付け(リソグラフィー)方法として、紫外線を用いた縮小投影露光が行なわれてきた。しかし、半導体素子は急速に微細化しており、紫外光を用いたリソグラフィーでは限界がある。50nmを下回るような非常に微細な回路パターンを効率よく焼き付けるために、紫外線よりも更に波長が短い波長13.5nm程度の極端紫外(Extreme Ultraviolet:EUV)光を用いた露光装置(以下、「EUV露光装置」という。)が開発されている。
EUV露光装置は、ミラーなどの反射型光学素子をその光学系に使用し、その表面には光学定数の異なる2種類の物質を交互に積層した多層膜が形成される。多層膜は、例えば、精密な形状に研磨されたガラス基板の表面にモリブデン(Mo)とシリコン(Si)を交互に積層する。その層の厚さは、例えばMo層の厚さは3nm、Si層の厚さは4nm程度である。2種類の物質の層の厚さを加えたものは膜周期と呼ばれ、上記例では膜周期は7nmである。
このような多層膜ミラーにEUV光を入射すると、特定の波長のEUV光が反射される。入射角をθ、EUV光の波長をλ、膜周期をdとすると干渉条件をみたすλを中心とした狭いバンド幅のEUVだけが効率よく反射される。このときのバンド幅は0.6〜1nm程度である。干渉条件は近似的には以下のブラッグの式の関係式で表現できるが、精密には物質中での屈折等の影響により、この式から求めた値より微小にずれることがある。
Figure 2005321284
投影光学系の反射面の面形状は非常に高い精度であることが要求される。例えば、投影光学系を構成するミラーの枚数をn、EUV光の波長をλとすると許容される形状誤差σ(rms値)は以下のマレシャルの式で与えられる。
Figure 2005321284
例えば、6枚反射鏡で波長13nmの系の場合、σ=0.19nmとなる。また分解能30nmのパターン転写を行う場合に投影光学系全系に許容される波面収差量は0.4nm程度である。
投影光学系の製造方法は、多層膜ミラーの形成工程、形状計測工程、鏡筒への組み込み工程、波面収差調整工程を含む。
多層膜ミラー形成工程は、まず、可視光を用いた干渉計により形状計測を繰り返しながら基板を研磨し、所定の形状の基板を作製する。次に、基板表面に多層膜を成膜する。この際、実際に光学系として機能する際にミラー面内それぞれの位置の多層膜に入射する光の角度と波長を考慮し、最適な膜厚分布とする。
形状計測工程は、多層膜の成膜が終わった多層膜ミラーの表面形状を再び可視光を用いた干渉計により計測を行うと共に、多層膜表面の面形状が所定の形状(即ち、上述の形状誤差σ)を満足しているかどうかを判断する。所定の面形状を有しないと判断された多層膜ミラーは、成膜が不成功であるため、多層膜を剥離して多層膜を再度形成する。
鏡筒への組み込み工程は、形状計測工程において所定の面形状を有すると判断された多層膜ミラーを鏡筒に組込み、ミラー相互の間隔や傾きを調整し、投影光学系として機能する鏡筒を完成する。
波面収差調整工程では、鏡筒の波面収差を調整する。反射による光の位相変化が一定値であれば、ミラーで反射した反射光の波面は、入射光の波面とミラー形状とから求めることができるが、実際には多層膜ミラーで反射した反射光の位相変化は、光の波長、入射角、膜構造によって異なる。このため、可視光によって幾何学的な表面形状を計測しても、EUV光を入射した場合の実効的な反射面、すなわち多層膜ミラーで反射した反射光の位相変化が同一である面を正確に求めることはできない。このため、EUV光を用いて多層膜ミラー又は投影光学系の反射光面を直接計測する方法が限定的に実施されている。例えば、EUV光を用いて多層膜ミラー反射光面を直接計測する手段として、ピンホールにより球面波を生じさせる点回折干渉計(Point Diffraction Interferometer:PDI)は従来から知られている(例えば、特許文献1及び2参照)。
その他の従来技術として、X線多層膜ミラーの層構造及び界面粗さの情報をX線定在波スペクトルの形状から取得する方法も知られている(例えば、特許文献3及び4参照)。
また、光学素子に電磁波又は電子線を照射してX線光学素子上の汚染状態を測定する露光方法、及び露光装置が開示されている(例えば、特許文献5参照。)。
また、物質中での電子のエネルギー損失に関するデータについても開示されている(例えば、非特許文献1参照。)。多層膜の反射率と反射光の位相の関係については、モデル計算が開示されている(例えば、非特許文献2参照。)。更に、多層膜表面の光電効果についても開示されている(例えば、非特許文献3参照。)。
特開2001−227909号公報 特開2000−97620号公報 特開2002−243669号公報 特開2000−55841号公報 特開2000−346817号公報 中井洋太他、「10keV以下の電子に対する物質の阻止能」、応用物理第51巻第3号、279頁、1982年3月 J.H.Underwood and T.W.Barbee,"Layered Synthetic Microstructures as Bragg Diffractors for X−Rays and Extreme Ultraviolet:Theory and Predicted Performance",Applied Optics 20,3027(1981) Michael E.Malinowski,Chip Steinhaus,W.Miles Clift,Leonard E.Klebanoff,Stanley Mrowka,Regina Soufli"Controlling contamination in Mo/Si multilayer mirrors by Si surface capping modifications"Proc.SPIE Vol.4688,Page442−453,Jul 2002.
しかし、PDI法は、一点から発散する光が一点に収束するような光学系を必要とするため、凸面は計測することができず、凹面でも非球面量が大きい非球面は計測することが困難であるという問題を有する。このため、投影光学系を構成する全てのミラーに適用することは不可能であり、測定可能な一部のミラーに対して限定的に適用することしかできない。
従って、残りのミラーに関しては、入射光面と反射光面との関係を実測することはできず、これらのミラーで波面収差が発生する可能性があり、これらのミラーを組み合わせた鏡筒で所定の光学性能を満足することは難しかった。また、PDI法において、正確な球面波を発生させるために用いるピンホールの大きさは数十nmと非常に微小であるために製作が困難であるという問題がある。更にその微小なピンホールに充分な量のEUV光を導入する必要があるので、非常に高輝度の光源を用いる必要があり、測定システムが非常に大形で高価なものとなるという問題もある。
また、特許文献3は、多層膜ミラーの層形状を簡易に測定できるものの反射光の波面は位相を考慮しなければ求めることができないため、反射光の波面を正しく求めることができず、波面収差の調整において十分ではなかった。波面収差の調整が不十分であれば所望の解像度が得られないという問題を有する。
そこで、本発明は、任意の形状を有する光学素子の入射光から見た実効的な反射面の形状や入射光と反射光との関係を精度よく、簡易かつ安価に測定することを可能とする光学素子の評価装置および評価方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の一側面としての評価装置は、多層膜が形成された光学素子の評価装置において、前記光学素子の多層膜に波長2乃至40nmの光を入射させる照射系と、前記多層膜に前記光が入射することにより該多層膜から放出される光電子のうち、所定のエネルギーを持つ光電子を分離する分離手段と、前記分離手段に分離された光電子を検出する検出器と、前記検出器の検出値に基づいて前記多層膜へ入射する前記光と前記多層膜から反射する前記光との位相差を求める演算部とを有することを特徴とする。
また、本発明の別の一側面としての評価装置は、多層膜が形成された光学素子の評価装置において、前記光学素子の多層膜に波長2乃至40nmの光を入射させる照射系と、前記多層膜に前記光が入射することにより該多層膜から放出される光電子を検出する検出器と、前記検出器で検出された光電子の積算値に基づいて前記多層膜へ入射する前記光と前記多層膜から反射する前記光との位相差を求める演算部とを有することを特徴とする。
本発明の更なる目的又はその他の特徴は、以下、添付の図面を参照して説明される好ましい実施例等によって明らかにされるであろう。
任意の形状を有する光学素子を精度よく、簡易かつ安価に評価することができる。
以下に、本発明の実施の形態を添付の図面に基づいて詳細に説明する。
本発明の評価装置(位相計測装置)の第1の実施の形態を図1に示す。
シンクロトロン放射光光源、レーザープラズマ光源、放電プラズマ光源などの波長2乃至40nmのEUVを放射するEUV光源10から放射されたEUV光は分光器12により所定の波長だけが取り出され、単色化される。単色化されたEUV光は測定対象としての多層膜ミラー(または試料)MLや測定室20に導かれる。分光器12及び入射光モニタ14は、照射系を構成する。
測定室20は、大気によるEUV光の減衰や光電子の散乱、あるいは多層膜表面の変質や汚染付着を防止するために、真空ポンプなどの排気手段21によって超高真空領域まで排気されている。測定対象としての多層膜ミラーMLは回転及び並進移動可能なステージ22に固定されており、単色化されたEUVビームが、多層膜ミラーMLの所定の位置に所定の角度で入射するようになっている。多層膜ミラーMLによって反射されたEUVビームは、EUV光強度検出器24に導かれ、反射光の強度が計測される。検出器24には、フォトダイオード、光電子増倍管、CCDなどを使用することができる。
ステージ22により多層膜ミラーMLを退避させ、検出器24に単色化されたEUVビームを直接入射することで入射光のビーム強度を計測することもできるようになっている。検出器24からの出力は、電荷増幅器を用いて電圧信号に変換し、さらにアナログーデジタルコンバータ(ADC)18を用いてデジタル化した後にコンピュータなどの演算部16に取り込む。多層膜ミラーMLで反射された反射光のビーム強度と、入射光のビーム強度の比を計算することによって演算部16は反射率を求めることができる。
光源10から放射される光強度の時間変動を補正するために、測定室20に導かれる単色のEUV光の強度を測定する入射光モニタ14が設けられている。放射光光源を用いる場合には、光源の電子蓄積リングの電流を測定することでモニタとしてもよい。
多層膜ミラーML近傍には、多層膜ミラーMLから放出された光電子をエネルギー分光し、検出する光電子分光検出部分(分離手段)26が設置されている。本実施例では、180°静電半球型電子エネルギー分光器26cを用いた。静電半球型電子エネルギー分光器26cの入り口には、スリット幅が可変である入射スリット26bが設置されている。また、これらは、電子レンズ26aと組み合わせて用いてもよい。電子レンズは、多層膜ミラーMLから放出された光電子を入射スリット26bにフォーカスさせたり、光電子を減速させて電子エネルギー分光器26cのエネルギー分解能を調整したりする役割を持つ。この他に電子エネルギー分光器には、一般の光電子分光装置やオージェ電子分光装置によく用いられている本実施例以外の同心半球型分光器や円筒鏡型分光器を用いてもよい。
静電半球型エネルギー分光器26cは磁気シールドされており、内側の半球と外側の半球の間には電圧Vがかけられていて両半球間の中点電位となる軌道上を通過する光電子の中心エネルギーEは、
Figure 2005321284
と表わせる。ここで、電子素量をe、内側半球の半径をr、外側半球の半径をrとした。
両半球間にかかる電圧Vの大きさを変化させることにより、半球を通過できる電子のエネルギー範囲を変えることができる。また、エネルギー分解能をあげるためには、両半球間の中点電位となる等電位面の半径を大きくすればよい。
エネルギー分光器の出口付近には、出口スリット26dが設置されている。この幅を広くすれば、スリットを通過する光電子のエネルギー範囲を広くでき、スリット幅を狭くすれば通過する光電子のエネルギー範囲を狭めることができる。
スリットを通過した光電子は、光電子検出器26eに取り込まれる。検出器26eは、電子倍増管やマイクロチャンネルプレート(MCP)などを使用することができる。光電子が電子増倍管やMCPに入射すると、内部に印加された高電圧により電子増倍作用を受け、増倍された電荷信号として出力される。これを電荷増幅器を用いて電圧信号に変換し、更にアナログ−デジタルコンバータ(ADC)18を用いてデジタル化した後に演算部16に取りこむ。
本実施例は、以下の手続きによって反射光の位相を計測する。
まず、ステージ22により試料MLを退避し、入射光の強度を検出器24で測定する。このとき分光器12から出射するEUV光の波長λを変えながら、波長走査を行ない、入射光の強度の波長依存性を測定する。入射光の強度をIR0(λ)、入射光強度モニタの出力をI00(λ)とする。
次に、ステージ22により単色化されたEUVビームが、測定対象にあたる試料の所定の位置に所定の角度で入射するように設定し、反射光の強度を検出器24で測定する。同時に、試料表面から放出された光電子を光電子分光検出部分26によってエネルギー分光し、あるエネルギー範囲の光電子量を計測する。このとき、分光器12の波長設定を変えながら、波長走査を行ない、反射光強度の波長依存性と試料MLの表面から放出された所定のエネルギー範囲の光電子の量の波長依存性とを同時に測定する。このとき、多層膜試料で反射された光強度をIR1(λ)、測定された光電子放出量をQ(λ)、その測定の際の入射光強度モニタの出力をI01(λ)とする。
次に、参照試料RSとして多層膜の最上層を構成する物質で構成された単層膜ミラーの同エネルギー範囲における光電子放出量を計測する。参照試料(又は単層膜ミラー)RSの厚さは、光電子の脱出深さより充分に厚く、また測定しようとする光の透過率が充分小さいことが望ましく、光の波長が13.5nm程度であればMoやSi、ルテニウム(Ru)などの場合、数百nm程度の厚さがあればよい。
多層膜試料MLについて行ったのと同様な方法で参照試料RSに対し、試料表面から放出される光電子の量の波長依存性を測定する。試料表面での電場は、入射光の電場と反射光の電場とを足し合わせたものであるが、単層膜ミラーRSの反射率はEUV光に対して非常に低いため、単層膜表面の電場強度は入射光の電場強度にほぼ等しい。このとき、参照試料の測定された光電子放出量をQ(λ)、その測定の際の入射光強度モニタの出力をI02(λ)とする。
多層膜ミラーMLの反射率の波長依存性R(λ)は以下の式で与えられる。
Figure 2005321284
多層膜ミラーMLの光電子放出量の参照試料RSの光電子放出量との比の波長依存性F(λ)は以下の式で与えられる。
Figure 2005321284
F(λ)は、多層膜ミラーMLの光電子放出量が、単層膜ミラーRSに比較して何倍になっているかを示すパラメータである。単層膜表面の電場強度は入射光の電場強度にほぼ等しいので、多層膜ミラー試料の光電子放出量の単層膜試料の光電子放出量との比F(λ)は、多層膜表面の電場強度が入射光の電場強度の何倍になっているかを示す量(電場強度比)に等しい。
代替的に、波長を変えながら多層膜にEUV光を照射し、高い反射率が得られる波長(この実施例においては13.5nm)と、反射率がそれに比べて非常に低くなる波長(この実施例においては12.5nmまたは14.5nm)との2つの波長での、真空中に放出される電子の量QR、QLを求め、次式により、多層膜ミラー試料の光電子放出量が、単層膜ミラーに比較して何倍になっているかを示すパラメータを求めて電場強度比としてもよい。
Figure 2005321284
次に、以下の式により位相δ(λ)を求める。
Figure 2005321284
位相差δの余弦から位相差δを求める際に、位相差δに2πの整数倍の不確定性があるが、連続的に測定した領域内あるいは波長変化に対して位相差δが連続につながるようにすればよい。また位相差δの正負の不確定性があるが、多層膜の反射ピーク近傍の波長域で位相の波長依存性が正の傾きを持つように設定すればよい。
次に、可視光あるいは紫外光を用いたフィゾー干渉計、ミウラ干渉計などにより、多層膜試料の表面形状を計測する。表面形状計測と定在波による位相計測は、どちらを先に行ってもよいし、同時でもよい。
次に、EUV光でみた等価的な反射面の形状、即ちδλ/(4πcosθ)及びh+δλ/(4πcosθ)を算出する。
図6に多層膜表面からの光電子放出の概念図を示す。
多層膜ミラーに入射するEUVビームが充分に単色であれば、多層膜ミラー表面から放出される光電子のエネルギーEkmaxは、EUVビームのエネルギーをEλ、光電子が放出する際の仕事関数をWとすると、
Figure 2005321284
と表わすことができる。
ここで、光電子は、多層膜表面のみならず多層膜内部からも放出される。多層膜内部から放出される光電子は、非弾性散乱を起こしてエネルギーを失う確立が大きくなり真空中に放出される際の光電子のエネルギーはEkmaxより小さくなる。
多層膜表面の位相計測を行う場合、これら多層膜内部から放出された光電子はバックグラウンドとなり計測誤差の原因となってしまう。計測誤差を減らし位相計測精度をあげるためには、これら多層膜内部から放出され、エネルギーを一部失った光電子を取り除けばよい。本実施例では、図1の光電子分光部分26の静電型電子分光器26cの両半球にかかる電圧と、出口スリット幅を調節することによりこれら多層膜内部から放出される光電子を取り除くことによって多層膜表面のみから放出される光電子のみを観測する。このことにより、定在波を用いた位相計測精度が向上し、より正確な反射光の波面を求めることができる。
また、光電子分光部分26によって、真空中に放出された光電子のうち、所定のエネルギー範囲の光電子を選択すれば、多層膜内部のある深さにおける位相計測を行うことも可能である。
また、放出された光電子を光電子分光部分によってエネルギー毎に選択して、多層膜表面を構成する物質から放出した電子を選択できるように所定のエネルギー範囲内の光電子を選択しその光電子量を測定することによって、多層膜を構成するある物質における位相情報を得ることができる。
検出する光電子は、光電効果によって真空中に放出された光電子に限らずオージェ電子についても同様に検出することができる。
上述の実施例によれば、多層膜ミラーにEUV光を入射した際に生じる定在波を利用して、多層膜のうちある深さにおける入射光と反射光の位相差を求めることが可能である。また、多層膜を構成している物質ごとの位相情報を得ることが可能である。更に、多層膜表面形状の計測結果と位相差とから、EUV光でみた等価的な反射面の形状あるいは、多層膜で反射したEUV光の波面を求めることが可能である。
本発明の評価装置(位相計測装置)の第2の実施の形態について説明する。
本実施例の位相計測装置は、光電子分光部分(分離手段)26において、180°静電半球型電子エネルギー分光器のかわりに飛行時間型エネルギー分光器を備えた点のみが第1の実施の形態の位相計測装置と異なる。光電子分光部分を図2に示す。
光電子分光部分に設置されている飛行時間型エネルギー分光器26fは磁気シールドされた飛行管26gと、光電子やオージェ電子のエネルギーを低下させる阻止電界印加用のメッシュ電極26hおよび26iを備えている。また、飛行管を通過した光電子は、電子倍増管やマイクロチャンネルプレート(MCP)などの光電子検出器26eによって検出される。この光電子を電荷増幅器を用いて電圧信号に変換し、更にアナログ−デジタルコンバータ(ADC)18を用いてデジタル化し、図1の演算部16に取り込む。
多層膜ミラーから放出された光電子が飛行時間型エネルギー分光器26fに入射すると、エネルギーの大きな光電子は速度が大きいので早く検出器に到達し、エネルギーの小さな光電子は遅く検出器に到達する。
光電子のエネルギーEは、電子の質量をm、多層膜から検出器までの距離をL、検出器に到達するまでにかかる時間をTとすると、
Figure 2005321284
と表わせる。この式から電子の到達時間Tを測定すれば光電子のエネルギーを知ることができる。
また、飛行時間型エネルギー分光器26fのエネルギー分解能は、光電子の到達時間Tが長ければ長いほど向上する。そこで、本発明の実施の形態で使用した飛行管は、適当な阻止電界を印加できるようにして、電子のエネルギーEを低下させ、到達時間Tを長くすることによりエネルギー分解能を向上させている。
演算部に取り込んだ信号は、微細なスペクトル構造として表示することもできる。スペクトルのうち、適当なエネルギー範囲の光電子信号を取り出し、位相計測に用いることができる。
本発明の評価装置(位相計測装置)の第3の実施の形態について説明する。
本実施例の位相計測装置は、光電子分光部分(分離手段)26において、180°静電半球型電子エネルギー分光器を設置するかわりに測定対象にあたる多層膜ミラーと光電子検出器の間に適当な阻止電圧をかけた点のみが、第1の実施の形態の位相計測装置と異なる。光電子分光部分を図3に示す。
多層膜ミラーMLと光電子検出器の間に適当な阻止電圧をかけると、多層膜ミラーから放出された光電子のうち、ある所定値以上のエネルギーを持った光電子のみが光電子検出器に到達できる。
多層膜表面の位相計測を行う場合、実施例1で示したように多層膜内部から放出された光電子はバックグラウンドとなり計測誤差の原因となる。適当な阻止電圧をかけることにより、多層膜のより深い部分から放出され非弾性散乱によってエネルギーを失った電子を取り除き、多層膜ミラー表面の位相計測の精度向上を図ることができる。
以上の実施例によれば、光学素子の評価装置において、波長2乃至40nmのEUV光を入射させた際に光学素子から放出される光電子のうち所定のエネルギーを持つ光電子を分離して検出することにより、光学素子における評価の高精度化を図ることができる。
本発明の評価装置(位相計測装置)の第4の実施の形態について図4に基づいて説明する。図4は、本発明の評価装置の第4の実施の形態を示す図である。
本実施例の位相計測装置の構成は第1の実施の形態の位相計測装置と同様の構成であるため、以下、第1の実施の形態の位相計測装置と異なる点について述べる。
本実施例の位相計測装置では、パルス光源であるEUV光源へのトリガーをトリガーコントローラ28で制御し、多層膜ミラーMLに数パルスのEUVビームが照射されるようにする。多層膜ミラーから放出された光電子は、多層膜ミラー近傍に設置してある光電子分光検出部分26によって検出され、コンデンサ30に電荷信号として蓄積される。その後、電荷増幅器によって電圧信号に変換し、アナログ−デジタルコンバータ(ADC)18を用いてデジタル化した後演算部16に取り込む。
このように、光電子信号を数パルス分積算することにより、シグナル−ノイズ比が向上し、高感度で位相計測を行なうことができる。
本発明の評価装置(位相計測装置)の第5の実施の形態について図5に基づいて説明する。図5は、本発明の評価装置の第5の実施の形態を示す図である。
本実施例の位相計測装置の構成は第1の実施の形態の位相計測装置と同様の構成であるため、以下、第1の実施の形態の位相計測装置と異なる点について述べる。
本実施例の位相計測装置では、EUV光源を照射して多層膜ミラーから放出された光電子信号をEUV光源1パルスごとにつきアナログ−デジタルコンバータ(ADC)18を用いてデジタル変換し、積算処理部32で適当なパルス分足しあわせる。
このように、光電子信号を数パルス分積算することにより、シグナル−ノイズ比が向上し、高感度で位相計測を行なうことができる。積算処理部では、演算後、数パルス分の信号の平均値をとってデータとしてもよい。
以上の実施例によれば、光学素子の評価装置において、波長2乃至40nmのEUV光を入射させた際に光学素子から放出される光電子を検出し、該検出された光電子信号を積算することにより、電場強度の小さい波長領域においても充分な感度で光電子計測を行うことができ、光学素子の評価を高精度に行うことができる。
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されないことはいうまでもなく、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
本発明の第1の実施の形態における位相計測装置の概略構成図である。 本発明の第2の実施の形態で用いられる位相計測装置の電子分光検出部分の概略構成図である。 本発明の第3の実施の形態で用いられる位相計測装置の電子分光検出部分の概略構成図である。 本発明の第4の実施の形態における位相計測装置の概略構成図である。 本発明の第5の実施の形態における位相計測装置の概略構成図である。 EUV光が照射された際に放出される光電子のエネルギー損失を示した概念図である。
符号の説明
1 評価装置(位相計測装置)
10 EUV光源
12 分光器
14 ビーム強度モニタ
16 演算部
18 電荷増幅器
20 測定室
21 排気
22 ステージ
24 光強度検出器
26a 電子レンズ
26b 入射スリット
26c 静電型電子分光器
26d 出口スリット
26e 光電子検出器
26f 飛行時間型分光器
26g,26h メッシュ電極
28 トリガーコントローラ
30 コンデンサ
32 積算処理部
ML 多層膜ミラー
RS 参照ミラー

Claims (9)

  1. 多層膜が形成された光学素子の評価装置であって、
    前記光学素子の多層膜に波長2乃至40nmの光を入射させる照射系と、
    前記多層膜に前記光が入射することにより該多層膜から放出される光電子のうち、所定のエネルギーを持つ光電子を分離する分離手段と、
    前記分離手段に分離された光電子を検出する検出器と、
    前記検出器の検出値に基づいて前記多層膜へ入射する前記光と前記多層膜から反射する前記光との位相差を求める演算部とを有する評価装置。
  2. 前記分離手段は、前記光学素子と前記検出器の間に配置された静電型電子分光器であることを特徴とする請求項1記載の評価装置。
  3. 前記分離手段は、前記光学素子と前記検出器の間に配置された時間分解型電子分光器であることを特徴とする請求項1記載の評価装置。
  4. 前記分離手段は、前記光学素子と前記検出器の間に阻止電圧をかけることを特徴とする請求項1記載の評価装置。
  5. 多層膜が形成された光学素子の評価装置であって、
    前記光学素子の多層膜に波長2乃至40nmの光を入射させる照射系と、
    前記多層膜に前記光が入射することにより該多層膜から放出される光電子を検出する検出器と、
    前記検出器で検出された光電子の積算値に基づいて前記多層膜へ入射する前記光と前記多層膜から反射する前記光との位相差を求める演算部とを有する評価装置。
  6. 前記照射系は、パルス光源からの光を前記光学素子に入射させ、
    前記積算値は、前記多層膜に前記パルス光源からの複数パルスの前記光を入射させることにより該多層膜から放出された光電子を、コンデンサに電荷信号として貯め、該電荷信号をデジタル変換することによって得ることを特徴とする請求項5記載の評価装置。
  7. 前記照射系は、パルス光源からの光を前記光学素子に入射させ、
    前記積算値は、前記多層膜に前記パルス光源からの前記光を入射させることにより該多層膜から放出された光電子による信号を、1パルス毎にデジタル変換し、該変換された信号を積算することによって得ることを特徴とする請求項5記載の評価装置。
  8. 多層膜が形成された光学素子の評価方法であって、
    前記光学素子の多層膜に波長2乃至40nmの光を入射させるステップと、
    前記多層膜に前記光が入射することにより該多層膜から放出される光電子のうち、所定のエネルギーを持つ光電子を分離するステップと、
    該分離された光電子を検出するステップと、
    該検出値に基づいて前記多層膜へ入射する前記光と前記多層膜から反射する前記光との位相差を求めるステップとを有する評価方法。
  9. 多層膜が形成された光学素子の評価方法であって、
    前記光学素子の多層膜に波長2乃至40nmの光を入射させるステップと、
    前記多層膜に前記光が入射することにより該多層膜から放出される光電子を検出するステップと、
    該検出された光電子の積算値に基づいて前記多層膜へ入射する前記光と前記多層膜から反射する前記光との位相差を求めるステップとを有する評価方法。
JP2004139058A 2004-05-07 2004-05-07 多層膜が形成された光学素子の評価装置 Withdrawn JP2005321284A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004139058A JP2005321284A (ja) 2004-05-07 2004-05-07 多層膜が形成された光学素子の評価装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004139058A JP2005321284A (ja) 2004-05-07 2004-05-07 多層膜が形成された光学素子の評価装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2005321284A true JP2005321284A (ja) 2005-11-17

Family

ID=35468688

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004139058A Withdrawn JP2005321284A (ja) 2004-05-07 2004-05-07 多層膜が形成された光学素子の評価装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2005321284A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4095566B2 (ja) 光学素子を評価する方法
US7280184B2 (en) Assembly and adjusting method of optical system, exposure apparatus having the optical system
US7544960B2 (en) Evaluation method and fabrication method of optical element having multilayer film, exposure apparatus having the multilayer film, and device fabrication method
JP6452778B2 (ja) Euvマスク検査システムの光学系の波面収差計測
US6545272B1 (en) Apparatus and methods for monitoring contamination of an optical component in an optical system
US7141798B2 (en) Spectrum measuring apparatus and method
JPWO2001041155A1 (ja) 多層膜反射鏡等の光学素子、その作成方法およびそれを用いた装置
Wilhein et al. Off-axis reflection zone plate for quantitative soft x-ray source characterization
US11143604B1 (en) Soft x-ray optics with improved filtering
US20090015814A1 (en) Detector for registering a light intensity, and illumination system equipped with the detector
US20170292830A1 (en) Method for determining the thickness of a contaminating layer and/or the type of contaminating material, optical element and euv-lithography system
US6781135B2 (en) Universal EUV in-band intensity detector
Garakhin et al. High-resolution laboratory reflectometer for the study of x-ray optical elements in the soft and extreme ultraviolet wavelength ranges
US8269186B2 (en) Radiation detector
Böwering et al. Performance results of laser-produced plasma test and prototype light sources for EUV lithography
JP2005322754A (ja) 反射型マスクの検査方法
JP2005321284A (ja) 多層膜が形成された光学素子の評価装置
US20050184247A1 (en) Device for measuring angular distribution of EUV light intensity, and method for measuring angular distribution of EUV light intensity
Schuermann et al. Metrology tools for EUVL-source characterization and optimization
JP2005321565A (ja) 光学素子の製造方法
JP2005326177A (ja) 光学素子の評価装置及び評価方法
Tarrio et al. Absolute extreme-ultraviolet metrology
George et al. Out-of-band exposure characterization with the SEMATECH Berkeley 0.3-NA microfield exposure tool
Spiga et al. Re-testing the JET-X Flight Module No. 2 at the PANTER facility
Ragozin et al. Spectroscopic characterization of soft x-ray multilayer optics using a broadband laser-plasma radiation source

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20070807