JP2005320247A - 播種性血管内凝固症候群予防、治療剤 - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、播種性血管内凝固症候群予防、治療剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
播種性血管内凝固症候群〔以下、DICと略記する(Disseminated intravascular coagulation)〕は、何らかの原因により血管内で広範に血液凝固が起こり、血小板や多くの凝固因子が消費されて、それらの血中濃度が低下し、さらに、二次線溶も加わって顕著な出血傾向を来たすとともに、全身の細小血管に血栓が多発して、循環障害による諸臓器の機能障害を呈する症候群である。DIC治療の原則は、基礎疾患の治療とともに、血液凝固亢進状態を是正することにあり、ヘパリン、低分子量ヘパリン、メシル酸ガベキサート、メシル酸ナファモスタット、乾燥濃縮ヒトアンチトロンビンIII製剤などの抗凝固療法が行われている。しかし、抗凝固剤は、出血などの副作用も懸念されるため、さらに優れたDIC治療剤が切望されている。
【0003】
組織因子〔以下、TFと略記する(Tissue Factor )〕は,エンドトキシンやサイトカインの刺激により、血管内皮細胞の表面に発現し、血管内凝固の進展に関与すると言われている。特にDICにおいては、外因系凝固カスケードが初期病態形成に深く関与するが、TFはこの外因系凝固カスケードの起点となるため、このTF産生を阻害することは、DICの早期治療を可能にすると考えられている。また、基礎疾患の違いにより、凝固線溶系のバランスが崩れているDICの治療で、トロンビンやプラスミンといった凝固因子に直接作用する抗凝固薬に比べ、TF産生阻害剤は、出血の副作用のない新規治療薬として期待される。〔臨床血液、35(5), 461 (1994) 、医学のあゆみ、198(1),88(2001) 〕
さらに、一般式(I)で示される化合物とヘパリン、低分子量ヘパリン、メシル酸ガベキサート、メシル酸ナファモスタット、乾燥濃縮ヒトアンチトロンビンIII製剤などの抗凝固薬は、作用機序が異なり、相加、もしくは相乗作用が期待できる。
【0004】
一方、一般式(I)で示される化合物は、Rhoキナーゼ、ミオシン軽鎖リン酸化酵素、プロテインキナーゼCといったキナーゼ阻害活性を有し、血管平滑筋弛緩作用、血流増加作用、血圧低下作用、脳、心臓保護作用等を示し、血管拡張剤(特に、狭心症治療剤)、脳、心臓保護剤等において有効な物質であることは、既に公知である〔例えば、特開昭61−152658号公報、特開昭61−227581号公報、特開平2−256617号公報、特開平4−264030号公報、特開平6−056668号公報、特開平6−080569号公報、特開平7−80854号公報、WO98/06433、WO00/03746、Br. J. Pharmacol., 98, 1091 (1989), J. Pharmacol. Exp. Ther., 259, 738 (1991), Circulation, 96, 4357 (1997), Cardiovasc. Res., 43, 1029 (1999)〕。
【0005】
本明細書に記載した本発明に至るまで、一般式(I)で示される化合物が、DICの予防、治療に有用であること、および一般式(I)で示される化合物と、ヘパリン、低分子量ヘパリン、メシル酸ガベキサート、メシル酸ナファモスタット、乾燥濃縮ヒトアンチトロンビンIII、トロンボモジュリン製剤から、各々薬剤として許容できる少なくとも1種以上の治療薬を併用したDIC予防治療組成物が、DICに有効である旨、それを示唆する報告は認められない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、DICを予防もしくは治療する医薬を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、一般式(I)で示される化合物について、鋭意研究を重ねた結果、該化合物が上記血管平滑筋弛緩作用、血流増加作用、血圧低下作用、脳、心臓保護作用など、従来知られている作用からは全く予期できないDICの予防、治療効果を見出した。さらに、一般式(I)で示される化合物と、ヘパリン、低分子量ヘパリン、メシル酸ガベキサート、メシル酸ナファモスタット、乾燥濃縮ヒトアンチトロンビンIII、トロンボモジュリン製剤から、各々薬剤として許容できる少なくとも1種以上の治療薬を併用したDICの予防、治療組成物が、驚くべきことに、それぞれ単独での使用に比して、DICの予防、治療効果が高いことを見出し、本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明は、下記一般式(I)
【化2】
(ただし、式中R1は水素原子または水酸基を表す。)
で示される化合物またはその酸付加塩もしくは水和物を有効成分とするDIC予防、治療剤である。
【0009】
本発明の一般式(I)で示される化合物は、公知の方法、例えば、Chem. Pharam. Bull., 40, (3) 770-773 (1992)、特開昭61−152658号公報等に記載されている方法に従って合成することができる。また、その酸付加塩は、薬学上許容される非毒性の塩が好ましく、例えば、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸等の無機酸、および酢酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、メタンスルホン酸等の有機酸の塩を挙げることができる。
【0010】
本発明のDIC予防、治療剤を、投与に適した形の製剤として調製するに際しては、上述の一般式(I)で示される化合物またはその酸付加塩もしくは水和物と、公知の医薬上許容される担体とを混合すればよい。この担体としては、例えば、ゼラチン;乳糖、グルコース等の糖類;小麦、米、とうもろこし澱粉等の澱粉類;ステアリン酸等の脂肪酸;ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム等の脂肪酸塩;タルク;植物油;ステアリンアルコール、ベンジルアルコール等のアルコール;ガム;ポリアルキレングリコール等が挙げられる。
また、液状担体としては、一般に水、生理食塩液、デキストロースまたは類似の糖溶液、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のグルコール類が挙げられる。カプセル剤とする場合には、通常ゼラチンを用いてカプセルを調製することが好ましい。
【0011】
以上のような担体と一般式(I)で示される化合物またはその酸付加塩もしくは水和物よりなる本発明のDIC予防、治療剤中には、通常0.01重量%以上、また、80重量%以下、好ましくは60重量%以下の有効成分を含む例が挙げられる。
本発明のDIC予防、治療剤の投与方法としては、経口投与や非経口投与が挙げられる。経口投与に適した剤形としては、錠剤、カプセル剤、粉剤、顆粒剤、液剤、エリキシル剤等が挙げられ、非経口投与に適した剤形としては、液剤が挙げられる。
非経口的に筋肉内注射、静脈内注射、皮下注射で投与する場合、一般式(I)で示される化合物またはその酸付加塩もしくは水和物を等張にするために、食塩またはグルコース等の他の溶質を添加した無菌溶液として投与される。
【0012】
注射により投与する場合には、滅菌水、塩酸リドカイン溶液(筋肉内注射用)、生理食塩液、ブドウ糖、静脈内注射用溶液、電解質溶液(静脈内注射用)等で溶解することも好ましい。このようにして溶解した場合には、通常0.01〜20重量%、好ましくは0.1〜10重量%の有効成分を含むように調製する。経口投与の液剤の場合、0.01〜20重量%の有効成分を含む懸濁液またはシロップが好ましい例として挙げられる。この場合における担体としては、香料、シロップ、製剤的ミセル体等の水様賦形剤が挙げられる。
本発明のDIC予防、治療剤の一般式(I)で示される化合物またはその酸付加塩もしくは水和物の投与量は、被投与者の年齢、健康状態、体重、症状の程度、同時処置があるならばその種類、処置頻度、所望の効果の性質、あるいは投与経路や投与計画などによって異なるが、一般には、非経口投与で0.01〜20mg/kg・日、経口投与で0.02〜40mg/kg・日が挙げられる。
【0013】
公知のDIC治療薬と併用する場合、一般式(I)で示される化合物またはその酸付加塩もしくは水和物の1日用量は、投与経路や投与計画などによって異なるが、一般には、単剤の用量よりも少なくてよく、非経口投与で0.005〜20mg/kg・日、経口投与で0.01〜40mg/kg・日である。ヘパリン、低分子量ヘパリン、アンチトロンビンIII、メシル酸ガベキサート、メシル酸ナファモスタット、またはこれらからいくつかの薬剤は、主として、静脈注射もしくは点滴静脈内注入により投与する。血中でその有効濃度に達することができるような方法であれば、他の投与方法を用いてもよく、具体的には、筋肉注射、皮下投与、経口、経鼻、系肺、経腸のような経粘膜投与法などが挙げられる。投与量はヘパリン1〜100000単位/日、低分子量ヘパリン1〜10000単位/日、アンチトロンビンIII1〜10000単位/日、メシル酸ガベキサート1〜100mg/日、メシル酸ナファモスタット0.01〜10mg/日が例示される。投与量は症状、投与対象の年齢、性別等を考慮して個々の場合に応じて適宜決定される。
本発明による治療において、抗凝固剤と、一般式(I)で示される化合物またはその酸付加塩もしくは水和物を併用する場合、順序に制限はなく、個別に投与してもよいが、組み合わせ、組成物にしてから同時に投与することも可能である。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に実施例及び参考例を挙げ、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。
【実施例1】
ヒト臍帯静脈血管内皮細胞(HUVEC)におけるTF産生に対する作用
HUVECを96穴プレートに10%FBS添加F−12培地にて、分注し、24時間培養後、培地を除去し10%FBS添加F−12培地に、LPSを最終濃度100ng/ml、もしくはTNFαを最終濃度100U/mlとなるように加えた。一般式(I)(式中R1は水素原子または水酸基)で示される化合物は生理食塩液に溶解し、最終濃度10μMとなるよう、LPS、TNFα添加と同時に加えた。37℃、5%CO2 で6時間インキュベートした後、PBSで2回洗浄し、HUVEC表面のTFを以下のような2step amidolytic assayにて測定した。FactorVII、Xを含む凝固因子製剤と塩化カルシウムおよび合成基質S2222を含むassay bufferを250μl/wellで添加し、37℃、30分間加温後のOD405 値を吸光度計にて測定した。Bufferのみによる値を0%、LPSもしくはTNFα添加を100%とし、一般式(I)(式中R1は水素原子または水酸基)で示される化合物のTF産生に対する阻害率を求めた。
【0015】
一般式(I)(式中R1は水素原子または水酸基)で示される化合物は表1に示すように、LPSおよびTNFα刺激によるHUVEC表面のTF産生を抑制した。
【表1】
【0016】
【実施例2】
本発明の化合物の急性毒性試験を、ラット(Jcl:Wistar, 5週齢)およびマウス(Slc:ddY,5週齢)を用いて実施した結果、低毒性であることが確認された。その結果を表2に示す。
【表2】
【0017】
【実施例3】
製剤例(無菌注射剤)
下記表3の成分を注射用蒸留水に溶解し、その後、注射用蒸留水を添加し、必要な最終重量とし、この溶液2mlをアンプルに密封し、加熱滅菌した。
【表3】
【0018】
【実施例4】
製剤例(錠剤)
下記表4の成分を含む錠剤を常法により調製した。
【表4】
【0019】
【発明の効果】
本発明によれば、DIC予防、治療剤が提供できる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、播種性血管内凝固症候群予防、治療剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
播種性血管内凝固症候群〔以下、DICと略記する(Disseminated intravascular coagulation)〕は、何らかの原因により血管内で広範に血液凝固が起こり、血小板や多くの凝固因子が消費されて、それらの血中濃度が低下し、さらに、二次線溶も加わって顕著な出血傾向を来たすとともに、全身の細小血管に血栓が多発して、循環障害による諸臓器の機能障害を呈する症候群である。DIC治療の原則は、基礎疾患の治療とともに、血液凝固亢進状態を是正することにあり、ヘパリン、低分子量ヘパリン、メシル酸ガベキサート、メシル酸ナファモスタット、乾燥濃縮ヒトアンチトロンビンIII製剤などの抗凝固療法が行われている。しかし、抗凝固剤は、出血などの副作用も懸念されるため、さらに優れたDIC治療剤が切望されている。
【0003】
組織因子〔以下、TFと略記する(Tissue Factor )〕は,エンドトキシンやサイトカインの刺激により、血管内皮細胞の表面に発現し、血管内凝固の進展に関与すると言われている。特にDICにおいては、外因系凝固カスケードが初期病態形成に深く関与するが、TFはこの外因系凝固カスケードの起点となるため、このTF産生を阻害することは、DICの早期治療を可能にすると考えられている。また、基礎疾患の違いにより、凝固線溶系のバランスが崩れているDICの治療で、トロンビンやプラスミンといった凝固因子に直接作用する抗凝固薬に比べ、TF産生阻害剤は、出血の副作用のない新規治療薬として期待される。〔臨床血液、35(5), 461 (1994) 、医学のあゆみ、198(1),88(2001) 〕
さらに、一般式(I)で示される化合物とヘパリン、低分子量ヘパリン、メシル酸ガベキサート、メシル酸ナファモスタット、乾燥濃縮ヒトアンチトロンビンIII製剤などの抗凝固薬は、作用機序が異なり、相加、もしくは相乗作用が期待できる。
【0004】
一方、一般式(I)で示される化合物は、Rhoキナーゼ、ミオシン軽鎖リン酸化酵素、プロテインキナーゼCといったキナーゼ阻害活性を有し、血管平滑筋弛緩作用、血流増加作用、血圧低下作用、脳、心臓保護作用等を示し、血管拡張剤(特に、狭心症治療剤)、脳、心臓保護剤等において有効な物質であることは、既に公知である〔例えば、特開昭61−152658号公報、特開昭61−227581号公報、特開平2−256617号公報、特開平4−264030号公報、特開平6−056668号公報、特開平6−080569号公報、特開平7−80854号公報、WO98/06433、WO00/03746、Br. J. Pharmacol., 98, 1091 (1989), J. Pharmacol. Exp. Ther., 259, 738 (1991), Circulation, 96, 4357 (1997), Cardiovasc. Res., 43, 1029 (1999)〕。
【0005】
本明細書に記載した本発明に至るまで、一般式(I)で示される化合物が、DICの予防、治療に有用であること、および一般式(I)で示される化合物と、ヘパリン、低分子量ヘパリン、メシル酸ガベキサート、メシル酸ナファモスタット、乾燥濃縮ヒトアンチトロンビンIII、トロンボモジュリン製剤から、各々薬剤として許容できる少なくとも1種以上の治療薬を併用したDIC予防治療組成物が、DICに有効である旨、それを示唆する報告は認められない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、DICを予防もしくは治療する医薬を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、一般式(I)で示される化合物について、鋭意研究を重ねた結果、該化合物が上記血管平滑筋弛緩作用、血流増加作用、血圧低下作用、脳、心臓保護作用など、従来知られている作用からは全く予期できないDICの予防、治療効果を見出した。さらに、一般式(I)で示される化合物と、ヘパリン、低分子量ヘパリン、メシル酸ガベキサート、メシル酸ナファモスタット、乾燥濃縮ヒトアンチトロンビンIII、トロンボモジュリン製剤から、各々薬剤として許容できる少なくとも1種以上の治療薬を併用したDICの予防、治療組成物が、驚くべきことに、それぞれ単独での使用に比して、DICの予防、治療効果が高いことを見出し、本発明を完成した。
【0008】
すなわち、本発明は、下記一般式(I)
【化2】
(ただし、式中R1は水素原子または水酸基を表す。)
で示される化合物またはその酸付加塩もしくは水和物を有効成分とするDIC予防、治療剤である。
【0009】
本発明の一般式(I)で示される化合物は、公知の方法、例えば、Chem. Pharam. Bull., 40, (3) 770-773 (1992)、特開昭61−152658号公報等に記載されている方法に従って合成することができる。また、その酸付加塩は、薬学上許容される非毒性の塩が好ましく、例えば、塩酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸等の無機酸、および酢酸、クエン酸、酒石酸、乳酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、メタンスルホン酸等の有機酸の塩を挙げることができる。
【0010】
本発明のDIC予防、治療剤を、投与に適した形の製剤として調製するに際しては、上述の一般式(I)で示される化合物またはその酸付加塩もしくは水和物と、公知の医薬上許容される担体とを混合すればよい。この担体としては、例えば、ゼラチン;乳糖、グルコース等の糖類;小麦、米、とうもろこし澱粉等の澱粉類;ステアリン酸等の脂肪酸;ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム等の脂肪酸塩;タルク;植物油;ステアリンアルコール、ベンジルアルコール等のアルコール;ガム;ポリアルキレングリコール等が挙げられる。
また、液状担体としては、一般に水、生理食塩液、デキストロースまたは類似の糖溶液、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のグルコール類が挙げられる。カプセル剤とする場合には、通常ゼラチンを用いてカプセルを調製することが好ましい。
【0011】
以上のような担体と一般式(I)で示される化合物またはその酸付加塩もしくは水和物よりなる本発明のDIC予防、治療剤中には、通常0.01重量%以上、また、80重量%以下、好ましくは60重量%以下の有効成分を含む例が挙げられる。
本発明のDIC予防、治療剤の投与方法としては、経口投与や非経口投与が挙げられる。経口投与に適した剤形としては、錠剤、カプセル剤、粉剤、顆粒剤、液剤、エリキシル剤等が挙げられ、非経口投与に適した剤形としては、液剤が挙げられる。
非経口的に筋肉内注射、静脈内注射、皮下注射で投与する場合、一般式(I)で示される化合物またはその酸付加塩もしくは水和物を等張にするために、食塩またはグルコース等の他の溶質を添加した無菌溶液として投与される。
【0012】
注射により投与する場合には、滅菌水、塩酸リドカイン溶液(筋肉内注射用)、生理食塩液、ブドウ糖、静脈内注射用溶液、電解質溶液(静脈内注射用)等で溶解することも好ましい。このようにして溶解した場合には、通常0.01〜20重量%、好ましくは0.1〜10重量%の有効成分を含むように調製する。経口投与の液剤の場合、0.01〜20重量%の有効成分を含む懸濁液またはシロップが好ましい例として挙げられる。この場合における担体としては、香料、シロップ、製剤的ミセル体等の水様賦形剤が挙げられる。
本発明のDIC予防、治療剤の一般式(I)で示される化合物またはその酸付加塩もしくは水和物の投与量は、被投与者の年齢、健康状態、体重、症状の程度、同時処置があるならばその種類、処置頻度、所望の効果の性質、あるいは投与経路や投与計画などによって異なるが、一般には、非経口投与で0.01〜20mg/kg・日、経口投与で0.02〜40mg/kg・日が挙げられる。
【0013】
公知のDIC治療薬と併用する場合、一般式(I)で示される化合物またはその酸付加塩もしくは水和物の1日用量は、投与経路や投与計画などによって異なるが、一般には、単剤の用量よりも少なくてよく、非経口投与で0.005〜20mg/kg・日、経口投与で0.01〜40mg/kg・日である。ヘパリン、低分子量ヘパリン、アンチトロンビンIII、メシル酸ガベキサート、メシル酸ナファモスタット、またはこれらからいくつかの薬剤は、主として、静脈注射もしくは点滴静脈内注入により投与する。血中でその有効濃度に達することができるような方法であれば、他の投与方法を用いてもよく、具体的には、筋肉注射、皮下投与、経口、経鼻、系肺、経腸のような経粘膜投与法などが挙げられる。投与量はヘパリン1〜100000単位/日、低分子量ヘパリン1〜10000単位/日、アンチトロンビンIII1〜10000単位/日、メシル酸ガベキサート1〜100mg/日、メシル酸ナファモスタット0.01〜10mg/日が例示される。投与量は症状、投与対象の年齢、性別等を考慮して個々の場合に応じて適宜決定される。
本発明による治療において、抗凝固剤と、一般式(I)で示される化合物またはその酸付加塩もしくは水和物を併用する場合、順序に制限はなく、個別に投与してもよいが、組み合わせ、組成物にしてから同時に投与することも可能である。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に実施例及び参考例を挙げ、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は、これらに限定されるものではない。
【実施例1】
ヒト臍帯静脈血管内皮細胞(HUVEC)におけるTF産生に対する作用
HUVECを96穴プレートに10%FBS添加F−12培地にて、分注し、24時間培養後、培地を除去し10%FBS添加F−12培地に、LPSを最終濃度100ng/ml、もしくはTNFαを最終濃度100U/mlとなるように加えた。一般式(I)(式中R1は水素原子または水酸基)で示される化合物は生理食塩液に溶解し、最終濃度10μMとなるよう、LPS、TNFα添加と同時に加えた。37℃、5%CO2 で6時間インキュベートした後、PBSで2回洗浄し、HUVEC表面のTFを以下のような2step amidolytic assayにて測定した。FactorVII、Xを含む凝固因子製剤と塩化カルシウムおよび合成基質S2222を含むassay bufferを250μl/wellで添加し、37℃、30分間加温後のOD405 値を吸光度計にて測定した。Bufferのみによる値を0%、LPSもしくはTNFα添加を100%とし、一般式(I)(式中R1は水素原子または水酸基)で示される化合物のTF産生に対する阻害率を求めた。
【0015】
一般式(I)(式中R1は水素原子または水酸基)で示される化合物は表1に示すように、LPSおよびTNFα刺激によるHUVEC表面のTF産生を抑制した。
【表1】
【0016】
【実施例2】
本発明の化合物の急性毒性試験を、ラット(Jcl:Wistar, 5週齢)およびマウス(Slc:ddY,5週齢)を用いて実施した結果、低毒性であることが確認された。その結果を表2に示す。
【表2】
【0017】
【実施例3】
製剤例(無菌注射剤)
下記表3の成分を注射用蒸留水に溶解し、その後、注射用蒸留水を添加し、必要な最終重量とし、この溶液2mlをアンプルに密封し、加熱滅菌した。
【表3】
【0018】
【実施例4】
製剤例(錠剤)
下記表4の成分を含む錠剤を常法により調製した。
【表4】
【0019】
【発明の効果】
本発明によれば、DIC予防、治療剤が提供できる。
Claims (1)
Priority Applications (3)
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