JP2005315842A - 故障点標定方法、装置、プログラム及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 電源1Aは上り線5に電流I14を供給し、下り線6に電流I13を供給する。電源1Bは上り線5に電流I12を供給し、下り線6に電流I11を供給する。電源1A,1Bはそれぞれ電源インピーダンス7A,7Bを有し、上り線5は線路インピーダンス8を有する。下り線6は短絡点の両側に線路インピーダンス9,10を有すると共に、短絡点との間に短絡抵抗11を有する。上記構成において、上り線5及び下り線6の全長をD(km)とし、短絡点がA変電所の回線接続点からX(km)の距離にあるとすると、Xは故障点標定式X=D・|(I11+I14)/(I11+I13)|により求めことができる。
【選択図】 図3
Description
・横流による誤差:対向する2つの変電所から同一き電区間電力を送る並列き電区間においては、変電所間に横流が流れる。き電回路の短絡故障時において、故障点の短絡抵抗が0Ωであれば、故障回線に横流は流れないが、短絡抵抗が存在し、変電所電圧間に電圧差(ベクトル的な)が存在する場合には故障回線にも横流が流れる。この場合の故障回線電流は横流を含むため、2つの変電所の故障回線電流は故障点までの距離に反比例した電流とはならず、電流比例方式では誤差が発生する。
・電源インピーダンスによる誤差:電流比方式の場合は、変電所から故障点までの距離に比例した線路インピーダンスの他に、電源側のインピーダンスを含む総合インピーダンスにより電流比が決まる。従って、並列き電区間の場合は、2つの変電所の電源インピーダンスの差により生じる誤差を補正する処理が必要となる。
また、き電区間の故障点標定方式としてフィーダ電流の方向が故障区間を挟む両ポストで反転したことを以って、当該区間のき電線とトロリー線間に短絡故障が発生したことを標定する方式が提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながらこの方式は、並列き電区間におけるT相−F相間の短絡故障に対しては標定不能であった。
また、本発明は、請求項2記載の故障点標定方法において、位相基準を前記第1又は第2の電源の電圧に統一することを特徴としている。
また、本発明は、請求項1記載の故障点標定方法において、前記電流値が瞬時値であることを特徴としている。
また、本発明は、前記電流値の瞬時値のみでなく、該瞬時値の変化率を含め、
また、本発明は、請求項1〜5のいずれか1項記載の故障点標定方法において、前記第1の回線は上り線又は下り線であり、前記第2の回線は下り線又は上り線であることを特徴としている。
また、本発明は、請求項1〜6のいずれか1項記載の故障点標定方法において、前記第1及び第2の回線が、前記並列き電区間のトロリー線又はき電線であることを特徴としている。
第1及び第2の回線の長さをそれぞれDとするとき、第1の電源から短絡故障点までの距離Xを、X=D・|(I4+I1)/(I4+I2)|により求める演算手段とを備えたことを特徴とするものである。
また、本発明によるコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、前記プログラムを記録したものである。
<第1の実施形態>
図1は本発明の第1の実施形態による並列き電区間における故障点標定装置を示す構成図である。
図1において、トロリー線T、レールR、き電線Fの一端はA変電所の電源1Aに共通に接続され、各線の他端はB変電所の電源1Bに共通に接続されている。また、各線は複数の単巻変圧器2に図示のように接続され、2つの電源1A、1Bから電力が供給されることにより並列き電回路が構成される。本実施の形態は、トロリー線Tとき電線F間(T相−F相)の短絡故障を標定するものである。
図2において、上り線5と下り線6はそれぞれ両端を電源1Aと電源1Bに接続されて電源を供給されている。尚、図示では上り線5及び下り線6は1相の回線のみが示されているが、実際にはそれぞれ3相の回線がある。また、図示の回線は、例えばトロリー線Tであり、別に同じ構成のき電線Fがあるものとする。
A変電所側においては、上り線5の14回線の電流I14と下り線6の13回線の電流I13を計器用変流器CTにより測定すると共に、13回線の電圧V13を計器用変圧器PTにより測定している。また、B変電所側においては、上り線5の12回線の電流I12と下り線6の11回線の電流I11を計器用変流器CTで測定すると共に、14回線の電圧V14を計器用変圧器PTにより測定している。尚、特許請求の範囲においては、I1=I14、I2=I12、I3=I13、I4=I11である。
図3において、電源1Aは、上り線5に電流I14を供給し、下り線6にI13を供給する。電源1Bは、上り線5に電流I12を供給し、下り線6にI11を供給する。電源1A,1Bはそれぞれ電源インピーダンス7A,7Bを有し、上り線5は線路インピーダンス8を有する。下り線6は短絡故障点の両側に線路インピーダンス9,10を有すると共に、短絡故障点との間に短絡抵抗11を有する。
X=D・|(I11+I14)/(I11+I13)|
又はX=D・|(I11−I12)/(I11+I13)|(∵I14=−I12) …(1)
本実施の形態によるこの方式を回線電流標定方式というものとする。
入力要素 ベクトル値方式 瞬時値方式
き電電圧V13又はV14 ○ ×
・A変電所 き電電流I13 ○ ○
き電電流I14 ○ ○
き電電圧V11又はV12 ○ ×
・B変電所 き電電流I11 ○ ○
き電電流I12 ○ ○
この表から分かるように瞬時値方式の場合は、電圧値は入力不要である。
(1)電流が最も大きい回線を故障回線とする。
(2)A変電所とB変電所の電流のベクトル和が0(A)となる回線を故障回線とする。
図4に短絡故障時の回路の略図を示す。ここでは、V13をVAで示し、V11をVBで示す。また、上り線5の線路インピーダンス8の値をZとする。
2.各回線の電圧・電流のベクトル値を子局3A,3Bから親局4に送信する。図6にA変電所とB変電所の電圧の位相差を示す。
3.親局4の中央装置は、既知であるA変電所〜B変電所間の線路インピーダンスに健全回線の電流I14(又はI12)を乗じ、図6のベクトル関係からA変電所電圧VAとB変電所電圧VB間の位相差角θABを求める。
4.上記θABで補正してI11の位相角を、図7のようにA変電所電圧VA(V13)基準にする。
5.図7のベクトル図におけるI11,I13,I14を故障点標定式(1)に代入して故障点標定値Xを算出する。
1.時間同期されている子局3Aと子局3Bは波形を記録する。記録サンプリング周波数は20kHz程度以上、時間同期の誤差は50μsec程度以下とする。
2.記録した各回線の瞬時値電流データを2〜3波長程度親局4に送信する。
3.親局4の中央装置は、上記瞬時値電流データを故障点標定式(1)に代入して標定値を算出する。
4.算出結果のうち最も値が大きい電流波形の波高値付近での標定値を故障点標定値として採用する。
同図(a)に示す電流が0に近づくに従って、(b)に示すように標定値の誤差が大きくなり、0点では標定不能となる。しかし、図8の点線で示すように、故障回線電流波高値付近の瞬時値での標定値は安定し、実用上は十分な精度が得られる。
以上のように、本実施の形態によれば、並列き電区間におけるT相−F相間の短絡故障点を、横流、短絡抵抗及び電源インピーダンス等の影響を受けることなく、精度よく安定に標定することができる。
次に、第2の実施形態の回線電流標定方式による短絡故障点の標定方法の原理を図9を用いて説明する。図9は本発明の第2の実施形態の回線電流標定方法の原理を説明する、図3と同様なT相−F相短絡故障時における図2の等価回路である。
瞬時値方式において、各回線の電流については、すでに述べた図1,図2及び図3の説明と同様であるが、図9に示す第2の実施形態においては、線路インピーダンス8,線路インピーダンス9,線路インピーダンス10により、回線14,回線12,回線13及び回線11にそれぞれ流れる電流値I14,I12,I13,I11だけでなく、各回線の線路リアクタンスL8,線路リアクタンスL9,線路リアクタンスL10による電流の瞬時値の変化率(微分値)を考慮すると、以下の(2)式に示す微分方程式が求められる。
そして、14回線及び12回線の間には短絡箇所がないため、電流値I14及び電流値I12が線路インピーダンス8の抵抗値D・R(Ω)によって決定し、電流値I14及び電流値I12の変化率が線路リアクタンスL8のリアクタンスD・L(H)によって決定される。
線路インピーダンスが回線13側の線路インピーダンス9(抵抗値X・R(Ω))と回線11側の線路インピーダンス10(抵抗値(D−X)・R(Ω))とに分割され、線路リアクタンスが回線13側の線路リアクタンスL9(リアクタンスX・L(H))と回線11側の線路リアクタンスL10(リアクタンス(D−X)・L(H))とに分割される。
そして、(2)式の微分方程式を整理して、距離Xを求める構成とすると、以下に示す(3)式となる。
・(3)式の標定式を用いた瞬時値方式による算出手順
1.時間同期されている子局3Aと子局3Bは波形を記録する。記録サンプリング周波数は20kHz程度以上、時間同期の誤差は50μsec程度以下とする。
2.記録した各回線の瞬時値電流データを2〜3波長程度親局4に送信する。
3.親局4の中央装置は、上記瞬時値電流データ及びその変化率(微分値)を故障点標定式(3)に代入して標定値を算出する。
4.算出結果のうち最も値が大きい電流波形の波高値付近での標定値を故障点標定値として採用する。
そして、故障発生時の任意の時刻における、故障点を挟む4回線(回線11,12,13,14)の電流の瞬時値及びその変化率を(3)式に代入することにより、故障点の位置(第2の実施形態においては子局3Aからの距離)を標定することができる。
そして、実際の故障電流には過渡的な直流成分が重畳することがあり、直流成分が重畳した場合に、第2の実施形態による故障点標定方法のほうが、第1の実施形態に比較して故障点(例えば、T−F短絡点)の標定における精度を高くすることができる。
この結果、故障発生直後(20〜30m秒後)の電流波形データを用いることが、故障点の標定においては望ましいが、ベクトル値による標定においては過渡現象の影響を受け、標定する故障点に誤差が発生する可能性がある。
しかしながら、第2の実施形態によれば、(3)式の瞬時値による標定値が過渡現象による波形歪みに対しても有効であるため、故障直後の波形瞬時値を用いても高い精度により、故障点の標定を行うことができる。
本実施の形態の前述した動作に基づく処理を、本発明による故障点標定装置におけるコンピュータシステムのCPUが実行するためのプログラムは、本発明によるプログラムを構成する。
またこの記録媒体は、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部のRAM等の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持するものも含まれる。
また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータシステムに既に記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
Claims (11)
- 第1の回線と第2の回線の一端に第1の電源を接続し、他端に第2の電源を接続した並列き電区間の第2の回線に発生した短絡故障点を標定する短絡故障点標定方法であって、
短絡故障発生時に、第1の回線に第1の電源から流入する電流値をI1、第2の電源から流入する電流値をI2とし、第2の回線に第1の電源から流入する電流値をI3、第2の電源から流入する電流値をI4とし、第1及び第2の回線の長さをそれぞれDとするとき、第1の電源から短絡故障点までの距離Xを
X=D・|(I4+I1)/(I4+I2)|により求めることを特徴とする故障点標定方法。 - 前記電流値はベクトル値であることを特徴とする請求項1記載の故障点標定方法。
- 位相基準を前記第1又は第2の電源の電圧に統一することを特徴とする請求項2記載の故障点標定方法。
- 前記電流値は瞬時値であることを特徴とする請求項1記載の故障点標定方法。
- 前記電流値の測定時に前記第1及び第2の電源において測定時間の同期をとることを特徴とする請求項4または請求項5に記載の故障点標定方法。
- 前記第1の回線は上り線又は下り線であり、前記第2の回線は下り線又は上り線であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載の故障点標定方法。
- 前記第1及び第2の回線は、前記並列き電区間のトロリー線又はき電線であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項記載の故障点標定方法。
- 第1の回線と第2の回線の一端に第1の電源を接続し、他端に第2の電源を接続した並列き電区間の第2の回線に発生した短絡故障点を標定する短絡故障点標定装置であって、
短絡故障発生時に、第1の回線に第1の電源から流入する電流値I1及び第2の電源から流入する電流値I2、第2の回線に第1の電源から流入する電流値I3及び第2の電源から流入する電流値I4を測定する測定手段と、
第1及び第2の回線の長さをそれぞれDとするとき、第1の電源から短絡故障点までの距離Xを
X=D・|(I4+I1)/(I4+I2)|により求める演算手段とを備えたことを特徴とする故障点標定装置。 - 第1の回線と第2の回線の一端に第1の電源を接続し、他端に第2の電源を接続した並列き電区間の第2の回線に発生した短絡故障点を標定するプログラムにおいて、
短絡故障発生時に、第1の回線に第1の電源から流入する電流値I1及び第2の電源から流入する電流値I2、第2の回線に第1の電源から流入する電流値I3及び第2の電源から流入する電流値I4を測定する測定処理と、
第1及び第2の回線の長さをそれぞれDとするとき、第1の電源から短絡故障点までの距離Xを
X=D・|(I4+I1)/(I4+I2)|により求める演算処理とをコンピュータに実行させるプログラム。 - 請求項10の記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
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