JP2005314442A - ポリカプロラクトン共重合体、その利用方法、その製造方法及び製造装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 ポリカプロラクトン共重合体は、その混合物が、30℃〜50℃で好ましくは40℃、50℃〜70℃で好ましくは60℃、80℃〜100℃で好ましくは90℃、100℃〜120℃で好ましくは110℃の順で段階的に加熱及び混練され、さらに、110℃〜130℃で好ましくは120℃、130℃〜150℃で好ましくは140℃の順で段階的に加熱、加圧及び混練されて生成される。
【選択図】 図1
Description
このような問題を解決するものとして生分解性プラスチックがある。生分解性プラスチックは、使用後においては焼却しても有害物質を生成することなく、土中に埋設することにより微生物の働きにより安全に無害な物質に分解され、最終的には水と炭酸ガスにまで分解されることが確認されている。この生分解性プラスチックは、環境への負荷が極めて少ないことが立証されており、あらゆる産業分野に適用可能である。
この生分解性プラスチックは、再利用しにくい製品(例えばゴミ袋、使い捨て容器、農業用フィルム等)には打ってつけの素材で、廃棄物対策ばかりか省略化にも大きく寄与することがわかっている。
このような澱粉混合型生分解性プラスチックを利用した従来技術の1つとして、特許文献1が開示するところの生崩壊性樹脂組成物及びその製造方法があった。この特許文献1では、生崩壊性に優れた澱粉樹脂と、成形性と剛性に優れたポリエチレン、ポリプロピレン等の樹脂を混合することにより得た、成形性、剛性に優れた生崩壊性樹脂が開示されていた。
(1)従来の生分解性プラスチックは生成材料の価格が高く製品のコストが大幅に増大するため、一部の製品(手術用縫合糸等)にしか利用されていなかった。
(2)また、前述したように、澱粉混合型生分解性プラスチックは、このようなコスト面の問題を解決するものであるが、従来の技術では、生分解性を有しないポリエチレンやポリプロピレン等の主剤に澱粉を混合しただけのものであり、高い生分解性を実現することが困難であった。
さらに、110℃〜130℃で好ましくは120℃、130℃〜150℃で好ましくは140℃の順で段階的に加熱、加圧及び混練されて生成されたことを特徴とする。
なお、このときの混合比を、
(PCL+PBSの合計重量部)>(EVACの重量部)
となるように混合させる。これにより、最終生成物(ポリカプロラクトン共重合体)における一定以上の生分解度を確保することができる。
・PCL:分子量10,000〜70,000程度の製品(本実施例では特願2003−376569で開示した製法で製造したPCL)を用いる。なお、その他のPCLとしては、例えばユニオンカーバイト、日本ソルベイ、ダイセル化学社製等のPCLを用いてもよい。なお、本実施例では、特願2003−376569で開示される製法で製造されるPCLを使用してもよい。
・PBS:分子量80,000程度の製品(例えば昭和高分子、SKインダストリー、IRe Chemical社製等)を用いる。
・EVAC:分子量14,000〜30,000程度の製品(例えばデュポン、三井化学、住友化学工業、東ソー、日本ポリオレフィン株式会社製等)を用いる。
・グリセリン:工業用精製グリセリン(純度95%以上)を用いる。
・とうもろこし澱粉:粒径10〜20μmのものが好適で、澱粉の種類はアセチル化澱粉がより好ましい。なお、他の由来の澱粉で代用することも可能である。
以下、図に沿って、本実施例におけるポリカプロラクトン共重合体の生成工程について説明を進める。
この撹拌混合時の内容物の温度は40℃を超えないようにすることが重要であり、これは高温になると十分に混合することができないためである。
この原料粉末を合計重量50kg混合する場合、その撹拌混合装置の撹拌羽根の回転数は毎分50〜60回転が好ましく、撹拌混合時間は10〜20分が好ましい。
また、原料粉末混合物にグリセリンと水を混合する場合には撹拌混合装置の撹拌羽根の回転数は毎分30〜50回転が好ましく、撹拌混合時間は20〜30分が好ましい。
図2は、その加熱混練押出装置の構造を示す図である。
図に示すように、この加熱混練押出装置は、前述の撹拌後の原料混合物を導入するための入口部11と、その導入された原料混合物を溶融・混練し、搬送する混練部12と、その混練部12で発生した気体を脱気する第一脱気部13と、混練部12から導入された原料混合物を加圧・加熱・混練し、搬送する一軸加圧部14と、その一軸加圧部14で発生した気体を脱気する第二脱気部15と、一軸加圧部14で搬送された原料混合物を送出する出口部16とを有する。
この混練部12は、二軸のかみ合い型の混練部であることが好ましい。その理由は、グリセリンが粘り気があり糖蜜性を有する液体であり、このグリセリンが混合された原料混合物を連続的に混練部12に送り込むときには、その導入口(入口部11)が二軸のかみ合い型になっている装置の方が単軸の装置より材料の送り安定性が優れているからである。
また、この混練部12の導入口の温度は室温程度であることが好ましく、高くとも50℃を超えない温度であることとする。これは、原料混合物の導入口の温度が50℃を超えると、加熱混練押出装置内部に送られる原料の混合比率が一定とならない虞があるからである。
そこで、混練部12及び一軸加圧部14に備えられた加熱ヒーターは、その導入された原料混合物を加熱して、原料混合物に含まれる水分や空気を効率的に除外し、乾燥させる。
また、このとき第一脱気部13及び第二脱気部15は、その除外された水分(水蒸気)や空気を系外に排出する。
このように原料混合物中に含まれる水分や空気を十分に除外するため、過熱混練押出装置には脱気部が本実施例のように二箇所以上ある構造のものが好ましい。
この工程において、原料混合物を初めから高温に加熱するのは好ましくなく、脱気脱水の進度に合わせて段階的に(少なくとも五段以上)温度制御するのが好ましい。
加熱混練押出装置内部の温度勾配は、入口部11から第一脱気部13付近まで段階的に上昇するようにするのが好適で、図2(加熱混練押出装置の構造例)を以って説明すれば、以下に示すようになる。
・入口部(A):好ましくは30℃〜50℃、さらに好ましくは40℃
・(B)の区域:好ましくは50℃〜70℃、さらに好ましくは60℃
・(C)の区域:好ましくは80℃〜100℃、さらに好ましくは90℃
・(D)の区域:好ましくは100℃〜120℃、さらに好ましくは110℃
以上のように、(A)〜(D)においては三段階加熱とする。
第一脱気部13は(D)の区域の直後にあり、原料から遊離した空気や水分(水蒸気)を系外に排出するための空隙を設けてある。入口部11から第一脱気部13までの圧力勾配はほとんどないに等しく、単純に加熱混練移送のみを目的としている。
また、第二脱気部15以降(G)から(H)の区域までは好ましくは130℃〜150℃、さらに好ましくは140℃に加熱し、十分に溶融混練された状態で出口部16から系外へ押出される。
このときの押出圧力は出口部16の形状や寸法により異なるが、径2〜3mmのペレット状のポリカプロラクトン共重合体を生成する場合は30〜60kg/cm2が好適である。
なお、本実施例では、ポリカプロラクトン共重合体の成型方法を押し出し成型としたが、他の成型方法(例えば圧縮成型、射出成型、吹き込み成型、真空成型等)であってもよい。
以上のようにして、加熱混練押出装置は、ポリカプロラクトン共重合体を生成する。
前述の実施例におけるポリカプロラクトン共重合体を用いて、この農業用シートを成型する場合、その厚さは20μm〜60μmが好ましい。
前述の実施例におけるポリカプロラクトン共重合体を用いて、この土のう袋を成型する場合、その厚さは1mm〜2mmが好ましい。
この場合、袋の厚さは20μm〜35μmが好ましい。
また、同様にポリカプロラクトン共重合体を成型して、化粧品用の容器に利用することもできる。この場合、容器の厚みは50μm〜2mmが好ましい。
前述の実施例におけるポリカプロラクトン共重合体を用いて、この育苗/園芸用フラワーポットを成型する場合、その厚さは50μm〜2mmが好ましい。
他は実施例1と同様である。
また、ISO14021では、生分解性の表示条件をOECD301C、JIS K 6950、JIS K 6951、JIS K 6953における試験方法において分解度60%以上と定めている。
本実施例におけるポリカプロラクトン共重合体においても、EVACまたはEVOHの混合比を一定以下に調整することにより、前述の生分解性の表示条件を容易に満たすことは明らかである。
試験条件は以下のとおりとする。
・プラスチックフィルム(EVAC、EVOH)の厚さ:0.035mm
・陰極:プラチナを電解メッキしたチタン
・陽極:プラチナとルテニウムを焼結したチタン
・電極有効面積:150×100mm
・電解電圧:3.5V
・電解時間:20分
・アルカリ溶液:水酸化カリウム3%液
前述の条件下で、分解率(%)は以下のように計算した。
(分解率)=(開始時重量−終了時重量)×100/(開始時重量)
分解率は、それぞれEVAC:7%、EVOH:58%となり、EVAC、EVOHともに加水分解性が認められる。特に、EVOHは非常に高い分解率で加水分解することが認められる。
12 混練部
13 第一脱気部
14 一軸加圧部
15 第二脱気部
16 出口部
Claims (8)
- ポリカプロラクトンと、ポリブチレンサクシネートと、エチレン−酢酸ビニル共重合体と、澱粉と、グリセリンとを含むポリカプロラクトン共重合体。
- ポリカプロラクトンと、ポリブチレンサクシネートと、エチレン−酢酸ビニル共重合体と、澱粉と、グリセリンとが混合され、該混合物が段階的に異なる温度で加熱され、混練されて生成されたことを特徴とするポリカプロラクトン共重合体。
- 前記混合物が、
30℃〜50℃で好ましくは40℃、
50℃〜70℃で好ましくは60℃、
80℃〜100℃で好ましくは90℃、
100℃〜120℃で好ましくは110℃の順で段階的に加熱及び混練され、
さらに、110℃〜130℃で好ましくは120℃、
130℃〜150℃で好ましくは140℃の順で段階的に加熱、加圧及び混練されて生成されたことを特徴とする請求項2記載のポリカプロラクトン共重合体。 - 請求項1から3のいずれか1項に記載のポリカプロラクトン共重合体を、
シート状、袋状、または釣鐘状容器に成型し、該成型物を農業用シート、土のう袋、運搬用袋、または育苗/園芸用ポットとして利用することを特徴とするポリカプロラクトン共重合体の利用方法。 - ポリカプロラクトンと、ポリブチレンサクシネートと、エチレン−酢酸ビニル共重合体と、澱粉と、グリセリンとを混合し、該混合物を段階的に異なる温度で加熱し、混練して生成することを特徴とするポリカプロラクトン共重合体の製造方法。
- 前記混合物を、
30℃〜50℃で好ましくは40℃、
50℃〜70℃で好ましくは60℃、
80℃〜100℃で好ましくは90℃、
100℃〜120℃で好ましくは110℃の順で段階的に加熱及び混練した後に、
110℃〜130℃で好ましくは120℃、
130℃〜150℃で好ましくは140℃の順で段階的に加熱、加圧及び混練して生成することを特徴とする請求項5記載のポリカプロラクトン共重合体の製造方法。 - ポリカプロラクトンと、ポリブチレンサクシネートと、エチレン−酢酸ビニル共重合体と、澱粉と、グリセリンとを含む混合物を段階的に異なる温度で加熱し、混練して生成することを特徴とするポリカプロラクトン共重合体の製造装置。
- 前記混合物を、
30℃〜50℃で好ましくは40℃、
50℃〜70℃で好ましくは60℃、
80℃〜100℃で好ましくは90℃、
100℃〜120℃で好ましくは110℃の順で段階的に加熱及び混練した後に、
110℃〜130℃で好ましくは120℃、
130℃〜150℃で好ましくは140℃の順で段階的に加熱、加圧及び混練して生成することを特徴とする請求項7記載のポリカプロラクトン共重合体の製造装置。
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JP2004130259A JP2005314442A (ja) | 2004-04-26 | 2004-04-26 | ポリカプロラクトン共重合体、その利用方法、その製造方法及び製造装置 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2013028701A (ja) * | 2011-07-28 | 2013-02-07 | Mitsubishi Chemicals Corp | 樹脂組成物の製造方法 |
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2004
- 2004-04-26 JP JP2004130259A patent/JP2005314442A/ja active Pending
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