JP2005313415A - インクジェット記録用紙 - Google Patents

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Abstract

【課題】 白紙部および印刷部の光沢性に優れ、印刷部の光学濃度、インク吸収性、記録画質等のインクジェット記録適性に優れたインクジェット記録用紙を提供することである。
【解決手段】 支持体に、感温点以下の温度領域では親水性を示し、感温点を超える温度領域では疎水性を示す高分子化合物(A)と微粒子(B)とを含有する記録層下層を設け、該記録層下層上に微粒子(C)を含有する記録層上層を設けたインクジェット記録用紙。
【選択図】 なし

Description

本発明はインクジェットプリンターを用いて行う印刷、記録に使用されるインクジェット記録用紙に関し、白紙部および印刷部の光沢に優れ、インクジェット記録適性に優れたインクジェット記録用紙に関する。
インクジェット記録方式は、記録時の騒音が少なく、カラー化が容易であること、高速記録が可能であることから広い分野で利用が進められている。
近年、高画質を得るための光沢表面を持つインクジェット記録用紙の技術開発が進んでいるが、このような表面光沢の高い用紙としては、表面に板状顔料を塗工し、さらに必要に応じてカレンダー処理を施した高光沢を有する塗工紙、あるいは湿潤状態にある塗工層を、鏡面を有する加熱ドラム面に圧着、乾燥することにより、その鏡面を写し取ることによって得られる、いわゆるキャスト塗工紙が知られている。このキャスト塗工紙はスーパーカレンダー仕上げされた通常の塗工紙に比較して高い表面光沢とより優れた表面平滑性を有し、優れた印刷効果が得られることから、高級印刷物等の用途に専ら利用されているが、インクジェット記録用紙に利用した場合、種々の難点を抱えている。例えば、特許文献1に開示されているように、従来のキャスト塗工紙は、その塗工層を構成する顔料組成物中の接着剤等の成膜性物質がキャストコーターの鏡面ドラム表面を写し取ることにより高い光沢を得ている。他方、この成膜性物質の存在によって塗工層の多孔性が失われ、インクジェット記録時のインクの吸収を極端に低下させる等の問題を抱えている。そして、このインク吸収性を改善するには、キャスト塗工層がインクを容易に吸収できるように多孔質にすることが重要であり、そのためには成膜性を減ずることが必要となる。しかし成膜性物質の量を減らすと、結果として白紙光沢が低下してしまう、と言った具合で、キャスト塗工紙の表面光沢とインクジェット記録適性の両方を同時に満足させることは困難であった。
しかしながら、近年インクジェット記録の高速化、記録画像の高精細化、フルカラー化といった用途の拡大に伴い、さらに高光沢かつ高画質、高記録濃度が要望されるようになり、例えば銀塩方式の写真用印画紙に匹敵する様な光沢、記録品質を有するインクジェット記録用紙の開発が求められている。
米国特許第5275846号明細書
本発明の課題は、白紙部および印刷部の光沢性に優れ、印刷部の光学濃度、インク吸収性、記録画質等のインクジェット記録適性に優れたインクジェット記録用紙を提供することである。
本発明者は、前記課題を解決するために鋭意検討した結果、支持体に、感温点以下の温度領域では親水性を示し、感温点を超える温度領域では疎水性を示す高分子化合物(A)と微粒子(B)とを含有する記録層下層を設け、該記録層下層上に微粒子(C)を含有する記録層上層を設けたインクジェット記録用紙が前記問題の解決に有効であることを見出し、本発明をなすに至った。すなわち、本発明は以下の通りである。
1)支持体に、感温点以下の温度領域では親水性を示し、感温点を超える温度領域では疎水性を示す高分子化合物(A)と微粒子(B)とを含有する記録層下層を設け、該記録層下層上に微粒子(C)を含有する記録層上層を設けたインクジェット記録用紙。
2)前記の記録層上層が、上層用塗工液を塗工し、この塗工した層が湿潤状態にある間に、加熱された鏡面ドラムに圧着、乾燥して仕上げてなることを特徴とする1)の発明のインクジェット記録用紙。
3)前記の微粒子(B)および/または微粒子(C)が、金属源として金属酸化物および/またはその前駆体を用い、金属源とテンプレートと水を混合反応させ複合体を製造する工程を経て製造されたものであることを特徴とする1)または2)の発明のインクジェット記録用紙。
本発明を用いれば、白紙部および印刷部の光沢性に優れ、印刷部の光学濃度、インク吸収性、記録画質等のインクジェット記録適性に優れたインクジェット記録用紙を提供することができる。
本発明について、以下に具体的に説明する。
本発明に用いる支持体としては、例えば、上質紙、印画紙原紙、画用紙、画彩紙、アート紙、コート紙、キャスト紙、クラフト紙等の紙類や、不織布、フィルム、合成紙などが挙げられる。湿潤状態の記録層上層を加熱された鏡面ドラムに圧着・乾燥する態様ではフィルムや合成紙は透気性のものを使用する。支持体は、透気性を有するものであれば透明であっても不透明であっても良いが、透気性の観点から、紙が好ましく用いられ、さらに、銀塩写真に似た質感と表面光沢を得る場合にはポリエチレンなどの樹脂を表面に被覆していない印画紙原紙が好ましく用いられる。
本発明では支持体に記録層を2層以上設ける。3層以上設ける場合は、記録層下層とは実質的に記録層として機能するだけの塗工量がある記録層の内の最下層(支持体に近い層)を示し、記録層上層とは前記最下層より上の(支持体から遠い)2層以上の層を示す。
本発明に用いる、感温点以下の温度領域では親水性を示し、感温点を超える温度領域では疎水性を示す高分子化合物(A)は、単独重合することによって該温度応答性(親水性−疎水性の変化)を呈する高分子化合物が得られるモノマー(主モノマー(M))の単独重合高分子化合物、又は二種類以上の主モノマー(M)の共重合高分子化合物、さらには、該主モノマー(M)と反応して高分子化合物を作ることができ且つ単独重合によっては該温度応答性を呈する高分子化合物が得られないモノマー(副モノマー(N))と主モノマー(M)との共重合高分子化合物である。主モノマー(M)と副モノマー(N)は各々1種又は2種以上のものを組み合わせて用いることも出来る。
主モノマー(M)の単独重合により高い温度応答性を有する高分子化合物(A)が得られるが、主モノマー(M)と副モノマー(N)とを共重合することによって、主モノマー(M)の単独重合高分子化合物とは異なる感温点を持つ高分子化合物(A)が得られたり、主モノマー(M)の単独重合高分子化合物とは異なる成膜性を有する高分子化合物(A)を得ることができる。
主モノマー(M)としてはN−アルキル又はN−アルキレン置換(メタ)アクリルアミド誘導体(ここで、(メタ)アクリルとはメタアクリル(又はメタクリル)又はアクリルを簡便に表記したものである)、ビニルメチルエーテルなどが挙げられ、具体的には例えば、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−シクロプロピル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−メチル−N−n−プロピルアクリルアミド、N−メチル−N−イソプロピルアクリルアミド、N−(メタ)アクリロイルピロリジン、N−(メタ)アクリロイルピペリジン、N−テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N−エトキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロポキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N−エトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−(2,2−ジメトキシエチル)−N−メチルアクリルアミド、N−メトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−(メタ)アクリロイルモルホリンなどが挙げられる。成膜性の観点から、N−イソプロピルアクリルアミド、N−n−プロピルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−アクリロイルモルホリンが好ましい。
副モノマー(N)としては親油性ビニル化合物、親水性ビニル化合物、イオン性ビニル化合物などが挙げられ、具体的には、親油性ビニル化合物としてはメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、グリシジルメタクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、エチレン、イソプレン、ブタジエン、酢酸ビニル、塩化ビニルなどが挙げられ、親水性ビニル化合物としては2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、メチレンビスアクリルアミド、2−メチル−5−ビニルピリジン、N−ビニル−2−ピロリドン、N−アクリロイルピロリジン、アクリロニトリル、などが挙げられ、イオン性ビニル化合物としてはアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、クロトン酸、ブテントリカルボン酸、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノメチル、イタコン酸モノエチル、イタコン酸モノメチル等のカルボン酸基含有モノマー、2−アクリルアミド−2−メチル−プロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、(メタ)アクリルスルホン酸等のスルホン酸基含有モノマー、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有モノマーなどが挙げられる。特に、メチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、アクリルアミド、メタアクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、メチレンビスアクリルアミドが好ましく用いられる。また、本発明の高分子エマルジョンを用いて得られる塗工層の成膜性の観点から、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、クロトン酸、ブテントリカルボン酸、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノメチル、イタコン酸モノエチル、イタコン酸モノメチル等のカルボン酸基含有モノマー、2−アクリルアミド−2−メチル−プロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、(メタ)アクリルスルホン酸等のスルホン酸基含有モノマーなどのアニオン基含有モノマーを用いることは好ましく、特にアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸等のカルボン酸基含有モノマーを用いることは好ましい。
主モノマー(M)と副モノマー(N)の共重合割合は、得られる共重合高分子化合物が一定の温度を境界にして親水性と疎水性が可逆的に変化する温度応答性を呈する範囲の中で決められる。つまり、副モノマー(N)の割合が多すぎれば得られる共重合高分子化合物が該温度応答性を示さなくなる。
即ち、主モノマー(M)と副モノマー(N)の共重合割合は用いるモノマー種の組み合わせに依存するが、生成する高分子化合物中における副モノマー(N)の割合は50質量%以下が好ましい。更に好ましくは、30質量%以下である。また、副モノマー(N)の添加効果がより良く発現されるためには0.01質量%以上が好ましい。
本発明において、高分子化合物(A)の「感温点」とは、その親水性−疎水性が変化する温度であり、「温度応答性」とは、該親水性−疎水性の変化を示す性質を意味する。また、本発明において、「親水性」とは高分子化合物(A)と水とが共存する系において高分子化合物(A)は水と相溶した状態の方が、相分離した状態よりも安定であることを意味し、「疎水性」とは高分子化合物(A)と水とが共存する系において高分子化合物(A)は水と相分離した状態の方が、相溶した状態よりも安定であることを意味する。該親水性−疎水性の変化は例えば、高分子化合物(A)と水とが共存する系の温度変化に伴う急激な粘度変化、または高分子化合物(A)と水とが共存する系の透明性の急激な変化、高分子化合物(A)の水に対する溶解性の急激な変化として現れる。本発明においては、高分子化合物(A)と水とが共存する系の温度を、高分子化合物(A)が疎水性を示す温度領域(感温点を超える温度)から徐々に低下させたときの粘度を測定して得られる温度−粘度曲線が急激に変化する転移点として高分子化合物(A)の感温点を求める。
インクジェット記録ではアニオン基を有する染料インクを用いることは、多くの場合、カチオン基を有する染料インクと比較して光耐久性が高いため好ましい。そのため当該アニオン基を有する染料インクを記録用紙に定着させる目的でカチオン性高分子やカチオン性粒子などカチオン性の化合物をインクジェット記録用紙用塗工液に添加することが好ましく、該塗工液調製の容易さの観点から高分子化合物(A)がカチオン性または非イオン性であることはより好ましい。カチオン性の高分子化合物(A)は例えば、重合に使用する副モノマー(N)として、カチオン基を持つエチレン性不飽和モノマーを含めることによって得ることができ、該観点から少なくとも一種類以上の、カチオン基を持つエチレン性不飽和モノマーを副モノマー(N)として使用することは好ましい。該カチオン基を持つエチレン性不飽和モノマーは各々1種または2種以上のものを組み合わせて用いることも出来る。
カチオン基を持つエチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、ビニロキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド、2,3−ジメチル−1−ビニルイミダゾリニウムクロライド、トリメチル−(3−(メタ)アクリルアミド−3,3−ジメチルプロピル)アンモニウムクロライド、トリメチル−(3−メタクリルアミドプロピル)アンモニウムクロライド、トリメチル−(3−アクリルアミドプロピル)アンモニウムクロライド、N−(1,1−ジメチル−3−ジメチルアミノプロピル)(メタ)アクリルアミドおよびその4級アンモニウム塩、トリメチル−(3−(メタ)アクリルアミド)アンモニウムクロライド、1−ビニル−2−メチル−イミダゾール、1−ビニル−2−エチル−イミダゾール、1−ビニル−2−フェニル−イミダゾール、1−ビニル−2、4,5−トリメチル−イミダゾール、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレートおよびその4級アンモニウム塩、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートおよびその4級アンモニウム塩、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートおよびその4級アンモニウム塩、t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレートおよびその4級アンモニウム塩、N−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミドおよびその4級アンモニウム塩、N−(3−ジメチルアミノプロピル)アクリルアミドおよびその4級アンモニウム塩、N−(3−ジエチルアミノプロピル)メタクリルアミドおよびその4級アンモニウム塩、N−(3−ジエチルアミノプロピル)アクリルアミドおよびその4級アンモニウム塩、o−,m−,p−アミノスチレンおよびその4級アンモニウム塩、o−,m−,p−ビニルベンジルアミンおよびその4級アンモニウム塩、N−(ビニルベンジル)ピロリドン、N−(ビニルベンジル)ピペリジン、N−ビニルイミダゾールおよびその4級アンモニウム塩、2−メチル−1−ビニルイミダゾールおよびその4級アンモニウム塩、N−ビニルピロリドンおよびその4級アンモニウム塩、N,N’−ジビニルエチレン尿素およびその4級アンモニウム塩、α−,またはβ−ビニルピリジンおよびその4級アンモニウム塩、α−,またはβ−ビニルピペリジンおよびその4級アンモニウム塩、2−,または4−ビニルキノリンおよびその4級アンモニウム塩等が例示される。特に、塗工液の配合時に凝集物を生じにくいなどの安定性の観点から、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−(3−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、N−(3−ジメチルアミノプロピル)アクリルアミド、N−(3−ジエチルアミノプロピル)メタクリルアミド、N−(3−ジエチルアミノプロピル)アクリルアミドが好ましく用いられる。
主モノマー(M)と前記カチオン基を持つエチレン性不飽和モノマーを含む副モノマー(N)の共重合割合は、得られる共重合高分子化合物が感温点を境にして親水性と疎水性が可逆的に変化する温度応答性を呈する範囲の中で決められる。
本発明に用いる、高分子化合物(A)中のカチオン基を持つエチレン性不飽和モノマー単位の含有率は、用いるモノマーの種類や組み合わせによって好ましい範囲が異なるが、概して、塗工液調整の容易さの観点から0.01質量%以上が好ましく、成膜性の観点から50質量%以下が好ましい。更に好ましくは0.1〜30質量%である。
本発明に用いる、高分子化合物(A)のガラス転移点は、成膜性および得られるインクジェット記録用紙の柔軟性などの観点から−50〜150℃が好ましい。ただし、得られるインクジェット記録用紙のインク吸収性を重視する場合には30〜150℃が好ましく、得られるインクジェット記録用紙の柔軟性とインク吸収層の透明性を重視する場合には−50〜30℃が好ましい。
本発明において、得られるインクジェット記録用紙の表面光沢性の観点から、高分子化合物(A)は塗工前の塗工液中において高分子エマルジョンを形成していることが好ましい。よって、高分子化合物(A)を製造するに際しては、高分子化合物(A)の感温点を超える温度領域において水性溶媒中で重合反応を行うことが好ましい。該温度領域において高分子化合物(A)は疎水性を示しエマルジョンを形成することから、該温度領域において、広く知られている高分子エマルジョンの製造技術を用いることができる。具体的には、水に界面活性剤を溶解し、前記主モノマー(M)、副モノマー(N)等共重合モノマー成分を加えて乳化させ、ラジカル重合開始剤を加えて一括仕込みによる反応により乳化重合を行う方法のほか、連続滴下、分割添加などの方法により反応系に上記共重合成分や、ラジカル重合開始剤を供給する方法が挙げられる。
本発明に用いる高分子化合物(A)を含む高分子エマルジョンを製造するにおいては、界面活性剤を利用することが好ましい。
本発明に用いる高分子化合物(A)を含む高分子エマルジョンは、アニオン性、カチオン性、非イオン性、両性の何れであっても良い。
高分子化合物(A)を含む高分子エマルジョンがアニオン性の場合には、アニオン性界面活性剤および/または非イオン性界面活性剤を使用する。例えば、脂肪酸石鹸、アルキルスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシエチレンアルキル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルアリール硫酸塩、p−スチレンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩、ホルマリン重縮合物、高級脂肪酸とアミノ酸の縮合物、ジアルキルスルホコハク酸エステル塩、ナフテン酸塩等、アルキルエーテルカルボン酸塩、アシル化ペプチド、α−オレフィンスルホン酸塩、N−アシルメチルタウリン、アルキルエーテル硫酸塩、第二級高級アルコールエトキシサルフェート、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、モノグリサルフェート、アルキルエーテル燐酸エステル塩、アルキル燐酸エステル塩等のアニオン性界面活性剤が挙げられる。非イオン性界面活性剤としてはポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンプロックコポリマー、ポリグリセリン脂肪酸エステル等が挙げられる。
また高分子化合物(A)を含む高分子エマルジョンがカチオン性の場合には、カチオン性界面活性剤および/または非イオン性界面活性剤を使用する。例えば、カチオン性界面活性剤としては、ラウリルアミン塩酸塩、アルキルベンジルジメチルアンモニウムクロライド、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、アルキルアンモニウムヒドロキシド、ポリオキシエチレンアルキルアミン等が挙げられ、非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンプロックコポリマー、ポリグリセリン脂肪酸エステル等が挙げられる。
高分子化合物(A)を含む高分子エマルジョンが非イオン性である場合には、非イオン性界面活性剤を使用する。非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンプロックコポリマー、ポリグリセリン脂肪酸エステル等が挙げられる。
高分子化合物(A)を含む高分子エマルジョンが両性の場合には、両性界面活性剤を使用することが高分子エマルジョンのpHの変化に対する安定性の観点から好ましいが、本発明の塗工液中で該高分子エマルジョンがカチオン性を示す場合にはカチオン性界面活性剤を使用することができ、本発明の塗工液中で該高分子エマルジョンがアニオン性を示す場合にはアニオン性界面活性剤を使用することができる。両性界面活性剤としてはカルボキシベタイン型、アミノカルボン酸塩、レシチン等が挙げられる。
これらの界面活性剤の使用量としては、高分子化合物(A)を含む高分子エマルジョンの樹脂固形分100質量部に対して0.05〜50質量部であることが好ましく、さらに好ましくは1〜30質量部である。
本発明においては、前記界面活性剤を1種単独で使用することもできるし、またその2種以上を併用することもできる。
本発明に用いる高分子化合物(A)を含む高分子エマルジョン重合時に「反応性基を有する界面活性剤」を使用することによって非反応性の界面活性剤の使用量を減らすことは、得られる記録用紙に印刷した画像の耐水性の観点から好ましい。反応性基を有する界面活性剤は、一般に反応性界面活性剤と称され、分子中に疎水基、親水基および反応性基を有する化合物を挙げることができる。該反応性基としては、例えば、(メタ)アリル基、1−プロペニル基、2−メチル−1−プロペニル基、イソプロペニル基、ビニル基、(メタ)アクリロイル基等の炭素−炭素二重結合を有する官能基が挙げられる。
アニオン性を有する反応性界面活性剤としては、スルホン酸塩基、硫酸エステル塩基、カルボン酸塩基、燐酸塩基等の構造を含有するものが挙げられ、スルホン酸塩基を有するビニルモノマーとして、例えばアリルスルホン酸、2−メチルアリルスルホン酸、ビニルスルホン酸、4−ビニルベンゼンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエタンスルホン酸、3−(メタ)アクリロイルオキシプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等の各種のスルホン酸基含有ビニルモノマー類を各種の塩基性化合物により中和することにより得られるもの等が挙げられる。該塩基性化合物としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、n−ブチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルアミン、ジエタノールアミン、2−ジメチルアミノエチルアルコール、テトラメチルアンモニウムハイドロキサイド、テトラ−n−ブチルアンモニウムハイドロキサイド等が挙げられる。硫酸エステル塩基を含有するビニルモノマーとして、例えばアリルアルコールの硫酸エステル等の硫酸エステル基を含有するビニルモノマー類を、前記各種塩基性化合物により中和することにより得られるもの等が挙げられる。燐酸塩基を含有するビニルモノマーとして、例えばモノ{2−(メタ)アクリロイルオキシエチル}アシッドホスフェート等の燐酸基含有ビニルモノマー類を、前記各種塩基性化合物により中和することにより得られるものなどが挙げられる。アリル基(CH2 =C(−R)−CH2 −)(ただしRはアルキル基)を含有するアニオン性を有する反応性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアリルグリシジルノニルフェニルエーテルの硫酸エステル塩等が挙げられ、市販品としては、「アデカリアソープSE−10N」シリーズ(商標:旭電化工業(株)製)、「エレミノールJS−2」(商標:三洋化成工業(株)製)、「ラテムルS−180もしくはS−180A」(商標:花王(株)製)、「H3390A」および「H3390B」(商標:第一工業製薬(株)製)等がある。(メタ)アクリロイル基(CH2 =C(−R)−C(=O)−O- )(ただしRはアルキル基)を含有するアニオン性を有する反応性界面活性剤としては、例えば、市販品として、「エレミノールRS−30」シリーズ(商標:三洋化成工業(株)製)、「AntoxMS−60」シリーズ(商標:日本乳化剤(株)製)等が挙げられる。プロペニル基(CH3−CH=CH−)を含有するアニオン性を有する反応性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンノニルプロペニルフェニルエーテルの硫酸エステルアンモニウム塩等が挙げられ、市販品としては「アクアロンHS−10」シリーズおよび「アクアロンBC」シリーズ(商標:第一工業製薬(株)製)等がある。
カチオン性を有する反応性界面活性剤としては、例えばアミン塩基等カチオン性を有する構造を含有するカチオン性ビニルモノマー類等が挙げられる。アミン塩基を有するビニルモノマーとしては、例えばアリルアミン、N,N−ジメチルアリルアミン、N,N−ジエチルアリルアミン、N,N−ジエチルアミノプロピルビニルエーテルのアミノ基含有ビニルモノマー類を、各種酸性化合物により中和することにより得られるもの等が挙げられる。該酸性化合物としては、例えば塩酸、蟻酸、酢酸、ラウリル酸等が挙げられる。カチオン性を有する反応性界面活性剤の市販品として、「RF−751」(商標:日本乳化剤(株)製)や「ブレンマーQA」(商標:日本油脂(株)製)等が挙げられる。
非イオン性の反応性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン高級脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン- ポリオキシプロピレンブロック共重合体ような各種のポリエーテル鎖を側鎖に有するビニルエーテル類、アリルエーテル類もしくは(メタ)アクリル酸エステル類のモノマー類などが挙げられる。アリル基(CH2 =C(−R)−CH2 −)(ただしRはアルキル基)を含有する非イオン性の反応性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアリルグリシジルノニルフェニルエーテルが挙げられ、市販品としては、「アデカリアソープNE」シリーズ(商標:旭電化工業(株)製)等がある。(メタ)アクリロイル基(CH2 =C(−R)−C(=O)−O−)(ただしRはアルキル基)を含有する非イオン性の反応性界面活性剤としては市販品として、「RMA−560」シリーズ(商標:日本乳化剤(株)製)、「ブレンマーPE」シリーズ(商標:日本油脂(株)製)等が挙げられる。プロペニル基(CH3 −CH=CH−)を含有する非イオン性の反応性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンノニルプロペニルフェニルエーテルが挙げられ、市販品としては、「アクアロンRNシリーズ」(商標:第一工業製薬(株)製)等がある。
これらの反応性界面活性剤の使用量としては、高分子化合物(A)を含む高分子エマルジョン樹脂固形分100質量部に対して0.05〜100質量部であることが好ましく、さらに好ましくは1〜50質量部である。
本発明においては、前記反応性界面活性剤を1種単独で使用することもできるし、またその2種以上を併用することもでき、さらには、前記反応性を有しない界面活性剤と併用することもできる。
本発明に用いる高分子エマルジョン粒子の平均粒子径は、塗工層の成膜性と高分子エマルジョンの製造効率などの観点から、10〜600nmのものが好ましく、さらに好ましくは10〜300nm、最も好ましくは20〜100nmである。ここで言う平均粒子径とは、高分子化合物(A)が疎水性を示す温度領域において動的光散乱法により測定される高分子エマルジョンの数平均粒子径である。
塗工前の塗工液中において、高分子エマルジョンが粒子(D)よりなるコア部と、高分子化合物(A)を含有するシェル部とによって形成された粒子を含有することは、成膜性の観点から好ましい。コア部を形成する粒子(D)は有機高分子化合物であっても良いし、無機微粒子であっても良いが、最終的に得られる塗工膜の柔軟性の観点からは有機高分子化合物がより好ましく、最終的に得られる塗工膜の空隙率の大きさ、インク吸収性等の観点からは無機微粒子がより好ましい。
粒子(D)よりなるコア部と、高分子化合物(A)を含有するシェル部とによって形成された高分子エマルジョンは、コア部となる粒子(D)を第一段階の反応で合成した後、または別途用意されたコア部となる粒子(D)を反応系に仕込むなどの後、前述の高分子化合物(A)を含む高分子エマルジョンの合成方法と同様の反応によって製造することができる。本発明において、粒子(D)は、アニオン性、カチオン性、非イオン性、両性の何れであっても良いが、前述の様に高分子化合物(A)がカチオン性であることはより好ましいことから、該高分子化合物(A)をシェル部に含有する高分子エマルジョンを重合する場合には、重合安定性の観点から粒子(D)はカチオン性であることがより好ましい。
粒子(D)よりなるコア部と、高分子化合物(A)を含有するシェル部との比率(コア/シェル比(質量比))は、成膜性、得られる塗工層の塗膜強度とインク吸収性などの観点から1/10〜10/1の範囲が好ましい。
粒子(D)が有機高分子化合物である場合、例えば、水性媒体中でのラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合などによって得られる従来公知のポリ(メタ)アクリレート系、ポリビニルアセテート系、酢酸ビニル−アクリル系、エチレン酢ビ系、シリコーン系、ポリブタジエン系、スチレンブタジエン系、NBR系、ポリ塩化ビニル系、塩素化ポリプロピレン系、ポリエチレン系、ポリスチレン系、塩化ビニリデン系、ポリスチレン−(メタ)アクリレート系、スチレン−無水マレイン酸系等の共重合体、三次元架橋樹脂などが挙げられ、シリコーン変性アクリル系、フッ素−アクリル系、アクリルシリコーン、エポキシ−アクリル系等の変性共重合体も含まれ、これらの一種または二種以上を含有することができる。ここで、(メタ)アクリレート系とはメタアクリレート系(またはメタクリレート系)またはアクリレート系を簡便に表記したものである。特に、ポリ(メタ)アクリレート系(アクリル系高分子化合物)または/およびポリスチレン−(メタ)アクリレート系(スチレン−アクリル系高分子化合物)に分類される有機高分子化合物が、最終的に得られる塗工層の透明性や耐光黄変性、得られる記録用紙の保存性などの観点から、好ましく用いられる。
有機高分子化合物である場合の粒子(D)は高分子エマルジョンとして得られることが好ましく、広く知られている高分子エマルジョンの製造技術を用いることによって得られ、具体的には、水性溶媒に前述の界面活性剤を溶解し、後述するモノマー成分を加えて乳化させ、ラジカル重合開始剤を加えて一括仕込みによる反応により乳化重合を行う方法のほか、連続滴下、分割添加などの方法により反応系に上記共重合成分や、ラジカル重合開始剤を供給する方法が挙げられる。
有機高分子化合物である場合の粒子(D)を得るためのモノマー(モノマー(L))としてはエチレン性不飽和モノマーの1種または2種以上のものを組み合わせて用いることが出来、具体的には、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリルアミド系モノマー、シアン化ビニル類等が挙げられ、(メタ)アクリル酸エステルの例としては、例えばアルキル部の炭素数が1〜18の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、アルキル部の炭素数が1〜18の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、エチレンオキサイド基の数が1〜100個の(ポリ)オキシエチレン(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド基の数が1〜100個の(ポリ)オキシプロピレン(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド基の数が1〜100個の(ポリ)オキシエチレンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。アルキル部の炭素数が1〜18の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの具体例としては、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸メチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ドデシル等が挙げられる。アルキル部の炭素数が1〜18の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルの具体例としては、例えば(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ドデシル等が挙げられる。エチレンオキサイド基の数が1〜100個の(ポリ)オキシエチレン(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば(メタ)アクリル酸エチレングリコール、メトキシ(メタ)アクリル酸エチレングリコール、(メタ)アクリル酸ジエチレングリコール、メトキシ(メタ)アクリル酸ジエチレングリコール、(メタ)アクリル酸テトラエチレングリコール、メトキシ(メタ)アクリル酸テトラエチレングリコール等が挙げられる。プロピレンオキサイド基の数が1〜100個の(ポリ)オキシプロピレン(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば(メタ)アクリル酸プロピレングリコール、メトキシ(メタ)アクリル酸プロピレングリコール、(メタ)アクリル酸ジプロピレングリコール、メトキシ(メタ)アクリル酸ジプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸テトラプロピレングリコール、メトキシ(メタ)アクリル酸テトラプロピレングリコール等が挙げられる。エチレンオキサイド基の数が1〜100個の(ポリ)オキシエチレンジ(メタ)アクリレートの具体例としては、例えばジ(メタ)アクリル酸エチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ジエチレングリコール、メトキシ(メタ)アクリル酸ジエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸テトラエチレングリコール等が挙げられる。(メタ)アクリルアミド系モノマー類としては、例えば(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミドなどがあり、シアン化ビニル類としては、例えば(メタ)アクリロニトリルなどがある。また上記以外の具体例としては、例えばエチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン類、ブタジエン等のジエン類、塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロオレフィン類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、n−酪酸ビニル、安息香酸ビニル、p−t−ブチル安息香酸ビニル、ピバリン酸ビニル、2−エチルヘキサン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、ラウリン酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル類、酢酸イソプロペニル、プロピオン酸イソプロペニル等のカルボン酸イソプロペニルエステル類、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等のビニルエーテル類、スチレン、メチルスチレンなどのスチレン誘導体、ビニルトルエン等の芳香族ビニル化合物、酢酸アリル、安息香酸アリル等のアリルエステル類、アリルエチルエーテル、アリルグリシジルエーテル、アリルフェニルエーテル等のアリルエーテル類、さらにγ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルジメチルエトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、パーフルオロメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロプロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロプロピロメチル(メタ)アクリレート、ビニルピロリドン、トリメチロルプロパントリ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2,3−シクロヘキセンオキサイド、(メタ)アクリル酸アリル、メタクリル酸アシッドホスホオキシエチル、メタクリル酸3−クロロ−2−アシッドホスホオキシプロピル、メチルプロパンスルホン酸アクリルアミド、ジビニルベンゼン、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、クロトン酸、ブテントリカルボン酸、マレイン酸モノエチル、マレイン酸モノメチル、イタコン酸モノエチル、イタコン酸モノメチル等のカルボン酸基含有モノマー、2−アクリルアミド−2−メチル−プロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、(メタ)アクリルスルホン酸等のスルホン酸基含有モノマー、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有モノマー等が挙げられる。ここで、(メタ)アクリルとはメタアクリル(またはメタクリル)またはアクリルを簡便に表記したものである。
有機高分子化合物である場合の粒子(D)のガラス転移点は、得られるインクジェット記録用紙のインク吸収性を重視する場合には30〜130℃が好ましく、得られるインクジェット記録用紙の柔軟性とインク吸収層の透明性を重視する場合には−50〜30℃が好ましい。
有機高分子化合物である場合の粒子(D)の数平均粒子径は、塗工層の成膜性と高分子エマルジョンの製造効率などの観点から3〜150nmのものが好ましく用いられ、さらに、インク吸収層の透明性、発色性と高分子エマルジョンの製造効率などの観点から、3〜100nmのものが好ましく用いられ、さらに好ましくは5〜70nmであり、最も好ましくは10〜50nmである。ここで言う数平均粒子径とは、動的光散乱法により測定される数平均粒子径である。
コア部を形成する粒子(D)が無機微粒子である場合、粒子(D)としては例えば軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、クレー、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、ハイドロタルサイト、珪酸アルミニウム、珪藻土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、乾式シリカ、アルミナ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト系アルミナ、水酸化アルミニウム、ゼオライト、水酸化マグネシウム、その他にジルコニウム、チタン、タンタル、ニオブ、スズ、タングステンなどの金属酸化物、アルミニウム、バナジウム、ジルコニウム、タングステンなどの金属リン酸塩などが挙げられ、該無機質の一部を他の元素に置換した物や、有機物で修飾することにより表面を改質した物も用いることができる。これら無機微粒子のうち1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を使用することもできるが、特に、粒子(D)としてコロイダルシリカ、乾式シリカを使用することは、得られる記録用紙に印刷したとき良好な画質が得られることから好ましい。コロイダルシリカとしては、通常のアニオン性のコロイダルシリカ、アルミニウムイオン等の多価金属化合物を反応するなどの方法で得られるカチオン性コロイダルシリカが用いられる。乾式シリカとしては、四塩化ケイ素を水素および酸素で燃焼して合成される気相法シリカが好ましく用いられる。乾式法シリカはそのまま用いても良いし、表面をシランカップリング剤他で修飾した物でも良い。
また、粒子(D)としてアルミナゾル、擬ベーマイト系アルミナ微粒子を使用することは好ましい。アルミナゾル、擬ベーマイト系アルミナ微粒子を使用することにより、容易にカチオン性の高分子エマルジョンを得ることができ、得られるインクジェット記録用紙に印刷したときの画質が向上し、画像の耐水性を付与することができる。
無機微粒子である場合の粒子(D)の数平均粒子径は、印刷後の印刷部の光学濃度(色濃度)を高くし、銀塩写真にも似た光沢を得る目的においては一次粒子の数平均粒子径が100nm以下のコア部を形成する粒子(D)が好ましく用いられ、より好ましくは50nm以下のものが用いられる。コア部を形成する粒子(D)の粒子径の下限は、粒子(D)の生産性の観点からおよそ3nm以上の数平均粒子径であることが望ましい。該コア部を形成する粒子(D)は、一次粒子のまま用いてもよいし、二次粒子を形成した状態で用いることもできる。
本発明において、得られる塗工層の表面光沢、インクジェットプリンターを用いて印刷した際の発色性などの観点から親水性バインダーを、記録層上層用塗工液および/または記録層下層用塗工液に含有させることは好ましい。
本発明に用いる親水性バインダーとしては、例えばゼラチンまたはゼラチン誘導体、ポリビニルピロリドン、プルラン、ポリビニルアルコールまたはその誘導体、ポリエチレングリコール、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、デキストラン、デキストリン、ポリアクリル酸およびその塩、寒天、κ−カラギーナン、λ−カラギーナン、ι−カラギーナン、キサンテンガム、ローカストビーンガム、アルギン酸、アラビアゴム、プルラン、例えば特開平7−195826号公報および同7−9757号公報に記載のポリアルキレンオキサイド系共重合性ポリマー、水溶性ポリビニルブチラール、あるいは、例えば特開昭62−245260号公報に記載のカルボキシル基やスルホン酸基を有するビニルモノマーの単独またはこれらのビニルモノマーを繰り返して有する共重合体等のポリマーを挙げることができる。これらの親水性バインダーは単独で使用しても良く、2種以上を併用しても良い。
好ましい親水性バインダーは、ポリビニルアルコールまたはその誘導体、ゼラチンまたはゼラチン誘導体であり、特に好ましくはポリビニルアルコールである。
本発明で好ましく用いられるポリビニルアルコールは平均重合度が300〜4000のものが好ましく用いられ、特に平均重合度が1000以上のものが塗工時の増粘性が良好であることや、得られる塗工層の膜強度が良好であることなどから好ましい。また、ポリビニルアルコールのケン化度は70〜100%のものが好ましく、80〜100%のものが特に好ましい。
ポリビニルアルコールを用いる場合、後述の微粒子(B)および微粒子(C)として乾式シリカを用いることが特に好ましい。ポリビニルアルコールは、その構造単位に水酸基を有するが、この水酸基とシリカ微粒子表面のシラノール基とが水素結合を形成して、シリカ微粒子の二次粒子を鎖単位とする三次元網目構造を形成しやすくする。上記三次元網目構造の形成によって、空隙率の高い多孔質構造を形成しインク吸収性の良好な塗工層を得ることができる。
前記親水性バインダーを用いる場合の親水性バインダーと前記微粒子(B)の比率は、親水性バインダー添加効果発現および得られるインクジェット用記録媒体のインク吸収性の観点から、乾燥質量比で1:100〜30:100であり、好ましくは3:100〜15:100の範囲である。
前記親水性バインダーを用いる場合の親水性バインダーと前記微粒子(C)の比率は、親水性バインダー添加効果発現および得られるインクジェット用記録媒体のインク吸収性の観点から、乾燥質量比で1:100〜50:100であり、好ましくは3:100〜25:100の範囲である。
本発明のインクジェット記録用紙は、塗工層の高い空隙率を保持し得るといった観点から、前記親水性バインダーが硬膜剤により硬膜されていることが好ましい。
硬膜剤は、一般的には前記親水性バインダーと反応し得る基を有する化合物あるいは親水性バインダーが有する異なる基同士の反応を促進するような化合物であり、親水性バインダーの種類に応じて適宜選択して用いられる。
硬膜剤の具体例としては、例えば、エポキシ系硬膜剤(ジグリシジルエチルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ジグリシジルシクロヘキサン、N,N−ジグリシジル−4−グリシジルオキシアニリン、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル等)、アルデヒド系硬膜剤(ホルムアルデヒド、グリオキザール等)、活性ハロゲン系硬膜剤(2,4−ジクロロ−4−ヒドロキシ−1,3,5−s−トリアジン等)、活性ビニル系化合物(1,3,5−トリスアクリロイル−ヘキサヒドロ−s−トリアジン、ビスビニルスルホニルメチルエーテル等)、ホウ酸およびその塩、ホウ砂、アルミ明礬等が挙げられる。
特に好ましい親水性バインダーとしてポリビニルアルコールを使用する場合には、塗工層の塗膜強度の観点から、ホウ酸およびその塩および/またはエポキシ系硬膜剤から選ばれる少なくとも1種の硬膜剤を使用するのが好ましく、塗工直後の塗工液増粘性(ゲル化)の観点も加味すればホウ酸および/またはホウ砂がもっとも好ましい。
上記硬膜剤の使用量は親水性バインダーの種類、硬膜剤の種類、無機微粒子の種類や親水性バインダーに対する比率等により変化するが、概ね親水性バインダー1g当たり1〜200mg、好ましくは5〜100mgである。
上記親水性バインダーとしてゼラチンを用いる場合には、ゼラチンの硬膜剤として知られている下記化合物を用いることができる。例えば、ホルムアルデヒド、グリオキザール、グルタールアルデヒド等のアルデヒド系化合物、ジアセチル、シクロペンタンジオン等のケトン系化合物、ビス(2−クロロエチル尿素)−2−ヒドロキシ−4,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジクロロ−6−S−トリアジン・ナトリウム塩等の活性ハロゲン化合物、ジビニルスルホン酸、1,3−ビニルスルホニル−2−プロパノール、N,N’−エチレンビス(ビニルスルホニルアセタミド)、1,3,5−トリアクリロイル−ヘキサヒドロ−S−トリアジン等の活性ビニル化合物、ジメチロール尿素、メチロールジメチルヒダントイン等のN−メチロール化合物、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等のイソシアネート系化合物、例えば米国特許第3017280号明細書、同第2983611号明細書等に記載のアジリジン系化合物、例えば米国特許第3100704号明細書等に記載のカルボキシイミド系化合物、グリセロールトリグリシジルエーテル等のエポキシ系化合物、1,6−ヘキサメチレン−N,N’−ビスエチレン尿素等のエチレンイミノ系化合物、ムコクロル酸、ムコフェノキシクロル酸等のハロゲン化カルボキシアルデヒド系化合物、2,3−ジヒドロキシジオキサン等のジオキサン系化合物、クロム明ばん、カリ明ばん、硫酸ジルコニウム、酢酸クロム等である。尚、上記硬膜剤は、一種単独でも、2種以上を組み合わせてもよい。
上記硬膜剤は、硬膜剤を水および/または有機溶剤に溶解して使用することが塗工液の調整のしやすさ、安定性などの観点から好ましい。硬膜剤溶液中の硬膜剤の濃度としては、硬膜剤溶液の全質量に対して、0.05〜20質量%が好ましく、1〜10質量%が特に好ましい。硬膜剤溶液を構成する溶媒としては、一般に水が使用され、該水と混和性を有するの有機溶媒を含む水系混合溶媒であってもよい。上記有機溶剤としては、硬膜剤が溶解するものであれば任意に使用することができ、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、グリセリン等のアルコール;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル;トルエン等の芳香族溶剤;テトラヒドロフラン等のエーテル、およびジクロロメタン等のハロゲン化炭素系溶剤等を挙げることができる。
高分子化合物(A)を架橋し得る架橋剤を記録用紙用塗工液に含有させることは記録用紙の塗工層の塗膜強度および耐水性の観点から好ましい。
特に、塗工前の塗工液中では架橋反応は進行せず、塗工後架橋反応が進行することが工業的に望ましい。該反応としてカルボニル基とヒドラジン基またはセミカルバジド基との反応が好ましい。即ち、カルボニル基をもつ高分子化合物(A)を重合し、ヒドラジン基および/またはセミカルバジド基を有するヒドラジン誘導体を架橋剤として用いることが好ましい。
カルボニル基を含有する高分子化合物(A)は例えば、主モノマー(M)と、カルボニル基を含有するモノマーを含む副モノマー(N)とを共重合させて得られる。主モノマー(M)、カルボニル基を含有するモノマーを含む副モノマー(N)は各々1種または2種以上のものを組み合わせて用いることも出来る。主モノマー(M)とカルボニル基含有モノマーを含む副モノマー(N)との共重合割合は、得られる共重合高分子化合物が感温点を境にして親水性と疎水性が可逆的に変化する温度応答性を呈する範囲の中で決められる。
高分子化合物(A)中のカルボニル基含有モノマー単位の含有率は、成膜性の観点から0.01〜50質量%が好ましく、更に好ましくは0.1〜20質量%である。
カルボニル基含有モノマーとしては、モノマー中にケト基またはアルド基を含む構造を有するもので有れば特に制限されないが、例えばアクロレイン、ダイアセトンアクリルアミド、ダイアセトンメタクリルアミド、ホルミルスチロール、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソブチルケトン、アクリルオキシアルキルプロパナール類、メタクリルオキシアルキルプロパナール類、ダイアセトンアクリレート、ダイアセトンメタクリレート、アセトニトリルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレートアセチルアセテート、ブタンジオールアクリレートアセチルアセテート等が例示される。
高分子化合物(A)がカルボニル基を含有する場合、記録層下層に使用する塗工液に、架橋剤として少なくとも2個のヒドラジン基および/またはセミカルバジド基を有するヒドラジン誘導体を用いることが、得られる塗膜の耐水性や強度などの観点から好ましい。該ヒドラジン誘導体を、高分子化合物(A)を含有する塗工液に添加、混合し、塗布、乾燥することによりカルボニル基部位がヒドラジン誘導体によって架橋された分子構造を持つ化合物を含有する塗工層を得ることができる。ヒドラジン誘導体としては少なくとも2個のヒドラジン基および/またはセミカルバジド基を有する化合物が用いられ、これらの内、ヒドラジン基を有する化合物としては、例えばカルボヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、こはく酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、イタコン酸ジヒドラジド、ポリアクリル酸ヒドラジド、エチレン−1,2−ジヒドラジン、プロピレン−1,3−ジヒドラジン、ブチレン−1,4−ジヒドラジン、水加ヒドラジンなどが例示され、セミカルバジド基を有する化合物としては、例えばポリイソシアネート化合物と該ヒドラジン化合物の反応により得られる生成物が例示される。該ヒドラジン誘導体としては、セミカルバジド基を有する化合物が、得られる記録用紙の耐水性が高く好ましい。該ヒドラジン誘導体の含有量は、得られた高分子化合物(A)中のカルボニル基含有モノマー単位に対して0.01〜10倍モル量が好ましく用いられる。
記録層下層に微粒子(B)を含有させることは、得られる記録媒体のインク吸収性の観点から好ましい。同様に、記録層上層に微粒子(C)を含有させることは、得られる記録媒体のインク吸収性の観点から好ましい。
記録層下層における(微粒子(B)):(高分子化合物(A)および前記親水性バインダー)の比率は、得られる記録媒体のインク吸収性と成膜性の観点から、乾燥質量比で100:5〜100:60であり、好ましくは100:10〜100:40である。ただし、記録層上層において、親水性バインダーは必須成分ではない。
記録層上層における(微粒子(C)):(高分子化合物(A)および前記親水性バインダー)の比率は、得られる記録媒体のインク吸収性と成膜性の観点から、乾燥質量比で100:5〜100:60であり、好ましくは100:10〜100:40である。ただし、記録層上層において、高分子化合物(A)は必須成分ではない。
本発明において微粒子(B)および微粒子(C)は同一種類であっても良いし異なっていても良く、さらに、各々有機化合物であっても良く、無機化合物であっても良い。
微粒子(B)および微粒子(C)が有機化合物である場合、例えば、水性媒体中でのラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合などによって得られる従来公知のポリ(メタ)アクリレート系、ポリビニルアセテート系、酢酸ビニル−アクリル系、エチレン酢ビ系、シリコーン系、ポリブタジエン系、スチレンブタジエン系、NBR系、ポリ塩化ビニル系、塩素化ポリプロピレン系、ポリエチレン系、ポリスチレン系、塩化ビニリデン系、ポリスチレン−(メタ)アクリレート系、スチレン−無水マレイン酸系等の共重合体、三次元架橋樹脂などが挙げられ、シリコーン変性アクリル系、フッ素−アクリル系、アクリルシリコーン、エポキシ−アクリル系等の変性共重合体も含まれ、これらの一種または二種以上を含有することができる。特に、ポリ(メタ)アクリレート系(アクリル系高分子化合物)または/およびポリスチレン−(メタ)アクリレート系(スチレン−アクリル系高分子化合物)に分類される有機高分子化合物が、最終的に得られるインク吸収層の透明性や耐光黄変性、得られる記録用紙の保存性などの観点から、好ましく用いられる。
有機高分子化合物である場合の微粒子(B)および微粒子(C)は高分子エマルジョンとして得られることが好ましく、広く知られている高分子エマルジョンの製造技術を用いることによって得られ、具体的には、水性溶媒に前述の界面活性剤を溶解し、後述するモノマー成分を加えて乳化させ、ラジカル重合開始剤を加えて一括仕込みによる反応により乳化重合を行う方法のほか、連続滴下、分割添加などの方法により反応系に上記共重合成分や、ラジカル重合開始剤を供給する方法が挙げられる。
有機高分子化合物である場合の微粒子(B)および微粒子(C)を得るためのモノマーとしてはエチレン性不飽和モノマーの1種または2種以上のものを組み合わせて用いることが出来、具体的には、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリルアミド系モノマー、シアン化ビニル類等が挙げられ、(メタ)アクリル酸エステルの例としては、例えばアルキル部の炭素数が1〜18の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、アルキル部の炭素数が1〜18の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル、エチレンオキサイド基の数が1〜100個の(ポリ)オキシエチレン(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド基の数が1〜100個の(ポリ)オキシプロピレン(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド基の数が1〜100個の(ポリ)オキシエチレンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。アルキル部の炭素数が1〜18の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの具体例としては、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸メチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ドデシル等が挙げられる。アルキル部の炭素数が1〜18の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステルの具体例としては、例えば(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ドデシル等が挙げられる。エチレンオキサイド基の数が1〜100個の(ポリ)オキシエチレン(メタ)アクリレートの具体例としては、(メタ)アクリル酸エチレングリコール、メトキシ(メタ)アクリル酸エチレングリコール、(メタ)アクリル酸ジエチレングリコール、メトキシ(メタ)アクリル酸ジエチレングリコール、(メタ)アクリル酸テトラエチレングリコール、メトキシ(メタ)アクリル酸テトラエチレングリコール等が挙げられる。プロピレンオキサイド基の数が1〜100個の(ポリ)オキシプロピレン(メタ)アクリレートの具体例としては、例えば(メタ)アクリル酸プロピレングリコール、メトキシ(メタ)アクリル酸プロピレングリコール、(メタ)アクリル酸ジプロピレングリコール、メトキシ(メタ)アクリル酸ジプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸テトラプロピレングリコール、メトキシ(メタ)アクリル酸テトラプロピレングリコール等が挙げられる。エチレンオキサイド基の数が1〜100個の(ポリ)オキシエチレンジ(メタ)アクリレートの具体例としては、例えばジ(メタ)アクリル酸エチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ジエチレングリコール、メトキシ(メタ)アクリル酸ジエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸テトラエチレングリコール等が挙げられる。(メタ)アクリルアミド系モノマー類としては、例えば(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミドなどがあり、シアン化ビニル類としては、例えば(メタ)アクリロニトリルなどがある。また上記以外の具体例としては、例えばエチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン類、ブタジエン等のジエン類、塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロオレフィン類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、n−酪酸ビニル、安息香酸ビニル、p−t−ブチル安息香酸ビニル、ピバリン酸ビニル、2−エチルヘキサン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、ラウリン酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル類、酢酸イソプロペニル、プロピオン酸イソプロペニル等のカルボン酸イソプロペニルエステル類、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等のビニルエーテル類、スチレン、メチルスチレンなどのスチレン誘導体、ビニルトルエン等の芳香族ビニル化合物、酢酸アリル、安息香酸アリル等のアリルエステル類、アリルエチルエーテル、アリルグリシジルエーテル、アリルフェニルエーテル等のアリルエーテル類、さらにγ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルジメチルエトキシシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、パーフルオロメチル(メタ)アクリレート、パーフルオロプロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロプロピロメチル(メタ)アクリレート、ビニルピロリドン、トリメチロルプロパントリ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2,3−シクロヘキセンオキサイド、(メタ)アクリル酸アリル、メタクリル酸アシッドホスホオキシエチル、メタクリル酸3−クロロ−2−アシッドホスホオキシプロピル、メチルプロパンスルホン酸アクリルアミド、ジビニルベンゼン等が挙げられる。ここで、(メタ)アクリルとはメタアクリル(またはメタクリル)またはアクリルを簡便に表記したものである。
有機高分子化合物である場合の微粒子(B)および微粒子(C)のガラス転移点は、得られるインクジェット記録用紙のインク吸収性を重視する場合には30〜130℃が好ましく、得られるインクジェット記録用紙の柔軟性とインク吸収層の透明性を重視する場合には−50〜30℃が好ましい。
微粒子(B)および微粒子(C)が無機化合物である場合、例えば軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、カオリン、クレー、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、水酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、ハイドロタルサイト、珪酸アルミニウム、珪藻土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、乾式シリカ、アルミナ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト系アルミナ、水酸化アルミニウム、ゼオライト、水酸化マグネシウム、その他にジルコニウム、チタン、タンタル、ニオブ、スズ、タングステンなどの金属酸化物、アルミニウム、バナジウム、ジルコニウム、タングステンなどの金属リン酸塩などが挙げられ、該無機化合物の一部を他の元素に置換した物や、有機物で修飾することにより表面を改質した物も用いることができる。これら無機微粒子のうち1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を使用することもできる。
特に微粒子(B)および微粒子(C)としてコロイダルシリカ、乾式シリカ、アルミナゾル、擬ベーマイト系アルミナ微粒子を使用することは好ましい。コロイダルシリカ、乾式シリカを使用することにより、得られる記録用紙に印刷したときの画質が向上し、光沢を付与することができる。コロイダルシリカとしては例えば、アニオン性のコロイダルシリカ、アルミニウムイオン等の多価金属化合物を反応するなどの方法で得られるカチオン性コロイダルシリカが用いられる。乾式シリカとしては例えば、四塩化ケイ素を水素および酸素で燃焼して合成される気相法シリカが好ましく用いられる。乾式法シリカはそのまま用いても良いし、表面をシランカップリング剤他で修飾した物でも良い。また、アルミナゾル、擬ベーマイト系アルミナ微粒子を使用することにより、得られるインクジェット記録用紙に印刷したときの画質が向上し、画像の耐水性を付与することができる。
本発明に用いる微粒子(B)および微粒子(C)は、一次粒子のまま用いてもよいし、二次粒子を形成した状態で用いることもできる。また、微粒子(B)および微粒子(C)の粒子径は、平滑な表面を持つ記録用紙を得るため、数平均粒子径が10μm以下のものが用いられ、好ましくは1μm以下のものが用いられる。さらには、印刷後の印刷部の光学濃度(色濃度)を高くし、銀塩写真にも似た光沢を得る目的においては一次粒子の数平均粒子径が200nm以下の微粒子(B)および微粒子(C)が好ましく用いられ、より好ましくは100nm以下のものが用いられ、さらに好ましくは50nm以下のものが用いられる。
微粒子(B)および微粒子(C)の粒子径の下限は、微粒子(B)および微粒子(C)の製造効率の観点からおよそ3nm以上の数平均粒子径であることが望ましい。ここで言う数平均粒子径とは、動的光散乱法により測定される数平均粒子径である。
さらに、微粒子(B)および微粒子(C)として、金属源として金属酸化物および/またはその前駆体を用い、金属源とテンプレートと水を混合反応させ複合体を製造する工程を経て製造された多孔性物質を使用することは得られる塗工層のインク吸収性の観点から好ましい。さらに、微粒子(B)および微粒子(C)として、金属源として金属酸化物および/またはその前駆体を用い、(ア)金属源とテンプレートと水を混合反応させ複合体を製造する工程と、(イ)該複合体からテンプレートを除去する工程と、を経て製造され、動的光散乱法によって測定される数平均粒子径DLから求めた換算比表面積SLとBET法による窒素吸着比表面積SBとの差(SB−SL)が250m2 /g以上の多孔性物質を使用することは得られる塗工層のインク吸収性の観点から特に好ましい。ここで「多孔性」とは、窒素吸着法で求めた細孔分布において細孔を有することを意味する。動的光散乱法によって測定される平均粒子径DLから計算される換算比表面積SL(m2 /g)は、粒子が球状であると仮定し、SL=6×103 /(密度(g/cm3 )×DL(nm))により求められる。この値と、BET法による窒素吸着比表面積SBとの差(SB−SL)が250m2 /g以上であるということは、粒子がきわめて多孔性であることを示しており、該多孔性物質をインクジェット記録用紙製造に使用することはインク吸収性の観点から特に好ましい。
該多孔性物質の粒子径は、平滑な表面を持つ記録用紙を得るため、通常、DLが10μm以下のものが用いられ、好ましくは1μm以下のものが用いられる。さらには、印刷後の印刷部の光学濃度(色濃度)を高くし、銀塩写真にも似た光沢を得る目的においてはDLが300nm以下の微粒子(C)が好ましく用いられ、より好ましくは150nm以下のものが用いられる。
該多孔性物質の粒子径の下限は、該多孔性物質の製造効率の観点からおよそ10nm以上の数平均粒子径であることが望ましい。
該多孔性物質の合成で用いられる金属源は金属酸化物および/またはその前駆体であり、金属種としては、例えばケイ素、2族のマグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属、亜鉛、3族のアルミニウム、ガリウム、希土類等、4族のチタン、ジルコニウム等、5族のリン、バナジウム、7族のマンガン、テルル等、8族の鉄、コバルト等が挙げられる。前駆体としては、例えばこれら金属の硝酸塩、塩酸塩等の無機塩、酢酸塩、ナフテン酸塩等の有機酸塩、アルキルアルミニウム等の有機金属塩、アルコキシド、水酸化物が挙げられる。
金属としてケイ素を選んだ場合、金属源として好ましくはテトラエトキシシラン等のアルコキシドや活性シリカを用いることができる。該活性シリカは、水ガラスから有機溶剤で抽出したり、水ガラスをイオン交換したりするなどして調製することができる。原料として安価な水ガラスを使用することは工業的利用の観点から好ましい。特に、水ガラスをH+型カチオン交換体と接触させて調製する場合、Na含有量が少なく、安価である3号水ガラスを用いるのが工業的に好ましい。カチオン交換体としては、たとえばスルホン化ポリスチレンジビニルベンゼン系の強酸性交換樹脂(例えばローム&ハース社製、アンバーライトIR−120B:商品名)等が好ましい。
金属としてアルミニウムを選んだ場合、金属源として好ましくはアルミン酸アルカリ、具体的にはアルミン酸ナトリウム、アルミン酸カリウム、アルミン酸リチウム、アルミン酸第一アンモニウム、アルミン酸グアニジンなどを用いることができる。
該テンプレートとしては、金属源となる化合物と相互作用を持つ化合物が用いられるが、非イオン性界面活性剤を用いる場合、該多孔性物質を製造する上で、後述するテンプレート除去工程において水または水と有機溶剤の混合溶媒を用い容易にテンプレートを除去でき好ましい。
非イオン性界面活性剤としては、構造式HO( C2 4 O) a−( C3 6 O) b−(C2 4 O)cH(但し、a 、cは10〜110を、bは30〜70を示す)で示されるもの、または構造式R( OCH2 CH2 ) nOH(但し、Rは炭素数12〜20のアルキル基を、nは2〜30を示す)で示されるものが好ましい。具体的には、「プルロニックP103」、「プルロニックP123」、「プルロニックP85」(旭電化工業(株)製、界面活性剤:商品名)等やポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル等を挙げることができる。
該多孔性物質の細孔径を変化させるために、有機助剤として、炭素数6〜20の芳香族炭化水素、炭素数5〜20の脂環式炭化水素、炭素数3〜16の脂肪族炭化水素およびこれらのアミンならびにハロゲン置換体、たとえば、トルエン、トリメチルベンゼン、トリイソプロピルベンゼン等を加えることができる。
以下に、該多孔性物質の製造方法を説明する。
金属源とテンプレートの反応は、たとえば、金属源を溶媒に溶解または分散したものと、テンプレートを溶媒に溶解または分散したものを撹拌混合したのち行わせることができる。溶媒としては、水または水と有機溶剤の混合溶媒のいずれを用いてもよいが、有機溶剤としては、アルコール類が好ましい。アルコール類としては、エタノールやメタノール等の低級アルコールが好ましい。
これらの反応に用いられる原材料の組成は、テンプレートと金属源、溶媒により異なるが、凝集や沈殿等が生じ、粒子径が大きくならない範囲を選ぶことが必要である。また、粒子の凝集や沈殿を防ぐためにNaOH等のアルカリや低分子ポリビニルアルコール等の安定化剤を加えてもよい。
例えば、金属源として活性シリカを、テンプレートとして「プルロニックP103」を、溶媒として水を用いる場合は、次のような組成を用いることができる。P103/SiO2 の質量比として、好ましくは0.01〜30、より好ましくは0.1〜5の範囲が用いられる。有機助剤/P103の質量比は、好ましくは0.02〜100、より好ましくは0.05〜35である。反応時の水/P103の質量比としては、好ましくは10〜1000、より好ましくは20〜500の範囲が用いられる。安定化剤として、NaOHをNaOH/SiO2 の質量比として1×10-4〜0.15の範囲で加えてもよい。
該多孔性物質が、ケイ素とアルミニウムを含む場合、Al/Siの元素比として好ましくは0.003〜0.1であり、より好ましくは0.005〜0.05である。
反応は常温でも容易に進行するが、必要に応じて100℃までの加温下で行うこともできる。反応時間としては0.5〜100時間、好ましくは3〜50時間の範囲が用いられる。反応時のpHは好ましくは2〜13、より好ましくは4〜12の範囲で、pHの制御のためにNaOHなどのアルカリや塩酸、硫酸などの酸を加えてもよい。
該複合体を製造した後にアルミン酸アルカリ共存下で40〜95℃に加熱し、変性する工程を行うこともできる。複合体がケイ素を含む場合、この工程をおこなうことで、酸性にしたりカチオン性物質を添加したりしても安定で、長期間の保存にも耐えるゾルを製造することができる。用いるアルミン酸アルカリとしては、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カリウム、アルミン酸リチウム、アルミン酸第一アンモニウム、アルミン酸グアニジンなどを用いることができるが、アルミン酸ナトリウムが好ましい。該変性工程は、複合体からテンプレートを除去する前でも後でもかまわない。
以下に、テンプレート除去前の場合を例に変性方法を説明する。複合体を製造した後、その反応溶液にアルミン酸アルカリ溶液を添加する。添加は、0〜80℃、好ましくは5〜40℃で撹拌しながら行う。添加するアルミン酸アルカリの濃度は、1〜20質量%で用いるのが好ましい。添加する量は、Al/Siの元素比として好ましくは0.003〜0.1であり、より好ましくは0.005〜0.05である。添加後、40〜95℃で加熱するのが好ましく、60〜80℃で加熱するのがより好ましい。
次に、テンプレートの除去方法について説明する。得られた反応溶液にアルコール等の溶剤を加え限外ろ過装置などを用いて複合体からテンプレートを除去する事により多孔性物質が得られる。この際、粒子の凝集を防ぐためにNaOH等のアルカリや低分子ポリビニルアルコール等の安定化剤を加えてもよい。除去に用いる溶剤は、テンプレートを溶解するものであればよく、取り扱いが簡単で溶解力の高いアルコール類が好ましい。アルコール類としては、メタノール、エタノール等の低級アルコールが好ましい。除去温度は、用いる溶剤やテンプレートにより異なるが、20〜80℃が好ましい。除去されたテンプレートは溶剤を除くことで再利用することができる。また、得られた複合体を、ろ過等により濾別し、水洗、乾燥し、ついで含有しているテンプレートを超臨界流体やアルコール等の溶剤と接触させる、または焼成等の方法で除去することにより、多孔性物質を得てもよい。焼成温度は、テンプレートが消失する温度以上、概ね500℃以上で行う。焼成時間は、温度との関係で適宜設定されるが、30分〜6時間程度である。除去方法としては、溶剤と複合体を撹拌混合する方法や、複合体をカラム等に詰め溶剤を流通させる等の方法を取ることができる。
本発明で用いる記録層下層用塗工液は、高分子化合物(A)の感温点を超える温度にて調製、使用することが好ましい。即ち、該塗工液は該感温点を超える温度では、比較的低粘度であるが、該塗工液が該感温点以下の温度になることによって該塗工液は急激に増粘(またはゲル化)する。該増粘は高分子化合物(A)が疎水性から親水性に変化することによって生じる。即ち、比較的低粘度の塗工液によって形成される極めて均質な塗工膜を、増粘(またはゲル化)によって瞬時に固定(セット)することが可能であり、該均質な記録層下層が形成されることで、記録層上層も良好な塗工層を形成できると推定される。
キャスト法により塗工層表面に高い光沢を与える場合、前記記録層下層の上に記録層上層を形成し、該記録層上層が湿潤状態において該塗工層を加熱された鏡面仕上げの固体表面に圧着する工程を経ることによって高い光沢の表面を持ち、微小クラックのない、あるいは微小クラックの極めて少ない、高い解像度の画像を与えることができるインクジェット記録用紙を製造できる。
本発明に用いる記録用紙製造用塗工液に使用する溶剤はアルコール、ケトン、エステル等の水溶性溶剤および/または水が好ましく使用される。更に、該塗工液中には必要に応じて顔料分散剤、増粘剤、流動調整剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、発泡剤、着色剤等を配合することができる。
本発明において、高分子化合物(A)の、記録層下層中の含有量は、成膜性および得られるインクジェット記録用紙の表面光沢の観点から、該塗工層の固形分の1 質量%以上が好ましく、塗工層のインク吸収性の観点から60質量%以下含有することが好ましく、2〜30質量%含有することが特に好ましい。
本発明において、記録層下層および/または記録層上層がカチオン性ポリマー(E)を含有することが好ましい。カチオン性ポリマー(E)を含有することにより印刷部の耐水性が向上する。該カチオン性ポリマー(E)としては例えば、第一アミン、第二アミン、第三アミン置換基およびこれらの塩、第4級アンモニウム塩置換基の少なくとも1種を含むものが好ましく用いられる。例えばジメチルジアリルアンモニウムクロライド重合物、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド−アクリルアミド共重合物、アルキルアミン重合物、ポリアミンジシアン重合物、ポリアリルアミン塩酸塩などが挙げられる。該カチオン性ポリマー(E)の分子量は重量平均分子量1,000〜200,000の物が好ましく用いられる。カチオン性ポリマー(E)の使用量は、高分子エマルジョン100質量部に対して、塗膜の耐水性の観点から0.1〜200質量部が好ましく、10〜100質量部がより好ましく用いられる。
本発明において、記録層下層および/または記録層上層が紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤、一重項酸素クエンチャー、酸化防止剤等の1種あるいは2種以上を含有することは好ましい。該物質を含有することにより印刷部の耐光性が向上する。紫外線吸収剤としては、例えばベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、酸化チタン、酸化セリウム、酸化亜鉛等が好ましく用いられる。ヒンダードアミン系光安定剤としてはピペリジン環のN原子がN−R(Rは水素原子、アルキル基、ベンジル基、アリル基、アセチル基、アルコキシル基、シクロヘキシル基、ベンジルオキシ基等)であるものが好ましく用いられる。一重項酸素クエンチャーとしては、例えばアニリン誘導体、有機ニッケル系、スピロクロマン系、スピロインダン系が好ましく用いられる。酸化防止剤としては、例えばフェノール系、ハイドロキノン系、有機イオウ系、リン系、アミン系が好ましく用いられる。該物質の使用量は、記録層下層または記録層上層100質量部に対して0.0001〜20質量部が好ましい。
記録層上層の塗工量は乾燥重量で0.5〜15g/m2 程度、より好ましくは2〜8g/m2 程度である。下層の塗工量(下層記録層が2層以上よりなる場合は合計で)は乾燥重量で1〜50g/m2 程度、より好ましくは2〜20g/m2 程度である。
支持体上に塗工させる手段としては各種ブレードコーター、ロールコーター、エアナイフコーター、バーコーター、ロッドブレードコーター、カーテンフローコーター、ゲートロールコーター、ショートドウェルコーター、エクストルージョンダイコーター、サイズプレス、スプレーなどの各種装置をオンマシンまたはオフマシンで用いることができる。
記録層上層が湿潤状態において該記録層上層を加熱された鏡面仕上げの固体表面に圧着する手段における、鏡面仕上げされた固体の材質としては、例えばステンレス鋼等の金属、ガラス、ポリアクリル、ポリエチレンテレフタレート、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等が挙げられるが、ステンレス鋼等の金属が表面の平滑性の観点で現状最も優れており好ましく用いられ、好ましい形状は円筒形、平面等であるが、円筒形が好ましく用いられる。
キャスト法としては、ウェットキャスト法(直接法)、ゲル化キャスト法(凝固法)、リウェットキャスト法(再湿潤法)がある。直接法とは、記録層上層を塗設後、未乾燥の状態(湿潤状態)で加熱された鏡面仕上げの固体表面に圧着し乾燥する方法であり、凝固法とは記録層上層の塗工層組成物を酸溶液、アルカリ溶液等と接触させることにより凝固させ、加熱された鏡面仕上げの固体表面に圧着する方法である。尚、凝固法には、赤外線を記録層上層の塗工層組成物に照射して表面を凝固させる熱凝固法も含まれる。再湿潤法とは、記録層上層を塗設乾燥後、水を主体とする液にて該記録層上層を再湿潤させ、加熱された鏡面仕上げの固体表面に圧着し乾燥する方法である。本発明では、必要に応じていずれのキャスト法を用いてもよいが、得られる塗工層内部の均質性およびインク吸収性の面内均質性などの観点から直接法あるいは再湿潤法が好ましく、生産性の観点も合わせれば直接法がもっとも好ましい。
本発明における支持体には帯電防止性、搬送性、カール防止性などのために、各種のバックコート層を塗設することができる。バックコート層には無機帯電防止剤、有機帯電防止剤、ラテックス、硬化剤、顔料、界面活性剤などを適宜組み合わせて含有せしめることができる。
以下、本発明を実施例に基づいて説明する。
以下の実施例及び比較例において、「部」および「%」は、「質量部」および「質量%」を表わす。
動的光散乱法による数平均粒子径は大塚電子(株)製ELS―800を用い測定した。平均細孔直径、細孔容積、比表面積は、カンタクロム社製オートソーブ−1を用い、窒素により測定した。細孔径分布はBJH法により算出した。比表面積はBET法により求めた。
本発明に用いる高分子化合物(A)の感温点は、重合温度以上の温度を保ちながら水溶媒にて高分子化合物(A)の濃度を5質量%に調整した後、該液温を、徐々に低下させながら、B型粘度計を用いて該液の粘度測定を行い、温度−粘度曲線を描き、該液の粘度が急激に変化し始める温度(即ち、該液温の低下に伴い、該液の粘度が増加し始める温度)とした。
下記項目(ベタ印刷部の均一性、ベタ印刷部の滲み、インクの乾燥性、白紙光沢および印刷部光沢、印刷品位の総合判定)の評価は市販インクジェットプリンター(セイコー・エプソン製PM−900C)を用いて印刷を行ったものを用いた。
(ベタ印刷部の均一性)
シアンインクとマゼンタインクの2色混合のベタ印刷部の印刷ムラを目視にて官能的に評価した。
○:印刷ムラは見られず良好なレベル。
△:印刷ムラはほとんど無く、実用上問題とならないレベル。
×:印刷ムラが著しく、実用上重大な問題となるレベル。
(ベタ印刷部の滲み)
2色混合のベタ印刷部の滲みを目視にて官能的に評価した。
○:滲みは見られず良好なレベル。
△:滲みが若干見られる。
×:滲みが著しく、実用上重大な問題となるレベル。
(インクの乾燥性)
シアンインクとマゼンタインクの2色混合のベタ印刷部を印刷直後に指で擦り、インクの乾燥性を官能的に評価した。
○:印刷直後に指で触れてもまったく汚れない。
×:印刷直後に指で触れると汚れる。
(白紙部光沢および印刷部光沢)
白紙部および黒ベタ印刷部の光沢度は、蛍光灯の映り込みを見て官能的に評価した。その評価結果は10段階評価で行い、極めて良好な結果を10、良好な結果を8、やや良好な結果を6、やや劣る結果を4、劣る結果を2、極めて劣る結果を1とした。
(総合評価)
フルカラーの写真画像を印刷し、光沢感、画質、印刷部の光学濃度、鮮明さなどの印刷品位について総合的に評価した。その評価結果は10段階評価で行い、極めて良好な結果を10、良好な結果を8、やや良好な結果を6、やや劣る結果を4、劣る結果を2、極めて劣る結果を1とした。
(調製例1)
攪拌器、還流冷却器、滴下槽および温度計を取りつけた反応容器に、水360部を投入し反応容器内を80℃にした。次に「コータミン86W」(花王(株)製、カチオン性界面活性剤:商品名)の25%水溶液25部、「エマルゲン1135S−70」(花王(株)製、非イオン性界面活性剤:商品名)の70%水溶液7.5部およびN,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド塩化メチル4級塩の70%水溶液4部を該反応器内に添加した。さらに該反応器内に2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩基酸塩の5%水溶液8部を投入し、その5分後に、メタクリル酸メチル9部、アクリル酸ブチル9部、スチレン9部、ダイアセトンアクリルアミド2部および2−ヒドロキシメタクリル酸エチル2部を混合した液を該反応器内に30分かけて連続的に添加した。添加は反応容器内を80℃に保ちながら行った。この段階でのエマルジョンの数平均粒子径は11nmであった。引き続き、水1254部にN−イソプロピルアクリルアミド290部、ダイアセトンアクリルアミド10部、メチレンビスアクリルアミド0.5部、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド塩化メチル4級塩の70%水溶液5部、「コータミン86W」の25%水溶液10部、「ブレンマーQA」(日本油脂(株)製、カチオン性反応型界面活性剤:商品名)の25%水溶液15部および2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩基酸塩の5%水溶液11部を溶解した液を該反応容器内に添加開始し、5時間かけて添加を終了させた。添加中および添加終了後1時間、反応容器内液温を80℃に保った後、50℃まで冷却し、エタノールの60%水溶液1000部を徐々に該反応容器内に添加した。エタノール水溶液の添加終了後室温まで冷却することによって樹脂固形分11%、数平均粒子径が100nmのエマルジョンを形成した高分子化合物1を得た。その感温点を測定したところ30℃であった。
(調製例2)
攪拌器、還流冷却器、滴下槽及び温度計を取りつけた反応容器に、水200部を投入し反応容器内を80℃にした。次に「コータミン86W」(花王(株)製、カチオン性界面活性剤:商品名)の25%水溶液20部、「エマルゲン1135S−70」(花王(株)製、非イオン性界面活性剤:商品名)の70%水溶液10部、「ブレンマーQA」(日本油脂(株)製、カチオン性反応型界面活性剤:商品名)の25%水溶液15部及びN,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド塩化メチル4級塩の70%水溶液2部を該反応器内に添加した。さらに該反応器内に2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩基酸塩の5%水溶液15部を投入し、その5分後に、メタクリル酸メチル15部、アクリル酸ブチル20部、スチレン10部、ダイアセトンアクリルアミド2部を混合した液を該反応器内に1時間かけて連続的に添加した。添加は反応容器内を80℃に保ちながら行った。この段階でのエマルジョンの数平均粒子径は40nmであった。引き続き、水380部にN−イソプロピルアクリルアミド60部、ダイアセトンアクリルアミド4部、2−ヒドロキシメタクリル酸エチル5部、「ブレンマーQA」(日本油脂(株)製、カチオン性反応型界面活性剤:商品名)の25%水溶液15部及び2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩基酸塩の5%水溶液11部を溶解した液とメタクリル酸メチル30部とを各々該反応容器内に添加開始し、4時間かけて添加を終了させた。添加中及び添加終了後1時間、反応容器内液温を80℃に保った後、50℃まで冷却し、エタノールの60%水溶液500部を徐々に該反応容器内に添加した。エタノール水溶液の添加終了後室温まで冷却することによって樹脂固形分11%、数平均粒子径が80nmのエマルジョンを形成した高分子化合物2を得た。その感温点を測定したところ14℃であった。
(調製例3)
攪拌機、還流冷却器、滴下槽及び温度計を取りつけた反応容器に、水600部及び「コータミン86W」の28%水溶液40部、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド塩化メチル4級塩の70%水溶液6部を投入し、反応容器内を80℃とした。次に、ダイアセトンアクリルアミド4部、スチレン128部、メタクリル酸メチル80部、メタクリル酸ブチル66部を混合した添加液(1)と、水100部に「コータミン86W」の28%水溶液9部、「エマルゲン1135S−70」の70%水溶液1部、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩基酸塩の5%水溶液45部、アミノエチルメタクリレート塩化メチル4級塩の70%水溶液6部を溶解した添加液(2)とを各々滴下槽より反応容器中へ4時間かけて添加した。添加中及び添加が終了してからさらに1時間、反応容器中の温度を80℃に保った後、室温まで冷却した。樹脂固形分30%、数平均粒子径40nmのエマルジョンを形成した高分子化合物3を得た。その感温点の測定を試みたが、感温点と判断される変化は生じなかった。
(調製例4)
あらかじめH+型にしておいたカチオン交換樹脂(ローム&ハース社製、アンバーライトIR−120B:商品名)100gを水100gに分散したなかに、3号水ガラス(SiO2 =29質量%、Na2 O=9.5質量%)33.3gを水66.7gで希釈した溶液を加える。これを、十分撹拌した後、カチオン交換樹脂を濾別し活性シリカ水溶液200gを得た。この活性シリカ水溶液のSiO2は5.0質量%であった。
5gの非イオン界面活性剤(旭電化工業(株)製、プルロニックP103:商標名)を水1360gに溶解させ、35℃湯浴中で撹拌しながら、上記の活性シリカ水溶液60gを添加した。さらに、0.015mol/lのNaOH水溶液を20ml加える。この混合物のpHは7.5であった。この混合物を35℃で15分撹拌後、80℃で静置し24時間反応させた。この溶液から限外ろ過装置を用いて非イオン界面活性剤を除去し、透明なシリカの分散液を得た。この分散液にN−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシランを前記シリカに対し5質量%となる様加え、超音波分散機にて分散することでシリカ濃度20質量%の透明な多孔性物質(MPS)の分散液を得た。この分散液の動的光散乱法によって測定される平均粒子径は60nmで換算比表面積は45m2/gであった。該分散液を、105℃で乾燥した試料のBJH法による平均細孔直径は8nm、細孔容積は1.21ml/g、BET法による窒素吸着比表面積は720m2 /gであり、換算比表面積との差は675m2 /gであった。
[実施例1]
乾式シリカ(日本アエロジル(株)製、A300:商品名、以下、A300と記す)に固形分18質量%となるように水を加え、超音波分散機を使用して分散させた後、カチオン性ポリマー(旭電化工業(株)製、アデカカチオエースDM−20A:商品名)20質量%水溶液を、乾式シリカ/カチオン性ポリマー=100/5(乾燥質量比)となるよう添加した後、再度超音波分散機を使用して分散させ分散液1をえた。該分散液1に、A300/ホウ酸/ホウ砂=100/3/0.5(乾燥質量比)となる割合でホウ酸およびホウ砂を加え混合した後、60℃に加熱し、PVA203((株)クラレ製ポリビニルアルコール、クラレポバールPVA203:商品名)10%水溶液およびPVA235((株)クラレ製ポリビニルアルコール、クラレポバールPVA235:商品名)5%水溶液を、A300/PVA203/PVA235=100/1/5(乾燥質量比)となる割合で添加、混合した後、これに調製例1で得られた高分子化合物1を、A300/高分子化合物1=100/20(乾燥質量比)となる割合で60℃にて添加、混合し塗工液1を作成した。
一方で、上記分散液1に、A300/ホウ酸/ホウ砂=100/3/0.5(乾燥質量比)となる割合でホウ酸およびホウ砂を加え混合した後、60℃に加熱し、PVA203((株)クラレ製ポリビニルアルコール、クラレポバールPVA203:商品名)10%水溶液およびPVA235((株)クラレ製ポリビニルアルコール、クラレポバールPVA235:商品名)5%水溶液を、A300/PVA203/PVA235=100/1/18(乾燥質量比)となる割合で添加、混合し、さらに離型剤としてレシチン2部を添加混合し塗工液2を作成した。
100g/m2 の原紙(室温)の片面に、乾燥重量で8g/m2になるように、上記塗工液1をエアナイフコーターで塗工、乾燥し、記録層下層を形成した後、該記録層下層上に、乾燥重量で5g/m2 になるように、上記塗工液2をエアナイフコーターで塗工した後、ただちに表面温度が85℃の鏡面ドラムに圧着し、乾燥後、離型させ、光沢タイプのインクジェット記録用紙を得た。このときの光沢層の塗工量は固形分重量で、13g/m2 であった。このインクジェット記録用紙の評価結果を表1に示した。
[実施例2]
前記分散液1に、調製例1で得られた高分子化合物1を、A300/高分子化合物1=100/25(乾燥質量比)となる割合で50℃にて添加、混合し塗工液3を作成した。
一方で、前記分散液1に、A300/ホウ酸/ホウ砂=100/3/0.5(乾燥質量比)となる割合でホウ酸およびホウ砂を加え混合した後、60℃に加熱し、PVA203((株)クラレ製ポリビニルアルコール、クラレポバールPVA203:商品名)10%水溶液およびPVA235((株)クラレ製ポリビニルアルコール、クラレポバールPVA235:商品名)5%水溶液を、A300/PVA203/PVA235=100/1/13(乾燥質量比)となる割合で添加、混合した後、これに調製例2で得られた高分子化合物2を、A300/高分子化合物2=100/7(乾燥質量比)となる割合で60℃にて添加、混合し、さらに離型剤としてレシチン2部を添加混合し塗工液4を作成した。
100g/m2 の原紙(室温)の片面に、乾燥重量で8g/m2 になるように、上記塗工液3をエアナイフコーターで塗工、乾燥し、記録層下層を形成した後、該記録層下層上に、乾燥重量で5g/m2 になるように、上記塗工液4をエアナイフコーターで塗工した後、ただちに表面温度が85℃の鏡面ドラムに圧着し、乾燥後、離型させ、光沢タイプのインクジェット記録用紙を得た。このときの光沢層の塗工量は固形分重量で、13g/m2 であった。このインクジェット記録用紙の評価結果を表1に示した。
[実施例3]
調製例4で得られた多孔性物質(MPS)分散液に、調製例1で得られた高分子化合物1を、MPS/高分子化合物1=100/25(乾燥質量比)となる割合で50℃にて添加、混合し塗工液5を作成した。
一方で、前記分散液1に、調製例2で得られた高分子化合物2を、A300/高分子化合物2=100/25(乾燥質量比)となる割合で50℃にて添加、混合し、さらに離型剤としてレシチン2部を添加混合し塗工液6を作成した。
100g/m2 の原紙(室温)の片面に、乾燥重量で8g/m2 になるように、上記塗工液5をエアナイフコーターで塗工、乾燥し、記録層下層を形成した後、該記録層下層上に、乾燥重量で5g/m2 になるように、上記塗工液6をエアナイフコーターで塗工した後、ただちに表面温度が85℃の鏡面ドラムに圧着し、乾燥後、離型させ、光沢タイプのインクジェット記録用紙を得た。このときの光沢層の塗工量は固形分重量で、13g/m2 であった。このインクジェット記録用紙の評価結果を表1に示した。
[比較例1]
前記分散液1に、A300/ホウ酸/ホウ砂=100/3/0.5(乾燥質量比)となる割合でホウ酸およびホウ砂を加え混合した後、60℃に加熱し、PVA203((株)クラレ製ポリビニルアルコール、クラレポバールPVA203:商品名)10%水溶液およびPVA235((株)クラレ製ポリビニルアルコール、クラレポバールPVA235:商品名)5%水溶液を、A300/PVA203/PVA235=100/1/18(乾燥質量比)となる割合で添加、混合し塗工液7を作成した。
100g/m2 の原紙(室温)の片面に、乾燥重量で8g/m2 になるように、上記塗工液7をエアナイフコーターで塗工、乾燥し、記録層下層を形成した後、該記録層下層上に、乾燥重量で5g/m2 になるように、実施例1と全く同様にして作成した塗工液2をエアナイフコーターで塗工した後、ただちに表面温度が85℃の鏡面ドラムに圧着し、乾燥後、離型させ、光沢タイプのインクジェット記録用紙を得た。このときの光沢層の塗工量は固形分重量で、13g/m2 であった。このインクジェット記録用紙の評価結果を表1に示した。
[比較例2]
前記分散液1に、調製例3で得られた高分子化合物3を、A300/高分子化合物3=100/25(乾燥質量比)となる割合で50℃にて添加、混合し塗工液8を作成した。
100g/m2 の原紙(室温)の片面に、乾燥重量で8g/m2 になるように、上記塗工液8をエアナイフコーターで塗工、乾燥し、記録層下層を形成した後、該記録層下層上に、乾燥重量で5g/m2 になるように、実施例1と全く同様にして作成した塗工液2をエアナイフコーターで塗工した後、ただちに表面温度が85℃の鏡面ドラムに圧着し、乾燥後、離型させ、光沢タイプのインクジェット記録用紙を得た。このときの光沢層の塗工量は固形分重量で、13g/m2 であった。このインクジェット記録用紙の評価結果を表1に示した。
Figure 2005313415
本発明を用いれば、白紙部および印刷部の光沢性に優れ、印刷部の光学濃度、インク吸収性、記録画質等のインクジェット記録適性に優れたインクジェット記録用紙を提供することができる。

Claims (3)

  1. 支持体に、感温点以下の温度領域では親水性を示し、感温点を超える温度領域では疎水性を示す高分子化合物(A)と微粒子(B)とを含有する記録層下層を設け、該記録層下層上に微粒子(C)を含有する記録層上層を設けたインクジェット記録用紙。
  2. 前記の記録層上層が、上層用塗工液を塗工し、この塗工した層が湿潤状態にある間に、加熱された鏡面ドラムに圧着、乾燥して仕上げてなることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録用紙。
  3. 前記の微粒子(B)および/または微粒子(C)が、金属源として金属酸化物および/またはその前駆体を用い、金属源とテンプレートと水を混合反応させ複合体を製造する工程を経て製造されたものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のインクジェット記録用紙。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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