JP2005313274A - 圧電駆動型mems素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】 信頼性が高く安定して作成することを可能にする。
【解決手段】 開口12を有する基板1上に開口を跨ぐように設けられた圧電膜4、圧電膜の両側に設けられ圧電膜を駆動する圧電駆動機構11、および基板と反対側の圧電膜の面の中央部に設けられた第1電極6を有する可動梁10と、少なくとも一端が基板上に接し、可動梁を跨ぐように設けられ、可動梁の第1電極と対向する側に第2電極8を有する固定梁と、を備えている。
【選択図】 図1
【解決手段】 開口12を有する基板1上に開口を跨ぐように設けられた圧電膜4、圧電膜の両側に設けられ圧電膜を駆動する圧電駆動機構11、および基板と反対側の圧電膜の面の中央部に設けられた第1電極6を有する可動梁10と、少なくとも一端が基板上に接し、可動梁を跨ぐように設けられ、可動梁の第1電極と対向する側に第2電極8を有する固定梁と、を備えている。
【選択図】 図1
Description
本発明は,圧電薄膜を駆動する圧電駆動機構を有する圧電駆動型MEMS(Micro-electro-mechanical System)素子に関する。
従来、バリアブルキャパシタとしては、P/N接合の空乏層厚さ変化を利用したバリアブルキャパシタ・ダイオードが使用されている。しかしながらバリアブルキャパシタ・ダイオードは、容量変化幅が高々5倍程度しか取れないこと、損失の小ささを表すQ値が20〜30程度と小さいことから、用途が限られている。
一方、最近注目を集めているのがMEMS技術で作成するバリアブルキャパシタである。 従来のMEMS技術による圧電薄膜を使用したマイクロスイッチやバリアブルキャパシタなどにおいては、駆動力として主に静電力を使用している。静電力を使用した圧電薄膜MEMS素子は、空間を隔てた一対の電極に駆動電圧を印加するだけという非常に簡単な動作機構で済むという長所がある(例えば、非特許文献1)。
その反面、静電力が距離のマイナス二乗に比例するという性質から、印加電圧と電子の移動量が非線型な初期間隔の約2/3以下では間隔が不連続に閉じてしまうプルインという現象が生じる。このため、駆動範囲が狭く、1μm以上の距離を駆動するためには一般に20V以上の駆動電圧が必要になる。現状では、この駆動電圧が高いという問題点から、なかなか一般民生用機器には応用が及んでいない。
"Smart Structure and Materials 2002: Smart Electronics, MEMS and Nanotechnology", V. K. Varadan, Editor, Proceedings of SPIE Vol. 4700 (2002), pp. 40-49
"Smart Structure and Materials 2002: Smart Electronics, MEMS and Nanotechnology", V. K. Varadan, Editor, Proceedings of SPIE Vol. 4700 (2002), pp. 40-49
そこで、基板上の空中に支持された、圧電薄膜を有する梁にバリアブルキャパシタの可動電極を、対向する基板上にバリアブルキャパシタの固定電極を作成し、梁を圧電力で駆動して、可動電極と固定電極の間の距離を変化させることによってバリアブルキャパシタを構成することが考えられる。
MEMS技術により空中に支持された梁構造を作成する通常の方法として、SOI基板を使用し、Si層の上に梁構造を作成し、次にSi層の一部を除去して梁構造を空中に支持する方法や、Si基板の上に梁構造を作成し、基板の裏面側からウェットエッチングやRIEで表面まで達するトレンチを形成して梁構造を空中に支持する方法などが挙げられる。しかしながらこれらの方法では、可動梁と可動電極を形成することができるが、対向する固定電極を下地基板上に形成するのが困難である。
そこで、まず基板上に固定電極を形成し、その上に犠牲層を形成し、犠牲層を跨ぐように可動梁と可動電極を形成し、犠牲層を除去することで空中に支持された梁構造を作成する。このようにして、基板上から屈曲した片持ち梁や両持ち梁橋梁構造が作成される。
片持ち梁構造の場合は、梁を構成する材料の僅かな残留応力の有無で上下に反り、可動電極と固定電極の距離を一定に作成することが非常に困難であり、安定して作成することができないという問題がある。
両持ち梁橋梁構造の場合は、片持ち梁構造よりも幾分安定して作成することが可能であるが、やはり梁を構成する膜材料に圧縮の残留応力があると上側に反り、逆に引っ張りの残留応力があると下側に反るため、やはり可動電極と固定電極の距離を一定に作成することが非常に困難であり、安定して作成することができないという問題がある。
また、片持ち梁、両持ち梁の両者の構造に共通して、犠牲層の角の上に形成された屈曲構造のところで、後述するように、圧電駆動機構を構成する駆動電極の段切れや梁の割れが生じ、信頼性に問題があった。
本発明は,上記事情を考慮してなされたものであって、信頼性が高く安定して作成することのできる圧電駆動型MEMS素子を提供することを目的とする。
本発明の第1の態様による圧電駆動型MEMS素子は、開口を有する基板上に前記開口を跨ぐように設けられた圧電膜、前記圧電膜の両側に設けられ前記圧電膜を駆動する圧電駆動機構、および前記基板と反対側の前記圧電膜の面の中央部に設けられた第1電極を有する可動梁と、少なくとも一端が基板上に接し、前記可動梁を跨ぐように設けられ、前記可動梁の前記第1電極と対向する側に第2電極を有する固定梁と、を備えたことを特徴とする。
なお、前記圧電駆動機構は、前記圧電膜の前記基板側の面に設けられた第1駆動電極と、前記圧電膜の前記基板とは反対側の面に設けられた第2駆動電極とを備えていてもよい。
なお、前記圧電駆動機構は、前記圧電膜の前記基板側の面に設けられた第1および第2駆動電極と、前記圧電膜の前記基板とは反対側の面に前記第1および第2駆動電極と対向して設けられた第3および第4駆動電極と、前記圧電膜に設けられた第1ヴィアホールを介して前記第1駆動電極と前記第4駆動電極とを電気的に接続する第1接続部と、前記圧電膜に設けられた第2ヴィアホールを介して前記第2駆動電極と前記第3駆動電極とを電気的に接続する第2接続部と、を備えていてもよい。
なお、前記可動梁は、前記圧電膜を支持する支持膜を備えてもよい。
なお、前記開口は、前記基板の裏面まで達する貫通孔および前記基板表面に形成されたトレンチのいずれか一方であってもよい。
なお、前記圧電膜は、ウルツ鉱型の結晶を有する材料またはペロブスカイト系強誘電体のいずれかからなることが好ましい。
なお、前記駆動電極は、アルミニウム(Al)、金(Au)、白金(Pt)、銅(Cu)、イリジウム(Ir)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)のいずれかを主成分とすることが好ましい。
また、本発明の第2の態様による移動体通信機は、上記のいずれかに記載の圧電駆動型MEMS素子をバリアブルキャパシタとして有する電圧制御発振器を備えたことを特徴とする。
また、本発明の第3の態様による移動体通信機は、上記のいずれかに記載の圧電駆動型MEMS素子をバリアブルキャパシタとして有するチューナブル整合回路を備えたことを特徴とする。
また、本発明の第4の態様による移動体通信機は、上記のいずれかに記載の圧電駆動型MEMS素子を高周波スイッチとして有することを特徴とする。
本発明によれば、信頼性が高く安定して作成することのできる圧電駆動型MEMS素子を得ることができる。
まず、本発明の実施形態を説明する前に、本発明に想到するに至った経緯を説明する。 本発明者らは、従来から静電型アクチュエータなどで使用されている、犠牲層プロセスを使用して、ユニモルフ圧電駆動型アクチュエータを使用したシャント型MEMSスイッチを試作し、検討を行った。
試作したMEMSスイッチの断面構造を図10に示す。このMEMSスイッチは、絶縁基板51に形成された固定電極52と、犠牲層(図示せず)を選択エッチングにより除去して作製した空洞53と、圧電アクチュエータの下部電極とスイッチの可動電極を兼ねた電極54と、圧電体膜55と、圧電アクチュエータの上部電極56と、支持層57とを備えている。
圧電膜55として、ペロブスカイト系強誘電体であるチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)やチタン酸バリウム(BTO)、ウルツ鉱型圧電体である窒化アルミニウム(AlN)や酸化亜鉛(ZnO)などが考えられる。ペロブスカイト型強誘電体材料は、圧電性は非常に大きいが、その反面として結晶構造に起因した形状安定性に劣っているため、圧電アクチュエータのような薄くて長い橋梁構造を作製することが非常に困難である。そこで圧電体膜として、ウルツ鉱型結晶構造のAlNをc軸に配向させた圧電膜を使用した。AlNはc軸方向にのみ圧電性を持つため、膜厚と垂直方向にc軸を配向させる必要があるためである。
図10に示すような橋梁構造を持つMEMSスイッチを既知のプロセスで作製し、下部電極54と上部電極56の間にDC電圧を加えてスイッチング動作をさせたところ、数回の動作で橋梁構造の屈曲部58から破断を生じ、動作しなくなった。
圧電アクチュエータ部分の断面構造を詳細に検討した結果を図11に示す。この検討結果によると、このような破断モードは、六方晶型結晶構造を持ちc軸配向させた圧電膜55を使用して作製した、屈曲部58を持つ橋梁構造の圧電アクチュエータにおいて、繰り返し曲げ動作を行った場合に特有の問題であることが判明した。
すなわち、図12に模式的に示すように、ウルツ鉱型などの六方晶結晶62は、基板60に対してc軸に配向する性質を持ち、またc軸方向の成長速度も、c軸方向と直交するa軸やb軸方向よりもはるかに大きい。このような六方晶結晶材料の圧電膜を使用して屈曲部を持つ橋梁構造を作成した場合、図11に示すように、AlNの結晶粒は下部電極54の面に対して非常に強い柱状晶を形成し、屈曲部58では柱状晶の方位が異なるために圧電膜55が疎で非常に脆弱な面を形成することが明らかになった。この脆弱な面にスイッチング動作に伴う屈曲応力が加わると容易に亀裂を生じ、数回のスイッチング動作により亀裂が電極54、56にまで進展して破断にいたることがわかった。
すなわち、ウルツ鉱型結晶のAlNやZnOをc軸配向させた圧電膜を使用し、屈曲した橋梁を持つ圧電アクチュエータ構造を有する圧電駆動型MEMSアクチュエータは、圧電駆動によりアクチュエータに曲げ応力を繰り返し印加すると破壊し、圧電アクチュエータとして適さないことが本発明者等によって初めて見出された。
本発明による圧電駆動型MEMS素子は、曲げ応力を繰り返し印加しても破壊しない構造を備えている。
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態による圧電駆動型MEMS素子の構成を図1乃至図3に示す。この実施形態による圧電駆動型MEMS素子は、両持ち梁構造のバリアブルキャパシタである。図1は本実施形態による圧電駆動型MEMS素子の平面図、図2は図1に示す切断線A−Aで切断した断面図、図3は図1に示す切断線B−Bで切断した断面図である。
本発明の第1実施形態による圧電駆動型MEMS素子の構成を図1乃至図3に示す。この実施形態による圧電駆動型MEMS素子は、両持ち梁構造のバリアブルキャパシタである。図1は本実施形態による圧電駆動型MEMS素子の平面図、図2は図1に示す切断線A−Aで切断した断面図、図3は図1に示す切断線B−Bで切断した断面図である。
本実施形態による圧電駆動型MEMS素子は、空洞12となる開口部を有する基板1を跨ぐように設けられ空洞12の幅よりも狭い幅を有する両持ち梁構造の可動梁10と、この可動梁10の幅方向に可動梁10を跨ぐように設けられ支持部9によって空中に支持された固定電極8を有する固定梁13とを備えている。可動梁10は、基板1を跨ぐように基板1上に設けられ空洞12の幅よりも狭い幅を有する平坦な支持膜2と、この支持膜2上に設けられた下部電極3と、この下部電極3上に設けられた圧電膜4と、圧電膜4の両端に設けられた上部電極5と、圧電膜4の中央部に固定電極8に対向して設けられた可動電極6とを備えている。下部電極3と、上部電極5とが圧電駆動機構11を構成している。なお、本実施形態においては、固定電極8は2つに分割されているが、一体であってもよい。
このような構成のMEMS素子において、下部電極3と、上部電極5との間に電圧を印加すると、圧電膜4が撓むことにより可動電極6と固定電極8との間の距離が変化し、容量が変化する。
次に、本実施形態によるMEMS素子の製造方法を、図4(a)乃至図5(c)を参照して説明する。なお、図4(a)乃至図5(c)は、図1に示す切断線B−Bで切断したときの工程断面図である。
まず、図4(a)に示すように、表面が絶縁性の基板1上に、支持膜2、下部電極3、圧電膜4を順次形成する。本実施形態では支持膜2として膜厚700nmのSiN層を、下部電極3として膜厚200nmのAlを、圧電膜4としてc軸配向した膜厚500nmのAlNを使用した。続いて、リソグラフィー技術および反応性イオンエッチング(RIE)を用いて、圧電膜4、下部電極3、支持膜2を矩形状にパターニングする(図4(a)参照)。
次に、図4(b)に示すように、圧電膜4の上に電極膜を成膜し、リソグラフィー技術およびRIEを用いて上記電極膜をパターニングすることにより、圧電駆動機構11を構成する上部電極(図示せず)と、可動電極6とを同時に形成し、これにより可動梁10が形成される。本実施形態では、上記電極膜として膜厚200nmのAlを使用した。
次に、図4(c)に示すように、可動梁10を埋め込むように犠牲層7を成膜し、この犠牲層7をパターニングする。犠牲層としては、他の膜材料に対して選択的エッチングが可能な、無機材料、金属材料、有機材料を使用することが可能であるが、本実施形態ではポリシリコンを使用した。
次に、図5(a)に示すように、犠牲層7の上部に、電極膜を形成し、パターニングを行うことによりバリアブルキャパシタの固定電極8を形成する。本実施形態では厚さ200nmのAlを固定電極とした。
次に、図5(b)に示すように、固定電極8の上に、例えば厚さ2μmの酸化シリコンをプラズマCVDにより成膜し、固定電極8の支持部9を形成する。
次に、図5(c)に示すように、二フッ化キセノン(XeF2)ガスを使用した等方性ドライエッチングにより犠牲層7を除去し、さらに基板1の裏面から異方性ドライエッチングにより開口12を形成し、圧電膜4と、圧電駆動機構11と、可動電極6とを備えた平面状の可動梁10を作成した。
圧電駆動機構11の上部電極5と下部電極3間に制御電圧(Vtune)を0V〜3V加えて、バリアブルキャパシタの2個の固定電極8と可動電極6との間のキャパシタ容量を測定したところ、最小0.22pF、最大51pFで250倍の非常に大きな可変幅が連続して得られた。
以上説明したように、本実施形態によれば、平坦な可動梁10を有していることで、可動梁10を構成する膜材料に若干の圧縮応力や、破断しない程度の引っ張り応力が残存した場合においても、平坦な形状を保つことが可能になる。このため、可動梁10に形成した可動電極6と固定電極8との距離を一定に保持し、初期容量を一定に制御することが可能になる。
一方、本実施形態においては、可動梁10を基板1に沿って平坦となるように形成しているので、固定梁が可動梁を跨ぐような橋梁構造として作成する必要があり、この固定梁の作成の困難さや安定性が懸念される。しかしながら、圧電駆動機構11を持つ可動梁10においては、可動距離は圧電駆動機構によって曲げられる圧電膜の部分の長さの2乗と可動梁の厚さの−2乗に比例するため、長く薄い可動梁を作る必要がある。一例を挙げると、AlNからなる圧電膜を使用した場合においては、最大1μmの移動距離を得るのに、長さ100μm以上で厚さ1μm以下の梁が必要である。このため、本実施形態のように、可動梁は平面状に作成した方が圧倒的に有利である。
そして、本実施形態においては、固定梁は底面部に固定電極8を作成するだけであるので、厚さに制限がなく、また長さも可動梁10の幅以上であればよい。すなわち、可動梁10の幅を10μmとすると、長さを15μm、厚さが3μmの固定梁を想定した場合、橋梁構造を作成して構成膜の残留応力が存在したとしても、本実施形態のMEMS素子は、図10に示すような可動梁が固定梁を跨ぐような橋梁構造と比較してその変位量は1/300以下となり、はるかに安定して作成することが可能になる。
圧電駆動機構を有する可動梁構造としては、いわゆるバイモルフ構造と呼ばれる、上部電極と下部電極で挟んだ圧電膜と支持膜を積層した構造、上部電極と下部電極で挟んだ圧電膜を2層に重ねた構造、あるいはユニモルフ構造と呼ばれる、支持膜および支持膜上に横方向に分極した圧電膜および櫛型電極を積層した構造などを使用することができる。また上記のバイモルフないしユニモルフ構造を、梁の長手方向に極性を反転させて複数個並べた構造により、屈曲率を大きくすることが可能であるので、使用することができる。
また、可動梁10の可動部下部の空洞12は、可動梁10を作成後、基板1の裏面から表面に達するエッチングで作成しても良いし、予めシリコン基板1の表面に作成したトレンチ内に犠牲層を埋め込んで平坦化し、その上に可動梁構造や固定梁を作成した後、トレンチ内の犠牲層を選択エッチングにより除去するという工程を使用しても良い。
圧電膜4に使用する圧電体として、窒化アルミニウム(AlN)や酸化亜鉛(ZnO)などのウルツ鉱型の結晶を有する材料が安定で好ましく、またチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)やチタン酸バリウム(BTO)などのペロブスカイト系強誘電体も使用することができる。
また、圧電駆動機構の上下電極3,5、可動電極6、および固定電極8の電極材料として、比抵抗値および薄膜としての作り易さから、アルミニウム(Al)、金(Au)、白金(Pt)、銅(Cu)、イリジウム(Ir)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)などの低抵抗の金属であることが望ましい。
以上、説明したように、本実施形態によれば、可動梁が平坦となっているので、曲げ応力を繰り返し印加しても破壊せず、高い信頼性を得ることができる。また、圧電駆動機構の上下電極の電圧を調整することにより、可動電極と、固定電極との間の距離や容量を一定にすることが可能となり、信頼性が高く安定して作成可能な構造のバリアブルキャパシタを得ることができる。また、可動電極と固定電極の間隔を大きく変化できるので容量変化率を大きくとることができ、誘電体として空気あるいはガスを使用しているので非常に大きいQ値が得られるなど多くの利点がある。
なお、本実施形態においては、MEMS素子としてバリアブルキャパシタを例にとって説明したが、バリアブルキャパシタ構造をそのまま使用して、可動電極と固定電極を直接接触させることでスイッチとして使用することも可能である。また特にGHz以上の高周波領域においては、ごく薄い誘電膜を挟んで可動電極と固定電極を直接接触させることでもスイッチとして使用することも可能である。この場合、スイッチの電極間の距離や動作電圧を一定にすることが可能になり、信頼性が高く安定して作成可能な構造のスイッチが実現できる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態による圧電駆動型MEMS素子を図6乃至図8を参照して説明する。この実施形態の圧電駆動型MEMS素子は、下部電極と上部電極で挟んだ圧電膜と支持膜を積層したバイモルフ構造を梁の長手方向に極性を反転させて複数個(この実施形態では2個)並べた構造を備えたバリアブルキャパシタであって、屈曲率を大きくすることができる。図6は本実施形態による圧電駆動型MEMS素子の平面図、図7は図6に示す切断線A−Aで切断した断面図、図7は図6に示す切断線B−Bで切断した断面図である。
次に、本発明の第2実施形態による圧電駆動型MEMS素子を図6乃至図8を参照して説明する。この実施形態の圧電駆動型MEMS素子は、下部電極と上部電極で挟んだ圧電膜と支持膜を積層したバイモルフ構造を梁の長手方向に極性を反転させて複数個(この実施形態では2個)並べた構造を備えたバリアブルキャパシタであって、屈曲率を大きくすることができる。図6は本実施形態による圧電駆動型MEMS素子の平面図、図7は図6に示す切断線A−Aで切断した断面図、図7は図6に示す切断線B−Bで切断した断面図である。
本実施形態による圧電駆動型MEMS素子は、第1の実施形態による圧電駆動型MEMS素子において、下部電極3および上部電極5を有する圧電駆動機構の代わりに、図7、図8に示すように、第1の駆動部22および第2の駆動部26を有する圧電駆動機構を設けた構成となっている。第1の駆動部22は、支持膜2に接し、圧電膜4を挟む第1の上下電極23、25を備えている。第2の駆動部26は、第1の駆動部22に隣接して設置され、圧電膜4を挟む第2の上下電極27、29を備えている。第1および第2の駆動部22、26は両持ち梁の駆動軸に沿って対称に2組ずつ設置されている。
圧電膜4は第1の駆動部22と第2の駆動部26との間に、駆動軸とは垂直方向に第1のヴィアホール31および第2のヴィアホール32が並べて形成されており、第1の下部電極23と第2の上部電極29は第1のヴィアホール31を通じて接続されており、第2の下部電極27と第1の上部電極25は第2のヴィアホール31を通じて接続されている。
圧電駆動機構の第1、第2の上下電極23、25、27、29はAlで作成し、厚さは抵抗値などを勘案して例えば10nmから1μm程度から選ぶことができるが、本実施形態では全て50nmとした。また、圧電膜4はc軸配向させたAlNで作成し、厚さは変位量を勘案して例えば10nmから1μm程度から選ぶことができるが、本実施形態では全て500nmとした。支持膜2はSiO2膜で作成し、厚さは50nmとした。バリアブルキャパシタの等価面積は6400μm2とし、また
本実施形態によれば、ヴィアホールを介して接続することにより、圧電膜や電極の外形と接続部を同時にパターニングすることができるので、接続するための余分な加工工程が不要となる。また、各駆動部において圧電膜を隔てて上下電極が対向している駆動領域を、例えば長方形などの駆動軸に対して上下および左右対称形に作成することができるので、捩れなどが生じない。本実施形態による圧電駆動型MEMS素子は安定した構造、良好な制御性、および広い移動範囲を持つ。
本実施形態によれば、ヴィアホールを介して接続することにより、圧電膜や電極の外形と接続部を同時にパターニングすることができるので、接続するための余分な加工工程が不要となる。また、各駆動部において圧電膜を隔てて上下電極が対向している駆動領域を、例えば長方形などの駆動軸に対して上下および左右対称形に作成することができるので、捩れなどが生じない。本実施形態による圧電駆動型MEMS素子は安定した構造、良好な制御性、および広い移動範囲を持つ。
そして、本実施形態の圧電駆動型MEMS素子は、広範囲に亘って理想的な動作をする。すなわち、駆動電圧を加えた場合に第1の駆動部22と第2の駆動部26とは逆向きに変形する。例えば、第1の駆動部22が上に凸に変形する時には、第2の駆動部26は下に凸に変形し、それぞれの長さが同じであれば互いに面方位の傾きはキャンセルされ、圧電駆動型MEMS素子に余分な負荷が加わらない。
また、中央部のバリアブルキャパシタの可動電極6は常に平行に上下することが可能になり、可動電極6と固定電極8との間の容量は、離れた状態から面全体で接触する状態まで最も広い範囲で連続的に変化させることができる。
このバリアブルキャパシタに制御電圧(Vtune)を0〜3V加えて、バリアブルキャパシタの可動電極6と、固定電極8間のキャパシタ容量を測定したところ、最小0.34pF、最大51pFで150倍の非常に大きな可変幅を連続して得ることができた。
この実施形態の圧電駆動型MEMS素子も、第1実施形態と同様に、信頼性が高く安定して作成可能となる。
上記第1乃至第2実施形態による圧電駆動型MEMS素子はバリアブルキャパシタを例にとって説明したが、マイクロスイッチにも応用可能である。
また、第1乃至第2実施形態で説明したバリアブルキャパシタは、図9に示すように、このバリアブルキャパシタ44を、薄膜圧電共振器43および増幅器45と組合せることで、移動体通信機の電圧制御発振器(Voltage Controlled Oscillator: VCO)41として利用することができる。
また、第1乃至第2実施形態で説明したバリアブルキャパシタは、図13に示すように、このバリアブルキャパシタ72aをインダクタ素子72bと組み合わせることで、移動体通信機のチューナブル整合回路72として利用することができる。チューナブル整合回路72を使用することで、例えば単一のアンテナを使用しながら周波数の異なる複数の搬送波に対して高い利得を実現することが可能になる。なお、図13は、第1乃至第2実施形態の圧電駆動型MEMS素子の応用例である2バンド移動体通信機の構成を示す回路図である。この2バンド移動体通信機は、アンテナ71と、チューナブル整合回路72と、バンド切替えスイッチ73a、73bと、送受信切替え器74a、74bと、第1の受信回路75aと、第1の送信回路76aと、第2の受信回路75bと、第2の送信回路76bとを備えている。
また、第1乃至第2実施形態で説明した圧電駆動型MEMS素子をマイクロスイッチとして用いる場合は、図13に示すように、移動体通信機の例えばバンド切替えスイッチ73a、73bとして利用することができる。圧電駆動型MEMSスイッチの使用により、通常の半導体素子を使用した高周波スイッチと比較してオン時の低い挿入損失とオフ時の高い絶縁分離特性を実現することが可能になる。
1 基板
2 支持膜
3 下部電極
4 圧電膜
5 上部電極
6 可動電極
7 犠牲層
8 固定電極
9 支持部
10 可動梁
11 圧電駆動機構
12 空洞
2 支持膜
3 下部電極
4 圧電膜
5 上部電極
6 可動電極
7 犠牲層
8 固定電極
9 支持部
10 可動梁
11 圧電駆動機構
12 空洞
Claims (10)
- 開口を有する基板上に前記開口を跨ぐように設けられた圧電膜、前記圧電膜の両側に設けられ前記圧電膜を駆動する圧電駆動機構、および前記基板と反対側の前記圧電膜の面の中央部に設けられた第1電極を有する可動梁と、
少なくとも一端が基板上に接し、前記可動梁を跨ぐように設けられ、前記可動梁の前記第1電極と対向する側に第2電極を有する固定梁と、
を備えたことを特徴とする圧電駆動型MEMS素子。 - 前記圧電駆動機構は、前記圧電膜の前記基板側の面に設けられた第1駆動電極と、前記圧電膜の前記基板とは反対側の面に設けられた第2駆動電極とを備えたことを特徴とする請求項1記載の圧電駆動型MEMS素子。
- 前記圧電駆動機構は、
前記圧電膜の前記基板側の面に設けられた第1および第2駆動電極と、
前記圧電膜の前記基板とは反対側の面に前記第1および第2駆動電極と対向して設けられた第3および第4駆動電極と、
前記圧電膜に設けられた第1ヴィアホールを介して前記第1駆動電極と前記第4駆動電極とを電気的に接続する第1接続部と、
前記圧電膜に設けられた第2ヴィアホールを介して前記第2駆動電極と前記第3駆動電極とを電気的に接続する第2接続部と、
を備えたことを特徴とする請求項1記載の圧電駆動型MEMS素子。 - 前記可動梁は、前記圧電膜を支持する支持膜を備えたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の圧電駆動型MEMS素子。
- 前記開口は、前記基板の裏面まで達する貫通孔および前記基板表面に形成されたトレンチのいずれか一方であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の圧電駆動型MEMS素子。
- 前記圧電膜は、ウルツ鉱型の結晶を有する材料またはペロブスカイト系強誘電体のいずれかからなることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の圧電駆動型MEMS素子。
- 前記駆動電極は、アルミニウム(Al)、金(Au)、白金(Pt)、銅(Cu)、イリジウム(Ir)、タングステン(W)、モリブデン(Mo)のいずれかを主成分とすることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の圧電駆動型MEMS素子。
- 請求項1乃至7のいずれかに記載の圧電駆動型MEMS素子をバリアブルキャパシタとして有する電圧制御発振器を備えたことを特徴とする移動体通信機。
- 請求項1乃至7のいずれかに記載の圧電駆動型MEMS素子をバリアブルキャパシタとして有するチューナブル整合回路を備えたことを特徴とする移動体通信機。
- 請求項1乃至7のいずれかに記載の圧電駆動型MEMS素子を高周波スイッチとして有することを特徴とする移動体通信機。
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---|---|---|---|
JP2004133680A JP2005313274A (ja) | 2004-04-28 | 2004-04-28 | 圧電駆動型mems素子 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008030182A (ja) * | 2006-08-01 | 2008-02-14 | National Institute Of Advanced Industrial & Technology | 定振幅機構及びこれを用いた電位センサ |
JP2008167508A (ja) * | 2006-12-27 | 2008-07-17 | National Institute Of Advanced Industrial & Technology | アクチュエータ及びアクチュエータ製造方法 |
US8476804B2 (en) | 2009-09-29 | 2013-07-02 | Fujifilm Corporation | Piezoelectric MEMS element, voltage control oscillator, communication apparatus, and method of manufacturing piezoelectric drive type MEMS element |
-
2004
- 2004-04-28 JP JP2004133680A patent/JP2005313274A/ja active Pending
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