JP2005313258A - セラミックス材への小穴加工方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 高精度なセラミックス材への小穴加工方法を提供する。
【解決手段】 熱衝撃に弱く導電性の悪いセラミックス材11に、管状の電極12を用いて放電加工を行い、小穴13を形成する方法であって、セラミックス材11の少なくとも表面に導電性皮膜16、17を形成して、この導電性皮膜16、17を電極12と対となる電極Bとし、電極12から油を加工部分14に供給した状態で、電極12と電極Bとの間にパルス電流を流しながら、電極12を徐々に押し下げ、セラミックス材11に小穴13を形成する。
【選択図】 図1
【解決手段】 熱衝撃に弱く導電性の悪いセラミックス材11に、管状の電極12を用いて放電加工を行い、小穴13を形成する方法であって、セラミックス材11の少なくとも表面に導電性皮膜16、17を形成して、この導電性皮膜16、17を電極12と対となる電極Bとし、電極12から油を加工部分14に供給した状態で、電極12と電極Bとの間にパルス電流を流しながら、電極12を徐々に押し下げ、セラミックス材11に小穴13を形成する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、セラミックス材に小穴を形成する方法に関する。
近年、精密機械部品の高精度化に伴い、自動車用燃料噴射ノズル、インクジェットノズル、プリント基板用穴、ガスタービン冷却用穴等の小径の穴(以下、小穴という)を加工する必要性が高くなっている。特に、耐摩耗性が高く、長寿命であるセラミックス材への小穴の形成が望まれている。ここで、セラミックス材に直接穴を形成する方法としては、切削加工、研削加工、連続放電加工、超音波加工等がある。例えば、特許文献1には、二酸化ジルコニウムセラミックスに高周波振動を付加したダイヤモンドコアドリルを用いて穴を形成する方法が開示されている。
また、図2に示すように、形成する穴30と実質的に同じ形状の金属製の中子31を型枠32内に配置し、更にその周りにセラミックス(例えば、炭化ホウ素、B4C)の粉33を入れ、焼結成形、加圧成形、鋳込み成形、可塑成形等によって、セラミックスの粉を固化した後、中子31を取り除いて、穴30が形成されたセラミックス材34を製造する方法も知られている。
更に、特許文献2には、メッシュ状導電材料、金属細線からなる多孔質成形体又は針状金属を含む導電性の複合体を絶縁材料の表面に密着させ、絶縁材料に棒状の加工電極を対向させて、加工電極との間で放電させて絶縁材料を加工する方法が開示されている。ここで、放電加工時に発生する熱は、高温となった加工液の熱対流により、加工液が形成された穴内で循環することにより絶縁材料を降温させている。また、放電加工時に発生する絶縁材料のくず(加工粉)は、熱対流による加工液の循環によって絶縁材料の表面近傍に排出されている。
しかしながら、前記従来のセラミックス材への小穴加工方法は未だ解決すべき以下のような問題があった。
特許文献1の方法では、ドリルの径を小さくすることができないので、セラミックス材に小穴を形成するのは難しかった。また、連続放電加工及び超音波加工では、セラミックス材の硬さに影響なく加工できるが、高硬度材料の場合、ヒートショックによるクラックの進展、放電くずの影響等により高精度に深い穴を形成することができなかった。
特許文献1の方法では、ドリルの径を小さくすることができないので、セラミックス材に小穴を形成するのは難しかった。また、連続放電加工及び超音波加工では、セラミックス材の硬さに影響なく加工できるが、高硬度材料の場合、ヒートショックによるクラックの進展、放電くずの影響等により高精度に深い穴を形成することができなかった。
また、図2に示す方法では、中子31を取り除いた穴30の表面が粗くなり高精度の小穴30を形成することが難しく、また、複雑な形状物は加工し難かった。更に、特許文献2の方法では、放電加工によって絶縁材料が急激に昇温しても、熱対流が起こるまでは絶縁材料が降温されず、加工対象物として熱衝撃に弱いセラミックス材を用いた場合には、セラミックス材がヒートショックによるクラックの進展を起こすことがあった。また、発生する加工粉も熱対流が起こる前には加工穴に残存するので、二次放電によってセラミックス材が損傷し、加工精度が低下していた。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、高精度なセラミックス材への小穴加工方法を提供することを目的とする。
前記目的に沿う請求項1記載のセラミックス材への小穴加工方法は、熱衝撃に弱く導電性の悪いセラミックス材に、管状の電極Aを用いて放電加工を行い、小穴を形成する方法であって、
前記セラミックス材の少なくとも表面に導電性皮膜を形成して、この導電性皮膜を前記電極Aと対となる電極Bとし、前記電極Aから油を加工部分に供給した状態で、前記電極Aと前記電極Bとの間にパルス電流を流しながら、前記電極Aを徐々に押し下げ、前記セラミックス材に前記小穴を形成する。
前記セラミックス材の少なくとも表面に導電性皮膜を形成して、この導電性皮膜を前記電極Aと対となる電極Bとし、前記電極Aから油を加工部分に供給した状態で、前記電極Aと前記電極Bとの間にパルス電流を流しながら、前記電極Aを徐々に押し下げ、前記セラミックス材に前記小穴を形成する。
請求項1記載のセラミックス材への小穴加工方法において、熱衝撃に弱く導電性の悪いセラミックス材としては、炭化ホウ素等があるが、本発明はこの材料に限定されない。また、導電性皮膜としては、銅、アルミニウム等の金属膜が用いられ、真空蒸着、高周波スパッタリング、めっき等によって形成される。また、導電性皮膜としては、その裏面側(セラミックス材と接触する側)に導電性の接着剤を有する粘着層が設けられた金属膜も使用できる。この場合の皮膜の厚みは、例えば0.03〜0.5mm程度がよいがこれより薄い場合であっても厚い場合であっても本発明は適用される。
セラミックス材の放電加工は、放電のエネルギーによりセラミックス材の加工部分の温度が上昇し、セラミックス材が昇華又は溶融することによって小穴を形成する。しかしながら、導電性の悪いセラミックス材は熱伝導性も低いため、その加工部分において熱が蓄積され易く、その周辺部分への熱の影響が大きくなるので、パルス放電とすることにより、放電加工力を大きくして熱の発生を減少させている。
また、放電加工時には、管状の電極Aから油を加工部分に供給するので、放電によって高温となるセラミックス材を油によって冷却し、更に、発生するセラミックス材のくず(加工粉)を小穴から排出することができる。なお、本発明において、小穴にはセラミック材を貫通する場合と貫通しない場合とを含む。
請求項2記載のセラミックス材への小穴加工方法は、請求項1記載のセラミックス材への小穴加工方法において、前記セラミックス材は炭素ボロン化合物である。
請求項2記載のセラミックス材への小穴加工方法において、炭素ボロン化合物は、BC〜B6Cが存在するといわれ、一般的には炭化ホウ素(B4C)であり、ダイヤモンドに次ぐ硬度(新モース硬度は14である)を有し、耐摩耗性に優れている。
請求項2記載のセラミックス材への小穴加工方法において、炭素ボロン化合物は、BC〜B6Cが存在するといわれ、一般的には炭化ホウ素(B4C)であり、ダイヤモンドに次ぐ硬度(新モース硬度は14である)を有し、耐摩耗性に優れている。
請求項3記載のセラミックス材への小穴加工方法は、請求項1及び2記載のセラミックス材への小穴加工方法において、前記管状の電極Aは、外径が0.8〜1.5mmで、管肉厚が0.1〜0.3mmの範囲であり、前記パルス電流の平均値が10mA〜5Aである。
請求項3記載のセラミックス材への小穴加工方法において、パルス電流の平均値が10mA未満であると穴が形成できず、5Aを超えると放電加工される部分への熱の蓄積が大きくなり、クラックが発生することがあった。また、電極Aの外径が、0.8〜1.5mmであるので、1〜1.8mm程度の小穴を形成でき、その管肉厚が0.1〜0.3mmであるので、電極Aから供給する油の量を適量とすることができる。
請求項3記載のセラミックス材への小穴加工方法において、パルス電流の平均値が10mA未満であると穴が形成できず、5Aを超えると放電加工される部分への熱の蓄積が大きくなり、クラックが発生することがあった。また、電極Aの外径が、0.8〜1.5mmであるので、1〜1.8mm程度の小穴を形成でき、その管肉厚が0.1〜0.3mmであるので、電極Aから供給する油の量を適量とすることができる。
請求項4記載のセラミックス材への小穴加工方法は、請求項1〜3記載のセラミックス材への小穴加工方法において、前記パルス電流のデューティーファクターが5〜30%、好ましくは5〜20%、更に好ましくは5〜18%の範囲にある。
請求項4記載のセラミックス材への小穴加工方法において、パルス電流のデューティーファクター(pulse duty factor )とは、パルスの占有率ともいい、周期的パルス列の任意のパルスのパルス幅(TD)とパルス繰り返し周期(TP)との比、つまり、TD/TP×100%で表される。デューティーファクターが、5%未満であると穴が形成できず、30%を超えると放電加工される部分への熱の蓄積が大きくなり、クラックが発生することがある。
請求項4記載のセラミックス材への小穴加工方法において、パルス電流のデューティーファクター(pulse duty factor )とは、パルスの占有率ともいい、周期的パルス列の任意のパルスのパルス幅(TD)とパルス繰り返し周期(TP)との比、つまり、TD/TP×100%で表される。デューティーファクターが、5%未満であると穴が形成できず、30%を超えると放電加工される部分への熱の蓄積が大きくなり、クラックが発生することがある。
請求項5記載のセラミックス材への小穴加工方法は、請求項1〜4記載のセラミックス材への小穴加工方法において、前記電極Aにマイナス極を前記電極Bにプラス極を接続して放電加工を行う。これによって、放電が電極先端に集中し、電極を汚さないで、より効率的に穴加工が行われる。
請求項6記載のセラミックス材への小穴加工方法は、請求項1〜5記載のセラミックス材への小穴加工方法において、前記セラミックス材は板状であって、該セラミックス材の裏面には導電性皮膜からなり前記電極Bと並列に接続される別の電極Bが接続されている。
請求項6記載のセラミックス材への小穴加工方法は、請求項1〜5記載のセラミックス材への小穴加工方法において、前記セラミックス材は板状であって、該セラミックス材の裏面には導電性皮膜からなり前記電極Bと並列に接続される別の電極Bが接続されている。
請求項1〜6記載のセラミックス材への小穴加工方法は、熱衝撃に弱く導電性の悪いセラミックス材に、管状の電極Aを用いて放電加工を行う際に、セラミックス材の少なくとも表面に導電性皮膜を形成して、この導電性皮膜を電極Aと対となる電極Bとし、電極Aから油を加工部分に供給した状態で、電極Aと電極Bとの間にパルス電流を流しながら、電極Aを徐々に押し下げ、セラミックス材に小穴を形成するので、穴の開口部分に損傷を生じることになく、高精度な小穴を形成することができる。
特に、請求項2記載のセラミックス材への小穴加工方法は、セラミックス材は炭素ボロン化合物であるので、耐摩耗性に優れ、長寿命である。
請求項3記載のセラミックス材への小穴加工方法は、管状の電極Aは、外径が0.8〜1.5mmで、管肉厚が0.1〜0.3mmの範囲であるので、小穴が形成できる。また、パルス電流の平均値が10mA〜5Aであるので、セラミックス材に熱が蓄積し難くなり、クラックの発生を防止できる。
請求項4記載のセラミックス材への小穴加工方法は、パルス電流のデューティーファクターが5〜30%の範囲にあるので、セラミックス材に熱が蓄積し難くなる。
請求項3記載のセラミックス材への小穴加工方法は、管状の電極Aは、外径が0.8〜1.5mmで、管肉厚が0.1〜0.3mmの範囲であるので、小穴が形成できる。また、パルス電流の平均値が10mA〜5Aであるので、セラミックス材に熱が蓄積し難くなり、クラックの発生を防止できる。
請求項4記載のセラミックス材への小穴加工方法は、パルス電流のデューティーファクターが5〜30%の範囲にあるので、セラミックス材に熱が蓄積し難くなる。
請求項5記載のセラミックス材への小穴加工方法は、電極Aにマイナス極を電極Bにプラス極を接続して放電加工を行うので、電極が汚染されることなく、放電が電極の先端に集中し、安定した効率的な放電が可能となる。
請求項6記載のセラミックス材への小穴加工方法は、セラミックス材は板状であって、セラミックス材の裏面には導電性皮膜からなり、加工面に設けられた電極Bとは並列に接続される別の電極Bが接続されているので、高抵抗のセラミックス材により広く範囲から電流を流すことができ、加工効率を向上することができる。
請求項6記載のセラミックス材への小穴加工方法は、セラミックス材は板状であって、セラミックス材の裏面には導電性皮膜からなり、加工面に設けられた電極Bとは並列に接続される別の電極Bが接続されているので、高抵抗のセラミックス材により広く範囲から電流を流すことができ、加工効率を向上することができる。
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
ここで、図1は本発明の一実施の形態に係るセラミックス材への小穴加工方法を適用した小穴加工装置の説明図である。
ここで、図1は本発明の一実施の形態に係るセラミックス材への小穴加工方法を適用した小穴加工装置の説明図である。
図1を参照して、本発明の一実施の形態に係るセラミックス材への小穴加工方法を適用した小穴加工装置10について説明する。
小穴加工装置10は、熱衝撃に弱く導電性の悪い例えば、焼結により板状に形成された炭素ボロン化合物(炭化ホウ素、B4C)であるセラミックス材11に管状の電極12(電極Aの一例)を用いて放電加工を行い、放電のエネルギーによりセラミックス材11の加工部分14の温度が上昇し、セラミックス材11が昇華又は溶融することによって小穴13を形成する装置である。
小穴加工装置10は、熱衝撃に弱く導電性の悪い例えば、焼結により板状に形成された炭素ボロン化合物(炭化ホウ素、B4C)であるセラミックス材11に管状の電極12(電極Aの一例)を用いて放電加工を行い、放電のエネルギーによりセラミックス材11の加工部分14の温度が上昇し、セラミックス材11が昇華又は溶融することによって小穴13を形成する装置である。
管状の電極12は、外径が0.8〜1.5mm、例えば、0.8mmで、管肉厚が0.1〜0.3mm、例えば0.2mmに形成され、その管状部(内径が0.4mmである)12aから油の一例である灯油をセラミックス材11の加工部分14に供給できるようになっている。なお、灯油はポンプ14aによって電極12の管状部12aへ供給されている。
また、電極12には、パルス電流を発生するパルス電流発生器15の例えばマイナス極が接続され、電極12からセラミックス材11に、平均値が10mA〜5Aで、そのデューティーファクターが5〜30%の範囲にあるパルス電流が放電可能となっている。また、パルス電流の放電時間(パルス幅)は、例えば1〜25μ秒間で任意に調整できる。更に、電極12は図示しない昇降機構に取付けられ、パルス電流を流しながら電極12を徐々に押し下げ、セラミックス材11に小穴13を形成する。
セラミックス材11には、その両面に厚みが例えば0.08mmの導電性皮膜16、17がそれぞれ形成されている。導電性皮膜16、17は、例えばアルミニウムの薄膜を有し、その裏面側(セラミックス材11と接触する側)に導電性の接着剤を有する粘着層が設けられた導電性テープである。また、導電性皮膜16、17には、それぞれパルス電流発生器15の例えばプラス極が接続され、電極Bとなっている。
また、小穴加工装置10は、電極12から供給される灯油を貯留し、この貯留された灯油にセラミックス材11を浸漬して配置する貯留槽20を有している。なお、貯留槽20内の灯油をポンプ14aで電極12の管状部12aに供給している。
また、小穴加工装置10は、電極12から供給される灯油を貯留し、この貯留された灯油にセラミックス材11を浸漬して配置する貯留槽20を有している。なお、貯留槽20内の灯油をポンプ14aで電極12の管状部12aに供給している。
次に、小穴加工装置10を使用したセラミックス材への小穴加工方法について説明する。貯留槽20に灯油を貯留し、貯留槽20内に導電性皮膜16、17がそれぞれ上、下面側となるようにセラミックス材11を水平に配置し灯油に浸漬した。
パルス電流発生器15のマイナス極を電極12に接続し、プラス極を電極Bを構成する導電性皮膜16、17に並列に接続した。
パルス電流発生器15のマイナス極を電極12に接続し、プラス極を電極Bを構成する導電性皮膜16、17に並列に接続した。
導電性皮膜16、17を介して、電極12とセラミックス材11との間に、平均値が10mA〜5A、例えば100mAで、パルス電流の放電時間(パルス幅、TD)が1〜25μ秒間、例えば6μ秒間で、そのデューティーファクターが5〜30%、例えば、20%であるパルス電流を流しながら、電極12を徐々に押し下げる。ここで、パルス電流を放電していない時間は24μ秒間であり、パルス繰り返し周期(TP)が30μ秒間である。電極12と導電性皮膜16が所定距離まで近づくと放電が起こり、この際に発生する熱により、導電性皮膜16が溶融して導電性皮膜16に貫通孔18を形成する。
なお、ポンプ14aによって貯留槽20内の灯油が電極12の管状部12aを介してセラミックス材11の加工部分14に供給され、放電のエネルギーにより高温となった熱衝撃に弱く導電性の悪いセラミックス材11を冷却して、ヒートショックによるクラックの進展を防ぐことができる。
更に、電極12を押し下げ、電極12をセラミックス材11に所定距離まで近づけると、電極12とセラミックス材11との間で放電が起こり、この際に発生する熱によってセラミックス材11が溶融し、セラミックス材11におよそ1.1mm(つまり、電極12の外周面と0.15mmの隙間を有して)の小穴13が形成される。なお、予め導電性皮膜16の加工部分には、電極12が通過する貫通孔を設けてもよい。
更に、電極12を押し下げていき、所定深さの小穴13を形成する(図1の円内を参照)。放電加工によって生成するセラミックスのくずは、電極12の管状部12aから供給される灯油によって、電極12の外周面と小穴13の内側面との0.15mmの隙間から小穴13の外に排出される。これによって、くずによる2次放電を防ぐことができる。小穴13を形成した後、導電性皮膜16、17を除去し、小穴13が形成されたセラミックス材11を得ることができる。
次に、本発明の作用効果を確認するために行った実施例について説明する。
(実施例1)
セラミックス材の両面に導電性皮膜を形成し、パルス電流発生器のマイナス極を電極Aに、プラス極を両側の導電性皮膜(電極B)に接続して小穴を形成した。
(実施例2)
セラミックス材の両面に導電性皮膜を形成し、パルス電流発生器のプラス極を電極Aに、マイナス極を両側の導電性皮膜(電極B)に接続して小穴を形成した。
(比較例1)
セラミックス材の下部に導電性皮膜を形成し、上部には導電性皮膜を形成せず、パルス電流発生器のマイナス極を電極Aに、プラス極を導電性皮膜(電極B)に接続して小穴を形成した。
(実施例1)
セラミックス材の両面に導電性皮膜を形成し、パルス電流発生器のマイナス極を電極Aに、プラス極を両側の導電性皮膜(電極B)に接続して小穴を形成した。
(実施例2)
セラミックス材の両面に導電性皮膜を形成し、パルス電流発生器のプラス極を電極Aに、マイナス極を両側の導電性皮膜(電極B)に接続して小穴を形成した。
(比較例1)
セラミックス材の下部に導電性皮膜を形成し、上部には導電性皮膜を形成せず、パルス電流発生器のマイナス極を電極Aに、プラス極を導電性皮膜(電極B)に接続して小穴を形成した。
実施例1では、小穴の入り口が導電性皮膜が形成されているのでなめらかに形成され、更に、セラミックス材側がプラス極であるので、油中の炭素が陽極(電極B)に付着して陽極を消耗から保護できた。また、実施例2では、セラミックス材側がマイナス極と接続されているので、セラミックス材が消耗した。比較例1では、セラミックス材の上部に導電性皮膜が形成されていないので、小穴の入り口が粗くなった。
本発明は、前記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲での変更は可能であり、例えば、前記した実施の形態や変形例の一部又は全部を組み合わせて本発明のセラミックス材への小穴加工方法を構成する場合も本発明の権利範囲に含まれる。
例えば、前記実施の形態のセラミックス材への小穴加工方法において、セラミックス材として板状に形成された炭化ホウ素を使用したが、ブロック状、棒状、不定形状等どのような形状でもよく、その材質は熱衝撃に弱く導電性の悪いセラミックス材であればよく炭化ケイ素等を用いてもよい。
また、電極Bをセラミックス材の両面に形成したが、片面のみに形成してもよい。更に、導電性皮膜をアルミニウムの薄膜の裏面側に導電性の接着剤を有する粘着層が設けられた導電性テープで形成したが、アルミニウムの代わりに銅を使用してもよく、その他の金属の薄膜を導電性の接着剤で取付けてもよい。また、導電性皮膜は、真空蒸着、高周波スパッタリング、めっき等によって形成してもよい。更に、セラミックス材に形成する小穴は、セラミックス材を貫通しても、貫通しなくてもよい。小穴がセラミックス材を貫通する場合にはノズル等に使用でき、貫通しない場合にはセンサ等を埋め込むことができる。
10:小穴加工装置、11:セラミックス材、12:電極(電極A)、12a:管状部、13:小穴、14:加工部分、14a:ポンプ、15:パルス電流発生器、16、17:導電性皮膜、18:貫通孔、20:貯留槽
Claims (6)
- 熱衝撃に弱く導電性の悪いセラミックス材に、管状の電極Aを用いて放電加工を行い、小穴を形成する方法であって、
前記セラミックス材の少なくとも表面に導電性皮膜を形成して、この導電性皮膜を前記電極Aと対となる電極Bとし、前記電極Aから油を加工部分に供給した状態で、前記電極Aと前記電極Bとの間にパルス電流を流しながら、前記電極Aを徐々に押し下げ、前記セラミックス材に前記小穴を形成することを特徴とするセラミックス材への小穴加工方法。 - 請求項1記載のセラミックス材への小穴加工方法において、前記セラミックス材は炭素ボロン化合物であることを特徴とするセラミックス材への小穴加工方法。
- 請求項1及び2のいずれか1項に記載のセラミックス材への小穴加工方法において、前記管状の電極Aは、外径が0.8〜1.5mmで、管肉厚が0.1〜0.3mmの範囲であり、前記パルス電流の平均値が10mA〜5Aであることを特徴とするセラミックス材への小穴加工方法。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載のセラミックス材への小穴加工方法において、前記パルス電流のデューティーファクターが5〜30%の範囲にあることを特徴とするセラミックス材への小穴加工方法。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載のセラミックス材への小穴加工方法において、前記電極Aにマイナス極を前記電極Bにプラス極を接続して放電加工を行うことを特徴とするセラミックス材への小穴加工方法。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載のセラミックス材への小穴加工方法において、前記セラミックス材は板状であって、該セラミックス材の裏面には導電性皮膜からなり前記電極Bと並列に接続される別の電極Bが接続されていることを特徴とするセラミックス材への小穴加工方法。
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