JP2005308724A - 配管漏洩箇所判定方法および配管長測定方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 測定信号を入射するための接続部位をガス管に新たに設けることがない配管漏洩箇所判定方法および配管長測定方法を提供する。
【解決手段】 第1分岐配管1の第1部位において受音した漏洩箇所Pからの漏洩音と第2分岐配管2の第2部位において受音した漏洩箇所からの漏洩音とを受信して、漏洩箇所Pから第1部位への漏洩音の到達時間と漏洩箇所Pから第2部位への漏洩音の到達時間との差である漏洩音到達時間差を計測する時間差計測ステップと、第1部位および第2部位の一方側から送信した測定信号を他方側で受信するまでの時間である部位間信号到達時間を計測する第1時間計測ステップと、漏洩音到達時間差と部位間信号到達時間とに基づいて、漏洩箇所Pを判定する判定ステップとを包含する。
【選択図】 図1
【解決手段】 第1分岐配管1の第1部位において受音した漏洩箇所Pからの漏洩音と第2分岐配管2の第2部位において受音した漏洩箇所からの漏洩音とを受信して、漏洩箇所Pから第1部位への漏洩音の到達時間と漏洩箇所Pから第2部位への漏洩音の到達時間との差である漏洩音到達時間差を計測する時間差計測ステップと、第1部位および第2部位の一方側から送信した測定信号を他方側で受信するまでの時間である部位間信号到達時間を計測する第1時間計測ステップと、漏洩音到達時間差と部位間信号到達時間とに基づいて、漏洩箇所Pを判定する判定ステップとを包含する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、配管の漏洩箇所を判定する配管漏洩箇所判定方法、および配管の長さを測定する配管長測定方法に関する。
ガス管が土中に埋設されている場合、長年の腐食等によって管に穴が開き、ガスが漏洩することがある。このような場合、ガスの漏洩箇所を特定し、その場所を掘り起こして穴が開いたガス管の部分のみを交換することが望ましい。
従来、ガス管の漏洩箇所を特定するためには、漏洩箇所から発生する漏洩音を少なくとも2箇所で測定し、それらの測定結果の相関関係を求めることを行っていた(例えば、特許文献1参照。)。
また、ガス管の漏洩位置を特定するためには、予めガス管の長さを知っておく必要がある。ところが、ガス管が地中に埋設されていたり、建物の壁や床に隠れていたりすると、ガス管の長さを直接測定することは困難である。そこで、従来では、漏洩音の測定区間の外側から測定信号を別途入射し、漏洩箇所からの漏洩音の検知を行うと同時に前記測定信号の検知を行うことにより、配管長を測定する方法が行われていた(例えば、特許文献2参照。)。
さらに、配管長を測定する方法としては、配管内に入射させる測定信号にパルス状音波を使用する方法や(例えば、特許文献3参照。)、インパルス状音波を使用する方法があった(例えば、特許文献4参照。)。
ところが、特許文献1および特許文献2の技術は、前述のように、漏洩音測定区間の外側から別途測定信号を入射する必要があり、このため、ガス管に信号入射用の新たな接続部位を設ける必要がある。
そうすると、上記従来技術では、漏洩音を受信するために元々設けてある2つのマイクロホンの設置箇所に加えて、さらに少なくとも1箇所の接続部位を配管に設ける必要が生じ、合計3箇所以上のガス管への接続部位を設けなくてはならなくなる。また、ガス管の埋設状態等によっては、測定信号入射用に新たに接続部位を設けることが困難な場合もあり、このような場合、簡便に配管長の測定を実施することができない。
一方、配管長を測定するにあたり、特許文献3に開示されるパルス状音波や特許文献4に開示されるインパルス状音波を用いても、これらの音波はエネルギーが小さいため、配管内を伝達する過程で大きく減衰してしまう傾向がある。従って、特許文献3や特許文献4の方法では、配管長が長い場合において正確な測定を行うことは困難である。
従って、本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、配管の漏洩箇所を特定する配管漏洩箇所判定方法において、測定信号を入射するための接続部位をガス管に新たに設ける必要がなく、簡便に配管の漏洩箇所を判定することが可能な配管漏洩箇所判定方法を提供し、さらに、配管の長さを正確に測定することを可能にする配管長測定方法を提供することを目的とする。
本発明に係る配管漏洩箇所判定方法の特徴構成は、第1分岐配管と第2分岐配管とが主配管に接続された配管系に存在する漏洩箇所を判定する配管漏洩箇所判定方法であって、前記第1分岐配管の第1部位において受音した前記漏洩箇所からの漏洩音と前記第2分岐配管の第2部位において受音した前記漏洩箇所からの漏洩音とを受信して、前記漏洩箇所から前記第1部位への前記漏洩音の到達時間と前記漏洩箇所から前記第2部位への前記漏洩音の到達時間との差である漏洩音到達時間差を計測する時間差計測ステップと、前記第1部位および前記第2部位の一方側から送信した測定信号を他方側で受信するまでの時間である部位間信号到達時間を計測する第1時間計測ステップと、前記漏洩音到達時間差と前記部位間信号到達時間とに基づいて、前記漏洩箇所を判定する判定ステップとを包含する点にある。
本構成の配管漏洩箇所判定方法では、第1分岐配管の第1部位において受音した漏洩箇所からの漏洩音の到達時間と第2分岐配管の第2部位において受音した漏洩箇所からの漏洩音の到達時間との差から求めた漏洩音到達時間差に加えて、第1部位および第2部位の一方側から送信した測定信号を他方側で受信するまでの時間である部位間信号到達時間を計測し、この漏洩音到達時間差と部位間信号到達時間とに基づいて、第1分岐配管と第2分岐配管とが主配管に接続された配管系に存在する漏洩箇所を判定している。ここで、前記部位間信号到達時間は、漏洩信号を受信する部位(マイクロホン)と同一の部位である第1部位または第2部位から測定信号を入射することによって求めることができるので、測定信号を入射するための接続部位を配管に新たに設ける必要がなくなり、より簡便に配管の漏洩箇所を判定することが可能となる。また、マイクロホンの設置箇所と略同じ場所から測定信号を入射することができるので、配管の埋設状態等によって、測定信号入射用に新たに接続部位を設けることが困難な場合であっても、容易に配管の漏洩箇所の判定を行うことができる。
本発明の配管漏洩箇所判定方法においては、前記第1部位および前記第2部位が分岐配管に設置されたメータの接続部であることも可能である。
本構成の配管漏洩箇所判定方法では、第1部位および第2部位が分岐配管に設置されたメータの接続部であるので、配管の漏洩箇所の判定を簡便に行うことができる。
本発明の配管漏洩箇所判定方法においては、前記第1部位および前記第2部位の一方が分岐配管に設置されたメータの接続部であり、他方が分岐配管の前記主配管への接続部位に設けられたサービスバルブであることも可能である。
本構成の配管漏洩箇所判定方法では、第1部位および第2部位の一方が分岐配管に設置されたメータの接続部であり、他方が分岐配管の主配管への接続部位に設けられたサービスバルブであるので、配管の漏洩箇所の判定を簡便に行うことができる。
本発明の配管漏洩箇所判定方法においては、前記第1部位および前記第1分岐配管の前記主配管への第1接続部位の一方側から送信した測定信号を他方側で受信するまでの時間である第1分岐配管信号到達時間を計測する第2時間計測ステップを包含し、前記判定ステップにおいて、前記漏洩音到達時間差、前記部位間信号到達時間、および前記第1分岐配管信号到達時間に基づいて、前記第1接続部位に対する前記漏洩箇所の位置を特定することも可能である。
本構成の配管漏洩箇所判定方法では、第1部位および第1分岐配管の主配管への第1接続部位の一方側から送信した測定信号を他方側で受信するまでの時間である第1分岐配管信号到達時間を計測することにより、第1分岐配管の長さを求めることが可能となる。これにより、第1分岐配管の長さによる主配管の配管長の測定誤差を無くすことができるので、漏洩箇所をより正確に特定することが可能となる。
本発明の配管漏洩箇所判定方法においては、前記測定信号はチャープ波を含むことも可能である。
本構成の配管漏洩箇所判定方法では、チャープ波を測定信号として使用しているので、測定信号をパルス圧縮処理すると明確なインパルス化信号を得ることが可能となり、これにより、主配管または分岐配管の配管長の測定をより正確且つ容易に行うことが可能になり、その結果、漏洩箇所の特定も一層確実に行うことができる。
本発明の配管漏洩箇所判定方法においては、前記第1時間計測ステップにおいて、前記第1部位および前記第2部位の一方側から送信した前記チャープ波を含む測定信号を他方側で受信し、このチャープ波を含む測定信号をパルス圧縮処理して部位間信号到達時間を計測することも可能である。
本構成の配管漏洩箇所判定方法では、第1部位および第2部位の一方側から送信したチャープ波を含む測定信号を他方側で受信し、このチャープ波を含む測定信号をパルス圧縮処理して部位間信号到達時間を計測している。ここで、チャープ波を含む測定信号は、パルス圧縮処理すると明確なインパルス化信号に変換することができる。従って、このインパルス化信号を用いることにより、部位間信号到達時間を正確に測定することが可能となるため、配管の漏洩箇所の判定を精度よく且つ容易に行うことができる。
本発明の配管漏洩箇所判定方法においては、前記第1時間計測ステップにおいて、前記測定信号を、機械的振動として受信することも可能である。
本構成の配管漏洩箇所判定方法では、測定信号を機械的振動すなわち音波として受信しているので、比較的廉価な装置構成とすることができる。そして、そのような音波の波形を解析することにより、信頼性の高い判定結果を得ることができる。
本発明の配管漏洩箇所判定方法においては、前記第1時間計測ステップにおいて、前記測定信号は、前記第1部位および前記第2部位の一方側に設置した送信手段から他方側に設置した受信手段に送信され、前記送信手段と前記受信手段とを無線接続することも可能である。
本構成の配管漏洩箇所判定方法では、送信手段と受信手段との配線が不要になるので、計測装置を簡略化することができる。従って、配管が長い場合や配管の形状が複雑な場合であっても、配線の煩わしさがないので円滑に計測作業を進めることができる。
本発明に係る配管長測定方法の特徴構成は、配管の第1部位と第2部位との間の距離を測定する配管長測定方法であって、前記第1部位および前記第2部位の一方側から送信したチャープ波を含む測定信号を他方側で受信し、前記チャープ波を含む測定信号をパルス圧縮処理して部位間信号到達時間を計測する第1時間計測ステップと、前記部位間信号到達時間に前記チャープ波を含む測定信号の伝搬速度を乗じる演算ステップとを包含する点にある。
本構成の配管長測定方法では、第1部位および第2部位の一方側から送信したチャープ波を含む測定信号を他方側で受信し、このチャープ波を含む測定信号をパルス圧縮処理して部位間信号到達時間を計測し、さらにこの部位間信号到達時間にチャープ波を含む測定信号の伝搬速度を乗じて配管長を求めている。ここで、チャープ波を含む測定信号は、パルス圧縮処理すると明確なインパルス化信号に変換することができる。従って、このインパルス化信号を用いることにより、配管長をより正確且つ容易に測定することが可能となる。
本発明の配管長測定方法においては、前記第1時間計測ステップにおいて、前記チャープ波を含む測定信号を、機械的振動として受信することも可能である。
本構成の配管長測定方法では、チャープ波を含む測定信号を機械的振動すなわち音波として受信しているので、比較的廉価な装置構成とすることができる。そして、そのような音波の波形を解析することにより、信頼性の高い測定結果を得ることができる。
本発明の配管長測定方法においては、前記第1時間計測ステップにおいて、前記測定信号は、前記第1部位および前記第2部位の一方側に設置した送信手段から他方側に設置した受信手段に送信され、前記送信手段と前記受信手段とを無線接続することも可能である。
本構成の配管長測定方法では、送信手段と受信手段との配線が不要になるので、計測装置を簡略化することができる。従って、配管が長い場合や配管の形状が複雑な場合であっても、配線の煩わしさがないので円滑に計測作業を進めることができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、本発明は以下の実施の形態および図面に記載される構成に限定されるものではない。
図1は、漏洩箇所を有する配管を例示した模式図である。この配管では、第1分岐配管1が、第1接続部位であるサービスバルブ6を介して主配管10に接続されている。また、第2分岐配管2が、第2接続部位であるサービスバルブ7を介して主配管10に接続されて構成されている。主配管10は、例えば土中に埋設されており、第1分岐配管1と第2分岐配管2との間のある箇所Pからガスが漏洩しているものとする。また、主配管10における第1分岐配管1と第2分岐配管2との間の配管長dは分かっていないものとする。
このように本実施形態では、漏洩箇所Pは主配管10に存在しているが、これは一例を示したものであり、漏洩箇所Pは第1分岐配管1または第2分岐配管2に存在していてもよい。すなわち、本発明は、第1分岐配管1と第2分岐配管2とが主配管10に接続された配管系に存在する漏洩箇所Pを判定するものであり、漏洩箇所Pが配管系のいずれの部分に属するかに関わらず、その判定が可能である。
また、漏洩箇所Pは一箇所だけ存在する場合に限られず、複数箇所存在している場合においても、本発明を適用することができる。例えば、漏洩箇所Pが、主配管10に複数箇所存在する場合、主配管10および第1分岐配管1(または第2分岐配管2)に一箇所ずつ存在する場合、あるいは、第1分岐配管1(または第2分岐配管2)に複数箇所存在する場合などにおいても、それぞれの漏洩箇所Pの判定は可能である。これは、各漏洩箇所Pからの漏洩音は全く同一の波形となることは殆どないので、それらを識別することにより別個の測定結果を得ることができるからである。
第1分岐配管1には、第1部位としてのメータM1の接続部11が設けられており、メータM1の接続部11にはマイクロホン3が取り付けられている。また、第2分岐配管2には、第2部位としてのメータM2の接続部12が設けられており、メータM2の接続部12にはマイクロホン4が取り付けられている。マイクロホン3およびマイクロホン4は、それぞれ漏洩箇所Pからの漏洩音を検知することができる。各マイクロホン3,4で検知された漏洩音はコンピュータCに送信され、そのコンピュータCにおいて2つの漏洩音の波形のずれを解析することにより、漏洩箇所PからメータM1の接続部11への漏洩音到達時間T1と漏洩箇所PからメータM2の接続部12への漏洩音到達時間T2との差である漏洩音到達時間差(T1−T2)が演算により求められる。これを時間差計測ステップとする。
また、本実施形態では、メータM1の接続部11またはメータM2の接続部12のいずれか一方において、マイクロホンを設置した位置と略同じ位置にスピーカ5が設置されている。図1では、一例として、メータM1の接続部11にマイクロホン3と共にスピーカ5が設置されている。このスピーカ5からは、漏洩箇所Pからの漏洩音とは異なる波形の測定信号を発信することができる。この測定信号は第1分岐配管1、主配管10、第2分岐配管2を通って、メータM2の接続部12に設けたマイクロホン4で受信される。そして、コンピュータCは、スピーカ5で測定信号を発信してからマイクロホン4でその測定信号を受信するまでの到達時間を、部位間信号到達時間(T3)として計測することができる。これを第1時間計測ステップとする。なお、マイクロホン3または4で受信される測定信号は、機械的振動である音波として受信されるものであるが、このような機械的振動を受信するものとすれば、比較的廉価な装置構成とすることができる。また、音波の波形を解析することにより、信頼性の高い判定結果を得ることができる。
部位間信号到達時間(T3)の具体的な計測方法の具体例としては、次のようなものが挙げられる、例えば、受信手段であるマイクロホン3,4と送信手段であるスピーカ5とを無線接続しておき、スピーカ5から発信する測定信号の発信時刻に関する情報をマイクロホン3,4に送信し、マイクロホン3,4で受信した情報をコンピュータCが解析する方法である。このような方法であれば、マイクロホン3,4とスピーカ5との配線が不要となるので、計測装置を簡略化することができる。従って、配管が長い場合や配管の形状が複雑な場合であっても、配線の煩わしさがないので円滑に計測作業を進めることができる。
また、マイクロホン3,4およびスピーカ5にそれぞれクロック手段を設けておき、スピーカ5からの測定信号の発信時刻およびマイクロホン3,4における測定信号の受信時刻をコンピュータCがそれぞれカウントして解析を行う方法も有効である。このような方法であれば、各クロック手段を同期させておくことで、より正確な時刻の測定が可能となるため、計測の精度および信頼性が向上する。また、クロックの作動中は連続して信号の計測が可能であるので、仮に一回の計測に失敗しても直ちに次の計測を実施することができるので、作業効率が向上する。
先の時間差計測ステップで求めた漏洩音到達時間差(T1−T2)と、第1時間計測ステップで求めた部位間信号到達時間(T3)とから、漏洩箇所Pの位置を判定することが可能となる。具体的には、コンピュータCが、部位間信号到達時間(T3)に信号伝搬速度vを乗ずることで配管長dを求め、この配管長dを漏洩音到達時間差(T1−T2)に適合するように配分して、漏洩箇所Pの位置を判定することができる。これを判定ステップとする。
このように、本実施形態では、第1分岐配管1のメータM1の接続部11において受音した漏洩箇所からの漏洩音と第2分岐配管のメータM2の接続部12において受音した漏洩箇所からの漏洩音とから演算して求めた漏洩音到達時間差(T1−T2)に加えて、メータM1の接続部11およびメータM2の接続部12の一方側から送信した測定信号を他方側で受信するまでの時間である部位間信号到達時間(T3)を計測し、この漏洩音到達時間差(T1−T2)と部位間信号到達時間(T3)とに基づいて、主配管10の漏洩箇所Pを判定することができる。そして、部位間信号到達時間(T3)は、漏洩信号を受信する部位(マイクロホン)と同一の部位であるメータM1の接続部11またはメータM2の接続部12からスピーカ5により測定信号を入射することによって求めることができるので、測定信号を入射するための接続部位を、例えば主配管10に新たに設ける必要がなくなり、より簡便に配管の漏洩箇所Pを判定することが可能となる。また、マイクロホンの設置箇所と略同じ場所にスピーカ5を設置し、測定信号を入射することができるので、主配管10の埋設状態等によって、測定信号入射用に新たに接続部位を設けることが困難な場合であっても、容易に主配管10の漏洩箇所Pの判定を行うことができる。
なお、上記第2ステップで計測した配管長dに関連する部位間信号到達時間(T3)は、実際には第1分岐配管1の長さおよび第2分岐配管2の長さを含んだメータM1の接続部11とメータM2の接続部12との間の距離を反映したものである。しかし、漏洩箇所Pの位置は、配管長Pを漏洩音到達時間差(T1−T2)に適合するように配分して求めるものであるので、第1分岐配管1および第2分岐配管2の長さに比べて主配管10の配管長dが十分に大きい場合は、第1分岐配管1および第2分岐配管2の長さを無視することができる。
一方、第1分岐配管1および第2分岐配管2の長さが配管長dに比べて無視できない場合、あるいは漏洩箇所Pの位置の特定をより正確に行いたい場合等では、上記の時間差計測ステップ、および第1時間計測ステップに加えて、コンピュータCが、メータM1の接続部11および第1分岐配管1のサービスバルブ6の一方側から送信した測定信号を他方側で受信するまでの時間(例えば、メータM1の接続部11から送信した信号をサービスバルブ6で受信するまでの時間)である第1分岐配管信号到達時間(T4)を計測する第2時間計測ステップを行い、判定ステップにおいて、漏洩箇所Pの位置の特定を、漏洩音到達時間差(T1−T2)、部位間信号到達時間(T3)、および第1分岐配管信号到達時間(T4)に基づいて行うことができる。ここで、第1分岐配管信号到達時間(T4)に信号伝搬速度vを乗ずると第1分岐配管1の長さを求めることができるので、サービスバルブ6の位置を原点として、主配管10の漏洩箇所Pの位置を特定することができるようになる。そうすると、第1分岐配管1の長さに関係なく、より正確な漏洩箇所Pの位置特定が可能となる。
このように、本実施形態では、メータM1の接続部11および第1分岐配管1のサービスバルブ6の一方側から送信した測定信号を他方側で受信するまでの時間である第1分岐配管信号到達時間(T4)を計測し、第1分岐配管1の長さを求めている。これにより、主配管10の配管長dを求めるに際し、第1分岐配管1の長さによる主配管10の配管長の測定誤差を無くすことができるので、漏洩箇所Pをより正確に特定することが可能となる。
なお、メータM2の接続部12と第2分岐配管2のサービスバルブ7との間で測定信号の送受信を行い、第2分岐配管2の配管長を求めて、サービスバルブ7の位置を原点として、主配管10の漏洩箇所Pの位置を判定することも勿論可能である。
また、その他の態様としては、第1分岐配管1の第1部位および第2分岐配管2の第2部位を、それぞれ分岐配管に設置されたメータ(例えば、メータの検圧孔)とし、両メータ間で主配管10の漏洩箇所Pを判定する方法、第1分岐配管1の第1部位および第2分岐配管2の第2部位の一方をメータの接続部とし、他方を分岐配管の主配管10への接続部位に設けられたサービスバルブとし、メータの接続部とサービスバルブとの間で主配管10の漏洩箇所Pを判定する方法などを実施することも可能である。
主配管10の漏洩箇所Pが、第1分岐配管1と第2分岐配管2との間の領域より外側にある場合は、漏洩箇所Pの位置の特定はできないが、漏洩箇所Pが第1分岐配管1と第2分岐配管2との間に存在しないという判定をすることができる。これは、漏洩箇所Pが、第1分岐配管1または第2分岐配管2が主配管10に接続する接続部位に存在すると推定されることにより確認することができる。
本発明の配管漏洩箇所判定方法を実施する際には、測定信号としてチャープ波を使用することが好ましい。チャープ波とは、周波数が時間的に変化する波形であり、例えば、時間引伸ばしパルス(Time−Stretched Pulse)波(TSP波)である。図2(a)にチャープ波の一例として、周波数成分が500HzからDCまで連続的に変化するTSP波を示している。チャープ波を検査信号として使用する利点としては、検査信号のインパルス化がより簡便になり、これにより、主配管または分岐配管の配管長の測定をより正確且つ容易にすることができるという点が挙げられる。そしてこの結果、漏洩箇所の特定も一層確実に行うことが可能になる。
例として、図2(b)に、図2(a)に示したTSP波をインパルス化したインパルス波形を示す。ハンマーの打撃音などの一般の音波は帯域が狭いためにパルス圧縮処理を行ってもインパルス化は困難であるが、チャープ波は帯域が広いためにインパルス化が可能であり、さらにチャープ波は信号のS/N比が低くてもインパルス化が可能であるので、本発明に用いる検査信号として好適である。
インパルス化したデータについては、図3のように、例えばインパルス強度がゼロと交わる地点(ゼロ交差)oがそれぞれ求められ、そのゼロ交差oからそれぞれのチャープ波の受信時間を求めることができる。インパルス強度が最大となる地点(ピーク値)p、またはインパルス強度がある閾値を超える閾値通過地点sから、それぞれのチャープ波の受信時間を求めてもよい。これらのチャープ波の受信時間を用いると、より正確な部位間信号到達時間(T3)、および第1分岐配管信号到達時間(T4)を求めることが可能となる。
特に、配管長を測定したい場合は、上記部位間信号到達時間(T3)が用いられる。具体的には、配管に接続された第1分岐配管(第1部位)1と第2分岐配管(第2部位)2との間の距離を配管長として測定する。まず第1ステップとして、第1部位および第2部位の一方側から送信したチャープ波を含む測定信号を他方側で受信し、このチャープ波を含む測定信号をパルス圧縮処理して部位間信号到達時間(T3’)を計測する。これを第1時間計測ステップとする。次に第2ステップとして、前記部位間信号到達時間(T3’)にチャープ波を含む測定信号の伝搬速度vを乗じる。これを演算ステップとする。ここで、チャープ波を含む測定信号の伝搬速度vは、音波がメタン中を伝搬する速度(すなわち、音速)である。具体的には以下の式:
v=430m/s(0℃での音速)+0.62m/s×X℃(計測時の温度)
から求めることができる。
v=430m/s(0℃での音速)+0.62m/s×X℃(計測時の温度)
から求めることができる。
以上の第1時間計測ステップ(第1ステップ)および演算ステップ(第2ステップ)をそれぞれ実行することにより、配管長をより正確且つ容易に測定することが可能となる。このような、チャープ波を含む測定信号をパルス圧縮処理して正確な配管長を求める方法は、例えば、次のような場面において大きな利点がある。
埋設配管等は、経年劣化により腐食が起こり易くなる場合があるため、それを防止するために配管内面をコーティングする必要が生じる。ところが、配管が地中に埋設されていたり、壁中に埋め込まれていたりすると、作業者はその配管長を把握できない場合があり、コーティングに必要な樹脂量を見積もることができない。しかし、本発明の配管長測定方法により予め配管長を測定しておけば、求めた配管長から配管内面をコーティングする樹脂量を予測することが可能となり、作業の効率化および歩留まりの向上を達成することができる。
1 第1分岐配管
2 第2分岐配管
3,4 マイクロホン
5 スピーカ
6,7 サービスバルブ
10 主配管
11,12 接続部
M1,M2 メータ
P 漏洩箇所
2 第2分岐配管
3,4 マイクロホン
5 スピーカ
6,7 サービスバルブ
10 主配管
11,12 接続部
M1,M2 メータ
P 漏洩箇所
Claims (11)
- 第1分岐配管と第2分岐配管とが主配管に接続された配管系に存在する漏洩箇所を判定する配管漏洩箇所判定方法であって、
前記第1分岐配管の第1部位において受音した前記漏洩箇所からの漏洩音と前記第2分岐配管の第2部位において受音した前記漏洩箇所からの漏洩音とを受信して、前記漏洩箇所から前記第1部位への前記漏洩音の到達時間と前記漏洩箇所から前記第2部位への前記漏洩音の到達時間との差である漏洩音到達時間差を計測する時間差計測ステップと、
前記第1部位および前記第2部位の一方側から送信した測定信号を他方側で受信するまでの時間である部位間信号到達時間を計測する第1時間計測ステップと、
前記漏洩音到達時間差と前記部位間信号到達時間とに基づいて、前記漏洩箇所を判定する判定ステップと
を包含する配管漏洩箇所判定方法。 - 前記第1部位および前記第2部位が分岐配管に設置されたメータの接続部である請求項1に記載の配管漏洩箇所判定方法。
- 前記第1部位および前記第2部位の一方が分岐配管に設置されたメータの接続部であり、他方が分岐配管の前記主配管への接続部位に設けられたサービスバルブである請求項1に記載の配管漏洩箇所判定方法。
- 前記第1部位および前記第1分岐配管の前記主配管への第1接続部位の一方側から送信した測定信号を他方側で受信するまでの時間である第1分岐配管信号到達時間を計測する第2時間計測ステップを包含し、
前記判定ステップにおいて、前記漏洩音到達時間差、前記部位間信号到達時間、および前記第1分岐配管信号到達時間に基づいて、前記第1接続部位に対する前記漏洩箇所の位置を特定する請求項1に記載の配管漏洩箇所判定方法。 - 前記測定信号はチャープ波を含む請求項1〜4のいずれか一項に記載の配管漏洩箇所判定方法。
- 前記第1時間計測ステップにおいて、前記第1部位および前記第2部位の一方側から送信した前記チャープ波を含む測定信号を他方側で受信し、このチャープ波を含む測定信号をパルス圧縮処理して部位間信号到達時間を計測する請求項5に記載の配管漏洩箇所判定方法。
- 前記第1時間計測ステップにおいて、前記測定信号は、機械的振動として受信される請求項1〜6のいずれか一項に記載の配管漏洩箇所判定方法。
- 前記第1時間計測ステップにおいて、前記測定信号は、前記第1部位および前記第2部位の一方側に設置した送信手段から他方側に設置した受信手段に送信され、前記送信手段と前記受信手段とは無線接続されている請求項1〜7のいずれか一項に記載の配管漏洩箇所判定方法。
- 配管の第1部位と第2部位との間の距離を測定する配管長測定方法であって、
前記第1部位および前記第2部位の一方側から送信したチャープ波を含む測定信号を他方側で受信し、前記チャープ波を含む測定信号をパルス圧縮処理して部位間信号到達時間を計測する第1時間計測ステップと、
前記部位間信号到達時間に前記チャープ波を含む測定信号の伝搬速度を乗じる演算ステップと
を包含する配管長測定方法。 - 前記第1時間計測ステップにおいて、前記チャープ波を含む測定信号は、機械的振動として受信される請求項9に記載の配管長測定方法。
- 前記第1時間計測ステップにおいて、前記チャープ波を含む測定信号は、前記第1部位および前記第2部位の一方側に設置した送信手段から他方側に設置した受信手段に送信され、前記送信手段と前記受信手段とは無線接続されている請求項9または10に記載の配管長測定方法。
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---|---|---|---|
JP2005074910A JP2005308724A (ja) | 2004-03-22 | 2005-03-16 | 配管漏洩箇所判定方法および配管長測定方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2012002697A (ja) * | 2010-06-17 | 2012-01-05 | Tokyo Gas Co Ltd | 音波式漏洩位置検知装置 |
JP2020101394A (ja) * | 2018-12-20 | 2020-07-02 | 日本電気株式会社 | 漏洩検出システム及び漏洩検出方法 |
-
2005
- 2005-03-16 JP JP2005074910A patent/JP2005308724A/ja active Pending
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