JP2005306439A - 浮屋根式貯槽および浮屋根 - Google Patents

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Abstract

【課題】大型地震等により大きな震動が加わったときの被害が小さくて済むと共に被害の拡大を防止できる浮屋根式貯槽および浮屋根を提供する。
【解決手段】有底筒体状に形成された貯槽胴部2と、該貯槽胴部2に内接し貯留液自体によって支えられる浮屋根とを備える浮屋根式貯槽1であって、貯槽胴部2を楕円筒型に形成する。地震等により長周期地震動Sが加わったとき、反射波S2は入力波S1の経路から「ズレ」た経路を進むため、従来のような貯留液の共振現象を著しく緩和することができる。また浮屋根をその中空部に貯留液に不溶または難溶な独立気泡型樹脂発泡体を充填した構成とする。浮屋根が損傷を受けたときでも、少なくとも一定の期間、浮力を保ち続けることができるので沈没を防止できる。
【選択図】図4

Description

本発明は、浮屋根式貯槽および浮屋根に関する。より詳しくは、大型地震等により大きな震動が加わったときの被害が小さくて済むと共に被害の拡大を防止できる浮屋根式貯槽および浮屋根に関する。
原油、重油等の貯留手段として浮屋根式貯槽が知られている。浮屋根式貯槽は、有底筒体状に形成された貯槽胴部と、該貯槽胴部に内接し貯留液自体によって支えられる浮屋根とを備える。図5は従来の浮屋根式貯槽5の正面断面図、図6は従来の浮屋根7の正面断面図、図7は浮屋根式貯槽5における貯留液の共振現象を説明する図である。
図5に示すように、浮屋根式貯槽5は貯槽胴部6と浮屋根7とを備え、貯槽胴部6は垂直円筒型に形成されている。図7に示すように、浮屋根7は金属製デッキ板71を主構成要素としている。金属製デッキ板71の内部には中空部72が形成され、中空部72内に溜まった空気により浮力を得ている。浮屋根7は、貯留液の液面に落し蓋のような形で浮かぶことで貯留液の気化を防いでいる。
従来の浮屋根式貯槽5には次の問題がある。すなわち、大型地震等により大きな震動が貯槽胴部6に加わった場合、貯留液が溢流したり、貯槽胴部6または浮屋根7が損傷/破壊したりすることがある。これは、後述するように、上記震動により副次的に発生する長周期地震動Sに、貯留液が共振することによる。浮屋根7が損傷を受けた場合、浮屋根7は浮力を失って沈没することがある。これらはいずれも大災害を引き起こす要因となる。以下、この内容について詳しく述べる。
図7において、大型地震等により浮屋根式貯槽5の壁面61に長周期地震動Sが加わったとき、貯留液に生じた波は、貯留液中を伝わり、まず円の中心に対して反対側の壁面62に当たる。次に壁面62で反射して、入力位置である壁面61に戻る。このように入力波と反射波とが同じ経路を伝わる。これは、貯槽胴部6が円筒型であるため、長周期地震動Sの入力方向に関わらず、入力波と反射波との位相差が180度となるからである。
反射波が戻ったときに、次の長周期地震動Sが入力位置の壁61に加わると、更に力を増した波が出るという現象が起きる。これにより波は次第に力を増していく。反射波がちょうど戻ったときに、次の長周期地震動Sが来るタイミングとなる近傍の波長に、貯留液が共振するという現象である。ブランコで1漕ぎする毎に上がる高さが増していく現象に類似している。
大きなエネルギ−を持つ長周期地震動Sが貯槽胴部6に加えられ、且つ貯留液がそれに共振する固有振動数を持つ領域となる貯槽形状を呈していると、共振により貯留液は次第に激しく波打ち、浮屋根7を大きく揺動させる。
浮屋根7の揺動が大きくなると、貯留液は貯槽胴部6と浮屋根7との隙間から浮屋根式貯槽5外部に溢れ出す。
貯留液や浮屋根7の揺動が発生した場合には、貯槽胴部6と浮屋根7との衝突、または貯留液の揺動による静電気の発生により、着火源となる火花が発生する。貯留液が例えば石油類等の可燃性液体の場合には大火災が発生する。
浮屋根7が損傷し、中空部72と外気との間に通ずる穴や亀裂ができると、貯留液が浮屋根7の中空部72に侵入し、浮屋根7の見かけの比重が貯留液の比重よりも大きくなる。この時点で浮屋根7は浮力を失い沈没してしまい、貯留液が大気に対して完全に暴露された状態となる。貯留液が可燃性液体である場合、または有毒物である場合、または強臭物である場合においては、大火災その他甚大な人的被害を与える。
浮屋根7の損傷は、上のような場合に限らず、強風時や工事時などにおける飛来物によっても生じ、浮屋根7の沈没、貯留液の暴露、およびそれらによる甚大な被害を引き起こす。浮屋根式タンクに関し地震への対策を目的とした発明はいくつか開示されている。例えば下記文献に記載のものがある。この発明は、デッキ板と貯油タンクとの間に伸縮可能なポツーンを設けて、貯油の揺動時にシール部材を守ることにより、金属部同士の衝突による火花を発生させないというものであり、衝突時の衝撃を緩和することにより火災を防止できる。しかし大型地震等により大きな震動が加わったときには、浮屋根は大きく揺動し被害および被害の拡大は十分起こり得る。
特公平6−10022号公報
上に述べた共振は1つだけの波で生じるものではない。地震で発生する長周期地震動の場合には本体地震波の続く時間よりもかなり長く、一般には5分以上続く。且つ、この間に、周波数が徐々に長波長側に移行していき、その貯槽毎の固有振動数に近い領域における繰り返しの震動波に貯留液が共振し、エネルギーを蓄積した大きな波を生ずる。
この固有振動数は、貯留液の性状により異なるが、例えば水に近い性状である場合には、直径が20m径の貯槽では1サイクル/5秒、40m径の貯槽では1サイクル/7秒、80m径の貯槽では1サイクル/11秒程度の長周期地震動に対して共振が発生すると言われる。この長周期地震動の波長別強度分布は、地震のケ−ス毎に異なるものの、マグニチュ−ドが7.5を超える大型地震で発生する長周期地震動は、強度分布の差はあっても1サイクル/1〜15秒程度のほぼ全域の波長が含まれる。従って、比較的小型の貯槽から超大型の貯槽まで、多かれ少なかれ、長周期地震動との共振が発生し、分布上強度の強い領域の長周期地震動に共振する径を持つ貯槽で特に重大な破損が発生する。
大きなエネルギ−を持つ長周期地震動が発生するケ−スの典型は地震である。至近な例では、西暦2003年9月26日に発生した平成十勝沖地震の際に苫小牧地域において長周期地震動が発生し、石油会社苫小牧精油所の貯槽2基が大火災を発生した。これは、苫小牧近傍が頑強なすり鉢型の地盤上に軟弱な土砂が堆積した地層を形成しており、十勝沖で発生した短周期波の地震動が頑強な地盤部に反射して軟弱土砂部を行きつ戻りつすることにより、1サイクル/秒〜1サイクル/15秒程度の長周期地震動を形成し、それに共鳴する固有振動数を持つ貯槽において貯留液の溢流、貯槽胴部の損傷、浮屋根中空部への貯留液の侵入を引き起こして、大火災に至ったものである。
またこの地震による型の長周期地震動は、1964年の新潟地震、1983年の日本海中部地震等においても発生し、本体地震波より減衰し難いことから、日本海中部地震の際には、遠隔で震度が低かった東京においても超高層ビルのエレベ−タ管制ケ−ブルを切断させたとの報告もある。
この苫小牧の様な地層を形成している地帯は、日本国内に非常に多く、最も大規模なものが関東平野、また名古屋、大阪等、日本国内における大コンビナ−ト、石油精製工場や石油等の備蓄設備を持つ地域であり、これらの地域は、今世紀前半には間違いなく発生するといわれるマグニチュ−ド8を超える連動型の東海地震・東南海地震・南海地震の発生時には大きな長周期地震動の発生と、苫小牧と同様な超大型貯槽の大火災が非常に多数同時発生することが強く懸念されている。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、大型地震等により大きな震動が加わったときの被害が小さくて済むと共に被害の拡大を防止できる浮屋根式貯槽および浮屋根の提供を目的とする。
上述の課題を解決するため、請求項1の発明は、有底筒体状に形成された貯槽胴部2と、該貯槽胴部2に内接し貯留液自体によって支えられる浮屋根3とを備える浮屋根式貯槽1であって、前記貯槽胴部2は楕円筒型に形成されてなる。
請求項1の発明によると、浮屋根式貯槽1は、貯槽胴部2が楕円筒型に形成されているため、地震等により長周期地震動Sが加わったときでも、従来における円筒型の貯槽胴部6の場合と異なり、入力波S1と反射波S2との位相差が180度とならない。反射波S2は元の入力位置には戻らず、散乱していく。従って、この場合には、波が相互に衝突し干渉し合って力を失っていく。このように、反射波S2は入力波S1の経路から「ズレ」た経路を進むため、従来のような貯留液の共振現象を著しく緩和することができる。これにより貯留液の溢流、浮屋根3と貯槽胴部2との激しい衝突を防止できる。なお、ここで言う楕円とは、真楕円だけではなく、実質的に楕円型をしているもの全てを含める。
請求項2の発明は、前記貯槽胴部2の楕円部における長軸/短軸の比率が1.1以上5.0以下である。請求項2の発明によると、共振現象を緩和する効果を更に増すことができる。
請求項3の発明では、前記貯槽胴部2は、上端部の短軸2端間等対角位置の1ケ所、または複数ケ所を、楕円中心部を通る補強部材4によって牽引固定されてなる。請求項3の発明によると、貯槽胴部2の短軸方向の強度が補強できる。
請求項4の発明は、有底筒体状に形成された貯槽胴部2を備える浮屋根式貯槽1に用いる浮屋根3であって、内部に中空部32を形成し前記貯槽胴部2の内周面に内接するデッキ板31と、前記中空部32に充填され貯留液に不溶または難溶な独立気泡型樹脂発泡体33とを備える。請求項4の発明によると、浮屋根3が損傷を受けたときでも、少なくとも一定の期間、浮力を保ち続けることができるので、沈没を防止できる。この発明は、従来の円筒胴型の浮屋根式貯槽6においても効果を奏する。
請求項5の発明では、前記独立気泡型樹脂発泡体33は、発泡倍率が5以上50以下の独立気泡型ポリプロピレン発泡体である。なお発泡倍率とは、発泡前の容積に対する発泡後の容積の比率のことである。
請求項6の発明では、前記独立気泡型樹脂発泡体33は、発泡倍率が5以上50以下の独立気泡型ポリエチレン発泡体である。
請求項7の発明では、前記独立気泡型樹脂発砲体33は、発泡倍率が5以上50以下の独立気泡型ポリエチレン発泡体と、発泡倍率が5以上50以下の独立気泡型ポリエチレン発泡体との複合体である。請求項5から請求項7の発明によると、請求項4の発明が安価に実現できる。
請求項8の発明は、有底筒体状に形成された貯槽胴部2と、該貯槽胴部2に内接し貯留液自体によって支えられる浮屋根3とを備える浮屋根式貯槽1であって、前記貯槽胴部2は、楕円筒型に形成され、楕円部における長軸/短軸の比率が1.1以上5.0以下であり、上端部の短軸2端間等対角位置の1ケ所、または複数ケ所を、楕円中心部を通る補強部材4によって牽引固定され、前記浮屋根3は、内部に中空部32を形成し前記貯槽胴部2の内周面に内接するデッキ板31と、前記中空部32に充填され貯留液に不溶または難溶な独立気泡型樹脂発泡体33とを備える。
本発明によると、大型地震等により大きな震動が加わったときの被害が小さくて済むと共に被害の拡大を防止できる浮屋根式貯槽および浮屋根が提供される。
請求項1の発明によると、従来のような貯留液の共振現象を著しく緩和できる。これにより貯留液の溢流、浮屋根と貯槽胴部との激しい衝突を防止できる。
請求項2の発明によると、共振現象を緩和する効果を更に増すことができる。
請求項3の発明によると、貯槽胴部の短軸方向の強度が補強できる。
請求項4の発明によると、浮屋根の沈没を防止できる。
請求項5から請求項7の発明によると、請求項4の発明が安価に実現できる。
図1は本発明に係る浮屋根式貯槽1の正面断面図、図2は浮屋根式貯槽1の平面図、図3は浮屋根3の正面断面図、図4は浮屋根式貯槽1の作用を説明する図である。
図1および図2に示すように、浮屋根式貯槽1は、貯槽胴部2、浮屋根3および補強部材4を備える。浮屋根式貯槽1において、貯槽胴部2は楕円筒型に形成されている。楕円部における長軸/短軸の比率は1.2以上2.5以下である。貯槽胴部2は、上端部の短軸2端間等対角位置の2ケ所が、それぞれ楕円中心部を通る2本の補強部材4a、4bによって牽引固定されている。補強部材4は、金属製ロープ、金属製棒、またはそれらを連結した部材などであり、牽引固定には張力調整部材が用いられる。
図3に示すように、浮屋根3は、金属製デッキ板31およびシール部材(図示せず)などを備える。金属製デッキ板31は内部に中空部32を形成するように製作されており、中空部32には独立気泡型樹脂発泡体33が充填されている。独立気泡型樹脂発泡体33は、具体的には、発泡倍率が5以上50以下の独立気泡型ポリプロピレン発泡体、発泡倍率が5以上50以下の独立気泡型ポリエチレン発泡体、または前者発泡体と後者発泡体との複合体である。
次に、図4を参照して、上のように構成された浮屋根式貯槽1の作用について説明する。
浮屋根式貯槽1は、貯槽胴部2が楕円筒型に形成されているため、地震等により貯槽胴部2に長周期地震動Sが加わったときでも、従来における円筒型の貯槽胴部6の場合と異なり、入力波S1と反射波S2との位相差が180度とならない。反射波S2は元の入力位置には戻らず、散乱していく。従って、この場合には、波が相互に衝突し干渉し合って力を失っていく。このように、反射波S2は入力波S1の経路から「ズレ」た経路を進むため、従来のような共振現象を著しく緩和できる。
貯槽胴部2の楕円部における長軸/短軸比率は、円の1.0に対して、少しでも大きくなると位相のズレ効果は出る。その効果は1.1程度でも期待できるが、顕著となるのは1.2以上である。なお、上記比率が余り大きくなると、特に長周期地震動Sの入力方向が長軸に近い場合に効果が減少する。また、この比率の増加に従い貯槽胴部2の必要強度を上げる必要があるので、5以下、好ましくは2.5以下が良い。
浮屋根式貯槽1において、エネルギーの蓄積および共振の緩和はできるが、貯留液に発生する波を皆無とすることはできない。浮屋根式貯槽1では、波の高さは長周期地震動の入力方向によって異なるが、長軸の両端部において最大となる確率が高い。従来の浮屋根式貯槽5と比較した場合、共振が緩和される上に、波高が高くなる位置が、長軸の両端部の2地点に限られるので、既存技術による漏洩防止等の対策が採り易くなる。
本発明における共振緩和の効果は、星形を含む多角形筒胴型の貯槽でも得られるが、この場合には、側壁部に角があるため、液深による力に対しての強度上から、貯槽胴部における板厚を厚くする必要がある。また浮屋根の形状の複雑化とその作動性の不良化が懸念される上に、本発明において論ずる長周期地震動S等による衝撃での破断を却って生じ易いので得策ではない。
浮屋根式貯槽1において、長周期地震動Sの方向と浮屋根式貯槽1の長軸または短軸方向とが完全に一致した場合には共振を緩和できない。しかしその確率は非常に小さく、特に地震対応を念頭に置いた場合には、その設置地域において懸念される巨大地震と、その発生時の長周期地震動の発生地盤とを考慮した方向から、長短軸を外した設置方向とすることにより、緩和できない確率を実質的にゼロに近づけることができる。
強度、板厚という観点からは、従来の円筒胴型の浮屋根式タンク5が最も強い。楕円筒胴型はそれに準ずる強さではあるが、特に短軸方向で弱いので、補強部材4により短軸方向の補強をしている。更に、貯槽胴部2の上端部等をリング状の補強部材で補強したり、短軸部等の側面において垂直H型鋼材等による側面の高さ方向に対する補強等も既存技術を用いて合わせて実施することが望ましい。
浮屋根3は、中空部32に独立気泡型樹脂発泡体33が充填されているため、金属デッキ板31に亀裂や穴等の損傷を受けたときでも、少なくとも一定の期間、浮力を保ち続けることができる。このため沈没を防止できる。上記損傷時において、中空部32への貯留液の浸透は、ある程度は生じるが、基本的には独立気泡型樹脂発泡体33の容積分については浸透が防止でき、損傷時直下での沈没は避けられる。少なくとも、損傷の有無を点検し、損傷を受けた貯槽の貯留液を順次抜き出す期間は十分に確保できる。なお、独立気泡型樹脂発泡体33を充填する浮屋根3の中空部32を、複数セクションに、好ましくは8セクション以上に分割しておくと、例えば、1つのセクションに貯留液が侵入した場合でも他のセクションには侵入しないというようにできるため、より一層効果を増すことができる。
上の効果が期待できる発泡体は、独立気泡型であることが必要であり、スポンジ状の連続気泡の類では効果は期待できない。独立気泡型の発泡体は、一例として、ト−レペフ(登録商標)がある。これにはポリプロピレン系とポリエチレン系があり、共に、架橋反応を施された発泡体である。前者はインテリアパネルやドアトリム等の自動車内装用途等に、後者は化粧品や食品等瓶詰めの蓋のパッキン、電気製品、屋根や壁の保温材、玩具、風呂用マット、その他諸々の製品に使用されている。
これらは基材、架橋度、メ−カ−、グレ−ドによっても異なるが、一般的には、発泡倍率の上昇に伴って気泡間の肉厚が薄くなるため、35倍を超えた辺りから一部の気泡同士に繋がりが生じ、50倍辺りではかなりの比率で連続気泡的となり製造し難くなる上に、本発明の目的にはそぐわなくなる。逆に、発泡倍率が低くなると浮力への寄与効果が低くなり、浮屋根への充填容積を増大させる必要があるので、発泡倍率は、少なくとも5以上、好ましくは20以上で選択する。
これらの発泡体には、難燃グレ−ドもある。本発明の浮屋根3の場合は、金属製デッキ板31により完全に密封された内部への充填物ではあるが、貯留液が可燃性液体の貯槽への使用としては難燃グレ−ドを用いることが好ましい。
架橋型ポリオレフィンの類は、石油類との接触によりある程度の軟化現象が生じ、その程度は、貯留液の種類によっても異なるが、一般的には、金属製デッキ板31の損傷、中空部32への貯留液の侵入、または貯留液と独立気泡型樹脂発泡体33との接触が起こった場合でも、比較的軽度の穴あき、亀裂発生の程度であれば、次の年次点検迄、損傷の程度が大きい場合でも少なくとも被害に合った貯槽群の順次点検や貯留液抜き出し処理の間は、浮力を失わない程度の気泡保持は十分に可能である。
製作時において、中空部32への独立気泡型樹脂発泡体33の充填は、一般的にはシ−ト状の発泡体をカットし、積み重ね、並べて充填する。なお、これらは相互に張り合わせたり、少なくとも点付けで融着、または接着したりすることが好ましいが、必須ではない。
設計時において、中空部3の容量、および独立気泡型樹脂発泡体33の必要充填量を計算するに際しては、発泡体の気泡内ガスの種類および密度を考慮する必要がある。発泡方法により、窒素ガス系、炭酸ガス系、その他の種類があるので、気泡内ガスと空気との比重差を考慮することと、気泡内のガスは、温度により膨張/収縮をするので発泡倍率は一定ではない。従って、発泡体の見かけ密度をその貯槽の最低使用温度において測定して設計する必要がある。更に、発泡体内の気泡の形状は製造直後から1週間〜10日間の間に少し変わる。
製造時には発泡時の力を受け、少し楕円球的形状で仕上がるが、製造後に時間が経つに連れて、気泡相互に最も安定する形状に落ち着いていくことに因る。また、基材、架橋度、メ−カー、グレ−ドによっても異なるが、気泡径は均一ではなく分布を持ち、この分布によっても密度の定常化までの時間が異なる。ポリオレフィン系独立気泡型樹脂発泡体の製造法には、大きく分けてソルト発泡法と熱風発泡法との2者があるが、一般に熱風発泡法の場合には、幅方向での気泡径分布のムラも大きく密度の定常化までの時間も長いので、充填後に縦横比の狂いが生じる懸念もあり、本発明の用途には均質な性状を持つソルト発泡法製の類が適している。
以上の通り、設計の基礎とする密度は、製造後、定められた時間後の室温での測定値であるカタログ値ではなく、最低使用温度での密度を定常化期間を置いた後に測定し求める必要がある。これは、ポリオレフィン系に限らず、他の独立気泡型発泡樹脂系においても同様である。また、密に充填しても微小な空間はあり得、そこには浮屋根の金属板が損傷を受けた場合には貯留液が侵入するとの前提で計算する必要がある。
更に、発泡体は弾力性があり、充填時の力で一部は圧縮されて密度が高くなること等を配慮して、充填容量としては計算値に対して、少なくとも10%以上の安全率を見ることが好ましい。
上の実施形態において、浮屋根式貯槽1および浮屋根3の全体または各部の構成、構造、材質、個数などは、本発明の趣旨に沿って適宜変更することができる。
本発明に係る浮屋根式貯槽の正面断面図である。 浮屋根式貯槽の平面図である。 浮屋根の正面断面図である。 浮屋根式貯槽の作用を説明する図である。 従来の浮屋根式貯槽の正面断面図である。 浮屋根式貯槽の平面図である。 浮屋根式貯槽における貯留液の共振現象を説明する図である。
符号の説明
1 浮屋根式貯槽
2 貯槽胴部
3 浮屋根
4 補強部材
31 金属製デッキ板(デッキ板)
32 中空部
33 独立気泡型樹脂発泡体

Claims (8)

  1. 有底筒体状に形成された貯槽胴部と、該貯槽胴部に内接し貯留液自体によって支えられる浮屋根とを備える浮屋根式貯槽であって、前記貯槽胴部は楕円筒型に形成されてなることを特徴とする浮屋根式貯槽。
  2. 前記貯槽胴部の楕円部における長軸/短軸の比率が1.1以上5.0以下である、請求項1記載の浮屋根式貯槽。
  3. 前記貯槽胴部は、上端部の短軸2端間等対角位置の1ケ所、または複数ケ所を、楕円中心部を通る補強部材によって牽引固定されてなる、請求項1または請求項2記載の浮屋根式貯槽。
  4. 有底筒体状に形成された貯槽胴部を備える浮屋根式貯槽に用いる浮屋根であって、内部に中空部を形成し前記貯槽胴部の内周面に内接するデッキ板と、前記中空部に充填され貯留液に不溶または難溶な独立気泡型樹脂発泡体とを備えることを特徴とする浮屋根。
  5. 前記独立気泡型樹脂発泡体は、発泡倍率が5以上50以下の独立気泡型ポリプロピレン発泡体である、請求項4記載の浮屋根。
  6. 前記独立気泡型樹脂発泡体は、発泡倍率が5以上50以下の独立気泡型ポリエチレン発泡体である、請求項4記載の浮屋根。
  7. 前記独立気泡型樹脂発砲体は、発泡倍率が5以上50以下の独立気泡型ポリエチレン発泡体と、発泡倍率が5以上50以下の独立気泡型ポリエチレン発泡体との複合体である、請求項4記載の浮屋根。
  8. 有底筒体状に形成された貯槽胴部と、該貯槽胴部に内接し貯留液自体によって支えられる浮屋根3とを備える浮屋根式貯槽であって、前記貯槽胴部は、楕円筒型に形成され、楕円部における長軸/短軸の比率が1.1以上5.0以下であり、上端部の短軸2端間等対角位置の1ケ所、または複数ケ所を、楕円中心部を通る補強部材によって牽引固定され、前記浮屋根は、内部に中空部を形成し前記貯槽胴部の内周面に内接するデッキ板と、前記中空部に充填され貯留液に不溶または難溶な独立気泡型樹脂発泡体とを備えてなることを特徴とする浮屋根式貯槽。

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