JP2005304496A - 食道癌の検出方法、および、抗食道癌物質のスクリーニング方法 - Google Patents
食道癌の検出方法、および、抗食道癌物質のスクリーニング方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2005304496A JP2005304496A JP2005081239A JP2005081239A JP2005304496A JP 2005304496 A JP2005304496 A JP 2005304496A JP 2005081239 A JP2005081239 A JP 2005081239A JP 2005081239 A JP2005081239 A JP 2005081239A JP 2005304496 A JP2005304496 A JP 2005304496A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- gene
- human lrp1b
- human
- lrp1b gene
- esophageal cancer
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Images
Landscapes
- Investigating Or Analysing Biological Materials (AREA)
- Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)
Abstract
【解決手段】食道細胞におけるヒトLRP1B遺伝子の発現の不活性化(ヒトLRP1B遺伝子の欠失、当該遺伝子のCpGアイランドのメチル化、または、ヒストンH4蛋白質のアセチル化の抑制、に起因する)を指標として当該食道細胞の癌化を検出ことにより、上記の課題を解決し得ることを見いだした。また、本発明は、ヒトLRP1B遺伝子のCpGアイランドのメチル化、または、ヒストンH4蛋白質のアセチル化の抑制、に起因してヒトLRP1B遺伝子の発現が抑制されている食道癌細胞株を用いる、抗腫瘍物質のスクリーニング方法を提供する発明である。
【選択図】 なし
Description
genes in the 1q32 amplicon. Japanese Journal of Cancer Research, 91, 1126-1133,
2000; Yang,Z.Q., Imoto,I., Fukuda,Y., Pimkhaokham,A., Imamura,M., Sugano,S., Nakamura,Y., & Inazawa J.: Identification of a novel gene, GASC1, within an amplicon at 9p23-24 frequently detected in esophageal cancer cell lines, Cancer Research, 60, 4735-4739, 2000; Imoto,I., Yang, X.Q., Pimkhaokham,A., Tsuda,H., Shimada,Y., Imamura,M., Ohki,M. & Inazawa,J: Identification of cIAP1 as a candidate target gene within an amplicon at 11q22 in esophageal squamous cell carcinomas, Cancer Research, 61, 6629-6634, 2001; Imoto,I., Yuki,Y., Sonoda,I., Ito,T., Shimada,Y., Imamura,M. & Inazawa J.: Identification of ZASC1 encoding a Kruppel-like zinc finger protein as a novel target for 3q26 amplification in esophageal squamous cell carcinomas, Cancer Research, 63, 5691-5696, 2003)。
抑制遺伝子の欠失が報告されているが、特定の遺伝子の欠失の同定は、ポジショナルクローニング等の通常の方法を用いた場合、大変な時間と労力がかかり、目的とする遺伝子を見出すことは困難である。また、上記のCGH法においても、5−10Mbより小さいサイズのゲノムDNAの欠失は、通常のメタフェーズクロモソームを用いた方法では検出が困難であった(Bentz, M., Plesch, A., Stilgenbauer, S., Dohner, H. & Lichter, P.: Minimal sizes of deletions detected by comparative genomic hybridization, Genes Chromosomes Cancer, 21, 172-175, 1998; Kirchhoff, M., Gerdes, T., Maahr, J., Rose, H., Bentz, M., Dohner, H. & Lundsteen, C.: Deletions below 10 megabasepairs are detected in comparative genomic hybridization by standard reference intervas, Genes Chromosomes Cancer, 25, 410-413, 1999)。例えば、DPC4/SMAD4、RB1、PTEN、p16-INK4A、RASSF1等の癌抑制遺伝子は、染色体のマッピング法によりホモ接合体欠失領域を狭めて行き、最終的に目的とする癌抑制遺伝子が同定された。
i, Y., Obermoeller-McCormick,L.M., Schwartz,A.L. & Bu,G. : The putative tumor suppressor LRP1B, a novel member of the low density lipoprotein (LDL) receptor family, exhibits both overlapping and distinct properties with the LDL receptor-related protein, J. Biol. Chem., 276, 28889-28896, 2001 )。しかしながら、このヒトLRP1B遺伝子が、ヒト食道癌発症に関わる重要な癌抑制遺伝子であることは未だ知られていない。
上述したように、本検出方法は、食道細胞におけるヒトLRP1B遺伝子の不活性化を検出することを特徴とする方法である。
このヒトLRP1B遺伝子の欠失の検出を直接的に行うことができる代表的方法として、CGH(Comparative Genomic Hybridization)法とFISH法[蛍光in situ ハイブリダイゼーション(FISH: Fluorescence in situ hybridization):Yasui,K., Imoto,I., Fukuda,Y., Pimkahaokham,A., Yang,Z.Q., Naruto,T., Shimada,Y., Nakamura,Y., and Inazawa : Identification of target genes within an amplicon at 14q12-q13 in esophageal squamous cell carcinoma. Genes Chromosomes Cancer, 32, 112-118, 2001]を挙げることができる。この態様の本検出方法は、ヒトLRP1B遺伝子を有するBAC(Bacterial Artificial Chromosome )DNA、YAC(Yeast Artificial Chromosome)DNAまたはPAC(Phage Artificial Chromosome )DNA(以下、BAC DNA等ともいう)を標識し、FISHを行うと、ヒトLRP1B遺伝子の欠失部分を検出することができる。具体的に、ヒトLRP1B遺伝子を有するBAC DNAとしては、RP11-4C8、RP11-498P13、RP11-82P18、RP11-538A7、RP11-257N13、RP11-159P15、RP11-769M2、RP11-532L9、RP11-161A24、RP11-279M2、RP11-493I5、RP11-662P10、RP11-20E15、RP11-164E7、RP11-51L13、RP11-114B24、RP11-493I5等を挙げることができる。
この態様の方法は、ヒトLRP1B遺伝子(ゲノムDNA)を基とする、ポリヌクレオチド量またはヒトLRP1B蛋白質量を定量し、この定量値を指標にして、ヒトLRP1B遺伝子の発現の低下を検出することができる。上記ポリヌクレオチドとしては、ヒトLRP1B遺伝子から転写されたmRNA、これを鋳型として得られるcDNAを挙げることができる。
CpGリッチプロモーター並びにエキソン領域を密にメチル化すると転写不活化がおこることが報告されている(Bird, A.P. & Wolffe, A.P.: Methylation-induced repression-belts, braces, and chromatin, Cell 99, 451-454, 1999)。癌細胞では、CpGアイランドはそれ以外の領域と比較すると高い頻度で密にメチル化されており、プロモーター領域のHypermethylationは、ヒト癌での癌抑制遺伝子の不活化に深く関与している(Ehrlich,
M., Jiang, G., Fiala, E., Dome, J.S., Yu, M.C., Long, T.I., Youn, B., Sohn, O.S., Widschwendter, M., Tomlinson, G.E., Chintagumpala, M., Champagne, M., Parham,
D., Liang, G., Malik, K. & Laird, P.W.: Hypomethylation and hypermethylation of
DNA in Wilms tumors, Oncogene, 21, 6694-6702, 2002)。
ヒストン蛋白質の修飾がDNAのメチル化によって誘起される遺伝子発現の抑制に関与していることが知られている(Cameron, E.E., Bachman, K.E., Myohanen,S., Herman, J.G. & Baylin, S.B.: Synergy of demethylation and histone deacetylase inhibition in
the re-expression of genes silenced in cancer, Nat. Genet., 21, 103-107, 1999; Nguyen, C.T., Gonzales, F.A., & Jones, P.A.: Altered chromatin structure associated with methylation-induced gene silencing in cancer cells: correlation of accessibility, methylation, MeCP2 binding and acetylation, Nucleic Acids Res., 29, 4598-4606, 2001)。
る場合には、当該検体細胞における当該遺伝子の抑制要因は、CpGアイランドのメチル化であり、検体提供者に、脱メチル化作用を有する薬剤を投与することにより、相応の抗腫瘍効果が期待される。また、検体細胞にアセチル化促進剤を作用させて、ヒトLRP1B遺伝子の発現量が回復する場合には、当該検体細胞における当該遺伝子の抑制要因は、ヒストン4B蛋白質におけるアセチル化の抑制であり、検体提供者に、アセチル化促進作用を有する薬剤を投与することにより、相応の抗腫瘍効果が期待される。また、これらの両者の反応が認められる場合には、検体細胞におけるヒトLRP1B遺伝子の発現量の抑制原因は、上記のメチル化と、アセチル化の抑制にあると結論づけられ、脱メチル化剤とアセチル化促進剤の両者を投与することにより、相応の抗腫瘍効果が期待される。
上述したように、食道癌に関しては、ヒトLRP1B遺伝子の不活性化が大きな要因となっており、当該遺伝子の働きを正常化する薬剤は、食道癌に対する抗腫瘍剤として用いることが可能であると考えられる。
、好適にはリアルタイムRT-PCR法により、mRNAとして検出する)と、添加後の当該遺伝子の発現量を、好適には経時的に定量し、定量前後の当該遺伝子の発現量の差を、当該被験物質を添加せずに同条件で培養された対照培養物と比較して、対照培養物よりも、当該被験物質を添加した培養物における当該遺伝子の発現量が増加している場合には、当該被験物質は、1)メチル化癌細胞株を用いた試験においては「ヒトLRP1B遺伝子のCpGアイランドの脱メチル化によりヒトLRP1B遺伝子を活性化させることができる抗腫瘍物質」(本スクリーニング方法1)として選別され、2)脱アセチル化癌細胞株を用いた試験においては「ヒストンH4蛋白質のアセチル化の促進によりヒトLRP1B遺伝子を活性化させることができる抗腫瘍物質」(本スクリーニング方法2)、として選別される。
National Cancer for Biotechnology及びUniversity of California Santa Cruz Biotechnologyのゲノムデータベースウエブサイト並びに選択されたDNAのBLAST検索の結果から癌化並びに癌細胞の増殖に極めて重要な遺伝子或いはSequence Tagged Siteマーカーを有する800種類のBAC/PACクローンを選択した。
食道癌での新規なホモ接合体欠失を検出するために、44種類の食道癌細胞から調製したゲノムDNAを用いて、実施例1のCGFアレイを使用したCGHアレイ解析を行った。
食道癌細胞において、ヒトLRP1B遺伝子のうち高頻度で欠失している領域である、ヒトLRP1B遺伝子エキソン8-9とヒトLRP1B遺伝子の3’末端に近いエキソン91-92の配列から各々2種類のプライマーを設計し、両領域に由来するmRNAをRT-PCR法で検出した。
Bエクソン8-9並びにエクソン91-92の発現を示している。図1Bに星印で表示したホモ接合体欠失を示す細胞種に同様に星印をつけた。ホモ接合体欠失を示さない38細胞種の中で14細胞種(TE-1, -5, -8, -9, -11及びKYSE30, 150, 170, 770, 790, 960, 1250, 2400, 2650)について、ヒトLRP1B mRNA発現が頻度36.8%で消失していた。]。この頻度は36.8%であった。従って、ヒトLRP1B mRNAを検出できない理由はゲノム上での遺伝子欠失に加えて他のメカニズムが考えられるので、さらにその検討を行った。
CpGアイランドのメチル化は遺伝子発現を抑制するメカニズムの1つである。ヒトLRP1B遺伝子のCpGアイランドをCpGPLOTを用いて解析した結果、ヒトLRP1B遺伝子のエキソン1の3’側一部とイントロン1の5’側を含む828bp断片を同定した。本領域中のCpG部位並びにCpG部位が密集して存在するCpGアイランドを表示した[図2A:ヒトLRP1B遺伝子のエクソン1とイントロン1を含む828bpから成るCpGアイランドの図解マップである。エクソン1を白抜きボックスで表示し、転写開始点を+1で示した。矢印は転写開始方向を示す。CpGアイランドはCpGPLOT(http://www.ebi.ac.uk/emboss/cpgplot/)により同定し、黒塗りバーで表示し、その拡大図にCpGの位置を縦線で示した。CpGアイランドはヒトLRP1B遺伝子の+718から+1545までから構成される。プロモーターアッセイにより解析した領域(Region1から5まで)、Bisulfite-PCR解析を行った領域、Bisulfiteシーケンスを行った領域を水平の線で示した。]。
これまで、食道癌細胞でヒトLRP1B遺伝子CpGアイランドのメチル化を解析してきたが、実際に食道癌組織でも同様な現象が起こっているかどうかを検討した。その結果、プライマリー食道癌34例中5例で、ヒトLRP1B遺伝子CpGアイランドのメチル化が起こっていることが判明した[図2Eは、プライマリー食道癌のヒトLRP1B遺伝子CpGアイランドをメチレーション感受性酵素TaqIで消化後のBisulfite-PCRによる解析を示している。Mはメチル化されたCpGアイランドを鋳型に用いた時に得られるバンドを示し、%はメチル化されたパーセントを表示した。]。その頻度は14.7%である。樹立した食道癌細胞と比較すると癌組織では、ヒトLRP1B遺伝子CpGアイランドのメチル化の頻度が低いが、これは本解析では
ある程度の量のDNAを必要とするために、正常細胞が癌細胞試料に混入してしまうことがあげられる。以上の結果より、ヒトLRP1B遺伝子CpGアイランドのメチル化による、ヒトLRP1B遺伝子の不活化は食道細胞の癌化に重要な役割を示すと推定される。
食道癌細胞でヒトLRP1B遺伝子CpGアイランドを脱メチル化したときのヒトLRP1B遺伝子発現を検討した。具体的には、食道癌細胞をメチル転移酵素阻害剤である各種濃度の5-aza-dC存在下で5日間処理したときのヒトLRP1B mRNA誘導能を測定した。その結果、ヒトLRP1B遺伝子欠失はないがヒトLRP1B mRNAが検出されない細胞では5-aza-dC処理を行なうことにより、ヒトLRP1B mRNA誘導能が見出された。ヒトLRP1B遺伝子のホモ接合体欠失を伴う細胞では、同様な処理でヒトLRP1B mRNA誘導能は検出されなかった[図2Fは、5-aza-dC存在下並びに不在下での食道癌細胞におけるヒトLRP1B遺伝子発現解析を示している。ヒトLRP1B遺伝子エクソン8-9を増幅するための2種類の特異的プライマーを用いてRT-PCRを行い、電気泳動の結果得られたバンドを示した。GAPDHは内部標準として使用した。鋳型に使用したゲノムはホモ接合体欠失の認められないヒトLRP1B遺伝子を発現しない細胞種(KYSE170, 770, 790, 960 & TE-1, -5, -8, -11)とホモ接合体欠失の検出された細胞種(TE-6)を5-aza-dC存在下並びに不在下で5日間培養した後に調製した。]。
CpGアイランドのメチル化に伴う遺伝子発現抑制はゲノムの染色体構造を変化させることに起因することが明らかになってきた。同様にゲノムと相互作用するヒストン蛋白質の低アセチル化もゲノム構造を変化させ、遺伝子発現に影響を与える。今回、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤であるトリコスタチンA(TSA)とメチル基転移酵素阻害剤である5-aza-dCを用いてCpGメチル化とヒストンアセチル化の関連を検討した。
細胞抽出液をアセチル化ヒストンH4に対する抗体を用いたクロマチンChIPアッセイによる免疫沈降で得られたヒトLRP1B遺伝子の密にメチル化された領域(図2D)をPCRで増幅し検出した。免疫沈降前の試料をPCRにより増幅(Inputと表示)し、免疫沈降後の結果と比較した。さらに、免疫沈降後のDNAにおいて、GAPDH遺伝子の5’末端領域を増幅し、対照に用いた。得られたバンドをデンシトメーターでスキャンしLRP1Bバンドの値とGAPDHバンドの値の比を下欄に表示した。]。KYSE170細胞を、5-aza-dC、TSA、或いは5-aza-dC+TSA存在下でインキュベーションをし、ChIPアッセイにより、ヒトLRP1B遺伝子のCpGアイランドのヒストンアセチル化の度合いをモニタリングしたところ、TSA+5-aza-dCは相乗的にヒストンアセチル化を増強させることが判明した[図2Iは、食道癌細胞におけるヒトLRP1B遺伝子CpGアイランドにおけるヒストンH4蛋白質のアセチル化に及ぼす5-aza-dCとTSA処理の影響を示している。KTSE170細胞を5-aza-dC存在下で5日間、TSA存在下或いは5-aza-dCとTSA共存下で12時間培養した。図2Hと同様にアセチル化ヒストンH4に対する抗体を用いて免疫沈降を行った後にPCRを行い、アセチル化ヒストンのアセチル化度をモニタリングした。ChIP-PCRにより得られたバンドをデンシトメーターで定量し、ヒトLRP1B遺伝子から算出された値とGAPDH遺伝子から算出された値の比を下図に示した。培養時のTSAと5-aza-dC存在の有無を+、−で表示した。]。従って、ヒトLRP1B遺伝子CpGアイランドのヒストンアセチル化の度合いは、直接ヒトLRP1B mRNAの発現と正の相関を示しており、逆に本アイランドのメチル化の度合いは、ヒトLRP1B mRNAの発現と不の相関を示すことが明らかとなった。
食道細胞の癌化における、ヒトLRP1B遺伝子の役割をさらに明らかにするために、本遺伝子発現を回復したときに、食道癌細胞の増殖が抑制されるかどうかを検討した。まず、ヒトLRP1B遺伝子のFLAGタッグミニリセプターを発現するプラスミド(pBICEP-CMV-2-mLRP1B)を構築した。これは全長を有するヒトLRP1B遺伝子の役割をモニタリングするために使用できる。本プラスミドは、RT-PCRにより増幅したヒトLRP1B cDNAをpBICEP-CMV-2発現ベクター(Sigma, MO, USA)にFLAGエピトープと翻訳フレームが合うように挿入して作成した。対照として、ヒトLRP1B遺伝子を挿入しない空ベクター(pBICEP-CMV2-mock)を使用した。これらの発現プラスミドを、トランスフェクション試薬であるFuGENE6(Roche Diagnostics、東京)と混合し、TE-8細胞並びにKYSE170細胞をトランスフェクションした。3週間後にネオマイシン系薬剤であるG418存在下で増殖する細胞を70%エタノールで固定し、クリスタルバイオレットで染色することによりカウントした。その結果、空ベクターでトランスフェクションした細胞と比較してpBICEP-CMV-2-mLRP1Bでトランスフェクションした細胞は顕著にコロニー数が減少した[図3は、食道癌細胞の増殖に及ぼすヒトLRP1B遺伝子発現回復の影響を示した図面である。(AとB):FLAGタッグLRP1Bのミニリセプターを有する発現プラスミド(pBICEP−CMV−2−mLRP1B)及び空ベクター(pBICEP-CMV-2-mock)を用いてKYSE170細胞(A)及びTE-8細胞(B)をトランスフェクションした。両細胞はヒトLRP1B遺伝子のCpGアイランドがメチル化されているために、ヒトLRP1B遺伝子発現が検出されない。トランスフェクションを行いG-415存在下で3週間培養後、6ウエルプレートに形成されたコロニーをミニリセプター発現プラスミド(mLRP1Bと表示)と空ベクター(Mockと表示)を使用した場合とを比較して図示した。ヒトLRP1B遺伝子が導入されることにより、形成されるコロニー数は激減した。(CとD):KYSE170細胞(C)とTE-8細胞(D)で生成したコロニー数の定量の結果を示している。上記AとBの実験で形成されたコロニー数をカウントしその結果を棒グラフで示した。2mmより大きいコロニーをカウントし、3回の実験結果を平均値±SEで表示した。]。対照として空ベクターをトランスフェクションしたTE-8細胞は生成したコロニー数がKYSE170細胞より著しく低いが、これは前者ではヒトLRP1B遺伝子発現が抑制されていることを反映している。この結果は明らかにヒトLRP1B遺伝子発現が、食道癌細胞の増殖を抑制することを示しており、癌抑制遺伝子として機能していると推定される。
Claims (10)
- 食道細胞におけるヒトLRP1B遺伝子の不活性化を検出することにより、当該食道細胞の癌化を検出する、食道癌の検出方法。
- 前記遺伝子が、ゲノムDNA、cDNA、または、mRNAである、請求の範囲第1項記載の遺伝子の検出方法。
- ヒトLRP1B遺伝子の不活性化が、当該遺伝子の欠失による不活性化である、請求の範囲第1または2項記載の食道癌の検出方法。
- ヒトLRP1B遺伝子の欠失が、当該遺伝子のホモ接合体欠失である、請求の範囲第3項記載の食道癌の検出方法。
- ヒトLRP1B遺伝子の不活性化が、当該遺伝子のCpGアイランドのメチル化による不活性化である、請求の範囲第1項または第2項記載の食道癌の検出方法。
- ヒトLRP1B遺伝子の不活性化が、ヒストン4B蛋白質のアセチル化の度合いの低下による不活性化である、請求の範囲第1項または第2項記載の食道癌の検出方法。
- ヒトLRP1B遺伝子の不活性化の検出方法において、検体中の当該遺伝子を、DNAチップ法、サザンブロット法、ノーザンブロット法、リアルタイムRT-PCR法、FISH法、または、CGH法を用いて検出する、請求の範囲第1項〜第6項のいずれかに記載の遺伝子の検出方法。
- ヒトLRP1B遺伝子のCpGアイランドのメチル化に起因してヒトLRP1B遺伝子の発現が抑制されている食道癌細胞株、に対して被験物質を接触させて、ヒトLRP1B遺伝子の発現を検出し、当該遺伝子発現が当該被験物質を接触させない系よりも増加していた場合に、当該被験物質を、ヒトLRP1B遺伝子のCpGアイランドの脱メチル化によりヒトLRP1B遺伝子を活性化させることができる抗腫瘍物質として選別する、物質のスクリーニング方法。
- ヒストンH4蛋白質のアセチル化の抑制に起因してヒトLRP1B遺伝子の発現が抑制されている食道癌細胞株、に対して被験物質を接触させて、ヒトLRP1B遺伝子の発現を検出し、当該遺伝子発現が当該被験物質を接触させない系よりも増加していた場合に、当該被験物質を、ヒストンH4蛋白質のアセチル化の促進によりヒトLRP1B遺伝子を活性化させることができる抗腫瘍物質として選別する、物質のスクリーニング方法。
- ヒトLRP1B遺伝子の発現を、リアルタイムRT-PCR法によりmRNA量として検出する、請求の範囲第8項または第9項記載の物質のスクリーニング方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005081239A JP4740621B2 (ja) | 2004-03-23 | 2005-03-22 | 食道癌の検出方法、および、抗食道癌物質のスクリーニング方法 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004084795 | 2004-03-23 | ||
JP2004084795 | 2004-03-23 | ||
JP2005081239A JP4740621B2 (ja) | 2004-03-23 | 2005-03-22 | 食道癌の検出方法、および、抗食道癌物質のスクリーニング方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2005304496A true JP2005304496A (ja) | 2005-11-04 |
JP4740621B2 JP4740621B2 (ja) | 2011-08-03 |
Family
ID=35433962
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2005081239A Expired - Fee Related JP4740621B2 (ja) | 2004-03-23 | 2005-03-22 | 食道癌の検出方法、および、抗食道癌物質のスクリーニング方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4740621B2 (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP2045266A1 (en) * | 2007-10-02 | 2009-04-08 | INSERM (Institut National de la Santé et de la Recherche Médicale) | Methods for treating and diagnosing a cancer secreting cath-D or Alzheimer's disease. |
EP2147124A1 (en) * | 2007-04-11 | 2010-01-27 | Manel Esteller | Epigenetic biomarkers for early detection, therapeutic effectiveness, and relapse monitoring of cancer |
US9090942B2 (en) | 2009-03-25 | 2015-07-28 | Fujifilm Corporation | Method for detecting esophageal carcinoma and agent for suppressing esophageal carcinoma |
-
2005
- 2005-03-22 JP JP2005081239A patent/JP4740621B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP2147124A1 (en) * | 2007-04-11 | 2010-01-27 | Manel Esteller | Epigenetic biomarkers for early detection, therapeutic effectiveness, and relapse monitoring of cancer |
EP2147124A4 (en) * | 2007-04-11 | 2010-07-14 | Manuel Esteller | EPIGENETIC BIOMARKERS FOR EARLY DETECTION, EFFICIENT TREATMENT AND RETENTION OF CANCER |
EP2045266A1 (en) * | 2007-10-02 | 2009-04-08 | INSERM (Institut National de la Santé et de la Recherche Médicale) | Methods for treating and diagnosing a cancer secreting cath-D or Alzheimer's disease. |
US9090942B2 (en) | 2009-03-25 | 2015-07-28 | Fujifilm Corporation | Method for detecting esophageal carcinoma and agent for suppressing esophageal carcinoma |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP4740621B2 (ja) | 2011-08-03 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
Sonoda et al. | Frequent silencing of low density lipoprotein receptor-related protein 1B (LRP1B) expression by genetic and epigenetic mechanisms in esophageal squamous cell carcinoma | |
US8785614B2 (en) | Aberrantly methylated genes in pancreatic cancer | |
Nakaya et al. | Identification of homozygous deletions of tumor suppressor gene FAT in oral cancer using CGH-array | |
US20080221056A1 (en) | Early Detection and Prognosis of Colon Cancers | |
JP3522690B2 (ja) | GST−Pi遺伝子のメチル化のアッセイ | |
JP2009539404A (ja) | 大腸癌の早期検出および予後のためのメチル化マーカー | |
Izumi et al. | Frequent silencing of DBC1 is by genetic or epigenetic mechanisms in non-small cell lung cancers | |
EP1997911A2 (en) | Method for detecting oral squamous-cell carcinoma and method for suppressing the same | |
Okamura et al. | Identification of the bleomycin hydrolase gene as a methylated tumor suppressor gene in hepatocellular carcinoma using a novel triple-combination array method | |
Melnikov et al. | Array-based multiplex analysis of DNA methylation in breast cancer tissues | |
JP4740621B2 (ja) | 食道癌の検出方法、および、抗食道癌物質のスクリーニング方法 | |
JP2009165473A (ja) | 癌 | |
JPH04500751A (ja) | 網膜芽腫の素地の検出法と網膜芽腫遺伝子プローブを用いた腫瘍中の網膜芽腫遺伝子欠陥を検出する方法 | |
US20080085867A1 (en) | Early detection and prognosis of colon cancers | |
KR20110118230A (ko) | 자궁경부암 진단용 메틸화 마커 | |
Wang et al. | Loss of YAP1 C‐terminus expression as an ancillary marker for metaplastic thymoma: a potential pitfall in detecting YAP1:: MAML2 gene rearrangement | |
JP2010088406A (ja) | 癌患者の外科的手術後の治療選択方法及び予後診断 | |
JP5044837B2 (ja) | 食道癌の検出方法 | |
US8143003B2 (en) | Method for detecting oral squamous-cell carcinoma | |
US20090054245A1 (en) | Method for detecting gastric cancer by detecting VLDLR gene | |
JP4426549B2 (ja) | 新規遺伝子acmg1のメチル化を指標とする胃癌の診断方法 | |
JP2013013415A (ja) | 卵巣癌の検出方法、及び抑制方法 | |
Liu | Association of Tissue Promoter Methylation Levels of APC, RASSF1A, CYP26A1 and TBX15 with Prostate Cancer Progression | |
Saramäki | Gene copy number alterations in prostate cancer | |
Reed | Role of Promoter Methylation in the Regulation of ABCB1 Gene Expression in Anthracycline-resistant and Taxane-resistant Breast Tumour Cells |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20080214 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20110208 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20110407 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20110426 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20110502 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140513 Year of fee payment: 3 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |