JP2005298696A - 蛍光体粉末製造方法、蛍光体粉末及び可視波長光発光デバイス - Google Patents

蛍光体粉末製造方法、蛍光体粉末及び可視波長光発光デバイス Download PDF

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Abstract

【課題】蛍光体の発光強度ならびに発光効率を向上させる。
【解決手段】蛍光体7a及び7bの粒径を20μm以下とし、さらに粒径が2μm以下の粒子の割合を10%以下とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、主に照明を用途とする発光デバイスに関し、特に、これに実装される蛍光体粉末の発光効率を改善するための蛍光体粉末の製造方法、発光効率が改善された蛍光体粉末、発光効率が改善された発光デバイスに関する。
従来から、青色等の短波長で発光する青色発光ダイオード素子と、この青色発光ダイオード素子から発せられた光の一部または全部を吸収することにより励起され、より長波長の黄色等の蛍光を発する蛍光物質とを用いた白色発光ダイオードが存在する。
上記の白色発光ダイオードの一例としては、化合物半導体青色発光ダイオード素子と、青色光を吸収し青色の補色である黄色の蛍光を発するセリウムで賦活されたイットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体とからなる白色発光ダイオードが挙げられる(例えば、特許文献1参照)。
次に、図9を参照しつつ従来の発光ダイオードの構成について説明する。
従来の発光ダイオード101は、リードワイヤ102及び103、青色の光を発する発光ダイオード素子(青色発光ダイオード素子)104、ボンディングワイヤ105、粉末状であり、それぞれの粒径が異なる蛍光体7a、7b及び7c(以下、適宜これらを“蛍光体7”と総称する)、樹脂106及び108からなり、リードワイヤ102及び103の下部は外部に露出している。
また、発光素子104の近傍は樹脂106により封止され、この樹脂6中に蛍光体7が分散されており、これにあたっては、蛍光体7の粒径分布を適切なものとする必要がある。
蛍光体粉末は、一般に、その粒径が大であるものが発光効率に優れている。つまり、蛍光体の表面には内部より発光効率が劣る層(低効率層)があり、粒径が小である場合、高い電圧では電子線が低効率層を通過する回数が増加し、これにより発光効率を確保できなくなる(例えば、非特許文献1参照)。
また、その一方、粒径が大である粒子は塗布性に劣る。
したがって、上記の発光効率と塗布性とを考慮した結果、蛍光ランプ用のアルミン酸塩系蛍光体やY23:Eu3+では、3μm前後、ハロりん酸カルシウムでは8μm前後のものが用いられている。
また、ブラウン管用蛍光体では、粒径5〜7μm程度のものが用いられている。
また、白色発光ダイオード用の蛍光体においても、その粒径についての検討がなされており、発光物質顔料(蛍光体)の粒径が20μm以下、且つd50値が5μm以下であることが望ましく、さらにはd50値が1μmから2μmであることが最も望ましいとされている(例えば、特許文献2参照)。
なお、上記のd50値とは、全粉体の個数又は質量の内の50%を占める粒子の粒径を指す。
特許第2927279号公報 特許第3364229号公報 蛍光体同学会「蛍光体ハンドブック」昭和62年、172〜173頁。(英語版:Phosphor Research Society, "PHOSPHOR HANDBOOK", CRC Press, Washington D.C., ISBN 0-8493-7560-6, pp.328-329.)
しかしながら、上記のような白色発光ダイオードには以下に示すような解決すべき課題が存在する。
白色発光ダイオードは、環境に配慮した水銀フリーランプの一種であり、また、長寿命であるため電球交換が不要となり、これにより照明機器をメンテナンスフリーにできることなどの利点から次世代照明用光源の中核になりうるとして期待がかけられている。
現在、すでに十分な発光強度と高い発光効率を有する白色発光ダイオード照明機器が数多く製品化されているが、より一層の用途拡大ならびに省エネルギー化を目指し、さらなる発光強度向上ならびに発光効率向上が急務となっている。
このためには、青色発光ダイオード素子の特性向上の検討のみならず、蛍光体の波長変換効率改善や実装設計の改善による光の取り出し効率の向上の検討が不可欠であり、したがって、蛍光体粉末の粒径について検討する必要がある。
また、特許文献2においては、蛍光体の粒径が小さい場合の特性について、「特にd50値が5μm以下の発光物質顔料粉末は著しくアグロメレーション(agglomeration:凝集)作用の傾向がある」と記載されているのみであり、アグロメレーション作用以外のデメリットについては特に言及されていない。さらに、粒径の下限について言及している他の公知文献は存在しない。
しかし、本発明の特許出願人ならびに発明者は、蛍光体粉末を遊星ボールミルでさらに微細な粉末に粉砕した後に、これを用いて白色発光ダイオードを製作し、その輝度を測定したところ、蛍光体粉末の粒径がサブμmから1μm前後の微小なものとなると、これを有する白色発光ダイオードの発光強度が著しく低下するという知見を得た。
具体的には、砲弾型の白色発光ダイオードの前方にて測定された輝度がおよそ1/5にまで低下した。
このような事情に鑑み本発明は、発光強度ならびに発光効率が向上された蛍光体粉末を製造するための蛍光体粉末製造方法、発光効率が向上された蛍光体粉末、発光効率が向上された可視波長光発光デバイスを提供することを目的とする。
請求項1に記載の本発明は、粒径が所定の基準値以下の粒子のみを分級選別することにより粗大粒子を除去し、その後に、粒径が2μm以下の粒子を選択的に除去する除去工程を有することを要旨とする。
請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載の発明において、基準値が20μmであることを要旨とする。
請求項3に記載の本発明は、請求項1に記載の発明において、基準値が10μmであることを要旨とする。
請求項4に記載の本発明は、粒子の粒径が20μm以下であり、且つ粒径が2μm以下の粒子の割合が10%以下であることを要旨とする。
請求項5に記載の本発明は、粒子の粒径が10μm以下であり、且つ粒径が2μm以下の粒子の割合が10%以下であることを要旨とする。
請求項6に記載の本発明は、請求項4又は5に記載の発明において、紫外波長域あるいは可視波長域にある励起光により励起され、主たる発光波長が可視波長域にあることを要旨とする。
請求項7に記載の本発明は、少なくとも2個の電極端子と、電極端子と電気的に接続された発光素子と、発光素子から発せられた光の少なくとも一部を吸収し、可視波長域にある蛍光を発する蛍光体とを備え、蛍光体は、複数個の粒子からなり、紫外波長域又は可視波長域にある励起光により励起され、主たる発光波長が可視波長域にあり、粒子の粒径は、20μm以下であり、且つ粒径が2μm以下の粒子の割合は、10%以下であることを要旨とする。
請求項8に記載の本発明は、少なくとも2個の電極端子と、電極端子と電気的に接続された発光素子と、発光素子から発せられた光の少なくとも一部を吸収し、可視波長域にある蛍光を発する蛍光体とを備え、蛍光体は、複数個の粒子からなり、紫外波長域又は可視波長域にある励起光により励起され、主たる発光波長が可視波長域にあり、粒子の粒径は、10μm以下であり、且つ粒径が2μm以下の粒子の割合は、10%以下であることを要旨とする。
請求項9に記載の本発明は、請求項7又は8に記載の発明において、電極端子は、リードワイヤであり、発光素子は、リードワイヤの内の少なくとも1本の端部に載置され、端部及び他のリードワイヤと電気的に接続されていることを要旨とする。
請求項10に記載の本発明は、請求項7乃至9のいずれか1項に記載の発明において、発光素子は、青色発光ダイオード素子であり、蛍光体は、波長が440nm乃至470nmの青紫色光あるいは青色光を吸収し、波長が550nm乃至600nmの黄緑色光、黄色光あるいは黄赤色光を発することを要旨とする。
本発明によれば、発光強度ならびに発光効率が向上された蛍光体粉末を製造するための蛍光体粉末製造方法、発光強度ならびに発光効率が向上された蛍光体粉末、発光強度ならびに発光効率が向上された可視波長光発光デバイスを提供することが可能となる。
以下、図面を用いつつ本発明の蛍光体粉末製造方法、蛍光体粉末及び可視波長光発光デバイスについて説明する。
なお、以下の実施例においては、本発明の可視波長光発光デバイスの一例として、発光ダイオード素子を有する発光ダイオードを示すが、以下の実施例は、あくまでも本発明の説明のためのものであり、本発明の範囲を制限するものではない。したがって、当業者であれば、これらの各要素又は全要素を含んだ各種の実施例を採用することが可能であるが、これらの実施例も本発明の範囲に含まれる。
また、以下の実施例を説明するための全図において、同一の要素には同一の符号を付与し、これに関する反復説明は省略する。
蛍光体粉末の粒径がサブμmである場合に発光強度が低下する点は前述したが、これは、ボールミル粉砕により蛍光体粉末の表面状態が劣化し、励起効率が低下したことによるものと考えられる。
また、蛍光体粉末の粒径が可視光波長とほぼ同程度であることから、ミー散乱が原因であることも考えられる。
なお、上記のミー散乱とは、波長と同程度の大きさの粒子(散乱体)を含む媒質中を光が通過する際に、光の波長とエネルギーは変化せずに進行方向が変化する現象を指す。
ここで、光の粒子散乱の特徴を表す粒子散乱パラメータχは、Dを粒子の粒径、λを光の波長とすると、以下の式(1)で表される。
〔数1〕
χ=πD/λ・・・・・(1)
上記の粒子散乱パラメータχが一桁の数字である場合に、ミー散乱の散乱特性を示すとされており、可視光波長域が400〜700nmである場合に、粒子散乱パラメータχが1〜9となる粒径Dの範囲は0.13〜2.0μmである。
なお、ミー散乱を記述する式は、電磁波としての光と粒子との相互作用を電磁気学的に解いたものであり、一般の粉体分散系に適用できる(非特許文献1参照)。
ミー散乱が発生した際、励起光は蛍光体粒子の内部には侵入せず、粒子表面で反射してしまうことになり、この場合、蛍光体は波長変換材料としての機能を十分に発揮できず、また、波長変換されなかった励起光は透過するのではなしに様々な方角へ散乱される結果となる。
蛍光体による散乱について、特許文献2においては、「無機発光物質YAG:Ceは、特に、約1.84の屈折率を持つ非可溶性の色素顔量であるという特別の長所を持つ。これにより波長変換の他に分散及び散乱効果が生じ、これにより青色のダイオードビームと黄色の変換ビームとの混合が良くなる」と述べられており、散乱効果は長所である旨のみが報告されている。
しかしながら、複雑な散乱が発生した場合には、青色発光ダイオード素子から発せられ、蛍光体分散樹脂層を透過するべき青色光と、蛍光体から発せられた黄色光とが発光ダイオード外部に至るまでに非常に複雑な経路を経ることとなり、その間には各種部材による吸収等(蛍光体自身の非発光吸収も考えられる)により強度低下が発生し、最終的には光の取り出し効率低下の原因になると考えられる。
したがって、本発明においては、上記の点を解決するために、白色発光ダイオードに実装するための蛍光体粉末から粒径が所定の基準値以下の粒子のみを分級選別することにより粗大粒子を除去し、その後に、粒径が2μm以下の粒子を選択的に除去する除去工程を設ける。
また、粒径が大である粒子は、後述の樹脂中に分際する際に沈殿しやすくなるため、この樹脂中に均一に分散させることが困難となり、白色発光ダイオードを作製する際の作業容易性を確保することが困難となる。
したがって、この作業容易性を確保する必要性から、上記の基準値は、20μmであることが望ましく、さらには10μmであることがより望ましいと考えられる。つまり、粒径が10μmあるいは20μm以下の粒子のみを分級選別することにより粗大粒子を除去し、その後に、粒径が2μm以下の粒子を選択的に除去する。
また、この除去工程においては、沈殿作用・水ひ・ふるい等が用いられる。
以下に、本発明の蛍光体について説明する。なお、以下の説明においては、上記の基準値が10μmである場合を示す。
本実施例においては、第1の比較例(試料M)としての従来の蛍光体、また後述する2種類の試料(S及びL)の出発原料として、青色励起白色発光ダイオードにおいて一般的に用いられているイットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体を用意した。
なお、この蛍光体の励起ピーク波長は468nm、発光ピーク波長は563nmである。
まず、除去工程の第1段階として、この蛍光体の粒径を10μm以下に分級した。
上記のように分級された蛍光体のメジアン粒径(Median Size:粒径分布の中央値)は7.13μmである。なお、このメジアン粒径は、レーザ回折・散乱式粒度分布測定装置により測定された。
次に、除去工程の第2段階として、上記の試料Mを、試薬特級エタノール中に分散させ、沈降速度の違いを利用して粒径が大きなものと小さなものとに選別した。
なお、本実施例においては、上記の粒径が大きなものを試料L、粒径が小さなものを試料Sとした。
また、上記の試料Lが本発明の蛍光体に相当し、試料Sが第2の比較例に相当する。
図3は、レーザ回折・散乱式粒度分布測定装置により測定された試料S、M及びLの粒度分布を示す図である。
本図は、相対累積度数分布を表しており、メジアン粒径は、試料Sが6.04μm、試料Mが7.13μm、試料Lが8.34μmである。
また、上記の測定結果から算出された粒径が0.1〜2μm、つまり2μm以下の粒子の割合は、試料Sが13%、試料Mが12%、試料Lが9%である。
図4は、試料S、M及びLの粒度分布を単に度数分布で示す図である。なお、本図では、それぞれの度数がピークとなる粒径範囲を基準にして正規化したものを示す。
図示するように、試料Sは、試料M及びLと比較して粒径が小である粒子の構成比率が明らかに高い。
一方、試料Mと試料Lでは、粒径が大である粒子の構成比率の大差はなく、試料Lの分布は、試料Mから粒径が5μm以下の粒子が除去された状態を示している。
次に、図5を参照しつつ、分光蛍光光度計により測定された試料S、M及びLの発光強度について説明する。なお、励起波長は、青色発光ダイオード素子を使用することを想定して460μmとし、図示する発光強度は、試料Mの発光ピーク波長での発光強度を1として規格化した値である。
上記の測定を行った結果、試料Lは発光強度が4%向上し、試料Sでは9%低下していることが判明した。
ここで、特筆すべきことは、試料Lとは試料Mから試料Sを除去した残りだということである。換言すれば、微小な粒子を選択的に除去することのみにより、蛍光体粉末の発光効率を向上させることができることが判明した。
上記のとおり、微小な粒子を選択除去すること以外は何もしていないため、試料L中で発光に寄与している各粒子は試料Mと同じものにすぎないのであって、選択除去した微小な粒子(試料S)が発光効率あるいは発光後の外部への光の取り出し効率を低下させていることは明白である。
図1は、本発明の第1の実施例(実施例1)に係る発光ダイオード(白色発光ダイオード)1aの断面図であり、図2は、この発光ダイオード1aの斜視図である。
発光ダイオード1aは、上部が湾曲した略円筒形状、換言すれば砲弾と類似した形状を有し、電極端子としてのリードワイヤ2及び3、青色の光を発する発光ダイオード素子(青色発光ダイオード素子)4、ボンディングワイヤ5、蛍光体7a及び7b(上記の試料L)、第1の樹脂6及び第2の樹脂8からなり、リードワイヤ2及び3の下部は外部に露出している。
リードワイヤ2の上端部には、凹部が設けられ、この凹部に発光ダイオード素子(発光素子)4が載置されている。
また、この発光ダイオード素子4には、上面(ボンディングワイヤ5側の面)に1個、下面(リードワイヤ2の凹部側の面)にもう1個の電極が設けられており(共に図示せず)、上面の電極とリードワイヤ3とがボンディングワイヤ5により電気的に接続され、下面の電極とリードワイヤ2とが導電性ペーストを用いたダイボンディング等により電気的に接続されている。
また、前記の凹部を含む発光ダイオード素子4の近傍は樹脂6により封止され、この樹脂6中に蛍光体7a及び7bが分散されている。
また、上記のリードワイヤ2及び3、発光ダイオード素子4、ボンディングワイヤ5、樹脂6は、樹脂8により封止されている。
また、図示するとおり、発光ダイオード1aにおいては、図9の発光ダイオード101と異なり、上記のとおり、微小な粒子(図9の7c)が除去されている。
また、発光ダイオード素子4は、紫外波長域あるいは可視波長域にある光、つまり波長が440〜470nmの青紫色光あるいは青色光を発し、蛍光体7は、前記の光の一部を吸収し、これにより励起され、波長が550nm乃至600nmの黄緑色光、黄色光あるいは黄赤色光、つまり主たる発光波長域が可視波長域にある光を発する。
上記の光は、蛍光体7に吸収されていない青紫色光あるいは青色光と混色され、この結果、白色光が発せられる。
次に、上記の発光ダイオード1aの作製手順について説明する。
第1の工程では、一組のリードワイヤ2にある素子載置用の凹部に発光ダイオード素子4を導電性ペーストを用いてダイボンディングする。
第2の工程では、発光ダイオード素子ともう一方のリードワイヤ3とをボンディングワイヤ5でワイヤボンディングする。
第3の工程では、蛍光体7a及び7bを適度に分散させた第1の樹脂6で発光ダイオード素子4を被覆するように素子載置用の凹部にプレデップし、第1の樹脂6を硬化させる。
第4の工程では、リードワイヤ2及び3の上部、発光ダイオード素子4、第1の樹脂6を第2の樹脂8で包囲させ硬化させる。なお、この第4の工程は一般にキャスティングにより実施される。
また、リードワイヤ2及び3は、一体的に作製することが可能であり、この場合、リードワイヤ2及び3はその下部で連結された形状を有しており、このように一体的に作製されたリードワイヤを用いるにあたっては、工程4の後にリードワイヤ2及び3を連結する部分を除去し、リードワイヤ2及び3を別個の部材とする第5の工程が設けられる。
以上のとおり、上記の発光ダイオード1aは先の試料Lを備えるものであるが、この他に、先の試料Sを備える発光ダイオード(白色発光ダイオード)と、先の試料Mを備える発光ダイオード(白色発光ダイオード)を製作し、紫外・可視分光光度計によりそれぞれの発光ダイオード前方から輝度の測定を行った。その結果を図6に示す。
なお、試料Sを備える発光ダイオード及び試料Mを備える発光ダイオードの構成ならびに作成手順は、先の発光ダイオード1aのそれと同様である。
図示するとおり、試料Lを備える発光ダイオード1aでは、試料Mを備える発光ダイオードと比較して、蛍光体(試料)が発する黄色の蛍光の強度が増大しただけでなく、同時に青色の透過光の強度も増大している。
これは、蛍光体から粒径が2〜3μm程度以下の小さな粒子を選択除去することにより、発光ダイオードにおいて光の取り出し効率が大幅な向上を示すことを意味している。
一方、試料Sを備える発光ダイオードでは、試料Mを備える発光ダイオードと比較して、蛍光体(試料)が発する黄色の蛍光の強度が低下しただけでなく、同時に青色の透過光の強度も低下している。
したがって、発光ダイオードに用いる蛍光体としては、上記の試料Lが望ましいと判断できる。
なお、本実施例においては、試料Lに占める粒径2μm以下の粒子の割合が9%である場合を示したが、この値は、10%以下であればよい。
図7は、本発明の第2の実施例(実施例2)に係る発光ダイオード1bの断面図であり、図8は、この発光ダイオード1bの斜視図である。
図1及び図2に示した発光ダイオード1aにおいては、蛍光体7が発光ダイオード素子4の近傍、つまり樹脂6中に分散されている場合を示したが、これに限定されず、本実施例のように樹脂8中、つまり樹脂全体に蛍光体7a及び7bを分散させた構成とすることも可能である。
上記の発光ダイオード1bを作製するにあたっては、第1の樹脂6の硬化は行われず、第2の樹脂8に蛍光体7を分散させ、硬化させる。
なお、この発光ダイオード1bが奏する効果は、発光ダイオード1aと同様である。
また、上記の実施例1及び実施例2では、発光ダイオード素子4は、上面(ボンディングワイヤ5側の面)に1個、下面(リードワイヤ2の凹部側の面)にもう1個の電極を備える場合を示したが、下方には電極がなく上方に2個の電極があるものを用いてもよい。
この場合には、発光ダイオード素子が適切に固定されていればよいため、第1の工程において導電性ペーストを用いる必要がなく、第2の工程において2本のボンディングワイヤによりボンディングを行う。
また、上記の実施例1及び2においては、電極端子がリードワイヤ2及び3である場合を示したがこれに限定されず、様々な電極端子を用いることが可能であり、この電極端子と発光ダイオード素子4とが電気的に接続されていればよい。
また、本発明は、上記の実施例で示した白色発光ダイオードに限らず、短波長の光を発する発光ダイオード素子と、発光ダイオード素子から発せられた光の一部又は全部を吸収することにより励起され、より長波長の蛍光を発する蛍光物質とを用いた発光ダイオードであれば、通常どのようなものにも適用できる。
例えば、紫外発光ダイオード素子と紫外励起可視発光蛍光体とを用いた青色発光ダイオード、紫外発光ダイオード素子と紫外励起可視発光蛍光体とを用いた緑色発光ダイオード、紫外発光ダイオード素子と紫外励起可視発光蛍光体とを用いた赤色発光ダイオード、紫外発光ダイオード素子と紫外励起可視発光蛍光体とを用いた白色発光ダイオードなどにも適用できる。
なお、上記の紫外発光ダイオード素子を用いる場合には、励起光が青色域から紫外域へと短波長化するため、粒径が0.1μm以下のより微細な粒子の除去を重点的に実施する必要がある。
また、本発明は、ボンディングワイヤを3本以上有する発光ダイオードにも適用可能であり、発光ダイオード素子が載置可能であれば、リードワイヤの形状も限定されない。
本発明の第1の実施例に係る発光ダイオードの断面図である。 図1の発光ダイオードの斜視図である。 本発明の蛍光体の粒径分布(相対累積度数分布)を示す図である。 本発明の蛍光体の粒径分布(度数分布)を示す図である。 本発明の蛍光体の発光スペクトルを示す図である。 本発明の発光ダイオードの発光スペクトルを示す図である。 本発明の第2の実施例に係る発光ダイオードの断面図である。 図7の発光ダイオードの斜視図である。 従来の発光ダイオードの断面図である。
符号の説明
1a、1b 発光ダイオード
2、3 リードワイヤ
4 発光ダイオード素子
5 ボンディングワイヤ
6 第1の樹脂
7a、7b、7c 蛍光体
8 第2の樹脂
101 従来の発光ダイオード
102、103 従来例におけるリードワイヤ
104 従来例における発光ダイオード素子
105 従来例におけるボンディングワイヤ
106、108 従来例における樹脂

Claims (10)

  1. 粒径が所定の基準値以下の粒子のみを分級選別することにより粗大粒子を除去し、その後に、粒径が2μm以下の粒子を選択的に除去する除去工程を有することを特徴とする蛍光体粉末製造方法。
  2. 前記基準値が20μmであることを特徴とする請求項1に記載の蛍光体粉末製造方法。
  3. 前記基準値が10μmであることを特徴とする請求項1に記載の蛍光体粉末製造方法。
  4. 粒子の粒径が20μm以下であり、且つ粒径が2μm以下の粒子の割合が10%以下であることを特徴とする蛍光体粉末。
  5. 粒子の粒径が10μm以下であり、且つ粒径が2μm以下の粒子の割合が10%以下であることを特徴とする蛍光体粉末。
  6. 紫外波長域あるいは可視波長域にある励起光により励起され、主たる発光波長が可視波長域にあることを特徴とする請求項4又は5に記載の蛍光体粉末。
  7. 少なくとも2個の電極端子と、
    前記電極端子と電気的に接続された発光素子と、
    前記発光素子から発せられた光の少なくとも一部を吸収し、可視波長域にある蛍光を発する蛍光体と
    を備え、
    前記蛍光体は、複数個の粒子からなり、紫外波長域又は可視波長域にある励起光により励起され、主たる発光波長が可視波長域にあり、
    前記粒子の粒径は、20μm以下であり、且つ粒径が2μm以下の粒子の割合は、10%以下である
    ことを特徴とする可視波長光発光デバイス。
  8. 少なくとも2個の電極端子と、
    前記電極端子と電気的に接続された発光素子と、
    前記発光素子から発せられた光の少なくとも一部を吸収し、可視波長域にある蛍光を発する蛍光体と
    を備え、
    前記蛍光体は、複数個の粒子からなり、紫外波長域又は可視波長域にある励起光により励起され、主たる発光波長が可視波長域にあり、
    前記粒子の粒径は、10μm以下であり、且つ粒径が2μm以下の粒子の割合は、10%以下である
    ことを特徴とする可視波長光発光デバイス。
  9. 前記電極端子は、リードワイヤであり、
    前記発光素子は、前記リードワイヤの内の少なくとも1本の端部に載置され、該端部及び他のリードワイヤと電気的に接続されている
    ことを特徴とする請求項7又は8に記載の可視波長光発光デバイス。
  10. 前記発光素子は、青色発光ダイオード素子であり、
    前記蛍光体は、波長が440nm乃至470nmの青紫色光あるいは青色光を吸収し、波長が550nm乃至600nmの黄緑色光、黄色光あるいは黄赤色光を発する
    ことを特徴とする請求項7乃至9のいずれか1項に記載の可視波長光発光デバイス。
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Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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