JP2005298358A - 糖尿病抑制組成物、糖尿病抑制食品、糖尿病抑制皮膚外用および糖尿病抑制薬 - Google Patents

糖尿病抑制組成物、糖尿病抑制食品、糖尿病抑制皮膚外用および糖尿病抑制薬 Download PDF

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Abstract

【課題】糖尿病抑制組成物、糖尿病抑制食品、糖尿病抑制皮膚外用および糖尿病抑制薬を提供する。
【解決手段】糖尿病抑制組成物は、エルカンプーレを含有する。糖尿病抑制組成物は、2型糖尿病抑制作用、血清脂質改善作用、肝臓脂質改善作用、血清グルコース低下作用、遊離脂肪酸改善作用、インスリン抵抗性改善作用およびコレステロール減少作用を有する。糖尿病抑制組成物を含有する機能性食品、皮膚外用あるいは医薬として用いることもできる。
【選択図】図1

Description

本発明は、少なくともエルカンプーレを含有する糖尿病抑制組成物、糖尿病抑制食品、糖尿病抑制皮膚外用および糖尿病抑制薬に関する。
近年、わが国においては食生活の欧米化を始めとするライフスタイルの変化によって、脂肪やエネルギの摂取過剰の食生活が多く見られている。その結果として肥満、高脂血症、高血圧などといった生活習慣病の罷患率が急激に上昇している。これら生活習慣病の典型例である、高コレステロール、糖尿病の治療薬としては、多種多様なものが使用され、それぞれ一定の効果も認められている(例えば、特許文献1ないし3参照。)。
ところが、これらの治療薬剤は、疾病を有する人(病人)を対象とするものであると同時に、少なからず副作用を有しており、長期の服用には抵抗感も強い。そこで、薬剤ではなく、人体に安全でかつ境界域にある人を対象とし、生活習慣病予防・改善効果、特に糖尿病改善作用を有する組成物の開発が強く望まれている。
さらに、これら生活習慣病のうち、特に糖尿病は、最近急激に患者数や予備軍が増加している。具体的に、この糖尿病は、平成14年糖尿病実態調査報告(速報)によると、「糖尿病が強く疑われる人」が約740万人存在し、「糖尿病の可能性を否定できない人」が約880万人存在すると報告されている。また、これらは年々明らかに増加している傾向がある。特に、この糖尿病のなかでも、肥満、インスリン抵抗性、高脂血症、高血圧が伴う2型糖尿病の増加が顕著である。
一方、従来から南米ペルーのアンデス地方の高地に生育している多年性の双子葉植物であるエルカンプーレが、インカ以前の時代より伝統的な薬草として服用されている。そして、このエルカンプーレは、ペルーを中心とするアンデス地方の伝承薬として、抗糖尿病作用をはじめ、腎・肝臓機能の再生、肝炎、マラリア熱の沈静化、浄血、胆汁分泌刺激等の効能があると伝えられている。
さらに、このエルカンプーレの主要成分の一つとしてキサントン誘導体が知られている。このキサントン誘導体の中で最も含量が多いのは、ベリジフォリン(Bellidifolin)である。そして、このベリジフォリンに関しては、ストレプトゾトシン(STZ:Streptozotocin)誘導糖尿病ラットにおいて血糖値低下作用が認められることが知られている(例えば、非特許文献1および2参照。)。
また、このベリジフォリン以外のエルカンプーレに含有されているキサントン誘導体の一つとしてマンギフェリン(Mangeferin)が知られている。そして、このマンギフェリンに関しては、2型糖尿病のモデルとされるKK−Ayマウスにおける血糖値低下作用とインスリン感受性上昇作用が知られている(例えば、非特許文献3参照。)。
特開2002−363095号公報(第3−5頁) 特開平6−345664号公報(第2−3頁) 特開平6−135839号公報(第2−7頁) バスネット P(Basnet P)、外3名,「センブリ(Swertia japonica)より得られたベリジフォリン(Bellidifolin)は、ストレプトゾトシン(STZ:Streptozotocin)誘導糖尿病ラットにおいて強力な血糖値低下作用を有する」,(独国),プランタメディカ(Planta Medica),1994年,第60巻,p.507−511 バスネット P(Basnet P)、外4名,「ベリジフォリン(Bellidifolin)は、ストレプトゾトシン(STZ:Streptozotocin)誘導糖尿病ラットにおいて、ラット線維芽細胞でのグルコース取り込みを促進し、高血糖値を改善する」,(独国),プランタメディカ(Planta Medica),1995年,第61巻,p.401−405 イチキ H(Ichiki H)、外6名,「マンギフェリン(Mangeferin)とその配糖体は新規抗糖尿病化合物である」,(日本),バイオロジカルファーマシューティカルブレティン(Biol.Pharm.Bul.l),1998年,第21巻,p.1389−1390
しかしながら、上述したエルカンプーレの糖尿病に対する諸機能については未だ明確に解明されていないという問題を有している。
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、少なくともエルカンプーレを含有する糖尿病抑制組成物、糖尿病抑制食品、糖尿病抑制化粧料、糖尿病抑制皮膚外用および糖尿病抑制薬を提供することを目的とする。
請求項1記載の糖尿病抑制組成物は、少なくともエルカンプーレを含有し、糖尿病抑制作用を有するものである。
そして、少なくともエルカンプーレを含有することにより、糖尿病抑制作用を期待できる。
請求項2記載の糖尿病抑制組成物は、請求項1記載の糖尿病抑制組成物において、2型糖尿病抑制作用を有するものである。
そして、少なくともエルカンプーレを含有することにより、2型糖尿病抑制作用を期待できる。
請求項3記載の糖尿病抑制組成物は、請求項1または2記載の糖尿病抑制組成物において、血清脂質改善作用および肝臓脂質改善作用を有するものである。
そして、少なくともエルカンプーレを含有することにより、血清脂質改善作用および肝臓脂質改善作用を期待できる。
請求項4記載の糖尿病抑制組成物は、請求項1ないし3いずれか記載の糖尿病抑制組成物において、血清グルコース低下作用を有するものである。
そして、少なくともエルカンプーレを含有することにより、血清グルコース低下作用を期待できる。
請求項5記載の糖尿病抑制組成物は、請求項1ないし4いずれか記載の糖尿病抑制組成物において、遊離脂肪酸改善作用を有するものである。
そして、少なくともエルカンプーレを含有することにより、遊離脂肪酸改善作用を期待できる。
請求項6記載の糖尿病抑制組成物は、請求項1ないし5いずれか記載の糖尿病抑制組成物において、インスリン抵抗性改善作用を有するものである。
そして、少なくともエルカンプーレを含有することにより、インスリン抵抗性改善作用を期待できる。
請求項7記載の糖尿病抑制組成物は、請求項1ないし5いずれか記載の糖尿病抑制組成物において、コレステロール減少作用を有するものである。
そして、少なくともエルカンプーレを含有することにより、コレステロール減少作用を期待できる。
請求項8記載の糖尿病抑制食品は、請求項1ないし7いずれか記載の糖尿病抑制組成物を含むものである。
そして、請求項1ないし7いずれか記載の糖尿病抑制組成物を含む食品を食することにより、糖尿病抑制作用を期待できる。
請求項9記載の糖尿病抑制皮膚外用は、請求項1ないし7いずれか記載の糖尿病抑制組成物を含むものである。
そして、請求項1ないし7いずれか記載の糖尿病抑制組成物を含む皮膚外用を用いることにより、糖尿病抑制作用を期待できる。
請求項10記載の糖尿病抑制薬は、請求項1ないし7いずれか記載の糖尿病抑制組成物を含むものである。
そして、請求項1ないし7いずれか記載の糖尿病抑制組成物を含む薬を用いることにより、糖尿病抑制作用を期待できる。
請求項1記載の糖尿病抑制組成物によれば、少なくともエルカンプーレを含有するので、糖尿病抑制作用を期待できる。
請求項2記載の糖尿病抑制組成物によれば、請求項1記載の糖尿病抑制組成物の効果に加え、少なくともエルカンプーレを含有するので、2型糖尿病抑制作用を期待できる。
請求項3記載の糖尿病抑制組成物によれば、請求項1または2記載の糖尿病抑制組成物の効果に加え、少なくともエルカンプーレを含有するので、血清脂質改善作用および肝臓脂質改善作用を期待できる。
請求項4記載の糖尿病抑制組成物によれば、請求項1ないし3いずれか記載の糖尿病抑制組成物の効果に加え、少なくともエルカンプーレを含有するので、血清グルコース低下作用を期待できる。
請求項5記載の糖尿病抑制組成物によれば、請求項1ないし4いずれか記載の糖尿病抑制組成物の効果に加え、少なくともエルカンプーレを含有するので、遊離脂肪酸改善作用を期待できる。
請求項6記載の糖尿病抑制組成物によれば、請求項1ないし5いずれか記載の糖尿病抑制組成物の効果に加え、少なくともエルカンプーレを含有するので、インスリン改善作用を期待できる。
請求項7記載の糖尿病抑制組成物によれば、請求項1ないし5いずれか記載の糖尿病抑制組成物の効果に加え、少なくともエルカンプーレを含有するので、コレステロール減少作用を期待できる。
請求項8記載の糖尿病抑制食品によれば、請求項1ないし7いずれか記載の糖尿病抑制組成物を含む食品を食することにより、糖尿病抑制作用を期待できる。
請求項9記載の糖尿病抑制皮膚外用によれば、請求項1ないし7いずれか記載の糖尿病抑制組成物を含む皮膚外用を用いることにより、糖尿病抑制作用を期待できる。
請求項10記載の糖尿病抑制薬によれば、請求項1ないし7いずれか記載の糖尿病抑制組成物を含む薬を用いることにより、糖尿病抑制作用を期待できる。
以下、本発明の一実施の形態の糖尿病抑制組成物について説明する。
まず、この糖尿病抑制組成物としては、糖尿病、特に2型糖尿病抑制作用を有している。さらに、この糖尿病抑制組成物は、少なくともエルカンプーレ(Gentianella alborosea(Gilg)Fabris)を含有している。ここで、このエルカンプーレは、双子葉類、リンドウ科、リンドウ属の多年草の植物であり、南米ペルーのアンデス地方の標高3500m〜4000mのプナと呼ばれる寒冷な高原地帯に生息している。
さらに、このエルカンプーレは、このエルカンプーレの乾燥全草(根・茎・葉)に5倍量の含水アルコールである70%アルコールを加えてから浸漬抽出した溶液にデキストリンを加えた後に噴霧乾燥したエキス粉末であるエルカンプーレエキス末として糖尿病抑制組成物に含有されている。そして、このエルカンプーレエキス末には、キサントン誘導体が豊富に含有されている。
また、この糖尿病抑制組成物は、2型糖尿病抑制作用、すなわち血清脂質改善作用、肝臓脂質改善採用、血清グルコース低下作用、遊離脂肪酸改善作用、インスリン抵抗性改善作用、コレステロール減少作用のそれぞれを有している。さらに、この糖尿病抑制組成物を含有する機能性食品、化粧料、皮膚外用あるいは医薬として用いることもできる。したがって、この糖尿病抑制組成物としては、皮膚外用剤や、機能性食品、医薬品、化粧品として適宜用いることもできる。
そして、この糖尿病抑制組成物を提供する形態としては、散剤、顆粒、錠剤、糖衣錠、カプセル、液剤、シロップ状のいずれであっても良く、これらは適宜助剤、賦香料とともに賦形されてもよい。用いられる賦形剤、希釈剤としては、ゼラチン、糖類、澱粉類、脂肪酸およびその塩、油脂、タルク、生理食塩水、その他のマスキング剤などが挙げられる。これらのものをそのまま服用してもよいが、各種料理品、菓子、キャンデなどの食品に混ぜて服用するのも好都合である。
次に、糖尿病発症期におけるエルカンプーレエキス末投与が糖および脂質代謝に及ぼす影響についての一実施例を説明する。
このとき、2型糖尿病のモデル動物であるOLETF(Otsuka Long-Evans Tokushima Fatty rats)ラットと、LETO(Long-Evans Tokushima Otsuka rats)ラットとを用いて、エルカンプーレエキス末投与が2型糖尿病に及ぼす影響について、糖尿病治療薬であるアカルボースと比較して検討した。
ここで、このOLETFとは、非インスリン依存性糖尿病(2型糖尿病)を有する新規ラット系統である。また、このOLETFラットは、2型糖尿病のモデル動物として良く知られており、糖尿病発症を段階的に抑えることが可能である。
さらに、このOLETFラットの系統は、糖尿病症状を有する自然発症の長期高血糖ラットである。また、このOLETFラットは、インスリン抵抗性末発症の若齢期からインスリン抵抗性時期および糖尿病発症期それぞれの経過を観察できる特徴を有している。
また、LETOラットは、OLETFラットの対照動物であり、このOLETFラットが由来した系統であるが糖尿病の発生がみられないものである。
まず、実験材料および実験方法について説明する。
(実験材料)
実験の対象とする試料であるエルカンプーレエキス末としては、エルカンプーレの乾燥全草(根・茎・葉)に5倍量の含水アルコールである70%アルコールを加えてから浸漬抽出した溶液にデキストリンを加えた後、この溶液を噴霧乾燥させたエキスパウダとしてのエキス粉末(トワ商事株式会社製)を用いた。そして、このエキス末中に含まれるエキス含量は、質量比で約60%であった。
また、このエキス末中に含まれる総キサントン化合物含量の指標の一つであるマンギフェリン(Mangeferin)含量は、8.0〜8.7%(HPLC法)であった。さらに、使用する高速液体クロマトグラフィ(High Performance Liquid Chromatography:HPLC)法には、HPLC用試薬(和光純薬工業株式会社製)を使用した。また、コレステロール・オキシダーゼ(cholesterol oxidase)(旭化成工業株式会社製)を使用した。その他の試薬は、試薬特級(和光純薬工業株式会社製)を使用した。
(飼料の調製)
実験の対象とする群を、対照食群としてコントロール(control)群と、エルカンプーレを与えて食させるエルカンプーレ(Hercampure)群と、アカルボース(Acarbose)を与えて食させるアカルボース群とした。そして、「リーブス P.G(Reeves P.G)、外2名「齧歯類目飼育のためのAIN−93精製食」,(米国),ジャーナルオブニュートリション(J.Nutr.),1993年,第123巻,p.1923−1931」に記載のAIN−93組成に準拠した対照食とした。この対照食は、カゼインを蛋白質源とする純化飼料である。また、2%エルカンプーレエキス末を対照食に添加し調製した飼料をエルカンプーレ群のエルカンプーレ食とした。さらに、0.2%アカルボース(バイエル薬品株式会社製)を対照食に添加し調製した飼料をアカルボース群のアカルボース食とした。これらいずれの実験食も、試料の添加量をコーンスターチの量によって調整した。また、これら対照食と実験食のそれぞれは、表1に示す飼料組成であった。
Figure 2005298358
(実験動物および飼育方法)
まず、実験動物として雄性のOLETFラットおよびLETOラット(大塚製薬株式会社生物研究所より納入)を用いた。これらOLETFラット、およびLETOラットのそれぞれは、2002年6月10日〜13日生まれであった。さらに、これらOLETFラットおよびLETOラットのそれぞれは、実験での使用開始まで、温度22.0±2.0℃、湿度55.0±5.0%、12時間の明暗(明期はAM7:00〜PM7:00、暗期はPM7:00〜AM7:00)切り替えの動物室にて飼育し、飲水(水道水)、飼料(CE−2:日本クレア株式会社製)を自由摂取させた。
この後、プレテスト3aII(和光純薬工業株式会社製)で、OLETFラットの尿中へのグルコース排泄を確認することのできた33週齢のOLETFラットおよびLETOラットのそれぞれを実験に供した。すなわち、糖尿病改善効果の比較対照用のコントロール群としてOLETFラットを、さらに正常ラットの対照用のコントロール群としてLETOラットを、33週齢でそれぞれ5匹ずつ使用した。
また、エルカンプーレ群、アカルボース群には、33週齢のOLETFラットを、各群5匹ずつ使用した。そして、これらOLETFラットおよびLETOラットそれぞれ飼育は、実験開始前と同様の条件で飼育し、飲水(水道水)とともに、これら各群に対する実験飼料を6週間自由摂取させた。そして、1日おきに体重および飼料摂取量を測定した。なお、この動物実験では、近畿大学医学部動物実験の指針を遵守して実施した。
(全血採血および血清の分離)
そして、実験開始6週間後、絶食させずにペントバルピタールナトリウム(大日本製薬株式会社製)を50mg/kgほど腹腔内投与麻酔した後、腹部大動脈より注射筒にて全血採血した。この採血を午前10時から12時の間にして、得られた血液を室温にて1時間放置してから4℃で1〜2時間放置した後、2500rpm、4℃、10minの条件で遠心して血清を分離した。
(血清より各リポ蛋白質分画の分離)
さらに、全血採血の時に得られた血清からの各リポ蛋白質分画を分離する。ここで、これら各リポ蛋白質分画としては、超低比重リポ蛋白質分画(very-low-density lipoprotein(VLDL;d<1.006))と、低比重リポ蛋白質分画(low-density lipoprotein(LDL;d:1.006〜1.063))と、高比重リポ蛋白質分画(high-density lipoprotein(HDL;d:1.063〜1210))と、非リポ蛋白質分画(lipo-free(Free;d>1.210))のそれぞれである。
また、このときの各リポ蛋白質分画を分離は、「ハッチ FT(Hatch FT),「血漿リポ蛋白質分析法」,(米国),アカデミックプレス(Academic Press),1968年,第1巻,p.1−68」に記載の方法に準じた段階的密度勾配超遠心(TL-100:Beckman社製 米国)により、アングルロータ(TLA-100.2:Beckman社製 米国)を用いた。
ここで、「ラスク L.T.(Lusk L.T.)、外3名,「ラット血漿よりも高比重リポ蛋白質(HDL)の単離とその(部分的な)特徴」,(米国),バイオケミカルジャーナル(Biochem.J),1979年,第183巻,p.83−89」に記載のように、OLETFラットおよびLETOラットの場合、HDLの亜分画、すなわちHDLがLDL分画からHDL分画に亘って混在することが知られている。したがって、今回用いた投階的密度勾配超遠心法では、本来のLDLのみの分離が不可能であり、LDL分画がLDLと混在するHDLとの和となってしまっている。
(血清および各リポ蛋白質分画中のコレステロール、リン脂質およびトリグリセライド含量と、血清中のグルコースおよび遊離脂肪酸含量との測定)
そして、血清ならびに各リポ蛋白質分画中のコレステロール、リン脂質およびトリグリセライド含量は、市販の酵素法によるキット(コレステロール E−テストワコー、リン脂質 C−テストワコー、トリグリセライド E−テストワコー:和光純薬工業株式会社製)を用いて測定した。
また、血清中のグルコースおよび遊離脂肪酸含量は、市販の酵素法によるキット(グルコース CII−テストワコー、NEFA C−テストワコー:和光純薬工業株式会社製)を用いて測定した。
(血清中のインスリン含量の測定)
さらに、血清中のインスリン含量は、レビス インスリン−ラット ELISA キット(株式会社シバヤギ製)を用いて、Sandwich ELISA(Enzyme-linked immunosorbent assay)法にて測定した。したがって、このインスリン含量は、Immuno-reactive insulin(IRI,pg/mL)にて示した。
(血清中の各種アポ蛋白質含量の測定)
また、各種アポ蛋白質(apoA−I,apoB,apoE)含量ならびにLDLおよびHDLそれぞれの分画中に含まれるapoE含量は、「小川博、外4名,「脳卒中易発症性高血圧自然発症ラットの血清アポ蛋白質A−I,E,そしてA−IVの加齢による変化」,(英国),ジャーナルオブハイパーテンション(J.Hypertens),1986年,第4巻,p.429−443」の一部を改良した「ロウレル CB(Laurell CB),「抗体含有アガロースゲルでの電気泳動による蛋白質の定量評価」,(米国),アナリティカルバイオケミストリ(Anal.Biochem),1966年,第15巻,p.45−52」に記載のロウレル法に準拠したロケット免疫電気泳動法にて測定した。このとき、抗体としては、ラット血清より分離して精製した各種アポ蛋白質を抗原とし、ウサギにて作成した特異抗体を使用した。また、apoA−IとapoBとのそれぞれの測定結果からapoB/apoA−Iを求めた。
(肝臓摘出、肝臓比質量の測定、肝臓脂質抽出)
さらに、各群それぞれのラットの全血採血をした後、速やかに肝臓を摘出し、これら肝臓の湿重量を測定した。そして、これら肝臓の肝臓比質量は、処分時の単位体重(100g)あたりの肝臓質量の割合にて示した。またこのとき、フォルチ J(Folch J)、外2名,「動物組織よりの全脂質の簡単な単離と精製法」,(米国),ジャーナルオブバイオロジカルケミストリ(J.Biol.Chem.),1957年,第226巻,p.497−509」に記載の方法に準拠して肝臓中の脂質を抽出した。そして、これら脂質における抽出液の下層(クロロホルム層)の一部を取り、窒素気流下でクロロホルムを蒸発させて、肝臓脂質含量測定用の試料とした。
(肝臓中のコレステロール、リン脂質およびトリグリセライド含量の測定)
そして、肝臓中のコレステロール、リン脂質およびトリグリセライド含量は、市販の酵素法によるキット(コレステロール E−テストワコー、リン脂質 C−テストワコー、トリグリセライド E−テストワコー:和光純薬工業株式会社製)を用いて測定した。
(胆汁酸合成律速酵素7αヒドロキシラーゼ活性の測定)
また、常法により肝臓ミクロソーム画分を精製し、このミクロソーム画分中に存在するコレステロールを基質とした。さらに、「荻島正、外1名,「コレステロール7α−水酸化酵素活性の定量方法」,(米国),アナリティカルバイオケミストリ(Anal.Biochem),1986年,第158巻,p.228−232」に記載の方法に準拠し、HPLCにてコレステロール7αヒドロキシラーゼ(cholesterol 7α-hydroxylase(7αヒドロキシラーゼ:7α-hydroxylase))活性を測定した。ここで、この7αヒドロキシラーゼ活性は、ミクロソーム画分の蛋白質含量1mgあたり1分間に生じるHCO:7α-hydroxy-4-cholesten-3-on(7α-ヒドロキシ-4-コレステン-3-オン)量(pmol/min/mgミクロソーム蛋白質)にて示した。
(統計処理)
実験値は、すべて平均値±標準誤差(The mean±standard error of the mean,M±SEM)示した。また、有意差検定は、StatView(Ver.5,SAS Institute Inc.USA)を用いて分散および分析した後、多重比較検定(Tukey’s multiple comparison test)をした。さらに危険率5%以下を有意とした。
次に、上記実験材料および実験方法での実験結果について説明する。
(体重および飼料摂取量に及ぼす影響)
実験期間中の対照食群2群(LETOラット群、OLETFラット群)、エルカンプーレ群およびアカルボース群それぞれにおける体重の動態と飼料摂取量とを図2および図3に示した。そして、これら図2および図3に示すように、各群の体重は、すでに実験開始期よりOLETFラット群がLETOラット群に比較して有意に高値であり、この有意な高値は実験終了時まで継続した。また、エルカンプーレ群もOLETFラット群とほぼ同様な体重の動向を示したが、アカルボース群では、投与6日目よりOLETFラット群と比較し有意な低値を示し、投与終了時まで有意な低値が継続した。
さらに、各群の飼料摂取量も、すでに実験開始期よりOLETFラット群がLETOラット群に比較して有意に高値であり、この有意な高値は実験終了日前まで継続した。そして、エルカンプーレ群は、OLETFラット群とほぼ同様な動向を示したが、アカルボース群では、投与12日日までOLETFラット群と比較し有意な低値を示したが、その後上昇し、投与20日目より投与終了日前までOLETFラット群より有意な高値を示した。
(血清コレステロール、リン脂質およびトリグリセライド含量に及ぼす影響)
実験終了時の最終体重および平均飼料摂取量と、実験終了時に得られた血清コレステロール、リン脂質およびトリグリセライド含量それぞれの動態を表2に示す。
Figure 2005298358
そして、表2に示すように、実験終了時の最終体重および平均飼料摂取量のそれぞれは、LETOラット群のみが他の3群より有意な低値を示した。また、アカルボース群では、最終体重がOLETFラット群と比較し有意な低値を示したが、エルカンプーレ群では差は認められなかった。
さらに、実験終了時に得られた血清コレステロール、リン脂質およびトリグリセライド含量はいずれも、アカルボース群ではOLETFラット群と比較し有意な低値を示し、LETOラット群とほぼ同様な値を示した。これに対し、エルカンプーレ群では、OLETFラット群と比較するといずれも低値傾向を示したが、有意な差は認められなかった。
(血清グルコース、遊離脂肪酸およびインスリン含量に及ぼす影響)
血清グルコース、遊離脂肪酸およびインスリン含量それぞれの動態を表3に示す。
Figure 2005298358
そして、この表3に示すように、血清グルコース含量は、アカルボース群でOLETFラット群と比較し有意な低値を示し、LETOラット群とほぼ同様な値を示した。また、エルカンプーレ群では、OLETFラット群と比較し低値(p<0.08)を示した。さらに、血清遊離脂肪酸およびインスリンそれぞれの含量はともに、アカルボース群でOLETFラット群と比較し有意な低値を示し、LETOラット群とほぼ同様な値を示した。一方、エルカンプーレ群では、OLETFラット群と比較し低値傾向を示したが、有意な差は認められなかった。
(血清中の各種アポ蛋白質含量に及ぼす影響)
実験終了時に得られた血清中の各種アポ蛋白質(apoA−I,apoB,apoE)含量と、apoB/apoA−Iの動態とを表4に示す。
Figure 2005298358
そして、この表4に示すように、血清中のapoA−I含量は、LETOラット群で他の3群と比較して有意な低値を示した。一方、他の3群間に有意な差は認められなかった。また、血清中のapoBおよびapoEそれぞれの含量は、apoA−Iの含量と逆に、LETOラット群で他の3群と比較して有意な高値を示したが、残りの3群間に有意な差は認められなかった。さらに、apoB/apoA−Iは、LETOラット群で他の3群と比較して有意な高値を示し、アカルボース群でOLETFラット群と比較し有意な低値が認められた。また、エルカンプーレ群では、OLETFラット群と比較し、ほとんど差が認められなかった。
(血清各リポ蛋白質分画におけるコレステロール、リン脂質およびトリグリセライド含量に及ぼす影響)
血清各リポ蛋白質分画におけるコレステロール、リン脂質およびトリグリセライド含量の分布を図4ないし図6に示す。
そして、図4に示すように、血清各リポ蛋白質分画におけるコレステロール含量は、VLDLおよびLDL分画において、アカルボース群でOLETFラット群と比較し有意な低値を示し、LETOラット群とほぼ同様な値(VLDL分画)および有意な低値(LDL分画)を示した。これに対し、エルカンプーレ群では、いずれもOLETFラット群と比較し低値傾向を示したが、有意な差は認められなかった。また、HDL分画においては、LETOラット群で他の3群と比較して有意な低値を示し、これら他の3群間に有意な差は認められなかった。
また、図5に示すように、血清各リポ蛋白質分画におけるリン脂質含量は、コレステロール含量の分布と比較的類似した結果を示した。すなわち、VLDL分画およびLDL分画のそれぞれにおいて、アカルボース群では、OLETFラット群と比較し有意な低値を示し、LETOラット群とほぼ同様あるいは有意な低値を示した。これに対し、エルカンプーレ群では、OLETFラット群と比較し低値傾向を示したが、有意な差は認められなかった。さらに、HDL分画においては、LETOラット群が他の3群と比較して有意な低値を示し、アカルボース群でOLETFラット群と比較し有意な低値を示した。そして、エルカンプーレ群では、OLETFラット群と比較し低値傾向を示したが、有意な差は認められなかった。Free分画においては、4群間でほとんど差はみられなかった。
さらに、図6に示すように、血清各リポ蛋白質分画におけるトリグリセライド含量は、VLDLおよびLDL分画において、アカルボース群でOLETFラット群と比較し有意な低値を示した。また、このアカルボース群では、LETOラット群と比較し、有意な低値(VLDL分画)あるいは、ほぼ同様な値(LDL分画)を示した。さらに、エルカンプーレ群では、OLETFラット群と比較し低値傾向を示したが、有意な差は認められなかった。さらに、HDL分画において、アカルボース群でOLETFラット群およびLETOラット群と比較し有意な低値を示し、エルカンプーレ群でOLETFラット群と比較し有意な低値を示した。
(肝臓比質量、肝臓中のコレステロール、リン脂質およびトリグリセライド含量に及ぼす影響)
肝臓比質量、肝臓中のコレステロール、リン脂質およびトリグリセライド含量の動態を表5に示す。
Figure 2005298358
そして、肝臓比質量は、LETOラット群で他の3群と比較して有意な低値を示した。そして、アカルボース群では、OLETFラット群と比較し有意な低値を示した。さらに、エルカンプーレ群では、OLETFラット群と比較し低値傾向を示したが、有意な差は認められなかった。また、肝臓中のコレステロール含量は、肝臓比質量とは逆に、LETOラット群で他の3群と比較して有意な高値を示した。そして、アカルボース群ではOLETFラット群と比較し有意な高値を示した。また、エルカンプーレ群では、OLETFラット群と比較し高値(p<0.09)を示した。
さらに、肝臓中のリン脂質含量は、4群間で有意な差はみられなかった。また、肝臓中のトリグリセライド含量は、LETOラット群で他の3群と比較して有意な低値を示した。そして、アカルボース群ではOLETFラット群と比較し有意な低値を示した。また、エルカンプーレ群では、OLETFラット群と比較し低値傾向を示したが、有意な差は認められなかった。
次に、肝臓全体の脂質含量を図1に示す。そして、この図1に示すように、肝臓全体のコレステロール含量は、4群間で有意な差はみられなかった。また、肝臓全体のリン脂質含量は、LETOラット群で他の3群と比較して有意な低値を示したが、残りの3群間には有意な差が認められなかった。
さらに、肝臓全体のトリグリセライド含量は、LETOラット群で他の3群と比較して有意な低値を示した。そして、アカルボース群では、OLETFラット群と比較し有意な低値を示した。また、エルカンプーレ群では、OLETFラット群と比較し低値傾向を示したが、有意な差は認められなかった。
(肝臓ミクロソーム画分における7αヒドロキシラーゼ活性に及ぼす影響)
肝臓ミクロソーム画分における7αヒドロキシラーゼ活性の動態を表5に示す。
そして、この表5に示すように、7αヒドロキシラーゼ活性は、LETOラット群で他の3群と比較して有意な低値を示した。また、アカルボース群では、OLETFラット群と比較し高値(p<0.08)を示した。さらに、エルカンプーレ群では、OLETFラット群と比較し高値傾向を示したが、有意な差は認められなかった。
(考察)
糖尿病とは、一般に空腹時の血糖値が7.0mmol/L(126mg/dL)以上、あるいは75g経口糖負荷試験(OGTT:Oral Glucose Tolerance Test)後の2時間後の血糖値が11.1mmol/L(200mg/dL)以上の場合をいう(日本糖尿病学会)。そして、最近では、ヘモグロビンAlc(HbAlc)値も診断に用いられる。このHbAlcは、グリコヘモグロビンと言われ、ヘモグロビンにグルコースが結合したものである。したがって、このグリコヘモグロビンは、食事の影響を受けにくく、過去約4ケ月間の血糖値を良く反映する。なお、一般にHbAlcが6.5%以上で糖尿病と判定される。
さらに、糖尿病には、インスリン絶対量不足による1型糖尿病と、インスリン抵抗性を主体とするインスリン相対的不足による2型糖尿病が存在する。この2型糖尿病は、日本人における糖尿病の大部分を占めている。そして、最近では、食生活の欧米化をはじめとする生活習慣の急激な変化による環境的要因が影響し、2型糖尿病発症が加速している。また、2型糖尿病には、肥満、インスリン抵抗性、高脂血症あるいは高血圧が伴っていることが多い。そして、これらの疾患は相互に密接に関与していることは明らかであるが、関与の詳細については未だ不明な点が多い。
上述したように、上記一実施例では、2型糖尿病のモデル動物として良く知られているOLETFラットと、このOLETFラットの対照動物であるLETOラットとを使用して、キサントン誘導体が豊富に含有されたエルカンプーレエキス末の投与の影響を、糖尿病治療薬であるアカルボースと比較検討した。
この結果、成長への影響を見てみると、エルカンプーレ群では、成長曲線および飼料摂取量のそれぞれにおいてOLETFラット群とほとんど差はみられなかった。これに対し、アカルボース群では飼料摂取量の増加とともに、逆に体重が有意に減少し、LETOラット群に近い体重となった。これは、アカルボースのα−グルコシダーゼ阻害作用による強力な飼料摂取効率低下作用に基づくものと考えられる。
次に、血清脂質への影響について考察すると、アカルボース群では、血清コレステロール、リン脂質およびトリグリセライド含量のいずれにおいてもLETOラット群とほぼ同様な値を示し、強力な改善効果が認められた。さらに、各脂質の血清リポ蛋白質への分配から詳細に検討すると、アカルボースは、OLETFラットのVLDL,LDLを有意に減少させることが明らかとなった。
しかし一方では、HDLは変化が無くLETOラットより有意な高値を維持していた。一方、エルカンプーレ群では、OLETFラット群と比較し、いずれの血清脂質含量も低値傾向を示し、改善効果が認められた。また、このエルカンプーレ群では、各脂質の血清リポ蛋白質への分配に対しても、アカルボース群と類似した作用を示し、VLDLとLDLとのそれぞれを減少させる一方、HDLの変化が無く、LETOラット群より有意な高値を維持していた。さらに、HDLの動態に関しては、HDLの主要構成蛋白質であるapoA−I含量が、LETOラット群においてのみ他の3群と比較して有意な低値を示し、他の3群間に有意な差は認められなかったことからも裏付けられる。
また、VLDLおよびLDLの主要構成蛋白質であるapoB値が、アカルボース群とエルカンプーレ群とのそれぞれでOLETFラット群より低値傾向であることからも血清脂質の改善が支持される。しかし、これらVLDLおよびHDLlの主要構成蛋白質であるapoEに関しては明確な結果が得られなかった。したがって、エルカンプーレエキス末投与によりアカルボースと類似したOLETFラットの血清脂質の改善作用が認められることが明らかとなった。しかし、この作用はアカルボースと比較して弱いものであった。
次に、血清グルコース、遊離脂肪酸およびインスリンヘの影響について考察すると、アカルボースは、OLETFラットの血清グルコースをLETOラットとほぼ同じレベルまで低下させ、エルカンプーレもかなり低下させた。さらに、遊離脂肪酸およびインスリンのそれぞれに対しても同様に、アカルボースは、OLETFラットの血清遊離脂肪酸およびインスリンをLETOラットとはぼ同じレベルまで低下させ、エルカンプーレもある程度低下させた。したがって、血清脂質への作用と同様に、エルカンプーレは、OLETFラットの血清グルコース、遊離脂肪酸およびインスリンレベル改善作用が認められたが、この作用はアカルボースと比較して弱いものであった。
次に、肝臓への影響について考察すると、アカルボースは、OLETFラットにおける単位体重あたりの肝臓重量の有意な上昇と、トリグリセライド含量(mg/湿質量g)の有意な上昇とのそれぞれを有意に抑制した。エルカンプーレも、アカルボースと類似した作用を示したが、いずれも有意ではなく、アカルボースと比較して弱いものであった。これに対して、コレステロール含量(mg/湿質量g)の場合は、アカルボースおよびエルカンプーレともに、OLETFラットにおける減少を有意に抑制した。この際、肝臓コレステロールの胆汁酸への異化律速酵素である7αヒドロキシラーゼ活性の上昇を伴っていた。ところが、肝臓全体では、4群間にコレステロール含量の差はなく、恒常性が良く保たれていた。
さらに、リン脂質含量(mg/湿重量g)の場合は、4群間にほとんど差は認められなかった。一方、肝臓全体では、LETOラット群のみ有意な低値であり、その他3群には差がなかったことから、アカルボースおよびエルカンプーレともに、OLETFラットの肝臓リン脂質含量への影響は小さいと考えられた。これらの結果、肝臓脂質代謝においても、エルカンプーレはアカルボースと類似した作用を発揮することが明らかとなった。しかし、この作用は、アカルボースに比ベて弱いものであった。
ここで、このエルカンプーレのエキス末の主要成分の一つとしてキサントン誘導体が知られている。そして、このキサントン誘導体のベリジフォリン(Bellidifolin)およびマンギフェリン(Mangeferin)に関しては、糖尿病モデル動物における血糖値低下作用とインスリン感受性上昇作用とが知られている。したがって、OLETFラットにおけるエルカンプーレエキス末の有効作用は、ベリジフォリンおよびマンギフェリンをはじめとするキサントン誘導体の作用に基づく可能性が高い。
全体的に考察して、今回のエルカンプーレエキス末の有効作用は、アカルボースに比べて弱いものであった。しかし、使用したエルカンプーレエキス未中の総キサントン誘導体含量の指標の一つであるマンギフェリン含量が、8.0〜8.7%であることを考慮すると、実験飼料中へのマンギフェリン添加量は0.16〜0.174%となり、アカルボースの約0.8倍となることや、マンギフェリンのin vitroでのα−グルコシダーゼ阻害作用(ID50)がアカルボースの約1/100であること(近畿大学医学部衛生学教室測定)を考慮すると、有効作用の程度としては妥当な結果と考えられる。
さらに、エルカンプーレエキス末は、食品区分に分類されており、このエルカンプーレエキス末の食品機能性は、治療薬であるアカルボースほど強力なものではなく、緩和なものであるべきであり、今回解明された新機能性である抗糖尿病作用も、この観点から有用性が高くかつ応用範囲も広いものと考えられる。
本発明の一実施例の各群の肝臓全体のコレステロール含量、リン脂質含量およびトリグリセライド含量を示すグラフである。 同上各群の体重の動態を示すグラフである。 同上各群の飼料摂取量を示すグラフである。 同上各群のコレステロール含量を示すグラフである。 同上各群のリン脂質含量を示すグラフである。 同上各群のトリグリセライド含量を示すグラフである。

Claims (10)

  1. 少なくともエルカンプーレを含有し、糖尿病抑制作用を有する
    ことを特徴とした糖尿病抑制組成物。
  2. 2型糖尿病抑制作用を有する
    ことを特徴とした請求項1記載の糖尿病抑制組成物。
  3. 血清脂質改善作用および肝臓脂質改善作用を有する
    ことを特徴とした請求項1または2記載の糖尿病抑制組成物。
  4. 血清グルコース低下作用を有する
    ことを特徴とした請求項1ないし3いずれか記載の糖尿病抑制組成物。
  5. 遊離脂肪酸改善作用を有する
    ことを特徴とした請求項1ないし4いずれか記載の糖尿病抑制組成物。
  6. インスリン抵抗性改善作用を有する
    ことを特徴とした請求項1ないし5いずれか記載の糖尿病抑制組成物。
  7. コレステロール減少作用を有する
    ことを特徴とした請求項1ないし6いずれか記載の糖尿病抑制組成物。
  8. 請求項1ないし7いずれか記載の糖尿病抑制組成物を含む
    ことを特徴とした糖尿病抑制食品。
  9. 請求項1ないし7いずれか記載の糖尿病抑制組成物を含む
    ことを特徴とした糖尿病抑制皮膚外用。
  10. 請求項1ないし7いずれか記載の糖尿病抑制組成物を含む
    ことを特徴とした糖尿病抑制薬。
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