JP2005296847A - 水中のウイルスの分解消毒処理方法 - Google Patents

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明弘 米沢
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Abstract

【課題】 従来の紫外線消毒では達成できない、ウイルスの分解消毒効果が著明なウイルスの分解消毒処理方法を提供することを課題とし、特に、光触媒を使用することなくOHラジカルを効果的に発生させる原理を利用した、光触媒−紫外線消毒と同等以上のウイルス分解効果を有するウイルスの分解消毒処理方法を提供することを課題とする。
【解決手段】 ウイルスが存在する被処理水中に100nm以上240nm未満の波長及び240nm以上300nm以下の波長の紫外線を照射することを特徴とする水中のウイルスの分解消毒処理方法。
【選択図】 図2

Description

本発明は紫外線による、水中に微量に含まれるウイルスの分解消毒方法および装置に関する。特に下水排水中に含まれるノロウイルスの分解消毒方法に関する。
さまざまな病原体としてウイルスの存在が知られている。特にノロウイルス(SRSV(Small Round Structured Virus:小型球形ウイルス)とも言う)は、魚貝類や飲料水を介して人体に侵入し、食中毒を起こすことが知られている。また、ノロウイルスは魚貝類の体内で増殖することはないと考えられており、例えばカキの体内でノロウイルスが検出される理由は下水などの排水中に存在するノロウイルスが下水または下水処理水として水域に放流され、放流先の水域に生息するカキの体内に濃縮、保持されるためと考えられている。
ところで、一般に水の消毒方法として塩素消毒と紫外線殺菌消毒が多用されているが、塩素消毒に関して言えば、ウイルスに対しては不活化効果がないと言われており、ノロウイルスに対しても同様である。他方、紫外線殺菌消毒は、波長254nmの殺菌線が遺伝子の本体であるDNA(デオキシリボ核酸)やRNA(リボ核酸)などの核酸を変性させて不活化させる消毒方法であり、従来の紫外線消毒においては、波長254nmの殺菌線を効果的に発生させることができる水銀ランプが用いられている。
紫外線照射によって核酸が変性すると感染性が消失することから、ポリオウイルスやアデノウイルスなど宿主細胞や動物への感染を検定する方法が考案されている一部のウイルスについてはウイルスが不活化されたか否かを判定することができる。しかしながら、ノロウイルスについてはかかる宿主細胞や動物を用いた検定方法がないため、紫外線消毒によるノロウイルスの不活化の効果を判定できないという問題がある。
ノロウイルスに関する衛生検査は、ノロウイルス由来の核酸の有無を判定する遺伝子検査方法が採用されている。しかしながら、遺伝子検査方法では正常な核酸と紫外線よって損傷を受けた核酸とを鑑別することができないことから、ウイルスの活性度を保持しているか否かに関わらず、ウイルスの存在の有無についての判定結果しか下せない。
よって、紫外線消毒によりウイルスの核酸に損傷を与えて食中毒性を消失させることができても、これを判定する方法がなく、また、不活化の有無によらずウイルスの核酸の存在の有無に基づいて判定せざるを得ないという現状を考慮すると、ウイルスの核酸を分解にまで至らしめ、遺伝子検査方法でも検出されないレベルの分解消毒が求められている。
以下に示す特許文献1は、廃水処理や浄水処理などに利用可能な酸化チタン光触媒薄膜およびその製造方法について記載しており、テトラクロロエチレンなどの環境汚染物質の分解が期待できることを記載している。
以下に示す特許文献2は、光触媒−紫外線照射によれば、紫外線照射によって損傷を受けた微生物の核酸が修復されて再活性化する光回復現象を低減することができると記載している。
これらの特許文献においてはウイルスに対する紫外線照射の詳細な作用・効果については言及されていない。また、光触媒によるOHラジカルの重要性については具体的な記載はない。
以下に示す特許文献3は、光触媒−紫外線照射によって生成するOHラジカルの定量評価方法について記載しており、光触媒によるOHラジカルの重要性について言及している。
また、以下に示す非特許文献1は、水中に希薄に含まれるウイルスを検査するためのウイルス濃縮方法について記載している。
以下に示す非特許文献2は、ノロウイルスの遺伝子検査方法について記載している。
これらの非特許文献はノロウイルスを検査する技術の詳細を記しているが、ウイルスの消毒効果についは一切言及していない。
N. Jothikumar et al., "Elution and reconcentration of coliphages in water from positively charged membrane filters with urea-arginine phosphate buffer", Journal of Virological Methods 65 (1997) 281-286 J. Green, et al., "A nested reverse transcriptase PCR assay for detection of small round-structured viruses in envionmentally contaminated molluscan shellfish", Applied and Environmental Microbiology, Vo.64, No.3, Mar, 1998, p.858-863 特開平7−100378号公報 特開平11−156352号公報 特開2000−180430号公報
従来の紫外線消毒においては、ウイルスを不活化することができるが、ウイルス自体は残存するため、紫外線消毒を行った処理水が水域に放流された場合、食中毒性は消失しているにも拘わらず、遺伝子検査方法による食品衛生検査を実施した場合にウイルスが検出され、紫外線消毒の効果はないと判定されることになる。
一方、光触媒−紫外線消毒によれば、OHラジカルの作用によってウイルス自体を分解できる可能性が期待されるが、かかる効果を証明した事例は皆無である。また、光触媒−紫外線消毒においては、光触媒の劣化に伴う消毒効果の減退が懸念される。
したがって、従来の紫外線消毒では達成できない、ウイルスの分解消毒効果が著明なウイルスの分解消毒処理方法を提供することを課題とし、特に、光触媒を使用することなくOHラジカルを効果的に発生させる原理を利用した、光触媒−紫外線消毒と同等以上のウイルス分解効果を有するウイルスの分解消毒処理方法を提供することを課題とする。
本発明者らは種々の実験によって、被処理水中に、240nm以上300nm以下の範囲にある波長の紫外線照射と、100nm以上240nm未満の範囲にある波長の紫外線照射とを、組み合わせることによって、ウイルスの核酸が検出されないレベルまで完全に分解消毒できるという事実を発見した。
また、上記の操作に加えて、光触媒等の酸化剤を被処理水中に投入し、これに240nm以上400nm以下の範囲にある波長の紫外線を照射することで、より殺菌消毒効果が高くなることを発見した。
本発明は、これらの技術的発見を適用したものであり、その構成は、
(1)ウイルスが存在する被処理水中に100nm以上240nm未満の波長、及び240nm以上300nm以下の波長の紫外線を照射することを特徴とする、水中のウイルスの分解消毒処理方法。
(2)前記紫外線の照射と共に、前記被処理水中に酸化剤を投入することを特徴とする前記(1)に記載の方法。
(3)前記紫外線を照射する光源が、石英ガラス製の放電灯又はランプであって、水銀蒸気放電灯、重水素ランプ、キセノンランプ、メタルハライドランプ、エキシマランプの内の1種又は2種以上から選ばれることを特徴とする、前記(1)又は(2)に記載の方法。
(4)前記酸化剤が、光触媒、過酸化水素、オゾンの1種又は2種以上であることを特徴とする、前記(2)又は(3)に記載の方法。
(5)前記ウイルスがノロウイルスであることを特徴とする、前記(1)〜(4)のいずれかに記載の方法。
(6)前記被処理水が下水排水であることを特徴とする、前記(1)〜(5)のいずれかに記載の方法。
本発明により、水中に微量に含まれるウイルスを核酸の分解レベルまで、分解消毒が可能となり、消毒を行った際のウイルスの殺菌効果を把握できると共に、効率よく殺菌でき、ウイルスの感染を防止することができる。光触媒等の酸化剤の投入を行わなくてもよいため、装置を簡易にすることができ、且つコストも削減できるという優れた効果を発揮することができる。
ノロウイルス等のウイルスが含まれる被処理水中に、240nm以上300nm以下の範囲にある波長の紫外線を照射することでDNAを不活化することができる。
さらに、100nm以上240nm未満の範囲にある波長の紫外線を照射することで、被処理水の水分子を解離させてOHラジカルを生成させ、ウイルスの核酸を分解することができる。
これらを組合せることで、ウイルスの核酸が検出されないレベルまで分解消毒することが可能となる。そのため、PCR等の遺伝子検査方法でもウイルスは検出されず、確実に殺菌消毒効果を把握できる。
光触媒等の酸化剤を被処理水中に投入しなくても、分解消毒効果は高く、上記波長範囲の紫外線の光源のみがあればよいので、装置構成も簡易にでき、酸化剤のコストも削減できる。
ウイルスの分解消毒効果をさらに高めたいときや、被処理水中のウイルス濃度が高い場合等には、さらに光触媒等の酸化剤を被処理水中に投入し、240nm以上400nm以下の範囲にある紫外線を照射することで、紫外線が酸化剤に作用し、OHラジカルの生成が促進されて、ウイルスの核酸を分解するより高い効果を得ることもできる。
光源としては、紫外線の波長が100nm以上240nm未満の範囲と、240nm以上300nm以下の範囲の両方を照射可能なものであればよい。例えば、石英ガラス製の各種ランプを用いることができる。ランプの種類としては、低圧、中圧、高圧又は超高圧の各種水銀蒸気放電灯の他に、重水素ランプ、キセノンランプ、メタルハライドランプ、エキシマランプ等が使用できる。特にエキシマランプは、他のランプが180nmレベルが下限であるのに対し、120nmレベルの低波長域まで放射が可能となりOHラジカルの生成により効果的である。また、石英ガラスは、酸化チタンを10ppm(質量割合)含有するものが好ましい。酸化チタンを含むことで、OHラジカル生成効果をより付与することができるが、酸化チタンを多量に含んだ石英ガラスは240nm以下の波長の透過率が低い。含有量が10ppm以下であれば240nm以下の波長の紫外線も放射することができる。酸化チタンを含まなくても勿論構わない。100nm以上240nm未満の波長の紫外線が照射されるのでOHラジカルは光触媒が無くても生成するためである。100nm以上240nm未満の範囲の紫外線と、240nm以上300nm以下の範囲の紫外線を両方共に発する光源であるならば光源のみの構成で達成できるし、必要な処理流量に応じてより大電力の放電灯やランプを装着してもよいし、これらを複数組合せてもよい。
また、酸化剤に関しては、一般的なアナターゼ型の酸化チタン等の光触媒を用いることができるが、過酸化水素やオゾンでも構わない。下に過酸化水素やオゾンによるOHラジカルの生成反応を示す。
22+UV → 2OH・
3 +H2O +UV → O2+O・+H2O → O2+2OH・
加えて、240〜300nmの範囲の紫外線照射とOHラジカル生成を必ずしも同一槽内で行う必要はなく、前段で240〜300nmの範囲の紫外線を照射し後段でOHラジカルを生成させるという(あるいはその逆の)2段階に分けた処理でもよく、装置は必ずしも一般的なシリンダー型でなくともよい。また、光源の点灯は必ずしも連続点灯に拘らず、間欠点灯(フラッシュ点灯)でもよい。
河川や沿岸海水に存在するノロウイルスは、人の糞尿から放出されたものと考えられており、本発明を下水排水に適用することで、発生原を絶つことができ、有効である。
図1に本発明の実施例に用いた消毒処理装置の概要を示す。入水口1a、出水口1bを備えたステンレス製のシリンダー容器1内に、外管2をゴム製Oリング1c、1dを介して、両端水密状態で設置している。外管2は、内径30mm、肉厚1.5mmの石英ガラス製で、上端を開口し、下端を丸く閉じた形状にしている。3はランプ電力1kW、発光長400mmの中圧水銀蒸気放電灯で外管2内に収納している。4a〜4cは酸化チタン(TiO2)をステンレス製ワイヤーに担持した光触媒剤で、水流を横断する方向に複数枚設置することができる。中圧水銀蒸気放電灯には所定の電源(図示せず)が用意されている。
以下、実験の概要を説明する。
実施例1
数多くの下水処理場の排水をサンプリングし、遺伝子検査法によってノロウイルスが検出された水を被処理水に供試した。前記した消毒処理装置(本実施例1では、図中の4a、4b、4cの光触媒剤は設置しない。)に被処理水を通水して紫外線光源単独照射の紫外線照射実験を行った。
ステンレス製シリンダー内で一定量の被処理水を循環しながら、その中心軸に備えた光源から紫外線を照射した。その上でシリンダー出口側に設けたサンプリングコックから紫外線照射後の処理水を適宜サンプリングし、ノロウイルス濃度を測定した。
使用した光源は、酸化チタンの含有量が10ppm以下の石英ガラスでできた40W低圧水銀ランプおよび400W中圧水銀ランプの2種類を選定し、また、硼硅酸ガラスでできた40W低圧水銀ランプ(GLランプ)を比較例とした。光源の入れ替えの都度、試験排水も入れ替えた。3種類の光源の発光スペクトル分布を図3に示す。いずれのランプにも240〜300nmの範囲にあるDNA不活化波長の紫外線を含んでいるが、特徴的なことを挙げると、硼硅酸ガラス製のランプには240nm未満の波長域に発光がないのに対して、石英ガラス製低圧水銀ランプには185nmに、中圧水銀ランプには215〜240nmにも発光があり、また、低圧水銀ランプが254nm,313nm,365nmなどの線スペクトルであるのに対して、中圧水銀ランプは215〜400nmまで連続スペクトルを有していることである。
被処理水および処理水に含まれるノロウイルス濃度の測定は、PCR法(ポリメラーゼ・チェイン・リアクション法)を用いた。まず、PCR法に先立って、非特許文献1に記載の方法に準じて当該水に含まれるノロウイルスを正に帯電した膜フィルター上に吸着させ、尿素−アルギニン・ホスフェートバッファー(UAPB)で溶出させてウイルス濃縮液を得、次いで、QIAamp Viral RNA Mini Kit(QIAGENE社)を用いて該濃縮液からリボ核酸(RNA)を抽出回収した。さらに、回収したリボ核酸溶液について、非特許文献2に記載の方法に準じてRT−PCR法(逆転写PCR法)を行った。尚、RT−PCR法は、Real Time One Step RNA PCR Kit(タカラバイオ株式会社)と非特許文献2に記載のNIプライマーおよびSM31プライマー(表1)を用いて反応液を調製し、リアルタイムPCR装置(Cepheid社モデルSmart Cycler)を用いて、非特許文献2に記載のPCR反応条件で行い、観測されたDNA増幅曲線を比較解析して、ノロウイルス濃度の相対濃度を算出した。
Figure 2005296847
ノロウイルス濃度を測定した結果を以下の表2に示す。処理水のノロウイルス濃度は、紫外線照射前の被処理水のノロウイルス濃度を100%とした時の相対値として示した。本表で明らかなように、OHラジカルの発生がない硼硅酸ガラス製低圧水銀ランプを用いた比較例においては被処理水と同程度のノロウイルスが検出され、該光源ではノロウイルス分解効果がみられないが、OHラジカルの発生がある石英ガラス製低圧水銀ランプおよび中圧水銀ランプを光源とした場合、ノロウイルス分解効果が顕著であることを確認した。
Figure 2005296847
本実施例で以下のことが明らかになった。比較例として実施した硼硅酸ガラス製の低圧水銀ランプの紫外線を照射した処理水からはノロウイルス由来の断片が検出され、その濃度は原水と同等レベルであったのに対して、石英ガラス製の2種類の水銀ランプを使用した処理水ではノロウイルス濃度低下が認められ、その効果は中圧水銀ランプよりも低圧水銀ランプの方がやや高かった。
本発明者らはこの実験結果を次のように解析した。硼硅酸ガラス製ランプと石英ガラス製ランプの差異は、240nm未満の波長域の紫外線有無である。つまり、水分子H2OのH−OHの解離エネルギーは499kJ/molであり、この解離エネルギーに相当する光の波長は243nmと算定され、この波長よりも短い(すなわちエネルギーが高い)240nm未満の紫外線は水分子H2Oを解離してOHラジカルを生成することができる。OHラジカルは極めて酸化力が強いため、ノロウイルスの核酸やエンベロープに損傷を与え分解し得たものと考えられる。このことは次の第2ステップの実験結果から十分裏付けられた。
実施例2
数多くの下水処理場の排水をサンプリングし、遺伝子検査法によってノロウイルスが検出された水を被処理水に供試した。前記した消毒処理装置に被処理水を通水し、酸化剤として光触媒剤を該装置内に設置して紫外線照射実験を行った。
光触媒触媒剤は、アナターゼ型の酸化チタン(TiO2)を担持させたステンレス製メッシュを束子状に加工し、光源の周囲2〜3箇所に間隔を置いて配置した。
ステンレス製シリンダー内で一定量の被処理水を循環しながら、その中心軸に備えた光源から紫外線を照射した。その上でシリンダー出口側に設けたサンプリングコックから紫外線照射後の処理水を適宜サンプリングし、前記した方法にてノロウイルス濃度を測定した。
使用した光源は、酸化チタンの含有量が10ppm以下の石英ガラスでできた40W低圧水銀ランプおよび400W中圧水銀ランプ、および、硼硅酸ガラスでできた40W低圧水銀ランプ(GLランプ)の3種類を選定した。光源の入れ替えの都度、試験排水も入れ替えた。
ノロウイルス濃度を測定した結果を以下の表3に示す。処理水のノロウイルス濃度は、紫外線照射前の被処理水のノロウイルス濃度を100%とした時の相対値として示した。本表で明らかなように、いずれの光源についてもノロウイルス分解効果が確認でき、特に、石英ガラス製中圧水銀ランプを光源とした場合、ノロウイルス分解効果が顕著であることを確認した。
Figure 2005296847
アナターゼ型の酸化チタンは光触媒効果を有し、自身のバンドギャップである3.2eVを越えるエネルギーの光照射を受けて電子と正孔を生成し、その正孔がOHラジカルを生成することが知られている。従って240〜400nmの波長の光を受けてOHラジカルを生成し得る。
硼硅酸ガラス製ランプを使用した場合であってもノロウイルスウイルス分解消毒し得た理由は、酸化チタンが光源から発する光を受けてOHラジカルを生成し、そのOHラジカルがノロウイルスの核酸やエンベロープに損傷を与え分解し得たものと考えられる。特に中圧水銀ランプとの併用時に顕著な結果が得られた理由は、400nm付近までの長波長側の紫外線が多量のOHラジカル生成に大きく寄与したためと考えられる。
尚、実験に使用した各種光源には核酸を変性させうる240〜300nm域の紫外線が含まれている。OHラジカルがウイルスの核酸を、遺伝子検査方法によっても検出し得ない程度にまで分解していることは上述の通りであるが、少なくとも食中毒を防除するという消毒の第一の要件を満足させるためには、ウイルスの核酸を分解するに至らなくとも、核酸を変性させてウイルスを不活性化しておくことが肝要である。したがって、OHラジカルの生成と併せてDNA不活化波長である240〜300nm域の紫外線を照射することが重要である。
実施例3
上述の通り、ノロウイルス分解にはOHラジカルが重要であることが示されたが、前記実施例1および2の紫外線照射条件におけるOHラジカル生成量を測定した。OHラジカル生成量の測定は、特許文献2に記載のラジカルとラップ法に準拠して行った。つまり、前記実施例で用いたノロウイルスを含有した下水処理場の排水に代えて、ジメチルスルホキシド溶液を被処理水として供試し、前記実施例と同様に紫外線照射を行った。ジメチルスルホキシドはOHラジカルと反応してメタンスルフィン酸を生じることから、処理水を回収してメタンスルフィン酸濃度を測定すればOHラジカル生成量を容易に測定できる。
光源は、酸化チタンの含有量が10ppm以下の石英ガラスでできた40W低圧水銀ランプおよび400W中圧水銀ランプ、および、硼硅酸ガラスでできた40W低圧水銀ランプ(GLランプ)の3種類をそれぞれ使用した。また、酸化剤として光触媒を用いた場合と用いない場合とについてそれぞれ行った。
結果を以下の表4に示す。OHラジカル生成が最も顕著であった石英ガラス製400W中圧水銀ランプと光触媒を併用した条件におけるOHラジカル生成量を100%とした時の相対値として表記した。
実施例1及び2に前記したノロウイルス分解効果と同じ序列でOHラジカル生成が確認でき、OHラジカル生成がノロウイルス分解に効果的であることは明らかである。
Figure 2005296847
実施例4
図1に示した消毒処理装置を下水処理場に設置し、長期間に渡って実験を行った。処理流量は1時間当たり50〜100m3で、ほぼ1回/月の頻度でノロウイルスの濃度を分析評価した。
結果を図2に表す。図2は、初回サンプリング時の原水中のノロウイルス濃度を100%として、各サンプリング時の原水中のノロウイルス濃度および本装置出口でのノロウイルス濃度を相対値で表している。原水中のノロウイルス濃度が必ずしも一定でないので、出口のノロウイルス濃度も一定レベルではないが、全期間を通して出口のノロウイルス濃度は大幅に減少している。特に処理流量が少ない期間ではノロウイルス核酸が全く検出されないという極めて良好な結果が得られた。
したがって、本発明による処理方法および装置を用いることで、遺伝子検出検査方法でもノロウイルスの核酸が検出されないレベルまで完全に分解消毒できることが裏付けられた。
本発明のウイルス分解消毒装置の概略図である。 実施例4におけるウイルス分解消毒実験の結果を示すグラフである。 実施例に用いた光源の分光エネルギー分布を示す図である。
符号の説明
1…ステンレス製のシリンダー容器
1a…入水口
1b…出水口
1c…ゴム製Oリング
1d…ゴム製Oリング
2…外管
3…紫外線ランプ
4a…光触媒剤
4b…光触媒剤
4c…光触媒剤

Claims (6)

  1. ウイルスが存在する被処理水中に100nm以上240nm未満の波長、及び240nm以上300nm以下の波長の紫外線を照射することを特徴とする、水中のウイルスの分解消毒処理方法。
  2. 前記紫外線の照射と共に、前記被処理水中に酸化剤を投入することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. 前記紫外線を照射する光源が、石英ガラス製の放電灯又はランプであって、水銀蒸気放電灯、重水素ランプ、キセノンランプ、メタルハライドランプ、エキシマランプの内の1種又は2種以上から選ばれることを特徴とする、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記酸化剤が、光触媒、過酸化水素、オゾンの1種又は2種以上であることを特徴とする、請求項2又は3に記載の方法。
  5. 前記ウイルスがノロウイルスであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記被処理水が下水排水であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
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