JP2005290888A - 圧入支持杭並びに圧入支持杭の施工方法及び設計方法 - Google Patents

圧入支持杭並びに圧入支持杭の施工方法及び設計方法 Download PDF

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Abstract

【課題】
地盤改良により圧入支持杭の使用荷重に合った地層を支持層とし、施工のコストを削減する。また、圧入支持杭の特性を実測値から求め、圧入支持杭の信頼性を高め、安全率を多く取ることで生じていた無駄をなくす。
【解決手段】
圧入支持杭1にかかる摩擦抵抗を低減させながら圧入し、摩擦抵抗による支持力を排除して、圧入支持杭1先端部の地盤の支持力に基づく圧入支持杭1の特性を正しく評価する。また、圧入支持杭1に対して静荷重の付加と解放を圧入支持杭1の垂直変位が所定の変位量以下となるまで繰り返し、圧入支持杭1先端部の地盤をほぼ弾性化するとともに、静荷重の変化と圧入支持杭1の垂直変位量が比例関係となるようにし、この関係から圧入支持杭1の特性を求めて評価する。評価杭2を用いて圧入支持杭としての特性を求めて評価した後、圧入支持杭1を設計し、地盤の状態や上部構造物に合った適切な圧入支持杭を構築する。
【選択図】図6

Description

本発明は、地盤に圧入されて建築物の基礎をなす圧入支持杭と、この圧入支持杭の施工方法及び設計方法に関する。
従来より、建築物の基礎として地盤に杭を打ち込み、この上部に建築物を構築することで杭によって建築物を支持する支持杭が知られている。
この支持杭の設計、施工にあたっては、標準貫入試験によって地層の構成を調査するとともに、地層の硬さを評価する値であるN値を求め、ある一定の値以上のN値と厚さを持つ地層を支持層とするとしている。
また、支持杭の先端部における最大の支持力である極限支持力は、テルツァギの理論を元にマイヤーホフが拡張した理論によって推定できるとされている。
この理論によれば、支持杭の先端部の地盤は理想状態において、あるモデルに従う挙動をすると考えられており、土質によって決まる土質の粘着力、内部摩擦角、上載圧力などの基礎常数をこのモデルに適用すれば、杭先端部での極限支持力を推定できるとされている(例えば、非特許文献1参照)。
また、実際に施工した支持杭の支持力の評価は、載荷試験によって行われており、これによって、杭の第1限界支持力、第2限界支持力を求め、支持杭の極限支持力を算出して評価している。
土木学会編、「土木工学ハンドブックI」、第四版、技報堂出版、1989年11月18日、p.373−379
標準貫入試験によってN値を求める方法においては、測定条件などによって値が変動することがある。
また、テルツァギらの理論における理想状態のモデルで用いられる土質の基礎常数は、いずれも推定値であり、さらに、実際の杭先端部における地盤の挙動は、地盤内部の構造が複雑なため、必ずしもこの理想状態を取るとは言えない。すなわち、上述したように、テルツァギらの理論における極限支持力はあくまでも推定値である。
従来は、これらN値や理論を判断基準として支持杭を設計しているが、上述のように、これらは不確定な要素を含んでいる。
よって、支持杭の設計段階において安全率等を多く取るような設計とするため、深い所にある硬い地層を支持層として、極端に長い支持杭を設計することもあった。
しかし、支持杭の使用荷重等によっては、これより浅い層を支持層とすることが可能であり、実際の使用荷重に対する無駄が多くなっていた。
さらに、載荷試験によって支持杭の支持力を測定する場合には、支持杭の施工後に試験に必要な装置等を搬入して行うため、工期が長くなるとともにコストも増大する。また、載荷試験に用いた支持杭は破壊されてしまうため、使用される支持杭に対して試験を行うことはできなかった。
本発明の課題は、地盤に圧入されて建築物を支持する圧入支持杭の設計、施工において、砂質土層等を地盤改良することで支持杭の使用荷重に見合った地層を支持層にできるようにし、施工のコストを削減することである。
また、実際に使用される圧入支持杭についての特性を、実測値から求められるようにし、支持杭の信頼性を高めるとともに、安全率を多く取ることで生じていた無駄を無くすことである。
以上の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、例えば、図1から4に示すように、地盤に圧入されて上部構造物を支持する圧入支持杭1の施工方法において、
前記圧入支持杭1にかかる摩擦抵抗を低減させるように前記圧入支持杭1を圧入する圧入工程と、
前記圧入工程における圧入力が所望の圧入力の範囲となった場合に、前記圧入工程で圧入された前記圧入支持杭1に対して、前記圧入力に対応する静荷重の付加と解放を前記圧入支持杭1の垂直変位量が所定の変位量以下となるまで繰り返す静荷重付加工程と、
を有することを特徴とする。
ここで、「圧入支持杭」とは、圧入工法を用いて構築された支持杭のことである。
このように、圧入支持杭1にかかる摩擦抵抗を低減させながら圧入する圧入工程を有することで、圧入工程の後に行う静荷重付加工程で、付加した静荷重を効率よく圧入支持杭杭先端部に伝達できるようになる。また、摩擦抵抗による圧入支持杭1の支持力を排除でき、圧入支持杭先端部の地盤の支持力のみに基づく圧入支持杭1の特性を求められる。
また、圧入工程における圧入力が所望の圧入力の範囲となった場合に、圧入支持杭1に対して静荷重の付加と解放を繰り返す静荷重付加工程を有することで、圧入支持杭先端部の地盤をほぼ弾性化することができ、地盤を改良することができる。
さらに、この静荷重の付加と解放を圧入支持杭1の垂直変位量が所定の変位量以下となるまで繰り返すことで、静荷重の変化と圧入支持杭1の垂直変位量が比例関係となり(地盤が弾性化)、この関係から圧入支持杭1の特性を求めて評価することができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の圧入支持杭の施工方法であって、例えば、図1または2に示すように、前記圧入工程における圧入方法は、所定の長さ範囲の圧入を順次繰り返す方法とし、かつ、前記圧入方法は前記所定の長さ範囲で圧入された前記圧入支持杭1を、前記所定の長さ範囲で引き上げ、再び圧入する工程を含むことを特徴とする。
このように、圧入支持杭1の圧入の際に、所定の長さ範囲で圧入された圧入支持杭1を、所定の長さ範囲で引き上げ、再び圧入するようにしたことで、圧入支持杭1の周面と地盤との間に働く摩擦抵抗が低減されるとともに、圧入支持杭1の周面付近の地盤内部における剪断破壊が促進され、圧入支持杭1に働く摩擦抵抗を低減できる。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の圧入支持杭の施工方法であって、例えば、図4または6に示すように、前記圧入支持杭の垂直変位量が所定の変位量以下となった状態における前記静荷重の変化と前記圧入支持杭の垂直変位量の関係から、前記圧入支持杭の特性を求めて評価することを特徴とする。
このように、静荷重の変化と圧入支持杭の垂直変位量の関係から圧入支持杭の特性を推定値ではなく確定値として求め、圧入支持杭としての評価をすることができ、過大な安全率を見込んで必要以上に深い地層まで支持杭を施工する必要がなくなる。
ここで圧入支持杭の特性とは、静荷重の変化と圧入支持杭の垂直変位量の関係から求められるバネ常数と、静荷重付加工程で加えた静荷重の最大値である弾性限界荷重と、圧入支持杭に弾性限界荷重が加わったときの変位である弾性限界変位のことである。
また、実際に施工した圧入支持杭の特性を、確定値として把握できるので、支持杭の信頼性が向上する。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の圧入支持杭の施工方法であって、例えば、図1から6に示すように、前記圧入支持杭1を圧入する前に、前記圧入支持杭1の前記特性を求めて評価する評価杭2を、前記圧入工程と前記静荷重付加工程とを用いて圧入して前記特性を求めて評価した後、前記特性の評価に基づき設計された前記圧入支持杭1の圧入を行うことを特徴とする。
このように、評価杭2を用いて圧入支持杭1としての特性を求めて評価してから圧入支持杭1を施工することで、地盤の状態や上部構造物の設計に合わせた適切な圧入支持杭1を選択することができる。
すなわち、評価杭2で求められた特性としての弾性限界荷重、弾性限界変位及びバネ常数等と上部構造物の設計から、上部構造物を支持する支持杭としての性能を評価し、この評価に基づいて支持杭の設計変更をすることができる。
請求項5に記載の発明は、地盤に圧入されて上部構造物を支持する圧入支持杭の設計方法において、例えば、図1から6に示すように、
前記圧入支持杭1の特性を求めて評価する評価杭2を、前記評価杭2にかかる摩擦抵抗を低減させるように圧入する圧入工程と、
前記評価杭2に対して所定の静荷重の付加と解放を、前記評価杭2の垂直変位量が所定の変位量以下となるまで繰り返す静荷重付加工程と、を用いて圧入し、
前記評価杭2の垂直変位量が所定の変位量以下となった状態における前記静荷重の変化と前記評価杭2の垂直変位量の関係から前記特性を求めて評価し、
前記特性の評価に基づき圧入支持杭1の数、材質、長さ、断面形状などの圧入支持杭1に関する設計データを決定することを特徴とする。
このように、評価杭2によって圧入支持杭1としての特性を求めて評価し、この特性に基づき圧入支持杭1に関する設計データを決定することで、請求項4の効果と同様の効果を得ることができる。
請求項6に記載の発明は、請求項1から4の何れか一項に記載の圧入支持杭の施工方法を用いることで構築された圧入支持杭であって、例えば、図1から5に示すように、前記圧入工程を行った後に前記静荷重付加工程を行うことで構築されたことを特徴とする。
このような圧入支持杭1によれば、請求項1から4の何れか一項の効果と同様の効果を得ることができる。
請求項7に記載の発明は、請求項5に記載の圧入支持杭の設計方法で設計された圧入支持杭であって、例えば、図1から5に示すように、前記評価杭2の特性の評価に基づいて設計され、かつ、前記圧入工程を行った後に前記静荷重付加工程を行うことで構築されたことを特徴とする。
このような圧入支持杭1によれば、請求項5の効果と同様の効果を得ることができるとともに、請求項1に記載の効果と同様の効果を得ることができる。
本発明によれば、圧入支持杭に対して静荷重の付加と解放を繰り返すことで地盤をほぼ弾性化し、圧入支持杭の使用荷重に見合った地層を支持層とすることができる。また、圧入支持杭の特性を確定値として得ることができ、これをもとに圧入支持杭の設計、施工を行うことで、コストを削減できるとともに、圧入支持杭の信頼性を高めることができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態を詳細に説明する。
本発明において、圧入支持杭1の施工を行う杭圧入引抜装置は、本体に対して上下に昇降可能な杭を把持する把持手段を備え、自重や反力装置、先に圧入した杭等から反力を得て地盤に杭を圧入できるものである。
以下、このような杭圧入引抜装置を用いた圧入支持杭1の設計方法及び施工方法について説明する。
まず、圧入支持杭1を施工する地盤に対して、ボーリング調査などの土質調査を行い、地盤の状態を調査する。この土質調査の結果や、上部構造物の設計などから、支持層として好適な地層の見当をつけ、圧入支持杭1として適当なものを評価杭2として仮設計する。
なお、後述する静荷重付加工程における静荷重の付加と解放による地盤の弾性化は、荷重に対して地盤が変形するときに時間依存性がないもの、つまり、荷重の増減速度に関係なく荷重と変位がほぼ線形に対応するもの、例えば、砂質土、砂、礫質土及び礫のように土質中に粒径が0.075mm以上の粒子を50%より多く含むものに対して好適である。これ以外の土質において、例えば、シルトは支持層として不適である。また、粘性土は、荷重に対する地盤の変位が荷重の増減速度にも影響されるので、荷重と変位の関係が複雑となり、本発明の工法で弾性化しない可能性があるため不適である。
このため、本発明の工法において、圧入支持杭1を支持する支持層としては、例えば、砂質土のような、荷重に対して変形するときに時間依存性がない土質からなり、かつ、所定の厚みを有する層であることが必要であって、土質調査によってこのような層の存在を確認する必要がある。
次に、評価杭2を地盤に圧入する圧入工程を行う。
土質調査の結果から支持層として適用でき得ると判断された地層に対し、杭圧入引抜装置を用いて評価杭2に働く摩擦抵抗を低減させるようにして圧入する。この評価杭2に働く摩擦抵抗を低減させる圧入方法としては、例えば、図1に示すように、(a)所定の長さだけ評価杭2を圧入した後、(b)この所定の長さの範囲で評価杭2を引き上げ、(c)再び引き上げた長さだけ評価杭2を圧入する動作を一つの工程とし、この工程を繰り返して所定の深さまで評価杭2を圧入する方法とする。
また、図2に示すように、(a)評価杭2を所定の長さ圧入し、(b)この所定の長さの範囲で評価杭2を引き上げる動作を一つの工程とし、圧入の際に、引き上げた長さ以上圧入するようにして順次これを繰り返すことで所定の深さまで評価杭2を圧入するようにしても良い。すなわち基本的に、圧入工程における圧入方法は、所定の長さ範囲の圧入を順次繰り返す方法とし、かつ、所定の長さ範囲で圧入された圧入支持杭1を、所定の長さ範囲で引き上げ、再び圧入する工程を含む方法とする。
このように評価杭2を上下動させながら圧入することで、評価杭2の周面と地盤の間に働く摩擦抵抗が低減されるとともに、評価杭2の周面付近の地盤内部における剪断破壊が促進され、評価杭2に働く摩擦抵抗が低減される。
よって、圧入支持杭1を圧入する時の力の損失を最低限にすることができ、軸力として圧入支持杭1の先端部に伝達できるようになる。
また、圧入支持杭1が上部構造物を支持する支持力は、圧入支持杭1の先端部の地盤による支持力と、圧入支持杭1に働く摩擦抵抗による支持力とに分けられる。このうち圧入支持杭1に働く摩擦抵抗は、圧入支持杭1の周面と地盤との摩擦抵抗だけでなく、圧入支持杭1周辺の地盤内部の状態にも影響され、振動などによって圧入支持杭1周辺の地盤の内部で剪断破壊が起こることで減少する。すなわち、摩擦抵抗による支持力は、施工からの時間の経過とともに減少するものである。施工された圧入支持杭1は、後から補修や交換が困難なため、長期的な圧入支持杭1の信頼性を評価するにあたっては、当初から摩擦抵抗による支持力を考慮せず、杭先端部の地盤による支持力のみから求められた特性に基づく評価をする必要がある。よって、圧入工程において、杭に働く摩擦抵抗を低減するように圧入することが望ましい。
上述のように摩擦抵抗を低減させながら評価杭2の圧入を行い、土質調査により支持層として適用でき得ると判断された地層のうち、評価杭2を圧入するときの圧入力が所望の圧入力の範囲である地層、すなわち、圧入力が、設計段階における圧入支持杭1の使用荷重の限界値以上必要である地層に達したら静荷重付加工程を行う。この静荷重付加工程によって、杭先端部の地盤をほぼ弾性化するとともに、評価杭2の特性の評価を行うことができる。ここで、圧入力とは、圧入時に杭先端部にかかる圧力のことである。
図3には、この静荷重付加工程における時間に対する静荷重の変化を示した。この静荷重付加工程は、静荷重を掛けない状態Aから、所定の静荷重を付加した状態Bを経て、再び静荷重を解放して静荷重を掛けない状態Cとなるまでを1サイクルとし、これを後述するように地盤が弾性化するまで繰り返す。
なお、このとき加える静荷重の最大値Pは、圧入工程でこの地層に評価杭2を圧入したときの圧入力(圧入最終荷重)に対応するものとする。すなわち、圧入最終荷重と等しいか、圧入支持杭1の使用荷重の限界値を下回らない範囲で圧入最終荷重よりも小さいものとする。また、Bの状態においては、付加した静荷重の最大値Pで静荷重を保持せず、すぐに解放するものとする。さらに、静荷重を解放した状態A、Cにおいては、静荷重を完全に0とする必要はなく、若干の静荷重が残っていても良い。
ここで、この静荷重付加工程における地盤の弾性化の過程について説明する。
地盤に対して評価杭2を通じて静荷重を付加すると地盤が沈み、この静荷重を解放すると沈んでいた地盤が元に戻る。この地盤の変位は杭頭の垂直変位量により観測でき、この杭頭の垂直変位量と荷重の変化との関係を示したものが図4であり、このうち、静荷重付加工程の1サイクルにおける杭頭の垂直変位量と荷重の変化を示したものが図5である。
図5において、静荷重を付加する前のH点(図4のD点の状態に対応)の状態から静荷重を付加していくと、静荷重の増加に伴い杭頭が変位して実線で示した経路を辿りI点(図4のE点の状態に対応)の状態となる。このI点の状態から静荷重を解放すると、沈んでいた地盤が戻るため、点線で示した経路を辿りJ点(図4のF点の状態に対応)の状態となる。静荷重付加工程の初期の状態においては、地盤の沈み量よりも地盤の戻り量が少ないため、H点とJ点は一致しない。つまり、J点の状態においては、H点の状態よりも杭頭が沈んでいることとなる。
引き続き静荷重の付加と解放を繰り返すと、図4に示すように、杭頭が当初の位置より沈んだ位置となるが、静荷重の付加前における杭頭の垂直変位量(図5のH点)と、静荷重の解放後における杭頭の垂直変位量(図5のJ点)の差が収束してほぼ0となる(図4のGの状態)。このように、静荷重の付加前と静荷重の解放後での杭頭の垂直変位量の差がほぼ一致し、静荷重の変化と杭頭の垂直変位量が比例関係となり、線形的な挙動を示すようになった状態を地盤が弾性化したと呼ぶ。
なお、弾性化した地盤において、静荷重の付加と杭頭の垂直変位量の関係は、完全な線形ではなく、静荷重の増加時と減少時とで同じ荷重がかかっていても異なった変位量を示すが、静荷重の付加前と静荷重の解放後での杭頭の垂直変位量の差がほぼなくなった状態を地盤が弾性化した状態とする。
そして、図4に示すような杭頭の垂直変位と荷重の変化との関係を示した図において、静荷重の付加前の状態D(図5のH点)と付加後の状態E(図5のI点)を結んだ直線のうち、Gの状態における直線Lの傾きが、この評価杭2の特性であるバネ常数Kpとなる。
なお、この評価杭2のバネ常数Kpは、評価杭2先端の地盤のバネ常数と評価杭2自体のバネ常数が複合したものである。
次に、評価杭2の施工結果に基づく圧入支持杭1としての性能の評価について説明する。
上述した評価杭2の施工によって求められた評価杭2のバネ常数Kpと、付加した静荷重の最大値から図6に示すような特性図を作成することができる。この特性図においては、縦軸が荷重、横軸が杭頭の垂直変位量となっており、原点Oを通り、静荷重付加工程で測定された評価杭2のバネ常数Kpを傾きとする直線Lが、付加した静荷重の最大値Pとなる点まで引かれている。
静荷重付加工程において付加した荷重の最大値Pは、評価杭2を圧入する圧入工程において加えた圧入力とほぼ等しいか若干小さいものであり、このときの荷重より大きい荷重が杭に加わると、杭が地盤に圧入され、弾性挙動を示さなくなる。つまり、静荷重付加工程において付加した荷重の最大値Pが、この評価杭2の弾性限界荷重となり、この弾性限界荷重における杭頭の垂直変位量が、この評価杭2の弾性変位限界となる。よって、この評価杭2と同じ設計の圧入支持杭1の使用範囲は、弾性限界荷重以下で、かつ、バネ常数Kpを傾きとする直線よりも杭頭の垂直変位量が小さい範囲(網掛けの部分)となる。
特性図から求められた評価杭2の特性である弾性限界荷重、弾性変位限界、バネ常数Kpと上部構造物の設計から評価杭2の圧入支持杭1としての評価をし、この評価に基づいて、実際に施工する圧入支持杭1の数、材質、長さ、断面形状などを設計する。
例えば、仮設計した評価杭2の圧入工程において、使用荷重の限界値以上の圧入力を要する地層がなかったときは、杭の数を増やして各圧入支持杭1の使用荷重を減らすようにする。もしくは、圧入支持杭1の長さを長くし、より深いところにある強固な地盤を支持層としたりして十分な支持力を得られるようにする。ただし、圧入支持杭1の材質、断面形状なども総合的に判断し、細くて極端に長い杭を施工するような設計にならないようにする。逆に、仮設計よりも浅い位置に支持層として好適な地層があったときは、圧入支持杭1を短くすることや、数を減らすことでコストを削減できる。
また、特性図から明らかとなった圧入支持杭1の使用範囲(図6の網掛けの部分)に、当初の設計における支持杭の使用範囲が収まらないときも、適宜設計を変更して特性図に示された使用範囲に収まるようにする。
以上のような圧入支持杭1の設計において、当初の設計から大きな設計変更が必要となった場合は、新たな設計を元に再度評価杭2を仮設計して施工し特性を求め、特性の再評価を行っても良い。
また、評価杭2の仮設計の段階において、従来のように標準貫入試験から得られるN値を元に仮設計しても良いが、本発明の施工方法によって構築された圧入支持杭1のデータが多数あれば、これを元に仮設計しても良い。
例えば、施工した土質と圧入支持杭1の形状などとともにその圧入支持杭1の特性図をデータベースとして蓄積しておき、新たに施工する場所における地盤の土質調査の結果をこのデータベースに照らし合わせ、圧入支持杭1として最適なものを選択できるようにする。このようにすれば、仮設計が容易になるとともに、仮設計と実際の設計との差を小さくでき、設計変更にかかる手間を削減できる。
このように、当初の設計に基づいて評価杭2を仮設計し、静荷重付加工程における静荷重の変化と垂直変位量の関係から特性を求めて評価することで、圧入支持杭1として適切なものを選択でき、施工の無駄を無くすことができる。また、上述の特性図の値はすべて実測値から求められた確定値であるので、この特性図を元に圧入支持杭1の設計を行えば、信頼性の高い圧入支持杭1を施工できるとともに、過大な安全率を見込む必要がなくなる。
圧入支持杭1の設計が決定したら圧入支持杭1の施工を行う。
圧入支持杭1の施工方法は、上述した評価杭2の施工方法と同じであり、圧入支持杭1にかかる摩擦抵抗を低減するように地盤に圧入する圧入工程と、目的とする地層において、圧入支持杭1の垂直変位が所定の変位量以下となるまで繰り返す静荷重の付加と解放を繰り返す静荷重付加工程により施工する。
以上のように設計、施工された圧入支持杭1は、この上部に構築される構造物を支持するものとして使用される。
なお、この施工と同時にそれぞれの圧入支持杭1についての特性を求め、評価杭2と同じように評価することができる。これによって、現場で圧入支持杭1としての特性を確認しながら施工することができ、例えば、地盤中に不陸があっても確実に支持層を捕らえることができるとともに、この不陸を調査するための地盤調査をしなくてもすむのでコストを削減できる。また、全圧入支持杭1の特性から支持力分布のデータベースを作成可能であり、これらのデータを用いて統計的な手法により基礎の性能の解析が可能となる。
なお、以上の実施の形態においては、杭を上下動させながら圧入することで杭に働く摩擦抵抗を低減させるとしたが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、鋼管杭のように断面形状が円形の杭においては、杭を回転させながら圧入することで杭に働く摩擦抵抗を低減するようにしても良い。
また、静荷重付加工程における静荷重の昇降圧速度も任意であり、その他、具体的な工程等についても適宜に変更可能であることは勿論である。
本発明を適用した一実施の形態の圧入工程を示す図である。 圧入工程の別の例を示す図である。 静荷重付加工程における、時間と荷重の変化とを表す図である。 静荷重付加工程における、荷重の変化と杭頭の垂直変位量を示す図である。 静荷重付加工程の1サイクルにおける荷重の変化と杭頭の垂直変位量を示す図である。 圧入支持杭の特性図である。
符号の説明
1 圧入支持杭
2 評価杭
P 圧入最終荷重(弾性限界荷重)

Claims (7)

  1. 地盤に圧入されて上部構造物を支持する圧入支持杭の施工方法において、
    前記圧入支持杭にかかる摩擦抵抗を低減させるように前記圧入支持杭を圧入する圧入工程と、
    前記圧入工程における圧入力が所望の圧入力の範囲となった場合に、前記圧入工程で圧入された前記圧入支持杭に対して、前記圧入力に対応する静荷重の付加と解放を前記圧入支持杭の垂直変位量が所定の変位量以下となるまで繰り返す静荷重付加工程と、
    を有することを特徴とする圧入支持杭の施工方法。
  2. 前記圧入工程における圧入方法は、所定の長さ範囲の圧入を順次繰り返す方法とし、かつ、前記圧入方法は前記所定の長さ範囲で圧入された前記圧入支持杭を、前記所定の長さ範囲で引き上げ、再び圧入する工程を含むことを特徴とする請求項1に記載の圧入支持杭の施工方法。
  3. 前記圧入支持杭の垂直変位量が所定の変位量以下となった状態における前記静荷重の変化と前記圧入支持杭の垂直変位量の関係から、前記圧入支持杭の特性を求めて評価することを特徴とする請求項1または2に記載の圧入支持杭の施工方法。
  4. 前記圧入支持杭を圧入する前に、前記圧入支持杭の前記特性を求めて評価する評価杭を、前記圧入工程と前記静荷重付加工程とを用いて圧入して前記特性を求めて評価した後、前記特性の評価に基づき設計された前記圧入支持杭の圧入を行うことを特徴とする請求項3に記載の圧入支持杭の施工方法。
  5. 地盤に圧入されて上部構造物を支持する圧入支持杭の設計方法において、
    前記圧入支持杭の特性を求めて評価する評価杭を、前記評価杭にかかる摩擦抵抗を低減させるように圧入する圧入工程と、
    前記評価杭に対して所定の静荷重の付加と解放を、前記評価杭の垂直変位量が所定の変位量以下となるまで繰り返す静荷重付加工程と、を用いて圧入し、
    前記評価杭の垂直変位量が所定の変位量以下となった状態における前記静荷重の変化と前記評価杭の垂直変位量の関係から前記特性を求めて評価し、
    前記特性の評価に基づき支持杭の数、材質、長さ、断面形状などの支持杭に関する設計データを決定することを特徴とする圧入支持杭の設計方法。
  6. 請求項1から4の何れか一項に記載の圧入支持杭の施工方法を用いることで構築された圧入支持杭であって、
    前記圧入工程を行った後に前記静荷重付加工程を行うことで構築されたことを特徴とする圧入支持杭。
  7. 請求項5に記載の圧入支持杭の設計方法で設計された圧入支持杭であって、
    前記評価杭の特性の評価に基づいて設計され、かつ、前記圧入工程を行った後に前記静荷重付加工程を行うことで構築されたことを特徴とする圧入支持杭。
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