JP2005285698A - 燃料電池システム - Google Patents

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靖和 岩崎
Yasuhiro Numao
康弘 沼尾
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Abstract

【課題】一酸化炭素によって燃料電池を劣化させない燃料電池システムを提供する。
【解決手段】原料と水蒸気と空気によって改質ガスを生成するATR1と、ATR1の下流に位置し、改質ガス中の一酸化炭素を低減する高温シフト反応器2、低温シフト反応器3、選択酸化反応器4を備えた燃料電池システムにおいて、燃料電池5と熱交換を行う純水を蓄え、ATR1などに供給する空気を加湿するバブリングタンク6を備える。そして、燃料電池システムの加湿量に応じて、燃料電池5が劣化しないように燃料電池5の発電量(負荷)を制御する。
【選択図】 図1

Description

本発明は燃料改質型の燃料電池システムに関するものである。
従来、燃料電池自動車等の移動体用改質型燃料電池発電システムでは、その改質システムの応答性が悪く、激しく変動する要求電力に対して燃料電池だけでの追従が難しく、自動車の減速時の回生電力を有効に活用することで実用燃費を向上させるために強電バッテリと併用したハイブリッド電源システムとすることが一般的である。
ところで、燃料電池自動車の運転者がKey Onとすると、まず改質システムの起動が開始され、例えば1分程度で改質システムの暖機は終了し、改質システムは燃料電池が所望する組成の水素を含む改質ガスを燃料電池に供給し始め、燃料電池で発電が開始される。燃料電池で発電が開始された際には燃料電池は室温の状態である。燃料電池の暖機は燃料電池を外部暖機手段によって暖機するのではなく、燃料電池の発電に伴う発熱を利用して自己暖機させることが一般的である。
しかし、燃料電池ならびにその冷却系を含めた熱容量は極めて大きく、燃料電池の暖機完了までの時間は、燃料電池自動車の車重等のスペック、燃料電池発電システムの最大定格等のスペック、そして何よりも、どのような環境下でどのような運転走行を行ったか、に大きく依存するが、およそ数分〜数十分を要する。
燃料電池システムにおいて、燃料電池の排熱を熱源とし、改質器に供給される空気を加湿するものが特許文献1に開示されている。
特開2000−306594号公報
しかし、上記の発明では、空気が加湿されていない場合には、一酸化炭素濃度を十分に低減できず、一酸化炭素濃度が高い改質ガスを燃料電池に供給してしまい、燃料電池を劣化させるといった問題がある。
その解決方法として、一酸化炭素濃度を低減するために一酸化炭素低減装置を大型にし、一酸化炭素を低減させることが考えられる。
しかし、例えば、燃料電池自動車に搭載する場合には、搭載できるスペースなどに制限があるために、燃料電池システムを大型にすることが困難であるといった問題がある。
本発明ではこのような問題点を解決するために発明されたもので、燃料改質型の燃料電池システムにおいて、小型の燃料電池システムを使用し、一酸化炭素の低減に必要な水と水蒸気量に応じて燃料電池の発電量を制限し、一酸化炭素による劣化を防止しすることを目的とする。
本発明では、原料と水蒸気と酸化剤によって水素リッチな改質ガスに改質する改質手段と、改質手段の下流に位置し、改質手段によって改質された改質ガス中の一酸化炭素を水蒸気、または酸化剤で低減する少なくとも一つの一酸化炭素低減手段と、一酸化炭素除去システムにおいて低減された改質ガスと酸化剤によって発電する燃料電池と、を備えた燃料電池システムにおいて、燃料電池の発電によって生じた熱と熱交換を行い、燃料電池の温度を制御する冷却水を蓄え、更に冷却水によって酸化剤を加湿する冷却水貯留手段を備える。そして、少なくとも冷却水貯留手段によって改質手段に供給される前に加湿された加湿量を算出する加湿量算出手段を備え、加湿量算出手段によって算出された酸化剤の加湿量に基づいて、燃料電池が劣化しないように燃料電池の発電量を制御する。
本発明によると、燃料電池システム内で得られる加湿量に基づいて、燃料電池の発電量を制御するので、燃料電池に供給する改質ガス中の一酸化炭素が十分に低減され、一酸化炭素による燃料電池の劣化を防止することができる。
本発明の第1実施形態の構成を図1のブロック図を用いて説明する。
この実施形態は、水素と空気中の酸素によって発電を行う燃料電池5と、燃料電池5の上流側からATR(Auto Thermal Reactor)1と、高温シフト反応器2と、低温シフト反応器3と、選択酸化反応器4を備える。また、燃料電池5を冷却する冷却水を貯留し、ATR反応器1などに供給する空気を加湿するバブリングタンク6を備える。
ATR1は、改質手段であり水素に改質する原料である脱硫ガソリンを水(水蒸気)と、空気によって水素リッチな改質ガスに改質する改質器である。なお、ガソリンの代わりに例えばメタノールなどの炭化水素系燃料を用いても良い。水蒸気は、蒸発器9から供給され、蒸発器9では図示しない水タンクから水が蒸発器9に供給され、蒸発器9で選択酸化反応器4などの排熱、または図示しないヒータなどを用いて水蒸気となる。また、空気は図示しないエアコンプレッサなどからバブリングタンク6に挿入された空気がブロア10によって供給される。ATR1では脱硫ガソリンと水蒸気とにより、
+xHO→xCO+(x+1/2y)H 式(1)
の触媒反応が起こり、脱硫ガソリンと空気とにより、
+1/2xO→xCO+1/2yH 式(2)
の触媒反応が起こる。式(1)は炭化水素の水蒸気改質反応(吸熱反応)であり、式(2)は炭化水素の部分酸化反応(発熱反応)である。通常時にはATR1では、式(1)と式(2)の反応による吸熱量と発熱量が熱平衡状態を保つオートサーマル条件で運転される。なお、ATR1の反応温度は約800℃である。この温度は、ATR1の出口温度と、運転圧力と、炭化水素中のC原子モル数に対する水蒸気のモル数比S/C(Steam Carbon Ratio)、酸素分子モル数に対する炭化水素中のC原子モル数比O/C(Oxygen Carbon Ratio)から化学平衡上一義的に定まる。なお、ATR1の代わりにSR(Steam Reforming Reactor)、MR(Membrane Reactor)でも良い。
ATR1の下流にはATR1で改質された改質ガス中の一酸化炭素を水(水蒸気)を用いて低減するシフト反応器を設ける。次に一酸化炭素低減手段であるシフト反応器について説明する。ATR1によって改質された改質ガスは一酸化炭素濃度が十数%程度と極めて高いために、燃料電池5に供給すると、燃料電池5の触媒である白金を被毒し、燃料電池5を劣化するので、燃料電池5で使用する改質ガスは一酸化炭素濃度が数十ppm程度まで低減しなければならない。段階的に一酸化炭素濃度を低減する。そのために、
Figure 2005285698
の反応により、水蒸気で一酸化炭素濃度を低減し、燃料電池5で使用する水素を発生させる。(3)式は、シフト反応と呼ばれ、触媒反応である。この反応により一酸化炭素は数%まで低減される。式(3)は可逆反応であり、吸熱反応であること、水蒸気を消費すること、化学平衡組成上低温が好ましいこと、低温では反応速度が低下することなどが一般的に知られており、一つのシフト反応機関で一酸化炭素濃度を数%程度まで低減することが難しい。そのため、本発明では触媒の反応温度の異なる高温シフト反応器2と低温シフト反応器3の2つの反応器を備える。
高温シフト反応器2は、ATR1の下流に位置し、その間に水を水蒸気に気相変化させる気相気化器7を備える。高温シフト反応器2の反応温度は、約400℃程度である。
気相気化器7は水噴霧手段であり、図示しない水タンクから供給された水をインジェクタ11によって噴射し、ATR1から供給される改質ガスの温度を高温シフト反応器2での一酸化炭素濃度低減に適した温度となるように調整する。
低温シフト反応器3は、高温シフト反応器2の下流に位置し、高温シフト反応器2との間に水を水蒸気に気相変化させる気相気化器8を備える。低温シフト反応器3の反応温度は、約250℃程度であり、改質ガス中の一酸化炭素濃度は数%程度に低減される。なお、この実施形態では、2段構成(高温シフト反応器2、低温シフト反応器3)を用いたが、この代わりに1段構成としても良いし、熱交換型のシフト反応器を用いても良い。
気相気化器8は水噴霧手段であり、図示しない水タンクから供給された水をインジェクタ12によって噴射し、高温シフト反応器2から供給される改質ガスの温度を低温シフト反応器3での一酸化炭素濃度低減に適した温度となるように調整する。
低温シフト反応器3の下流には改質ガス中の一酸化炭素濃度を更に低減し、燃料電池5を劣化させない数十ppm程度にする一酸化炭素低減手段である選択酸化反応器4を備える。この選択酸化反応器4は、ブロア13によって空気が供給され、
CO+1/2O→CO 式(4)
+1/2O→HO 式(5)
の反応により、改質ガス中の一酸化炭素を選択的に酸化する。選択酸化反応器4は、ブロア13からの空気量によって制御される(ブロア13は、酸化剤供給手段であり、酸化剤流量制御手段でもある)。なお、この反応では改質ガス中の水素の一部も酸化される。この反応は発熱反応であり、温度が高くなると式(3)の逆反応である逆シフト反応により一酸化炭素が生成されるために冷却媒体によって、選択酸化反応器4を冷却しながら一酸化炭素濃度を低減する。すなわち選択酸化反応器4は熱交型反応器である。その冷却により、選択酸化反応器4から冷却媒体との熱交換によって除去される熱量は、低温シフト反応器3の出口温度と選択酸化反応器4での反応温度の温度差に応じたエンタルピー、ならびに選択酸化反応器4の式(4)、(5)の発熱反応によって生じる燃焼エンタルピーである。この熱量により加熱された冷却媒体は、蒸発器9で送られる。
燃料電池5は固体高分子型(PEM:Proton Exchange Membrane)燃料電池であり、図示しないアノードには、選択酸化反応器4によって一酸化炭素濃度が数十ppm程度まで低減された水素リッチな改質ガス(以下、水素)が供給され、図示しないカソードには、後述するバブリングタンク6によって加湿された空気が供給される。燃料電池5は水素と空気中に含まれる酸素によって発電し、図示しない電力消費機関によってその電力は消費される。発電後の排水素は、燃料電池5の下流に設けたバーナー14によってカソードから排出された排出空気によって燃焼処理され、外部へ排出される。固体高分子型燃料電池を用いる場合には、動作温度が約100℃と低いために、燃料電池5を冷却して使用する。燃料電池5を冷却する純水冷却水は、後述するバブリングタンク6から供給される。なお、燃料電池5はPEMではなく、固体酸化型燃料電池(SOFC:Solid Oxide Fuel Cell)、リン酸型燃料電池(PAFC:Phsphoric Acid Fuel Cell)、溶融炭酸塩型燃料電池(MCFC:Molten Carbonate Fuel Cell)を用いても良い。また、バーナー14では排出空気の代わりに外部より空気を取り入れ燃焼しても良い。
バブリングタンク6は冷却水貯留手段であり、燃料電池5を冷却するための冷却水である純水が貯水されており、バブリングタンク6内の純水はポンプ14によってバブリングタンク6と燃料電池5間を循環する。これにより、燃料電池5と熱交換を行い、燃料電池5を冷却する。また、ポンプ14と燃料電池5の間には、ラジエータ16を備え、ラジエータファン17によって純水は冷却される。また、燃料電池5との熱交換によって加熱された純水は、バブリングタンク6に再び戻ってくるので、バブリングタンク6内温度は上昇する。そのため、図示しないエアコンプレッサなどから空気がバブリングタンク6内の純水中に送付され、バブリングタンク6上方には、加湿された空気が溜まっている。この空気はブロア10、13、18によって、それぞれATR1、選択酸化反応器4、燃料電池5に供給される。
また、本発明の燃料電池システムを制御するコントロールユニット100を備える。
ATR1の温度制御について図2のフローチャートを用いて説明する。ATR1の温度は式(2)の反応を制御、すなわち酸素モル流量と燃料の炭素モル流量比O/Cを制御する。これは、ATR1に供給する酸素量、つまりブロア10による空気量を制御する。
ステップ201において、ATR1の出口の改質ガス温度TATRoutを温度センサ20によって検出する。また、ブロア10の回転数Rblowerを図示しない回転数検出装置によって検出する。ステップS202において、ブロア10の回転数を
blower’=Rblower+α(TATR−TATRout
と変更する。ここでαは、所定の比例定数である。ステップS203ではステップS202において算出された回転数にブロア10が制御される。
これによって、ATR1には或る原料の供給量に対してブロア10による空気供給量を制御し、ATR1の温度TATRoutを反応温度に保つことができる。なお、ATR1に供給される水蒸気も原料の供給量に応じて制御される。なお、原料は燃料電池5の負荷に応じて制御される。
次にシフト反応器での温度制御について図3のフローチャートを用いて説明する。なお、高温シフト反応器2と低温シフト反応器3の温度はその上流に設けた気相気化器7と8による水供給によって制御される。なお、図3に示すフローチャートは、高温シフト反応器2と低温シフト反応器3に共通するフローチャートであり、ステップS302で変更するデューティー比は高温シフト反応器2と低温シフト反応器3によって異なる値である。
ステップS301において、反応器の入口の改質ガス温度Tshiftinを温度センサ21、22によって検出する。
ステップS302において、気相気化器7,8におけるインジェクタ11、12のデューティー比Rinjを、
inj’=Rinj+β(Tshift−Tshiftin
と変更する。ここでβは、所定の比例定数である。また、Tshiftは高温シフト反応器2と低温シフト反応器3のそれぞれの反応温度である。ステップS303ではステップS302において算出されたデューティー比Rinj’となるようにインジェクタ11、12を制御する。
これによって高温シフト反応器2、低温シフト反応器3はそれぞれ反応温度に適した温度に制御することができる。水の噴霧は各シフト反応器の温度を制御し、式(3)の反応を右側へ進めるために重要である。
ここで、図4に低温シフト反応器3の出口でのTotalS/Cと改質ガスの組成を示す。なお低温シフト反応器3の出口でのTotalS/Cとは、ATR1に供給された水蒸気と、ATR1に供給される水蒸気と、インジェクタ11、12によって噴霧された水量の総モル数とATR1に供給された原料の炭素原子のモル数の比のことである。これによるとTotalS/Cが高く、つまり水の総モル数が多くなると一酸化炭素は減少する、すなわち改質ガス中の一酸化炭素が低減されていることを示す。
また、図5に低温シフト反応器3の出口での改質ガス温度と、改質ガスの組成との関係を示す。これによると、低温シフト反応器3の出口での改質ガス温度が低い程改質ガス中の一酸化炭素濃度は低くなる。すなわち、改質ガス中の一酸化炭素が式(3)などにより低減されていることを示す。なお、図5の点線は低温シフト反応器3の反応温度である。
次に選択酸化反応器4の温度制御について説明する。選択酸化反応器4は、選択酸化反応器4に供給される改質ガス中のO/CO、つまりブロア13により供給される空気量によって制御される。なお、O/COは選択酸化反応器4に供給される空気中の酸素分子のモル流量と低温シフト反応器3の出口ガス中の一酸化炭素モル流量の比である。
ここで、コントロールユニット100で行う燃料電池システムの燃料改質制御について、図6のフローチャートを用いて説明する。
ステップS601では、バブリングタンク6内の純水(冷却水)の温度TFCを温度センサ23によって検出する。
ステップS602では、ステップS601で検出した純水の温度TFCから、図7のマップよりバブリングタンク6によって加湿することのできる水蒸気発生可能量(以下、水蒸気リカバリー量)Rsteamを算出する。なお、図7のマップは標準運転条件、つまり燃料電池5の負荷に応じて、ATR1で原料を改質し、更に一酸化炭素を燃料電池5を劣化させない程度まで低減する水蒸気(ここでは、水蒸気のモル数)と燃料(ここでは、炭素原子のモル数)の比であるS/C換算する。これにより負荷に依存しないシンプルなマップとなる。このマップは実験により予め求めておく。なお、標準運転条件は、ATR1などで使用する触媒、改質原料などによって変化する。ここでS/C換算を行っているが、この代わりにATR1に供給される空気の絶対湿度換算でも良いし、空気流量に応じた水蒸気の絶対量であっても良い。また、ATR1におけるO/Cで補正しても良い。
ステップS603では、気相気化器7、8での水蒸気の発生量を図3のフローチャートにより算出し、また蒸発器9による水蒸気の発生量、または供給された水量、つまり図示しない水タンクからATR1へ供給される水量を図示しない水量検出装置によって算出し、その合計量Rwater(S/C換算)を算出する。
ステップS604では、ステップS402とステップS403で算出したRsteamとRwaterより低温シフト反応器3のTotalS/Cを
TotalS/C=Rstaem+Rwater
により算出する(ステップS603とステップS604が加湿量算出手段を構成する)。
ステップS605では、図8のマップよりステップS604で算出したTotalS/Cに応じた或る閾値である最大負荷LLIMを読み出す。この最大負荷LLIMは、現在のバブリングタンク6による加湿、と選択酸化反応器4による加湿、と図示しない水タンクから供給される水、または水蒸気量によって燃料電池システム、すなわちを劣化させずに運転できる最大負荷であり、ATR1、気相気化器7、8、高温シフト反応器2、低温シフト反応器3、選択酸化反応器4、燃料電池5などを劣化させずに改質を行うことのできる最大負荷である。
ステップS606では、燃料電池5に要求される出力である要求負荷Lsを読み込み、ステップS605で算出した最大負荷LLIMと比較する。そして、要求負荷Lsが最大負荷LLIMよりも小さい場合は、ステップS607へ進み、要求負荷Lsが最大負荷LLIMよりも大きい場合は、ステップS608へ進む。
ステップS607では、要求負荷Lsが最大負荷LLIMよりも小さく、燃料電池5に要求された出力に応じて、燃料電池5を劣化させない程度に一酸化炭素が低減された改質ガスを供給できるので、要求負荷LSに応じた改質を行い、一酸化炭素が十分に低減された水素を燃料電池5に供給する。
ステップS608では、要求負荷Lsが最大負荷LLIMよりも大きいので、一酸化炭素が十分に低減されていない水素を燃料電池5に供給しないように、現在の水蒸気量で燃料電池5を劣化させずに運転をすることができる最大負荷LLIMの出力に応じた改質を行い、一酸化炭素が十分に低減された水素を燃料電池5に供給する。このとき、二次電池など搭載している場合には、二次電池から不足出力を補ってもよい。すなわちステップS607、ステップS608では現在のTotalS/Cによって、燃料電池5の負荷(発電量)を制御するのである(ステップS606〜ステップS608が発電量制御手段を構成する)。
なお、高温シフト反応器2の出口での一酸化炭素濃度を推定し、その値に基づいて燃料電池システムの運転圧力、低温シフト反応器3のTotalS/C、選択酸化反応器4のO/Cの制御を補正しても良い。高温シフト反応器2の出口での一酸化炭素濃度は高温シフト反応器2の出口温度または改質ガスの出口温度、高温シフト反応器2のTotalS/C、運転圧力から図20に示すマップから推定できる(第1の一酸化炭素濃度推定手段)。図20に示すマップは予め求めておき、コントローラユニット100に備えられる。なお、図20で斜めに引かれた実線間が同一の一酸化炭素濃度を示し、図左上になるにつれ一酸化炭素濃度が低く、図右下になるにつれ一酸化炭素濃度が高くなる。一酸化炭素濃度が高いと不足S/Cが多くなる。
本発明の第1実施形態の効果について説明する。
本発明によると、燃料電池システムで発生させる水蒸気量に応じて、燃料電池5の運転制御するので、一酸化炭素が十分に低減された水素を燃料電池に供給するので、小型の燃料電池システムを使用し、燃料電池5を劣化させずに運転することができる。
次に本発明の第2実形態について説明する。この実施形態は構成は第1実施形態と同じ構成であるので、ここでの説明は省略し、コントロールユニット100で行う燃料電池システムの燃料改質制御について、図9のフローチャートを用いて説明する。
ステップS901では、燃料電池5に要求される要求負荷Lを読み出す。要求負荷Lと或る閾値である最大制限負荷LLIMとを比較する。要求負荷Lが最大制限負荷LLIMよりも小さい場合にステップS902へ進み、要求負荷Lが最大制限負荷LLIMよりも大きい場合はステップS907へ進む。
ステップS902では、バブリングタンク6の冷却水温度TFCを温度センサ23によって検出する。また、ATR1の出口温度TATRを温度センサ20によって検出する。
ステップS903では、ステップS902によって検出した冷却水温度TFCに応じて、図10に示すマップより、不足S/CであるRshortを算出する。図10に示すマップは冷却水温度TFCと不足S/Cの関係を表しており、TFCが高くなると不足S/Cが少なくなり、TFCが低くなると不足S/Cが多くなる。ここで不足S/Cとは、目標S/CからTotalS/Cをひいたものであり、目標S/Cは、雰囲気温度や要求される改質ガスの成分などにより変化し、一酸化炭素濃度が燃料電池5を劣化させない程度に十分低減するS/Cである。なお、水蒸気量が不足していない場合には、ステップS904とステップ905の制御を行わずに、ステップS906へ進む。
ステップS904では、Rshortの水蒸気を気相気化器7、8で発生させるために必要なATR1での出口温度TATRを図11に示すマップより算出する。図11のマップは不足S/Cに応じて、目標S/Cを達成するために必要なATR1の出口温度TATRを表したマップである。不足S/Cが多いほどATR1の出口温度TATRが高くなる。
ステップS905では、図2に示す制御によりATR1の出口温度TATRを制御し、図3に示す制御により気相気化器7、8のインジェクタ11、12から噴霧する。なお図2、3の制御内容についてはステップS201〜ステップS203、ステップS301〜ステップS30で説明した制御と同じなのでここでは省略する。これによって、ATR1で燃料を燃焼させ、ATR1の出口温度TATRを高くし、高温シフト反応器2と、低温シフト反応器3の各上流に設けた気相気化器7、8での水噴霧量を増やし、不足S/Cを減少させる(ステップS905が温度制御手段を構成する)。
ステップS906では、一酸化炭素を十分に低減した水素を燃料電池5に供給し、要求負荷Lで運転を行う。
ステップS907では、要求負荷Lが最大制限負荷LLIMよりも大きいので、最大制限負荷LLIMの出力に応じた改質を行う。ここでは本発明の燃料電池システムを劣化させない上限値までブロア10によって供給空気量を増加し、ATR1の出口温度TATRを上昇させる。そして、気相気化器7、8によって水を噴霧し、発生水蒸気量を燃料電池システムで供給できる最大発生水蒸気量とする。すなわち、最大制限負荷LLIMとは、ATR1、気相気化器7、8、高温シフト反応器2、低温シフト反応器3、選択酸化反応器4、燃料電池5などを劣化させずに改質を行うことのできる最大負荷である。
なお、低温シフト反応器3までの一酸化炭素の低減量が少ない場合には、選択酸化反応器4での一酸化炭素低減量を増やしても良い。この場合、選択酸化反応器4のO/C制御方法として、低温シフト反応器3の出口の一酸化炭素濃度を推定して行う。その濃度推定は前記図20で説明した高温シフト反応器3と同様に行う(第2の一酸化炭素濃度推定手段)。
本発明の第2実施形態の効果について説明する。
この実施形態において、負荷LLIM以下の負荷で運転を行う場合には、ATR1に供給する空気量を増加させるので、発生する水素量が減少するが、実際には、この領域の運転はさほど多くない。図19は、米国のある都市を或る電気自動車で実走行した際の走行電力の時系列データを或るスペックの燃料電池自動車を想定して、車両重量、ころがり抵抗、空気抵抗などを用いて変換し求めた走行電力(出力)とその走行時間の比率を示したヒストグラムである。これによると、高出力、すなわち高負荷での運転はほとんどなく、比較的低出力(低負荷)側での運転時間が長く、車両の燃費は低負荷での効率が大きく影響を及ぼす。また、燃料電池システムの熱容量は極めて大きいため、例えば朝晩の通勤に使用した際に毎回外気温まで下がってしまう訳ではなく、或る温度でバブリングタンク6からの水蒸気リカバリーを得ることができる。
しかし、小型の燃料電池システムを搭載した場合に、高負荷での走行を行うと燃料電池5を劣化する恐れもあり、最大制限負荷LLIMを設けて、燃料電池システムの劣化を防ぐことも必要となる。
この実施形態では、要求負荷Lに対して、燃料電池システムに供給している水蒸気量が不足している場合に、ATR1に供給する空気量を増加させ、ATR1の下流の改質ガス温度を上昇させる。そして、この熱を利用して気相気化器7、8によって発生させる水蒸気量を増加させるので、水蒸気量が不足した場合でも素早く必要な水蒸気を発生させることができ、燃料電池5に要求される出力に対して、素早く負荷追従を行うことができる。また、燃料電池5の温度、または選択酸化反応器4の温度が上昇するので、ATRに供給する水蒸気量が増えるために、燃料電池システムを素早く暖機することができる。
また、最大制限負荷LLIMよりも要求負荷Lが大きい場合には、最大制限負荷LLIMで運転を行うので、燃料電池5を劣化させることなく運転することができる。
次に本発明の第3実形態について説明する。この実施形態は構成は第1実施形態と同じ構成であるので、ここでの説明は省略し、コントロールユニット100で行う燃料改質制御について図12のフローチャートを用いて説明する。
ステップS1201からステップS1204までは第1実施形態のステップS601からステップS604までと同じ制御なのでここでの説明は省略する。なお、ここまでの制御により低温シフト反応器3のTotalS/Cを算出する。
ステップS1205では、図13に示すマップより水蒸気の追加補填なしに改質できる負荷Lを読み出す。図13のA〜Eは図7に示すA〜Eに対応するものであり、バブリングタンク6の温度が低いとTotalS/Cが減少するので、水蒸気の追加補填なしに改質運転できる負荷Lが減少する。この負荷Lは、現在のTotalS/Cでの上限負荷であり、この負荷Lよりも負荷が小さい場合には、水蒸気を追加補填せずに一酸化炭素を燃料電池5が劣化しない程度に低減することができ、負荷Lよりも要求負荷Lが大きい場合には燃料電池5の劣化を防ぐために水蒸気の追加補填を行わなければならない。例えば、バブリングタンク6の冷却水の温度TFCから検出されるTotalS/Cが点Cであったとすると、図13の点Yの負荷Lまでは水蒸気を追加補填せずに一酸化炭素を燃料電池5が劣化しない程度に低減することができる。しかし、点Yを超える要求負荷Lでは、一酸化炭素を低減することができないので、水蒸気を追加補填しなければならない。なお、最低運転負荷とは、燃料電池システムの温度センサ(例えば、温度センサ20など)や図示しないバルブなどの分解能から定まるターンダウン比における最低負荷のことである。
ステップS1206では、燃料電池5に要求される要求負荷Lを読み出す。そして、負荷Lと比較する。要求負荷Lが負荷Lよりも小さい場合にステップS1207へ進み、要求負荷Lが負荷Lよりも大きい場合はステップS1208へ進む。
ステップS1207では、水蒸気の追加補填なしに要求負荷Lに応じた改質を行うことができるので、要求負荷Lに応じて改質を行う。
ステップS1208では、要求負荷Lと最大制限負荷LLIMを比較する。そして、要求負荷Lが最大制限負荷LLIMよりも小さい場合はステップS1209へ進み、要求負荷Lが最大制限負荷LLIMよりも大きい場合はステップS1211へ進む。
ステップS1209では、要求負荷Lが負荷Lよりも大きく、最大制限負荷LLIMよりも小さい、すなわち水蒸気量が不足しているが、ATR1と気相気化器7、8によってその不足分を補填することができるので、図13のマップより不足S/CであるRshortを算出する。
ステップS1210では、Rshortの水蒸気を気相気化器7、8で発生させるために必要なATR1での出口温度TATRを図11に示すマップより算出する。図11のマップは不足S/Cに応じて、目標S/Cを達成するために必要なATR1の出口温度TATRを表したマップである。不足S/Cが多いATR1の出口温度TATRが高くなる。
ステップS1211では、図2に示す制御によりATR1の出口温度TATRを制御し、3に示す制御により気相気化器7、8のインジェクタ11、12から噴霧する。なお図2、3の制御内容についてはステップS201〜ステップS203、ステップS301〜ステップS303で説明した制御であるのでここでは省略する。これによって、ATR1で燃料を燃焼させ、ATR1の出口温度TATRを高くし、高温シフト反応器2と、低温シフト反応器3の各上流に設けた気相気化器7、8での水噴霧量を増やし、不足S/Cを減少させる。これにより、一酸化炭素濃度は燃料電池5を劣化させない程度に低減されるが、燃料電池1で使用することのできる水素量が減少する。
ステップS1212では、一酸化炭素を十分に低減した水素を燃料電池5に供給し、要求負荷Lで運転を行う。
一方、ステップ1208で要求負荷Lが最大制限負荷LLIMよりも大きいと判断した場合は、ステップS1213において、最大制限負荷LLIMの出力に応じて改質し、運転を行う。これは本発明の燃料電池システムを劣化させない上限値まで、ブロア10によって空気を供給し、ATRの出口温度TATRを上昇させる。そして、気相気化器7、8によって水を噴霧し、発生水蒸気量を燃料電池システムで供給できる最大発生水蒸気量とする。すなわち、最大制限負荷LLIMとは、ATR1、気相気化器7、8、高温シフト反応器2、低温シフト反応器3、選択酸化反応器4、燃料電池5などを劣化させずに改質を行うことのできる最大負荷である。
なお、ここで、図13に示したマップの作成について詳しく説明する。シフト反応器内の一酸化炭素濃度分布の運転負荷依存性について図16に示す。ある性能の触媒を直径160mmのハニカム担体に厚さ100μmで塗布した低温シフト反応器3で計算したものであるが高温シフト反応器2でも同様の図が得られる。高温シフト反応器2よりも低温シフト反応器3の方が反応温度が低く、従って触媒の反応速度が遅いため、また反応によって低減する一酸化炭素濃度が低いために、一般的に低温シフト反応器3の方が一酸化炭素を低減するのは厳しい条件となる。なお、圧力は標準運転圧力で固定している。
定格運転時には低温シフト反応器3の全域を使用して一酸化炭素の低減が行われているが、部分負荷、特に最低運転負荷では、低温シフト反応器3の上流側のみが一酸化炭素の低減に寄与し、残りの大部分が用を成していない、すなわち一酸化炭素の低減を行っていないことがわかる。この用を成していない領域では式(3)のシフト反応の反応速度と逆シフト反応の反応速度がつりあい、遅々として一酸化炭素濃度が低下しない領域である。
運転負荷が小さい場合、低温シフト反応器3の大部分の触媒が一酸化炭素の低減反応に寄与していない状態であるが、逆に低負荷の場合でも低温シフト反応器3全域の触媒を一酸化炭素の低減に寄与させるときに、どこまでTotalS/Cを減じることができるのか、を計算した結果を図17に示す。標準設計条件のTotalS/Cから徐々にTotalS/Cを減じていくと、一酸化炭素の低減反応速度が遅くなり、徐々に低温シフト反応器3の全域の触媒を用いて目標の一酸化炭素の低減反応を達成できることがわかる。この触媒を用いた低温シフト反応器3では、定格運転時の負荷に対して20%負荷で標準設計条件のTotalS/Cから4αだけ減じても低温シフト反応器の全域を用いて目標の一酸化炭素の低減反応を達成できる。なお標準設計条件のTotalS/Cは定格運転を想定して定められる。
さまざまな運転負荷とTotalS/Cの条件下でこのような計算ないしは実験を行うことで、図13中の点W−点Y−点Zを結ぶ曲線、すなわちマップを作成することができる。図13の運転線の点X−点Y間では、ATR1の出口温度TATRは標準設定温度で運転され、従って気相気化器7、8では負荷に応じた噴霧が行われ、これにATR1に供給される空気に含まれる水蒸気などを加えると、標準設計条件のTotalS/C程ではないが、低温シフト反応器3全域を用いて一酸化炭素の低減を行う状況よりはTotalS/Cが多く、従って低温シフト反応器3としては一酸化炭素の低減する能力に余裕を持っている。なお、ATR1に供給される空気に含まれバブリングタンク6によって加湿された水蒸気は、利用しなければラジエータ16から排熱されてしまう燃料電池の排熱利用であるため、減らす必要はない。
本発明の第3実施形態の効果について説明する。
この実施形態でも、第2実施形態と同様に要求負荷Lに対して、燃料電池システムに供給している水蒸気量が不足している場合に、ATR1に供給する空気量を増加させ、ATR1の下流の改質ガス温度を上昇させる。そして、この熱を利用して気相気化器7、8によって発生させる水蒸気量を増加させるので、水蒸気量が不足した場合でも素早く必要な水蒸気を発生させることができ、燃料電池5に要求される出力に対して、素早く負荷追従を行うことができる。また、燃料電池5の温度、または選択酸化反応器4の温度が上昇するので、ATRに供給する水蒸気量が増えるために、燃料電池システムを素早く暖機することができる。
また、最大制限負荷LLIMよりも要求負荷Lが大きい場合には、最大制限負荷LLIMで運転を行うので、燃料電池5を劣化させることなく運転することができる。
次に第4実施形態について説明する。この実施形態は構成は第1実施形態と同じ構成であるので、ここでの説明は省略し、コントロールユニット100で行う出力制御について図14のフローチャートを用いて説明する。
ステップS1401からステップS1407までは、第3実施形態のステップS1201からステップS1207までの制御と同じ制御なのでここでの説明は省略する。
ステップS1408では、要求負荷Lと最大制限負荷LLIMを比較する。そして、要求負荷Lが最大制限負荷LLIMよりも小さい場合はステップS1409へ進み、要求負荷Lが最大制限負荷LLIMよりも大きい場合はステップS1411へ進む。
ステップS1409では、要求負荷Lが負荷Lよりも大きく、最大制限負荷LLIMよりも小さい、すなわち水蒸気は不足しているが、圧力制御手段であるブロア10、13によって燃料電池システム内、特に高温シフト反応器2、低温シフト反応器3、選択酸化反応器4の圧力を高めることによって一酸化炭素を低減することができる場合には、ブロア10、13によって供給する空気の圧力を高くする。圧力を高くすることで反応効率が良くなり、高温シフト反応器2などで一酸化炭素をより低減することができる。そのための不足S/Cを図13のマップより算出する。
ステップS1410では、図15のマップよりブロア10、13によって高くする圧力を算出する。図15のマップは不足S/Cに応じて、一酸化炭素を低減するために必要な圧力を表したマップである。不足S/Cが多くなるとブロア10、13によって高める圧力が高くなる。また、定格運転時にの負荷に対して、その負荷の割合が下がってくると不足S/Cに対して、圧力を低くすることができる。
ステップS1411では、ブロア10、13の圧力をステップS1410で算出した圧力に制御する。なお、圧力は図示しない流量制御弁の開度を狭くして、燃料電池システムを加圧してもよい。
ステップS1412では、一酸化炭素を十分に低減した水素を燃料電池5に供給し、要求負荷Lで運転を行う。
一方、ステップS1408で要求負荷Lが最大制限負荷LLIMよりも大きいと判断した場合は、ステップS1413において、最大制限負荷LLIMの出力に応じて改質し、運転を行う。これは、発生させる水蒸気量は増加させずに、最大制限負荷LLIMに応じた最大圧力PLIMとして、圧力を高める。最大圧力PLIMは本発明の燃料電池システムを劣化させずに改質を行うことのできる最大圧力である。ここでは、現在の水蒸気発生量に応じて燃料電池システムを劣化させない最大負荷に応じた圧力で改質を行う。
シフト反応器内の一酸化炭素濃度分布の運転圧力依存性について図18に示す。用いた触媒ならびにハニカム担体は前記図16と図17の説明で用いたものと同じである。図18の条件は定格運転にてTotalS/Cが2αだけ標準設計条件のTotalS/Cよりも低い場合である。標準圧力では、1.8倍程度の低温シフト反応器3の大きさでなければ一酸化炭素を低減できないことがわかる。圧力を30%程度上げることで、反応器全域を用いて目標の一酸化炭素の低減を現状の反応器サイズで達成できることがわかる。種々の圧力、運転負荷、TotalS/Cで同様の計算ないしは実験を行うことで、図15のマップを作成することができる。
第4実施形態の効果について説明する。
燃料電池システムの負荷が大きい場合に、発生させる水蒸気を増加させずに高温シフト反応器2など圧力を高くすることで、各反応器の反応効率を良くし、一酸化炭素を低減することができる。また、最大制限負荷LLIMよりも要求負荷Lが大きい場合には、最大制限負荷LLIMに応じた最大圧力PLIMで運転を行うので、燃料電池5を劣化させることなく運転することができる。
燃料電池5の冷却水を用いて燃料電池5ならびに改質に使用する空気に加湿する例を説明したが、これに限定される訳ではなく、燃料電池5の排気または排熱を利用して水蒸気を供給する機構を有する燃料電池発電システムであれば本発明を適用することが可能であり、例えば、1)燃料電池5内部に設けられた蒸発器9、2)燃料電池5内部に設けられた改質システムで燃料の改質に用いる酸素を含むガス、改質システムで改質される燃料ガスの少なくとも一つに加湿を行う加湿器、3)燃料電池5内部に設けられた改質システムで燃料の改質に用いる酸素を含むガス、改質システムで改質される燃料ガスの少なくとも一つと湿度を交換する湿度交換器、4)燃料電池5の冷却媒体を熱源とする蒸発器9、5)燃料電池5の冷却媒体を熱源とし、改質システムで燃料の改質に用いる酸素を含むガス、改質システムで改質される燃料ガスの少なくとも一つに加湿を行う加湿器、6)燃料電池5の冷却媒体を熱源とし、改質システムで燃料の改質に用いる酸素を含むガス、改質システムで改質される燃料ガスの少なくとも一つと湿度を交換する湿度交換器、7)燃料電池5の排ガスを燃焼させるバーナー14とそのバーナー14の排ガスで水蒸気を生成する蒸発器9、8)燃料電池5の排ガスを燃焼させるバーナー14とそのバーナー14の排ガスから、燃料電池5の発電に用いる酸素を含むガス、改質システムで燃料の改質に用いる酸素を含むガス、改質システムで改質される燃料ガスの少なくとも一つと湿度を交換する湿度交換器のいずれかから構成される燃料電池システムでも良い。
また、燃料電池5の冷却水の温度を用いて、燃料電池5の排気または排熱を利用して水蒸気を供給する機構(バブリングタンク6、蒸発器9)についての水蒸気を供給する能力を推定する例を説明したが、これに限定される訳ではなく、例えば、1)燃料電池5の温度、燃料電池5のアノードないしはカソード排気ガスの温度ないしは湿度、2)燃料電池5が冷却系を有し、該冷却系の構成部位の温度、例えば冷却水の温度、3)燃料電池5の冷却系が水蒸気を生成する蒸発器9を有し、該蒸発器9の温度、該蒸発器9の加熱媒体(燃料電池の冷却媒体)の温度、該蒸発器9の生成する水蒸気温度ないしは水蒸気圧力、4)燃料電池システムが燃料電池5の排ガスを燃焼させるバーナー14とバーナー14の排ガスで水蒸気を生成する蒸発器を有し、該蒸発器の温度、該蒸発器の生成する水蒸気温度ないしは水蒸気圧力、該蒸発器の排気ガス温度、5)燃料電池システムが、燃料電池5の発電に用いる酸素を含むガス、改質システムで燃料の改質に用いる酸素を含むガス、改質システムで改質される燃料ガス、の少なくとも一つに水蒸気を付加する湿度交換器を有し、該湿度交換器の温度、湿度交換後のガス温度ないしは湿度、6)燃料電池システムの運転を開始してからの運転時間、該運転時間による水蒸気供給能力の推定を、改質型燃料電池発電システムの運転負荷ないしは運転負荷の積分値で補正、改質型燃料電池発電システムの運転を停止してから再運転させるまでの待機時間で補正、該待機時間の補正を外気温度で補正、のいずれかないしはこれらの組合せであっても良い。
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内でなしうるさまざまな変更、改良が含まれることは言うまでもない。
改質型の燃料電池システムに利用することができる。
本発明の第1実施形態の燃料電池システムのブロック図である。 本発明の第1実施形態のATRの温度制御を行うフローチャートである。 本発明の第1実施形態の気相気化器での水噴霧制御を行うフローチャートである。 本発明の第1実施形態の低温シフト反応器の出口でのTotalS/Cと改質ガスの組成の関係を示すグラフである。 本発明の第1実施形態の低温シフト反応器の出口での改質ガス温度と改質ガスの組成との関係を示すグラフである。 本発明の第1実施形態の燃料改質制御を示すフローチャートである。 本発明の第1実施形態のバブリングタンクにおける水蒸気リカバリー量を示すグラフである。 本発明の第1実施形態のTotalS/Cとそのときの最大制限負荷の関係を示すグラフである。 本発明の第2実施形態の燃料改質制御を示すフローチャートである。 本発明の第2実施形態の冷却水温度と不足S/Cの関係を示すグラフである。 本発明の第2実施形態の不足S/CとATRの出口温度との関係を示したグラフである。 本発明の第3実施形態の燃料改質制御を示すフローチャートである。 本発明の第3実施形態のTotalS/Cと負荷との関係を示すグラフである。 本発明の第4実施形態の燃料改質制御を示すフローチャートである。 本発明の第4実施形態の不足S/Cと運転圧力との関係を示すグラフである。 本発明の第3実施形態のシフト反応器の運転負荷と一酸化炭素濃度の関係を示すグラフである。 本発明の第3実施形態のシフト反応器の20%負荷時のTotalS/Cと一酸化炭素濃度の関係を示すグラフである。 本発明の第4実施形態のシフト反応器の運転圧力と一酸化炭素濃度の関係を示すグラフである。 米国のある都市を燃料電池自動車で走行したときの走行電力と走行時間の比率を示すグラフである。 高温シフト反応器の出口での一酸化炭素濃度を推定するグラフである。
符号の説明
1 ATR(改質手段)
2 高温シフト反応器(一酸化炭素低減手段)
3 低温シフト反応器(一酸化炭素低減手段)
4 選択酸化反応器(一酸化炭素低減手段)
5 燃料電池
6 バブリングタンク(冷却水貯留手段)
7 気相気化器
8 気相気化器
9 蒸発器
10 ブロア(圧力制御手段)
11 インジェクタ(水噴霧手段)
12 インジェクタ(水噴霧手段)
13 ブロア(酸化剤供給手段、酸化剤流量制御手段、圧力制御手段)

Claims (13)

  1. 原料と水蒸気と酸化剤によって水素リッチな改質ガスに改質する改質手段と、
    前記改質手段の下流に位置し、前記改質手段によって改質された前記改質ガス中の一酸化炭素を水蒸気、または酸化剤で低減する少なくとも一つの一酸化炭素低減手段と、
    前記一酸化炭素除去システムにおいて低減された前記改質ガスと酸化剤によって発電する燃料電池と、を備えた燃料電池システムにおいて、
    前記燃料電池の発電によって生じた熱と熱交換を行い、前記燃料電池の温度を制御する冷却水を蓄え、更に前記冷却水によって前記改質手段に供給する前に前記酸化剤を加湿する冷却水貯留手段と、
    少なくとも前記冷却水貯留手段によって加湿された前記酸化剤の加湿量を算出する加湿量算出手段と、
    前記加湿量算出手段によって算出された前記加湿量に基づいて、前記燃料電池が劣化しないように前記燃料電池の発電量を制御する発電量制御手段と、を備えたことを特徴とする燃料電池システム。
  2. 前記改質手段に供給する前記酸化剤の量によって前記改質手段の温度を制御する温度制御手段と、
    少なくとも一つの前記一酸化炭素低減手段の上流に位置し、前記改質手段の下流の前記改質ガスに水を噴霧して前記改質ガスの温度を制御する水噴霧手段と、を備え、
    前記加湿量算出手段によって算出される加湿量は、少なくとも前記冷却水貯留手段と前記水噴霧手段手段によって加湿された水量であることを特徴とする請求項1または2に記載の燃料電池システム。
  3. 前記冷却水貯留手段による加湿量が不足した場合に、前記温度制御手段と前記水噴霧手段によって加湿量を増加させることを特徴とする請求項2に記載の燃料電池システム。
  4. 前記一酸化炭素低減手段内の圧力を制御する圧力制御手段と、を備え、
    前記加湿量算出手段によって算出された加湿量に基づいて、前記圧力を制御することを特徴とする請求項1または2に記載の燃料電池システム。
  5. 前記燃料電池に要求される発電量が或る閾値を超え、前記加湿量では前記一酸化炭素低減手段によって前記一酸化炭素を前記燃料電池が劣化しない濃度まで低減できない場合に、前記圧力制御手段によって、前記一酸化炭素低減手段内の前記圧力を高くすることを特徴とする請求項4に記載の燃料電池システム。
  6. 前記一酸化炭素低減手段は、少なくとも高温シフト反応器と、前記高温シフト反応器の下流に低温シフト反応器と、から構成され、
    前記高温シフト反応器の直下流の一酸化炭素濃度を推定する一酸化炭素濃度推定手段を備え、
    前記一酸化炭素濃度推定手段によって推定された前記一酸化炭素濃度によって、前記圧力を補正することを特徴とする請求項4または5に記載の燃料電池システム。
  7. 前記発電量制御手段は、前記燃料電池に要求される発電量が或る閾値を超え、前記加湿量では前記一酸化炭素低減手段によって前記一酸化炭素を前記燃料電池が劣化しない濃度まで低減できない場合に、前記燃料電池の発電量を前記閾値とすることを特徴とする請求項1から6のいずれか一つに記載の燃料電池システム。
  8. 前記加湿量算出手段は、少なくとも前記改質手段に供給される水、または水蒸気の水分子モル数と、前記原料の炭素原子モル数とのモル数比を算出することを特徴とする請求項1から7のいずれか一つに記載の燃料電池システム。
  9. 前記一酸化炭素低減手段は、複数の一酸化炭素低減反応器から構成され、
    前記水分子モル数は、前記複数の一酸化炭素低減反応器に供給される水、または水蒸気量から算出することを特徴とする請求項8に記載の燃料電池システム。
  10. 前記一酸化炭素低減手段は、少なくとも高温シフト反応器と、前記高温シフト反応器の下流に低温シフト反応器と、から構成され、
    前記高温シフト反応器の直下流の一酸化炭素濃度を推定する第1の一酸化炭素濃度推定手段を備え、
    前記一酸化炭素濃度推定手段によって推定された前記一酸化炭素濃度によって、前記低温シフト反応器までの前記モル数比を補正することを特徴とする請求項9に記載の燃料電池システム。
  11. 前記一酸化炭素低減手段は、少なくとも酸化剤によって一酸化炭素を低減する選択酸化反応器から構成され、
    前記選択酸化反応器に前記酸化剤を供給する酸化剤供給手段と、
    前記加湿量に応じて、前記選択酸化反応器に供給される前記酸化剤の流量を制御する酸化剤流量制御手段と、を備えたことを特徴とする請求項1から10のいずれか一つに記載の燃料電池システム。
  12. 前記酸化剤流量制御手段は、前記酸化剤中の酸素分子のモル数と、一酸化炭素分子のモル数のモル数比によって前記酸化剤の流量を制御することを特徴とする請求項11に記載の燃料電池システム。
  13. 前記低温シフト反応器の直下流の一酸化炭素濃度を推定する第2の一酸化炭素濃度推定手段と、を備え、
    前記第2の一酸化炭素濃度推定手段によって推定された前記一酸化炭素濃度によって、前記酸素分子のモル数と前記一酸化炭素分子のモル数のモル数比を補正することを特徴とする請求項12に記載の燃料電池システム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP7485804B2 (ja) 2016-04-21 2024-05-16 フュエルセル エナジー, インコーポレイテッド 二酸化炭素回収のための溶融炭酸塩型燃料電池アノード排気の後処理

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