JP2005284183A - 立体視画像作成方法および装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 疲労感を増大させることなく立体視効果を高めること。
【解決手段】 変形左右画像1201、1202上の点Ql1と点Qr1とを両眼401、402で融合すると観察者の眼には輻輳角QQQ1が付き、点Ql2と点Qr2とでは輻輳角QQQ2が付く。Dq2>Dq1であるので、輻輳角はQQQ2<QQQ1となる。すなわち、変形左右画像の上部では輻輳角が広くなり、下部では輻輳角が狭くなる。したがって、観察者の輻輳角によって形成される仮想面は、下部が観察者側に飛び出し、上部が奥に引っ込むこととなり、観察者の位置からみると上り坂のような仮想傾斜面1301が生成される。このように、元になる左右画像を変形させるだけで、立体視で知覚する立体像に仮想傾斜面を生成することができる。この原理を用いれば、変形処理を工夫することによって映像内容を模した仮想傾斜面を生成することもできる。
【選択図】 図13

Description

本発明は、立体視画像作成方法および装置に関し、より詳細には、立体視効果を高める立体視画像作成方法および装置に関する。
両眼視差等を利用した立体視画像が数多く提案されているが、既存の立体視画像の品質は、現実に感じられる立体画像と比較して扁平で書割のような立体感であることは否めない。また、これを改善すべく立体視画像表示装置は多数提案されてきたが、立体視の画像の品質はなかなか向上していない。現在の立体視は輻輳角とピント調節の不一致の問題だとし、輻輳角とピント調節の一致は不可能だと考えられていた。
しかし、問題は他にもある。立体視画像表示画面は平面であるので、平面の制約を逃れることができなかった。その上、立体視左右画像はそれぞれの視点位置から撮影した映像をそのまま使用した。ここで、既存の立体視の多くは、両眼視差と輻輳との2つの生理的奥行き手掛りを利用している。
(両眼視差による立体視)
両眼視差立体視とは左眼用画像と右眼用画像との視差画像のズレにより立体感を得るものであり、左眼で左眼用画像を、右眼で右眼用画像を同時に観察して、脳の中で両画像を融合することによりズレを感知してズレの程度から奥行きを知覚するというものである。両眼視差立体視用の左眼用、右眼用画像は、左視点と右視点とに設置したカメラでそれぞれ撮影して作製される。近年では、3次元コンピーター・グラフィックで作製することも多い。
既存の両眼視差立体視においては、両眼視差は下記の式で定義される(例えば、非特許文献1の5頁ないし6頁参照)。すなわち、図1を参照して、視距離をd、ひとみ距離をe、両眼視差をΔδとすると以下の式が成立する。
Δδ/Δd≒e/(2d)
両眼視差による立体視の特徴としては以下のものをあげることができる。
(1)距離が遠くなると極端に知覚感度が鈍る。
(2)両眼幅が6〜7cmの人間の両眼視差による立体視識別は10m以内が有効であり、450m以上では不可能といわれている。
(3)弁別できる最少の両眼視差である弁別閾は、約10”といわれている。
(4)両眼視差画像のズレが余りに大きいと融合する限界を超え、融合が困難になる視野闘争が起こる。
(輻輳による立体視)
輻輳とは両眼で近いところを見るときに両眼が内側に回転して寄り眼になることであり、輻輳角とは注視点で左右視線が交わる角度であって、立体視装置では両眼視差のある左眼用画像と右眼用画像から、左右各視点と左右各画像上のそれぞれ対応する融合点とをそれぞれ結んだ視線が互いに交わる角度のことである。輻輳と輻輳角とは以上のような違いがあるものの、理解を容易にするため以下では輻輳機能については輻輳角の問題として説明する。
人間はこのようにして生成される輻輳角の広狭から奥行きを知覚する。すなわち、左右の前記視線が交わる結像点の位置が遠いものほど輻輳角が狭くなり、前記結像点の位置が近いものほど輻輳角が広くなる。実世界では、星の位置などの非常に遠い位置を観察するときは、左右視線が平行になり輻輳角が0度になる。
輻輳角の特徴としては、人間の眼による輻輳角の立体知覚が有効な距離は20m程度と言われている。
(両眼視差と輻輳(輻輳角)の関係)
立体視の生理的要素は、調節、両眼視差、輻輳(輻輳角)の3要素であるが、既存の両眼視差画像を観察する立体視装置では、主に両眼視差と輻輳(輻輳角)との2つの生理的立体視要素を利用して立体感を感知しており、両眼視差と輻輳角とは相互関係がある(例えば、非特許文献1の14頁ないし15頁参照)。
例えば、立体像の立体感を大きくするには、通常、撮影時の撮影基線長を長くして左右画像の視差を大きくする。しかし、撮影基線長をいたずらに長く設定する(すなわち撮影基線比を大きくする)ことは以下の問題があり、立体視を観賞するときの撮影基線比は10分の1から100分の1とするのが良いといわれている。すなわち、撮影基線比の大きい左右画像は視差が大きくなり、そのため視野闘争の多い画像となって立体視観察者の生理的負荷が大きくなり、眼の疲労および痛み、吐き気、頭痛などの原因となる。
非特許文献1によると撮影基線長(ひとみ距離)を長くすると、輻輳角β′と両眼視差Δδ′とが共に比例して増大する関係式が記載されている。ひとみ距離をe、変化した輻輳角をβ′、変化した両眼視差をΔδ′とすると、
β′/β≒e′/eおよびΔδ′/Δδ≒e′/e
となる。
以上の関係について、理解を容易にするため実空間に基づいて輻輳角の広狭を説明する。なお、立体視の観察方法は、平行法によるものとして説明する。図2は、立体視画像を作成するための撮影を説明するための図である。ここではカメラレンズの焦点距離を無視する。左眼用カメラ(左視点)201と右眼用カメラ(右視点)202とが撮影基線距離Daを隔ててほぼ平行に配置される。点Aは、カメラの置かれた位置から1m〜3m先を示し、通常対象物としては、例えば花・テーブル・椅子などである。同様に点Bは、10m先であり、例えば小屋を、点Cは1km〜10km先であり、例えば遠い山などである。
図3は、立体視画像の作成のための撮影を説明するための図を上方から見た平面図であり、図3から輻輳角θは、視距離をHとすると、
θ=tan−1(H/2Da)
となる。
図4は、図2を参照して説明した方法により撮影された左右2枚の画像を左右の眼で観察する様子を示す図である。図4を参照すると、左画像403は左眼用カメラ201で撮影した画像であり、右画像404は右眼用カメラ202で撮影した画像である。左画像403上の点Al、点Bl、点Clは左眼用カメラ201で撮影した点A、点B、点Cである。一方、右画像404上の点Ar、点Br、点Crは右眼用カメラ202で撮影した右画像上の点A、点B、点Cである。
通常、立体視観察時の左右画像の配置は、左右画像の対応する無限遠点を立体視観察者のひとみ距離と等しくなるように離して左画像を左に、右画像を右に配置する。ここでは、図2の点Cは十分遠方にあるので左右視線が平行になる遠点とし、左画像の点Clと右画像の点Crとの間隔がひとみ距離と同じになるように左右画像403、404を配置する。左画像403を左眼401で、右画像404を右眼402で同時に観察すると、点Cでの輻輳角θ1cで値は0度となる。点Aでは輻輳角θ1a、点Bでは輻輳角θ1bとなる。
立体視画像の縮尺および立体視画像と観察者との距離を一定とすると、撮影基線長をDaに設定して撮影する場合を基準にして、撮影基線長を長くしたときに立体感がどのように変化するか比較することができる。
図5は、上述の左眼用カメラ201と右眼用カメラ202との撮影基線長Daを伸ばし撮影基線長Dbにして立体視用左右画像を作製することを説明する図である。観察者が前記立体視用左右画像501、502から得る点Aの輻輳角はθ2a、点Bの輻輳角はθ2b、点Cの輻輳角はθ2cとなる。撮影基線長がDaのとき(図4の場合)と、撮影基線長がDbのとき(図5の場合)とを比較すると、撮影基線長がDaのときは、任意の点の輻輳角θnは
θn=tan−1(Da/2H)であり、撮影基線長がDbのときは、任意の点の輻輳角θmは
θm=tan−1(Db/2H)である。従って、
θm/θn=tan−1(Da/2H)/tan−1(Db/2H)≒Db/Da
となる。
このように、立体視画像撮影時の撮影基線長を長くすると、立体視画像観察時の各点の輻輳角はそれに正比例して広くなる。
θ2a≒θ1a×Db/Da
θ2b≒θ1b×Db/Da
θ2c≒θ1c×Db/Da
となる。ただし、点Cは無限遠に近似した位置に在る点であるので、数倍しても0度とみなすことができる。実際は、人間の眼が知覚可能な輻輳角の値以下であれば、無限遠点とみなすことが可能である。
前述したように、同時に左画像と右画像の視差もこれに比例して大きくなる。すなわち、撮影基線長を長くして立体視画像を作製すると、輻輳角が広くなり、視差も大きくなるのである。
(写真計測と観賞用立体視)
一般に、両眼視差画像を利用した立体視は、空中写真で撮られた両眼視差画像を基にしており、写真計測して地図を作成できるほど精度が高い。写真計測をするときは、撮影基線長および被写体までの距離等の値並びに左右画像上の位置のずれの値から幾何学的計算をして被写体の3次元的な位置や形状を求める。
しかし、本発明の趣旨から両眼視差画像を用いて立体像を観賞するだけであれば、地図を作成するほど正確である必要はない。事実、写真計測とは異なり、立体視をただ観賞するときの観察者は、左右画像で対応する融合点が遠方にあるときは輻輳角が狭くなり、近くにあるときは輻輳角が広くなるという相対的な輻輳角の広狭の違いを感知することによって遠近を知覚することができる。
このとき、感覚的奥行き手掛りをも利用して立体感を感知すると、より立体感が増大するのは言うまでもない。ここで、感覚的奥行き手掛かりとは観察者の経験上あるいは感覚上の原因で、画像上にそれが含まれると立体感が強調されるものであり、ものの隠重、粗密の変化勾配、遠近による色調変化、陰影、影などである。
以上まとめると、両眼視差による立体視において立体感を増大するには撮影基線長を長くして、視差の大きな立体視用左右画像を作製すればよいということができる。
井上弘著、「立体視の不思議を探る」(オプトロニクス社)、平成11年2月発行。 日本写真測量学会編、「立体写真のみかた・とりかた・つくりかた」(技報堂出版株式会社) 「画像と空間の情報処理」 岩波講座 マルチメディア情報学
しかしながら、視差の大きな立体視用左右画像は融合するにはズレが大き過ぎ、視野闘争の多い画像となり、立体視観察者の生理的負荷が大きくなる。これにより、眼の疲労および痛み、吐き気、頭痛などの原因となる。すなわち、遠点の輻輳角を大きくしないで近点の輻輳角を広くする方法は、撮影基線長(すなわち左右2台のカメラの間隔)を長くする以外になかったので、観察者の眼への影響を考慮して立体感の弱い撮影基線長の短い立体視画像を使用せざるを得ない。
本発明はこのような問題に鑑みてなされたもので、左右画像の視差を大きくせずに(すなわち撮影基線比を大きくせず)、近点の融合点の輻輳角のみを広くし、疲労感を増大させることなく立体視効果を高める立体視画像作成方法および装置を提供することを目的とする。
本発明は、このような目的を達成するために、本発明の立体視画像を作成する方法は、立体視用の右画像と左画像とを有し、所定の表示面に表示される該右画像と左画像とにおいて対応する各点により生成される輻輳角によって仮想立体像を形成する立体視画像を作成する方法であって、前記仮想立体像を形成するよう予め作成された立体視画像の右画像と左画像とを変形処理して、該立体視画像の各点により生成される輻輳角を所定の規則により増減させ、前記仮想立体像の奥行きを変化させて立体視効果を高めることを特徴とする。
また、本発明の立体視画像作成装置は、立体視用の右画像と左画像とを有し、所定の表示面に表示される該右画像と左画像とにおいて対応する各点により生成される輻輳角によって仮想立体像を形成する立体視画像を作成する立体視画像作成装置であって、前記仮想立体像を形成するよう予め作成された立体視画像の右画像と左画像とを入力する入力手段と、当該入力された立体視画像の右画像と左画像とを変形処理して、該立体視画像の各点により生成される輻輳角を所定の規則により増減させ、前記仮想立体像の奥行きを変化させて立体視効果を高めた立体視画像を作成する処理手段と、当該作成された立体視画像を出力する出力手段とを備えたことを特徴とする。
また、本発明の他の立体視画像を立体視する方法は、立体視用の右画像と左画像とを有し、所定の表示面に表示される該右画像と左画像とにおいて対応する各点により生成される輻輳角によって仮想立体像を形成する立体視画像を立体視する方法であって、前記仮想立体像を形成するよう予め作成された立体視画像の右画像と左画像とを変形処理して、該立体視画像の各点により生成される輻輳角を所定の規則により増減させ、前記仮想立体像の奥行きを変化させて立体視効果を高めることを特徴とする。
また、本発明の他の立体視画像を立体視させる装置は、立体視用の右画像と左画像とを有し、所定の表示面に表示される該右画像と左画像とにおいて対応する各点により生成される輻輳角によって仮想立体像を形成する立体視画像を立体視させる装置であって、前記仮想立体像を形成するよう予め作成された立体視画像の右画像と左画像とを変形処理して、該立体視画像の各点により生成される輻輳角を所定の規則により増減させ、前記仮想立体像の奥行きを変化させて立体視効果を高めることを特徴とする。
以上説明したように、本発明によれば、仮想立体像を形成するよう予め作成された立体視画像の右画像と左画像とを変形処理して、立体視画像の各点により生成される輻輳角を所定の規則により増減させ、仮想立体像の奥行きを変化させることにより、疲労感を増大させることなく立体視効果を高めることが可能となる。
本発明の目的を考慮すると、立体視により立体視像をただ観賞する場合は、立体感のあるイメージが感知されればよいので、必ずしも厳密で正確な位置に立体像を結像する必要はない。このとき、立体視観賞者が左眼で左画像を、右眼で右画像を同時に観察して得られる結像点の輻輳角は、写真測量のように絶対値(測定値)によって認識されるのではなくて、あくまで、比較する2地点以上の結像点の輻輳角の広い方が手前に位置し、輻輳角の狭い方が奥に位置するという相対的な変化量(相対値)に基づいて認識されるものである。
従って、輻輳角の広狭と奥行き位置の前後が比例していて、形状の歪みが特別に知覚されなければ観賞用の立体視が成立する。手前の結像点の輻輳角の角度を、多少、広くすると結像位置が手前に飛び出すので立体像全体の奥行き感が増し、その結果立体感が増大した迫力ある立体像となる。以下、本原理を詳細に説明する。
まず、立体視用左右画像を観察者が観察するときに、観察者が観察する輻輳角がどのようにして決定されるかについて2つの側面が存在する。第1の側面は、撮影時の輻輳角と観察時の輻輳角について、および第2の側面は、観察時の左右画像の間隔についてである。
(撮影時輻輳角および観察時輻輳角)
第1の側面は、撮影時の輻輳角および観察時の輻輳角についてであるが、より正確には撮影時に映像に写された個々の3次元の対象物上の点(位置)の輻輳角(以下、この輻輳角を製作時映像輻輳角と定義し、その分布する空間を製作時映像輻輳角空間とする)と、撮影して写された映像を立体視する立体視観察者が知覚する輻輳角(以下、この輻輳角を観察時映像輻輳角と定義し、その分布する空間を観察時映像輻輳角空間と定義する)とである。立体視用の左右の映像に写しこまれている輻輳角であるという意味で、映像輻輳角と呼ぶ。また、観察時映像輻輳角は左右画像で対応する遠点の間隔が両眼幅に等しいときに得られる輻輳角とする。
製作時と観察時の状態が同一または相似形であるなら、観察時に製作時と同じ輻輳角を知覚する(例えば、非特許文献2参照)。しかし、左右の立体写真を撮影したときと同一の状態で、左右画像を観察することは非常に難しい。多くの場合、製作時の撮影基線長と対象物までの距離の関係と、観察時の眼基線長と写真までの距離の関係とが異なっており相似形とはならない。
図6は、製作時映像輻輳角と観察時映像輻輳角とが異なる例を示す図である。ここで、撮影基線長より眼基線長が短いことが原因で、特に立体視の航空写真では対象物が実際より高く見え現象が発生するが、このことを過高感という(例えば、非特許文献2参照)。このように、観察時と製作時とで基線長と対象物までの距離との関係が異なることは、立体視では一般的に生じうることである。
なお一般に、製作時映像輻輳角と観察時映像輻輳角とは一定の関数関係があるが、本発明にとってこの点は重要ではないので、相互関係についての説明は省略する。
本発明で問題とするのは、観察時映像輻輳角と後で述べる基体輻輳角である。図7は、本発明の一実施形態の観察時映像輻輳角を説明するための図である。観察時映像輻輳角は、立体視左右画像を画像内容の遠点を両眼幅だけ離して配置するので、視点と立体視左右画像までの距離、立体視左右画像の縮尺率などを設定すると定まる値である。
ここで、3次元世界において観察者に近い注視点を近点、観察者から見て遠くに見える点であって輻輳角の影響外の注視点を遠点とすると、左画像403上の遠点はPL1、右画像404上の遠点はPR1、左画像403上の近点はPL2、および右画像404上の近点はPR2となる。左画像403上の遠点PL1と右画像404上の遠点PR1との距離が両眼幅と等しくなるように左右画像を配置する。
左眼と左画像上の近点PL2とを結んだ線の延長線とで、右眼402と右画像404上の近点PR2とを結んだ線の延長線とは交差し輻輳角θを形成する。輻輳角θが観察時映像輻輳角である。
(基体輻輳角について)
第2の側面として、観察時の左右画像(基体)の配置される間隔について説明する。一般的には、立体視用左右画像は左右画像の対応する遠点が両眼幅の距離になるように左右に離して配置するが、立体像が飛び出す効果及び引っ込む効果を強調するために、左右画像の間隔を変えて離したり近づけたりすることは、通常よく行なわれている立体像の結像位置を操作する方法の1つである。
立体視用左右画像の配置される間隔によって発生する輻輳角を基体輻輳角と定義し、その分布する空間を基体輻輳角空間とする。基体輻輳角の分布は面を形成するので、これによって生成される仮想の面を仮想面と定義し、特に立体視用左右画像が配置される表示面に対して傾斜しているものを仮想傾斜面と定義する。仮想傾斜面は必ずしも連続した面ではなく画像面とフラットかつ平行でないもの全て含むものとする。
基体輻輳角を図8、図9を参照して説明する。図8は、一実施形態の左右画像の間隔を変えて仮想面が奥に移動することを説明する図であり、図9は、一実施形態の左右画像の間隔を変えて仮想面が手前に移動することを説明する図である。ここで、立体視左右画像403、404は左右画像とも表示面801に表示された面である。左右画像403、404の間隔を変えて近づけたり離したりすることにより、観察者が立体視すると面が飛び出す効果と引っ込む効果とを生む。これは、前記観察時映像輻輳角を無視した純粋に画像基体の位置関係によって発生するものである。
図8および図9において、左右画像403、404上に描かれた十文字は位置情報としての点であり、各画像に均一に分布している(いわゆる画像上のXY座標である)。左右画像403、404上の対応する点PlとPrとが融合して結像点を決定する。
図8では左画像403と右画像404とが離れているので仮想面は引っ込む。図9では左画像403と右画像404とが近づいているので仮想面は飛び出す。
ただし、これらの図は概念の説明であり、輻輳角の結像位置が正しく描かれてはいないので、輻輳角については図10を参照して説明する。PLaは左画像403上の点、PRaは右画像404上の点、PLbは、移動後の左画像1001上の点、およびPRbは移動後の右画像1002上の点である。左画像403上の点PLaと右画像404上の点PRaとが、両眼幅より狭い間隔離れて配置してある。なお、PLaとPRaおよびPLbとPRbは、それぞれ対応する画像上の位置情報(点)である。
左眼401と点PLaとを結んだ線の延長線と、右眼402と点PRaと結んだ線の延長線とは交わって交点Pa2に結像する。両視線の輻輳角はθaである。左画像403と右画像404とによる仮想面1003はこの位置にできる。次に、左画像403と右画像404とを両者の距離が狭くなるように移動する。すなわち、左画像403と面上の点PLaとは左画像1001と点PLbとの位置に、右画像404と面上の点PRaとは右画像1002と点PRbとの位置にそれぞれ移動する。ここで、θは観察時映像輻輳角、θcは総合輻輳角である。
左眼401と点PLbとを結んだ線の延長線と、右眼402と遠点PRbとを結んだ線の延長線とは交わって交点Pb2に結像する。両視線の輻輳角はθbであり、左画像1001と右画像1002とによる仮想面1004はこの位置にできる。
ここで、θb>θaとなるので、仮想面1004は仮想面1003より観察者側から見て手前に現れることとなる。これが、立体視用左右画像の相互の間隔を近づけると飛び出す効果が生まれる原理であり基体輻輳角の原理である。
以上説明したように、基体輻輳角の広狭により発生する現象として、立体像全体が飛び出す効果および引っ込む効果と、立体視用左右画像の相互の間隔の広狭との相互関係を理解することができる。
(観察時映像輻輳角と基体輻輳角の関係)
観察時映像輻輳角と基体輻輳角との関係について以下に説明する。観察時映像輻輳角は、上述したように立体視観察者の両眼幅だけ立体視左右画像を離して配置した結果画像上の各点と観察者の両眼により形成される輻輳角である。基体輻輳角が形成される点は各画像上に均一に分布しているので、基体輻輳角の基準点を観察時映像輻輳角の遠点に重ね合わせる位置とすることが可能である。
従って、基体輻輳角は左右画像が両眼幅だけ離れているので、平行すなわち0度である。立体視画像観察者が知覚する輻輳角を総合輻輳角とすると
総合輻輳角=観察時映像輻輳角
となる。図7を参照すると、左画像403上の遠点PL1と右画像404上の遠点PR1との距離が両眼幅と等しくなるように左右画像を配置すると、左眼401と左画像403上の近点PL2とを結んだ線の延長線と、右眼402と右画像404上の近点PR2とを結んだ線の延長線とは交差して輻輳角θが形成される。輻輳角θが観察時映像輻輳角である。
次に、左右画像を近づけるが、視点から画像までの距離および画像のスケールを変更しない。図11を参照すると、左画像403を右画像404側の左画像1001に移動すると、左画像403上の遠点PL1と近点PL2は、左画像1001上の遠点PL3と近点PL4に移動する。右画像404を左画像403側の右画像1002に移動すると、右画像404上の遠点PR1と近点PR2とは、右画像1002上の遠点PR3と近点PR4とに移動する。
左眼401と点PL4を結んだ線の延長線LL2と、右眼402と点PR4を結んだ線の延長線LR2が交点P4で交わり、この点が点PL4と点PR4との結像点である。従って、両視線(LL2とLR2)の輻輳角はθcとなる。両視点位置は同一で、点PL4とPR4の距離が元の距離より縮まっているので、
θc>θ
となる。
また、左眼401と遠点PL3を結んだ線の延長線LL1と、右眼402と点PR3を結んだ線の延長線LR1が交点P3で交わり、この点が点PL3と点PR3との結像点である。従って、両視線(LL1とLR1)の輻輳角はθdである。両視点位置は同一で、点PL3とPR3の距離が元の距離より縮まっているので、
θd>0
となる。ここで、θdは基体輻輳角である。
従って、立体視画像観察者が知覚する輻輳角を総合輻輳角とすると
総合輻輳角=基体輻輳角 + 観察時映像輻輳角
となる。ただし、この式は概念式で単純に両輻輳角を足したものではなく、基体輻輳角と観察時輻輳角とを総合することによって総合輻輳角を得ることができるといった意味である。
以上のように、基体輻輳角を変化させることにより、立体視観察者の知覚する輻輳角(総合輻輳角)を変化させることができる。
(第1実施形態)
次に、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図12は、仮想傾斜面が形成されるように左右画像を変形処理した画像を示す図である。表示面に表示されている立体視左右画像を下部から上部にかけて一定の割合で輻輳角が減少するように変形させると基体輻輳角空間が変化し、仮想面が傾斜して上部が奥に引っ込むような仮想傾斜面が得られる。また、逆に輻輳角を増大させるように変形すれば上部が手前に飛び出すような仮想傾斜面が得られる。輻輳角を上部から下部にかけて増減すると仮想面の傾斜が上下逆になる。この傾斜した面を仮想傾斜面と呼び、図12に示す仮想傾斜面は上部が奥に引っ込むように変形している例であるが、これに限られず仮想傾斜面は表示面と同一平面でなければ曲面を含むいかなる平面とすることもできる。
図12において、元の左画像1203上の下部に点Pl1と上部に点Pl2が1つの直線上に描かれ、元の右画像1204上には下部に点Pr1と上部に点Pr2が1つの直線上に描かれている。それらが表示面に左右に並列に配置されている。(点Pl1と点Pr1の距離=点Pl2と点Pr2の距離、となっている)。
今、元の左右画像1203、1204の上部を相反する方向に歪み変形させる。以下、変形後の立体視の左右の画像をそれぞれ変形左画像、変形右画像という。元の左画像1203上の点Pl1と点Pl2は画面中心とは反対の方向に移動し、変形左画像1201上の点Ql1と点Ql2の位置にそれぞれ移動する。また、元の右画像1204上の下部の点Pr1と上部の点Pr2は画面中心とは反対の方向に移動し、変形右画像1202上の点Qr1と点Qr2の位置にそれぞれ移動する。
点Ql1と点Qr1との距離Dq1は点Ql2と点Qr2との距離Dq2より小さい。すなわち、
Dq2>Dq1
となる。
(実施例1)
図13は、一実施形態の仮想傾斜面を模式的に表す図である。変形左右画像1201、1202上の点Ql1と点Qr1とを両眼401、402で融合すると観察者の眼には輻輳角QQQ1が付き、点Ql2と点Qr2とでは輻輳角QQQ2が付く。ここで、
Dq2>Dq1
であるので、輻輳角は
QQQ2<QQQ1
となる。すなわち、変形左右画像の上部では輻輳角が広くなり、下部では輻輳角が狭くなる。したがって、観察者の輻輳角によって形成される仮想面は、下部が観察者側に飛び出し、上部が奥に引っ込むこととなり、図13に示すように観察者の位置からみると上り坂のような仮想傾斜面1301が生成される。このように、元になる左右画像を変形させるだけで、立体視で感知する立体像に仮想傾斜面を生成することができる。この原理を用いれば、変形処理を工夫することによって映像内容を模した仮想傾斜面を生成することもできる。
したがって、元の画像が有する輻輳角とは異なる輻輳角が付くが、以上の処理により観察者の輻輳角の変化量が通常の場合より増大し、仮想空間の遠近感も増大する結果、没入感が増して立体感が向上するという効果がある。また、このように左右画面が変形して融合点が移動しても、融合可能限界内であれば、人間の眼が本来持つ機能によって左右画像から左眼右眼の融合点を正確に抽出して立体視することが可能となる。図13に示すような画像の下部から上部にかけて一定の量で輻輳角を減少させることによって得られるような仮想傾斜面1301は、実際の画像では例えば手前に草木が生えていてその先に家屋や木があって、更にその先に森や川が流れ遠くの山へと続いているような画像の場合に特に有効である。すなわち、近くの草木や家屋がより近づき、遠くの山がはるか先に見えるため良好な立体感が得られるのである。
さらに、通常の立体視画像では書割のように奥行きが浅く見える場合も、本発明によって変形処理することにより豊かで奥行きの深い立体感を形成させることができる。
また、図20を参照すると、例えば立体視画像の映像内容が上り坂の場合、図13のように元の左右像1203、1204の上部がお互いに離れる方向に歪み変形処理すると、仮想面の上部が観察者の奥行き方向に引っ込む、上り坂の仮想傾斜面が生成される。(変形左右画像を近づけると前期仮想傾斜面全体が飛び出す。)歪み変形の値を左右画像の中間で変化させることによって、勾配の変化した仮想傾斜面を形成することができる。この結果、形成された仮想傾斜面上に左右画像が本来有している映像輻輳角(観察時映像輻輳角)が配分され、映像内容の空間と近似または誇張した奥行き感のある総合輻輳角空間を形成することができる。
次に、立体視の効果を向上させる既存の方法と比較検討する。まず、図4で示した左右画像を変形して、その輻輳角の変化の値を具体的に説明する。図5で示したように、撮影基線長を長くすると、輻輳角が広くなり視差が大きくなる。ここで、図4で示した左右画像403、404を本発明に基づいて変形して、輻輳角の変化を具体的に示す。
図20を参照すると、図4で示した撮影基線長がDaで作製した左画像403と右画像404とを歪ませる。左画像403は点Clを基点にして光軸側に角度α歪ませ、右画像404は点Crを基点にして光軸側に角度α歪ませる。厳密にする場合は、点Clおよび点Crの上部は歪ませない。左画像403と右画像404とは歪み変形し変形左画像2001と変形右画像2002とになる。
変形左画像2001上の点Clと変形右画像2002上の点Crはひとみ距離と同じ距離となるように変形左画像2001と変形右画像2002とを配置する。点Blと点Brとの間隔は変形前より縮まる。同様に点Alと点Arとの間隔は、点Clおよび点Crからより離れているので、変形前の点Alと点Arとの間隔より縮まって変形後の点Blと点Brとの間隔が狭くなる以上に狭くなる。
変形左画像2001と変形右画像2002とを立体視左右画像として観察するとき、点Cの輻輳角θ3cは0であるが、点Aの輻輳角θ3aおよび点Bの輻輳角θ3bは画像の下に行くほど広くなる。輻輳角θ3aが最も広く、輻輳角θ3bは次に広い。この結果、図5で示した撮影基線長がDbで作製した左画像501と右画像502とに非常に近似した輻輳角の広狭の分布となる。
このようにして、左右画像の視差を大きくせずに、観察者に近い点ほど輻輳角を広くでき、立体視観察者の知覚する立体感を増大することができる。
このとき、立体視左右画像が写真画像のように感覚的奥行き手掛りを備えていると、後述の本発明により発生する矛盾を目立たないようにすることが可能となる。
(画像作成システム構成)
以上変形処理の一実施例を説明したが、以下に変形処理を実施するためのシステム構成について説明する。
図21は、本発明の画像作成装置である画像作成システムの一実施形態を示す概念図である。本実施形態のシステムは、本体2101、画像入力部2105、画像出力部2107および外部記憶装置2106を備えるが、これに限られない。さらに、本体2101は、CPU2102、RAM2103およびROM2104を含む。
画像入力部2105から予め作成された立体視画像である元の画像が読み込まれ、本体2101において上述の変形処理が実施されて、画像出力部2107から変形処理された画像が出力される。画像入力部2105は、元の画像が写真に記録されたものであればスキャナとすることができるが、何らかのデータファイル形式であれば種々の入力インタフェース機器とすることができる。また、画像出力装置2107をプリンタとして画像を用紙に印刷し出力することができるが、その他例えばディスプレイやスクリーン等として直接表示するようにすることもできる。
本実施形態においては、画像の変形処理は本体2101で行われるが、通常これは画像処理ソフトウェアにより行われる。画像処理ソフトウェアの所定のプログラムに必要な数値を設定し変形処理を実行すると、CPU2102は、ROM2104等に格納されたオペレーティングシステムを介して外部記憶装置2106に格納されたプログラムを読み出してRAM2103にロードする。RAM2103にロードされたプログラムはそのステップを順次実行して指定された所定の数値に基づき入力画像を処理し、最終的に画像を出力する。
本実施形態の画像の変形においては、二次元画像の幾何学的変換は上述の本体2101のようなコンピューターを用いて行われるが、二次元画像用の画像処理ソフト(例えば、アドビ・フォトショップ(登録商標))の変形機能を使用すれば、容易に画像の幾何学的変換が可能である(例えば、非特許文献3参照)。
(立体視装置)
本実施形態において作成された立体視画像は、左右画像に視差のある立体視用画像を観察する立体視装置であればいずれの装置でも使用可能である。2枚の画像ばかりでなく、多眼式と言われる一対の立体視画像のペアを多数使用した立体使用の装置でも利用可能である。例えば少しずつ視点が移動した4つのペアを組み合わせた8画像式でも良い。
図22、図23に最もシンプルな立体視ビュアーを示す。両者とも、遮光板で左右画像を分離する立体視装置である。図22の立体視装置は平行法のビュアーで、図23の立体視装置は交差式ビュアーである。図23において、交差式の場合は、左右画像の配置を左右反対になるので変形する方向が平行法とは逆方向となる。図22、23に示す変形画像は歪み変形の例であるが、これをトリミングして矩形にすることが可能である。
既存の立体視装置としては、アナグリフ方式、レンチキュラレンズ方式、バララックス・バリア方式、偏光分離方式、または時分割分離方式などが使用可能であるがこれらに限られない。
また、立体視画像は写真のような用紙上に表されているものに限らず、ディスプレイやスクリーンに表示するようなシステムとすることができ、この場合、上述の作成装置に元の画像を入力し変形処理した後そのままディスプレイ等に処理された立体視画像を表示して立体視を行うといった構成も可能である。
(実施例2)
図13においては比較的単調な傾斜を持つ仮想傾斜面であったが、上述の通り、仮想傾斜面はこれに限られず撮影あるいは作成された画像の特性に合わせて種々のものが考えられる。例えば、図14に示すように前記仮想の傾斜角が途中で変化するよう変形処理して左右画像1401、1402を作成し、階段状となるような仮想傾斜面1403とすることもできる。
(実施例3)
図15に示すように仮想傾斜面1503が曲面であるものとすることもできる。図15のように、元の変形前の左右画像を変形左右画像1501、1502を形成するように画素の行単位で変形する。前述の歪み変形は、まとまった数の画素の行を変形するときに行なうが、細かな変形をするときは1行ごとに横方向に移動する。例えば、変形左右画像1501、1502は各画素の行を、中心部において最も離れ、上部と下部とにおいて近づける方向に移動して変形し、上下端部が最も近づくようにする。
この結果、仮想傾斜面1503は中央部が奥に窪んだ湾曲した形状となり、天空を模することが可能である。この湾曲した仮想傾斜面1503は、中央部が飛び出た湾曲でも、上部が飛び出た湾曲でもよい。中央部が飛び出た湾曲面を形成すると、レンズ効果に近似した効果となる。例えば、映像内容に地平線があり、地平線近傍が最も奥になるような仮想傾斜面を形成したい場合に図15に示すような変形処理を施すのが有効である。
(実施例4)
このようにして形成された上述の仮想傾斜面上に観察時映像輻輳角が配分され、より奥行き感のある総合輻輳角空間を形成することができるが、図16に示すように傾斜面に対し全体的にフラットでない段差の付いた仮想傾斜面1603とすることもできる。これらの種々の仮想傾斜面を生成するための画像の変形処理は上述したように、既存の画像処理ソフトウェアを用いて容易に行うことができるが、変形処理の具体的な内容にかかわらず、仮想傾斜面を生成し立体感を向上させる方法および装置等はいずれも本願発明の範囲に属することは明らかである。
(実施例5)
さらに具体的に仮想傾斜面の適用を検討すると、図17に示すような画像に適した変形処理を考えることができる。図17は、大地に立って特に作為がない状態で撮影された写真の例を示す図であり、写真の下部が足元になり、写真の下部から中段は地平線の奥行き方向の面が写り、さらに写真の地平線部分から上が、地平線部分から観察者側に向かってくる空と雲になる。
このような風景を立体視用画像とするには、この画像を視差のある左右画像として撮影する必要がある。一般に、立体視左右写真にして、迫力ある立体像を知覚するようにするには撮影基線長を長く設定しなければならない。しかし、本願発明を適用して図18に示すような仮想傾斜面を生成するよう画像を変形処理すれば、撮影基線長がそれほど長くなくても、本発明により奥行き感を誇張することが可能である。図18は、このような効果を引き出すために有効な仮想傾斜面を説明するための図であり、地平線部分の近傍を最も奥になるように仮想傾斜面1803が生成されるようにすればよい。
このために、画像の変形は、平行法の場合、図18に示すように地平線部分の近傍において左右画像1801、1802の画素の行を最も離し(すなわち、両眼幅とし)、画像の上部と下部の画素の行を最も近くして、その間を連続的に変化するようにして行う。地面および空に相当する部分は直線的変化する歪み変形にするとよい。図18で仮想傾斜面の中に画像のイメージが描かれているが、立体像を描いているのではなく、あくまで傾斜仮想面1803の形状を説明するために描いた画像である。立体像は仮想傾斜面1803の手前または奥の空間上に結像する。
(実施例6)
奥行き方向または左右方向に客観的に傾斜した画面に用いて表示することも可能である。この場合、傾斜した画面傾斜面に表示された画像は、射影変換された画像であるが、左右画像を左右画像を表示する傾斜した画面に射影し射影変換するとき、射影する基点はそれぞれの視点の近傍ではなく、左右視点を結ぶ線上の視点より離れた位置とすると仮想傾斜面が形成される。
(第2実施形態)
図19において、対象物A、B、Cが左画像でAl、Bl、Cl、の位置にあり、右画像ではAr、Br、Crの位置にあり、これら(Al、Bl、Cl、Ar、Br、Cr)が左右画像の基体とそれぞれ一体化している。左画像1901と右画像1902は左右画像の上部をお互いに離れるように歪み変形処理したものである。画像変形処理によって基体輻輳角空間、すなわち仮想傾斜面1903の下部は観察者側に飛び出た上り坂となる。以上は図13の場合と同様である。
同時に、左右画像1901、1902上に表された対象物の映像による映像輻輳角空間もそれぞれ上部が傾いて変形する。左右画像1901、1902のそれぞれの融合点で形成される仮想対象物Av、対象物Bv、対象物Cvの観察時映像輻輳角は、仮想傾斜面1903の下辺と上辺の間に配分して形成されるので、奥行き感が増大した総合輻輳角となり、立体感が増大した総合輻輳角空間が形成される。融合して感知される仮想対象物Av、Bv、Cvは上部が傾いているが、この傾き範囲が小さい場合、視点位置から観察した像は正常に感知される。なぜなら、人間は不可能な形を認識できない心理学的特性があり、日常の知覚に照らし合わせて認識するため、日常でありえない歪みを無視するからである。ここでも、感覚的奥行き手掛りが大きな働きをする。
このように表示面に表示された立体視用左右画像を変形することによって、奥行き方向に深い基体輻輳角(基体輻輳角空間)を形成することが可能であり、この基体輻輳角空間の領域に映像固有の映像輻輳角空間を形成するので、これらが合計された総合輻輳角による総合輻輳角空間は奥行き方向に深い仮想空間となる。
(立体視における矛盾)
本実施形態では仮想対象物Av、Bv、Cvは前後方向に仮想傾斜面1903とほぼ並列に位置しているが、これと異なる場合もある。例えば、図19で示した仮想物Cvが手前にある対象物だとすると、図19の破線で示した仮想傾斜面1903の奥の部分に位置するので、仮想物Cvの映像輻輳角が大きくても、仮想傾斜面の基体輻輳角の影響によって、総合輻輳角は小さくなる。したがって輻輳角のみで立体視による仮想の位置を判断すると本来の位置より奥側となる。
これは、本来の映像内容と矛盾する。このように仮想傾斜面と特定の位置ある対象物の実際の位置が矛盾する場合、矛盾は大脳において総合的に判断されるため、立体視の感覚的立体視要素である隠重(後ろの物は前の物に隠れる)、大きさの恒状性(大きいものほど手前にある)などの感覚的奥行き手掛りを加味して矛盾が判断さる。すなわち、人間は錯覚に見られるように日常の「視覚的常識」を基に視覚世界を判断している光学的、幾何学的な説明を越えて立体感を知覚するので、仮想空間で奥に有るものが重なり合いの前に位置し後ろのものが一部隠れていたり、大きく見えたり、後ろのものよりハッキリ見えれば、これらの要素を総合的に判断し、例え輻輳角が多少異なっていても手前に存在すると判断する。すなわち、この場合の矛盾は否定される。
そもそも輻輳角による3次元位置の認識の有効範囲は20メートル程度と言われており、また輻輳角の効果は、33’以下では有効でないという報告がある。遠方を輻輳角のみで立体認識するのは不可能なわけである。従って、本発明は映像内容と前後の位置が比例した仮想傾斜面を形成するような画像、例えば風景のような画像を得意としている。すなわち、俯瞰および仰観する画像に向いているということができる。
(第3実施形態)
立体視左右画像に全く同一の画像を左右に配置し変形処理して仮想傾斜角を形成することもできる。この場合は、1枚の2次元画像を使用した擬似立体視となる。このとき総合輻輳角は、映像輻輳角が0なので基体輻輳角の値と等しくなる。
例えば風景写真の場合、写真の下部が実空間では観察者の手前の(近い)位置になり、写真の上部が実空間では観察者から奥の(遠い)位置になる。このとき、観察者の輻輳角は手前(近く)が大きく、奥(遠く)に行くほど小さくなる。
本発明で、前記左右画像に左右同一の画像を使用し、実施例2に示した変形処理を行うことによって仮想傾斜角を形成すると、実空間と近似した総合輻輳角空間が形成される。
例えば、写真のイメージが平原の先に山があり、その上が雲の場合、平原の部分は傾斜角を大きくし、山部は緩やかな傾斜角、雲は手前に飛び出る逆の傾斜角をつけられた仮想傾斜角空間を形成するとよい(これは視差のある画像も同じである)。ただし、映像輻輳角はないので、映像と輻輳角が矛盾するときは前記感覚的奥行き手掛りが大きく影響する。
本実施形態は結局擬似立体視であるが、現在ある画像(1枚)をそのまま使用でき、経費が安く済ますことができるので過去の遺産を使用できる利点は大きい。このように本実施形態においては、左右画像の視差が小さくても、仮想傾斜角の傾斜を大きくし、映像内容に近似した仮想傾斜面を形成することによって、奥行きの深い立体感を生み出すことが可能になる。
両眼視差と視距離との関係を示す図である。 立体視画像の作成するための撮影を説明するための図である。 立体視画像の作成するための撮影を説明するための図を上方から見た平面図である。 図2を参照して説明した方法により撮影された左右2枚の画像を左右の眼で観察する様子を示す図である。 左眼用カメラと右眼用カメラとの撮影基線長を伸ばし撮影基線長にして立体視用左右画像を作製することを説明する図である。 製作時映像輻輳角と観察時映像輻輳角とが異なる例を示す図である。 本発明の一実施形態の観察時映像輻輳角を説明するための図である。 一実施形態の左右画像の間隔を変えて仮想面が奥に移動することを説明する図である。 一実施形態の左右画像の間隔を変えて仮想面が手前に移動することを説明する図である。 一実施形態の左右画像の間隔を変えて仮想面が移動することを説明する図である。 一実施形態の左右画像の間隔を近づけて仮想面が移動することを説明する図である。 仮想傾斜面が形成されるように左右画像を変形処理した画像の一例を示す図である。 仮想傾斜面が形成されるように左右画像を変形処理した画像の一例を示す図である。 仮想傾斜面が形成されるように左右画像を変形処理した画像の一例を示す図である。 仮想傾斜面が形成されるように左右画像を変形処理した画像の一例を示す図である。 仮想傾斜面が形成されるように左右画像を変形処理した画像の一例を示す図である。 大地に立って特に作為がない状態で撮影された写真の例を示す図である。 立体視の効果を引き出すために有効な仮想傾斜面を説明するための図である。 仮想傾斜面が形成されるように左右画像を変形処理した画像の一例を示す図である。 仮想傾斜面が形成されるように左右画像を変形処理した画像の一例を示す図である。 本発明の画像作成装置である画像作成システムの一実施形態を示す概念図である。 平行法のビュアーを示す図である。 交差式のビュアーを示す図である。
符号の説明
201 左眼用カメラ
202 右眼用カメラ
401 左眼
402 右目
403、501、1203 左画像
404、502、1204 右画像
801 表示面
1001、1201、1401、1501、1601、1801、1901、2001 変形左画像
1002、1202、1402、1502、1602、1802、1902、2002 変形右画像
1003、1004 仮想画面
1301、1403、1503、1603、1803、1903 仮想傾斜面
2101 システム
2102 CPU
2103 RAM
2104 ROM
2105 画像入力部
2106 外部記憶装置
2107 画像出力部

Claims (13)

  1. 立体視用の右画像と左画像とを有し、所定の表示面に表示される該右画像と左画像とにおいて対応する各点により生成される輻輳角によって仮想立体像を形成する立体視画像を作成する方法であって、
    前記仮想立体像を形成するよう予め作成された立体視画像の右画像と左画像とを変形処理して、該立体視画像の各点により生成される輻輳角を所定の規則により増減させ、前記仮想立体像の奥行きを変化させて立体視効果を高めることを特徴とする立体視画像を作成する方法。
  2. 前記所定の規則は、前記予め作成された立体視画像の下部から上部または上部から下部にかけて所定の量で輻輳角を減少させて変形処理を行う規則であることを特徴とする請求項1に記載の立体視画像を作成する方法。
  3. 前記所定の量は、前記予め作成された立体視画像の1つまたは複数の所定の位置の間において一定であり、該所定の位置で変化することを特徴とする請求項2に記載の立体視画像を作成する方法。
  4. 前記所定の規則は、前記仮想立体像を形成するよう予め作成された立体視画像の所定の位置において輻輳角が最低となるよう上部および下部から該所定の位置の方向に一定の量で前記輻輳角を減少させる変形処理を行う規則であることを特徴とする請求項1に記載の立体視画像を作成する方法。
  5. 前記変形処理は、前記立体視画像のゆがみ変形処理によることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の立体視画像を作成する方法。
  6. 前記変形処理は、前記立体視画像の射影変換処理によることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の立体視画像を作成する方法。
  7. 前記変形処理は、前記立体視画像を形成する画素の行単位の移動処理によることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の立体視画像を作成する方法。
  8. 前記仮想立体像を形成するよう予め作成された立体視画像の右画像と左画像とは同一の画像であることを特徴とする請求項1ないし7のいずれかに記載の立体視画像を作成する方法。
  9. 前記仮想立体像を形成するよう予め作成された立体視画像の右画像と左画像とは、感覚的立体視要素を含むことを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の立体視画像を作成する方法。
  10. 立体視用の右画像と左画像とを有し、所定の表示面に表示される該右画像と左画像とにおいて対応する各点により生成される輻輳角によって仮想立体像を形成する立体視画像を作成する立体視画像作成装置であって、
    前記仮想立体像を形成するよう予め作成された立体視画像の右画像と左画像とを入力する入力手段と、
    当該入力された立体視画像の右画像と左画像とを変形処理して、該立体視画像の各点により生成される輻輳角を所定の規則により増減させ、前記仮想立体像の奥行きを変化させて立体視効果を高めた立体視画像を作成する処理手段と、
    当該作成された立体視画像を出力する出力手段と
    を備えたことを特徴とする立体視画像作成装置。
  11. 立体視用の右画像と左画像とを有し、所定の表示面に表示される該右画像と左画像とにおいて対応する各点により生成される輻輳角によって仮想立体像を形成する立体視画像を作成するよう立体視画像作成装置を制御するプログラムであって、
    入力手段により前記仮想立体像を形成するよう予め作成された立体視画像の右画像と左画像とを入力するステップと、
    処理手段により当該入力された立体視画像の右画像と左画像とを変形処理して、該立体視画像の各点により生成される輻輳角を所定の規則により増減させ、前記仮想立体像の奥行きを変化させて立体視効果を高めた立体視画像を作成するステップと、
    出力手段により当該作成された立体視画像を出力するステップと
    を立体視画像作成装置に実行させるプログラム。
  12. 立体視用の右画像と左画像とを有し、所定の表示面に表示される該右画像と左画像とにおいて対応する各点により生成される輻輳角によって仮想立体像を形成する立体視画像を立体視する方法であって、
    前記仮想立体像を形成するよう予め作成された立体視画像の右画像と左画像とを変形処理して、該立体視画像の各点により生成される輻輳角を所定の規則により増減させ、前記仮想立体像の奥行きを変化させて立体視効果を高めることを特徴とする立体視画像を立体視する方法。
  13. 立体視用の右画像と左画像とを有し、所定の表示面に表示される該右画像と左画像とにおいて対応する各点により生成される輻輳角によって仮想立体像を形成する立体視画像を立体視させる装置であって、
    前記仮想立体像を形成するよう予め作成された立体視画像の右画像と左画像とを変形処理して、該立体視画像の各点により生成される輻輳角を所定の規則により増減させ、前記仮想立体像の奥行きを変化させて立体視効果を高めることを特徴とする立体視画像を立体視させる装置。
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