しかしながら、従来の構成では、意図しない映像の送出を防止するためには、保留機能用の操作ボタンを押す必要があるので、とっさの場合に操作ボタンを押すことができず、映像の送信を停止することができない虞がある。
すなわち、遅延無く保留機能を動作させるには、保留機能用の操作ボタンを押すためにテレビ電話機の操作に習熟している必要があるが、もし習熟が不十分であり、保留機能を使い慣れていない場合には、急に環境の変化が発生した際に、操作の手順が分からずに、とっさに映像の送信を停止することができない虞がある。また、急な環境の変化が生じた場合に、あわてている操作者がすぐさま保留機能を実行することができずに、意図しない映像を相手側に送信してしまうことも考えられる。
また、上記特許文献1の構成は、意図せずにカメラの方向が変化した場合を想定したものであり、テレビ電話機のユーザの意思に応じて保留機能を用いるものではない。また、過去の入力画像の保持を行うためのメモリや、比較の処理、制御などが複雑であるため、コストを要するという問題もある。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、とっさの場合であっても操作を行って保留機能を用いることのできるテレビ電話機およびテレビ電話システムを提供することにある。
本発明に係るテレビ電話機は、上記課題を解決するために、撮像装置を用いて撮影した映像を通話先端末に送信するテレビ電話機において、上記撮像装置を用いた撮影が、テレビ電話機本体の使用者によって妨害されているか否かを、上記撮像装置を用いて撮影した上記映像の明るさに基づいて判定する判定部と、上記判定部の判定に応じて、予め設定した動作を実行する設定動作実行部とを含んでいることを特徴としている。
テレビ電話機を用いて通話する際には、テレビ電話機は、通信相手先の通話先端末と通信接続を確立する。テレビ電話機から、撮像装置を用いて撮影した映像データを通話先端末に送信する。また、集音装置を用いて集音した音声データを通話先端末に送信する。通話先端末からは、通信相手先の映像データと音声データとが送信され、テレビ電話機にて受信して再生する。
テレビ電話機の判定部は、撮像装置を用いて撮影した映像の明るさに基づいて、撮影がテレビ電話機の使用者によって妨害されているか否かを判定する。ここで、撮影の妨害とは、例えばテレビ電話機の使用者によって、撮像装置の撮像部が手などで塞がれて、撮影ができなくなった状態を意味する。
判定部は、例えば映像の輝度を用いて、輝度の平均値と予め定めた閾値とを比較する。この場合、輝度の平均値が閾値未満となった場合に、撮影が妨害されているものと判定する。これに限るものではなく、平均値以外の特性値を用いてもよい。
設定動作実行部は、判定部の判定に応じて、予め設定した動作を実行する。例えば、撮影が妨害されていると判定されたとき、保留動作を実行して、テレビ電話機を保留状態とする。
したがって、テレビ電話機の通話中に、使用者が撮像装置を手で塞げば、判定部が妨害と判定して設定動作実行部によりテレビ電話機は保留状態に移行する。このように、撮像装置を手で塞ぐという直感的な動作によって保留状態に移行することができるので、とっさの場合であっても操作を行って保留機能を用いることのできるテレビ電話機を提供できる。
なお、上述のテレビ電話機を含むテレビ電話システムを、通話中にカメラにより入力された映像を送出する機能と、受信した映像の表示を行う機能を持つ、テレビ電話システムにおいて、入力画像から操作者のカメラを覆う操作を検知し、その結果によって、設定された機能を実行する構成である、と表現することもできる。
本発明に係るテレビ電話機は、上記構成において、上記判定部は、上記映像の明るさとして上記映像の輝度の平均値を用いて、上記平均値が予め設定した閾値未満となっているときに、上記撮像装置を用いた撮影がテレビ電話機本体の使用者によって妨害されていると判定することを特徴としている。
輝度の平均値を用いるので、簡単な構成で判定部を実現できる。過去の入力画像を保持するためのメモリが不要である。
なお、上述のテレビ電話機を含むテレビ電話システムを、カメラを覆う操作の検出方法として、入力画像の輝度の平均と閾値を比較する構成である、と表現することもできる。
本発明に係るテレビ電話機は、上記構成において、上記判定部は、映像の明るさに基づく判断基準に応じた結果が所定時間継続した場合に、上記撮像装置を用いた撮影がテレビ電話機本体の使用者によって妨害されているか否かを判定することを特徴としている。
判定部は、映像の明るさに基づく判断基準を用いて、この判断基準に応じた結果を判別する。判定部は、この結果が所定時間継続し、維持された場合には、この結果を判定結果とする。判定部は、判定結果を設定動作実行部に出力する。したがって、ごく短い時間での変動のような、ノイズに応じた誤動作を防止できる。
なお、上述のテレビ電話機を含むテレビ電話システムを、カメラへの操作の継続時間を計測し、この計測結果に応じて機能の実行を行う構成である、と表現することもできる。また、テレビ電話機の上記判定部は、上記映像の明るさに基づく仮の判定結果が所定時間継続した場合に、上記撮像装置を用いた撮影がテレビ電話機本体の使用者によって妨害されているか否かの判定結果を上記設定動作実行部に出力する構成である、と表現することもできる。
本発明に係るテレビ電話機は、上記構成において、上記設定動作実行部は、上記判定部が妨害されていると判定しているときに、予め設定した保留動作を実行することを特徴としている。
ここで、保留動作とは、テレビ電話機を保留状態にすることである。テレビ電話機は、保留状態においては通信を保留し、テレビ電話機の通信接続を保持したまま、撮像装置による映像データ、集音装置による音声データなどの伝送を停止する。
テレビ電話機の設定動作実行部は、妨害されているときに保留動作を実行し、妨害がないときには保留動作を行わない。したがって、例えば撮像装置を手で覆うなどの妨害に応じて保留動作を行うテレビ電話機を提供できる。
なお、上述のテレビ電話機を含むテレビ電話システムを、カメラが覆い隠される操作を検出したときに、設定された機能として保留動作を行う構成である、と表現することもできる。また、テレビ電話システムを、カメラが塞がれた状態からの開放を検知して、保留状態を解除する構成である、と表現することもできる。
本発明に係るテレビ電話機は、上記構成において、上記設定動作実行部は、上記判定部が妨害されていると判定しているときに、上記撮像装置を用いて撮影した映像の通話先端末への送信を停止する停止動作を実行することを特徴としている。
テレビ電話機の設定動作実行部は、妨害されているときには停止動作を実行して映像の送信を停止し、妨害がないときには停止動作は行わず、映像の送信を行う。したがって、例えば撮像装置を手で覆うなどの妨害に応じて停止動作を行うので、このテレビ電話機を用いれば、とっさの場合であっても意図しない映像を相手側に送信してしまうことがない。
なお、上述のテレビ電話機を含むテレビ電話システムを、カメラが覆い隠される操作を検出したときに、設定された機能として、映像の送出のみ自動的に停止する構成である、と表現することもできる。また、テレビ電話システムを、カメラが塞がれた状態からの開放を検知して、映像の送出を再開する構成である、と表現することもできる。
本発明に係るテレビ電話機は、上記構成において、上記設定動作実行部は、上記判定部が妨害されていると判定しているときに、予め設定した保留画像または動画を送信する送信動作を実行することを特徴としている。
テレビ電話機の設定動作実行部は、妨害されているときには予め設定した保留画像または動画を送信するので、とっさの場合であっても意図しない映像の代わりに保留画像または動画を送信できる。また、保留状態であることを通信相手先に認識させることができる。
なお、上述のテレビ電話機を含むテレビ電話システムを、カメラが覆い隠される操作を検出したときに、設定された機能として、あらかじめ設定された画像や、動画を送出する構成である、と表現することもできる。
本発明に係るテレビ電話機は、上記構成において、上記設定動作実行部は、上記判定部が妨害されていると判定しているときに、予め設定した保留画像または動画を、テレビ電話機本体の表示画面に表示させることを特徴としている。
この構成であれば、テレビ電話機の表示画面に保留画像などが表示されるので、保留状態に移行したことを使用者が確認できる。
本発明に係るテレビ電話システムは、上述のいずれかのテレビ電話機を含んでいる構成である。
このテレビ電話システムは、上述のように保留動作などへの移行が容易なテレビ電話機を含んでいるので、ユーザにとって扱い易いテレビ電話システムを提供できる。
本発明に係るテレビ電話機は、撮像装置を用いた撮影が、テレビ電話機本体の使用者によって妨害されているか否かを、上記撮像装置を用いて撮影した上記映像の明るさに基づいて判定する判定部と、上記判定部の判定に応じて、予め設定した動作を実行する設定動作実行部とを含んでいる構成である。
それゆえ、使用者が撮像装置を手で塞げば、判定部が妨害と判定して設定動作実行部によりテレビ電話機は保留状態に移行するので、とっさの場合であっても操作を行って保留機能を用いることのできるテレビ電話機を提供できる。
本発明の一実施形態について図1から図5に基づいて説明すると以下の通りである。
本実施形態のテレビ電話機1は、図2に示すように、制御部(設定動作実行部)2、映像部3、音声部4、映像処理部5、映像メモリ5a、音声処理部6、判定部7、操作部8、通信部9、および記憶部(設定動作実行部)10を備えている。
本実施形態のテレビ電話機1は、図1(a)に示すような携帯型のテレビ電話機である。このテレビ電話機1は、テレビ電話機能を用いない通常の携帯電話としても機能する。
テレビ電話機1は、通話を行う際には、通信部9を介して通信相手先の端末であるテレビ電話機20と接続される。相手先との接続は、いわゆる電話線を介した接続に限るものではなく、例えばインターネットを介した接続であってもよい。テレビ電話機1のユーザは、テレビ電話機20のユーザとテレビ電話による通話を行うことができる。テレビ電話機1とテレビ電話機20とは、テレビ電話システムを構成する。また、テレビ電話機1は、図示しない他の複数のテレビ電話機に対して同時に接続することもできる。
制御部2は、テレビ電話機1の各部を制御して、テレビ電話機1の全体的な制御を行うものである。制御部2は、テレビ電話機1の各部を制御して電話機能を実行する電話部として機能する。
映像部3は、カメラ(撮像装置)3aと表示装置3bとを含んでいる。カメラ3aは、映像を撮影するための撮影装置である。カメラ3aを用いて撮影した映像を、映像処理部5、制御部2、通信部9を介してテレビ電話機20に送信する。また、表示装置3bは、映像を表示するための装置である。表示装置3bには、例えば図1(a)に示すように、テレビ電話機20から送信される映像データを再生表示する。
音声部4は、マイク4aとスピーカ4bとを含んでいる。マイク4aは、音声を電気信号に変換する装置である。マイク4aにて集音した音声データを音声処理部6、制御部2、通信部9を介してテレビ電話機20に送信する。また、スピーカ4bは、音声データを再生出力するための装置である。スピーカ4bからは、テレビ電話機20から送信される音声データが出力される。
映像処理部5は、入力される映像信号に所定の画像処理(映像処理)を行う。映像メモリ5aは、映像処理部5の用いる一時記憶用のメモリである。音声処理部6は、入力される音声信号に所定の処理を行う。
より詳細には、映像処理部5は、カメラ3aにて撮影した映像データを圧縮符号化する。圧縮符号化には任意のアルゴリズムを用いることができる。圧縮符号化された映像データは、制御部2、通信部9を介してテレビ電話機20に送信される。テレビ電話機20にて、図示しない映像処理部にて復号され、図示しない表示装置に表示される。また、テレビ電話機20から送信される圧縮符号化されたデータを、映像処理部5にて復号して、表示装置3bに表示させる。
また、音声処理部6は、マイク4aにて集音した音声データを、映像処理部5と同様のアルゴリズムで圧縮符号化する。また、テレビ電話機20から送信される圧縮符号化されたデータを、音声処理部6にて復号して、スピーカ4bから出力する。
なお、映像処理部5および音声処理部6は一体となったAVコーデック部であってもよく、映像データと音声データとを一体としてAVコーデック部が圧縮符号化、復号する構成であってもよい。
また、本実施形態の映像処理部5は、判定部7の用いるデータの抽出を行う。より詳細には、映像処理部5は、所定のタイミングごとに、映像信号から一画面分の画像データを抽出し、判定部7へと出力する。
判定部7は、テレビ電話機1のカメラ3aによる撮影が、ユーザによって妨害されているか否かを判定する。判定部7は、テレビ電話機1のカメラ3aが、ユーザの手などによって覆われたか否かを判定する。より詳細には、判定部7は、カメラ3aにて撮影した映像データから、映像の明るさが暗くなったことを検出することによって、カメラ3aが手などで覆われたことを判定する。このために、判定部7は、入力画像の輝度の平均と閾値を比較する。
判定部7には、映像処理部5にて抽出した一画面分の画像データが、所定のタイミングごとに入力される。判定部7は、入力された画像データを解析して、映像の明るさが暗くなったか否かを判定する。映像が暗くなった場合には、カメラ3aが手で覆われたものと判断して、その旨の検出信号を制御部2に出力する。また、映像が暗くなった後に再び明るくなった場合には、カメラ3aを手で覆う状態が終了したものと判断して、保留状態を解除する旨の検出信号を制御部2に出力する。制御部2は、判定部7からの検出信号を受信すると、記憶部10に格納された図示しない設定データに基づいて、予め設定した動作を実行する設定動作実行部として機能する。
より詳細には、判定部7は、以下のようにして、画像データから輝度情報を抽出し、判定を行う。
ここで、図4に基づいて、入力画像データから判定を行う例について説明する。図4に示すように、入力画像のサイズは、横がdx画素(ピクセル,pixels)、縦がdy画素とする。各画素における輝度をb_y,x(by,xまたはby,xと記載する。)で表す。本実施形態では、画像全体の性質を表す特性値として、画像データの平均輝度を用いることとする。平均輝度は以下の式で与えられる。
判定部7は、入力される画像データに基づいて、上記の式を用いて平均輝度を計算する。判定部7は、平均輝度が予め設定した閾値α未満のとき、映像の明るさが暗くなったものと判定する。判定部7は、テレビ電話装置1のユーザによってカメラ3aが覆われているものとして、その旨の検出信号を制御部2に出力する。また、平均輝度が一旦閾値α未満となった後に再び閾値α以上となった場合には、カメラ3aを手で覆っている状態が終了したものとして、保留状態を解除する旨の検出信号を制御部2に出力する。
なお、閾値αは、例えば最大輝度の10%程度の値に設定する。この閾値αの値は記憶部10に記憶され、所定のタイミングで判定部7が読み込みを行う。
図2に戻って、テレビ電話機1の説明をする。操作部8は、テレビ電話機1のユーザインタフェースである。操作部8には、例えば図示しない電源ボタン、電話番号を入力するためのテンキー、通話を切断するための切りボタン、また保留動作に移行させるための保留ボタンなどが含まれる。
通信部9は、テレビ電話機1の通信インタフェースである。
記憶部10は、テレビ電話機1の記憶装置である。本実施形態の記憶部10には、保留状態の際に行う動作のための動作設定、および保留状態を解除する際に行う動作のための動作設定が予め記憶されている。また、記憶部10には、保留状態の際に通信相手先に送信する保留画像が格納されている。
なお、本実施形態のテレビ電話機1においては、制御部2はハードウェアによって実現されているが、これに限るものではなく、制御部2をプログラムとCPU(Central Processing Unit)とを用いて実現することもできる。すなわち、テレビ電話機1は、記録媒体としての記憶部10にプログラムを格納し、CPUがそのプログラムを読み込んで実行することによって、制御部2を実現する構成であってもよい。また、制御部2のうち、設定動作実行部としての機能のみを、プログラムとして実現してもよい。また、判定部7についても、制御部2と同様である。判定部7を、記録媒体に記録したプログラムとCPUとによって実現してもよい。
上記構成のテレビ電話機1においてテレビ電話機20と通話を行う際には、カメラ3aから入力された画像が映像処理部5で圧縮され、同様にマイク4aから入力されて音声処理部6で圧縮された音声とともに、通信部9から通信相手先のテレビ電話機20に送信される。
また、テレビ電話機20から送信される相手側画像は、映像処理部5で伸張処理され、表示装置3bに表示される。同様に、相手側音声は音声処理部6で伸張処理され、スピーカ4bなどの音声出力装置から出力される。
ここで、テレビ電話機1を用いて通話中の使用者が、例えば背後の状況などに異変を感じて、保留機能を作動させる場合について説明する。この場合、使用者は、図1(a)に示すテレビ電話機1のカメラ3aを、図1(b)に示すように手で覆う。これによって、以下で説明するように、テレビ電話機1はカメラ3aが覆われたものと判定して保留状態に移行する。
すなわち、テレビ電話機1からテレビ電話機20に送信する映像は、カメラ3aから映像処理部5、制御部2、通信部9を介して送信されるのみではなく、映像処理部5から判定部7へも送られる。本実施形態においては、上述のように、判定部7には、映像処理部5にて抽出した一画面分の画像データが、所定のタイミングごとに入力される。上述のように、映像が暗くなった場合にはカメラ3aが手で覆われたものと判断して、判定部7はその旨の検出信号を制御部2に出力する。通知を受けた制御部2は、保留状態へと移行し、カメラ3aで撮影した映像データの送出を停止し、保留状態へと移行する。以上のようにして、テレビ電話機1を用いるユーザは、直感的な操作で簡単に保留動作を実行することができる。
また、本実施形態の保留状態においては、制御部2は、カメラ3aで撮影した映像データの代わりに、予め定めた保留状態を示す映像(保留画像、保留動画)を通信相手先に送出する。この保留画像は、記憶部10に予め格納されている。保留画像をユーザが任意に設定できるようにしてもよい。また、制御部2が、保留状態においては、テレビ電話機1の表示装置3bに、通信相手先のテレビ電話機20から送信された映像データではなく、図1(b)に示すように保留画像を表示させるようにしてもよい。これによって、ユーザは、保留状態に移行していることを直ぐに認識できる。
テレビ電話機1における動作の一例について、図3に基づいて説明する。
テレビ電話機1においてテレビ電話による通話を開始すると、S1においてカメラ3aが撮影を行い、制御部2が映像データを通信相手先のテレビ電話機20へと送出する。また、カメラ3aにて撮影された映像データは、映像処理部5を介して判定部7に画像データとして入力される。
S2において、判定部7は、入力画像データの平均輝度を計算する。
S3にて、判定部7は、計算した平均輝度と予め定めた閾値との比較を行う。平均輝度が閾値よりも大きい(閾値以上の)場合にはS4に進み、平均輝度が閾値よりも小さい(閾値未満の)場合にはS8の保留状態へと進む。
S4においては、カメラ3aで撮影して通信相手先へ送信するための映像データを映像処理部5において圧縮符号化し、S5に進む。
S5においては、制御部2の指示に基づき、映像処理部5にて圧縮した映像データを、制御部2、通信部9を介して通信相手先へと送出し、S6に進む。
S6においては、制御部2が、操作部5の図示しない保留ボタンが押されたか否かを検出する。保留ボタンが押された場合にはS8に進み、保留ボタンが押されていない場合にはS7に進む。
S7においては、制御部2は、接続を切断して通話を終了するために操作部8に設けられた切りボタンが押されたか否かを検出する。切りボタンが押された場合にはS10に進み、切りボタンが押されていない場合にはS1に進む。
S10においては、通信相手先との接続を切断(呼を切断)して、処理を終了する。
一方、S3において平均輝度が閾値より小さい場合、またはS6において保留ボタンが押されたことを検出した場合のS8においては、テレビ電話機1の制御部2は、保留状態へと移行し、S9へ進む。
S9においては、保留が解除されたか否かを判別し、保留が解除されない場合にはS9を繰り返し、保留が解除された場合にはS1に戻る。
以上に説明した動作によって、テレビ電話機1の通話中に、カメラ3aを覆うことによって保留状態へと移行させることができる。
次に、図5に基づいて、テレビ電話機1における動作の他の一例について説明する。ここでは、一定時間にわたってカメラ3aが覆われたときに保留状態へと移行する例について説明する。この場合、保留状態においてカメラ3aが開放されたことを検知すると、テレビ電話機1は保留を中止し、映像データの送出を再開する。
まず、テレビ電話機1においてテレビ電話による通話を開始すると、制御部2は、S11において、テレビ電話機の現在のモードを通常状態に設定する(mode==通常)。また、カメラ3aに対する操作時間を計測するためのカウンタ count_open, count_closeを、それぞれ0に初期化する。このカウンタを用いて、判断基準に応じた結果が所定時間継続したかどうかを判別できる。なお、カウンタの上限を定める上限値 open_point, close_pointには、それぞれ適切な値が予め設定され、これら上限値は記憶部10に格納されているものとする。
S12においてカメラ3aが撮影を行い、制御部2が映像データを通信相手先のテレビ電話機20へと送出する。また、カメラ3aにて撮影された映像データは、映像処理部5を介して判定部7に画像データとして入力される。
S13において、判定部7は、入力画像データの平均輝度を計算する。
S14にて、判定部7は、計算した平均輝度と予め定めた閾値との比較を行う。平均輝度が閾値よりも大きい(閾値以上の)場合にはS15に進み、平均輝度が閾値よりも小さい(閾値未満の)場合にはS18に進む。
S15においては、判定部7は、カウンタcount_closeを0に設定してクリアした上で、カウンタcount_openの値を1だけ増加させるようにインクリメントし、S16に進む。
S16においては、モードが保留状態であり、かつ、カウンタ count_openが上限値 open_pointを超えているか否かという条件を判定部7が判定する。条件が満たされている場合にはS17に進み、条件が満たされていない場合にはS21に進む。
S16において条件が満たされている場合のS17では、保留状態となった後に所定時間以上にわたってカメラ3aの画像が明るくなっているので、カメラ3aを覆う手が除かれたものとして、判定部7がモードを通常状態に設定する(mode==通常)。判定部7はその旨の検出信号を制御部2に送信する。その後、S21に進む。
一方、S14において、平均輝度が閾値よりも小さいと判別された場合のS18では、判定部7は、カウンタcount_openを0に設定した上で、カウンタcount_closeをインクリメントし、S19に進む。
S19においては、モードが通常状態であり、かつ、カウンタ count_closeが上限値 close_pointを超えているか否かという条件を判定部7が判定する。条件が満たされている場合にはS20に進み、条件が満たされていない場合にはS21に進む。
S19において条件が満たされている場合のS20では、通常状態となった後に所定時間以上にわたってカメラ3aの画像が暗くなっているので、カメラ3aが手で覆われたものとして、判定部7がモードを保留状態に設定する(mode==保留)。判定部7はその旨の検出信号を制御部2に送信する。その後、S21に進む。
S21においては、現在のモードがどのように設定されているかを制御部2が判別する。本実施形態においては、制御部2は、判定部7からの検出信号に応じて現在のモードを判別する。モードが通常状態(mode==通常)である場合にはS22に進み、モードが保留状態(mode==保留)である場合にはS24に進む。
S22においては、映像処理部5において、カメラ3aで撮影して通信相手先へ送信するための映像データを圧縮符号化し、S23に進む。
S23では、制御部2の指示に基づき、映像処理部5にて圧縮した映像データを、制御部2、通信部9を介して通信相手先へと送出し、S25に進む。
一方、S21において保留状態であると判別された場合には、S24において、制御部2が、記憶部10に予め格納しておいた保留画像を、通信相手先であるテレビ電話機20に送信する。その後S25に進む。
S25においては、制御部2は、接続を切断して通話を終了するために操作部8に設けられた切りボタンが押されたか否かを検出する。切りボタンが押された場合には接続を切断して処理を終了し、切りボタンが押されていない場合にはS12に戻る。
以上に説明した動作によって、テレビ電話機1の通話中に、所定時間以上にわたってカメラ3aを覆うことによって保留状態へと移行させることができる。
なお、上述の図5の例においては、明るさを判定する閾値として、一つの閾値のみをS14にて用いていたが、これに限るものではない。例えば、通常状態から保留状態へと移行する際の閾値と、保留状態から通常状態へと移行する際の閾値とは、異なる値としてもよい。
以上のように、本発明は、テレビ電話システムの技術に関するものであり、より詳細には、テレビ電話システムの保留機能に関するものである。本件は、テレビ電話に搭載されたカメラに関する技術をターゲットとする。上述のように、テレビ電話の通話中の入力画像の解析を行うことにより、操作者のカメラを覆う動作を検出し、設定された機能を実行するシステムを提供する。これにより、テレビ電話に慣れていない操作者でも、映像を隠すためにカメラを覆うという直感的な操作で、遅延無く保留機能を起動することができる。したがって、簡単に素早く保留状態へと移行でき、不都合な映像を誤って送信してしまうリスクを防ぐことができる。
上述のテレビ電話機1は、テレビ電話機における保留状態を実現するための保留方法であって、カメラに対する入力画像の明るさの変化を検出することによって、カメラが塞がれたことを検出して保留動作を開始する、テレビ電話機における保留方法を実行している、と表現することもできる。
なお、テレビ電話機1には、上述した保留状態への移行を停止する機能を設けてもよい。この構成であれば、例えば通常は保留状態への移行を可能としておき、特別な場合には、例えば操作部8を用いて移行停止を設定し、誤って保留状態へ移行しないようにできる。
また、テレビ電話機1には、カメラ3aの近傍にセンサを設けてもよい。カメラ3aを覆うようにユーザの手が配置されると、センサはユーザの手を検出する。テレビ電話機1が、センサの検出に応じて保留状態に移行する。カメラ3aを覆う手が解除されると、テレビ電話機1は、センサの検出に応じて通常状態に移行する。センサは、接触式であっても、非接触式であってもよい。センサは、例えば温度、湿度などを検出する。
なお、上述の実施の形態においては、輝度の平均値を用いて検出を行った構成について説明しているが、これに限るものではない。平均値以外の特性値(例えば最頻値、最大値)を用いた検出も可能である。この場合には、平均値を用いた検出と比べて、より精密な検出が可能になる。
また、上述の実施形態においては、カメラからの画像情報のうち、輝度を用いて、映像の明るさが暗くなったことを検出しているが、これに限るものではない。例えば、映像のうち、色の分布などから、カメラが手で覆われたことを検出することもできる。
また、上述の実施の形態においては、検出する時点での画像情報を用いて輝度を得て判定を行っているが、これに限るものではない。例えば前回検出した平均輝度など、以前の輝度の情報も用いる構成であってもよい。また、時系列の平均輝度から判断する方法の他にも、輝度の分布や、画像の輪郭線から検出を行う方法も考えられる。
ここで、入力画像からカメラを塞いだ状態を検出する手法自体は簡単であり、例えば画像が暗くなったことを検出するなど、さまざまな方法を考えることができる。このように、「塞ぐという動作で保留を行う」という構成にポイントがある。すなわち、画像情報を用いてカメラを塞いだ状態を検出する方法としては、以下の方法、あるいはこれらを組み合わせて検出する方法が考えられる。すなわち、例えば(1)入力画像の明るさを用いる方法、(2)入力画像の平滑度を用いる方法、(3)入力画像の時系列の変化量を用いる方法(変化が大きいときを検出)がある。また、(2)(3)の例として、画像の輝度、色度のスペクトル分析を行い、周波数帯域が狭いときに、画像が平滑であるとする判断方法が考えられる。また、(3)の例として、入力画像のフレーム間の差分が大きいときに変化が大きいとする判定条件が考えられる。これらの条件を組み合わせれば、より精度の高い検出が可能となる。
また、上述の実施の形態においては、テレビ電話を行うためのテレビ電話機に、判定部と設定動作実行部とを設けた構成について説明したが、これに限るものではない。例えば、データを双方向にやりとりするテレビ電話ではなく、画像の送信のみを行う画像送信装置に、上述と同様の判定部と設定動作実行部とを設けてもよい。画像送信装置に撮像装置を接続する。判定部は、撮像装置を用いた撮影が使用者によって妨害されているか否かを判定する。設定動作実行部は、判定部の判定に応じて、予め設定した動作を実行する。この画像送信装置を、記録媒体に格納したプログラムをコンピュータに読取りさせ、実行させることによって実現してもよい。また、画像送信装置が撮像装置と一体の構成であってもよい。
上述の具体的な実施形態または実施例は、あくまでも、本発明の技術内容を明らかにするものであって、本発明はそのような具体例にのみ限定して狭義に解釈されるべきものではなく、特許請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能であり、変更した形態、および実施の形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施の形態についても、本発明の技術的範囲に含まれる。