JP2005272503A - 鮮度保持能を有する複合化粒子、樹脂組成物及び樹脂成形品 - Google Patents

鮮度保持能を有する複合化粒子、樹脂組成物及び樹脂成形品 Download PDF

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Abstract

【課題】 食物のおいしさを長期にわたり保持することができる樹脂成形された食品用シート、容器等を得る。また、使用後の容器を洗剤等で洗浄しても、鮮度保持能が回復し、長期に亘り、使用することができる食品保存用のシート、容器等を得る。
【解決手段】 無機質多孔性微粒子の孔に、カテキン類、タンニン、又はポリフェノールを含む植物由来抗菌・殺菌成分とキトサンとからなる天然物由来成分が担持(包接)されてなる樹脂成形品用複合化粒子を得た上で、この複合化粒子と主材となる合成樹脂とが混練された樹脂組成物、及びこの樹脂組成物が予め定められたシート状、器状、又は蓋状に成形されてなる成形品としての食品保存用のシート、容器を得る。
【選択図】 なし

Description

本発明は、収容された食物のおいしさを長期にわたり保持することができる機能を有するシートや食品容器の製造に好適な樹脂成形品用複合化粒子、これを含む樹脂組成物、及び成形された樹脂成形品としての食品保存容器に関するものである。
食物の鮮度、おいしさ等を長期に亘り保持することができる機能を有するものが種々提案されている。例えば、青果実から分泌される植物ホルモンの1つで、植物の成長を早める作用を有するエチレンガスを除去するため、ポリオレフィンフィルムに、酸化ケイ素と酸化アルミニウムとからなるゼオライト系無機多孔質吸着剤を配合したフィルムが提案されており、野菜の保存袋等に利用されている(例えば、特許文献1参照)。
一方、再成形に供する際に洗浄水の消費量や洗剤の使用を低減するために、茶カテキン類等の植物由来の抗菌成分をPETボトル等の樹脂に内添された成形物(例えば、特許文献2参照)や、カテキン類等の植物由来の抗微生物性・抗脱臭性の機能性成分とセラミック成分とを樹脂に溶融した機能性成形物(例えば、特許文献3参照)や、キトサン等の抗菌性有機化合物を化学結合させた抗菌性樹脂成形体(例えば、特許文献4参照)が提案されている。
特開昭64−31838号公報 特開2000−95874公報 特開2000−204277号公報 特開平5−269181公報
これら成形物においては、密閉式の食品保存容器として用いるものはなく、得ようとしても添加された抗菌成分(抗微生物性)等に対してその効果は微々たるものであった。その理由は成形の温度にある。ポリエステルの成形温度は250から300℃、ポリプロピレンの成形温度は190から270℃、ポリエチレンの成形温度は160から200℃である。
これに対して、添加されるカテキン類、タンニン、ポリフェノールを含む植物由来抗菌・殺菌成分の分解温度は100℃〜140℃あり、キトサンの分解温度は140℃〜180℃である。したがって、160℃〜300℃で射出成形や押出成形などの成形するときは、添加成分が分解して機能を減少ないし消失し、また、変色して商品価値が低下する。
本発明は、食物のおいしさを長期にわたり保持することができる樹脂成形された使い捨て乃至保蔵用の食品用シート、容器等を得ることを目的とする。また、使用後の容器を洗剤等で洗浄しても、鮮度保持能が回復し、長期に亘り、繰り返し使用することができる食品保存用のシート、容器等を得ることを目的とする。
請求項1に記載された発明に係る鮮度保持能を有する樹脂成形品用複合化粒子は、無機質多孔性微粒子の孔に、カテキン類、タンニン又はポリフェノールを含む植物由来抗菌・殺菌成分とキトサンとからなる天然物由来成分が担持(包接)されてなることを特徴とするものである。
請求項2に記載された発明に係る鮮度保持能を有する樹脂成形品用複合化粒子は、請求項1に記載の無機質多孔性微粒子が多孔質シリカであることを特徴とするものである。
請求項3に記載された発明に係る鮮度保持能を有する樹脂成形品用複合化粒子は、請求項1又は2に記載の無機質多孔性微粒子とキトサンと植物由来抗菌・殺菌成分との比率が、45〜90:40〜5:15〜5(重量%)であることを特徴とするものである。
請求項4に記載された発明に係る鮮度保持能を有する樹脂組成物は、請求項1〜3の何れか1項に記載の鮮度保持能を有する樹脂成形品用複合化粒子と主材となる合成樹脂とが混練されたことを特徴とするものである。
請求項5に記載された発明に係る鮮度保持能を有する樹脂組成物は、請求項4に記載の主材となる合成樹脂がポリオレフィン系樹脂から選ばれたものであることを特徴とするものである。
請求項6に記載された発明に係る鮮度保持能を有する樹脂成形品は、請求項4又は5記載の樹脂組成物が予め定められたシート状、器状、又は蓋状に成形されてなることを特徴とするものである。
請求項7に記載された発明に係る鮮度保持能を有する樹脂成形品は、請求項6に記載の樹脂組成物が射出成形されてなることを特徴とするものである。
請求項8に記載された発明に係る鮮度保持能を有する食品容器は、多孔質シリカ微粒子の孔に、カテキン類、タンニン又はポリフェノールを含む植物由来抗菌・殺菌成分とキトサンとからなる天然物由来成分が担持(包接)されてなる鮮度保持能を有する複合化粒子が射出成形容器に含まれることを特徴とするものである。
請求項9に記載された発明に係る鮮度保持能を有する食品容器は、多孔質シリカ微粒子の孔に、カテキン類、タンニン又はポリフェノールを含む植物由来抗菌・殺菌成分とキトサンとからなる天然物由来成分が担持(包接)されてなる鮮度保持能を有する複合化粒子が、押出成形法により成形されたシートに含まれることを特徴とするものである。
本発明は以上説明した通り、食物のおいしさを長期にわたり保持することができ、また、使用後の容器を洗剤等で洗浄しても、鮮度保持能が回復し、長期に亘り、繰り返し使用することができる樹脂成形された食品保存用のシート、容器等を得ることができるという効果がある。食品保存用シートはそのまま容器に敷いて使用することもできる他、真空成型法により、使い捨ての食品収納容器とすることができる。
本発明においては、無機質多孔性微粒子の孔に、カテキン類、タンニン又はポリフェノールを含む植物由来抗菌・殺菌成分とキトサンとからなる天然物由来成分が担持(包接)されてなる鮮度保持能を有する複合化粒子であるため、好ましくは鮮度保持能を有する複合化粒子を樹脂に練り込んで食品保存容器等に成形することにより、食物のおいしさを長期にわたり保持することができる樹脂成形された食品保存用のシート、容器等を得ることができる。尚、食品保存用シートはそのまま容器に敷いて使用することもできる他、真空成型法により、使い捨ての食品収納容器とすることができる。
例えば200℃で射出成形された食品保存容器は、電子レンジ加熱を考慮してもせいぜい140℃の耐熱性があれば繰り返し使用することができる。また、コンビニエンスストア等で販売されている弁当のケースは、所謂電子レンジ加熱されてお客に手渡され、食後はゴミ箱に入れられる使い捨て容器である。したがって、分解温度が100℃〜140℃であるカテキン類等の植物由来抗菌・殺菌成分或いは分解温度が140℃〜180℃であるキトサンの天然物由来成分が成形時の温度(160℃から300℃)に耐える手段を備えればよい。そこで、本発明では、耐熱性がある無機質多孔性微粒子にカテキン類、タンニン又はポリフェノールを始めとした植物由来抗菌・殺菌成分とキトサンとからなる天然物由来成分を担持(包接)させることにしたものである。
本発明の無機質多孔性微粒子としては、カテキン類、タンニン又はポリフェノールを含む植物由来抗菌・殺菌成分とキトサンとからなる天然物由来成分が孔内に担持又は孔内で包接されるものであれば良く、尚且つ、成形時に樹脂の溶融温度から孔内のカテキン類、タンニン又はポリフェノールを含む植物由来抗菌・殺菌成分とキトサンとからなる天然物由来成分を守るものであればよい。
具体的な例を挙げると、ケイ砂をミル等で粉砕し、加圧焼結して、再度粉砕して平均粒子径2.5〜5.3μm、好ましくは、平均粒子径が4μmの無定形のシリカ微粒子を得る。この微粒子はシリカ単結晶を焼結したケイ酸酸化物であり、焼結の際に多数の孔が形成される。具体的には平均径20ナノメータの細孔を多数備えており、細孔容積は1.5ml/gであり、比表面積は600〜700m/g 、吸油量は300±50ml/100gである。無機質であるから耐熱温度は高く、溶融樹脂に添加しても何ら問題はない。また、平均粒子径が4μmの微粒子であるから樹脂に添加してもにごり(ヘイズ)を少なくすることができる。尚、市販品としては、富士シリシア化学社製の微粉末シリカや鈴木油脂工業社製「ゴッドボール(商標)」等を用いることができる。
他の無機質多孔性微粒子としては、ケイ砂の換わりにシリカゲル、ゼオライト、活性アルミナ、ボーキサイト等を原料とし、これらを前述の方法又は類似の方法で多孔性として用いてもよい。
このようにして得られた無機質多孔性微粒子は、それ自身で分子認識機能がある吸着機能を持っている。即ち、アンモニアガスやエチレンガスを選択的に吸着する機能が有り、かつ、外的条件を変化させることにより、一旦捕捉したアンモニアガスやエチレンガスを放出する可逆的作用がある。この性質は、食品保存容器のように使用後洗浄して繰り返し使用する商品において、洗浄過程により初期の機能が復活(再生)することを意味しており、長期にわたり使用することが可能となる。
本発明の植物由来抗菌・殺菌成分とキトサンとからなる天然物由来成分が担持又は包接された無機質多孔性微粒子は、次のようにして得られる。予め多孔質シリカ微粒子を減圧下におき、植物由来抗菌・殺菌成分の水溶液及びキトサンの水溶液(両者の混合液)を噴射させて、微粒子の細孔に水溶液を浸透させる。混合溶液を入れると体積で80%吸収する。更に減圧乾燥して水分を除去して、細孔に粉末状の天然物由来成分、即ち、植物由来抗菌成分及びキトサンが包接された微粒子を得る。各成分の重量比の好ましい例としては、例えば、多孔質シリカ微粒子:キトサン:植物由来抗菌・殺菌成分(カテキン類、タンニン、ポリフェノール)が、45〜90:40〜5:15〜5(重量%)、より好ましくは、60:32:8である。
本発明での植物由来抗菌・殺菌成分としては、カテキン類、タンニン又はポリフェノールを含む抗菌・殺菌作用、抗酸化作用及び消臭作用を発揮する成分であればよい。具体的には、お茶、ワイン、ブルーベリー、柿、ブドウ、納豆などの大豆製品、ブロッコリー、春菊等の植物から抽出できるが、特にお茶から抽出したものが安価で、抗菌・殺菌作用が強いため好ましい。
これら成分は植物由来であるため、分解温度は100℃〜140℃であるが、前述の無機質多孔性微粒子の孔内に担持又は包接されることにより、100℃以上の成形時の温度でも分解されがたくなる。これら植物由来抗菌・殺菌成分の抗菌・殺菌効果の作用は次のように考えられる。即ち、多くの菌や微生物は通常マイナス帯電しており、一方、抗菌・殺菌成分はプラスに帯電している。このため、菌や微生物は電気的引力により抗菌・殺菌成分に引きつけられ、抗菌・殺菌成分と電気的に中和反応を起こし、表面皮膜の生体的なバランスを崩して死滅し、菌の増殖を抑制する。
本発明での天然物由来成分のキトサンに関しては、分解温度は140℃〜150℃であり、抗菌性もあり、エチンガスやアンモニアガスを吸着・分解する作用も有している。吸着作用としては、キトサンの表面は局部的にプラスとマイナスに帯電しており、アンモニアガスはプラスに吸着する。エチレンガスは中性であるがπ電子をもっているので、プラスに引き付けられる。前述の無機質多孔性微粒子の吸着機能と併せて、良好なエチンガスやアンモニアガスを吸着を有し、植物由来抗菌・殺菌成分と併せて良好な抗菌性、ガスの吸着性を有する。また、捕捉したアンモニアガスやエチレンガスを放出する可逆的作用もあり、洗浄過程により初期の機能が復活するため、長期にわたり使用することが可能となる。更に、キトサンは高分子の物質であり、植物由来抗菌・殺菌成分よりも若干高い耐熱性を有しているため、植物由来抗菌・殺菌成分の樹脂の溶融温度による分解を抑制する作用もあると考えられる。
このような鮮度保持能を有する樹脂成形用複合化粒子は、この粒子と主材となる合成樹脂とが混練された樹脂組成物を得た上で、予め定められたシート状、器状、又は蓋状に成形することにより鮮度保持能を有する成形品を得る。この鮮度保持能を有する成形品は、食物のおいしさを長期にわたり保持することができる。更に、好ましい態様によれば、電子レンジをかけることができ、洗剤による洗浄によって、その効力を復帰することができる。
本発明の合成樹脂としては、成形時の溶融温度が高くなく、成形物が電子レンジでの使用温度に耐えられるものが選ばれる。好ましくは、成形時の取り扱いが容易なポリオレフィン系樹脂から選ばれる。ポリプロピレンの成形温度は190℃〜270℃、ポリエチレンの成形温度は160℃〜200℃であることから、より好ましくはポリエチレン、ポリプロピレン、及び両者の混練物を用いる。
また、合成樹脂への鮮度保持能を有する樹脂成形用複合化粒子は、無機質多孔性微粒子が樹脂の溶融温度の植物由来抗菌・殺菌成分及びキトサンへの影響を低減するものであるが、高い溶融温度域での状態維持をできるだけ短縮する方が、植物由来抗菌・殺菌成分及びキトサンの分解を抑え、個々の成分の機能の消失又は低下を防ぐことができる。従って、成形時により速く均一な状態とすることがポイントとなる。このためには、本発明では幾つかの試みを行った。例えば、予め複合化粒子を高濃度で溶融温度の低いポリエチレン、より好ましくは更に流動性の高いLLDポリエチレンに溶融させておきその後他の樹脂と混練する方法(マスターバッチ)や、複合化粒子の表面処理を行い、短い混練でも均一な状態とする方法(表面処理)等が挙げられる。
合成樹脂に混練される鮮度保持能を有する粒子の添加量は、容器やシート状に成形した際に鮮度保持効果を得られる量以上を添加することができ、上限としては、成形物としての剛性を保持可能な量以下を添加することができる。成形品が容器の場合、好ましくは、成形品の内容物が認識できない程の半透明性である状態よりも少ない量を添加する。具体的には、全体の重量に対して、0.2重量%以上、5重量%以下(容器の場合には1.5重量%以下)、好ましくは0.4重量%以上、3重量%以下(容器の場合には1.0重量%以下)、更に好ましくは0.6重量%〜1.0重量%添加される。
本発明の樹脂成形品用鮮度保持樹脂組成物を成形する際には、成形時の樹脂等の温度が孔内のカテキン類、タンニン又はポリフェノールを含む植物由来抗菌・殺菌成分とキトサンとからなる天然物由来成分に影響を与えないのであれば、常用の成形法によって成形することができる。例えば、金型成形等の成型法で成形することも可能であるが、金型の温度等の問題があり、好ましくはブロー成形、射出成形、押出成形等を行う。また、押出成形により得られたシートを真空成形により使い捨て容器に成形することもできる。
実施例1.鮮度保持能を有する粒子の製造
多孔質シリカ微粒子として、多孔質シリカ微粉末(富士シリシア化学社製)を用いた。この微粒子は平均径20ナノメータの細孔を多数備えており、細孔容積は1.5ml/gであり、比表面積は600〜700m/g 、吸油量は300±50ml/100gであった。
この多孔質シリカ微粒子(CAS番号:7631-86-9)を用いて、樹脂成形品用複合化粒子を製造した。詳しくは、予め多孔質シリカ微粒子を減圧下におき、キトサン(CAS番号:9012-76-4)水溶液及び茶抽出物(CAS番号:84650-60-2)水溶液(両者の混合液)を噴射させて、微粒子の細孔に水溶液を浸透させた。混合溶液を噴霧すると体積で80%吸収した。更に減圧乾燥して水分を除去して、細孔に粉末状のキトサン及びカテキン類、タンニン、ポリフェノールが包接された微粒子を得た。粒子の各成分の重量比は多孔質シリカ微粒子:キトサン:茶抽出物=60:32:8(重量%)であった。また、見かけ比重は0.5〜0.7、平均粒度は4.0〜4.18μmであった。
実施例2.鮮度保持能を有する樹脂成形品の製造
実施例1で得られた多孔質シリカ微粒子(複合化粒子)を下記のようにマスターバッチ化して樹脂に添加して、密閉容器(蓋部、器部)を作製した。用いた樹脂は、蓋部は直鎖状低密度ポリエチレン(LLDポリエチレン1014T、出光石油化学社製)、器部は結晶ホモポリプロピレン(三井住友ポリプロPPグレードJ105F、三井住友ポリオレフィン(株)社製、CAS番号:9003-07-0)とを用いた。この結晶ホモポリプロピレン素材は、物性が、MFR8.0g/10min、密度0.91g/cm、引張降伏強さ410kg/cm、曲げ弾性率24300kg/cm、ロックウエル硬度116Rである。
予めLLDポリエチレン88重量%と多孔質シリカ微粒子10重量%とステアリン酸カルシウム2重量%を混練して押出し温度120℃で押出し、切断してペレット(マスターバッチ)を製造した。このペレットにベースの基材(直鎖状低密度ポリエチレン又は結晶ホモポリプロピレン)を種々の量を添加し、押出し温度220℃で射出成形して蓋部又は器部を形成して密閉容器を得た。
実施例3.鮮度保持能の計測1
複合化粒子が0.2、0.4、0.6重量%(マスターバッチ量2,4,6重量%)添加された密閉容器を得た上で、実際に鮮度保持能を検証した。尚、比較として複合化粒子が添加されていない密閉容器を用いた。
各密閉容器を中性洗剤を付けたスポンジで1回洗浄したものと、20回洗浄したもの(L)とを用意し、各々に同じ重さのブロッコリーとプレスハムとを密閉保持させて、25℃の温度で6日間静置した。その間、2日後、4日後、6日後に容器内部の空気をサンプリングしてエチレン濃度を測定し、目視で新鮮(○)、食不適(△)、やや腐敗(×)、腐敗(××)の4段階で評価した。結果を次の表1に示す。
表1に示す通り、複合化粒子を添加したものの方が添加しない比較例に比べて、4日目、及び6日目の食品において鮮度が保持されており、0.6重量%を添加したものがもっとも鮮度が保持されていることが明確になった。また、スポンジ洗浄は回数の少ないものの方が鮮度が保持されていることが明確になった。尚、6日後の臭いについても、比較例と比べて複合化粒子を添加したものの方が少なく、0.6重量%を添加したものがもっとも少ないものであった。
Figure 2005272503
実施例4.鮮度保持能の計測2
実施例3でもっとも鮮度が保持されたB6とB6Lと比較例との密閉容器について、生菌試験を行った。具体的には、各密閉容器内にロースハム(保存料無添加品)を一定温度(23℃、65%で保蔵)で時間経過による生菌数の増殖測定を行った(独立行政法人食品総合研究所法)。結果を次の表2に示す。
尚、同じ条件での一般の生菌数は次の通りである。
・弁当の惣菜 加熱直後 10の5乗以下 非加熱 10の6乗以下
・ハム 当初 10の2乗以下
・生野菜 当初 10の6乗以下
・生菌数が10の7乗以上は食中毒の可能性がある(腸炎ビブリオ、黄色ブドウ状球菌)
表2に示す通り、複合化粒子を0.6重量%添加したもの(B6)では、72時間後でも10の6乗以下であり、もっとも腐敗防止がなされていることが明確になった。また、スポンジ洗浄を20回行ったもの(B6L)はB6に比べて生菌数の数は多いものの、48時間までの鮮度はB6と比べても遜色のないものであった。また、72時間後の臭いについても比較例では腐敗臭があったのに対し、B6、B6Lについては腐敗臭は感じられなかった。
Figure 2005272503
実施例5.鮮度保持能の計測3
実施例4と同様にB6とB6Lと比較例との密閉容器について、生菌試験を行った。具体的には、各密閉容器内にブロッコリー・レタスを一定温度(23℃、65%で保蔵)で時間経過による状況を目視で新鮮(○)、食不適(△)、やや腐敗(×)、腐敗(××)の4段階で評価した。結果を次の表3に示す。
Figure 2005272503
表3に示す通り、複合化粒子を0.6重量%添加したもの(B6)及びスポンジ洗浄を20回行ったもの(B6L)共に、比較例に比べて野菜の鮮度を保持することが確認された。また、72時間後の臭いについても比較例では腐敗臭があったのに対し、B6、B6Lについては腐敗臭は感じられなかった。
実施例6.エチレンガスの吸着試験
B6と比較例との密閉容器内にブロッコリーを入れて23℃で放置した際に発生するエチレンガスの濃度を計測した。サンプリングは3日目と6日目とを行った。測定方法はガスクロマトグラフ法(FID)である。結果を次の表4に示す。尚、数値の単位はv/vppmである。
表4に示す通り、B6の密閉容器では、エチレンガスは0.5ppm以下であり、明らかに比較例と比べてエチレンガスの吸着能が検証された。そこで、更に、B6と比較例との密閉容器を用いて、2年耐久試験、1年耐久試験、電子レンジ想定試験、冷蔵庫加速試験(3日、5日)を行った。
尚、2年耐久試験は、70℃の温度条件下に22日間放置した後、中性洗剤で30回洗浄したものを用いた。1年耐久試験は、70℃の温度条件下に11日間放置した後、中性洗剤で30回洗浄したものを用いた。電子レンジ想定試験は、140℃の温度条件下に26時間放置した後、中性洗剤で30回洗浄したものを用いた。冷蔵庫加速試験(3日間)は、5℃の温度条件下に72時間(3日間)放置した後、中性洗剤で30回洗浄したものを用いた。冷蔵庫加速試験(5日間)は、5℃の温度条件下に120時間(5日間)放置した後、中性洗剤で30回洗浄したものを用いた。
Figure 2005272503
各々の試験について、B6と比較例とで各々2つの密閉容器を用いて、40v/vppmのエチレンガスを容器内に封止し、48時間後の残留エチレンガスを測定した。測定方法はガスクロマトグラフ法(FID)である。結果を次の表5に示す。尚、数値の単位はv/vppmである。
Figure 2005272503
表5に示す通り、B6については、いずれの場合にも比較例に比べてエチレンガスの吸着能が検証された。尚、表中、「不採用」は容器よりガス漏れが発生していたため、測定結果を不採用とした。
実施例7.保蔵試験
B6と比較例との密閉容器を用いて、メロン、イチゴ、もやし、キャベツの保蔵試験を行った。各々の保蔵物について、B6と比較例とで新品のもの(A)と、実施例6に示した2年耐久試験で用いたもの(B)との2つの密閉容器を用いた。個々の密閉容器に同様の保蔵物を入れ、5℃で放置し、9日目の容器内部の臭気強度を測定した。結果を次の表6に示す。
尚、測定方法は、6段階臭気強度表示法に沿って行われた。具体的な臭気強度は次の通りである。
臭気強度0…無臭
臭気強度1…やっと感知できるにおい(検知閾値濃度)
臭気強度2…何のにおいであるかわかる弱いにおい(認知閾値濃度)
臭気強度3…らくに感知できるにおい
臭気強度4…強いにおい
臭気強度5…強烈なにおい
Figure 2005272503
表6に示す通り、B6については、いずれの場合にも比較例に比べて臭気強度が低いことが検証された。尚、新品(A)と2年耐久試験で用いたもの(B)との差は余り明確ではなかった。
まとめ
以上のように、本実施例で得られた密閉容器については、多孔質シリカ微粒子の孔に、カテキン類、タンニン又はポリフェノールを含む植物由来抗菌・殺菌成分とキトサンとからなる天然物由来成分とが担持(包接)されてなる鮮度保持能を有する複合化粒子が射出成形容器に含まれているため、植物から発生するエチレンを吸収して、保存された食品の鮮度を保ち、腐敗菌の発生を抑制し、腐敗臭についても何ら感じられない程の効果を奏している。

Claims (9)

  1. 無機質多孔性微粒子の孔に、カテキン類、タンニン又はポリフェノールを含む植物由来抗菌・殺菌成分とキトサンとからなる天然物由来成分が担持(包接)されてなることを特徴とする鮮度保持能を有する樹脂成形品用複合化粒子。
  2. 前記無機質多孔性微粒子が多孔質シリカであることを特徴とする請求項1に記載の鮮度保持能を有する樹脂成形品用複合化粒子。
  3. 前記無機質多孔性微粒子とキトサンと植物由来抗菌・殺菌成分との比率が、45〜90:40〜5:15〜5(重量%)であることを特徴とする請求項1又は2に記載の鮮度保持能を有する樹脂成形品用複合化粒子。
  4. 請求項1〜3の何れか1項に記載の鮮度保持能を有する樹脂成形品用複合化粒子と主材となる合成樹脂とが混練されたことを特徴とする鮮度保持能を有する樹脂組成物。
  5. 前記主材となる合成樹脂がポリオレフィン系樹脂から選ばれたものであることを特徴とする請求項4記載の鮮度保持能を有する樹脂組成物。
  6. 請求項4又は5記載の樹脂組成物が予め定められたシート状、器状、又は蓋状に成形されてなることを特徴とする鮮度保持能を有する樹脂成形品。
  7. 前記樹脂組成物が射出成形されてなることを特徴とする請求項6に記載の鮮度保持能を有する樹脂成形品。
  8. 多孔質シリカ微粒子の孔に、カテキン類、タンニン又はポリフェノールを含む植物由来抗菌・殺菌成分とキトサンとからなる天然物由来成分が担持(包接)されてなる鮮度保持能を有する複合化粒子が射出成形容器に含まれることを特徴とする鮮度保持能を有する食品容器。
  9. 多孔質シリカ微粒子の孔に、カテキン類、タンニン又はポリフェノールを含む植物由来抗菌・殺菌成分とキトサンとからなる天然物由来成分が担持(包接)されてなる鮮度保持能を有する複合化粒子が、押出成形法により成形されたシートに含まれることを特徴とする鮮度保持能を有する鮮度保持能を有する食品容器。
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