JP2005271586A - 画像処理装置及び画像処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 汎用性が高い認証機能を有する画像処理装置を提供する。
【解決手段】 蓄積部4に蓄積された画像データを出力する際に、暗号化された画像データを復号するための鍵データの入力要求を行う。その入力要求によりユーザ・インタフェース部7から入力された鍵データを基に、暗号化された画像データを復号部5において復号化し、その復号化した画像データの正当性を推定部6において推定する。そして、推定部6において推定した推定結果を基に、復号化した画像データが正当に復号化された画像データであるか否かを判断し、正当に復号化された画像データであると判断した際に、復号化した画像データの出力を認容する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、暗号化された画像データの復号結果を基に、画像データを出力するか否かを判断する画像処理装置及び画像処理方法に関するものである。
クライアントが使用する情報処理端末から離れた場所にあり、且つ複数のクライアントが共有するプリンタに画像データを送信した際に、そのプリンタに送信した画像データを他人の目に触れないようにさせるための機能としてセキュア・プリント機能がある。
なお、セキュア・プリント機能とは、情報処理端末から画像データをプリンタに送信した本人が、その画像データを送信したプリンタの場所まで移動し、そのプリンタにおいて画像データを送信した本人であるか否かの認証を行った後に、その認証を行った画像データをプリンタからプリントアウトする機能である。このセキュア・プリント機能を用いることで、本人の目の前でプリント処理が行われることになるため、プリントアウトされる画像データが他人の目に触れる可能性を低減させることが可能となる。
なお、本発明より先に出願された技術文献として、セキュア・プリント機能の画像を送信した本人であるか否かを認証する手段にパスワードを用いることで、機密性の高いデータ等をプリントする際に、その機密性を保持することができる画像処理システム及び画像出力方法が開示されたものがある(例えば、特許文献1参照)。
上記特許文献1の発明は、具体的には図6に示すように、画像データのプリントアウトを制御するプリンタ・コントローラ2が、クライアントPC1からネットワークを介して送信された画像データを受信した際に、該受信した画像データを蓄積部4に蓄積し、その蓄積部4に蓄積した画像データを出力する際に、パスワードの入力要求を行う。そして、プリンタ・コントローラ2は、そのパスワードの入力要求により入力されたパスワードと、プリンタ・コントローラ2の蓄積部4に予め格納されている認証データと、が一致したと判断した場合に、蓄積部4に蓄積された画像データのプリントアウトを許可し、プリンタエンジン3からプリント結果を出力することになる。
また、認証データと暗号化した画像データとをプリンタ・コントローラ2に記憶しておくことで、プリンタ・コントロール2に記憶した画像データの機密性を保持する画像出力制御方法及び画像出力装置が開示されたものがある(例えば、特許文献2参照)。
上記特許文献2の発明は、具体的には、図7に示すように、画像データのプリントアウトを制御するプリンタ・コントローラ2が、クライアントPC1からネットワークを介して送信された画像データを受信した際に、該受信した画像データを蓄積部4に蓄積する。なお、蓄積部4に蓄積される画像データは、プリンタ・コントロール2が暗号化を施して蓄積することになる。そして、プリンタ・コントローラ2は、その蓄積部4に蓄積した暗号化された画像データを出力する際に、その暗号化された画像データを復号化するための復号鍵の入力要求を行う。そして、プリンタ・コントローラ2は、その復号鍵の入力要求により入力された復号鍵を基に、暗号化された画像データを復号化し、該復号化した画像データからチェックサム値を算出する。そして、その算出したチェックサムが、プリンタ・コントローラ2の蓄積部4に予め格納されている認証データと同一か否かを判断する。なお、認証データには、暗号化前の画像データのチェックサム値を用いる。そして、プリンタ・コントロール2は、上記算出したチェックサム値と、認証データと、が同一と判断した場合に、復号化した画像データのプリントアウトを許可し、プリンタエンジン3からプリント結果を出力することになる。以上の処理により、仮にプリンタ・コントローラ2の蓄積部4に格納された認証データが読み出されてしまった場合でも、その認証データが悪用される危険性を回避することになる。また、プリンタ・コントローラ2の蓄積部4に格納される画像データは、暗号化を施して蓄積されることになるため、その暗号化された画像データが読み出されたとしても暗号化された画像データのプリント結果がプリンタエンジン3から出力されることになるため、暗号化前の画像データが他人の目に触れることを回避することになる。
特開平9−65148号公報 特開2001―306273号公報
しかしながら、上記特許文献1の発明は、プリンタ・コントローラ2の蓄積部4に格納された認証データが一度読み出されてしまうと、その読み出された認証データを利用して、プリンタ・コントローラ2の蓄積部4に格納された画像データのプリント結果がプリンタエンジン3から出力されることになるため、プリンタ・コントローラ2の蓄積部4に格納された画像データが他人の目に触れてしまう虞がある。
また、画像データの出力をプリンタエンジン3に指示するプリンタ・コントローラ2の蓄積部4に画像データの他に認証データを特別に記憶しておく必要性があるため、仮に、認証データを記憶してないプリンタから画像データを出力する場合には、その画像データが他人の目に触れてしまう虞があり、汎用性に欠けることになる。
また、上記特許文献2の発明は、画像データを暗号化した状態でプリンタ・コントローラ2の蓄積部4に格納し、認証データを用いずに、復号鍵を用いて暗号化された画像データを復号化しているが、上記特許文献2は、復号化した画像データではなく入力された復号鍵を基に、画像データの出力を許可するか否かの判断を行っているため、復号鍵が一度流出すると第三者に無断で利用される虞がある。
本発明は、上記問題点に鑑み、汎用性が高い認証機能を有する画像処理装置及び画像処理方法を提供することを目的としている。
かかる目的を達成するために、本発明は以下の特徴を有することとする。
本発明にかかる画像処理装置は、画像データの復号化を行う復号化手段と、復号化手段により復号化された画像データの正当性を推定する推定手段と、推定手段により推定された推定結果を基に、復号化された画像データが正当な画像データであるか否かを判断する判断手段と、判断手段により復号化された画像データが正当な画像データであると判断した際に、画像データの出力を認容する画像出力手段と、を有することを特徴とするものである。
また、本発明にかかる画像処理装置は、画像データの復号化を行うための復号キーを入力する入力手段を有し、復号化手段は、入力手段により入力された復号キーを基に、画像データの復号化を行うことを特徴とするものである。
また、本発明にかかる画像処理装置は、画像データと、該画像データを識別する識別情報と、を関連づけて記憶する記憶手段と、記憶手段により記憶された識別情報の一覧情報を表示する表示手段と、表示手段により表示された一覧情報の中から任意の識別情報が選択された際に、該選択された識別情報に関連付けられた画像データを記憶手段から取得する画像データ取得手段と、を有し、復号化手段は、前期画像データ取得手段により取得された画像データの復号化を行うことを特徴とするものである。
また、本発明にかかる画像処理装置において、推定手段は、復号化された画像データの少なくとも一部分の画像データを基に算出した画素間の相関係数を基に、画像データの正当性を推定する第1の推定手段と、復号化された画像データの少なくとも一部分の画像データの画素値の度数分布を基に算出した標準偏差値を基に、画像データの正当性を推定する第2の推定手段と、復号化された画像データの少なくとも一部分の画像データを圧縮し、該圧縮した画像データを基に算出した圧縮率を基に、画像データの正当性を推定する第3の推定手段と、復号化された画像データの少なくとも一部分の画像データから抽出した所定の規則性を基に、画像データの正当性を推定する第4の推定手段と、の少なくとも1つの推定手段を有し、判断手段は、少なくとも1つの推定手段により推定された推定結果を基に、復号化された画像データが正当な画像データであるか否かを判断することを特徴とするものである。
また、本発明にかかる画像処理装置において、第1の推定手段は、復号化された画像データが複数ページからなる場合には、全ページの画像データの相関係数を算出し、第2の推定手段は、復号化された画像データが複数ページからなる場合には、全ページの画像データの標準偏差値を算出し、第3の推定手段は、復号化された画像データが複数ページからなる場合には、全ページの画像データの圧縮率を算出し、第4の推定手段は、復号化された画像データが複数ページからなる場合には、全ページの画像データから所定の規制性を抽出することを特徴とするものである。
また、本発明にかかる画像処理装置において、第1の推定手段は、復号化された画像データの少なくとも一部分の画像データの画素間の相関係数を算出し、該算出した相関係数が所定の値以下であると判断した場合に、復号化された画像データが正当な画像データでない旨の推定を行うことを特徴とするものである。
また、本発明にかかる画像処理装置において、第2の推定手段は、復号化された画像データの少なくとも一部分の画像データの画素値の度数分布から標準偏差値を算出し、該算出した標準偏差値が所定の値以下であると判断した場合に、復号化された画像データが正当な画像データでない旨の推定を行うことを特徴とするものである。
また、本発明にかかる画像処理装置において、第3の推定手段は、復号化された画像データの少なくとも一部分の画像データを圧縮し、該圧縮した画像データの圧縮率を算出し、該算出した圧縮率が所定の値以下であると判断した場合に、復号化された画像データが正当な画像データでない旨の推定を行うことを特徴とするものである。
また、本発明にかかる画像処理装置において、第4の推定手段は、復号化された画像データの少なくとも一部分の画像データから所定の規則性を抽出できないと判断した場合に、復号された画像データが正当な画像データでない旨の推定を行うことを特徴とするものである。
また、本発明にかかる画像処理装置は、推定手段により推定された推定結果に重み付けを施し、判断手段は、推定結果に施した重み付けを基に、復号化された画像データが正当な画像データであるか否かを判断することを特徴とするものである。
また、本発明にかかる画像処理装置は、判断手段により復号化された画像データが正当な画像データでないと判断した際に、推定結果を格納する推定結果格納手段を有することを特徴とするものである。
また、本発明にかかる画像処理装置は、判断手段により復号化された画像データが正当な画像データでないと判断した際に、復号化された画像データが正当な画像データでない旨を報知する報知手段を有することを特徴とするものである。
また、本発明にかかる画像処理方法は、画像データを処理する画像処理装置で行う画像処理方法であって、画像データの復号化を行う復号化工程と、復号化工程により復号化された画像データの正当性を推定する推定工程と、推定工程により推定された推定結果を基に、復号化された画像データが正当な画像データであるか否かを判断する判断工程と、判断工程により復号化された画像データが正当な画像データであると判断した際に、画像データの出力を認容する画像出力工程と、を、画像処理装置が行うことを特徴とするものである。
また、本発明にかかる画像処理方法において、復号化工程は、画像データの復号化を行うための復号キーが入力された際に、該入力された復号キーを基に、画像データの復号化を行うことを特徴とするものである。
また、本発明にかかる画像処理方法は、画像処理装置は、画像データと、該画像データを識別する識別情報と、を関連づけて画像処理装置の具備する記憶部に記憶しており、記憶部に記憶された識別情報の一覧情報を画像処理装置の具備する表示部に表示する表示工程と、表示部に表示された一覧情報の中から任意の識別情報が選択されたと判断した際に、該選択された識別情報に関連付けられた画像データを記憶部から取得する画像データ取得工程と、を、画像処理装置が行い、復号化工程は、前期画像データ取得工程により取得した画像データの復号化を行うことを特徴とするものである。
また、本発明にかかる画像処理方法において、推定工程は、復号化された画像データの少なくとも一部分の画像データを基に算出した画素間の相関係数を基に、画像データの正当性を推定する第1の推定工程と、復号化された画像データの少なくとも一部分の画像データの画素値の度数分布を基に算出した標準偏差値を基に、画像データの正当性を推定する第2の推定工程と、復号化された画像データの少なくとも一部分の画像データを圧縮し、該圧縮した画像データを基に算出した圧縮率を基に、画像データの正当性を推定する第3の推定工程と、復号化された画像データの少なくとも一部分の画像データから抽出した所定の規則性を基に、画像データの正当性を推定する第4の推定工程と、の少なくとも1つの推定工程を行い、判断工程は、少なくとも1つの推定工程により推定された推定結果を基に、復号化された画像データが正当な画像データであるか否かを判断することを特徴とするものである。
また、本発明にかかる画像処理方法において、第1の推定工程は、復号化された画像データが複数ページからなる場合には、全ページの画像データの相関係数を算出し、第2の推定工程は、復号化された画像データが複数ページからなる場合には、全ページの画像データの標準偏差値を算出し、第3の推定工程は、復号化された画像データが複数ページからなる場合には、全ページの画像データの圧縮率を算出し、第4の推定工程は、復号化された画像データが複数ページからなる場合には、全ページの画像データから所定の規制性を抽出することを特徴とするものである。
また、本発明にかかる画像処理方法において、第1の推定工程は、復号化された画像データの少なくとも一部分の画像データの画素間の相関係数を算出し、該算出した相関係数が所定の値以下であると判断した場合に、復号化された画像データが正当な画像データでない旨の推定を行うことを特徴とするものである。
また、本発明にかかる画像処理方法において、第2の推定工程は、復号化された画像データの少なくとも一部分の画像データの画素値の度数分布から標準偏差値を算出し、該算出した標準偏差値が所定の値以下であると判断した場合に、復号化された画像データが正当な画像データでない旨の推定を行うことを特徴とするものである。
また、本発明にかかる画像処理方法において、第3の推定工程は、復号化された画像データの少なくとも一部分の画像データを圧縮し、該圧縮した画像データの圧縮率を算出し、該算出した圧縮率が所定の値以下であると判断した場合に、復号化された画像データが正当な画像データでない旨の推定を行うことを特徴とするものである。
また、本発明にかかる画像処理方法において、第4の推定工程は、復号化された画像データの少なくとも一部分の画像データから所定の規則性を抽出できないと判断した場合に、復号された画像データが正当な画像データでない旨の推定を行うことを特徴とするものである。
また、本発明にかかる画像処理方法は、推定工程により推定された推定結果に重み付けを施し、判断工程は、推定結果に施した重み付けを基に、復号化された画像データが正当な画像データであるか否かを判断することを特徴とするものである。
また、本発明にかかる画像処理方法は、判断工程により復号化された画像データが正当な画像データでないと判断した際に、推定結果を画像処理装置の具備する格納部に格納する推定結果格納工程を、画像処理装置が行うことを特徴とするものである。
また、本発明にかかる画像処理方法は、判断工程により復号化された画像データが正当な画像データでないと判断した際に、復号化された画像データが正当な画像データでない旨を報知する報知工程を、画像処理装置が行うことを特徴とするものである。
本発明によれば、復号化された画像データの正当性を推定し、その推定した推定結果を基に、復号化された画像データが正当な画像データであるか否かを判断し、復号化された画像データが正当な画像データであると判断した際に、画像データの出力を認容することで、復号化された画像データの正当性を推定した推定結果のみで、画像データを出力するか否かを判断することが可能となると共に、出力される画像データが他人の目に触れることや第三者が無断で画像データを出力することを防止することが可能となる。
まず、図1を参照しながら、本実施形態における画像処理装置について説明する。
本実施形態における画像処理装置は、蓄積部4に蓄積された画像データを出力する際に、暗号化された画像データを復号するための鍵データの入力要求を行う。そして、その入力要求によりユーザ・インタフェース部7から入力された鍵データを基に、暗号化された画像データを復号部5において復号化し、その復号化した画像データの正当性を推定部6において推定する。そして、その推定部6において推定した推定結果を基に、復号化した画像データが正当に復号化された画像データであるか否かを判断し、正当に復号化された画像データであると判断した際に、復号化した画像データの出力を認容する。これにより、本実施形態における画像処理装置は、復号化された画像データの正当性を推定部6において推定した推定結果のみで、ユーザ・インタフェース部7から鍵データを入力したクライアントに対する認証を行うことになる。なお、画像データが正当に復号化された画像データであるか否かを判断する推定結果には、復号化された画像データを基に算出した画素間の相関係数ρと、標準偏差値と、圧縮率と、復号化された画像データから抽出した所定の規則性と、の少なくとも1つの情報を用いて行うことになる。以下、添付図面を参照しながら、本実施形態における画像処理装置について説明する。
まず、図1を参照しながら、本実施形態の画像処理システムのシステム構成について説明する。なお、図1は、本実施形態の画像処理システムのシステム構成を示すブロック図である。
本実施形態の画像処理システムは、クライアントPC1と、プリンタ・コントローラ2と、プリンタエンジン3と、を有して構成される。
クライアントPC1は、画像データの作成等を行う情報処理装置であり、クライアントは、このクライアントPC1からネットワークを介してプリンタ・コントローラ2に暗号化された画像データを送信し、プリンタ・コントローラ2において画像データのプリントの出力要求を行う。
プリンタ・コントローラ2は、クライアントPC1から受信した暗号化された画像データを蓄積・変換する情報処理装置である。
プリンタエンジン3は、プリンタ・コントローラ2において蓄積・変換された画像データを電子写真やインクジェット機構を用いて用紙などの記録媒体上に形成するものである。
なお、画像データとは、2値画像(1bit/pixel)、グレースケール画像/パレットカラー画像(8bit/pixel)、フルカラー画像(24bit/pixel)等、各画素のデータをラスター順に並べたビットマップ形式のデータ又はそれを圧縮したコードデータを言う。
圧縮方式には、MH/MR/MMR、PackBits、LZ、JPEG、JPEG2000等が挙げられる。なお、画像データが表現するものは、プリントの1ページ全体でも一部分でも構わない。
プリントの1ページ全体を表現するものとしては、ダムプリンタが挙げられる。なお、ダムプリンタ(Dumb Printer)とは、Postscript(アドビシステム社が開発したページ記述言語)プリンタのように、プリンタ用のフォントをインストールしていなくてもきれいな印字が得られるプリンタである。現状では、出力時間がかかるが、低価格化が期待できる。
PostScriptプリンタは、プリンタ内部にプリンタフォントを入れておくハードディスクとPostScriptで書かれたデータを演算してドットの集合体として出力するためのRIP(Raster Image Processor)とが搭載されており、画像データをプリンタ内部で演算し、画像データをプリントアウトすることになる。
一方、プリントの一部分を表現するのものとしては、PDL(ページ記述言語)プリンタが挙げられる、なお、PDL(ページ記述言語)プリンタとは、写真のようなイメージオブジェクトを表現するデータを用いたプリンタである。
なお、セキュア・プリント機能を利用するクライアントは、クライアントPC1において画像データを暗号化し、該暗号化した画像データをプリンタ・コントローラ2に対して送信することになる。
クライアントPC1において画像データを暗号化する方法としては、AES(Advanced Encryption Standard:128bitブロック暗号、2001年NIST制定)やDES(Data Encryption Standard:64bitブロック暗号、1977年NIST制定)のような共通鍵暗号方式を適用することが可能である。
なお、AESとは、米国商務省標準技術局(NIST)によって選定作業が行われている米国政府の次世代標準暗号化方式のことである。現在標準暗号として用いられているDESが制定されたのは1977年であり、近年のコンピュータの高性能化、暗号理論の発展に伴い、その信頼性は年々低下している。そこで、NISTはDESに代わる次世代の暗号標準として、AES候補となる暗号方式を全世界から公募した。世界中から集まった15の方式が審査を受けていたが、2000年10月に、ベルギーの暗号開発者Joan Daemen氏とVincent Rijmen氏とが開発した「Rijndae」という方式が選ばれた。なお、AES(Advanced Encryption Standard)などのブロック暗号について開示されたものとして、以下の文献がある。
デーモン アンド ライマン、エーイーエス プロポーザル:ラインデール、エーイーエス サブミッション、1998.(J. Daemen, V. Rijmen, "AES Proposal: Rijndael", AES submission, 1998.)。
また、DESとは、1960年代後半にIBM社によって開発された秘密鍵暗号化アルゴリズムで、1977年にアメリカ政府標準技術局(NIST)によって連邦情報処理基準に採用されたものである。なお、DESに関連する別の暗号方式としては、Triple DESが挙げられる。
本実施形態におけるクライアントPC1は、画像データを暗号化してプリンタ・コントローラ2に送信することで、クライアントPC1と、プリンタ・コントローラ2と、の送信経路(有線/無線ネットワーク、公衆回線、専用転送路等)での盗聴に対する画像データの秘匿性を保持することが可能となる。なお、以下に、図2を参照しながら、クライアントPC1において画像データに暗号化を施す処理動作について説明する。
まず、クライアントPC1は、図2に示すように、画像データを、64bit単位に分割し、さらに上位/下位の32bitづつの画像データに分割する。なお、上位側の32bitの画像データをX1とし、下位側の32bitの画像データをX2とする。そして、上位側の32bitの画像データ:X1と、鍵データと、を「変換F」に入力し、「変換F」においてビットの置き換えや並び換え(位置の変更)等の攪拌処理を行い、攪拌処理結果:F(X1)を算出する。そして、その算出した攪拌処理結果:F(X1)と、下位側の32bitの画像データ:X2と、の排他的論理和演算処理を行い、排他的論理和演算処理結果:X2F(X1)を算出する。なお、は、排他的論理和を示す。そして、その算出した排他的論理和演算処理結果:X2F(X1)と、上位側の32Bitの画像データ:X1と、を基に、再び、上記と同様な処理を繰り返す。この処理を複数回行い、最終的に上位側の32Bitの画像データと、下位側の32bitの画像データと、を繋ぎ合わせ、暗号化を施した画像データを生成することになる。なお、本実施形態における暗号化処理には、Feistel暗号を適用することが可能である。
プリンタ・コントローラ2は、蓄積部4と、復号部5と、推定部6と、ユーザ・インタフェース部7と、を有して構成される。
蓄積部4は、画像データを格納するHDD(ハードディスクドライブ)のような記憶部である。プリンタ・コントローラ2は、クライアントPC1から暗号化された画像データを受信した際に、その受信した暗号化された画像データを蓄積部4に記憶することになる。なお、蓄積部4に記憶される画像データは、暗号化された状態で記憶されることになるので、不正アクセスやHDDの盗難等が生じても、上述した送信経路上での盗聴と同様に、画像データの秘匿性を保持することが可能となる。なお、蓄積部4には、複数の画像データを記憶することが可能である。
なお、画像データを蓄積部4に記憶する際は、画像データに関連づけてその画像データを識別する識別データを記憶することになる。識別データとしては、その画像データに関連するユーザ名、作成日時、ジョブ番号等の情報が挙げられ、クライアントPC1またはプリンタ・コントローラ2によって識別データが生成され、画像データが格納される場所のアドレスと対応付けた形で蓄積部4に記憶することになる。
復号部5は、蓄積部4に記憶されている暗号化された画像データを鍵データによって復号化するものである。具体的には、クライアントPC1から暗号化された画像データを送信したクライアントが、暗号化された画像データの復号化処理に必要な鍵データを格納したメモリカードを持参して、プリンタ・コントローラ2が設置されている場所まで移動する。そして、クライアントは、プリンタ・コントローラ2のユーザ・インタフェース部7から所望の画像データの選択及び鍵データの入力を行うことになる。なお、プリンタ・コントローラ2に搭載されるユーザ・インタフェース部7の一例を図3に示す。
ユーザ・インタフェース部7には、図3に示すような表示部71と操作部72とが設けられており、蓄積部4に格納されている暗号化された画像データに関連付けられた識別データの一覧情報を表示部71上に表示し、操作部72上からクライアントが選択した識別データをプリンタ・コントローラ2に入力することになる。また、ユーザ・インタフェース部7にはカードリーダ等のような入力部が設けられており、クライアントが持参したメモリカード等に格納された鍵データをカードリーダ等の入力部から入力することになる。
なお、ユーザ・インタフェース部7に設けられた図3に示す操作部72上からクライアントが選択した識別データが入力されると、プリンタ・コントローラ2は、その入力された識別データを基に蓄積部4に格納されている画像データのアドレスを調べ、その入力された識別データに関連付けられた画像データを蓄積部4から読み出すことになる。そして、プリンタ・コントローラ2は、蓄積部4から読み出した画像データを復号部5に送信し、復号部5は、入力部から入力された鍵データを基に蓄積部4から読み出した画像データの復号化処理を行うことになる。
推定部6は、復号部5において復号化された画像データを基に、画像データの復号結果の正当性を推定するものである。プリンタ・コントローラ2は、推定部6における推定結果を基に、画像データを出力するか否かの判断を行うことになる。
例えば、復号部5において正当な鍵データにより暗号化された画像データが復号化された場合には、推定部6は、画像データの復号化に用いられた鍵データが正当である旨の推定結果を出力することになり、プリンタ・コントローラ2は、推定部6における推定結果と、復号部5において復号化された画像データと、をプリンタエンジン3に出力することになる。
プリンタエンジン3は、プリンタ・コントローラ2から推定結果及び復号化された画像データを受信した際に、該受信した推定結果及び暗号化された画像データを基に、プリント結果を出力することになる。これにより、クライアントは、クライアントPC1からプリンタ・コントローラ2に送信した画像データを他人の目に触れずにプリンタエンジン3から出力することが可能となる。
一方、復号部5において不正な鍵データにより暗号化された画像データが復号化された場合には、推定部6は、画像データの復号化に用いられた鍵データが正当でない旨の推定結果を出力することになる。この場合、画像データの送信者でない者が蓄積部4に記憶された画像データの出力を試みている可能性があると推定することになる。即ち、悪意を持って他人の画像データを取得しようとしている場合や識別データの選択を誤って行った場合などが発生していると判断することになる。この場合、推定部6は、暗号化された画像データは正しく復号化されていないため、画像データの復号化に用いられた鍵データが正当でない旨の推定結果を出力し、画像データの復号化に用いられた鍵データが正当でない旨や鍵データに対応する識別データを蓄積部4に記憶することになる。
また、プリンタ・コントローラ2は、画像データの復号化に用いられた鍵データが正当でない旨をユーザ・インタフェース部7に設けられた表示部71上に表示したり、ブザー音を報知したりし、クライアントに対して警告することになる。これにより、クライアントは、画像データを復号化するための正当な鍵データがプリンタ・コントローラ2に入力されていないと判断することが可能となる。
なお、本実施形態におけるプリンタ・コントローラ2は、正当な画像データの送信者であっても、期待した画像データを復号化することが出来ない場合がある。例えば、複数の鍵データの中から誤って別の鍵データが格納されたメモリカードを入力部から入力した場合、または、表示部71上に表示された識別データの一覧情報の中から誤った識別データを選択してしまった場合、または、入力された鍵データまたは蓄積部4から読み出した画像データが何らかの原因で破損していた場合等が挙げられる。このような場合には、推定部6は、復号化された画像データが正当でない旨の推定結果を出力することになり、この推定結果を受けたプリンタ・コントローラ2は、プリンタエンジン3から画像データの出力を実行しないことになる。これにより、プリンタ・コントローラ2は、クライアントにとって不要となるプリント結果の出力を回避することが可能となる。
例えば、プリンタエンジン3が画像データの出力を行ってしまった場合には、クライアントは、プリント結果を見れば、画像データに対して何らかの誤りが生じていることを判明することになるが、プリント結果の出力に要したトナーや、紙のコスト、及び、時間等が無駄になってしまうことになる。このため、本実施形態におけるプリンタ・コントローラ2は、プリンタエンジン3から画像データの出力を実行しないことで、プリント結果の出力に要するトナーや紙のコスト及び時間等を削減することが可能となる。
次に、図4を参照しながら、本実施形態における画像処理システムを用いた画像データの出力処理について説明する。なお、図4は、本実施形態の画像処理システムにおける画像データの出力処理のフローチャートである。
まず、プリンタ・コントローラ2は、クライアントPC1から送信された画像データを受信した際に、該受信した画像データを蓄積部4に蓄積することになる(ステップS200)。
プリンタ・コントローラ2は、画像データを蓄積部4に蓄積すると、その蓄積部4に蓄積した画像データがセキュア・プリント機能により出力可能な暗号化された画像データであるか否かを判断する(ステップS201)。
プリンタ・コントローラ2は、蓄積部4に蓄積した画像データがセキュア・プリント機能により出力可能な暗号化された画像データでないと判断した場合は(ステップS201/NO)、蓄積部4に蓄積した画像データをプリンタエンジン3に送信し、プリンタエンジン3から画像データを出力することになる(ステップS209)。
一方、プリンタ・コントローラ2は、蓄積部4に蓄積した画像データがセキュア・プリント機能により出力可能な暗号化された画像データであると判断した場合は(ステップS201/YES)、プリンタ・コントローラ2は、クライアントによる画像データの出力要求を待つように制御し、蓄積部4に蓄積された画像データの出力要求が行われたか否かを判断することになる(ステップS202)。
プリンタ・コントローラ2は、蓄積部4に蓄積された画像データの出力要求が行われたと判断すると(ステップS202/YES)、プリンタ・コントローラ2は、暗号化された画像データの識別データの一覧情報をユーザ・インタフェース部7に設けられた表示部71上に表示する(ステップS203)。
プリンタ・コントローラ2は、表示部71上に表示された識別データの一覧情報の中から所望の暗号化された画像データの選択が要求されたか否かを判断し(ステップS204)、表示部71上に表示された識別データの一覧情報の中から所望の暗号化された画像データの選択が要求されたと判断した場合は(ステップS204/YES)、プリンタ・コントローラ2は、蓄積部4に蓄積された画像データの中からその選択された画像データを読み出すと共に、その蓄積部4から読み出された画像データに関連付けられた鍵データの入力要求を表示部71上に表示し、鍵データの入力が行われたか否かを判断することになる(ステップS205)。
クライアントは、表示部71上に表示された鍵データの入力要求に応じ、メモリカード等をカードリーダ等の入力部に入力すると、プリンタ・コントローラ2は、鍵データの入力が行われたと判断し(ステップS205/YES)、プリンタ・コントローラ2は、カードリーダ等の入力部から入力された鍵データを復号部5に送信し、復号部5は、その鍵データを基に蓄積部4から読み出した暗号化された画像データの復号化処理を行うことになる(ステップS206)。
復号部5は、復号化した画像データを推定部6に送信し、推定部6は、復号部5において復号化された画像データの正当性を推定し(ステップS207)、復号部5において復号化された画像データが、正当な鍵データを基に復号化された画像データであるか否かを判断することになる(ステップS208)。
推定部6は、復号部5において復号化された画像データが正当な鍵データを基に復号化された画像データであると判断した場合は(ステップS208/YES)、プリンタ・コントローラ2は、復号部5において復号化された画像データをプリンタエンジン3に送信し、プリンタエンジン3から画像データを出力することになる(ステップS209)。
一方、推定部6は、復号部5において復号化された画像データが正当な鍵データを基に復号化された画像データでないと判断した場合は(ステップS208/NO)、プリンタ・コントローラ2は、復号化に用いられた鍵データが正当でない旨や鍵データに対応する識別データを蓄積部4に記憶することになる(ステップS210)。また、プリンタ・コントローラ2は、復号化に用いられた鍵データが正当でない旨を表示部71上に表示したり、ブザー音を報知したりし、クライアントに対して警告することになる(ステップS210)。
このように、本実施形態におけるプリンタ・コントローラ2は、クライアントからの画像データの出力要求が行われ、蓄積部4に蓄積された暗号化された画像データを出力する際に、出力要求が行われた画像データの鍵データの入力要求を行う。そして、その入力要求により入力された鍵データを基に、暗号化された画像データの復号化処理を復号部5において行い、その復号化処理を行った画像データの正当性を推定部6において推定する。そして、推定部6において推定した推定結果を基に、復号化処理を行った画像データが正当に復号化された画像データであるか否かを判断し、復号化処理を行った画像データが正当に復号化された画像データであると判断した際に、復号化した画像データの出力を認容し、プリンタエンジン3から画像データを出力することになる。これにより、本実施形態におけるプリンタ・コントローラ2は、復号化された画像データの正当性を推定した推定結果のみで、画像データの出力要求を行ったクライアントの認証処理を行うことが可能となり、復号化処理を行った画像データが正当に復号化された画像データであると判断した際に、プリンタエンジン3から画像データを出力することになる。
なお、図4に示す処理動作では、クライアントPC1から送信された画像データを蓄積部4に蓄積した後に、画像データがセキュア・プリント機能により出力可能な暗号化された画像データであるか否かを判断することとしたが、蓄積部4に蓄積する前に、受信した画像データがセキュア・プリント機能により出力可能な暗号化された画像データであるか否かを判断するように構築することも可能である。これにより、セキュア・プリント機能により出力可能な暗号化された画像データでない場合には、瞬時にプリンタエンジン3から画像データを出力することが可能となる。
次に、推定部6において推定される画像データの正当性を判断する具体的な推定手段について説明する。
復号部5において、正当でない鍵データを基に復号化処理を施した画像データは、ランダムなノイズ画像となる可能性が高い。通常、ノイジーな画像データをプリントすることはないため、復号化された画像データがノイズ画像か否かで、復号部5における復号化処理の正当性を推定することが可能となる。また、所定の規則性を示すように画像データを予め加工しておくことでも、復号部5における復号化処理の正当性を推定することが可能となる。つまり、復号部5において正当でない鍵データを基に復号化処理を施した画像データの場合は、予め画像データを加工した際の規則性が失われる可能性が高い。この場合、所定の規則性の有無で復号部5における復号化処理の正当性を推定することが可能となる。さらに、予め所定の規則性を示すように画像データを加工しておかなくても、画像データに存在する性質を予め調べておくことで復号部5における復号化処理の正当性を推定することが可能となる。但し、所定の規則性を示すように画像データを加工する方法や画像データに存在する性質を予め調べておく方法は、鍵データと共にそれらの2つの性質をプリンタ・コントローラ2に入力する必要がある。
なお、本実施形態におけるプリンタ・コントローラ2は、以下に述べる推定手段を用いて復号化された画像データの正当性を推定することになる。
第1の推定手段としては、まず、異なる画素間で相関係数を算出し、該算出した値を基に復号化の正当性の判断を行う方法がある。
例えば、復号化された画像データの画素間の相関係数を算出し、該算出した相関係数ρが所定の値以下の場合は、復号部5における復号化処理が正当でないと推定する。具体的には、隣り合う画素値を、Xiと、Xi+1と、仮定し、多値画像の場合には、以下の(式1)を用いて画素間の相関係数ρを計算する。また、2値画像の場合には、以下の(式2)を用いて画素間の相関係数ρを計算する。但し、Nは、全画素数を示す。また、exnorは、排他的論理和の反転を示している。
相関係数ρは、0から1の間の値をとる。通常、正常に復号化された画像データの相関係数ρは、0.9以上の値となる。従って、例えば、以下の(式1)、(式2)により算出された相関係数ρが0.5以下の場合には、ノイズ画像である可能性が高く、その画像データは正当に復号化されていないと推定し、復号部5における復号化処理の正当性を判断することが可能となる。
Figure 2005271586
このように、復号化された画像データの画素間の相関係数を算出し、該算出した相関係数が所定の値以下であると判断した場合に、復号化された画像データが正当な画像データでない旨の推定を行い、該算出した相関係数が所定の値よりも大きいと判断した場合に、復号化された画像データが正当な画像データである旨の推定を行うようにすることが可能となる。
また、第2の推定手段としては、画像データの標準偏差などの統計値を算出し、該算出した統計値を基に画像データの正当性を判断することも可能である。
なお、図5は、画像データの画素値の度数分布(ヒストグラム)を表している。図5(a)は、一般的な画像データのヒストグラムである。一方、図5(b)は、ノイズ画像のヒストグラムである。
図5(a)に示すような一般的な画像データの標準偏差値は、50程度であるのに対し、図5(b)に示すようなノイズ画像の標準偏差値は、100程度となる。従って、例えば、画像データの標準偏差値が80以上の場合には、ノイズ画像であると推定し、復号部5における復号化処理が正当に行なわれなかったと判断することが可能となる。
このように、復号化された画像データの画素値の度数分布から標準偏差値を算出し、該算出した標準偏差値が所定の値以下であると判断した場合に、復号化された画像データが正当な画像データでない旨の推定を行い、該算出した標準偏差値が所定の値より大きいと判断した場合に、復号化された画像データが正当な画像データである旨の推定を行うようにすることも可能である。
また、第3の推定手段として、圧縮前の画像データと圧縮後の画像データとの圧縮率を算出し、該算出した圧縮率の値を基に画像データの正当性を判断することも可能である。
具体的には、多値画像データをJPEG圧縮した場合の圧縮前のファイルサイズと圧縮後のファイルサイズとの比率を算出し、該算出した比率から復号化された画像データの正当性を判断することになる。例えば、通常の画像データの圧縮率は、10程度であるのに対し、ノイズ画像データの圧縮率は、3程度となるため、ノイズ画像データと判断する所定の値を5と設定する。そして、圧縮前の画像データと圧縮後の画像データとの圧縮率が5以下の場合には、復号化処理が正当に行われなかったと判断することが可能となる。
このように、復号化された画像データを圧縮し、該圧縮した画像データの圧縮率を算出し、該算出した圧縮率が所定の値以下であると判断した場合に、復号化された画像データが正当な画像データでない旨の推定を行い、該算出した圧縮率が所定の値よりも大きいと判断した場合に、復号化された画像データが正当な画像データである旨の推定を行うようにすることも可能である。
また、第4の推定手段として、暗号化前の画像データに予め所定の規則性を付与しておき、復号化処理後の画像データに、暗号化前に付与した規則性が残っているか否かを判断することで、復号部5における復号化処理の正当性を判断することも可能である。
例えば、電子透かしを暗号化前の画像データに予め埋め込んでおき、復号化後の画像データからその電子透かしが検出できなかった場合には、復号部5における復号化処理が正当に行なわれなかったと判断することになる。
また、暗号化された画像データがビットマップ形式のデータではなく、コード化及び圧縮されたデータの場合には、誤った鍵データで復号化すると、コードとコードとの組み合わせに未定義なものが発生することになる。未定義なコードとコードとの組み合わせは、データを解凍する際にエラーとして検出されることになる。従って、データを解凍する際にエラーが検出された場合には、復号部5における復号化処理が正当に行なわれなかったと判断することになる。
このように、復号化された画像データから所定の規則性を抽出できないと判断した場合に、復号された画像データが正当な画像データでない旨の推定を行い、復号化された画像データから所定の規則性を抽出できたと判断した場合に、復号された画像データが正当な画像データである旨の推定を行うようにすることも可能である。
なお、先に述べた復号化処理の正当性を推定するための推定手段となる、相関係数ρの算出、標準偏差値の算出、圧縮率の算出、電子透かしの埋め込みによる規則性の有無、未定義なコードとコードとの組み合わせによるエラー検出のうち、少なくとも1つの推定手段を用いて、推定部6から推定結果を出力するように構築することも可能である。なお、複数の推定手段を用いる場合には、各推定手段から得られる複数の推定結果を基に最終的な推定結果を出力するように構築することも可能である。また、各推定手段から得られるそれぞれの推定結果に対して重み付けを行い、その重み付けを行った推定結果を基に、最終的な推定結果を出力するように構築することも可能である。
なお、推定手段から得られる推定結果の精度が高いことが既知であれば、精度の高い推定結果が得られる推定手段の推定結果に対しては高い重み付けを行い、精度の低い推定結果が得られる推定手段の推定結果に対しては低い重み付けを行い、その重み付けを行った推定結果を基に、総合的な推定結果を出力するように構築することも可能である。
このように複数の推定結果を基に最終的な推定結果を出力することで、推定結果の信頼度を向上させることが可能となる。例えば、1つの推定手段が誤った推定結果を行っても、他の推定手段が正しい推定結果を行っていれば、最終的な推定結果を精度良くすることが可能となる。
なお、画像データは、ファイルのサイズが通常の文書データと比較して大きい。従って、画像データを出力する過程における推定処理は、画像データを出力する作業を遅延させることになる。そこで、本実施形態では、復号化された画像データの一部分のみについて復号化処理の正当性を判断することで、画像データを出力する作業の遅延を緩和することが可能となる。誤った鍵データで暗号化された画像データを復号化した場合の画像データが包含するノイズは、画像データの内容や位置によらず、任意の一部分の画像データから検出することができるためである。
また、画像データが複数のページからなる場合は、各ページの推定値(相関係数、標準偏差値、圧縮率、規則性等)を算出し、その累計が所定の値を超えたか否かにより復号化処理の正当性を判断することも可能である。この場合、画像データの復号化処理が正当に行われたにも関らず、誤ってあるページの復号化処理が正当に行なわれていないと判断した場合でも、他のページの復号化処理が正当に行われていれば画像データを出力することが可能となる。従って、推定部6の誤動作により画像データの出力が不当に制限されるのを防止することが可能となる。
なお、本実施形態における画像処理システムは、プリント機器だけでなく、コンテンツ画像の表示機器にも適用することが可能である。ネットワークを介して有料のコンテンツ画像をダウンロードする際に、転送失敗によりコンテンツ画像を復号化するための鍵データ又は画像データが破損する場合がある。このような転送処理に対しては課金処理を行うべきではない。そこで、本実施形態における推定手段を用いてダウンロードした画像データの正当性を推定し、その推定結果を基に、コンテンツ画像の転送が成功したか否かを判断し、コンテンツ画像の転送が成功したと判断した際に、課金処理を行うことで、クライアントに対する有料コンテンツ画像の課金処理を適切に行うように構築することが可能となる。
なお、上述する実施形態は、本発明の好適な実施形態であり、上記実施形態のみに本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を施した形態での実施が可能である。例えば、上述した実施形態における鍵データの入力は、他のデータ記録メディア(ICカード、携帯端末、フロッピー(登録商標)ディスク、CD、DVD、リムーバブルHDD等)、ネットワークを介した情報の受信、パスワード等により行うことも可能である。但し、記憶可能な鍵データ長が英数字4桁程度とすれば、鍵データ長は14bit程度の暗号を用いる必要がある。
本実施形態における画像処理システムのシステム構成を示すブロック図である。 本実施形態におけるクライアントPC1において暗号化された画像データを生成する際の処理動作を説明するための図である。 本実施形態におけるプリンタ・コントローラ2に搭載されるユーザ・インタフェース部7の構成例を示す図である。 本実施形態のプリンタ・コントローラ2(画像処理装置)における処理動作を示すフローチャートである。 復号画像の画素値の度数分布を示すヒストグラムであり、(a)は正当復号画像データであり、(b)は不当復号画像データである。 従来の画像処理装置の第1の構成を示すブロック図である。 従来の画像処理装置の第2の構成を示すブロック図である。
符号の説明
1 クライアントPC
2 プリンタ・コントローラ
3 プリンタエンジン
4 蓄積部
5 復号部
6 推定部
7 ユーザ・インタフェース部
71 表示部
72 操作部
8 判定部

Claims (24)

  1. 画像データの復号化を行う復号化手段と、
    前記復号化手段により復号化された画像データの正当性を推定する推定手段と、
    前記推定手段により推定された推定結果を基に、前記復号化された画像データが正当な画像データであるか否かを判断する判断手段と、
    前記判断手段により前記復号化された画像データが正当な画像データであると判断した際に、前記画像データの出力を認容する画像出力手段と、
    を有することを特徴とする画像処理装置。
  2. 前記画像データの復号化を行うための復号キーを入力する入力手段を有し、
    前記復号化手段は、
    前記入力手段により入力された復号キーを基に、前記画像データの復号化を行うことを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
  3. 画像データと、該画像データを識別する識別情報と、を関連づけて記憶する記憶手段と、
    前記記憶手段により記憶された前記識別情報の一覧情報を表示する表示手段と、
    前記表示手段により表示された一覧情報の中から任意の識別情報が選択された際に、該選択された識別情報に関連付けられた画像データを前記記憶手段から取得する画像データ取得手段と、
    を有し、
    前記復号化手段は、前期画像データ取得手段により取得された画像データの復号化を行うことを特徴とする請求項1または2記載の画像処理装置。
  4. 前記推定手段は、
    前記復号化された画像データの少なくとも一部分の画像データを基に算出した画素間の相関係数を基に、前記画像データの正当性を推定する第1の推定手段と、
    前記復号化された画像データの少なくとも一部分の画像データの画素値の度数分布を基に算出した標準偏差値を基に、前記画像データの正当性を推定する第2の推定手段と、
    前記復号化された画像データの少なくとも一部分の画像データを圧縮し、該圧縮した画像データを基に算出した圧縮率を基に、前記画像データの正当性を推定する第3の推定手段と、
    前記復号化された画像データの少なくとも一部分の画像データから抽出した所定の規則性を基に、前記画像データの正当性を推定する第4の推定手段と、
    の少なくとも1つの推定手段を有し、
    前記判断手段は、
    前記少なくとも1つの推定手段により推定された推定結果を基に、前記復号化された画像データが正当な画像データであるか否かを判断することを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
  5. 前記第1の推定手段は、前記復号化された画像データが複数ページからなる場合には、全ページの画像データの前記相関係数を算出し、
    前記第2の推定手段は、前記復号化された画像データが複数ページからなる場合には、全ページの画像データの前記標準偏差値を算出し、
    前記第3の推定手段は、前記復号化された画像データが複数ページからなる場合には、全ページの画像データの前記圧縮率を算出し、
    前記第4の推定手段は、前記復号化された画像データが複数ページからなる場合には、全ページの画像データから前記所定の規制性を抽出することを特徴とする請求項4記載の画像処理装置。
  6. 前記第1の推定手段は、
    前記復号化された画像データの少なくとも一部分の画像データの画素間の相関係数を算出し、該算出した相関係数が所定の値以下であると判断した場合に、前記復号化された画像データが正当な画像データでない旨の推定を行うことを特徴とする請求項4または5記載の画像処理装置。
  7. 前記第2の推定手段は、
    前記復号化された画像データの少なくとも一部分の画像データの画素値の度数分布から標準偏差値を算出し、該算出した前記標準偏差値が所定の値以下であると判断した場合に、前記復号化された画像データが正当な画像データでない旨の推定を行うことを特徴とする請求項4または5記載の画像処理装置。
  8. 前記第3の推定手段は、
    前記復号化された画像データの少なくとも一部分の画像データを圧縮し、該圧縮した画像データの圧縮率を算出し、該算出した圧縮率が所定の値以下であると判断した場合に、前記復号化された画像データが正当な画像データでない旨の推定を行うことを特徴とする請求項4または5記載の画像処理装置。
  9. 前記第4の推定手段は、
    前記復号化された画像データの少なくとも一部分の画像データから所定の規則性を抽出できないと判断した場合に、前記復号された画像データが正当な画像データでない旨の推定を行うことを特徴とする請求項4または5記載の画像処理装置。
  10. 前記推定手段により推定された推定結果に重み付けを施し、
    前記判断手段は、
    前記推定結果に施した重み付けを基に、前記復号化された画像データが正当な画像データであるか否かを判断することを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
  11. 前記判断手段により前記復号化された画像データが正当な画像データでないと判断した際に、前記推定結果を格納する推定結果格納手段を有することを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
  12. 前記判断手段により前記復号化された画像データが正当な画像データでないと判断した際に、前記復号化された画像データが正当な画像データでない旨を報知する報知手段を有することを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
  13. 画像データを処理する画像処理装置で行う画像処理方法であって、
    前記画像データの復号化を行う復号化工程と、
    前記復号化工程により復号化された画像データの正当性を推定する推定工程と、
    前記推定工程により推定された推定結果を基に、前記復号化された画像データが正当な画像データであるか否かを判断する判断工程と、
    前記判断工程により前記復号化された画像データが正当な画像データであると判断した際に、前記画像データの出力を認容する画像出力工程と、
    を、前記画像処理装置が行うことを特徴とする画像処理方法。
  14. 前記復号化工程は、
    前記画像データの復号化を行うための復号キーが入力された際に、該入力された復号キーを基に、前記画像データの復号化を行うことを特徴とする請求項13記載の画像処理方法。
  15. 前記画像処理装置は、
    前記画像データと、該画像データを識別する識別情報と、を関連づけて前記画像処理装置の具備する記憶部に記憶しており、
    前記記憶部に記憶された前記識別情報の一覧情報を前記画像処理装置の具備する表示部に表示する表示工程と、
    前記表示部に表示された前記一覧情報の中から任意の識別情報が選択されたと判断した際に、該選択された識別情報に関連付けられた画像データを前記記憶部から取得する画像データ取得工程と、
    を、前記画像処理装置が行い、
    前記復号化工程は、前期画像データ取得工程により取得した画像データの復号化を行うことを特徴とする請求項13または14記載の画像処理方法。
  16. 前記推定工程は、
    前記復号化された画像データの少なくとも一部分の画像データを基に算出した画素間の相関係数を基に、前記画像データの正当性を推定する第1の推定工程と、
    前記復号化された画像データの少なくとも一部分の画像データの画素値の度数分布を基に算出した標準偏差値を基に、前記画像データの正当性を推定する第2の推定工程と、
    前記復号化された画像データの少なくとも一部分の画像データを圧縮し、該圧縮した画像データを基に算出した圧縮率を基に、前記画像データの正当性を推定する第3の推定工程と、
    前記復号化された画像データの少なくとも一部分の画像データから抽出した所定の規則性を基に、前記画像データの正当性を推定する第4の推定工程と、
    の少なくとも1つの推定工程を行い、
    前記判断工程は、
    前記少なくとも1つの推定工程により推定された推定結果を基に、前記復号化された画像データが正当な画像データであるか否かを判断することを特徴とする請求項13記載の画像処理方法。
  17. 前記第1の推定工程は、前記復号化された画像データが複数ページからなる場合には、全ページの画像データの前記相関係数を算出し、
    前記第2の推定工程は、前記復号化された画像データが複数ページからなる場合には、全ページの画像データの前記標準偏差値を算出し、
    前記第3の推定工程は、前記復号化された画像データが複数ページからなる場合には、全ページの画像データの前記圧縮率を算出し、
    前記第4の推定工程は、前記復号化された画像データが複数ページからなる場合には、全ページの画像データから前記所定の規制性を抽出することを特徴とする請求項16記載の画像処理方法。
  18. 前記第1の推定工程は、
    前記復号化された画像データの少なくとも一部分の画像データの画素間の相関係数を算出し、該算出した相関係数が所定の値以下であると判断した場合に、前記復号化された画像データが正当な画像データでない旨の推定を行うことを特徴とする請求項16または17記載の画像処理方法。
  19. 前記第2の推定工程は、
    前記復号化された画像データの少なくとも一部分の画像データの画素値の度数分布から標準偏差値を算出し、該算出した前記標準偏差値が所定の値以下であると判断した場合に、前記復号化された画像データが正当な画像データでない旨の推定を行うことを特徴とする請求項16または17記載の画像処理方法。
  20. 前記第3の推定工程は、
    前記復号化された画像データの少なくとも一部分の画像データを圧縮し、該圧縮した画像データの圧縮率を算出し、該算出した圧縮率が所定の値以下であると判断した場合に、前記復号化された画像データが正当な画像データでない旨の推定を行うことを特徴とする請求項16または17記載の画像処理方法。
  21. 前記第4の推定工程は、
    前記復号化された画像データの少なくとも一部分の画像データから所定の規則性を抽出できないと判断した場合に、前記復号された画像データが正当な画像データでない旨の推定を行うことを特徴とする請求項16または17記載の画像処理方法。
  22. 前記推定工程により推定された推定結果に重み付けを施し、
    前記判断工程は、
    前記推定結果に施した重み付けを基に、前記復号化された画像データが正当な画像データであるか否かを判断することを特徴とする請求項13記載の画像処理方法。
  23. 前記判断工程により前記復号化された画像データが正当な画像データでないと判断した際に、前記推定結果を前記画像処理装置の具備する格納部に格納する推定結果格納工程を、前記画像処理装置が行うことを特徴とする請求項13記載の画像処理方法。
  24. 前記判断工程により前記復号化された画像データが正当な画像データでないと判断した際に、前記復号化された画像データが正当な画像データでない旨を報知する報知工程を、前記画像処理装置が行うことを特徴とする請求項13記載の画像処理方法。
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JP2010238351A (ja) * 2006-12-11 2010-10-21 Mitsubishi Electric Corp 映像データの符号化方法及び映像データの再生方法

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