JP2005266182A - 光アイソレータ - Google Patents

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Abstract


【課題】 レンズによる光学系を必要とせず、組立工程での調芯が容易な光アイソレータを提供すること。
【解決手段】 光の偏光面を非相反的に回転させるファラデー回転素子7と、その両側に接合された2枚の偏光子6とを備える光アイソレータであり、2枚の偏光子6はいずれも球面加工が施され、偏光子6を透過する光を収束又は発散させて実像又は虚像を結ぶレンズとなっている。また2枚の偏光子6でファラデー回転素子7を挟んで接合してなる全体の形状がほぼ球状である。また2枚の偏光子6は屈折率が互いに異なる素材からなる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、一方向の光を低損失で透過させ、逆方向の光を遮断する光アイソレータに関し、特に半導体レーザ発振素子への反射戻り光を遮断するのに好適な光アイソレータに関する。
半導体レーザ発振素子に代表される光をレーザ発振する光源の多くは、光回路を逆行する反射戻り光によって、その発振が不安定になり、発振光の雑音の発生や出力の不安定といった現象を生じる。このような状態では光を変調させた時に、安定した信号伝達を行うことは困難になる。その反射戻り光は光回路における光学部品それぞれから発生するばかりでなく、断線等の事故によっても発生する。そこで、この種の反射戻り光を遮断する手段として、発振方向の光は透過し、戻り光を遮断する非相反素子が半導体レーザの直前に配置させる構造が一般的になってきている。これを光アイソレータ素子と一般的に称している。この光アイソレータは、光学回路の保守や構造の制限から、半導体レーザの直前ではなく、光回路の途中に配置されることも多くある。
前記光アイソレータに含まれる非相反回転素子はファラデー回転素子と称されることが多い。このファラデー回転素子はC軸と称される結晶軸に平行なベクトル成分に対する非相反回転機能を有するため、発散又は収束するような角度を持つ光は、ファラデー回転素子のC軸方向成分の偏光回転角度を持つ。光アイソレータを作製する際に、この発散、集光角度を考慮したもので調整を行う必要があるが、その発散、集光角度が一定でないことや、生産性の問題から平行光束を対象とするものが多い。
ここで、従来の一般的な光アイソレータとそれに用いる光学系を示す図4を参照する。同図のように光アイソレータ3を用いるときは、半導体レーザ発振チップ1から出力される光に対して、光アイソレータ3の前後に光線束を発散又は収束させて実像又は虚像を結ぶレンズ2を配置して平行光束4に調整してから光アイソレータ3を通過させ、再び集光してファイバー等の光回路端5に入力する方法が一般的に用いられている。
このようなレンズ2を用いた構造であると、構造が複雑化し、組み立ての生産性が低下することから、光アイソレータに使用する偏光子の片側を光線束を発散又は収束させて実像又は虚像を結ぶようにレンズ化する手法が用いられることがある。光アイソレータ3の一方の偏光子に曲面加工を施す方法である。この方法は先行例として特許文献1に記載されている。
しかしながら特許文献1の例では、片側に平板の偏光子を有するため、組立工程において、光アイソレータ素子の傾きにより光の調芯位置が変動するため、調芯作業が難しく、パッケージの制限も発生していた。また側面固定であるため、その側面の平面加工が必要になり、生産性を低下させていた。
特開平9−90282号公報
上記の状況にあって、本発明の課題は、レンズによる光学系を必要とせず、組立工程での調芯が容易な光アイソレータを提供することにある。
本発明の光アイソレータは、光の偏光面を非相反的に回転させるファラデー回転素子と、その両側に接合された2枚の偏光子とを備える光アイソレータにおいて、前記2枚の偏光子はいずれも球面加工が施され、前記偏光子を透過する光を収束又は発散させて実像又は虚像を結ぶレンズに加工されたことを特徴とする。
前記偏光子は特定の偏光成分と、それに直交する偏光成分とを分離する特性を有するとよい。
前記偏光子の材質は、ルチル単結晶、YVO4単結晶及びLiNbO3単結晶のうちから選ばれるとよい。
前記偏光子は特定の偏光成分を透過させ、前記特定の偏光成分に直交する偏光成分を吸収消光する特性を有することもできる。
前記2枚の偏光子でファラデー回転素子を挟んで接合してなる全体の形状をほぼ球状とするとよい。
前記全体の形状は球体の一部分が平面に削られてなり、前記平面によって偏光方向又は固定面が指示されるとよい。
前記2枚の偏光子は屈折率が互いに異なる素材からなることを特徴とする、請求項1から請求項6のいずれかに記載の光アイソレータである。
収差の発生を抑えるため、本発明は、光アイソレータの2枚の偏光子の両方を曲面研磨することを特徴としている。その結果、光アイソレータを通過する光は、2カ所の曲面を通過する構造になるため、収差の発生を抑えることができる。
更なる収差改善策として、本発明は、前記2枚の偏光子において、屈折率が相違なものを用い、曲面を調整することを特徴としている。これにより高度な収差改善が可能になる。
また、本発明は光アイソレータの全体外形を球状にすることを特徴にしているこのような手法は調芯時のトレランスを大幅に改善することにつながる。
以上のように、本発明の光アイソレータでは特性を劣化させることなく2枚の偏光子の曲面化が可能であることが証明され、このような2枚の偏光子の曲面化によって、レーザダイオード素子のパッケージ等に内蔵するレンズを省略しても機能が劣化しないことが証明された。
すなわち、本発明によれば、レンズによる光学系を必要とせず、組立工程での調芯が容易な光アイソレータを提供することができる。
図2を参照して本発明の実施の形態を説明する。図2は、本発明の球状の光アイソレータを示す正面図である。具体的には、光の偏光面を回転させる非相反のファラデー回転素子7と、その両側に配置された特定偏光を選択する2枚の偏光子6からなる光アイソレータ3であり、両側に配置された2枚の偏光子6に球面加工を施し、偏光子6は光線束を発散又は収束させて実像又は虚像を結ぶレンズに加工されている。
その形状を得るには、2枚の偏光子6でファラデー回転素子7を挟んで接着した状態で、切断を行い、ほぼ立方体の接着体を作製した後、全体形状を球状に加工する。
この時に使用される偏光子6は、特定の偏光成分を直進させ、それと直交する偏光成分を分離する特性を有するものや、特定の偏光成分を透過させ、それと直交する偏光成分を吸収消光する特性を有するものを使用する。
また、前記2枚の偏光子6において、その屈折率が互いに異なる素材を用いることで更なる収差低減及び調節が可能になる。
以下、本発明の実施例を述べる。始めに、参照する図面について説明する。図1は本発明の実施例で用いる測定系を示し、図2はすでに説明したように本発明の球状の光アイソレータの正面図であり、図3は本発明の実施例における偏光子とファラデー回転素子の接着体を示す斜視図である。
実施例1では、光アイソレータに非相反性をもたらすファラデー回転素子としてGdBiIGガーネット膜(ビスマス置換型ガドリニウム鉄ガーネット膜)を用いた。このガーネット膜は、膜厚512(±2)μm、波長1.55μmで45°の回転角を持ち、対屈折率1.5の両面無反射コートを施してある。偏光子として厚さ0.9mmのルチル単結晶を用い、片面に対屈折率1.0、もう片面に対屈折率1.5の無反射コートを施した。前記GdBiIGガーネット膜及びルチル単結晶膜に施した無反射コートの設定波長は1550nmである。使用したGdBiIGガーネット膜とルチル単結晶は11mm角の寸法にした。
まず、一枚のルチル単結晶板の対屈折率1.5の無反射コート側にエポキシテクノロジー社の353ND有機接着剤を塗布し、GdBiIGガーネット膜をそれぞれの端辺を合わせて接着固定した。次に、もう一枚のルチル単結晶板の対屈折率1.5の無反射コート側にエポキシテクノロジー社の353ND有機接着剤を塗布し、前記貼り合わせたGdBiIGガーネット膜とルチル単結晶板のGdBiIGガーネット膜側に接着し、硬化前に検光子となる側のルチル単結晶板からレーザ光を入力し、磁場を印加してその消光比が最大になるようにルチル単結晶の偏光軸合わせを行い、固定した状態で硬化した。
前記硬化した試料をダイシングソーにより、2.3mm角に切断し、図3のような接着体を得て、これを湿式バレル研磨によってφ2.0mmの球状に研磨した。このようにして、図2のような、R1.0mmの球状光アイソレータを完成させた。
この球状光アイソレータに、マグネットによる印加磁場を与えて内蔵するGdBiIGガーネット膜の結晶軸方向に飽和磁場を与えて飽和させ、光アイソレータとしての特性を測定した。測定系は図1のような系を用いた。同図で8はファラデー回転素子飽和用マグネットであり、9はフェルール付き光ファイバである。波長1550nmで順方向損失1.8dB、逆方向損失45dBの特性が得られた。これに対空気無反射コートを施せばフレネル反射損失の分、約1.6dBの順方向損失の改善が見込まれる。
ルチル偏光結晶板では常光はまっすぐ透過し、異常光は一定の分離角を持って分離する。この分離した逆方向ビームシフト量は54.6μmであり、光源のLDチップに戻り光が届かないことが判明した。
なお、本実施例の光アイソレータは球状であるが、素子固定や偏光子の偏光方向を特定するため、光路とならない一部分を平面に削ることで固定面及びマーキングを付けることで、より実用性が向上される。
光アイソレータの非相反のファラデー回転素子としてGdBiIGガーネット膜を用いた。このガーネット膜は膜厚512(±2)μmで、波長1.55μmで45°の回転角を持ち、両面に対屈折率1.5の無反射コートを施してある。偏光子として厚さ1.35mmのYVO4単結晶を用い、片面に対屈折率1.0、もう片面に対屈折率1.5の無反射コートを施した。前記GdBiIGガーネット膜及びYVO4単結晶板に施した無反射コートの設定波長は1550nmである。また使用したGdBiIGガーネット膜とYVO4単結晶は11mm角の寸法にした。
まず、一枚のYVO4単結晶板の対屈折率1.5の無反射コート側にエポキシテクノロジー社の353ND有機接着剤を塗布し、GdBiIGガーネット膜をそれぞれの端辺を合わせて接着固定した。次に、もう一枚のYVO4単結晶板の対屈折率1.5の無反射コート側にエポキシテクノロジー社の353ND有機接着剤を塗布し、前記貼り合わせたGdBiIGガーネット膜とYVO4単結晶板のGdBiIGガーネット膜側に接着し、硬化前に検光子となる側のYVO4単結晶板からレーザ光を入力し、磁場を印加してその消光比が最大になるようにYVO4単結晶の偏光軸合わせを行い、固定した状態で硬化した。
前記硬化した試料をダイシングソーにより、3.3mm角に切断し、図3のような接着体を得て、これを湿式バレル研磨によってφ3.0mmの球状に研磨した。このようにして、図2のような、R1.5mmの球状光アイソレータを完成させた。
この球状光アイソレータに、マグネットによる印加磁場を与えて内蔵するGdBiIGガーネット膜の結晶軸方向に飽和磁場を与えて飽和させ、光アイソレータとしての特性を測定した。測定系は図1のような系を用いた。波長1550nmで順方向損失1.3dB、逆方向損失42dBの特性が得られた。これに対空気無反射コートを施せばフレネル反射損失の分、約1.0dBの順方向損失の改善が見込まれる。
YVO4偏光結晶板では常光はスネルの法則に従って透過し、異常光は一定の分離角を持って分離する。この分離した逆方向ビームシフト量は75.5μmであり、光源のLDチップに戻り光が届かないことが判明した。
なお、本実施例の光アイソレータは球状であるが、素子固定や偏光子の偏光方向を特定するため、光路とならない一部分を平面に削ることで固定面及びマーキングを付けることで、より実用性が向上される。
光アイソレータに非相反性を与えるファラデー回転素子としてGdBiIGガーネット膜を用いた。このガーネット膜は膜厚512(±2)μmで波長1.55μmで45°の回転角を持ち、両面に対屈折率1.5の無反射コートを施してある。偏光子として厚さ1.85mmのLiNbO単結晶を用い、片面に対屈折率1.0、もう片面に対屈折率1.5の無反射コートを施した。前記GdBiIGガーネット膜及びLiNbO3単結晶板に施した無反射コートの設定波長は1550nmである。また使用したGdBiIGガーネット膜とLiNbO3単結晶は11mm角の寸法にした。
まず、一枚のLiNbO3単結晶板の対屈折率1.5の無反射コート側にエポキシテクノロジー社の353ND有機接着剤を塗布し、GdBiIGガーネット膜をそれぞれの端辺を合わせて接着固定した。次に、もう一枚のLiNbO単結晶板の対屈折率1.5の無反射コート側にエポキシテクノロジー社の353ND有機接着剤を塗布し、前記貼り合わせたGdBiIGガーネット膜とLiNbO3単結晶板のGdBiIGガーネット膜側に接着し、硬化前に検光子となる側のLiNbO3単結晶板からレーザ光を入力し、磁場を印加してその消光比が最大になるようにLiNbO3単結晶の偏光軸合わせを行い、固定した状態で硬化した。
前記硬化した試料をダイシングソーにより、4.2mm角に切断し、図3のような接着体を得て、これを湿式バレル研磨によってφ4.0mmの球状に研磨した。このようにして、図2のようなR2.0mmの球状光アイソレータを完成させた。
この球状光アイソレータに、マグネットによる印加磁場を与えて内蔵するGdBiIGガーネット膜の結晶軸方向に飽和磁場を与えて飽和させ、光アイソレータとしての特性を測定した。測定系は図1のような系を用いた。波長1550nmで順方向損失1.85dB、逆方向損失40dBの特性が得られた。これに対空気無反射コートを施せばフレネル反射損失の分、約1.6dBの順方向損失の改善が見込まれる。
LiNbO3偏光結晶板では常光はスネルの法則に従って透過し、異常光は一定の分離角を持って分離する。この分離した逆方向ビームシフト量は39.1μmであり、光源のLDチップに戻り光が届かないことが判明した。
なお、本実施例の光アイソレータは球状であるが、素子固定や偏光子の偏光方向を特定するため、光路とならない一部分を平面に削ることで固定面及びマーキングを付けることで、より実用性が向上される。
上記の実施例で用いた偏光子は常光成分をスネルの法則に従って透過させ、すなわち垂直入射では屈折することなく直進させ、異常光成分を一定の分離角で分離させる偏光子であった。これに対して、一方の偏光成分を透過させ、これと直交する偏光成分を吸収消光する偏光子を用いてもよいことは明らかである。
また、2つの偏光子に異なる屈折率の材料を用いると、その球面の曲率半径が等しい場合でも異なる焦点距離が得られるので、半導体レーザ発振チップの出力光の拡がり角と、光ファイバーに結合される光の収束角に合わせた選択が可能になる。
本発明の実施例で用いた測定系を示す図。 本発明の球状光アイソレータの正面図。 接着体を示す斜視図。 従来の光アイソレータとそれに用いる光学系を示す図。
符号の説明
1 半導体レーザ発振チップ
2 レンズ
3 光アイソレータ
4 平行光束
5 光回路端
6 偏光子
7 ファラデー回転素子
8 ファラデー回転素子飽和用マグネット
9 フェルール付き光ファイバ

Claims (7)

  1. 光の偏光面を非相反的に回転させるファラデー回転素子と、その両側に接合された2枚の偏光子とを備える光アイソレータにおいて、前記2枚の偏光子はいずれも球面加工が施され、前記偏光子を透過する光を収束又は発散させて実像又は虚像を結ぶレンズに加工されたことを特徴とする光アイソレータ。
  2. 前記偏光子は特定の偏光成分と、それに直交する偏光成分とを分離する特性を有することを特徴とする、請求項1に記載の光アイソレータ。
  3. 前記偏光子の材質は、ルチル単結晶、YVO4単結晶及びLiNbO3単結晶のうちから選ばれたことを特徴とする、請求項2に記載の光アイソレータ。
  4. 前記偏光子は特定の偏光成分を透過させ、前記特定の偏光成分に直交する偏光成分を吸収消光する特性を有することを特徴とする、請求項1に記載の光アイソレータ。
  5. 前記2枚の偏光子でファラデー回転素子を挟んで接合してなる全体の形状がほぼ球状であることを特徴とする、請求項1から請求項4のいずれかに記載の光アイソレータ。
  6. 前記全体の形状は球体の一部分が平面に削られてなり、前記平面によって偏光方向又は固定面が指示されたことを特徴とする、請求項5に記載の光アイソレータ。
  7. 前記2枚の偏光子は屈折率が互いに異なる素材からなることを特徴とする、請求項1から請求項6のいずれかに記載の光アイソレータ。
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