JP2005265492A - 電気機器の絶縁劣化診断方法と診断後の電気機器運転方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】絶縁層の一部をヤスリで削り落として試料を採取し、採取試料をTG−DTAによる分析結果を求めると共に、この分析結果の1次重量減少カーブの中間温度か全重量減少カーブ、若しくは発熱ピーク温度と診断対象材料のIEC.pub.216に準拠して算出した重量減少率率マスターカーブを照らし合わせ、予め作成した判断基準表から熱劣化度を判断する。また、削り落とした部位に室温硬化樹脂を塗布することで運転継続する。
【選択図】 図1
Description
特に電気機器のうちでも、回転機の巻線交換には多大な時間と費用がかかるため、巻線の寿命を適切に予測し、計画的に更新することが重要となっている。
そのため、巻線に使用する有機絶縁材料の熱劣化度を適切に把握できれば、早い段階で劣化度を把握して機器故障を未然に防止できるが、しかし、現状では図13のような問題点を有している。
また、各従来法による絶縁診断に使用する際の問題点については、例えば従来法1については、この手法は材料単品の評価が対象であり、実使用機のように複合体になると、コアと一体化されているため測定及び精度の点から不可能である。
同様に他の従来法2,3についてもそれぞれ問題を有し、これらを纏めると次のようになる。
(1)現状における劣化診断は図14で示すよう、巻線のスロットル部の吸湿、空隙(剥離、ボイド)等を劣化現象との相関関係による電気的非破壊試験により把握する方法で、直接に絶縁材料の熱劣化度を把握することができない。
(2)巻線を機械的に固定、支持する絶縁材料(スロットル部の楔、コイルエンド部の支持物、間隔片等)の劣化度の把握ができない。
(3)また、図15で例示すように、IEC.pub216による耐熱性評価方法は存在するが、この方法では破壊試験、重量減少の試験項目となるため実機の巻線には直接適用できない。
前記電気機器の絶縁層を削って試料を採取し、この採取試料をTG−DTAによる分析結果を求めると共に、この分析結果の1次重量減少カーブの中間温度と診断対象材料のIEC.pub.216に準拠して算出した重量減少率マスターカーブを照らし合わせ、予め作成した判断基準表から熱劣化度を判断することを特徴としたものである。
前記電気機器の絶縁層を削って試料を採取し、この採取試料をTG−DTAによる分析結果を求めると共に、この分析結果の全重量減少率と診断対象材料のIEC.pub.216に準拠して算出した重量減少率マスターカーブを照らし合わせ、予め作成した判断基準表から熱劣化度を判断することを特徴としたものである。
前記電気機器の絶縁層を削って試料を採取し、この採取試料をTG−DTAによる分析結果を求めると共に、この分析結果の発熱ピーク温度と診断対象材料のIEC.pub.216に準拠して算出した重量減少率マスターカーブを照らし合わせ、予め作成した判断基準表から熱劣化度を判断することを特徴としたものである。
熱劣化度診断時に電気機器の絶縁層を削って試料を採取し、この試料のTG−DTAによる分析結果と診断対象材料のIEC.pub.216に準拠して算出した重量減少率率マスターカーブを照らし合わせ、予め作成した判断基準表から熱劣化度を判断すると共に、前記削りとった部位の絶縁層に室温硬化タイプの樹脂にて補修し、電気機器の運転を継続することを特徴としたものである。
また、採取試料をTG−DTAによる分析結果を求めると共に、この分析結果の1次重量減少カーブの中間温度か全重量減少カーブ、若しくは発熱ピーク温度と診断対象材料のIEC.pub.216に準拠して算出した重量減少率マスターカーブを照らし合わせ、予め作成した判断基準表から熱劣化度を判断することから、精度よく絶縁劣化度の把握ができるものである。
更には、診断に使用する分析装置としてTG−DTAを用いたことにより、減量比もしくは発熱ピークより材料の種類を選ばず、かつ操作性がよく絶縁劣化診断が可能となるものである。
なお、吸光度比率は、フーリエ変換赤外分光分析装置(FT−IR)を用い、吸収ピーク温度は、示差走査熱量分析装置(DSC)を用いた。また、材料単品としては、ポリエステル樹脂を対象とした。
以下具体的な実施例について説明する。
次に、サンプル調整されたこの試料をTG−DTAによって分析測定した。図5がTG−DTA分析結果図で、分析結果とTG−DTAと材料単品で実施した加熱劣化重量減少曲線とのマスターカーブとを照らし合わせ、図4で示す予め作成された自主判断基準より熱劣化度を把握する。
また、分析結果の重量減少率が2.5〜5.0%であれば熱劣化度は中程度であり、回転機は運転可能ではあるが要注意状態であると判断する。更に、分析結果の重量減少率が5.0%以上の場合には、熱劣化度は大きく更新の必要性があると判断される。
図2がその関係図で、熱劣化度とTG−DTAの全重量減少率を表したものである。この実施例においても、重量減少率が2.5%以下であれば熱劣化度は小さく、回転機としては運転可能状態とする。
また、分析結果の重量減少率が2.5〜5.0%であれば熱劣化度は中程度であり、回転機は運転可能ではあるが要注意状態であると判断する。更に、分析結果の重量減少率が5.0%以上の場合には、熱劣化度は大きく更新の必要性があると判断される。
図3はその熱劣化度とTG−DTAの発熱ピーク温度図である。縦軸である発熱ピーク温度は、図5におけるTG−DTA分析結果の385〜410℃をとったもので、この実施例においても図4の判断基準をもとに判断される。すなわち、
重量減少率が2.5%以下であれば熱劣化度は小さく、回転機としては運転可能状態とする。
また、分析結果の重量減少率が2.5〜5.0%であれば熱劣化度は中程度であり、回転機は運転可能ではあるが要注意状態であると判断する。更に、分析結果の重量減少率が5.0%以上の場合には、熱劣化度は大きく更新の必要性があると判断される。
図9はレジンの分析指標と劣化度の関係を示したもので、試料Aがポリエステル樹脂、Bがエポキシ樹脂である。また、〇印しが相関性有り、×印しは相関性無しを示しており、分析装置としてTG−DTAを使用すると他の分析法装置であるFT−IR、DSCと比較して重量減量比もしくは発熱ピーク温度より試料(材料)の種類を選ばないことから絶縁劣化診断に適していることが解る。
図10はポリエステル樹脂の劣化度・重量減少率と分析減量比の関係図で、両者には一定の相関性が認められ、減量比が劣化度の指標として有効であることが解る。
上記した検証の結果、TG−DTAを用いた材料分析法は、熱劣化度を把握するのに有効な手法であることが解った。
FT−IR…フーリエ変換赤外分光分析装置
DSC…示差走査熱量分析装置
BDV…実機破壊試験
A…ポリエステル樹脂
B…エポキシ樹脂
Claims (7)
- 電気機器絶縁層の熱劣化度を診断するものにおいて、
前記電気機器の絶縁層を削って試料を採取し、この採取試料をTG−DTAによる分析結果を求めると共に、この分析結果の1次重量減少カーブの中間温度と診断対象材料のIEC.pub.216に準拠して算出した重量減少率マスターカーブを照らし合わせ、予め作成した判断基準表から熱劣化度を判断することを特徴とした電気機器の絶縁劣化診断方法。 - 電気機器絶縁層の熱劣化度を診断するものにおいて、
前記電気機器の絶縁層を削って試料を採取し、この採取試料をTG−DTAによる分析結果を求めると共に、この分析結果の全重量減少率と診断対象材料のIEC.pub.216に準拠して算出した重量減少率マスターカーブを照らし合わせ、予め作成した判断基準表から熱劣化度を判断することを特徴とした電気機器の絶縁劣化診断方法。 - 電気機器絶縁層の熱劣化度を診断するものにおいて、
前記電気機器の絶縁層を削って試料を採取し、この採取試料をTG−DTAによる分析結果を求めると共に、この分析結果の発熱ピーク温度と診断対象材料のIEC.pub.216に準拠して算出した重量減少率マスターカーブを照らし合わせ、予め作成した判断基準表から熱劣化度を判断することを特徴とした電気機器の絶縁劣化診断方法。 - 前記絶縁層における診断対象材料は、ポリエステル樹脂若しくはエポキシ樹脂であることを特徴とした請求項1乃至3記載の電気機器の絶縁劣化診断方法。
- 前記電気機器における診断対象は、回転機の巻線であることを特徴とした請求項1乃至4記載の電気機器の絶縁劣化診断方法。
- 前記絶縁層の削り落とし試料重量は、略100mg近傍であることを特徴とした請求項1乃至5記載の電気機器の絶縁劣化診断方法。
- 電気機器絶縁層の熱劣化度を診断するものにおいて、
熱劣化度診断時に電気機器の絶縁層を削って試料を採取し、この試料のTG−DTAによる分析結果と診断対象材料のIEC.pub.216に準拠して算出した重量減少率率マスターカーブを照らし合わせ、予め作成した判断基準表から熱劣化度を判断すると共に、前記削りとった部位の絶縁層に室温硬化タイプの樹脂にて補修し、電気機器の運転を継続することを特徴とした絶縁劣化診断後の電気機器運転方法。
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