JP2005263950A - ポリアミドの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ポリアミドの溶融重合において、重合の圧力・温度条件の切り換え、および重合反応終了点の判断を行うに際し、溶融重合中のポリアミドの重合レベルを速やかに判定する方法を提供する。
【解決手段】キシリレンジアミンを主成分とするジアミンモノマーと、炭素数6〜12の脂肪族ジカルボン酸を主成分とするジカルボン酸モノマーとを原料とした溶融重合法によるポリアミドの製造方法であって、重合工程における反応内容物に近赤外光を照射し、特定範囲内の一つの波長における吸光度を測定することによって、溶融重合中のポリアミドの重合レベルを判定し、当該判定結果に基づいて重合工程の圧力・温度条件の切り換えおよび/または重合反応終了点の判断を行うことを特徴とするポリアミドの製造方法。
【選択図】 無
【解決手段】キシリレンジアミンを主成分とするジアミンモノマーと、炭素数6〜12の脂肪族ジカルボン酸を主成分とするジカルボン酸モノマーとを原料とした溶融重合法によるポリアミドの製造方法であって、重合工程における反応内容物に近赤外光を照射し、特定範囲内の一つの波長における吸光度を測定することによって、溶融重合中のポリアミドの重合レベルを判定し、当該判定結果に基づいて重合工程の圧力・温度条件の切り換えおよび/または重合反応終了点の判断を行うことを特徴とするポリアミドの製造方法。
【選択図】 無
Description
本発明は、成形材料や包装材料として有用なポリアミドを溶融重合により製造する方法に関する。更に詳しくは、ポリアミドを溶融重合法により製造する方法において、重合工程における反応内容物の性状を迅速に測定し、それらの制御を自動的かつ速やかに行うことにより、所望のポリアミドを高効率かつ安定した品質で得られる製造方法に関する。
通常、ポリアミドはモノマーであるジアミンとジカルボン酸の脱水重縮合により製造され、ポリアミドの融点以上の反応温度にて重合させる溶融重合法が一般的な製造方法である。この製造方法ではモル比や反応時間などの反応条件を設定値に保ち、常に均一で安定した品質のポリアミドを製造することが重要である。従って、モル比、反応時間、反応温度および反応圧力などの反応条件を一定に維持する等の種々の方法が採られている。
しかしながら、上記反応条件が装置の特性、内部要因および外部要因に由来する変動を受けるため、これらを常に設定値に維持することは一般的に困難であり、ポリアミドの重合工程においてモル比、分子量、相対粘度などポリアミドの諸物性等のいくつかを経時的に測定することで重合を制御すると共に、工程の圧力・温度条件の切り換え、反応終了点の判断を行っている。
これまで、重合工程におけるポリアミドの物性は幾つかの異なった分析方法により測定されていた。例えば、数平均分子量は、まずポリアミドを特定の溶媒に溶解させ、カルボキシル末端基濃度とアミノ末端基濃度を中和滴定により求めた後、これら分析値を用いて算出される。また相対粘度は、ポリアミドを濃硫酸に溶解させ、粘度計を用いて溶液の落下秒数を濃硫酸のみの落下秒数と比較することで求められる。
このような分析方法を用いて重合工程におけるポリアミドの物性を経時的に測定するためには、溶融重合装置からのサンプリングが不可欠であるが、サンプリングに要する時間がかかることやサンプリング点数の複数化、加えてサンプリング作業自体が重合工程に対する外乱要因の一つになるため、あまり好ましい方法ではなかった。しかも、サンプリングから物性値の分析結果が判明するまで通常2〜4時間以上の時間が必要であるため、現実的にはリアルタイムでポリアミドの物性を測定することは不可能であり、重合の制御を迅速に実施することはできなかった。
近年、ポリアミド等の重合の際に、近赤外分光分析計を用いてポリマーの諸物性をオンラインで測定する方法が提案されている。近赤外光は紫外光や赤外光と比較して透過性に優れているため、非破壊分析やリアルタイム分析に非常に適している。これまでは、光源の安定性、分光システム、検出器およびスペクトルを解析するコンピュータのハード面、ソフト面で問題点が多く、実用化されるまでには至っていなかったが、技術の発展に伴いこれら多くの問題が解決されたため近赤外分光分析計が市販されるようになった。
近赤外分光分析法は慣行分析法で得られた成分分析値や物性値と、この固有な近赤外吸収スペクトルとの間で複数の波長の吸光度を用いた多変量解析法により関係式(検量線)を求めて、慣行分析法の測定値を推定する分析法である。したがって近赤外分光分析法を定量分析計として利用する場合には、まず複数サンプルから近赤外吸収スペクトルを採取し、これら近赤外吸収スペクトルは必要に応じて2点補正、1次微分、2次微分等の補正を行う。同サンプルにて慣行分析法による定量を行い、近赤外吸収スペクトルと慣行分析値とを定量多重線形回帰法、あるいは部分最小自乗法などの多変量解析を用い、解析して検量線を作成する。多変量解析には市販されているケモメトリクス(化学向け多変量解析)のソフトウェアを使用することができる。測定成分に対する近赤外分光分析の有効性を判断するためには、分析対象成分に対し偏りがないサンプルを少なくとも10種類以上用意する必要がある。さらに実際、近赤外分光分析法を定量分析計として利用する場合には、測定する性状にもよるが、一般に30〜50種類程度の多数のサンプルを必要とする。
このように近赤外分光分析法を定量分析計として用いる場合には、検量線を作成するために数多くのサンプル数を必要とするため、多大な時間と労力を要する。さらに検量線を作成する際、測定成分の特徴が現れる波長域の選定やケモメトリクスソフトを使用しての解析等、近赤外分光分析法への充分な知識と経験を要する作業が伴うため、分析計としての導入が難しく、近赤外分光分析計の簡便な取扱法が望まれている。
近赤外分光分析計を用いてアミド溶媒と芳香族ポリアミドポリマーとからなる溶液の濃度を測定し、溶液中の溶媒の量を制御する方法がある(例えば特許文献1参照)。しかしながら、当該重合方法は溶液重合法であり、溶融重合法における測定については何ら明らかにされていない。しかも、測定項目は溶液中のポリマー濃度であり、ポリアミド自体の物性を測定することに関しては何ら記述がない。
近赤外分光分析計を用いて連続溶融重合におけるポリアミドの製造方法がある(例えば特許文献2参照)。当該方法にはカルボキシル末端基濃度とアミノ末端基濃度を測定し、ジアミンの注入量を制御することでカルボキシル末端基濃度とアミノ末端基濃度の比を制御することにより目的のポリアミドに制御し、反応装置内の固形分の形成を防止している。しかし、本公報の具体例としては、アジピン酸とヘキサメチレンジアミンからのポリアミドを製造する場合の近赤外分光分析計による測定に限定され、他のジアミン、例えばキシリレンジアミンを用いた場合の近赤外分光分析計による測定について何ら明らかにされていない。
また、当該公報において開示されているのは、近赤外分光分析計を用いて特定の多段式反応器における連続溶融重合方法であり、回分式溶融重合の場合について何ら記述がない。しかも、末端基以外の物性、例えばモル比、分子量、相対粘度、溶融粘度など直接近赤外分光分析計を用いて測定することに関しても何ら明らかにされてはいない。
近赤外分光分析計を用いて溶融重合におけるアジピン酸とキシリレンジアミンからのポリアミドのモル比、分子量等の液性状を直接計測することで反応中のモル比、あるいは分子量を制御する製造方法がある(例えば特許文献3参照)。本公報の実施例では、合計26点のサンプルセットを検量線作成用サンプルとし、複数回の解析を繰り返した上で検量線を作成することが記載されている。また、測定試料、および成分分析項目や物性に応じた特徴的なスペクトル波長、および波長域については何ら記述がされていない。
特表平10−504390号公報
特表平10−509760号公報
特開2002−194079号公報
本発明は、ポリアミドの溶融重合において、重合の圧力・温度条件の切り換え、および重合反応終了点の判断を行うに際し、溶融重合中のポリアミドの重合レベルを速やかに判定する方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、溶融重合にてポリアミドを製造する際に、溶融重合中の反応内容物の近赤外スペクトルを測定し、特徴的なスペクトル波長の吸光度を測定することによって容易にポリアミドの重合レベルを判定できることを見いだし、本発明を完成させた。
即ち本発明は、キシリレンジアミンを80モル%以上含むジアミンモノマーと、炭素数6〜12の脂肪族ジカルボン酸を80モル%以上含むジカルボン酸モノマーとを原料とした溶融重合法によるポリアミドの製造方法であって、重合工程における反応内容物に近赤外光を照射し、1000nm〜1800nmの範囲内の一つの波長における吸光度を測定することによって、溶融重合中のポリアミドの重合レベルを判定し、当該判定結果に基づいて重合工程の圧力・温度条件の切り換えおよび/または重合反応終了点の判断を行うことを特徴とするポリアミドの製造方法である。
即ち本発明は、キシリレンジアミンを80モル%以上含むジアミンモノマーと、炭素数6〜12の脂肪族ジカルボン酸を80モル%以上含むジカルボン酸モノマーとを原料とした溶融重合法によるポリアミドの製造方法であって、重合工程における反応内容物に近赤外光を照射し、1000nm〜1800nmの範囲内の一つの波長における吸光度を測定することによって、溶融重合中のポリアミドの重合レベルを判定し、当該判定結果に基づいて重合工程の圧力・温度条件の切り換えおよび/または重合反応終了点の判断を行うことを特徴とするポリアミドの製造方法である。
溶融重合にてポリアミドを製造する際に、重合工程における反応内容物の性状を測定するのに際し、反応内容物に近赤外光を照射し、特定の一つの波長における吸光度を測定することによってポリアミドの重合レベルの判定が可能になり、内的・外的因子に左右されることなく系内の状態を直ちに把握することができ、重合制御を自動的かつ速やかに行うことができる。
以下に本発明を詳しく説明する。本発明におけるポリアミドの原料であるジアミンモノマーはキシリレンジアミンを80モル%以上含む。キシリレンジアミンはメタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミンおよびオルソキシリレンジアミンを挙げることができ、これらの一種もしくは二種以上を含むものであってもよいが、これらの中でもメタキシリレンジアミンを70モル%以上含むキシリレンジアミンが、得られたポリアミドを使用して成形材料又は包装材料を得る上で特に好ましい。
ジアミンモノマーとして、キシリレンジアミン以外に用いられるものは、特に限定されないが、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、オルソフェニレンジアミン、メタフェニレンジアミン、パラフェニレンジアミン、1,2−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,3−ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、1,4−ビス(アミノメチル)シクロヘキサンなどのジアミンが例示できる。
本発明におけるポリアミドの原料であるジカルボン酸モノマーは、炭素数6〜12の脂肪族ジカルボン酸を80モル%以上含む。炭素数6〜12の脂肪族ジカルボン酸としては、具体的には、アジピン酸、スベリン酸、ドデカン酸、エイコジオン酸等のジカルボン酸が例示できるが、これらの中でもアジピン酸が、得られたポリアミドを使用して成形材料又は包装材料を得る上で特に好ましい。ジカルボン酸モノマーとして、炭素数6〜12の脂肪族ジカルボン酸以外に用いられるものは特に限定されないが、イソフタル酸、テレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などのジカルボン酸を挙げることができる。
また、本発明の効果を損なわない範囲で、原料モノマーとして、カプロラクタム、バレロラクタム、ラウロラクタム、ウンデカラクタムなどのラクタム;1,1−アミノウンデカン酸、1,2−アミノドデカン酸などのアミノカルボン酸が使用できる。また、ポリアミドの重縮合時に分子量調節剤として少量のモノアミン、モノカルボン酸を加えてもよい。
本発明における溶融重合装置は特に制限がなく、重合装置として用いることができる構造を有するものであれば何でも良いが、重合工程後期における重合を効率的に進行させるため減圧条件下で重合を行う場合には耐圧設計された重合装置を用いることが望ましい。
本発明における溶融重合法は公知の方法で行うことができる。すなわち、回分式重合装置を使用してナイロン塩水溶液を加圧条件下で加熱して重合させる方法、溶融したジカルボン酸モノマーにジアミンモノマーを滴下して重合させる方法、またはジカルボン酸過剰プレポリマーとジアミン過剰プレポリマーを混合して重合させる方法などが例として挙げられ、連続式重合装置を使用して、ナイロン塩水溶液を加圧条件下で加熱して重合させる方法、またはジアミンモノマーとジカルボン酸モノマーとを連続的に供給する方法が例示できるが、本発明はこれらに限定されるものではなく、回分式重合装置と連続式重合装置を組み合われて使用することもできる。本発明において、上記回分式重合装置、および連続式重合装置を使用した場合も溶融重合を無溶媒下または溶媒存在下いずれも場合でも可能であるが、無溶媒下で行うのが、反応を制御する上で望ましい。
溶融重合法はポリアミドの融点以上の反応温度で行われるが、ポリアミドの特性として熱劣化による着色を受けやすいためあまり高すぎる温度は好ましくなく、通常170〜290℃の温度域から選択される反応温度にて行われる。反応時間はポリアミドが目的とする分子量に到達するように設定されるが、170〜290℃の反応温度域においては少なくとも30分以上が望ましい。
溶融重合中における重合反応の促進と劣化の抑制のため、ポリアミドにリン化合物を添加することも出来る。リン化合物としては、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、及びこれらの塩またはエステル化合物を使用できる。リン酸塩としては、リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸マンガン、リン酸ニッケル、リン酸コバルトなどを例示でき、リン酸エステルとしては、リン酸メチルエステル、リン酸エチルエステル、リン酸イソプロピルエステル、リン酸ブチルエステル、リン酸ヘキシルエステル、リン酸イソデシルエステル、リン酸デシルエステル、リン酸ステアリルエステル、リン酸フェニルエステルなどが例示できる。亜リン酸塩としては、亜リン酸カリウム、亜リン酸ナトリウム、亜リン酸カルシウム、亜リン酸マグネシウム、亜リン酸マンガン、亜リン酸ニッケル、亜リン酸コバルトなどを例示でき、亜リン酸エステルとしては、亜リン酸メチルエステル、亜リン酸エチルエステル、亜リン酸イソプロピルエステル、亜リン酸ブチルエステル、亜リン酸ヘキシルエステル、亜リン酸イソデシルエステル、亜リン酸デシルエステル、亜リン酸ステアリルエステル、亜リン酸フェニルエステルなどが例示できる。次亜リン酸塩としては、次亜リン酸カリウム、次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カルシウム、次亜リン酸マグネシウム、次亜リン酸マンガン、次亜リン酸ニッケル、次亜リン酸コバルトなどを例示できる。これらのリン化合物は単独、または組み合わせて用いてもよい。
上記リン化合物の添加方法は、ポリアミドの原料であるナイロン塩水溶液に添加する方法、ジアミンモノマーもしくはジカルボン酸モノマーに添加する方法、溶融重合中に添加する方法などが挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明においては、上記のような重合工程において反応内容物に近赤外光を照射し、特定の一つの波長における吸光度を測定することによって容易に溶融重合中のポリアミドの重合レベル(目標とするポリアミドの数平均分子量に対する、測定時点での分子量の到達レベル)を判定することができる。即ち、該吸光度の測定値とポリアミドの数平均分子量との間に良好な相関関係があり、吸光度を測定することにより、ポリアミドの重合レベルを判定でき、当該判定結果に基づいて重合工程の圧力・温度条件の切り換え、および重合反応終了点の判断ができる。測定波長は、1000nm〜1800nmの範囲内の一つの波長が好ましく、1050nm〜1620nmの範囲内の一つの波長がより好ましく、1408nmが特に好ましい。
本発明において、前記吸光度を測定するには近赤外分光分析計等の赤外分光分析計を用いることが好ましい。用いる赤外分光分析計は、1000nm〜1800nmの範囲にてスペクトルを測定でき、かつ測定したスペクトルを多変量解析できる解析装置を有しているものであれば特に制限はない。解析装置は赤外分光分析計に内蔵されていても良いし、オンラインで接続されていれば遠隔にあってもよい。また分光方法は特に制限がなく、回折格子を用いる方法、フーリエ変換を用いる方法、音響光学分光を用いる方法が例として挙げられる。また、ノイズレベルに関しては80×10−6Abs(絶対値)以下であることが好ましく、それを越える場合では測定精度が低下する可能性がある。
重合工程の適宜な場所には近赤外光を反応内容物に照射するプローブやセルなどの測定端子が設置される。測定端子の設置方法は特に制限されないが、溶融重合装置の内部に直接測定端子を設置する方法、溶融重合装置に外部循環用バイパスを設け、そこに測定端子を設置する方法などを例として挙げることができる。
測定端子と赤外分光分析計の接続方法に制限はないが、例えば、光ファイバーで接続されており、近赤外光は光ファイバーを通じて溶融状態のポリアミドに照射され、透過した光は光ファイバーを通じて検出器に導かれる例が挙げられる。これにより、近赤外光のエネルギーロスを抑制することが可能であると共に、赤外分光分析計本体を測定端子から離れた位置に設置できるため遠隔操作が可能となる。上記方法により得られた近赤外スペクトルは解析装置にて多変量解析され、ポリアミドの重合レベルがリアルタイムで判定できる。このようにして重合工程におけるポリアミドの重合レベルをリアルタイムかつオンラインで把握できるため、種々の外乱要因にて変動する反応条件に対して迅速に対応することが可能となる。
赤外分光分析計により得られる溶融重合中のポリアミドの近赤外吸収スペクトルは、測定端子の僅かな設置状態の変化やポリアミドの温度変化等の影響でベースラインにバラツキを生じることがある。このベースラインのバラツキを補正する手段として近赤外吸収スペクトルの2点補正や1次微分、2次微分等、数種の方法がある。本発明で実施するにあたりベースラインを補正する方法は、測定波長1408nmの場合を例にとれば、近赤外吸収スペクトルに対し1090nmの1点、もしくは近赤外吸収スペクトルに対し1300nmと1600nmの2点でベースラインを補正しバラツキを解消することが挙げられる。しかし上記に例示した補正方法に限定されるものではなく、測定波長における吸光度の値が変わるだけで他の補正方法を利用しても構わない。
本発明において、赤外分光分析計により得られる溶融重合中のポリアミドの、特定の一つの波長における吸光度を観測することにより、作成に多大な時間と労力を要する検量線を必要とせず、ポリアミドの重合レベルの判定を行うことができる。さらに検量線の作成する必要がないため、近赤外分光分析法への充分な知識と経験を要することなく、簡便に赤外分光分析計を取り扱うことができる。
さらに上記赤外分光分析計を用いて溶融重合におけるポリアミドの重合レベルの判定を行うことにより、例えば圧力条件の誤操作による発泡といった内的変動を防止することができ、重合工程の条件変更を間違えることなく行うことができる。さらにポリアミドの重合レベルをリアルタイムに判定することで、機器不良等の外的変動が生じた場合においても、ポリアミドが所望の重合度に到達したかどうかの判断が可能になる。
本発明は、溶融重合により得られるポリアミドの数平均分子量が6,000〜30,000の範囲のものを得る場合に特に効果を認めることができる。近赤外分光分析を用いることにより重合度の制御を迅速かつ容易に行うことができる。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。なお、本発明における評価のための測定および分析は以下の方法で行った。
(イ)近赤外スペクトル
測定には、ユーオーピー ガイデッド ウェーブ社( UOP GUIDED WAVE)製近赤外分光分析計「モデル(Model)412」を用いた。また測定端子には、同社製、「シングル−サイデッド トランスミッション ( Single-Sided Transmission )(SST)プローブ」を用いた。測定端子の光路長は10mmとし、近赤外分光分析計と測定端子を光ファイバーで接続し、測定端子を溶融重合装置に挿入してスキャン回数9回にて近赤外スペクトルを測定した。
測定には、ユーオーピー ガイデッド ウェーブ社( UOP GUIDED WAVE)製近赤外分光分析計「モデル(Model)412」を用いた。また測定端子には、同社製、「シングル−サイデッド トランスミッション ( Single-Sided Transmission )(SST)プローブ」を用いた。測定端子の光路長は10mmとし、近赤外分光分析計と測定端子を光ファイバーで接続し、測定端子を溶融重合装置に挿入してスキャン回数9回にて近赤外スペクトルを測定した。
(ロ)アミノ末端基濃度
ポリアミド0.3〜0.5gを精秤し、フェノール/エタノール混合溶液(混合容積比4:1)30mlに室温で撹拌溶解した。完全に溶解したあと撹拌しつつ0.01モル/L塩酸水溶液で中和滴定して求めた。
ポリアミド0.3〜0.5gを精秤し、フェノール/エタノール混合溶液(混合容積比4:1)30mlに室温で撹拌溶解した。完全に溶解したあと撹拌しつつ0.01モル/L塩酸水溶液で中和滴定して求めた。
(ハ)カルボキシル末端基濃度
ポリアミド0.3〜0.5gを精秤し、ベンジルアルコール30mlに窒素気流下、160〜180℃で撹拌溶解した。完全に溶解したあと、窒素気流下で80℃まで冷却し、撹拌しつつメタノールを10ml加え、0.01モル/L水酸化ナトリウム水溶液で中和滴定して求めた。
ポリアミド0.3〜0.5gを精秤し、ベンジルアルコール30mlに窒素気流下、160〜180℃で撹拌溶解した。完全に溶解したあと、窒素気流下で80℃まで冷却し、撹拌しつつメタノールを10ml加え、0.01モル/L水酸化ナトリウム水溶液で中和滴定して求めた。
(ニ)数平均分子量
アミノ末端基およびカルボキシル末端基の滴定定量値から次式により求めた。
数平均分子量=2/([NH2]+[COOH])
但し、[NH2]はアミノ末端基濃度、[COOH]はカルボキシル末端基濃度を表し、単位はμeq/gである。
アミノ末端基およびカルボキシル末端基の滴定定量値から次式により求めた。
数平均分子量=2/([NH2]+[COOH])
但し、[NH2]はアミノ末端基濃度、[COOH]はカルボキシル末端基濃度を表し、単位はμeq/gである。
(実施例1)
回分式溶融重合装置にて、加熱溶融したアジピン酸にメタキシリレンジアミンを滴下させ、ポリメタキシリレンアジパミドの重合反応を行った(重合終了時のポリアミドの数平均分子量の目標値=15,500)。重合反応中には随時、反応内容物に近赤外光を照射し近赤外スペクトルを測定し(1090nmでベースライン補正した。スペクトル測定時の反応内容物の温度を255±2℃とした。)、予め求めておいた、1408nmにおける吸光度と既知分析法(滴定分析法)より求めた化学分析値(数平均分子量)との相関式(検量線)を利用してポリアミドの重合終了判定を行った。吸光度が測定温度(255℃)における分子量目標値に相当する値(0.316)になった時点で重合反応を終了するとともに、反応内容物のサンプリングを行った。得られたサンプルのアミノ末端基濃度、カルボキシル末端基濃度を滴定分析で求め、この滴定定量値より数平均分子量を算出した。このようにして未知試料(ポリアミド)の重合終了判定を20回行ったところ、得られたポリアミドの数平均分子量は、目標値15,500に対して、±500の幅であった。尚、図1に本実施例で使用した検量線を示す。
回分式溶融重合装置にて、加熱溶融したアジピン酸にメタキシリレンジアミンを滴下させ、ポリメタキシリレンアジパミドの重合反応を行った(重合終了時のポリアミドの数平均分子量の目標値=15,500)。重合反応中には随時、反応内容物に近赤外光を照射し近赤外スペクトルを測定し(1090nmでベースライン補正した。スペクトル測定時の反応内容物の温度を255±2℃とした。)、予め求めておいた、1408nmにおける吸光度と既知分析法(滴定分析法)より求めた化学分析値(数平均分子量)との相関式(検量線)を利用してポリアミドの重合終了判定を行った。吸光度が測定温度(255℃)における分子量目標値に相当する値(0.316)になった時点で重合反応を終了するとともに、反応内容物のサンプリングを行った。得られたサンプルのアミノ末端基濃度、カルボキシル末端基濃度を滴定分析で求め、この滴定定量値より数平均分子量を算出した。このようにして未知試料(ポリアミド)の重合終了判定を20回行ったところ、得られたポリアミドの数平均分子量は、目標値15,500に対して、±500の幅であった。尚、図1に本実施例で使用した検量線を示す。
本発明で得られるポリアミドは優れた特性を有し、成型品、フィルム、シート、繊維など幅広い分野に用いられる。
Claims (5)
- キシリレンジアミンを80モル%以上含むジアミンモノマーと、炭素数6〜12の脂肪族ジカルボン酸を80モル%以上含むジカルボン酸モノマーとを原料とした溶融重合法によるポリアミドの製造方法であって、重合工程における反応内容物に近赤外光を照射し、1000nm〜1800nmの範囲内の一つの波長における吸光度を測定することによって、溶融重合中のポリアミドの重合レベルを判定し、当該判定結果に基づいて重合工程の圧力・温度条件の切り換えおよび/または重合反応終了点の判断を行うことを特徴とするポリアミドの製造方法。
- 測定波長が1050nm〜1620nmの範囲内の一つの波長である請求項1記載のポリアミドの製造方法。
- 測定波長が1408nmである請求項1記載のポリアミドの製造方法。
- キシリレンジアミンの70モル%以上がメタキシリレンジアミンである請求項1記載のポリアミドの製造方法。
- 炭素数6〜12の脂肪族ジカルボン酸がアジピン酸である請求項1記載のポリアミドの製造方法。
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JP2015516560A (ja) * | 2012-02-24 | 2015-06-11 | ソルベイ スペシャルティ ポリマーズ ユーエスエー, エルエルシー | ソーラーパネルのための骨組構造物 |
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2004
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JP2015516560A (ja) * | 2012-02-24 | 2015-06-11 | ソルベイ スペシャルティ ポリマーズ ユーエスエー, エルエルシー | ソーラーパネルのための骨組構造物 |
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