JP2005253381A - 酵素固定化用坦体及びそれを用いた固定化酵素 - Google Patents
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Abstract
【課題】 酵素固定化のための両親媒性官能基の導入量が多く、多量に酵素を固定化することができ、坦体に坦持された酵素が有機溶媒中でも高い触媒活性を有する固定化酵素を提供することにある。
【解決手段】 アゾ基を有する高分子粒子に、アゾ基を重合開始基として両親媒性官能基を有するモノマーがグラフト状に結合した酵素固定用坦体を提供する。また本発明の、アゾ基により高分子粒子に導入された両親媒性官能基を有する固定酵素化用坦体に固定化された固定化酵素を提供する。
【選択図】 なし
【解決手段】 アゾ基を有する高分子粒子に、アゾ基を重合開始基として両親媒性官能基を有するモノマーがグラフト状に結合した酵素固定用坦体を提供する。また本発明の、アゾ基により高分子粒子に導入された両親媒性官能基を有する固定酵素化用坦体に固定化された固定化酵素を提供する。
【選択図】 なし
Description
本発明は酵素固定化用坦体及び該坦体により固定化された固定化酵素に関する。
生体触媒である酵素を利用した反応は、酵素の高い基質特異性を利用した反応であることから目的物を効率よく製造でき、温和な条件下の反応であるため使用エネルギーが少ないといった優れた方法である。例えば、エステル化反応を触媒できる酵素としてはリパーゼが一般的に知られている(例えば、非特許文献1、非特許文献2参照。)。しかしながらエステル交換反応は有機溶媒中での反応であることから、水溶性のリパーゼでは分散しにくく、回収が困難であり、酵素の失活および活性が低いといった問題がある。
酵素の固定化に関し、以下のことが知られている。
1)有機溶媒中で酵素のエステル交換活性を高めるためは、高分子の固定化担体に官能基として高級脂肪酸のアシル基や両親媒性官能基である2-[p-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノキシポリエトキシ]エチル基が有効であることが知られている(例えば非特許文献3)。
2)酵素の高分子への有用な固定化方法として、高級脂肪酸のアシル基をグラフト状に配置した高分子を合成してリパーゼを固定化し、グラフト状に配置しない高分子に比較してヘキサン中での安定性を1.5倍に高めた例が知られている(例えば非特許文献4)。
3)官能基(2-[p-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノキシポリエトキシ]エチル基)のポリエトキシ基の重合度が3〜5である場合に有機溶媒中のエステル交換活性が高くなることを見出した(例えば非特許文献5)。
しかし、高分子粒子に上記官能基を効率的に導入することが難しいため、官能基の高分子粒子への導入量が低く、そのため酵素の固定化量も少ないという問題のため、有機溶媒中でも安定で活性が高い酵素の固定化用担体の開発が依然として望まれていた。
1)有機溶媒中で酵素のエステル交換活性を高めるためは、高分子の固定化担体に官能基として高級脂肪酸のアシル基や両親媒性官能基である2-[p-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノキシポリエトキシ]エチル基が有効であることが知られている(例えば非特許文献3)。
2)酵素の高分子への有用な固定化方法として、高級脂肪酸のアシル基をグラフト状に配置した高分子を合成してリパーゼを固定化し、グラフト状に配置しない高分子に比較してヘキサン中での安定性を1.5倍に高めた例が知られている(例えば非特許文献4)。
3)官能基(2-[p-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノキシポリエトキシ]エチル基)のポリエトキシ基の重合度が3〜5である場合に有機溶媒中のエステル交換活性が高くなることを見出した(例えば非特許文献5)。
しかし、高分子粒子に上記官能基を効率的に導入することが難しいため、官能基の高分子粒子への導入量が低く、そのため酵素の固定化量も少ないという問題のため、有機溶媒中でも安定で活性が高い酵素の固定化用担体の開発が依然として望まれていた。
POBERTLORTIE,Biotechonology Advance, Vol.15,No.1,pp.1−15,1997
Ernst Wehtje and Patrick Adlercreutz, Biotechology Letters,Vol.11,No.6,June 1997,pp.537−540
M.Yasuda et. al.,J.Biosci.Bioeng.,90,681(2000)
渡辺真司;大阪府立大学卒業論文集(2002)
M.Yaauda et.al.,J.Chem.Eng.Japan,35,519(2002)
本発明は酵素固定化のための両親媒性官能基の導入量が多く、多量に酵素を固定化することができる酵素固定化用坦体を提供すること、及び坦体に坦持された酵素が有機溶媒中でも高い触媒活性を有する固定化酵素を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討の結果、高分子粒子に重合開始基としてアゾ基を導入し、アゾ基に両親媒性官能基を有するモノマーをグラフト重合させることにより、両親媒性官能基を有するモノマーが高分子粒子に多量にグラフト状に結合した酵素固定化坦体を得ることが出来ることを見いだし、本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、アゾ基を有する高分子粒子に、アゾ基を重合開始基として両親媒性官能基を有するモノマーがグラフト状に結合した酵素固定用坦体を提供する。
また本発明の固定酵素化用坦体に固定化された固定化酵素を提供する。
また本発明の固定酵素化用坦体に固定化された固定化酵素を提供する。
本発明により得られた固定化坦体は高密度で酵素固定化することができ、得られた固定化酵素は有機溶媒中での活性の低下が少ないことから種々の有機溶剤中の反応の触媒として有用である。
以下本発明を詳細に説明する。
本発明は、高分子粒子が有するアゾ基により両親媒性官能基を有するモノマーをグラフト重合させて得られる、高分子粒子に両親媒性官能基を有するモノマーがグラフト状に結合された酵素固定用坦体を提供する。
本発明は、高分子粒子が有するアゾ基により両親媒性官能基を有するモノマーをグラフト重合させて得られる、高分子粒子に両親媒性官能基を有するモノマーがグラフト状に結合された酵素固定用坦体を提供する。
(高分子粒子)
本発明で使用される高分子粒子は、ポリスチレン、ポリスチレンと架橋性モノマーとの共重合体、ポリメタクリル酸メチル、及びポリメタクリル酸メチルと架橋性モノマーの共重合体からなる群から少なくとも一つ選ばれる樹脂からなる高分子粒子が好ましい例示として挙げられる。
得られる粒子の機械的安定性の点で、ポリスチレンと架橋性モノマーの共重合体よりなる粒子が好ましい。
本発明で使用される高分子粒子は、ポリスチレン、ポリスチレンと架橋性モノマーとの共重合体、ポリメタクリル酸メチル、及びポリメタクリル酸メチルと架橋性モノマーの共重合体からなる群から少なくとも一つ選ばれる樹脂からなる高分子粒子が好ましい例示として挙げられる。
得られる粒子の機械的安定性の点で、ポリスチレンと架橋性モノマーの共重合体よりなる粒子が好ましい。
(架橋性モノマー)
架橋性モノマーとしては,ジビニルベンゼン,トリメリット酸トリアリル,アクリル酸ペンタエリスリトール,エチレングリコールジメタクリレートを例示することができる。
得られる粒子の機械的安定性の点で、ポリスチレンとジビニルベンゼンの共重合体よりなる粒子が好ましい。
(重合性開始基としてのアゾ基の導入方法)
重合性開始基として導入されるアゾ基はモノマーへの連鎖移動反応が起こりにくいため、効率的にモノマーを重合させることができる。
架橋性モノマーとしては,ジビニルベンゼン,トリメリット酸トリアリル,アクリル酸ペンタエリスリトール,エチレングリコールジメタクリレートを例示することができる。
得られる粒子の機械的安定性の点で、ポリスチレンとジビニルベンゼンの共重合体よりなる粒子が好ましい。
(重合性開始基としてのアゾ基の導入方法)
重合性開始基として導入されるアゾ基はモノマーへの連鎖移動反応が起こりにくいため、効率的にモノマーを重合させることができる。
高分子粒子にアゾ基を導入させる法として、2つの方法を挙げることができる。
1)反応性高分子粒子を合成し、これらの官能基と化学反応させて重合性開始基を導入する方法。
例えば,モノマーとしてグリシジルメタクリレート等を用い,乳化重合,懸濁重合等により,エポキシ基を有する高分子粒子を合成した後,この粒子にエチレンジアミン等のジアミンを反応させ,高分子粒子にアミノ基を導入し,粒子のアミノ基に4,4'-アゾビス(4-シアノペンタン酸)をカルボジイミド存在下で縮合付加させる方法。
1)反応性高分子粒子を合成し、これらの官能基と化学反応させて重合性開始基を導入する方法。
例えば,モノマーとしてグリシジルメタクリレート等を用い,乳化重合,懸濁重合等により,エポキシ基を有する高分子粒子を合成した後,この粒子にエチレンジアミン等のジアミンを反応させ,高分子粒子にアミノ基を導入し,粒子のアミノ基に4,4'-アゾビス(4-シアノペンタン酸)をカルボジイミド存在下で縮合付加させる方法。
2)機能性モノマーを経由する方法。
アゾ基を有するモノマーを合成し,このモノマーを重合または共重合させることにより重合性開始基を有する高分子粒子を合成する方法。
重合開始基のモノマーへの導入方法は、例えばメタクリル酸クロリドを2,2'-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩と縮合させる、あるいは4,4'-アゾビス(4-シアノペンタン酸)をカルボジイミド存在下でメタクリル酸と縮合させる反応が挙げられる。
アゾ基を有するモノマーとしては、メタクリル酸4,4'-アゾビス(4-シアノペンタノエート、2,2'-アゾビス(N-メタクリロイルアミジノプロパン)、2,2-アゾビス[N-(2-プロペニル)-2-メチルプロピオンアミド]を例示することができる。導入効率の点から、2,2-アゾビス[N-(2プロペニル)-2メチルプロピオンアミド]を用いた導入方法が好ましい。
アゾ基を有するモノマーを合成し,このモノマーを重合または共重合させることにより重合性開始基を有する高分子粒子を合成する方法。
重合開始基のモノマーへの導入方法は、例えばメタクリル酸クロリドを2,2'-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩と縮合させる、あるいは4,4'-アゾビス(4-シアノペンタン酸)をカルボジイミド存在下でメタクリル酸と縮合させる反応が挙げられる。
アゾ基を有するモノマーとしては、メタクリル酸4,4'-アゾビス(4-シアノペンタノエート、2,2'-アゾビス(N-メタクリロイルアミジノプロパン)、2,2-アゾビス[N-(2-プロペニル)-2-メチルプロピオンアミド]を例示することができる。導入効率の点から、2,2-アゾビス[N-(2プロペニル)-2メチルプロピオンアミド]を用いた導入方法が好ましい。
具体的には、スチレンの分散重合により得られる単分散ポリスチレン粒子をシード粒子として用い,2,2-アゾビス[N-(2プロペニル)-2メチルプロピオンアミド],スチレンおよびジビニルベンゼンをモノマーとして用いた二段階膨潤法によるシード共重合により重合開始基を有する高分子粒子を合成する方法が挙げられる。
シード重合法とは、一般的にスチレン系重合体等の単分散種粒子にビニル系単量体を吸収させた後、重合を行いその粒径を均一に増大させる方法である。
また、二段階膨潤シード重合法は、シード粒子を疎水性化合物により膨潤させた後にビニル系単量体を重合させる方法である。
また、二段階膨潤シード重合法は、シード粒子を疎水性化合物により膨潤させた後にビニル系単量体を重合させる方法である。
得られたアゾ基を有する高分子粒子(以下、アゾ粒子と言う。)中にはアゾ基が存在しているので、アゾ基を重合開始剤として両親媒性官能基を有するモノマー及びコモノマーのグラフト共重合を行うことにより、両親媒性官能基をグラフト状に有する酵素固定化用坦体を合成することができる。
(両親媒性官能基を有するモノマー)
両親媒性官能基のうち、親水性基としてはポリエトキシ基、アミノ基,ヒドロキシル基,アミジノ基,アシルアミノ基等を挙げることができるが、ポリエトキシ基が好ましい。
疎水性基としてはp-1,1,3,3-テトラメチルブチルフェノキシ基、高級脂肪酸アシル基、フェノキシ基等を挙げることができるがp-1,1,3,3-テトラメチルブチルフェノキシ基が好ましい。
このため、両親媒性官能基としては、p-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノキシ ポリエトキシ基が好ましい基として挙げられる。
両親媒性官能基のうち、親水性基としてはポリエトキシ基、アミノ基,ヒドロキシル基,アミジノ基,アシルアミノ基等を挙げることができるが、ポリエトキシ基が好ましい。
疎水性基としてはp-1,1,3,3-テトラメチルブチルフェノキシ基、高級脂肪酸アシル基、フェノキシ基等を挙げることができるがp-1,1,3,3-テトラメチルブチルフェノキシ基が好ましい。
このため、両親媒性官能基としては、p-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノキシ ポリエトキシ基が好ましい基として挙げられる。
(両親媒性官能基を有するモノマーの合成)
両親媒性モノマーの合成法は特に限定されないが、例えば以下のように合成することができる。親水基としてポリエトキシ基及び疎水基として2-p-1,1,3,3-テトラメチルブチルフェノキシ基を持つ2-[p-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノキシポリエトキシ]エタノール及びメタクリル酸に4-ジメチルピリジン及びジエチルエーテルを添加して冷却しながら緩やかに攪拌する。そこへジエチルエーテルに溶解させたN,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド溶液を少量ずつ添加した後、緩やかな攪拌を維持したまま10〜40℃にて1〜3日反応させる。
両親媒性モノマーの合成法は特に限定されないが、例えば以下のように合成することができる。親水基としてポリエトキシ基及び疎水基として2-p-1,1,3,3-テトラメチルブチルフェノキシ基を持つ2-[p-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノキシポリエトキシ]エタノール及びメタクリル酸に4-ジメチルピリジン及びジエチルエーテルを添加して冷却しながら緩やかに攪拌する。そこへジエチルエーテルに溶解させたN,N'-ジシクロヘキシルカルボジイミド溶液を少量ずつ添加した後、緩やかな攪拌を維持したまま10〜40℃にて1〜3日反応させる。
得られた反応液を、塩酸および飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で抽出後,有機相を回収し,有機相中のジエチルエーテルをロータリーエバポレーター等により留去して、両親媒性のモノマーを得ることができる。
両親媒性モノマーにおいて親水性基のモノマーのポリエトキシ基の重合度は種々の重合度のものを使用することができるが、中でも重合度が3〜5であることが固定化した酵素の有機溶媒中での触媒活性が高くなることから好ましい。
両親媒性モノマーにおいて親水性基のモノマーのポリエトキシ基の重合度は種々の重合度のものを使用することができるが、中でも重合度が3〜5であることが固定化した酵素の有機溶媒中での触媒活性が高くなることから好ましい。
(コモノマー)
両親媒性官能基を有するモノマーと共重合させることが好ましいコモノマーとしては、メタクリル酸、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸アリル、2−ヒドロキシルエチルメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、スチレン、ジビニルベンゼン等を上げることができるがメタクリル酸またはメタクリル酸グリシジルが好ましい。メタクリル酸を共重合させることが、アゾ粒子に両親媒性官能基を有するモノマー導入量を多くすることができるため特に好ましい。
両親媒性官能基を有するモノマーと共重合させることが好ましいコモノマーとしては、メタクリル酸、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸アリル、2−ヒドロキシルエチルメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、アリルグリシジルエーテル、スチレン、ジビニルベンゼン等を上げることができるがメタクリル酸またはメタクリル酸グリシジルが好ましい。メタクリル酸を共重合させることが、アゾ粒子に両親媒性官能基を有するモノマー導入量を多くすることができるため特に好ましい。
(アゾ粒子と両親媒性モノマー及びコモノマーの重合)
共重合方法は通常のグラフト共重合の手法で行えば良いが、例えば以下のような方法で得ることできる。アゾ粒子1質量%〜10質量%、好ましくは2重量%〜4重量%をトルエン等の有機溶媒中に溶解させ、90℃〜110℃で2〜6時間、好ましくは3〜4時間加温する。反応液から回収した粒子はメタノールおよび蒸留水により洗浄した後、両親媒性粒子をグラフト状に有する高分子粒子、即ち酵素固定化用坦体を得ることができる。
共重合方法は通常のグラフト共重合の手法で行えば良いが、例えば以下のような方法で得ることできる。アゾ粒子1質量%〜10質量%、好ましくは2重量%〜4重量%をトルエン等の有機溶媒中に溶解させ、90℃〜110℃で2〜6時間、好ましくは3〜4時間加温する。反応液から回収した粒子はメタノールおよび蒸留水により洗浄した後、両親媒性粒子をグラフト状に有する高分子粒子、即ち酵素固定化用坦体を得ることができる。
(固定化用の酵素)
上述の方法で得た両親媒性官能基をグラフト状に有する高分子粒子に固定化される酵素の好ましい例としてはエステル交換活性を有する酵素を挙げることができる。例として、リパーゼ、ホスホリパーゼ、コレステロールエステラーゼ、スフィンゴエミリエーゼ、クチナーゼ等のエステラーゼまた、一部のプロテアーゼを挙げることができる。
上述の方法で得た両親媒性官能基をグラフト状に有する高分子粒子に固定化される酵素の好ましい例としてはエステル交換活性を有する酵素を挙げることができる。例として、リパーゼ、ホスホリパーゼ、コレステロールエステラーゼ、スフィンゴエミリエーゼ、クチナーゼ等のエステラーゼまた、一部のプロテアーゼを挙げることができる。
(固定化方法)
アゾ粒子への酵素の固定化方法は特に限定されないが、例えば以下の方法で固定化することができる。両親媒性粒子と酵素液と緩衝剤を含む水溶液中で振とうさせ固定化させる。緩衝剤のpHは酵素を失活させないpHであれば良いが、酵素活性の至適pHであることが好ましい。緩衝剤の濃度は酵素を失活させない濃度であれば特に限定されないが、5−500mMが良く、好ましくは10−100mMである。固定化温度は酵素を失活させない温度であれば限定されないが、50℃以下が良く、好ましくは3−20℃が良い。固定化反応に要する時間は5時間から40時間、好ましくは10〜24時間である。
アゾ粒子への酵素の固定化方法は特に限定されないが、例えば以下の方法で固定化することができる。両親媒性粒子と酵素液と緩衝剤を含む水溶液中で振とうさせ固定化させる。緩衝剤のpHは酵素を失活させないpHであれば良いが、酵素活性の至適pHであることが好ましい。緩衝剤の濃度は酵素を失活させない濃度であれば特に限定されないが、5−500mMが良く、好ましくは10−100mMである。固定化温度は酵素を失活させない温度であれば限定されないが、50℃以下が良く、好ましくは3−20℃が良い。固定化反応に要する時間は5時間から40時間、好ましくは10〜24時間である。
固定化方法において、水溶液中の酵素濃度は特に限定されないが、固定化効率の観点から前記酵素の溶解度以下でかつ充分な酵素濃度であることが望ましい。必要に応じて不溶性部分を遠心分離により除去し上澄みを使用しても差し支えない。酵素と坦体の使用割合は固定化酵素坦体1重量部に対して酵素0.01〜10重量部、好ましくは0.05〜5重量部であるがこれに限定されない。酵素を固定化した坦体は、そのまま使用してもよいしあるいは温風乾燥、凍結乾燥により乾燥し使用することができる。
(酵素反応)
(エステル合成反応)
(酵素反応)
(エステル合成反応)
本発明における固定化酵素の反応例として、固定化酵素がエステル交換酵素である場合のエステル合成反応の例を示す。通常のメタノール、エタノール、プロパノール等の1価アルコール、ないしはプロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール等の多価アルコール、またはゲラニオール、シトロネロール、メントール等のテルペンアルコールあるいはコレステロール等のステロールと、炭素数2〜36、好ましくは6−24の飽和または不飽和脂肪酸又はその低級アルコールエステルとのエステル化反応を上げることができる。さらにエステル合成反応の例としては、1分子中にカルボキシル基を2個以上含むアジピン酸、グルタル酸、スベリン酸、アゼライン酸等の多価カルボン酸と1分子中に水酸基を2個以上含むプロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ジエチレングリコール等の多価値アルコールによるポリエステル反応を挙げることができる。またエスエル交換反応の例として、エステルとアルコールによるアルコリシス反応、エステル同士によるインターエステル化反応、リン脂質と各種アルコールによるトランスホスファチジレーション等の反応が挙げられる。
上記エステル化反応は必要に応じて、ヘキサン、イソクタン、イソプロピルエーテル等の有機溶媒を添加して行うことができる。エステル化反応は15〜90℃、好ましくは20−80℃で行うことができる。
以下に本発明の実施例と比較例を挙げるが、本発明は実施例等に限定されるものではない。
(製造例1)
(シード粒子の合成装置)
ガラス製300ml容量のセパラブルフラスコに3口セパラブルフラスコカバーを取り付けたものを使用した。反応液はフッ素樹脂でコーティングした三日月攪拌翼を先端に取り付けたガラス攪拌棒を攪拌用モーターに取り付け攪拌した。反応容器は温度コントローラーにより制御された恒温水槽内に設置した。また反応物や生成物の不必要な酸化を防ぐため、ガラス製90度L字管を装着し、シルカゲル管を通すことにより乾燥させた窒素を流通させた。
(シード粒子の合成装置)
ガラス製300ml容量のセパラブルフラスコに3口セパラブルフラスコカバーを取り付けたものを使用した。反応液はフッ素樹脂でコーティングした三日月攪拌翼を先端に取り付けたガラス攪拌棒を攪拌用モーターに取り付け攪拌した。反応容器は温度コントローラーにより制御された恒温水槽内に設置した。また反応物や生成物の不必要な酸化を防ぐため、ガラス製90度L字管を装着し、シルカゲル管を通すことにより乾燥させた窒素を流通させた。
(シード粒子の合成)
反応器にスチレン(和光純薬社製)25g、2,2’ーアズビスブチロニトリル(和光純薬社製)0.25g、エタノール(ナカライテクス社製)72.7g、ポリビニルピロリドン(ナカライテクス社製)1.8g、1−ヘキサデカノール(ナカライテクス社製)0.5gを入れ、窒素雰囲気下70℃にて、24時間反応を行った。反応終了後、遠心分離器を用いて粒子を約20gを得た。
反応器にスチレン(和光純薬社製)25g、2,2’ーアズビスブチロニトリル(和光純薬社製)0.25g、エタノール(ナカライテクス社製)72.7g、ポリビニルピロリドン(ナカライテクス社製)1.8g、1−ヘキサデカノール(ナカライテクス社製)0.5gを入れ、窒素雰囲気下70℃にて、24時間反応を行った。反応終了後、遠心分離器を用いて粒子を約20gを得た。
(アゾ粒子の合成)
アゾ粒子は二段階湿潤法によるシード共重合により行った。
アゾ粒子は二段階湿潤法によるシード共重合により行った。
(第一段階湿潤)
ガラスバイアルに蒸留水15.4ml、ドデシル硫酸ナトリウム(ナカライテクス社製)0.02g、シード粒子0.65g、塩化ラウリル(ナカライテクス社製)0.585gを入れ、ホモジナイザーを用いて10分間水油混合液を分散処理した後、ソニケーターを用いて10分間反応液を処理し、得られた液にアセトン(ナカライテクス社製)1.17ml、蒸留水0.2mlを加えた。
この液を上述のシード粒子合成した装置と同様の装置に入れ、30℃にて16時間以上攪拌し、塩化ラウリルを吸収・膨潤させたシード粒子を得た。
ガラスバイアルに蒸留水15.4ml、ドデシル硫酸ナトリウム(ナカライテクス社製)0.02g、シード粒子0.65g、塩化ラウリル(ナカライテクス社製)0.585gを入れ、ホモジナイザーを用いて10分間水油混合液を分散処理した後、ソニケーターを用いて10分間反応液を処理し、得られた液にアセトン(ナカライテクス社製)1.17ml、蒸留水0.2mlを加えた。
この液を上述のシード粒子合成した装置と同様の装置に入れ、30℃にて16時間以上攪拌し、塩化ラウリルを吸収・膨潤させたシード粒子を得た。
(第二段階膨潤とアゾ粒子の合成)
110ml容量ガラス製バイアルに、蒸留水84g、ドデシル硫酸ナトリウム(ナカライテクス社製)0.20gを添加した水溶液中に、2,2−アゾビス−(N−(2―プロペニル)−2−メチルプロピオンアミド)(和光純薬社製)0.13g、2,2−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬社製)0.025g、ジビニルベンゼン(ナカライテクス社製)2.63g、スチレン(和光純薬社製)2.63gを加え、氷浴中で冷却しながらソニケーターで10分間分散処理し、得られた液をモノマー乳化液とした。
110ml容量ガラス製バイアルに、蒸留水84g、ドデシル硫酸ナトリウム(ナカライテクス社製)0.20gを添加した水溶液中に、2,2−アゾビス−(N−(2―プロペニル)−2−メチルプロピオンアミド)(和光純薬社製)0.13g、2,2−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬社製)0.025g、ジビニルベンゼン(ナカライテクス社製)2.63g、スチレン(和光純薬社製)2.63gを加え、氷浴中で冷却しながらソニケーターで10分間分散処理し、得られた液をモノマー乳化液とした。
上述反応器内の塩化ラウリルを吸収・膨潤させたシード粒子分散液中に、モノマー乳化液を入れ、窒素雰囲気下、30℃にて2時間攪拌した。次いで、70℃下で24時間攪拌した。反応により得た粒子は5Cの濾紙を用いて減圧濾過することで回収した。濾紙上の粒子をメタノール(ナカライテクス社製)、次いで蒸留水により洗浄し、アゾ基を持つアゾ粒子(1)を約4g得た。
(両親媒性官能基を有するモノマーの合成装置)
全容量が500mlのセパラブルフラスコを使用した以外は、上述のシード粒子を合成した装置と同じものを使用した。
全容量が500mlのセパラブルフラスコを使用した以外は、上述のシード粒子を合成した装置と同じものを使用した。
(両親媒性官能基を有するモノマーの合成)
上述の装置を設置し、反応に用いた。ジエチルエーテル(ナカライテクス社製)140g、メタクリル酸(ナカライテクス社製)3.52g、2−[p−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノキシポリエトキシ]エタノール(シグマ社製 商品名Triton X−45)16g、4−ジメチルアミノピリジン(ナカライテクス社製)0.49g、の濃度となるように添加し混合の後、反応容器に入れた。ジエチルエーテル(ナカライテクス社製)を40g入れそこへN,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(ナカライテクス社製)を8.24gの濃度となるように添加し溶解させた。この溶液を反応容器に添加し、3−40℃下,100rpmで攪拌しながら2日間反応させた。
反応液を常圧濾過し、濾液に0.5M希塩酸、次いで、飽和炭酸ナトリウム水溶液を反応液に加えて分液漏斗にて振とうし、有機相と水相を分離した。室温にてジエチルエーテルをロータリーエバポレーターにて減圧留去した。
上述の装置を設置し、反応に用いた。ジエチルエーテル(ナカライテクス社製)140g、メタクリル酸(ナカライテクス社製)3.52g、2−[p−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノキシポリエトキシ]エタノール(シグマ社製 商品名Triton X−45)16g、4−ジメチルアミノピリジン(ナカライテクス社製)0.49g、の濃度となるように添加し混合の後、反応容器に入れた。ジエチルエーテル(ナカライテクス社製)を40g入れそこへN,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(ナカライテクス社製)を8.24gの濃度となるように添加し溶解させた。この溶液を反応容器に添加し、3−40℃下,100rpmで攪拌しながら2日間反応させた。
反応液を常圧濾過し、濾液に0.5M希塩酸、次いで、飽和炭酸ナトリウム水溶液を反応液に加えて分液漏斗にて振とうし、有機相と水相を分離した。室温にてジエチルエーテルをロータリーエバポレーターにて減圧留去した。
以上の操作により両親媒性モノマー約12gを得た。(以下この両親媒性官能基を有するモノマーをMAX−4.39と言う。)
MAX−4.39の4.39は両親媒性モノマー中の、官能基(2-[p-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノキシポリエトキシ]エチル基)のポリエトキシ基の重合度を示している。この重合度は以下の方法にて測定した。
2-[p-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノキシポリエトキシ]エチル基中のポリエトキシ基の重合度は、両親媒性モノマーを、テトラメチルシランを含む重水素化クロロホルム(CDNアイソトープ)に添加し、超伝導核磁気共鳴装置(VARIAN)を用いて、H1−NMRスペクトルを測定し、得られるスペクトル中のポリエトキシ基の水素の積分値(δ=3.6−4.3)とフェニル基の水素の積分値(δ=6.8−7.2)の比から算出した。
また以下、合成した粒子等(例えばSDMX−4.39)において記述される4.39は上記と同様にポリエトキシ基の重合度を意味している。
MAX−4.39の4.39は両親媒性モノマー中の、官能基(2-[p-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノキシポリエトキシ]エチル基)のポリエトキシ基の重合度を示している。この重合度は以下の方法にて測定した。
2-[p-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノキシポリエトキシ]エチル基中のポリエトキシ基の重合度は、両親媒性モノマーを、テトラメチルシランを含む重水素化クロロホルム(CDNアイソトープ)に添加し、超伝導核磁気共鳴装置(VARIAN)を用いて、H1−NMRスペクトルを測定し、得られるスペクトル中のポリエトキシ基の水素の積分値(δ=3.6−4.3)とフェニル基の水素の積分値(δ=6.8−7.2)の比から算出した。
また以下、合成した粒子等(例えばSDMX−4.39)において記述される4.39は上記と同様にポリエトキシ基の重合度を意味している。
(アゾ粒子と両親媒性官能基を有するモノマーによる酵素固定化用坦体の合成)
(実施例1)
ガラス試験管にトルエン(ナカライテクス社製)4.5gに、製造例1において得られたアゾ粒子(1)0.15gと、MAX−4.39を0.92gと、メタクリル酸(ナカライテクス社製)0.18gを添加して、100℃で4時間反応させた。得られた高分子粒子をトルエン、メタノール、蒸留水、最後に緩衝液にて洗浄後、酵素固定化用の粒子約0.12g(g−MX4.39―SDと言う。)を得た。
(実施例1)
ガラス試験管にトルエン(ナカライテクス社製)4.5gに、製造例1において得られたアゾ粒子(1)0.15gと、MAX−4.39を0.92gと、メタクリル酸(ナカライテクス社製)0.18gを添加して、100℃で4時間反応させた。得られた高分子粒子をトルエン、メタノール、蒸留水、最後に緩衝液にて洗浄後、酵素固定化用の粒子約0.12g(g−MX4.39―SDと言う。)を得た。
(実施例2)
ガラス試験管にトルエン(ナカライテクス社製)4.5gに、製造例1において得られたアゾ粒子(1)0.15gと、MAX−4.39を0.92gと、メタクリル酸グリシジル0.18gを添加して、100℃で4時間反応させた。得られた高分子粒子をトルエン、メタノール、蒸留水、最後に緩衝液にて洗浄後、酵素固定化用の粒子約0.12g(g−GX4.39−SDと言う。)を得た。
ガラス試験管にトルエン(ナカライテクス社製)4.5gに、製造例1において得られたアゾ粒子(1)0.15gと、MAX−4.39を0.92gと、メタクリル酸グリシジル0.18gを添加して、100℃で4時間反応させた。得られた高分子粒子をトルエン、メタノール、蒸留水、最後に緩衝液にて洗浄後、酵素固定化用の粒子約0.12g(g−GX4.39−SDと言う。)を得た。
(実施例3)
ガラス試験管にトルエン(ナカライテクス社製)4.5gに、製造例1において得られたアゾ粒子(1)0.15gと、MAX−4.39を0.92gとを添加して、100℃で4時間反応させた。得られた高分子粒子をトルエン、メタノール、蒸留水、最後に緩衝液にて洗浄後、酵素固定化用の粒子約0.12g(g−X4.39−SDと言う。)を得た。
ガラス試験管にトルエン(ナカライテクス社製)4.5gに、製造例1において得られたアゾ粒子(1)0.15gと、MAX−4.39を0.92gとを添加して、100℃で4時間反応させた。得られた高分子粒子をトルエン、メタノール、蒸留水、最後に緩衝液にて洗浄後、酵素固定化用の粒子約0.12g(g−X4.39−SDと言う。)を得た。
(比較例1)
(アゾ粒子を用いないで両親媒性官能基を有する粒子の合成)
アゾ粒子を用いずに両親媒性官能基を持つ粒子の作製を行った。粒子は上述のアゾ粒子合成に用いた二段階湿潤法によるシード共重合により行った。即ち上述のアゾ粒子合成例の第二段階膨潤とアゾ粒子の合成において使用した、2,2−アゾビス−(N−(2―プロペニル)−2−メチルプロピオンアミド)を用いなかったことを除いて、上述の両親媒性モノマーの合成例で得た両親媒性モノマー1.0gを添加した以外は同様の方法条件で実施した。このようにして得たアゾ粒子を用いないで両親媒性官能基を導入した酵素固定化用の粒子約4g(SDMX―4.39と言う。)を得た。
(アゾ粒子を用いないで両親媒性官能基を有する粒子の合成)
アゾ粒子を用いずに両親媒性官能基を持つ粒子の作製を行った。粒子は上述のアゾ粒子合成に用いた二段階湿潤法によるシード共重合により行った。即ち上述のアゾ粒子合成例の第二段階膨潤とアゾ粒子の合成において使用した、2,2−アゾビス−(N−(2―プロペニル)−2−メチルプロピオンアミド)を用いなかったことを除いて、上述の両親媒性モノマーの合成例で得た両親媒性モノマー1.0gを添加した以外は同様の方法条件で実施した。このようにして得たアゾ粒子を用いないで両親媒性官能基を導入した酵素固定化用の粒子約4g(SDMX―4.39と言う。)を得た。
(粒子中の両親媒性官能基の測定)
上述の方法で得た4種の粒子はいずれも両親媒性モノマー由来である、親水基としてポリエトキシ基、疎水基として2-p-1,1,3,3-テトラメチルブチルフェノキシ基を持つ粒子であるが、SDMD−4.39粒子はグラフト状の両親媒性モノマーの重合体(グラフト両親媒性官能基と言う。)を有する単分散高分子粒子ではなく、g−X4.39−SD粒子、g−MX4.39−SD粒子、g−GX4.39−SD粒子はグラフト両親媒性官能基を有する単分散高分子粒子であるという違いがある。以下に各々の粒子中の両親媒性官能基の導入量を示す。
上述の方法で得た4種の粒子はいずれも両親媒性モノマー由来である、親水基としてポリエトキシ基、疎水基として2-p-1,1,3,3-テトラメチルブチルフェノキシ基を持つ粒子であるが、SDMD−4.39粒子はグラフト状の両親媒性モノマーの重合体(グラフト両親媒性官能基と言う。)を有する単分散高分子粒子ではなく、g−X4.39−SD粒子、g−MX4.39−SD粒子、g−GX4.39−SD粒子はグラフト両親媒性官能基を有する単分散高分子粒子であるという違いがある。以下に各々の粒子中の両親媒性官能基の導入量を示す。
実施例及び比較例で得られた粒子中の両親媒性官能基は両親媒性モノマー、即ちMAX−4.39由来のものである。そこで示差走査型熱量分析装置(DSC)を用いて粒子中の示差熱量のサーモグラムを測定し、得られるポリエトキシ基のピーク面積を解析することにより粒子中に導入されたMAX−4.39量を定量した。表1に各粒子中のMAX−4.39量を示す。
表1より実施例の酵素固定化用粒子は比較例の酵素固定化粒子より両親媒性官能基の導入量が多いことがわかる。
(応用例1)
(酵素固定化用担体粒子へのリパーゼの固定化)
実施例及び比較例で得られた酵素固定化用担体粒子ヘのリパーゼの固定化を行った。各粒子10mgとRhizopus.delemar由来のリパーゼ(生化学工業社製 FINE grade)3.7mgをpH5.5の10mMリン酸緩衝液1ml中に添加して、4℃にて24時間固定化処理した。固定化処理前のタンパク質濃度と固定化処理後のタンパク質濃度をBradford法により定量し固定化量を求めた。表2に各粒子へのリパーゼの固定化量を示す。
(酵素固定化用担体粒子へのリパーゼの固定化)
実施例及び比較例で得られた酵素固定化用担体粒子ヘのリパーゼの固定化を行った。各粒子10mgとRhizopus.delemar由来のリパーゼ(生化学工業社製 FINE grade)3.7mgをpH5.5の10mMリン酸緩衝液1ml中に添加して、4℃にて24時間固定化処理した。固定化処理前のタンパク質濃度と固定化処理後のタンパク質濃度をBradford法により定量し固定化量を求めた。表2に各粒子へのリパーゼの固定化量を示す。
表2より実施例の酵素固定化用担体は、グラフト両親媒性官能基を有し、比較例の固定化担体よりリパーゼの固定化量が多いことがわかる。
これは表1の結果より両親媒性官能基の導入量が多い、即ち疎水基である2-p-1,1,3,3-テトラメチルブチルフェノキシ基導入量が多いためである。
これは表1の結果より両親媒性官能基の導入量が多い、即ち疎水基である2-p-1,1,3,3-テトラメチルブチルフェノキシ基導入量が多いためである。
(g-MX4.39-SD粒子へ固定化したリパーゼのヘキサン中での安定性)
応用例1と同様の方法にてリパーゼを固定化させたg−MX4.39−SD粒子を10mMのpH5.5のリン酸緩衝液に懸濁させ遠心分離器により粒子を分離した。凍結乾燥機を用いて減圧下で乾燥させた。酵素を固定化した粒子30mgをヘキサン(ナカライテクス社製)中30mlに懸濁させ37℃にて、特定時間放置した後、0.45μmのメンブレンフィルターにて濾過し、回収したリパーゼの残存活性率を測定した。
応用例1と同様の方法にてリパーゼを固定化させたg−MX4.39−SD粒子を10mMのpH5.5のリン酸緩衝液に懸濁させ遠心分離器により粒子を分離した。凍結乾燥機を用いて減圧下で乾燥させた。酵素を固定化した粒子30mgをヘキサン(ナカライテクス社製)中30mlに懸濁させ37℃にて、特定時間放置した後、0.45μmのメンブレンフィルターにて濾過し、回収したリパーゼの残存活性率を測定した。
残存活性率の測定はエステル加水分解反応により酵素活性を測定することにより行った。具体的には、2,3−ジメルカプトプロパノールトリブチレイトZ(シグマ社製;以下BALBと称す)の分解速度を5,5’−チオビス(2−ニトロ安息香酸)(ナカライテクス社製:以下DTNBと称す)を発色試薬として定量する方法により行った。3mMDTNBを含む0.1M Tris−HCl緩衝液(pH8.5)1mlに固定化リパーゼ30mgを入れ30℃で5分間保温した。この溶液に基質として20mBALAを含むエタノール(ナカライテクス社製)100μlを加えて10分間反応させた。反応停止のためにアセトン(ナカライテクス社製)2mlを添加し、分光光度計にて412nmの吸光度を測定した。酵素活性は1分間に1μmolのSH基を遊離させる酵素量を1Unit(U)と定義して次式により求めた。
酵素活性(U)=412nm吸光度の増分/4.75(モル吸光係数に反応液体積を乗じμmolに換算したもの)/反応時間(min)
残存活性率は、ヘキサン中に懸濁した直後の酵素活性に対する、ヘキサン中での特定時間放置後における酵素活性の比として求めた。得られた残存活性率の経時的変化を図1に示す。
残存活性率は、ヘキサン中に懸濁した直後の酵素活性に対する、ヘキサン中での特定時間放置後における酵素活性の比として求めた。得られた残存活性率の経時的変化を図1に示す。
図1中には比較として同様の酵素固定化処理を行った比較例1で得られたSDMX−4.39粒子の結果を合わせて示した。
図1の結果より実施例1のg−MX4.39SD粒子に固定化したリパーゼは比較例1のSDMX−4.39粒子に固定化したリパーゼに比較してヘキサン中における加水分解活性の低下が少ないことがわかる。また図1から推定される加水分解活性の半減期は比較例1のSDMX−4.39粒子に固定化したリパーゼで815時間、実施例1のg−MX4,39―SD粒子に固定化されたリパーゼは7270時間と計算され、g−MX4.39−SD粒子に固定化されたリパーゼは半減期が9倍長くなる。
(g-MX4.39-SD粒子へ各種リパーゼに対する固定化量及びヘキサン中での残存活性)
実施例1のg−MX4.39―SD粒子に各種リパーゼを固定化し固定化量及びヘキサン中での安定性を調べた。試験方法は上記方法と同様に行った。なおヘキサン中での放置時間は24時間である。リパーゼは、Rhizopus.delemar由来(生化学工業社製 FINE grade)、Rhizopus.Japonicus由来(NAGASE BIOCHEMICAL社製 FINE grade)の2つについて行った。表3に試験結果を示す。
実施例1のg−MX4.39―SD粒子に各種リパーゼを固定化し固定化量及びヘキサン中での安定性を調べた。試験方法は上記方法と同様に行った。なおヘキサン中での放置時間は24時間である。リパーゼは、Rhizopus.delemar由来(生化学工業社製 FINE grade)、Rhizopus.Japonicus由来(NAGASE BIOCHEMICAL社製 FINE grade)の2つについて行った。表3に試験結果を示す。
また比較として粉末酵素及び比較例1のSDMX−4.39粒子に固定化したリパーゼについての結果を併せて記載した。
表よりg−MX4.39−SD粒子はSDMX−4.39粒子に固定化したリパーゼに比較して酵素固定化量が多く、ヘキサン中での活性の低下が少ないことがわかる。
(各粒子のエステル交換活性の測定)
g−MX4.39−SD粒子(実施例1)、g−X4.39−SD粒子(実施例3)、及びSDMX4.39粒子(比較例1)に固定化したR.delmear由来リパーゼのエステル交換活性を測定した。固定化方法は応用例1の(酵素固定化用担体粒子へのリパーゼの固定化)に記載の方法と同様に行った。エステル交換活性はヘキサン中でパルミチン酸とトリオレインのエステル交換反応にて行った。エステル交換反応は以下のように行った。
g−MX4.39−SD粒子(実施例1)、g−X4.39−SD粒子(実施例3)、及びSDMX4.39粒子(比較例1)に固定化したR.delmear由来リパーゼのエステル交換活性を測定した。固定化方法は応用例1の(酵素固定化用担体粒子へのリパーゼの固定化)に記載の方法と同様に行った。エステル交換活性はヘキサン中でパルミチン酸とトリオレインのエステル交換反応にて行った。エステル交換反応は以下のように行った。
ヘキサン(ナカライテクス社製)5.0g、トリオレイン(関東化学社製)2.0g、パルミチン酸メチル(ナカライテクス社製)4.0gをガラスバイアルに入れ、次にリパーゼを固定化した粒子を50mg加え、37℃に加温しながらフッ素系樹脂でコーティングした攪拌子を用いてマグネチックスターラー(東京理化社製 RCN−30型)により攪拌し5時間反応させた。反応終了後、反応液中に生成したオレイン酸メチルをガスクロマトグラフ(島津製作所製 GC−8A型)にて定量した。エステル交換活性は1分間に1μモルのオレイン酸メチルを生成する酵素量を1Uと定義した。試験結果を表4に示す。
表4より本発明のg−MX4.39−SD粒子及びg−X4.39―SD粒子に固定化したリパーゼはSDMX―4.39粒子に固定化したリパーゼに比べてヘキサン中でのエステル交換活性が高いことがわかる。
本発明により得られた固定化坦体は、酵素固定化量が多く各種酵素の固定化に有用である。また坦体に固定化された酵素は有機溶媒中での高い安定性を示し、分解反応及びエステル化反応に高い活性を示すことから各種のエステル化反応に利用することができる。。例えば各種ポリステルの製造、各種脂肪酸エステル、糖エステル、ステロイド等の製造、あるいは植物油、動物油の改質方法に適用でき、産業上の幅広い分野への利用が可能である。
Claims (9)
- アゾ基を有する高分子粒子に、アゾ基を重合開始基として両親媒性官能基を有するモノマーがグラフト状に結合した酵素固定用坦体。
- 前記両親媒性官能基が、p-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノキシポリエトキシ基である請求項1記載の酵素固定用坦体。
- 前記高分子粒子がポリスチレン、ポリスチレンと架橋性モノマーとの共重合体、ポリメタクリル酸メチル、及びポリメタクリル酸メチルと架橋性モノマーの共重合体からなる群から少なくとも一つ選ばれる樹脂からなる請求項1または2に記載の酵素固定用坦体。
- 2,2'-アゾビス[N-(2-プロペニル)-2メチルプロピオンアミド]を重合または共重合させることにより前記アゾ基を高分子粒子に導入した請求項1記載の酵素固定用担体。
- 前記p-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノキシポリエトキシ基のポリエトキシ基の重合度が3〜5である請求項2に記載の固定酵素化用坦体。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の固定酵素化用坦体に固定化されたことを特徴とした固定化酵素。
- 前記酵素がエステラーゼである請求項6に記載の固定化酵素。
- 前記酵素がリパーゼである請求項6に記載の固定化酵素。
- 前記酵素がプロテアーゼである請求項6に記載の固定化酵素。
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---|---|---|---|
JP2004070569A JP2005253381A (ja) | 2004-03-12 | 2004-03-12 | 酵素固定化用坦体及びそれを用いた固定化酵素 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN107088184A (zh) * | 2017-04-21 | 2017-08-25 | 南京工业大学 | 定向酶促反应系统及其在制备小分子水凝胶中的应用 |
-
2004
- 2004-03-12 JP JP2004070569A patent/JP2005253381A/ja active Pending
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