JP2005250240A - 光学装置及びプロジェクタ - Google Patents

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Abstract

【課題】
光学装置内の複屈折性を持つ光学部品によって偏光に位相差が生じる。これにより光学装置内を透過する光の精度が落ちる。例えば、プロジェクタにおいては、コントラストのばらつきといった現象が生じ、画像の質が下がる。
【解決手段】
プリポラライザ22r、22g、22b等複屈折性を持つ光学素子による位相差値を、各光変調装置18内を通過する偏光の帯域に応じて調整することにより、位相差を低減させるように制御し、位相差によって生じる弊害を低減、抑制する。これにより、例えば、コントラストの低下が減少し、プロジェクタの画像を向上させる。
【選択図】
図1

Description

本発明は、液晶ライトバルブ等の光変調素子を備える光学装置及びこれを組み込んだプロジェクタに関する。
直線偏光を得るためにプロジェクタ内の光変調装置の入射側及び出射側には通常偏光板が用いられる。入射側の偏光板は偏光子、出射側の偏光板は検光子などと呼ばれる。入射側偏光板と出射側偏光板は、光学軸を互いに直交するように配置されること(クロスニコル)により、光変調装置において画像情報に応じて変調された画像光が形成される。
偏光板は、通常ガラス基板上に偏光膜が貼付されたものが一般的であるが、その機能上、光の吸収に伴う偏光膜の温度上昇が避けられず、それによる歪み等の劣化の問題があった。この改善のために、従来の偏光板等の位置に2以上の偏光素子を備える偏光ユニットを設けることにより偏光膜の耐久性を向上するものが知られている(特許文献1参照)。
特開2003−207639号公報
上記のように2以上の偏光素子を組み合わせるにあたって、光学軸を互いに一致させて配置することは、無駄なく特定方向の直線偏光を得るための方法として画像光形成においては至極当然である。また、特に複屈折性等を持つ偏光素子を用いた場合、光学軸に対してずれが生じると、偏光に位相差が生じてしまう。しかしながら、製造の過程上一対の偏光素子間で基準軸方向にわずかなずれが生じるのは避けられない。これまでは、複屈折がないかあっても微小な偏光素子を用いていたため、位相差は小さく考慮されていなかった。
しかしながら、最近の結果から一対の偏光素子の一方であるプリポラライザ等を液晶ライトバルブの入射側や射出側に配置した際、当該プリポラライザが複屈折性を持つと、それによる位相差が小さくても偏光の属する波長の帯域によってはコントラストに大きく影響を及ぼすことが分かった。これにより、液晶プロジェクタの画像の質が下がる。
そこで、本発明は、複屈折性を持つ偏光素子によって液晶プロジェクタ等に組み込まれた光学装置内に生じる位相差を、当該偏光素子の位相差値を制御することによって低減させることを目的とする。また、これにより、例えば、液晶プロジェクタの画質の向上を図ることを目的とする。
本発明における光学装置は、所定方向に偏光した照明光によって照明される光変調素子と、光変調素子の入射側及び射出側の少なくとも一方側に設置されるとともに、所定の基準軸から傾いて設置された場合に複屈折性に起因して生じる位相差の影響を前記光変調素子に入射する照明光の波長に応じて低減可能な位相差値に予め設定された光学素子とを備える。
様々な光学装置の中には、使用の過程において特定の偏光を用いることが必須であることが多い。例えば、本発明の実施形態において取り扱う液晶ライトバルブを用いたプロジェクタにおいては直線偏光が必要である。こうした光学装置において、必要となる偏光を得るために偏光子等多種類の光学素子が用いられる。これら光学素子は、当該偏光を必要とする光変調素子等の前方又は後方に用いられることがしばしばあるが、ある種の光学素子は、複屈折性と呼ばれる性質を持つ。光学素子が基準軸からわずかに傾いて設置された場合、複屈折は、偏光に対し位相差を生じ、当該光学素子が生じる位相差は偏光の波長によって異なる。この位相差による影響は、ある種の光学装置にとって好ましくない状況を与える。従って、当該光学素子の向きを、複屈折が生じないように偏光面の方向に合わせることが理想である。しかしながら、この誤差を完全に除去することは不可能である。そこで、当該光学素子の位相差値を入射する照明光の波長に応じて制御する。この場合、当該光学素子によって生じる位相差を低減することができる。
本発明のより具体的な態様として、光学装置は、上記光学素子による位相差値が、前記光変調素子に入射する照明光の中心波長の整数倍である。この場合、中心波長に対する位相差は無くなり、周辺波長における位相差も僅かなものとなるので、位相差による光学装置の光学特性に対する影響を十分に低減させることが可能である。
また、本発明のさらに具体的に数値化された態様として、上記光学素子による位相差値は、赤色光波長域に対しては、150nm以下、450〜750nm、及び1050〜1350nmのいずれかであり、緑色光波長域に対しては、130nm以下、400〜700nm、及び950〜1250nmのいずれかであり、青色光波長域に対しては、100nm以下、350〜550nm、800〜1000nm、及び1250〜1450nmのいずれかである。この場合、位相差による光学装置に対する影響を十分に低減させることが可能である。例えば、液晶プロジェクタであれば、コントラストの低下に関してコントラストの低下率を示す所定の指標を基準として、その指標の示す値を従来の略半分以下に抑える。
さらに、本発明において、光学装置は、上記光変調素子の入射側に配置される第1偏光素子と、射出側に配置される第2偏光素子とをさらに備える。この場合、光変調素子への入射光及び射出光は、所望の偏光に変換され、光変調素子から所望の変調光を取り出すことができる。
さらに、上記第1偏光素子と第2偏光素子とは、クロスニコルに配置されている。この場合、上記光変調素子が当該偏光の偏光面方向を変えるものである時にも、光変調素子への入射光及び射出光は、所望の偏光に変換される。
さらに、本発明に係る態様として、上記光学素子が、上記第1偏光素子から前記第2偏光素子にかけての光路上に配置される。この場合、上記光学素子の複屈折による影響は低減できているので様々な効果を持つ光学素子を設置することができる。例えば、上記光学素子が、偏光子である場合が考えられる。この場合、当該偏光子も偏光素子の役割を果たすので、偏光素子の数が増えることになり、各偏光素子での光エネルギーの吸収量が分担され軽減するので、偏光素子の劣化が抑えられ、長寿命化が図れる。
上記光学装置が適用される一例として、液晶プロジェクタが考えられる。プロジェクタとしては、一般に例えば三板式のもの等が知られている。複屈折性を持つ光学素子を当該プロジェクタ内に用いた場合、当該光学素子の光学軸に対する偏光面のずれにより生じる位相差は、波長帯域によって異なる。従って、三板式プロジェクタ内で分離された三色の照明光ごとに位相差が異なる。これが画質を下げる要因となる。また、三板式に限らず、色光を合成することによって投影するタイプのプロジェクタにおいては、同様の問題が発生すると考えられる。
そこで、本発明に係る実施形態として用いられるプロジェクタは、各色の照明光を発生する照明装置と、各色の照明光ごとに設けられ、画像情報に応じて各色の照明光を個別に変調して像光をそれぞれ形成する上述された各色用の光学装置である各色の光変調装置とを備える。この場合における一態様として以下のものが考えられる。
上記光変調装置内において、例えば、光変調素子の前後に各偏光素子が位置し、入射する照明光はクロスニコル下にある当該偏光素子によって直線偏光に変換される。上記光変調素子が、さらにプリポラライザと呼ばれる偏光素子である光学素子をさらに有することによって、各偏光素子等の光学素子の長寿命化が図れる。尚、本発明においては、上記プリポラライザが複屈折性を持つものとするが、上記光変調装置の態様に応じた様々な各光変調素子及び光学素子の態様が考えられ、いずれの場合においても、少なくとも一つの光学素子が複屈折性を持つものとする。この場合、当該光学素子の位相差値が、各色の照明光ごとに設定されていることで画像情報に応じて各色の照明光を個別に変調して像光をそれぞれ形成している当該プロジェクタによる投影画像は、位相差によるコントラスト低下を生じない又は低減しているので、従来のものと比べ、高画質となる。
本発明のさらに具体的な態様として、プロジェクタは、上記照明装置が、白色光を光源光として発生させる光源装置から射出された光源光を、波長帯域ごとに分離して各色の照明光とする照明光形成光学系を有し、前記各色の光変調装置から射出される各色の像光を合成する合成光学系と、合成後の像光を投射する投射光学系とをさらに備える。
この場合、上記照明光形成光学系により、光源光である白色光が分離されるので、分離された各色の照明光は位相差によるコントラスト低下を生じさせない又は低減させることが可能であり、上記合成光学系及び上記投射光学系によって投影された画像は従来に比べ、コントラスト低下やカラーバランスの劣化が生じない又は低減された高画質のものとなる。
図1は、本実施形態におけるプロジェクタ内の画像形成部50の構造を概念的に説明する平面図である。本画像形成部50は、照明光を形成する照明光形成光学系1と、照明光から投影画像を形成する光変調装置18と、形成された画像を投射する投射光学系である投影レンズ24とからなる。
照明光形成光学系1は、白色光である光源光WLを発生する光源装置2と、光量を光束断面内で均一化するレンズアレイ3、4及び重畳レンズ5と、光源光WLを1種類の直線偏光光に偏光変換して射出する偏光変換素子アレイ6と、光源光又は光源光より得られる照明光を反射するミラー7、8、9、10と、光の波長帯によって選択的に透過又は反射することによって光源光WLの色分離を行うダイクロイックミラー11、12と、光束の補正用のリレーレンズ13、14と、照明光が色分離されることによって得られる各色光の入射角度を調整するフィールドレンズ15、16、17とを備える。
光変調装置18は、照明光から画像を形成する各色の液晶ライトバルブ19r、19g、19bと、光路上液晶ライトバルブの入射側に位置し、各液晶ライトバルブ19r、19g、19bへの入射光を直線偏光に変える偏光板としてはたらく偏光子20r、20g、20bと、同様のはたらきを出射側で行う検光子21r、21g、21bと、各液晶バルブと検光子との間に位置し、自身も偏光板として働くことにより偏光部材の長寿命化を図るプリポラライザ22r、22g、22bと、照明光が形成した各色の画像を合成するクロスダイクロイックプリズム23とを備える。
以下、本画像形成部による画像形成の手順に従って、本画像形成部50の機能を説明する。図1において、光源装置2は、画像形成のための照明光となる光源光WLの発生装置である。光源装置2から発生し、射出された光源光WLは、まず、レンズアレイ3を透過する。その後、光源光WLは、ミラー7で反射され、さらに、レンズアレイ4を透過する。ここで、レンズアレイ3、4は、光源光WLの光量を光束断面内で均一化するはたらきがある。光源光WLに含まれている光は全てミラー7で反射されることによって方向転換される。レンズアレイ4を透過後、偏光変換素子アレイ6を透過することによって光源光WLは特定方向の直線偏光光に偏光変換される。さらに、重畳レンズ5を透過した光源光WLは、第1のダイクロイックミラー11によって、光源光WLの一部が、赤色光RLとして分離される。さらに、残りの光源光WLは、第2のダイクロイックミラー12によって緑色光GLと青色光BLとに分離される。第1のダイクロイックミラー11は、赤色光波長以下の光を透過し、それ以外の光を反射する特性を持つ。これにより、ある波長帯の光は、赤色光RLとしてダイクロイックミラー11を透過する一方、他の光は、ダイクロイックミラー11において反射される。また、第2のダイクロイックミラー12は、緑色光波長以下の光を反射し、それ以外の光を透過する性質を持つ。これにより、光源光WLのうち、ダイクロイックミラー11によって反射された光は、さらに、緑色光GLと青色光BLとに分離される。以上のダイクロイックミラーの機能により、光源光WLは、波長帯ごとに赤色光RL、緑色光GL、青色光BLに分離される。
分離された赤色光RL、緑色光GL、青色光BLは、それぞれ偏光光学素子である偏光子20r、20g、20bを介して直線偏光性が高められ、照明光として液晶ライトバルブ19r、19g、19bに入射する。液晶ライトバルブ19r、19g、19bにおいて照明光の処理が行われ、投影画像に対応する画素単位で偏光面の変調が行われる。このような変調光は、さらに、プリポラライザ22r、22g、22bと検光子21r、21g、21bを介して直線偏光に変換され、像光としてクロスダイクロイックプリズム23に導かれる。この際、各光路は、以下の通りである。
赤色光RLは、ミラー8で反射された後、フィールドレンズ15によって入射角度が調整され、偏光子20rを介して液晶ライトバルブ19rに導かれ、液晶ライトバルブ19rを照射する。液晶ライトバルブ19rによって変調光が形成され、形成された変調光に対応する像光は、さらにプリポラライザ22r及び検光子21rを介してクロスダイクロイックプリズム23で他の像光と結合される。緑色光GLも同様に、ダイクロイックミラー12での反射された後、フィールドレンズ16によって入射角度が調整され、偏光子20gを介して液晶ライトバルブ19gに導かれ、液晶ライトバルブ19gを照射する。液晶ライトバルブ19gによって変調光が形成され、形成された変調光に対応する像光は、さらにプリポラライザ22g及び検光子21gを介してクロスダイクロイックプリズム23で結合される。青色光BLは、ダイクロイックミラー12を透過し、ミラー9及び10で反射された後、フィールドレンズ15によって入射角度が調整され、偏光子20bを介して液晶ライトバルブ19bに導かれ、液晶ライトバルブ19bを照射する。液晶ライトバルブ19bによって変調光が形成され、形成された変調光に対応する像光は、さらにプリポラライザ22b及び検光子21bを介してクロスダイクロイックプリズム23で結合される。この場合、青色光BLの光路は、他の光の光路より長くなっている。よってビーム形状の補正が必要となり、かかる補正のためにリレーレンズ13、14等が青色光の光路中に設けられている。
クロスダイクロイックプリズム23において、各液晶ライトバルブ19r、19g、19bによって形成された像が結合され、投影レンズ24によって所望の拡大率の画像がスクリーン等に投影される。
通常上記のような方法でプロジェクタによる投影が行われるが、照明光形成光学系1によって得られた各照明光から液晶ライトバルブ19r、19g、19bによって像光を形成する際、種々の偏光光学素子を用いて直線偏光を得ることは不可避である。そのため、本発明においても偏光子20r、20g、20bやプリポラライザ22r、22g、22bなどの偏光光学素子が設けられている。
図2は、当該光変調装置18における緑色光路上に配置された液晶ライトバルブ19g及びその他の光学部材を透過する偏光の様子を説明する斜視図である。平行に並ぶ各光学素子の平面に対し、平行であって、横である方向をx方向、同じく平行であって、縦である方向をy方向とする。緑色光GLは、図面左方より、偏光子20gに入射し、直線偏光が選択される。偏光子20gを透過することによって得られた直線偏光GLの偏光面の方向をA1とする。本実施形態においては、方向A1は、y方向に平行であるものとする。その後緑色光GLは、液晶ライトバルブ19gを通過することにより、偏光面の方向が、方向A2となる。本実施形態においては、方向A2は、x方向に平行であるものとする。即ち、液晶バルブ19gにおいて直線偏光の偏光面は、完全に90°ねじれるものとする。さらに、当該偏光は、プリポラライザ22g及び検光子21gを通過し、像光としてクロスダイクロイックプリズム23で他の像光と結合する。尚、方向A3は、プリポラライザ22g内の偏光膜PFの光学軸の軸方向を示す。通常、プリポラライザ等の光学素子は、ガラス基板に上記偏光膜を貼付することによって形成される。即ち、方向A3がプリポラライザ22gの光学軸の方向である。尚、dは、プリポラライザ22g内の偏光膜PFの厚さを示す。
最適な状態で直線偏光を射出光として得るためには、液晶ライトバルブ19gの前後において、当該光学素子(ここでは偏光子20gとプリポラライザ22g)間の光学軸が、液晶ライトバルブ19gのねじれに合うようにお互いに直交していなくてはならない。よって、プロジェクタの製造において光学軸を当該ねじれに合うようにお互いに直交させておくことは常識である。しかし、製造の過程上厳密にねじれに合うようにお互いに直交させておくことは事実上不可能であり、必ず偏光面の方向と光学軸の軸方向とにわずかなずれが生じる。即ち、方向A2と方向A3とが一致しない。尚、本実施形態においては、プリポラライザ22gが備える偏光膜PFが複屈折性を持つものとする。
複屈折現象は、入射偏光の偏光面の方向が光学素子の光学軸に対して傾いているときに生じる。複屈折における屈折率のうち、屈折率の大きいもの(即ち遅く進むもの)をn、小さいもの(即ち速く進むもの)をnとする。この値の異なる二つの屈折率が存在するため(即ち複屈折により偏光の光学軸に対する垂直成分と水平成分とで速度に差が生じるため)にリタデーションと呼ばれる位相差が生じる。さらに、後述される説明のため、屈折率差Δnを、Δn=n−nと定めることとする。方向A2と方向A3との不一致により、屈折率差Δnに対応する複屈折現象がプリポラライザ22gを通過する際に生じる。
上記のように、複屈折現象においては、光学軸に対する傾きを考察する必要がある。図3は、緑色光GL光路の向きから見て、方向A1、A2、A3を重ね合わせた図である。上述した方向A2と方向A3とのずれ(即ち入射偏光の偏光面の方向と偏光膜PFの光学軸の方向とのなす角)をθで表す。図3においては、見やすくするため大袈裟に描かれているが、無論実際にはθは非常に小さいものである。θが大きくなるほど複屈折現象は顕著となり、コントラスト低下の要因となる。
尚、これまで緑色光GLについて考察したが、全く同様のことが赤色光RLと青色光BLとについても行える。つまり、プリポラライザ22r、22bがそれぞれ備える偏光膜PFによって複屈折現象が生じる。
リタデーションによるコントラストの低下を測るための指標として、入射光強度Iと光学素子内に吸収される光強度Iとの比であるT−cross値を用いる。つまり、T−cross値TをT=I/Iで定義する。
定義から明らかなように、T−cross値Tが大きいほどもとのエネルギーに対する吸収されるエネルギーの割合が大きくなり、射出光の割合は小さくなる。また、吸収されるエネルギーにばらつきが生じることにより、コントラストの影響が顕著となる。従って、T−cross値TとTの変動量とがともに小さいことが望ましい。
尚、T=I/Iは、入射偏光と光学素子の光学軸とのなす角θ、屈折率差Δn、複屈折光学素子である偏光膜PFの厚さd、及び光の波長λを用いて、
T=I/I=sinθ・sin(πΔnd/λ)
で表されることが知られている。Δndは、位相差値を示している。位相差値ΔndをR=Δndで表すこととする。
ここで、上式よりT−cross値Tは、一般に、入射偏光と光学素子の光学軸とのなす角θ、光の波長λ及び位相差値Rの3変数函数であると考えられるが、入射偏光の偏光面の方向と光学素子である偏光膜PFの光学軸の方向とのなす角θは、製造の過程におけるずれによって定まるものであるから、一旦製品が出来上がってしまえば、ある定数と考えてよい。θを定数とした場合、T−cross値Tは、Rおよびλについての三角函数となり、sinθは、Tにおける振幅となるので、θは小さいほど好ましい。実際、θ=0であれば、T−cross値Tは、恒等的に0である。本実施形態では、θ=1°とする。製造上の誤差として十分であると考えられるからである。よって、Tを位相差値Rと光の波長λとの2変数函数として取り扱う。
ここで、位相差値Rは、屈折率差Δnと光学素子の厚さdとの積であり、双方とも光学素子によって定まるものであるから、位相差値Rも当該光学素子(ここではプリポラライザ内にある偏光膜PF)によって定められる変数である。一方、光の波長λは、当該偏光ごとに定まる変数である。
従って、本実施形態においては、上記位相差値Rを光の波長λに応じて制御することによって、適切なT−cross値Tを保つための位相差値を持つ光学素子を得ることを目的とする。これにより、本発明の目的は達せられる。
図4は、入射偏光と光学素子の光学軸とのなす角θをθ=1°とし、横軸に光の波長λをとった際の、位相差値ごとのT−cross値Tの変化を示すグラフである。光の波長λは、略すべての可視光領域を示す400〜700nmの範囲が示されている。位相差値Rは、0nmから1500nmまでのものを100nmおきに選んでいる。照明光形成光学系1によって色分離された各光路上の光はそれぞれ別の波長帯を持っているので、波長帯領域に応じて適切な位相差値を持つ光学素子を選択すれば良い。
一方、図5は、入射偏光と光学素子の光学軸とのなす角θをθ=1°とし、横軸に位相差値Rをとった際の、帯域を持つ照明光ごとのT−cross値Tの変化を示すグラフである。位相差値Rは、図4同様0〜1500nmとする。一方、各照明光の波長λはひとつの値ではなく、帯域を持ったものである。よってT−cross値Tは、帯域を持つ照明光の合成として検出される。このため、図5は、赤色光、緑色光、青色光についてそれぞれ狭帯域及び広帯域の偏光についてのグラフを示している。
本発明の目的を達するための目安として、T−cross値が、図5のグラフ上の最大値の約半分以下に低減されることとする。約半分以下に低減されれば、コントラストの低下を十分防ぐことが可能と考えられるからである。グラフの値としては、0.000020%を目標とする。
位相差値Rは、図5のグラフから読み取れるように、例えば、赤色光に対しては、150nm以下又は450〜750nm又は1050〜1350nmであり、緑色光に対しては、130nm以下又は400〜700nm又は950〜1250nmであり、青色光に対しては、100nm以下又は350〜550nm又は800〜1000nm又は1250〜1450nmであれば目的に適った光学素子が得られる。もちろんT−cross値Tは、位相差値Rによって周期的に変化するので、位相差値Rとしてもっと大きな値を取ることも可能である。
現実的に、偏光膜PFの作成を行う場合、位相差値Rは、R=Δndであり、屈折率差Δnは、光学素子である偏光子22gによって定まっている。また、厚さdは、偏光子22gに貼付された偏光膜PFの厚さである。よって、光学素子(ここでは偏光膜PF)の素材とその厚さを決めることによって位相差値Rを上記のいずれか可能なものを選び、最適なものとすることが出来る。
上記位相差値を持つ偏光膜PFを各光路に存在するプリポラライザ22r、22g、22bに用いることによって本発明の目的は達せられる。
尚、本実施形態においては、光学素子としてプリポラライザ22r、22g、22bのみに着目したが、他の複屈折性を持つ様々な光学素子に対しても、同様の技術を用いることが可能である。例えば、本実施形態においては、プリポラライザ22r、22g、22bは、液晶ライトバルブ19r、19g、19bと検光子21r、21g、21bとの間に置かれているが、プリポラライザ22r、22g、22bと同様のはたらきを示し、同じく複屈折性を持つ光学素子を液晶ライトバルブ19r、19g、19bと偏光子20r、20g、20bとの間に設置しても良い。
以上、実施形態に即して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、本実施形態とは異なるタイプのプロジェクタで公知のものである、白色光源からの光源光をミラー等で集光してロッドインテグレータの入射端に入射させて、ロッドインテグレータの射出端で均一な照明光を得るとともに、この照明光によって、ロッドインテグレータの射出端に対面配置した単一のカラー表示型の液晶ライトバルブを直接照明するタイプのプロジェクタにおいても仕様に応じて適宜変更することにより上記実施形態の光学素子を用いることは可能である。
また、本実施形態において、液晶ライトバルブ19r、19g、19bによる偏光面の回転角度は説明のため90°としたが、一般には厳密に90°とは限らない。しかし、偏光面の方向と光学素子の光学軸の方向とに誤差が生じるのは90°でない場合であっても同様の現象を考えることができ、本発明を適用することによって同様の効果が得られる。
本実施形態におけるプロジェクタ内の画像形成部の構造を概念的に説明する平面図である。 本実施形態の光変調装置における緑色光路上に配置された光学素子及び液晶ライトバルブを透過する偏光の様子を説明する斜視図である。 緑色光GL光路の向きから見た際の直線偏光面の方向及び複屈折性を持つ光学素子の光学軸方向を示す図である。 は、光の波長λを横軸にとった際の異なる位相差値RごとのT−cross値Tの変化を示すグラフである。 は、位相差値Rを横軸にとった際の異なる光の波長帯域ごとのT−cross値Tの変化を示すグラフである。
符号の説明
1…照明光形成光学系、 11、12…ダイクロイックミラー、18…光変調装置、 19r、19g、19b…液晶ライトバルブ、 20r、20g、20b…偏光子、 21r、21g、21b…検光子、 22r、22g、22b…プリポラライザ、 PF…偏光膜

Claims (9)

  1. 所定方向に偏光した照明光によって照明される光変調素子と、
    前記光変調素子の入射側及び射出側の少なくとも一方側に設置されるとともに、所定の基準軸から傾いて設置された場合に複屈折性に起因して生じる位相差の影響を前記光変調素子に入射する照明光の波長に応じて低減可能な位相差値に予め設定された光学素子と、
    を備える光学装置。
  2. 前記光変調素子による位相差値は、前記光学素子に入射する照明光の中心波長の整数倍であることを特徴とする請求項1記載の光学装置。
  3. 前記光学素子による前記位相差値は、赤色光波長域に対しては、150nm以下、450〜750nm、及び1050〜1350nmのいずれかであり、緑色光波長域に対しては、130nm以下、400〜700nm、及び950〜1250nmのいずれかであり、青色光波長域に対しては、100nm以下、350〜550nm、800〜1000nm、及び1250〜1450nmのいずれかであることを特徴とする請求項2記載の光学装置。
  4. 前記光変調素子の入射側に配置される第1偏光素子と、前記光変調素子の射出側に配置される第2偏光素子とをさらに備えることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項記載の光学装置。
  5. 前記第1偏光素子と第2偏光素子とは、クロスニコルに配置されていることを特徴とする請求項4記載の光学装置。
  6. 前記光学素子は、前記第1偏光素子から前記第2偏光素子にかけての光路上に配置されることを特徴とする請求項4及び請求項5のいずれか一項記載の光学装置。
  7. 前記光学素子は、偏光子であることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項記載の光学装置。
  8. 各色の照明光を発生する照明装置と、
    各色の照明光ごとに設けられ、画像情報に応じて前記各色の照明光を個別に変調して像光をそれぞれ形成する請求項1から請求項7のいずれか一項記載の各色用の光学装置である各色の光変調装置と、
    を備えることを特徴とするプロジェクタ。
  9. 前記照明装置は、白色光を光源光として発生させる光源装置から射出された前記光源光を、波長帯域ごとに分離して各色の照明光とする照明光形成光学系を有し、
    前記各色の光変調装置から射出される各色の像光を合成する合成光学系と、合成後の像光を投射する投射光学系とをさらに備えることを特徴とするプロジェクタ。
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