JP2005249644A - 圧力センサデバイスおよびそれを用いた回路およびシステム - Google Patents

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Abstract

【課題】 従来の構成では、Si基板を用いて作製するため、フレキシブルプリント基板をSi基板に接合し、Si基板を加工しなければならず、工程が複雑であるという課題があった。
【解決手段】 本発明の圧力センサデバイス11によれば、フレキシブル基板1上に有機FETで構成されるため、製造が容易である。具体的には、この有機FETは、有機半導体層2、絶縁層5、ゲート6、ドレイン3、ソース4によって構成され、有機半導体層2がπ共役系高分子によって形成され、絶縁層5が有機絶縁物によって形成され、圧電ポリマー層7の圧電材料がゲート6と電気的に接続している。
【選択図】 図1

Description

本発明は、有機材料を用いた半導体によって構成される圧力センサデバイスに関し、特にそれを用いた回路、システム、および、コンピュータインターフェースに関する。
ロボットアームは、一般的に視覚のフィードバックにより操作されている。しかし、視覚センサから離れた位置で微細な操作を行なうことが困難であった。このため、フィードバック制御の入力装置に、視覚以外のセンサである触覚センサの実現が望まれている。これにより、微妙な位置調整が可能となる(例えば、特許文献1参照)。図8は、前記特許文献1 に記載された従来の圧力センサチップの断面図を示している。
図8を用いて、従来例の圧力センサデバイスの動作を説明する。Si基板112の表面にMOS-FET122が形成されている。そのMOS-FET122の上に圧電材料としてポリフッ化ブニリデン(PVDF)層128が形成されている。
PVDF膜128に圧力がかかることで、MOS-FET122のゲートに電圧が印加される。これにより、ソース・ドレイン間のチャネル抵抗が変化する。この変化量からPVDF膜128にかかる圧力を検知できる。
また、MOS-FET122が形成されている部分以外にSi基板とフレキシブルプリント基板118を接合させ、MOS-FET122が形成されている部分以外のSi基板を除去することで、圧力センサデバイスを分離する。これにより、基板の柔軟性が得られる。
次に、この従来例の圧力センサチップの製造方法について、図9、10を用いて説明する。
(1) Si基板112を異方性エッチングによりメサ114を形成する(図9(1))。
(2) メサ114が形成されていない部分にフレキシブルプリント基板118をSi基板に接合させる(図9(2))。
(3) メサ114の上面にMOS−FET122をイオン注入などによって形成する(図9(3))。
(4) Si基板112の裏面をエッチングすることによって、圧力センサデバイス同士の分離を行なう(図10(4))。
(5) 圧電材料としてポリフッ化ビニリデン(PVDF)膜118を圧着して積層させる(図10(5))。
(6)表面保護層132によって、基板表面をコーティングする(図10(6))。
このような方法で作製された触覚センサチップは、小型化されたチップがマトリックス状に配置されるため分解能が高い。また、フレキシブルプリント基板128上に構成されるので、基板の柔軟性が高く、取り付け箇所の形状による制約が少ない。
特開平7−19975号公報(第3−4頁、図1−4) 特開平9−293913号公報 Takao Someya et. al., "Integration of Organic Field-Effect Transitors and Rubbery Pressure Sensors for Artificial Skin Applications",2003 IEEE,0-7803-7873-3/03/$17.00(特に図4および図5(b))
しかしながら、前記従来例では、Si基板を用いているため、基板の柔軟性を得るために、フレキシブルプリント基板を接合し、Si基板を加工しなければならず、工程が複雑という課題を有していた。
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、有機半導体を用いた圧力センサデバイスを提供することを目的とする。
本発明の圧力センサデバイスは、フレキシブル基板上に、有機材料で形成された有機FETと圧電材料によって構成され、前記有機FETが、有機半導体、絶縁層、ゲート、ドレイン、ソースによって構成され、前記有機半導体がπ共役系高分子によって形成され、前記絶縁層が有機絶縁物によって形成されることを特徴とする。
本発明の圧力センサデバイスは、前記フレキシブル基板上に、前記有機半導体を蒸着によって成膜した後、前記ドレインおよび前記ソースの電極を形成し、前記絶縁層を蒸着によって成膜した後、前記ゲートの電極を形成することで、有機FETを作製した後、圧電材料を圧着によって接合し、表面保護層をコーティングすることによって製造されることを特徴とする。
本発明の圧力センサデバイスを用いた回路は、前記圧力センサデバイスによって構成された圧電検知器と、前記有機FETによって構成されたAD変換器と送信器とを備え、前記圧電検知器は、前記圧電検知器にかかる圧力を電圧に変換し、前記AD変換器は、前記電圧をデジタル信号に変換し、前記送信器は、前記デジタル信号と固有信号を送信することを特徴とする。
本発明の圧力センサデバイスを用いたシステムは、前記圧力センサデバイスを用いた回路を複数個と信号処理チップとを備え、前記信号処理チップは、受信器と処理LSIから成り、前記受信器は、前記圧力センサデバイスを用いた回路の前記送信器から送信された前記デジタル信号と前記固有信号を受信し、前記処理LSIにそれらを伝達し、前記処理LSIは、前記デジタル信号と前記固有信号とによって信号を処理し、前記圧力センサデバイスを用いた回路と前記信号処理チップが通信線によって接続されていることを特徴とする。
また、本発明の別の圧力センサデバイスを用いたシステムは、前記圧力センサデバイスを用いた回路が送信アンテナを有し、前記信号処理チップが受信アンテナを有し、前記圧力センサデバイスを用いた回路と前記信号処理チップが無線によって通信することを特徴とする。
本発明のコンピュータインターフェースは、圧力センサデバイスを用いたシステムによって構成されたことを特徴とする。
本発明の圧力センサデバイスによれば、製造工程が簡単であり、フレキシブル基板で柔軟性があるため取り付け箇所に制約が少ない。
以下本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
<構成>
図1は、本実施形態の圧力センサデバイス11の断面図である。1はフレキシブル基板、2は半導体層、3はドレイン、4はソース、5は絶縁膜、6はゲート、7は圧電ポリマー層、8は表面保護層である。
本実施形態では、一例として、フレキシブル基板1として、ポリイミドプラスチックを用いた。また、半導体層2には、π共役系有機高分子材料であるポリチオフェンを用いる。ドレイン3、ソース4、ゲート6のそれぞれの電極には、導電金属であるアルミニウムを用いる。絶縁層5には、ポリビニルフェノール(PVPh)を用いた。このような材料を用いることで、有機材料を用いた有機FETを形成する。さらに、有機FETからなる絶縁体5のゲートの上面に、圧電ポリマー層7であるポリフッ化ビニリデン(PVDF)を用いる。表面保護層8として、シリコーンゴムを用いる。
この有機FETは、プラスチックなどのフレキシブル基板1上で形成されるため、基板を加工する必要がなく、取り付け箇所の制約が少ない。
<製造方法>
次に、本実施形態の圧力センサデバイス11の製造方法を、図2〜4を用いて説明する。
(1) フレキシブル基板1上に半導体層2であるポリチオフェンを蒸着によって成膜する(図2(1))。
(2) 導電金属であるアルミニウムを蒸着し、レジストによりパターンを転写し、ドレイン3とソース4の電極を形成する(図2(2))。
(3) 絶縁層5であるPVPhを蒸着によって成膜する(図3(3))。
(4) 導電金属であるアルミニウムを蒸着し、レジストによりパターンを転写し、ゲート6の電極を形成する(図3(4))。
(5) 圧電ポリマー層7として、圧電材料であるPVDFを圧着して積層させる(図4(5))。
(6) 表面保護層8として、シリコーンゴムで表面をコーティングする(図4(6))。
さらに、有機FETの作製方法として、インクジェットや輪転機などの印刷プロセスなども適用できる。この製造プロセスでは、工程が簡略化でき、大幅にコストを下げることも可能になる。
<検知方法>
圧電ポリマー層7に圧力が加わった状態では、ピエゾ効果により圧電ポリマー層7に電圧が発生する。圧電ポリマー層7は有機FETのゲート6に電気的に接続しているため、圧電ポリマー層7に発生した電圧によって、有機FETのソース4とドレイン5と間の有機半導体層2に形成されるチャネルの抵抗が変化する。この変化量から、圧電ポリマー層7に加わった圧力が検知できる。
以上のように、本発明の圧力センサデバイス11によって、フレキシブル基板上に有機FETを用いたデバイスの容易な作製が可能となる。従来では、Si基板を用いて作製するため、フレキシブルプリント基板をSi基板に接合し、Si基板を加工しなければならず、工程が複雑であった。
なお、有機FETの材料は、フレキシブル基板上に作製できる有機材料であれば、どのようなものでも構わない。また、本実施形態では、圧電ポリマー層としてPVDFを用いたが、これに限られるものではなく、圧力に応じて電圧が発生する材料であれば、どのようなものでも構わない。
(実施の形態2)
図5は、本実施形態の圧力センサデバイスを用いた回路図である。21は圧力センサチップ、12は圧電検知器、13はAD変換器、14は送信器である。
図5のように、圧力センサデバイスを用いた回路は、圧電検知器12、AD変換器13、送信器14によって構成されている。圧力検知器12は、実施の形態1において説明した圧力センサチップ11を内蔵している。
圧力センサチップ11に圧力がかかると圧電材料により圧力に応じた大きさの電圧が発生する。圧電検知器12は、その電圧を検知する。検知された電圧をAD変換器13によって、デジタル信号に変換する。この変換された信号を送信機14によって、送信する。
これらの圧力センサデバイスを用いた回路には、実施の形態1で述べたデバイスを用いているため、取り付け箇所の制限が少ない。
以上にように、本発明の圧力センサデバイスの回路によって、圧力センサデバイスにかかった圧力をデジタル信号に変換し、送信することが可能となる。なお、圧電ポリマーの出力電圧を増幅する昇圧回路などを設けてもよい。
(実施の形態3)
図6は、本実施形態の圧力センサデバイスを用いたシステムを示す。15は信号処理チップ、16は受信器、17は処理LSI、18は通信線である。
図6のように、実施の形態2において説明された圧力センサチップ21a〜eのそれぞれが、処理LSI17に通信線18によって接続されている。各圧力センサチップ21a〜eには、それぞれ固有信号である固有の識別番号が付与されている。各圧力センサチップ21a〜eから送信された信号は受信器16によって受信される。固有の識別番号と受信された信号によって、処理LSI17が処理する。
以上のように、圧力センサデバイスを用いた回路を複数個用意し、それらから送信される信号を有線によって接続された処理LSIによって情報を処理することが可能となる。
(実施の形態4)
図7は、本実施形態の圧力センサデバイスを用いたシステムを示す。19は送信アンテナ、20は受信アンテナである。
図7のように、実施の形態3と異なるのは、圧力センサチップ21a〜eと処理LSI17とが通信線18ではなく、無線によって通信している点である。無線通信により、有線通信に比べ、圧力センサデバイス回路11の取り付け箇所の制限が少なくなる。各圧力センサチップ21a〜eは、送信アンテナ19によって、信号を送信する。送信された信号は、処理LSI17の受信アンテナ20で受信される。実施の形態3と同様に、固有の識別番号と受信信号によって、処理LSI17が処理する。
以上のように、圧力センサデバイスを用いた回路を複数個用意し、それらから送信される信号を無線によって接続された処理LSIによって情報を処理することが可能となる。
(実施の形態5)
実施の形態3または4の圧力センサデバイスを用いたシステムを、コンピュータのインターフェースへ応用することができる。複数の圧力センサデバイスを体の各部、一例として、手の指に取り付ける。手で実際の物に触れ、圧力センサデバイスのそれぞれが独立に取得した圧力に関する情報を処理LSIで処理する。このシステムを用いることにより、より臨場感あふれ、かつ使いやすいコンピュータインターフェースにすることが可能となる。
以上説明したように、本発明の圧力センサデバイスによって、有機FETを用いているため、製造が容易なデバイスが可能となる。また、本発明の圧力センサデバイスを用いた処理システムでは、各圧力センサデバイスを用いた回路を独立に複数用意し、それらの信号を処理するというシステムであるため、より複雑な情報を扱うことができる。さらに、そのシステムを応用して、コンピュータインターフェースに応用することが可能である。これにより、さらに容易なインターフェースが構築できる。
本発明にかかる圧力センサデバイスは、圧力の情報を得るセンサ等として有用である。また、コンピュータインターフェースの用途にも応用できる。
本発明の実施の形態1における圧力センサデバイスの断面図 本発明の実施の形態1における圧力センサデバイスの製造方法(1),(2)を示した図 図2に続く、本発明の実施の形態1における圧力センサデバイスの製造方法(3),(4)を示した図 図3に続く、本発明の実施の形態1における圧力センサデバイスの製造方法(5),(6)を示した図 本発明の実施の形態2における圧力センサデバイスを用いた回路図 本発明の実施の形態3における圧力センサデバイスを用いたシステム図 本発明の実施の形態3における圧力センサデバイスを用いたシステム図 従来例における圧力センサデバイスの断面図 従来例における圧力センサデバイスの製造方法(1),(2),(3)を示した図 図9に続く、従来例における圧力センサデバイスの製造方法(4),(5),(6)を示した図
符号の説明
1 フレキシブル基板
2 有機半導体層
3 ドレイン
4 ソース
5 絶縁層
6 ゲート
7 圧電ポリマー層
8 表面保護層
11 圧力センサデバイス
12 圧電検知器
13 AD変換器
14 送信器
15 信号処理チップ
16 受信器
17 処理LSI
18 通信線
19 送信アンテナ
20 受信アンテナ
112 Si基板
114 メサ
118 フレキシブルプリント基板
122 MOS-FET
128 PVDF層
132 表面保護層

Claims (11)

  1. フレキシブル基板上に、有機材料で形成された有機FETと圧電材料によって構成されることを特徴とする圧力センサデバイス。
  2. 前記有機FETが、有機半導体、絶縁層、ゲート、ドレイン、ソースによって構成され、
    前記有機半導体がπ共役系高分子によって形成され、
    前記絶縁層が有機絶縁物によって形成され、
    前記圧電材料が前記ゲートと電気的に接続していることを特徴とする請求項1に記載の圧力センサデバイス。
  3. 前記有機半導体がポリチオフェン系化合物であり、前記絶縁層がポリビニルフェノールであることを特徴とする請求項2に記載の圧力センサデバイス。
  4. 前記圧電材料がポリフッ化ビニリデンであることを特徴とする請求項3に記載の圧力センサデバイス。
  5. 前記フレキシブル基板上に、前記有機半導体を蒸着によって成膜した後、前記ドレインおよび前記ソースの電極を形成し、
    前記絶縁層を蒸着によって成膜した後、前記ゲートの電極を形成することで、有機FETを作製した後、
    圧電材料を圧着によって接合し、表面保護層をコーティングすることを特徴とする請求項2に記載の圧力センサデバイスの製造方法。
  6. 請求項2に記載の前記圧力センサデバイスによって構成された圧電検知器と、前記有機FETによって構成されたAD変換器と送信器とを備え、
    前記圧電検知器は、前記圧電検知器にかかる圧力を電圧に変換し、
    前記AD変換器は、前記電圧をデジタル信号に変換し、
    前記送信器は、前記デジタル信号と固有信号を送信することを特徴とする圧力センサデバイスを用いた回路。
  7. 前記圧電検知器から出力される前記電圧を増幅する装置を備えていることを特徴とする請求項6に記載の圧力センサデバイスを用いた回路。
  8. 請求項6に記載の前記圧力センサデバイスを用いた回路を複数個と信号処理チップとを備え、
    前記信号処理チップは、受信器と処理LSIから成り、
    前記受信器は、前記圧力センサデバイスを用いた回路の前記送信器から送信された前記デジタル信号と前記固有信号を受信し、前記処理LSIにそれらを伝達し、
    前記処理LSIは、前記デジタル信号と前記固有信号とによって信号を処理することを特徴とする圧力センサデバイスを用いたシステム。
  9. 前記圧力センサデバイスを用いた回路と前記信号処理チップが通信線によって接続されていることを特徴とする請求項8に記載の圧力センサデバイスを用いたシステム。
  10. 前記圧力センサデバイスを用いた回路が送信アンテナを有し、前記信号処理チップが受信アンテナを有し、
    前記圧力センサデバイスを用いた回路と前記信号処理チップが無線によって通信することを特徴とする請求項8に記載の圧力センサデバイスを用いたシステム。
  11. 前記請求項9または請求項10に記載のいずれかの圧力センサデバイスを用いたシステムによって構成されたことを特徴とするコンピュータインターフェース。

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