JP2005239894A - 感光性組成物及びそれを用いた画像記録材料 - Google Patents

感光性組成物及びそれを用いた画像記録材料 Download PDF

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Abstract

【課題】 作業性、経済性に優れ、CTPシステムに適合し、安価な短波半導体レーザの発振波長に対し高感度な走査露光用平版印刷版の材料として用いることができ、広く350nmから450nmの波長に対し高感度な新規な光重合開始系を用いる感光性組成物を提供する。
【解決手段】 (i)特定構造を有する多クロモファー型増感色素、(ii)活性剤化合物、及び(iii)ラジカルまたは酸によって反応する重合性化合物を含有する感光性組成物であり、成分(iii)としては、エチレン性不飽和二重結合を有する付加重合性化合物であることが好ましい。
【選択図】 なし

Description

本発明は感光性組成物及びそれを用いた画像記録材料に関する。より具体的には、新規な重合開始系、特に、高感度で且つ安定性に優れた光重合開始系を有する感光性組成物、及びデジタル信号に基づいた走査露光により画像形成可能な画像記録材料に関する。
従来、平版印刷版としては親水性支持体上に親油性の感光性樹脂層を設けた構成を有するPS版が広く用いられ、その製版方法として、通常は、リスフイルムを介してマスク露光(面露光)後、非画像部を溶解除去することにより所望の印刷版を得ていた。
近年、画像情報をコンピュータを用いて電子的に処理、蓄積、出力する、ディジタル化技術が広く普及してきている。そして、その様なディジタル化技術に対応した新しい画像出力方式が種々実用される様になってきた。その結果レーザ光のような指向性の高い光をディジタル化された画像情報に従って走査し、リスフイルムを介す事無く、直接印刷版を製造するコンピュータ・トゥ・プレート(CTP)技術が切望されており、これに適応した印刷版用原版を得ることが重要な技術課題となっている。
このような走査露光可能な平版印刷版を得る方式の一つとして、従来より、親水性支持体上に設けるインク受容性の感光性樹脂層(以下、感光層という)として、感光スピードに優れた光重合系組成物を用いた構成が提案され、既に上市されている。該構成の原版は、現像処理が簡便であり、さらに解像度、着肉性、耐刷性、汚れ性に優れるといった望ましい刷版、印刷性能を有する。
上記光重合性組成物は基本的にはエチレン性不飽和化合物、光重合開始系、及びバインダー樹脂からなり、画像形成は、光開始系が光吸収し、活性ラジカルを生成してエチレン性不飽和化合物の付加重合を引き起こし、感光層の不溶化を生じるものである。従来の、走査露光可能な光重合性組成物に関する提案の大部分は、感光性に優れた光開始系の使用を開示したものであり、例えば、非特許文献1(Bruce M. Monroeら著、Chemical Revue,93,435(1993))および非特許文献2(R.S.Davidson著、Journal of Photochemistry and biology A:Chemistry,73.81(1993))等に多く記載されている。
これらの光開始系からなる光重合性組成物と光源としてArレーザー(488nm)やFD−YAGレーザー(532nm)のような長波長の可視光源を用いた、従来のCTPシステムに関しては、製版行程の生産性を上げるために、さらに高速で書き込む事が望まれているが、光源の出力が十分高くないことや感材の感度が十分高くないためにその目的は達成されていない。
一方、近年、例えば、InGaN系の材料を用い、350nmから450nm域で連続発振可能な半導体レーザが実用段階となっている。これらの短波光源を用いた走査露光システムは、半導体レーザが構造上、安価に製造できるため、十分な出力を有しながら、経済的なシステムを構築できるといった長所を有する。さらに、従来のFD−YAGやArレーザを使用するシステムに比較して、より明るいセーフライト下での作業が可能な感光域が短波な感材が使用できる。
しかしながら、350nmから450nmの短波長域で走査露光に十分な感度を有する光開始系は現在までに知られていない。従来、比較的感度の高い光開始系として特定の色素とチタノセン化合物の組み合わせた開始系が開示されている。例えば、特許文献1(特開平9−230913号公報)においてカルバゾール誘導体とチタノセン光開始剤の組み
合わせが開示されているが、吸収波長が長波長なために短波長光源には適さない。また、特許文献2(特開平9−80750号公報)ではスチリル系色素とチタノセンの組み合わせが開示されており、確かに高感度であったが十分ではなかった。さらに、特許文献3(特開昭62−212643号公報)及び特許文献4(特開昭63−32540号公報)にはカルバゾール誘導体とトリアジン光開始剤の組み合わせが、特許文献5(特開昭63−32539号公報)においてはカルバゾール誘導体とヨードニウム塩光開始剤との組み合わせが、また特許文献6(特開昭63−325401号公報)ではカルバゾール誘導体とチオキサントン型光開始剤との組み合わせがそれぞれ開示されているが、実用上十分な感度は得られず、保存安定性にも問題があった。
Bruce M. Monroeら著、Chemical Revue,93,435(1993) R.S.Davidson著、Journal of Photochemistry and biology A:Chemistry,73.81(1993) 特開平9−230913号公報 特開平9−80750号公報 特開昭62−212643号公報 特開昭63−32540号公報 特開昭63−32539号公報 特開昭63−325401号公報
本発明の目的は、高感度で新規な重合開始系を有する感光性組成物、及びそれを用いた画像記録材料を提供することにある。また、本発明のさらなる目的は、作業性、経済性及び保存安定性に優れ、安価な短波半導体レーザの発振波長に対し高感度な感光性組成物を提供すること、並びに、それを用いることによりCTPシステム等に適合したレーザ走査露光用の高感度な画像記録材料を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、増感色素として特定構造の多クロモファー構造を持つ増感色素と活性剤化合物とを組み合わせた場合に、感度・安定性に非常に優れた光重合開始系が得られ、特に350nmから450nmでの露光に適した光重合開始系が得られる事を見出したものである。さらに、この光重合開始系と、ラジカルまたは酸によって反応しその物理的または化学的特性が変化して保持される化合物、具体的にはエチレン性不飽和二重結合を有する重合性化合物とを含有する感光性組成物を用いた画像記録材料により、短波半導体レーザの発振波長に対し十分な感度を有し、しかも、明るいセーフライト下でも取り扱う事のできる平版印刷版用原版が得られる事を見出し、本発明に到達したものである。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
1. (i)一般式(1)で表される増感色素、
(ii)一般式(1)で表される増感色素の光吸収により生じる電子励起状態との相互作
用により化学変化を起こし、ラジカルまたは酸を生成する活性剤化合物、および
(iii)ラジカル又は酸の少なくともいずれかによって反応する重合性化合物を含有する感光性組成物。
Figure 2005239894
(式中、R1は水素原子または一価の非金属原子団を表す。Arは置換もしくは非置換のアリール基、置換もしくは非置換のヘテロアリール基を表す。Zは隣接する原子と共同して、酸性核を形成するのに必要な2価の非金属原子団を表す。Xは、窒素原子、酸素原子または硫黄原子を表す。ここでXが窒素原子であるときm=3であり、かつn=2もしくは3である。Xが酸素原子または硫黄原子であるときm=2であり、かつn=2である。)
2. 支持体上に、前記1.記載の感光性組成物を含有する感光層を有することを特徴とする画像記録材料。
また、本発明の好ましい実施態様を以下に示す。
3. 親水性表面を有する支持体上に、前記1.記載の感光性組成物を含有する感光層を有する画像記録材料に対し、450nmより短波長のレーザ光源を用いて走査露光を行うことを特徴とする画像記録方法。
本発明の感光性組成物を用いた画像記録材料、例えば平版印刷版用原版は、InGaNの様な短波長の半導体レーザによる走査露光に適した十分な感度を有し、かつ耐刷性・汚れ性に優れている。このような本発明の感光性組成物を用いた走査露光用平版印刷版用原版は、黄色灯下でのカブリが著しく改良されており、版を取り扱う作業性を大幅に改善する事ができる。また、本発明の感光性組成物は感度に優れると同時に、非常に保存安定性に優れたものである。
本発明の感光性組成物は、前記一般式(1)で表される多クロモファー型増感色素と、活性剤化合物と、ラジカルまたは酸によって反応する重合性化合物とを必須構成成分として含有する。
本発明の感光性組成物は、多クロモファー型化合物と活性剤化合物との両者を同時に併用することで、特に350〜450nmの吸収帯に対応する波長域での感度が著しく向上する事を見いだしたものである。
本発明に於ける多クロモファー型増感色素と活性剤化合物との機能は明確ではないが、多クロモファー型化合物が増感色素として機能し、露光光を吸収、励起状態を生成し、共存する活性剤化合物からの開始ラジカル発生を促進するものと考えられる(この様なプロセスを以下、色素増感という)。
本発明の増感色素が特に優れる一つの理由は、その吸収波長が350から450nm域であることにある。また、後述する活性剤化合物の多くは、それ自体、紫外から500nm付近までの波長域に弱い吸収を持ち、そこでも感光性を有するが、本発明の特定構造の増感色素は活性剤の感光性を著しく向上せしめるため、例えば活性剤化合物の使用量を比較的少量にとどめることで、短波での感光性を十分に高めながら、同時に、活性剤自体による500nm域での感光性を低感度にすることが可能であり、セーフライト適性の向上が図れる。本発明者らは、増感色素が次のような構造上の特徴を満たす場合に、上記のような特性が得られることを見出し、本発明に至った。ここで"酸性核"の定義は、T. H. James,"The Theory of The Photographic Process" fourth edition Macmillan の第8章に記載されている。メロシアニンに代表される増感色素は、一般的に1)塩基性(電子供与性)および2)酸性(電子受容性)のヘテロ環を末端に有するが、1)塩基性(電子供与性)ヘテロ環を塩基性核、2)の酸性(電子受容性)ヘテロ環を酸性核と呼ぶ。酸性核、塩基性核の例は先述のT. H. James,"The Theory of The Photographic Process" fourth edition Macmillan の第8章に多数記載されている。
本発明における特定構造の増感色素が特に色素増感能に優れる理由は、色素増感の機構が不明のため、詳述することはできないが、以下の様に考えることができる。即ち、本発明の増感色素は高強度の発光(ケイ光又はリン光)スペクトルを示す。このことから、一つの可能性として、上記構造式(1)を有する本発明の増感色素は励起状態の寿命が比較的長いため、活性剤化合物との反応を、効率化するように作用していることが考えられる。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
(A)光重合開始系
本発明の感光性組成物に使用される光重合開始系は、多クロモファー型増感色素と活性剤化合物からなる。
(A1)増感色素
本発明の感光性組成物に用いられる光重合開始系を構成する多クロモファー型増感色素は、下記一般式(1)で表される化合物である。
Figure 2005239894
(式中、R1は水素原子または一価の非金属原子団を表す。Arは置換もしくは非置換のアリール基、置換もしくは非置換のヘテロアリール基を表す。Zは隣接する原子と共同して、酸性核を形成するのに必要な2価の非金属原子団を表す。Xは、窒素原子、酸素原子または硫黄原子を表す。ここでXが窒素原子であるときm=3であり、かつn=2もしくは3である。Xが酸素原子または硫黄原子であるときm=2であり、かつn=2である
。)
次に、一般式(1)について詳しく説明する。
1は水素原子または一価の非金属原子団であり、好ましくは、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアルケニル基、置換もしくは非置換のアリール基、置換もしくは非置換のヘテロアリール基を表す。
1の好ましい例について具体的に述べる。
好ましいアルキル基の例としては、炭素原子数が1から20までの直鎖状、分岐状、および環状のアルキル基を挙げることができ、その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、2−ノルボルニル基を挙げることができる。これらの中では、炭素原子数1から12までの直鎖状、炭素原子数3から12までの分岐状、ならびに炭素原子数5から10までの環状のアルキル基がより好ましい。
置換アルキル基の置換基としては、水素を除く一価の非金属原子団が用いられ、好ましい例としては、ハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルジチオ基、アリールジチオ基、アミノ基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、N−アリールアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基、N−アルキル−N−アリールアミノ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、N−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカルバモイルオキシ基、N,N−ジアルキルカルバモイルオキシ基、N,N−ジアリールカルバモイルオキシ基、N−アルキル−N−アリールカルバモイルオキシ基、アルキルスルホキシ基、アリールスルホキシ基、アシルチオ基、アシルアミノ基、N−アルキルアシルアミノ基、N−アリールアシルアミノ基、ウレイド基、N′−アルキルウレイド基、N′,N′−ジアルキルウレイド基、N′−アリールウレイド基、N′,N′−ジアリールウレイド基、N′−アルキル−N′−アリールウレイド基、N−アルキルウレイド基、N−アリールウレイド基、N′−アルキル−N−アルキルウレイド基、N′−アルキル−N−アリールウレイド基、N′,N′−ジアルキル−N−アルキルウレイド基、N′,N′−ジアルキル−N−アリールウレイド基、N′−アリール−N−アルキルウレイド基、N′−アリール−N−アリールウレイド基、N′,N′−ジアリール−N−アルキルウレイド基、N′,N′−ジアリール−N−アリールウレイド基、N′−アルキル−N′−アリール−N−アルキルウレイド基、N′−アルキル−N′−アリール−N−アリールウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N,N−ジアリールカルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホ基(−SO3H)及びその共役塩基基(以下、スルホナト基と称す)、アルコキシスルホニル基、アリーロキシスルホニル基、スルフィナモイル基、N−アルキルスルフィナモイル基、N,N−ジアルキルスルフィナモイル基、N−アリールスルフィナモイル基、N,N−ジアリールスルフィナモイル基、N−アルキル−N−アリールスルフィナモイル基、スルファモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N,N−ジアルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモイル基、N,N−ジアリールスルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスルファモイル基、ホスフォノ基(−PO32)及びその共役塩基基(以下、ホスフォナト基と称す)、ジアルキルホスフォノ基(−PO3 (alkyl) 2)、ジアリールホスフォノ基(−PO3 (aryl) 2)、アルキルアリールホスフォノ基(−PO3 (alkyl)(aryl))、モノアルキルホスフォノ基(−PO3H(alkyl))及びその共役塩基基(以後、アルキルホスフォナト基と称す)、モノアリールホスフォノ基(−PO3H(aryl))及びその共役塩基基(以後、アリールホスフォナト基と称す)、ホスフォノオキシ基(−OPO32)及びその共役塩基基(以後、ホスフォナトオキシ基と称す)、ジアルキルホスフォノオキシ基(−OPO3 (alkyl) 2)、ジアリールホスフォノオキシ基(−OPO3 (aryl) 2)、アルキルアリールホスフォノオキシ基(−OPO3 (alkyl)(aryl))、モノアルキルホスフォノオキシ基(−OPO3H(alkyl))及びその共役塩基基(以後、アルキルホスフォナトオキシ基と称す)、モノアリールホスフォノオキシ基(−OPO3H(aryl))及びその共役塩基基(以後、アリールフォスホナトオキシ基と称す)、シアノ基、ニトロ基、アリール基、ヘテロアリール基、アルケニル基、アルキニル基等が挙げられる。
これらの置換基における、アルキル基の具体例としては、前述のアルキル基が挙げられ、アリール基の具体例としては、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、クロロメチルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、フェノキシフェニル基、アセトキシフェニル基、ベンゾイロキシフェニル基、メチルチオフェニル基、フェニルチオフェニル基、メチルアミノフェニル基、ジメチルアミノフェニル基、アセチルアミノフェニル基、カルボキシフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、エトキシフェニルカルボニル基、フェノキシカルボニルフェニル基、N−フェニルカルバモイルフェニル基、シアノフェニル基、スルホフェニル基、スルホナトフェニル基、ホスフォノフェニル基、ホスフォナトフェニル基等を挙げることができる。
ヘテロアリール基としては、窒素、酸素、硫黄原子の少なくとも一つを含有する単環、もしくは多環芳香族環が用いられ、特に好ましいヘテロアリール基の例としては、例えば、チオフェン、チアスレン、フラン、ピラン、イソベンゾフラン、クロメン、キサンテン、ピロール、ピラゾール、イソチアゾール、イソオキサゾール、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドリジン、イソインドリジン、インドイール、インダゾール、プリン、キノリジン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キナゾリン、シノリン、プテリジン、カルバゾール、カルボリン、フェナンスリン、ペリミジン、フェナンスロリン、フタラジン、フェナルザジン、フラザン等が挙げられ、これらは、更にベンゾ縮環しても良く、また置換基を有していても良い。
また、アルケニル基の例としては、ビニル基、1−プロペニル基、1−ブテニル基、シンナミル基、2−クロロ−1−エテニル基、等が挙げられ、アルキニル基の例としては、エチニル基、1−プロピニル基、1−ブチニル基、トリメチルシリルエチニル基等が挙げられる。
一方、置換アルキル基におけるアルキレン基としては前述の炭素数1から20までのアルキル基上の水素原子のいずれか1つを除し、2価の有機残基としたものを挙げることができ、好ましくは炭素原子数1から12までの直鎖状、炭素原子数3から12までの分岐状ならびに炭素原子数5から10までの環状のアルキレン基を挙げることができる。
該置換基とアルキレン基を組み合わせる事により得られるR1として好ましい置換アルキル基の置換基は、任意であるが、好ましい置換アルキル基の具体例としては、クロロメチル基、ブロモメチル基、2−クロロエチル基、トリフルオロメチル基、メトキシメチル
基、メトキシエトキシエチル基、アリルオキシメチル基、フェノキシメチル基、メチルチオメチル基、トリルチオメチル基、エチルアミノエチル基、ジエチルアミノプロピル基、モルホリノプロピル基、アセチルオキシメチル基、ベンゾイルオキシメチル基、N−シクロヘキシルカルバモイルオキシエチル基、N−フェニルカルバモイルオキシエチル基、アセチルアミノエチル基、N−メチルベンゾイルアミノプロピル基、2−オキソエチル基、2−オキソプロピル基、カルボキシプロピル基、メトキシカルボニルエチル基、アリルオキシカルボニルブチル基、クロロフェノキシカルボニルメチル基、カルバモイルメチル基、N−メチルカルバモイルエチル基、N,N−ジプロピルカルバモイルメチル基、N−(メトキシフェニル)カルバモイルエチル基、N−メチル−N−(スルホフェニル)カルバモイルメチル基、スルホブチル基、スルホナトブチル基、スルファモイルブチル基、N−エチルスルファモイルメチル基、N,N−ジプロピルスルファモイルプロピル基、N−トリルスルファモイルプロピル、N−メチル−N−(ホスフォノフェニル)スルファモイルオクチル基、ホスフォノブチル基、ホスフォナトヘキシル基、ジエチルホスフォノブチル基、ジフェニルホスフォノプロピル基、メチルホスフォノブチル基、メチルホスフォナトブチル基、トリルホスフォノヘキシル基、トリルホスフォナトヘキシル基、ホスフォノオキシプロピル基、ホスフォナトオキシブチル基、ベンジル基、フェネチル基、α−メチルベンジル基、1−メチル−1−フェニルエチル基、p−メチルベンジル基、シンナミル基、アリル基、1−プロペニルメチル基、2−ブテニル基、2−メチルアリル基、2−メチルプロペニルメチル基、2−プロピニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、等を挙げることができる。
また、R1として好ましい置換もしくは非置換のアルケニル基の例としては、ビニル基、1−プロペニル基、1−ブテニル基、シンナミル基、2−クロロ−1−エテニル基等が挙げられる。
1として好ましいアリール基の具体例としては、1個から3個のベンゼン環が縮合環を形成したもの、ベンゼン環と5員不飽和環が縮合環を形成したものを挙げることができ、具体例としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、インデニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、を挙げることができ、これらのなかでは、フェニル基、ナフチル基がより好ましい。
1として好ましい置換アリール基の具体例としては、前述のアリール基の環形成炭素原子上に置換基として、水素を除く一価の非金属原子団を有するものが用いられる。好ましい置換基の例としては前述のアルキル基、置換アルキル基、ならびに、先に置換アルキル基における置換基として示したものを挙げることができる。
この様な、置換アリール基の好ましい具体例としては、ビフェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、フルオロフェニル基、クロロメチルフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基、メトキシエトキシフェニル基、アリルオキシフェニル基、フェノキシフェニル基、メチルチオフェニル基、トリルチオフェニル基、エチルアミノフェニル基、ジエチルアミノフェニル基、モルホリノフェニル基、アセチルオキシフェニル基、ベンゾイルオキシフェニル基、N−シクロヘキシルカルバモイルオキシフェニル基、N−フェニルカルバモイルオキシフェニル基、アセチルアミノフェニル基、N−メチルベンゾイルアミノフェニル基、カルボキシフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、アリルオキシカルボニルフェニル基、クロロフェノキシカルボニルフェニル基、カルバモイルフェニル基、N−メチルカルバモイルフェニル基、N,N−ジプロピルカルバモイルフェニル基、N−(メトキシフェニル)カルバモイルフェニル基、N−メチル−N−(スルホフェニル)カルバモイルフェニル基、スルホフェニル基、スルホナトフェニル基、スルファモイルフェニル基、N−エチルスルファモイルフェニル基、N,N−ジプロピルスルファモイルフェニル基、N−トリルスルファモイルフェニル基、N−メチル−N−(ホスフォノフェニル)スルファモイルフェニル基、ホスフォノフェニル基、ホスフォナトフェニル基、ジエチルホスフォノフェニル基、ジフェニルホスフォノフェニル基、メチルホスフォノフェニル基、メチルホスフォナトフェニル基、トリルホスフォノフェニル基、トリルホスフォナトフェニル基、アリル基、1−プロペニルメチル基、2−ブテニル基、2−メチルアリルフェニル基、2−メチルプロペニルフェニル基、2−プロピニルフェニル基、2−ブチニルフェニル基、3−ブチニルフェニル基等を挙げることができる。
また、R1として好ましいヘテロアリール基としては、窒素、酸素、硫黄原子の少なくとも一つを含有する単環、もしくは多環芳香族環が用いられ、特に好ましいヘテロアリール基の例としては、例えば、チオフェン、チアスレン、フラン、ピラン、イソベンゾフラン、クロメン、キサンテン、ピロール、ピラゾール、イソチアゾール、イソオキサゾール、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドリジン、イソインドリジン、インドイール、インダゾール、プリン、キノリジン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キナゾリン、シノリン、プテリジン、カルバゾール、カルボリン、フェナンスリン、ペリミジン、フェナンスロリン、フタラジン、フェナルザジン、フラザン等が挙げられ、これらは更にベンゾ縮環しても良く、また置換基を有していても良い。
1のさらに好ましい例としては、置換もしくは無置換のアリール基が挙げられる。その理由は定かではないが、光吸収により生じる電子励起状態と活性剤化合物との相互作用が大きく、活性剤化合物のラジカル、酸及び塩基を発生させる効率に優れるためと推定される。
Arとして好ましいアリール基の具体例としては、1個から3個のベンゼン環が縮合環を形成したもの、ベンゼン環と5員不飽和環が縮合環を形成したものを挙げることができ、具体例としては、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、インデニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、を挙げることができ、これらのなかでは、フェニル基、ナフチル基がより好ましい。
Arとして好ましい置換アリール基の具体例としては、前述のアリール基の環形成炭素原子上に置換基として、水素を除く一価の非金属原子団を有するものが用いられる。好ましい置換基の例としては前述のアルキル基、置換アルキル基、ならびに、先に置換アルキル基における置換基として示したものを挙げることができる。
また好ましいヘテロアリール基としては、窒素、酸素、硫黄原子の少なくとも一つを含有する単環、もしくは多環芳香族環が用いられ、特に好ましいヘテロアリール基の例としては、例えば、チオフェン、チアスレン、フラン、ピラン、イソベンゾフラン、クロメン、キサンテン、ピロール、ピラゾール、イソチアゾール、イソオキサゾール、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、インドリジン、イソインドリジン、インドイール、インダゾール、プリン、キノリジン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キナゾリン、シノリン、プテリジン、カルバゾール、カルボリン、フェナンスリン、ペリミジン、フェナンスロリン、フタラジン、フェナルザジン、フラザン等が挙げられ、これらは更にベンゾ縮環しても良く、また置換基を有していても良い。
次に、一般式(1)中のZについて説明する。Zは隣接する原子と共同して、酸性核を形成するのに必要な2価の非金属原子団を表す。酸性核としては好ましくは置換基を有しても良い、5もしくは6員環を表し、酸性核の具体例としては、1,3−ジカルボニル核(例えば、1,3−インダンジオン、1,3−ジオキサン−4,6−ジオン等)、ピラゾリノン核(例えば、3−メチル−1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン、1−フェニル−2−ピラゾリン−5−オン、1−(2−ベンゾチアゾリル)−3−メチル−2−ピラゾリン−5−オン等)、イソオキサゾリノン核(例えば、3−フェニル−2−イソオキサ
ゾリン−5−オン、3−メチル−2−イソオキサゾリン−5−オン等)、オキシインドール核(例えば、1−アルキル−2,3−ジヒドロ−2−オキシインドール等)、2−チオ−2,4−チアゾリジンジオン核(例えば、ローダニンおよびそのN置換誘導体、例えば、3−メチルローダニン、3−エチルローダニン、3−フェニルローダニン、3−アリルローダニン、3−ベンジルローダニン、3−カルボキシメチルローダニン、3−カルボキシエチルローダニン、3−メトキシカルボニルメチルローダニン、3−ヒドロキシエチルローダニン、3−モルフォリノエチルローダニン等)、2−チオ−2,4−オキサゾリジンジオン核(即ち、2−チオ−2,4−(3H,4H)−オキサゾールジオン核、例えば、2−エチル−2−チオ−2,4−オキサゾリジンジオン等)、チアナフテノン核(例えば、3(2H)−チアナフテノン、3(2H)−チアノフテノン−1,1−ジオキサイド等)、2−チオー2,5−チアゾリジンジオン核(例えば、3−エチル−2−チオ−2,5−チアゾリジンジオン等)、2,4−チアゾリジンジオン核(例えば、2,4−チアゾリジンジオン、3−エチル−4−チアゾリジンジオン、3−フェニル−2,4−チアゾリジンジオン等)、チアゾリジノン核(例えば、4−チアゾリジノン、3−エチル−4−チアゾリジノン、2−エチルメルカプト−4−チアゾリジノン、2−メチルフェニルアミノ−4−チアゾリジノン等)、2−イミノ−2−オキサゾリン−4−オン核(即ち、擬ヒダントイン核)、2,4−イミダゾリジンジオン核(即ち、ヒダントイン核、例えば、2,4−イミダゾリジンジオン、3−エチル−2,4−イミダゾリジンジオン、1,3−ジエチル−2,4−イミダゾリジンジオン等)、2−チオ−2,4−イミダゾリジンジオン核(即ち、チオヒダントイン核、例えば、2−チオ−2,4−イミダゾリジンジオン、3−エチル−2−チオ−2,4−イミダゾリジンジオン、1,3−ジエチル−2−チオ−2,4−イミダゾリジンジオン等)、イミダゾリン−5−オン核(例えば、2−プロピルメルカプト−2−イミダゾリン−5−オン等)、フラン−5−オン核、チオインドキシル核(例えば、5−メチルチオインドキシル等)、バルビツル酸核、チオバルビツル酸核が挙げられ、これらの酸性核はさらに置換基を有してもよい。好ましい酸性核としては5員環酸性核であり、より好ましくはオキサゾリジノン骨格が挙げられる。
以上に述べた一般式(1)で表される多クロモファー型増感色素の内、下記一般式(2)〜(6)で表される構造を有する色素は、高い増感能を有する上、保存安定性にも非常に優れた感光性組成物を与えるため、特に好ましい。
Figure 2005239894
(一般式(2)〜(6)中、R2〜R17は、前記一般式(1)におけるR1と同義であり、X1、X2、X3、X4、X5およびX6はそれぞれ独立に、O原子、S原子またはNR18を表し、Y1〜Y11はO原子、S原子またはNR19を表す。ここでR18およびR19は前記一般式(1)におけるR1と同義であり、置換基を有してもよく、脂肪族性または芳香族性の環を形成するため結合することができる。)
一般式(2)〜(6)について詳しく説明する。一般式(2)〜(6)中、R2〜R19は、一般式(1)中と同義であり、好ましくは、置換もしくは非置換のアルキル基、置換もしくは非置換のアルケニル基、置換もしくは非置換のアリール基、置換もしくは非置換のヘテロアリール基、置換もしくは非置換のアルコキシ基、置換もしくは非置換のアルキルチオ基を表す。また、R2〜R19は、それぞれ互いに、置換基を有してもよい、脂肪族性または芳香族性の環を形成するため結合することができる。
前記一般式(1)〜(6)で表される増感色素は、上に示したような酸性核や、活性メチレン基を有する酸性核と、置換、もしくは非置換の多環式化合物誘導体との縮合反応によって得られる。
以下に一般式(1)で表される化合物の好ましい具体例(D1)から(D22)を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。また、酸性核と多環式化合物骨格を結ぶ2重結合による異性体については明らかではなく、本発明はどちらかの異性体に限定されるものでもない。
Figure 2005239894
Figure 2005239894
本発明の感光性組成物に含まれる多クロモファー型増感色素に関しては、さらに、平版印刷版用原版に使用する場合、その感光層の特性を改良するための様々な化学修飾を行うことも可能である。例えば、該増感色素と、付加重合性化合物構造(例えば、アクリロイル基やメタクリロイル基)とを、共有結合、イオン結合、水素結合等の方法により結合さ
せる事で、露光膜の高強度化や、露光後の膜からの色素の不要な析出抑制を行う事ができる。
また、該増感色素と後述のチタノセン化合物などの活性剤やその他のラジカル発生パート(例えば、ハロゲン化アルキル、オニウム、過酸化物、ビイミダゾール、オニウム、ビイミダゾール等の還元分解性部位や、ボレート、アミン、トリメチルシリルメチル、カルボキシメチル、カルボニル、イミン等の酸化解裂性部位)との結合により、特に光重合開始系の濃度の低い状態での感光性を著しく高める事ができる。
さらに、本発明の感光性組成物を用いた平版印刷版用原版の好ましい使用態様である、(アルカリ)水系現像液への処理適性を高める目的に対しては、親水性部位(カルボキシル基並びにそのエステル、スルホン酸基並びにそのエステル、エチレンオキサイド基等の酸基もしくは極性基)の導入が有効である。
特にエステル型の親水性基は、平版印刷版用原版の感光層中では比較的疎水的構造を有するため相溶性に優れ、かつ、現像液中では、加水分解により酸基を生成し、親水性が増大するという特徴を有する。その他、例えば、平版印刷版用原版の感光層中での相溶性向上、結晶析出抑制のために適宜置換基を導入する事ができる。
例えば、ある種の感光系では、アリール基やアリル基等の不飽和結合が相溶性向上に非常に有効である場合があり、また、分岐アルキル構造導入等の方法により、色素π平面間の立体障害を導入する事で、結晶析出が著しく抑制できる。また、ホスホン酸基やエポキシ基、トリアルコキシシリル基等の導入により、金属や金属酸化物等の無機物への密着性を向上させる事ができる。そのほか、目的に応じ、増感色素のポリマー化等の方法も利用できる。
これらの増感色素のどの構造を用いるか、単独で使用するか2種以上併用するか、添加量はどうか、といった使用法の詳細は、最終的な感材の性能設計に合わせて適宜設定できる。例えば、増感色素を2種以上併用することで、平版印刷版用原版の感光層への相溶性を高める事ができる。
増感色素の選択は、感光性の他、使用する光源の発光波長でのモル吸光係数が重要な因子である。モル吸光係数の大きな色素を使用する事により、色素の添加量は比較的少なくできるので、経済的であり、かつ感光層の膜物性の点からも有利である。感光層の感光性、解像度や、露光膜の物性は光源波長での吸光度に大きな影響を受けるので、これらを考慮して増感色素の添加量を適宜選択する。
例えば、吸光度が0.1以下の低い領域では感度が低下する。また、ハレーションの影響により低解像度となる。但し、例えば5μm以上の厚い膜を硬化せしめる目的に対しては、この様な低い吸光度の方がかえって硬化度をあげられる場合もある。また、吸光度が3以上の様な高い領域では、感光層表面で大部分の光が吸収され、より内部での硬化が阻害され、例えば印刷版として使用した場合には膜強度、基板密着性の不十分なものとなる。
比較的薄い膜厚で使用する平版印刷版用原版としての使用に際しては、増感色素の添加量は、感光層の吸光度が0.1から1.5の範囲、好ましくは0.25から1の範囲となるように設定するのが好ましい。
平版印刷版用原版として利用する場合には、増感色素は、通常、感光層成分100質量部に対し、0.05〜30質量部、好ましくは0.1〜20質量部、さらに好ましくは0.2〜10質量部の範囲で使用する。
(A2)活性剤化合物
次に、本発明における光開始系の第2の必須成分である活性剤化合物について説明する。
本発明における活性剤化合物とは、増感色素の光吸収により生じる電子励起状態との相
互作用を経て化学変化を生じ、ラジカル又は酸を生成する化合物である。以下、このようにして生じたラジカル、酸を単に活性種と呼ぶ。これらの化合物が存在しない場合や、活性剤のみを単独で用いた場合には、実用上十分な感度が得られないが、前記、増感色素と活性化合物を併用する一つの態様として、これらを適切な化学的方法(増感色素と、活性剤化合物との化学結合による連結等)によって単一の化合物として利用することも可能である。このような技術思想は、例えば、特許第2720195号公報に開示されている。
通常これらの活性剤の多くは、次の、(1)から(3)の初期化学プロセスを経て活性種を生成するものと考えられる。即ち、(1)増感色素の電子励起状態から活性剤への電子移動反応に基づく、活性剤の還元的分解、(2)活性剤から増感色素の電子励起状態への電子移動に基づく、活性剤の酸化的分解、(3)増感色素の電子励起状態から活性剤へのエネルギー移動に基づく、活性剤の電子励起状態からの分解、である。個々の、活性剤化合物が上記(1)から(3)のどのタイプに属するかに関しては、曖昧な場合も多いが、本発明における、増感色素の大きな特徴は、これらの何れのタイプの活性剤と組み合わせても非常に高い増感効果を示すことにある。
具体的な活性剤化合物は当業者間で公知のものを制限なく使用することができる。具体的には、例えば、Bruce M. Monroeら著、Chemical Revue, 93, 435 (1993)やR.S.Davidson著、Journal of Photochemistry and biology A:Chemistry,73.81 (1993); J.P.Faussier, "Photoinitiated Polymerization-Theory and Applications":Rapra Review vol.9, Report, Rapra Technology(1998); M.Tsunooka et al., Prog.Polym.Sci., 21, 1 (1996)等に多く記載されている。また、前記(1)、(2)の機能を有する他の化合物群としては、さらに、F.D.Saeva, Topics in Current Chemistry, 156, 59 (1990); G.G.Maslak, Topics in Current Chemistry, 168, 1 (1993); H.B.Shuster et al, JACS, 112, 6329 (1990); I.D.F.Eaton et al, JACS, 102, 3298 (1980)等に記載されているような、酸化的もしくは還元的に結合解裂を生じる化合物群も知られる。
以下、好ましい活性剤の具体例に関し、(a)還元されて結合解裂を起こし活性種を生成するもの、(b)酸化されて結合解裂を起こし活性種を生成しうるもの、及び(c)その他のもの、に分類して説明するが、個々の化合物がこれらのどれに属するかに関しては通説がない場合も多く、本発明はこれらの反応機構に関する記述に制限を受けるものではない。
(a)還元されて結合解裂を起こし活性種を生成するもの
炭素−ハロゲン結合結合を有する化合物:還元的に炭素−ハロゲン結合が解裂し、活性種を発生すると考えられる(例えば、Polymer Preprints, Jpn., 41 (3) 542 (1992)に記載れている)。活性種としては、ラジカル、酸を発生しうる。具体的には、例えば、ハロメチル−s−トリアジン類の他、M.P.Hutt, E.F.ElslagerおよびL.M.Merbel著, Journal of Heterocyclic Chemistry, 7, 511 (1970)に記載される合成方法により当業者が容易に合成しうるハロメチルオキサジアゾール類、また、ドイツ特許2641100号、同3333450号、同3021590号、同3021599号の各明細書に記載される化合物等が好適に使用できる。
窒素−窒素結合もしくは、含窒素ヘテロ環−含窒素ヘテロ環結合を有する化合物:還元的に結合解裂を起こす(例えば、J.Pys.Chem., 96, 207 (1992)に記載されている)。具体的にはヘキサアリールビイミダゾール類等が好適に使用される。生成する活性種はロフィンラジカルであり、必要に応じ水素供与体との併用で、ラジカル連鎖反応を開始するほか、ロフィンラジカルによる酸化反応を用いた画像形成も知られる(J.Imaging Sci., 30, 215 (1986)に記載される)。
酸素−酸素結合を有する化合物:還元的に酸素−酸素結合が解裂し、活性ラジカルを発生すると考えられる(例えば、Polym.Adv.Technol., 1, 287 (1990)に記載されている)。具体的には、例えば、有機過酸化物類等が好適に使用される。活性種としてラジカルを発生しうる。
オニウム化合物:還元的に炭素−ヘテロ結合や、酸素−窒素結合が解裂し、活性種を発生すると考えられる(例えば、J.Photopolym.Sci.Technol., 3, 149 (1990)に記載されている)。具体的には例えば、欧州特許104143号明細書、米国特許4837124号明細書、特開平2−150848号公報、特開平2−96514号公報に記載されるヨードニウム塩類、欧州特許370693号、同233567号、同297443号、同297442号、同279210号、同422570号各明細書、米国特許3902144号、同4933377号、同4760013号、同4734444号、同2833827号各明細書に記載されるスルホニウム塩類、ジアゾニウム塩類(置換基を有しても良いベンゼンジアゾニウム等)、ジアゾニウム塩樹脂類(ジアゾジフェニルアミンのホルムアルデヒド樹脂等)、N−アルコキシピリジニウム塩類等(例えば、米国特許4,743,528号明細書、特開昭63−138345号、特開昭63−142345号、特開昭63−142346号、特公昭46−42363号各公報等に記載されるもので、具体的には1−メトキシ−4−フェニルピリジニウム テトラフルオロボレート等)、さらには特公昭52−147277号、同52−14278号,同52−14279号各公報記載の化合物が好適に使用される。活性種としてラジカルや酸を生成する。
活性エステル類:スルホン酸やカルボン酸のニトロベンジルエステル類、スルホン酸やカルボン酸とN-ヒドロキシ化合物(N−ヒドロキシフタルイミドやオキシム等)とのエステル類、ピロガロールのスルホン酸エステル類、ナフトキノンジアジド-4-スルホン酸エステル類等は還元的に分解しうる。活性種としては、ラジカル、酸、を発生しうる。具体的な、スルホン酸エステル類の例としては、欧州特許0290750号、同046083号、同156153号、同271851号、同0388343号、米国特許3901710号、同4181531号の各明細書、特開昭60−198538号、特開昭53−133022号の各公報に記載されるニトロベンズルエステル化合物、欧州特許0199672号、同84515号、同199672号、同044115号、同0101122号、米国特許4618564号、同4371605号、同4431774号の各明細書、特開昭64−18143号、特開平2−245756号、特開平4−365048号の各公報記載のイミノスルホネート化合物、特公昭62−6223号、特公昭63−14340号、特開昭59−174831号各公報に記載される化合物等が挙げられ、さらに、例えば下記に示すような化合物が挙げられる。
Figure 2005239894
(式中、Arは置換されても良い芳香族基または脂肪族基を表す。)
また、活性種として塩基を生成することも可能であり、例えば下記のような化合物群が知られる。
フェロセン、鉄アレーン錯体類:還元的に活性ラジカルを生成しうる。具体的には例えば、特開平1−304453号、特開平1−152109号各公報に開示されている。
Figure 2005239894
(式中Rは置換されても良い脂肪族基または芳香族基を表す。)
ジスルホン類:還元的にS−S結合解裂を起こし酸を発生しうる。例えば特開昭61−166544号公報に記載されるようなジフェニルジスルホン類が知られる。
(b)酸化されて結合解裂を起こし活性種を生成するもの
アルキルアート錯体:酸化的に炭素−ヘテロ結合が解裂し、活性ラジカルを生成すると考えられる(例えば、J.Am.Chem.Soc., 112, 6329 (1990)に記載される)。具体的には例えば、トリアリールアルキルボレート類が好適に使用される。
アルキルアミン化合物:酸化により窒素に隣接した炭素上のC−X結合が解裂し、活性
ラジカルを生成するものと考えられる(例えば、J.Am.Chem.Soc., 116, 4211 (1994)に記載される)。Xとしては、水素原子、カルボキシル基、トリメチルシリル基、ベンジル基等が好適である。具体的には、例えば、エタノールアミン類、N−フェニルグリシン類、N−トリメチルシリルメチルアニリン類等が挙げられる。
含硫黄、含錫化合物:上述のアミン類の窒素原子を硫黄原子、錫原子に置き換えたものが、同様の作用により活性ラジカルを生成しうる。また、S−S結合を有する化合物もS−S解裂による増感が知られる。
α−置換メチルカルボニル化合物:酸化により、カルボニル−α炭素間の結合解裂により、活性ラジカルを生成しうる。また、カルボニルをオキシムエーテルに変換したものも同様の作用を示す。具体的には、2−アルキル−1−[4−(アルキルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロノン−1類、並びに、これらと、ヒドロキシアミン類とを反応したのち、N−OHをエーテル化したオキシムエーテル類を挙げることができる。
スルフィン酸塩類:還元的に活性ラジカルを生成しうる。具体的は、アリールスルフィン酸ナトリウム等を挙げることができる。
(c)その他
増感機構は明確ではないが、活性剤として機能しうるものも多い。チタノセン、フェロセン等の有機金属化合物や芳香族ケトン、アシルフォスフィン、ビスアシルフォスフィン類等が挙げられ、活性種としては、ラジカル、酸を発生しうる。
以下、本発明に使用される活性剤化合物の内、感度や安定性に特に優れる好ましい化合物群を具体的に例示する。
(1)ハロメチルトリアジン類
下記式[II]で表される化合物が挙げられる。特にラジカル発生、酸発生能にすぐれる。
Figure 2005239894
式[II]中、Xはハロゲン原子を表す。Y1は−CX'3、−NH2、−NHR1'、−NR1'2、−OR1'を表す。ここでR1'はアルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基を表す。R1は−CX3、アルキル基、置換アルキル基、アリール基、置換アリール基、置換アルケニル基を表す。
このような化合物の具体例としては、例えば、若林ら著、Bull. Chem. Soc. Japan, 42,2924(1969)記載の化合物、例えば、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(p−クロルフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(2',4'−ジクロルフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2,4,6−トリス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−メチル−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−n−ノニル−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(α,α,β−トリクロルエチル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン等が挙げられる。その他、英国特許第1388492号明細書記載の化合物、例えば、2−スチリル−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(p−メチルスチリル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(p−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−S−トリアジン、2−(p−メトキシスチリル)−4−アミノ−6−トリクロルメチル−S−トリアジン等、特開昭53−133428号公報記載の化合物、例えば、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロルメチル−S−トリアジン、2−(4−エトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス−トリクロルメチル−S−トリアジン、2−〔4−(2−エトキシエチル)−ナフト−1−イル〕−4,6−ビス−トリクロルメチル−S−トリアジン、2−(4,7−ジメトキシ−ナフト−1−イル〕−4,6−ビス−トリクロルメチル−S−トリアジン、2−(アセナフト−5−イル)−4,6−ビス−トリクロルメチル−S−トリアジン等、独国特許第3337024 号明細書記載の化合物、例えば下記の化合物を挙げることができる。
Figure 2005239894
Figure 2005239894
また、F. C. Schaefer等による J. Org. Chem.,29,1527(1964)記載の化合物、例えば2−メチル−4,6−ビス(トリブロムメチル)−S−トリアジン、2,4,6−トリス(トリブロムメチル)−S−トリアジン、2,4,6−トリス(ジブロムメチル)−S−トリアジン、2−アミノ−4−メチル−6−トリブロムメチル−S−トリアジン、2−メトキシ−4−メチル−6−トリクロルメチル−S−トリアジン等を挙げることができる。
さらに特開昭62−58241号公報記載の化合物、例えば下記の化合物を挙げることができる。
Figure 2005239894
更に特開平5−281728号公報記載の化合物、例えば下記の化合物を挙げることができる。
Figure 2005239894
(2)チタノセン類
活性剤として特に好適に用いられる、チタノセン化合物は、前記した増感色素との共存下で光照射した場合、活性種を発生し得るチタノセン化合物であればいずれであってもよく、例えば、特開昭59−152396号、特開昭61−151197号、特開昭63−41483号、特開昭63−41484号、特開平2−249号、特開平2−291号、特開平3−27393号、特開平3−12403号、特開平6−41170号の各公報に記載されている公知の化合物を適宜に選択して用いることができる。
さらに具体的には、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ジ−クロライド、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−フェニル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4,6−トリフルオロフェニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,6−ジフルオロフエニ−1−イル、ジ−シクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4−ジフルオロフエニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,4,5,6−ペンタフルオロフエニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,3,5,6−テトラフルオロフエニ−1−イル、ジ−メチルシクロペンタジエニル−Ti−ビス−2,4−ジフルオロフエニ−1−イル、ビス(シクロペンタジエニル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(ピル−1−イル)フェニル)チタニウム等を挙げることができる。
(3)ボレート塩化合物
下記式[III]で表されるボレート塩類はラジカル発生能に優れる。
Figure 2005239894
式[III]中、R51、R52、R53およびR54は互いに同一でも異なっていてもよく、各々置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアルキニル基、または置換もしくは無置換の複素環基を示し、R51、R52、R53およびR54はその2個以上の基が結合して環状構造を形成してもよい。ただし、R51、R52、R53およびR54のうち、少なくとも1つは置換または無置換のアルキル基である。Z+はアルカリ金属カチオンまたは第4級アンモニウムカチオンを示す。
上記R51〜R54のアルキル基としては、直鎖、分枝、環状のものが含まれ、炭素原子数1〜18のものが好ましい。具体的にはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、ステアリル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどが含まれる。また置換アルキル基としては、上記のようなアルキル基に、ハロゲン原子(例えば−Cl、−Brなど)、シアノ基、ニトロ基、アリール基(好ましくはフェニル基)、ヒドロキシ基、下記の基、
Figure 2005239894
(ここでR55、R56は独立して水素原子、炭素数1〜14のアルキル基、またはアリール基を示す。)、−COOR57(ここでR57は水素原子、炭素数1〜14のアルキル基、またはアリール基を示す。)、−COOR58または−OR59(ここでR58は炭素数1〜14のアルキル基、またはアリール基を示す。)を置換基として有するものが含まれる。
上記R51〜R54のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基などの1〜3環のアリール基が含まれ、置換アリール基としては、上記のようなアリール基に前述の置換アルキル基の置換基、または炭素数1〜14のアルキル基を有するものが含まれる。
上記R51〜R54のアルケニル基としては、炭素数2〜18の直鎖、分枝、環状のものが含まれ、置換アルケニル基の置換基としては、前記の置換アルキル基の置換基として挙げたものが含まれる。
上記R51〜R54のアルキニル基としては、炭素数2〜28の直鎖または分枝のものが含まれ、置換アルキニル基の置換基としては、前記置換アルキル基の置換基として挙げたも
のが含まれる。
また、上記R51〜R54の複素環基としてはN、SおよびOの少なくとも1つを含む5員環以上、好ましくは5〜7員環の複素環基が挙げられ、この複素環基には縮合環が含まれていてもよい。さらに置換基として前述の置換アリール基の置換基として挙げたものを有していてもよい。
式[III]で示される化合物例としては具体的には米国特許第3567453号、同4343891号、ヨーロッパ特許第109772号、同109773号の各明細書に記載されている化合物および以下に示すものが挙げられる。
Figure 2005239894
(4)ヘキサアリールビイミダゾール類
安定性に優れ、高感度なラジカル発生が可能である。具体的には、2,2'−ビス(o−クロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニルビイミダゾール、2,2'−ビス(o−ブロモフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニルビイミダゾール、2,2
'−ビス(o,p−ジクロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニルビイミダゾール、2,2'−ビス(o−クロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラ(m−メトキシフェニル)ビイミダゾール、2,2'−ビス(o,o'−ジクロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニルビイミダゾール、2,2'−ビス(o−ニトロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニルビイミダゾール、2,2'−ビス(o−メチルフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニルビイミダゾール、2,2'−ビス(o−トリフルオロメチルフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニルビイミダゾール等が挙げられる。
(5)オニウム塩化合物
周期律表の15(5B)、16(6B)、17(7B)族元素、具体的にはN、P、As、Sb、Bi、O、S、Se、Te、Iのオニウム化合物は感度にすぐれた活性剤である、特にヨードニウム塩やスルホニウム塩、とりわけ、ジアリールヨードニウム、トリアリールスルホニウム塩化合物は感度と保存安定性の両方の観点で極めて優れている。酸、および/またはラジカルの発生が可能であり、これらは目的に応じて、使用条件を適宜選択することで使い分けることができる。具体的には以下の化合物が挙げられる。
Figure 2005239894
Figure 2005239894
Figure 2005239894
Figure 2005239894
(6)有機過酸化物
有機過酸化物型の活性剤を用い場合、活性種としてラジカルの発生を非常に高感度で行うことができる。
本発明に使用される成分(ii)の他の例である(c)「有機過酸化物」としては分子中に酸素−酸素結合を1個以上有する有機化合物のほとんど全てが含まれるが、その例としては、例えばメチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、パラメタンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、アセチルパーオキサイド、イソブチリルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、過酸化こはく酸、過酸化ベンゾイル、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、メタ−トルオイルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジメトキシイソプロピルパーオキシカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシオクタノエート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチル過酸化マレイン酸、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、3,3',4,4'−テトラ−(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3',4,4'−テトラ−(t−アミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3',4,4'−テトラ(t−ヘキシルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3',4,4'−テトラ(t−オクチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3',4,4'−テトラ(クミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3',4,4'−テトラ(p−イソプロピルクミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、カルボニルジ(t−ブチルパーオキシ二水素二フタレート)、カルボニルジ(t−ヘキシルパーオキシ二水素二フタレート)等がある。
これらの中で、3,3',4,4'−テトラ−(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3',4,4'−テトラ−(t−アミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3',4,4'−テトラ(t−ヘキシルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3',4,4'−テトラ(t−オクチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3',4,4'−テトラ(クミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3',4,4'−テトラ(p−イソプロピルクミルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、ジ−t−ブチルジパーオキシイソフタレートなどの過酸化エステル系が好ましい。
活性剤化合物の好ましい例としては、チタノセン化合物、トリアジン化合物が挙げられ、さらに好ましくはチタノセン化合物が挙げられる。
以上述べた活性剤に関しても、先の増感色素と同様、さらに、感光層の特性を改良するための様々な化学修飾を行うことも可能である。例えば、増感色素や、付加重合性不飽和化合物その他の活性剤パートとの結合、親水性部位の導入、相溶性向上、結晶析出抑制のための置換基導入、密着性を向上させる置換基導入、ポリマー化等の方法が利用できる。
これらの活性剤化合物の使用法に関しても、先述の増感色素同様、感材の性能設計により適宜、任意に設定できる。例えば、2種以上併用することで、感光層への相溶性を高めることができる。活性剤化合物の使用量は通常多い方が感光性の点で有利であり、感光層成分100質量部に対し、0.5〜80質量部、好ましくは1〜50質量部の範囲で用いることで十分な感光性が得られる。一方、例えばチタノセン化合物のように、活性剤自身が可視光に吸収を持つような場合、黄色等、白色灯化での使用に際しては、500nm付近の光によるカブリ性の点から活性剤の使用量は少ないことが好ましいが、本発明の増感色素との組み合わせにより活性剤化合物の使用量は6質量部以下、さらに1.9質量部以下、さらには1.4質量部以下にまで下げても十分な感光性を得ることができる。
(B)ラジカルまたは酸の少なくともいずれかによって反応する重合性化合物
本発明の感光性組成物は、前述の光重合開始系の他、ラジカルまたは酸の少なくともいずれかによって反応しその物理的または化学的特性が変化して保持される化合物を含有する。
このような化合物としては、具体的には少なくとも一個のエチレン性不飽和二重結合を有する付加重合性化合物であり、より詳細には、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から選ばれる。この様な化合物群は当該産業分野において広く知られるものであり、本発明においてはこれらを特に限定すること無く用いる事ができる。これらは、例えばモノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体およびオリゴマー、またはそれらの混合物ならびにそれらの共重合体などの化学的形態をもつ。モノマーおよびその共重合体の例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)や、そのエステル類、アミド類があげられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類が用いられる。
また、ヒドロキシル基や、アミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル、アミド類と単官能もしくは多官能イソシアネート類、エポキシ類との付加反応物、単官能もしくは、多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。
また、イソシアナト基や、エポキシ基等の親電子性置換基を有する、不飽和カルボン酸エステル、アミド類と単官能もしくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との付加反応物、ハロゲン基や、トシルオキシ基等の脱離性置換基を有する、不飽和カルボン酸エステル、アミド類と単官能もしくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との置換反応物も好適である。
また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン、ビニルエーテル等に置き換えた化合物群を使用する事も可能である。
脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルのモノマーの具体例としては、アクリル酸エステルとして、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ポリエステルアクリレートオリゴマー等がある。
メタクリル酸エステルとしては、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ソルビトールトリメタクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ビス〔p−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕ジメチルメタン、ビス−〔p−(メタクリルオキシエトキシ)フェニル〕ジメチルメタン等がある。
イタコン酸エステルとしては、エチレングリコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタコネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート、1,4−ブタンジオールジイタコネート、テトラメチレングリコールジイタコネート、ペンタエリスリトールジイタコネート、ソルビトールテトライタコネート等がある。
クロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラジクロトネート等がある。
イソクロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネート等がある。
マレイン酸エステルとしては、エチレングリコールジマレート、トリエチレングリコールジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、ソルビトールテトラマレート等がある。
その他のエステルの例として、例えば、特公昭46−27926号、特公昭51−47334号、特開昭57−196231号各公報記載の脂肪族アルコール系エステル類や、特開昭59−5240号、特開昭59−5241号、特開平2−226149号各公報記載の芳香族系骨格を有するもの、特開平1−165613号公報記載のアミノ基を含有するもの等も好適に用いられる。
さらに、前述のエステルモノマーは混合物としても使用することができる。
また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とのアミドのモノマーの具体例としては、メチレンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミド等がある。
その他の好ましいアミド系モノマーの例としては、特公昭54−21726号公報記載のシクロへキシレン構造を有すものをあげる事ができる。
また、イソシアネートと水酸基の付加反応を用いて製造されるウレタン系付加重合性化合物も好適であり、そのような具体例としては、例えば、特公昭48−41708号公報中に記載されている1分子に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に、下記式(V)で示される水酸基を含有するビニルモノマーを付加させた1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等が挙げられる。
CH2=C(R)COOCH2CH(R′)OH (V)
(ただし、RおよびR′は、それぞれ独立してHまたはCH3を示す。)
また、特開昭51−37193号、特公平2−32293号、特公平2−16765号各公報に記載されているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58−49860号、特公昭56−17654号、特公昭62−39417、特公昭62−39418号各公報記載のエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物類も好適である。
さらに、特開昭63−277653号、特開昭63−260909号、特開平1−105238号各公報に記載される、分子内にアミノ構造やスルフィド構造を有する付加重合性化合物類を用いることによっては、非常に感光スピードに優れた光重合性組成物を得ることができる。
その他の例としては、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号各公報に記載されているようなポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を反応させたエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタクリレートをあげることができる。また、特公昭46−43946号、特公平1−40337号、特公平1−40336号各公報記載の特定の不飽和化合物や、特開平2−25493号公報記載のビニルホスホン酸系化合物等もあげることができる。また、ある場合には、特開昭61−22048号公報記載のペルフルオロアルキル基を含有する構造が好適に使用される。さらに日本接着協会誌 vol. 20、No. 7、300〜308ページ(1984年)に光硬化性モノマーおよびオリゴマーとして紹介されているものも使用することができる。
これらの重合性化合物について、どの様な構造を用いるか、単独で使用するか併用するか、添加量はどうかといった、使用方法の詳細は、最終的な感材の性能設計にあわせて、任意に設定できる。例えば次のような観点から選択される。感光スピードの点では1分子あたりの不飽和基含量が多い構造が好ましく、多くの場合、2官能以上がこのましい。また、平版印刷版用の感光層に用いた場合、画像部すなわち硬化膜の強度を高くするためには、3官能以上のものが良く、さらに、異なる官能数・異なる重合性基(例えばアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン系化合物、ビニルエーテル系化合物)のものを併用することで、感光性と、強度を両方を調節する方法も有効である。大きな分子量の化合物や、疎水性の高い化合物は感光スピードや、膜強度に優れる反面、現像スピードや現像液中での析出といった点で好ましく無い場合がある。また、該感光層中の他の成分(例えば後述のバインダーポリマー、前述の光重合開始剤(系)、後述の着色剤等)との相溶性、分散性に対しても、重合性化合物の選択・使用法は重要な要因であり、例えば、低純度化合物の使用や、2種以上の併用により相溶性を向上させうる事がある。また、支持体、オーバーコート層等の密着性を向上せしめる目的で特定の構造を選択することもあり得る。
該感光層中の重合性化合物の配合比に関しては、多い方が感度的に有利であるが、多すぎる場合には、好ましく無い相分離が生じたり、感光層の粘着性による製造工程上の問題(例えば、感材成分の転写、粘着に由来する製造不良)や、現像液からの析出が生じる等の問題を生じうる。これらの観点から、好ましい配合比は、多くの場合、組成物全成分に対して5〜80質量%、好ましくは25〜75質量%である。また、これらは単独で用いても2種以上併用してもよい。そのほか、重合性化合物の使用法は、酸素に対する重合阻害の大小、解像度、かぶり性、屈折率変化、表面粘着性等の観点から適切な構造、配合、添加量を任意に選択でき、さらに場合によっては下塗り、上塗りといった層構成・塗布方法も実施しうる。
(C)バインダーポリマー
本発明の感光性組成物を、その好ましい実施形態である平版印刷版用原版の感光層への適用に際しては、前述の光重合開始系および重合性化合物の他にさらにバインダーポリマーを使用することが好ましい。バインダーとしては線状有機高分子重合体を含有させることが好ましい。このような「線状有機高分子重合体」としては、どれを使用しても構わない。好ましくは水現像あるいは弱アルカリ水現像を可能とする水あるいは弱アルカリ水可溶性または膨潤性である線状有機高分子重合体が選択される。
線状有機高分子重合体は、組成物の皮膜形成剤としてだけでなく、水、弱アルカリ水あるいは有機溶剤現像剤としての用途に応じて選択使用される。例えば、水可溶性有機高分子重合体を用いると水現像が可能になる。このような線状有機高分子重合体としては、側鎖にカルボン酸基を有する付加重合体、例えば特開昭59−44615号、特公昭54−34327号、特公昭58−12577号、特公昭54−25957号、特開昭54−92723号、特開昭59−53836号、特開昭59−71048号各公報に記載されているもの、すなわち、メタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等がある。また同様に側鎖にカルボン酸基を有する酸性セルロース誘導体がある。この他に水酸基を有する付加重合体に環状酸無水物を付加させたものなどが有用である。
特にこれらの中で〔ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/必要に応じてその他の付加重合性ビニルモノマー〕共重合体および〔アリル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/必要に応じてその他の付加重合性ビニルモノマー〕共重合体は、膜強度、感度、現像性のバランスに優れており、好適である。
また、特公平7−12004号、特公平7−120041号、特公平7−120042号、特公平8−12424号、特開昭63−287944号、特開昭63−287947号、特開平1−271741号各公報、および特開平13−312062号公報等に記載される、酸基を含有するウレタン系バインダーポリマーは、非常に、強度に優れるので、耐刷性・低露光適性の点で有利である。また、特開平11−171907号公報記載のアミド基を有するバインダーは、優れた現像性と膜強度を併せ持ち、好適である。
さらにこの他に水溶性線状有機高分子として、ポリビニルピロリドンやポリエチレンオキサイド等が有用である。また硬化皮膜の強度を上げるためにアルコール可溶性ナイロンや2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパンとエピクロロヒドリンのポリエーテル等も有用である。これらの線状有機高分子重合体は全組成物中に任意な量を混和させることができる。しかし90質量%を超える場合には形成される画像強度等の点で好ましい結果を与えない。好ましくは30〜85質量%である。また光重合可能なエチレン性不飽和二重結合を有する化合物と線状有機高分子重合体は、質量比で1/9〜7/3の範囲とするのが好ましい。好ましい実施様態においてバインダーポリマーは実質的に水不要でアルカリに可溶なものが用いられる。そうすることで、現像液として、環境上好ましくない有機溶剤を用いないかもしくは非常に少ない使用量に制限できる。この様な使用法においてはバインダーポリマーの酸価(ポリマー1gあたりの酸含率を化学等量数で表したもの)と分子量は画像強度と現像性の観点から適宜選択される。好ましい酸価は、0.4〜3.0meq/gであり好ましい分子量は3000から50万の範囲で、より好ましくは、酸価が0.6〜2.0分子量が1万から30万の範囲である。
(D)その他の成分
本発明の感光性組成物を平版印刷版用原版等の画像記録材料の感光層として用いるには、さらにその用途、製造方法等に適したその他の成分を適宜添加することができる。
以下、好ましい添加剤に関し例示する。
(D1)共増感剤
ある種の添加剤(以後、共増感剤という)を用いることで、該感光層の感度をさらに向上させる事ができる。これらの作用機構は、明確ではないが、多くは次のような化学プロセスに基づくものと考えられる。即ち、先述の光重合開始系の光吸収により開始される光反応、と、それに引き続く付加重合反応の過程で生じる様々な中間活性種(ラジカル、過酸化物、酸化剤、還元剤等)と、共増感剤が反応し、新たな活性ラジカルを生成するものと推定される。これらは、大きくは、(a)還元されて活性ラジカルを生成しうるもの、(b)酸化されて活性ラジカルを生成しうるもの、(c)活性の低いラジカルと反応し、より活性の高いラジカルに変換するか、もしくは連鎖移動剤として作用するもの、に分類できるが、個々の化合物がこれらのどれに属するかに関しては、通説がない場合も多い。
(a)還元されて活性ラジカルを生成する化合物
炭素−ハロゲン結合を有する化合物:還元的に炭素−ハロゲン結合が解裂し、活性ラジカルを発生すると考えられる。具体的には、例えば、トリハロメチル−s−トリアジン類
や、トリハロメチルオキサジアゾール類等が好適に使用できる。
窒素−窒素結合を有する化合物:還元的に窒素−窒素結合が解裂し、活性ラジカルを発生すると考えられる。具体的にはヘキサアリールビイミダゾール類等が好適に使用される。
酸素−酸素結合を有する化合物:還元的に酸素−酸素結合が解裂し、活性ラジカルを発生すると考えられる。具体的には、例えば、有機過酸化物類等が好適に使用される。
オニウム化合物:還元的に炭素−ヘテロ結合や、酸素−窒素結合が解裂し、活性ラジカルを発生すると考えられる。具体的には例えば、ジアリールヨードニウム塩類、トリアリールスルホニウム塩類、N−アルコキシピリジニウム(アジニウム)塩類等が好適に使用される。
フェロセン、鉄アレーン錯体類:還元的に活性ラジカルを生成しうる。
(b)酸化されて活性ラジカルを生成する化合物
アルキルアート錯体:酸化的に炭素−ヘテロ結合が解裂し、活性ラジカルを生成すると考えられる。具体的には例えば、トリアリールアルキルボレート類が好適に使用される。
アルキルアミン化合物:酸化により窒素に隣接した炭素上のC−X結合が解裂し、活性ラジカルを生成するものと考えられる。Xとしては、水素原子、カルボキシル基、トリメチルシリル基、ベンジル基等が好適である。具体的には、例えば、エタノールアミン類、N−フェニルグリシン類、N−トリメチルシリルメチルアニリン類等が挙げられる。
含硫黄、含錫化合物:上述のアミン類の窒素原子を硫黄原子、錫原子に置き換えたものが、同様の作用により活性ラジカルを生成しうる。また、S−S結合を有する化合物もS−S解裂による増感が知られる。
α−置換メチルカルボニル化合物:酸化により、カルボニル−α炭素間の結合解裂により、活性ラジカルを生成しうる。また、カルボニルをオキシムエーテルに変換したものも同様の作用を示す。具体的には、2−アルキル−1−[4−(アルキルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロノン−1類、並びに、これらと、ヒドロキシアミン類とを反応したのち、N−OHをエーテル化したオキシムエーテル類をあげる事ができる。
スルフィン酸塩類:還元的に活性ラジカルを生成しうる。具体的は、アリールスルフィン酸ナトリウム等を挙げることができる。
(c)ラジカルと反応し高活性ラジカルに変換、もしくは連鎖移動剤として作用する化合物:例えば、分子内にSH、PH、SiH、GeHを有する化合物群が用いられる。これらは、低活性のラジカル種に水素供与して、ラジカルを生成するか、もしくは、酸化された後、脱プロトンする事によりラジカルを生成しうる。具体的には、例えば、2−メルカプトベンズイミダゾール類等が挙げられる。
これらの共増感剤のより具体的な例は、例えば、特開平9−236913号公報中に、感度向上を目的とした添加剤として、多く記載されている。以下に、その一部を例示するが、本発明はこれらに限定されるものはない。
Figure 2005239894
これらの共増感剤に関しても、先の増感色素と同様、さらに、平版印刷版用原版の感光層の特性を改良するための様々な化学修飾を行うことも可能である。例えば、増感色素やチタノセン、付加重合性不飽和化合物その他のラジカル発生パートとの結合、親水性部位の導入、相溶性向上、結晶析出抑制のための置換基導入、密着性を向上させる置換基導入、ポリマー化等の方法が利用できる。これらの共増感剤は、単独でまたは2種以上併用して用いることができる。使用量はエチレン性不飽和二重結合を有する化合物100質量部に対し0.05〜100質量部、好ましくは1〜80質量部、さらに好ましくは3〜50質量部の範囲が適当である。
(D2)熱重合防止剤
また、本発明の感光性組成物においては、以上の基本成分の他に、その製造中あるいは保存中において重合可能なエチレン性不飽和二重結合を有する化合物の不要な熱重合を阻止するために少量の熱重合防止剤を添加することが望ましい。適当な熱重合防止剤としてはハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4′−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミン第一セリウム塩等が挙げられる。熱重合防止剤の添加量は、全組成物の質量に対して約0.01質量%〜約5質量%が好ましい。また平版印刷版用原版等の感光層として塗布する場合、必要に応じて、酸素による重合阻害を防止するためにベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体等を添加して、塗布後の乾燥の過程で該感光層の表面に偏在させてもよい。高級脂肪酸誘導体の添加量は、全組成物の約0.5質量%〜約10質量%が好ましい。
(D3)着色剤等
本発明の感光性組成物を平版印刷版用原版等の画像記録材料の感光層として用いる場合、さらに、該感光層の着色を目的として染料もしくは顔料の着色剤を添加してもよい。 これにより、平版印刷版用原版としての、製版後の視認性や、画像濃度測定機適性といったいわゆる検版性を向上させる事ができる。
着色剤としては、多くの染料は光重合系感光層の感度の低下を生じるので、特に顔料の使用が好ましい。具体例としては例えばフタロシアニン系顔料、アゾ系顔料、カーボンブラック、酸化チタンなどの顔料、エチルバイオレット、クリスタルバイオレット、アゾ系染料、アントラキノン系染料、シアニン系染料などの染料がある。染料および顔料の添加量は全組成物の約0.5質量%〜約5質量%が好ましい。
(D4)その他の添加剤
本発明の感光性組成物を平版印刷版用原版等の感光層に用いる場合、さらに、その硬化皮膜の物性を改良するために無機充填剤や、その他可塑剤、該感光層表面のインク着肉性を向上させうる感脂化剤等の公知の添加剤を加えてもよい。
可塑剤としては例えばジオクチルフタレート、ジドデシルフタレート、トリエチレングリコールジカプリレート、ジメチルグリコールフタレート、トリクレジルホスフェート、ジオクチルアジペート、ジブチルセバケート、トリアセチルグリセリン等があり、バインダーポリマーを使用した場合、エチレン性不飽和二重結合を有する化合物とバインダーポリマーとの合計質量に対し10質量%以下添加することができる。
また、後述する平版印刷版用原版の感光層の膜強度(耐刷性)向上を目的とした、現像後の加熱・露光の効果を強化するための、UV開始剤や、熱架橋剤等の添加もできる。
その他、該感光層と支持体との密着性向上や、未露光感光層の現像除去性を高めるための添加剤、中間層を設ける事を可能である。例えば、ジアゾニウム構造を有する化合物や、ホスホン化合物等、後述の基板と比較的強い相互作用を有する化合物の添加や下塗りにより、密着性が向上し、耐刷性を高める事が可能であり、一方ポリアクリル酸や、ポリスルホン酸のような親水性ポリマーの添加や下塗りにより、非画像部の現像性が向上し、汚れ性の向上が可能となる。
本発明の感光性組成物を平版印刷版用原版等の画像記録材料の感光層として支持体上に塗布する際には、種々の有機溶剤に溶かして使用に供される。ここで使用する溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、エチレンジクロライド、テトラヒドロフラン、トルエン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、アセチルアセトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、3−メトキシプロパノール、メトキシメトキシエタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、乳酸メチル、乳酸エチルなどがある。これらの溶媒は、単独あるいは混合して使用することができる。そして、塗布溶液中の固形分の濃度は、2〜50質量%が適当である。
前記感光層の支持体被覆量は、主に、感光層の感度、現像性、露光膜の強度・耐刷性に影響しうるもので、用途に応じ適宜選択することが望ましい。被覆量が少なすぎる場合には、耐刷性が十分でなくなる。一方多すぎる場合には、感度が下がり、露光に時間がかかる上、現像処理にもより長い時間を要するため好ましくない。本発明の感光性組成物の主要な使用目的である走査露光用平版印刷版としては、その被覆量は乾燥後の質量で約0.1g/m2〜約10g/m2の範囲が適当である。より好ましくは0.5〜5g/m2である。
(E)支持体
本発明の感光性組成物の主要な使用目的の一つである、平版印刷版用原版を得るには該感光性組成物からなる感光層を、表面が親水性の支持体上に設ける事が望ましい。親水性の支持体としては、従来公知の平版印刷版用原版に使用される親水性支持体を限定無く使用することができる。
使用される支持体は寸度的に安定な板状物であることが好ましく、例えば、紙、プラスチック(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミニウム、亜鉛、銅等)、プラスチックフィルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール等)、上記の如き金属がラミネート若しくは蒸着された紙若しくはプラスチックフィルム等が含まれ、これらの表面に対し、必要に応じ親水性の付与や、強度向上、等の目的で適切な公知の物理的、化学的処理を施しても良い。
特に、好ましい支持体としては、紙、ポリエステルフィルム又はアルミニウム板があげられ、その中でも寸法安定性がよく、比較的安価であり、必要に応じた表面処理により親水性や強度にすぐれた表面を提供できるアルミニウム板は特に好ましい。また、特公昭48−18327号公報に記載されているようなポリエチレンテレフタレートフィルム上にアルミニウムシートが結合された複合体シートも好ましい。
好適なアルミニウム板は、純アルミニウム板及びアルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含む合金板であり、更にアルミニウムがラミネート又は蒸着されたプラスチックフィルムでもよい。アルミニウム合金に含まれる異元素には、ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッケル、チタン等がある。合金中の異元素の含有量は高々10質量%以下である。本発明において特に好適なアルミニウムは、純アルミニウムであるが、完全に純粋なアルミニウムは精錬技術上製造が困難であるので、僅かに異元素を含有するものでもよい。このように本発明に適用されるアルミニウム板は、その組成が特定されるものではなく、従来より公知公用の素材のアルミニウム板を適宜に利用することができる。本発明で用いられるアルミニウム板の厚みはおよそ0.1mm〜0.6mm程度、好ましくは0.15mm〜0.4mm、特に好ましくは0.2mm〜0.3mmである。
また金属、特にアルミニウムの表面を有する支持体の場合には、粗面化(砂目立て)処理、珪酸ソーダ、弗化ジルコニウム酸カリウム、燐酸塩等の水溶液への浸漬処理、あるいは陽極酸化処理などの表面処理がなされていることが好ましい。
アルミニウム板の表面の粗面化処理は、種々の方法により行われるが、例えば、機械的に粗面化する方法、電気化学的に表面を溶解粗面化する方法及び化学的に表面を選択溶解させる方法により行われる。機械的方法としては、ボール研磨法、ブラシ研磨法、ブラスト研磨法、バフ研磨法等の公知の方法を用いることができる。また、電気化学的な粗面化法としては塩酸、硝酸等の電解液中で交流又は直流により行う方法がある。また、特開昭54−63902号公報に開示されているように両者を組み合わせた方法も利用することができる。また、アルミニウム板を粗面化するに先立ち、所望により、表面の圧延油を除去するために、例えば、界面活性剤、有機溶剤又はアルカリ性水溶液等による脱脂処理が行われる。
さらに、粗面化したのちに珪酸ナトリウム水溶液に浸漬処理されたアルミニウム板が好ましく使用できる。特公昭47−5125号公報に記載されているようにアルミニウム板を陽極酸化処理したのちに、アルカリ金属珪酸塩の水溶液に浸漬処理したものが好適に使用される。陽極酸化処理は、例えば、燐酸、クロム酸、硫酸、硼酸等の無機酸、もしくは
蓚酸、スルファミン酸等の有機酸またはそれらの塩の水溶液または非水溶液の単独または二種以上を組み合わせた電解液中でアルミニウム板を陽極として電流を流すことにより実施される。
また、米国特許第3658662号明細書に記載されているようなシリケート電着も有効である。
さらに、特公昭46−27481号、特開昭52−58602号、特開昭52−30503号各公報に開示されているような電解グレインを施した支持体と、上記陽極酸化処理および珪酸ソーダ処理を組合せた表面処理も有用である。
さらにまた、特開昭56−28893号公報に開示されているような機械的粗面化、化学的エッチング、電解グレイン、陽極酸化処理さらに珪酸ソーダ処理を順に行ったものも好適である。
さらに、これらの処理を行った後に、水溶性の樹脂、例えばポリビニルホスホン酸、スルホン酸基を側鎖に有する重合体および共重合体、ポリアクリル酸、水溶性金属塩(例えば硼酸亜鉛)もしくは、黄色染料、アミン塩等を下塗りしたものも好適である。
さらに特開平7−159983号公報に開示されているようなラジカルによって付加反応を起こし得る官能基を共有結合させたゾル−ゲル処理基板も好適に用いられる。
その他好ましい例として、任意の支持体上に表面層として耐水性の親水性層を設けたものも挙げることができる。この様な表面層としては例えば米国特許第3055295号明細書や、特開昭56−13168号公報記載の無機顔料と結着剤とからなる層、特開平9−80744号公報記載の親水性膨潤層、特表平8−507727号公報記載の酸化チタン、ポリビニルアルコール、珪酸類からなるゾルゲル膜等を上げる事ができる。
これらの親水化処理は、支持体の表面を親水性とするために施される以外に、その上に設けられる感光性組成物の有害な反応を防ぐため、かつ感光層の密着性の向上等のために施されるものである。
(F)保護層
本発明の感光性組成物の望ましい使用態様である、走査露光用平版印刷版においては、通常、露光を大気中で行うため、該感光性組成物からなる層の上に、さらに、保護層を設ける事が好ましい。
保護層は、感光層中で露光により生じる画像形成反応を阻害する大気中に存在する酸素や塩基性物質等の低分子化合物の感光層への混入を防止し、大気中での露光を可能とする。従って、この様な保護層に望まれる特性は、酸素等の低分子化合物の透過性が低いことであり、さらに、露光に用いる光の透過は実質阻害せず、感光層との密着性に優れ、かつ、露光後の現像工程で容易に除去できる事が望ましい。この様な、保護層に関する工夫が従来よりなされており、米国特許第3458311号明細書および特開昭55−49729号公報に詳しく記載されている。
保護層に使用できる材料としては例えば、比較的、結晶性に優れた水溶性高分子化合物を用いる事がよく、具体的には、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、酸性セルロース類、ゼラチン、アラビアゴム、ポリアクリル酸などのような水溶性ポリマーが知られていが、これらの内、ポリビニルアルコールを主成分として用いる事が、酸素遮断性、現像除去性といった基本特性的にもっとも良好な結果を与える。保護層に使用するポリビニルアルコールは、必要な酸素遮断性と水溶性を有するための、未置換ビニルアルコール単位を含有する限り、一部がエステル、エーテルおよびアセタールで置換されていても良い。また、同様に一部が他の共重合成分を有していても良い。ポリビニルアルコールの具体例としては71〜100%加水分解され、分子量が300から2400の範囲のものをあげる事ができる。
具体的には、株式会社クラレ製のPVA−105、PVA−110、PVA−117、PVA−117H、PVA−120、PVA−124、PVA−124H、PVA−CS、PVA−CST、PVA−HC、PVA−203、PVA−204、PVA−205、PVA−210、PVA−217、PVA−220、PVA−224、PVA−217EE、PVA−217E、PVA−220E、PVA−224E、PVA−405、PVA−420、PVA−613、L−8等があげられる。
保護層の成分(PVAの選択、添加剤の使用)、塗布量等は、酸素遮断性・現像除去性の他、カブリ性や密着性・耐傷性を考慮して選択される。一般には使用するPVAの加水分解率が高い程(保護層中の未置換ビニルアルコール単位含率が高い程)、膜厚が厚い程酸素遮断性が高くなり、感度の点で有利である。しかしながら、極端に酸素遮断性を高めると、製造時・生保存時に不要な重合反応が生じたり、また画像露光時に、不要なカブリ、画線の太りが生じたりという問題を生じる。また、画像部との密着性や、耐傷性も版の取り扱い上極めて重要である。即ち、水溶性ポリマーからなる親水性の層を親油性の重合層に積層すると、接着力不足による膜剥離が発生しやすく、剥離部分が酸素の重合阻害により膜硬化不良などの欠陥を引き起こす。
これに対し、これら2層間の接着性を改善すべく種々の提案がなされている。たとえば、ポリビニルアルコールからなる親水性ポリマー中に、アクリル系エマルジョンまたは水不溶性ビニルピロリドン−ビニルアセテート共重合体などを20〜60質量%混合し、重合層の上に積層することにより十分な接着性が得られる。本発明における保護層に対しては、これらの公知の技術をいずれも適用する事ができる。このような保護層の塗布方法については、例えば米国特許第3458311号明細書および特開昭55−49729号公報に詳しく記載されている。
さらに、保護層に他の機能を付与する事もできる。例えば、露光に使う、350nmから450nmの光の透過性に優れ、かつ500nm以上の光を効率良く吸収しうる着色剤(水溶性染料等)の添加により、感度低下を起こすことなく、セーフライト適性をさらに高める事ができる。
本発明の感光性組成物を用いた感光材料を平板印刷版用原版等の画像記録材料として使用する際には、通常、画像露光したのち、現像液で感光層の未露光部を除去し、画像を得る。これらの感光性組成物を平版印刷版用原版に使用する際、その好ましい現像液としては、特公昭57−7427号公報に記載されているような現像液が挙げられ、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、第三リン酸ナトリウム、第二リン酸ナトリウム、第三リン酸アンモニウム、第二リン酸アンモニウム、メタケイ酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、アンモニア水などのような無機アルカリ剤やモノエタノールアミンまたはジエタノールアミンなどのような有機アルカリ剤の水溶液が適当である。このようなアルカリ溶液の濃度が0.1〜10質量%、好ましくは0.5〜5質量%になるように添加される。
また、このようなアルカリ性水溶液には、必要に応じて界面活性剤やベンジルアルコール、2−フェノキシエタノール、2−ブトキシエタノールのような有機溶媒を少量含むことができる。例えば、米国特許第3375171号および同第3615480号各明細書に記載されているものを挙げることができる。さらに、特開昭50−26601号、同58−54341号、特公昭56−39464号、同56−42860号の各公報に記載されている現像液も優れている。
特に好ましい現像液としては、特開2002−202616号公報に記載の、下記式で
表される非イオン性化合物を含有し、pHが11.5〜12.8であり、かつ3〜30mS/cmの電導度を有する現像液が挙げられる。
A−W
(式中、AはA−HのLogPが1.5以上の疎水性有機基を表し、WはW−HのLogPが1.0未満の非イオン性の親水性有機基を表す。)
その他、本発明の感光性組成物を感光層に用いた平版印刷版用原版からの平版印刷版の製版プロセスとしては、必要に応じ、露光前、露光中、露光から現像までの間に、全面を加熱しても良い。この様な加熱により、該感光層中の画像形成反応が促進され、感度や耐刷性の向上や感度の安定化といった利点が生じ得る。さらに、画像強度・耐刷性の向上を目的として、現像後の画像に対し、全面後加熱もしくは全面露光を行う事も有効である。 通常現像前の加熱は150℃以下の穏和な条件で行う事が好ましい。温度が高すぎると、非画像部迄がかぶってしまう等の問題を生じる。現像後の加熱には非常に強い条件を利用する。通常は200〜500℃の範囲である。温度が低いと十分な画像強化作用が得られず、高すぎる場合には支持体の劣化、画像部の熱分解といった問題を生じる。
本発明の感光性組成物を感光層に用いた平版印刷版用原版の露光方法は、公知の方法を制限なく用いる事ができる。望ましい、光源の波長は350nmから450nmであり、具体的にはInGaN系半導体レーザが好適である。露光機構は、内面ドラム方式、外面ドラム方式、フラットベッド方式等の何れでも良い。また、該感光層成分は、高い水溶性のものを使用する事で、中性の水や弱アルカリ水に可溶とすることもできるが、この様な構成の平版印刷版用原版は印刷機上に装填後、機上で露光−現像といった方式を行う事もできる。
また、本発明による光重合性組成物に対するその他の露光光線としては、超高圧、高圧、中圧、低圧の各水銀灯、ケミカルランプ、カーボンアーク灯、キセノン灯、メタルハライド灯、可視および紫外の各種レーザーランプ、蛍光灯、タングステン灯、太陽光等も使用できる。
350nm〜450nmの入手可能なレーザー光源としては以下のものを利用することができる。
ガスレーザーとして、Arイオンレーザー(364nm、351nm、10mW〜1W)、Krイオンレーザー(356nm、351nm、10mW〜1W)、He−Cdレーザー(441nm、325nm、1mW〜100mW)、固体レーザーとして、Nd:YAG(YVO4)とSHG結晶×2回の組み合わせ(355nm、5mW〜1W)、Cr:LiSAFとSHG結晶の組み合わせ(430nm、10mW)、
半導体レーザー系として、KNbO3リング共振器(430nm、30mW)、導波型波長変換素子とAlGaAs、InGaAs半導体の組み合わせ(380nm〜450nm、5mW〜100mW)、導波型波長変換素子とAlGaInP、AlGaAs半導体の組み合わせ(300nm〜350nm、5mW〜100mW)、AlGaInN(350nm〜450nm、5mW〜30mW)その他、パルスレーザーとしてN2レーザー(337nm、パルス0.1〜10mJ)、XeF(351nm、パルス10〜250mJ)特にこの中でAlGaInN半導体レーザー(市販InGaN系半導体レーザー400〜410nm、5〜30mW)が波長特性、コストの面で好適である。
また走査露光方式の平版印刷版露光装置としては、露光機構として内面ドラム方式、外面ドラム方式、フラットベッド方式があり、光源としては上記光源の中で連続発振可能なものが好ましく利用することができる。現実的には感材感度と製版時間の関係で、以下の露光装置が特に好ましい。
・内面ドラム方式で総出力20mW以上の半導体レーザーとなる様に、ガスレーザーあ
るいは固体レーザー光源を1個以上使用するシングルビーム〜トリプルビームの露光装置
・フラットベッド方式で総出力20mW以上となる様に、半導体レーザー、ガスレーザーあるいは固体レーザーを1個以上使用したマルチビーム(1〜10本)の露光装置
・外面ドラム方式で総出力20mW以上となる様に、半導体レーザー、ガスレーザーあるいは固体レーザーを1個以上使用したマルチビーム(1〜9本)の露光装置
・外面ドラム方式で総出力20mW以上となる様に、半導体レーザーあるいは固体レーザーを1個以上使用したマルチビーム(10本以上)の露光装置以上のようなレーザー直描型の平版印刷版においては、一般に感材感度X(J/cm2)、感材の露光面積S(cm2)、レーザー光源1個のパワーq(W)、レーザー本数n、全露光時間t(s)との間に式(eq 1)が成立する。
X・S=n・q・t (eq 1)
i)内面ドラム(シングルビーム)方式の場合
レーザー回転数f(ラジアン/s)、感材の副走査長Lx(cm)、解像度Z(ドット/cm)、全露光時間t(s)の間には一般的に式(eq 2)が成立する。
f・Z・t=Lx (eq 2)
ii)外面ドラム(マルチビーム)方式の場合
ドラム回転数F(ラジアン/s)、感材の副走査長Lx(cm)、解像度Z(ドット/cm)、全露光時間t(s)、ビーム数(n)の間には一般的に式(eq 3)が成立する。
F・Z・n・t=Lx (eq 3)
iii)フラットヘッド(マルチビーム)方式の場合
ポリゴンミラーの回転数H(ラジアン/s)、感材の副走査長Lx(cm)、解像度Z(ドット/cm)、全露光時間t(s)、ビーム数(n)の間には一般的に式(eq 4) が成立する。
F・Z・n・t=Lx (eq 4)
実際の印刷版に要求される解像度(2560dpi)、版サイズ(A1/B1、副走査長42inch)、20枚/1時間程度の露光条件と本発明の感光性組成物の感光特性(感光波長、感度:約0.1mJ/cm2)を上記式に代入することで、本発明の感光性組成物を用いた感材においては総出力20mW以上のレーザーを用いたマルチビーム露光方式との組み合わせが特に好ましいことが理解できる。さらに操作性、コスト等を掛け合わせることにより外面ドラム方式の半導体レーザーマルチビーム(10本以上)露光装置との組み合わせが最も好ましいことになる。
また、本発明による感光性組成物の用途としては走査露光用平版印刷版の他、広く、光硬化樹脂の用途として知られるものに制限なく適用できる。例えば、必要に応じカチオン重合性化合物と併用した液状の光重合性組成物に適用することで、高感度な光造形用材料が得られる。また、光重合にともなう、屈折率の変化を利用し、ホログラム材料とすることもできる。光重合に伴う、表面の粘着性の変化を利用して様々な転写材料(剥離感材、トナー現像感材等)にも応用できる。マイクロカプセルの光硬化にも適用できる。フォトレジスト等の電子材料製造、インクや塗料、接着剤等の光硬化樹脂材料にも応用できる。
さらに、本発明の感光性組成物に含まれるアクリジン化合物および活性剤化合物からな
る光重合開始系は、感光性に優れ、かつ安定性に優れた光重合開始系であり、上記に詳述した感光性組成物以外にも、種々の利用法を使用することができる。例えば、光による高効率でのラジカル生成は例えば、トリフェニルメタン系ロイコ染料の酸化発色を高感度で引き起こす事ができる。また、ある種のポリメチン系色素に対し、ラジカル付加による消色反応を引き起こすことができる。また、該光重合開始系は光によりラジカルと同時に、酸成分も発生するので、酸により吸収の変化する化合物や、酸により架橋反応を起こす樹脂組成物、酸により分解し溶解性が向上しうる樹脂組成物と組み合わせる事で、高感度な画像形成材料を作成する事ができる。
以下、実施例によって本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〜12および比較例1〜5〕
(支持体の調製)
厚さ0.3mmのアルミニウム板を10質量%水酸化ナトリウムに60℃で25秒間浸漬してエッチングした後、流水で水洗後20質量%硝酸で中和洗浄し、次いで水洗した。これを正弦波の交番波形電流を用いて1質量%硝酸水溶液中で300クーロン/dm2の陽極時電気量で電解粗面化処理を行った。引き続いて1質量%水酸化ナトリウム水溶液中に40℃で5秒間浸漬後30質量%の硫酸水溶液中に浸漬し、60℃で40秒間デスマット処理した後、20質量%硫酸水溶液中、電流密度2A/dm2において、陽極酸化皮膜の厚さが2.7g/m2になるように、2分間陽極酸化処理した。その表面粗さを測定したところ、0.3μm(JIS B0601によるRa表示)であった。
このように処理された基板の裏面に下記のゾル−ゲル反応液をバーコーターで塗布し100℃で1分間乾燥し、乾燥後の塗布量が70mg/m2のバックコート層を設けた支持体を作成した。
ゾル−ゲル反応液
テトラエチルシリケート 45質量部
水 25質量部
メタノール 15質量部
リン酸 0.05質量部
上記成分を混合、撹拌すると約5分で発熱が開始した。60分間反応させた後、以下に示す液を加えることによりバックコート塗布液を調製した。
ピロガロールホルムアルデヒド縮合樹脂(分子量2000) 5質量部
ジメチルフタレート 4質量部
フッ素系界面活性剤 0.7質量部
(N−ブチルペルフルオロオクタンスルホンアミドエチルアクリレート/ ポリオキシエチレンアクリレート共重合体:分子量2万)
メタノールシリカゾル(日産化学工業(株)製,メタノール30質量%)
100質量部
メタノール 900質量部
(感光層の調製)
このように処理されたアルミニウム板上に、下記組成の光重合性組成物を乾燥塗布量が1.0g/m2となるように塗布し、80℃、2分間乾燥させ感光層を形成させた。
・付加重合性化合物 U−4H 1.5g
3−(2−メチルプロプ−2−エノイロキシ)−2−(N−(6−((2−
(2−メチルプロプ−2−エノイロキシ)−1−((2−メチルプロプ
−2−エノイロキシ)メチル)エトキシ)カルボニルアミノ)ヘキシル)
カルバモイロキシ)プロピル−2−メチルプロプ−2−エノエート
・下記ジイソシアネートとジオールの縮重合物であるポリウレタン樹脂
1.8g
・4,4'−ジフェニルメタンジイソイソシネート(MDI)
・ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)
・ポリプロピレングリコール、重量平均分子量1000(PPG1000)
・2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオニックアシッド(DMPA)
・テトラエチレングリコール(TEG)
共重合モル比(MDI/HMDI/PPG1000/DMPA/TEG)
=38/12/15/25/10
NaOH滴定により求めた実測酸価1.10meq/g
GPC測定より求めた重量平均分子量5.6万
・光重合開始系 (表1中に記載)
・増感色素
・活性剤化合物(チタノセン化合物)
・共増感剤
フッ素系ノニオン界面活性剤(F−177P) 0.02g
・熱重合禁止剤
N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩 0.01g
・顔料分散物 1.8 g
顔料分散物の組成
Pigment Blue 15:6 15質量%
アリルメタクリレート/メタクリル酸共重合体 10質量%
(共重合モル比83/17)
シクロヘキサノン 15質量%
メトキシプロピルアセテート 20質量%
プロピレングリコールモノメチルエーテル 40質量%
・メチルエチルケトン 30.0 g
・プロピレングリコールモノメチルエーテル 15.0 g
(保護層の調製)
この感光層上にポリビニルアルコール(ケン化度98モル%、重合度550)の3質量%の水溶液を乾燥塗布質量が2g/m2となるように塗布し、100℃で2分間乾燥した。
(感光性、セーフライト適性の評価)
この様に得られた平版印刷版用原版上に富士写真フイルム(株)製の富士ステップガイド(△D=0.15で不連続的に透過光学濃度が変化するグレースケール)を密着させ、光学フィルター(ケンコーBP−40)を通したキセノンランプを用い、既知の露光エネルギーとなるように露光を行った。光学フィルターとしては、短波半導体レーザへの露光適性を見積もる目的で、400nmのモノクロミックな光で露光が可能なケンコーBP−40を用いた。その後、下記組成の現像液に25℃、10秒間浸漬し、現像を行い、画像が完全に除去される最高の段数から感度(クリア感度)を算出した(表1)。ここで、クリア感度とは、画像の形成に最低限必要なエネルギーを表し、この値が低いほど高感度である。
Figure 2005239894
この様に、本発明の感光性組成物を用いた平版印刷版用原版は非常に高感度であり、走査露光方式に十分な感度を示す。
また、本発明の感光性組成物に含まれる光重合開始系は増感色素を使用しない場合に比較して、高感度であり、特に活性剤の添加量が少ない場合においても、十分な感度を示す。
なお、上記実施例1〜12、比較例1〜5で用いた現像液は、下記組成からなるpH12.0の水溶液である。
1Kケイ酸カリウム 2.4g
水酸化カリウム 0.2g
下記化合物(1) 5.0g
水 91.3g
エチレンジアミンテトラ酢酸・4Na塩 0.1g
Figure 2005239894
〔実施例13〜20および比較例6〕
以下の手順で平版印刷版用原版を作製し、印刷性能を評価した。結果を表2に示す。
(支持体の前処理)
厚さ0.3mmの材質1Sのアルミニウム板を8号ナイロンブラシと800メッシュのパミストンの水懸濁液を用い、その表面を砂目だてした後、よく水で洗浄した。10質量%水酸化ナトリウムに70℃で60秒間浸漬してエッチングした後、流水で水洗後、20質
量%硝酸で中和洗浄し、次いで水洗した。これをVA=12.7Vの条件で、正弦波の交番波形電流を用いて1質量%硝酸水溶液中で300クーロン/dm2の陽極時電気量で電解粗面化処理を行った。その表面粗さを測定したところ、0.45μm(JIS B0601によるRa表示)であった。
(支持体表面の親水化処理)
上記の支持体を、3号ケイ酸ソーダ(SiO2=28〜30%、Na2O=9〜10%、Fe=0.02%以下)の2.5質量%、pH=11.2、70℃の水溶液に13秒浸漬し、続いて水洗した。表面の蛍光X線分析により求めた、Si元素量から、表面シリケート量は10mg/m2と求められた。
(中間層の塗設)
上記の親水化支持体表面上に、フェニルホスホン酸の塗布量が20mg/m2となるように、下記(A)に示す組成の塗布液を調製し、ホイラーにて180rpmの条件で塗布後、80℃で30秒間乾燥させた。
(中間層塗布液A)
フェニルホスホン酸 0.08〜1.5g
メタノール 180 g
(感光層の塗設)
上記中間層を設けた支持体上に、下記組成の感光液を調製し、塗布量が1.0〜2.0g/m2になるように、ホイラーで塗布し、100℃で1分間乾燥させた。
(感光液)
重合性化合物(表2中に記載の化合物) 1.5 g
バインダーポリマー(表2中に記載の化合物) 1.7 g
増感色素(表2中に記載の化合物) 0.20 g
活性剤(表2中に記載の化合物) 0.1 g
共増感剤(表2中に記載の化合物) 0.35 g
着色顔料分散物 2.0 g
(顔料分散物の組成)
Pigment Blue 15:6 15質量%
アリルメタクリレート/メタクリル酸共重合体 10質量%
(共重合モル比83/17)熱重合
シクロヘキサノン 15質量%
メトキシプロピルアセテート 20質量%
プロピレングリコールモノメチルエーテル 40質量%
熱重合禁止剤 0.01g
(N−ニトロソフェニルヒドロキシルアミンアルミニウム塩)
界面活性剤(大日本インキ化学工業(株)製、 0.02g
メガファックF−177)
メチルエチルケトン 30.0 g
プロピレングリコールモノメチルエーテル 15.0 g
(保護層の塗設)
この感光層上にポリビニルアルコール(ケン化度98モル%、重合度550)の3質量%の水溶液を乾燥塗布質量が2g/m2となるように塗布し、100℃で2分間乾燥した。
(平版印刷版用原版の露光)
上記のようにして得られた平版印刷版用原版を、光源として400nmの単色光を用い、版面露光エネルギー密度200μJ/cm2となる様に露光パワーを調節し、ベタ画像露光および、175線/インチ、1%刻みで1から99%となる網点画像露光を行った。
(現像/製版)
富士写真フイルム(株)製自動現像機LP−850に所定の現像液(表2中に記載)と富士写真フイルム(株)製フィニッシャーFP−2Wをそれぞれ仕込み現像液温度30℃、現像時間18秒の条件で露光済みの版を、現像/製版し、平版印刷版を得た。
(耐刷性試験)
印刷機としてローランド社製R201を使用し、インキとして大日本インキ社製GEOS−G(N)を使用した。ベタ画像部の印刷物を観察し、画像がかすれはじめた枚数によって耐刷性を調べた。数字が多きいほど耐刷性が良い。
(網点耐刷性強制試験)
印刷機としてローランド社製R201を使用し、インキとして大日本インキ社製GEOS−G(N)を使用した。印刷開始から5000枚目に富士写真フイルム(株)製PSプレートクリーナーCL−2を印刷用スポンジにしみこませ、網点部を拭き、版面のインキを洗浄した。その後、10,000枚印刷を行い、印刷物における網点の版飛びの有無を目視で観察した。
(耐汚れ性試験)
印刷機としてローランド社製R201を使用し、インキとして大日本インキ社製GEOS−G(S)を使用した。非画像部(未露光部)の印刷物を観察し、耐汚れ性を評価した。
Figure 2005239894
(表2中の重合性化合物)
[M−1]
U-4H:3−(2−メチルプロプ−2−エノイロキシ)−2−(N−(6−((2−(2−メチルプロプー2−エノイロキシ)−1−((2−メチルプロプ−2−エノイロキシ)メチル)エトキシ)カルボニルアミノ)ヘキシル)カルバモイロキシ)プロピル−2−メチルプロプ−2−エノエート
[M−2]
A−TMMT:ペンタエルスリトールテトラアクリレート(新中村化学工業(株)製;NKエステル)
(表1中のバインダーポリマー)
[B−1]
アリルメタクリレート/メタクリル酸/N−イソプロピルアクリルアミド(共重合モル比60/10/30)
NaOH滴定により求めた実測酸価1.05meq/g
GPC測定より求めた重量平均分子量15万
[B−2]
アリルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(共重合モル比83/17)
NaOH滴定により求めた実測酸価1.55meq/gGPC測定より求めた重量平均分子量12.5万
[B−3]
下記ジイソシアネートとジオールの縮重合物であるポリウレタン樹脂
4,4'−ジフェニルメタンジイソイソシネート(MDI)
ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)
ポリプロピレングリコール、重量平均分子量1000(PPG1000)
2,2−ビス(ヒドロキシメチル)プロピオニックアシッド(DMPA)
テトラエチレングリコール(TEG)
共重合モル比(MDI/HMDI/PPG1000/DMPA/TEG)=39/11/12/26/12
NaOH滴定により求めた実測酸価1.10meq/g
GPC測定より求めた重量平均分子量5.6万
(表2中の現像液)
DV−1
下記組成からなるpH10の水溶液
モノエタノールアミン 0.1 質量%
トリエタノールアミン 1.5 質量%
下記化合物(2) 4.0 質量%
下記化合物(3) 2.5 質量%
下記化合物(4) 0.2 質量%
水 91.7 質量%
Figure 2005239894
DV−2
下記組成からなるpH12の水溶液
水酸化カリウム 0.2g
1Kケイ酸カリウム 2.4g
上記化合物(1) 5.0g
エチレンジアミンテトラ酢酸・4Na塩 0.1g
水 91.3g
DV−3
下記組成からなるpH13の水溶液
1Kケイ酸カリウム 3.0 質量%
水酸化カリウム 1.5 質量%
上記化合物(4) 0.2 質量%
水 95.3 質量%
表2から明らかな様に、本発明による平版印刷版用原版は走査露光により高い生産性をもって製版可能な条件、即ち、非常に低エネルギーの露光条件によっても、優れた平版印刷版を提供する。一方、本発明の光開始系を用いない、比較例6では、実用可能な平版印刷版は得られなかった。
なお、本実施例中の多クロモファー型増感色素の構造は本明細書中に例示したものであり、その他の化合物の構造は以下の通りである。
Figure 2005239894
Figure 2005239894

Claims (2)

  1. (i)一般式(1)で表される増感色素、
    (ii)一般式(1)で表される増感色素の光吸収により生じる電子励起状態との相互作用により化学変化を起こし、ラジカルまたは酸を生成する活性剤化合物、および
    (iii)ラジカル又は酸の少なくともいずれかによって反応する重合性化合物を含有する感光性組成物。
    Figure 2005239894
    (式中、R1は水素原子または一価の非金属原子団を表す。Arは置換もしくは非置換のアリール基、置換もしくは非置換のヘテロアリール基を表す。Zは隣接する原子と共同して、酸性核を形成するのに必要な2価の非金属原子団を表す。Xは、窒素原子、酸素原子または硫黄原子を表す。ここでXが窒素原子であるときm=3であり、かつn=2もしくは3である。Xが酸素原子または硫黄原子であるときm=2であり、かつn=2である。)
  2. 支持体上に、請求項1に記載の感光性組成物を含有する感光層を有することを特徴とする画像記録材料。
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