JP2005237326A - ダイオキシン類の検出法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 安価でより簡易、かつ、鋭敏なダイオキシン検出法を提供することを目的とする。
【解決手段】 少なくとも1つの配列番号1で記載されるダイオキシン応答配列と、
前記応答配列に、機能できるように連結されたアルカリホスファターゼをコードする遺伝子、特に分泌型アルカリホスファターゼをコードする遺伝子と、を含むリポータ構築物を利用したバイオアッセイ系を確立し、上記課題を解決した。本アッセイ系では、細胞を破壊する必要がないため、簡易かつ鋭敏なダイオキシンの検出法を提供することができる。
【選択図】 図8

Description

本発明は、ダイオキシン類とその受容体との特異的結合を利用した、バイオアッセイ技術に係り、より詳細には、ダイオキシン応答配列と分泌型アルカリホスファターゼをコードする塩基配列とを用いたリポータ構築物に関する。
ダイオキシン類は、ゴミの燃焼や様々な化学物質の製造過程等において非意図的に生成され、その後、燃焼排ガスや化学物質の不純物として環境に排出されることから、その環境ならびに健康に対する影響が危惧されている。
ここで、ダイオキシン類とは、ポリ塩化ジベンゾ-パラ-ジオキシン類(PCDDs)、ポリ塩化ジベンゾフラン類(PCDFs)およびコプラナーポリ塩化ビフェニル(コプラナーPCB)の総称であり、多くの構造異性体が存在する(たとえば、非特許文献1参照)。これら異性体のいくつかは強い毒性を示すことが知られており、現在の環境汚染レベルにおいて、人体に影響を及ぼす危険性があると考えられている(たとえば、非特許文献2または3参照)。その中でも2,3,7,8-tetrachlorodibenzo-p-dioxin(TCDD)は最も強い生体影響力を示し、催奇形性、発がんの促進、体重減少、免疫抑制、上皮細胞異形成、肝臓傷害、生殖機能の低下、ならびに薬物代謝酵素の誘導等を引き起こす(たとえば、非特許文献1、4から6参照)。これらダイオキシン類の毒性発現のほとんどは、その受容体であるAryl hydrocarbon receptor(以下、「Ahレセプター」又は「AhR」という。)によって仲介されることが知られている。リガンド(ダイオキシン類)非存在下においてAhレセプターは細胞質に存在するが、TCDD等のリガンド(ダイオキシン類)と結合することにより、Ahレセプターは構造変化を起こし、核内へと移行する(たとえば、非特許文献7参照)。核移行したAhレセプターはAryl hydrocarbon receptor nuclear translocator(Arnt)とヘテロ二量体を形成する。AhR/Arntヘテロ二量体が、標的遺伝子の転写調節領域上に存在するxenobiotic response element(XRE)と呼ばれる、ダイオキシン応答配列に結合することにより、転写が活性化される(図1参照)(たとえば、非特許文献8から10参照)。
さらに、このような転写制御による毒性発現メカニズムに加え、TCDDが一部のmRNAを安定化し、その結果タンパク質が過剰に発現されるpost-transcriptionalな毒性発現メカニズムも存在する(たとえば、非特許文献11から13参照)。したがって、ダイオキシン類の毒性発現には、暴露された細胞における遺伝子発現の変化が強く関与している。
ダイオキシン類は微量において毒性を示し、さらにその発生源は、上述したように、ゴミの焼却等生活に密着したものである。したがって、ダイオキシン類の簡易でかつ鋭敏な検出法の開発が社会的に要請されている。
一般に、環境試料や食品の分析には公定法に規定されている高分解能ガスクロマトグラフィー・質量分析が標準法として用いられている。しかしながら、この方法は高価で特殊な機器、高度な技術をもつ分析技術者、専用の分析施設および複雑な前処理を要する。そのため、分析結果を得るまでに長期間を要し、分析費用が高額なものになっている。また、同一試料中の複数のダイオキシン類による生体への複合的影響は化学分析では考慮されていない。このような状況において近年、化学分析の難点を補充、あるいは化学分析に供する試料を選ぶための簡便で安価な1次スクリーニング方法として、バイオアッセイ法が注目されるようになってきた(たとえば、非特許文献14および15参照)。
ダイオキシン類のバイオアッセイ法の開発において、その初期には、ダイオキシン類によって7-ethoxyresorufin O-deethylase(EROD)活性が誘導されることを利用して、細胞のEROD活性から試料中のダイオキシン類の検出が試みられた(たとえば、非特許文献16参照)。また、現在では、ダイオキシン類暴露によるリポーター遺伝子の発現増加を指標としたChemical-activated luciferase expression(CALUX)法が広く用いられている(たとえば、非特許文献17から20参照)。この方法はダイオキシン類によって強く誘導されるマウスCYP1A1遺伝子に由来したエンハンサー配列ならびにマウス乳がんウイルス遺伝子由来のプロモーター配列をルシフェラーゼ遺伝子の上流に挿入したプラスミドを安定的に細胞に導入し、そのルシフェラーゼ活性から試料中のダイオキシン類を検出する方法である。さらには酵素免疫測定法(enzyme immunoassay;EIA)を用いた検出法も開発されている(たとえば、非特許文献21参照)。
以上に挙げた検出法は簡易で鋭敏なものではあるが、EROD bioassayは検出範囲が狭く基質阻害を受けやすい(たとえば、非特許文献19または22参照)。また、CALUX法は感度が鋭敏なためバックグラウンドの影響を受けやすく、細胞を破壊する必要があるために、経時的変化を測定するのにかなりの量の細胞およびスペース等が必要である。さらに、EIA法では抗体の特異性のために限られた種類のダイオキシンしか検出できず、また妨害物質の影響を受けやすい等改善すべき点もいくつかある(たとえば、非特許文献23参照)
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そこで、上記事情に鑑み、本発明では、前述のバイオアッセイの欠点を改善し、安価でより簡易、かつ、鋭敏なダイオキシン検出法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、分泌型アルカリホスファターゼ(secreted alkaline phosphatase、以下、単に「SEAP」という。)を用いて、ダイオキシン類とその受容体との特異的結合を利用することで、上記目的を達成できることを見出した。すなわち、本発明は、(1)少なくとも1つの配列番号1で記載されるダイオキシン応答配列と、前記応答配列に、機能できるように連結されたアルカリホスファターゼをコードする塩基配列と、を含むリポーター構築物と、(2)前記ダイオキシン応答配列が、4つの配列番号1を有する、前記(1)1記載のリポーター構築物と、(3)前記ダイオキシン応答配列が、配列番号2で記載される配列を有する、前記(1)又は(2)に記載のリポーター構築物と、(4)前記アルカリホスファターゼは、分泌型アルカリホスファターゼである、前記(1)ないし(3)のうち何れか一項に記載のリポーター構築物と、(5)前記(1)ないし(4)のうち何れか一項に記載のレポーター構築物を含む、ベクターと、(6)前記ベクターは、プラスミド、ファージおよびコスミドからなる群から選択される、前記(5)に記載のベクターと、(7)前記(5)又は(6)に記載のベクターによって形質転換された形質転換体と、(8)前記形質転換体は、ヒト肝がん由来細胞またはヒト大腸がん由来細胞である、前記(7)に記載の形質転換体と、(9)(a)ダイオキシン類の検出方法であって、前記7に記載の形質転換体と、(b)被検試料を接触させる工程と、アルカリホスファターゼ活性を測定する工程と、を含む検出方法と、(10)前記形質転換体が、ヒト肝がん由来細胞またはヒト大腸がん由来細胞である、前記(9)に記載の検出方法と、(11)前記アルカリホスファターゼは、分泌型アルカリホスファターゼである、前記(9)または(10)に記載の検出方法と、(11)前記(a)の工程の後、所定の時間経過後に培地を交換する工程を含む、前記(9)ないし(11)のうち何れか一項に記載の検出方法と、(13)前記培地を、OPTI-MEMEIに交換する、前記(12)に記載の検出方法と、(14)前記(9)ないし(13)のうち何れか一項に記載の検出方法を行うためのキットと、を提供する。
なお、本発明で用いる用語「リポーター構築物」とは、少なくとも一つの応答配列に、機能できるように連結されたリポータータンパク質の塩基配列を含むものをいう。
本発明によれば、ダイオキシン応答配列とSEAPとを用いたバイオアッセイ系が、微量で生体に影響を及ぼす危険性のあるダイオキシン類を、簡易かつ鋭敏に検出することが可能となる。さらに、本発明のバイオアッセイ系を用いれば、細胞溶解操作が不要となり、同一細胞における遺伝子発現の経時的変化を観測することが可能となる。そして、生態系のダイオキシン類汚染を迅速に検知し、ヒトの健康に対する影響を未然に防止し、公衆衛生の向上に寄与することができる。
次に、本発明の実施の形態について説明する。以下の実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をこの実施形態にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨を逸脱しない限り、さまざまな形態で実施することができる。
本発明に係るリポーター構築物は、少なくとも1つの配列番号1で記載されるダイオキシン応答配列と、前記応答配列に、機能できるように連結されたアルカリホスファターゼをコードする塩基配列とを含む。本発明に係るリポーター構築物は、配列番号1とアルカリホスファターゼをコードする遺伝子とを含む限り、いかなるポリヌクレオチドであってもよく、たとえば、DNAであっても、mRNA等のRNAであってもよい。ここで、配列番号1で記載される配列は、ダイオキシン応答配列のコンセンサス配列である。
本発明の好ましい態様によれば、前記ダイオキシン応答配列は、4つの配列番号1を有し、より好ましくは、前記ダイオキシン応答配列は、配列番号2を有する。ここで、本発明に係るリポータ構築物が、複数の配列番号1を有することは、十分な転写制御能を得るためである。本発明においては、前述のコンセンサス配列が、4程度タンデムに連結されていることが好ましい。
本発明においては、リポータータンパク質として、そのタンパク質の有する酵素活性等に基づき発現量の測定な容易であり、後述するように、宿主細胞に導入した後で、細胞溶解操作を不要とする観点から、アルカリホスファターゼ、好ましくは分泌型アルカリホスファターゼを用いる。このようなリポータータンパク質をコードする塩基配列を有するDNAは、たとば、該DNAを含む市販のプラスミドのDNAを制限酵素消化して目的とするDNAを単離すること等により得ることができる。
本発明に用いるベクターは、本発明に係るリポーター構築物が挿入された組換えベクターであり、宿主細胞内で本発明の機能を発現させることができるものであれば制限はなく、プラスミド、ファージ、コスミドのいずれであってもよい。
プラスミドとしては、大腸菌や緑膿菌などのグラム陰性由来、枯草菌などのグラム陽性菌由来、Staphylococcus由来、酵母由来のものなどがあり、宿主に適合するよう選択される。また、薬剤体制遺伝子や栄養要求性を有する遺伝子などを選択マーカーとして適宜挿入しておくことにより、プラスミドの安定性や有用性を向上させることができる。
ファージとしては、たとえば、大腸菌を宿主とする場合によく用いられるλファージ系やM13ファージ系などが挙げられ、溶菌ファージであるか溶原ファージであるかを問わない。
動物細胞を宿主とする場合、ベクターとしてSV40、パピローマウイルス、ワクシニアウイルス、レトロウイルス、バキュロウイルスなどのウイルスDNAを用いたものが使用できる。
本発明に係る形質転換体は、本発明に係る組換えベクターで形質転換させた形質転換体を含む。本発明の形質転換体は、本発明に係るリポータ構築体が挿入されたベクターに適した宿主を選択し、この宿主に前記ベクターを導入することにより得られる。宿主としては、たとえば、大腸菌や緑膿菌などのグラム陰性菌、枯草菌などのグラム陽性金、放射菌、酵、糸状菌、動植物培養細胞、昆虫培養細胞などが挙げられる。動物細胞の場合は、たとえば、ヒト肝がん由来細胞またはヒト大腸がん由来細胞が好ましい。
ベクターの導入方法としては、宿主に依存して種々あるが、動植物細胞、酵母、細菌などに広く用いられる方法として、リン酸カルシウム共沈法、エレクトロポレーション法、DEAE‐デキストランやポリブレンなどのポリマーと複合体を形成させる方法や、カチオン性脂質のリポソームと複合体を形成させるリポフェクトアミン(Invitrogen社)などから、適宜選択して用いることもできる。
本発明の形質転換体の培養は、宿主細胞の特性などにより選択することができ、たとえば、MEM培地、DMEM培地、Williams E培地(Gibco社)等の公知の培地を使用することできる。なお、本発明に係るリポータ構築物を安定導入した細胞に、ダイオキシン類を暴露したあと、所定期間経過後、前記細胞の培地をOPTI-MEMI(Invitorogen社)に交換すると、より高感度なダイオキシン類の測定が可能となる。
本発明に係るキットとは、本発明に係るバイオアッセイ系の実施に用いるためのキットをいう。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
XRE-SEAP安定導入細胞の構築
SSEAPリポーターアッセイ系を用いたダイオキシン類検出のためのバイオアッセイの構築を試みた。なお、SEAPタンパク質はそのmRNA量に応じて、培養液中に分泌され、かつ高い活性を示す分泌型アルカリホスファターゼである。
具体的には、SEAP遺伝子上流に、配列番号1で記載されるダイオキシン類応答配列であるXRE配列を複数個挿入したリポータープラスミド(XRE-SEAP)を、次のように作製した。次いでヒト肝がん由来細胞であるHepG2細胞にXRE-SEAPを導入し、そのダイオキシン類への反応性を検討した。さらに、ダイオキシン類処理後のSEAP活性の経時的変化の測定を基に、各種ダイオキシン類測定のための諸条件を検討した。
なお、本発明では、以下の化合物を使用した。すなわち、2,3,7,8-Tetrachlorodibenzo-p-dioxin(TCDD、AccuStandard, Inc.)、2,3,4,7,8-Pentachlorodibenzofuran(PCDF、AccuStandard, Inc.)、 1,2,4,7,8-Pentachlorodibenzo-p-dioxin(PCDD、AccuStandard, Inc.)、3-MC、Benzo(a) pyrene(B(a)P、和光純薬工業(株))、Dibenz(a,h)anthracene (DB(a,h)A、和光純薬工業(株))、indirubin(本学薬化学研究室の宮入伸一教授より分与)および 7,8-Benzoflavone(ANF、和光純薬工業(株))を使用した。
1.XRE-SEAPリポーター遺伝子の作製
下記に示すXRE配列(下線)を4個含む塩基配列のオリゴヌクレオチド(1μg/μL)をそれぞれ4.5μLおよび10×アニーリングbuffer 1μLを混和し、55℃ 2時間、その後室温で1時間アニーリングさせた。得られた二本鎖DNAを、Bgl II(New England BioLa
bs, Inc.)で切断したpTAL-SEAP vector(BD Bioscience CLONTECH)にサブクローニングした(XRE-SEAP)。
10×アニーリングbuffer:200mM Tris-HCl(pH7.5)、500mM NaCl、100mM MgCl2
XRE-Luc-1:GATCTTGCGTGACAAGCCTTGCGTGACAAGCTTGCGTGACAAGCTTGCGTGAC
XRE-Luc-2:CTAGAACGCACTGTTCGGAACGCACTGTTCGAACGCACTGTTCGAACGCACTG
配列番号1:TTGCGTG
配列番号2:GATCTTGCGTGACAAGCCTTGCGTGACAAGCTTGCGTGACAAGCTTGCGTGAC
2.HepG2細胞の培養
ヒト肝がん細胞由来HepG2細胞(東北大学加齢医学研究所)をダルベッコ変法イーグル培地(DMEM、日水製薬(株))に10%ウシ胎児血清(FBS、Cell Culture Technologies)、2mMグルタミン(和光純薬工業(株))、1μg/mLアンホテリシンB(ICN Biomedicals)、1%抗生物質混合溶液を添加し10%NaHCO3によりpH7.4に調整した培地を用いて、37℃、飽湿、5%CO2条件下で培養した。抗生物質混合液は400μg/mL硫酸カナマイシン(明治製菓(株))400μg/mL硫酸ストレプトマイシン(明治製菓(株))、200μg/mLビクシリン(アンピシリンナトリウム、明治製菓(株))、20μg/mLビクリン(硫酸アミカシン、ブリストル・マイヤーズスクイブ)をPBSに溶解し、ろ過滅菌したものを使用した。
3.リポータ遺伝子アッセイ
前述のように作製したHepG2細胞を1穴あたり1.5×104個になるように24穴プレートに撒いた。24時間後、XRE-SEAPおよび内部標準ベクターであるβ-ガラクトシダーゼ(Gal)発現プラスミドpSV-β-Gal vector(Promega)をFuGene6(Roche Diagnostics)を用いてリポソーム法により導入した。導入24時間後、1.5μM 3-Methylcholanthrene(3-MC、和光純薬工業(株))で処理し、その18時間後に培地を採取した。また同時にOPTI-MEM I(Invitrogen)に交換し、その6時間後に再び培地を採取し、それぞれのSEAP活性を後述するように測定した。β-ガラクトシダーゼ(Gal)活性は、3-MC処理24時間後に細胞をReporter Lysis Buffer(RLB、Promega)200μL中でホモジナイズし、作製した抽出液を用いて測定した。すなわち細胞抽出液に200mM リン酸緩衝液(pH7.3)、2mM MgCl2(和光純薬工業(株))、100mM β-メルカプトエタノール(和光純薬工業(株))、1.33mg/mL o-ニトロフェニル-β-D-ガラクトピラノシド(和光純薬工業(株))を含む等量の2×Assay Bufferを加え、37℃ 30分間反応させた。その後1M炭酸ナトリウム(和光純薬工業(株))を加えて反応を停止し、即座に420nmの吸光度を測定した。β-Gal標品(Promega)を用いて作製した検量線よりβ-Gal活性を算出した。得られたSEAP活性をβ-Gal活性で除すことによりトランスフェクション効率を補正し、SEAP活性を算出した。
4.XRE-SEAPを安定に導入したHepG2細胞の構築
前述の方法で培養したHepG2細胞をトランスフェクション時に細胞状態が50〜70%コンフルエント程度になるように60mm細胞培養用ディッシュに撒いた。24時間後、XRE-SEAPを、ヒトサイトメガウイルスプロモーターおよびネオマイシン耐性遺伝子を含む発現ベクターであるpRc/CMV2 vector(Invitrogen)とともに、前記3.と同様の方法でリポソーム法により細胞内に導入した。その後2日間培養し、10cm dish 10枚へ撒いた。この細胞をHepG2細胞の培養にネオマイシン(500μg/mL)を加えた培地で1〜2ヶ月間培養し、ネオマイシン耐性コロニーを形成させた。このコロニーを、クローニングリングを用いて単離した後、24穴プレートに移し、80〜100%コンフルエントの状態まで培養した。その後、段階的に12穴プレート、6穴プレート、60mm細胞培養用ディッシュへと移した。XRE-SEAPの発現量の確認は後述する方法により、3-MC処理によるSEAP活性の変化を測定することにより確認した。
5.SEAP活性の測定
各試料におけるSEAP活性はReporter Assay Kit-SEAP(TOYOBO)を用いて測定した。すなわち、培地をマイクロチューブに採取した後、5000rpmで2分間遠心した。上清30μLを異なるマイクロチューブに移し、等量の内在性アルカリホスファターゼ阻害液を加えて混合し、37℃で30分間反応させた。その後1分間氷冷し、240μLの化学発光試薬を加え混合した。混合液を37℃で30分間反応させた後、ルミノメーター(アトー(株)、AB 2200)で発光量を測定した。
[結果]
SEAPの測定においては培養液をサンプルとして用いるため、培養液自身のSEAP活性測定に与える影響を考慮しなければならない。そこでHepG2細胞の培養に用いる10%FBSを含むDMEMおよび無血清培地であるOPTI-MEM IにDMSOあるいは3-MCを加え、それぞれのSEAP活性を測定した。
図2は、SEAP活性に与える培地の影響を調べた結果を示す図である。図2に示す結果から、いずれの培地においてもDMSOおよび3-MCの存在によるSEAP活性の変化はほとんど観られなかった。その一方で、DMEMとOPTI-MEM Iの比較において、DMEMにおけるSEAP活性はOPTI-MEM Iのそれと比較して約10倍高いものであった(図2)。
次に、XRE-SEAPリポータープラスミドの反応性の検討を行った。
ダイオキシン応答部位である、配列番号1で記載されるXRE配列を4つ含むDNAを挿入したリポータープラスミド(XRE-SEAP)を作製し、それをHepG2細胞に一過性にトランスフェクションした。この細胞を、10%FBSを含むDMEM中でDMSOあるいは3-MC存在下で培養し、18時間後に無血清培地であるOPTI-MEM Iに交換した。さらに6時間培養した後、SEAP活性を測定した。
図3は、本発明による、XRE-SEAPリポータープラスミドの反応性の検討の結果を示す図である。図3から、3-MC処理細胞におけるSEAP活性は未処理細胞に比べて処理18時間後で約1.3倍、OPTI-MEM I培地に交換6時間後(通算培養時間24時間)で約2倍の値を示した (図3参照)。
以上の結果から、XRE-SEAPの3-MCに対する反応性が確認された。そこで、XRE-SEAPをネオマイシン耐性遺伝子を有するプラスミド(pRc/CMV2)とともにHepG2細胞に導入し、ネオマイシン耐性ならびにSEAP活性を指標にXRE-SEAP導入細胞をクローニングした。
図4は、本発明によるXRE-SEAP安定導入細胞のクローニングの結果を示す。図4に示す結果から、ネオマシン耐性を示した18個の細胞クローンのうち、clone Qにおいて最も優れた3-MCに対する反応性が観られ、3-MC未処理時に比較して、処理18時間後において約2倍、さらには24時間後で約8倍のSEAP活性の上昇が認められた。この結果よりclone QはXRE-SEAPを安定的に保持し、かつ3-MCに対する高い反応性を有することが示された。
本発明による、SEAPを用いたバイオアッセイにおいて、培地の採取時間は検出感度に影響を与える重要な因子のひとつである。そこで、ダイオキシン類処理後のSEAP活性の経時的変化を検討した。そこで、ダイオキシン類処理後のSEAP活性の経時的変化を検討した。
図5は、本発明により作製された、XRE-SEAP安定導入細胞の各ダイオキシン類に対する反応の経時的変化の結果を示す図である。XRE-SEAP安定導入細胞を10-8M 2,3,7,8-TCDD、10-8M 2,3,4,7,8-PCDF、10-7M 1,2,4,7,8-PCDD、10-6M 3-MC、10-6M B(a)P、10-6M DB(a,h)A、10-9M indirubin、10-6M ANFで処理した。その6時間後、12時間後、18
時間後および24時間後に培地を採取し、それぞれのSEAP活性を測定した。
図5に示す結果から、XRE-SEAP安定導入細胞培養液中におけるSEAP活性は各種ダイオキシン類暴露により経時的に増加した。また、暴露18〜24時間後におけるSEAP活性は、いずれのダイオキシン類暴露によってもコントロールと比較して高い値を示した。
次に、SEAP活性の測定における培地交換の効果に関する検討した。XRE-SEAP安定導入細胞の培養時間に比例して培地中のSEAP活性は増加するが、同時にそれは高いバックグラウンド値を与えることになる。図2示したように、培地に由来したバックグラウンド値は培養液として無血清培地であるOPTI-MEM Iを用いることにより抑制することができる。図5で示したように培地中のSEAP活性は、ダイオキシン類暴露18〜24時間後に未処理細胞と顕著な差異を示す。しかしながらOPTI-MEM I中における18〜24時間の培養はHepG2細胞の培養条件としては適さない。そこで、XRE-SEAP安定導入細胞を2,3,7,8-TCDD存在下で10%FBSを含むDMEM中で18時間培養後、OPTI-MEM Iに培地を交換し、その後のSEAP活性の経時的変化を検討した。
図6は、本発明において、OPTI-MEM Iを用いたSEAP活性の測定を検討した結果を示す図である。図6の結果から、SEAP活性はOPTI-MEM Iに培地交換後6時間(通算培養時間24時間後)において顕著な差異が認められた。また、培地交換を行わず24時間培養した検体におけるSEAP活性は、2,3,7,8-TCDD処理細胞と未処理細胞の間で約3倍程度の差異を示したが、OPTI-MEM Iに交換した検体においては、2,3,7,8-TCDD処理細胞と未処理細胞の間で約7倍の差異が示された(図7)。
以上の結果をまとめると、ダイオキシン類に応答するリポーターとしてSEAP遺伝子上流にXRE配列を4つ含む遺伝子を挿入したプラスミド(XRE-SEAP)を作製した。これをヒト肝がん由来HepG2細胞へ一過的にトランスフェクションし、ダイオキシン類に対する反応性を確認した(図3参照)。ダイオキシン類(3-MC)添加18時間後においてSEAP活性の上昇が認められ、XRE-SEAPのダイオキシン類に対する反応性が確認された(図3参照)。
しかしながら3-MC処理18時間後におけるコントロール細胞ならびに3-MC処理細胞におけるSEAP活性の差異はわずかであり、試料中のダイオキシン類の存在を十分に検出しているとは言い難い。そこで、処理後18時間において培地をOPTI-MEM Iに交換し、その後6時間におけるSEAP活性を測定した。その結果、検出されるSEAP活性は低下したものの、コントロール細胞ならびに処理細胞におけるSEAP活性に十分な差異が観察され、このアッセイ系はダイオキシン類の検出法として有効である可能性が示された。
一過的にXRE-SEAPを細胞内に導入し活性を測定する系は、手順が煩雑であるとともに、実験毎における結果に誤差が生じやすいためバイオアッセイ系として最適な系ではない。そこでXRE-SEAPをHepG2細胞に安定的に導入し、ダイオキシン類に対して高い反応性を示す細胞クローンを単離した。その結果、最も反応性に優れていたクローンではコントロールと比較して3-MC処理18時間後で約2倍、24時間後では約8倍のSEAP活性の上昇が認められた(図4参照)。この結果より、このクローンにはXRE-SEAPが安定的に導入され、3-MCに対する高い反応性を有することが確認された。
ヒト大腸がん由来細胞であるLS180細胞においてCYP1A1 mRNAは2,3,7,8-TCDD処理により6時間後から誘導される。その一方で、3-MC処理では1時間後には発現が観られ、24時間後にはその発現量が小さくなっていくことが報告されている(たとえば、Li W., Harper P.A., Tang B.K., and Okey A.B., Biochem. Pharmacol. 56, 599-612 (1998)参照)。したがって、XRE-SEAP安定導入細胞を用いてダイオキシン類のアッセイを行っていく上で、培地の採取時間は検出感度を左右する重要な因子である。そこでXRE-SEAP安定導入細胞を様々なダイオキシン類で処理し、SEAP活性の経時的変化を検討した。その結果、ダイオキシン類暴露後の時間経過に伴いSEAP活性は上昇し、暴露18〜24時間後において未処理細胞のSEAP活性に比較して明らかに高い値を示した(図5参照)。すなわち、用いた化合物に関しては暴露18〜24時間において十分に検出が可能であることが示された。
次いで、バックグラウンド値を抑制し、さらに検出感度を高める目的で培地交換の効果についても検討を行った。図2に示すようにOPTI-MEM I培地は、HepG2細胞の通常の培養に用いられる10%FBSを含むDMEMよりも低いバックグラウンドSEAP値を与える。さらに上述したように、XRE-SEAP安定導入細胞はダイオキシン類暴露18〜24時間後に十分なSEAP活性の増加を示す。そこで、XRE-SEAP安定導入細胞を2,3,7,8-TCDD存在下で10%FBSを含むDMEM中で18時間培養後、OPTI-MEM Iに培地を交換し、その後のSEAP活性を検討した。その結果、OPTI-MEM Iへの培地交換により、2,3,7,8-TCDD暴露によるSEAP活性の上昇がより明確に測定された (図6および7参照)。
次に、XRE-SEAPを安定的に導入し、ダイオキシン類に対する高い反応性を有するクローンの単離を行い、この細胞クローンを用いたダイオキシン類の検出において、ダイオキシン類処理18時間後さらにOPTI-MEM Iに培地交換6時間後(通算培養時間24時間後)の2点での測定が適当であることが示唆されたことから、これらの条件下で様々なダイオキシン類に対する反応性を検討した。
上記の知見を踏まえ、様々なダイオキシン類に対して、XRE-SEAP安定導入細胞の検出限界および濃度依存性について検討し、本測定のダイオキシン類検出を目的としたバイオアッセイ系としての有効性を検証した。
1.細胞の培養
XRE-SEAP安定導入細胞はネオマイシン(500μg/mL)を含む培地を用いて、前記実施例1の2.と同様の方法で培養した。
2.XRE-SEAP安定導入細胞を用いたダイオキシン類の検出
前記実施例2の1.と同様の方法で培養した、前記実施例1の4.で作製した細胞を24穴プレートに1穴あたり2×104個となるように撒いた。被検化合物添加18時間後に培地を採取し、同時にOPTI-MEM Iに交換した。その6時間後に再び培地を採取し、それぞれのSEAP活性を、前記実施例1の5.に準じて測定した。
図8は、本発明によるXRE-SEAP安定導入細胞を10-13Mから10-8Mの2,3,7,8-TCDDで処理し、その反応性を検討した結果を示す。図8に示す結果から、10-9M以上の2,3,7,8-TCDD暴露により濃度依存的なSEAP活性の上昇が観測されrた。
図9は、本発明によるXRE-SEAP安定導入細胞を10-13Mから10-8Mの2,3,4,7,8-PCDFで処理し、その反応性を検討した。図9に示す結果から、10-9M以上の2,3,4,7,8-PCDF暴露により濃度依存的なSEAP活性の上昇が観測された。
図10は、本発明によるXRE-SEAP安定導入細胞を10-12Mから10-7Mの1,2,4,7,8-PCDDで処理し、その反応性を検討した結果を示す。図10に示す結果から、10-9M以上の1,2,4,7,8-PCDD暴露により濃度依存的なSEAP活性の上昇が観測された。
図11は、本発明によるXRE-SEAP安定導入細胞を10-10Mから10-6Mの3-MCで処理し、その反応性を検討した結果を示す。図11に示す結果から、10-7M以上の3-MC暴露により濃度依存的なSEAP活性の上昇が観測された。
図12は、本発明によるXRE-SEAP安定導入細胞を10-11Mから10-6MのB(a)Pで処理し、その反応性を検討した結果を示す。図12に示す結果から、10-7M以上のB(a)P暴露により濃度依存的なSEAP活性の上昇が観測された。
図13は、本発明による XRE-SEAP安定導入細胞を10-11Mから10-6MのDB(a,h)Aで処理し、その反応性を検討した結果を示す。図13に示す結果から、10-7M以上のDB(a,h)A暴露により濃度依存的なSEAP活性の上昇が観測された。
図14は、本発明によるXRE-SEAP安定導入細胞を10-13Mから10-8Mのindirubinで処理し、その反応性を検討した結果を示す。図14に示す結果から、10-10M以上のindirubin暴露により濃度依存的なSEAP活性の上昇が観測された。
図15は、本発明によるXRE-SEAP安定導入細胞を10-10Mから10-5MのANFで処理し、その反応性を検討した結果を示す。図15に示す結果から、10-7Mおよび10-6M ANF処理細胞におけるSEAP活性は未処理細胞と比較して高い値を示したが、10-5M ANF処理細胞におけるSEAP活性は未処理細胞のそれよりも低い値となった。
以上のように、2,3,7,8-TCDDに対する反応性を検討したところ、10-9M以上の2,3,7,8-TCDD暴露によりSEAP活性は濃度依存的に上昇した(図8参照)。すなわち、作製したXRE-SEAP安定導入細胞の定量的な検出限界は2,3,7,8-TCDDにおいて10-9Mであることが示された。次いで、各種ダイオキシン類に対するXRE-SEAP安定導入細胞の反応性を検討した。その結果、XRE-SEAP安定導入細胞は用いた各化合物が有するXREへの反応性をほぼ反映したSEAP活性の上昇を示した(図9〜図15参照)(たとえば、Nagy S.R., Sanborn J.R., Hammock B.D., and Denison M.S., Toxicol. Sciences, 65, 200-210 (2002)参照)。これらの結果より今回作製したXRE-SEAP安定導入細胞はダイオキシン類の転写活性化能に応じてXREを介し、SEAPを培養液中に分泌することが示された。
一方で、ANFにおいては10-5M ANF暴露によりSEAP活性が有意に減少した。ANFはXREを含むリポーターを用いたアッセイにおいてアゴニストとアンタゴニストの両面を併せ持つことが報告されており(たとえば、Merchant M., and Safe S., Biochem. Pharmacol. 50, 663-668 (1995).、Fontaine F., Delescluse C., de Sousa G., Lesca P., and Rahmani R., Biochem. Pharmacol. 57, 255-262 (1999) 参照)、本アッセイ系に対してもANFの作用の両面性が示された。
以上の結果より、XRE-SEAP安定導入細胞を用いた本系はダイオキシン類を鋭敏かつ濃度依存的に検出可能なバイオアッセイ系であることが示された。
ダイオキシン類によるAhR/Arntヘテロ2量体のシグナル伝達モデルを示す概略図である。 SEAP活性に与える培地の影響を調べた結果を示す図である。DMEMおよびOPTI-MEM IにDMSOおよび3-MC(1.5μM)をそれぞれ加えてサンプルとし、各々のSEAP活性を測定した。 本発明によるXRE-SEAPリポータープラスミドの反応性の検討結果を示す図である。XRE-SEAPおよびpSV-β-Gal Vectorを同時にHepG2細胞へトランスフェクションした。トランスフェクション24時間後に3-MC(1.5μM)を添加し、18時間後に培地を採取した(0〜18h)。また同時に無血清培地であるOPTI-MEM Iに培地交換を行い、さらに6時間培養した (18〜24h)。 本発明によるXRE-SEAP安定導入細胞のクローニングの結果を示す。(A) XRE-SEAPおよびpRc/CMV2ベクターをHepG2細胞に導入し、ネオマイシン耐性が観られた細胞に3-MC(1.5μM)を添加した。3-MC添加18時間後に培地を採取し、SEAP活性を測定した。(B) (A)で培地を採取すると同時にOPTI-MEM Iに交換し、引き続き6時間培養した。培養終了後に培地を採取してSEAP活性を測定した。 本発明によるXRE-SEAP安定導入細胞の各ダイオキシン類に対する反応の経時的変化の結果を示す図である。XRE-SEAP安定導入細胞を10-8M 2,3,7,8-TCDD、10-8M 2,3,4,7,8-PCDF、10-7M 1,2,4,7,8-PCDD、10-6M 3-MC、10-6M B(a)P、10-6M DB(a,h)A、10-9M indirubinおよび10-6M ANFで処理した。6時間後、12時間後、18時間後および24時間後に培地を採取し、それぞれのSEAP活性を測定した。 本発明において、OPTI-MEM Iを用いたSEAP活性の測定を検討した結果を示す図である。XRE-SEAP安定導入細胞を2,3,7,8-TCDDで処理し、18時間後にOPTI-MEM Iに交換した。さらに3時間後、6時間後および12時間後に培地を採取し、それぞれのSEAP活性を測定した。 SEAP活性測定法の検討結果を示す図である。(A) XRE-SEAP安定導入細胞を2,3,7,8-TCDDで処理し、24時間後に培地を採取してSEAP活性を測定した。(B) (A)と同様にXRE-SEAP安定導入細胞をTCDDで処理し、18時間後にOPTI-MEM Iに交換した。さらに6時間後すなわちTCDD処理から24時間後に培地を採取しSEAP活性を測定した。 本発明によるXRE-SEAP安定導入細胞を10-13Mから10-8Mの2,3,7,8-TCDDで処理し、その反応性を検討した結果を示す図である。(A) XRE-SEAP安定導入細胞を2,3,7,8-TCDDで処理し、その18時間後に培地を採取してSEAP活性を測定した。(B) (A)で培地を採取すると同時にOPTI-MEM Iに交換し、その6時間後に再び培地を採取してSEAP活性を測定した。 本発明によるXRE-SEAP安定導入細胞を10-13Mから10-8Mの2,3,4,7,8-PCDFで処理し、その反応性を検討した結果を示す図である。(A) XRE-SEAP安定導入細胞を2,3,4,7,8-PCDFで処理し、その18時間後に培地を採取してSEAP活性を測定した。(B) (A)で培地を採取すると同時にOPTI-MEM Iに交換し、その6時間後に再び培地を採取してSEAP活性を測定した。 本発明によるXRE-SEAP安定導入細胞を10-12Mから10-7Mの1,2,4,7,8-PCDDで処理し、その反応性を検討した結果を示す図である。(A) XRE-SEAP安定導入細胞を1,2,4,7,8-PCDDで処理し、その18時間後に培地を採取してSEAP活性を測定した。(B) (A)で培地を採取すると同時にOPTI-MEM Iに交換し、その6時間後に再び培地を採取してSEAP活性を測定した。 本発明によるXRE-SEAP安定導入細胞を10-10Mから10-6Mの3-MCで処理し、その反応性を検討した結果を示す図である。(A) XRE-SEAP安定導入細胞を3-MCで処理し、その18時間後に培地を採取してSEAP活性を測定した。(B) (A)で培地を採取すると同時にOPTI-MEM Iに交換し、その6時間後に再び培地を採取してSEAP活性を測定した。 本発明によるXRE-SEAP安定導入細胞を10-11Mから10-6MのB(a)Pで処理し、その反応性を検討した結果を示す図である。(A) XRE-SEAP安定導入細胞をB(a)Pで処理し、その18時間後に培地を採取してSEAP活性を測定した。(B) (A)で培地を採取すると同時にOPTI-MEM Iに交換し、その6時間後に再び培地を採取してSEAP活性を測定した。 本発明による XRE-SEAP安定導入細胞を10-11Mから10-6MのDB(a,h)Aで処理し、その反応性を検討した結果を示す図である。(A) XRE-SEAP安定導入細胞をDB(a,h)Aで処理し、その18時間後に培地を採取し、SEAP活性を測定した。(B) (A)で培地を採取すると同時にOPTI-MEM Iに交換し、その6時間後に再び培地を採取してSEAP活性を測定した。 本発明によるXRE-SEAP安定導入細胞を10-13Mから10-8Mのindirubinで処理し、その反応性を検討した結果を示す図である。(A) XRE-SEAP安定導入細胞をindirubinで処理し、その18時間後に培地を採取し、SEAP活性を測定した。(B) (A)で培地を採取すると同時にOPTI-MEM Iに交換し、その6時間後に再び培地を採取してSEAP活性を測定した。 本発明によるXRE-SEAP安定導入細胞を10-10Mから10-5MのANFで処理し、その反応性を検討した結果を示す図である。(A) XRE-SEAP安定導入細胞をANFで処理し、その18時間後に培地を採取してSEAP活性を測定した。(B) (A)で培地を採取すると同時にOPTI-MEM Iに交換し、その6時間後に培地を採取してSEAP活性を測定した。

Claims (14)

  1. 少なくとも1つの配列番号1で記載されるダイオキシン応答配列と、
    前記応答配列に、機能できるように連結されたアルカリホスファターゼをコードする塩基配列と、
    を含むリポーター構築物。
  2. 前記ダイオキシン応答配列が、4つの配列番号1を有する、請求項1記載のリポーター構築物。
  3. 前記ダイオキシン応答配列が、配列番号2で記載される配列を有する、請求項1又は2に記載のリポーター構築物。
  4. 前記アルカリホスファターゼは、分泌型アルカリホスファターゼである、請求項1ないし3のうち何れか一項に記載のリポーター構築物。
  5. 請求項1ないし4のうち何れか一項に記載のレポーター構築物を含む、ベクター。
  6. 前記ベクターは、プラスミド、ファージおよびコスミドからなる群から選択される、請求項5に記載のベクター。
  7. 請求項5又は6に記載のベクターによって形質転換された形質転換体。
  8. 前記形質転換体は、ヒト肝がん由来細胞またはヒト大腸がん由来細胞である、請求項7に記載の形質転換体。
  9. ダイオキシン類の検出方法であって、
    (1)請求項7に記載の形質転換体と、被検試料を接触させる工程と、
    (2)アルカリホスファターゼ活性を測定する工程と、
    を含む検出方法。
  10. 前記形質転換体が、ヒト肝がん由来細胞またはヒト大腸がん由来細胞である、請求項9に記載の検出方法。
  11. 前記アルカリホスファターゼは、分泌型アルカリホスファターゼである、請求項9または10に記載の検出方法。
  12. 前記(1)の工程の後、所定の時間経過後に培地を交換する工程を含む、請求項9ないし11のうち何れか一項に記載の検出方法。
  13. 前記培地を、OPTI-MEMEIに交換する、請求項12に記載の検出方法。
  14. 請求項9ないし13のうち何れか一項に記載の検出方法を行うためのキット。


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* Cited by examiner, † Cited by third party
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